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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】身体用シェルター
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/02 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
E04H9/02 301
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024041742
(22)【出願日】2024-03-15
【審査請求日】2024-03-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524093667
【氏名又は名称】岩堀 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 真之
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特許第6482495(JP,B2)
【文献】特許第5469137(JP,B2)
【文献】特開2006-265849(JP,A)
【文献】特開平08-243182(JP,A)
【文献】特開平08-226248(JP,A)
【文献】登録実用新案第3115937(JP,U)
【文献】特開昭56-139707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/02
A62B 3/00
A62B 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製薄板の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺箇所の両角部間を結ぶ短辺紐状物が設けられ、両該短辺紐状物間には緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向全体が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【請求項2】
金属製薄板の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺箇所全幅に補強体が設けられ、両該補強体間に緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の身体用シェルターにおいて、前記緊張紐状物には短縮操作部材を介して短縮されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【請求項4】
請求項3に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材はフック部を用いることを特徴とする身体用シェルター。
【請求項5】
請求項3に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材は磁力部材を用いることを特徴とする身体用シェルター。
【請求項6】
請求項3に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材は吸盤部材を用いることを特徴とする身体用シェルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日常時には室内の額縁材として、大地震時(震度7相当)には数秒以内で身体を保護するシェルターにできる身体用シェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
今年(令和6年)の元旦の夕方に、能登半島の大地震が発生し、多くの家屋が倒壊している。特に、石川県における本年1月20日までの死亡の状況を同県の行政機関が公表していた。240人余の死亡者中で、家族の同意が得られた死亡者103人の状況において、何と9割が家屋倒壊にて圧死との悲惨な現実が現れている。
【0003】
2016年の熊本大地震でも、阪神淡路大地震でも、多くの家屋が倒壊し、且つ家屋倒壊にて圧死されている状況が多く発表されている。この2011年の東日本大震災では、津波や火災状況としており多元化している。この家屋倒壊による圧死に関係しているの家屋の強度が一番に関係している。
【0004】
建築基準法を遵守した2000年代の家屋は倒壊しにくいという利点があるが、これ以前に建てた木造2階建ての家屋では、震度7では可成りの割合で倒壊する危険性が高いのが現実である。このような一見ひ弱な家屋が、地震国日本にかなりの割合で存在している。
【0005】
引用文献1(実用新案登録第3119420号)の安心ホームシェルターでは、上側に膨出し
た円弧状アーチが形成されており、この下側に身体が入る空間部として成り、該空間部内で、睡眠していれば、大地震時に、家屋倒壊があっても一命をとりとめることができるという発明であり、それなりに安心できるシェルターであることは認められる。しかるに、日常では、これを寝室に備えることには場所も取るし、睡眠もの邪魔にもなることもある。普及させるのには困難性がある。
【0006】
引用文献2(特許第6482495号)の個人用シェルターも、棒片を多数組み合わせて多角
形状で、正面から見て台形を成し且つ側面から見て三角形を成したものの内部空間内において、日常時も睡眠を取り、大地震時に家屋倒壊があっても一命をとりとめることができるという発明であり、この発明は、特に、日常では、これを寝室のベットに備えること大きな抵抗あるし、睡眠の邪魔にもなることもあり、普及させるには難しいと思料される。
【0007】
引用文献3(特許第5469137号)の耐震シェルターは、家屋の倒壊から保護する発明で
あり、個人が大地震時に、睡眠時においても直ぐに起きて、前記耐震シェルターに入れば家屋倒壊があっても一命をとりとめることができるという発明である。この発明は、寝室等に置けるスペースがあれば良いものである。
【0008】
それらの引用文献1、引用文献2及び引用文献3のそれぞれのシェルターは、日常時においては、寝室又は居間であったとしても場所を取るのみならず、日常時の生活行動の邪魔になることが多く、その普及し難い問題があったことは事実である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】実用新案登録第3119420号
【文献】特許第6482495号
【文献】特許第5469137号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、日常時(通常時)にはシェルターとしてではなく、邪魔にならないでいて、いざという時の大地震の時のみシェルターとしての役割を成すものが望まれているのに、このような要望に応えられる製品等は皆無であったが、このように日常時のときの状態と大地震時の状態の両目的を、地震大国日本でも要望はされ、且つ望まれていた。このため本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、日常時のときに邪魔にならずに、大地震時ときのみ身体を保護するシェルターとしての役割を果たし、且つ実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、金属製薄板の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺箇所の両角部間を結ぶ短辺紐状物が設けられ、両該短辺紐状物間には緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、地震時には前記緊張紐状物が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向全体が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決した。
【0012】
請求項2の発明を、金属製薄板の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺箇所全幅に補強体が設けられ、両該補強体間に緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、地震時には前記緊張紐状物が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決した。
【0013】
請求項3の発明を、請求項1又は2に記載の身体用シェルターにおいて、前記緊張紐状物には短縮操作部材を介して短縮されて固定されることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項3に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材はフック部を用いることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決した。
【0014】
請求項5の発明を、請求項3に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材は磁力部材を用いることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決した。請求項6の発明を、請求項3に記載の身体用シェルターにおいて、前記短縮操作部材は吸盤部材を用いることを特徴とする身体用シェルターとしたことにより、前記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明においては、日常時(通常時)にはシェルターとしてではなく、扁平状の長方形主板を絵画的に壁等に立て掛けたり、横置きしており、部屋の邪魔にならないでいて、いざという時の大地震の時のみに長方形主板の長手方向全体が湾曲状に形成(立体形成)されて固定されて、これが即、身体用のシェルターとしての役割を成す。これによって、大地震発生して家屋倒壊しても、本発明のシェルターにて命を救うことができる最大の利点がある。特に、人力にて曲げることを想定しているために、薄板での亜鉛鉄板鋼鈑よりステンレス系の金属板が弾性力の点ではより薄材にできる利点があり、取扱い性に優れたものにできる。
【0016】
請求項2の発明では、補強体を入れたことで、薄板材でも強度を補償できる利点がある。請求項3の発明では、短縮操作部材を介したことで、より短縮操作をし易くできる利点がある。請求項4の発明では、短縮操作部材をフック部としたことで、より簡易な構造の短縮操作ができる。請求項5の発明では、短縮操作部材を磁力部材としたことで、より簡易で且つ音鳴りもあり、正確な短縮操作ができる。請求項6の発明では、短縮操作部材を吸盤部材としたことで、より簡易でありながら、正確な短縮操作ができる。
【0017】
本件特許明細書中において、「扁平湾曲状」とは、ひらたい湾曲面のことであり、全体として地上面に置いた場合には平坦状な湾曲面又は水平状な湾曲面をなしている。また、建築物の内外の垂直状の壁面に置いた場合には、直立状の断面弓型として形成されている。具体的は、図20(B)に示すように、平坦状な湾曲面として形成されている。両側からそれぞれ角度θ2として形成されている。具体的には、角度θ2は約8度~約20度前後に平坦状で且つ湾曲形成されている[図20(B)(i),(ii)及び(iii)]。好ましくは、角度θ2は約10度~約15度として構成されている。
【0018】
本件特許明細書中において、「湾曲状」とは、長方形主板1の長手方向全体が湾曲形成されて固定されている状態のことである。前記長方形主板1の長手方向全体が大地震時において、Z方向に膨出して湾曲されたことを言い、弓形に曲がったり、半円アーチ型になることをも前記「湾曲状」に包含される。具体的には、図20(C)に示すように、両側から角度θ3として形成されている。角度θ3は約45度~約65度前後となって湾曲している[図20(C)(v)及び(vi)]。好ましくは、角度θ3は約50度~約60度として構成されている。また、大地震には、場所によっては震度6弱,震度6強でも包含される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の金属製薄板の手動タイプの第1実施形態であって、(A)は日常時に縦置きした状態の全体斜視図、(B)は大地震時においての湾曲状にされて固定された全体斜視図、(C)は大地震時において横座状態で半円アーチ型に固定された全体状態図、(D)は(A)の(α)箇所の拡大斜視図、(E)は(B)の(β)箇所の拡大斜視図、(F)は(A)の(γ)箇所の拡大斜視図である。
図2】(A)は図1(A)の縦置きした状態の全体略正面図、(B)は大地震時においての湾曲状態に固定された全体立面図、(C)は大地震時において湾曲状となって半円アーチ型の固定状態に移行している途中の各瞬時段階の全体立面図である。なお、この明細書においての「全体略正面図」又は「略正面図」のみは、対象面に対して90度(法線)方向ではなく、約80度の方向からの図面であり、以後の「略正面図」も同一である。
図3】本発明の金属製薄板の手動タイプの第1実施形態の別の実施形態であって、(A)は日常時の縦置きした状態の要部斜視図、(B)は大地震時においての湾曲状となって固定された要部斜視図、(C)は(A)の要部拡大斜視図、(D)は(A)の要部拡大斜視図、(E)は(A)の要部拡大斜視図である。
図4】本発明の金属製薄板の手動タイプの第2実施形態であって、(A)は日常時の縦置きした状態の要部斜視図、(B)は磁石セットであって、下側が磁石で上側が鉄製部材の斜視図、(C)は磁石セットが結合する直前の断面状態図、(D)は磁石セットが結合完了した状態の斜視図である。
図5】本発明の金属製薄板の手動タイプの第3実施形態であって、(A)は日常時の縦置きした状態の要部斜視図、(B)は吸盤セットであって、上側が吸盤ゴム片で下側が扁平ゴム片の斜視図、(C)は吸盤セットが結合する直前の断面状態図、(D)は吸盤セットが結合完了した断面状態図、(E)は吸盤セットの別の実施形態の断面状態図である。
図6】(A)は大地震時に湾曲して半円アーチ型に固定されている全体斜視図、(B)は(A)のα-α矢視端面図、(C)は(A)のβ-β矢視端面図である。
図7】(A)は本発明において金属製薄板の長方形主板の長手方向を補強した第1実施例であって、前記長方形主板を日常時に縦置きした全体略正面図、(B)は(A)のγ-γ矢視端面図、(C)は(A)が湾曲状に形成された一部斜視図、(D)は(A)の部材が大地震時において横座状態にされている一部状態図である。
図8】本発明の使用状態を示した各段階状態図であって、(A)は本発明品をベッドの足元に立て掛けにして日常時の睡眠状態と大地震時に起き上がる位置を仮想している日常時の状態図、(B)は大地震時に立ち上がって引手ハンドルに手を掛けた瞬間の第1状態図、(C)及び(D)は引手ハンドルに手を掛けつつ押し下げている瞬間の第2,第3状態図、(E)は緊張紐状物を短縮させて半円アーチ型に固定された瞬間の第4状態図、(F)は半円アーチ型で横座されて身体のシェルターとした状態の最終状態図である。
図9】本発明において金属製薄板の長方形主板の幅方向を補強した実施形態であって、(A)は大地震時に横座状態で半円アーチ型に固定された全体斜視図、(B)は(A)のα-α矢視端面図、(C)は(A)の湾曲状に形成された一部斜視図、(D)は日常時に扁平状にしている長方形主板の一部斜視図である。
図10】本発明において長方形主板の幅方向につき補強材を介して補強した別の実施形態であって、(A)は大地震時に横座状態で半円アーチ型に固定された全体斜視図、(B)は(A)のβ-β矢視端面図、(C)は(A)のγ-γ矢視端面図、(D)は(A)の横座状態の一部斜視図、(E)は横座状態の別の実施形態の一部斜視図である。
図11】(A)は半円アーチ型に固定された状態時に、家屋倒壊時に家屋部材が落下して本発明品に衝突する直前状態の瞬時状態図、(B)は家屋倒壊時の家屋部材が本発明品に衝突した瞬間状態図である。
図12】(A)は金属製部材に曲げモーメント作用して曲げ応力が発生し曲率半径が生じている状態図及び所要な公式(1)を表した図、(B)は金属製部材の長方形断面や金属製部材の薄板の断面係数及び所要な公式(2)を表した図である。
図13】本発明の金属製薄板の手動タイプの第2実施形態の別の実施例であって、(A)は本発明が日常時に縦置きした状態の一部斜視図、(B)は大地震時においての磁石セットが結合完了して緊張紐状物が短縮した要部斜視図である。
図14】(A)は金属製薄板の長方形主板の周囲の長辺及び短辺に装着せんとする安全のための化粧枠材の取付状態一部斜視図、(B)は金属製薄板の長方形主板の角部に装着する角部ピース及びこれを装着した一部正面図、(C)は金属製薄板の長方形主板の角部箇所の短辺紐状物の取付状態図、(D)は金属製薄板の長方形主板の角部箇所の短辺紐状物を取付ける別の実施形態の一部斜視図である。
図15】本発明の金属製薄板の手動タイプの第1実施形態の別の実施形態の変形例であって、(A)は飲料水等のボトルの重みにてフック部を引き上げている日常時の縦置きした状態の要部斜視図、(B)は飲料水のボトルにての吊り上げ箇所の要部拡大斜視図、(C)はSタイプの長方形主板の略正面図、(D)のMタイプの長方形主板の略正面図、(E)のLタイプの長方形主板の略正面図である。
図16】本発明の金属製薄板の電動タイプの実施形態であって、電動タイプにて湾曲状にする別の実施形態であって、(A)は日常時において横置きした状態の全体斜視図、(B)は大地震時に電動の小型巻上機にて湾曲状(半円アーチ型)にした状態図、(C)は半円アーチ型で横座して身体のシェルターとした状態の最終状態図、(D)は小型巻上機の拡大斜視図である。
図17】金属製薄板の長方形主板を用いた本発明の手動タイプ及び電動タイプの日常時を表す図であって、(A)は手動タイプを縦置きしつつ上半分にのれんを掛けて壁絵として置く状態図、(B)は(A)の上端に掲げるのれんの一例の斜視図、(C)も日常時において、電動タイプで横置きして約上半分以上にのれんを掛けて壁絵として置く状態図、(D)は(A)の(α)箇所の拡大斜視図である。
図18】本発明のさらに別の実施形態であって、長方形主板がFRP材からなるもので手動タイプであり、(A)は日常時に縦置きした全体斜視図、(B)は大地震時において湾曲状(半円アーチ型)にして固定した最終状態図、(C)は半円アーチ型に横座して身体のシェルターとした状態の最終状態図である。
図19】本発明は、長方形主板がFRP材からなるもので電動タイプであり、(A)は日常時に横置きした全体斜視図、(B)は大地震時において湾曲状(半円アーチ型)にして固定した最終状態図、(C)は半円アーチ型に横座して身体のシェルターとした状態の最終状態図である。
図20】金属製の長方形主板の長手方向の状態を示す図であって、(A)はその斜視図、(B)は扁平湾曲状なる概念を示す図の一例であり、(i),(ii),(iii)も何れも扁平湾曲状に含まれる図例の断面図、(C)は湾曲状なる概念を示す図の一例であり、(iv),(v)も何れも湾曲状に含まれる図例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
[金属製薄板の手動タイプの第1実施形態]
金属製薄板で手動タイプの第1実施形態について、図1乃至図3及び図6図7について説明する。まず、基本となる主要部材が金属製薄板の長方形主板1であって、図1(A),図2(A)及び図7(A)に示すように、それぞれの図では縦長であり、長辺11(長い辺)を長手方向(X方向)と、短辺12(短い辺)を幅方向(Y方向)として形成されている。
【0021】
前記長方形主板1の基本形としては、周囲に長辺11,11及び短辺12,12で構成され、特に、横幅(短辺12:Y方向)が1に対し、長手方向幅(長辺11:X方向)が約2として形成されている。つまり、横幅(Y方向)の短辺12が約90cmで、長手方向幅(X方向)の長辺11が約180cmに構成されている。つまり、3×6鉄板で、3尺(約90cm)×6尺(約180cm)を成している。基本形での日常時においては、前記長方形主板1は扁平湾曲状を成している[図20(B)参照]。その長手方向は、扁平状を成している場合に比して約1又は2cm程度であるため、本件の扁平湾曲状の特許出願でも、扁平状の場合と同様の数値としておく。
【0022】
本件発明では、日常時においては、前記長方形主板1は扁平湾曲状を成しているために、特に、人力にての引張力を、湾曲状に曲げる最初の力が僅かながら曲げ安くできる点が最大の特長である。つまり、湾曲される方向に、予め僅かであるが曲げられており効果的である。また、このように、前記長方形主板1が扁平湾曲状と成しているときに、緊張紐状物3に張力無し状態に構成されている。仮に約1kg以内の張力があったとしてもこの明細書では張力無しの概念に包含される。さらに、前記長方形主板1は、後述するが具体的には、3タイプが存在している。
【0023】
前記長方形主板1の金属製薄板は、鉄鋼製の亜鉛メッキ鋼板、鉄にクロムを混ぜたステンレス鋼板等で形成されており、特に、弾力性が優れた部材が適宜選択されることが好ましい。前記長方形主板1の短辺12箇所の角部13,13間には短辺紐状物3が結ばれている。具体的には、前記角部に形成された孔部13a,13a間に、前記短辺紐状物3の両端が結束されて、日常時には、ある程度の緩みを有して設けられている[図1(A),図2(A)参照]。また、前記長方形主板1の両前記短辺紐状物3,3間には、緊張紐状物4が結束されて構成されている。該緊張紐状物4も前記短辺紐状物3も、金属製のワイヤーや布製のロープ等で構成されており、共に引張荷重には、約7,80乃至約100kg程
度は耐えうるように供えられている。
【0024】
大地震時においては、前記緊張紐状物4が人力の引張力(約35kg乃至約70kg程
度)にて適宜短縮されつつ前記長方形主板1の前記長辺11の長手方向が湾曲状に形成されて固定されて、この内部に身体を隠すことで身体用シェルターにできるものである。前述の人力の引張力(約35kg乃至約70kg)は、約1,2割程度の割増は包含される。また、大地震時においての本発明の概念としての内容であるが、具体的には、前記緊張紐状物4が人力の引張力にて適宜短縮される構成については、1本ものの場合で全長緊張紐状物41の場合と、大部分緊張紐状物42と予備緊張物43との2つの部材からなる場合とがある。以下に詳述する。
【0025】
大きな大地震時というと、一般人には、一生に一度あるか無いかの災害時である。こんなときに、冷静に操作ができるかというとできないのが通例である。このようなことを考慮して、緊張紐状物4の適宜短縮する構成を案出している。短縮構成の第1種類は、図1(A)及び図2(A)に示すように、前記緊張紐状物4が1本の連続物であって、全長緊張紐状物41と称する。この場合には、該全長緊張紐状物41の上端寄りの適宜の位置に、フック部5が固定されている。この上端寄りの適宜の該フック部5の位置と前記短辺紐状物3の略中心位置とは距離Qを有している。
【0026】
具体的には、長方形主板1の長手方向全幅が約180cmの場合には、前記距離Qは約40cm内外である。該フック部5には、必要に応じて公知の外れ止めが設けられているが、図面上では省略している。図1でも、図2でも、日常時には、図1(A)の状態から図1(B)に示すように、前記フック部5が 上側の前記短辺紐状物3の略中央位置に係止されてこの状態で固定状態となっている。大地震発生という極めて緊張時であっても、フック部5の位置は、前記全長緊張紐状物41の途中(必ず目視できる位置で、前記距離Q)に付いているために前記フック部5を探すということは全く無いという安全性がある。
【0027】
[本発明品の実際の使い方:手動操作例]
短縮構成としてのフック部5の係止する構成としては、実際には、約40cm前後の距離Qを短縮させる動作であり、前述したように、人力の引張力(約35kg乃至約70kg程度)を介して行われる。この動作について図8に基づいて説明する。まず、日常時においては、図8(A)の状態であって、ベッドにてある人が睡眠しており(掛け布団省略)、本発明品は垂直状に立て掛けた状態下にある。次に、万一であるが、大地震時においては、その人が掛け布団を跳ね除け、図8(B)に示すように、立ち上がって直ぐに引手ハンドル81に手を掛ける。
【0028】
そして、直後に該当者は、引手ハンドル81に体重を掛けつつ押し下げて図8(C)及び(D)に示すようにする。さらに体重を掛けて押し下げて、このときフック部5を上側の前記短辺紐状物3の略中央位置に係止させて固定させる〔図8(E)参照〕。このような動作〔図8(B)~(E)〕は、実際には、約1~2秒で行われる。その後に、このように長方形主板1の長辺11の長手方向全体が湾曲状に形成されてこれも固定状態になったことで、図8(F)に示すように、本発明品を横座させて操作者がうつ伏せ状態で家屋倒壊からの身体を守ることができる。
【0029】
つまり、大地震時においては、前記緊張紐状物4が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板1の前記長辺11が湾曲状に形成されて固定されて、前記長方形主板1が湾曲状となった内部に身体を隠すことで身体用シェルターにできるものである。日常時は扁平状の額状で邪魔にならない状態であっても、いざというときには身体のシェルターとしての役割を成すという発明であり、このいざというときに、湾曲状にするのに簡易で且つ確実な操作手段が求められ、この要求に確実に応え得る発明である。
【0030】
これには、前述したように、短縮構成の第1種類目が、図1(A)及び図2(A)に示すように、前記緊張紐状物4が1本の連続物の全長緊張紐状物41であって、、該全長緊張紐状物41の上端寄りの適宜の位置に設けたフック部5のみで構成された単純な内容であるが、これが安全且つ確実に係止できる技術内容でもある。前記フック部5のみでも後述の短縮操作部材Sとも称する。
【0031】
図3に示すように、本発明の金属製薄板の手動タイプの第1実施形態の別の実施形態であって、フック部5のタイプであり、短縮操作部材Sとしてのフック部5と、大部分緊張紐状物42と予備緊張物43との2つの部材で前記緊張紐状物4が構成されている。下側からの前記大部分緊張紐状物42の上端位置に前記フック部5が固定されており、該フック部5は上側の短辺紐状物3の両側位置からの設けられた樹脂製のコイルスプリング状の予備緊張物43で少しの張力が出るようにして設けられ、前記フック部5の位置が図3(B)の位置に掛け易くなるように構成されている。具体的には、前記フック部5の途中の両側には棒状片51,51が設けられ、この両端に前記コイルスプリング状の予備緊張物43に下端が止められている。このようにすることで、前記フック部5を、いざというとき(大地震時)に、上側の短辺紐状物3に確実に掛け易くするためである。
【0032】
[金属製薄板の手動タイプの第2実施形態]
次に、本発明の金属製薄板の手動タイプの第2実施形態であって、前記短縮操作部材Sを磁力部材6のタイプであり、図4に示すように、マグネット材よりなる磁力部61と、これに着磁する鉄系部材62とから構成されている。下側からの前記大部分緊張紐状物42の上端位置に、前記磁力部61が固定されており、該磁力部61に対向するようにして前記鉄系部材62が上側の短辺紐状物3の中央位置に下向きに設けられ、さらに樹脂製のコイルスプリング状の予備緊張物43で少しの張力が出るようにして設けられている。
【0033】
この場合にも、前記磁力部61の位置が図4(C)の位置なって両者が磁力結合し易くなるように構成されている。具体的には、前記磁力部61の両側には棒状片61a,61aが設けられ、この両端に前記コイルスプリング状の予備緊張物43に下端が止められている。このようにすることで、いざというとき(大地震時)に、上側の前記鉄系部材62と下側の前記磁力部61との確実な磁力結合を求める。実施例では、下側を磁力部61とし、上側を鉄系部材62としたが、図示しないが、この逆も当然にあり得る構成である。
【0034】
[金属製薄板の手動タイプの第3実施形態]
また、本発明の金属製薄板の手動タイプの第3実施形態であって、前記短縮操作部材Sを吸着部材7とした場合は、図5に示すように、下面が凹状となったゴム系の吸着部71と平らなゴム系の板部72とから構成されている。前記吸着部71が上側の短辺紐状物3の略中央位置に下向きに設けられている。下側からの前記大部分緊張紐状物42の上端位置に前記板部72が固定されており、該板部72の両側から棒状片72a,72aが設けられ、この両端に前記コイルスプリング状の予備緊張物43に下端が止められている。
【0035】
該予備緊張物43は少しの張力が出るようにして設けられ、前記吸着部71と前記板部72とが確実な吸着ができるように構成されている。実施例では、下側を板部72,上側を吸着部71としたが、吸着力が増加する場合には、図5(E)に示すように、上側と下側との両方を吸着部71,71とすることもあるし、また、図示しないが、下側を吸着部71とし、上側を板部72とすることもある。
【0036】
[金属製薄板の手動タイプの第2実施形態の別の実施例]
図13(A)には、本発明の金属製薄板の手動タイプの第2実施形態の別の実施例であって、コイルスプリングである引張ばねとしての予備緊張物43を使わないで、ピアノ線等の緊張線の先端に重りとなる飲料水500cc又は1リットルのボトル45に対し滑車44を介して吊下げたものである。これによって、予備緊張物43としてのコイルスプリングではなく、ピアノ線等の緊張線が使われており、年数が長期化(約数年乃至約十年程度)しても、前記ボトル45内に飲料水がある限り予備緊張物43としての役割を果たす構造である。さらに、前記飲料水のボトル45箇所には、呼笛46が供えられており、万一の大地震時において家屋倒壊して立体化した前記長方形主板1内で助かった場合の早期救出に役立てられる。
【0037】
[金属製薄板の電動タイプ]
次に、本発明の金属製薄板の電動タイプにて湾曲状にする実施形態ついて説明する。特に、前記金属製薄板の長方形主板1に設けた緊張紐状物4を電動にて行うものである。具体的には、図16(A)及び(B)に示すように、前記緊張紐状物4は前記全長緊張紐状物41の先端に小型巻上機9が設けられ、該小型巻上機9の係止部97が前記短辺紐状物3の中間位置に係止されている。前記小型巻上機9の外筐部91には回転するドラム部92が内蔵され、ワイヤー94が巻き付けられ、前記外筐部91の外側に露出したフック片93を、モータ部95及び電源部96(12V又は24V)を介して巻き上げ可能に構成されている。この電源部9cは家庭用交流電源100vが使われることもある。
【0038】
実際の巻上量としては、約40cm~約50cm前後(距離Q)であって、この巻上力としては、約100kg前後が必要とされている。初期トルクはかなり大きな力であり、特に、本発明に係る金属製薄板の前記長方形主板1の長手方向全体を湾曲させるための初期力が必要である。前記小型巻上機9の正面位置には、スタートボタン(図示しない)が設けられ、該スタートボタンを押した瞬間に駆動して前記緊張紐状物4に対して短縮操作が行われ、所定長さを短縮(巻上)したときには、ブレーキが自動的に加わり、図16(B)に示すように、前記長方形主板1の長手方向(X方向)を湾曲状にしつつ固定される。
【0039】
[本発明品の実際の使い方:電動操作例]
電動タイプの場合には、操作に人力を必要ないことと、前記小型巻上機9が設けられていることで、縦型にではなく、図16(A)に示すように、日常時においては横置きし、実際の大地震時においては、前記小型巻上機9のスタートボタンを押して瞬間に駆動させて前記緊張紐状物4に対して短縮操作を成して所定長さ(距離Q)を短縮(巻上)して、ブレーキ操作が掛かって自動的に停止して、前記長方形主板1の長手方向(X方向)を湾曲状にしつつ固定状態とする。そして、湾曲された前記長方形主板1の内部にうつ伏せ状態で身体を護る。このように、実際には、スタートスイッチを押してから前記長方形主板1の内部にうつ伏せ状態になるまでは数秒(約3~約6秒程度)にて操作する。
【0040】
[本発明品の材料力学、構造力学的及び機構学的な考察]
[第1番目]
日常時において長方形主板1が扁平湾曲状にしつつも、大地震時において長方形主板1の長手方向全体を湾曲状(立体的)に構成するという発案であるが、特に、一例ではあるが、Sタイプで、X方向の高さ約180cmでY方向の幅が90cmとした場合において、前記X方向を約32cm(距離Q)押し下げるのみで、Z方向の湾曲最大高さPを約46cmに立体物としてのシェルターとしてすることができるという機構学的にも効率的な動作を得ることができる。つまり、X方向の約30cm強(距離Q)という短縮操作で、Z方向の湾曲最大高さPを約50cmに近似しての湾曲状立体物を得られるものである。
【0041】
Mタイプで、X方向の高さ約195cmでY方向の幅が約95cmとした場合において、前記X方向を約37cm(距離Q)押し下げるのみで、Z方向の湾曲最大高さPを約50cmの立体物としてのシェルターにできる。Lタイプで、X方向の高さ約210cmでY方向の幅が110cmとした場合において、前記X方向を約40cm弱(距離Q)押し下げるのみで、Z方向の湾曲最大高さPを約54cmの立体物としてのシェルターにできる。
【0042】
[第1番目の結論]
これは、Y方向の長さが約90cm強で、X方向の長さ約180cm強という数値の金属製薄板という条件の基ではあるが、押し下げるX方向の距離Qに対してZ方向に膨出する最大高さの距離Pとすると、
距離Q<距離P
なる公式がでている。
【0043】
すなわち、押し下げる方向(X方向)距離Qよりも、Z方向に膨出する距離Pの方が大きいという利点も考慮しての発明である。具体例としては、Sタイプで、X方向約180cmで約32cm(距離Q)押し下げ、Z方向最大高さ約46cm(距離P)が得られる。また、Mタイプで、X方向約195cmで約37cm(距離Q)押し下げ、Z方向最大高さ約50cm(距離P)が得られ、Lタイプで、X方向約210cmで約40cm(距離Q)押し下げ、Z方向最大高さ約54cm(距離P)がそれぞれ得られるものである。
【0044】
[第2番目]
「モノコック効果の発生」
本発明では、短辺11,11箇所の両角部間を結ぶ短辺紐状物3,3が設けられ、両該短辺紐状物3,3間には緊張紐状物4が結ばれていることから、具体的な構成としては、前記長方形主板1の4隅を緊張するようにして湾曲形成されるため、図6(A)に示すようにして固定状態となる。すると、図6(A)のα―α矢視端面は湾曲状となると共に、図6(A)のβ―β矢視端面でも扁平状ではあるが湾曲状と形成される。これこそが弾力性ある金属製薄板ならではの構造であり、この形状ゆえに強いモノコック状の半円アーチ型のシェルターを得ることができる。より安全化のためには、比較的厚材が好適であるが、重さ等の問い扱いもあり、好適な値は実験にて求めることができる。
【0045】
[第3番目]
曲げモーメントMは、図12(A)に示すように、
EI:曲げ鋼性
1/ρ:たわみ曲線の曲率
ρ:曲率半径
E:縦弾性係数
M=(EI)× 1/ρ・・・・・・(1)
【0046】
前記曲げ鋼性EIは、金属材の材料及びその断面形状より決定される。特に、本発明では、日常時において長方形主板1が扁平状にされつつも、大地震時において湾曲状(立体的)に構成するという発案であるが、特に、弾力性の優れた薄板金属材では、曲げた時(瞬間時から約数分時)が、曲げモーメントMは最大となり、この時に、図11(B)に示すように、家屋崩壊時に天井部材(梁材も含めて)が落下したときに、落下荷重に耐えうることができる。
【0047】
具体的には、湾曲状となった金属製薄板の長方形主板1の各部からの弾性力が作用すると同時に、細かく瞬時,瞬時を観察すると、弾力性ゆえに一度は凹み状態となっても不規則ではあるが撥ね返してその家屋崩壊時の落下力に十分に耐えうるものにでき、湾曲状となってZ方向が広がり立体状となった長方形主板1内に身体を隠して保護できるといものである。あくまでも想定であり、実験を待たれ、且つ金属材の材質にもよるが、家屋倒壊時の何トンもの落下荷重に耐えうることも可能である。
【0048】
[第4番目]
前記曲げ鋼性EIは金属材の断面形状に影響されるが、具体的に材料力学、構造力学的には、金属材の断面形状に影響される。金属材の長方形断面として見た場合が、図12(B)の上側図となるが、本願発明のように薄板となっても[図12(B)下側]、同一の断面係数Zにて表せれる。
つまり、Z=b×(tの2乗)×1/6・・・・・・(2)
この(2)の公式より、断面係数は板厚の2乗に比例している。このため、板厚が2倍となれば、断面係数Zは4倍となる。このようなことは、金属材1.2mm前後の金属板で、本件特許発明品を構成しても、重さは約20kg前後になり、取り扱いし難い状況となる。
【0049】
[金属製薄板の長方形主板1の補強対策]
図7(A)に示すように、長方形主板1の長手方向(X方向)を補強した例としては、前記長方形主板1の短辺12寄り箇所に、筋状リブ16が幅方向に所定間隔を有して複数(図面では4箇所)設けられている。特に、大地震時においての衝突的荷重に効果的に作用する。また、図9に示すように、前記長方形主板1の両短辺12,12寄り箇所にY方向の折り曲げ部21,21として補強されている。該折り曲げ部21はY方向(幅方向)の強度を増加させる。また図10(A)に示すように、前記長方形主板1の両短辺12,12寄り箇所にジグザグリブ17が、設けられることもある。該ジグザグリブ17は、長方形主板1の長手方向(X方向)及び幅方向(Y方向)を補強できる。
【0050】
さらに、図10に示すように、前記長方形主板1の両短辺12,12箇所に全幅に補強材22が1枚[図10(A),(B),(D)参照]又は2枚[図10(E)参照]。これらの前記折り曲げ部21及び補強材22を含めて「補強体2」という。さらに、該補強体2は、前記長方形主板1の短辺12の全幅に設けられるが、9割程度(略全幅)にすることもあり、これも全幅に包含される。
【0051】
[金属製薄板の長方形主板1の安全対策]
前記長方形主板1としては金属製薄板であるが、この周囲は素手の人手では怪我をする可能性があるため、図14(A)に示すように、断面コ字状の化粧枠材15aが薄板の長辺11,11及び短辺12,12に接着剤等を介して保護されている。さらに前記長方形主板1の角部には、図14(B)に示すような角部ピース15bが弾力性を有しつつ縦置き〔(図1(A)参照〕又は横置き〔(図16(A)参照〕されたときに台座的な役割を成すものである。
【0052】
[短辺紐状物3の取付構成]
図14(C)に示した構成は、前記短辺紐状物3の前記長方形主板1の角部13への取付構造の別の実施形態であり、前記角部箇所に設けた孔部13aに頭付きピンが13b挿入され、該頭付きピン13bの先端に設けられた前記孔部13aに前記短辺紐状物3の端が結束されている。このようにすることで、前記長方形主板1の長手方向(X方向)を曲げ安くできる利点がある。また、図14(D)に示すように、角部13に2つの切欠き13c,13cが形成されてそこに前記短辺紐状物3の端が結束されることもある。
【0053】
[金属製薄板の長方形主板1の3タイプ]
図15(C)は長方形主板1の立面図のSタイプで、X方向の高さ約180cmでY方向の
幅が約90cm、図15(D)は前記長方形主板1の立面図のMタイプでX方向の高さ約195cmでY方向の幅が約95cm又は約100cm、図15(E)は前記長方形主板1の立面図のLタイプで、X方向の高さ約210cmでY方向の幅が約100cm又は約110cmとして構成されている。
【0054】
[実施形態例]
金属板で長方形主板1の厚み0.8mmで、長辺11が90cm、短辺12が45cmとして、両短辺紐状物3,3と緊張紐状物4とを設けて湾曲状にするのに、緊張紐状物4を短縮する力としては、かなりの力が要求される。ここで、重要なことは、同一部材であっても、板厚を僅かでも増加させた場合には、強度的には、断面係数が影響しているため、板厚tの2乗になることから、例えば、厚み0.8×0.8=tの2乗として計算され、t(求める板厚)が、約1.13mmとなり、具体的には、市販の板厚1.2mmとなる。つまり、計算上では、厚み0.8mmの金属材の曲げモーメント力Mを2倍にするのに、曲げ鋼性EIにも影響するが、断面係数Zにも影響して、5割増しの厚さの板厚1.2mmにて得ることができる。
【0055】
[FRP部材製]
また、今までの説明は、金属製薄板(鉄鋼系、ステンレス部材等)であったが、この材料を変えて、図18及び図19に示すように、FRP部材(Fiber reinforced plastics
)として構成したものである。このFRP部材であっても、図18(A)の状態から図18(B)のように湾曲状にするための人力としては、金属製薄板(鉄鋼系、ステンレス部材等)と同等の人力(約35kg乃至約70kg)として想定している。
【0056】
大きさとしては、FRP部材の手動タイプでは、図18(A)に示すように、Y方向の幅が約100cmでX方向の高さが約200cmとなるようにして、前述の金属製薄板(鉄鋼系、ステンレス部材等)と同様に、短辺紐状物3,3及び緊張紐状物4が設けられている。さらに、全長緊張紐状物41や大部分緊張紐状物42と予備緊張物43との2つの部材の構成、引手ハンドル81を介して短縮操作部材Sなるフック部5,磁力部材6、吸着部材7等は、図3乃至図5に示す部材と同様に設けられている。
【0057】
また、FRP部材の電動タイプでは、、図19(A)に示すように、Y方向の幅が約100cmでX方向の高さが約200cmとなるようにして、前述の金属製薄板(鉄鋼系、ステンレス部材等)と同様に、短辺紐状物3,3及び緊張紐状物4が設けられている。特に、図16に示す前記小型巻上機9と同様に、約100kgで巻上できるように構成されて、前記FRP部材の長方形主板1が、その約100kg内外の巻上力にて、湾曲状になって固定されるように構成されている。
【0058】
また、FRP部材の前記長方形主板1は、Y方向の幅が約100cmでX方向の高さが約200cmとなるように形成されえいると説明したが、前述した金属製薄板の前記長方形主板1の大きさの例の図15(C)に示すSタイプ、図15(D)に示すMタイプ、図15(E)に示すLタイプと同様の大きさに形成することもある。特に、図18(A)及び図19(A)では、長手方向(X方向)に約数度屈曲して略へ字状に形成されているが、扁平状の定義内に含まれる。
【0059】
[日常時での「のれん85」掛け]
図17(B)に示したものは、日常時において使う「のれん85」であって、全幅は前記長方形主板1のY方向の全幅と同等をなし、割り部85aが1又は複数設けられている。前記のれん85は、図17(A)に示すように、日常時において縦置きした上半分に掛けて壁絵又は観賞用絵等としておくものである。特に重要な点は、前記割り部85aの位置の真後に、前記引手ハンドル81が位置していることが求められる。これによって、何時起こるとも解らない大地震の際に、前記割り部85aを確認しつつ確実に引手ハンドル81を握ることができる。
【0060】
図17(C)に示したものは、電動タイプの本件発明であり、日常時において横置きして上側の半分以上位置に、のれん85を掛けて壁絵としておくものであるが、このときに必要なことは、前記小型巻上機9のスタートスイッチを直ぐに押せるように、該スタートスイッチの直ぐ前位置に、前記割り部85aの位置が揃うように構成されることが必要である。
【0061】
17(C)に示すのれん85の割り部85aは2箇所であり、真ん中位置には割り部85aは存在しない。また、前記のれん85に描かれる図案は、その家に伝わる家紋や、好みの絵画や、各種のキャラクター図でも内容的には限定されずに、何でも良く、観賞用にでき得るもの全てが包含される。理由は、日常時には、長方形主板1の主要である額部を、観賞用のれん85で覆いつつ安心した日常生活を過ごすことができるものを提供しつつ、大地震時には、打って変わって、この額が身体用シェルターにできるという大きな役割を果たし得る発明でもある。
【0062】
長方形主板1の長手方向全体が、日常時においては、扁平湾曲状に形成されていることから、前記緊張紐状物3が弓の弦のようになって、浮き上がる位置になることあり、この弦なる前記緊張紐状物3の中間位置を、17(D)に示すように、留め具87を介して引くように構成されている。該留め具87は前記緊張紐状物3の止め部87aと、金属製薄板の長方形主板1に鉄鋼製のときはマグネット部87bが設けられており、ステンレス系の場合には適宜な接着剤又はピン等で前記長方形主板1の略中央位置に固定されている。
【0063】
上述した実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
金属製薄板の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺箇所の両角部間を結ぶ短辺紐状物が設けられ、両該短辺紐状物間には緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が動力による引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向全体が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【0064】
(付記2)
金属製薄板の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺箇所全幅に補強体が設けられ、両該補強体間に緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が動力による引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【0065】
(付記3)
金属製薄板の長方形主板の長辺(長い辺)を長手方向と短辺(短い辺)を幅方向とし、それぞれの短辺箇所の両角部間を結ぶ短辺紐状物が設けられ、両該短辺紐状物間には緊張紐状物が結ばれて該緊張紐状物の中間位置に小型巻上機が介在されてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が前記小型巻上機の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【0066】
(付記4)
金属製薄板の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺全幅に補強体が設けられ、両該補強体間に緊張紐状物が結ばれて該緊張紐状物の中間位置に小型巻上機が介在されてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が前記小型巻上機の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【0067】
(付記5)
FRP製薄板の長方形主板の長辺(長い辺)を長手方向と短辺(短い辺)を幅方向とし、それぞれの短辺箇所の両角部間を結ぶ短辺紐状物が設けられ、両該短辺紐状物間には緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向全体が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【0068】
(付記6)
FRP製薄板の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺箇所全幅に補強体が設けられ、両該補強体間に緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【0069】
(付記7)
FRP製の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺箇所の両角部間を結ぶ短辺紐状物が設けられ、両該短辺紐状物間には緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向全体が湾曲状に形成されて固定され、前記緊張紐状物には短縮操作部材を介して短縮されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【0070】
(付記8)
FRP製の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺箇所全幅に補強体が設けられ、両該補強体間に緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が人力の引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向が湾曲状に形成され、前記緊張紐状物には短縮操作部材を介して短縮されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【0071】
(付記9)
FRP製薄板の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺箇所の両角部間を結ぶ短辺紐状物が設けられ、両該短辺紐状物間には緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が動力による引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向全体が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【0072】
(付記10)
FRP製薄板の長方形主板の長辺を長手方向と短辺を幅方向とし、それぞれの短辺箇所全幅に補強体が設けられ、両該補強体間に緊張紐状物が結ばれてなり、日常時には前記長方形主板は扁平湾曲状を成し、大地震時には前記緊張紐状物が動力による引張力にて適宜短縮されつつ前記長方形主板の長手方向が湾曲状に形成されて固定されることを特徴とする身体用シェルター。
【符号の説明】
【0073】
1…長方形主板、11…長辺、12…短辺、13…角部、3…短辺紐状物、
2…補強体、4…緊張紐状物、5…フック部、6…磁力部材、7…吸着部材、
S…短縮操作部材。
【要約】
【目的】本発明は、日常時には室内の額縁材として、大地震時(震度7相当)には数秒以内で身体を保護するシェルターにできること。
【構成】
金属製薄板の長方形主板1の長辺11を長手方向と短辺12を幅方向とし、それぞれの短辺12箇所の両角部13,13間を結ぶ短辺紐状物3が設けられていること。両該短辺紐状物3,3間には緊張紐状物4が結ばれて構成されていること。日常時には長方形主板1は扁平湾曲状を成し、大地震時には緊張紐状物4が人力の引張力にて適宜短縮されつつ長方形主板1の長手方向全体が湾曲状に形成されて固定されて身体用シェルターにできる。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20