(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】天然に存在しない三次元(3D)褐色脂肪由来幹細胞凝集物、およびこれを生成し、使用する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0775 20100101AFI20240712BHJP
A61K 35/28 20150101ALI20240712BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240712BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20240712BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240712BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20240712BHJP
A61K 47/30 20060101ALI20240712BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240712BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240712BHJP
A61P 5/00 20060101ALI20240712BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240712BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240712BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240712BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
C12N5/0775
A61K35/28
A61K47/36
A61K9/50
A61K47/38
A61K47/46
A61K47/30
A61K47/10
A61P3/00
A61P5/00
A61P9/00
A61P1/16
A61P3/04
A61P3/10
(21)【出願番号】P 2021564135
(86)(22)【出願日】2020-04-29
(86)【国際出願番号】 US2020030520
(87)【国際公開番号】W WO2020223381
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2021-12-16
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514005227
【氏名又は名称】バイオリストーラティブ セラピーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シルバ, フランシスコ ハビエル
【審査官】西村 亜希子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/147853(WO,A1)
【文献】特表2014-520531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0202234(US,A1)
【文献】特表2011-525797(JP,A)
【文献】特開2015-181925(JP,A)
【文献】特表2018-533364(JP,A)
【文献】Acta Biomater.,2018年,Vol.71,pp.486-495
【文献】Stem Cells,2014年,Vol.32, No.2,pp.572-581
【文献】Cytotherapy,2014年,Vol.16,pp.485-495
【文献】Biotechnol. Adv.,2015年,Vol.33,pp.962-979
【文献】PLOS ONE,2008年,Vol.3,Issue2,e1565
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/
A61K
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
褐色脂
肪由来幹細胞からなる天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を作製する方法であって、前記方法は、
二次元(2D)培養において増殖させた褐色脂肪由来幹細胞を、非接着性培養プレートの中に装填する工程;
前記非接着性培養プレートを遠心分離して、前記褐色脂肪由来幹細胞を前記非接着性培養プレートの中で均一に配置させ、それによって、天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程であって、前記凝集物が褐色脂
肪由来幹細胞からなる、工程;
デキサメタゾン、3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX)およびトリヨードサイロニン(T3)を含む脂肪細胞分化培地、またはトリヨードサイロニン(T3)およびロシグリタゾンを含む脂肪細胞分化培地の非存在下で、前記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を分化させる工程、
を包含する方法。
【請求項2】
前記装填する工程の前に、増殖培地を使用して、二次元(2D)培養において前記褐色脂肪由来幹細胞を培養する工程、
をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成した後に、前記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を封入システムの中に装填する工程;
をさらに包含し、
前記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を分化させる工程の後に、前記方法が、
前記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中
で分化さ
せ;そして、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程であって、
前記第1の分化培地が、デキサメタゾン、IBMX、およびT3を含み、前記第2の分化培地が、T3およびロシグリタゾンを含む、工程、
をさらに包含する、方法。
【請求項4】
前記封入システムは、アルギネートマイクロカプセル、セルロースヒドロゲル、赤血球、多孔性ポリマー膜、3D生物学的足場、ポリマー、PEGベースのヒドロゲル、非ヒドロゲルビーズ、およびマトリゲルからなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記封入システムは、封入医療デバイスである、請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本出願は、天然に存在しない3D褐色脂肪由来幹細胞(BADSC)凝集物、上記3D BADSC凝集物を作製する方法、および上記3D BADSC凝集物を使用する方法を提供する。
【0002】
関連出願
本出願は、2019年4月29日出願の米国仮出願第62/840,096号(これは、その全体において本明細書に参考として援用される)の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
背景
代謝障害(例えば、肥満症)の有病率は、過去数十年間にわたって劇的に増大しており、世界的に拡がっている。2030年までに、米国人のうちの50%超が肥満症に罹患し、経済的生産性において5000億ドル超もの喪失を生じると推測される。肥満症は、II型糖尿病、高血圧症、心血管疾患、変形性関節症、およびある特定の形態のがんの主要なリスク因子である。現在の治療アプローチ、例えば、カロリー制限、および運動は、エネルギー摂取を低減および/またはエネルギー消費を増大させようとする患者の自制心に大きく依存し、肥満症の患者において効果を制限している。減量外科手術は、40を超えるボディーマス指数(BMI)を有する患者において体重減少および罹病率/死亡率の低下という点で、唯一の臨床上証明された治療である;しかしそれは、関連するリスク、高コストがあり、患者の栄養摂取および物理的活動の適切な管理を要求する。肥満症および他の代謝障害に対処しようとしている全世界の研究者および医療専門家の努力にもかかわらず、肥満症の患者および他の代謝障害を有する患者を処置するための現在の治療選択肢を増加させ得る、エネルギー消費を増大させる代替方法がなお必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
この節は、本開示の概要を提供し、その全範囲またはその特徴の全てを網羅するものではない。
【0005】
天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物が本明細書で提供される。三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物は、分化培地の非存在下で1またはこれより多くの褐色脂肪細胞遺伝子を発現する褐色脂肪由来幹細胞を含む。
【0006】
天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を含む封入システムがまた、本明細書で提供される。上記三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物は、分化培地の非存在下で1またはこれより多くの褐色脂肪細胞遺伝子を発現する褐色脂肪由来幹細胞を含む。
【0007】
天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を作製する方法が本明細書で提供される。本方法は、二次元(2D)培養において増殖させた褐色脂肪由来幹細胞を、非接着性培養プレートの中に装填する工程;および上記非接着性培養プレートを遠心分離して、上記褐色脂肪由来幹細胞を上記非接着性培養プレートの中で均一に配置させ、それによって、三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程、を包含する。
【0008】
封入システムにおいて三次元褐色脂肪組織を作製する方法もまた本明細書で提供される。本方法は、天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を上記封入システムの中に装填する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程、を包含する。
【0009】
障害を有する患者を処置する方法もまた、本明細書で提供される。本方法は、天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を封入システムの中に装填する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および上記褐色脂肪組織を、上記障害を有する上記患者へと送達する工程、を包含する。
【0010】
前述の要旨は、例証に過ぎず、限定であるとは如何様にしても意図されない。本明細書で記載される例証的な例示および特徴に加えて、本開示のさらなる局面、例、目的および特徴は、図面および詳細な説明および請求項から十分に明らかになる。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物であって、ここで前記三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物は、分化培地の非存在下で1またはこれより多くの褐色脂肪細胞遺伝子を発現する褐色脂肪由来幹細胞を含む、天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物。
(項目2)
前記1またはこれより多くの褐色脂肪細胞遺伝子は、PPARα、PPARγ、PGC1β、PRDM16、CEBPD、CEBPB、CEBPΑ、TFAM、PGC1α、およびPGC1βからなる群より選択される、項目1に記載の天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物。
(項目3)
前記凝集物は、非接着環境において形成する、項目1に記載の天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物。
(項目4)
凝集物は、エキソソーム、マイクロRNA、サイトカイン、タンパク質、およびアディポカインからなる群より選択される細胞外生物製剤を生成する、項目1に記載の天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物。
(項目5)
項目1に記載の天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を含む封入システム。
(項目6)
前記封入システムは、アルギネートマイクロカプセル、セルロースヒドロゲル、赤血球、多孔性ポリマー膜、3D生物学的足場、ポリマー、PEGベースのヒドロゲル、非ヒドロゲルビーズ、およびマトリゲルからなる群より選択される、項目5に記載の封入システム。
(項目7)
前記封入システムは、封入医療デバイスである、項目5に記載の封入システム。
(項目8)
天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を作製する方法であって、前記方法は、
二次元(2D)培養において増殖させた褐色脂肪由来幹細胞を、非接着性培養プレートの中に装填する工程;および
前記非接着性培養プレートを遠心分離して、前記褐色脂肪由来幹細胞を前記非接着性培養プレートの中で均一に配置させ、それによって、三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程、
を包含する方法。
(項目9)
前記装填する工程の前に、酸素正常状態または低酸素状態下で増殖培地を使用して、二次元(2D)培養において前記褐色脂肪由来幹細胞を培養する工程、
をさらに包含する、項目8に記載の方法。
(項目10)
封入システムにおいて三次元褐色脂肪組織を作製する方法であって、前記方法は、
天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程;
前記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を前記封入システムの中に装填する工程;
前記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および
前記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程、
を包含する方法。
(項目11)
前記封入システムは、アルギネートマイクロカプセル、セルロースヒドロゲル、赤血球、多孔性ポリマー膜、3D生物学的足場、ポリマー、PEGベースのヒドロゲル、非ヒドロゲルビーズ、およびマトリゲルからなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記封入システムは、封入医療デバイスである、項目10に記載の方法。
(項目13)
前記第1の分化培地は、デキサメタゾン、IBMX、およびT3を含む、項目10に記載の方法。
(項目14)
前記第2の分化培地は、T3およびロシグリタゾンを含む、項目10に記載の方法。
(項目15)
障害を有する患者を処置する方法であって、前記方法は、
天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程;
前記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を封入システムの中に装填する工程;
前記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;
前記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および
前記褐色脂肪組織を、前記障害を有する前記患者へと送達する工程、
を包含する方法。
(項目16)
前記封入システムは、アルギネートマイクロカプセル、セルロースヒドロゲル、赤血球、多孔性ポリマー膜、3D生物学的足場、ポリマー、PEGベースのヒドロゲル、非ヒドロゲルビーズ、およびマトリゲルからなる群より選択される、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記封入システムは、封入医療デバイスである、項目15に記載の方法。
(項目18)
前記第1の分化培地は、デキサメタゾン、IBMX、およびT3を含む、項目15に記載の方法。
(項目19)
前記第2の分化培地は、T3およびロシグリタゾンを含む、項目15に記載の方法。
(項目20)
前記障害は、代謝障害、内分泌障害、心血管障害、または肝疾患である、項目15に記載の方法。
(項目21)
前記代謝障害は、肥満症または糖尿病である、項目20に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本特許または特許出願は、少なくとも1枚のカラーで制作した図面を含む。カラー図面付きの本特許または特許出願公報の写しは、請求および必要な料金を支払えば、当庁によって提供される。
【0012】
天然に存在しない3D褐色脂肪由来幹細胞(BADSC)凝集物、上記3D BADSC凝集物の作製方法、および上記3D BADSC凝集物の使用方法の種々の局面は、本明細書中に開示および記載され、添付の図面を参照することによってよりよく理解され得る。
【0013】
【
図1A-C】
図1A~1Mは、鎖骨上皮下脂肪組織および縦隔脂肪組織の生検物から単離し、それらが褐色脂肪細胞へと分化する能力に関して評価した13のヒト褐色脂肪由来間葉系幹細胞(BADSC)集団(BF-1 ~ BF-13)を示す。これらのBADSC集団を、明視野(上のパネル)およびオイルレッドO染色(ORO)(中央のパネル)を介して評価した。
図1Aは、ヒトBADSC集団BF-1を示す。図1Bは、ヒトBADSC集団BF-2を示す。図1Cは、ヒトBADSC集団BF-3を示す。
【0014】
【
図1D-F】
図1A~1Mは、鎖骨上皮下脂肪組織および縦隔脂肪組織の生検物か
ら単離し、それらが褐色脂肪細胞へと分化する能力に関して評価した13のヒト褐色脂肪由来間葉系幹細胞(BADSC)集団(BF-1 ~ BF-13)を示す。これらのBADSC集団を、明視野(上のパネル)およびオイルレッドO染色(ORO)(中央のパネル)を介して評価した。図1Dは、ヒトBADSC集団BF-4を示す。図1Eは、ヒトBADSC集団BF-5を示す。図1Fは、ヒトBADSC集団BF-6を示す。
【0015】
【
図1G-I】
図1A~1Mは、鎖骨上皮下脂肪組織および縦隔脂肪組織の生検物か
ら単離し、それらが褐色脂肪細胞へと分化する能力に関して評価した13のヒト褐色脂肪由来間葉系幹細胞(BADSC)集団(BF-1 ~ BF-13)を示す。これらのBADSC集団を、明視野(上のパネル)およびオイルレッドO染色(ORO)(中央のパネル)を介して評価した。図1Gは、ヒトBADSC集団BF-7を示す。図1Hは、ヒトBADSC集団BF-8を示す。図1Iは、ヒトBADSC集団BF-9を示す。
【0016】
【
図1J-K】
図1A~1Mは、鎖骨上皮下脂肪組織および縦隔脂肪組織の生検物か
ら単離し、それらが褐色脂肪細胞へと分化する能力に関して評価した13のヒト褐色脂肪由来間葉系幹細胞(BADSC)集団(BF-1 ~ BF-13)を示す。これらのBADSC集団を、明視野(上のパネル)およびオイルレッドO染色(ORO)(中央のパネル)を介して評価した。図1Jは、ヒトBADSC集団BF-10を示す。図1Kは、ヒトBADSC集団BF-11を示す。
【0017】
【
図1L-M】
図1A~1Mは、鎖骨上皮下脂肪組織および縦隔脂肪組織の生検物か
ら単離し、それらが褐色脂肪細胞へと分化する能力に関して評価した13のヒト褐色脂肪由来間葉系幹細胞(BADSC)集団(BF-1 ~ BF-13)を示す。これらのBADSC集団を、明視野(上のパネル)およびオイルレッドO染色(ORO)(中央のパネル)を介して評価した。図1Lは、ヒトBADSC集団BF-12を示す。図1Mは、ヒトBADSC集団BF-13を示す。
【0018】
【
図2A】
図2Aは、AD-1培養培地中での分化前のBADSC集団BF-1(Pre Diff AD-1); AD-1培養培地中での分化後のBADSC集団BF-1(Post Diff AD-1); AD-2培養培地中での分化前のBADSC集団BF-1(Pre Diff AD-2);およびAD-2培養培地中での分化後のBADSC集団BF-1(Post Diff AD-2)のUCP-1発現を示す。ヒト褐色脂肪組織を、陽性コントロールとして使用した(ヒトBAT)。ヒト白色脂肪組織を、陰性コントロールとして使用した(SubQ WATおよびVisc. WAT)。
【0019】
【
図2B】
図2Bは、StemPro
TM、AD-1、またはAD-2培養培地のいずれかの中での分化の15日後の、BADSC集団BF-1のqPCRを介したUCP
1のmRNAの発現を示す。
【0020】
【
図2C】
図2Cは、StemPro
TM
、AD-1、またはAD-2培養培地のい
ずれかの中での分化の15日後の、BADSC集団BF-1のqPCRを介したFABP4のmRNAの発現を示す。
【0021】
【
図2D】
図2Dは、StemPro
TM
、AD-1、またはAD-2培養培地のい
ずれかの中での分化の15日後の、BADSC集団BF-1のqPCRを介したアディプシンのmRNAの発現を示す。
【0022】
【
図2E】
図2Eは、StemPro
TM
、AD-1、またはAD-2培養培地のい
ずれかの中での分化の15日後の、BADSC集団BF-1のqPCRを介したレプチンのmRNAの発現を示す。
【0023】
【
図2F-K】
図2Fは、AD-2培養培地中で分化したBADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、
ペリリピンに結合する抗体を使用してペリリピン(緑
)に関して免疫染色
した。
図2Gは、AD-2培養培地中で分化したBADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、IgGコントロール抗体を使用してペリリピン(緑)に関して免疫染色した。図2Hは、AD-2培養培地中で分化したBADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、UCP1に結合する抗体を使用してUCP1(赤)に関して免疫染色した。図2Iは、AD-2培養培地中で分化したBADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、IgGコントロール抗体を使用してUCP1(赤)に関して免疫染色した。図2Jは、AD-2培養培地中で分化したBADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、ペリリピンおよびUCP1に関して免疫染色し、DAPI(青)で対比染色した。図2Kは、AD-2培養培地中で分化したBADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、ペリリピンおよびUCP1に関して免疫染色し、DAPI(青)で対比染色した。
【0024】
【
図2L-Q】
図2Lは、AD-2培養培地中で
分化したBADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、
ミトコンドリアに結合する抗体を使用してミトコンドリア(緑
)に関して免疫染色
した。
図2Mは、AD-2培養培地中で分化BADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、IgGコントロール抗体を使用してミトコンドリア(緑)に関して免疫染色した。図2Nは、AD-2培養培地中で分化したBADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、UCP1に結合する抗体を使用してUCP1(赤)に関して免疫染色した。図2Oは、AD-2培養培地中で分化したBADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、IgGコントロール抗体を使用してUCP1(赤)に関して免疫染色した。図2Pは、AD-2培養培地中で分化したBADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、ミトコンドリアおよびUCP1に関して免疫染色し、DAPI(青)で対比染色した。図2Qは、AD-2培養培地中で分化したBADSC集団BF-1を示す。分化を誘導して15日後に、細胞を固定し、ミトコンドリアおよびUCP1に関して免疫染色し、DAPI(青)で対比染色した。
【0025】
【
図2R】
図2Rは、DAPIを使用して1視野あたりの総細胞数を定量して、ペリリピン陽性細胞のパーセンテージとして定義したBADSC集団BF-1の脂肪細胞分化効率(% 分化)の定量を示す。
図2Rはまた、UCP1に関して陽性であるペリリピン陽性細胞のパーセンテージとして定義したBADSC集団BF-1の褐色脂肪細胞分化効率(% 褐色)の定量を示す。
【0026】
【
図3A-C】
図3Aは、(1)2DにおけるBADSC集団BF-1、(2)24時間での3DにおけるBADSC集団BF-1;および(3)48時間での3DにおけるBADSC集団BF-1に関してqPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(PPARa
)の遺伝子発現レベルを示す。
図3Bは、(1)2DにおけるBADSC集団BF-1、(2)24時間での3DにおけるBADSC集団BF-1;および(3)48時間での3DにおけるBADSC集団BF-1に関してqPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(PPARg)の遺伝子発現レベルを示す。図3Cは、(1)2DにおけるBADSC集団BF-1、(2)24時間での3DにおけるBADSC集団BF-1;および(3)48時間での3DにおけるBADSC集団BF-1に関してqPCRによって決定した、褐色脂肪細胞マーカー(PGC1a)の遺伝子発現レベルを示す。
【0027】
【
図3D-F】
図3Dは、(1)2DにおけるBADSC集団BF-1、(2)24
時間での3DにおけるBADSC集団BF-1;および(3)48時間での3DにおけるBADSC集団BF-1に関してqPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(PGC1b)の遺伝子発現レベルを示す。図3Eは、(1)2DにおけるBADSC集団BF-1、(2)24時間での3DにおけるBADSC集団BF-1;および(3)48時間での3DにおけるBADSC集団BF-1に関してqPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(PRDM16)の遺伝子発現レベルを示す。図3Fは、(1)2DにおけるBADSC集団BF-1、(2)24時間での3DにおけるBADSC集団BF-1;および(3)48時間での3DにおけるBADSC集団BF-1に関してqPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(CEBPd)の遺伝子発現レベルを示す。
【0028】
【
図3G-I】
図3Gは、(1)2DにおけるBADSC集団BF-1、(2)24
時間での3DにおけるBADSC集団BF-1;および(3)48時間での3DにおけるBADSC集団BF-1に関してqPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(CEBPb)の遺伝子発現レベルを示す。図3Hは、(1)2DにおけるBADSC集団BF-1、(2)24時間での3DにおけるBADSC集団BF-1;および(3)48時間での3DにおけるBADSC集団BF-1に関してqPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(CEBPa)の遺伝子発現レベルを示す。図3Iは、(1)2DにおけるBADSC集団BF-1、(2)24時間での3DにおけるBADSC集団BF-1;および(3)48時間での3DにおけるBADSC集団BF-1に関してqPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(TFAM)の遺伝子発現レベルを示す。
【0029】
【
図4A】
図4Aは、封入システムにおける3工程の3D褐色脂肪細胞分化プロトコールの模式的ダイアグラムを示す。
【0030】
【
図4B】
図4Bは、形成後24時間のBAGの顕微鏡写真(5×倍率)を示す。
【0031】
【
図4C】
図4Cは、収集後のBAGの顕微鏡写真(5×倍率)を示す。
【0032】
【
図4D】
図4Dは、封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20の写真を示す。
【0033】
【
図4E】
図4Eは、BAGを装填した封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20の写真を示す。
【0034】
【
図4F】
図4Fは、封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20の内部で分化する生BAGの顕微鏡写真(10×倍率)を示す。
【0035】
【
図4G】
図4Gは、封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20の内部で分化するBAGの切片を示す。その切片は
、ヘマトキシリンおよびエオシン染
色を使用して示
した。
【0036】
【
図4H】
図4Hは、封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20
の内部で分化するBAGの切片を示す。その切片は、明視野を使用して示した。
【0037】
【
図4I-L】
図4Iは、封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN
20の内部で分化するBAGの切片を示す。その切片は、ペリリピン(緑)、UCP1(赤)に関する免疫染色およびDAPI(青)での対比染色を使用して示した。図4Jは、封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20の内部で分化するBAGの切片を示す。その切片は、DAPI(青)での染色を使用して示した。図4Kは、封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20の内部で分化するBAGの切片を示す。その切片は、ペリリピン(緑)に関する免疫染色を使用して示した。図4Lは、封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20の内部で分化するBAGの切片を示す。その切片は、UCP1(赤)に関する免疫染色を使用して示した。
【0038】
【
図4M-N】
図4Mは、qPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(FABP4
)の遺伝子発現レベルを示す。qPCRに使用したRNAを、D0(分化されていない)においてBAGから、およびD25で封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20内に位置したBAGから集めた(
図4Aを参照のこと)。
図4Nは、qPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(アディプシン)の遺伝子発現レベルを示す。qPCRに使用したRNAを、D0(分化されていない)においてBAGから、およびD25で封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20内に位置したBAGから集めた(図4Aを参照のこと)。
【0039】
【
図4O-P】
図4Oは、qPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(PPAR
g)の遺伝子発現レベルを示す。qPCRに使用したRNAを、D0(分化されていない)においてBAGから、およびD25で封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20内に位置したBAGから集めた(図4Aを参照のこと)。図4Pは、qPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(CEBPa)の遺伝子発現レベルを示す。qPCRに使用したRNAを、D0(分化されていない)においてBAGから、およびD25で封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20内に位置したBAGから集めた(図4Aを参照のこと)。
【0040】
【
図4Q-R】
図4Qは、qPCRによって決定した、脂肪細胞マーカー(レプチン
)の遺伝子発現レベルを示す。qPCRに使用したRNAを、D0(分化されていない)においてBAGから、およびD25で封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20内に位置したBAGから集めた(図4Aを参照のこと)。図4Rは、qPCRによって決定した、褐色脂肪細胞マーカー(UCP1)の遺伝子発現レベルを示す。qPCRに使用したRNAを、D0(分化されていない)においてBAGから、およびD25で封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20内に位置したBAGから集めた(図4Aを参照のこと)。
【0041】
【
図4S-T】
図4Sは、qPCRによって決定した、褐色脂肪細胞マーカー(PG
C1a)の遺伝子発現レベルを示す。qPCRに使用したRNAを、D0(分化されていない)においてBAGから、およびD25で封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20内に位置したBAGから集めた(図4Aを参照のこと)。図4Tは、qPCRによって決定した、褐色脂肪細胞マーカー(ELOVL3)の遺伝子発現レベルを示す。qPCRに使用したRNAを、D0(分化されていない)においてBAGから、およびD25で封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20内に位置したBAGから集めた(図4Aを参照のこと)。
【0042】
【
図4U-V】
図4Uは、qPCRによって決定した、褐色脂肪細胞マーカー(CI
DEA)の遺伝子発現レベルを示す。qPCRに使用したRNAを、D0(分化されていない)においてBAGから、およびD25で封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20内に位置したBAGから集めた(図4Aを参照のこと)。図4Vは、qPCRによって決定した、褐色脂肪細胞マーカー(COX10)の遺伝子発現レベルを示す。qPCRに使用したRNAを、D0(分化されていない)においてBAGから、およびD25で封入医療デバイス、Encaptra(登録商標) EN20内に位置したBAGから集めた(図4Aを参照のこと)。
【0043】
【
図5A】
図5Aは、マトリゲルのみを移植したマウスと比較して、マトリゲル中に封入したBATを移植したマウスのグルコース負荷試験(GTT)を示すグラフである。
【0044】
【
図5B】
図5B~Cは、
図5Aに記載されるGTT実験において生成したデータを表す表である。
【0045】
【
図5C】
図5B~Cは、図5Aに記載されるGTT実験において生成したデータを
表す表である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
詳細な説明
本開示のある特定の例示的局面はここで、本明細書で開示される天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物および方法の構造、機能、製造および使用の原理の全体的な理解を提供するために記載される。これらの局面の1またはこれより多くの例は、添付の図面において図示される。当業者は、本明細書で具体的に記載され、添付の図面において図示される天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物および方法が、非限定的な例示的局面であり、本開示の種々の例の範囲が、請求項によってのみ規定されることを理解する。1つの例示的局面と関連して図示または記載される特徴は、他の局面の特徴と組み合わされ得る。このような改変およびバリエーションは、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0047】
天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物および上記天然に存在しない3D BAGを作製する方法
【0048】
天然に存在しない三次元BADSC凝集物または「BAG」は、本明細書で開示される。上記BAGは、BADSCが細胞接着性組織培養フラスコの中でそれらの二次元(2D)培養物から除去され、非接着性培養プレートに添加され、遠心分離された後に、上記BADSCから形成される3D構造物である。遠心分離後に、上記凝集物は、均一である。均一の細胞凝集物は、より効率的かつ一貫した分化を提供し、封入システムへの装填をより容易にする。さらに、均一な凝集は、より正確な細胞数およびより正確な投与量を提供する。
【0049】
2Dにおいて増殖したBADSCは、組織接着性細胞培養フラスコ中で細胞が拡大する場合は常に、BADSCの天然の状態である。2Dにおいて増殖培地中で培養したBADSCは、多分化能性であり、幹細胞として機能する。2Dにおいて増殖した上記BADSCは、凝集物を形成できない。なぜならそれらは、細胞培養フラスコへと付着し、次いで、所望されない非脂肪細胞タイプへと分化し、最終的には、アポトーシスカスケードおよび細胞死を誘導するからである。
【0050】
BADSCは、2D培養において細胞凝集物を形成できないが、上記BADSCがそれらの2D組織接着性環境から除去されかつ非接着環境に置かれる場合は常に、上記で記載されるように、上記細胞は3D凝集物を形成する。上記BADSCは、凝集される場合には、3Dにおいて互いとおよびそれらの架橋と連絡し得る細胞のクラスターを形成する。
【0051】
上記BAGは、拡大およびさらに凝集されて、人工褐色脂肪組織または人工白色脂肪組織になり得る。上記BAGは、AD-1中で分化される場合、白色脂肪組織になり得る。AD-1は、10% ウシ胎仔血清(FBS, HyClone, GE Healthcare, Life Sciences, Little Chalfont, Buckinghamshire, UK)、5μM デキサメタゾン(MP Biomedicals, Santa Ana, California, USA)、500μM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX, Sigma-Aldrich, St. Louis, Missouri, USA)、860nM インスリン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、125nM インドメタシン(Sigma-Aldrich)、1nM トリヨードサイロニン(T3, Sigma-Aldrich)、1μM ロシグリタゾン(Sigma-Aldrich)、100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、および2mM L-グルタミン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)を補充したDMEM低グルコース(Gibco, Thermo Fisher Scientific)から構成される血清ベースの分化培地である。
【0052】
上記BAGは、AD-2中で分化される場合、褐色脂肪組織になり得る。AD-2は、2工程のゼノフリー、無血清の化学的に規定された分化培地である。第1の工程において、BADSCは、第1の分化培地であるAD-2 DIFF-1培養培地(これは、DMEM/Ham’s F12培地(1:1)(Lonza Group AG, Basel, Switzerland)、25mM HEPES緩衝液(Lonza Group AG)、2mM L-グルタミン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、1μM デキサメタゾン(MP Biomedicals)、100μM IBMX(Sigma-Aldrich)、860nM インスリン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、0.2nM T3(Sigma-Aldrich)、10μg/ml アポ-トランスフェリン(Sigma-Aldrich)、100ユニット/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)を含む)中で増殖される。第2の工程において、3日後に、上記AD-2 DIFF-1培養培地を、第2の分化培地であるAD-2 DIFF-2(ゼノフリー、無血清の化学的に規定された分化培地(これは、DMEM/Ham’s F12培地(1:1)(Lonza Group AG)、25mM HEPES緩衝液(Lonza Group AG)、2mM L-グルタミン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、860nM インスリン(Gibco, Thermo Fisher
Scientific)、0.2nM T3(Sigma-Aldrich)、10μg/ml アポ-トランスフェリン(Sigma-Aldrich)、100ユニット/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)ならびに100nM ロシグリタゾンを含む)と交換した。
【0053】
これらのBAGは、白色または褐色細胞外生物製剤(例えば、エキソソーム、マイクロRNA、サイトカイン、タンパク質、アディポカイン)を生成し得る細胞工場として働き得る。
【0054】
3D BAGの遺伝子発現
【0055】
BAGは、分化培地の非存在下で、脂肪細胞マーカー(PPARα、PPARγ、PGC1β、PRDM16、CEBPd、CEBPb、CEBPa、およびTFAM)および褐色脂肪細胞マーカー(PGC1α)をアップレギュレートする。
【0056】
BAGの形成は、CEBPおよびPPARファミリーに由来する転写因子および補因子の増大した発現を生じ、これは、脂肪生成および褐色化の主なレギュレーターである(
図3A~3I)。「褐色化(browning)」とは、BAGがAD-2培地中での分化後にUCP-1を発現する能力に言及する。
【0057】
早期の脂肪細胞分化転写因子CEBPDおよびCEBPBは、3D培養において24時間後に増大されたのに対して、CEBPAは、3D培養において48時間後に顕著に増大した。PPARα(脂肪酸酸化の主なレギュレーター)およびPGC1α(褐色脂肪細胞におけるミトコンドリア呼吸および熱生成のレギュレーター)はともに、3D培養において24時間後に増大したのに対して、PPARγ、PRDM16、TFAMまたはPGC1βの発現における顕著な増大は観察されなかった。
【0058】
これらのデータは、3D BAGの形成が、BADSC凝集物を脂肪生成および褐色脂肪表現型へと傾倒させるので、上記BAGが、脂肪細胞分化培地の非存在下で、褐色脂肪分化の経路を歩み始めていることを示唆する。
【0059】
BATの送達システムとしての封入システム
【0060】
BAT質量および/または活性を増大させるために褐色脂肪組織(BAT)をヒトへと移植することは、エネルギー浪費によってエネルギー消費を増大させる潜在的方法として出現した。BATをヒトへと移植するというこのアプローチは、代謝障害、内分泌障害、心血管障害、および肝疾患を処置するために使用され得る。従って、封入システムへと装填した3D BAGを使用して移植のためにBATを送達する方法が求められた。この方法は、本明細書で開示される。
【0061】
いくつかの異なる封入システムは、BAGが装填され得、移植用のBATを送達するために使用され得る(例えば、アルギネートマイクロカプセル、セルロースヒドロゲル、赤血球、多孔性ポリマー膜、3D生物学的足場、AfibromerTMポリマー(Sigilon Therapeutics, Cambridge, Massachussetts, USA)、PEGベースのヒドロゲル、非ヒドロゲルビーズ、およびマトリゲル)。
【0062】
本明細書で記載される封入システムは、BAGが宿主環境と相互作用し得る細胞外因子(例えば、タンパク質、サイトカイン、マイクロRNA、サイトカイン、エキソソーム、および細胞特異的セクレトーム)を生成することを可能にする。
【0063】
本明細書で記載される封入システムは、移植可能グレードの物質または生物製剤から製造され、長期間の生体適合性のために選択される。
【0064】
本明細書で記載される封入システムは、栄養素および分子(例えば、グルコース、脂肪酸、サイトカイン、アディポカイン、およびホルモン)の双方向性の交換を提供する。
【0065】
ある特定の例では、上記封入システムは、封入医療デバイスであり得る。他の例では、上記封入医療デバイスは、FDA承認の免疫保護性の容易に回復可能な封入医療デバイス(例えば、Encaptra(登録商標) Drug Delivery System)(Viacyte, San Diego, California, USA)であり得る。このデバイスは、長期間の生体適合性のために特異的に選択された移植グレードの物質から製造され、栄養素および分子(例えば、グルコース、脂肪酸、およびホルモン)の双方向性の交換を可能にする。上記封入医療デバイスは、宿主と移植される細胞との間の障壁を提供し、従って、安全性を増大させ、かつ移植された細胞が封入医療デバイスから移動することを防止しながら、BATの免疫拒絶を防止するはずである。
【0066】
封入システムにおいて3D BATを作製する方法
【0067】
封入システムにおいて3D BATを作製する方法が、本明細書で開示される。上記方法は、(1)天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程、(2)上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、上記封入システムへと装填する工程、(3)上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程、ならびに(4)上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程を包含する。「第1の分化培地(first differentiation medium)」は、本明細書でAD-2 DIFF-1培養培地とも言及され得る。「第2の分化培地(second differentiation medium)」は、本明細書でAD-2 DIFF-2培養培地とも言及され得る。
【0068】
処置方法
【0069】
障害を有する患者を処置する方法が、本明細書で開示される。代謝障害、内分泌障害、心血管障害、および肝疾患を有する患者を処置する方法は、本明細書で開示される。代謝障害の例としては、糖尿病および肥満症が挙げられ得るが、これらに限定されない。内分泌障害の例としては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:先端巨大症、アジソン病、副腎がん、副腎障害、未分化甲状腺がん、クッシング症候群、ドケルバン甲状腺炎、糖尿病(例えば、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、若年発症成人型糖尿病)、濾胞性甲状腺がん、甲状腺腫、グレーブス病、成長障害、成長ホルモン欠乏症、橋本甲状腺炎、心臓疾患、ヒュルトレ細胞甲状腺がん(Hurthle Cell Thyroid Cancer)、高血糖症、副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、低血糖、副甲状腺機能低下症、甲状腺機能低下症、低テストステロン、甲状腺髄様がん、MEN 1、MEN 2A、MEN 2B、更年期、メタボリックシンドローム、肥満症、骨粗鬆症、甲状腺乳頭がん、副甲状腺疾患、褐色細胞腫、下垂体障害、下垂体腫瘍、多嚢胞性卵巣症候群、境界型糖尿病、生殖、無痛性甲状腺炎、甲状腺がん、甲状腺疾患、甲状腺結節、甲状腺炎、ターナー症候群、インスリン抵抗性、高血圧症、中心性肥満症、高トリグリセリド血症(例えば、高血清トリグリセリド)、脂質異常症、低血清HDL、脂肪異栄養症。心血管障害の例としては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない: 冠動脈疾患、末梢動脈疾患、頚動脈疾患、末梢動脈(動脈)疾患、動脈瘤、アテローム性動脈硬化症、腎動脈疾患、レイノー病(レイノー現象)、バージャー病、末梢静脈疾患、脳血管疾患(例えば、脳卒中)、静脈血栓、および血液凝固障害、心筋症、高血圧性心疾患(例えば、高血圧または高血圧症に二次的な心臓の疾患)。肝疾患の例としては、単純脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、およびアルコール関連脂肪肝疾患(ALD)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0070】
代謝障害を有する患者を処置する方法が、本明細書で開示される。上記方法は、天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を封入システムに装填する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および上記褐色脂肪組織を、代謝障害を有する上記患者に送達する工程を包含する。
【0071】
肥満症を有する患者を処置する方法が、本明細書で開示される。上記方法は、天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、封入システムへと装填する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および上記褐色脂肪組織を、肥満症を有する上記患者に送達する工程を包含する。
【0072】
内分泌障害を有する患者を処置する方法が、本明細書で開示される。上記方法は、天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、封入システムの中に装填する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および上記褐色脂肪組織を、内分泌障害を有する上記患者に送達する工程を包含する。
【0073】
心血管障害を有する患者を処置する方法が、本明細書で開示される。上記方法は、天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、封入システムへと装填する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および上記褐色脂肪組織を、心血管障害を有する上記患者に送達する工程を包含する。
【0074】
肝疾患を有する患者を処置する方法が、本明細書で開示される。上記方法は、天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、封入システムへと装填する工程;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および;上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および上記褐色脂肪組織を、肝疾患を有する上記患者に送達する工程を包含する。
【0075】
本発明の材料および方法
【0076】
本開示に従う発明の種々の局面としては、以下で数えられる項目に列挙される局面が挙げられるが、これらに限定されない:
項目1. 天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物であって、ここで上記三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物は、分化培地の非存在下で1またはこれより多くの褐色脂肪細胞遺伝子を発現する褐色脂肪由来幹細胞を含む、天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物。
項目2. 上記1またはこれより多くの褐色脂肪細胞遺伝子は、PPARα、PPARγ、PGC1β、PRDM16、CEBPD、CEBPB、CEBPΑ、TFAM、PGC1α、およびPGC1βからなる群より選択される、項目1に記載の天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物。
項目3. 上記凝集物は、非接着環境において形成する、項目1~2のいずれか1項目に記載の天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物。
項目4. 凝集物は、エキソソーム、マイクロRNA、サイトカイン、タンパク質、およびアディポカインからなる群より選択される細胞外生物製剤を生成する、項目1~3のいずれか1項目に記載の天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物。
項目5. 項目1~4のいずれか1項目に記載の天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を含む封入システム。
項目6. 上記封入システムは、アルギネートマイクロカプセル、セルロースヒドロゲル、赤血球、多孔性ポリマー膜、3D生物学的足場、ポリマー、PEGベースのヒドロゲル、非ヒドロゲルビーズ、およびマトリゲルからなる群より選択される、項目5に記載の封入システム。
項目7. 上記封入システムは、封入医療デバイスである、項目5に記載の封入システム。
項目8. 天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を作製する方法であって、上記方法は、
二次元(2D)培養において増殖させた褐色脂肪由来幹細胞を、非接着性培養プレートの中に装填する工程;および
上記非接着性培養プレートを遠心分離して、上記褐色脂肪由来幹細胞を上記非接着性培養プレートの中で均一に配置させ、それによって、三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程、
を包含する方法。
項目9. 上記装填する工程の前に、酸素正常状態または低酸素状態下で増殖培地を使用して、二次元(2D)培養において上記褐色脂肪由来幹細胞を培養する工程、
をさらに包含する、項目8に記載の方法。
項目10. 封入システムにおいて三次元褐色脂肪組織を作製する方法であって、上記方法は、
天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程;
上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を上記封入システムの中に装填する工程;
上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および
上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程、
を包含する方法。
項目11. 上記封入システムは、アルギネートマイクロカプセル、セルロースヒドロゲル、赤血球、多孔性ポリマー膜、3D生物学的足場、ポリマー、PEGベースのヒドロゲル、非ヒドロゲルビーズ、およびマトリゲルからなる群より選択される、項目10に記載の方法。
項目12. 上記封入システムは、封入医療デバイスである、項目10に記載の方法。
項目13. 上記第1の分化培地は、デキサメタゾン、IBMX、およびT3を含む、項目10~12のいずれか1項目に記載の方法。
項目14. 上記第2の分化培地は、T3およびロシグリタゾンを含む、項目10~13のいずれか1項目に記載の方法。
項目15. 障害を有する患者を処置する方法であって、上記方法は、
天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を形成する工程;
上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を封入システムの中に装填する工程;
上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第1の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;
上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物を、第2の分化培地の中で褐色脂肪組織へと分化させる工程;および
上記褐色脂肪組織を、上記障害を有する上記患者へと送達する工程、
を包含する方法。
項目16. 上記封入システムは、アルギネートマイクロカプセル、セルロースヒドロゲル、赤血球、多孔性ポリマー膜、3D生物学的足場、ポリマー、PEGベースのヒドロゲル、非ヒドロゲルビーズ、およびマトリゲルからなる群より選択される、項目15に記載の方法。
項目17. 上記封入システムは、封入医療デバイスである、項目15に記載の方法。
項目18. 上記第1の分化培地は、デキサメタゾン、IBMX、およびT3を含む、項目15~17のいずれか1項目に記載の方法。
項目19. 上記第2の分化培地は、T3およびロシグリタゾンを含む、項目15~18のいずれか1項目に記載の方法。
項目20. 上記障害は、代謝障害、内分泌障害、心血管障害、または肝疾患である、項目15~19のいずれか1項目に記載の方法。
項目21. 上記代謝障害は、肥満症または糖尿病である、項目20に記載の方法。
【0077】
定義
【0078】
本明細書で先に示される定義に加えて、以下の定義は、本開示に関連する。
【0079】
単数形「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」および「上記、この、その(the)」は、文脈が別段明らかに規定しなければ、複数形への言及を含む。
【0080】
「二次元(2D)培養(2-dimensional(2D) culture)」とは、細胞培養プレートの表面全体に拡がりかつ上記細胞培養の表面に接着している細胞に言及する。
【0081】
「三次元(3D)培養(3-dimensional(3D) culture)」とは、細胞培養プレートの表面に接着せず、代わりに互いと会合し、それによって、細胞凝集物を形成する細胞に言及する。
【0082】
本明細書で記載される任意の数値範囲は、その記載される範囲内で包含されるその同じ数値精度の全ての部分範囲(すなわち、特定の桁の同じ数字を有する)を記載する。例えば、「1.0~10.0」という記載される範囲は、その記載される最小値1.0とその記載される最大値10.0との間の(両端を含む)全ての部分範囲(例えば、「2.4~7.6」のような)を、その「2.4~7.6」という範囲が本明細書の本文に明示的に記載されていないとしても、記載する。よって、出願人は、本明細書で明示的に記載される範囲内に包含される同じ数値精度の任意の部分範囲を明示的に記載するために、請求項を含め、本明細書を補正する権利を保持する。全てのこのような範囲は、任意のこのような部分範囲を明示的に記載するように補正することが、米国特許法第112条(a)およびEPC第123条(2)の下での要件を含め、記載要件、記載の十分性、および事項の追加の要件に従うように、本明細書において本質的に記載されている。また、明示的に特定されていなければ、または文脈によって別段要求されなければ、本明細書で記載される全ての数値パラメーター(例えば、値、範囲、量、パーセンテージなどを表すもの)は、文言「約(about)」が、数字の前に明示的に現れていないとしても、文言「約」が前にあるかのように読んで理解され得る。さらに、本明細書で記載される数値パラメーターは、報告される有効桁数、数値精度に鑑みて、および通常の丸め技法を適用することによって、解釈されるべきである。本明細書で記載される数値パラメーターが、そのパラメーターの数値を決定するために使用される根底にある測定技術に特徴的な固有の変動性を必然的に有することはまた、理解される。
【0083】
本明細書で特定される任意の特許、刊行物、または他の開示資料は、別段示されなければ、その全体において、しかし組み込まれる資料が既存の説明、定義、陳述、または本明細書に明示的に示される他の開示資料と矛盾しない程度にのみ、本明細書に参考として援用される。よって、および必要な程度まで、本明細書で示されるとおりの明白な開示は、参考として援用されるいかなる矛盾する資料に取って代わる。本明細書に参考として援用されるといわれるが、既存の定義、陳述、または本明細書で示される他の開示資料と矛盾する任意の資料またはその一部は、その援用される資料と既存の開示資料との間で矛盾が生じない程度まで援用されるのみである。出願人は、本明細書に参考として援用される任意の主題またはその一部を明示的に記載するように本明細書を補正する権利を保持する。
【0084】
本開示の1またはこれより多くの局面の詳細は、以下の添付の実施例に示される。本明細書で記載されるものに類似または等価な任意の材料および方法が、本開示の実施または試験において使用され得るが、その企図される材料および方法の具体例は、ここで記載される。本開示の他の特徴、目的および利点は、詳細な説明から明らかである。説明例において、単数形はまた、文脈が別段明示的に規定しなければ、複数形をも含む。別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、本説明が優先する。
【実施例】
【0085】
本開示は、以下の実施例に言及することによってより完全に理解される。この実施例は、本発明の例証的で非限定的な局面を提供する。
【0086】
実施例1 - ウシ胎仔血清を含む分化培地の中での、BADSCから褐色脂肪細胞への分化
【0087】
BADSCを、新鮮な褐色脂肪組織から単離し、3継代まで培養した。細胞を、10%
ヒト血小板溶解物(XcyteTM Plus Xeno-Free Supplement, iBiologics, Phoenix, Arizona, USA)、1% GlutaMAXTM Supplement(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、1% 最小必須培地非必須アミノ酸(MEM-NEAA, Gibco, Thermo Fisher Scientific)、100ユニット/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)低グルコース(Gibco, Thermo Fisher Scientific, Waltham, Massachusetts, USA)から構成される増殖培地(GM)の中で拡大した。細胞を、3500 細胞/cm2の密度で播種し、培地を1日おきに交換した。
【0088】
脂肪細胞分化を、褐色脂肪細胞分化培地1(AD-1)を添加することによって、細胞が完全なコンフルエンシーに達して2日後に誘導した。AD-1は、10% ウシ胎仔血清(FBS, HyClone, GE Healthcare, Life Sciences, Little Chalfont, Buckinghamshire, UK)、5μM デキサメタゾン(MP Biomedicals, Santa Ana, California, USA)、500μM 3-イソブチル-1-メチルキサンチン(IBMX, Sigma-Aldrich, St. Louis, Missouri, USA)、860nM インスリン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、125nM インドメタシン(Sigma-Aldrich)、1nM トリヨードサイロニン(T3, Sigma-Aldrich)、1μM ロシグリタゾン(Sigma-Aldrich)、100ユニット/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、および2mM L-グルタミン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)を補充したDMEM低グルコース(Gibco, Thermo Fisher Scientific)から構成される血清ベースの分化培地である。
【0089】
実施例2 - 2工程の無血清の化学的に規定された分化培地の中でのBADSCから褐色脂肪細胞への分化
【0090】
ヒト適用のための移植可能な褐色脂肪組織(BAT)を開発するために、ヒトにおける細胞療法に適用可能な分化プロトコールを、求めた。
【0091】
BADSCを、新鮮な褐色脂肪組織から単離し、3継代まで培養した。細胞を、10%
ヒト血小板溶解物(XcyteTM Plus Xeno-Free Supplement, iBiologics), 1% GlutaMAXTM Supplement(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、1% 最小必須培地非必須アミノ酸(MEM-NEAA, Gibco, Thermo Fisher Scientific)、100ユニット/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)を補充したDMEM低グルコース(Gibco, Thermo Fisher Scientific)から構成されるGM中で拡大した。細胞を、3500 細胞/cm2の密度で播種し、培地を1日おきに交換した。
【0092】
脂肪細胞分化を、褐色脂肪細胞分化培地2(AD-2)を添加することによって、細胞が完全なコンフルエンシーに達して2日後に誘導した。AD-2は、2工程のゼノフリー、無血清の化学的に規定された分化培地である。第1の工程において、BADSCは、第1の分化培地、AD-2 DIFF-1培養培地中で増殖され、この培地は、DMEM/Ham’s F12培地(1:1)(Lonza Group AG, Basel, Switzerland)、25mM HEPES緩衝液(Lonza Group AG)、2mM L-グルタミン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、1μM デキサメタゾン(MP Biomedicals)、100μM IBMX(Sigma-Aldrich)、860nM インスリン(Gibco,
Thermo Fisher Scientific)、0.2nM T3(Sigma-Aldrich)、10μg/ml アポ-トランスフェリン(Sigma-Aldrich)、100ユニット/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)を含む。第2の工程において、3日後に、AD-2 DIFF-1培養培地を、第2の分化培地、AD-2 DIFF-2(ゼノフリー、無血清の化学的に規定された分化培地)と交換した。この培地は、DMEM/Ham’s F12培地(1:1)(Lonza Group AG)、25mM HEPES緩衝液(Lonza Group AG)、2mM L-グルタミン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、860nM インスリン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)、0.2nM T3(Sigma-Aldrich)、10μg/ml アポ-トランスフェリン(Sigma-Aldrich)、100ユニット/mlのペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco, Thermo Fisher Scientific)ならびに100nM ロシグリタゾンを含む。
【0093】
いくつかの例では、AD-2は、ヒト血小板溶解物を含み得る。他の例では、AD-2は、ヒト血小板溶解物を含まない。
【0094】
上記BADSC集団を、上記で記載される2工程方法を使用して、ゼノフリー、無血清の化学的に規定された褐色分化培地(AD-2 DIFF-1およびAD-2 DIFF-2)中で分化させ、褐色脂肪細胞を生成することにおけるその効力を、FBSベースの分化培地(AD-1)と、および市販の脂肪生成培地(StemProTM Adipogenesis, Gibco, Thermo Fisher Scientific)と比較した。
【0095】
脂肪細胞マーカーFABP4およびアディプシンの発現によって示されるように(
図2Cおよび図2D)、AD-1およびAD-2脂肪生成培地は、BADSCを脂肪細胞へと変換するにあたって同等に効率的であり、市販の脂肪生成培地、StemPro
TM(Gibco, Thermo Fisher Scientific)より効率的であっ
た。AD-1およびAD-2は、脂肪細胞分化を促進するにあたって等価であったが、上記ゼノフリー、無血清の化学的に規定された培地AD-2中で得た脂肪細胞は、形態学的により大きくかつより大きな脂肪滴を含んだ(
図1A~1Mは、AD-2中で培養した細胞を示す;AD-1の中で培養した細胞に関しては、データは示さず)。AD-2培地を使用する分化は、AD-1または市販の脂肪生成培地より遙かに高い褐色脂肪細胞分化を可能にした。
【0096】
結果はまた、UCP1遺伝子発現が、市販の脂肪生成培地、StemPro
TMと比較した場合に、AD-1において200倍より高く、AD-2において3500倍より高かったことを示す(
図2B)。さらに、白色特異的マーカーであるレプチンの発現は、AD-1よりAD-2において1.5倍低かった。これは、BADSCを褐色脂肪表現型へと方向付けるAD-2の優れた効率を確認する(
図2E)。
【0097】
AD-2の中で15日間分化させたBADSC集団BF-1の免疫細胞化学分析は、脂肪細胞変換率、すなわち、脂肪細胞マーカーであるペリリピンに関して陽性の細胞のパーセンテージが、脂肪細胞へと分化している細胞の80%超で非常に高いことが示された(
図2F~2Kおよび2
R)。その分化した細胞(ペリリピン+ 細胞)のうちの98%は、褐色特異的マーカーであるUCP1を共発現した(
図2F~2Kおよび2
R)。このデータは、タンパク質レベルでのUCP1の発現を確認し(
図2Hおよび2
I;図2Nおよび2O)、ゼノフリーの化学的に規定された分化培地の中での褐色脂肪細胞変換の高収量を示した。予測されるように、重ね合わせたシグナルによって示されるとおり、ミトコンドリアに局在したUCP1タンパク質は、UCP1およびミトコンドリアに関して分化したBADSCを同時免疫染色した場合に得た(
図2N~2Q)。
【0098】
図2A~
2Rにおける結果は、2工程AD-2分化培地(AD-2 DIFF-1およびAD-2 DIFF-2)が、AD-1分化培地および市販の脂肪生成培地と比較して、より強い褐色脂肪細胞分化を促進することを示す。
【0099】
実施例3 - 3D BAGを作製する方法
【0100】
天然に存在しない三次元BADSC凝集物またはBAGを、非接着性培養プレート(例えば、AggreWellTM 400Ex 6ウェルプレート(StemCell Technologies, Vancouver, British, Columbia, Canada)の中で形成した。
【0101】
BADSCを、先ず、80% コンフルエンシーになるまで、酸素正常状態または低酸素状態下で増殖培地を使用する2Dにおいて培養した。非接着性のプレートを、すすぎ溶液(例えば、AggreWellTMすすぎ溶液(StemCell Technologies))で製造業者の説明書に従ってコーティングした。上記非接着性のプレートをGMで洗浄した後、GM中に240万 細胞/mlを含む12mlの細胞懸濁物を、上記非接着性のプレートの各ウェルに装填した。次いで、上記非接着性のプレートを、スイングバスケット遠心分離機を使用して500gで5分間遠心分離して、細胞がそのマイクロウェルへと均一に沈殿し、1000細胞/マイクロウェルの密度を生じ、従って、均一な細胞凝集物を作り出すことを可能にした。遠心分離なしでは、上記天然に存在しない三次元褐色脂肪由来幹細胞凝集物またはBAGは、均一ではない。
【0102】
次いで、上記BAGを、GM中で非接着性培養プレート(例えば、AggreWellTM 400Ex 6ウェルプレート)において、37℃で酸素正常状態または低酸素状態および95% 湿度の中で24時間にわたって培養し、その後採取した。非接着性プレート1枚あたりおよそ28200 BAGを、穏やかにピペット操作することによって集め、800μlのGM中で再懸濁した。
【0103】
実施例4 - 封入システムにおいて三次元褐色脂肪組織を作製する方法
【0104】
封入システム(例えば、封入医療デバイス)内で3D培養においてBADSCを機能的褐色脂肪細胞へと効率的に分化させる分化プロトコールを、開発した。この方法(
図4Aにまとめる)は、3工程からなる:(1)増殖培地の中で天然に存在しない三次元BADSC凝集物(BAG)を形成し(約160μm/凝集物)(
図4B、4C)、BAGを封入システム(例えば、封入医療デバイス)へと装填する工程(
図4D、4E);(2)ゼノフリー、無血清の化学的に規定されたAD-2-DIFF-1培地を使用して、上記BAGSを褐色脂肪組織(BAT)へとさらに分化させる工程;および(3)ゼノフリー、無血清の化学的に規定されたAD-2-DIFF-2培地を使用して、上記BAGを褐色脂肪組織へと分化させる工程(
図4F)。
【0105】
工程1において: BAGを、BADSC集団BF-1を使用してAggreWellTM 400Ex 6ウェルプレート(StemCell Technologies)中で形成した。最適な細胞播種密度を、均一なBAGを生成するために、1マイクロウェルあたり1000細胞であると決定した。BAGをその後、封入システム(例えば、封入医療デバイス)の中に装填した。上記BAG懸濁物を、封入デバイス(例えば、1つのEncaptra(登録商標) EN20 (ViaCyte)封入デバイス)の中に、Sureflo(登録商標) 20Gカテーテル(Terumo Corporation, Tokyo, Japan)を使用して装填した。上記デバイスポートを、RTV Silicone Adhesive(NuSil Technology, Carpinteria, California, USA)で密封し、その封入されたBAGを、100mm 組織培養ディッシュの中で、15mlのGMにおいて24時間にわたって培養した。その時点では、上記BAGは合わさって、上記封入デバイスの全体積を満たした。その得られたBAGは、サイズおよび形状において非常に均一であり、実験内および実験間で均一である。サイズは、AggreWellTM 400Ex 6ウェルプレート(StemCell Technologies)の中で形成される細胞播種濃度を調節することによって、容易に改変され得る。均一なBAGを生成するために最適な細胞播種密度を、1マイクロウェルあたり1000細胞であると決定した。
【0106】
工程2において: 上記封入医療デバイス内のBAGを、AD-2 DIFF-1培地といわれる第1の分化培地の中で、インビトロで3日間分化させた。
【0107】
工程3において: 上記封入医療デバイス内のBAGを、AD-2 DIFF-2培地といわれる第2の分化培地の中で、インビトロで20日間さらに分化させた。
【0108】
免疫細胞化学分析は、上記BADSC集団BF-1を含む天然に存在しない褐色脂肪由来幹細胞凝集物が、Encaptra(登録商標)封入医療デバイスの内部で3Dにおいて褐色脂肪細胞へと効率的に分化することを示した。上記封入医療デバイスの中で分化するBADSC BF-1細胞は、高含有量のミトコンドリアを含む褐色脂肪細胞(UCP1陽性およびペリリピン陽性)が高度に富化されたヘマトキシリンおよびエオシン染色によって可視化される組織様構造を形成した(
図4G~4L)。これらの細胞は、分化されていないBAGと比較した場合、高レベルの脂肪細胞マーカー(例えば、FABP4、アディプシン、PPARg、CEBPaおよびレプチン(
図4M~4Q))および褐色特異的マーカー(例えば、UCP1、PGC1a、CIDEA、ELOVL3、およびCOX10(
図4R~4V))を発現する。
【0109】
結論として、天然に存在しないBADSC凝集物が、エネルギー消費を増大させ、代謝障害、内分泌障害、心血管障害、および肝疾患を潜在的に処置するために、移植可能な褐色脂肪組織の非常に有望な供給源を表すことが示された。さらに、封入を使用して、天然に存在しないBADSC凝集物を速達するストラテジーは、安全な送達システムを表し、ヒト適用のためのBAT療法の開発を加速する助けになる。
【0110】
実施例5 - マトリゲルにおいて送達されるBAGの有効性および安全性の評価
【0111】
8週齢の雄性SCID-beigeマウス(C.B-Igh-1b/GbmsTac-Prkdcscid-LystbgN7)(Taconic Biosciences)を、25℃において個々に飼育し、60% 脂肪を含む高脂肪食(HFT)(D12492, 60kcal% 脂肪[主にラード]、20kcal% 炭水化物)を供給した。これらのマウスは、メタボリックシンドロームを有し、グルコースを処理できない。
【0112】
封入システムを、1mLの4mg/mL マトリゲル(Corning(登録商標) Matrigel(登録商標) Matrix High Concentration
(HC), フェノール非含有 *LDEV非含有)中の1.6×106 褐色脂肪由来幹細胞(BADSC)を添加することによって調製した。上記BADSCを、細胞接着性組織培養フラスコ中のそれらの二次元(2D)培養物から除去し、非接着性培養プレートに添加し、遠心分離した。遠心分離後、上記凝集物は均一であり、マトリゲルに添加した。
【0113】
上記封入システム(1mL)を、96ウェルプレートの20のウェルに添加した(50μL/ウェル)。1時間のゲル化後に、上記封入システムは、培養ウェルの中で固体ディスクになった。増殖培地を、上記ウェルに24時間にわたって添加した。上記増殖培地を上記ウェルから除去し、次いで、AD-2 DIFF-1を上記ウェルに24時間にわたって添加した。上記AD-2 DIFF-1を上記ウェルから除去し、次いで、AD-2
DIFF-2を上記ウェルに14~21日間にわたって添加した。数日間の培養/分化の後、BATを含む上記封入システムは、球状の形状(すなわち、ビーズ)を形成する。上記ビーズは、インビトロでの分化後に、サイズが縮小し、20~30μlになった。
【0114】
40個のビーズを、セルストレーナーを使用して集めた。40個のビーズは、封入されたBATを構成する約3.2×106の全細胞を含む。上記ビーズを1.5mL コニカルバイアルに移し、氷上に置いた。100μlの冷却10mg/mL マトリゲルを、上記ビーズに添加し、十分に混合し、氷上で維持した。
【0115】
小さな皮膚切開部(約5mm)を、22匹のSCID-beigeマウスの肩甲骨間の褐色脂肪パッド付近に作製した。さらなる空間が必要であれば、背側の皮下部位を使用した。スパチュラを使用して、直ぐ下の白色脂肪層から皮膚を持ち上げた。マトリゲル中の上記40個のビーズを、改変1mL マイクロピペットチップを使用して、22匹のマウスのうちの11匹の上記切開部位に送達し(
図5A~C、処置群)、上記切開を縫合した。マトリゲル単独を、改変1mL マイクロピペットチップを使用して、他方の11匹のマウスの上記切開部位に送達し(
図5A~C、コントロール群)、上記切開を縫合した。
【0116】
上記処置群のマウスおよび上記コントロール群のマウスを1週間に1回分析して、それらがグルコース負荷試験(GTT)を介してグルコースを吸収する能力を決定した。上記分析の前に、これらのマウスを24時間にわたって絶食させた。24時間後、上記マウスに、グルコース(1mg/g 体重)の腹腔内(IP)注射を与え、吸収されるグルコースの量を、グルコース注射後0分、15分、30分、60分、および120分で、血液サンプルを使用して測定した。
【0117】
図5A~Cは、BATを移植したマウス(処置群)が、BATを移植しなかったマウス(コントロール群)と比較した場合、処置後4週間で(肥満症の誘導後8週間の時間で)、60分の経過にわたってより良好にグルコースを吸収できたことを示す。
【0118】
実施例6 - マトリゲル中で送達したBAGの有効性および安全性の評価
【0119】
実施例5に記載されるGTT実験に含まれるマウスはまた、それらの体重をモニターされる。体重を測定するために、マウスを、3ヶ月間にわたって1週間に1回秤量する。毎週、マウスを、0に合わせた秤に置いてそれらの体重を記録する。BATを移植したマウス(処置群)は、BATを移植しなかったマウス(コントロール群)と比較して、より低い全体重を示すか、またはより低い全体重増加を示す。
【0120】
例証的実施例に関する注記
【0121】
本開示は、本開示および/またはその潜在的な出願の種々の例を例証する目的で、種々の具体的局面の説明を提供するが、バリエーションおよび改変が当業者に想起されることは理解される。よって、本明細書に記載される発明は、それらが請求されるものと同程度に広くかつ本明細書で提供される特定の例証的な例によってより狭く規定されるものではないことが理解されるべきである。