(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】複素環化合物及びそれを含む有機電界発光素子
(51)【国際特許分類】
C07D 263/64 20060101AFI20240712BHJP
C07D 277/66 20060101ALI20240712BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20240712BHJP
C07D 417/14 20060101ALI20240712BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240712BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20240712BHJP
【FI】
C07D263/64 CSP
C07D277/66
C07D413/14
C07D417/14
H05B33/14 A
H05B33/22 B
(21)【出願番号】P 2021206236
(22)【出願日】2021-12-20
【審査請求日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】202011535037.6
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520150360
【氏名又は名称】長春海譜潤斯科技股フン有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉輝
(72)【発明者】
【氏名】魯秋
(72)【発明者】
【氏名】孫月
(72)【発明者】
【氏名】孫敬
【審査官】谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109879812(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106753340(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0027695(US,A1)
【文献】特許第7262138(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0318510(US,A1)
【文献】特表2017-524699(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111943902(CN,A)
【文献】国際公開第2011/046182(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/114478(WO,A1)
【文献】特開2022-087059(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 263/64
H10K 50/16
H10K 50/10
C07D 413/14
C07D 277/66
C07D 417/14
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iに示される構造を有する、ことを特徴とする複素環化合物。
【化1】
(式Iに示される構造において、Ar
1は式IIに示される構造から選ばれ、式IIの
構造は、下記の基から選ばれるいずれか一種であり、
【化2】
「*」はL
1との縮合部位を表し、
Ar
2、Ar
3は互いに同一又は異なり、独立して式III-1から選ばれ、
【化3】
「*」はL
2又はL
3との結合部位を表し、
X
1は、独立してO、Sから選ばれるいずれか一種であり、
R
4は、水素、重水素から選ばれるいずれか一種であり、
m
2は0~4の整数から選ばれ、m
2が1を超えると、2つ又は複数のR
4は互いに同
一又は異なり、
前記L
1は、単結合又は下記の基から選ばれるいずれか一種であり、
【化4】
n
1は1~4の整数から選ばれ、
前記L
2、L
3は互いに同一又は異なり、独立して単結合又は下記の基から選ばれるい
ずれか一種であり、
【化5】
n
1は1~4の整数から選ばれる。)
【請求項2】
前記式III-1の構造は以下の基から選ばれるいずれか一種である、ことを特徴とす
る請求項1に記載の複素環化合物。
【化6】
【請求項3】
前記式Iの化合物は下記に示す構造から選ばれるいずれか一種である、ことを特徴とす
る請求項1に記載の複素環化合物。
【化7】
【請求項4】
陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に位置する有機層とを含む有機電界発光素子であって
、
前記有機層は請求項1に記載の式Iに示される複素環化合物を含む、ことを特徴とする
有機電界発光素子。
【請求項5】
前記有機層は正孔ブロッキング層と電子輸送層とを含み、前記電子輸送層又は正孔ブロ
ッキング層は請求項1に記載の式Iに示される複素環化合物を含む、ことを特徴とする請
求項4に記載の有機電界発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機電界発光の技術分野に関し、具体的には、複素環化合物及びそれを含む有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電界発光装置(EL装置)は自発光装置であり、より広い視野角、より大きなコントラスト比及びより速い応答時間を提供するという利点を有し、非常に高い研究開発価値と幅広い適用見通しを持っている。
【0003】
有機EL装置(OLED)は、有機発光材料に電力を印加することにより電気エネルギーを光に変換し、且つ通常、陽極、陰極及びこれら2つの電極の間に形成された有機層を含む。OLEDの有機層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、発光層(ホスト材料とドーパント材料を含む)、電子緩衝層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などを含んでもよい。有機層に使用される材料は、その機能によって、正孔注入材料、正孔輸送材料、電子ブロッキング材料、発光材料、電子緩衝材料、正孔ブロッキング材料、電子輸送材料、電子注入材料などに分けられる。OLEDでは、電圧を印加することで陽極からの正孔と陰極からの電子を発光層に注入し、且つ正孔と電子の再結合により高エネルギーを有する励起子が発生する。有機発光化合物は、エネルギーで励起状態に移行して有機発光化合物が励起状態から基底状態に戻るときのエネルギーにより光を発する。
【0004】
有機電界発光素子は、主にパネル及び照明の分野で適用されており、これらはいずれも素子が、発光効率が高く、駆動電圧が低く、使用寿命が長いなどの特性を満たすことを要求している。したがって、OLED研究の主な内容は、素子の効率の向上、駆動電圧の低減、使用寿命の延長などであり、一方では、素子の製造プロセスを最適化し、複数種の機能補助層を追加し、より多くのドーピング方法を使用することにより、素子の効率を向上させ、他方では、性能に優れた有機電界発光材料を探し、材料性能の良否が素子の効率、寿命及び安定性に直接影響する。
【0005】
OLED素子の発光効率を向上させる方法の1つは、発光層内に電子と正孔の再結合確率を向上させることにある。正孔輸送材料の正孔移動度は、電子輸送材料の電子移動度より2桁高いため、正孔と電子の輸送は効果的なバランスに達することができない。一部の正孔は発光層を通過し、発光層と電子輸送層の界面又は電子輸送層で電子と再結合する傾向があり、これは素子の効率が顕著に低下することを引き起こす。電子と正孔を発光層でよく再結合させて励起子を形成して発光させるために、発光層内で正孔をブロッキングする正孔ブロッキング能力を有する材料を導入することが多く、正孔をブロッキングするためによく使用される材料は、BCPから選択可能であり、BCPの仕事関数は6.7eVに達することができ、同時に大きい正孔ブロッキング能力を有するが、そのガラス転移温度(Tg)は83℃と低く、フィルムの安定性が悪く、素子の効率及び寿命が低下することを引き起こすため、電子と正孔を発光層領域内に効果的に制御するとともに高いガラス転移温度を有し、素子の発光効率及び素子の使用寿命を効果的に改善させる材料を開発することが急務である。
【発明の概要】
【0006】
現階段での正孔輸送材料の正孔移動度が電子輸送材料の電子移動度よりも高いため、一部の正孔が発光層を通過して電子と再結合する傾向があり、素子の効率の低下及び使用寿命の短縮を引き起こすという問題を解決するために、本発明は、複素環化合物及びそれを含む有機電界発光素子を提供しており、該複素環化合物を有機電界発光素子の正孔ブロッキング層に適用することで、発光層内で正孔を効果的にブロッキングし、発光層での電子と正孔の再結合確率を向上させることにより、有機電界発光素子の発光効率を向上させ、素子の使用寿命を延長することができる。
【0007】
本発明は、式Iに示される構造を有する複素環化合物を提供する。
【化11】
(式Iに示される構造において、Ar
1は式IIに示される構造から選ばれ、Ar
2、Ar
3は互いに同一又は異なり、独立して式IIIに示される構造から選ばれ、
L
1~L
3は互いに同一又は異なり、独立して単結合、置換又は未置換のC6~C30のアリーレン基、置換又は未置換のC3~C30のヘテロアリーレン基から選ばれるいずれか一種である。
【化12】
(「*」はL
1とAr
1の結合部位であり、L
2とAr
2の結合部位は式IIIに示される構造上の任意位置であり、L
3とAr
3の結合部位は式IIIに示される構造上の任意位置であり、
式IIに示される構造において、R
1、R
2は互いに同一又は異なり、独立して水素、C1~C12のアルキル基、置換又は未置換のフェニル基から選ばれるいずれか一種であるか、或いはR
1、R
2を接続して置換又は未置換の環を形成し、前記「置換」とは、重水素、メチル基、エチル基、t-ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基のいずれか1つで単一又は複数置換されるか、或いはR
1、R
2を接続して環を形成することを指し、
R
3は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、アダマンチル基、ノルボルナン基、置換又は未置換のC1~C12のアルキル基、置換又は未置換のC2~C12のアルケニル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基から選ばれるいずれか一種であり、
m
1は0~4の整数から選ばれ、m
1が1を超えると、2つ又は複数のR
3は互いに同一又は異なるか、或いは2つの隣接するR
3を接続して環を形成し、
式IIIに示される構造において、X
1は独立してO、S、N-Ar
5から選ばれるいずれか一種であり、
R
4は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、置換又は未置換のC1~C12のアルキル基、置換又は未置換のC2~C12のアルケニル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基から選ばれるいずれか一種であり、
m
2は0~4の整数から選ばれ、m
2が1を超えると、2つ又は複数のR
4は互いに同一又は異なるか、或いは隣接する2つのR
4を接続して環を形成し、
Ar
4、Ar
5は、独立して水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換又は未置換のC1~C12のアルキル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基、置換又は未置換のC3~C30のへテロアリール基から選ばれるいずれか一種である。))
【0008】
本発明は、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に位置する有機層とを含む有機電界発光素子をさらに提供しており、前記有機層は前記複素環化合物を含む。
【0009】
有益な効果
本発明に係る複素環化合物は剛性構造を有することにより、構造が高いガラス転移温度を有し、同時に、本発明に係る複素環化合物が分子非対称性を有することにより、分子の凝集形態を変更可能であり、分子の結晶化を効果的に防止し、化合物の成膜性及び熱安定性を向上させ、有機電界発光素子の使用寿命を効果的に延長することができる。
【0010】
また一方で、本発明に係る複素環化合物は高い電子移動度を有し、正孔と電子の輸送のバランスを効果的に向上させることができ、これにより有機電界発光素子の駆動電圧を低減し、素子の発光効率を向上させることができ、同時に、本発明の複素環化合物は深いHOMO準位を有し、発光層から電子輸送層への正孔の拡散をブロッキングし、発光層内で正孔を効果的に制限し、発光層での正孔と電子の再結合確率を向上させ、有機電界発光素子の発光効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図4】本発明の化合物10の
1H NMR図である。
【
図5】本発明の化合物82の
1H NMR図である。
【
図6】本発明の化合物292の
1H NMR図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例の技術案を参照しながら明確且つ完全に説明し、説明される実施例は本発明の一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わない前提で得られたすべての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属している。
【0013】
定義について
本明細書では、「*」は他の置換基と接続する部分を指す。
【0014】
本発明に係るハロゲンの実例は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を含んでもよい。
【0015】
本発明に係るアルキル基は直鎖状又は分岐鎖状のものであってもよく、且つその炭素原子の数は特に限定されず、好ましくは1~12個の炭素原子を有し、より好ましくは1~8個の炭素原子を有し、特に好ましくは1~6個の炭素原子を有し、具体的な実例は、メチル基、エチル基、n-プロピル、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、s-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、1-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、ヘプチル基を含んでもよいがこれらに限定されない。
【0016】
本発明に係るアルケニル基は直鎖状又は分岐鎖状のものであってもよく、且つその炭素原子の数は特に限定されず、好ましくは2~12個の炭素原子を有し、より好ましくは2~8個の炭素原子を有し、特に好ましくは2~6個の炭素原子を有し、具体的な実例は、ビニル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、3-ブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、アリル基、1,3-ブタジエン基、1-フェニルビニル-1-イル、ジスチレン基、スチレン基を含んでもよいがこれらに限定されない。
【0017】
本発明に係るアリール基は単環式アリール基、多環式アリール基又は縮合環式アリール基であってもよく、且つ炭素原子の数は特に限定されず、好ましくは6~30個の炭素原子を有し、より好ましくは6~18個の炭素原子を有し、特に好ましくは6~14個の炭素原子を有し、最も好ましくは6~12個炭素原子を有し、具体的な実例は、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、トリフェニレン基、ピレン基、フルオレン基、ペリレン基、フルオランテン基を含んでもよいがこれらに限定されない。
【0018】
本発明に係るへテロアリール基は、ヘテロ原子としてN、O、P、S、Si及びSeの1個又は複数個を含んでもよく、単環式へテロアリール基、多環式へテロアリール基又は縮合環式へテロアリール基であってもよく、且つ炭素原子数は特に限定されず、好ましくは2~30個の炭素原子を有し、より好ましくは2~20個の炭素原子を有し、特に好ましくは3~12個の炭素原子を有し、最も好ましくは3~8個の炭素原子を有し、実例は、チオフェン基、ピロール基、フラン基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、チアジアゾール基、トリアゾール基、ピリジン基、ビピリジン基、ピラジン基、ピリダジン基、ピリミジン基、トリアジン基、キノリン基、イソキノリン基、キノキサリン基、キナゾリン基、フェノチアジン基、フェノキサジン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチオフェン基、ベンゾフラン基、ベンゾチアゾール基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基などを含んでもよいがこれらに限定されない。
【0019】
本発明に係るアリーレン基は単環式アリーレン基、多環式アリーレン基又は縮合環式アリーレン基であってもよく、且つ炭素原子の数は特に限定されず、好ましくは6~30個の炭素原子を有し、より好ましくは6~18個の炭素原子を有し、特に好ましくは6~14個の炭素原子を有し、最も好ましくは6~12個の炭素原子を有し、具体的な実例は、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラセニレン基、フェナントレン基、二価トリフェニレン基、ピレニレン基、フルオレニリレン基、ペリレニレン基、フルオランテニレン基を含んでもよいがこれらに限定されない。
【0020】
本発明に係るヘテロアリーレン基は、ヘテロ原子としてN、O、P、S、Si及びSeの1個又は複数個を含んでもよく、単環式ヘテロアリーレン基、多環式ヘテロアリーレン基又は縮合環式ヘテロアリーレン基であってもよく、且つ炭素原子数は特に限定されず、好ましくは2~30個の炭素原子を有し、より好ましくは2~20個の炭素原子を有し、特に好ましくは3~12個の炭素原子を有し、最も好ましくは3~8個の炭素原子を有し、実例は、チエニレン基、ピロリレン基、フラニレン基、イミダゾリレン基、チアゾリレン基、オキサゾリニレン基、オキサジアゾリレン基、チアジアゾリレン基、トリアゾリニレン基、ピリジレン基、ビピリジレン基、ピラジニレン基、ピリダジニレン基、ピリミジニレン基、トリアジニレン基、キノリニレン基、イソキノリニレン基、キノキサリニレン基、キナゾリニレン基、フェノチアジニレン基、フェノキサジニル基、インドリレン基、カルバゾリレン基、ベンゾオキサゾリニレン基、ベンゾチエニレン基、ベンゾイミダゾリレン基、ベンゾチエニレン基、ベンゾフラニレン基、ベンゾチアゾリレン基、ジベンゾフラニレン基、ジベンゾチエニレン基を含んでもよいがこれらに限定されない。
【0021】
他に提供された定義がない場合、「置換された」とは、化合物の少なくとも1つの水素が、重水素、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、C1~C30のアルキル基、C6~C30のアリール基、C6~C30のアリール基アミン基、C2~C30のへテロアリール基又はそれらの組合せで置換され、好ましくは、重水素、ハロゲン原子、シアノ基、C1~C12のアルキル基、C6~C30のアリール基、C2~C30のへテロアリール基で置換されたことを指す。具体的な実例は、重水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、シアノ基、メチル基、エチル基、i-プロピル基、t-ブチル基、フェニル基、ナフチル基、アントラセン基、フェナントレン基、ピレン基、1,2‐ベンゾフェナントレン基、ペリレン基、フルオランテン基、ベンジル基、9,9-ジメチルフルオレン基、9,9-ジフェニルフルオレン基、9,9-スピロビフルオレン基、ジメチルアミン基、ジフェニルアミン基、カルバゾール基、9-フェニルカルバゾール基、ピロール基、フラン基、チオフェン基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾフラン基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾフラン基、ジベンゾチオフェン基、フェノチアジン基、フェノキサジン基、アクリジン基、ビフェニル基、ターフェニル基を含んでもよいがこれらに限定されない。
【0022】
本発明に係る「0~Mの整数から選ばれる」とは、前記値が0~Mの整数から選ばれるいずれか1つであることを指す、0、1、2…M-2、M-1、Mを含む。例えば、「m1は0~4の整数から選ばれる」とは、m1が0、1、2、3、4から選ばれることを指し、「m2は0~4の整数から選ばれる」とは、m2が0、1、2、3、4から選ばれることを指し、「m3は0~4の整数から選ばれる」とは、m3が0、1、2、3、4から選ばれることを指す。
【0023】
本発明に係る「接続して環を形成する」とは、2つの基を化学結合で互いに接続して任意に芳香族化することを指す。以下のように例示される。
【化13】
【0024】
本発明において、接続して形成された環は、5員環又は6員環又は縮合環、例えば、フェニル基、ナフチル基、シクロペンテン基、シクロペンタン基、シクロヘキサンフェニル基、キノリン基、イソキノリン基、ジベンゾチオフェン基、フェナントレン基又はピレン基であってもよいがこれらに限定されない。
【0025】
本発明は、式Iに示される構造を有する複素環化合物を提供する。
【化14】
(式Iに示される構造において、Ar
1は式IIに示される構造から選ばれ、Ar
2、Ar
3は互いに同一又は異なり、独立して式IIIに示される構造から選ばれ、
L
1~L
3は互いに同一又は異なり、独立して単結合、置換又は未置換のC6~C30のアリーレン基、置換又は未置換のC3~C30のヘテロアリーレン基から選ばれるいずれか一種である。
【化15】
(「*」はL
1とAr
1の結合部位であり、L
2とAr
2の結合部位は式IIIに示される構造上の任意位置であり、L
3とAr
3の結合部位は式IIIに示される構造上の任意位置であり、
式IIに示される構造において、R
1、R
2は互いに同一又は異なり、独立して水素、C1~C12のアルキル基、置換又は未置換のフェニル基から選ばれるいずれか一種であるか、或いはR
1、R
2を接続して置換又は未置換の環を形成し、前記「置換」とは、重水素、メチル基、エチル基、t-ブチル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基のいずれか1つで単一又は複数置換されるか、或いはR
1、R
2を接続して環を形成することを指し、
R
3は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基、アダマンチル基、ノルボルナン基、置換又は未置換のC1~C12のアルキル基、置換又は未置換のC2~C12のアルケニル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基から選ばれるいずれか一種であり、
m
1は0~4の整数から選ばれ、m
1が1を超えると、2つ又は複数のR
3は互いに同一又は異なるか、或いは2つの隣接するR
3を接続して環を形成し、
式IIIに示される構造において、X
1は独立してO、S、N-Ar
5から選ばれるいずれか一種であり、
R
4は、水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、ヒドロキシ基、置換又は未置換のC1~C12のアルキル基、置換又は未置換のC2~C12のアルケニル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基から選ばれるいずれか一種であり、
m
2は0~4の整数から選ばれ、m
2が1を超えると、2つ又は複数のR
4は互いに同一又は異なるか、或いは隣接する2つのR
4を接続して環を形成し、
Ar
4、Ar
5は、独立して水素、重水素、ハロゲン、シアノ基、置換又は未置換のC1~C12のアルキル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基、置換又は未置換のC3~C30のへテロアリール基から選ばれるいずれか一種である。))好ましくは、前記式IIの構造は、式II-1~式II-4に示される構造から選ばれるいずれか一種である。
【化16】
(「*」はL
1との結合部位を表し、
R
5、R
6は互いに同一又は異なり、独立して水素、メチル基、エチル基、フェニル基から選ばれるいずれか一種であり、
R
7は、水素、重水素、シアノ基、アダマンチル基、ノルボルナン基、置換又は未置換のC1~C6のアルキル基、置換又は未置換のC6~C18のアリール基から選ばれるいずれか一種であり、
m
3は0~4の整数から選ばれ、m
3が1を超えると、2つ又は複数のR
7は互いに同一又は異なり、
環Eは下記に示す構造から選ばれるいずれか一種である。
【化17】
(「*」は縮合部位を表し、
X
2はC-R
8R
9、N-R
10、O、Sから選ばれるいずれか一種であり、
R
8、R
9は互いに同一又は異なり、独立して水素、置換又は未置換のC1~C12のアルキル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基から選ばれるいずれか一種であり、
R
10は、置換又は未置換のC1~C12のアルキル基、置換又は未置換のC6~C30のアリール基、置換又は未置換のC3~C30のへテロアリール基から選ばれるいずれか一種である。))
【0026】
さらに好ましくは、前記式IIの構造は下記に示す基から選ばれるいずれか一種である。
【化18】
【0027】
さらに好ましくは、前記式IIの構造は下記に示す基から選ばれるいずれか一種である。
【化19】
【0028】
より好ましくは、前記式IIの構造は下記に示す基から選ばれるいずれか一種である。
【化20】
【0029】
好ましくは、前記式IIIの構造は式III-1又は式III-2から選ばれるいずれか一種であり、
【化21】
(「*」はL
2又はL
3との結合部位を表し、
環Aは、水素、置換又は未置換のC6~C10のアリール基から選ばれるいずれか一種である。)
【0030】
さらに好ましくは、前記式IIIの構造は下記に示す基から選ばれるいずれか一種である。
【化22】
【0031】
さらに好ましくは、前記X1はO又はSから選ばれる。
【0032】
より好ましくは、前記式IIIの構造は下記に示す基から選ばれるいずれか一種である。
【化23】
【0033】
さらに好ましくは、前記X1はOから選ばれる。
【0034】
より好ましくは、前記式IIIの構造は下記に示す基から選ばれるいずれか一種である。
【化24】
【0035】
好ましくは、前記L
1は独立して単結合又は下記の基から選ばれるいずれか一種である。
【化25】
(n
1は1~4の整数から選ばれる。)
【0036】
好ましくは、前記L
2、L
3は互いに同一又は異なり、独立して単結合又は下記の基から選ばれるいずれか一種である。
【化26】
(n
1は1~4の整数から選ばれる。)
【0037】
さらに好ましくは、前記L2とL3は互いに同一である。
【0038】
さらに好ましくは、前記Ar2とAr3は互いに同一である。
【0039】
最も好ましくは、前記式Iの化合物は下記に示す構造から選ばれるいずれか一種である。
【化27】
【0040】
本発明をより詳細に説明するために、本発明は式Iの化合物の合成経路をさらに提供するが、本発明はこれらに限定されない。
【0041】
1、中間体dの合成
L
1が単結合でない場合
【化28】
L
1が単結合である場合
【化29】
【0042】
【0043】
3、本発明の化合物の合成
L
1が単結合でない場合
【化31】
L
1が単結合である場合
【化32】
Ar
1~Ar
3、L
1~L
3の限定は上記限定と同じであり、Xa、Xbは独立してCl、Br、Iから選ばれるいずれか一種である。
【0044】
本発明は、陽極と、陰極と、陽極と陰極の間に位置する有機層とを含む有機電界発光素子をさらに提供しており、前記有機層は本発明に係る複素環化合物を含む。
【0045】
本発明に係る有機電界発光素子は本分野で知られている材料及び方法を用いて製造可能であり、異なるのは、有機電界発光素子における1つ以上の有機層が、本発明に係る複素環化合物を含んでもよいことにある。
【0046】
好ましくは、前記有機層は正孔ブロッキング層と電子輸送層とを含み、前記電子輸送層又は正孔ブロッキング層は本発明に係る複素環化合物を含む。
【0047】
好ましくは、前記正孔ブロッキング層は本発明に係る複素環化合物を含む。
【0048】
本発明の有機電界発光素子の有機層は、単層構造で形成されてもよく、上記の有機層が積層された多層構造で形成されてもよい。例えば、本明細書に係る有機電界発光素子の有機層は、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、正孔ブロッキング層、電子ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などを含んでもよく、同時に、前記各有機層は一層又は多層構造を含んでもよく、例えば、前記正孔輸送層は第1の正孔輸送層及び第2の正孔輸送層を含む。しかし、有機電界発光素子の構造はこれらに限定されず、より多いか、又はより少ない有機層を含んでもよい。
【0049】
本発明に係る有機電界発光素子は、有機層材料が従来の技術で前記層に用いられる任意材料を使用可能である。
【0050】
本発明の陽極材料として、一般に、有機層への正孔の注入を促進するように高い仕事関数を有する材料が使用される。本発明で使用可能な陽極材料の具体的実例は、バナジウム、クロム、銅、亜鉛、及び金又はそれらの合金などの金属、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)などの金属酸化物、ZnO:Al又はSnO2:Sbなどの金属と酸化物の結合物、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-ジオキシ)チオフェン](PEDT)などの導電性ポリマーなどを含んでもよいがこれらに限定されない。
【0051】
本発明の陰極材料として、一般に、有機層への電子の注入を促進するように低い仕事関数を有する材料が使用される。本発明で使用可能な陰極材料の具体的な実例は、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、アルミニウム、銀、スズ、鉛、又はそれらの合金などの金属と、LiF/Al又はLiO2/Alなどの多層材料とを含んでもよいがこれらに限定されない。
【0052】
本発明の正孔注入材料としては、正孔を受け取る能力に優れた材料が好ましく、且つ正孔注入材料の最高被占分子軌道(HOMO)は、陽極材料の仕事関数と隣接する有機材料層のHOMOとの間にある数値が好ましい。本発明で使用可能な正孔注入材料の具体的な実例は、フタロシアニン化合物(例えば、銅フタロシアニン)、N,N’-ジ[4-[ジ(3-メチルフェニル)アミノ]フェニル]-N,N’-ジフェニル-ビフェニル-4,4’-ジアミン(DNTPD)、4,4’,4’’-トリス(3-メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m-MTDATA)、4,4’,4’’-トリス(N,N-ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(TDATA)、4,4’,4’’-トリス{N-(2-ナフチル)-N-フェニルアミノ}-トリフェニルアミン(2-TNATA)、N,N’-ジ(ナフチル-1-イル)-N,N’-ジフェニル-ベンジジン(NPB)、トリフェニルアミン含有ポリエーテルケトン(TPAPEK)、4-イソプロピル-4’-メチルジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(HAT)などを含んでもよいがこれらに限定されない。
【0053】
本発明の正孔輸送材料としては、陽極又は正孔注入層からの正孔を受け取り、発光層に正孔を輸送することができる、高い正孔移動度を有する材料が好ましい。本発明で使用可能な正孔輸送材料の具体的な実例は、カルバゾール誘導体(例えば、N-フェニルカルバゾールとポリビニルカルバゾール)、フルオレン系誘導体、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(3-メチルフェニル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)、トリフェニルアミン系誘導体(例えば、4,4’,4’’-トリス(カルバゾール-9-イル)トリフェニルアミン)、N,N’-ジフェニル-N,N’-(1-ナフチル)-1,1’-ビフェニル-4,4’-ジアミン(NPB)、4-[1-[4-[ジ(4-メチルフェニル)アミノ]フェニル]シクロヘキシル]-N-(3-メチルフェニル)-N-(4-メチルフェニル)アニリン(TAPC)、N,N,N’,N’-テトラ(3-メチルフェニル)-3,3’-ジメチルビフェニルジアミン(HMTPD)、9,9’-(1,3-フェニル)ジ-9H-カルバゾール(mCP)などを含んでもよいがこれらに限定されない。
【0054】
本発明の発光層材料としては、蛍光材料及びリン光材料を含んでもよく、リン光発光材料を使用する場合、リン光材料の濃度消光の現象を回避するために、通常、リン光材料をドーピング材料として使用し、他のマトリックス材料(ホスト材料)と共堆積して発光層を調製する。リン光材料の使用量の選択について、好ましくは0.1~70%質量、より好ましくは0.1~30質量%、さらに好ましくは1~30質量%、さらにより好ましくは1~20質量%、特に好ましくは1~10質量%である。
【0055】
本発明で使用可能な蛍光材料の具体的な実例は、縮合多環式芳族誘導体、スチリルアミン誘導体、縮合環式アミン誘導体、ホウ素含有化合物、ピロール誘導体、インドール誘導体、カルバゾール誘導体などを含んでもよいがこれらに限定されない。本発明で使用可能なリン光材料の具体的な実例は、重金属錯体(例えば、イリジウム錯体、白金錯体、オスミウム錯体など)、リン光発光性の希土類金属錯体(例えば、テルビウム錯体、ユーロピウム錯体など)などを含んでもよいがこれらに限定されない。
【0056】
本発明で使用可能なホスト材料の具体的な実例は、縮合芳族環誘導体、複素環含有化合物などを含んでもよい。具体的には、縮合芳族環誘導体はアントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン誘導体、フルオランテン誘導体などを含み、さらに複素環含有化合物はカルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ピリミジン誘導体などを含むがこれらに限定されない。
【0057】
本発明の電子輸送材料としては、良好な電子移動度を有する物質が好ましい。具体的な実例は、金属キレート、オキサオキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、ジアザアゾール誘導体、アザベンゼン誘導体、ジアザアントラセン誘導体、ケイ素含有複素環式化合物、ホウ素含有複素環式化合物、シアノ系化合物、キノリン誘導体、フェナントロリン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体などを含んでもよいがこれらに限定されない。好ましくは、電子輸送材料は本発明に係る複素環化合物から選択される。
【0058】
本発明の電子注入材料としては、電子を輸送する能力を有するとともに、陰極から電子を注入する効果がある物質が好ましい。本発明で使用可能な電子注入材料の実例は、アルカリ金属塩(例えば、フッ化リチウム、フッ化セシウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、フッ化マグネシウムなど)、ヒドロキシキノリンリチウムなどのヒドロキシキノリン誘導体の金属錯体、金属酸化物(例えば、アルミナ)を含むがこれに限定されず、これらの化合物は単独で使用しても、他の材料と混合して使用してもよい。
【0059】
本発明の正孔ブロッキング材料としては、高い三重項状態準位を有し、且つ適切なHOMO準位を有する材料が好ましく、具体的な実例は、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、キノリン誘導体、ジアザフェナントレン(Diazaphenanthrene)誘導体、アントラキノン誘導体、アントロン誘導体、アザベンゼン誘導体、イミダゾール誘導体を含んでもよいがこれらに限定されない。好ましくは、正孔ブロッキング材料は本発明に係る複素環化合物から選択される。
【0060】
本発明に係る有機物層材料が使用される際は、単独でフィルムを形成して単層構造に形成されても他の材料と一緒に混合してフィルムを形成して単層構造に形成されてもよく、或いは単独でフィルムを形成する単層の積層構造、混合してフィルムを形成する単層の積層構造、単独でフィルムを形成する単層と混合してフィルムを形成する単層の積層構造が形成されてもよいがこれらに限定されない。
【0061】
本発明に係る有機電界発光素子は、上記の構造を順次積層することにより製造可能である。製造方法は、乾式成膜法、湿式成膜法などの公知の方法を使用可能である。乾式成膜法の具体例として、真空蒸着法、スパッタ法、プラズマ法、イオンプレーティング法などが挙げられる。湿式成膜法の具体例として、スピンナー法、浸漬法、流延法、インクジェット法などの様々な塗布法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
本発明に係る有機発光素子は、パネルディスプレイ、照明光源、フレキシブルOLED、電子ペーパー、有機太陽電池、有機感光体、有機フィルムトランジスタ、掲示板、信号灯などの分野で広く使用可能である。
【0063】
以下の実施例では、上記の有機電界発光素子の製造について具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本明細書を例示するためのものにすぎず、本明細書の範囲は該実施例により限定されない。
【0064】
化合物の調製及び分析について
原料、試薬及び分析する機器の説明について
本発明は、以下の実施例で使用される原料の供給源に特に限定されず、市販の製品又は当業者に周知の調製方法を用いて調製されたものであってもよい。
【0065】
マススペクトルは、英国Waters社のG2-Si 高分解能タンデム四重極飛行時間型質量分析計が用いられ、クロロホルムを溶剤として使用する。
元素分析は、ドイツElementar社のVario EL cube型有機元素分析計が用いられ、サンプル質量を5~10mgにする。
核磁気共鳴(1HNMR)は、Bruker-510型核磁気共鳴装置(ドイツBruker社)が用いられ、600MHz、CDCL3を溶剤にし、TMSを内部標準にする。
【0066】
[合成実施例1]化合物1の合成
【化33】
中間体d-1の調製
窒素の保護下で三口フラスコにテトラヒドロフラン400mL、原料a-1(80mmol,21.76g)を加え、また原料b-1(80mmol,12.51g)、pd(dppf)CL
2(0.2mmol,0.15g)、酢酸カリウム(100mmol,9.8g)を加え、混合物を攪拌し、上記反応物の混合溶液を80℃の条件下で5時間加熱還流し、反応終了後に、冷却して400mLの水を加え、且つ混合物を濾過して真空オーブンで乾燥させた。得られた残留物をシリカゲルカラムで分離純化し、中間体c-1(20.72g,収率85%)を得て、HPLC純度≧99.5%であった。マススペクトルm/z:304.1051(理論値:304.1019)。
【0067】
窒素の保護下で三口フラスコにテトラヒドロフラン200mL、原料c-1(40mmol,12.20g)を加え、また原料f-1(40mmol,10.16g)、pd(dppf)CL2(0.2mmol,0.15g)、酢酸カリウム(100mmol,9.80g)を加え、混合物を攪拌し、上記反応物の混合溶液を100℃の条件下で7時間加熱還流し、反応終了後に、冷却して200mLの水を加え、且つ混合物を濾過して真空オーブンで乾燥させた。得られた残留物をシリカゲルカラムで分離純化し、中間体d-1(13.47g,収率86%)を得て、HPLC純度≧99.4%であった。マススペクトルm/z:396.2245(理論値:396.2261)。
【0068】
中間体g-1の調製
窒素の保護下で三口フラスコにテトラヒドロフラン200mL、原料e-1(40mmol,10.7g)を加え、また原料f-1(80mmol,20.32g)、pd(dppf)CL2(0.2mmol,0.15g)、酢酸カリウム(100mmol,9.80g)を加え、混合物を攪拌し、上記反応物の混合溶液を100℃の条件で7時間加熱還流し、反応終了後に、冷却して200mLの水を加え、且つ混合物を濾過して真空オーブンで乾燥させた。得られた残留物をシリカゲルカラムで分離純化し、中間体g-1(11.37g,収率78%)を得て、HPLC純度≧99.4%であった。マススペクトルm/z:364.1729(理論値:364.1784)。
【0069】
中間体i-1の調製
窒素の保護下で三口フラスコにDMF 200mL、原料h-1(60mmol,9.18g)、中間体g-1(30mmol,10.94g)、pd(dppf)CL2(0.2mmol,0.15g)を加え、次にK3PO4水溶液(30mmol,6.38g)を加え、150℃まで加熱し、24時間還流反応し、サンプリングをプレートに採取し、完全に反応させた。自然に冷却し、400mLのジクロロメタンで抽出し、層を分離し、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、濾液を回転蒸発し、シリカゲルカラムで純化し、中間体i-1(7.80g,収率75%)を得て、HPLC純度≧99.6%であった。マススペクトルm/z:346.0541(理論値:346.0509)。
【0070】
化合物1の調製
窒素の保護下で三口フラスコにテトラヒドロフラン100mL、中間体i-1(20mmol,6.94g)を加え、次に中間体d-1(20mmol,7.93g)、pd2(dba)3(0.2mmol,0.18g)、50%トリ-t-ブチルホスフィン(0.2mL,0.4mmol)、t-ブトキシナトリウム(30mmol,2.88g)を加え、混合物を攪拌し、上記反応物の混合溶液を100℃の条件下で10時間加熱還流し、サンプリングをプレートに採取し、完全に反応させた。自然に冷却し、200mLのジクロロメタンで抽出し、層を分離し、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、濾液を回転蒸発し、シリカゲルカラムで純化し、化合物1(8.13g,収率70%)を得て、HPLC純度≧99.2%であった。
【0071】
マススペクトルm/z:580.2180(理論値:580.2151)。理論元素含有量(%)C41H28N2O2:C,84.80;H,4.86;N,4.82。実測元素含有量(%):C,84.84;H,4.80;N,4.77。1H NMR (600MHz,CDCL3)(δ,ppm):8.42(s,1H)、8.11(s,1H)、8.10(s,1H)、7.98(s,1H),7.78(d,1H)、7.73-7.69(m,3H)、7.67-7.63(m,2H)、7.62-7.59(m,2H)、7.58-7.56(m,1H)、7.51(t,1H)、7.48(s,1H)、7.46-7.43(m,1H)、7.38-7.31(m,6H)、1.54(s,6H)。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを証明した。
【0072】
[合成実施例2]化合物4の合成
【化34】
合成実施例1におけるa-1を等モルのa-2に変更する以外、合成実施例1と同じ調製方法で、化合物4(10.14g)を得て、HPLC純度≧99.6%であった。
【0073】
マススペクトルm/z:704.2408(理論値:704.2464)。理論元素含有量(%)C51H32N2O2:C,86.91;H,4.58;N,3.97。実測元素含有量(%):C,86.96;H,4.60;N,3.94。1H NMR(600MHz,CDCL3)(δ,ppm):8.42(s,1H)、8.11(s,1H)、8.10(s,1H)、7.98(s,1H)、7.90(d,1H)、7.87-7.81(m,1H)、7.75-7.69(m,2H)、7.67(dd,1H)、7.66-7.63(m,1H)、7.62(d,1H)、7.60(d,1H),、7.60(s,1H)、7.58-7.55(m,1H)、7.51(t,1H)、7.43-7.39(m,1H)、7.38-7.31(m,6H)、7.31-7.23(m,6H)、7.06-7.00(m,4H)。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを証明した。
【0074】
[合成実施例3]化合物5の合成
【化35】
合成実施例1におけるa-1を等モルのa-3に変更する以外、合成実施例1と同じ調製方法で、化合物5(8.54g)を得て、HPLC純度≧99.5%であった。
【0075】
マススペクトルm/z:656.2419(理論値:656.2464)。理論元素含有量(%)C47H32N2O2:C,85.95;H,4.91;N,4.27。実測元素含有量(%):C,85.98;H,4.85;N,4.33。1H NMR(600MHz,CDCL3)(δ,ppm):8.42(s,1H)、8.11(s,1H)、8.10(s,1H)、7.98(s,1H)、7.78(dd,2H)、7.72-7.69(m,2H)、7.67-7.63(m,3H)、7.62-7.58(m,4H)、7.58-7.56(m,1H)、7.54-7.51(m,2H)、7.50(s,1H)、7.47-7.42(m,2H)、7.41-7.31(m,5H)、1.55(s,6H)。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを証明した。
【0076】
[合成実施例4]化合物9の合成
【化36】
合成実施例1におけるa-1を等モルのa-4に変更する以外、合成実施例1と同じ調製方法で、化合物9(7.82g)を得て、HPLC純度≧99.7%であった。
【0077】
マススペクトルm/z:630.2347(理論値:630.2307)。理論元素含有量(%)C45H30N2O2:C,85.69;H,4.79;N,4.44。実測元素含有量(%):C,85.73;H,4.80;N,4.40。
【0078】
[合成実施例5]化合物10の合成
【化37】
合成実施例1におけるa-1を等モルのa-5に変更する以外、合成実施例1と同じ調製方法で、化合物10(9.94g)を得て、HPLC純度≧99.2%であった。
【0079】
マススペクトルm/z:814.3522(理論値:814.3559)。理論元素含有量(%)C59H46N2O2:C,C,86.95;H,5.69;N,3.44。実測元素含有量(%):C,86.99;H,5.71;N,3.39。1H NMR(600MHz,CDCL3)(δ,ppm):8.42(s,1H)、8.11(s,1H)、8.10(s,1H)、7.98(s,1H)、7.90(d,1H)、7.84(dd,1H)、7.75(d,2H)、7.73-7.69(m,2H)、7.67(dd,1H)、7.65-7.64(m,1H)、7.63-7.59(m,2H)、7.59-7.55(m,2H)、7.51(t,1H)、7.40-7.28(m,8H)、7.16(s,1H)、7.16(s,1H)、7.10(dd,1H)、1.32(s,18H)。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを証明した。
【0080】
[合成実施例6]化合物17の合成
【化38】
合成実施例1におけるh-1を等モルのh-2に変更する以外、合成実施例1と同じ調製方法で、化合物17(10.99g)を得て、HPLC純度≧99.7%であった。
【0081】
マススペクトルm/z:732.2755(理論値:732.2777)。理論元素含有量(%)C53H36N2O2:C,86.86;H,4.95;N,3.82。実測元素含有量(%):C,86.84;H,4.95;N,3.81。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを証明した。
【0082】
[合成実施例7]化合物51の合成
【化39】
中間体d-6の調製
窒素の保護下で三口フラスコにテトラヒドロフラン200mL、原料a-1(40mmol,12.20g)を加え、また原料f-1(40mmol,10.16g)、pd(dppf)CL
2(0.2mmol,0.15g)、酢酸カリウム(100mmol,9.80g)を加え、混合物を攪拌し、上記反応物の混合溶液を100℃の条件で7時間加熱還流し、反応終了後に、冷却して200mLの水を加え、且つ混合物を濾過して真空オーブンで乾燥させた。得られた残留物をシリカゲルカラムで分離純化し、中間体d-6(10.76g,収率84%)を得て、HPLC純度≧99.4%であった。マススペクトルm/z:320.1985(理論値:320.1948)。
【0083】
化合物51の調製
窒素の保護下で三口フラスコにテトラヒドロフラン100mL、中間体i-2(20mmol,9.98g)を加え、次に中間体d-6(20mmol,6.40g)、pd2(dba)3(0.2mmol,0.18g)、50%トリ-t-ブチルホスフィン(0.2mL,0.4mmol)、t-ブトキシナトリウム(30mmol,2.88g)を加え、混合物を攪拌し、上記反応物の混合溶液を100℃の条件で10時間加熱還流し、サンプリングをプレートに採取し、完全に反応させた。自然に冷却し、200mLのジクロロメタンで抽出し、層を分離し、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、濾液を回転蒸発し、シリカゲルカラムで純化し、化合物51(9.46g,収率72%)を得て、HPLC純度≧99.6%であった。
【0084】
マススペクトルm/z:656.2429(理論値:656.2464)。理論元素含有量(%)C47H32N2O2:C,85.95;H,4.91;N,4.27。実測元素含有量(%):C,85.98;H,4.87;N,4.27。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを証明した。
【0085】
[合成実施例8]化合物82の合成
【化40】
合成実施例1におけるb-1を等モルのb-2に変更する以外、合成実施例1と同じ調製方法で、化合物82(8.54g)を得て、HPLC純度≧99.3%であった。
【0086】
マススペクトルm/z:656.2418(理論値:656.2464)。理論元素含有量(%)C47H32N2O2:C,85.95;H,4.91;N,4.27。実測元素含有量(%):C,85.93;H,4.91;N,4.29。1H NMR(600MHz,CDCL3)(δ,ppm):8.31(s,1H)、8.29(s,1H)、8.27(s,1H)、8.12(s,1H)、8.04(s,1H)、7.98-7.96(m,2H)、7.84-7.82(m,2H)、7.81-7.79(m,1H)、7.77-7.73(m,2H)、7.72-7.71(m,1H)、7.68-7.61(m,7H)、7.55-7.52(m,1H)、7.46-7.73(m,1H)、7.39-7.36(m,4H)、1.72(s,6H)。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを証明した。
【0087】
[合成実施例9]化合物147の合成
【化41】
合成実施例1におけるb-1を等モルのb-3に変更する以外、合成実施例1と同じ調製方法で、化合物147(8.25g)を得て、HPLC純度≧99.5%であった。
【0088】
マススペクトルm/z:580.2193(理論値:580.2151)。理論元素含有量(%)C41H28N2O2:84.80;H,4.86;N,4.82。実測元素含有量(%):84.78;H,4.90;N,4.81。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを証明した。
【0089】
[合成実施例10]化合物171の合成
【化42】
合成実施例1におけるa-1を等モルのa-6に変更する以外、合成実施例1と同じ調製方法で、化合物171(7.92g)を得て、HPLC純度≧99.1%であった。
【0090】
マススペクトルm/z:670.2284(理論値:670.2256)。理論元素含有量(%)C47H30N2O3:C,84.16;H,4.51;N,4.18。実測元素含有量(%):C,84.18;H,4.51;N,4.15。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを証明した。
【0091】
[合成実施例11]化合物216の合成
【化43】
合成実施例1におけるh-1を等モルのh-3に変更する以外、合成実施例1と同じ調製方法で、化合物216(8.58g)を得て、HPLC純度≧99.4%であった。
【0092】
マススペクトルm/z:612.1615(理論値:612.1694)。理論元素含有量(%)C41H28N2S2:C,80.36;H,4.61;N,4.57。実測元素含有量(%):C,80.40;H,4.60;N,4.55。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを証明した。
【0093】
[合成実施例12]化合物258の合成
【化44】
合成実施例1におけるh-1を等モルのh-4に変更する以外、合成実施例1と同じ調製方法で、化合物258(9.97g)を得て、HPLC純度≧99.3%であった。
【0094】
マススペクトルm/z:732.2709(理論値:732.2777)。理論元素含有量(%)C53H36N2O2:C,86.86;H,4.95;N,3.82。実測元素含有量(%):C,86.87;H,4.95;N,3.79。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを実証した。
【0095】
[合成実施例13]化合物292の合成
【化45】
合成実施例1におけるa-1、b-1を等モルのa-7、b-4に変更する以外、合成実施例1と同じ調製方法で、化合物292(10.42g)を得て、HPLC純度≧99.3%であった。
【0096】
マススペクトルm/z:705.2215(理論値:703.2260)。理論元素含有量(%)C50H29N3O2:C,85.33;H,4.15;N,5.97。実測元素含有量(%):C,85.35;H,4.13;N,5.98。1H NMR(600MHz,CDCL3)(δ,ppm):8.52(s,1H)、8.32(s,1H)、8.32(s,1H)、7.93(d,2H)、7.85-7.84(m,3H)、7.76(dd,1H)、7.72-7.70(m,3H)、7.63(s,1H)、7.62-7.56(m,3H)、7.39-7.30(m,10H)、7.10(dd,1H)、7.06(dd,2H)。上記結果から、得られた製品が目標製品であることを証明した。
【0097】
[素子実施例1]
ITOガラス基板を5%のガラス洗浄液で20分間ずつ2回超音波洗浄してから、脱イオン水で10分間ずつ2回超音波洗浄した。アセトンとイソアセトンを順に用いて20分間超音波洗浄し、120℃で乾燥させた。その後に、それを真空堆積装置に移した。
【0098】
上記のように用意した透明ITOガラス基板上に厚さ50オングストロームのヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(HAT)を蒸着して正孔注入層を形成し、正孔注入層上に厚さ1300オングストロームの化合物HT-1を蒸着して正孔輸送層を形成し、その後、正孔輸送層上に25:1の重量比で厚さ200オングストロームのBH及びBDを真空堆積して発光層を形成し、発光層上に厚さ80オングストロームの本発明の合成実施例1の化合物1を蒸着して正孔ブロッキング層を形成し、正孔ブロッキング層上に化合物ET‐1を蒸着して厚さ300オングストロームの電子輸送層を形成した。電子輸送層上に厚さ10オングストロームのフッ化リチウム(LiF)を蒸着して電子注入層を形成し、最後に厚さ1000オングストロームのアルミニウムを蒸着して陰極を形成した。
【化46】
【0099】
[素子実施例2~13]
本発明の化合物4、化合物5、化合物9、化合物10、化合物17、化合物51、化合物82、化合物147、化合物171、化合物216、化合物258、化合物292をそれぞれ用いて、素子実施例1の化合物1の代わりに正孔ブロッキング層とすることに加えて、素子実施例1と同じ合成方法を適用して有機電界発光素子を製造した。
【0100】
[素子実施例14]
素子実施例1に係る方法で、ITOガラス基板を洗浄し、ITOガラス基板上に厚さ50オングストロームのヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン(HAT)を蒸着して正孔注入層を形成し、正孔注入層上に厚さ1300オングストロームの化合物HT-1を蒸着して正孔輸送層を形成し、その後、正孔輸送層上に25:1の重量比で厚さ200オングストロームのBH及びBDを真空堆積して発光層を形成し、発光層上に厚さ300オングストロームの本発明の合成実施例1の化合物1を蒸着して電子輸送層を形成し、電子輸送層上に厚さ10オングストロームのフッ化リチウム(LiF)を蒸着して電子注入層を形成し、最後に厚さ1000オングストロームのアルミニウムを蒸着して陰極を形成した。
【0101】
[素子実施例15~26]
本発明の化合物4、化合物5、化合物9、化合物10、化合物17、化合物51、化合物82、化合物147、化合物171、化合物216、化合物258、化合物292をそれぞれ用いて、素子実施例14の化合物1の代わりに電子輸送層とすることに加えて、素子実施例14と同じ合成方法を適用して有機電界発光素子を製造した。
【0102】
[比較実施例1~3]
比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3を用いて素子実施例1の化合物1の代わりに正孔ブロッキング層とすることに加えて、素子実施例1と同じ合成方法を適用して有機電界発光素子を製造した。
【0103】
[比較実施例4~6]
比較化合物1、比較化合物2、比較化合物3を用いて素子実施例14の化合物1の代わりに電子輸送層とすることに加えて、素子実施例14と同じ合成方法を適用して有機電界発光素子を製造した。
【0104】
素子の製造は真空蒸着システムを用いて真空の中断されない条件下で連続蒸発して製造を完了した。使用される材料は、異なる蒸発源の石英るつぼにそれぞれあり、蒸発源の温度を個別に制御可能であった。有機材料の熱蒸発速度は、一般に0.1nm/sであり、ドーピング材料の蒸発速度は、ドーピング比で調整し、電極金属の蒸発速度は、0.4~0.6nm/sであった。フィルムの製造過程で、システムの真空度を5×10-5Pa以下に維持した、
【0105】
テストソフトウェア、コンピュータ、米国Keithley社製のK2400デジタルソースメータ、及び米国Photo Research社のPR788スペクトル走査輝度計により、連合IVLテストシステムを構成して有機発光素子の発光効率、CIE色座標をテストした。寿命のテストはMcScience社のM6000 OLED寿命テストシステムが用いられた。テストの環境を大気環境にし、温度を室温にした。上記方法により製造された有機電界発光素子について、10mA/cm
2の電流密度で駆動電圧及び発光効率を測定し、且つ20mA/cm
2の電流密度で初期輝度と比較して90%の値に達するまでの時間(T90)を測定した。本発明の素子実施例1~26、比較実施例1~6の発光特性のテスト結果を表1に示した。
【表1】
【0106】
表1の結果から、本発明に係る化合物は、OLED発光素子の製造に適用され、且つ良好な性能を得ることができ、本発明に係る化合物を有機電界発光素子の正孔ブロッキング材料及び電子輸送材料としたときに、駆動電圧、発光効率、寿命などの方面でいずれも大きく向上したことが分かった。本発明に係る化合物を正孔ブロッキング材料及び電子輸送材料として、特に正孔ブロッキング材料としては、OLED発光素子への適用が優れた効果を有し、良好な工業化の見通しを有した。
【0107】
本発明は個々の実施形態で具体的に説明されているが、本発明の原理から逸脱しない前提で、当業者は本発明に様々な形態又は細部に対する改善を加えることができ、これらの改善も本発明の保護範囲内に入ることを指摘すべきである。