(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】手袋
(51)【国際特許分類】
A41D 19/00 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
A41D19/00 Z
(21)【出願番号】P 2023574113
(86)(22)【出願日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 JP2023042530
(87)【国際公開番号】W WO2024019182
(87)【国際公開日】2024-01-25
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】314000800
【氏名又は名称】株式会社無有
(74)【代理人】
【識別番号】100179327
【氏名又は名称】大坂 憲正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
【審査官】原田 愛子
(56)【参考文献】
【文献】実公昭45-032842(JP,Y1)
【文献】実開昭56-103011(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 19/00
A41D 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手に嵌められる袋状の本体を備え、
前記本体の裾口は、当該裾口が薄化された部分である薄化部を有しており、
前記裾口は、前記薄化部の近傍に設けられ、指で摘むことが可能な突起を有しており、
前記突起は、前記本体の内面側に突出しており、
前記薄化部は、前記裾口の周方向に引っ張られたときに切断されるように構成されていることを特徴とする手袋。
【請求項2】
請求項
1に記載の手袋において、
前記裾口の周方向について、前記薄化部と前記突起との間の距離は、前記裾口全体の長さの8分の1以下である手袋。
【請求項3】
請求項
2に記載の手袋において、
前記裾口の周方向について、前記薄化部と前記突起との間の距離は、前記裾口全体の長さの16分の1以下である手袋。
【請求項4】
請求項
3に記載の手袋において、
前記突起は、前記薄化部に隣接している手袋。
【請求項5】
請求項
1に記載の手袋において、
前記突起は、前記手の甲側に設けられている手袋。
【請求項6】
請求項
1に記載の手袋において、
前記突起は、くびれた形状をしている手袋。
【請求項7】
請求項
1に記載の手袋において、
前記突起は、前記本体と同一の材料からなる手袋。
【請求項8】
請求項
1に記載の手袋において、
前記突起は、前記本体と異なる材料からなる手袋。
【請求項9】
請求項
1に記載の手袋において、
前記突起は、前記本体と一体に成形されている手袋。
【請求項10】
手に嵌められる袋状の本体を備え、
前記本体の裾口は、当該裾口が薄化された部分である薄化部を有しており、
前記裾口は、前記薄化部の近傍に設けられ、指で摘むことが可能な突起を有しており、
前記突起は、当該突起の内部に充填された空気によって膨らんだ状態にあり、
前記薄化部は、前記裾口の周方向に引っ張られたときに切断されるように構成されていることを特徴とする手袋。
【請求項11】
請求項
1に記載の手袋において、
前記突起の高さは、5mm以上である手袋。
【請求項12】
請求項1乃至
11の何れかに記載の手袋において、
前記裾口の周方向についての前記薄化部の長さは、5mm以下である手袋。
【請求項13】
請求項
12に記載の手袋において、
前記裾口の周方向についての前記薄化部の長さは、2mm以下である手袋。
【請求項14】
請求項1乃至
11の何れかに記載の手袋において、
前記薄化部は、前記裾口の周方向について、1か所にのみ設けられている手袋。
【請求項15】
請求項1乃至
11の何れかに記載の手袋において、
前記薄化部は、前記裾口の厚み方向について相異なる位置に設けられた第1及び第2の部分を含む手袋。
【請求項16】
請求項
15に記載の手袋において、
前記第2の部分の幅は、前記第1の部分の幅よりも小さい手袋。
【請求項17】
請求項
16に記載の手袋において、
前記第2の部分は、前記裾口の周方向に延びる線条を含む手袋。
【請求項18】
請求項
17に記載の手袋において、
前記第2の部分は、複数の前記線条を含む手袋。
【請求項19】
請求項1乃至
11の何れかに記載の手袋において、
前記薄化部の幅は、前記裾口の残部の幅よりも小さい手袋。
【請求項20】
請求項
19に記載の手袋において、
前記薄化部の幅は、前記残部の幅の2分の1以下である手袋。
【請求項21】
請求項
20に記載の手袋において、
前記薄化部の幅は、前記残部の幅の4分の1以下である手袋。
【請求項22】
手に嵌められる袋状の本体を備え、
前記本体の裾口は、当該裾口が薄化された部分である薄化部を有しており、
前記薄化部は、前記裾口の周方向に引っ張られたときに切断されるように構成されて
おり、
前記本体の通常部分には、前記薄化部から当該本体の指先側に向かって延在する裂開予定部が形成されており、
前記本体は、前記薄化部が切断されたとき、前記裂開予定部に沿って裂けるように構成されていることを特徴とする手袋。
【請求項23】
請求項1乃至
11の何れかに記載の手袋において、
前記本体は、ゴムからなる手袋。
【請求項24】
請求項
23に記載の手袋において、
前記ゴムは、ニトリルゴム又は天然ゴムラテックスである手袋。
【請求項25】
請求項1乃至
11の何れかに記載の手袋において、
当該手袋は、医療用である手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の手袋としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。同文献に記載された手袋は、ゴム又はプラスチックの膜によって一体に形成された袋状の本体からなり、手に密着するように装着される。この手袋は、医療、工業、家事等の様々な場面で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の手袋によれば、装着者を感染や怪我から守ることができる。また、装着者が触れる相手を感染から守ったり、装着者が触れる物を汚損や汚染から守ったりすることもできる。しかしながら、使用後に手袋を脱ぐ際、本体が手に密着しているため、本体を手から外しにくいという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、使用後に本体を手から容易に外すことが可能な手袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による手袋は、手に嵌められる袋状の本体を備え、上記本体の裾口は、当該裾口が薄化された部分である薄化部を有しており、上記薄化部は、上記裾口の周方向に引っ張られたときに切断されるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
この手袋においては、本体の裾口に、薄化部が設けられている。薄化部は、裾口の周方向に引っ張られたときに切断されるように構成されている。このため、使用後に手袋を脱ぐときは、薄化部を裾口の周方向に引っ張ることにより、薄化部を切断し、当該薄化部から本体を裂くことができる。これにより、本体を手から外しやすくなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、使用後に本体を手から容易に外すことが可能な手袋が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明による手袋の第1実施形態を示す平面図である。
【
図2】
図1における裾口12の一部を示す平面図である。
【
図3】
図1における裾口12の一部を示す側面図である。
【
図5】
図1の手袋を脱ぐ方法を説明するための平面図である。
【
図6】
図1の手袋を脱ぐ方法を説明するための平面図である。
【
図7】本発明による手袋の第2実施形態を示す平面図である。
【
図8】
図7における裾口12の一部を示す平面図である。
【
図9】
図7における裾口12の一部を示す側面図である。
【
図10】薄化部22の一変形例を説明するための側面図である。
【
図11】薄化部22の他の変形例を説明するための側面図である。
【
図12】薄化部22の他の変形例を説明するための側面図である。
【
図13】薄化部22の他の変形例を説明するための側面図である。
【
図14】薄化部22の他の変形例を説明するための平面図である。
【
図15】本体10の変形例を説明するための平面図である。
【
図16】突起24の一変形例を説明するための平面図である。
【
図17】突起24の他の変形例を説明するための側面図である。
【
図18】突起24の他の変形例を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
【0011】
図1は、本発明による手袋の第1実施形態を示す平面図である。同図は、手の甲側を示している。手袋1は、衛生又は安全等の目的で使用される作業用の手袋である。手袋1は、例えば、医療現場で使用される医療用の手袋、介護現場で使用される介護用の手袋、工場で使用される工業用の手袋、又は家庭で使用される家事用の手袋である。手袋1は、使い捨てされる手袋であってもよいし、繰り返し使用される手袋であってもよい。
【0012】
手袋1は、本体10を備えている。本体10は、袋状をしており、装着者の手に嵌められる。本体10は、手の形に合わせて成形されている。本体10は、各指を個別に覆えるように5つの筒状部を有している。各筒状部の先端は、閉塞されている。本体10は、裾口12を有している。裾口12は、本体10に対して手を出し入れするための開口である。本体10は、手の全体を覆うように構成されている。本実施形態において本体10は、前腕(特に手首)まで覆うように構成されている。すなわち、本体10は、前腕を覆う部分である前腕被覆部14を有している。当然ながら、裾口12は、前腕被覆部14に存在する。なお、以下の記述における「手」には、前腕(本体10で覆われる部分)も含まれるものとする。
【0013】
本体10は、手に密着するように嵌められる。ここで、手に密着するとは、本体10が伸縮性を有しており、本体10が伸展した状態で手に接するということである。このとき、手には、本体10の収縮力が働く。本体10の伸縮率は、50%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましい。本実施形態において本体10は、ゴムからなる。ゴムとしては、例えば、ニトリルゴム又は天然ゴムラテックスを用いることができる。
【0014】
図2及び
図3は、それぞれ、裾口12の一部を示す平面図及び側面図である。
図3は、裾口12の周方向及び厚み方向に垂直な方向(幅方向)から見た図である。裾口12は、薄化部22、及び突起24を有している。薄化部22は、裾口12が薄化された部分である。すなわち、薄化部22の厚みt1は、裾口12の残部12aの厚みt2よりも小さい。ここで、残部12aは、裾口12における薄化部22及び突起24以外の部分である。薄化部22は、残部12aの内面(本体10が嵌められた手に対向する側の面)と面一である一方、残部12aの外面に対して凹んでいる。薄化部22は、型を用いて本体10を成形する際に初めから所望の厚みに形成されてもよいし、本体10を成形した後に裾口12の一部分(薄化部22となる部分)を薄くすることにより所望の厚みに形成されてもよい。
【0015】
裾口12の周方向(
図2及び
図3の左右方向)についての薄化部22の長さd1は、5mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましい。薄化部22の幅w1は、残部12aの幅に等しい。幅w1は、裾口12の幅方向の寸法である。なお、本体10の通常部分10aの厚みは、残部12aの厚みt2に等しくてもよいし、厚みt2より小さくてもよい。ここで、通常部分10aとは、本体10における裾口12以外の部分である。通常部分10aの厚み方向の寸法が均一でない場合、その平均値をもって通常部分10aの厚みとする。
【0016】
薄化部22は、裾口12の周方向に引っ張られたときに切断されるように構成されている。すなわち、薄化部22に一定以上の引張力が加わると、薄化部22が切断される。薄化部22は、目安として、平均的な筋力を有する成人女性が手で強めに引っ張ったときに初めて切断される程度の強度を有することが好ましい。薄化部22の強度は、例えば、本体10の材料に応じて薄化部22の厚みt1を設定することにより調整することができる。
図4に示すように、薄化部22は、裾口12の周方向について、1か所にのみ設けられている。同図は、裾口12の全体を示す側面図である。また、薄化部22は、本体10の手の平側でなく、手の甲側に設けられている。なお、薄化部22が切断される前、裾口12に切込みや切欠きは存在しない。
【0017】
突起24は、薄化部22の近傍に設けられている。すなわち、薄化部22及び突起24は、本体10が手に嵌められた状態で突起24を引っ張ったときに、その力が薄化部22に伝わるような位置関係にある。裾口12の周方向について、薄化部22と突起24との間の距離は、裾口12全体の長さの8分の1以下であることが好ましく、16分の1以下であることがより好ましい。ただし、当該距離は、本体10が手に嵌められていない状態で計測するものとする。本実施形態において突起24は、薄化部22に隣接している。それゆえ、薄化部22と突起24との間の距離は、0である。
【0018】
突起24は、本体10の外面側に突出している。すなわち、突起24は、本体10が手に嵌められた状態で、本体10の外部に露出する。突起24は、指で摘むことが可能である。本実施形態において突起24は、円柱状をしている。突起24は、本体10(突起24以外の部分)と同一の材料からなってもよいし、本体10と異なる材料からなってもよい。突起24の材料としては、例えば、ゴム、又はプラスチックを用いることができる。また、突起24は、本体10と一体に成形されてもよいし、本体10と別々に成形された後に裾口12に取り付けられてもよい。突起24の高さh1(残部12aからの高さ)は、5mm以上10mm以下であることが好ましい。手袋1においては、1つの本体10に対して、突起24が1個だけ設けられている(
図4参照)。突起24も、本体10の手の平側でなく、手の甲側に設けられている。
【0019】
手袋1を脱ぐときは、反対の手の指で突起24を摘んで、裾口12の周方向(薄化部22から遠ざかる向き)に引っ張ればよい。これにより、薄化部22に対して裾口12の周方向に引っ張る力が加わる。すると、
図5に示すように、薄化部22に亀裂90が生じ、薄化部22が周方向に分断されるように切断される。さらに力を加え続けることにより、
図6に示すように、亀裂90が本体10の通常部分10aにまで達する。このようにして、本体10を引き裂くことができる。このとき、本体10を手から外しやすくする観点から、本体10における指の付根を覆う部分の近傍まで亀裂90が達するように本体10を引き裂くことが好ましい。
【0020】
手袋1の効果を説明する。手袋1においては、本体10の裾口12に、薄化部22が設けられている。薄化部22は、裾口12の周方向に引っ張られたときに切断されるように構成されている。このため、使用後に手袋1を脱ぐときは、薄化部22を裾口12の周方向に引っ張ることにより、薄化部22を切断し、薄化部22から本体10を裂くことができる。これにより、本体10を手から外しやすくなる。したがって、使用後に本体10を手から容易に外すことが可能な手袋1が実現されている。
【0021】
また、薄化部22を設けることにより、本体10の材料を節約することができる。このことは、手袋1の製造コストの削減に資する。
【0022】
ところで、使用後に本体10を裂けやすくする手段としては、裾口12に切込みや切欠きを予め形成しておくことも考えられる。しかし、その場合、本体10を手に嵌める際に意図せず本体10が裂けてしまうという問題がある。この点、本実施形態のように裾口12に薄化部22を設けることにより、手に嵌める際には本体10が裂けにくいようにしつつ、手から外す際には本体10が裂けやすいようにすることができる。
【0023】
裾口12は、突起24を有している。この場合、突起24を指で摘んで引っ張ることにより、薄化部22に対して裾口12の周方向に引っ張る力を加えやすくなる。ただし、突起24を設けることは、必須でない。
【0024】
薄化部22と突起24との間の距離が小さい方が、突起24を引っ張ったときに、薄化部22に力を効率良く伝えるのに有利である。かかる観点から、裾口12の周方向について薄化部22と突起24との間の距離は、裾口12全体の長さの8分の1以下であることが好ましく、16分の1以下であることがより好ましい。本実施形態のように突起24が薄化部22に隣接している場合、薄化部22に力を効率良く伝えるのに特に有利である。
【0025】
突起24は、手の甲側に設けられている。この場合、突起24が手の平側に設けられる場合に比して、手袋1を装着して作業をするときに突起24が邪魔になりにくい。ただし、突起24は、手の平側に設けられてもよいし、その他の箇所(手の甲と手の平との間)に設けられてもよい。
【0026】
突起24は、本体10の外面側に突出している。この場合、反対の手の指で突起24を直接摘むことができるため、突起24を引っ張りやすいという利点がある。
【0027】
突起24が本体10と同一の材料からなる場合、本体10の材料と突起24の材料とを共通化することにより、手袋1の製造コストを削減することができる。
【0028】
突起24が本体10と異なる材料からなる場合、突起24の材料選択の自由度を高めることができる。
【0029】
突起24が本体10と一体に成形されている場合、手袋1の製造コストを削減することができる。
【0030】
突起24の高さh1が大きい方が、突起24を確実に摘みやすい。かかる観点から、高さh1は、5mm以上であることが好ましい。他方、高さh1が大きすぎると、突起24が作業の邪魔になりかねない。かかる観点から、高さh1は、10mm以下であることが好ましい。
【0031】
裾口12の周方向についての薄化部22の長さd1が小さい方が、薄化部22を周方向に分断するように切断しやすい。かかる観点から、長さd1は、5mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましい。他方、長さd1が小さすぎると、薄化部22を形成しにくくなりかねない。かかる観点から、長さd1は、1mm以上であることが好ましい。
【0032】
薄化部22は、裾口12の周方向について、1か所にのみ設けられている。この場合、薄化部22が複数箇所に設けられる場合に比して、裾口12全体の強度を充分に確保しやすい。裾口12の強度が不充分であると、手袋1の使用中に意図せず裾口12に亀裂が生じかねない。ただし、薄化部22は、裾口12の周方向について、複数箇所に設けられてもよい。
【0033】
本体10がゴムからなる場合、伸縮性を有する本体10を容易に実現することができる。ゴムがニトリルゴム又は天然ゴムラテックスである場合、特に優れた伸縮性を有する本体10を実現することができる。
【0034】
手袋1が医療用である場合、本体10にウィルスや細菌等が付着しやすい環境で使用される。この場合、使用後に本体10を手から外すのに手間取ると、本体10が素肌に触れて装着者が感染してしまうリスクが高くなる。それゆえ、円滑に脱ぐことのできる手袋1が特に有用となる。
(第2実施形態)
【0035】
図7は、本発明による手袋の第2実施形態を示す平面図である。同図は、手の甲側を示している。手袋2は、衛生又は安全等の目的で使用される作業用の手袋である。手袋2は、本体10を備えている。
【0036】
図8及び
図9は、それぞれ、裾口12の一部を示す平面図及び側面図である。裾口12は、薄化部22、及び突起24を有している。本実施形態において薄化部22は、部分22a(第1の部分)及び部分22b(第2の部分)を含んでいる。部分22a及び部分22bは、裾口12の厚み方向について相異なる位置に設けられている。このように薄化部22が複数の部分からなる場合、薄化部22の厚みは、各部分の厚みの総和として定義される。すなわち、薄化部22の厚みは、部分22aの厚みt2と部分22bの厚みt3との和(t2+t3)に等しい。
【0037】
部分22a及び部分22bは、裾口12の厚み方向について互いに離間している。部分22bは、平面視で、部分22aに重なっている。部分22bは、部分22aの上方(本体10の外面側)において裾口12の残部12aどうしを連結している。部分22aは、残部12aの内面と面一である一方、残部12aの外面に対して凹んでいる。部分22bは、残部12aの内面及び外面の何れに対しても凹んでいる。
【0038】
部分22bの幅w3は、部分22aの幅w2よりも小さい。幅w2は、残部12aの幅に等しい。本実施形態のように薄化部22が複数の部分からなる場合、薄化部22の幅は、各部分の幅の単純平均として定義される。すなわち、薄化部22の幅は、部分22aの幅w2と部分22bの幅w3との単純平均((w2+w3)/2)に等しい。それゆえ、薄化部22の幅は、残部12aの幅よりも小さい。薄化部22の幅は、残部12aの幅の2分の1以下であることが好ましく、4分の1以下であることがより好ましい。部分22bは、裾口12の周方向に延びる線条からなっていてもよい。部分22bは、本体10(部分22b以外の部分)と一体に成形されてもよいし、本体10と別々に成形された後に裾口12に取り付けられてもよい。本体10のその他の構成は、第1実施形態で説明したとおりである。
【0039】
手袋2の効果を説明する。手袋2においては、本体10の裾口12に、薄化部22が設けられている。薄化部22は、裾口12の周方向に引っ張られたときに切断されるように構成されている。このため、使用後に手袋2を脱ぐときは、薄化部22を裾口12の周方向に引っ張ることにより、薄化部22を切断し、薄化部22から本体10を裂くことができる。これにより、本体10を手から外しやすくなる。したがって、使用後に本体10を手から容易に外すことが可能な手袋2が実現されている。
【0040】
薄化部22は、裾口12の厚み方向について相異なる位置に設けられた部分22a及び部分22bを含んでいる。この場合、各部分22a,22bの厚みを極端に小さくしても、薄化部22全体として必要な強度(意図せず薄化部22が切断しない程度の強度)を確保しやすくなる。
【0041】
部分22bの幅w3は、部分22aの幅w2よりも小さい。この場合、幅w3を幅w2に揃える必要がないため、幅w3の設計自由度が向上する。これにより、幅w3の設定によっても、部分22bひいては薄化部22の強度を調整することが可能となる。
【0042】
部分22bが裾口12の周方向に延びる線条からなる場合、部分22bひいては本体10の材料を節約することができる。このことは、手袋2の製造コストの削減に資する。
【0043】
薄化部22の幅は、残部12aの幅よりも小さい。この場合、薄化部22の幅を残部12aの幅に揃える必要がないため、薄化部22の幅の設計自由度が向上する。これにより、薄化部22の幅の設定によっても、薄化部22の強度を調整することが可能となる。
【0044】
薄化部22の幅が小さい方が、薄化部22を切断しやすい。かかる観点から、薄化部22の幅は、残部12aの幅の2分の1以下であることが好ましく、4分の1以下であることがより好ましい。手袋2のその他の効果は、手袋1と同様である。
【0045】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。第1実施形態においては、薄化部22の幅w1が裾口12の残部12aの幅に等しい場合を例示した。しかし、幅w1は、残部12aの幅より小さくてもよい。
【0046】
第1実施形態においては、薄化部22が残部12aの内面と面一である場合を例示した。しかし、薄化部22は、例えば
図10及び
図11に示すように、残部12aの内面に対して凹んでいてもよい。
図10において薄化部22は、残部12aの外面と面一である。一方、
図11において薄化部22は、残部12aの外面に対しても凹んでいる。
【0047】
第2実施形態においては、薄化部22の部分22bの幅w3が部分22aの幅w2よりも小さい場合を例示した。しかし、幅w3は、幅w2に等しくてもよい。
【0048】
第2実施形態においては、部分22aが残部12aの内面と面一である場合を例示した。しかし、部分22aは、例えば
図12に示すように、残部12aの内面に対して凹んでいてもよい。
【0049】
第2実施形態においては、部分22bが残部12aの外面に対して凹んでいる場合を例示した。しかし、部分22bは、例えば
図13に示すように、残部12aの外面と面一であってもよい。
【0050】
第2実施形態において部分22bは、例えば
図14に示すように、複数の線条からなっていてもよい。同図において部分22bは、3本の線条からなっている。複数の線条は、裾口12の幅方向(
図14の上下方向)について相異なる位置に設けられている。ただし、これらの線条は、裾口12の厚み方向(
図14の紙面に垂直な方向)について同一の位置に設けられている。このように部分22が複数の線条からなる場合、線条の本数によっても、部分22bひいては薄化部22の強度を調整することが可能となる。
【0051】
第2実施形態においては、薄化部22が部分22a及び部分22bの双方からなる場合を例示した。しかし、薄化部22は、部分22a又は部分22bの何れか一方のみからなってもよい。
【0052】
上記各実施形態において本体10の通常部分10aには、例えば
図15に示すように、薄化部22から本体10の指先側に向かって延在する裂開予定部26が形成されていてもよい。同図において裂開予定部26は、直線状をしており、本体10における指の付根を覆う部分の近傍まで達している。裂開予定部26は、通常部分10aが薄化された部分である。本体10は、薄化部22が切断されたとき裂開予定部26に沿って裂けるように構成されている。かかる裂開予定部26を設けることにより、手袋1,2を脱ぐ際、本体10を手幅方向に分断するように裂くことが容易になる。
【0053】
上記各実施形態においては、突起24が薄化部22に隣接する場合を例示した。しかし、突起24は、例えば
図16に示すように、薄化部22から離間していてもよい。その場合、裾口12の周方向についての薄化部22と突起24との間の距離d2は、上述のとおり、裾口12全体の長さの8分の1以下であることが好ましく、16分の1以下であることがより好ましい。
【0054】
上記各実施形態においては、突起24が本体10の外面側に突出している場合を例示した。しかし、突起24は、本体10の内面側に突出していてもよい。その場合、突起24が本体10の外部に露出しないため、手袋1,2を装着して作業をするときに突起24が邪魔になりにくい。
【0055】
上記各実施形態においては、突起24が1個だけ設けられた場合を例示した。しかし、突起24は、例えば
図17に示すように、1つの本体10に対して複数個設けられてもよい。同図においては、薄化部22の両端側にそれぞれ突起24が設けられている。
【0056】
上記各実施形態においては、突起24が円柱状をしている場合を例示した。しかし、突起24は、例えば
図18に示すように、くびれた形状をしていてもよい。同図において突起24は、環状の溝からなるくびれ部24aを有している。なお、同図においては突起24の上面の縁が角張っているが、当該縁は、丸みを帯びていてもよい。また、同図においてはくびれ部24aが角を有する形状をしているが、くびれ部24aは、曲面状をしていてもよい。このように突起24がくびれた形状をしている場合、くびれ部24aに指を掛けることが可能となるため、突起24を一層確実に摘みやすくなる。
【0057】
上記各実施形態において突起24は、突起24の内部に充填された空気によって膨らんだ状態にあってもよい。かかる突起24は、気泡緩衝材のように、内部の空気によって形状が維持されており、当該空気が抜けたときに萎むように構成されている。かかる構成の突起24は、例えば、細い針状のノズルを用いて、裾口12に空気を注入することにより形成することができる。すなわち、空気が注入された部分が風船のように膨らんで突起24となる。このように突起24が空気によって膨らんだ状態にある場合、突起24ひいては手袋1,2の軽量化を図ることができる。さらに、手袋1,2を廃棄する際、突起24の空気を抜くことにより、廃棄物となる手袋1,2の嵩を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 手袋
2 手袋
10 本体
10a 通常部分
12 裾口
12a 残部
14 前腕被覆部
22 薄化部
22a 部分(第1の部分)
22b 部分(第2の部分)
24 突起
24a くびれ部
26 裂開予定部
90 亀裂