(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】非常灯及び非常灯の点検方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/11 20200101AFI20240712BHJP
H05B 47/16 20200101ALI20240712BHJP
【FI】
H05B47/11
H05B47/16
(21)【出願番号】P 2020161035
(22)【出願日】2020-09-25
【審査請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000123608
【氏名又は名称】かがつう株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100186060
【氏名又は名称】吉澤 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100145458
【氏名又は名称】秋元 正哉
(72)【発明者】
【氏名】鍛治 翔太
(72)【発明者】
【氏名】吉田 卓矢
(72)【発明者】
【氏名】紺谷 英紀
(72)【発明者】
【氏名】稲富 信義
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-164892(JP,A)
【文献】特開2007-234616(JP,A)
【文献】特開2012-059691(JP,A)
【文献】特開2004-265773(JP,A)
【文献】特開2005-027405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲の照度を検出する照度センサと、
2次電池と、
前記照度センサで検出された照度に基づき、点灯状態と消灯状態とが切り替わると共に、停電時に前記2次電池からの電力を受けて点灯する少なくとも1つの光源と、
制御部と、
を備える非常灯であって、
前記制御部は、
前記照度センサで検出された照度に基づく、前記光源の第1点灯切替タイミングから所定時間経過後に点検を開始する手段と、
点検開始に伴い、前記2次電池から前記光源に電力を供給し、前記2次電池の劣化を点検する手段と、
点検終了後、前記2次電池を充電する手段と、
を備え、
前記非常灯が、組込型の場合、
外部電源からの電力によって点灯する第1光源の消灯切替タイミング以降に前記点検を終了する手段を更に備える、
非常灯。
【請求項2】
前記非常灯は、組込型であり、
前記第1及び第2点灯切替タイミングは、外部電源からの電力によって点灯する第1光源の点灯切替タイミングに対応する、
請求項
1に記載の非常灯。
【請求項3】
前記2次電池を充電する手段は、前記光源の消灯切替タイミングから次の点灯切替タイミングまでの間に前記2次電池を充電する、
請求項1
または2に記載の非常灯。
【請求項4】
前記制御部は、1/4年以上1/2年未満の所定周期で前記点検を行う手段を更に備える、
請求項1から
3のいずれか一項に記載の非常灯。
【請求項5】
前記2次電池の劣化情報、点検情報、及び停電時の非常点灯履歴情報を送信する通信部を更に備える、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の非常灯。
【請求項6】
周囲の照度を検出する照度センサと、2次電池と、前記照度センサで検出された照度に基づき、点灯状態と消灯状態とが切り替わると共に、停電時に前記2次電池からの電力を受けて点灯する少なくとも1つの光源と、制御部とを備える非常灯の点検方法であって、
前記制御部が、
前記照度センサで検出された照度に基づく、前記光源の第1点灯切替タイミングから所定時間経過後に点検を開始するステップと、
点検開始に伴い、前記2次電池から前記光源に電力を供給し、前記2次電池の劣化を点検するステップと、
点検終了後、前記2次電池を充電するステップと、
を実行し、
前記非常灯が、組込型の場合、
制御部が、外部電源からの電力によって点灯する第1光源の消灯切替タイミング以降に前記点検を終了するステップを更に実行する、
非常灯の点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常灯及び非常灯の点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、停電時、内蔵電源(例えば、2次電池)の電力によって光源を非常点灯させる非常灯が提供されている。このような非常灯に関し、停電が起こった際の正常な動作を担保するため、内蔵される2次電池の劣化診断や非常点灯動作に関する点検内容の概略が、照明器具に関する各種工業規格(例えば、一般社団法人日本照明工業会規格等)に定められている。このような工業規格等に基づき、屋内外に設置される非常灯の点検が実施されている。
【0003】
このような状況下、非常灯を含む防災照明点検システムが、下記特許文献1に開示されている。特許文献1に開示の防災照明点検システムは、外部電源(商用電源)からの電力によって動作する通常光源と、2次電池からの電力によって動作する非常光源とを備える所謂併用型の屋内非常灯に関する点検システムに関する。
【0004】
より詳しくは、特許文献1に開示の防災照明点検システムは、前記2次電池の電力を用いて前記非常光源を点灯する非常光源点灯手段と、この非常光源点灯手段により非常光源を点灯させて、所定の規則に基づく点検を行う点検手段と、通常光源の消灯時に、所定の規則に基づく点検を禁止する点検禁止手段とを備える。特許文献1に開示の防災照明点検システムに備わるこれらの手段によって、非常光源の点灯に起因する屋内(映画の上映室内やホテルの客室内等)の人への悪影響を避けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非常灯点検の際、2次電池を放電させて非常光源の点灯状態が検査される。そのため、点検態様によっては、点検終了時に2次電池が完全に放電される可能性がある。このとき、例えば、点検終了直後に停電が起きた場合、2次電池の残量がない(又は極めて少ない)ことから、避難時の安全性確保の点で十分な期間、非常光源を点灯させることができない。しかしながら、この課題を解決するための手段は、特許文献1に開示も示唆もされていない。
【0007】
前述の課題に鑑み、本発明は、点検終了後の夜間停電時、2次電池からの電力によって十分な期間点灯可能な非常灯及び非常灯の点検方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明に係る非常灯は、
周囲の照度を検出する照度センサと、
2次電池と、
前記照度センサで検出された照度に基づき、点灯状態と消灯状態とが切り替わると共に、停電時に前記2次電池からの電力を受けて点灯する少なくとも1つの光源と、
制御部と、
を備える非常灯であって、
前記制御部は、
前記照度センサで検出された照度に基づく、前記光源の第1点灯切替タイミングから所定時間経過後に点検を開始する手段と、
点検開始に伴い、前記2次電池から前記光源に電力を供給し、前記2次電池の劣化を点検する手段と、
前記点検終了後、前記2次電池を充電する手段と、
を備え、
前記非常灯が、組込型の場合、
外部電源からの電力によって点灯する第1光源の消灯切替タイミング以降に前記点検を終了する手段を更に備える。
【0009】
本発明のこの態様によれば、光源の第1点灯切替タイミングから所定時間経過後に点検を開始するよう制御され、更に、光源の消灯切替タイミング以降の日照時間帯に点検を終了するよう制御されるため、点検終了後のいずれのタイミングで停電が生じても、2次電池からの電力によって十分な期間、非常灯を点灯させることができる。
【0014】
更に、本発明に係る非常灯は、組込型であり、
前記第1及び第2点灯切替タイミングは、外部電源からの電力によって点灯する第1光源の点灯切替タイミングに対応する
ことが好ましい。
【0015】
本発明のこの態様によれば、組込型の非常灯において、点検終了後のいずれのタイミングで停電が生じても、2次電池からの電力によって十分な期間、非常灯を点灯させることができる。
【0016】
更に、本発明に係る非常灯において、
前記2次電池を充電する手段は、前記光源の消灯切替タイミングから次の点灯切替タイミングまでの間に前記2次電池を充電する、
ことが好ましい。
【0017】
本発明のこの態様によれば、光源の消灯切替タイミングから次の点灯切替タイミングまでの間の日照時間帯に2次電池を充電するよう制御されるため、夜間帯に停電が生じても、避難時の安全性を担保する上で十分な期間、2次電池からの電力によって非常灯を点灯させることができる。
【0018】
更に、本発明に係る非常灯において、
前記制御部は、1/4年以上1/2年未満の所定周期で前記点検を行う手段を更に備える、
ことが好ましい
【0019】
本発明のこの態様によれば、前記周期頻度によって点検を行うよう制御されるため、点検が頻繁に行われて(2次電池の充放電が頻繁に繰り返され)電池性能が過度に低減されることを防ぐことができる一方、常時同じ時節に点検が実施されることを避けることができる。一般に2次電池は、周囲温度によって電池容量が変動する。そのため、本発明のこの態様によれば、異なる時節に点検を行うことができ、停電時の非常灯があらゆる時節で適切に動作することを確認できる。
【0020】
更に、本発明に係る非常灯は、
前記2次電池の劣化情報、点検情報、及び停電時の非常点灯履歴情報を送信する通信部を更に備える、
ことが好ましい。
【0021】
本発明のこの態様によれば、2次電池の劣化情報、点検情報、及び停電時の非常点灯履歴情報が、非常灯から他の情報端末に送信されるため、非常灯と離れた位置に設けられる管理センター等であっても、2次電池の状態を適切に把握することができる。
【0022】
また、本発明に係る非常灯の点検方法は、
周囲の照度を検出する照度センサと、2次電池と、前記照度センサで検出された照度に基づき、点灯状態と消灯状態とが切り替わると共に、停電時に前記2次電池からの電力を受けて点灯する少なくとも1つの光源と、制御部とを備える非常灯の点検方法であって、
前記制御部が、
前記照度センサで検出された照度に基づく、前記光源の第1点灯切替タイミングから所定時間経過後に点検を開始するステップと、
点検開始に伴い、前記2次電池から前記光源に電力を供給し、前記2次電池の劣化を点検するステップと、
前記点検終了後、前記2次電池を充電するステップと、
を実行し、
前記非常灯が、組込型の場合、
制御部が、外部電源からの電力によって点灯する第1光源の消灯切替タイミング以降に前記点検を終了するステップを更に実行する。
【0023】
本発明のこの態様によれば、光源の第1点灯切替タイミングから所定時間経過後に点検を開始するよう制御され、更に、光源の消灯切替タイミング以降の日照時間帯に点検を終了するよう制御されるため、点検終了後のいずれのタイミングで停電が生じても、2次電池からの電力によって十分な期間、非常灯を点灯させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、点検終了後のいずれのタイミングで停電が生じても、2次電池からの電力によって十分な期間点灯可能な非常灯及び非常灯の点検方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態に係る非常灯の構成を示すブロック図。
【
図2】本実施形態における非常灯の点検時における動作を示すタイミングチャート。
【
図3】本実施形態に係る非常灯の点検方法の一例を示すフローチャート。
【
図4】本実施形態に係る非常灯の垂直断面図(側面視分解図)。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[非常灯の構成と動作]
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る非常灯1を詳細に説明する。初めに、
図1及び
図2を参照して、非常灯1の全体構成及び動作を説明する。ここで、
図1は、本実施形態に係る非常灯1の構成を示すブロック図である。また、
図2は、本実施形態における非常灯1の点検時における動作を示すタイミングチャートである。
【0031】
以下説明する本実施形態に係る非常灯1は、外部電源からの電力によって点灯する光源(第1光源)と、停電時、2次電池からの電力によって点灯する別の光源(第2光源)を備える所謂組込型の非常灯である。ただし、本発明に係る非常灯1は、これに限られず、1つの光源を平時に外部電源によって点灯させ、停電時に2次電池によって点灯させる併用型の非常灯であってもよい。
【0032】
図1に示されるように、本実施形態に係る非常灯1は、照度センサ10、2次電池20、外部電源PWからの電力によって点灯する第1光源30、2次電池20からの電力によって点灯する第2光源40、非常灯1の各種動作を制御する制御部50を備える。更に、非常灯1は、2次電池20の劣化情報、点検情報、及び停電時の非常点灯履歴情報を他の情報端末に送信する通信部(図示しない)を備えてもよい。これらの情報は、制御部50のメモリに記憶されていてもよい。
【0033】
特に限定されるものではないが、照度センサ10の例として、フォトダイオード等の受光素子等が挙げられる。また、2次電池の例として、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池が挙げられる。更に、外部電源PWの例として、商用電源や他の発電手段(例えば、太陽光発電システムや燃料電池システム)等が挙げられる。更に、第1光源30や第2光源40の例として、半導体発光素子(例えば、LED(Light emitting diode)、OLED(Organic light emitting diode)、レーザーダイオード)等が挙げられる。
【0034】
次に、本実施形態における照度センサ10は、周囲の照度(受光強度)を検出し、検出した照度情報を制御部50に送信する。照度情報を受信した制御部50は、検出照度が所定の閾値以上であるか否かを判定し、閾値以上である場合(日照時間帯である場合)、外部電源PWと第1光源30の間に介設されるスイッチ31(例えば、リレーやトランジスタ等)を開くよう制御する。これにより、外部電源PWから第1光源30への電力供給が遮断される結果、第1光源30は、点灯状態から消灯状態に切り替わる。
【0035】
これに対して、検出照度が所定の閾値以下である場合(夜間帯である場合)、制御部50は、スイッチ31を閉じるよう制御する。これにより、外部電源PWから第1光源30に電力が供給される結果、第1光源30は、消灯状態から点灯状態に切り替わる。なお、制御部50における第1光源30の点消灯切替機能を以下「点消灯切替手段55」と言う。
【0036】
次に、本実施形態における2次電池20は、第2光源40と電気的に接続する。2次電池20は、例えば災害等に起因する停電時や後述の点検時に、第2光源40に電力を供給し、第2光源40を点灯させる。また、2次電池20は、外部電源PWとも電気的に接続する。外部電源PWが、商用電源のように交流電力を供給するものである場合、外部電源PWと2次電池20の間に介設されるAC/DCコンバータ21によって交流電力が直流電力に変換され、変換された直流電力が2次電池20に供給される。これにより、2次電池20は、充電される。
【0037】
次に、本実施形態における第1光源30は、スイッチ31を介して外部電源PWと電気的に接続される。前述のように、照度センサ10で検出された照度に基づき、制御部50がスイッチ31を開状態に制御する(日照時間帯の場合)と、外部電源PWからの電力が遮断される結果、第1光源30は消灯する。一方、照度センサ10で検出された照度に基づき、制御部50がスイッチ31を閉状態に制御する(夜間帯の場合)と、外部電源PWからの電力が供給される結果、第1光源30は点灯する。
【0038】
次に、本実施形態における制御部50は、プロセッサ及びメモリを備えるコンピュータ(例えば、マイコン等)である。より詳しくは、制御部50のプロセッサが、メモリに格納されるプログラムやデータに基づき所定の処理を行い、非常灯1の各種動作を制御する。プログラム等の処理により、制御部50は、点検手段(2次電池20の劣化を点検する手段)51、点検開始手段(点検を開始する手段)52、点検終了手段(点検を終了する手段)53、2次電池充電手段(2次電池を充電する手段)54、点消灯切替手段55として機能する。また、本実施形態における制御部50のプロセッサは、タイマ56を備える。
【0039】
点検手段51は、2次電池20から第2光源40に電力を供給し、第2光源40の点灯状態(点灯時間等)に基づき、点検を行う手段である。ここで、2次電池20から電力が供給される際の非常灯1(第2光源40)の動作点検や、2次電池20の劣化状態の点検等が、前記点検に含まれる。
【0040】
点検手段は、特に限定されるものではないが、具体例として、以下の態様が挙げられる。すなわち、2次電池20から第2光源40に電力が供給される際、制御部50は、図示しない電圧センサによって計測される2次電池20の電圧値情報を受信し、受信する電圧値が閾値電圧になるまでの時間を測定する。時間測定は、例えば、制御部50のタイマ56を用いる。
【0041】
制御部50は、測定時間(2次電池20が過放電に至るまでの時間)が、所定の閾値(例えば、8時間)を超えるか否かを判定し、閾値を超える場合、2次電池20及び第2光源40の動作が正常であると判定する。これに対して、測定時間が所定の閾値を超えない場合、制御部50は、2次電池20及び第2光源40の動作が異常であると判定する。なお、所定の閾値は、前記時間に限られない。
【0042】
これとは異なり、点検手段の他の具体例として、以下の態様が挙げられる。すなわち、2次電池20から第2光源40への電力供給が開始されてから所定時間経過後(例えば、3時間)、制御部50は、図示しない電圧センサによって2次電池20の電圧値を計測し、計測された電圧値が所定の閾値を超えるか否かを判定する。この場合、所定時間経過後、電圧値を計測するまでに、電圧安定期間として、10分程度待つことが好ましい。
【0043】
電圧値が所定の閾値を超える場合、制御部50は、2次電池20及び第2光源40の動作が正常であると判定する。これに対して、電圧値が所定の閾値を超えない場合、制御部50は、2次電池20及び第2光源40の動作が異常であると判定する。なお、電圧値計測タイミングや電圧値に係る所定の閾値に関し、適正な点検が行える範囲で適宜調整可能である。
【0044】
次に、点検開始手段52は、点検の開始タイミングを制御する手段である。本実施形態における点検開始手段52は、照度センサ10で検出された照度に基づく第1光源30の点灯切替タイミング(第1点灯切替タイミング)から所定時間経過後(例えば、6時間後から9時間後)に点検を開始するよう制御することが好ましい。
【0045】
これにより、仮に、点検が夜間帯に終了しても、点検終了から日の出までの期間を少なくすることができる。そのため、点検終了後の2次電池20の残量がない(又は極めて少ない)状態で夜間停電が生じても、前記不点灯期間を極力短くすることができる。
【0046】
次に、点検終了手段53は、点検の終了タイミングを制御する手段である。より詳しくは、点検終了手段53は、第1光源30が消灯状態から点灯状態に切り替わる点灯切替タイミング(第2点灯切替タイミング)より所定時間前(例えば、10時間前)に点検を終了するよう制御することが好ましい。これにより、点検終了タイミングの次に到来する夜間帯までに2次電池20を十分に充電できる。そのため、点検終了後のいずれのタイミングで停電が生じても、2次電池からの電力によって十分な期間、第2光源40を点灯させることができる。
【0047】
また、点検終了手段53は、照度センサ10で検出された照度に基づく第1光源30の消灯切替タイミング以降に点検を終了することが好ましい。これにより、第1光源30の消灯切替タイミング以降の日照時間帯に点検が終了するため、2次電池20の残量がない(又は極めて少ない)期間に相当する点検終了タイミングが夜間帯にならない。そのため、停電が生じた際、2次電池20からの電力が供給されず、第2光源40が点灯しない不点灯期間が生じることを避けられる。
【0048】
なお、点検終了手段53の態様は、第2点灯切替タイミングより所定時間前に点検を終了するか、第1光源30の消灯切替タイミング以降に点検を終了するかの少なくとも一方を含むものであればよい。ただし、双方を含む態様であれば、夜間帯の不点灯期間の発生をより確実に防ぐことができる点で更に好ましい。
【0049】
次に、2次電池充電手段54は、点検終了後、外部電源PWからの電力により2次電池20を充電するよう制御する手段である。本実施形態における2次電池充電手段54は、点検終了タイミングから、第1光源30の次の点灯切替タイミング(第2点灯切替タイミング)までの間の所定期間(例えば、約10時間)、2次電池20を充電する。
【0050】
また、2次電池充電手段54は、照度センサ10で検出された照度によって日照時間帯と判定された期間に2次電池20を充電することがより好ましい。これにより、日照時間帯に2次電池20が充電され、夜間帯に停電が生じても、避難時の安全性を担保する上で十分な期間(例えば、3時間)、2次電池20からの電力によって第2光源40を点灯させることができる。
【0051】
制御部50の態様は、これに限られるものではなく、他の手段として機能してもよい。他の手段として、1/4年以上1/2年未満の所定周期で前記点検を行う手段が挙げられる。これにより、前記周期によって点検を行うよう制御されるため、点検が頻繁に行われて、電池性能が過度に低減される程度に2次電池が充放電されることを防ぎ、且つ常時同じ時節に点検が実施されることを避けることができる。
【0052】
一般に2次電池は、周囲温度によって電池容量が変動する。前記周期と異なり、例えば、1年1回4月に点検する場合、4月前後の環境下での2次電池20の動作を点検できる一方、冬場や夏場の環境下での点検を行うことができない。そのため、これらのシーズンにおいて、2次電池20が適正に動作するか否か確認できない。
【0053】
これに対して、1/4年以上1/2年未満の所定周期で点検を行うようにすれば、10回程度の点検が実施されれば、周囲温度の大きく異なる多くの時節を網羅するよう点検できる。その結果、あらゆる時節において、非常灯1が適切に動作することを確認できる。なお、1/2年を超える周期で点検する場合、次の点検までの期間が長期化し、あらゆる時節の点検を実施するまでにかなりの時間が必要とされる点で好ましくない。
【0054】
所定周期に至ったか否かの判定には、例えば日数のカウントを用いる。ここで、日数のカウント方法として、タイマ56による計時を利用する方法、照度センサ10による点灯・消灯の1セットを1日と計算する方法、それらを組み合わせてカウントする方法等が挙げられる。
【0055】
また、予め点検周期を定める前記態様とは異なり、制御部50が、照度センサ10からの照度情報に基づき日照時間を計測すると共に、例えば、制御部50のメモリに記憶された日照時間と時節との対応情報等を参照して、電池容量が最も低下する冬場であると判定した場合、非常灯1の点検を行うよう制御してもよい。
【0056】
更に、制御部50が、照度センサ10からの照度情報に基づき日照時間を計測し、例えば、制御部50のメモリに記憶された日照時間と時節との対応情報等を参照し、参照によって特定された時節に応じて点検時間を調整するようにしてもよい。
【0057】
2次電池20の劣化を正確に点検するためには、2次電池20が一定以上の残量を有する状態、すなわち満充電の状態から点検開始することが望ましい。ここで満充電の状態と判断するには、2次電池20の電圧が閾値に達したか否かを監視する方法が挙げられる。ただし、2次電池20の満充電電圧は周囲温度によって変わるため、必要な充電量に満たない状態で満充電の状態と判定したり、閾値に到達することなく満充電の状態にならない、といった可能性もありえる。従って、別の方法として、電圧変動を監視する方法が挙げられる。定期的に測定される2次電池20の電圧を基準電圧として記録し、現在の2次電池20の電圧と直近の基準電圧の差が一定以下になった時、満充電の状態とみなすという方法である。なお一定時間充電したら満充電の状態とみなしたり、2次電池20の温度を併せて測定し、測定された温度情報を利用したり、それらを複合的に組み合わせて満充電の状態か否かを監視する方法も考えられる。
【0058】
更に、
図1に示されるように、本実施形態に係る非常灯1は、非常灯1の外部から視認可能であり、発光色の異なる2つのモニタLED61,62を備えていてもよい。発光色は特に限定されないが、本実施形態において、モニタLED61の発光色は緑色であり、モニタLED62の発光色は赤色である。
【0059】
特に限定されるものではないが、例えば、モニタLED61の発光パターン(発光、非発光、点滅)によって、2次電池20の残量が示される。モニタLED61が発光する場合、2次電池20が満充電状態であることを示す。また、モニタLED61が発光しない場合(非発光の場合)、2次電池20の残量が所定量以下であることを示す。更に、モニタLED61が点滅する場合、2次電池20の残量が、その間にあることを示す。ただし、前記発光パターンと2次電池20の残量との関係は、一例であって、2次電池20の残量を異なる発光パターンに対応させてもよい。
【0060】
また、モニタLED62の発光パターン(点滅、発光、非発光)によって、点検中か否か、及び点検終了後の電池の劣化の有無が示される。例えば、モニタLED62が点滅する場合、点検中であることを示す。また、モニタLED62が発光する場合、点検終了後の2次電池20が劣化していることを示す。更に、モニタLED62が発光しない場合(非発光の場合)、点検終了後の2次電池20が劣化していない(正常である)ことを示す。ただし、前記発光パターンと2次電池20の状態との関係は、一例であって、2次電池20の状態を異なる発光パターンに対応させてもよい。
【0061】
次に、
図2を参照して、本実施形態に係る非常灯1の点検時の動作を説明する。ここで、
図2の上方側に、第1光源30の動作のチャートが示される。また、
図2において、第1光源30の動作を示すチャートの下方側に、第2光源40の動作が示される。更に、
図2最下部の横軸は、経過時間を示す。
【0062】
図2に示されるように、点検終了タイミングt2は、その次に第1光源30が点灯状態に切り替わる点灯切替タイミングt1(第2点灯切替タイミング)より所定時間前に終了する。その後、例えば、t2からt1の間、外部電源PWからの電力により、2次電池20が充電される。なお、
図2に示される態様では、t2からt1の間の全期間、2次電池20が充電されるが、これに限られない。
【0063】
また、点検終了タイミングt2は、第1光源30の消灯切替タイミングt3以降に設定されることが好ましい。更に、点検開始タイミングt5は、第1光源30の点灯切替タイミングt4(第1点灯切替タイミング)から所定時間経過後に設定されることが好ましい。
【0064】
[非常灯の点検方法]
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る非常灯1の点検方法を説明する。ここで、
図3は、非常灯1の点検方法の一例を示すフローチャートである。まず、非常灯1の制御部50は、点検開始タイミングに至ったか否かを確認する(S31)。点検開始タイミングは、第1光源30の第1点灯切替タイミング(
図2のt4)から所定時間経過後の時点(
図2のt5)に設定されることが好ましい。制御部50は、点検開始タイミングに至ったと判定した場合、2次電池20から電力が供給される第2光源40の点灯状態を所定期間点検する(S32)。
【0065】
続いて、制御部50は、点検終了タイミングに至ったか否かを確認する(S33)。点検終了タイミングは、第1光源30の第2点灯切替タイミング(
図2のt1)から所定時間前の時点(
図2のt2)に設定されることが好ましい。また、点検終了タイミングt2は、第1光源30の消灯切替タイミング(
図2のt3)から所定期間経過後の時点に設定されてもよい。
【0066】
制御部50は、点検終了タイミングに至ったと判定した場合、点検を終了し(S34)、2次電池20を充電するため、外部電源PWから2次電池20に電力を供給するよう制御する。これにより、2次電池20の充電が開始される(S35)。
【0067】
本実施形態に係る非常灯1の点検方法によれば、第1光源30の第1点灯切替タイミングt4から所定時間経過後に点検を開始するよう制御され、更に、第1光源30の消灯切替タイミングt3以降の日照時間帯に点検を終了するよう制御されるため、点検終了後のいずれのタイミングで停電が生じても、2次電池20からの電力によって十分な期間、非常灯1を点灯させることができる。
【0068】
また、本実施形態に係る非常灯1の点検方法によれば、第2点灯切替タイミングt1より所定時間前に点検を終了し、点検終了タイミングt2から第2点灯切替タイミングt1の間の所定期間、2次電池を充電するよう制御するため、点検終了後のいずれのタイミングで停電が生じても、2次電池からの電力によって十分な期間、第2光源40を点灯させることができる。
【0069】
[非常灯の構造]
次に、
図4及び
図5を参照して、本実施形態に係る非常灯1の構造を説明する。ここで、
図4は、本実施形態に係る非常灯1の垂直断面図(側面視分解図)である。更に、
図5は、透光性カバーが取り外された状態の本実施形態に係る非常灯1の底面図である。本実施形態に係る非常灯1は、前述の照度センサ10、2次電池20、第1光源30、第2光源40、制御部50、モニタLED61,62を備えることに加え、更に以下の要素を備える。
【0070】
すなわち、
図4に示されるように、非常灯1は、底方側が開口する樹脂製の筐体基部100と、筐体基部100の開口を覆う透光性カバー200と、筐体基部100を支持する金属アーム300と、制御部50や第2光源40の点灯回路等を構成する各種電子部品を実装した第1回路基板400と、第1光源30の点灯回路等を構成する各種電子部品を実装した第2回路基板500と、第1光源30、第2光源40に係るLED素子を実装したLED基板600等を更に備える。なお、第1回路基板400と第2回路基板500とを別々に設ける態様とは異なり、一体の回路基板を設けるようにしてもよい。
【0071】
ここで、2次電池20は、略箱状に折り曲げられた電池収容部110内に収容される。特に限定されるものではないが、本実施形態における電池収容部110は、金属製である。また、2次電池20は、電池収容部110を介して、筐体基部100における第1回路基板400、第2回路基板500の配設空間と離れて配置される。
【0072】
これにより、例えば、2次電池20の交換の際、近傍に配置される他の部材(第1回路基板400、第2回路基板500、LED基板600など)を触らず、2次電池20を取り出すことができる。また、2次電池20が電池収容部110に収容されることで、第1回路基板400、第2回路基板500から発せられる輻射熱を2次電池20から遮断することができる。その結果、熱による2次電池20の劣化促進が防止される。
【0073】
本実施形態における電池収容部110は、底方側が開口する箱状の本体111と、この開口を塞ぎ、2次電池20を載置する載置蓋112を備える。また、2次電池20を受けるよう、底方側に凹む凹設域113が、載置蓋112に形成される。このように、載置蓋112に凹設域113を設けることで、例えば2次電池20の交換時、本体111から載置蓋112が取り外されることに連動して、凹設域113に支持される2次電池20が取り出される。その結果、2次電池20の交換作業の負担を軽減できる。なお、本実施形態において、本体111は、第1回路基板400や第2回路基板500を支持するプレート部材114に連なるが、これに限られない。
【0074】
また、電池収容部110の本体111は、螺子310等の固定手段を介して、金属アーム300に係合されることが好ましい。このような構成とすることで、電池収容部110を強固に固定できる。これにより、設置前の非常灯1が輸送される際などに振動しても、2次電池20が非常灯1から脱離することを防ぐことができる。更に、金属アーム300においても、筐体基部100との係合箇所が増えるため、金属アーム300を筐体基部10により強固に固定することができる。
【0075】
また、本実施形態における透光性カバー200の先端側(
図4の左側)にフック210が設けられる。更に、筐体基部100の先端側に、透光性カバー200のフック210を挿入可能なフック挿入孔120が設けられる。フック挿入孔120にフック210が挿入されることで、透光性カバー200の先端側が筐体基部100に固定される。これに対して、透光性カバー200の奥側(
図4の右側)は、例えば螺子等の固定手段(図示しない)を介して筐体基部100の奥側に固定される。
【0076】
一方、前記螺子等の固定手段が取り外されることで、透光性カバー200の奥側が、筐体基部100から脱離する。それに伴い、透光性カバー200は、先端側のフック210を支点(軸)に、筐体基部100に対して回動可能な状態で支持される。フック210を支点(軸)に透光性カバー200を回動させることで、筐体基部100の開口が開閉される。更に、
図4に示されるように、点検スイッチ115が、電池収容部110の近傍位置、且つ非常灯1の中央より奥側に配設される。点検スイッチ115がONされることで、非常灯1の点灯確認、点検(劣化診断)の際の2次電池20の強制起動等といった動作が実行される。
【0077】
屋外に設置される非常灯1を点検する場合、点検作業者は、金属アーム300を支持する支柱近くに梯子を置き、梯子に登った状態で非常灯1にアクセスする。本実施形態のように、点検の際に脱離可能な透光性カバー200の固定手段及び点検スイッチ115が、非常灯1の奥側に設けられることで、透光性カバー200を開く作業及び点検スイッチ115を操作する作業を安全且つ容易に行うことができる。
【0078】
次に、
図6に示されるように、第1光源30と外部電源PWとを電気的に接続するための第1コネクタ610a,610bが、LED基板600の後端に設けられる。これに対して、第2光源40と2次電池20とを電気的に接続するための第2コネクタ620a,620bが、LED基板600の前端に設けられる。第1コネクタ610a,610bと第2コネクタ620a,620bとをこのような位置関係で設けることで、同形状のコネクタが利用される場合の端子の差し間違いを防止できる。
【0079】
更に、
図6に示されるように、非常灯1の前方(正面)側から後方(背面)側に至る中心線C1を介して、モニタLED61,62が線対称状に設けられる。モニタLED61,62をこのように配置することで、非常灯1の正面視(又は底面視)において、双方のLEDを一度に視認できる。その結果、非常灯1の点検状態を即時に目視することができる。
【0080】
以上、本発明に係る実施形態を詳細に説明した。ただし、前記の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定する趣旨で記載されたものではない。本発明には、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るものを含み得る。また、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0081】
1…非常灯
10…照度センサ
20…2次電池
30…第1光源
40…第2光源
50…制御部
51…点検手段
52…点検開始手段
53…点検終了手段
54…2次電池充電手段
55…点消灯切替手段
61,62…モニタLED
100…筐体基部
110…電池収容部
111…本体
112…載置蓋
113…凹設域