(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】商品前出し具
(51)【国際特許分類】
A47F 3/06 20060101AFI20240712BHJP
A47F 3/08 20060101ALI20240712BHJP
A47F 1/12 20060101ALI20240712BHJP
A47F 5/00 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
A47F3/06
A47F3/08
A47F1/12
A47F5/00 Z
(21)【出願番号】P 2024017323
(22)【出願日】2024-02-07
【審査請求日】2024-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 充嗣
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2022-0120605(KR,A)
【文献】特開2000-060691(JP,A)
【文献】中国実用新案第219229490(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 3/06
A47F 3/08
A47F 1/12
A47F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、
前端部と、後端部と、を有するとともに、前記固定部の直下に設けられる移動板であって、前記固定部に対して前記後端部でオーバーラップした第1位置と、前記固定部に対して前記前端部でオーバーラップした第2位置と、の間で移動可能な移動板と、
前記移動板上に設けられ、商品が載置されるレール部材と、
前記レール部材上を前後方向に移動可能で、前記レール部材から起立するように設けられ、前記商品に後ろ側から当接することで前記商品を前出し可能な前出し部材と、
前記商品よりも下側の位置で、前記レール部材上を前記前後方向に移動可能なフック部材であって、前記固定部に係合して前記固定部よりも後ろ側に移動することが規制されたり前記固定部から分離したり可能なフック部材と、
前記前出し部材と前記フック部材とが接近する方向にこれらを付勢する付勢部材と、
を備える商品前出し具。
【請求項2】
前記固定部は、前記前後方向に延びる複数の溝部を有する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有するとともに、幅方向に帯状に延び、
前記レール部材は、
前記固定部を収納可能なスロットと、
前記スロットの前側に設けられ、前記スロット内に突出するとともに、前記移動板が前記第2位置にあるときに前記複数の溝部のいずれかに係合可能な係合部と、
前記スロットの後側に設けられ、前記移動板が前記第1位置にあるときに前記固定部との間に隙間を存して前記固定部を収納可能な拡径部と、
を有する請求項1に記載の商品前出し具。
【請求項3】
前記レール部材は、前記スロットの前側に設けられ前記固定部の前記第2面に係合するアンカー部を有する請求項2に記載の商品前出し具。
【請求項4】
前記レール部材は、前記移動板の前記前端部に設けられた溝に対して差し込んだり、当該溝から分離したり可能な差込片を有する請求項1に記載の商品前出し具。
【請求項5】
前記付勢部材は、ばねである請求項1に記載の商品前出し具。
【請求項6】
固定部と、
前端部と、後端部と、を有するとともに、前記固定部の直下に設けられる移動板であって、前記固定部に対して前記後端部でオーバーラップした第1位置と、前記固定部に対して前記前端部でオーバーラップした第2位置と、の間で移動可能な移動板と、
前記移動板上に設けられ、商品が載置されるレール部材と、
前記レール部材上を前後方向に移動可能で、前記レール部材から起立するように設けられ、前記商品に後ろ側から当接することで前記商品を前出し可能な前出し部材と、
前記前出し部材よりも下側の位置で、前記前出し部材から引き出し可能に設けられ、前記固定部に係合して前記固定部よりも後ろ側に移動することが規制されたり前記固定部から分離したり可能なフック部材と、
前記前出し部材と前記フック部材とが接近する方向にこれらを付勢する付勢部材と、
を備える商品前出し具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品を前出しする商品前出し具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、商品自動前出し棚装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、商品押圧板を有する商品前出し体と、商品前出し体を前出しするためのゼンマイばね状になった帯状鋼板と、を備える。この装置では、帯状鋼板によって商品前出し体に対して常にテンションが加えられることで、商品を前出しすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開WO2006/027871号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、店舗管理者が商品を補充する際には、商品の賞味期限切れによる廃棄を防ぐ観点から、棚の奥側から新しい商品を補充する必要がある。しかしながら、上記従来技術のように商品前出し体に対してテンションが加えられていると、店舗管理者が棚の奥側に商品を補充する際に、片方の手で商品前出し体を押さえて、もう片方の手で商品を棚の奥側に補充する必要がある。このため、作業性が著しく悪い問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、商品を前出しする機能を維持しつつ、商品を補充する際にも作業性を損なうことがない商品前出し具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の商品前出し具は、
固定部と、
前端部と、後端部と、を有するとともに、前記固定部の直下に設けられる移動板であって、前記固定部に対して前記後端部でオーバーラップした第1位置と、前記固定部に対して前記前端部でオーバーラップした第2位置と、の間で移動可能な移動板と、
前記移動板上に設けられ、商品が載置されるレール部材と、
前記レール部材上を前後方向に移動可能で、前記レール部材から起立するように設けられ、前記商品に後ろ側から当接することで前記商品を前出し可能な前出し部材と、
前記商品よりも下側の位置で、前記レール部材上を前記前後方向に移動可能なフック部材であって、前記固定部に係合して前記固定部よりも後ろ側に移動することが規制されたり前記固定部から分離したり可能なフック部材と、
前記前出し部材と前記フック部材とが接近する方向にこれらを付勢する付勢部材と、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)の商品前出し具は、(1)記載の商品前出し具であって、
前記固定部は、前記前後方向に延びる複数の溝部を有する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有するとともに、幅方向に帯状に延び、
前記レール部材は、
前記固定部を収納可能なスロットと、
前記スロットの前側に設けられ、前記スロット内に突出するとともに、前記移動板が前記第2位置にあるときに前記複数の溝部のいずれかに係合可能な係合部と、
前記スロットの後側に設けられ、前記移動板が前記第1位置にあるときに前記固定部との間に隙間を存して前記固定部を収納可能な拡径部と、
を有する。
【0008】
また、本発明(3)の商品前出し具は、(2)記載の商品前出し具であって、
前記レール部材は、前記スロットの前側に設けられ前記固定部の前記第2面に係合するアンカー部を有する。
【0009】
また、本発明(4)の商品前出し具は、(1)記載の商品前出し具であって、
前記レール部材は、前記移動板の前記前端部に設けられた溝に対して差し込んだり、当該溝から分離したり可能な差込片を有する。
【0010】
また、本発明(5)の商品前出し具は、(1)に記載の商品前出し具であって、
前記付勢部材は、ばねである。
【0011】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(6)の商品前出し具は、
固定部と、
前端部と、後端部と、を有するとともに、前記固定部の直下に設けられる移動板であって、前記固定部に対して前記後端部でオーバーラップした第1位置と、前記固定部に対して前記前端部でオーバーラップした第2位置と、の間で移動可能な移動板と、
前記移動板上に設けられ、商品が載置されるレール部材と、
前記レール部材上を前後方向に移動可能で、前記レール部材から起立するように設けられ、前記商品に後ろ側から当接することで前記商品を前出し可能な前出し部材と、
前記前出し部材よりも下側の位置で、前記前出し部材から引き出し可能に設けられ、前記固定部に係合して前記固定部よりも後ろ側に移動することが規制されたり前記固定部から分離したり可能なフック部材と、
前記前出し部材と前記フック部材とが接近する方向にこれらを付勢する付勢部材と、
を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、商品を前出しする機能を維持しつつ、商品を補充する際にも作業性を損なうことがない商品前出し具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態の棚を示す斜視図である。なお、本図では、1つのレール部材をピックアップしている状態を示し、移動板に対してレール部材が着脱可能であることを模式的に示している。
【
図3】
図1に示す棚の固定部の一部、レール部材、前出し部材、およびフック部材等を示す斜視図である。
【
図4】
図3に示すレール部材、前出し部材、およびフック部材等を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示すレール部材、前出し部材、およびフック部材等を分解して示す分解斜視図である。
【
図6】
図1に示す棚において、前出し部材を通る位置で縦方向に切断して示す断面図である。
【
図7】
図1に示す棚において、移動板を手前側の第1位置にした状態を示す斜視図である。
【
図8】
図7に示す棚を縦方向に切断して示した断面図である。
【
図9】
図7に示す棚において、固定部に対してレール部材が幅方向に移動可能な状態を示す斜視図である。
【
図10】
図7に示す棚において、固定部に対してレール部材が幅方向に移動可能な状態を示す断面図である。
【
図11】
図7に示す棚において、移動板を第1位置から第2位置への移動を完了した状態を示す斜視図である。
【
図12】
図11に示す棚を縦方向に切断して示した断面図である。
【
図13】
図11に示す棚において、固定部に対してレール部材が幅方向に移動不可能な状態を示す断面図である。
【
図14】第1実施形態の変形例の棚のレール部材周りを示す斜視図である
【
図15】
図14に示す棚において、前出し部材を分解して示す分解斜視図である。
【
図16】第1実施形態の変形例の棚において、移動板を手前側の第1位置にした状態を示す断面図である。
【
図17】
図16に示す棚において、移動板を第1位置から第2位置への移動を完了した状態を示す断面図である。
【
図19】
図18に示す棚の陳列ボックス周りのみを取り出して示す斜視図である。なお、本図では、1つのレール部材をピックアップしている状態を示し、移動板に対してレール部材が着脱可能であることを模式的に示している。
【
図20】
図19に示す棚の陳列ボックスにおいて、移動板を手前側の第1位置にした状態を示す斜視図である。
【
図21】
図20に示す棚の陳列ボックスにおいて、移動板を第1位置から第2位置への移動を完了した状態を示す斜視図である。
【
図22】第2実施形態の棚の第1変形例を示し、その変形例中の陳列ボックス周りのみを取り出して示す斜視図である。なお、本図では、1つのレール部材をピックアップしている状態を示し、移動板に対してレール部材が着脱可能であることを模式的に示している。
【
図23】
図22に示す棚の陳列ボックスにおいて、移動板を手前側の第1位置にした状態を示す斜視図である。
【
図24】
図23に示す棚の陳列ボックスにおいて、移動板を第1位置から第2位置への移動を完了した状態を示す斜視図である。
【
図25】第2実施形態の棚の第2変形例を示し、その変形例中の陳列ボックス周りのみを取り出して示す斜視図である。なお、本図では、1つのレール部材をピックアップしている状態を示し、個別ボックス(移動板)に対してレール部材が着脱可能であることを模式的に示している。
【
図26】
図25に示す棚の陳列ボックスにおいて、ボックス本体、個別ボックス、および固定部を分解して示す分解斜視図である。
【
図27】
図25に示す棚の陳列ボックスにおいて、個別ボックスを手前側の第1位置にした状態を示す斜視図である。
【
図28】
図27に示す棚の陳列ボックスにおいて、個別ボックスを第1位置から第2位置への移動を完了した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下図面を参照して、本発明の棚の実施形態について説明する。本発明の棚は、移動板の前方向への引き出し動作および後方向への押し込み動作によって、自動的に商品を前出しできるものである。以下では、棚の前方向をF、後方向をR、幅方向をW、として説明を進める。
[第1実施形態]
【0015】
図1~
図13を参照して、第1実施形態の棚10について説明する。棚10は、本発明にいう商品前出し具の一例である。
【0016】
図1~
図5に示すように、棚10は、基台11と、基台11の後端部かつ両端部から起立する一対のフレーム12と、一対のフレーム12同士の間に渡された背面板13と、一対のフレーム12に対して固定された固定部14と、一対のフレーム12にそれぞれ固定された一対のブラケット15と、一対のブラケット15に設けられた一対の棚板用レール16と、一対の棚板用レール16を介して前方向Fに引き出したり後方向Rに押し込んだり可能な移動板17(移動棚板)と、移動板17上に設けられるレール部材18と、レール部材18上を前後方向に移動可能な前出し部材21と、レール部材18上を前後方向に移動可能なフック部材22と、前出し部材21とフック部材22とが接近する方向にこれらを付勢する付勢部材23と、移動板17上を前後方向に沿って仕切る仕切板24と、を備える。
【0017】
一対のフレーム12のそれぞれは、ブラケット15を固定するための複数の貫通口25を縦並びに有する。複数の貫通口25が形成する列は、2列以上であってもよい。
【0018】
図1、
図2に示すように、固定部14は、フレーム12に着脱可能な一対の金属製の支持ブラケット26と、一対の支持ブラケット26同士の間に渡された金属製の横架板27と、横架板27の上面に取り付けられた樹脂製の平板28と、を有する。固定部14の横架板27および平板28は、幅方向Wに関して、移動板17の略全幅に亘って設けられており、幅方向Wに細長く延びた帯状に形成されている。平板28は、横架板27に対して、爪の係合などによって着脱可能に固定されている。
図3に示すように、平板28は、第1面28Aと、第1面28Aとは反対側の第2面28Bと、を有する。平板28の第2面28Bは、横架板27に当接されている。平板28は、第1面28Aに、前後方向FRに延びる複数の溝部31を有する。
図6に示すように、平板28は、さらに、第2面28Bで前側の端部に、レール部材18の後述するアンカー部32およびフック部材22の後述するフック部33が引っ掛けられるための凹部34を有する。
【0019】
図7に示すように、一対の棚板用レール16は、一対のブラケット15の内面側にそれぞれ設けられている。一対の棚板用レール16のそれぞれは、前後方向FRに沿って伸縮可能であり、移動板17を前後方向FRにスライド移動可能に支持することができる。したがって、移動板17は、
図7に示すように、固定部14(平板28)に対して後端部17Bでオーバーラップした第1位置P1と、
図1に示すように、固定部14(平板28)に対して前端部17Aでオーバーラップした第2位置P2と、の間で移動可能である。
【0020】
移動板17は、金属板によって平板状に形成されている。移動板17は、固定部14の直下に設けられている。
図8に示すように、移動板17は、前端部17Aと、前端部17Aとは反対側の後端部17Bと、を有する。移動板17は、前端部17Aに、下方に折り曲げされた指掛部17AAを有する。店舗管理者は、指掛部17AAに指を掛け、図示しないロック機構を解除しながら手前側に引くことで、移動板17を第2位置P2から第1位置P1に引き出すことができる。移動板17は、前端部17Aに、レール部材18の差込片42や仕切板24の差込片42を差し込むことが可能に、断面U字形をなした起立片35を有する。起立片35は、幅方向Wに沿って延びている。起立片35は、前端部17Aに設けられた横溝36に対して差し込まれて固定されている。起立片35は、本発明にいう移動板17の前端部17Aに設けられた溝であって、レール部材18の差込片42を差し込み可能な溝の一例である。
【0021】
図1に示すように、レール部材18は、移動板17上に載置されて使用される。
図11に示すように、レール部材18に対して、商品46が載置される。
図4に示すように、レール部材18は、細長い長方形に形成されており、移動板17に対して、その長辺が前後方向FRに沿うように載置される。
図4に示すように、レール部材18は、その頂面に前後方向FRに延びるように設けられるスライド溝41と、その前端部に設けられた差込片42と、その側面に設けられ固定部14(横架板27および平板28)を収納可能なスロット43と、スロット43の前後方向FRにおける中間部および前側に設けられた係合部44と、スロット43の最も前側に設けられたアンカー部32と、スロット43の後側に設けられた拡径部45と、を有する。
【0022】
スライド溝41は、レール部材18の頂面に1本の溝として形成されており、その内側に前出し部材21およびフック部材22が前後方向FRにスライド移動可能に嵌め込まれている。本実施形態のレール部材18の構成は一例であり、例えば、モノレールのように一つの突条としてのレールを有し、このレールに跨るように前出し部材21およびフック部材22を構成する等、他の態様を採用することも当然に可能である。
【0023】
図4に示すように、差込片42は、下方に突出する爪状に設けられている。差込片42の上部は、商品46が移動板17から脱落するのを防ぐとともに商品46が転倒してしまうことを防止する転び止めとなっている。差込片42の上部には、さらに、商品の値段等を記載したポップを差し込むことができる差込部分42Aが設けられている。差込片42は、移動板17の起立片35(溝)に対して差し込んだり、当該起立片35(溝)から分離したり可能である。このため、レール部材18は、
図1に示すように、移動板17に対して着脱可能に構成されている。また、レール部材18は、幅方向Wに関して、移動板17上の任意の位置に配置することができる。
【0024】
スロット43は、レール部材18の側面に前後方向FRに細長く形成されている。このため、このスロット43内を固定部14(横架板27および平板28)が相対移動することができる。実際には、移動板17の前後方向FRの移動に伴い、レール部材18がこれと一緒に移動することになるが、固定部14の位置は変化しない。このため、移動板17の移動に伴って、レール部材18が移動板17とともに一緒に円滑に移動する。
【0025】
図4、
図13に示すように、係合部44は、スロット43内で、固定部14に近づく方向に向けて板状に突出するように設けられている。係合部44は、前後方向FRに沿って細長く形成されている。
図3、
図13に示すように、移動板17が後側に収納された第2位置P2にあるときに、係合部44は、固定部14の複数の溝部31のいずれかに対して係合する。
図9、
図10に示すように、移動板17が手前側に引き出された第1位置P1にあるときに、係合部44は、固定部14の複数の溝部31から分離した位置にあり、複数の溝部31に対して係合することができない。
【0026】
図3、
図4に示すように、アンカー部32は、後方向Rに向けて突出した爪状に形成されており、固定部14(平板28)の第2面28B(凹部34)に対してきっちりと係合することができる。この状態において、レール部材18は、固定部14に対して固定されることになり、固定部14および移動板17からレール部材18を取り外すことができない。
【0027】
図4、
図9に示すように、拡径部45は、スロット43内で係合部44が設けられている箇所よりも、隙間の高さ寸法が大きく形成されている。また、拡径部45を構成する隙間の高さ寸法は、固定部14(平板28)の高さ寸法(厚さ寸法)よりも大きく形成されている。このため、移動板17が第1位置P1にあるときに、拡径部45は、固定部14との間に隙間を存して固定部14を収納可能である。
【0028】
図4、
図5に示すように、前出し部材21は、レール部材18から起立するように設けられている。また、前出し部材21は、商品46に後ろ側から当接することで商品46を前出し可能である。
【0029】
前出し部材21は、レール部材18の頂面のスライド溝41に対して嵌め込まれて、前後方向FRにスライド移動可能に構成されている。前出し部材21は、ベアリング球47を介してレール部材18に取り付けられている。レール部材18は、スライド溝41の周囲に、ベアリング球47が前後方向FRに走行するための窪み部48を有する。前出し部材21は、レール部材18に直接取り付けられる基部51と、基部51に対して首振り可能に取り付けられた首振部52と、を有する。基部51は、付勢部材23のリールを回転可能に支持する軸受部51Bを有する。
【0030】
首振部52は、基部51の頂部に設けられた軸部51Aに対して回動可能に設けられている。首振部52は、上側の第1片52Aと、下側の第2片52Bと、を有する。店舗管理者は、商品46を補充する際に、首振部52を活用して、前出し部材21を後に下げることができる。すなわち、店舗管理者が手や商品46などで首振部52の第1片52Aを押し下げると、首振部52が軸部51Aを中心に回動して、第2片52Bが上昇して近くの商品46を押そうとする。商品46に対する第2片52Bの押圧の反作用で、前出し部材21は、後側に移動する。このため、店舗管理者は、前出し部材21をワンタッチで簡単に後方向Rにさげることができる。
【0031】
図4~
図6に示すように、フック部材22は、方形のブロック状に形成されている。フック部材22は、前出し部材21よりも前側かつ商品46よりも下側で、前後方向FRにスライド自在に設けられている。フック部材22は、レール部材18の頂面のスライド溝41に対して嵌め込まれて、前後方向FRにスライド移動可能に構成されている。フック部材22は、付勢部材23のゼンマイばね54の先端部54Aを差し込んで保持できるスリット22Aを有する。フック部材22は、下面に、固定部14(平板28)の第2面28B(凹部34)に引っ掛けるためのフック部33を有する。フック部材22は、移動板17の移動に伴い、固定部14に係合して固定部14よりも後ろ側に移動することが規制されたり、固定部14から分離したり可能である。
【0032】
フック部材22は、付勢部材23を介して前出し部材21と接続されている。付勢部材23は、円筒形のリール53と、リール53の周囲に巻き回されたゼンマイばね54と、ゼンマイばねの先端部54Aと、を有する。ゼンマイばね54は、リール53の周囲から引き出し可能であるが、元のリール53の周囲に巻き戻るような復元力を有する。このため、付勢部材23は、前出し部材21とフック部材22とを近づけるようにこれらを付勢できる。
【0033】
図1に示すように、仕切板24は、移動板17の起立片35に対して差し込むことが可能な差込片42を有する。差込片42の構造は、レール部材18に設けた差込片42と同様である。仕切板24は、移動板17上を前後方向FRに仕切ることができる。仕切板24は、その下面に、溝部31に差し入れることが可能な差入片55を有する。
【0034】
続いて、
図7~
図13を参照して、本実施形態の棚10の作用について説明する。店舗管理者が商品46の補充を行いたい場合には、ロック機構を解除して移動板17を前方向Fに引き出す。これによって、移動板17は、
図1に示す第2位置P2から、
図7に示す第1位置P1になる。この状態で、店舗管理者は、残存している商品46の後側に新しい商品46を補充していくことができる。なお、第1位置P1にあるときに、前出し部材21は、付勢部材23の作用によって、フック部材22と当接している状態を維持している。
【0035】
店舗管理者は、商品46の補充に先立ち、まず、
図7、
図8に示すように、前出し部材21をレール部材18上で最も後側に移動させる。このとき、フック部材22が固定部14(平板28)と係合していないために、前出し部材21には前方向Fに向かう付勢力が発生していない。このため、店舗管理者は、前出し部材21を押さえることなく、片手で簡単に商品46を補充することができる。
【0036】
この状態では、
図9、
図10に示すように、固定部14の溝部31に対して係合部44が差し込まれておらず、固定部14は、拡径部45内に収納されている。この状態で、
図9、
図10に矢印で示すように、店舗管理者は、レール部材18を幅方向Wの任意の位置に移動させることができる。また、この状態では、仕切板24の差入片55が固定部14の溝部31に対して差し込まれていない状態なので、店舗管理者は、同じく仕切板24も幅方向Wの任意の位置に移動させることができる。これによって、店舗管理者は、商品46の補充だけでなく、商品46の入替作業も円滑に行うことができる。
【0037】
店舗管理者は、
図8に示すように、残存している商品46の後側に新しい商品46を補充する。商品46の補充の完了後、店舗管理者は、移動板17を第1位置P1から第2位置P2に移動させる。その際、
図8、
図12に示すように、移動板17が第1位置P1から第2位置P2に移動する途中で、フック部材22が固定部14(平板28)に対して係合する。これによって、フック部材22は、移動板17の上で、後端部17Bから前端部17Aに向けて相対移動する(実際には、移動板17が後に移動して、フック部材22が固定部14と一緒に停止した状態となる。)。
【0038】
一方、レール部材18および前出し部材21は、移動板17と一緒に後方に移動する。このため、フック部材22と前出し部材21との間の距離が大きくなり、付勢部材23が作動して前出し部材21をフック部材22および固定部14に近づく方向に付勢する。これによって、前出し部材21が商品46の後側に当接して、商品46を移動板17中の前方向Fに前出しすることができる。
図1、
図13に示すように、移動板17が第2位置P2にある場合には、係合部44が固定部14の溝部31内に差し込まれているために、レール部材18が幅方向Wに移動することが規制される。このため、前出し部材21による商品46の前出しの付勢力が働く場合に、レール部材18の横ずれが防止されるため、商品46が荷崩れしてずれてしまうことがない。
【0039】
また、この状態では、レール部材18のアンカー部32が固定部14の凹部34に係合するため、レール部材18が固定部14から浮き上がることが防止される。このため、商品46の姿勢が安定する。同様に、仕切板24についても、移動板17が第2位置P2にある場合には、差入片55が固定部14の溝部31に対して差し込まれているので、仕切板24が幅方向Wに移動することが規制される。以上より、商品46の補充と、補充した商品46の前出しとが完了する。
【0040】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。商品前出し具は、固定部14と、前端部17Aと、後端部17Bと、を有するとともに、固定部14の直下に設けられる移動板17であって、固定部14に対して後端部17Bでオーバーラップした第1位置P1と、固定部14に対して前端部17Aでオーバーラップした第2位置P2と、の間で移動可能な移動板17と、移動板17上に設けられ、商品46が載置されるレール部材18と、レール部材18上を前後方向FRに移動可能で、レール部材18から起立するように設けられ、商品46に後ろ側から当接することで商品46を前出し可能な前出し部材21と、商品46よりも下側の位置で、レール部材18上を前後方向FRに移動可能なフック部材22であって、固定部14に係合して固定部14よりも後ろ側に移動することが規制されたり固定部14から分離したり可能なフック部材22と、前出し部材21とフック部材22とが接近する方向にこれらを付勢する付勢部材23と、を備える。
【0041】
この構成によれば、移動板17が第1位置P1から第2位置P2に移動する際に、フック部材22を固定部14に係合させることでフック部材22を固定部14よりも後ろ側に移動することを規制できる。これによって、移動する移動板17、レール部材18、および前出し部材21に対して、フック部材22を停止させることができる。その結果、移動板17が第1位置P1から第2位置P2への移動を継続することで、フック部材22と前出し部材21との間の距離が大きくなるが、それによって付勢部材23が作動して前出し部材21とフック部材22とが接近する方向にこれらを付勢する。これによって、移動板17に対して相対的に前出し部材21が前出しされ、それによってレール部材18上の商品46に対して前出しの作動力が発生して、商品46が自動的に前出しされる。
【0042】
一方、移動板17が第1位置P1にある際には、フック部材22が固定部14から分離されるために、フック部材22は、レール部材18上を自由に前後方向FRに移動できる。そして、付勢部材23の作用によって、フック部材22は、前出し部材21に最も近接した位置にある。このため、移動板17が第1位置P1にある際には、商品46に対して前出し部材21による前出しの作動力が働くことはない。このため、店舗管理者は、前出し部材21を移動板17上の後ろ側の位置に移動させて、レール部材18上に残っている商品46の後ろ側に新しく商品46を補充することができる。その際、前出し部材21による前出しの作動力が働かない状態で補充を行うことができるため、前出し部材21を片方の手で押さえながらもう片方の手で商品46を補充するという必要がなく、片手のみで商品46の補充作業を円滑に行うことができる。これによって、片手しか入らない狭いスペースであっても、効率的に商品46の補充作業を行うことができる。或いは、一方の手で商品46を補充し、もう片方の手でストックの商品46を入れたカゴを持つなど、効率的な補充作業を実現することもできる。
【0043】
この場合、固定部14は、前後方向FRに延びる複数の溝部31を有する第1面28Aと、第1面28Aとは反対側の第2面28Bと、を有するとともに、幅方向Wに帯状に延び、レール部材18は、固定部14を収納可能なスロット43と、スロット43の前側に設けられ、スロット43内に突出するとともに、移動板17が第2位置P2にあるときに複数の溝部31のいずれかに係合可能な係合部44と、スロット43の後側に設けられ、移動板17が第1位置P1にあるときに固定部14との間に隙間を存して固定部14を収納可能な拡径部45と、を有する。
【0044】
この構成によれば、移動板17が第2位置P2にあるときは、係合部44が溝部31に係合している状態になるので、移動板17に対してレール部材18が幅方向Wに移動してしまうことが防止される。特に、第2位置P2は、顧客に向けて商品46を陳列している状態なので、この状態で商品46が幅方向Wに位置ずれしてしまう不具合を生じることを防止できる。また、第2位置P2では、付勢部材23による商品46の前出しの作動力が発生しているので、商品46の姿勢が変化しやすい状況であるが、上記構成によれば、レール部材18の横ずれを防止して、商品46の姿勢を安定化することができる。
【0045】
レール部材18は、スロット43の前側に設けられ固定部14の第2面28Bに係合するアンカー部32を有する。
【0046】
この構成によれば、移動板17が第2位置P2にあるときは、上記溝部31と係合部44との係合に加えて、アンカー部32が固定部14の第2面28Bに係合している状態となるので、レール部材18が固定部14から浮き上がることが防止される。これによって、第2位置P2にあるときに、商品46の姿勢を安定化することができる。
【0047】
レール部材18は、移動板17の前端部17Aに設けられた溝に対して差し込んだり、当該溝から分離したり可能な差込片42を有する。この構成によれば、移動板17に対してワンタッチでレール部材18を装着したり、移動板17から取り外したりすることができる。
【0048】
付勢部材23は、ばねである。この構成によれば、付勢部材23を簡単な構成要素で実現できる。
【0049】
続いて、本実施形態の棚10の変形の実施形態について説明する。以下の変形例および実施形態では、主として上記第1実施形態と異なる部分について説明し、上記第1実施形態と共通する部分については説明を省略する。
(第1実施形態の変形例)
【0050】
図14~
図17を参照して、第1変形例の棚10について説明する。棚10は、本発明にいう商品前出し具の一例である。本変形例では、フック部材22およびその周辺の前出し部材21の構成が第1実施形態とは異なっているが、他の部分は第1実施形態と共通している。
【0051】
図14、
図15に示すように、本変形例では、フック部材22は、前出し部材21の、例えば、直下の位置に設けられているが、フック部材22の設置位置は、これに限られるものではない。フック部材22の設置位置は、前出し部材21よりも下側で固定部14と係合できる位置であればよく、前出し部材21の斜め下方であってもよい。フック部材22は、その前出し部材21よりも下側の位置から引き出し可能になっている。
【0052】
フック部材22は、「J」字形又は「U」字形に折れ曲がった板材によって形成されている。フック部材22は、ゼンマイばね54の先端に固定されている。本変形例では、フック部材22を別部材の折れ曲がった板材で構成しているが、ゼンマイばね54の先端に対して、「J」字形又は「U」字形に折り曲げ加工を施して形成されていてもよい。
【0053】
前出し部材21は、レール部材18の頂面のスライド溝41に対して嵌め込まれて、前後方向FRにスライド移動可能に構成されている。前出し部材21は、スライド溝41に対してはめ込まれる断面「L」字形の一対の嵌込片56と、一対の嵌込片56の内面から内側に突出するように設けられた一対の支持片57と、を有する。一対の嵌込片56同士は、左右対称形に形成されている。
【0054】
一対の支持片57は、一対の嵌込片56の下端から内側に向けて突出している。一対の支持片57は、フック部材22を前出し部材21の直下の位置に支持することができる。すなわち、一対の嵌込片56は、これに引っ掛けられたフック部材22をその位置で保持することができ、ゼンマイばね54の作用によって、フック部材がリール53の周囲に巻き取られないようにできる。また、一対の支持片57は、フック部材22を前方向Fに引き出し可能に支持することができる。
【0055】
続いて、
図16、
図17を参照して、本変形例の棚10の作用について説明する。店舗管理者が商品46の補充を行いたい場合には、ロック機構を解除して移動板17を前方向Fに引き出す。これによって、移動板17は、
図17に示す第2位置P2から、
図16に示す第1位置P1になる。この状態で、店舗管理者は、残存している商品46の後側に新しい商品46を補充していくことができる。なお、第1位置P1にあるときに、フック部材21は、付勢部材23および一対の支持片の作用によって、前出し部材の直下の位置にある。
【0056】
店舗管理者は、商品46の補充に先立ち、まず、
図16に示すように、前出し部材21をレール部材18上で最も後側に移動させる。このとき、フック部材22が固定部14(平板28)と係合していないために、前出し部材21には前方向Fに向かう付勢力が発生していない。このため、店舗管理者は、前出し部材21を押さえることなく、片手で簡単に商品46を補充することができる。
【0057】
この状態では、
図16に示すように、固定部14の溝部31に対して係合部44が差し込まれておらず、固定部14は、拡径部45内に収納されている。この状態で、店舗管理者は、レール部材18を幅方向Wの任意の位置に移動させることができる。また、この状態では、仕切板24の差入片55が固定部14の溝部31に対して差し込まれていない状態なので、店舗管理者は、同じく仕切板24も幅方向Wの任意の位置に移動させることができる。これによって、店舗管理者は、商品46の補充だけでなく、商品46の入替作業も円滑に行うことができる。
【0058】
店舗管理者は、
図16に示すように、残存している商品46の後側に新しい商品46を補充する。商品46の補充の完了後、店舗管理者は、移動板17を第1位置P1から第2位置P2に移動させる。その際、
図16、
図17に示すように、移動板17が第1位置P1から第2位置P2に移動する途中で、フック部材22が固定部14(平板28)に対して係合する。これによって、フック部材22は、移動板17の上で、後端部17Bから前端部17Aに向けて相対移動する(実際には、移動板17が後に移動して、フック部材22が固定部14と一緒に停止した状態となる。)。
【0059】
一方、レール部材18および前出し部材21は、移動板17と一緒に後方に移動する。このため、フック部材22と前出し部材21との間の距離が大きくなり、付勢部材23が作動して前出し部材21をフック部材22および固定部14に近づく方向に付勢する。これによって、前出し部材21が商品46の後側に当接して、商品46を移動板17中の前方向Fに前出しすることができる。
図17に示すように、移動板17が第2位置P2にある場合には、係合部44が固定部14の溝部31内に差し込まれているために、レール部材18が幅方向Wに移動することが規制される。このため、前出し部材21による商品46の前出しの付勢力が働く場合に、レール部材18の横ずれが防止されるため、商品46が荷崩れしてずれてしまうことがない。
【0060】
また、この状態では、レール部材18のアンカー部32が固定部14の凹部34に係合するため、レール部材18が固定部14から浮き上がることが防止される。このため、商品46の姿勢が安定する。同様に、仕切板24についても、移動板17が第2位置P2にある場合には、差入片55が固定部14の溝部31に対して差し込まれているので、仕切板24が幅方向Wに移動することが規制される。以上より、商品46の補充と、補充した商品46の前出しとが完了する。
【0061】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。棚10は、固定部14と、前端部17Aと、後端部17Bと、を有するとともに、固定部14の直下に設けられる移動板17であって、固定部14に対して後端部17Bでオーバーラップした第1位置P1と、固定部14に対して前端部17Aでオーバーラップした第2位置P2と、の間で移動可能な移動板17と、移動板17上に設けられ、商品46が載置されるレール部材18と、レール部材18上を前後方向FRに移動可能で、レール部材18から起立するように設けられ、商品46に後ろ側から当接することで商品46を前出し可能な前出し部材21と、前出し部材21から引き出し可能に設けられ、固定部14に係合して固定部14よりも後ろ側に移動することが規制されたり固定部14から分離したり可能なフック部材33と、前出し部材21とフック部材33とが接近する方向にこれらを付勢する付勢部材23と、を備える。
【0062】
この構成によれば、第1位置P1から第2位置P2に向けて移動する移動板17、レール部材18、および前出し部材21に対して、フック部材22を停止させることができる。その結果、付勢部材23が作動して前出し部材21とフック部材22とが接近する方向にこれらを付勢する。これによって、移動板17に対して相対的に前出し部材21が前出しされ、それによってレール部材18上の商品46に対して前出しの作動力が発生して、商品46が自動的に前出しされる。
【0063】
一方、移動板17が第1位置P1にある際には、フック部材22が固定部14から分離されるために、フック部材22は、レール部材18上を自由に前後方向FRに移動できる。そして、付勢部材23の作用によって、フック部材22は、前出し部材21に最も近接した位置にある。このため、移動板17が第1位置P1にある際には、商品46に対して前出し部材21による前出しの作動力が働くことはない。このため、店舗管理者は、前出し部材21を移動板17上の後ろ側の位置に移動させて、レール部材18上に残っている商品46の後ろ側に新しく商品46を補充することができる。その際、前出し部材21による前出しの作動力が働かない状態で補充を行うことができるため、前出し部材21を片方の手で押さえながらもう片方の手で商品46を補充するという必要がなく、片手のみで商品46の補充作業を円滑に行うことができる。
[第2実施形態]
【0064】
図18~
図21を参照して、第2実施形態の棚10について説明する。
図18に示すように、棚10は、基台11と、基台11の後端部かつ両端部から起立する一対のフレーム12と、一対のフレーム12同士の間に渡された背面板13と、一対のフレーム12にそれぞれ固定された一対のブラケット15と、一対のブラケット15同士の間に渡されて固定的に設けられた棚板61と、棚板61上に設けられた陳列ボックス62と、を備える。本実施形態では、この棚板61に対して陳列ボックス62を着脱することができる。陳列ボックス62は、本発明にいう商品前出し具の一例である。
【0065】
図19、
図20に示すように、陳列ボックス62は、ボックス本体63と、ボックス本体63の一対の側壁63A同士の間に渡された固定部14と、ボックス本体63の底壁63B上に設けられ前方向Fに引き出したり後方向Rに押し込んだり可能な移動板17と、移動板17上に設けられるレール部材18と、レール部材18上を前後方向FRに移動可能な前出し部材21と、レール部材18上を前後方向FRに移動可能なフック部材22と、前出し部材21とフック部材22とが接近する方向にこれらを付勢する付勢部材23と、移動板17上を前後方向FRに沿って仕切る仕切板24と、を備える。
【0066】
固定部14は、一対の側壁63A同士の間に渡された金属製の横架板27と、横架板27の上面に取り付けられた樹脂製の平板28と、を有する。横架板27および平板28は、移動板17の略全幅に亘って設けられており、幅方向Wに細長く延びた帯状に形成されている。平板28は、横架板27に対して、爪の係合などによって着脱可能に固定されている。平板28は、第1面28Aと、第1面28Aとは反対側の第2面28Bと、を有する。平板28の第2面28Bは、横架板27に当接されている。平板28は、第1面28Aに、前後方向FRに延びる複数の溝部31を有する。平板28は、さらに、第2面28Bで前側の端部に、レール部材18の後述するアンカー部32およびフック部材22の後述するフック部33が引っ掛けられるための凹部34を有する。
【0067】
移動板17は、平板状に設けられている。移動板17は、前端部17Aに、レール部材18の差込片42や仕切板24の差込片42を差し込むことが可能に、断面U字形に起立した起立片35を有する。また、本実施形態では、この起立片35は、店舗管理者が移動板17を前側に引き出す際の指掛部を構成する。店舗管理者は、起立片35に指を掛けて手前側に引くことで、移動板17を第2位置P2から第1位置P1に引き出すことができる。
【0068】
レール部材18、前出し部材21、フック部材22、付勢部材23、および仕切板24の構成は、第1実施形態と同様である。レール部材18は、
図15に示すように、移動板17に対して着脱可能に構成されている。
【0069】
図18~
図21を参照して、本実施形態の棚10および陳列ボックス62の作用について説明する。店舗管理者が商品46の補充を行いたい場合には、移動板17を手前側に引き出す。これによって、移動板17は、
図18、
図19に示す第2位置P2から、
図16に示す第1位置P1になる。この状態で、店舗管理者は、残存している商品46の後側に新しい商品46を補充していくことができる。なお、前出し部材21は、付勢部材23の作用によって、フック部材22と当接している状態を維持している。
【0070】
店舗管理者は、商品46の補充に先立ち、まず、
図20に示すように、前出し部材21をレール部材18上で最も後側に移動させる。このとき、フック部材22が固定部14(平板28)と係合していないために、前出し部材21には前方向Fに向かう付勢力が発生していない。この状態では、固定部14の溝部31に対して係合部44が差し込まれておらず、固定部14は、拡径部45内に収納されている。この状態で、店舗管理者は、レール部材18を幅方向Wの任意の位置に移動させることができる。また、この状態では、仕切板24の差入片55が固定部14の溝部31に対して差し込まれていない状態なので、店舗管理者は、仕切板24も幅方向Wの任意の位置に移動させることができる。これによって、店舗管理者は、商品46の補充だけでなく、商品46の入替作業も円滑に行うことができる。
【0071】
店舗管理者は、
図20に示すように、残存している商品46の後側に新しい商品46を補充する。商品46の補充の完了後、店舗管理者は、移動板17を第1位置P1から第2位置P2に移動させる。その際、
図17に示すように、移動板17が第1位置P1から第2位置P2に移動する途中で、フック部材22が固定部14(平板28)に対して係合する。これによって、フック部材22は、移動板17の上で、後端部17Bから前端部17Aに向けて相対移動する(実際には、移動板17が後に移動して、フック部材22が固定部14と一緒に停止した状態となる。)。
【0072】
一方、レール部材18および前出し部材21は、移動板17と一緒に後方に移動する。このため、フック部材22と前出し部材21との間の距離が大きくなり、付勢部材23が作動して前出し部材21をフック部材22および固定部14に近づく方向に付勢する。これによって、前出し部材21が商品46の後側に当接して、移動板17中で商品46を前出しすることができる。
図21に示すように、移動板17が第2位置P2にある場合には、係合部44が固定部14の溝部31内に差し込まれているために、レール部材18が幅方向Wに移動することが規制される。このため、前出し部材21による商品46の前出しの差動力が働く場合に、レール部材18の横ずれが防止されるため、商品46が荷崩れしてずれてしまうことがない。同様に、仕切板24についても、移動板17が第2位置P2にある場合には、差入片55が固定部14の溝部31に対して差し込まれているので、仕切板24が幅方向Wに移動することが規制される。
【0073】
したがって、本実施形態によっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0074】
続いて、上記第2実施形態の変形例について説明する。以下の実施形態では、主として上記第2実施形態と異なる部分について説明し、上記第2実施形態と共通する部分については説明を省略する。
(第2実施形態の第1変形例)
【0075】
図22~
図24を参照して、第2実施形態の第1変形例の棚10および陳列ボックス62について説明する。この変形例では、前後方向FRに関する固定部14の長さが第2実施形態とは異なっている。また、レール部材18の一部の形状が第2実施形態とは異なっている。陳列ボックス62は、本発明にいう商品前出し具の一例である。
【0076】
固定部14は、一対の側壁63A同士の間に渡された金属製の横架板27と、横架板27の上面に取り付けられた樹脂製の平板28と、を有する。横架板27および平板28は、幅方向Wに関して、移動板17の略全幅に亘って設けられている。さらに、横架板27および平板28は、前後方向FRに関しても、移動板17の略全幅に亘って設けられている。したがって、移動板17が後側の第2位置P2にあるときに、固定部14は、移動板17の上面の略全てを覆うことができる。
【0077】
平板28は、横架板27に対して、爪の係合などによって着脱可能に固定されている。平板28は、第1面28Aと、第1面28Aとは反対側の第2面28Bと、を有する。平板28の第2面28Bは、横架板27に当接されている。平板28は、第1面28Aに、前後方向に延びる複数の溝部31を有する。平板28は、さらに、第2面28Bで前側の端部に、レール部材18の後述するアンカー部32およびフック部材22の後述するフック部33が引っ掛けられるための凹部34を有する。
【0078】
レール部材18は、スライド溝41、差込片42、スロット43、係合部44、アンカー部32、および拡径部45、を有する。スライド溝41、差込片42、係合部44、およびアンカー部32の構成は、第2実施形態と同様である。本変形例において、スロット43および拡径部45は、レール部材18の後端にまで連続している。
【0079】
図22~
図24を参照して、本変形例の棚10および陳列ボックス62の作用について説明する。店舗管理者が商品46の補充を行いたい場合には、移動板17を手前側に引き出す。これによって、移動板17は、
図22に示す第2位置P2から、
図23に示す第1位置P1になる。この状態で、店舗管理者は、残存している商品46の後側に新しい商品46を補充していくことができる。なお、前出し部材21は、付勢部材23の作用によって、フック部材22と当接している状態を維持している。
【0080】
店舗管理者は、商品46の補充に先立ち、まず、
図23に示すように、前出し部材21をレール部材18上で最も後側に移動させる。このとき、フック部材22が固定部14(平板28)と係合していないために、前出し部材21には前方向Fに向かう付勢力が発生していない。この状態では、固定部14の溝部31に対して係合部44が差し込まれておらず、固定部14は、拡径部45内に収納されている。この状態で、店舗管理者は、レール部材18を幅方向Wの任意の位置に移動させることができる。また、この状態では、仕切板24の差入片55が固定部14の溝部31に対して差し込まれていない状態なので、店舗管理者は、仕切板24も幅方向Wの任意の位置に移動させることができる。これによって、店舗管理者は、商品46の補充だけでなく、商品46の入替作業も円滑に行うことができる。
【0081】
店舗管理者は、
図23に示すように、残存している商品46の後側に新しい商品46を補充する。商品46の補充の完了後、店舗管理者は、移動板17を第1位置P1から第2位置P2に移動させる。その際、
図24に示すように、移動板17が第1位置P1から第2位置P2に移動する途中で、フック部材22が固定部14(平板28)の前端(凹部34)に対して係合する。これによって、フック部材22は、移動板17の上で、後端部17Bから前端部17Aに向けて相対移動する(実際には、移動板17が後に移動して、フック部材22が固定部14と一緒に停止した状態となる。)。
【0082】
一方、レール部材18および前出し部材21は、移動板17と一緒に後方に移動する。このため、フック部材22と前出し部材21との間の距離が大きくなり、付勢部材23が作動して前出し部材21をフック部材22および固定部14の前端に近づく方向に付勢する。これによって、前出し部材21が商品46の後側に当接して、移動板17中で商品46を前出しすることができる。
図21に示すように、移動板17が第2位置P2にある場合には、係合部44が固定部14の溝部31内に差し込まれているために、レール部材18が幅方向Wに移動することが規制される。このため、前出し部材21による商品46の前出しの差動力が働く場合に、レール部材18の横ずれが防止されるため、商品46が荷崩れしてずれてしまうことがない。同様に、仕切板24についても、移動板17が第2位置P2にある場合には、差入片55が固定部14の溝部31に対して差し込まれているので、仕切板24が幅方向Wに移動することが規制される。
【0083】
したがって、本実施形態によっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
(第2実施形態の第2変形例)
【0084】
図25~
図28を参照して、第2実施形態の第2変形例の棚10および陳列ボックス62について説明する。この変形例では、陳列ボックス62が個別ボックス71を収納可能に仕切られている点で第2実施形態とは異なっている。この変形例では、固定部14は、個別ボックス71毎に設けられている。また、本変形例では、仕切板24が設けられていない。陳列ボックス62は、本発明にいう商品前出し具の一例である。
【0085】
陳列ボックス62は、ボックス本体63と、ボックス本体63に対して個別に前後方向FRに引き出し可能な個別ボックス71と、ボックス本体63の底壁63Bに固定された複数の固定部14と、個別ボックス71の底壁63B上に設けられるレール部材18と、レール部材18上を前後方向FRに移動可能な前出し部材21と、レール部材18上を前後方向FRに移動可能なフック部材22と、前出し部材21とフック部材22とが接近する方向にこれらを付勢する付勢部材23と、を備える。
【0086】
個別ボックス71は、底壁63Bと、底壁63Bを取り囲む側壁63Aと、を有する。底壁63Bは、その中央部に、前後方向に細長い貫通孔72を有する。個別ボックス71の底壁63Bは、本発明にいう移動板の一例である。
【0087】
固定部14は、平板28と、平板28から下方に突出してボックス本体63に固定される脚部73と、を有する。固定部14の平板28と脚部73とは、樹脂材料によって一体的に成形されている。固定部14は、幅方向Wに細長い短冊状に形成されている。固定部14は、幅方向Wに関して、個別ボックス71の略全幅に亘るように設けられている。脚部73は、貫通孔72内を通されて、ボックス本体63の差込穴74に固定される。
【0088】
平板28は、第1面28Aと、第1面28Aとは反対側の第2面28Bと、を有する。平板28の第2面28Bから脚部73が突出している。平板28は、第1面28Aに、前後方向FRに延びる複数の溝部31を有する。平板28は、さらに、第2面28Bで前側の端部に、レール部材18の後述するアンカー部32およびフック部材22の後述するフック部33が引っ掛けられるための凹部34を有する。
【0089】
図25~
図28を参照して、本変形例の棚10および陳列ボックス62の作用について説明する。店舗管理者が商品46の補充を行いたい場合には、個別ボックス71を手前側に引き出す。これによって、個別ボックス71(移動板)は、
図25に示す第2位置P2から、
図27に示す第1位置P1になる。この状態で、店舗管理者は、残存している商品46の後側に新しい商品46を補充していくことができる。なお、前出し部材21は、付勢部材23の作用によって、フック部材22と当接している状態を維持している。
【0090】
店舗管理者は、商品46の補充に先立ち、まず、
図27に示すように、前出し部材21をレール部材18上で最も後側に移動させる。このとき、フック部材22が固定部14(平板28)と係合していないために、前出し部材21には前方向Fに向かう付勢力が発生していない。この状態では、固定部14の溝部31に対して係合部44が差し込まれておらず、固定部14は、拡径部45内に収納されている。この状態で、店舗管理者は、レール部材18を個別ボックス71内の幅方向Wの任意の位置に移動させることができる。
【0091】
店舗管理者は、
図27に示すように、残存している商品46の後側に新しい商品46を補充する。商品46の補充の完了後、店舗管理者は、個別ボックス71(移動板)を第1位置P1から第2位置P2に移動させる。その際、
図28に示すように、個別ボックス71が第1位置P1から第2位置P2に移動する途中で、フック部材22が固定部14(平板28)の前端(凹部34)に対して係合する。これによって、フック部材22は、個別ボックス71の上で、後端部17Bから前端部17Aに向けて相対移動する(実際には、個別ボックス71が後に移動して、フック部材22が固定部14と一緒に停止した状態となる。)。
【0092】
一方、レール部材18および前出し部材21は、個別ボックス71(移動板)と一緒に後方に移動する。このため、フック部材22と前出し部材21との間の距離が大きくなり、付勢部材23が作動して前出し部材21をフック部材22および固定部14の前端に近づく方向に付勢する。これによって、前出し部材21が商品46の後側に当接して、個別ボックス71中で商品46を前出しすることができる。
図28に示すように、個別ボックス71が第2位置P2にある場合には、係合部44が固定部14の溝部31内に差し込まれているために、レール部材18が幅方向Wに移動することが規制される。このため、前出し部材21による商品46の前出しの差動力が働く場合に、レール部材18の横ずれが防止されるため、商品46が荷崩れしてずれてしまうことがない。本実施形態では、個別ボックス71毎に商品46の補充を行うことができる。
【0093】
したがって、本実施形態によっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0094】
上記した実施形態は、さらなる種々の置き換えや変形を加えて実施できる。上記の異なる実施形態を適宜に組み合わせて一つの発明を構成することも当然にできる。
【符号の説明】
【0095】
10 棚
14 固定部
17 移動板
17A 前端部
17B 後端部
18 レール部材
21 前出し部材
22 フック部材
23 付勢部材
28A 第1面
28B 第2面
W 幅方向
F 前方向
R 後方向
31 溝部
32 アンカー部
P1 第1位置
P2 第2位置
42 差込片
43 スロット
44 係合部
45 拡径部
46 商品
【要約】 (修正有)
【課題】商品を前出しする機能を維持しつつ、商品を補充する際にも作業性を損なうことがない商品前出し具を提供する。
【解決手段】商品前出し具は固定部と前端部と後端部とを有するとともに、固定部の直下に設けられ、固定部に対して、後端部でオーバーラップした第1位置と前端部でオーバーラップした第2位置と、の間で移動可能な移動板17と、移動板上に設けられ商品が載置されるレール部材18と、レール部材上を前後方向に移動可能でレール部材から起立するように設けられ、商品に後ろ側から当接することで商品を前出し可能な前出し部材21と、前出し部材よりも前側かつ商品よりも下側の位置で、レール部材上を前後方向に移動可能なフック部材22であって、固定部に係合して固定部よりも後ろ側に移動することが規制されたり固定部から分離したり可能なフック部材22と、前出し部材とフック部材とが接近する方向に付勢する付勢部材23と、を備える。
【選択図】
図6