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特許7519690素材のプレカットデータを生成する方法とプレカット装置と製品の梱包方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】素材のプレカットデータを生成する方法とプレカット装置と製品の梱包方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240712BHJP
   B27M 3/00 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B27M3/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021142888
(22)【出願日】2021-09-02
(65)【公開番号】P2023036094
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】596008231
【氏名又は名称】株式会社トーアエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100102923
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雄二
(72)【発明者】
【氏名】野口 睦
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-312307(JP,A)
【文献】特開2008-310689(JP,A)
【文献】特開2009-116714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B27M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレカットの対象にされている全ての製品のうち、開口部を組み立てるための製品のプレカットデータを、開口部ごとのプレカットデータの一部に別の開口部のプレカットデータを混在させてプレカットデータを生成する方法であって、
一つの指定された開口部について、同一断面寸法の製品を、該当する断面寸法の1本の素材に割り付けて、割り付け後に生じた端材に対して、上記の指定された開口部に割り付け可能な長さの同一断面寸法の製品が存在しないときには、別の開口部を指定して、
上記の端材に対して指定した別の開口部の同一断面寸法の製品のいずれかを、割り付け可能な数だけ割り付けるか、もしくは、その別の開口部に割り付け可能な長さの製品が存在しないときには、さらに別の開口部の同一断面寸法の製品のいずれかを割り付け可能な数だけ割り付けるという操作を繰り返し、
いずれの開口部の製品もその端材に割り付けることができなくなったときはその端材を廃棄して、
上記の一つの指定された開口部について、残りの製品を同一断面寸法の新たな素材に割り付けるという操作を繰り返して、
上記の一つの指定された開口部について全ての製品の割り付けを終了したら、次に指定された一つの開口部について、同一断面寸法の製品を該当する断面寸法の素材に割り付けるという処理を、全ての開口部について実行して、
これらの開口部を組み立てるための、同一断面寸法の全ての製品のプレカットデータを生成する方法。
【請求項2】
一断面寸法の全ての製品の割り付けを終了したら、一つの指定された開口部を組み立てるための別の断面寸法の製品があるときは、その別の断面寸法の製品を該当する断面寸法の素材に割付ける操作を、上記の製品の割り付け手順で実行し、
上記の一つ指定された開口部について全ての断面寸法の製品の割り付けを終了したら、次に指定された一つの開口部について、全ての断面寸法の製品を該当する断面寸法の素材に割り付けるという処理を、全ての開口部について順に実行して、
これらの開口部を組み立てるための、請求項1に記載の製品のプレカットデータを生成する方法。
【請求項3】
プレカットの対象にされている全ての製品のうち、開口部を組み立てるための製品のプレカットデータを、指定された複数の開口部ごとのプレカットデータの一部に別の開口部のプレカットデータを混在させることを特徴とする請求項1に記載のプレカットデータを生成する方法。
【請求項4】
プレカットデータを混在させる別の開口部の数に上限を定めることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプレカットデータを生成する方法。
【請求項5】
プレカットの対象にされている全ての開口部について、梱包順にしたがって一連の順位を付与し、付与された順位で上記の開口部を指定して割り付けをすることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のプレカットデータを生成する方法。
【請求項6】
プレカットデータを混在させる別の開口部の数に上限を定めて、かつ、プレカットの対象にされている全ての開口部について、梱包順にしたがって一連の順位を付与し、付与された順位で上記の開口部を指定して割り付けをすることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載のプレカットデータを生成する方法。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかに記載の方法により生成されたプレカットデータを使用して加工装置を制御する演算処理装置と、
この演算処理装置により制御されて、投入された素材をプレカットする加工装置と、
加工装置によりプレカットされた順に製品を排出する排出装置を備えたことを特徴とするプレカット装置。
【請求項8】
加工装置に素材を送り込むためのローラコンベアに対して、この加工装置でプレカットされる素材を投入する投入コンベアと、
ローラコンベアの長手方向に並ぶように一列に設置され、それぞれ別々の断面寸法の素材をローラコンベアと平行に並べて蓄積する複数の素材置き場と、これらの素材置き場から受け取った素材を、ローラコンベアと平行に走行させて投入コンベアに渡す縦送りコンベアを備えたことを特徴とする請求項7に記載のプレカット装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載のプレカット装置の演算処理装置としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラム。
【請求項10】
請求項7または8に記載のプレカット装置から排出された製品の梱包を、排出された順に実行するとともに、同一の開口部の製品の中に混在している別の開口部の製品を一時保存場所に移動し、かつ、その一時保存場所に保存されている他の開口部の製品に混在させていた同一の開口部の製品があるときはそれを取り込んで、同一の開口部に使用する全ての製品をまとめて梱包することを特徴とする製品の梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部を構成する製品の効率的かつ歩留りの良い、素材のプレカットデータを生成する方法とプレカット装置と製品の梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の窓等の開口部は「間柱」「窓台」「まぐさ」「垂木」「方立」その他、複数の製品で構成されている。従来は、例えば、一棟分の開口部の全ての「間柱」について、同一断面寸法のものを選択して、該当する断面寸法の素材に対して、
歩留りが最大になるように各製品の割り付けを行ってプレカットデータを生成していた。この歩留り最大化のための技術が各種開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許4909869号公報
【文献】特許6704875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プレカットされた製品は、建物の建設工事を効率化するために、工事部位ごとにまとめて梱包されて搬入される。開口部は建物の各階に分散して配置されているから、製品は可能な限り開口部ごとにまとめて梱包されることが望ましい(特許文献2)。同一の開口部に含まれる製品がプレカット装置から排出された製品中に散在すると、それらを集めて梱包する作業に多くの時間を費やす。しかし、開口部単位でプレカットをすると、各開口部に含まれる同一の断面寸法の製品は少数だから、破棄される端材が増えて歩留りが悪くなる。本発明は以上の点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
【0006】
<構成1>
プレカットの対象にされている全ての製品のうち、開口部を組み立てるための製品のプレカットデータを、開口部ごとのプレカットデータの一部に別の開口部のプレカットデータを混在させてプレカットデータを生成する方法であって、
一つの指定された開口部について、同一断面寸法の製品を、該当する断面寸法の1本の素材に割り付けて、割り付け後に生じた端材に対して、上記の指定された開口部に割り付け可能な長さの同一断面寸法の製品が存在しないときには、別の開口部を指定して、
上記の端材に対して指定した別の開口部の同一断面寸法の製品のいずれかを、割り付け可能な数だけ割り付けるか、もしくは、その別の開口部に割り付け可能な長さの製品が存在しないときには、さらに別の開口部の同一断面寸法の製品のいずれかを割り付け可能な数だけ割り付けるという操作を繰り返し、
いずれの開口部の製品もその端材に割り付けることができなくなったときはその端材を廃棄して、
上記の一つの指定された開口部について、残りの製品を同一断面寸法の新たな素材に割り付けるという操作を繰り返して、
上記の一つの指定された開口部について全ての製品の割り付けを終了したら、次に指定された一つの開口部について、同一断面寸法の製品を該当する断面寸法の素材に割り付けるという処理を、全ての開口部について実行して、
これらの開口部を組み立てるための、同一断面寸法の全ての製品のプレカットデータを生成する方法。
【0007】
<構成2>
構成1に記載の同一断面寸法の全ての製品の割り付けを終了したら、一つの指定された開口部を組み立てるための別の断面寸法の製品があるときは、その別の断面寸法の製品を該当する断面寸法の素材に割付ける操作を、上記の製品の割り付け手順で実行し、
上記の一つ指定された開口部について全ての断面寸法の製品の割り付けを終了したら、次に指定された一つの開口部について、全ての断面寸法の製品を該当する断面寸法の素材に割り付けるという処理を、全ての開口部について順に実行して、
これらの開口部を組み立てるための、製品のプレカットデータを生成する構成1に記載の方法。
【0008】
<構成3>
プレカットの対象にされている全ての製品のうち、開口部を組み立てるための製品のプレカットデータを、指定された複数の開口部ごとのプレカットデータの一部に別の開口部のプレカットデータを混在させることを特徴とする構成1に記載のプレカットデータを生成する方法。
【0009】
<構成4>
プレカットデータを混在させる別の開口部の数に上限を定めることを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のプレカットデータを生成する方法。
【0010】
<構成5>
プレカットの対象にされている全ての開口部について、梱包順にしたがって一連の順位を付与し、付与された順位で上記の開口部を指定して割り付けをすることを特徴とする、構成1から3のいずれかに記載のプレカットデータを生成する方法。
【0011】
<構成6>
プレカットデータを混在させる別の開口部の数に上限を定めて、かつ、プレカットの対象にされている全ての開口部について、梱包順にしたがって一連の順位を付与し、付与された順位で上記の開口部を指定して割り付けをすることを特徴とする、構成1から3のいずれかに記載のプレカットデータを生成する方法。
【0012】
<構成7>
構成1から3のいずれかに記載の方法により生成されたプレカットデータを使用して加工装置を制御する演算処理装置と、
この演算処理装置により制御されて、投入された素材をプレカットする加工装置と、
加工装置によりプレカットされた順に製品を排出する排出装置を備えたことを特徴とするプレカット装置。
【0013】
<構成8>
加工装置に素材を送り込むためのローラコンベアに対して、この加工装置でプレカットされる素材を投入する投入コンベアと、
ローラコンベアの長手方向に並ぶように一列に設置され、それぞれ別々の断面寸法の素材をローラコンベアと平行に並べて蓄積する複数の素材置き場と、これらの素材置き場から受け取った素材を、ローラコンベアと平行に走行させて投入コンベアに渡す縦送りコンベアを備えたことを特徴とする構成7に記載のプレカット装置。
<構成9>
構成7または8に記載のプレカット装置の演算処理装置としてコンピュータを機能させるコンピュータプログラム。
【0014】
<構成10>
構成7または8に記載のプレカット装置から排出された製品の梱包を、排出された順に実行するとともに、同一の開口部の製品の中に混在している別の開口部の製品を一時保存場所に移動し、かつ、その一時保存場所に保存されている他の開口部の製品に混在させていた同一の開口部の製品があるときはそれを取り込んで、同一の開口部に使用する全ての製品をまとめて梱包することを特徴とする製品の梱包方法。

【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、各開口部を組み立てるための製品のプレカットデータを開口部ごとにまとめて生成しながら、各開口部のプレカットデータの一部に別の開口部のプレカットデータを混在させるので、全体として廃棄する端材を減少させて、歩留まりの向上を図ることができる。プレカットデータを混在させる別の開口部の数に上限を定めておくと、限定されたスペースの一時保管場所を使って、同一の開口部に使用する全ての製品を順次容易にまとめて梱包することができる。断面寸法が異なる製品も素材の供給を切り替えて連続的にプレカットすれば、プレカット済みの製品を梱包時まで保管しておく仮置き場も不要になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明のプレカット装置の実施例ブロック図である。
図2】プレカット方法の実施例を示すフローチャートである。
図3】具体的な演算経過の説明図である。
図4】演算後のプレカットデータ例説明図である。
図5】本発明による梱包方法の説明図である。
図6】各種のプレカットデータの比較図である。
図7】プレカット装置の素材投入機構の実施例説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1に示すラインには、既知の羽柄材を加工するためのプレカット装置12が据えつけられている。ローラコンベア24に投入されて搬送された素材36が、加工装置16てプレカットされ、加工済みの製品はローラコンベア24上を搬送されてから排出装置20により側方に押しだされる。
【0019】
このプレカット装置12を自動運転するための制御用コンピュータ14の記憶装置には、建物のCADデータ42から生成された、プレカットされる構造材等の製品34の、加工時の位置決めのための始終端情報や、加工と印字のための情報と、開口部を特定する情報とを含む情報が記憶される。これらの情報を含むものがプレカットデータ40である。ここでは、演算処理装置44が、素材からプレカットされる各製品の割り付け方法を定めるためのデータを生成する処理に着目して説明を進める。
【0020】
一般の住宅の一棟分のプレカットされるべき製品中には,開口部に使用されるものが十数組から数十組ほど含まれている。これらのプレカットの対象にされている全ての開口部に、例えば一連番号N1,N2,N3・・・を付与して、プレカットデータを生成する処理の順位を定めておく。
【0021】
そして、プレカット後に、直ちに梱包できるように、各開口部を組み立てるための製品のプレカットデータ40を開口部ごとにまとめて生成する。その結果、同一の開口部の製品は、梱包作業場30にまとめて排出される。ただし、以下の演算処理によって、一部に別の開口部の製品のプレカットデータを混在させることができる。これは、以下のようにして端材の有効利用を図って歩留まりを向上させるためである。
【0022】
なお、このとき、プレカットデータを混在させる別の開口部数の上限を定めておく。例えば、上限の数を4とすれば、続いてプレカットされる4組の開口部のうちのいずれかの製品だけが混在している可能性があるということになる。
【0023】
図1の下部には、梱包作業場30で梱包される製品群の拡大図を示した。断面寸法がXの素材や断面寸法がYの素材をプレカットして得られた開口部N1と開口部N2と開口部N3の製品群が図示されている。プレカットが開始されると、開口部N1の一点鎖線で囲まれた製品が連続して排出され、順次そのまま梱包作業が出来る。
【0024】
このとき、例えば、開口部N1の割り付けで生じた端材38(ハッチングを示し矢印を付けた部分)に開口部N3の製品が混在している。開口部N1の製品の梱包時には、これが一時保存場所32に一時保存されて、開口部N3の製品の梱包時に取り出される。
【0025】
以下の説明で、このようなプレカットを行うためのプレカットデータを生成する方法と、そのプレカットデータを使用してプレカットをし、得られた製品を梱包をするまでの具体的な手順を説明する。なお、図1の実施例では、プレカット装置12に搭載された演算処理装置44が以下のプレカットデータを生成する例を示したが、プレカットデータはネットワークに接続されたサーバ等で生成されても構わない。
【実施例2】
【0026】
図2は、本発明のプレカットデータを生成するための演算処理装置44のコンピュータプログラム動作例を示すフローチャートである。そして、このフローチャートに従って、プレカットデータを生成する過程の一例を図3に示した。この両方の図面を参照しながら具体例を説明する。
【0027】
まず、プレカットデータを生成する全ての開口部に一連番号(N1,N2,N3・・・)を付与しておく。ここで、端材の利用をして、ある開口部の製品群に別の開口部の製品を混在させる上限を設定する(ステップS11)。図3の例ではこの上限を4に設定した。
【0028】
即ち、開口部N1のプレカット後に梱包作業場30に配列される製品群には、開口部N2~N5の製品が混在していても良く、それ以外の製品は混在させないという制限を設ける。続いて、処理対象を開口部N1に指定して処理を開始する(ステップS12)。
【0029】
ステップS13では、開口部N1に使用される所定の断面寸法、例えば断面寸法Xの製品を割り付けるために、該当する断面寸法Xの素材を1本指定する。そして、ステップS14で開口部N1に使用される製品を一つ取り出して、その素材に割り付ける。素材に製品を割り付けた後に残った部分を端材と呼ぶことにする。図3の最上部の図のとおりである。
【0030】
この端材にさらに開口部N1に使用される別の製品を割り付けることができればステップS14と15の処理を繰り返す。図3の例では、開口部N1に使用される製品n1-1とn1-2とを割り付けることができた。
【0031】
そして、ここで生じたその端材に開口部N1に使用されるどの製品も割り付けることができない場合はステップS15からステップS16に移行する。ステップS16は、製品を混在させる上限の範囲で、別の開口部の製品を端材に割り付ける処理を繰り返し実行させるための判定処理である。
【0032】
ステップS17では、例えば、開口部N1の次の開口部N2を指定する。そして、ステップS18で、開口部N2に使用される製品を一つ取り出して、この端材に開口部N2に使用されるいずれかの製品を割り付けることができればステップS18と19の処理を繰り返す。
【0033】
図3の例では開口部N2に使用される製品でその端材に割り付けられるものが無かった。次にステップS17で、開口部N2の次の開口部N3を指定する。ここで、図3に示すように、開口部N3に使用される製品n3-1を割り付けることができた。
【0034】
さらにこの端材に割り付けられる製品を探してステップS16からステップS19を繰り返す。しかし開口部N5まで探しても端材に割り付けられる製品が無いので、ステップS16からステップS20に移行して、1本目の素材への割り付けを完了する。そのとき生じた端材は図3に示すように廃棄にする。
【0035】
ステップS21では開口部N1の製品を全部割り付けたかどうかという判断をする。まだ製品が残っていればステップS13に戻り、新たな該当する断面寸法の素材を1本指定して、ステップS14~20の処理を繰り返す。
【0036】
図3の例では、2本目に製品n1-3とn1-4とを割り付け、そのとき生じた端材は廃棄にした。これで、2本目の素材への割り付けを完了する。この処理を繰り返して開口部N1の製品の割り付けを終了する。
【0037】
開口部N1の製品を全部割り付けた後は図2のステップS21からステップS22に移行して、別の断面寸法の製品について処理を繰り返す。即ち、開口部の製品が2種類あるいは3種類以上の断面寸法の素材をプレカットするものであるときは、図1に示した素材置き場22と縦送りコンベア26とを制御して、素材の供給を切り替えるように制御するデータを生成する。
【0038】
必要な素材が2種類だけであれば、素材置き場22から縦送りコンベア26に送り出す素材を、はじめは図の左側から供給する制御とし、その断面寸法の製品のプレカットデータの生成が終了したら図の左側から素材を供給する制御にする。
【0039】
ステップS23では、全ての開口部についてプレカットデータを生成したかどうかを判断する。まだ終わっていないときはステップS12に戻って、一連の順位(N1,N2・・・)に従って順に一つの開口部を指定して、同一断面寸法の製品全てを該当する断面寸法の素材に割り付ける。
【0040】
こうして生成したプレカットデータでは、開口部N1の製品の割り付け結果に、開口部N2,N3,N4,N5の混在を許容している。また、図3に示すように、開口部N2の製品の割り付け結果に、開口部N3,N4,N5,N6の混在を許容している。開口部N3の製品の割り付け結果に、開口部N4,N5,N6,N7の混在を許容している。
【0041】
図4には上記の具体例により得られたプレカットデータの一部を整理して図示した。開口部N1、N2、N3の全ての製品の割り付け結果の具体例である。断面寸法Xについてのみ図示したが、別の断面寸法の製品についても、同様の処理によって、プレカットデータを生成することができる。
【実施例3】
【0042】
(梱包方法)
上記の処理をして生成したプレカットデータ40を使用して、図1に示した加工装置16を制御する。素材置き場22から縦送りコンベア26に該当する断面寸法の素材を移して、加工装置16の上流側のローラコンベア24に搬送する。
【0043】
この図の例では、2種類の断面寸法の素材が素材置き場22に別々に長手方向に並べて積まれており、制御用コンピュータ14により指定された素材が縦送りコンベア26に取り出される。その後その素材が投入位置に送られて、ローラコンベア24に渡される。
【0044】
加工装置16は、制御用コンピュータ14の指示に従ってプレカットをし、該当する開口部の製品を連続して排出する。プレカットされた製品には、印字装置18により開口部を識別する情報(マーク)が印字される。梱包作業の際に、混在した製品を見分けるためである。
【0045】
同一の開口部の製品で、異なる断面寸法の製品も、上記の要領で、素材置き場22から投入する素材の種類を切り替える。プレカット装置からは、同一開口部の製品であって、断面寸法Xの製品群に続いて、断面寸法Yの製品群が連続して排出される。
【0046】
ローラコンベア24から排出された製品は、プレカットされた順番にすぐに梱包を開始できる。
【0047】
図4に示したプレカットデータによりプレカットされた製品は、図5に示すように別の開口部の製品が混在している。ここで、開口部N1の製品群の梱包中に、別の開口部の製品が排出されてきたときには、それを一時保存場所32に移動する。
【0048】
図5の例では、開口部N1の製品群に開口部N3の製品n3-1と開口部N4の製品n4-1とが混在している。開口部N3と開口部N4の製品を一時保存場所32に移動する。図示していないが、断面寸法Yの製品群についても同様の操作をする。これで、開口部N1の製品群について、断面寸法XとYのものの梱包が完了する。
【0049】
次に、開口部N2の梱包を始める。図5に示すように、開口部N2の断面寸法Xの製品群には、開口部N5の製品n5-1と開口部N4の製品n4-2とが混在している。これらを一時保存場所32に移動する。断面寸法Yの製品群についても同様の操作をする。
【0050】
開口部N2の製品が、一時保存場所32に無いときは、これで開口部N2の製品群について、梱包準備が完了する。
【0051】
次に、開口部N3の梱包準備に進む。図5に示すように、開口部N3の製品群には、開口部N5の製品n5-2と開口部N6の製品n6-1とが混在している。これらを一時保存場所32に移動する。一方、一時保存場所32に保存されている、開口部N1の製品に混在させていた製品n3-1があるので、これを取り込む。こうして、開口部N3に使用する断面寸法Xの全ての製品をまとめることができる。断面寸法Yの製品群についても同様の操作をする。
【0052】
開口部N4についても、一時保存場所32に保存されている、開口部N1の製品に混在させていた製品n4-1と、開口部N2の製品に混在させていた製品n4-2を取り込む。以下、上記の操作を繰り返す。
【0053】
上記の梱包作業では、プレカットされた順を守る限り、後続する開口部の製品のプレカットを待たずに梱包作業を進めることができる。しかも、順位が先の別の開口部の製品に混在させていた製品は、必ず全て一時保存場所32に移動させてあるはずだから、不足を生じることはない。
【0054】
また、製品を混在させることができる範囲を制限しているので、一時保存場所32に移動された製品は、順次早期に後続する開口部の梱包作業て取り込まれるから、一時保存場所32をむやみに広く確保する必要がない。狭いスペースを有効に活用することができる。
【0055】
通常、開口部に含まれる製品の断面寸法は2種類か3種類程度のことが多い。従って、この程度の量の製品群からそれぞれまとまった製品群を取り出して、開口部ごとに製品をまとめて梱包する作業は、十分に短時間に行える。
【実施例4】
【0056】
図6を参照して、具体的なプレカットデータ例の比較説明をする。なお、図6は、開口部の番号と製品の断面寸法のみを列挙したものである。「開口部N1の断面寸法A」というのは、開口部N1の断面寸法Aの製品全てのプレカットデータのことを表している。
【0057】
まず、図3~5で説明した処理によって、図6(a)に示すようなプレカットデータが得られる。これで、プレカットを必要とするすべての開口部の製品を、別の開口部の製品を一部混在させた状態で、断面寸法Aの1種類の素材に割りつけることができる。同じことを繰り返せば、任意の断面寸法の製品についても実行できる。
【0058】
図2に示したフローチャートにおいて、ステップS22を除外すると、上記の図6(a)の処理になる。一方、このステップS22を実行すると、図6(b)に示すように、各開口部に含まれる全ての断面寸法の製品を該当する素材に割りつけてから、別の開口部の製品の割り付けに移る。
【0059】
従って、図6(b)では、「開口部N1の断面寸法A」の次に「開口部N1の断面寸法B」のプレカットデータが続く。この割付け順(N1、N2・・)にプレカットをするから、プレカット装置から各開口部ごとに全ての製品が順番に排出される。これで、混在している別の開口部の製品を一時保管場所32に退避させながら順番に梱包作業を行うことができる。
【0060】
このほかに図6(c)に示すような方法も可能である。即ち、図6(c)では、図6(a)のように同一断面寸法のプレカットデータを連続して生成する。このとき、連続して生成する開口部群の数を、仮置き場の広さを考慮して設定する。例えば、開口部群の数を5にしたときは、図6(c)に示すような、開口部N1~N5までのプレカットデータで一区切りにする。次の区切りは開口部群N6~N10である。この開口部群の数は、図2のステップS11で指定した開口部上限の数値にしておく。
【0061】
このデータを使用してプレカットを行うと、まず、開口部N1~N5の断面寸法Aの製品が仮置き場に排出される。この過程で、各開口部の製品に混在した別の開口部の製品を少しずつ移動させておく。次に開口部N1の断面寸法Bの製品が排出されるときに開口部N1の梱包を始める。混在した断面寸法Bの別の開口部の製品を一時保管場所32に退避させ、開口部N1の梱包が終わると、続いて開口部N2の製品の梱包を開始する。
【0062】
梱包が進めば仮置き場に空きができるから、次の開口部群を仮置き場に排出できる。このように限定をした製品群ごとに素材の断面寸法を切替えても、広い仮置き場や一時保管場所は不要で、混在した別の開口部の製品の処理も容易になる。
【0063】
図7を用いて、断面寸法の相違する素材をタイミング良く加工装置に投入する機構の具体例を説明する。図7において、加工装置16に素材36を送り込むローラコンベア24に接するように投入コンベア28が配置されている。さらにその側方に、それぞれ異なる断面寸法の素材36a,36b,36cを、ローラコンベア24と平行に並べて配置した素材置き場が設けられている。プレカットされる素材が指定されると、該当する素材置き場から、素材が縦送りコンベア26に送り出される。縦送りコンベア26は、受け取った素材をローラコンベア24と平行に走行させて投入コンベア28に渡す機能を持つ。このような機構によって、加工装置16に対して、数種類の断面寸法の素材をじゆヴに入れ換えて投入することができる。
【符号の説明】
【0064】
12 プレカット装置
14 制御用コンピュータ
16 加工装置
18 印字装置
20 排出装置
22 素材置き場
24 ローラコンベア
26 縦送りコンベア
28 投入コンベア
30 梱包作業場
32 一時保存場所
34 製品
36 素材
38 端材
40 プレカットデータ
42 CADデータ
44 演算処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7