(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】メッシュ通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 4/38 20180101AFI20240712BHJP
F16T 1/48 20060101ALI20240712BHJP
F22B 37/26 20060101ALI20240712BHJP
H04W 52/46 20090101ALI20240712BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240712BHJP
H04W 84/20 20090101ALI20240712BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20240712BHJP
【FI】
H04W4/38
F16T1/48 Z
F22B37/26 B
H04W52/46
H04W84/10 110
H04W84/20
H04W88/04
(21)【出願番号】P 2024015659
(22)【出願日】2024-02-05
【審査請求日】2024-02-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】110004303
【氏名又は名称】弁理士法人三協国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【審査官】吉倉 大智
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-182578(JP,A)
【文献】特開2022-124141(JP,A)
【文献】特開2023-078886(JP,A)
【文献】特表2017-533648(JP,A)
【文献】特許第7305901(JP,B1)
【文献】特開2019-220772(JP,A)
【文献】特開2023-124621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
F16T 1/48
F22B 37/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動機器の状態を測定する複数の子機と、前記複数の子機がそれぞれ測定した測定データを取得する親機と、を備えるメッシュ通信システムであって、
前記複数の子機は、複数のグループにグループ化され、且つ、同一グループ内の子機とメッシュネットワークを介してそれぞれ通信可能に接続され、
前記複数のグループは、それぞれ同一グループ内の前記複数の子機の中から予め特定された第1子機と前記第1子機以外の第2子機とを含み、
各グループの前記第1子機は、それぞれ前記親機と直接的に通信可能に接続され、
前記第1子機は、
同一グループの前記第2子機から送信された前記測定データを受信した場合、受信した前記測定データを前記親機に直接送信し、
前記第1子機は、同一グループ内の前記第2子機と通信可能なグループ通信部と、前記親機と直接的に通信可能なユニキャスト通信部と、を別個に備え
、
前記複数の子機は、所定の時刻になると前記作動機器の状態を測定する測定処理を実行した後、測定した前記測定データを前記親機に送信するデータ通信処理を実行し、
前記複数の子機は、同一グループの前記第1子機が同一グループの全ての前記第2子機が送信した前記測定データを受信した場合、前記データ通信処理を終了することを特徴とする、メッシュ通信システム。
【請求項2】
前記作動機器は、スチームトラップであることを特徴とする、請求項
1に記載のメッシュ通信システム。
【請求項3】
前記測定データは、前記スチームトラップの温度および振動値を含むことを特徴とする、請求項
2に記載のメッシュ通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動機器の状態を測定する複数の子機が測定した測定データを送受信する、メッシュ通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント等の大規模な設備には、各種作動機器が設けられている。例えば、特許文献1には、プラント等の配管系内で生じた復水を配管系の外部に排出する、スチームトラップ(作動機器)の性能を評価する測定装置および測定方法ついて記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、複数個のスチームトラップそれぞれに設けられた測定装置が測定した測定データを、フラッド型メッシュネットワークを介してサーバに送信する測定データ送信システムについて記載されている。特許文献2の測定データ送信システムによれば、各測定装置の通信部が有するフラッド型メッシュネットワークのリレー機能によって、各測定装置の設置先のスチームトラップの作動状態を示す測定データを他の測定装置に転送することで、各測定装置の測定データを、一以上の他の測定装置を介してまたは介さずサーバに送信することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第2954183号公報
【文献】特開2022-124141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献2において、各測定装置の実際の設置環境は、拠点の居室のドアや壁、配管等の多数の障害物が存在し、各測定装置のデータ通信可能な距離は、水平距離で見た場合よりも短いため、データ通信が正常に行われない場合ある。このような環境下でもデータ通信の成功率を確保するため、データ通信の実行時間を長くしたり、データ通信処理を複数回実行したりしている。このように、データ通信の実行時間を長くしたり、データ通信を複数回実行したりすると、その分だけ測定装置の電力消費量が増加するため、各測定装置に設けられた電池の寿命が想定以上に短くなり、短時間で電池交換が必要になるという問題があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、測定装置の電力消費量の増加を抑制しつつ、各測定装置のデータ通信の信頼性を維持することができるメッシュ通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るメッシュ通信システムは、作動機器の状態を測定する複数の子機と、前記複数の子機がそれぞれ測定した測定データを取得する親機と、を備え、前記複数の子機は、複数のグループにグループ化され、且つ、同一グループ内の子機とメッシュネットワークを介してそれぞれ通信可能に接続され、前記複数のグループは、それぞれ同一グループ内の前記複数の子機の中から予め特定された第1子機と前記第1子機以外の第2子機とを含み、各グループの前記第1子機は、それぞれ前記親機と直接的に通信可能に接続され、前記第1子機は、同一グループの前記第2子機から送信された前記測定データを受信した場合、受信した前記測定データを前記親機に直接送信し、前記第1子機は、同一グループ内の前記第2子機と通信可能なグループ通信部と、前記親機と直接的に通信可能なユニキャスト通信部と、を別個に備えていることを特徴とする。
【0008】
上記態様によれば、同一グループの第1子機および第2子機がメッシュネットワークを介して通信可能に接続され、各第1子機がそれぞれ親機に直接的に通信可能に接続されているため、各子機が単一のメッシュネットワークを介して親機に通信可能に接続されている場合に比べて、各子機から送信された測定データが親機に伝達されるまでに経由する子機の数が少なくなる。これにより、データ通信の信頼性が高くなるため、データ通信の通信時間や通信回数を少なくすることができる。その結果、データ通信の信頼性を維持しつつ各子機の電力消費量の増加を抑制できることから、各子機に備えられた電池を交換する間隔を長くできる。
【0009】
また、第1子機は、同一グループ内の第2子機と通信可能なグループ通信部と、親機と直接的に通信可能なユニキャスト通信部と、を別個に備えるため、同一グループ内での通信と親機との通信とを制御的に切り換えることなく同時に実施することができる。
【0010】
また、上記態様において、好ましくは、前記複数の子機は、所定の時刻になると前記作動機器の状態を測定する測定処理を実行した後、測定した前記測定データを前記親機に送信するデータ通信処理を実行し、前記複数の子機は、前記データ通信処理の開始時点または前記所定の時刻から所定時間経過すると、前記データ通信処理を終了する。この態様によれば、データ通信処理の開始時点または所定の時刻から所定時間経過したかに基づいて、データ通信処理の終了が判定される。また、上記態様では、各子機が単一のメッシュネットワークを介して親機に通信可能に接続されている場合に比べて、前記所定時間を短く設定することができる。
【0011】
また、上記態様において、好ましくは、前記複数の子機は、所定の時刻になると前記作動機器の状態を測定する測定処理を実行した後、測定した前記測定データを前記親機に送信するデータ通信処理を実行し、前記複数の子機は、同一グループの前記第1子機が同一グループの全ての前記第2子機が送信した前記測定データを受信すると、前記データ通信処理を終了する。この態様によれば、同一グループの第1子機が同一グループの全ての第2子機が送信した測定データを受信した時点で、速やかにデータ通信処理を終了することができる。
【0012】
また、上記態様において、好ましくは、前記作動機器は、スチームトラップである。この態様によれば、スチームトラップに取り付けられた子機によって当該スチームトラップの作動状態が測定されることで、スチームトラップの異常や性能低下を検知することができる。
【0013】
また、上記態様において、前記測定データは、前記スチームトラップの温度および振動値を含む。この態様によれば、スチームトラップの温度および振動値に基づいて、当該スチームトラップの異常や性能低下を判定することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明のメッシュ通信システムによれば、データ通信の信頼性を維持しつつ、データ通信の通信時間や通信回数を少なくできるため、子機の電力消費量の増加を抑制し、子機に備えられる電池の寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】メッシュ通信システムの全体構成を示す図である。
【
図2】グループ内において、左下端の診断器子機がメッシュネットワークのリレー機能を用いて特定診断器子機にデータ送信したときの状態をイメージ的に示す図である。
【
図3】特定診断器子機および同一グループを構成する診断器子機の構成を示すブロック図である。
【
図4】メッシュ通信システムにおける測定データの通信処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図5】メッシュ通信システムにおける測定データの通信処理の流れを説明する他のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[実施の形態1]
[システムの構成]
図1は、本発明の一実施形態にかかるメッシュ通信システム100の全体構成を示す図である。メッシュ通信システム100は、複数の診断器子機A-1~J-10と、親機2と、サーバ4と、を備えている。本実施形態では、メッシュ通信システム100は、100個の診断器子機A-1~J-10を備えている。以下、各診断器子機A-1~J-10を区別しない場合、符号を省略して単に診断器子機と称する。なお、上記診断器子機A-1~J-10が、請求項における「子機」にそれぞれ対応する。
【0017】
複数の診断器子機は、蒸気配管系を備えたプラント等の配管系の適所に設置された複数のスチームトラップ6(
図3参照)にそれぞれ常設されている。スチームトラップ6は公知技術であるため、詳細な説明を省略する。各診断器子機は、設置先のスチームトラップ6の作動状態を測定する。具体的には、各診断器子機は、設置先のスチームトラップ6の温度および振動値を測定する。なお、スチームトラップ6が、請求項における「作動機器」に相当する。
【0018】
複数の診断器子機は、Bluetooth(登録商標) Mesh等の近距離無線通信を行う機能を備え、所謂フラッド型メッシュネットワークを構成しており、各診断器子機が測定した測定データを含むパケットが、当該診断器子機から上記フラッド型メッシュネットワークを介して送信先に送信される。
【0019】
なお、上記パケットには、設置先のスチームトラップ6の作動状態を示す測定データだけでなく、当該スチームトラップ6の識別情報、送信先の装置を示す情報(宛先情報)、送信元の診断器子機を示す情報(送信元情報)、および所属するグループを示すグループ情報(グループID)などが含まれている。なお、グループについては後述する。以下では、測定データおよびこれら情報(識別情報、宛先情報、送信元情報、グループ情報)を含んで、測定データ等と称する。
【0020】
上記フラッド型メッシュネットワーク(以下、メッシュネットワーク)とは、洪水型メッシュネットワークとも呼ばれ、メッシュ状に配置された各子機(本実施形態では診断器子機)が、洪水のようにデータを逐次他の子機に伝達するネットワークである。具体的には、メッシュネットワークに属する各子機は、リレー機能を有している。リレー機能とは、測定データ等を含むパケットをブロードキャストし、さらに、他の子機がブロードキャストしたパケットを受信し、当該受信したパケットを更にブロードキャスト(転送)する機能である。
【0021】
なお、キャッチボールのように、特定の複数の子機間でパケットの送受信が繰り返されると、パケットが宛先まで到達しない。これを回避するため、リレー機能では、一度受信したパケットは一時的に記憶(キャッシュ)される。また、リレー機能では、当該記憶されているパケットと同じパケットを受信した場合、その受信したパケットは、ブロードキャストされずに破棄される。これより、各子機から送信される測定データ等を含むパケットが、フラッド型メッシュネットワークのリレー機能を用いて、一以上の子機を介してまたは介さずに送信先まで転送される。
【0022】
また、本実施形態では、複数の診断器子機A-1~J-10は、10個のグループ(グループA~グループJ)にグループ化され、それぞれ何れかのグループに属している。
図1に示す各診断器子機に付された符号は、所属するグループおよびグループ内での番号を示している。具体的には、各診断器子機に付された符号において、左側の英字が所属するグループを示し、右側の数字がグループ内での番号を示している。
【0023】
また、各グループの診断器子機は、同一グループの診断器子機とフラッド型メッシュネットワーク(以下、メッシュネットワーク)を介して通信可能に接続されている。この同一グループ内の各診断器子機で形成されたメッシュネットワークを、グループ内メッシュネットワーク(以下、グループネットワーク)と定義する。これに関連して、各診断器子機には、所属するグループを規定するグループ情報がそれぞれ付与されている。
【0024】
例えば、グループAにおけるグループネットワークは、診断器子機A-1~A-10で構成されている。これら診断器子機A-1~A-10の中で、診断器子機A-1は、グループA内の他の診断器子機A-2~A-10から送信された測定データ等を含むパケットを受信する診断器子機として予め特定されている。以下、診断器子機A-1を同一グループの他の診断器子機A-2~A-10と区別するため、特定診断器子機A-1と称する。これにより、グループAは、特定診断器子機A-1および各診断器子機A-2~A-10を含み、これらがグループネットワークを介してそれぞれ通信可能に接続されている。なお、「特定診断器子機A-1」が請求項における「第1子機」に相当し、「診断器子機A-2~A―10」が請求項における「第2子機」に相当する。
【0025】
図2は、グループA内におけるパケットの通信の一態様を示している。例えば、
図2の実線太矢印部は、左下端の診断器子機A-10が、グループネットワークのリレー機能を用いて、特定診断器子機A-1にパケットを送信した場合に、左下端の診断器子機A-10から送信されたパケットが、複数の診断器子機(ノードともいう)でブロードキャストされ、特定診断器子機A-1まで伝達される態様を示している。
【0026】
また、
図1の破線太矢印部は、特定診断器子機A-1が、グループネットワークのリレー機能を用いて、左下端の診断器子機A-10にパケットを送信した場合に、特定診断器子機A-1から送信されたパケットが、複数の診断器子機(ノード)でブロードキャストされ、左下端の診断器子機A-10まで伝達される態様を示している。
【0027】
図示しないが、各診断器子機A-2~A-9についても同様に、各診断器子機A-2~A-9から送信されたパケットがブロードキャストされることによって、当該パケットがグループネットワークを介して特定診断器子機A-1に伝達される。また、例えば特定診断器子機A-1から送信されたパケットが、複数の診断器子機(ノード)でブロードキャストされ、各診断器子機A-2~A-9に伝達される。
【0028】
また、グループA以外の他のグループ(グループB~グループJ)も同様に、同一グループの診断器子機から送信された測定データ等を含むパケットを受信する特定診断器子機、および、同一グループ内の各診断器子機が、グループ毎に形成されたグループネットワークを介してそれぞれ通信可能に接続されている。従って、同一グループ内の各診断器子機から送信されたパケットが、各グループネットワークを介して同一グループの特定診断器子機に伝達される。同様に、特定診断器子機から送信されたパケットが、各グループのグループネットワークを介して同一グループの各診断器子機に伝達される。本実施形態では、各グループにおける番号が「1」の診断器子機(すなわちB-1~J-1)がそれぞれ特定診断器子機B-1~J-1に設定されている。なお、「特定診断器子機B-1~J-1」がそれぞれ請求項における「第1子機」に相当し、これら特定診断器子機B-1~J-1を除いた各診断器子機B-2~J-10がそれぞれ請求項における「第2子機」に相当する。
【0029】
また、各グループの各特定診断器子機A-1~J-1(以下、区別しない場合は符号を省略)は、それぞれ親機2と直接的に通信可能に接続されている。各特定診断器子機は、例えば無線LAN(Wi-Fi(登録商標)など)または有線LANを介して親機2に直接的に通信可能に接続されている。以下、親機2と各特定診断器子機との通信をユニキャスト通信と称す。従って、各特定診断器子機から送信されたパケットは、ユニキャスト通信によって直接親機2に伝達される。なお、
図1において、各グループと親機2とを繋ぐ破線が、各グループの特定診断器子機と親機2との間のユニキャスト通信に対応する。
【0030】
ここで、親機2と各特定診断器子機とが無線LANで接続される場合であって、親機2と所定の特定診断器子機との間の距離が離れるなどして適切な通信が困難な場合には、親機2と所定の特定診断器子機との間に中継器を介在させてもよい。この場合であっても、中継器は、親機2と所定の特定診断器子機との間でパケットを中継するだけであるため、実質的には、親機2と所定の特定診断器子機とは、直接的に通信可能に接続されていると解される。
【0031】
親機2は、インターネット、LAN等のネットワークNWを介してサーバ4に接続されており、各特定診断器子機から送信された測定データ等を取得すると、ネットワークNWを介してサーバ4に送信する。サーバ4は、取得した測定データ等に基づいて各々の診断器子機の設置先であるスチームトラップ6の作動状態を判断する。
【0032】
上記のように、メッシュ通信システム100は、同一グループの診断器子機(特定診断器子機を含む)がグループネットワークを介して通信可能に接続されるとともに、親機2と各特定診断器子機とがユニキャスト通信によって通信可能にそれぞれ接続されている。
【0033】
これにより、例えば、グループAの特定診断器子機A-1以外の診断器子機(例えば診断器子機A-10)から送信された測定データ等を含むパケット(以下、単に測定データ等と記載)は、グループAのグループネットワークを介して特定診断器子機A-1に送信される。さらに、特定診断器子機A-1が同一グループの診断器子機から送信された測定データ等を受信した場合、特定診断器子機A-1は、その測定データ等をユニキャスト通信によって親機2に直接送信するように構成されている。
【0034】
図3は、グループAを構成する特定診断器子機A-1、診断器子機A-2~A-10、親機2、およびサーバ4の構成を示すブロック図である。以下、特定診断器子機A-1、診断器子機A-2~A-10、親機2、およびサーバ4の制御機能について
図3を参照しつつ説明する。なお、説明を省略するが、特定診断器子機B-1~J-1は、特定診断器子機A-1と同様に構成され、特定診断器子機B-1~J-1を除く診断器子機B-2~J-10は、診断器子機A-2~A-10と同様に構成されている。
【0035】
各診断器子機A-2~A-10は、温度センサ11、振動センサ12、電池13、通信部14、および制御部15を備えている。
【0036】
温度センサ11は、熱電対、増幅回路、およびAD変換回路等で構成されている。温度センサ11は、設置先のスチームトラップ6の入口部等に設けられ、当該スチームトラップ6の温度を測定し、その測定結果を示す温度データを制御部15に出力する。
【0037】
振動センサ12は、圧電素子、増幅回路、およびAD変換回路等で構成されている。振動センサ12は、設置先のスチームトラップ6の排出部等に設けられ、当該スチームトラップ6の振動値を測定し、その測定結果を示す振動データを制御部15に出力する。
【0038】
電池13は、リチウムイオン等の二次電池によって構成されている。電池13は、各診断器子機A-2~A-10の各部に電力を供給可能に接続されている。
【0039】
通信部14は、Bluetooth(登録商標) Mesh ネットワーク等のフラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信回路を用いて構成されている。通信部14は、制御部15による制御の下、測定データ等を指示された宛先(例えば特定診断器子機A-1)に送信する。具体的には、通信部14は、温度センサ11および振動センサ12が測定した測定データ等を含むパケットをブロードキャストする。また、通信部14は、同一グループの他の診断器子機の通信部14がブロードキャストしたパケットを受信すると、制御部15による制御の下、当該受信したパケットをさらにブロードキャストする。
【0040】
また、通信部14は、一度受信したパケットと同じパケットを受信した場合、制御部15による制御の下、そのパケットをブロードキャストしないように構成されている。また、他のグループの診断器子機から送信されたパケットを受信した場合も同様に、制御部15による制御の下、そのパケットをブロードキャストしないように構成されている。
【0041】
制御部15は、CPU、メモリ等を備えたマイクロコンピュータから構成されている。また、制御部15は、CPUが所定のプログラムを実行することで実現される機能として、測定部151および処理部152を備えている。
【0042】
測定部151は、設置先のスチームトラップ6の作動状態として、当該スチームトラップ6の温度および振動値を測定する測定処理を行う。
【0043】
具体的には、測定部151は、設置先のスチームトラップ6の温度を温度センサ11に測定させ、温度センサ11が出力した当該スチームトラップ6の温度を示す温度データを取得する。また、測定部151は、設置先のスチームトラップ6の振動値を振動センサ12に測定させ、振動センサ12が出力した当該スチームトラップ6の振動値を示す振動データを取得する。これに限らず、測定部151は、測定処理において、設置先のスチームトラップ6の温度および振動値のうちの一方だけを、当該スチームトラップ6の作動状態として測定するようにしてもよい。
【0044】
処理部152は、所定の起動時刻(例えば13時)になると、診断器子機のスリープ状態を解除して測定部151に測定処理を行わせ、設置先のスチームトラップ6の作動状態として測定された当該スチームトラップ6の温度および振動値を示す温度データおよび振動データを、測定データとして取得する。スリープ状態とは、電池13から温度センサ11、振動センサ12、および通信部14への電力供給が遮断された状態である。
【0045】
次いで、処理部152は、測定処理によって取得した測定データ等(パケット)を、通信部14から転送(ブロードキャスト)させるとともに、通信部14で受信した同一のグループからの測定データ等(パケット)を通信部14から転送させることにより、各診断器子機から送信された測定データ等を、同一のグループネットワークを介して特定診断器子機A-1に送信するデータ通信処理を実行する。
【0046】
また、処理部152は、データ通信処理中に通信部14で受信したパケットと同じパケットを受信したかを判定し、同じパケットを受信した場合、そのパケットを転送(ブロードキャスト)しない指令を通信部14に出力する。また、処理部152は、データ通信処理中に通信部14で受信したパケットが他のグループの診断器子機から送信されたパケットであるかを判定し、他のグループの診断器子機から送信されたパケットを受信した場合、そのパケットを転送(ブロードキャスト)しない指令を通信部14に出力する。これにより、他のグループの診断器子機から送信されたパケットは転送されなくなるため、同一のグループネットワークを介したデータ通信が実行されることとなる。処理部152は、例えば受信したパケットに含まれるグループ情報(グループID)に基づいて、他のグループの診断器子機から送信されたパケットであるかを判定する。
【0047】
処理部152は、例えばデータ通信処理の開示時点または所定の起動時刻から予め規定されている所定時間Tlimが経過すると、データ通信処理を終了し、診断器子機をスリープ状態に切り換える。
【0048】
上記データ通信処理では、データ通信の成功率を上げるため、データ通信が1回で終了することなく複数回繰り返して実行される(リトライ)。これにより、1回あたりのデータ通信の通信時間をTcom、データ通信の回数(以下、リトライ回数)をNreとすると、所定時間Tlimは、通信時間Tcomとリトライ回数Nreとの積(=Tcom×Nre)で算出される。上記通信時間Tcomおよびリトライ回数Nreは、予め実験的または設計的に求められ、各診断器子機から送信された測定データ等が、各グループネットワークを介して同一グループの特定診断器子機まで伝達されるとともに、各特定診断器子機が取得した測定データ等が、ユニキャスト通信によって親機2まで伝達される値に設定されている。なお、所定時間Tlimには、さらに所定の余裕時間が加算されても構わない。
【0049】
特定診断器子機A-1は、温度センサ11、振動センサ12、電池13、グループ通信部23、ユニキャスト通信部24、および制御部25を備えている。温度センサ11、振動センサ12、および電池13については、診断器子機A-2~A-10と変わらないため、同じ符号を付けてその説明を省略する。
【0050】
グループ通信部23は、通信部14と同様に、Bluetooth(登録商標) Mesh ネットワーク等のフラッド型メッシュネットワークのリレー機能を有する通信回路を用いて構成されている。
【0051】
グループ通信部23は、グループA内の診断器子機A-2~A-10のそれぞれの通信部14からブロードキャストされた測定データ等を含むパケットを、一以上の同一グループの診断器子機を介して、または介することなく受信可能に構成されている。また、グループ通信部23は、一度受信したパケットと同じパケットを受信した場合、制御部25による制御の下、そのパケットを破棄するように構成されている。さらに、グループ通信部23は、他のグループの診断器子機から送信されたパケットを受信した場合も同様に、制御部25による制御の下、そのパケットを破棄するように構成されている。
【0052】
ユニキャスト通信部24は、例えば無線LANまたは有線LANを介して親機2に直接的に通信可能に接続されている。ユニキャスト通信部24は、特定診断器子機A-1のグループ通信部23が同一グループの診断器子機A-2~A-10の何れかから測定データ等を受信した場合、制御部25による制御の下、その測定データ等を親機2に直接送信可能に構成されている。
【0053】
制御部25は、制御部15と同様、CPU、メモリ等を備えたマイクロコンピュータにより構成されている。制御部25は、CPUが所定のプログラムを実行することで実現される機能として、測定処理を行う測定部251および処理部252を備えている。測定部251については、制御部15の測定部151と機能が変わらないため、その説明を省略する。
【0054】
処理部252は、所定の起動時刻(例えば13時)になると、特定診断器子機A-1のスリープ状態を解除し、測定部251に測定処理を実行させる。次いで、処理部252は、測定処理で取得した測定データ等(パケット)を、ユニキャスト通信部24を介して親機2に直接送信する。
【0055】
また、処理部252は、データ通信処理中において、診断器子機A-2~A-10から送信された測定データ等(パケット)を、グループ通信部23を介して取得した場合、取得した測定データ等をユニキャスト通信部24から親機2に送信する。
【0056】
特定診断器子機A-1は、同一グループ内の診断器子機A-2~A-10と通信可能なグループ通信部23と、親機2と直接的に通信可能なユニキャスト通信部24と、構造的に別個に備えているため、処理部252は、グループネットワークを介したデータ通信処理と、ユニキャスト通信部24を介したデータ通信処理とを同時に実行できる。
【0057】
また、処理部252は、データ通信処理中において、グループ通信部23で受信したパケットを随時メモリに記憶するとともに、当該パケットを既に受信したかを判定し、同じパケットを既に受信していた場合、そのパケットを破棄する。
【0058】
また、処理部252は、データ通信処理中において、グループ通信部23で受信したパケットが他のグループの診断器子機から送信されたものであるかを判定し、他のグループの診断器子機から送信されたパケットであった場合、そのパケットを破棄する。処理部252は、例えば受信したパケットに含まれるグループ情報(グループID)に基づいて、他のグループの診断器子機から送信されたパケットであるかを判定する。
【0059】
また、処理部252は、例えばデータ通信処理の開始時点または所定の起動時刻から上記所定時間Tlimが経過したかを判定し、所定時間Tlimが経過した場合にはデータ通信処理を終了し、特定診断器子機A-1をスリープ状態に切り換える。
【0060】
親機2は、各診断器子機がそれぞれ測定した測定データを取得する装置であり、第1通信部34、第2通信部36、および制御部38を備えている。第1通信部34は、データ通信処理の実行中に、各グループの特定診断器子機A-1~J-1から送信された測定データ等を含むパケットを受信可能に構成されている。
【0061】
第2通信部36は、インターネット、LAN等のネットワークNWを介して、サーバ4に通信可能に接続されている。
【0062】
制御部38は、CPU、メモリ等を備えたマイクロコンピュータから構成されている。制御部38は、データ通信処理中に各グループの特定診断器子機A-1~J-1から送信される各診断器子機の測定データ等を、第1通信部34を介して取得する。また、制御部38は、データ通信処理中に第1通信部34を介して取得した各診断器子機の測定データ等を、第2通信部36からネットワークNWを介してサーバ4に送信する。
【0063】
サーバ4は、各診断器子機(特定診断器子機を含む)から送信された測定データ等を取得し、当該測定データ等に基づいて設置先の各スチームトラップ6の作動状態を診断する。サーバ4は、各温度と予め設定されている温度閾値とを比較するとともに、各振動値と予め設定されている振動閾値とを比較する。サーバ4は、これら2つの比較結果の組み合わせに応じて、各スチームトラップ6の状態を診断し、各スチームトラップ6の異常(例えば蒸気漏出、ドレン排出不良など)や性能低下を検知する。
【0064】
上記温度閾値は、スチームトラップ6が高温であるか低温であるかを判断する閾値であり、予め記憶されている。また、上記振動閾値は、高温または低温と判断されたスチームトラップ6が、正常状態、蒸気漏出状態、ドレン排出不良状態および閉塞状態、のうちの何れかの状態であるかを判断するための閾値であり、予め記憶されている。
【0065】
次に、メッシュ通信システム100における測定データの送信処理の流れについて説明する。
図4は、メッシュ通信システム100における測定データの送信処理の流れを示すフローチャートである。
図4の左側は、各診断器子機の処理の流れを示し、
図4の右側は、各特定診断器子機の処理の流れを示している。
【0066】
図4の左側のフローチャートで示す各診断器子機では、処理部152は、所定の起動時刻(例えば13時)になると(ステップS101においてYES)になると、電池13を制御して診断器子機のスリープ状態を解除する(ステップS102)。これにより、診断器子機の温度センサ11および振動センサ12に電力が供給されることで、設置先のスチームトラップ6の温度および振動値を測定可能になる。また、通信部14に電力が供給されることで、データ通信処理を実行可能になる。次に、処理部152は、測定部151に、設置先のスチームトラップ6の温度および振動値を測定する測定処理を実行させる(ステップS103)。
【0067】
各診断器子機のステップS101~ステップS103と同時に、
図4の右側のフローチャートで示す各特定診断器子機では、処理部252によるステップS201~ステップS203の処理が実行される。ステップS201~ステップS203の処理は、上述したステップS101~ステップS103の処理と変わらないため説明を省略する。
【0068】
次に、
図4の左側のフローチャートにおいて、各診断器子機の処理部152は、ステップS103の測定処理で測定された測定データ等(パケット)を、グループネットワークを介して特定診断器子機に送信するとともに、同一グループの他の診断器子機から受信した測定データ等(パケット)を、グループネットワークを介して特定診断器子機に転送するデータ通信処理を実行する(ステップS104)。なお、同一グループの診断器子機であるかは、パケットに含まれるグループ情報に基づいて判断される。このとき、通信部14から測定データ等を含むパケットがブロードキャストされることで、当該パケットがグループネットワークを介して同一グループの特定診断器子機に転送される。次いで、処理部152は、データ通信処理の開始時点(または起動時刻)から所定時間Tlim経過したかを判定する(ステップS105)。所定時間Tlimが経過しない間はステップS104に戻ってデータ通信処理が継続して実行される。所定時間Tlimが経過した場合、処理部152は、データ通信処理を終了し、電池13に電力供給を停止する指令を出力して診断器子機をスリープ状態に切り換える(ステップS106)。
【0069】
図4の右側のフローチャートでは、ステップS203で測定処理が完了すると、処理部252は、ステップS203の測定処理で測定された測定データ等(パケット)を、ユニキャスト通信によって親機2に送信する(ステップS204)。次いで、処理部252は、同一グループの診断器子機から送信された測定データ等(パケット)を受信したかを判定する(ステップS205)。同一グループの診断器子機であるかは、パケットに含まれるグループ情報に基づいて判断される。ステップS205において、同一グループの診断器子機の測定データ等を受信したと判定した場合、処理部252は、当該測定データ等を、ユニキャスト通信によって親機2に送信する(ステップS206)。次いで、処理部252は、データ通信処理の開始時点(または起動時刻)から所定時間Tlim経過したかを判定する(ステップS207)。ステップS207において、所定時間Tlim経過していない場合、ステップS205に戻る。一方、ステップS207において、所定時間Tlim経過した場合、処理部252は、電池13に電力供給を停止する指令を出力し、特定診断器子機をスリープ状態に切り換える(ステップS208)。
【0070】
以上説明したように、メッシュ通信システム100は、各診断器子機が複数のグループにグループ化され、同一グループ内において、特定診断器子機および複数の診断器子機は、グループネットワークを介して通信可能に接続されている。また、各特定診断器子機は、それぞれユニキャスト通信によって親機2と直接的に通信可能に接続されている。その結果、各診断器子機が単一のメッシュネットワークを介して親機2に通信可能に接続されている場合に比べて、各診断器子機から送信された測定データ等が親機2に到達するまでに経由する診断器子機の数(ホップ数ともいう)が少なくなるため、データ通信の信頼性が高くなる。これに関連して、単一のネットワークで接続される場合に比べて、データ通信の1回あたりの通信時間Tcomおよび通信回数(リトライ回数Nre)を少なくすることができる。これにより、各診断器子機の電力消費量の増加を抑制することができ、各診断器子機に備えられた電池13を交換する間隔を長くできる。
【0071】
具体的には、100個の診断器子機が、従来の単一のメッシュネットワークを介して親機に通信可能に接続されていた場合、ホップ数を考慮して1回の通信時間Tcomが例えば10秒に設定するとともに、リトライ回数Nreを例えば100回に設定することで、データ通信の信頼性を確保していた。これに対して、本実施形態のように100個の診断器子機が10グループにグループ化されることで、ホップ数が大幅に少なくなる。これに関連して、1回の通信時間Tcomを例えば2.02秒、リトライ回数Nreを50回に設定した場合であっても、従来と同じデータ通信の信頼性を確保できることが確認された。その結果、本実施形態における各診断器子機の作動時間(101秒)を、従来の作動時間(1000秒)に比べて10.1%程度まで削減することが可能になり、電池13の電力消費量の増加を抑制することができる。
【0072】
なお、上記各診断器子機の作動時間は、上記所定時間Tlim(=Tcom×Nre)と見做すことができる。従って、従来における各診断器子機の作動時間(=1000秒)が、10(通信時間Tcom)×100(リトライ回数Nre)で算出される。一方、本実施形態では、各診断器子機の作動時間(=101秒)が、2.02秒(通信時間Tcom)×50(リトライ回数Nre)で算出される。本実施形態の通信時間Tcomの2.02秒のうち、2.0秒はグループネットワークを介して各特定診断器子機に測定データ等を送信するために必要な時間に相当し、0.02秒は、ユニキャスト通信によって測定データ等を親機2に送信するために必要な時間に相当する。
【0073】
[実施の形態2]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されず、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更されてもよい。例えば、上記実施形態では、データ通信処理の開始時点(または起動時刻)から所定時間Tlim経過したかに基づいて、各診断器子機のデータ通信処理の終了を判定していた。これに対して、各診断器子機のデータ通信処理の終了を、特定診断器子機が同一グループの各診断器子機から送信された測定データ等を全て受信したかに基づいて判定することもできる。
【0074】
上記態様において、特定診断器子機の処理部252は、データ通信処理中において、同一グループの全ての診断器子機の測定データ等を受信したかを判定する。データ通信処理中において、特定診断器子機のグループ通信部23が受信した同一グループの各診断器子機の測定データ等は、制御部25の図示しないメモリに一時的に記憶される。処理部252は、データ通信処理中において、上記メモリに同一グループの全ての診断器子機からの測定データ等が記憶された場合、全ての診断器子機の測定データ等を受信したと判定する。
【0075】
処理部252は、同一グループの全ての診断器子機の測定データ等を受信したと判定した場合、グループネットワークを介したデータ通信処理を終了する指令を、同一グループの全ての診断器子機に送信する。次いで、処理部252は、データ通信処理を終了し、特定診断器子機をスリープ状態に切り換える。
【0076】
各診断器子機の処理部152は、同一グループの特定診断器子機からデータ通信処理を終了する指令を受信した場合、データ通信処理を終了して診断器子機をスリープ状態に切り換える。これにより、同一グループの特定診断器子機が、同一グループの全ての診断器子機が送信した測定データ等を受信した場合、同一グループの特定診断器子機および診断器子機のデータ通信処理が終了させられ、スリープ状態に切り換えられることとなる。
【0077】
ところで、通信不良や診断器子機の異常等によって、同一グループの全ての診断器子機から測定データ等を受信できないことも考えられる。これを考慮して、データ通信処理の上限時間を設定し、データ通信処理の開始時点から上限時間を経過した場合には、強制的にデータ通信処理を終了するように構成されてもよい。
【0078】
また、各特定診断器子機と親機2との間のユニキャスト通信は、同一グループの各診断器子機から測定データ等を取得する毎に随時実行してもよいが、同一グループの全ての診断器子機から測定データ等を取得した後に纏めて実行してもよい。
【0079】
図5は、上述した態様に対応する、メッシュ通信システム100の処理の流れを説明するためフローチャートである。
図4と同様に、
図5左側が各診断器子機の処理の流れを示し、
図5右側が特定診断器子機の処理の流れを示している。
【0080】
図5左側のステップS101~ステップS104の処理は、上述した
図4のステップS101~ステップS104と変わらないため、その説明を省略する。同じく、
図5右側のステップS201~ステップS206の処理は、上述した
図4のステップS201~ステップS206と変わらないため、その説明を省略する。
【0081】
図5左側のステップS110では、処理部152は、データ通信処理中において、当該データ通信処理を終了させる指令を、同一グループの特定診断器子機から受診したかを判定する。データ通信処理を終了させる指令を受信するまでの間、処理部152は、データ通信処理を継続して実行する。特定診断器子機からデータ通信処理を終了させる指令を受信した場合、処理部152は、データ通信処理を終了し、電源供給を停止する指令を電池13に出力して診断器子機をスリープ状態に切り換える(ステップS106)。
【0082】
図5の右側のステップS210では、処理部252は、データ通信処理中において、同一グループの全ての診断器子機から測定データ等を受信したかを判定する。処理部252は、全ての診断器子機から測定データ等を受信するまでの間、データ送信処理を継続して実行する。処理部252は、データ通信処理中において、全ての診断器子機から測定データ等を受信した場合、同一グループの各診断器子機に対して、データ通信処理を終了する指令を出力する(ステップS220)。次いで、処理部252は、データ通信処理を終了し、電池13に電力供給を停止する指令を出力して特定診断器子機をスリープ状態に切り換える(ステップS208)。
【0083】
[変形例]
以上説明したように、データ通信処理の終了を、特定診断器子機が同一グループの全ての診断器子機から測定データ等を受信したかに基づいて判定することもできる。これにより、特定診断器子機が同一グループの全ての診断器子機から測定データ等を受信した時点で、速やかにデータ通信処理を終了することができ、所定時間Tlim経過したかに基づいてデータ通信処理の終了を判定する場合に比べて、診断器子機の作動時間を一層短くすることができる。
【0084】
また、上記実施形態では、メッシュ通信システム100は、100個の診断器子機(特定診断器子機を含む)から構成され、これらの診断器子機が10個のグループに分けられていたが、本発明は、必ずしもこれに限定されない。例えば、診断器子機の数が100個を超えるものであってもよく、グループの数も10を超えるものであってもよい。もちろん、診断器子機が100個よりも少なくてもよく、グループの数も10より少なくてもよい。要は、複数の診断器子機が、2以上の複数のグループにグループ化されていればよい。
【0085】
また、上記実施形態では、それぞれのグループが10個の診断器子機(特定診断器子機を含む)から構成されていたが、各グループを同じ数の診断器子機で構成しなくてもよい。例えば、一方のグループが10個の診断器子機で構成される一方で、他方のグループが12個の診断器子機で構成されるなどしてもよい。すなわち、スチームトラップ6の配置位置等に応じて、グループ毎の診断器子機の数を異ならせてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、作動機器としてのスチームトラップ6に診断器子機が設置されていたが、作動機器はスチームトラップ6に限定されない。例えば、複数のアクチュエータを備えて構成される機械の各アクチュエータに診断器子機がそれぞれ設けられ、診断器子機は、各アクチュエータの状態を測定するように構成されてもよい。また、診断器子機が測定する測定データは、温度および振動値に限定されない。例えば、作動機器が油圧に関連するものであれば、測定データとして油圧を測定してもよい。すなわち、診断器子機が取り付けられる作動機器に応じて、診断器子機によって測定される測定データは適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0087】
2:親機
6:スチームトラップ(作動機器)
23:グループ通信部
24:ユニキャスト通信部
100:メッシュ通信システム
A-1~J-1:特定診断器子機(第1子機、子機)
B-2~J-10:診断器子機(第2子機、子機)
【要約】
【課題】測定装置の電力消費量の増加を抑制しつつ、各測定装置のデータ通信の信頼性を維持することができるメッシュ通信システムを提供する。
【解決手段】メッシュ通信システム100は、各診断器子機が複数のグループにグループ化され、同一グループ内の特定診断器子機および複数の診断器子機は、グループネットワークを介して通信可能に接続されており、各特定診断器子機は、親機2と直接的に通信可能に接続されている。また、特定診断器子機は、同一グループの診断器子機から送信された測定データを受信した場合、受信した測定データを親機に直接送信するように構成されている。
【選択図】
図1