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特許7519735押込み式キャップ、および押込み式キャップの組付け方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】押込み式キャップ、および押込み式キャップの組付け方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/10 20060101AFI20240712BHJP
   B62M 7/02 20060101ALI20240712BHJP
   B60K 13/02 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
F02M35/10 301K
B62M7/02 F
B60K13/02 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2024018316
(22)【出願日】2024-02-09
【審査請求日】2024-02-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591243217
【氏名又は名称】丸満産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 元太
(72)【発明者】
【氏名】原 聖二
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第8651415(US,B1)
【文献】米国特許第5143321(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0089126(US,A1)
【文献】米国特許第3194525(US,A)
【文献】米国特許第3000533(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0008497(US,A1)
【文献】米国特許第2744382(US,A)
【文献】米国特許第3646980(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2022/0128183(US,A1)
【文献】特開昭63-41298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の吸気口または排気口に内嵌される押込み式キャップであって、
前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で前記吸気口または前記排気口を塞ぐとともに、複数の分割体を備えるキャップ本体と、
前記複数の分割体の1つに備えられた押圧力受け部と、
前記複数の分割体のうち他の分割体に備えられ、前記押圧力受け部を押圧することにより、前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する押圧装置と、を備え、
前記押圧装置は、前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する押圧方向に移動可能な移動部材を備え、
前記押圧力受け部は、
前記移動部材の端部が前記押圧方向に当接し、前記移動部材から押圧力を受ける係止部と、
前記移動部材に対して前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向に引っ掛るように構成された引っ掛り部と、を備える、押込み式キャップ。
【請求項2】
前記押圧力受け部は、前記押圧方向に穿孔された有底孔である係止孔を備え、
前記係止孔の底部は、前記係止部であり、
前記係止孔の内側面は、前記引っ掛り部である、請求項1に記載の押込み式キャップ。
【請求項3】
移動体の吸気口または排気口に内嵌される押込み式キャップであって、
前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で前記吸気口または前記排気口を塞ぐとともに、複数の分割体を備えるキャップ本体と、
前記複数の分割体の1つに備えられた押圧力受け部と、
前記複数の分割体のうち他の分割体に備えられ、前記押圧力受け部を押圧することにより、前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する押圧装置と、を備え、
前記押圧力受け部は、前記分割体のうち、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の前面に取付けられ、
前記押圧装置は、前記分割体のうち、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の前面に取付けられている、押込み式キャップ。
【請求項4】
前記押圧装置は、
前記複数の分割体が前記吸気口または前記排気口内に押込まれた後に、前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する押圧方向に移動可能に構成された移動部材を備え、
前記複数の分割体が前記吸気口または前記排気口内に押込まれた後に前記移動部材を移動させることにより、前記複数の分割体が前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧するように構成されている、請求項3に記載の押込み式キャップ。
【請求項5】
移動体の吸気口または排気口に内嵌される押込み式キャップであって、
前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で前記吸気口または前記排気口を塞ぐとともに、複数の分割体を備えるキャップ本体と、
前記複数の分割体のうち少なくとも1つの分割体に備えられた第1引っ掛り部と、
前記複数の分割体のうち前記第1引っ掛り部を備えた分割体と異なる分割体の少なくとも1つに備えられ、前記第1引っ掛り部に対して前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向に引っ掛るように構成された第2引っ掛り部と、を備え、
前記第1引っ掛り部は、前記分割体のうち、前記吸気口または前記排気口の開口する方向の前面に配置されており、
前記第2引っ掛り部は、前記分割体のうち、前記吸気口または前記排気口の開口する方向の前面に配置されており、
前記第1引っ掛り部および前記第2引っ掛り部は、前記第1引っ掛り部と前記第2引っ掛り部とが引っ掛ることにより、前記分割体が前記吸気口または前記排気口から脱落する方向に移動することが抑制されるように構成されている、押込み式キャップ。
【請求項6】
前記第1引っ掛り部および前記第2引っ掛り部は、前記複数の分割体が前記吸気口または前記排気口内に押込まれた後に前記第1引っ掛り部と前記第2引っ掛り部とが引っ掛けられることにより、前記分割体が前記吸気口または前記排気口から脱落する方向に移動することが抑制されるように構成されている、請求項5に記載の押込み式キャップ。
【請求項7】
前記第1引っ掛り部は、前記複数の分割体が前記吸気口または前記排気口内に押込まれた後に、前記分割体に対して移動可能に構成された移動部材を備え、
前記第1引っ掛り部および前記第2引っ掛り部は、
前記複数の分割体が前記吸気口または前記排気口内に押込まれた後に前記移動部材を移動させることにより、前記第1引っ掛り部と前記第2引っ掛り部とが引っ掛けられるように構成され、
前記第1引っ掛り部と前記第2引っ掛り部とが引っ掛けられることにより、前記分割体が前記吸気口または前記排気口から脱落する方向に移動することが抑制されるように構成されている、請求項5に記載の押込み式キャップ。
【請求項8】
前記キャップ本体は、前記吸気口または前記排気口の内壁と対向するキャップ外面を備え、
さらに、前記キャップ本体の前記キャップ外面の少なくとも一部に配置される滑止め部を備え、
前記滑止め部は、前記キャップ外面よりも摩擦係数の大きな材料で形成されるとともに、前記吸気口または前記排気口の前記内壁と当接する、請求項1~7のいずれか1項に記載の押込み式キャップ。
【請求項9】
前記キャップ本体が前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で、前記滑止め部が、前記キャップ本体のうち、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の前端部寄りの部分に配置されており、
前記キャップ本体のうち、前記開口方向の後側は、前記キャップ外面が前記吸気口または前記排気口と対向している、請求項8に記載の押込み式キャップ。
【請求項10】
前記滑止め部が、前記キャップ本体のうち、前記キャップ本体の周方向に間隔を空けて配置されている、請求項8に記載の押込み式キャップ。
【請求項11】
前記複数の分割体のそれぞれは、
前記複数の分割体が互いに対向する分割体内面と、
前記複数の分割体と、前記吸気口または前記排気口の内壁とが対向する分割体外面と、を備え、
前記分割体外面に前記滑止め部が配置されている、請求項8に記載の押込み式キャップ。
【請求項12】
前記複数の分割体のそれぞれは、前記押圧装置によって押圧された状態で、前記複数の分割体において少なくとも前記押圧装置によって前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧される面に、前記滑止め部が配置されている、請求項1~4のいずれか1項を引用する請求項8に記載の押込み式キャップ。
【請求項13】
前記キャップ本体は、
弾性変形可能な弾性材と、
前記弾性材を覆う表皮材と、を備え、
前記表皮材が、前記吸気口または前記排気口の内壁と対向するキャップ外面を構成する、請求項1~7のいずれか1項に記載の押込み式キャップ。
【請求項14】
前記弾性材は、前記キャップ本体が前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で、
前記吸気口または前記排気口の内壁側に位置する軟質弾性材と、
前記吸気口または前記排気口の内壁と反対側に位置するとともに、前記軟質弾性材よりも弾性率の大きな硬質弾性材と、を備える、請求項13に記載の押込み式キャップ。
【請求項15】
さらに、
前記複数の分割体のうち隣合う分割体同士を連結する可撓性を有するヒンジを備え、
前記複数の分割体のそれぞれは、
前記複数の分割体が互いに対向する分割体内面と、
前記複数の分割体と、前記吸気口または前記排気口の内壁とが対向する分割体外面と、を備え、
前記ヒンジは、前記分割体外面のうち前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の後面であって、前記隣合う分割体のうち隣合う端縁同士を跨ぐ形態で配置されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の押込み式キャップ。
【請求項16】
前記吸気口または前記排気口の内壁は、前記吸気口または前記排気口の開口方向の奧方に向かうにしたがって幅狭なテーパ状に形成されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の押込み式キャップ。
【請求項17】
請求項1に記載の押込み式キャップを、前記吸気口または前記排気口に内嵌させる、押込み式キャップの組付け方法であって、
前記複数の分割体のうち前記吸気口または前記排気口の内壁と対向する分割体外面を、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の後側に配置し、前記複数の分割体が互いに対向する分割体内面を、前記開口方向の前側に配置した状態で、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口に挿入する工程と、
前記吸気口または前記排気口に挿入した前記押込み式キャップの前記複数の分割体のうち前記開口方向の前側に位置する端部を、前記開口方向の後方に押込む工程と、
前記押圧装置の前記移動部材の端部を前記押圧力受け部の前記係止部に当接させて、前記押圧装置によって前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧して、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に抜止状態で取付ける工程と、
前記押圧装置の前記移動部材に対して前記開口方向に前記引っ掛り部を引っ掛けることにより、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に抜止状態で取付ける工程と、を備えた、押込み式キャップの組付け方法。
【請求項18】
請求項3に記載の押込み式キャップを、前記吸気口または前記排気口に内嵌させる、押込み式キャップの組付け方法であって、
前記複数の分割体のうち前記吸気口または前記排気口の内壁と対向する分割体外面を、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の後側に配置し、前記複数の分割体が互いに対向する分割体内面を、前記開口方向の前側に配置した状態で、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口に挿入する工程と、
前記吸気口または前記排気口に挿入した前記押込み式キャップの前記複数の分割体のうち前記開口方向の前側に位置する端部を、前記開口方向の後方に押込む工程と、
前記押圧装置によって前記押圧力受け部を押圧して、前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧することにより、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に抜止状態で取付ける工程と、を備えた、押込み式キャップの組付け方法。
【請求項19】
請求項6に記載の押込み式キャップを、前記吸気口または前記排気口に内嵌させる、押込み式キャップの組付け方法であって、
前記複数の分割体のうち前記吸気口または前記排気口の内壁と対向する分割体外面を、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の後側に配置し、前記複数の分割体が互いに対向する分割体内面を、前記開口方向の前側に配置した状態で、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口に挿入する工程と、
前記吸気口または前記排気口に挿入した前記押込み式キャップの前記複数の分割体のうち前記開口方向の前側に位置する端部を、前記開口方向の後方に押込む工程と、
前記第1引っ掛り部と前記第2引っ掛り部とを引っ掛けることにより、少なくとも前記第1引っ掛り部を備えた分割体と、前記第2引っ掛り部を備えた分割体とが、前記吸気口または前記排気口から脱落する方向に移動することを抑制して、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に抜止状態で取付ける工程と、を備えた、押込み式キャップの組付け方法。
【請求項20】
前記複数の分割体は、前記分割体外面のうち、前記開口方向の後側の位置に、前記開口方向の後方に向かうにしたがって幅狭に形成されたガイド斜面を備えており、
前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口に挿入する工程において、前記ガイド斜面を前記吸気口または前記排気口の開口縁部に接触させながら、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に挿入する工程を備える、請求項17~19のいずれか1項に記載の押込み式キャップの組付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押込み式キャップ、および押込み式キャップの組付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動体の空気取入れ口を塞ぐ部材として、特許文献1に記載のカバーが知られている。このカバーは、移動体のエンジン停止時において、エンジンの空気取入れ口に装着されて、空気取入れ口を閉塞する。これにより、エンジン停止時において、空気取入れ口から、異物が侵入することを抑制する。これにより、エンジンが損傷することが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭63-41298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術においては、カバーは、移動体本体と、カバー保持機構を介して取付けられる。カバー保持機構は、移動体本体に、ボルトにより締結されている。このため、移動体本体へのカバーの取付け作業が煩雑であるという課題があった。
【0005】
そこで、空気取入れ口を塞ぐ部材を、空気取入れ口の内部に内嵌させて取付けることが考えられる。しかしながら、この手法によると、当該部材の経年的な形状変化や、空気取入れ口の製造寸法のばらつきにより、上記の部材が空気取入れ口から脱落することが懸念された。また、排気口においても同様の問題が生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、移動体の吸気口または排気口からの脱落が抑制された押込み式キャップ、および押込み式キャップの組付け方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様は、
移動体の吸気口または排気口に内嵌される押込み式キャップであって、
前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で前記吸気口または前記排気口を塞ぐとともに、複数の分割体を備えるキャップ本体と、
前記複数の分割体の1つに備えられた押圧力受け部と、
前記複数の分割体のうち他の分割体に備えられ、前記押圧力受け部を押圧することにより、前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する押圧装置と、を備え、
前記押圧装置は、前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する押圧方向に移動可能な移動部材を備え、
前記押圧力受け部は、
前記移動部材の端部が前記押圧方向に当接し、前記移動部材から押圧力を受ける係止部と、
前記移動部材に対して前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向に引っ掛るように構成された引っ掛り部と、を備える、押込み式キャップにある。
本発明の第二の態様は、
移動体の吸気口または排気口に内嵌される押込み式キャップであって、
前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で前記吸気口または前記排気口を塞ぐとともに、複数の分割体を備えるキャップ本体と、
前記複数の分割体の1つに備えられた押圧力受け部と、
前記複数の分割体のうち他の分割体に備えられ、前記押圧力受け部を押圧することにより、前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する押圧装置と、を備え、
前記押圧力受け部は、前記分割体のうち、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の前面に取付けられ、
前記押圧装置は、前記分割体のうち、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の前面に取付けられている、押込み式キャップにある。
【0008】
本発明の第三の態様は、
移動体の吸気口または排気口に内嵌される押込み式キャップであって、
前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で前記吸気口または前記排気口を塞ぐとともに、複数の分割体を備えるキャップ本体と、
前記複数の分割体のうち少なくとも1つの分割体に備えられた第1引っ掛り部と、
前記複数の分割体のうち前記第1引っ掛り部を備えた分割体と異なる分割体の少なくとも1つに備えられ、前記第1引っ掛り部に対して前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向に引っ掛るように構成された第2引っ掛り部と、を備え、
前記第1引っ掛り部は、前記分割体のうち、前記吸気口または前記排気口の開口する方向の前面に配置されており、
前記第2引っ掛り部は、前記分割体のうち、前記吸気口または前記排気口の開口する方向の前面に配置されており、
前記第1引っ掛り部および前記第2引っ掛り部は、前記第1引っ掛り部と前記第2引っ掛り部とが引っ掛ることにより、前記分割体が前記吸気口または前記排気口から脱落する方向に移動することが抑制されるように構成されている、押込み式キャップにある。
【0009】
本発明の第の態様は、
本発明の第一の態様に記載の押込み式キャップを、前記吸気口または前記排気口に内嵌させる、押込み式キャップの組付け方法であって、
前記複数の分割体のうち前記吸気口または前記排気口の内壁と対向する分割体外面を、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の後側に配置し、前記複数の分割体が互いに対向する分割体内面を、前記開口方向の前側に配置した状態で、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口に挿入する工程と、
前記吸気口または前記排気口に挿入した前記押込み式キャップの前記複数の分割体のうち前記開口方向の前側に位置する端部を、前記開口方向の後方に押込む工程と、
前記押圧装置の前記移動部材の端部を前記押圧力受け部の前記係止部に当接させて、前記押圧装置によって前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧して、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に抜止状態で取付ける工程と、
前記押圧装置の前記移動部材に対して前記開口方向に前記引っ掛り部を引っ掛けることにより、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に抜止状態で取付ける工程と、を備えた、押込み式キャップの組付け方法にある。
本発明の第五の態様は、
本発明の第二の態様に記載の押込み式キャップを、前記吸気口または前記排気口に内嵌させる、押込み式キャップの組付け方法であって、
前記複数の分割体のうち前記吸気口または前記排気口の内壁と対向する分割体外面を、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の後側に配置し、前記複数の分割体が互いに対向する分割体内面を、前記開口方向の前側に配置した状態で、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口に挿入する工程と、
前記吸気口または前記排気口に挿入した前記押込み式キャップの前記複数の分割体のうち前記開口方向の前側に位置する端部を、前記開口方向の後方に押込む工程と、
前記押圧装置によって前記押圧力受け部を押圧して、前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧することにより、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に抜止状態で取付ける工程と、を備えた、押込み式キャップの組付け方法にある。
【0010】
本発明の第の態様は、
本発明の第三の態様に記載の押込み式キャップを、前記吸気口または前記排気口に内嵌させる、押込み式キャップの組付け方法であって、
前記複数の分割体のうち前記吸気口または前記排気口の内壁と対向する分割体外面を、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の後側に配置し、前記複数の分割体が互いに対向する分割体内面を、前記開口方向の前側に配置した状態で、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口に挿入する工程と、
前記吸気口または前記排気口に挿入した前記押込み式キャップの前記複数の分割体のうち前記開口方向の前側に位置する端部を、前記開口方向の後方に押込む工程と、
前記第1引っ掛り部と前記第2引っ掛り部とを引っ掛けることにより、少なくとも前記第1引っ掛り部を備えた分割体と、前記第2引っ掛り部を備えた分割体とが、前記吸気口または前記排気口から脱落する方向に移動することを抑制して、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に抜止状態で取付ける工程と、を備えた、押込み式キャップの組付け方法にある。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第一の態様および第四の態様によれば、分割体が吸気口または排気口の内壁に押圧されることにより、押込み式キャップを吸気口または排気口から抜止状態で保持することができる。また、引っ掛り部が移動部材に対して吸気口または排気口の開口する開口方向に引っ掛ることにより、押込み式キャップを吸気口または排気口から抜止状態で保持することができる。これにより、これにより、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することを抑制できる。
また、本発明の第二の態様および第五の態様によれば、複数の分割体が、吸気口または排気口の内壁に押圧されることにより、押込み式キャップを吸気口または排気口から抜止状態で保持することができる。これにより、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することを抑制できる。
【0012】
本発明の第三の態様および第六の態様によれば、第1引っ掛り部と第2引っ掛り部とが引っ掛ることにより、少なくとも第1引っ掛り部を備えた分割体と、第2引っ掛り部を備えた分割体とが、吸気口または排気口から脱落する方向に移動することが抑制される。これにより、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係る押込み式キャップが移動体に組付けられた状態を示す概略図である。
図2】実施形態1に係る押込み式キャップを示す正面図である。
図3】実施形態1に係る押込み式キャップを示す平面図である。
図4図2におけるIV-IV線断面を示す図である。
図5】実施形態1に係る押込み式キャップを示す右側面図である。
図6】実施形態1に係る押込み式キャップを示す左側面図である。
図7図6におけるVII-VII線断面を示す図であって、硬質弾性材および軟質弾性材を省略した図である。
図8図6におけるVIII-VIII線断面を示す図であって、硬質弾性材および軟質弾性材を省略した図である。
図9】実施形態1に係る押込み式キャップを吸気口に挿入する前の状態を示す平面図である。
図10】実施形態1に係る押込み式キャップを吸気口に挿入した状態を示す平面図である。
図11】実施形態2に係る押込み式キャップの一部拡大平面図である。
図12】実施形態3に係る押込み式キャップの、図4に対応する断面を示す図である。
図13】実施形態4に係る押込み式キャップを示す平面図である。
図14】実施形態4に係る押込み式キャップを示す右側面図である。
図15】実施形態4に係る押込み式キャップを示す左側面図である。
図16】実施形態5に係る押込み式キャップを示す平面図である。
図17】実施形態6に係る押込み式キャップを示す平面図である。
図18】実施形態6に係る押込み式キャップを示す右側面図である。
図19】実施形態6に係る押込み式キャップを示す左側面図である。
図20】実施形態7に係る押込み式キャップを示す正面図である。
図21】実施形態8に係る押込み式キャップを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施態様を以下に列記する。
【0015】
移動体の吸気口または排気口に内嵌される押込み式キャップであって、前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で前記吸気口または前記排気口を塞ぐとともに、前記吸気口または前記排気口の内壁と対向するキャップ外面を備えるキャップ本体と、前記キャップ本体の前記キャップ外面の少なくとも一部に配置される滑止め部と、を備え、前記滑止め部は、前記キャップ外面よりも摩擦係数の大きな材料で形成されるとともに、前記吸気口または前記排気口の前記内壁と当接する。滑止め部が吸気口または排気口の内壁と当接することにより、押込み式キャップを吸気口または排気口から抜止状態で保持することができる。これにより、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することを抑制できる。
【0016】
前記キャップ本体が前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で、前記滑止め部が、前記キャップ本体のうち、前記吸気口または前記排気口の開口する方向の前端部寄りの部分に配置されており、前記キャップ本体のうち、前記吸気口または前記排気口の開口する方向の後側は、前記キャップ外面が前記吸気口または前記排気口と対向している。これにより、滑止め部は、嵌合の最終段階になって吸気口または排気口の内壁と接触するので、押込み式キャップを吸気口または排気口に内嵌させる際の作業性を向上させることができる。
【0017】
前記滑止め部が、前記キャップ本体のうち、前記キャップ本体の周方向に間隔を空けて配置されている。これにより、押込み式キャップを吸気口または排気口に挿入する際の挿入力を低減させることができるので、押込み式キャップを吸気口または排気口に挿入する際の作業性を向上させることができる。
【0018】
前記キャップ本体は、弾性変形可能な弾性材と、前記弾性材を覆う表皮材と、を備え、前記表皮材が前記キャップ外面を構成する。弾性材が弾性変形することにより、押込み式キャップの外形状が、吸気口または排気口の内壁の形状に対応して変形することができる。これにより、押込み式キャップを吸気口または排気口に挿入させやすくするとともに、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することを抑制できる。
【0019】
前記弾性材は、前記キャップ本体が前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で、前記吸気口または前記排気口の内壁側に位置する軟質弾性材と、前記吸気口または前記排気口の内壁と反対側に位置するとともに、前記軟質弾性材よりも弾性率の大きな硬質弾性材と、を備える。軟質弾性材が容易に変形することによって、吸気口または排気口の内形状に対応して押込み式キャップの外形状を変化させることができる。この結果、押込み式キャップを吸気口または排気口に挿入する際の挿入力を低減することができる。また、吸気口または排気口の製造寸法のばらつきに対応することができる。さらに、硬質弾性材によって押込み式キャップの外形状が保持されるので、滑止め部と、吸気口または排気口の内壁との摩擦力を保持することができる。これにより、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することを抑制できる。
【0020】
前記キャップ本体は、複数の分割体を備え、前記複数の分割体のそれぞれは、前記複数の分割体が互いに対向する分割体内面と、前記複数の分割体と、前記吸気口または前記排気口の内壁とが対向する分割体外面と、を備え、前記分割体外面に前記滑止め部が配置されている。これにより、1つの大きな押込み式キャップを吸気口または排気口に内嵌させる場合に比べて、作業性を向上させることができる。また、複数の分割体のそれぞれが滑止め部を備えることにより、各分割体が、吸気口または排気口から脱落することが抑制される。
【0021】
さらに、前記複数の分割体を異なる方向に押圧することにより、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する押圧装置を備える。これにより、複数の分割体を吸気口または排気口の内壁に強固に押圧することができるので、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することをさらに抑制できる。
【0022】
前記押圧装置は、前記複数の分割体の1つに配置されており、前記押圧装置からの押圧力を受ける押圧力受け部が、他の分割体に配置されており、前記押圧装置は、前記分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する押圧方向に長尺に形成されるとともに、前記押圧方向に移動可能なシャフトを備え、前記押圧力受け部は、前記シャフトの端部が前記押圧方向に当接する係止部と、前記シャフトの側面が前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の後方から引っ掛る引っ掛り部と、を備える。押圧装置の押圧力が押圧力受け部によって受けられることにより、複数の分割体が、吸気口または排気口の内壁に押圧される。これにより、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することをさらに抑制できる。また、シャフトの端部と係止部とが当接することにより、複数の分割体は吸気口または排気口の内壁に押圧される。これにより、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することがさらに抑制される。また、シャフトの側面が引っ掛り部と引っ掛ることにより、複数の分割体が、開口方向の前方に移動することを抑制できる。これにより、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することを、さらに抑制することができる。
【0023】
前記押圧力受け部は、前記押圧方向に穿孔された有底孔である係止孔を備え、前記係止孔の底部が前記係止部であり、前記係止孔の内側面が前記引っ掛り部である。押圧力受け部に係止孔を形成するという簡易な手法により、係止部および引っ掛り部を形成することができる。
【0024】
前記複数の分割体のそれぞれは、前記押圧装置によって押圧された状態で、前記分割体外面のうち少なくとも前記押圧装置によって前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧される面に、前記滑止め部が配置されている。これにより、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することがさらに抑制される。
【0025】
さらに、前記複数の分割体のうち隣合う分割体同士を連結する可撓性を有するヒンジを備え、前記ヒンジは、前記キャップ外面のうち前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の後面であって、前記隣合う分割体のうち隣合う端縁同士を跨ぐ形態で配置されている。この結果、押込み式キャップを吸気口または排気口に挿入する際に、複数の分割体の配置を容易に調整することができるので、押込み式キャップの組付け作業の効率を向上させることができる。
【0026】
さらに、前記複数の分割体のうち少なくとも1つの分割体は第1引っ掛り部を備え、前記複数の分割体のうち前記第1引っ掛り部を備えた分割体と異なる分割体の少なくとも1つは、前記第1引っ掛り部と、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の前方から引っ掛る第2引っ掛り部と、を備え、前記第1引っ掛り部と前記第2引っ掛り部とが引っ掛ることにより、少なくとも前記第1引っ掛り部を備えた分割体と、前記第2引っ掛り部を備えた分割体とが、前記吸気口または前記排気口から脱落する方向に移動することが抑制される。第1引っ掛り部と第2引っ掛り部とを引っ掛けるという簡易な手法により、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することを、さらに抑制することができる。
【0027】
前記吸気口または前記排気口の内壁は、前記吸気口または前記排気口の開口方向の奧方に向かうにしたがって幅狭なテーパ状に形成されている。このような形状の吸気口または排気口に押込み式キャップを内嵌させた場合、押込み式キャップが比較的に離脱しやすくなる。このような場合に、本発明に係る押込み式キャップは有効である。
【0028】
移動体の吸気口または排気口に内嵌される押込み式キャップであって、前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で前記吸気口または前記排気口を塞ぐとともに、複数の分割体を備えるキャップ本体と、前記複数の分割体を異なる方向に押圧することにより、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する押圧装置と、を備える。押圧装置によって複数の分割体が吸気口または排気口の内壁に押圧されることにより、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することを抑制できる。
【0029】
移動体の吸気口または排気口に内嵌される押込み式キャップであって、前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で前記吸気口または前記排気口を塞ぐとともに、前記吸気口または前記排気口の内壁と対向するキャップ外面を備えるキャップ本体と、前記キャップ本体の前記キャップ外面の少なくとも一部に配置される滑止め部と、を備え、前記滑止め部は、前記キャップ外面よりも摩擦係数の大きな材料で形成されるとともに、前記吸気口または前記排気口の前記内壁と当接するとともに、前記キャップ本体は、複数の分割体を備え、前記複数の分割体のそれぞれは、前記複数の分割体が互いに対向する分割体内面と、前記複数の分割体と、前記吸気口または前記排気口の内壁とが対向する分割体外面と、を備え、前記分割体外面に前記滑止め部が配置されている押込み式キャップを、前記吸気口または前記排気口に内嵌させる、押込み式キャップの組付け方法であって、前記複数の分割体の前記分割体外面を、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の後側に配置し、前記分割体内面を、前記開口方向の前側に配置した状態で、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口に挿入する工程と、前記吸気口または前記排気口に挿入した前記押込み式キャップの前記複数の分割体のうち前記開口方向の前側に位置する端部を、前記開口方向の後方に押込んで、前記滑止め部を前記吸気口または前記排気口の内壁に当接させて、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に抜止状態で取付ける工程と、を備える。
【0030】
上記した押込み式キャップの組付け方法によれば、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することを抑制できる。
【0031】
前記複数の分割体は、前記分割体外面のうち、前記開口方向の後側の位置に、前記開口方向の後方に向かうにしたがって幅狭に形成されたガイド斜面を備えており、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口に挿入する工程において、前記ガイド斜面を前記吸気口または前記排気口の開口縁部に接触させながら、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に挿入する工程を備える。
【0032】
吸気口または排気口に、開口方向の前方から複数の分割体を挿入しようとすると、複数の分割体によって。吸気口または排気口が視認しにくくなる。このため、複数の分割体に形成されたガイド斜面と、吸気口または排気口の開口縁部とを接触させることにより、複数の分割体を吸気口または排気口に容易に挿入することができる。
【0033】
前記複数の分割体のうち前記開口方向の前側に位置する端部を、前記開口方向の後方に押込む工程の後、前記複数の分割体の前記分割体内面を突当てることにより、前記複数の分割体が前記吸気口または前記排気口から脱落する方向に移動することを抑制する。複数の分割体のうち吸気口または排気口の内壁と反対側の端部同士を突当てるという簡易な手法により、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することをさらに抑制することができる。
【0034】
前記複数の分割体を前記開口方向の後方に押込んだ後、前記複数の分割体を、前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する工程を備える。これにより、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することをさらに抑制できる。
【0035】
移動体の吸気口または排気口に内嵌される押込み式キャップであって、前記吸気口または前記排気口に内嵌された状態で前記吸気口または前記排気口を塞ぐとともに、複数の分割体を備えるキャップ本体と、前記複数の分割体を異なる方向に押圧することにより、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧する押圧装置と、を備える押込み式キャップを、前記吸気口または前記排気口に内嵌させる、押込み式キャップの組付け方法であって、前記複数の分割体のうち前記吸気口または前記排気口の内壁と対向する分割体外面を、前記吸気口または前記排気口の開口する開口方向の後側に配置し、前記複数の分割体が互いに対向する分割体内面を、前記開口方向の前側に配置した状態で、前記複数の分割体を前記吸気口または前記排気口に挿入する工程と、前記吸気口または前記排気口に挿入した前記押込み式キャップの前記複数の分割体のうち前記開口方向の前側に位置する端部を、前記開口方向の後方に押込む工程と、前記押圧装置によって、前記複数の分割体の前記分割体外面を前記吸気口または前記排気口の内壁に押圧して、前記押込み式キャップを前記吸気口または前記排気口に抜止状態で取付ける工程と、を備える。
【0036】
上記した押込み式キャップの組付け方法によれば、押込み式キャップが吸気口または排気口から脱落することを抑制できる。
【0037】
(実施形態1)
図1を参照して、実施形態1について説明する。本形態に係る押込み式キャップ10aは、移動体1に形成された吸気口2に内嵌される。以下の説明において、移動体1の進行方向の前方を前方とし、後方を後方とする。上下方向は重力の方向とする。左右方向は、前後方向および上下方向の双方に直交する方向とする。ただし、上記の方向は、説明の便宜のためのものであって、発明を限定するものではない。また、複数の同一構成については、一部の構成についてのみ符号を付し、他の構成については符号を省略する場合がある。
【0038】
1.移動体1の構成
図1に示すように、移動体1の下面には、下方に開口する導入口3が形成されている。移動体1は、自動車、自動二輪車等の車両、艦船など、任意の移動体1を適宜に選択できる。また、導入口3は、移動体1の下面に限られず、上面、右側面、左側面、前面、後面等、任意の位置に形成しても良い。
【0039】
本形態に係る導入口3は、後方に向かうにしたがって上方への凹み寸法が大きくなるように形成されている。導入口3の後端部には、吸気口2が形成されている。吸気口2は、導入口3の内部において、前方に開口している。吸気口2は、図示しないエンジンに連なっており、エンジンに空気を供給する。吸気口2は、全体として前後方向(開口方向の一例)にのびる中空な筒状に形成されている。本形態においては、吸気口2の内壁は、鏡面仕上げされている。詳細には図示しないが、吸気口2の内壁は、後方に向かうにしたがって幅狭なテーパ状に形成されている。
【0040】
ただし、吸気口2に内壁は鏡面仕上げされていなくても良い。また、吸気口2の内壁は、前後方向に同じ内径寸法に形成されていても良いし、後方に向かうにしたがって幅広なテーパ状に形成されていても良い。
【0041】
本形態に係る吸気口2は左右方向に長尺な長孔形状に形成されている。吸気口2は左右非対称に形成されている。また、吸気口2は上下非対称に形成されている。ただし、吸気口2の形状は上記に限られず、円形状、楕円形状、トラック形状、または、三角形状、四角形状等の多角形状等、任意の形状とすることができる。また、吸気口2は、左右対称に形成されていても良いし、上下対称に形成されていても良い。
【0042】
2.押込み式キャップ10aの構成
図2に示すように、押込み式キャップ10aは、エンジンが停止した状態の移動体1の吸気口2に内嵌される。これにより、吸気口2から風、雨、砂、虫、小動物、その他の異物が侵入することを抑制できる。この結果、エンジンに不具合が生じることを抑制できる。
【0043】
図2図3に示すように、押込み式キャップ10aは、全体として、吸気口2の内形状に倣った形状に形成されている。上記したように、吸気口2の形状は左右非対称に形成されており、押込み式キャップ10aの形状も左右非対称に形成されている。また、吸気口2の形状は上下非対称に形成されており、押込み式キャップ10aの形状も上下非対称に形成されている。ただし、押込み式キャップ10aは、左右対称に形成されていても良いし、上下対称に形成されていても良い。
【0044】
押込み式キャップ10aは、キャップ本体11と、滑止め部12と、を備える。ただし、滑止め部12は省略しても良い。キャップ本体11は、左右方向に2つに分割されている。キャップ本体11は、右側に配置された第1分割体11aと、左側に配置された第2分割体11bと、を備える。第1分割体11aの左右方向の長さ寸法と、第2分割体11bの左右方向の長さ寸法とは、概ね同じに設定されている。キャップ本体11は、吸気口2の内壁と対向するキャップ外面11cを備える。また、第1分割体11aおよび第2分割体11bは、吸気口2の内壁と対向する分割体外面11dを備える。また、第1分割体11aおよび第2分割体11bは、互いに対向する分割体内面11eを備える(図9参照)。本形態においては、第1分割体11aと第2分割体11bとは形状が異なる。
【0045】
ただし、キャップ本体11は、3つ以上の分割体を備える構成としても良い。また、複数の分割体の形状は同一でも良いし、また、異なっていても良い。
【0046】
(1)第1分割体11a
図2に示すように、第1分割体11aは、前方から見て、概ね、左右方向に長尺な四角形状に形成されている。図4に示すように、第1分割体11aは、押込み式キャップ10aが吸気口2に嵌入された状態で、前側に位置する前壁13と、前壁13の上端部から後方にのびる上壁14と、前壁13の下端部から後方にのびる下壁15と、を備える。上壁14の前後方向の長さ寸法は、下壁15の前後方向の長さ寸法よりも大きく形成されている。
【0047】
図4に示すように、第1分割体11aは、芯材21と、硬質弾性材22と、軟質弾性材23と、表皮材24と、を備える。
【0048】
芯材21は、前後方向に扁平な板状に形成されている。芯材21を構成する材料は特に限定されず、樹脂、金属、ゴム等、任意の材料を適宜に選択できる。樹脂としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等、任意の樹脂を選択できる。金属としては、SUS、アルミニウム等、任意の金属を選択できる。ゴムとしては、天然ゴム、合成ゴム等、任意のゴムを選択できる。
【0049】
芯材21は、前壁13を構成する。芯材21の上端縁には後方にのびる硬質弾性材22が配置されている。芯材21の上端縁と、硬質弾性材22とは、接着されていても良い。また、芯材21の下端縁にも、後方にのびる硬質弾性材22が配置されている。芯材21の下端縁と、硬質弾性材22とは、接着されていても良い。
【0050】
硬質弾性材22は、弾性変形可能な発泡樹脂により形成されている。硬質弾性材22を構成する発泡樹脂としては、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン、硬質発泡ポリウレタン等、任意の発泡樹脂を選択できる。
【0051】
硬質弾性材22には、硬質弾性材22よりも弾性率の小さな軟質弾性材23が積層されている。換言すると、硬質弾性材22の弾性率は軟質弾性材23よりも大きい。軟質弾性材23が、上下方向について、硬質弾性材22よりも外側に配置されている。硬質弾性材22の上下方向の厚さ寸法は、軟質樹脂の上下方向の厚さ寸法よりも小さく設定されている。ただし、硬質弾性材22の上下方向の厚さ寸法は、軟質樹脂の上下方向の厚さ寸法と同じでも良いし、また、小さく設定されていても良い。
【0052】
軟質弾性材23は、弾性変形可能な発泡樹脂により形成されている。軟質弾性材23を構成する発泡樹脂としては、天然ゴムフォーム、合成ゴムフォーム等の発泡ゴム、軟質ポリウレタン等を好適に用いることができる。
【0053】
キャップ本体11が吸気口2に内嵌された状態で、軟質弾性材23は、吸気口2の内壁側に位置する。軟質弾性材23が容易に弾性変形することにより、キャップ本体11が吸気口2に容易に内嵌可能に構成される。また、硬質弾性材22により、キャップ本体11の形状を維持することができる。
【0054】
表皮材24は、芯材21、硬質弾性材22、および軟質弾性材23を覆う。表皮材24の外面が、キャップ外面11cを構成する。表皮材24を構成する材料としては、例えば、織布の表面に塩化ビニル等の合成樹脂材をコーティングした帆布を用いることができる。織布は柔軟性を有する。
【0055】
図4に示すように、第1分割体11aの前壁13の前面には、前板31が配置されている。本形態に係る前板31は、金属製であって、前方から見て、芯材21よりも、上方、右方、および下方にやや大きく形成されている。前板31を構成する金属としては、SUS、アルミニウム等、任意の金属を選択できる。ただし、前板31は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等の樹脂製であっても良い。また、前板31は省略しても良い。
【0056】
図4に示すように、第1分割体11aの前壁13の後面には、後板32が配置されている。後板32は、金属製である。後板32の上下方向の長さ寸法は、芯材21と略同じに設定されている。後板32の上端部および下端部は、後方に曲げられている。これにより、前壁13と、上壁14および下壁15と、が、後板32によって連結されている。後板32を構成する金属としては、SUS、アルミニウム等、任意の金属を選択できる。ただし、後板32は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等の樹脂製であっても良い。また、後板32は省略しても良い。
【0057】
図4に示すように、前板31、表皮材24、芯材21、および後板32は、ボルト33とナット34によって固定されている。ただし、ボルト33とナット34とは、図示しない封止部材により封止されていても良い。以下の説明においても同様である。
【0058】
図2図3に示すように、第1分割体11aの前面には、ハンドル35が固定されている。図3に示すように、ハンドル35は、金属製であって、上方から見て略U字形状に形成されている。図5図6に示すように、ハンドル35は、前板31、表皮材24、芯材21、および後板32を貫通するボルト33によって、前板31、表皮材24、芯材21、および後板32に固定されている。ただし、ハンドル35を構成する材料は特に限定されず、樹脂、皮革、布等、任意の材料を適宜に選択できる。また、ハンドル35と第1分割体11aとの固定手段はボルト締結に限定されず、縫製、接着等、任意の固定手段を選択できる。
【0059】
図2図3に示すように、第1分割体11aの前面のうち、左端部寄りの位置には、トグルクランプ36(押圧装置の一例)がボルト33により固定されている。トグルクランプ36は、基台36aと、軸部36bと、レバー36cと、ストロークシャフト36d(シャフトの一例)と、を備える。レバー36cは、基台36aに配置された軸部36bを中心に回動可能に形成されている。レバー36cを回動操作することにより、ストロークシャフト36dが左右方向(押圧方向の一例)に移動する。本形態では、レバー36cの先端を前板31に近づける方向に回動させると、ストロークシャフト36dが左方に移動する構成とされている。ただし、レバー36cの先端を前板31に近づける方向に回動させると、ストロークシャフト36dが右方に移動する構成としても良い。
【0060】
ただし、押圧装置はトグルクランプ36に限られず、例えば、外周にねじ山が形成された左右方向に長尺なシャフトとしても良く、任意の構成を適宜に選択しうる。
【0061】
図3に示すように、第1分割体11aの上壁14の右後端部には、面取りされたガイド斜面25が形成されている。ガイド斜面25は、吸気口2の開口方向の後方に向かうにしたがって幅狭に形成されている。
【0062】
図5に示すように、第1分割体11aの右側縁部、(上壁14の右側面、前壁13の右側面、および下壁15の右側面)には、第1滑止め部12aが配置されている。第1滑止め部12aは、表皮材24よりも摩擦係数の大きな材料により形成されている。第1滑止め部12aを構成する材料は、特に限定されず、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム等のゴム、またはスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、動的架橋型熱可塑性エラストマー等のエラストマー等、任意の材料を適宜に選択できる。また、第1滑止め部12aを構成する材料は、例えば、織布に、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム等のゴム、またはエラストマーを含浸させた材料であっても良い。
【0063】
詳細には図示しないが、第1滑止め部12aの内方には、軟質弾性材が配置されている。これにより、第1滑止め部12aが吸気口2の内壁に押圧された場合に、軟質弾性材が弾性変形することにより、第1滑止め部12aを吸気口2の内壁に付勢する弾発力が発生する。これにより、第1滑止め部12aが吸気口2の内壁に強く押圧される。この結果、第1滑止め部12aと吸気口2の内壁との間の摩擦力が大きくなるので、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することが抑制される。ただし、第1滑止め部12aの内方には、硬質弾性材が配置されていても良い。また、軟質弾性材は省略されても良い。
【0064】
(2)第2分割体11b
図2に示すように、第2分割体11bは、前方から見て、概ね、左右方向に長尺な四角形状に形成されている。第1分割体11aと、第2分割体11bとは、左右方向について非対称に形成されている。これにより、吸気口2に第1分割体11aおよび第2分割体11bを嵌入する際に、右側に第2分割体11bを嵌入し、左側に第1分割体11aを嵌入することを抑制できる。
【0065】
図6に示すように、第2分割体11bは、押込み式キャップ10aが吸気口2に嵌入された状態で、前側に位置する前壁13と、前壁13の上端部から後方にのびる上壁14と、前壁13の下端部から後方にのびる下壁15と、を備える。上壁14の前後方向の長さ寸法は、下壁15の前後方向の長さ寸法よりも大きく形成されている。
【0066】
詳細には図示しないが、第2分割体11bは、第1分割体11aと同様に、芯材21と、硬質弾性材22と、軟質弾性材23と、表皮材24と、を備える。第2分割体11bを構成する芯材21、硬質弾性材22、軟質弾性材23、および表皮材24は、第1分割体11aと同じなので、重複する説明を省略する。
【0067】
図6に示すように、第2分割体11bの前壁13の前面には、前板31が配置されている。前板31は、金属製であって、前方から見て、芯材21よりも、上方、右方、および下方にやや大きく形成されている。前板31を構成する金属としては、SUS、アルミニウム等、任意の金属を選択できる。
【0068】
図6に示すように、第2分割体11bの前壁13の後面には、後板32が配置されている。後板32は、金属製である。後板32の上下方向の長さ寸法は、芯材21と略同じに設定されている。後板32の上端部および下端部は、後方に曲げられている。これにより、前壁13と、上壁14および下壁15と、が、後板32によって連結されている。後板32を構成する金属としては、SUS、アルミニウム等、任意の金属を選択できる。ただし、前板31は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル等の樹脂製であっても良い。また、前板31は省略しても良い。
【0069】
図6に示すように、前板31、表皮材24、芯材21、および後板32は、ボルト33とナット34によって固定されている。
【0070】
図2図3に示すように、第2分割体11bの前面には、ハンドル35が固定されている。図3に示すように、ハンドル35は上方から見て略U字形状に形成されている。ハンドル35は、前板31、表皮材24、芯材21、および後板32を貫通するボルト33によって、前板31、表皮材24、芯材21、および後板32に固定されている。
【0071】
図2図3に示すように、第2分割体11bの前面のうち、右端部寄りの位置には、係止ブロック37(押圧力受け部の一例)が固定されている。係止ブロック37は、前板31に、ボルト33により固定されている。
【0072】
係止ブロック37を構成する材料は特に限定されず、SUS、アルミニウム等金属、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン等の樹脂等、任意の材料を選択できる。係止ブロック37は略直方体形状に形成されている。
【0073】
図2図3に示すように、吸気口2に第1分割体11aおよび第2分割体11bが挿入された状態で、トグルクランプ36のレバー36cが回動されて、ストロークシャフト36dの先端が係止ブロック37の右側面に右方から当接することにより、第1分割体11aが右方に押圧され、第2分割体11bが左方に押圧される。これにより、第1分割体11aの右側壁が吸気口2の内壁に押圧されるとともに第2分割体11bの左側壁が吸気口2の内壁に押圧される。この結果、第1分割体11aおよび第2分割体11bが吸気口2から抜けてしまうことが抑制される。
【0074】
図3に示すように、第2分割体11bの上壁14の左後端部には、面取りされたガイド斜面25が形成されている。ガイド斜面25は、吸気口2の開口方向の後方に向かうにしたがって幅狭に形成されている。
【0075】
図6に示すように、第2分割体11bの左側縁部、(上壁14の左側面、前壁13の左側面、および下壁15の左側面)には、第2滑止め部12bが配置されている。第2滑止め部12bは、表皮材24よりも摩擦係数の大きな材料により形成されている。第2滑止め部12bを構成する材料は、特に限定されず、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム等のゴム、またはスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、動的架橋型熱可塑性エラストマー等のエラストマー等、任意の材料を適宜に選択できる。また、第2滑止め部12bを構成する材料は、例えば、織布に、天然ゴム、合成ゴム、シリコーンゴム等のゴム、またはエラストマーを含浸させた材料であっても良い。第2滑止め部12bを構成する材料は、第1滑止め部12aと同じ材料でも良いし、異なる材料でも良い。
【0076】
詳細には図示しないが、第2滑止め部12bの内方には、軟質弾性材が配置されている。これにより、第2滑止め部12bが吸気口2の内壁に押圧された場合に、軟質弾性材が弾性変形することにより、第2滑止め部12bを吸気口2の内壁に付勢する弾発力が発生する。これにより、第2滑止め部12bが吸気口2の内壁に強く押圧される。この結果、第2滑止め部12bと吸気口2の内壁との間の摩擦力が大きくなるので、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することが抑制される。ただし、第2滑止め部12bの内方には、硬質弾性材が配置されていても良い。また、軟質弾性材は省略されても良い。
【0077】
図3に示すように、第1分割体11aの上壁14の左端部と、第2分割体11bの上壁14の右端部とは、ヒンジ26によって連結されている。ヒンジ26は、可撓性を有するとともに、長尺な短冊状に形成されている。ヒンジ26は、第1分割体11aおよび第2分割体11bと、接着されていても良いし、縫付けられていても良い。ヒンジ26の長さ寸法は、第1分割体11aと第2分割体11bとが所定の間隔だけ離れることを許容しつつ、ヒンジ26の長さ寸法以上に第1分割体11aと第2分割体11bとが離れることを抑制する。
【0078】
ヒンジ26を構成する材料は特に限定されず、布、皮革、プラスチック等、任意の材料を選択することができる。ヒンジ26は、例えば、織布に樹脂がコーティングされた帆布により形成されていても良い。ヒンジ26を構成する材料と、表皮材24を構成する材料とは、同じであって良いし、異なっていても良い。ただし、ヒンジ26は省略しても良い。
【0079】
3.滑止め部12の端末処理
図7および図8を参照して、第2滑止め部12bと、表皮材24と、の固定構造について説明する。ただし、図7および図8においては、説明の便宜のため、硬質弾性材22および軟質弾性材23は省略されている。
【0080】
図7に、第2滑止め部12bの左端部における表皮材24との固定構造を示す。図7に示すように、第2滑止め部12bの前端縁は、第2分割体11bの前面を覆う表皮材24の左端縁、および第2分割体11bの左側面を覆う表皮材24の前端縁とともに、内方に折込まれた状態で、縫糸27で縫付けられている。これにより、第2滑止め部12bの前端縁が露出した状態で段差が形成されることが抑制されるので、第2滑止め部12bの前端縁から糸がほつれてしまうことを抑制することができる。
【0081】
同様に、第2滑止め部12bの後端縁は、第2分割体11bの後面を覆う表皮材24の左端縁、および第2分割体11bの左側面を覆う表皮材24の後端縁とともに、内方に折込まれた状態で、縫糸27で縫付けられている。これにより、第2滑止め部12bの後端縁が露出した状態で段差が形成されることが抑制されるので、第2滑止め部12bの後端縁から糸がほつれてしまうことを抑制することができる。
【0082】
図8に示すように、第2分割体11bの上壁14の左端縁に取付けられた第2滑止め部12bの上端縁は、下方に折返された状態で、第2分割体11bの上壁14の左側面を覆う表皮材24に縫糸27で縫付けられている。また、第2分割体11bの上壁14の左端縁に取付けられた第2滑止め部12bの下端縁は、第2分割体11bの上壁14の左側面を覆う表皮材24の下端縁、および第2分割体11b上壁14の下面を覆う表皮材24の左側縁とともに内方に折返された状態で、縫糸27で縫付けられている。これにより、第2分割体11bの上壁14の左端縁に取付けられた第2滑止め部12bの上端縁および下端縁が露出した状態で段差が形成されることが抑制されるので、第2分割体11bの上壁14の左端縁に取付けられた第2滑止め部12bの上端縁および下端縁から糸がほつれてしまうことを抑制することができる。
【0083】
図8に示すように、第2分割体11bの下壁15の左端縁に取付けられた第2滑止め部12bの下端縁は、上方に折返された状態で、第2分割体11bの下壁15の左側面を覆う表皮材24に縫糸27で縫付けられている。また、第2分割体11bの下壁15の左端縁に取付けられた第2滑止め部12bの上端縁は、第2分割体11bの下壁15の左側面を覆う表皮材24の上端縁、および第2分割体11bの下壁15の上面を覆う表皮材24の左側縁とともに内方に折返された状態で、縫糸27で縫付けられている。これにより、第2分割体11bの下壁15の左端縁に取付けられた第2滑止め部12bの上端縁および下端縁が露出した状態で段差が形成されることが抑制されるので、第2分割体11bの下壁15の左端縁に取付けられた第2滑止め部12bの上端縁および下端縁から糸がほつれてしまうことを抑制することができる。
【0084】
なお、第1滑止め部12aと表皮材24との固定構造は、第2滑止め部12bと表皮材24との固定構造と同じなので、重複する説明を省略する。
【0085】
4.押込み式キャップ10aの組付け工程、および取外し工程
図3、および図9図10を参照して、吸気口2に押込み式キャップ10aを組付ける工程、および吸気口2から押込み式キャップ10aを取外す工程について説明する。ただし、吸気口2に押込み式キャップ10aを組付ける工程、および吸気口2から押込み式キャップ10aを取外す工程は、以下の説明に限定されない。
【0086】
図9に示すように、トグルクランプ36のレバー36cを回動させることにより、トグルクランプ36のストロークシャフト36dを右方に移動させる。第1分割体11aと第2分割体11bとを、ヒンジ26を軸として屈曲した配置とする。
【0087】
換言すると、第1分割体11aと第2分割体11bとを、吸気口2の長手方向に並べて配置した状態で、第1分割体11aおよび第2分割体11bのうち長手方向の中央位置付近の端部を、吸気口2の開口方向の前方に突出させた配置とする。換言すると、第1分割体11aおよび第2分割体11bの分割体内面11e同士を対向させた状態で、分割体内面11e側の端部を、吸気口2の開口方向の前方に突出させた配置とする。
【0088】
上記の状態で、作業者は、ハンドル35を把持することにより、容易に作業を行うことができる。
【0089】
作業者は、ハンドル35を把持した状態で、第1分割体11aおよび第2分割体11bを、吸気口2に前方から接近させる。すると、第1分割体11aのガイド斜面25、および第2分割体11bのガイド斜面25が、吸気口2の開口縁部と当接する。これにより、第1分割体11aのガイド斜面25、および第2分割体11bのガイド斜面25がガイドとなって、第1分割体11aおよび第2分割体11bが吸気口2に挿入される。吸気口2に、前方から、第1分割体11aおよび第2分割体11bを挿入しようとすると、第1分割体11aおよび第2分割体11bによって吸気口2が視認しにくくなる。このため、第1分割体11aのガイド斜面25、および第2分割体11bのガイド斜面25が、ガイドとなる構成は有効である。
【0090】
さらに、第1分割体11aおよび第2分割体11bを前方に押圧して、図10に示すように、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2内に挿入する。この状態で、第1分割体11aの第1滑止め部12aが吸気口2の内壁と当接し、第2分割体11bの第2滑止め部12bが吸気口2の内壁と当接しても良い。この場合、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2内に位置決めすることができる。ただし、図10に示す状態で、第1滑止め部12aおよび第2滑止め部12bが、吸気口2の内壁と離れた状態であっても良い。
【0091】
図3に示すように、トグルクランプ36のレバー36cを回動して、ストロークシャフト36dを左方に移動させる。これにより、ストロークシャフト36dの左端部が、係止ブロック37の右側面に右方から当接する。この結果、第1分割体11aおよび第2分割体11bの分割体外面11dが、吸気口2の内壁に押圧される。
【0092】
すると、第1分割体11aの右側壁の第1滑止め部12aが吸気口2の内壁に左方から押圧される。また、第2分割体11bの左側壁の第2滑止め部12bが吸気口2の内壁に右方から押圧される。第1滑止め部12aおよび第2滑止め部12bの摩擦係数は、表皮材24よりも大きいので、吸気口2の内壁と密着する。これにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bが、吸気口2内に抜止状態で固定される。
【0093】
押込み式キャップ10aを吸気口2から取外す際には、トグルクランプ36のレバー36cを回動させて、ストロークシャフト36dを右方に移動させる。これにより、ストロークシャフト36dの先端が係止ブロック37から離れる。この結果、第1滑止め部12aと吸気口2の内壁との摩擦力が減少するとともに、第2滑止め部12bと吸気口2の内壁との摩擦力が減少する。
【0094】
次に、作業者は、ハンドル35を把持して、第1分割体11aおよび第2分割体11bを開口方向の前方に引き出す。これにより、押込み式キャップ10aが吸気口2から取外される。
【0095】
5.本形態の作用効果
続いて、本形態の作用効果について説明する。本形態に係る押込み式キャップ10aは、移動体1の吸気口2に内嵌される。押込み式キャップ10aは、キャップ本体11と、滑止め部12と、を備える。キャップ本体11は、吸気口2に内嵌された状態で吸気口2を塞ぐ。また、キャップ本体11は、吸気口2の内壁と対向するキャップ外面11cを備える。滑止め部12は、キャップ本体11のキャップ外面11cの少なくとも一部に配置される。滑止め部12は、キャップ外面11cよりも摩擦係数の大きな材料で形成されるとともに、吸気口2の内壁と当接する。滑止め部12が吸気口2の内壁と当接することにより、押込み式キャップ10aを吸気口2から抜止状態で保持することができる。これにより、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することを抑制できる。
【0096】
キャップ本体11は、弾性変形可能な硬質弾性材22および軟質弾性材23と、硬質弾性材22および軟質弾性材23を覆う表皮材24と、を備える。表皮材24がキャップ外面11cを構成する。硬質弾性材22または軟質弾性材23が弾性変形することにより、押込み式キャップ10aの外形状が、吸気口2の内壁の形状に対応して変形することができる。これにより、押込み式キャップ10aを吸気口2に内嵌させやすくするとともに、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することを抑制できる。
【0097】
軟質弾性材23は、キャップ本体11が吸気口2に内嵌された状態で、吸気口2の内壁側に位置する。硬質弾性材22は、キャップ本体11が吸気口2に内嵌された状態で、吸気口2の内壁と反対側に位置する。硬質弾性材22は、軟質弾性材23よりも弾性率が大きい。軟質弾性材23が容易に変形することによって、吸気口2の内形状に対応して押込み式キャップ10aの外形状を変化させることができる。この結果、押込み式キャップ10aを吸気口2に挿入する際の挿入力を低減することができる。また、吸気口2の製造寸法のばらつきに対応することができる。さらに、硬質弾性材22によって押込み式キャップ10aの外形状が保持されるので、滑止め部12と、吸気口2の内壁との摩擦力を保持することができる。これにより、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することを抑制できる。
【0098】
キャップ本体11は、第1分割体11aおよび第2分割体11bと、を備え、第1分割体11aおよび第2分割体11bのそれぞれは、第1分割体11aと第2分割体11bとが互いに対向する分割体内面11eと、第1分割体11aおよび第2分割体11bと、吸気口2の内壁とが対向する分割体外面11dと、を備え、分割体外面11dに滑止め部12が配置されている。これにより、1つの大きな押込み式キャップを吸気口2に内嵌させる場合に比べて、作業性を向上させることができる。また、第1分割体11aおよび第2分割体11bのそれぞれが、吸気口2から脱落することが抑制される。
【0099】
さらに、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2と異なる方向に押圧することにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2の内壁に押圧するトグルクランプ36を備える。これにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2の内壁に強固に押圧することができるので、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することをさらに抑制できる。
【0100】
第1分割体11aおよび第2分割体11bのそれぞれは、トグルクランプ36によって押圧された状態で、キャップ外面11cのうち少なくともトグルクランプ36によって吸気口2の内壁に押圧される面に、第1滑止め部12aおよび第2滑止め部12bが配置されている。これにより、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することがさらに抑制される。
【0101】
第1分割体11aおよび第2分割体11bのそれぞれは、トグルクランプ36によって押圧された状態で、分割体外面11dのうち少なくとも押圧装置によって吸気口2の内壁に押圧される面に、滑止め部12が配置されている。これにより、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することがさらに抑制される。
【0102】
さらに、第1分割体11aおよび第2分割体11bを連結する可撓性を有するヒンジ26を備え、ヒンジ26は、キャップ外面11cのうち吸気口2の開口する開口方向の後面であって、第1分割体11aおよび第2分割体11bのうち隣合う端縁同士を跨ぐ形態で配置されている。この結果、押込み式キャップ10aを吸気口2に挿入する際に、第1分割体11aおよび第2分割体11bの配置を容易に調整することができるので、押込み式キャップ10aの組付け作業の効率を向上させることができる。
【0103】
トグルクランプ36は、キャップ本体11に固定された金属製の前板31に固定されている。トグルクランプ36が第1分割体11aおよび第2分割体11bを押圧することにより、トグルクランプ36には比較的に大きな力が加わる。このトグルクランプ36が金属製の前板31に固定されていることにより、トグルクランプ36が第1分割体11aおよび第2分割体11bに印加する力が緩和されることを抑制することができる。これにより、押込み式キャップ10aが吸気口2ら脱落することがさらに抑制される。
【0104】
吸気口2の内壁は、吸気口2の開口方向の奧方に向かうにしたがって幅狭なテーパ状に形成されている。このような形状の吸気口2に押込み式キャップ10aを内嵌させた場合、押込み式キャップ10aが比較的に離脱しやすくなる。このような場合に、本形態に係る押込み式キャップ10aは有効である。
【0105】
また、本形態は、移動体1の吸気口2に内嵌される押込み式キャップ10aであって、吸気口2に内嵌された状態で吸気口2を塞ぐとともに、第1分割体11aおよび第2分割体11bを備えるキャップ本体11と、第1分割体11aおよび第2分割体11bを異なる方向に押圧することにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2の内壁に押圧するトグルクランプ36と、を備える。トグルクランプ36によって第1分割体11aおよび第2分割体11bが吸気口2の内壁に押圧されることにより、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することを抑制できる。
【0106】
本形態は、押込み式キャップ10aの組付け方法であって、第1分割体11aおよび第2分割体11bの分割体外面11dを、吸気口2の開口する開口方向の後側に配置し、第1分割体11aおよび第2分割体11bのう分割体内面11eを、開口方向の前側に配置した状態で、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2に挿入する工程と、吸気口2に挿入した押込み式キャップ10aの第1分割体11aおよび第2分割体11bのうち開口方向の前側に位置する端部を、開口方向の後方に押込んで、第1分割体11aおよび第2分割体11bのうち吸気口2側の端部を吸気口2の内壁に当接させて、押込み式キャップ10aを吸気口2に抜止状態で取付ける工程と、を備える。
【0107】
上記した押込み式キャップ10aの組付け方法によれば、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することを抑制できる。
【0108】
第1分割体11aおよび第2分割体11bは、分割体外面11dのうち、開口方向の後側の位置に、開口方向の後方に向かうにしたがって幅狭に形成されたガイド斜面25を備えており、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2に挿入する工程において、ガイド斜面25を吸気口2の開口縁部に接触させながら、押込み式キャップ10aを吸気口2に挿入する工程を備える。
【0109】
吸気口2に、開口方向の前方から第1分割体11aおよび第2分割体11bを挿入しようとすると、第1分割体11aおよび第2分割体11bによって。吸気口2の開口縁部が視認しにくくなる。このため、第1分割体11aおよび第2分割体11bに形成されたガイド斜面25と、吸気口2の開口縁部とを接触させることにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2に容易に挿入することができる。
【0110】
第1分割体11aおよび第2分割体11bのうち開口方向の前側に位置する端部を、開口方向の後方に押込む工程の後、第1分割体11aおよび第2分割体11bのうち分割体内面11e同士を突当てることにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bが吸気口2から脱落する方向に移動することを抑制する。これにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bが吸気口2から脱落することを、さらに抑制できる。
【0111】
第1分割体11aおよび第2分割体11bを開口方向の後方に押込んだ後、第1分割体11aおよび第2分割体11b体を、吸気口2の内壁に押圧する工程を備える。これにより、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することをさらに抑制できる。
【0112】
本形態は、押込み式キャップ10aを、吸気口2に内嵌させる、押込み式キャップ10aの組付け方法であって、第1分割体11aおよび第2分割体11bのうち吸気口2の内壁側に位置する端部を、開口方向の後側に配置し、第1分割体11aおよび第2分割体11bのうち吸気口2の内壁と反対側に位置する端部を、開口方向の前側に配置した状態で、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2に挿入する工程と、吸気口2に挿入した第1分割体11aおよび第2分割体11bのうち開口方向の前側に位置する端部を、開口方向の後方に押込む工程と、トグルクランプ36によって、第1分割体11aおよび第2分割体11bの分割体外面11dを異なる方向に押圧することにより第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2の内壁に押圧して、押込み式キャップ10aを吸気口2に抜止状態で取付ける工程と、を備える。
【0113】
上記した押込み式キャップ10aの組付け方法によれば、押込み式キャップ10aが吸気口2から脱落することを抑制できる。
【0114】
(実施形態2)
次に、図11を参照して実施形態2について説明する。本形態に係る押込み式キャップ10bにおいては、係止ブロック37の右側面には、左方に向けて係止孔37aが形成されている。係止孔37aは、底部37b(係止部の一例)を備える有底孔である。係止孔37aの内側面は、引っ掛り部、および第2引っ掛り部の一例である。
【0115】
トグルクランプ36のレバー36cが回動されて、ストロークシャフト36dが左方に移動した状態において、ストロークシャフト36dの先端は、係止孔37a内に挿入される。さらに、ストロークシャフト36dの先端は、係止孔37aの底部37bを、右方に押圧する。これにより、第2分割体11bの左側面が吸気口2の内壁に押圧されるとともに、反作用として、第1分割体11aの右側面が吸気口2の内壁に押圧される。
【0116】
また、ストロークシャフト36dが係止孔37a内に挿入された状態で、ストロークシャフト36dの側面は、係止孔37aの内側面と、開口方向の後方から引っ掛る。ストロークシャフト36dは、第1引っ掛り部の一例である。
【0117】
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0118】
本形態に係る押込み式キャップ10bにおいては、トグルクランプ36は、左右方向に長尺に形成されるとともに、左右方向に移動可能なストロークシャフト36dを備える。係止ブロック37は、ストロークシャフト36dの端部が左右方向に当接する係止孔37aの底部37bと、ストロークシャフト36dの側面が開口方向の後方から引っ掛る係止孔37aの内側面と、を備える。ストロークシャフト36dの端部と、係止孔37aの底部37bと、が当接することにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bは吸気口2の内壁に押圧される。これにより、押込み式キャップ10bが吸気口2から脱落することがさらに抑制される。また、ストロークシャフト36dの側面が、係止孔37aの内側面部と引っ掛ることにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bのうち長手方向の中央付近の部分が、開口方向の前方に移動することを抑制できる。これにより、押込み式キャップ10bが吸気口2から脱落することを、さらに抑制することができる。
【0119】
さらに、第1分割体11aには、ストロークシャフト36dが配置され、第2分割体11bには、キャップ本体11が吸気口2に内嵌された状態で、ストロークシャフト36dの側面と係合する、係止孔37aの内側面が形成されている。ストロークシャフト36dの側面と、係止孔37aの内側面と、が引っ掛ることにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bが、吸気口2から脱落する方向に移動することが抑制される。
【0120】
ただし、第2引っ掛り部の構成は、係止孔37aの内側面に限られず、ストロークシャフト36dの側面が、後方または前方から係合可能な板状に形成される構成としても良い。
【0121】
(実施形態3)
次に、図12を参照して、実施形態3について説明する。本形態に係る押込み式キャップ10cにおいては、芯材21の上方および下方には、軟質弾性材23が配置されている。これにより、押込み式キャップ10cを吸気口2に挿入する際の挿入力を低減することができる。
【0122】
また、詳細には図示しないが、芯材21の上方および下方に、硬質弾性材22が配置される構成としても良い。この場合には、第1滑止め部12aおよび第2滑止め部12bと、吸気口2の内壁との間の摩擦力を維持することができるので、押込み式キャップ10cが吸気口2から抜けることを抑制できる。
【0123】
ただし、弾性材の弾性率は、上記に限定されず、任意の弾性率を備えた弾性材を採用することができる。
【0124】
(実施形態4)
次に、図13図15を参照して、実施形態4について説明する。本形態に係る押込み式キャップ10dには、吸気口2の内面と対向する部分のうち、押込み式キャップ10の前端部寄りの位置に、第3滑止め部12cが配置されている。
【0125】
図13に示すように、第3滑止め部12cは、第1分割体11aの上壁14の上面のうち、前端部寄りの位置に、左右方向に長尺な形状に形成されているとともに、第2分割体11bの上壁14の上面のうち、前端部寄りの位置に、左右方向に長尺な形状に形成されている。第1分割体11aの上壁14の上面のうち、前後方向について第3滑止め部12cよりも後側の部分においては、キャップ外面11cが露出して、吸気口2の内壁と対向している。
【0126】
詳細には図示しないが、第3滑止め部12cは、第1分割体11aの下壁15の下面のうち、前端部寄りの位置に、左右方向に長尺な形状に形成されているとともに、第2分割体11bの下壁15の下面のうち、前端部寄りの位置に、左右方向に長尺な形状に形成されている。また、第2分割体11bの下壁15の下面のうち、前後方向について第3滑止め部12cよりも後側の部分においては、キャップ外面11cが露出して、吸気口2の内壁と対向している。
【0127】
図14に示すように、本形態に係る第1滑止め部12aは、第1分割体11aの右側面のうち、前端部寄りの位置に形成されている。第1滑止め部12aよりも後側の領域においては、キャップ外面11cが露出して、吸気口2の内壁と対向している。
【0128】
また、図15に示すように、本形態に係る第2滑止め部12bは、第2分割体11bの左側面のうち、前端部寄りの位置に形成されている。第2滑止め部12bよりも後側の領域においては、キャップ外面11cが露出して、吸気口2の内壁と対向している。
【0129】
本形態によれば、キャップ本体11が吸気口2に内嵌された状態で、滑止め部12が、キャップ本体11のうち、開口方向の前端部寄りの部分に配置されており、キャップ本体11のうち、開口方向の後側は、キャップ外面11cが吸気口2の内壁と対向している。これにより、滑止め部12は、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2に挿入する最終段階において、吸気口2の内壁と接触して摩擦力を発生する。これにより、押込み式キャップ10dを吸気口2に内嵌させる際の作業性を向上させることができる。
【0130】
(実施形態5)
次に、図16を参照して、実施形態5について説明する。本形態に係る押込み式キャップ10eにおいては、吸気口2の内面と対向する部分のうち、押込み式キャップ10eの前端部寄りの位置に、複数の第3滑止め部12cが、押込み式キャップ10eの周方向について離散的に配置されている。
【0131】
上記以外の構成については、実施形態4と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0132】
本形態によれば、押込み式キャップ10eを吸気口2へ挿入する工程において、押込み式キャップ10eの吸気口2への挿入力を、より一層低減させることができる。
【0133】
(実施形態6)
次に、図17図19を参照して、実施形態6について説明する。本形態に係る押込み式キャップ10fは、前後方向に長尺な複数の第4滑止め部12dを備える。
【0134】
図17に示すように、第4滑止め部12dは、第1分割体11aの上壁14の上面に、前後方向に長尺な形状に形成されているとともに、第2分割体11bの上壁14の上面に、前後方向に長尺な形状に形成されている。各第4滑止め部12dは、押込み式キャップ10fの周方向について間隔を空けて並んで配置されている。
【0135】
詳細には図示しないが、第4滑止め部12dは、第2分割体11bの下壁15の下面に、前後方向に長尺な形状に形成されているとともに、第2分割体11bの下壁15の下面に、前後方向に長尺な形状に形成されている。各第4滑止め部12dは、押込み式キャップ10fの周方向について間隔を空けて並んで配置されている。
【0136】
図18に示すように、本形態に係る第1滑止め部12aは、第1分割体11aの上壁14の右側面に、前後方向に長尺な形状に形成されるとともに、第1分割体11aの下壁15の右側面に、前後方向に長尺な形状に形成されている。
【0137】
また、図19に示すように、本形態に係る第2滑止め部12bは、第2分割体11bの上壁14の左側面に、前後方向に長尺な形状に形成されるとともに、第2分割体11bの下壁15の左側面に、前後方向に長尺な形状に形成されている。
【0138】
本形態によれば、第1滑止め部12a、第2滑止め部12b、および第4滑止め部12dは、前後方向に長尺な形状に形成されている。これにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bを吸気口2に挿入する際の、挿入力を低減させることができる。
【0139】
(実施形態7)
次に、図20を参照して、実施形態7について説明する。本形態に係る押込み式キャップ10gにおいては、第1分割体11aは、前板31を備えない。また、第1分割体11aは、トグルクランプ36を備えない。また、詳細に図示しないが、第1分割体11aは後板32を備えない。
【0140】
また、本形態においては、第2分割体11bは、前板31を備えない。また、第2分割体11bは、係止ブロック37を備えない。また、詳細に図示しないが、第2分割体11bは後板32を備えない。
【0141】
本形態においては、第1分割体11aおよび第2分割体11bは、吸気口2に内嵌された状態で、第1滑り部および第2滑り部が吸気口2の内壁に当接することにより、吸気口2内に抜止状態で保持される。また、第1分割体11aおよび第2分割体11bの分割体内面11e同士を突当てることにより、第1分割体11aおよび第2分割体11bが開口方向の前方に脱落することが抑制される。
【0142】
本形態によれば、前板31、後板32、トグルクランプ36、および係止ブロック37を備えないので、押込み式キャップ10gの製造コストを低減することができる。また、製造工程を短縮することができる。
【0143】
(実施形態8)
次に、図21を参照して、実施形態8について説明する。本形態に係る押込み式キャップ10hは、1つのキャップ本体11を備える。キャップ本体11は、前方から見て、左右方向に長尺な略四角形状に形成されている。上記以外の構成については、実施形態7と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0144】
本形態によれば、押込み式キャップ10hの製造コストを低減させることができる。
【0145】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
【0146】
(1)押込み式キャップ10a~10hは、移動体の排気口に内嵌されて、排気口を塞ぐ構成としても良いし、吸気口および排気口の双方に内嵌されて、吸気口および排気口の双方を塞ぐ構成としても良い。
【0147】
(2)実施形態1においては、第1分割体11aにトグルクランプ36が配置され、第2分割体11bに係止ブロック37が配置される構成としたが、これに限られず、第2分割体11bにトグルクランプ36が配置され、第1分割体11aに係止ブロック37が配置される構成としても良い。
【0148】
(3)実施形態1においては、トグルクランプ36と係止ブロック37とによって第1分割体11aと第2分割体11bとが係止される構成としたが、これに限られず、第1分割体11aの左端部と第2分割体11bの右端部とを係合させることにより、第1分割体11aと第2分割体11bとを係止する構成としても良い。第1分割体11aと第2分割体11bとを係合する手段は特に限定されず、例えば、フックと、フックを係合する孔でも良いし、面ファスナーでも良いし、スナップボタンでも良く、任意の係合手段を選択できる。
【0149】
(4)滑止め部12は、表皮材24の外面に接着したゴムシート、ゴムフィルム、エラストマーシート、エラストマーフィルム等でも良い。
【0150】
(5)実施形態1では、弾性材は、軟質弾性材23と、硬質弾性材22と、を備える構成としたが、これに限られず、弾性材は3種類以上の弾性材を備える構成としても良い。
【0151】
(6)吸気口または排気口は、エンジンの吸気口に限られず、移動体に形成された乗員の居住空間内への吸気口または排気口、移動体に搭載された機器を冷却するための吸気口等、任意の吸気口または排気口とすることができる。
【符号の説明】
【0152】
1:移動体、2:吸気口、10a,10b,10c,10d,10e,10f,10g,10h:押込み式キャップ、11:キャップ本体、11a:第1分割体、11b:第2分割体、11c:キャップ外面、11d:分割体外面、11e:分割体内面、12:滑止め部、12a:第1滑止め部、12b:第2滑止め部、12c:第3滑止め部、12d:第4滑止め部、22:硬質弾性材、23:軟質弾性材、24:表皮材、36:トグルクランプ、36d:ストロークシャフト、37:係止ブロック、37a:係止孔、37b:底部
【要約】
【課題】吸気口または排気口からの脱落が抑制された押込み式キャップ、および押込み式キャップの組付け方法を提供する。
【解決手段】移動体1の吸気口2に内嵌される押込み式キャップ10aであって、吸気口2に内嵌された状態で吸気口2を塞ぐとともに、吸気口2の内壁と対向するキャップ外面11cを備えるキャップ本体11と、キャップ本体11のキャップ外面11cの少なくとも一部に配置される滑止め部12と、を備え、滑止め部12は、キャップ外面11cよりも摩擦係数の大きな材料で形成されるとともに、吸気口2の内壁と当接する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図21