(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041を含む皮膚保護またはシワ改善用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/64 20060101AFI20240712BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240712BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240712BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20240712BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20240712BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240712BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
A61K8/64 ZNA
A61Q19/00
A61Q19/08
A61K38/08
A61K38/10
A61P17/00
A61P17/02
(21)【出願番号】P 2022575793
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(86)【国際出願番号】 KR2021007163
(87)【国際公開番号】W WO2021251730
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0068976
(32)【優先日】2020-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522477481
【氏名又は名称】ナインバイオファーム、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NINEBIOPHARM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェファン
(72)【発明者】
【氏名】イム、ジホン
(72)【発明者】
【氏名】リー、リラ
(72)【発明者】
【氏名】アン、ヘイン
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-531558(JP,A)
【文献】特開2019-073524(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0019962(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 38/00-38/58
A61K 41/00-45/08
A61K 48/00
A61K 50/00-51/12
A23G 1/00- 9/52
A23L 5/40- 5/49
A23L 31/00-33/29
C07K 1/00-19/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
UniProt/GeneSeq
Wiley Online Library
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号
3のアミノ酸配列で表されるペプチドと、
配列番号
4のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚状態改善用化粧料組成物であって、
前記皮膚状態の改善は、皮膚老化の改善、皮膚の再生、皮膚弾力の改善、皮膚シワの防止、皮膚シワの改善及び皮膚傷の再生からなる群から選ばれる1種以上である、化粧料組成物。
【請求項2】
前記皮膚老化は、光老化または自然老化である、請求項1に記載の皮膚状態改善用化粧料組成物。
【請求項3】
前記ペプチドは、濃度が0.1~1000μMである、請求項1に記載の皮膚状態改善用化粧料組成物。
【請求項4】
前記化粧料組成物は、フィラーで剤形化されたものである、請求項1に記載の皮膚状態改善用化粧料組成物。
【請求項5】
配列番号
3のアミノ酸配列で表されるペプチドと、
配列番号
4のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚状態改善用医薬外品組成物であって、
前記皮膚状態の改善は、皮膚老化の改善、皮膚再生、皮膚弾力の改善、皮膚シワの防止、皮膚シワの改善及び皮膚傷の再生からなる群から選ばれる1種以上である、医薬外品組成物。
【請求項6】
配列番号
3のアミノ酸配列で表されるペプチドと、
配列番号
4のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚状態改善用フィラー組成物であって、
前記皮膚状態の改善は、皮膚老化の改善、皮膚再生、皮膚弾力の改善、皮膚シワの防止、皮膚シワの改善及び皮膚傷の再生からなる群から選ばれる1種以上である、フィラー組成物。
【請求項7】
配列番号
3のアミノ酸配列で表されるペプチドと、
配列番号
4のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚注入用フィラー。
【請求項8】
前記フィラーは、皮膚状態改善用であり、
前記皮膚状態の改善は、皮膚老化の改善、皮膚再生、皮膚弾力の改善、皮膚シワの防止、皮膚シワの改善及び皮膚傷の再生からなる群から選ばれる1種以上である、請求項
7に記載の皮膚注入用フィラー。
【請求項9】
前記フィラーは注射用である、請求項
7に記載の皮膚注入用フィラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041に関するもので、さらに詳しくは、前記リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041の混合物の皮膚状態改善用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚は、大きく表皮、陳皮、皮下組織に区分される。陳皮には、血管、リンパシステム、毛穴、線維芽細胞などの皮膚の重要な付属器官があり、表皮厚さの15~40倍にあたる厚い層で皮膚の大部分を占める。陳皮組織は、架橋繊維であるコラーゲン(collagen)と弾力繊維であるエラスチン(elastin)からなるが、これらは線維芽細胞(fibroblast)で合成される。コラーゲンは、長い繊維で、体の支え、結合、境界面を作る役割をする。コラーゲンは、皮膚に加えられる圧力や外部の力に対して抵抗する役割をする。一方、エラスチンは、ばねのように皮膚の弾力性を維持する役割をする。コラーゲンとエラスチンが網構造を形成して、皮膚の弾力性を維持させる。
【0003】
皮膚が老化することによりシワが表れ、年をとることによりその数や深さ、範囲が増加していく。老化は、内因性及び外因性に区分されるが、内因性老化は、年を取りながら皮膚の構造と生理的機能が継続的な減退を起こすものである。外的要因による老化は、長期間にわたる紫外線への露出などが原因として表れる。
【0004】
コラーゲンは、年齢及び紫外線の照射による光老化によって減少し、これは、皮膚のシワ形成と密接な連関があると知られている。また、コラーゲンは、傷治癒において重要な役割を担当し、損傷された上皮でコラーゲンの合成を促進させて、傷を迅速に傷跡なく回復させることができる。コラーゲンの主な機能は、皮膚の堅固性、組織の抵抗力と結合力、細胞接着の支えなどが知られている。このようなコラーゲンは、高令化及び紫外線の照射による光老化によって、皮膚の厚さが薄くなり、このような現象は、皮膚のシワ形成に密接な関連があると知られている。
【0005】
線維芽細胞で生成されるエラスターゼが皮膚弾性繊維の3次元的な捻れに重要な役割をすると報告されており、エラスターゼの活性増加は、皮膚のエラスチン及びコラーゲンを減少させて皮膚シワの形成に寄与する。紫外線の照射後にエラスターゼの活性が増加するため、エラスターゼの活性変化は、紫外線による皮膚弾性度の減少及びシワ生成の主要原因として知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明者らは、新規な皮膚改善用物質を探索する中、ペプチドリゼンタイド-034及び041を開発し、この混合物が皮膚改善効果に優れるということを確認することで本発明を完成した。
【0007】
したがって、本発明の目的は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚状態改善用組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとをこれを要する個体に投与する段階を含む、傷治療方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚状態改善用化粧料組成物を提供する。
【0010】
また本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚状態改善用医薬外品組成物を提供する。
【0011】
また本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚状態改善用食品組成物を提供する。
【0012】
また本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚状態改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0013】
また本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚状態改善用フィラー組成物を提供する。
【0014】
また本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚注入用フィラーを提供する。
【0015】
また本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む傷治療用薬学的組成物を提供する。
【0016】
また本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとをこれを要する個体に投与する段階を含む、傷治療方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によるリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041の混合物は、細胞毒性がないだけでなく、顕著な細胞増殖の促進、コラーゲン合成の促進、エラスターゼ活性の阻害及び紫外線による細胞死滅の抑制効果を有しているため、薬学、医薬物、化粧料及び食品分野で多様に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明によるリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の細胞毒性を確認した結果を示した図面である。
【
図2】本発明によるリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の光老化によるコラーゲン生合成能減少改善効果を確認した結果を示した図面である。
【
図3】本発明によるリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の自然老化によるコラーゲン生合成能減少改善効果を確認した結果を示した図面である。
【
図4】本発明によるリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物のエラスチン分解酵素活性抑制能を確認した結果を示した図面である。
【
図5】本発明によるリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の表皮角質細胞の成長促進効能を確認した結果を示した図面である。
【
図6】本発明によるリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の線維芽細胞の成長促進効能を確認した結果を示した図面である。
【
図7】本発明によるリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の表皮角質細胞に対する傷回復効果を確認した結果を示した図面である。
【
図8】本発明によるリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の線維芽細胞に対する傷回復効果を確認した結果を示した図面である。
【
図9】動物モデルにおいて、本発明によるリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の光老化によるシワ改善効果を確認した結果を示した図面である。
【
図10】動物モデルにおいて、本発明によるリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物のコラーゲン及びエラスチン発現量を確認した結果を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0020】
本発明の様態によると、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚状態改善用組成物を提供する。
【0021】
本発明において、ペプチドは、ペプチド結合によりアミノ酸残基が互いに結合して形成された線形の分子を意味する。前記ペプチドは、当業界に公知された化学的合成方法によって製造されることができ、好ましくは、固相合成技術によって製造されることができるが、これに限定されない。
【0022】
本発明の具体例において、配列番号1または2のアミノ酸配列で表されるペプチドは、C-末端にアミン基(amine group、-NH2)が接合されたものが好ましく、アミン基が接合されたペプチドをそれぞれ「リゼンタイド-034」及び「リゼンタイド-041」と命名した。前記リゼンタイド-034は、配列番号3のアミノ酸で表されることができ、前記リゼンタイド-041は、配列番号4のアミノ酸配列で表されることができる。前記リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041は、配列番号1または2のアミノ酸配列で表されるペプチドのC-末端にアミン基が接合されたもので、組織内の安定性が顕著に改善されることができる。
【0023】
本発明の具体例において、前記配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとは、表皮角質細胞及び線維芽細胞に対する細胞毒性がなく、顕著な細胞増殖の促進、コラーゲン合成の促進及び細胞移動の促進効果があることを実験を通じて確認した。
【0024】
本発明の範囲には、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとの機能的同等物を含む。
【0025】
本発明において、機能的同等物は、アミノ酸の付加、置換または欠失の結果、前記配列番号1または2で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%以上の、好ましくは90%、さらに好ましくは95%以上の配列相同性(すなわち、同一性)を有するもので、例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、100%の配列相同性を有するものを含み、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドと実質的に同質の生理活性を表すペプチドをいう。また、本発明の配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとには、この天然型アミノ酸配列を有するタンパク質だけでなく、該アミノ酸配列変異体も本発明の範囲に含まれる。配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとの変異体とは、前記ペプチドの天然アミノ酸配列と一つ以上のアミノ酸残基が欠失、挿入、非保全的または保全的置換またはこれらの組み合わせによって異なる配列を有するペプチドを意味する。分子の活性を全体的に変更させないタンパク質及びペプチドにおけるアミノ酸交換は、当該分野に公知されている。前記配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドまたはこの変異体は、天然で抽出するか合成またはDNA配列を基本とする遺伝子組換え方法によって製造されることができる。
【0026】
また、前記配列相同性は、ペプチドを構成するアミノ酸配列の類似した部分を比較するために使用される一般的な標準方法によって決定されることができる。BLASTまたはFASTAのようなコンピュータプログラムは、二つ以上のタンパク質をそれぞれ構成するアミノ酸が最適でマッチング(matching)されるように整列する(一つまたは二つの配列の全長さ配列に沿って一つまたは二つの配列の予測された部分に沿って)。前記プログラムは、デフォルトオープニングペナルティ(default opening penalty)及びデフォルトギャップペナルティ(default gap penalty)を提供し、コンピュータプログラムと共に連携して使用可能なPAM250(標準スコアリングマトリックス)のようなスコアリングマトリックスを提供する。例えば、百分率で表される配列相同性は、次のように計算することができる。一致する配列(indentical matches)の総数に100を掛けた上で、対応するスパン(machted span)内のより長い配列の長さと二つの配列を整列するためにより長い配列内に導入したギャップ(gaps)の数の和で分ける。
【0027】
本発明において、実質的に同質の生理活性は、皮膚状態の改善活性を意味し、さらに詳しくは、皮膚老化の改善、皮膚再生、皮膚弾力の改善、皮膚シワの防止、皮膚シワの改善及び皮膚傷の再生からなる群から選ばれる1種以上の活性を意味する。
【0028】
また、前記機能的同等物の範囲には、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドの基本骨格と皮膚状態の改善活性を維持しながら構成するアミノ酸の一部化学構造が変形された誘導体が含まれる。例えば、タンパク質の安定性、貯蔵性、揮発性または溶解度などを変更させるための構造変更がこれに含まれる。
【0029】
本発明において、「改善」は、状態の緩和または治療と関連したパラメータ、例えば症状の程度を少なくとも減少させる全ての行為を意味する。
【0030】
本発明において、「皮膚状態の改善」は、皮膚老化の改善、皮膚再生、皮膚弾力の改善、皮膚シワの防止、皮膚シワの改善及び皮膚傷の再生からなる群から選ばれる1種以上の活性であることができる。
【0031】
本発明において、「皮膚老化」は、活性酸素の増加により誘発される全ての疾患を意味し、前記皮膚老化の非制限的な例としてシワ、皮膚のたるみ、弾力性の減少などが挙げられる。
【0032】
本発明において、「皮膚再生」、「皮膚弾力の改善」または「皮膚シワの防止または改善」は、コラゲナーゼ活性を抑制してコラーゲン総量を増加させる全ての作用を意味する。
【0033】
本発明において、「皮膚傷の再生」は、創傷などで損傷された皮膚を皮膚細胞数の増加及び皮膚細胞移動能の促進を通じて再生させる全ての作用を意味する。
【0034】
本発明の具体例において、前記皮膚老化は、光老化または自然老化であるが、皮膚老化の原因により本発明の範囲が制限されない。
【0035】
本発明の具体例において、前記ペプチドは、濃度が0.1~1000μMであることが好ましい。
【0036】
本発明の具体例において、前記配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとは、濃度比1:0.1~10で混合することが好ましく、さらに好ましくは、濃度比1:1で混合することができる。
【0037】
本発明の具体例において、前記化粧料組成物は、フィラーで剤形化されることが好ましいが、これに制限されない。
【0038】
本発明による皮膚状態改善用組成物は、化粧料組成物、医薬外品組成物、食品組成物、健康機能食品組成物またはフィラー組成物であることができる。
【0039】
本発明による皮膚状態改善用組成物が化粧料組成物の場合、本発明の化粧料組成物は、前記有効成分以外に化粧料組成物に通常使用される抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料、香料などのような通常の補助剤及び担体がさらに含まれることができる。例えば、前記化粧料組成物には、グリセリン、ブチレングリコール、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、トコフェリルアセテート、クエン酸、パンテノール、スクアラン、クエン酸ナトリウム、アラトインなどの補助成分がさらに含まれることができる。
【0040】
本発明の化粧料組成物は、基本的に皮膚に適用されるものであるため、当業界の化粧料組成物を参照して通常製造されるいかなる剤形でも製造されることができる。例えば、溶液、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、クリーム、ローション、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファウンデーション、乳濁液ファウンデーション、ワックスファウンデーション及びスプレーなどで剤形化されることができるが、これに限定されるものではない。さらに詳しくは、柔軟化粧水、栄養化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、エッセンス、アイクリーム、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、マスクパック、スプレーまたはパウダーの剤形で製造されることができる。
【0041】
本発明の剤形がペースト、クリームまたはゲルの場合は、担体成分として、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛などが含まれることができる。
【0042】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーの場合は、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート、ポリアミドパウダーなどが含まれることができ、特にスプレーの場合は、追加的にクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン、ジメチルエーテルなどの推進体を含むことができる。
【0043】
本発明の剤形が溶液または乳濁液の場合は、担体成分として溶媒、溶解化剤、乳濁化剤などが含まれることができ、具体的に、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステルなどが含まれることができる。
【0044】
本発明の剤形が懸濁液の場合は、担体成分として、水、エタノール、プロピレングリコールなどの液相希釈剤;エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル等の懸濁剤;微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガ、トラガカント等が含まれることができる。
【0045】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングの場合は、担体成分として、脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオネート、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステル等が含まれることができる。
【0046】
本発明による皮膚状態改善用組成物は、医薬外品組成物であることができる。
【0047】
本発明において、医薬外品は、人や動物の疾病を診断、治療、改善、軽減、処置または予防する目的で使用される物品の中で医薬品より作用が軽微な物品を意味するもので、例えば、薬事法によると、医薬外品とは、医薬品の用途で使用される物品を除外したもので、人・動物の疾病治療や予防に使用される製品、人体に対する作用が軽微であるか直接作用しない製品等が含まれる。
【0048】
本発明の上記医薬外品組成物は、ボディークレンザー、フォーム、石鹸、マスク、軟膏剤、クリーム、ローション、エッセンス及びスプレーからなる群から選ばれて製造することができるが、これに制限されるものではない。
【0049】
本発明の上記医薬外品組成物において、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドに関する説明、皮膚再生、皮膚弾力の改善、皮膚シワの防止または改善、皮膚老化の防止または改善、皮膚炎症の改善及び皮膚美白改善に関する説明は、上記化粧料組成物と関連して上記で説明したものと同一である。
【0050】
本発明による皮膚状態改善用食品組成物は、健康機能食品、食品添加剤または食餌補助剤として使用されることができる。
【0051】
前記配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを食品添加剤として使用する場合、前記混合物をそのまま添加するか、他の食品または食品成分と共に混合して使用されるなど、通常の方法によって適切に使用されることができる。
【0052】
また、前記配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとの混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)によって適合に変更可能なことは言うまでもなく、食品組成物の総重量に対して0.01~95重量%で含まれることが好ましく、さらに好ましくは1~80重量%で含まれる。その含量が0.01重量%未満の場合は、抗酸化または抗炎症効果が少ないおそれがあり、95重量%を超える場合、使用量に対する効果上昇率が低く非経済的であるおそれがある。
【0053】
具体的な例として、食品または飲料の製造時は、本発明の配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとは、原料に対して15重量%以下、好ましくは10重量%以下の量で添加される。しかし、健康及び衛生を目的とするか、または健康調節を目的として長期間摂取する場合は、上記範囲以下の量で添加されることができ、安全性の面で何らの問題がないため、有効成分は上記範囲以上の量でも使用されることができる。
【0054】
上記食品の種類に特に制限はないが、本発明の配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを添加することができる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種のスープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤などがあり、通常の意味における健康食品をいずれも含む。
【0055】
本発明の食品組成物が飲料として製造される場合、通常の飲料のように様々な香味剤または天然炭水化物などの追加成分を含むことができる。前記天然炭水化物としては、ブドウ糖、果糖などのモノサカライド;マルトース、スクロースなどのジサカライド;デキストリン、シクロデキストリンなどの天然甘味剤;サッカリン、アスパルテーム等の合成甘味剤などが使用されることができる。前記天然炭水化物は、本発明の食品組成物の総重量に対して0.01~10重量%、好ましくは0.01~0.1重量%で含まれる。
【0056】
本発明の食品組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含むことができ、天然フルーツジュース、フルーツジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含むことができるが、これに制限されない。かかる成分は、独立してまたは組み合わせて使用することができる。上記の添加剤の割合は大きく制限されないが、本発明の食品組成物の総重量に対して0.01~0.1重量%範囲内で含まれることが好ましい。
【0057】
健康及び衛生を目的とするか健康調節を目的とする長期間の摂取の場合、本発明の食品組成物は、安全性の面で何らの問題がないため、長期間服用が可能である。
【0058】
本発明による皮膚状態改善用組成物は、フィラー組成物であることができる。
【0059】
本発明において、フィラー(filler)は、生体適合な材料を皮内または皮下に注入してシワを改善し、美観上ボリュームを回復させるなどの皮膚組織を補充する注射可能な物質を意味する。最近、フィラーは、皮膚と類似した物質だけでなく、皮膚内細胞の増殖を促進する物質、コラーゲンなどの生成を促進する物質などを含む。フィラー手術を受けると、短時間でシワが取れ、薄い唇が厚目になり、凹んだ傷跡が治される等の効果が表れる。現在、FDAまたはMFDSで承認したフィラー製造用の物質として、コラーゲン、ヒアルロン酸、カルシウムヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸などがある。
【0060】
本発明の好ましい例として、本発明のフィラー組成物は、コラーゲン、ヒアルロン酸、カルシウムヒドロキシアパタイト、ポリ乳酸を含むことができる。
【0061】
また、本発明のフィラー組成物は、使用便宜性及び保管安定性を提供するために、パウダー形態、より具体的に凍結乾燥したパウダー形態で剤形化することができる。一方、上記のフィラー組成物は、皮膚に注射する前、PBSのような水性媒質に溶解させて可溶化させる前処理段階を必要とするが、保管及び剤形状態によって溶液化されたフィラー組成物の直接的な適用も可能である。
【0062】
本発明の具体例において、効果的な皮膚再生効果を付与するために、本発明のフィラー組成物は、細胞成長因子またはビタミンをさらに含むことができる。上記細胞成長因子は、細胞の分裂、成長、及び分化を促進するポリペプチドを総称するもので、好ましく、線維芽細胞成長因子(FGF)、上皮細胞成長因子(EGF)、ケラチノサイト成長因子(KGF)、形質転換成長因子アルファ(TGF-α)、形質転換成長因子ベータ(TGF-β)、顆粒球形成刺激因子(GCSF)、インシュリン類似成長因子(IGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子BB(PDGFBB)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、及び膠細胞由来神経栄養因子(GDNF)からなる群より選ばれることができ、上記細胞成長因子は、20ng/ml~20μg/mlの濃度で含有されることができるが、これに制限されるものではない。
【0063】
注入過程における痛症を緩和するために、本発明のフィラー組成物は、局所麻酔剤をさらに含むことができる。前記局所麻酔剤は、アムブカイン(ambucaine)、アモラノン(amolanone)、アミロカイン(amylocaine)、ベノキシネート(benoxinate)、ベンゾカイン(benzocaine)、ベトキシカイン(betoxycaine)、ビフェンアミン(biphenamine)、ブピバカイン(bupivacaine)、ブタカイン(butacaine)、ブタムベン(butamben)、ブタニリカイン(butanilicaine)、ブテタミン(butethamine)、ブトキシカイン(butoxycaine)、カルチカイン(carticaine)、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジフェロドン、ジシクロニン、エクゴニジン、エクゴニン、塩化エチル、エチドカイン、ベータ-ユーカイン、ユープロシン、フェナルコミン、フォルモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシテトラカイン、p-アミノ安息香酸イソブチル、メシル酸ロイシノカイン、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ナエパイン、オクタカイン、オルソカイン、オキセサゼイン、パルエトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピコカイン、プロポキシカイン、シュードコカイン、ピロカイン(pyrrocaine)、ロピバカイン、ブピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ゾラミン及びこれらの塩からなる群より選ばれることができ、上記麻酔剤の量は、全体フィラー組成物の重量に対して好ましくは0.1重量%~5.0重量%、より好ましくは0.2重量%~1.0%重量%で含有されることができるが、これに制限されるものではない。
【0064】
体内でゲル化して生成されたヒドロゲルの酸化及び分解を防ぐために、本発明のフィラー組成物は、抗酸化剤をさらに含むことができる。前記抗酸化剤は、ポリオール、マンニトール、及びソルビトールからなる群より選ばれることができ、前記抗酸化剤の量は、全体フィラー組成物の重量に対して好ましく0.1重量%~5.0重量%、より好ましくは、0.2重量%~1.0%重量%で含有されることができるが、これに制限されるものではない。
【0065】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む皮膚注入用フィラーを提供する。
【0066】
本発明の具体例において、配列番号1または2のアミノ酸配列で表されるペプチドは、C-末端にアミン基(amine group、-NH2)が接合されたものが好ましく、アミン基が接合されたペプチドをそれぞれ「リゼンタイド-034」及び「リゼンタイド-041」と命名した。前記リゼンタイド-034は、配列番号3のアミノ酸で表されることができ、前記リゼンタイド-041は、配列番号4のアミノ酸配列で表されることができる。前記リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041は、配列番号1または2のアミノ酸配列で表されるペプチドのC-末端にアミン基が接合されたもので、組織内の安定性が顕著に改善されることができる。
【0067】
本発明の具体例において、前記フィラーは、皮膚状態改善用であり、これは、皮膚老化の改善、皮膚再生、皮膚弾力の改善、皮膚シワの防止、皮膚シワの改善及び皮膚傷の再生からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましいが、これに制限されない。
【0068】
本発明の具体例において、前記フィラーは注射用であることが好ましいが、これに本発明の範囲が制限されるものではない。
【0069】
本発明のまた他の様態によると、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとを含む傷治療用薬学的組成物を提供する。
【0070】
本発明の具体例において、配列番号1または2のアミノ酸配列で表されるペプチドは、C-末端にアミン基(amine group、-NH2)が接合されたものが好ましく、アミン基が接合されたペプチドをそれぞれ「リゼンタイド-034」及び「リゼンタイド-041」と命名した。前記リゼンタイド-034は、配列番号3のアミノ酸で表されることができ、前記リゼンタイド-041は、配列番号4のアミノ酸配列で表されることができる。前記リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041は、配列番号1または2のアミノ酸配列で表されるペプチドのC-末端にアミン基が接合されたもので、組織内の安定性が顕著に改善することができる。
【0071】
本発明において、「傷治療」は、創傷などで損傷された部位を細胞数の増加及び細胞移動能の促進を通じて損傷部位(すなわち、傷)を治療する作用を意味する。
【0072】
本発明の傷治療用薬学的組成物は、それぞれ通常の方法によって多様な形態で剤形化して使用されることができる。例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップなどの経口型剤形で剤形化することができ、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態で剤形化して使用されることができる。但し、本発明の組成物は、皮膚外用剤の形態で提供されることが最も好ましいことができる。具体的に、液剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、スプレー剤、パッチ剤、ゲル剤またはエアロゾル剤などの形態で使用されることができる。
【0073】
また、それぞれの剤形によって薬学的に許容可能な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。また、通常の方法によって、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの外用剤及び滅菌注射溶液の形態で剤形化して使用されることができ、好ましくは、クリーム、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、経口剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤またはカタプラズマ剤の剤形を有することができる。例えば、当該部位に局所的に使用される皮膚外用剤の場合は、通常の添加剤、例えば保存剤、医薬浸透を補助する溶媒、軟膏及びクリームの場合、軟化剤などを含むことができ、エタノールまたはオレイルアルコールのような通常的担体を含有することができる。当該技術分野に知られた適合な製剤は、文献(Remington’s Pharmaceutical Science、最近、Mack Publishing Company、Easton PA)に開示されているものを使用することが好ましいが、これに制限されない。
【0074】
上記担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、デンプン、アカシアゴム、アルジネート、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、未晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート、鉱物油などがある。前記薬学的組成物を製剤化や剤形化する場合は、普通使用する充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤または賦形剤を使用して調剤される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、このような固形製剤は、上記組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、デンプン、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)、ラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦形剤以外にマグネシウムシトレートタルクのような潤滑剤も使用される。経口のための液相製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれることができる。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤などが含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propylene glycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレートのような注射可能なエステルなどが使用されることができる。坐剤の基剤としては、ウィテプソル(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチン等が使用されることができる。上記成分は、有効成分、すなわち、薬学的組成物に独立してまたは組み合わせて加えられることができる。
【0075】
本発明において、投与は任意の適切な方法で個体に本発明の薬学的組成物を提供することを意味する。
【0076】
本発明の薬学的組成物は、研究者、獣医、医者またはその他の臨床によって考えられる組織系、動物または人間で生物学的または医学的反応を誘導する有効成分または薬学的組成物の量、すなわち、治療される疾患または障害の症状の緩和を誘導する量である治療上有効量で投与することができる。本発明の薬学的組成物に対する治療上有効投与量及び投与回数は、所望の効果によって変化されることは当業者に自明である。従って、投与される最適な投与量は、当業者によって容易に決定されることができ、疾患の種類、疾患の重症度、組成物に含有された有効成分及び他の成分の含量、剤形の種類、患者の年齢、体重、一般健康状態、性別及び食餌、投与時間、投与経路及び組成物の分泌率、治療期間、同時に使用される薬物を含む多様な因子などによって調節されることができる。
【0077】
本発明の薬学的組成物は、1~10,000mg/kg/日、好ましくは1~200mg/kg/日の量で投与することができ、一日に一回投与してもよく、数回に分けて投与してもよい。
【0078】
本発明の他の様態によると、配列番号1のアミノ酸配列で表されるペプチドと、配列番号2のアミノ酸配列で表されるペプチドとをこれを要する個体に投与する段階を含む、傷治療方法を提供する。
【0079】
本発明の具体例において、前記個体は、傷(scar)が発生した個体、または傷が回復した個体であることができるが、これに制限されない。
【0080】
重複する内容は、本明細書の複雑性を考慮して省略し、本明細書で他に定義されない用語は、本発明が属する技術分野で通常使用される意味を有するものである。
【実施例】
【0081】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は、単に本発明を例示するためのもので、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されると解釈されないことは、当業界で通常の知識を有する者において自明である。
【0082】
実施例1.ペプチド合成
皮膚保護及びシワ改善のためのペプチドを合成した。合成されたペプチドは、それぞれ配列番号1または2のアミノ酸配列で表され、組織内の安全性のために各ペプチドのC-末端にアミン基(-NH
2)を接合した。C-末端にアミン基が接合されたペプチドは、それぞれ配列番号3または4のアミノ酸配列で表され、C-末端にアミン基が接合されたペプチドは、それぞれ「リゼンタイド-034」及び「リゼンタイド-041」と命名した。
【表1】
【0083】
後述する実施例では、リゼンタイド-034(配列番号3)及び-041(配列番号4)を濃度比1:1で混合した混合物を利用して実験した。
【0084】
実施例2.リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の細胞毒性の評価
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の細胞毒性を確認するために、ヒトの表皮角質細胞であるHaCaT細胞とヒトの線維芽細胞であるCCD-986Skで細胞毒性を測定した。96 well plateに角質細胞は3×10
3cells/wellで、線維芽細胞は5×10
3cells/wellで分注した後、10%FBSが含まれた培地で24時間の間細胞培養条件で培養した。培養後、FBSのない培地にリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を5μMまたは10μMを添加し、これを48時間の間培養した。以後、CCK8反応液(Dojindo Molecular Technologies、Kumamoto、Japan)をwell当たり10μlずつ処理して4時間反応させた後、450nmで吸光度を測定した。各試料群に対する平均吸光度値を求め、対照群としては、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を処理していない細胞の吸光度値と比べて細胞生存率を評価した。細胞生存率の評価結果は、
図1に示した。
【0085】
図1に示すように、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物は、細胞毒性がないことを確認した。
【0086】
実施例3.リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物のコラーゲン合成効果の確認
3-1.光老化によるコラーゲン生合成能の減少改善
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の光老化によるコラーゲン生合成能減少改善の効果を調べるために、線維芽細胞であるCCD-986Skを6well plateに2×10
5cells/wellで分注した後、10%FBSが含まれた培地で24時間の間細胞培養条件で培養した。以後、培地を捨てて1×DPBS(Dulbecco’s phosphate-buffered saline)で洗浄した後、1×DPBSを500μlずつ入れた後、実験群に25mJ/cm
2のUVBを照射した。以後、FBSのない培地にリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を多様な濃度(0、0.1、0.2、0.5μM)で培地に添加して24時間の間細胞培養条件で培養した。各時間帯別に培養した培地を回収した後、プロコラーゲンのELISA Kit(R&D Systems,Inc.、Minneapolis、MN、USA)を利用して培地に分泌されたプロコラーゲンの分泌量を450nmの吸光度で測定して量を算定した。リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の光老化によるコラーゲン生合成能減少改善の効果を確認した結果は、
図2に示した。
【0087】
図2に示すように、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を処理して24時間後、UVBを処理した群でコラーゲン合成能が80%減少することを確認した。また、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を処理すると、UVBによって減少されたコラーゲン合成能がUVBのみ処理した群に比べてリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を処理した全ての群でコラーゲン合成能が増加することを確認した。特に、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物0.2μMを処理した群においてコラーゲン合成効能が対照群に比べて64.9%増加したことを確認した。
【0088】
3-2.自然老化によるコラーゲン生合成能の減少改善
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の自然老化によるコラーゲン生合成能減少改善効果を調べるために、線維芽細胞であるCCD-986Skを継代培養してpassage15とpassage20細胞を6well plateに3×10
5cells/wellで分注した後、10%FBSが含まれた培地で24時間の間細胞培養条件で培養した。以後、培地を捨てて1×DPBS(Dulbecco’s phosphate-buffered saline)で洗浄した後、FBSのない培地にリゼンタイド-034及びリゼンタイド-41混合物を多様な濃度(0、0.1、0.2、0.5μM)で培地に添加して24時間の間細胞培養条件で培養した。各時間帯別に培養した培地を回収した後、プロコラーゲンのELISA Kit(R&D Systems,Inc.、Minneapolis、MN、USA)を利用して培地に分泌されたプロコラーゲンの分泌量を450nmの吸光度で測定して量を算定した。リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の自然老化によるコラーゲン生合成能減少改善効果を確認した結果は、
図3に示した。
【0089】
図3に示したように、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-41混合物を処理して24時間後、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を処理していない群に比べてリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を処理した全ての群でコラーゲン合成能が増加したことを確認した。特に、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物0.2μM処理群は、コラーゲン合成効能が17.5%増加したことを確認した。
【0090】
実施例4.リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物のエラスチン分解酵素活性の抑制効果
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物のエラスチン分解酵素活性抑制能を確認するために、Neutrophil Elastase colorimetric方法を使用して(BML-AK497-001、Enzo Life Science、Pennsylvania、USA)測定した。先ず、assay bufferをD.W.と1:1に希釈した後、エラスチン分解酵素試薬と基質試薬を最終濃度がそれぞれ2.2μU/ml及び100μMとなるように希釈した。そして、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041を75μMずつ混合して最終濃度が150μMとなるように希釈した。Working solutionは、Assay bufferと、エラスチン分解酵素試薬と、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物とを混合して製造した。上記working solutionを96-well plateに95μMずつ入れて37℃で5分間反応した。次に、基質試薬5μMを入れてMicroplate reader(Epoch 2 Microplate spectrophotometer.Biotek、Winooski、VT、USA)で吸光度405nmで15分間吸光度を測定した。エラスチン分解酵素活性の抑制効果を確認した結果は、
図4に示した。
【0091】
図4に示したように、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物は、エラスチン分解酵素の抑制効能に優れることを確認した。さらに詳しくは、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物処理群は、エラスチン分解酵素活性抑制能が36.4±2.95%であることを確認した。
【0092】
実施例5.リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の細胞成長促進効能
5-1.表皮角質細胞の成長促進効能
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の細胞増殖能を確認するために、表皮角質細胞であるHaCaT cellを6-well plateに1×10
4cells/wellで分注した後、10%FBSが含まれた培地で6時間の間細胞培養条件で培養した。以後、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を多様な濃度(100、200、500nM)で添加して8日間培養した。リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物が多様な濃度で含まれた培地に毎日交替し、二日間隔で細胞数を測定した。細胞数の測定結果は、
図5に示した。
【0093】
図5に示したように、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物処理群は、濃度及び時間依存的に表皮角質細胞の成長を促進することを確認した。特に、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を処理して8日後、混合物を500nM処理した群は細胞成長率が対照群と比べて約20.7%高いことを確認した。
【0094】
5-2.線維芽細胞の成長促進効能
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の細胞増殖能を確認するために線維芽細胞であるCCD986Sk cellを6-well plateに1×10
4cells/wellで分注した後、10%FBSが含まれた培地で6時間の間細胞培養条件で培養した。以後、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を多様な濃度(100、200、500nM)で添加して8日間培養した。リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物が多様な濃度で含まれた培地に毎日交替し、二日間隔で細胞数を測定した。細胞数測定結果は、
図6に示した。
【0095】
図6に示したように、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物処理群は、濃度及び時間依存的に線維芽細胞の成長を促進することを確認した。リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を処理して8日後、混合物を500nM処理した群は細胞成長率が対照群と比べて約25%高いことを確認した。
【0096】
実施例6.リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の傷回復効果の確認
6-1.表皮角質細胞の傷回復効果の確認
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の傷回復効果を確認するために、表皮角質細胞であるHaCaT cellを6-well plateに接着性のあるインサート(Insert、Ibidi、Wisconsin、USA)を付着した。インサートの各wellに6×10
4cells/wellで分注した後、2%FBSが含まれた培地で24時間の間細胞培養条件で培養した。以後、インサートを除去して1×DPBSを使用して一回洗浄した。FBSのない培地にリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を多様な濃度(0、1、2.5μM)で培地に添加して16、40時間後、顕微鏡(Nikon Eclipse E100、Tokyo、Japan)を使用して100倍で細胞イメージを撮影した。撮影された顕微鏡写真は、
図7に示した。
【0097】
図7に示したように、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を処理した群は、いずれも表皮角質細胞の細胞数及び細胞移動能が増加したことを確認した。
【0098】
6-2.線維芽細胞の傷回復の効果
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の傷回復効果を確認するために、陳皮細胞であるCCD-986skを6-well plateに接着性のあるインサート(Insert、Ibidi、Wisconsin、USA)を付着した。インサートの各wellに6×10
4cells/wellで分注した後、2%FBSが含まれた培地で24時間の間細胞培養条件で培養した。以後、インサートを除去して1×DPBSを使用して一回洗浄した。FBSのない培地にリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を多様な濃度(0、1、2.5μM)で培地に添加して16、40時間後、顕微鏡(Nikon Eclipse E100、Tokyo、Japan)を使用して100倍で細胞イメージを測定した。撮影された顕微鏡写真は、
図8に示した。
【0099】
図8に示したように、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物を処理した群は、いずれも線維芽細胞の細胞数及び細胞移動能が増加したことを確認した。
【0100】
上記結果からリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物は、皮膚細胞の細胞数を増加させ、細胞移動能を増加させることを確認したところ、創傷のような傷回復をより速く誘導可能なことを意味する。
【0101】
実施例7.動物モデルでリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の光老化によるシワ改善効果の確認
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物の光老化によるシワ改善効果の測定のために、6週齢の雌hairless mouse(SKH、HR-1)をオリエントバイオで購入して使用した。全てのmouseは、温度24±2℃、湿度50±10%と最適な環境条件を維持させた実験室で12hr/day明暗周期で飼育し、餌は自由に食べさせた。実験前の最小1週間の安定化期間をおき順化させた後、実験を始めた。本評価は、中央大学の医科大学で運営する動物実験倫理委員会の承認(No.202000058)を得た後、行った。
図9に示すように、光老化モデルの製作のために実験動物などの部位に光老化による浅いシワを誘発するために、BIO-SPECTRA(Virber Rourmat、France)を利用して週2~3回、24週間UVBを照射した。以後、実験動物を麻酔(Zoletil:Rompun=3:1)した後、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041の混合物を1:1で総10ppm、20ppm、100ppmとヒアルロン酸(Hyaluronic acid、HA)を混合した群、そしてヒアルロン酸が含まれていないリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041を1:1で総100ppm使用した試験群をmouseなどの部位に注入した。全ての試験群は、皮下に200ulをシワにlinearに注入した。注入後、0時間、1週間、2週間、4週間の経過につれて投与された群のシワ改善程度を評価した。群当たり13匹を使用し、持続性評価用として5匹、組織染色用として8匹を使用した。シワ変化量は、PRIMOSLITE(GFMesstechnikGmbH、Germany)を利用して分析した。分析プログラムは、Software PRIMOS 5.8を利用し、本評価を通じてシワ変化を確認することができる粗さ(Roughness parameter、Rmax)を活用してシワ誘発後、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物及びヒアルロン酸処理群、またはヒアルロン酸無処理群を進行後に4週間経過後のシワ変化に対する粗さを測定した。光老化によるシワ改善効果を確認した結果は、
図9A及びBに示した。
【0102】
図9Aに示したように、比較群1(Control)に比べて比較群2(UVB)の紫外線を照射した群は、皮膚シワが多く生成されたことを確認した。一方、試験群1(Regentide-034_5ppm+Regentide-041_5ppm+HA)、試験群2(Regentide-034_10ppm+Regentide-041_10ppm+HA)、試験群3(Regentide-034_50ppm+Regentide-041_50ppm+HA)、試験群4(Regentide-034_50ppm+Regentide-041_50ppm)では、比較群2(UVB)の紫外線を照射した群に比べてシワ生成が少ないことを確認した。
【0103】
図9Bに示したように、PRIMOSLITE(GFMesstechnikGmbH、Germany)を通じてシワ変化を確認することができる粗さ(Roughness parameter、R max)を確認した結果、比較群1(Contro)に比べて比較群2(UVB)の紫外線を照射した群でシワ生成が約50%増加したことを確認した。試験群1(UVB+Regentide-034_5ppm+Regentide-041_5ppm+HA)の場合、比較群2(UVB)の紫外線のみ照射した群に比べて29%、試験群2(UVB+Regentide-034_10ppm+Regentide-041_10ppm+HA)は30%、試験群3(UVB+Regentide-034_50ppm+Regentide-041_50ppm+HA)は31%と、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物及びヒアルロン酸が含まれた試験群では約30%程度のシワ改善効果を確認することができ、統計的有意性(**、p<0.001)があることを確認した。また、ヒアルロン酸を除いた試験群4(UVB+Regentide-034_50ppm+Regentide-041_50ppm)であるRegentide-034及びリゼンタイド-041混合物のみ処理した試験群の場合も、比較群2(UVB)の紫外線を照射した群に比べて17%増加したことを確認し、統計的有意性(*、p<0.001)があることを確認した。これを通じてリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物が紫外線により誘発された皮膚シワを改善させる効果を有するということを確認した。
【0104】
上記結果は、フィラーに使用されるヒアルロン酸とリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041の混合物を混合して使用時に紫外線により誘発された皮膚シワ改善能が向上することを確認したところ、フィラー素材として活用されることができる。
【0105】
実施例8.シワ動物モデルでリゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物のコラーゲン発現量及びエラスチン発現量の確認
光老化によるシワ動物モデルにおいて、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041混合物によるコラーゲン発現量及びエラスチン発現量を確認するために、前記実施例7の比較群1、比較群2、試験群1~4の総6群の実験動物を犠牲させ、試験群を注入した皮膚組織を摘出して10%neutral buffered formalin溶液に固定した。その後、paraffinに包埋して固め5um切片を製作し、Masson’s trichrome(MT) stainでコラーゲン生成量、Verhoeff-Van Gieson(VVG) stainでエラスチン生成量を確認した。組織スライドスキャナ(Leica、Aperio CS2、USA)を利用して組織スライドを200倍率で観察した後、各スライド別に主要組織学的特徴を読取り、組織におけるコラーゲン及びエラスチン生成量に対する発現量を評価した。コラーゲン及びエラスチン生成量に対する発現量を確認した結果は、それぞれ
図10A及びBに示した。
【0106】
図10Aに示したように、コラーゲン発現量を比較した結果、比較群1(Control)と比較群2(UVB)に比べて試験群1(Regentide-034_5ppm+Regentide-041_5ppm+HA)、試験群2(Regentide-034_10ppm+Regentide-041_10ppm+HA)、試験群3(Regentide-034_50ppm+Regentide-041_50ppm+HA)、試験群4(Regentide-034_50ppm+Regentide-041_50ppm)のいずれもコラーゲン発現量が増加することを確認した。
【0107】
図10Bに示したように、エラスチン発現量を比較した結果、比較群1(Control)と比較群2(UVB)に比べて試験群1(Regentide-034_5ppm+Regentide-041_5ppm+HA)、試験群2(Regentide-034_10ppm+Regentide-041_10ppm+HA)、試験群3(Regentide-034_50ppm+Regentide-041_50ppm+HA)、試験群4(Regentide-034_50ppm+Regentide-041_50ppm)のいずれもエラスチン発現量が増加することを確認した。
【0108】
上記結果は、リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041の混合物が皮膚内のコラーゲン及びエラスチン発現量を増加させることで、紫外線により誘発された皮膚シワを改善させる効果があることを意味する。
【0109】
以下、製剤例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。製剤例は、単に本発明を例示するためのもので、本発明の範囲が製剤例により制限されると解釈されない。
【0110】
製剤例1.化粧料製剤の製造
1-1.柔軟化粧水の製造
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041の混合物0.1重量%、1,3-ブチレングリコール5.2重量%、オレイルアルコール1.5重量%、エタノール3.2重量%、ポリソルベート20 3.2重量%、ベンゾフェノン9 2.0重量%、カルボキシルビニルポリマー1.0重量%、グリセリン3.5重量%、微量の香、微量の防腐剤及び残量の精製水を混合して通常の方法で柔軟化粧水を製造した。
【0111】
1-2.ミルクローションの製造
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041の混合物0.1重量%、グリセリン5.1重量%、プロピレングリコール4.2重量%、トコフェリルアセテート3.0重量%、流動パラフィン4.6重量%、トリエタノールアミン1.0重量%、スクアラン3.1重量%、マカデミアナッツオイル2.5重量%、ポリソルベート60 1.6重量%、セスキオレイン酸ソルビタン1.6重量%、プロピルパラベン0.6重量%、カルボキシルビニルポリマー1.5重量%、微量の香、微量の防腐剤、残量の精製水を混合して通常の方法でミルクローションを製造した。
【0112】
1-3.栄養クリームの製造
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041の混合物0.5重量%、グリセリン4.0重量%、ワセリン3.5重量%、トリエタノールアミン2.1重量%、流動パラフィン5.3重量%、スクアラン3.0重量%、ミツロウ2.6重量%、トコフェリルアセテート5.4重量%、ポリソルベート60 3.2重量%、カルボキシルビニルポリマー1.0重量%、セスキオレイン酸ソルビタン3.1重量%、微量の香、微量の防腐剤及び残量の精製水を混合して通常の方法で栄養クリームを製造した。
【0113】
1-4.マッサージクリームの製造
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041の混合物0.5重量%、グリセリン4.0重量%、ワセリン3.5重量%、トリエタノールアミン0.5重量%、流動パラフィン24.0重量%、スクアラン3.0重量%、ミツロウ2.1重量%、トコフェリルアセテート0.1重量%、ポリソルベート60 2.4重量%、カルボキシルビニルポリマー1.0重量%、セスキオレイン酸ソルビタン2.3重量%、微量の香、微量の防腐剤及び残量の精製水を混合して通常の方法でマッサージクリームを製造した。
【0114】
1-5.洗浄用ボディークレンザーの製造
リゼンタイド-034及びリゼンタイド-041の混合物1g、陰イオン界面活性剤18g、非イオン界面活性剤5g、グリセリン7g、塩化ナトリウム3g、天然オリーブ液相石鹸1.5g、香料1g及び水100gを混合して通常の方法で洗浄用ボディークレンザーを製造した。
【0115】
以上、本発明内容の特定の部分を詳しく記述したところ、当業界の通常の知識を有する者において、このような具体的な技術は単に好ましい実施様態であるだけであり、これにより本発明の範囲が制限されるものではない点は明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付された請求項とそれらの等価物によって定義されるといえる。
【配列表】