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特許7519694ゴルフ解析アシスタント装置、スコアカード、スコアカード製造方法、及び、ゴルフ解析アシスタントプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】ゴルフ解析アシスタント装置、スコアカード、スコアカード製造方法、及び、ゴルフ解析アシスタントプログラム
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/06 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
A63B71/06 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021213744
(22)【出願日】2021-12-28
(65)【公開番号】P2023097556
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2024-02-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515161571
【氏名又は名称】田中 康太
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田中 康太
【審査官】三田村 陽平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-154177(JP,A)
【文献】特開2019-146927(JP,A)
【文献】特開2016-202869(JP,A)
【文献】特開2016-032580(JP,A)
【文献】特開2020-065833(JP,A)
【文献】特開2017-099905(JP,A)
【文献】特開2003-190352(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0082139(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0174480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/00-71/16
A63B 69/00-69/40
A63B 1/00-26/00
A63B 53/00-53/14
A63F 9/24
A63F 13/00-13/98
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ場のゴルフ場属性データを格納したゴルフ場データ格納部、プレーヤーのプレー
ヤー属性データを格納したプレーヤーデータ格納部、ゴルフコースにおける前記プレーヤ
ーが定めたコース全体の目標スコアを取得する目標スコア取得部、制御部、及び、入出力
部を備え、
前記制御部は、前記ゴルフ場属性データ及び前記プレーヤー属性データに基づき、ホー
ルごとに、前記プレーヤーの前記目標スコアを達成するためのティーショットからカップ
インまでの最適解を求めて、該最適解を前記入出力部に出力するように構成されているゴ
ルフ解析アシスタント装置。
【請求項2】
前記最適解は、スコアカードに表示されており、前記入出力部は、前記スコアカードを
出力するものである請求項1記載のゴルフ解析アシスタント装置。
【請求項3】
前記請求項1記載のゴルフ解析アシスタント装置より出力されるスコアカード。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のゴルフ解析アシスタント装置が、
ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めたコース全体の目標スコアを取得するステップと、
前記プレーヤーの属性データを取得するステップと、
前記ゴルフコースの属性データを取得するステップと、
前記目標スコアを達成できるように、前記プレーヤー属性データと前記ゴルフコース属性データとから、ティーショットからカップインまでの前記ゴルフコースの各ホールにおける最適解を求めるステップと、
前記最適解を表示するスコアカードを出力するステップと、
実行するスコアカード製造方法。
【請求項5】
請求項1又は2記載のゴルフ解析アシスタント装置の機能をコンピュータに実現させ、
又は、請求項4記載の製造方法の手順をコンピュータに実行させるためのゴルフ解析アシ
スタントプログラム。
【請求項6】
ユーザー端末とゴルフ場端末と情報処理装置とがネットワークを介して接続されたゴルフ解析アシスタント装置であって、
前記ユーザー端末は、ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めたコース全体の目標スコアやプレーヤー属性データが入力される入力部と、前記プレーヤーの前記目標スコアを達成するためのティーショットからカップインまでの最適解を出力するディスプレイとを有し、
前記ゴルフ場端末は、ゴルフ場属性データが入力される入力部を有し、
前記情報処理装置は制御部を備え、該制御部は、前記ゴルフ場属性データ及び前記プレーヤー属性データに基づき、ホールごとに、前記最適解を求めて、該最適解を前記ディスプレイに出力するように構成されているゴルフ解析アシスタント装置。
【請求項7】
前記最適解は、スコアカードに表示されており、前記ディスプレイは、前記スコアカードを出力するものである請求項6記載のゴルフ解析アシスタント装置。
【請求項8】
前記最適解は、スコアカードに表示されており、
前記ゴルフ場端末は、前記スコアカードを出力する出力部を有する請求項6記載のゴルフ解析アシスタント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフ解析アシスタント装置、スコアカード、スコアカード製造方法、及び、ゴルフ解析アシスタントプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
GPS受信機を利用し、ゴルフ場で、現在位置からグリーンやバンカー等までの距離やコースレイアウトを表示したり、ゴルフプレー中におけるボールを打った位置を正確かつ簡便に記録できるようにしたりするゴルフ支援装置は公知である。
例えば、特開2001-346930号公報(特許文献1)に記載のナビゲーター装置は、プレーヤーの自己の打球の技量に応じた飛距離の打撃方向確認スイッチキーを選択操作することにより、個々のプレーヤーの技量に応じた最適な打撃方向を知ることができるものであった。
【0003】
特許第5848489号公報(特許文献2)に記載のゴルフナビは、ゴルフプレー中に、ピンホールまでの残り距離を算出し、推奨するゴルフクラブを瞬時に提示してくれるものであった。
スコアカードに関しては、特開2004-24306号公報(特許文献3)に記載のものが公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-346930号公報
【文献】特許第5848489号公報
【文献】特開2004-24306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ゴルフプレーヤーは、「今日は100を切る!」という目標を立てプレーを行い、その目標が達成されたら、喜びもひとしおと感じるのである。
しかし、特許文献1や2に記載の従来のゴルフ支援装置は、自己の技量に応じて個々のホールにおける攻略法を示すことができても、「今日は100を切る!」というゴルフプレーヤー自身が目標として設定した、コース全体で「目標スコア99」を達成するための、各ホールにおける攻略法を示すものではなかった。
【0006】
そこで、本発明は、プレー前において、ゴルフプレーヤー(以下、単に「プレーヤー」又は「ユーザー」ということがある。)自身が要望する「コース全体の目標スコア」に応じて、この目標を達成するために必要な「ホールごとの最適な打数」(以下、「最適解」といい、この「最適解」を達成するための各コースにおける最適なルートを「最適解ルート」という。)を導出して提示する支援装置を提供することを目的とする。
【0007】
従来のスコアカードは、ホール毎に距離やPARが示されているものの、目標スコアを達成しようとするプレーヤーが各ホールにおいて何をすればよいか、目安となる技術要素は示されておらず、スコアカードに記されたプレーヤーの属性とは全く関係のないゴルフ場が独自に定めたPARを基準に、プレーヤー自身のおかれた技術的、スコア的状況を推測したり、あるいは各ホールのPARを基準にボギーでホールアウトすればよいなどの目標スコアに対する余裕を推測しながらプレーを行わなければならないという問題があった。
そこで本発明は、従来の問題点を解消したスコアカードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、次の手段を講じた。
すなわち、本発明のゴルフ解析アシスタント装置は、ゴルフ場のゴルフ場属性データを格納したゴルフ場データ格納部、プレーヤーのプレーヤー属性データを格納したプレーヤーデータ格納部、ゴルフコースにおける前記プレーヤーが定めたコース全体の目標スコアを取得する目標スコア取得部、制御部、及び、入出力部を備え、前記制御部は、前記ゴルフ場属性データ及び前記プレーヤー属性データに基づき、ホールごとに、前記プレーヤーの前記目標スコアを達成するためのティーショットからカップインまでの最適解を求めて、該最適解を前記入出力部に出力するように構成されている。
【0009】
前記最適解は、スコアカードに表示されており、前記入出力部は、前記スコアカードを出力するものであるのが好ましい。
本件発明のスコアカードは、前記ゴルフ解析アシスタント装置より出力されるものである。
本件発明のスコアカード製造方法は、ゴルフ解析アシスタント装置が、ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めたコース全体の目標スコアを取得するステップと、前記プレーヤーの属性データを取得するステップと、前記ゴルフコースの属性データを取得するステップと、前記目標スコアを達成できるように、前記プレーヤー属性データと前記ゴルフコース属性データとから、ティーショットからカップインまでの前記ゴルフコースの各ホールにおける最適解を求めるステップと、前記最適解を表示するスコアカードを出力するステップと、を実行する。
【0010】
本発明のゴルフ解析アシスタントプログラムは、前記ゴルフ解析アシスタント装置の機能をコンピュータに実現させ、又は、前記製造方法の手順をコンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ホールごとに、前記プレーヤーの前記目標スコアを達成するためのティーショットからカップインまでの最適解を求めて、該最適解を前記入出力部に出力するように構成されているので、プレーヤーは自己が設定したコース全体としての目標スコアを達成しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の形態に係るゴルフ解析アシスタント装置の概略平面図。
図2図1の装置に備えられた部材の構成図。
図3】本発明の実施の形態に係るゴルフ解析アシスタント装置により求められた最適解(パーソナルパー)を印字したスコアカード例を示す図面。
図4】スコアカード製造方法のフローチャート。
図5】本発明の他の実施の形態を示すシステムの構成図。
図6図1の装置の表示部に表示されるメインメニュー画面例。
図7】ゴルフ場データ格納部に格納されたデータを表示した表示画面例。
図8】最適解ルートを表示した表示画面例。
図9】最適解ルートの導出のためのフローチャート。
図10】クラブと飛距離に関するプレーヤーデータ例。
図11】スコアや難易度に関するプレーヤーデータ例。
図12】最適解補正ルートの表示画面例。
図13】最適解補正ルートの導出のためのフローチャート。
図14】最適解とプレーヤースコアのマッチプレー形式の表示例。
図15】目標スコアを達成するために適したゴルフコースの導出のためのフローチャート。
図16図15のフローチャートにおける導出過程の表示例。
図17】ゴルフコースにおける目標スコアを達成するための技術情報の導出のフローチャート。
図18】制御部の複数点間距離表示機能を示す表示画面。
図19】制御部の任意地点(目標地点)までの距離表示機能を示す表示画面。
図20】本発明の他の実施の形態に係るゴルフ解析アシスタント装置の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2に示すものは、ゴルフ解析アシスタント装置の構成図である。この装置は、ハードウェアとソフトウェアとで構成されている。
図1に示すように、ゴルフ解析アシスタント装置は、本体1を有する。本体1は、偏平な略矩形状のケースに形成されている。以下、この「本体1」を「ケース1」ともいう。
【0014】
ケース1の上面に、入出力部2を備えている。この「入出力部2」は、半透過型液晶のタッチパネルで構成されているので、「入力部2」、「出力部2」又は「表示部2」と称する場合がある。タッチパネルで構成される入出力部2を「表示部2」ともいう。すなわち、この実施の形態では、入出力部2は入力部と出力部(表示部)を兼用する。
しかし、入出力部2は、入力部と出力部が別部材で構成されていてもよい。例えば、入力部として、キーボードで構成し、出力部として、プリンタで構成したものであってもよい。また出力部として、表示部(ディスプレイ)と印字部(プリンタ)を備えたものであってもよい。
【0015】
この本体1には、表示部2、ゴルフ場の属性を格納したゴルフ場データ格納部3、プレーヤーの属性を格納したプレーヤーデータ格納部4、ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めた目標スコアを取得する目標スコア取得部5、及び、制御部6を有する。
制御部6は、ゴルフ場データ格納部3とプレーヤーデータ格納部4の属性データに基づき、目標スコアを達成できるように、ティーショットからカップインまでの、当該プレーヤーの各ホールの最適解を演算して求めるとともに、最適解のルートを演算して求める。制御部6は、前記求めた最適解と、最適解ルートを表示部2に表示するように構成されている。
【0016】
ゴルフ場データ格納部3は、ゴルフ場の属性に関するデータとして、名称や所在地などの位置情報と、ゴルフコースの距離および平面と立体のレイアウト情報、グリーンやハザード(バンカー、池、小川、谷などのコース内にある障害地)のコース上の対象物の位置情報が格納されている。
プレーヤーデータ格納部4は、プレーヤーの属性に関する情報として、プレーヤーが使用する各ゴルフクラブ(以下、クラブと称す)における飛距離とそのプレーヤーの能力であるヘッドスピードと、過去にそのプレーヤーがプレーしたゴルフ場でのスコアやショット数やパット数などのプレー内容に関するデータが格納されている。
【0017】
本体1は、ゴルフコースにおける気温、風向、風速、湿度の気象データを適時に取得する気象データ取得部7を有する。制御部6は、前記最適解ルートを求めるのに、気象データ取得部7で取得した気象データを用いるように構成されている。
前記最適解ルートは、プレーヤーが目標スコアを達成するために目指すべき各ホールにおけるグリーンオンまでのショット数とパット数の打数、すなわち最適解を求めて設定されるものである。この打数は、目標スコアを達成するためにホールにおいてこの打数まで打ってよいという限界の打数(以下、「最適解」(パーソナルパー)という)である。
【0018】
言い換えると、「最適解」は、各ホールにおけるグリーンオンまでのショット数とグリーン上のパット数の「小計」を、全ホールで合計した「総計」が前記「目標スコア」と一致するように、前記各属性データに基づいて求められたものである。すなわち、「パーソナルパー」は、ゴルフ場が定めた基準打数(オフィシャルパー)ではなく、プレーヤーが定めたコース全体の目標スコアを達成できるようにした各ホールにおける「最適解」である。「最適解ルート」は、前記ショット数を達成するための推奨ゴルフクラブの種類の提示とその飛距離の提示を含むルートで構成される。
【0019】
なお、「最適解」と「最適解ルート」の求め方については、後述する。
また、制御部6は、前記最適解ルートを補正する補正部6aを有する。この補正部6aは、プレー開始後、本装置(本体1)が最初に示した最適解ルート上とは異なった場所からプレーヤーがプレーする際、その場所から目標スコアを達成するための最適解ルートを再導出する。
【0020】
本体1は、打数登録部8とGPS受信部9とを有する。制御部6は、打数登録部8の操作によりGPS受信部9から現在位置を取得する。制御部6は、前記補正部6aにより、目標スコアを達成するための前記最適解ルートの補正を行う。制御部6は、表示部2に現在位置からの前記補正を行った最適解補正ルートに更新して表示するように構成されている。
ゴルフ場データ格納部3は、複数のゴルフ場のデータを格納している。制御部6は、複数のゴルフ場の中から目標スコアを達成しやすいゴルフ場を選択することができるよう構成されている。
制御部6は、前記ゴルフ場の選択に際し、コース別技術情報を提供できるように構成されている。
【0021】
以下、さらに詳細に説明する。
図2に示す部材は、マイコン等の電子機器から構成される。
目標スコア取得部5は、ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めたコース全体の目標スコアを取得ないし格納するものである。
「目標スコア」とは、ゴルフプレーを始める際にプレーヤーが定めるラウンド(一般的には18ホールをプレー)の打数のことである。例えば、「パー72」のコースにおいて、「パー99」で回りたいとしたときの「99」が「目標スコア」である。
【0022】
前記「パー72」はゴルフ場が定めた「オフィシャルパー」であり、プレーヤーが定めた目標スコアに対応した「パー99」が「パーソナルパー」である。
「目標スコア」は、表示部2に表示される目標スコア入力アイコンをプレーヤーがタッチすることで入力する。入力された目標スコアは、目標スコア取得部5に記憶され、目標スコアを達成するための最適解および最適解ルート導出のパラメータとして制御部6に認識される。
【0023】
制御部6は、目標スコアを達成できるように、ゴルフ場データ格納部3とプレーヤーデータ格納部4とのデータに基づき、ティーショットからカップインまでのプレーヤーの最適解ルートを求めて表示部2に表示するものである。
制御部6は、CPU,ROM,RAM、フラッシュメモリ、各種の周辺回路、インタフェース等を備えるマイコンを備える。制御部6は、電源ONに伴い電源供給がなされ動作を開始する。制御部6は、ROMに記録されたブートローダーによって、フラッシュメモリに記録されたOSとアプリケーションプログラムをRAM上に展開し、RAM上のOS及びアプリケーションプログラムを実行することで、後述する各種の処理を実行し、各種の機能を実現する。
【0024】
ゴルフ場データ格納部3は、名称や所在地などの位置情報と、ゴルフコースの各ホールの平面と立体のレイアウト情報と、グリーンやハザード(バンカー、池、小川、谷などのコース内にある障害地)のコース上の対象物の位置情報と、ゴルフ場が定めた標準パー(オフィシャルパー)情報とを格納している。
ゴルフ場データ格納部3は、内部メモリや、着脱可能な外部記録媒体(マイクロSDメモリーカード等)等の記録メディアにより構成される。
【0025】
ゴルフ場データ格納部3は、コースレイアウト等のデータが予め格納されているが、通信によりデータのアップデートも可能である。
プレーヤーデータ格納部4は、プレーヤーが使用する各ゴルフクラブの種類(ドライバー、ユーテリティやアイアン等の番手)における飛距離と、プレーヤー個人のヘッドスピード(スイングスピード)と、プレーヤーが過去にプレーしたゴルフ場でのプレー内容に関するデータ等を格納している。
【0026】
初めてプレーする場合には、プレーヤーデータ格納部4にはプレーヤーの最大飛距離もしくはヘッドスピード(スイングスピード)情報が格納されていれば良い。これらのデータは、プレーヤー自身が入力しても良いし、マイクロ波センサー18によって計測し、このデータをプレーヤーデータ格納部4に記憶させても良い。プレーヤーの身体能力に関するデータと、他のプレーヤーの身体能力データとプレーデータを、他のアプリケーションやインターネット上の情報などから取得し、それらのデータを比較してプレーヤーの最大飛距離もしくはヘッドスピードを推測し、プレーヤーデータ格納部4にプレーヤーデータとして記憶させるようにしても良い。
【0027】
プレーヤーデータ格納部4にプレー内容のデータが蓄積されればされるほど、プレーヤーのプレー傾向を反映したより正確な最適解ルートを導出しうる。なお、プレー前にプレーヤーが、クラブ別飛距離、ショットの方向性、クラブの得手不得手などのプレーに関する情報を入力できるようにしてもよい。この入力された情報はプレーヤーデータ格納部4に記憶され、制御部6は最適解ルートの導出にあたってこれらの情報をもとに計算することができる。
【0028】
プレー内容に関するデータは、例えば、制御部6が打数登録ボタン8の操作によりGPS受信部9から現在位置を取得した時に、その現在位置とティーイングエリアまたは補正が行われた位置から直前のショットの飛距離を計算してプレーヤーデータ格納部4に記憶させることができる。また、制御部6は、プレー中やプレー終了後にスコア合計や各ホールのショットとパット別の打数情報についてプレーヤーデータ格納部4に記憶させると良い。使用クラブ情報の取得については、RFID(Radio Frequency Identification)やジャイロシステムを利用して商品化されている技術を用いるとよい。前記技術を利用した場合、打数登録ボタン8の操作によらず、制御部6は自動的に打数登録部8に打数を登録することができる。
【0029】
さらに制御部6は、取得したプレー内容から、ショットの方向性、クラブ別飛距離のばらつきなどを計算し、プレー時に取得した気象情報などの条件と共にプレーヤーデータ格納部4に記憶させることができる。
気象データ取得部7は、気象庁等が発表している気象データを適時取得するものである。最適解ルートを導出する際に、気象データ取得部7が取得した気象データを利用すると、より適切な最適解ルートを導出しうる。例えば、あるホールのショット方向に対して同じ方向に秒速1mの風が吹いている場合(日本ではフォローの風と称される)、制御部6は風速に応じてプレーヤーデータ格納部4に記憶されているプレーヤーの飛距離に例えば1.01などの係数を乗じて、飛距離情報を補正することができる。
【0030】
気象データは、プレーヤーが手動で入力してもよく、例えばホールの形状により風向きなどが刻々と変化する状況にも対応できる。
ケース1の側面には、打数登録部8が設けられている。この打数登録部8は、打数登録機能を有する打数登録ボタン8として構成されている。ケース1の上面には電源ボタン11を配置している。電源ボタン11は、電源のON/OFFはもちろんのことタッチパネル操作のロック/解除の切り替えボタン、プレー中に表示される画面からメニュー画面に戻るボタンとしても利用する。
【0031】
具体的には、電源OFFの状態で電源ボタン11を長押し(例えば2秒以上)されたことを制御部6が認識すると電源が入り、制御部6が表示部2に所定のメインメニュー画面(図6参照)を表示する。
また、電源ONの状態で電源ボタン11が長押しされたことを制御部6が認識すると、制御部6は所定の終了画面を表示部2に描画後、電源を切る。
打数登録ボタン8は、打数の登録に使用するボタンであり、このボタン8の操作に伴う具体的な制御部6の処理機能については後述する。
【0032】
また、打数登録ボタン8の代わりに、表示部2に打数登録アイコンを表示させるようにしてもよい。打数登録アイコンはプレー中に表示されるコースレイアウトの側に描画し(「打数登録アイコン」は、例えば図12の右下部に表示されている。)、打数登録アイコンをユーザーがタッチすることで打数を登録できるようにしてもよく、図1に示した機器の様に打数登録ボタン8を備えていなくても、表示部2のタッチパネル操作により打数が登録できるようにすることもよい。
【0033】
打数登録ボタン8、または、打数登録アイコンは、本発明の「打数登録部8」を構成するものである。
GPS衛星からの電波を受信するGPS受信部9は、ケース1の前側内部に実装される。GPS受信部9は、GPS信号を受信し現在位置(経度・緯度)を求める。
また、ケース1の側面には、開閉可能な端子カバー12が装着され、その端子カバー12を開くと、USB Type-C端子13が露出する。このUSB Type-C端子13にACアダプターを接続することで充電することができ、USBケーブルを接続してパソコンと接続してデータの送受が行える。端子については他の規格としてもよい。
【0034】
図2に示すように、ケース1内に設けられる記憶装置14は、演算結果を記録しておく
もので、着脱できない内部記憶装置でも良いし、SDメモリカード等の着脱可能な記録メディアを装着するためのスロット部(読み書きする機能を含む)でも良い。この記憶装置14を構成する記録媒体・装置は、実際の装置において、ゴルフ場データ格納部3およびプレーヤーデータ格納部4と共用してもよい。
【0035】
電池15は、充電池のように充電可能な二次電池とし、USB Type-C端子13から充電できるようにしている。制御部6は、地磁気センサー17の出力に基づき、本装置が向いている方位や角度を求める。
その他、本体1は無線通信部16と、マイクロ波センサー18等を備えている。
制御部6は、GPS受信部9からの現在位置情報に基づきゴルフ場データ格納部3にアクセスし、ゴルフ場に関する情報を取得し、出力装置に出力する制御を行う。表示部2は、係る出力装置を構成する。記憶装置14は、制御部6の実行結果等を記憶する。
【0036】
前記出力装置として、表示部2に表示する内容等を印字する印字部を備えることができる。
すなわち、表示部2は、本発明の入出力部2を構成するが、入出力部2の出力部2として印字部を備えることができる。
図3に示すものは、印字部又は外部印字装置により印刷されたスコアカードである。
【0037】
図3の左側の表は、No.1からNo.9ホールのアウトコースのスコア表であり、右側の表は、No.10からNo.18ホールのインコースのスコア表である。各表の右側欄の「PAR」は、そのゴルフ場が定めた基準打数(オフィシャルパー)である。通常、各ホールの「オフィシャルパー」は、ロングホールでは「5」、ミドルホールでは「4」、ショートホールでは「3」である。そのコースの全体のオフィシャルパーは「72」である。
【0038】
各表の「SHOT」と「PUTT」の「P・PAR」は、「パーソナルパー」である。「パーソナルパー」は、プレーヤーが定めたコース全体の目標スコアを達成できるようにした各ホールにおける「最適解」である。図3に示すスコアカードを表示部2に描画し、画面上でそのスコアカードにプレーヤーのスコアを入力できるようにしてもよい。なお、スコアカードは最適解をプレーヤーに提示するための実施例の1つである。
【0039】
図3では、コース全体の目標スコアを「99」とした場合の各ホールの「最適解」が示されている。例えば、アウトコースの1番ホールでは、ゴルフ場が定めた基準打数(オフィシャルパー)は「4」であるが、本実施の形態の支援システムにおいては、「目標スコア99」を入力することにより、1番ホールにおけるパーソナルパー(最適解)は、ショットが「5」、パットが「2」の小計「7」として求められる。
コース全体の目標スコアを達成できるように、前記ゴルフ場データ格納部3と前記プレーヤーデータ格納部4の属性データに基づき、ティーショットからカップインまでの各ホールにおける最適解を求める制御部6の機能については、さらに後述する。
【0040】
図4に示すものは、スコアカードの製造方法のフローチャートである。
スコアカード製造方法は、ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めたコース全体の目標スコアを取得するステップSaと、前記プレーヤーの属性データを取得するステップSbと、前記ゴルフコースの属性データを取得するステップScと、前記目標スコアを達成できるように、前記プレーヤー属性データと前記ゴルフコース属性データとから、ティーショットからカップインまでの前記ゴルフコースの各ホールにおける最適解を求めるステップSdと、前記最適解を表示するスコアカードを出力するステップSeと、を有する。
【0041】
目標スコア取得ステップSaは、本体1の入出力部2の入力部より、目標スコアを入力することで行われる。入力された目標スコアは、目標スコア取得部5に取得される。
プレーヤー属性データ取得ステップSbも、本体1の入出力部2の入力部より、プレーヤー属性データを入力することで行われる。入力されたデータは、プレーヤーデータ格納部4に格納される。
【0042】
ゴルフ場属性データ取得ステップScは、本体1の入出力部2の入力部より、ゴルフ場属性データを入力することで行われる。入力されたデータは、ゴルフ場データ格納部3に格納される。
最適解を求めるステップSdは、制御部6において行われる。
スコアカード出力ステップSeは、入出力部2のプリンタ等の出力部により行われる。
前記のスコアカード出力につき、他の実施の形態を説明する。
【0043】
図5は、スコアカード出力のためのシステムの概要である。図に示すように、ゴルフ解析アシスタント装置は、ユーザー端末Aとゴルフ場端末Bと情報処理装置CとがネットワークZを介して接続されている。
ユーザー端末Aは、プレーヤーが所有するもので、本体1を有する。この本体1は、スマートフォンなどの電子端末1aやパーソナルコンピュータ(PC)1bで構成されている。PC1bの入出力部2の出力部は、プリンタ2aとディスプレイ2bで構成されている。入出力部2の入力部2cはキーボードで構成精されている。
【0044】
ゴルフ場端末Bは、ゴルフ場に備えられるもので、PC1bで構成されている。
情報処理装置Cは、クラウドサーバとして構成され、図2に示す制御部6等を備えている。
ユーザー端末Aとゴルフ場端末Bと情報処理装置Cとで、図2に示す機能が達成されるよう構成されている。ユーザー端末Aは、アプリケーションがインストールされて動作するよう構成されている。
【0045】
ユーザー端末Aの入力部2cより、目標スコアやプレーヤー属性データが入力される。
ゴルフ場端末Bの入力部より、ゴルフ場属性データが入力される。
情報処理装置Cで処理されたものが、ユーザー端末Aの入出力部2に出力される。
すなわち、ユーザー端末Aの出力部のプリンタより、目標スコアを達成するための最適解がプリントアウトされた図3に示すようなスコアカードが出力される。
【0046】
なお、ゴルフ場端末Bにおいても、図3に示すスコアカードを出力することができる。この場合、プレーヤーがゴルフ場において、自分の目標スコアとプレーヤー属性データをゴルフ場に申請して、ゴルフ場端末Bから入力してもらう。そして、図3に示すようなスコアカードをゴルフ場端末Bから出力してもらうことができる。
ゴルフ場は、このようなスコアカード提供のサービスをすることにより、本発明に係るゴルフ支援装置を所有していないプレーヤーに対し、喜ばれる情報を提供することができる。
【0047】
また、ユーザー端末Aやゴルフ場端末Bは、コンビニエンスストアなどに設置されている複合機やマルチメディア端末などの出力装置(複合機端末E)や印刷会社などの出力装置(印刷機端末F)としてもよい。
また、紙などでできているスコアカードの代わりに、プレーヤーが所持している携帯電話やタブレットなどの電子端末にスコアカードを表示して、電子端末上でスコアを入力できるようにしてもよい。これらの電子端末が、例えばプレーヤーの脳に直接働きかけ脳内においてスコアカード情報をプレーヤーが認識できうる端末であれば、プレーヤーの脳内でスコア入力やスコア計算ができるようにしてもよい。
【0048】
すなわち、目標スコアを達成するための最適解を入出力部2から出力して、紙媒体や電子データとしてプレーヤーが認識できるように提示することで、プレーヤーが目標スコアを達成するために、より多くの有意な情報を得ることができる。
図6は、本件機器のメインメニュー画面の表示の例である。
画面上部には時刻19を表示し、右上には電池残量20を表示する。
【0049】
メインメニューとして表示部2に描画されるアイコンは、「最適解モード」、「プレーモード」、「最適コース検索」、「コース別技術情報」及び「設定」である。
「最適解モード」は、ユーザーの目標スコアからゴルフコースにおける最適解ルートを本装置に導出させるためのアイコンである。
「プレーモード」は、目標スコアを達成するための最適解ルートを参考にしてプレーする都度その最適解ルートを補正してプレー状況に応じた最適解ルートを本装置に提示させるためのアイコンである。
【0050】
「最適コース検索」は、目標スコアを達成しやすいゴルフ場情報を本装置に提示させるためのアイコンである。
「コース別技術情報」は、目標スコアを達成するためにユーザーが選択したゴルフ場で必要となる技術情報を本装置に提示させるためのアイコンである。
「設定」は、本装置に対して各種設定等を行うためのアイコンである。
【0051】
それぞれのアイコンに応じた制御部6の機能については、後述する。
以下、具体的な表示画面に基づき、制御部6の機能について説明する。
図7は、ゴルフ場データ格納部3に格納されているデータを可視化して、表示部2に表示した表示画面の例である。
ゴルフ場の各ホールの平面と立体のレイアウト情報などの属性データは、ゴルフ場などから提供され、ゴルフ場データ格納部3に「初期値」として格納されている。
【0052】
プレー当日のグリーンの位置や、ピンの位置のデータは、プレー当日に、入力部2より入力されて、ゴルフ場データ格納部3に「当日値」として格納される。この当日の入力は、無線通信での自動入力か、又は、プレーヤーによる入出力部2からの手動入力で行う。
制御部6は、プレーの前日においては、「初期値」を用いて表示部2に描画し、プレー当日においては、「当日値」を用いて表示部2に描画する。
【0053】
図7は、No.6ホールのレイアウトである。制御部6は、ゴルフ場データ格納部3にアクセスし、No.6ホールの情報を読み出し、表示部2に描画する。この表示部2に描画される表示画面の一例としては、図7等に示すように中央が平面図、下部が高低差図(断面図)になる。図示するように、表示画面全体に、グリーンが上に来るように現在プレー中のホールのレイアウトを描画する。高低差図は、ホールレイアウトを水平方向にとり、グリーンが右に来るようにティーイングエリア(X印)からグリーンまでを図示するように描画する。
【0054】
画面右下には、残り距離表示領域R1を設定している。すなわち、ゴルフ場データ格納部3には、グリーンの情報として、グリーンエッジの位置や、グリーン中央の位置が登録されている。そこで、グリーン中央にはアイコンGを重ねて描画し、制御部6は、ティーイングエリアとグリーン中央との間の距離(フェアウェイがある場合はその中心を通る距離)を求め、距離を表示する(図7では、X→G“327”)。Xはティーイングエリア、Gはグリーン中央、Eはグリーンエッジ位置である。このグリーン中央までの距離が、最適解を求める時の基準となる。この基準を例えばグリーンエッジ位置に変更するなどの設定は、プレーヤーが行うことができる。
【0055】
また、表示部2の表示画面の上方領域には、バッテリー残量を示すアイコンBと、ホール番号を示すアイコンNを表示している。右下R1領域には距離表示の単位を示すアイコンD(yd(ヤード)/m(メートル))を表示している。表示変更の設定は、ユーザーによって行う。さらに、その情報領域の上中央には、時刻表示をする。この中央領域に、プレー開始からの経過時間をあわせて表示してもよい。ゴルフプレーにおいてプレーファストは重要な要素であり、時間経過はその目安となる。
【0056】
画面左下には、各ホールにおけるショットとパットのパーソナルパー(最適解)とプレーヤーの打数を入力する表示領域L1を設定している。
プレー前日においては、制御部6は、ゴルフ場データ格納部3の「初期値」と、プレーヤーデータ格納部4のデータを用いて、目標スコアを達成するための最適解ルートを求める。ただし、プレー前においても、制御部6は、最適解ルートの導出にあたって、例えば週間天気予報などの気象データ取得部7が取得するデータを用いてもよい。
【0057】
プレー当日においては、制御部6は、ゴルフ場データ格納部3の「当日値」と、プレーヤーデータ格納部4のデータと、気象データ取得部7のデータを用いて、目標スコアを達成するための最適解ルートを求める。
図8は、最適解ルートの表示画面例である。
制御部6は、ゴルフ場データ格納部3とプレーヤーデータ格納部4と気象データ取得部7と目標スコア取得部5のデータを用いて、描画されたホールレイアウト上にプレーヤーの目標スコアを達成するための最適解ルートを描画する。
【0058】
表示された最適解ルートの軌跡の側には、それぞれの距離を併せて表示してもよく、さらに記録されているプレーヤーデータをもとに表示された距離に適したクラブの表示も併
せて行ってもよく、これらの設定はユーザーによって行う。
以下、制御部6の最適解や最適解ルートを求める機能につき、詳しく説明する。
図6のメニュー画面の「最適解モード」を選択する。このモードを選択すると、表示部2に入力画面が表示され、以後画面指示に従って操作する。
【0059】
図9に、その操作手順や制御部6の機能が示されている。
目標スコアを入出力部2より入力する(S1)。この実施の形態では、プレーヤーは「100」を切りたいと願っているので、目標スコアとして「99」を入力する。制御部6は、入力されたデータを目標スコア取得部5に格納する。
プレーヤーデータを入力する(S2)。プレーヤーの属性データの一例が、図10図11に示されている。これらデータは、手動又は自動で入力される。制御部6は、入力されたデータをプレーヤーデータ格納部4に格納する。
【0060】
プレーヤーデータ格納部4は、プレーヤーが使用する各ゴルフクラブにおける飛距離と、プレーヤー個人のヘッドスピード(スイングスピード)と、そのプレーヤーが過去にプレーしたゴルフ場でのプレー内容に関するデータ等を格納している。
初めてプレーする場合には、プレーヤーデータ格納部4にはプレーヤーの最大飛距離もしくはヘッドスピード(スイングスピード)情報を格納する。これらのデータは、プレーヤー自身が入力するか、マイクロ波センサー18によって計測し、このデータをプレーヤーデータ格納部4に記憶させる。
【0061】
プレーヤーデータ格納部4にプレー内容のデータが蓄積されればされるほど、プレーヤーのプレー傾向を反映したより正確な最適解ルートを導出しうる。なお、プレー前にプレーヤーは、クラブ別飛距離、ショットの方向性、クラブの得手不得手などのプレーに関する情報を入力できる。この入力された情報はプレーヤーデータ格納部4に記憶され、制御部6は最適解ルートの導出にあたってこれらの情報をもとに計算できる。
【0062】
プレー内容に関するデータは、例えば、制御部6が打数登録ボタン8の操作によりGPS受信部9から現在位置を取得した時に、その現在位置とティーイングエリアまたは補正が行われた位置から直前のショットの飛距離を計算してプレーヤーデータ格納部4に記憶させる。また、制御部6は、プレー中やプレー終了後にスコア合計や各ホールのショットとパット別の打数情報についてプレーヤーデータ格納部4に記憶させる。使用クラブ情報の取得については、RFID(Radio Frequency Identification)やジャイロシステムを利用した技術を用いる。前記技術を利用した場合、打数登録ボタン8の操作によらず、制御部6は自動的に打数登録部8に打数を登録することができる。
【0063】
さらに制御部6は、取得した過去のプレー内容から、ショットの方向性、クラブ別飛距離のばらつきなどを計算し、プレー時に取得した気象情報などの条件と共にプレーヤーデータ格納部4に記憶させる。
気象データが読み込まれる(S3)。制御部6は、読み込まれた気象データを気象データ取得部7に格納する。
【0064】
気象データは、気象庁等が発表している気象データを適時取得するものである。プレーの前日などにおいては、予報データを用いる。プレー中は、例えばホールの形状により風向きなどが刻々と変化する状況を入力する。入力は、手動、又は、無線通信による自動入力ができる。
ゴルフコースのデータを読み込む(S4)。制御部6は、読み込まれたゴルフ場のデータをゴルフ場データ格納部3に格納する。ゴルフ場の各ホールの平面と立体のレイアウト情報などの属性データは、ゴルフ場などより提供され、ゴルフ場データ格納部3に「初期値」として格納されている。
【0065】
プレー当日のグリーンの位置や、ピンの位置のデータは、プレー当日に、ゴルフ場データ格納部3に「当日値」として格納される。この当日値の入力は、無線通信での自動入力か、又は、プレーヤーによる手動入力で行う。
制御部6は、以上の各種データに基づき最適解を求める(S5)。
制御部6は、最適解に基づいて、目標スコア達成用最適解ルートを導出する(S6)。
【0066】
以下、最適解及び最適解ルートの導出につき、詳述する。
最適解は、ユーザーの目標スコアとその他条件(ゴルフ場属性・プレーヤー属性・気象条件など)に応じて、プレーするゴルフ場の各ホールにおいてユーザーが目標スコアを達成するために目指すべき打数(ショット数とパット数)を導出したものである。最適解ルートとは、その目指すべき打数に応じて導出されたティーイングエリアからグリーン上のホール(カップ・ピン)までのルートのことである。描画される最適解ルートはショットに関するものだけでも良いし、パットに関するものを含めてもよい。
【0067】
図8を用いて、コース全体の目標スコアが達成されるように各ホールにおける最適解(パーソナルパー)を求めるという、制御部6の機能を詳しく説明する。
図8に示す327ヤードのホールは、通常はミドルホールであり、このゴルフ場が定める基準打数(オフィシャルパー)は一般的には「4(「ショット2」+「パット2」)である。
【0068】
これに対し、図8では「最適解(パーソナルパー)が「ショット3」、「パット2」で、パーソナルパーの小計は「5」とされている(図8のNo.6ホール参照)。
パーソナルパーは、プレーヤーの目標スコアとプレーヤーが物理的に実現可能な最小打数の差を余剰打数とし、その余剰打数をホールに振り分けることで導出される。この物理的に実現可能な最小打数は、後述するプレーヤーの理論飛距離やプレーヤー自身が入力する飛距離や過去のプレーデータにおける最大飛距離などの飛距離に関するデータのいずれかを用いて計算されるものであり、必ずしも現実の飛距離に限定されるものではない。
【0069】
詳細は後述するが、例えば、ドライバーの飛距離が200ヤード、ティーアップをしない場合の最大飛距離が150ヤードのプレーヤーは、ティーイングエリアからグリーン中央まで350ヤードのホール(ゴルフ場が定める基準打数(オフィシャルパー)が4のホール)を「ショット2」+「パット2」でプレーすることが可能である。このホールが351ヤードの場合、このプレーヤーは「ショット3」+「パット2」でプレーすることが可能である。
【0070】
しかし、ゴルフの特徴は、プレーヤーの飛距離で理論的に最小打数が達成可能であったとしても、クラブ選択ミスや心理的プレッシャーなどから不要なリスクが生じてしまい、結果、目標とするスコアを逃がしてしまうことが十分にあることである。例えば、残り3ホールのところまでプレーを終え、目標スコアは十分に達成できるペースでプレーしていたにもかかわらず、突然スコアが崩れるなどの現象は多くのプレーヤーが経験していることである。そのため、プレーヤーが達成したいスコアに基づいて各ホールに余裕のある目標スコア(最適解)を提示することで、全体の目標スコア達成率を上げることができる。
【0071】
すなわち、全ホールでゴルフ場が定める基準打数(オフィシャルパー)でプレーできる飛距離を有しているプレーヤーは、オフィシャルパーの総計(多くの場合は72)が実現可能な最小打数(パット数が全ホール「2」の場合)となる。しかし、このプレーヤーがいつも100を切ることができない場合は、目標スコアを99などに設定することとなる。目標スコアが99であれば、目標スコアと実現可能最小打数の余剰は「99-72=27」となる。この余剰打数27をゴルフコースのレイアウトやプレーヤーの過去のプレー内容などを基にして各ホールのパーソナルパーを導出する。この時、さらに必要であればプレーヤーに関する統計学的要素や心理学的要素を用いて、各ホールのパーソナルパーの総計が目標スコアとなるように余剰を振り分ける。
【0072】
なお、入力された目標スコアがプレーヤーの飛距離では実現不可能な場合は、制御部6はプレーヤーの飛距離に応じた実現可能な目標スコアの最小値を算出し、その数値以上の目標スコアをプレーヤーが再入力できるようにするとよい。
以下、このホールの「パーソナルパー(3+2=5)」の求め方を図9のフローチャートに即して説明する。
【0073】
プレーヤーが目標スコアとして99を入力した場合、制御部6は、例えば次のデータを取得する。まずゴルフ場データ格納部3から、図8に示すプレーヤーが選択したゴルフ場のNo.6ホールにおけるティーイングエリアからグリーン中央まで(X→G)が327ヤードである距離に関するデータ。プレーヤーデータ格納部4から、例えばプレーヤーの最大飛距離が178ヤード、地面から打った(ティーアップしない)場合の最大飛距離が
163ヤード等のプレーヤーの飛距離に関するデータ。気象データ取得部7から、例えばゴルフ場周辺の風向きは東、風速は1m、気温が25℃である気象に関するデータなど。
【0074】
この場合、図8に示すNo.6ホールでは、このプレーヤーの飛距離(178+163=341ヤード>327ヤード)で物理的に可能なグリーンオンまでの最小打数は「2」となる。ここにパットの最小打数「2」を足した数の小計「4」がプレーヤーのホールアウトまでの最小打数(ベターパーソナルパー)となる。すなわち、図9に示す「S5-1」ステップである。この実施例では、ステップS5-1で、図10に示す理論飛距離に関するデータを用いる。この理論飛距離は、プレーヤーデータ格納部4に記録されているヘッドスピードから一般的に飛距離を求めるときに用いられる係数(ヘッドスピードm/s×5.5)によって自動計算してもよいし、プレーヤーが各クラブの最大飛距離として入力してもよい。図10には図示していないが、理論飛距離の代わりに、プレーヤーが入力した最大飛距離に関するデータや、過去のプレーデータにおける最大飛距離に関するデータなどを用いて計算してもよい。この設定はプレーヤーによって変更できる。
【0075】
なお、初期設定では「パット」の最小打数は常に「2」で固定しておく。この理由は、グリーン上において、ボールを転がしてカップに入れるパット動作は、ボールをカップに近づける動作(寄せ)とカップにボールを入れる動作(カップイン)の2打の要素によって構成されるためである。もちろん、パットが上手または下手なプレーヤーにおいては、プレーヤーの属性としてパットの情報が記録されていれば、後述(第4実施例)のようにこれも考慮して計算することもできるが、説明を簡単にするため、ここでは、「パットの打数2」を固定値として説明する。
【0076】
制御部6において、このような小計の計算を各ホールにおいて行い、全ホールの小計の総計を求める。この総計と目標スコアの99に差があるか、すなわち余剰打数があるかどうかを求める。
余剰打数がない場合は、「S5―2」のステップを行わず「S5-3」ステップとなる。すなわち、グリーンオンまでの最小打数とパットの最小打数の小計が各ホールのパーソナルパーとなる。このパーソナルパーが「最適解」である(「S5-3」ステップ)。
【0077】
余剰打数がある場合、制御部6はベターパーソナルパーを補正する(S5-2)。
図8に示すものでは、制御部6が、余剰打数があると判断した場合の結果である。すなわち、No.6ホールのベターパーソナルパー(小計)は、「4」であり、例えば全ホールの小計の総計が74となった場合である。
目標スコアが99であるので、余剰打数は「99-74=25」となり、この余剰打数をホールに割り当てていく。
【0078】
次に、制御部6は、プレーヤーデータ格納部4にクラブ別飛距離やスコアなどの過去のプレーデータが集積されている場合、その情報をもとにホールのベターパーソナルパーを補正して余剰打数を再設定する。再設定されたベターパーソナルパーと目標スコアの差(余剰打数)がなければ、このベターパーソナルパーが最適解となる。
さらに余剰打数がある場合は、統計学的要素、心理学的要素、ホール難易度などに応じて余剰打数をホールに振り分けて目標スコアと一致させる。
【0079】
例えば、プレーヤーデータ格納部4に図10の情報があったとする。プレーヤーのドライバー(1番ウッド)の理論飛距離は178ヤードだが、その成功率が10%で使用頻度が2%。スプーン(3番ウッド)の理論飛距離は163ヤード、成功率58%、使用頻度18%。これらのデータより、制御部6は、スプーンでティーショットする方が得意と判断すると、スプーンのティーショットの理論飛距離163ヤードを最大飛距離として再設定する。さらに制御部6は、アイアン(主に地面からボールを打つクラブ)の最大の理論飛距離は126ヤードだが、普段は108ヤード以上飛ぶアイアンを使っていないと判断するとアイアンの最大飛距離を108ヤードと再設定する。その結果、プレーヤーの物理的に可能なグリーンオンまでの最小打数を「3」と再設定する。そして、ここにパットの最小打数「2」を足した数「5」をプレーヤーのこのホールの最小打数(ベターパーソナルパー)と再設定する。この時、グリーンまでの最小打数「3」の内訳を、平均飛距離や乖離率などのデータをもとに、例えば1打目はスプーン(3W)で160ヤード、2打目
は8番アイアン(8I)で85ヤード、3打目は9番アイアン(9I)で82ヤードとして導出するとよい。なお、図10では、乖離率は各クラブの理論飛距離とプレーヤーの平均飛距離との割合、成功率は理論飛距離の75%以上の飛距離と最適解ルートに示したベクトルと実際のショットのベクトルの角度が9度以内であったショット数の割合、使用頻度は全ショットに対する各クラブの使用割合、として記録された場合のデータを例示している。ただし、図10図11はプレーヤーデータ格納部4に記録されているデータの例示であって、計算に用いる係数や記録される項目を変更してもよい。また、制御部6は最適解ルート上の2地点間(例えばティーショット位置と2打目の位置)に高低差がある場合は、2地点間の傾きに応じて一般的に計算される係数(打ち下ろし10mなら例えば飛距離×1.05)を用いてプレーヤーデータ格納部4のプレーヤーの飛距離情報を補正して計算してもよい。さらに、制御部6は、気象データ取得部7から取得した気象データにもとづき、前述のように風速などに応じてプレーヤーデータ格納部4のプレーヤーの飛距離情報を補正して計算してもよい。
【0080】
制御部6は、これらの再計算を各ホールに対して行い、各ホールのショットとパットの最小打数を小計する。制御部6は、その小計の総計が目標スコア99に合致すれば、各ホールのショットとパットの最小打数がそれぞれのホールにおける「パーソナルパー(最適解)」とする。
それでも目標スコア99に合致しない場合は、プレーヤーデータ格納部4にある図11の様なデータから、心理学的要素、統計学的要素、ホールの難易度などを加味して余剰打数をホールに振り分け、ショットとパットの最小打数の小計の総計を目標スコア99と合致させ、各ホールのパーソナルパー(最適解)を算出する(図9の「S5-3」)。なお、図11では、「PAR乖離」は、各ホールにおけるオフィシャルパーとプレーヤー個人のプレー実績(スコア)の差の平均値として、「ショットP・PAR乖離」は、各ホールにおけるショットの最適解(パーソナルパー)とプレーヤー個人のプレー実績(ショット打数)の差の平均値として、「分散順位」は、オフィシャルパーおよびショットのパーソナルパーを基準としたときのプレー実績の達成度の順位として記録された場合のデータを示している。図11に示すデータ例では、2番ホールは、オフィシャルパーとプレーヤーのスコアの乖離の平均値は2.4で全ホールの中で「+(正数)」の方向(基準をオーバー)に1番乖離が大きく、ショットに関するパーソナルパーとプレーヤーの打数の乖離の平均値は1.1で全ホールの中で「+(正数)」の方向(基準をオーバー)に2番目に乖離が大きい。これが複数のコースのデータの平均値である場合、プレーヤーは何らかの心理的要因で2番ホールのスコアが悪くなると推測できる。特定のコースのデータであれば、プレーヤーにとって2番ホールが最も難しいホールと推測できる。制御部6は、これらのデータに基づき、余剰を優先的に、2番ホールに割り当てる。例えば、このような計算をして、余剰を各ホールに割り当てて各ホールのパーソナルパーの総計を目標スコアと一致させる。
【0081】
この様な計算において求められた「パーソナルパー」が目標スコアを達成するための各ホールにおける「最適解」となり、最適解をルート化したものが「最適解ルート」となる(図9の「S6」)。
すなわち、最適解ルートは、前記ショット数を達成するための推奨クラブの種類の提示とその飛距離の提示を含むルートで構成されるものである。図8のNo.6ホールにおいては、ショット「3」の内訳が、スプーンのティーショットの飛距離160ヤード、8番アイアンの飛距離85ヤード、9番アイアンの飛距離82ヤードとして求められている。
【0082】
以上のようにして求めたNo.6ホールの最適解ルートは、図8に示すものとなる。
以上のことは最適解の求め方の第1実施例である。
第2実施例としては、例えば、ゴルフ場が定めるオフィシャルパーと目標スコアの余剰打数を、ホールごとの距離を比較して長いホール順にオフィシャルパーに加算して振り分けて目標スコアと一致させ、ホールごとのパーソナルパーを設定することもできる。
【0083】
第3実施例としては、ステップS5-1までは図9のとおりベターパーソナルパーを求め、そこで求めた余剰打数をゴルフ場が定めたホールごとのホール難易度の上位ホールか
ら振り分けて目標スコアに一致させホールごとのパーソナルパーを設定することもできる。
第4実施例として、オフィシャルパーが「72」のコースで目標スコアが「99」で余剰打数が「27」であり、プレーヤーデータ格納部4に過去のプレー内容において1ホールあたりのパター数が例えば「2」を超えていた場合、全18ホールにそれぞれ余剰打数「1」を振り分けて、グリーンの広さに応じて広いホールから残りの余剰打数「9」を割り振ってホールごとのパーソナルパーを設定することもできる。
【0084】
すなわち、これらの実施例の様な要素をもとに、余剰打数を割り振るための優先順位をホールに対して付していくプログラムにより、パーソナルパー(最適解)を算出する。
なお、プレー前に導出される最適解ルートは、図8のようにティーイングエリアからグリーン中央までのルートでフェアウェイの中央を通るルートとなるように描画される。フェアウェイのないホールでは、ホールの中央を通るルートか、グリーン中央までの直線ルートとして描画するとよい。
【0085】
プレーヤーは、プレー前日などに前記導出された最適解ルートを見て、プレーのためのイメージトレーニングをすることもできる。
プレー開始前は、制御部6は、ティーイングエリアに対応する位置にプレーヤーアイコンXを重ねて描画する。プレー中は、プレーヤーのいる場所に対応する位置にプレーヤーアイコンXを描画する。
【0086】
また、図示された水平図には、ゴルフ場データ格納部3に登録されているコース情報より、制御部6は、ティーイングエリアもしくはプレーヤーアイコンXとグリーンとの水平距離を求め、ティーイングエリアからグリーンまでの高低差、現在位置からコース内におけるバンカーなどのポイントとなる地点までの高低差、現在位置とグリーンまでの高低差も表示する。図示される水平図と平面図は表示の仕方をプレーヤーの設定により変更することができる。
【0087】
また、制御部6は、グリーン上のピン位置(カップ位置)に対応する箇所に旗アイコンPを描画する。このとき、ティーイングエリアもしくはプレーヤーアイコンXとカップ位置やグリーンエッジやバンカーなどポイントとなる地点までの距離を求め、それらの距離をコースレイアウト上や残り距離表示領域R1と併せて表示してもよい(図8では、X→P332、X→E315、バンカー等ポイントとなる地点に177など)。これらの表示は、ユーザーの設定により変更できる。
【0088】
なお、これらの手順によらず、例えば最初にゴルフ場の設定するデータのみから目標スコアになるように各ホールのパーソナルパーを導き出し、そのパーソナルパーを達成するためにプレーヤーデータから、プレーヤーに適した飛距離の分配とクラブ選択をすることもできる。また、制御部6は、S5-1~S5-3のように算出処理を完結させるフェーズと算出処理を目標スコアに応じて止めるフェーズに分けた多段階算出法によって最適解を求めても良いし、全データを用いて一段階算出法により最適解を求めてもよい。図9におけるフローは最適解および最適解ルート導出の一例を示したものである。
【0089】
パーソナルパーの導出にあたって最初に算出されたベターパーソナルパーをそのプレーヤーの実現可能最小打数として、最適解ルートと併せて表示することもよい。
すなわち、プレー前における最適解および最適解ルートの導出は、プレーヤーが目標スコアを入力し、ゴルフ場を選択すると、制御部6は、ゴルフ場データ格納部3のゴルフコースの平面と立体のレイアウト情報と、グリーンやハザードのコース上の対象物の位置情報と、プレーヤーデータ格納部4のプレーヤーが使用する各ゴルフクラブにおける飛距離とヘッドスピードと、過去にプレーしたプレー内容に関するデータを用いて、目標スコアが達成されるようにティーショットからカップインまでのホールごとの最適解(パーソナルパー)を、各ホールにおけるグリーンオンまでのショット数とグリーン上のパット数の小計を全ホールで合計した総計と目標スコアが一致するように算出し、求めたホールごとの最適解のショット数を達成するために適したゴルフクラブの種類とその飛距離を求めて最適解ルートとして表示部2に描画する。
【0090】
この時、気象データ取得部7が取得した風向きや風速などの気象情報がある場合、制御
部6はこの情報もあわせて最適解と最適解ルートを計算できる。
本実施の形態によれば、プレーヤーは、前記画面を見てそのホールを攻略することにより、目標スコアを達成することができる。
しかし、最適解ルートのとおりのプレーをすることは困難である。そこで、本発明では、各ショットの後に、最適解ルートを補正することにより、目標スコアを達成できるようにしている。
【0091】
最適解ルートを補正するには、図6に示すメニュー画面の「プレーモード」を選択する。この選択で、表示部2の画面は、図12に示すようなものになる。
図12に示すものは、プレー中における最適解補正ルートの表示画面である。
この実施の形態では、本体1は、打数登録部8である打数登録ボタン8とGPS受信部9とを有し、補正部6aを有する制御部6は、打数登録ボタン8の操作によりGPS受信部9から現在位置を取得すると目標スコアを達成するために最適解ルートの補正を開始し、表示部2に現在位置Xからの補正を行った最適解補正ルートを表示するようにしたものである。
【0092】
また、表示部2は、コースの平面レイアウト、断面レイアウト、最適解ルート、残り距離表示領域R1、最適解表示領域L1、現在位置Xから次の目標に向かう方向指示線Tを描画するものである。
すなわち、打数登録部8のスイッチ操作等に基づき、打数を登録するとともに、その地点におけるそのホールの最適解ルートを補正することができる。
【0093】
具体的には、プレー開始後、例えば1番ホールのティーショットの時点で導出されていた目標スコア「99」を達成するための最適解ルート上とは違う場所から第2打をプレーする際に、プレーヤーが打数登録部8のボタンを押すと、補正部6aを有する制御部6は打数登録ボタン8が短く(例えば1秒)押されたことを認識する。制御部6はその時の現在地XをGPS受信部9から取得する。同時に制御部6は2打目地点であることを認識するので、図12のL1領域のプレーヤー打数枠に打数を表示するとよい。さらに補正部6aを有する制御部6は、ゴルフ場データ格納部3とプレーヤーデータ格納部4と気象データ取得部7と目標スコア取得部5にアクセスし、X地点から目標スコア「98」として最適解ルートを再導出し、ホールレイアウト上に描画する。すなわち、目標スコア「99」からショットをした回数、つまり「1」を減じた目標スコアの残り「98」打として最適解ルートを導出する。
【0094】
なお、この再導出方法については、図13を用いて後述する。
このとき、元から描画されていた最適解ルートを消去して上書きするが、元から描画されていた最適解ルートとプレーヤーの軌跡を半透明や点線等により描画するようにしてもよい。
これらの表示は、ユーザーの設定により変更できる。特殊なティーイングエリアからや特殊な状況などでプレーしなければならない場合には、補正部6aを有する制御部6は打数登録ボタン8を短くその回数だけ押されたことを認識すると、打数を上書きし、ボタン8が押された地点から最適解ルートを補正して、表示部2に描画する。意図せず打数登録ボタン8が押された時は、例えば打数登録ボタン8を長押し(例えば3秒)すると、打数修正アイコンを表示部2に描画し、修正したり、取り消したりする処理を制御部6が行えるようにしてもよい。
【0095】
各ホールにおいてティーイングエリアから初めてショットをする前に、GPS受信部9から得る位置情報に基づきティーイングエリアにプレーヤーが移動したことを制御部6が認識した場合に、表示部2に次のホールの最適解ルートを描画するとよい。
取得した気象データに基づき、風向、風速、気温、湿度を画面右上の表示領域W1に表示してもよく、この設定はユーザーによって変更できる。
【0096】
打数登録ボタン8を短く押されたことを制御部6が認識した場合で、GPS受信部9から現在位置を取得した地点がグリーン上であった場合、取得した現在位置がグリーン上から次のホールに移動するまでの間に打数登録ボタン8を短く押された情報を制御部6が取得したものは、パッティングを行った打数として処理され、表示部2のL1領域のプレー
ヤー打数のパット数枠に加算して表示されうる。表示部2のL1領域におけるプレーヤー打数の入力は、ホールアウトした後など、いつでもユーザーの設定により入力および修正することができる。またL1領域は、図8の様に詳細に表示してもよいし、図12の様に簡単に表示してもよい。
【0097】
L1領域に入力されたプレーヤー打数は、いつでも集計したりパーソナルパーや目標スコア等と対比して表示部2に表示することができ、例えばゴルフ場に備え付けられているスコアカードのように描画表示してもよい(図3)。表示部2のL1領域に表示されるパーソナルパーは、プレー中に補正したり、ショットとパットのパーソナルパーの間でユーザーの設定により振り分けることができるようにしてもよい。
【0098】
さらに制御部6は、地磁気センサー17の出力に基づき、本装置が向いている方向を検出し、その方向を矢印からなる方向指示線Tとしてホールレイアウトに重ねて描画する。この方向指示線Tの起点は、現在位置(プレーヤーアイコンX)である。
打数登録ボタン8を短く押したことを制御部6が認識した際、GPS受信部9から取得した現在位置は、記憶装置14に記録する。この記録は、ユーザーの設定により上書きや消去したり、USB Type-C端子13にUSBケーブルを接続してパソコンと接続してデータを送受できる。
【0099】
また、制御部6は、プレーヤーが移動する軌跡をコースレイアウト上に表示できるが、補正部6aを有する制御部6が打数登録ボタン8を短く押されたことを認識し、元から描画されていた最適解ルートを補正した際の地点を制御部6は記憶装置14から出力して、その地点とティーイングエリアやそのホールにおいて前に打数登録ボタン8を短く押した地点との距離や軌跡を表示することもできる。
【0100】
この距離表示は、プレーの軌跡を表示部2のコースレイアウト上に描画する際に、軌跡の横に表示するとよい(図12では、171)。
以上のように、ショットごとに、最適解ルートを補正することにより、目標スコアを達成しやすくすることができる。
なお、制御部6の他の機能は、例えば、日本国公開特許公報「特開2018-11992号公報」で開示されたものと同様なものとすることができる。
【0101】
図13は、プレー中における補正部6aを有する制御部6の最適解補正ルートの導出のためのフローチャートである。
最適解補正フローは、プレー開始ステップS10と、打数登録部操作ステップS11と、現在位置更新ステップS12と、最適解再計算ステップS13と、最適解ルート補正ステップS14を有する。
【0102】
プレー開始ステップS10において、ユーザーは、表示部2に描画されるメインメニュー画面のプレーモードを選択し、目標スコアを入力し、プレーするゴルフ場を選択するか、もしくは、GPS受信部9が取得した位置情報をもとにプレーするゴルフ場を制御部6が特定すると、制御部6はユーザーがプレーすることを認識し、プレーを終了するまでユーザーのプレーに応じて最適解ルートを補正して提示するフローを開始する。
【0103】
このとき、最適解モードを選択し目標スコアを入力しており、入力したゴルフ場と制御部6がGPS受信部9を通じてユーザーが同じゴルフ場にいると判断した場合は、プレーモードをユーザーが選択することなく、制御部6はプレーモードに自動的に切り替える様にしてもよい。
打数登録部操作ステップS11は、プレー中に打数登録ボタン8を短く押すと、現在位置更新ステップS12として補正部6aを有する制御部6はGPS受信部9にアクセスし、最適解再計算ステップS13としてその位置から目標スコアを達成するための最適解を求め、最適解ルート補正ステップS14としてその位置からの新たな最適解ルートを導出して、図12に示す画面を表示部2に表示させるものである。
【0104】
具体的には、プレー開始後、例えば最初のティーショットの時点で導出されていた目標スコア「99」を達成するための最適解ルート上とは違う場所から第2打をプレーする際に、プレーヤーが打数登録部8のボタンを押すと、補正部6aを有する制御部6はGPS受信部9から2打目のショット位置を取得し、その地点からティーショットの打数「1」
を減じた目標スコア「98」として最適解ルートを再導出する。同様に次のショット以降も最適解ルートの補正をプレー終了まで行う。
【0105】
制御部6は気象データ取得部7にアクセスし、その時の気象情報を取得することで、より目標スコアを達成しやすい最適解ルートに補正することができる。
これらの補正は、プレー途中におけるプレーヤーのその時点までのスコア合計と、その時点までのパーソナルパーの総計に差が生じても行われる。なお、プレー途中で目標スコアが達成できなくなった場合には、プレー前に導出された最適解ルートを提示し続けてもよいし、目標スコアを訂正して入力し直すようにしてもよく、この設定はユーザーによって行う。
【0106】
すなわち、プレー中における最適解および最適解ルートの補正の導出は、プレーヤーがプレー中に打数登録ボタン8を押すと、補正部6aを有する制御部6は、GPS受信部9が受信したその位置情報と、気象データ取得部7が取得した風向きや風速などの気象情報を用いて、そのショット位置以降の最適解を目標スコアが達成できるように求めなおし、その最適解に基づく最適解ルートを表示部2に描画する。
【0107】
以下は図示省略するが、本装置は、ユーザーたるプレーヤーがプレー中に行ったショット位置をGPS受信部9から取得した位置情報として記憶装置14に記憶しておき、制御部6はそれらの位置情報からユーザーのプレー中における飛距離を算出し、算出した飛距離がプレーヤーデータ格納部4に記録されているデータとずれが生じていると制御部6が認識した場合、補正部6aを有する制御部6はプレー中に記憶装置14に記録されたユーザーの飛距離に応じて、最適解ルートを補正してユーザーの現時点のコンディションに合わせた最適解ルートを再導出するようにしてもよい。
【0108】
さらに、プレー中に目標スコアを修正する場合、電源ボタン11を短く2回押すと制御部6は表示部2にメニュー画面を描画し、表示されたメニューから目標スコアのラウンド中修正アイコンを選択し、修正する目標スコアをユーザーが入力したことを制御部6が認識すると、制御部6は修正した目標スコアに応じた最適解ルートを、プレー前に最適解ルートを導出したフローと同じ手法にて改めて導出する。プレーのどの時点においても、目標スコアの修正と、パーソナルパーのショットとパット間やホール間でのユーザーによる任意の振り分けを行えるようにしておくとよい。
【0109】
ユーザーは目標スコアを目指してプレーするが、プレーを楽しむことが好ましい。本装置は、ユーザーのスコアを記録するだけでなく、ユーザーの目標スコアを達成するために導出された最適解に対して、ユーザーが挑みホールごとの実際の結果との勝ち負けを記録するマッチプレー方式として表示領域L1に表示することもよい。すなわち、図14に示すようなマッチプレー方式を表示領域L1に表示する。
【0110】
プレー中にユーザーが打数登録ボタン8を短く押したことを制御部6が認識して補正されたショットに関する最適解ルートは、ユーザーがグリーン上に到達したとGPS受信部9を通じて制御部6が認識した場合は、そのホールにおける最適解ルートの補正を終了するとよい。
ゴルフ場データ格納部3にグリーンの地形情報が含まれている場合であって、グリーン上で打数登録ボタン8が短く押される等、制御部6がGPS受信部9のデータよりグリーン上にユーザーがいることを認識した場合、各ホールにおけるパーソナルパーをもとにグリーン上におけるパットの最適解ルートを導出し表示部2に表示してもよい。この表示の方法は、商品化されているゴルフゲームの様に表示してもよい。
【0111】
なお、パットの最適解ルートを導出しない場合は、プレーヤーはパットの打数を表示部2から入力してもよいし、打数登録ボタン8をパットの打数に応じて押すようにしてもよい。
図15は、制御部6の他の機能を示すもので、目標スコアを達成するために適したゴルフコースの導出のためのフローチャートである。
【0112】
このフローは、目標スコア入力(S20)、プレーヤーデータ読込(S21)、気象データ読込(S22)、ゴルフコースデータ読込(S23)、ゴルフコース別に各ホールにおける目標スコア達成用最適解の導出(S24)、最適解導出フローにおける目標スコアとの余剰を整理(S25)、及び、目標スコアが達成しやすいゴルフコースを表示(S26)の各ステップを有する。
【0113】
この実施の形態では、ゴルフ場データ格納部3は、複数のゴルフ場のデータを格納しており、制御部6は、複数のゴルフ場の中から目標スコアを達成できそうなゴルフ場の候補を選択し、提示することができるものである。
すなわち、表示部2のメインメニュー画面に描画される最適コース検索アイコンを選択し、ユーザーが達成したい目標スコアを入力する(S20)。
【0114】
目標スコアが入力されたことを制御部6が認識すると、制御部6はゴルフ場データ格納部3とプレーヤーデータ格納部4と気象データ取得部7にアクセスし(S21~S23)、各ゴルフコースにおいてユーザーの目標スコアに応じた最適解を導出する(S24)。
この計算されるフローにおいて、各ホールに設定もしくは再設定されるショットとパットの最小打数(ベターパーソナルパー)の総計と目標スコアの余剰を算出する(S25)。例えば、目標スコアが99でAコースのベターパーソナルパー総計が89、Bコースでは95、Cコースでは83であった場合、余剰は順に10、4、16となる。余剰の多いコースから整列させ、目標スコアがより達成しやすいコースを順列C→A→Bで示す(S26)。図16は、これら導出結果を表示したときの一例である。
【0115】
すなわち、目標スコアが達成しやすいゴルフ場の導出は、プレーヤーが目標スコアを入力すると、制御部6は、ゴルフ場データ格納部3に格納されている複数のゴルフ場のデータから、目標スコアを達成できうるゴルフ場を選択して表示部2にその結果を表示する。
なお、最適解を導出する際に、制御部6は目標スコアがプレーヤーデータ格納部4に記録されている飛距離に関するデータからは物理的に実現不可能と判断した場合は、目標スコアを再入力できるようにするとよい。
【0116】
リスト化された目標スコアを達成できうるゴルフコースは、ユーザーの現在位置を中心に距離別(例えば、半径50km圏内など)に表示できるようにしてもよい。
リスト化された目標スコアを達成できうるゴルフコースの中から、ユーザーが選択したコースを記憶装置14に記録し、ユーザーがそのゴルフコースでプレーする時に、GPS受信部9の取得した位置情報がそのゴルフコースの所在と一致したことを制御部6が認識すると、目標スコアなどを入力や、メインメニュー画面においてプレーモードの選択をせずとも、自動的にプレーモードが開始されるようにしてもよい。
【0117】
図17は、制御部6の他の機能を示すもので、ゴルフコースにおける目標スコアを達成するための技術情報を導出するためのフローチャートである。
このフローは、最適解導出フローS5-1まで計算(S30)、余剰を「0」にするためにプレーヤー飛距離を補正(S31)、飛距離情報を提示する(S32)の各ステップを有する。
【0118】
すなわち、ユーザーは、ゴルフコース格納部3に記憶されているゴルフコースにおいて、目標スコアを達成したい場合に、メインメニューのコース別技術情報アイコンを選択し、目標スコアを入力し、目標スコアを達成したいゴルフコースを選択すると、その入力を制御部6が認識し、ゴルフコースの属性から目標スコアを達成するために必要となるユーザーの最大飛距離等を導出し、表示部2に表示する(S32)。
【0119】
例えば、目標スコアが80と入力された場合、最適解ルート導出フローのS5-1ステップまでの計算を行い目標スコアとベターパーソナルパーの余剰を算出する。この算出では各ホールのベターパーソナルパーのパット数は2で固定しておく。ベターパーソナルパーの総計が75であれば余剰は「5」、82であれば余剰は「-2」である。余剰が「0」以上の場合は、導出された最適解ルートの飛距離情報を提示する。余剰が「-(負数)」の場合、余剰が「0」になるように、プレーヤーの飛距離の補正を行う。この補正には、公知のクラブ別飛距離係数を用いるとよい。算出された飛距離の補正分やプレーヤーの飛距離と補正飛距離の差を、例えばドライバーの必要飛距離213ヤード、飛距離差15ヤードの様にプレーヤーに提示する。
【0120】
余剰が「-(負数)」になった場合、余剰が「0」になるベターパーソナルパーの情報を提示してもよいし、目標スコアを修正するような表示を行ってもよい。導出された飛距
離情報とプレーヤーデータ格納部4の情報をもとに、例えばプレーヤーが得意とする100~150ヤードのショットを8回要するなどのショットに関するデータを併せて提示してもよい。
【0121】
図9を用いて、本発明のゴルフ解析アシスタント方法の実施の形態を説明する。
ゴルフ解析アシスタント方法は、ゴルフコースにおけるプレーヤーが定めた目標スコアを取得するステップS1と、プレーヤーの属性を取得するステップS2と、気象データを取得するステップS3と、ゴルフ場の属性を取得するステップS4と、前記目標スコアを達成できるように、前記プレーヤーの属性とゴルフ場の属性と気象データとから、ティーショットからカップインまでのプレーヤーの最適解を求めるステップS5と、前記最適解ルートを導出して表示するステップS6とを備えている。この方法は、制御部6によって実行される。
【0122】
目標スコア取得ステップS1は、ユーザー(プレーヤー)が、表示部2に描画されるメインメニュー画面の最適解モードアイコンもしくはプレーモードアイコンを選択し、続いて目標スコアを入力するものである。
プレーヤーの属性を取得するステップS2は、プレーヤーデータ入力ステップS2-1、詳細データ読み込みステップS2-2、及び、計測ステップS2-3を有する。
【0123】
ユーザーの属性情報は、詳細に記録されているほど、最適解ルートがプレーヤーの望む目標スコアを達成するために、より最適に提示されることになるので、プレーヤーデータ格納部4に保存されているショットやパットの特性などの情報を、必要な時に制御部6によって取り込むステップS2-2を備えることが望ましい。
計測ステップS2-3は、スイングスピードや打ち出された球の情報を計測して入力するステップである。
【0124】
このステップS2-3は、全くプレーをしたことがないユーザーや自分の飛距離がわからない場合は、スイングスピードや打ち出されたボールの情報を計測し、プレーヤーの属性として入力するものである。マイクロ波センサー18により計測したスイングスピード(クラブのヘッドスピード)やドップラー効果による計測モデルを有する外部機器によって得られる打ち出されたボールの情報は無線通信部16を介してプレーヤーデータとして使用することができる。ステップS2-1では、プレーヤーが各クラブの飛距離やヘッドスピードなどの情報を入力することができる。例えば、気象データ取得部7が取得した気温データが氷点下で普段よりもボールが飛ばないとプレーヤーが感じた場合に、各クラブの飛距離を10%減じるよう入力することもできる。
【0125】
気象データを取得するステップS3は、気象データを読み込むものである。このステップS3は、気象データ取得部7が、気象庁等が発表している気象データを適時取得するものである。プレー前においても、例えばプレー予定のゴルフ場周辺の週間天気予報などの気象データを取得することで、より目標スコアを達成しやすい最適解ルートを導出できる。
【0126】
ゴルフ場の属性を取得するステップS4は、プレーヤーが選択したゴルフ場のコースレイアウト等のデータを、ゴルフ場データ格納部3から読み込むものである。
最適解を求めるステップS5は、各ホールにおけるベターパーソナルパーを設定するステップS5-1、プレーヤーデータからベターパーソナルパーを補正するステップS5-2、及び、目標スコアに基づいてベターパーソナルパーから各ホールの最適解(パーソナルパー)を設定するステップS5-3を有する。ステップS5は、最適解の導出であり、目標スコアを入力し、ゴルフコースを選択した後、プレーヤーの属性が入力された時もしくは記録されている時に、制御部6によって導出される。
【0127】
最適解ルートを導出して表示するステップS6は、表示部2に図8に示すような画面を表示されるものである。
すなわち、導出されたパーソナルパーに応じた目標スコアを達成するためのホールにおける最適な飛距離情報とその飛距離に応じたクラブ情報を基とした、ティーイングエリアからグリーンオンまでのショットのルートを表示部2に視覚化してユーザーに提示する。
【0128】
導出された各ホールにおけるパーソナルパーは、表示部2に表示されるコースレイアウ
トと同時に表示(領域L1)してもよいし、前記表示領域にショットの距離やパットの距離を併せて表示してもよいし(図8等)、前記表示距離と共にクラブの種類の情報を表示してもよいし(図8)、プレーヤーの特性などにより各ホール間、ショットとパット間で振り分けなおしてもよい。振り分ける際は、プレーヤーデータ格納部4のデータに基づいて自動で振り分けるか、ユーザー自らが振り分けるか、この設定はユーザーが行う。
【0129】
以下は、制御部6の他の機能の説明である。
図18は、制御部6の複数点間距離表示機能を示す表示画面である。
複数点間距離表示機能は、確認したい地点を指定(タッチとスライド)することで、指定した地点間の距離を求め、求めた距離を表示する機能である。これにより、コース上の任意の区間距離を確認することができる。
【0130】
これは、例えば制御部6は、前記現在位置Xから目標地点までの距離表示機能で示されたコースレイアウト上で表示された直線部をユーザーがタッチしたことを認識すると、その直線上に○印(○の中に1を表示)を表示させ、もしくは表示した「丸1印」をユーザーが指定する地点までスライドさせたことを認識すると、現在位置と指定した地点
(「丸1印」)と目標地点までの直線もしくは折れ線を表示させ、それぞれの地点間において直線の傍に距離表示領域R5として地点間の距離を表示する。
【0131】
さらに直線上をタッチしたことを制御部6が認識すると、追加の○印(例えば○の中に2字を表示)を表示させ、同様の表示処理を行う。この○印および距離表示は、○印の表示と同時に表示部2に描画されるクリアアイコンB3をタッチすれば、元の表示に戻す処理を行う。
図18中の○の傍にある矢印は元ある直線上に出現する○印を図中の「丸1印」や「丸2印」の位置にスライドさせる動作のイメージとして便宜上記している。すなわち、実際の表示画面ではユーザーが画面をタッチした際に○印が表示され、ユーザーが○印を目的地まで画面上をスライドさせ終わったら「丸1印」が出現するものである。
【0132】
この状態で、制御部6は、表示された小アイコンB1/大アイコンB2が押されたことを認識すると、コースレイアウトを縮小/拡大して描画する。
これにより、コース上の任意の地点間の距離を知ることができ、最適解ルートおよび補正された最適解ルート以外に、ユーザー独自のコースの攻略方法を探るのに有益な情報が得られる。
【0133】
図19は、制御部6の任意地点(目標地点)までの距離表示機能を示す表示画面である。
例えば図7などに示すように、ゴルフナビゲーションのコースを表示中に、コース上の任意の場所をタッチする。すると、図19に示すように、制御部6は、そのタッチした箇所に目標位置を示すマークT(○にT字を重ねたもの)を描画する。そして、制御部6は、現在位置Xアイコンからタッチした地点までの距離を求め、コースレイアウト上に直線で示した傍の表示領域R3にその距離を表示する(図では“145”)。また制御部6は、これと同時にそのタッチした地点からグリーン中央G・エッジ位置E・ピン位置P等までの残り距離を算出し、コースレイアウト上に直線で示した傍の表示領域R4に表示する。
【0134】
さらに制御部6は、図19に示すように表示画面に、小アイコンB1,大アイコンB2,戻るアイコンB4を描画し、制御部6は、小アイコンB1/大アイコンB2が押されたことを認識すると、コースレイアウトを縮小/拡大して描画する。
また、この機能と、バンカーなどのコース上の現在位置からポイントまでの距離表示を併せることで、ボールを飛ばすことで、スコアを悪くしてしまうエリアまでの現在位置からの距離を知ることができ、ユーザーがショットをする際に使用するクラブの種類選択に対して、有益な情報とすることができる。
これら情報や機能、形態は、例えば、特開2018-11992号公報で開示されたものと同様なものとすることができる。
【0135】
本実施形態のゴルフ解析アシスタント装置は、ユーザーの求める目標スコアを達成するための最適な指標として、ユーザーの定めた目標スコアを達成しやすいゴルフコースをリ
スト化したり、プレーを望むゴルフ場におけるユーザーの定めた目標スコアを達成するために必要となる飛距離情報を表示したり、ユーザーの求める目標スコアを達成するための最適解ルートを実際のゴルフコースのコースレイアウト上に表示したり、現在位置を測位しユーザーの移動とともに、現在位置やグリーン中央までの距離等をリアルタイムに通知したり、するゴルフ解析アシスタント装置である。実際のゴルフコースをコースレイアウト上に表示したり、現在位置を測位しプレーヤーの移動とともに、現在位置やグリーンまでの残り距離等をリアルタイムに通知したりする装置は、広義にはゴルフナビゲーション装置などとも称されるが、本発明におけるゴルフ解析アシスタント装置は、広義なゴルフナビゲーション装置の機能を含むゴルフアシスタント装置と称することもできる。
【0136】
なお、本発明は、ゴルフ解析アシスタント装置、又は、ゴルフ解析アシスタント方法の手順、手段、機能をコンピュータに実行、機能、実現させるためのゴルフ解析アシスタントプログラムを含むものである。
このプログラムは、スマートフォンやPC(パーソナルコンピュータ)のアプリケーションとして用いられる。このアプリケーションを搭載(インストール)したスマートフォンやパソコン等は、本発明のゴルフ解析アシスタント装置を構成する。
【0137】
今回開示した実施例の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。例えば、本体は、図20に示すような腕時計型であってもよい。また、多くのユーザーが利用できるように、ゴルフカートに備え付けるのが好ましい。さらに、個人が所有する電子端末で使用できるよう、アプリケーションとして提供するとよい。
利便性を向上させるために、音声認識システムを用いることでプレーヤーが本体に入力する作業を自動化してもよいし、最適解ルートの情報などをアイウェア端末やイヤホンなどに出力して、プレーヤーが本体を見なくてもゴルフプレーの支援情報を得られるようにしてもよい。さらに、ドローンなどに備え付けたカメラでプレーヤーのプレーを常に追跡したり、コースにカメラを備え付けてプレーの様子をカメラに収めたりした情報から、プレーヤーのショット回数、使用クラブ、飛距離、弾道の軌跡などのプレー状況が判断できる外部装置からの情報を取得し、それらの情報を最適解ルートの提示とともに表示したり、プレーヤーデータとしてプレーヤーデータ格納部4に自動的に取得できるような仕様にしてもよい。
【0138】
また、導出された最適解ルートどおりにプレーするために、プレーヤーの動作を補助できるゴルフウェアや器具などを制御する外部装置と本体を連動させ、プレーヤーのプレー動作を補助することで、最適解ルートどおりのプレーができるような仕様にしてもよい。この仕様では、身体に障害があるプレーヤーなどのプレー支援も行うことができるし、遠隔地にいるプレーヤーでもゴルフロボットなどと連動させることで、誰でもゴルフプレーを楽しめる環境を提供できる。
【0139】
従来のゴルフナビゲーションシステムは、プレーヤーの目標スコアによらず、単にゴルフコースにおける複数の攻略法を提示するに過ぎなかったが、本件発明はプレーヤーの目標スコアを達成するために攻略の最適解を導出して提示し、プレー中にはその最適解を状況に応じて補正し新たな最適解を導出して提示するシステムである。
本件発明は、目標スコアを達成するための最適解を、紙や電子などの媒体を問わずプレーヤーに提示するものである。
【0140】
本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0141】
1 本体(ケース)
2 入出力部(入力部、出力部、表示部)
3 ゴルフ場データ格納部
4 プレーヤーデータ格納部
5 目標スコア取得部
6 制御部
6a補正部
7 気象データ取得部
8 打数登録部(打数登録ボタン)
9 GPS受信部
11 電源ボタン
12 端子カバー
13 USB Type-C端子
14 記憶装置
15 電池
16 無線通信部
17 地磁気センサー
18 マイクロ波センサー
19 時刻
20 電池残量
B バッテリー残量アイコン
D 距離表示アイコン
E グリーンエッジ
G グリーン中央
L1 最適解表示領域
R1 残り距離表示領域
N ホールアイコン
P ピン位置
T 方向指示線
W1 気象表示領域
X ティーイングエリア(現在位置)
S1 目標スコアを取得するステップ
S2 プレーヤーの属性を取得するステップ
S2-1 プレーヤーデータ入力ステップ
S2-2 詳細データ読み込みステップ
S2-3 計測ステップ
S3 気象データを取得するステップ
S4 ゴルフ場の属性を取得するステップ
S5 最適解を求めるステップ
S5-1 ベターパーソナルパーを設定するステップ
S5-2 補正するステップ
S5-3 最適解を導出するステップ
S6 最適解ルートを導出するステップ
S10 プレー開始ステップ
S11 打数登録部操作ステップ
S12 現在位置更新ステップ
S13 最適解再計算ステップ
S14 最適解ルート補正ステップ
S20 目標スコア入力ステップ
S21 プレーヤーデータ読み込みステップ
S22 気象データ読み込みステップ
S23 ゴルフコースデータ読み込みステップ
S24 目標スコア達成用最適解の導出ステップ
S25 余剰整理ステップ
S26 目標スコアが達成しやすいゴルフコースを表示ステップ
S30 最適解導出フローS5-1まで計算ステップ
S31 プレーヤー飛距離を補正ステップ
S32 飛距離情報を提示ステップ
Sa コース全体の目標スコアを取得するステップ
Sb プレーヤーの属性データを取得するステップ
Sc ゴルフコースの属性データを取得するステップ
Sd 目標スコアを達成できるように各ホールにおける最適解を求めるステップ
Se 最適解を表示するスコアカードを出力するステップ
Z ネットワーク
1a スマートフォンなどの電子端末
1b パーソナルコンピュータ(PC)
2a プリンタ
2b ディスプレイ
2c キーボード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20