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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】米飯供給装置
(51)【国際特許分類】
   A23L 7/10 20160101AFI20240712BHJP
【FI】
A23L7/10 E
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020057559
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021153495
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】矢内 政利
(72)【発明者】
【氏名】竹井 豪
【審査官】安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113949(JP,A)
【文献】特開2004-194607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入した米飯が貯留される貯留部と、
装置の全体重量を計測する第1の重量計測手段と、
前記貯留部内の米飯を受容部材に供給する米飯供給手段と、
受容部材に供給される米飯の重量を計測する第2の重量計測手段と、
米飯が前記貯留部に投入されたときには前記第1の重量計測手段の計測値から前記貯留部に米飯を貯留していない状態での装置重量を減算した第1の値を米飯残量値とし、米飯供給手段により受容部材に米飯が供給されたときには直近の米飯残量値から前記第2の重量計測手段による計測値を減算した第2の値を米飯残量値とする残量計測手段と、
前記残量計測手段に計測される米飯の残量を表示する表示手段と、
前記貯留部への米飯の投入時に開閉操作される蓋部材の上面おける異物の有無を検知する異物検知手段と、
受容部材である容器が設置される容器設置部における容器の有無を検知する容器検知手段とを有し、
前記残量計測手段は、前記異物検知手段により前記蓋部材に異物がないと検知されるとともに前記容器検知手段により検知される容器がないとき、米飯を受容部材に供給する前に前記第1の値を計測する、
ことを特徴とする米飯供給装置。
【請求項2】
前記貯留部への米飯の投入時に開閉操作される蓋部材、および当該蓋部材の開閉状態を検知する蓋開閉検知手段をさらに備え、
前記残量計測手段は、前記蓋部材が閉鎖されたことが前記蓋開閉検知手段により検知されてから予め設定された時間以内に前記第1の値を計測する、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯供給装置。
【請求項3】
前記蓋開閉検知手段により前記蓋部材が閉鎖されていないことが検知された場合には、その旨を報知する報知手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項2記載の米飯供給装置。
【請求項4】
前記貯留部への米飯の投入時に開閉操作される蓋部材、および当該蓋部材の開閉状態を検知する蓋開閉検知手段をさらに備え、
前記残量計測手段は、前記蓋部材が開放されたことが前記蓋開閉検知手段により検知され、且つ前記第1の重量計測手段による計測値が増加したときに前記第1の値を計測する、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯供給装置。
【請求項5】
前記蓋部材は、装置の上面全体に設けられた上蓋である、
ことを特徴とする請求項2~4の何れか一項に記載の米飯供給装置。
【請求項6】
前記第1の値の計測を指示する計測指示手段をさらに有し、
前記残量計測手段は、前記計測指示手段が操作されたときに前記第1の値を計測する、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯供給装置。
【請求項7】
前記蓋部材の開閉状態を検知する蓋開閉検知手段をさらに備え、
前記残量計測手段は、前記蓋部材が閉鎖されたことが前記蓋開閉検知手段により検知されたならば前記第1の値を計測する、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の米飯供給装置。
【請求項8】
前記容器検知手段により容器が検知された場合には、その旨を報知する報知手段をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の米飯供給装置。
【請求項9】
第1の重量計測手段は、
装置底面に取り付けられた複数の脚部にそれぞれ設けられて相互に結線された歪みゲージを備えた複数の歪みゲージユニットで構成される、
ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の米飯供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁当や丼物等を作る場合、米飯を弁当箱や椀等の容器に供給するための米飯供給装置が知られている。この米飯供給装置は、ホッパ(貯留部)に米飯を貯留しておき、そこから米飯を適量搬送して計量することにより、一定量の米飯を容器(受容部材)に自動的に供給する装置である。
【0003】
米飯供給装置においては、弁当や丼物等を作るために所定量が計量されて容器に盛り付けられるために、ホッパに貯留されている米飯は徐々に減少していく。
【0004】
このとき、ホッパ内の米飯残量を表示する手段が米飯供給装置に設けられていないと、上蓋を開けて直接ホッパ内の米飯残量を目視で確認する必要があった。
【0005】
このような問題に鑑みて、例えば特許文献1(特開2018-113949号公報)では、ホッパを支持する上部筐体と底板に固定された下部筐体との間にスプリングを介在させ、ホッパ内の米飯量に応じて変動する上部筐体と下部筐体とを距離を変位センサで求め、当該変位センサの出力値から米飯残量を求める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-113949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述のような技術では、米飯供給装置に外部から荷重が加えられていると、例えば、装置上に米飯以外の重量物(例えば皿等)が載っていたり作業者が装置を上から押さえていると、当該重量物が米飯なのか米飯ではないのかを装置側では判断することはできない。そのため、間違った残量表示、つまり米飯以外の重量物の重量を米飯重量と認識をし、当該重量を含めた重量を米飯残量として表示してしまう。すると、表示部では残量が十分にあると表示されているにもかかわらず、実際の残量は殆どないなどといった事態が生じてしまう。
【0008】
一般に、作業者は、米飯を炊くタイミングや米飯をホッパに補充するタイミングについて、表示された米飯残量を目安に決定している。したがって、実際よりも多く米飯残量が表示されると、米飯を炊くタイミングやホッパに補充するタイミングが遅れてしまうことになる。すると、来店客に提供したりおむすびを生産するためなどに必要な米飯が一時的に不足してしまうおそれがある。そして、実際の米飯残量と表示された米飯残量との誤差が過大となった場合には、店舗の営業ができなくなる時間が発生する可能すら発生する。
【0009】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、米飯供給装置の外部から加えられた荷重の影響を受けることなく貯留部内の米飯の残量を計測することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の米飯供給装置は、投入した米飯が貯留される貯留部と、装置の全体重量を計測する第1の重量計測手段と、前記貯留部内の米飯を受容部材に供給する米飯供給手段と、受容部材に供給される米飯の重量を計測する第2の重量計測手段と、米飯が前記貯留部に投入されたときには前記第1の重量計測手段の計測値から前記貯留部に米飯を貯留していない状態での装置重量を減算した第1の値を米飯残量値とし、米飯供給手段により受容部材に米飯が供給されたときには直近の米飯残量値から前記第2の重量計測手段による計測値を減算した第2の値を米飯残量値とする残量計測手段と、前記残量計測手段に計測される米飯の残量を表示する表示手段と、前記貯留部への米飯の投入時に開閉操作される蓋部材の上面おける異物の有無を検知する異物検知手段と、受容部材である容器が設置される容器設置部における容器の有無を検知する容器検知手段とを有し、前記残量計測手段は、前記異物検知手段により前記蓋部材に異物がないと検知されるとともに前記容器検知手段により検知される容器がないとき、米飯を受容部材に供給する前に前記第1の値を計測する、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1記載の発明において、前記貯留部への米飯の投入時に開閉操作される蓋部材、および当該蓋部材の開閉状態を検知する蓋開閉検知手段をさらに備え、前記残量計測手段は、前記蓋部材が閉鎖されたことが前記蓋開閉検知手段により検知されてから予め設定された時間以内に前記第1の値を計測する、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項2記載の発明において、前記蓋開閉検知手段により前記蓋部材が閉鎖されていないことが検知された場合には、その旨を報知する報知手段をさらに備える、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1記載の発明において、前記貯留部への米飯の投入時に開閉操作される蓋部材、および当該蓋部材の開閉状態を検知する蓋開閉検知手段をさらに備え、前記残量計測手段は、前記蓋部材が開放されたことが前記蓋開閉検知手段により検知され、且つ前記第1の重量計測手段による計測値が増加したときに前記第1の値を計測する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項2~4の何れか一項に記載の発明において、前記蓋部材は、装置の上面全体に設けられた上蓋である、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1記載の発明において、前記第1の値の計測を指示する計測指示手段をさらに有し、前記残量計測手段は、前記計測指示手段が操作されたときに前記第1の値を計測する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記蓋部材の開閉状態を検知する蓋開閉検知手段をさらに備え、前記残量計測手段は、前記蓋部材が閉鎖されたことが前記蓋開閉検知手段により検知されたならば前記第1の値を計測する、ことを特徴とする。
【0018】
請求項8に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1~7の何れか一項に記載の発明において、前記容器検知手段により容器が検知された場合には、その旨を報知する報知手段をさらに備える、ことを特徴とする。
【0019】
請求項9に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1~8の何れか一項に記載の発明において、第1の重量計測手段は、装置底面に取り付けられた複数の脚部にそれぞれ設けられて相互に結線された歪みゲージを備えた複数の歪みゲージユニットで構成される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、米飯が貯留部に投入されたときには第1の重量計測手段の計測値から装置自重値を減算した第1の値を米飯残量値としている。また、受容部材に米飯が供給されたときには、直近の米飯残量値から、受容部材に供給した第2の重量計測手段による米飯重量の計測値を減算した第2の値を米飯残量値としている。したがって、米飯供給装置Aに外部から荷重が加えられていても、これらの荷重を含めた重量を米飯残量値としてしまうことがない。
【0023】
これにより、米飯供給装置の外部から加えられた荷重の影響を受けることなく、貯留部内の米飯の残量を計測することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施の形態である米飯供給装置を示す斜視図である。
図2図1の米飯供給装置の上部について上蓋を開いた状態で示す斜視図である。
図3図1の米飯供給装置の断面図である。
図4】本実施の形態の米飯供給装置の上部ホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め上方から示す斜視図である。
図5】本実施の形態の米飯供給装置のホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め下方から示す斜視図である。
図6図1の米飯供給装置を斜め下方から示す斜視図である。
図7】装置底面に取り付けられた脚部を斜め下方から示す斜視図である。
図8図7の脚部の平面図である。
図9図8のIX-IX線に沿った断面図である。
図10】脚部内に設けられた歪みゲージユニットを示す正面図である。
図11図10の歪みゲージユニットを90°異なる方向から示す正面図である。
図12図10の歪みゲージユニットの平面図である。
図13図10の歪みゲージユニットの底面図である。
図14】本発明の一実施の形態である米飯供給装置のブロック図である。
図15】本発明の一実施の形態である米飯供給装置における米飯の残量計測動作を示すフローチャートである。
図16】(a)~(f)は図15のフローチャートに沿った米飯の残量計測プロセスで示される米飯残量値を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
図1は本発明の一実施の形態である米飯供給装置を示す斜視図、図2図1の米飯供給装置の上部について上蓋を開いた状態で示す斜視図、図3図1の米飯供給装置の断面図、図4は本実施の形態の米飯供給装置の上部ホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め上方から示す斜視図、図5は本実施の形態の米飯供給装置のホッパおよびその周辺機構を抽出して斜め下方から示す斜視図、図6図1の米飯供給装置を斜め下方から示す斜視図である。
【0027】
図1および図2に示すように、本実施の形態の米飯供給装置Aは、正面板10および当該正面板10の背面に位置する背面板11、ならびにこれら正面板10および背面板11の両側に位置する側面板12を備え、上方に開いた開口部13が形成された本体部1を有している。また、本体部1には、開口部13を開閉するための上蓋(蓋部材)14が、蝶番ユニット15を介して装置の上面全体を覆うように取り付けられている。また、上蓋14の開閉状態を検知するための蓋開閉検知センサ(蓋開閉検知手段:図14)35が設けられている。なお、上蓋14は、開口部13を閉鎖したときに外側に位置する外蓋部14-1と、内側に位置する内蓋部14-2とで構成されている。
【0028】
図示するように、正面板10には、タッチパネル式の入力・表示部(表示手段・報知手段)16が備えられている。入力・表示部16は、所望する重量の米飯を容器へ供給する指示を入力したり後述する米飯残量値などの情報を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。本体部1の背面側には、米飯供給装置Aの動作制御を行うための制御部(残量計測部:制御手段・残量計測手段:図14)30などの様々な電子部品が実装された基板17(図3)が設置されている。
【0029】
また、正面板10の下方には、米飯を盛り付けるときの容器(受容部材)が設置される容器設置部18が設けられ、正面板10と容器設置部18との間には、所定の奥行きおよび高さを有した凹部空間19が形成されている。この凹部空間19は容器を収容するに十分な空間となっており、その上方から米飯が落下して容器に供給される。
【0030】
容器設置部18には、容器が設置されているか否かを検知するための容器検知センサ(容器検知手段:図14)34が設置されている。本実施の形態において、容器検知センサ34には、容器の有無を光学的に検知する光センサが用いられているが、容器設置部18に容器が載置された場合の重量変化で容器の有無を検知する重量センサなど、容器設置部18における容器の有無を検知可能な種々のセンサを適用することができる。
【0031】
図2および図3に示すように、前述した開口部13内には、当該開口部13から投入された米飯が貯留されるホッパ(貯留部)20が設置されている。また、図3に示すように、ホッパ20の底面付近には、米飯を搬送(図3においては、図面右側から斜め左上側に搬送)するための搬送スクリュ(搬送手段:米飯供給手段の一部)21、およびホッパ20内の米飯を撹拌しながら搬送スクリュ21へ送る撹拌羽根(撹拌手段)25が設けられている。
【0032】
搬送スクリュ21における米飯の搬送方向の下流側には、搬送スクリュ21の回転によりホッパ20内を搬送された米飯を解すように取り崩して落下させるドラム型で外周に多数の爪22aが設けられた解しローラ(解し手段:米飯供給手段の一部)22が配置されている。さらに、解しローラ22の直下には、当該解しローラ22から落下した米飯の落下経路を開閉する一対の開閉カップ(米飯供給手段の一部)23が備えられている。
【0033】
解しローラ22の回転軸は搬送スクリュ21の回転軸と直交するような位置関係になっている。これにより、ホッパ20に貯留された米飯は、ホッパ20に設けられた搬送スクリュ21の回転により解しローラ22へと搬送される。そして、解しローラ22に搬送された米飯は、当該解しローラ22の回転に伴う爪22aの働きにより、解されながら落下する。
【0034】
また、開閉カップ23は、前述した解しローラ22によって落下する米飯の落下経路上に位置している。この開閉カップ23は、米飯が蓄積可能に下方に膨らんだ形状となっており、下方に向けて開閉可能になった一対の部材で形成されている。そして、容器に米飯を供給する際には開閉カップ23が開き、供給を停止する際には閉じることにより、米飯の容器への供給動作と供給停止動作とが行われる。
【0035】
図3および図5に示すように、ホッパ20は、上端および下端が開口した上部ホッパ20aと、上部ホッパ20aの下端の開口に嵌め込まれてホッパ20の底面を形成する下部ホッパ20bとで構成されている。
【0036】
上部ホッパ20aには、上方より下方へ向かって徐々に狭く形成されており、これによって上端が広口の開口とされるとともに、下端が狭口の開口とされている。
【0037】
図3図5において、下部ホッパ20bに形成された略半円形の収容溝20b-1(図3図5)内には、前述した搬送スクリュ21が設置されている。搬送スクリュ21は、米飯の搬送方向に沿って延びる搬送軸21aと、この搬送軸21aの回りに設けられてホッパ20内の米飯を解しローラ22へと搬送する螺旋状のスクリュ21bとで構成されている。そして、搬送軸21aの一方の端部(解しローラ22と反対側の端部)は下部ホッパ20bの外部へ突出しており、当該突出端には減速機26を構成するギア26aが取り付けられている。
【0038】
前述した撹拌羽根25は、搬送スクリュ21と並列に設置されている。撹拌羽根25は、搬送スクリュ21による米飯の搬送方向に沿って配置されたシャフト25aと、シャフト25aの回転方向と交差する方向に延びるとともに相互に間隔を空けて設けられた複数の撹拌棒25bとで構成されている。そして、シャフト25aの一方の端部(解しローラ22と反対側の端部)も下部ホッパ20bの外部へ突出しており、同様に、突出端には減速機27を構成するギア27aが取り付けられている。なお、撹拌羽根25の構造は本実施の形態に示すものには限定されない。また、撹拌羽根25は設けられていなくてもよい。
【0039】
搬送軸21aに取り付けられたギア26aを含む減速機26、およびシャフト25aに取り付けられたギア27aを含む減速機27は、共にハウジング28内に格納されている。また、ハウジング28の裏側には、搬送スクリュ21を回転駆動するための搬送用モータM1、および撹拌羽根25を回転駆動するための撹拌用モータM2がそれぞれ固定されている。そして、搬送用モータM1の出力軸には減速機26を構成するギア26bが、撹拌用モータM2の出力軸には減速機27を構成するギア27bが、それぞれ取り付けられている。これにより、搬送用モータM1の回転力は、ギア26bから中継用のギア26cを介してギア26aに伝達され、搬送スクリュ21を回転させる。また、撹拌用モータM2の回転力は、ギア27bから中継用のギア27cを介してギア27aに伝達され、撹拌羽根25を回転させる。
【0040】
なお、ハウジング28の前面は、減速機26,27を保護するとともに、これらの減速機26,27の回転軸を支持するためのハウジングカバー28aで覆われている。
【0041】
さて、図3において、米飯供給装置Aは、開閉カップ23に蓄積された米飯(つまり、容器設置部18に載置された容器に供給されることになる米飯)の計量を行う計量器(第2の重量計測手段)24を備えている。
【0042】
計量器24には、荷重を電気信号に変換するロードセルが用いられている。そして、閉鎖位置にある開閉カップ23に蓄積された米飯の計量値(計量器24による計量値)が目標計量値に到達する直前に搬送スクリュ21および解しローラ22の回転動作が停止し、最終的に目標計量値に到達したときに開閉カップ23が開放位置になって米飯が容器に落下供給される。
【0043】
なお、ホッパ20は、ヒータの取り付けられた保温容器32(図3)内に収容されており、ホッパ20内の米飯が適温に維持されるようになっている。
【0044】
図6に示すように、装置底面の4箇所には、脚部29が取り付けられている。以下、脚部の構造について、図7図13を用いて説明する。図7は装置底面に取り付けられた脚部を斜め下方から示す斜視図、図8図7の脚部の平面図、図9図8のIX-IX線に沿った断面図、図10は脚部内に設けられた歪みゲージユニットを示す正面図、図11図10の歪みゲージユニットを90°異なる方向から示す正面図、図12図10の歪みゲージユニットの平面図、図13図10の歪みゲージユニットの底面図である。
【0045】
図7図9に示すように、脚部29は、略円柱状の脚部本体29aと、脚部本体29aの外周を保持するケース部29bと、ケース部29bが取り付けられるベース板29cとを備えている。なお、ケース部29bは、スペーサ29dを介してネジ29eによりベース板29cに固定されており、したがって、ケース部29bとベース板29cとの間には隙間が空いている。
【0046】
ケース部29bには、脚部本体29aの下部が突出する孔29baが形成されており、当該孔29baの内周には、脚部本体29aに形成された段差29abと係合して脚部本体29aが抜け落ちないようにするためのフランジ29bbが形成されている。また、脚部本体29aの外周とケース部29bとの間には、Oリングなどのシール部材29fが設けられており、外部からの水分などの浸入が防止されている。
【0047】
なお、本実施の形態においては、ケース部29bはベース板29cと別体になっているが、一体に形成されていてもよい。
【0048】
脚部本体29a、ケース部29bおよびベース板29cにより、歪みゲージユニット33を収容する空間が形成されている。
【0049】
図9図13に示すように、歪みゲージユニット33は、米飯供給装置Aの荷重が曲げ方向に加わる起歪プレート(起歪体)33aと、起歪プレート33aに接着された歪みゲージ33bと、起歪プレート33aが想定外の過負荷により塑性変形をおこして破損しないようにするために、所定以上に曲げ変形することを阻止するストッパ33cとを備えている。また、起歪プレート33aは、当該起歪プレート33aに装置荷重を伝達するための伝達プレート33dを介して脚部本体29aに圧接されている。なお、伝達プレート33dの中央部には突起33daが形成され、当該突起33daが脚部本体29aから押圧されるようになっている。
【0050】
ストッパ33cはベース板29cに取り付けられている。このストッパ33cはベース板29cにネジ固定されており、起歪プレート33aとの間隔が調整可能になっている。したがって、当該間隔を調整することにより起歪プレート33aの最大変形量が調整できるので、起歪プレート33aの種類に応じて変形量を調整することができる。なお、ストッパ33cと起歪プレート33aとの間隔は調整可能になっていなくてもよい。
【0051】
起歪プレート33aは、伝達プレート33dを介して加わった荷重で歪む起歪部33aaと、起歪部33aaの両側に形成されて脚部29に固定される固定部33abとからなり、前述した歪みゲージ33bは起歪部33aaに接着されている。そして、起歪プレート33aの変形に伴う歪みゲージ33bの抵抗値の変化をホイートストンブリッジ回路を介して電圧値の変化に変換することにより、起歪プレート33aに加わった荷重が求められる。
【0052】
なお、本実施の形態において、歪みゲージ33bにはハーフブリッジタイプが用いられているが、フルブリッジタイプやクォータブリッジタイプを用いてもよい。
【0053】
ここで、装置底面の4個の脚部29に設けられた歪みゲージ33bは相互に結線されている。よって、各歪みゲージ33bで計測された各起歪プレート33aに加わった荷重を合計することにより、米飯供給装置Aの総重量が計測される。したがって、4個の脚部29に設けられたこのような4個の歪みゲージユニット33の集合により、装置重量を計測する装置重量計測手段(第1の重量計測手段)31(図14)が構成される。
【0054】
そして、本実施の形態においては、米飯供給装置Aの装置自重値(ホッパ20に米飯が投入されていない状態での米飯供給装置Aの重量)を予め記憶しておき、制御部30においては、米飯がホッパ20に投入されたときには装置重量計測手段31の計測値から装置自重値を減算した値(第1の値)を求め、この第1の値をホッパ20内の米飯残量値としている。また、容器に米飯が供給されたときには、直近の米飯残量値から、容器に供給した計量器24による米飯重量の計測値を減算した値(第2の値)を求め、この第2の値をホッパ20内の米飯残量値としている。このようにして、制御部30は、ホッパ20内の米飯の残量を計測する残量計測部として機能する。そして、計測されたホッパ20内の米飯残量値は、前述した入力・表示部16に表示される。
【0055】
ここで、本実施の形態においては、米飯残量値は、表示手段である入力・表示部16において具体的な数字で表示されるようになっているが、残パーセントで表示したり、観念的に表示されるようになっていてもよい。例えば、残量を色で表示するようにして、残量が十分な場合には青色で、半分程度の場合には黄色で、殆どなくなった場合には赤色で表示することが考えられる。あるいは、目盛やバーの本数、アイコン(残量をアイコンの個数に対応させたもの)で表示すること、さらには、表示手段として別途ランプを設け、前述の青色、黄色、赤色で表示することなどが考えられる。その他、ホッパ20に米飯を補充する必要が生じた程度に米飯残量が減少したときにのみその旨を表示するようにしてもよい。この場合には、警告音を発するなどのような聴覚的な表示手段でもよい。
【0056】
以上のような構成を有する米飯供給装置Aのブロック図を図14に示す。
【0057】
図示するように、本実施の形態の米飯供給装置Aは、装置の動作制御を行う制御部30が備えられており、前述した入力・表示部16、計量器24、4個の歪みゲージユニット33で構成される装置重量計測手段31、容器検知センサ34、蓋開閉検知センサ35、搬送用モータM1、撹拌用モータM2の他に、解しローラ22を回転駆動するための解し用モータM3、開閉カップ23の開閉させるためのカップ用モータM4などが備えられている。さらに、前述した装置自重値や直近の米飯残量値などを記憶するメモリ36が設けられている。
【0058】
なお、本実施の形態において示すブロック図は本発明に関連した機能ブロックを抽出して示しており、制御部30はこれらの機能ブロックに示された以外の部材等をも制御しているのはもちろんである。
【0059】
次に、本実施の形態の米飯供給装置Aにおける米飯の残量計測動作について、図15および図16を用いて説明する。ここで、図15は米飯供給装置Aにおける米飯の残量計測動作のフローチャート、図16(a)~(f)は図15のフローチャートに沿った米飯の残量計測プロセスで示される残量計測結果を示す説明図である。
【0060】
さて、図15において、先ず、米飯供給装置Aの電源をオンにする(ステップS01)。このとき、ホッパ20内には米飯Rは入っていないので、図16(a)に示すように、入力・表示部16には、米飯残量として0kgと表示される。
【0061】
続いて、図16(b)に示すように、上蓋14を開き、炊き上がった米飯R(図示する場合には、4kgの米飯R)をホッパ20に投入して(ステップS02)、上蓋14を閉める(図16(C))。
【0062】
次に、容器設置部18に容器Tが設置されているか否かが判断され(ステップS03)、容器検知センサ34により設置されていないと判断されれば、次のステップ04に移行する。また、ステップS03で設置されていると判断されれば、報知手段としての入力・表示部16において容器除去指示のメッセージを表示し(ステップS05)、容器Tを除去することを作業者に促す。この段階で容器設置部18に容器Tが設置されていないようにするのは、後述するステップS06における装置重量計測手段31による重量計測のときに、米飯供給装置Aの外部から加えられた荷重(ここでは、容器Tの重さ)の影響を受けないようにするためである。但し、容器設置部18が設けられてない装置の場合には、ステップS03は省略される。なお、後述するステップS07およびステップS11における場合を含め、報知手段としては、本実施の形態のように画面にメッセージを表示するなど視覚的な報知手段の他に、例えば警告音を発するなどのような聴覚的な報知手段でもよい。
【0063】
さて、ステップS03において容器設置部18に容器Tが設置されていないと判断されたならば、上蓋14が閉められているか否かが判断され(ステップS04)、蓋開閉検知センサ35により閉められていると判断されれば、次のステップ06に移行する。一方、ステップS04において上蓋14が閉められていないと判断されれば(前述のステップS02でホッパ20に米飯Rを投入した段階で上蓋14を閉めていなかった場合を想定)、報知手段としての入力・表示部16において上蓋14の閉鎖指示のメッセージを表示し(ステップS07)、上蓋14を閉めることを作業者に促す。
【0064】
なお、上蓋14を開いてホッパ20に米飯Rを投入したならば閉めるのが一般的な動作と考えられ、また上蓋14が閉められているかどうかは目視で容易に確認できることから、ステップS04についても省略することができる。但し、上蓋14と本体部1(の開口部13の縁部)との間に異物が挟まったことなどが原因となって上蓋14が完全に閉められていないことがあり得るので、本ステップS04は実行することが望ましい。
【0065】
さて、ステップS04において上蓋14が閉められていると判断されたならば、米飯Rの残量値を計測し、入力・表示部16に表示される残量を更新する(ステップS06)。このステップS06での残量計測は、米飯Rがホッパ20に投入されたときの計測になるので、前述のように、残量計測部である制御部30は、装置重量計測手段31の計測値から装置自重値(ホッパ20に米飯Rを貯留していない状態での装置重量)を減算した値(第1の値)を求め、この値をホッパ20内の米飯残量値とする。例えば、装置自重値を30kgとし、図16(b)に示すように4kgの米飯Rが投入されたとすると、装置重量計測手段31の計測値は34kgとなるので、第1の値つまり米飯残量値は4kg(=34kg-30kg)となる。よって、図16(c)に示すように、入力・表示部16には米飯残量として4kgと表示されることになる。
【0066】
なお、ここで計測された米飯残量値は、後述するように、次の米飯残量値を計測するときの直近の米飯残量値としてメモリ36に記憶される。
【0067】
ここで、上蓋14は、装置のほぼ上部全体にわたって形成された開口部13を開閉する比較的大きな板状体であり、蝶番ユニット15を支点にして水平状態から上方に回動して開くようになっている。よって、上蓋14が開いた状態では当該上蓋14は大きく傾斜することからに、その上面に容器Tなどを載せておくこと(つまり、外部から荷重を加えておくこと)は考えにくい。そして、上蓋14は装置の上面全体を覆うように取り付けられているので、上蓋14が閉められた直後は、上蓋14の上面つまり米飯供給装置Aの上には何も載っていないと考えることができる。しかしながら、上蓋14が閉められると、作業者が早々に当該上蓋14の上に容器Tなどを載せる(つまり、外部から荷重が加えられる)ことが考えられるので、ステップS06における残量の計測は、ステップS04において上蓋14が閉められたことが蓋開閉検知センサ35により検知されてから予め設定された時間以内(例えば、1~2秒以内)に行うことが望ましい。
【0068】
なお、ステップS06で米飯残量値を計測した後、容器Tに米飯Rが供給されたときには、前述のように、あるいは以下のステップで説明するように、直近の米飯残量値から、容器Tに供給した計量器24による米飯重量の計測値を減算した値(第2の値)が米飯残量値とされる。したがって、ステップS06で米飯残量値を計測した後は、例えば図16(d)に示すように、作業者が装置を上から押さえているなどして上蓋14に外力Fが加わったり、図16(e)に示すように、上蓋14の上に容器Tが載せられたとしても、外力Fや容器Tの重さは重量計測対象外となって加算や減算は行われないことから、これらの荷重により米飯Rの残量値は変更されない(図16(d)(e)において、残量値は4kgのままとなっている)。
【0069】
さて、ステップS06において米飯Rの残量が計測されたならば、米飯Rの容器Tへの供給指示があるかどうかが判断され(ステップS08)、あると判断されたならば、容器設置部18に容器Tが設置されているか否かが判断され(ステップS09)、容器検知センサ34により設置されていると判断されれば、開閉カップ23が開放位置になって蓄積された米飯Rが容器Tに落下供給される(ステップS10)。
【0070】
ここで、本実施の形態の米飯供給装置Aは、開閉カップ23に蓄積される米飯Rの重量を計測するいわゆる上計量の構造となっているため、ステップS08において米飯Rの供給指示があると判断された時点で(つまり、次のステップS09における判断を待たずして)、搬送スクリュ21および解しローラ22が動作し、計量器24で計量された重量の米飯Rが開閉カップ23に蓄積される。
【0071】
なお、ステップS08において米飯Rの容器Tへの供給指示がないと判断された場合には、供給指示があるまで待機する。また、ステップS09において容器設置部18に容器Tが設置されていないと判断された場合には、入力・表示部16において容器設置指示のメッセージを表示し(ステップS11)、容器Tを設置することを作業者に促す。
【0072】
さて、ステップS10において米飯Rが容器Tに落下供給されたならば、米飯残量値を計測し、入力・表示部16に表示される残量を更新する(ステップS12)。このステップS12では、ホッパ20内の米飯Rが容器Tに供給されたときの計測になるので、残量計測部である制御部30は、直近の米飯残量値から計量器24による計量値(つまり、容器Tに供給した米飯重量の計測値)を減算した値である第2の値を米飯残量値とする。
【0073】
ここで、直近の米飯残量値とは、現時点(計量器24で米飯Rを計量して供給する時点)から遡って最も近い時点で計測された米飯残量値をいう。
【0074】
例えば、前述の図16において、ホッパ20に4kgの米飯Rが投入され、そこから計量器24で計量された200gの米飯Rが容器Tに供給された場合には、直近の米飯残量値はメモリ36に記憶されている4kg(ステップS06で計測された米飯残量値)となる。したがって、第2の値は、メモリ36から読み出された4kgから容器Tへの供給重量である200gを減算して3.8kg(=4kg-200g)となり、図16(f)に示すように、入力・表示部16には米飯残量値として3.8kgと表示される。なお、本実施の形態の米飯供給装置Aにおいて、新たな米飯残量値(ここでは、3.8kg)が計測されると、メモリ36では、当該米飯残量値がそれまで記憶されていた米飯残量値(ここでは、4kg)に書き換えて記憶され、次の米飯残量値の算出時における直近の米飯残量値となる。
【0075】
また、後述のステップS14まで進んで再びステップS08に戻り、2回目に実行するステップS12において計量器24によって150gの米飯Rを供給した場合、直近の米飯残量値は3.8kgであるから、第2の値は3.65kg(=3.8kg-150g)となり、米飯残量値として3.65kgと表示されることになる。
【0076】
さらに、ステップS14まで進んでステップS08に戻り、ステップS12において計量器24によって所定重量の米飯Rを供給するプロセスを繰り返す場合、直近の米飯残量値は前回のステップS12で計測された米飯残量値となり、当該米飯残量値からその時点で供給した米飯重量を減算した値が第2の値つまり更新される米飯残量値になる。
【0077】
さて、ステップS12において米飯残量値が計測されたならば、次に、ホッパ20に米飯Rを投入(補充)するかが判断される(ステップS13)。そして、米飯Rの残量が予め定められた補充が必要な残量となっている場合には補充すると判断され、ステップS02に移行して米飯Rの補充を行い、以降のステップを順次実行する。
【0078】
また、ステップS13においてホッパ20に米飯Rを投入(補充)しないと判断された場合には、米飯供給装置Aを用いた作業が終了したか(店舗で使用されている場合には、今日はこれ以降は当該米飯供給装置Aを使用しない、閉店準備にとりかかる、などのケース)が判断される(ステップS14)。そして、ステップS14において、終了したと判断された場合には、一連の処理が終了する。
【0079】
一方、ステップS14において、米飯供給装置Aを用いた作業が終了していないと判断された場合には、前述したステップS08に移行し、米飯Rの容器Tへの供給指示があるかどうかの判断を行い、以降のステップを順次実行する。
【0080】
なお、ステップS14まで進んでステップS08に戻り、ステップS12で容器Tに米飯Rを供給するプロセスを繰り返し実行した結果、ホッパ20内の米飯Rが補充が必要な残量(例えば500g)まで減少し、ステップS13において補充すると判断された場合は次のようになる。すなわち、ステップS02に移行して4kgの米飯Rの補充を行ったとすると、装置重量計測手段31の計測値は34.5kg(=投入前米飯残量500g+投入米飯重量4kg+装置自重値30kg)となるので、ステップS06における第1の値すなわち米飯残量値は4.5kg(=34.5kg-30kg)となる。そして、メモリ36では、当該米飯残量値が次の米飯残量値の算出時における直近の米飯残量値として書き換えられる。また、ここからステップS10まで進んで200gの米飯Rが容器Tに落下供給されたとすると、直近の米飯残量値は4.5kgであるから、第2の値すなわち米飯残量値は4.3kg(=4.5kg-200g)となる。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態の米飯供給装置Aでは、米飯がホッパ20に投入されたときには装置重量計測手段31の計測値から装置自重値を減算した第1の値を米飯残量値としている。また、容器に米飯が供給されたときには、直近の米飯残量値から、容器に供給した計量器24による米飯重量の計測値を減算した第2の値を米飯残量値としている。
【0082】
したがって、上蓋14に容器などを載せたり、外力が加えられても米飯残量値の表示が変化することはなく、実際の米飯残量値を表示し続けることができる。すなわち、米飯供給装置Aに容器などのような米飯以外の重量物が載っていたり作業者が装置を上から押さえているなど、外部から荷重が加えられていても、これらの荷重を含めた重量を米飯残量値としてしまうことがない。
【0083】
これにより、米飯供給装置Aの外部から加えられた荷重の影響を受けることなく、ホッパ20内の米飯の残量を計測することが可能になる。
【0084】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0085】
例えば、以上の説明では、開閉カップ23に蓄積される米飯の重量を計測するいわゆる上計量の米飯供給装置が示されているが、容器設置部18に載置された容器に落下供給される米飯の重量を計測するいわゆる下計量の米飯供給装置であってもよい。
【0086】
また、米飯が供給される受容部材は容器(丼鉢、椀、トレイ、皿、弁当箱など)に限定されるものではなく、例えば、ターンテーブルのシャリ玉成形用の成形孔、おにぎりの形状に成形するための成形型、海苔巻き用のプレートなどであってもよい。なお、受容部材が容器以外の場合には、容器検知センサ34および容器の有無を報知する手段は不要であり、ステップS03は省略される。
【0087】
また、上蓋14は装置の上面全体ではなく、装置の上面の一部だけを覆うようになっていてもよい。但し、このようになっていると上蓋14以外の装置上面部分が容器などを置くスペースになってしまう。一方、上蓋14が装置の上面全体を覆うようになっていればそのようなスペースは存在しないので、上蓋14が閉められた直後における米飯供給装置Aの上には何も載っていないことになり、装置上面における外部からの荷重の影響を確実に排除することができる。よって、上蓋14は装置の上面全体を覆うようになっているのが望ましい。
【0088】
また、本実施の形態では、上蓋14が閉鎖されたことをトリガとして第1の値である米飯残量値を計測しているが、これに限定されるものではなく、ホッパ20に米飯が投入された後の様々なタイミングをトリガとすることができる。例えば、上蓋14が開放され、且つ装置重量計測手段31による計測値が増加したとき(つまり、ホッパ20に米飯が投入されたとき)をトリガとして計測が行われるようにしてもよい。あるいは、計測指示ボタン(計測指示手段)を設けておき、米飯をホッパ20に投入した後に作業者が当該計測指示ボタンを押したことをトリガとして計測が行われるようにしてもよい。すなわち、第1の値である米飯残量値は、本実施の形態のように自動的に計測されるのではなく、作業者の指示により計測されるようにしてもよい。
【0089】
なお、ホッパ20への米飯の投入時に開閉操作される上蓋14の上面における異物(容器など)の有無を検知する異物検知手段(例えば、圧力センサ、ロードセル、光センサなど)を備えておいて、上蓋14が閉鎖されたことが蓋開閉検知センサ35により検知されるとともに、異物検知手段により上蓋14に異物がないと検知され、さらに米飯を容器に供給する前に第1の値(装置重量計測手段31の計測値から装置自重値を減算した値)を計測するようにしてもよい。このような構成にすれば、上蓋14が閉鎖されたことが蓋開閉検知センサ35により検知されてから予め設定された時間が経過していても、上蓋14に異物がなければ米飯残量値を計測することができる。
【0090】
さらに、本実施の形態では、搬送スクリュ21、解しローラ22および開閉カップ23で米飯供給手段が構成されているが、ホッパ20に貯留されている米飯を容器に供給することができれば足り、本実施の形態に示す米飯供給手段の構成に限定されるものではない。
【0091】
そして、本実施の形態では、容器底面に取り付けられた脚部29は4個であるが、3個以上であればよく、4個に限定されるものではない。なお、装置重量を計測するための歪みゲージユニット33は、全ての脚部29に設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
以上の説明では、本発明を、貯留部内の米飯を容器に落下供給する米飯供給装置に適用した場合が示されているが、これに限定されるものではない。例えば、貯留部内の米飯を適量取り出してシャリ玉やおにぎりに成形したり、シート状にして板海苔の上に供給する米飯供給装置など、様々な米飯供給装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
14 上蓋(蓋部材)
16 入力・表示部(表示手段・報知手段)
20 ホッパ(貯留部)
21 搬送スクリュ(搬送手段:米飯供給手段の一部)
22 解しローラ(解し手段:米飯供給手段の一部)
23 開閉カップ(米飯供給手段の一部)
24 計量器(第2の重量計測手段)
25 撹拌羽根(撹拌手段)
29 脚部
30 制御部(残量計測部:制御手段・残量計測手段)
31 装置重量計測手段(第1の重量計測手段)
33 歪みゲージユニット
33a 起歪プレート(起歪体)
33b 歪みゲージ
34 容器検知センサ(容器検知手段)
35 蓋開閉検知センサ(蓋開閉検知手段)
36 メモリ
A 米飯供給装置
M1 搬送用モータ
M2 撹拌用モータ
M3 解し用モータ
M4 カップ用モータ
R 米飯
T 容器(受容部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16