(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240712BHJP
F21V 31/03 20060101ALI20240712BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20240712BHJP
F21S 8/00 20060101ALI20240712BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240712BHJP
F21V 23/04 20060101ALI20240712BHJP
F21W 131/10 20060101ALN20240712BHJP
F21Y 105/10 20160101ALN20240712BHJP
F21Y 113/13 20160101ALN20240712BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240712BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20240712BHJP
【FI】
F21S2/00 381
F21V31/03 400
F21V31/00 100
F21S8/00 110
F21S2/00 380
F21V23/00 140
F21V23/04 500
F21W131:10
F21Y105:10
F21Y113:13
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2022070630
(22)【出願日】2022-04-22
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】岩本 征也
(72)【発明者】
【氏名】池永 遼
【審査官】下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-073717(JP,A)
【文献】特開2012-169207(JP,A)
【文献】特開2004-111284(JP,A)
【文献】特開2012-119283(JP,A)
【文献】特開2017-032840(JP,A)
【文献】特開2018-137106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 31/03
F21V 31/00
F21S 8/00
F21V 23/00
F21V 23/04
F21W 131/10
F21Y 105/10
F21Y 113/13
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体側面を備える筐体と、前記筐体内に設置された光源を備え、前記筐体の上面に光出射面を有する照明装置であって、
前記筐
体の上面に
パッキンを備えるとともに、前記パッキンと前記筐体側面における筐体側面壁部の
間に溝を備え、
一断面において前記筐体側面壁部
が除去された第1排水口が設けられた
照明装置。
【請求項2】
筐体側面を備える筐体と、前記筐体側面の一つに接する第2の筐体と、前記筐体内に設置された光源を備え、前記筐体の上面に光出射面を有する照明装置であって、
前記筐体側面の上面において、前記第2の筐体と接する部分の内側に溝を備え、
前記溝が、前記第2の筐体の側面における第2排水口に通じている、
照明装置。
【請求項3】
筐体側面を備える筐体と、前記筐体内に設置された光源を備え、前記筐体の上面に光出射面を有する照明装置であって、
前記筐体側面に開口部が設けられ、前記開口部が電波透過性の防水キャップで覆われ、
前記筐体と前記防水キャップで画定された筐体防水領域内に、前記光源の照明制御用の電波通信器が設置されている、
照明装置。
【請求項4】
前記防水キャップは、その一部が前記筐体側面の外表面を前記開口部に延長した面より外部に突出する形状である、請求項3記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に屋外で用いる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外で用いる照明装置は、雨を考慮した防水が必要である。屋外で用いられる照明装置は、屋内照明装置と同様、下向きに照明する場合があるが、上向きに光を照射するアッパーライトとよばれる照明装置や、下向き・上向き兼用の照明装置もある。特にアッパーライトでは、光出射面が上を向き、光出射面に雨が当たる場合があるため、内部の防水とともに、速やかに雨を排出できることが望ましい。
【0003】
特許文献1は、光軸の断面が円形の筐体を備えた照明装置であって、本体部とフード部の間に孔を設け、本体部のレンズが被水しても、孔から下方に水が排出されるようになっている。
【0004】
特許文献2は、断面が直方体の筐体を備えた照明装置であって、筐体と前面カバー押さえの外形がほぼ同じになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-128025号公報
【文献】特開2019-197637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、例えば地面近くに設置して、光を上向きに照射することにより、建物の壁面を照らす用途に用いることのできる照明装置を開発している。そのような照明装置としては、雨に耐えられる防水性が大事であるとともに、照明装置が近くに見えるため、外観デザインも重要である。
【0007】
そこで、本発明は、良好な排水性を有するとともに、外観デザインに優れた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、筐体側面を備える筐体と、前記筐体内に設置された光源を備え、前記筐体の上面に光出射面を有する照明装置であって、
前記筐体側面の上面にパッキンを備えるとともに、前記パッキンと前記筐体側面における筐体側面壁部の間に溝を備え、
一断面において前記筐体側面壁部が除去された第1排水口が設けられた
照明装置である。
【0009】
本発明は、筐体側面を備える筐体と、前記筐体側面の一つに接する第2の筐体と、前記筐体内に設置された光源を備え、前記筐体の上面に光出射面を有する照明装置であって、
前記筐体側面の上面において、前記第2の筐体と接する部分の内側に溝を備え、
前記溝が、前記第2の筐体の側面における第2排水口に通じている、
照明装置である。
【0010】
本発明は、筐体側面を備える筐体と、前記筐体内に設置された光源を備え、前記筐体の上面に光出射面を有する照明装置であって、
前記筐体側面に開口部が設けられ、前記開口部が電波透過性の防水キャップで覆われ、
前記筐体と前記防水キャップで画定された筐体防水領域内に、前記光源の照明制御用の電波通信器が設置されている、
照明装置である。
【0011】
本発明は、前記防水キャップが、その一部が前記筐体側面の外表面を前記開口部に延長した面より外部に突出する形状であってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明においては、屋外で用いることのある照明装置において、光出射面近傍の水を排出することができる。
【0013】
また、本発明においては、電波通信器の外部に防水性を持たせることにより、防水性と通信機能の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】実施形態1の照明装置の溝と排水口の関係を説明するための上面図
【
図7】実施形態1の照明装置のワイヤレスモジュール用開口部の断面図
【
図10】実施形態1の照明装置に用いる3色のLEDの色度図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
<基本構成>
本実施形態に係る照明装置300の斜視図を
図1に示す。照明装置300は箱型のスポットライトであって、筐体312と配線ボックス360(第2の筐体とも呼ぶ)からなる灯体310がアーム370に接続され、光の向きを変えることができる。照明装置300の光量・光色制御のため、照明制御装置380も用いられる。
【0016】
<灯体>
図2は、灯体310の内部を説明するための、
図1のA-A線に沿った断面図である。筐体312,光源ベース335,光源320,反射板327,光拡散板328,光透過板329、パッキン338,押さえ板330、ネジ334、電源350などを備え、筐体上面側に設けられた光出射面である光透過板329から光が出射する。説明のため、灯体310を基準にして、x、z方向を図示の通りとし、z方向を「上側」、z方向の面を「上面」とも呼ぶ。ここでの「上」は重力方向に対する「上」とは異なる概念である。y方向は
図2における奥行方向である。
【0017】
<筐体>
筐体312はアルミダイキャスト(アルミダイカスト)により製造され、筐体底面313と4つの筐体側面314A(
図2の右)、314B(
図1、
図2の手前側)、314C(
図2の左)、314D(
図2の奥)(この4つを合わせて筐体側面314とする)が一体になったものである。
【0018】
<配線ボックス>
配線ボックス360(第2の筐体)は、筐体312から延びた給電線349(
図2参照)を器具外に設置された電灯線349Eに接続部349Jで接続するための部分である。
図2における配線ボックス側面363Dが、筐体312の筐体側面314Bに接して固定されている。配線ボックス360の内部は防水構造ではない。従って、雨が内部に入ることもあるが、内部の水が比較的早く抜けるようになっている。
【0019】
<筐体内部の防水構造>
図2及び
図4を参照して、筐体側面314の上面(z方向)には、凹部336が設けられ、そこにパッキン338が挿入されている。パッキン338の上に重なるように光透過板329が設置され、その上に押さえ板330が置かれている。筐体側面314の上面に、複数のネジ穴が設けられ、そこにネジ334が取り付けられている。ネジ334を、押さえ板330の上からネジ穴に入れて締め付けることにより、パッキン338が押しつぶされ、筐体内部の防水性が確保される。
図2におけるパッキン338の上面には、凸部が2か所設けられており、仮に一方の凸部の接触面から水が浸入しても、もう一つの凸部の接触面により浸水が防止される。
【0020】
<押さえ板>
図2において、押さえ板330は、四辺を下方向に折り曲げており、
図2において、押さえ板折り曲げ部330D、330Bとして示されている。断面にないため図示されていないが、押さえ板折り曲げ部330A(断面の手前側)、330C(奥側)がある。
【0021】
<排水構造>
図2に示すように、照明装置300においては、筐体側面314の高さと押さえ板330の上面位置(z方向)を同じにすることにより、特に側面から見た場合の外観デザインをすっきりさせている。そのため、押さえ板330と筐体側面壁部315の間に溝316を設けている。z方向が重力方向の上側になるように照明装置300を設置した場合、降雨により溝316、溝318に水がたまることがある。そこで、
図1に示す第1排水口317、第2排水口319を設けている。溝と排水口の関係を説明するための上面図を
図3に示す。
図3においては溝と排水口を説明するために必要な構成のみ図示している。奥側、左側、手前側の溝316が第1排水口317に接続しており、右側の溝318及び奥側・手前側の溝316の右側が第2排水口319に接続している。なお、溝316・溝318として、ここでは筐体側面314の上面において凹部336の周囲より掘り込んだ形状としているが、筐体側面壁部315・配線ボックス側面363Dより下側にあればよく、例えば凹部336の周囲と同じ高さであってもよい。
【0022】
水はいずれ蒸発するためこのような排水口は不要という考え方もあるが、排水口を設けることにより、パッキン338などに水が長時間接触することがなく、パッキン338などの劣化や意図せぬ浸水が生じることを防止できる。
【0023】
第1排水口317を含む断面拡大図を
図4に示す。点線で示された筐体側面壁部315は、第1排水口317を含む断面には存在しないが他の断面において存在する部分であり、溝316の壁として機能している。第1排水口317は、部分的に筐体側面壁部315を除去したものであって、筐体側面314A・314Cの右側と筐体側面314Bの前側・後ろ側に、目立たないように設けられている。筐体側面314Dにおける溝316に流れてきた水は、y方向(
図4の奥行方向)に沿って第1排水口317まで流れ、そこで排出される。同様に、筐体側面314A・314C(
図2の奥側)における溝316の水は、x方向に沿って第1排水口317又は第2排水口319まで流れ、そこで排出される。
【0024】
図5は、溝318と第2排水口319を説明するための、筐体・配線ボックスの側面と上面の斜視図、
図2は断面図、
図6は断面図及び側面図、つまり
図6の左半分(CS)は筐体の内部断面図、
図6の右半分は配線ボックス側の側面図である。
【0025】
図2及び
図3を参照して、筐体側面314Bの上面における配線ボックス側面363Dとの境界部分に、溝318が設けられている。つまり、配線ボックス側面363Dと溝318の関係が、筐体側面壁部315と溝316の関係に対応している。
【0026】
図5に示すように、配線ボックスの側面における側板364Aと筐体側面314Aの間に隙間が設けられ、この隙間が第2排水口319として機能する。溝318の水は、y方向手前又は奥に流れ、第2排水口319に到達して外部に排出される。なお、溝318は溝316ともつながっており、筐体側面314Aの溝318を右側に流れてきた水も第2排水口319より排出される。第2排水口319は、筐体側面314Aと側板364Aの間のデザイン的な線になっており、違和感のないデザインになっている。
【0027】
図6を参照して、配線ボックス側面363Dの高さが手前側(第2排水口319近傍)で低くなっており、溝318にたまった水Wが第2排水口319に導かれる。
【0028】
<アーム>
図1を参照して、アーム370は、基部372、取付部374,この2つを接続するジョイント376を備え、ジョイント376により基部372と取付部374の角度が変えられるようになっている。そのため、照明装置300の光の向きを適切に調節することができる。
図1では、アーム370に対して配線ボックス360と灯体310が上向きに取り付けられている場合を示しているが、灯体の光出射方向が下向きになるようにアーム370に取り付けてもよい。
【0029】
<電源>
電源350は、給電線349より外部から電力(交流)の供給を受け、駆動線351により光源320に駆動電力(直流)を供給する。後述する3色のLEDを備えた光源320を駆動するため、3色のLEDをそれぞれ独立して駆動するための3chの駆動出力を備える。電源350と配線で接続されたワイヤレスモジュール352が制御信号を電源350に伝送することによって、3chの駆動出力がそれぞれ制御される。
【0030】
<ワイヤレスモジュール開口部>
ワイヤレスモジュール352は、照明制御用の電波通信器として機能する、ソケットに挿抜可能なデバイス・部品であって、ソケットを介して電源350に配線接続されている。
【0031】
ワイヤレスモジュール開口部の断面図である
図7及び斜視図である
図1を参照して、筐体側面314Aには、ワイヤレスモジュール352が外部と電波通信するための開口部340が設けられている。ワイヤレスモジュール352は、外部の照明制御装置380から送られた照明制御信号382を電源350に伝える。
【0032】
筐体側面314Aにおける開口部340の周囲に凹部344が設けられ、凹部344にはパッキン345が装着され、その前面に防水キャップ346、ワイヤレスモジュール開口部押さえ板347が、ネジ348により取り付けられることにより、開口部340が防水キャップ346で覆われている。防水キャップ346は電波透過性を備える材質であるプラスチックでできている。この構造により、筐体内部に水が入ることなく、筐体と防水キャップにより境界が画定された筐体防水領域の内部に設置されたワイヤレスモジュール352が、筐体外部の照明制御装置380や中継器などと電波で通信を行うことができる。図示のように防水キャップ346の断面形状を、筐体側面の外表面を開口部側に延長した仮想境界Eより突出させた形状とすることにより、ワイヤレスモジュール352を筐体側面より外部に突出した位置に設置することができ、それにより電波通信可能な方向を広げるなど性能を向上させることができる。
【0033】
ワイヤレスモジュール352からの電波を筐体の側面から取り出すようにしているのは、
図8を参照して後述するように、本照明装置300をアッパーライトとして用いる場合の設置状態に関係している。筐体の光透過板329から電波を送受信する構成とすれば筐体側面に開口部を設ける必要がなく防水性の点では適しているが、アッパーライトとして用いる場合、電波も光と同様に上空方向に向かうこととなり、人間が操作する照明制御装置380との通信が難しくなる。筐体の側面に開口部340を設けてそこから通信を行うことにより、アッパーライトとしての設置状態であっても良好な照明制御用の通信が可能となる。
【0034】
<照明制御装置>
照明制御装置380は、タブレット、スマートフォンあるいはPCよりなり、照明制御ソフトウエア381が動作している。ユーザーは、照明制御ソフトウエア381を用いて、3色のLEDの発光強度を調節する。照明制御装置380はWiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの通信方法によって、照明装置300と直接又は間接的に通信する。間接的に通信する場合として、ゲートウェイといった中継装置や他の照明装置に電波が中継されて通信される場合があり、途中にEthernet(登録商標)などの有線通信を介する場合もある。
【0035】
<光源と照明装置の設置>
図2を参照して、光源320は筐体底面313ではなく、上面が斜めに形成された光源ベース335の上に設置されている。そのため、光軸321は、光透過板329の法線方向を0°として15°傾斜している。このように光軸の角度を0°から変更した場合の設置例の説明図として、
図8に、アーム370を外した照明装置300を壁392に取付け、庇393の下側及び壁392を照明した場合を示している。光軸の角度をつけることにより、照明装置300を斜め向きにせずに壁に取り付けて、壁392から離れた場所まで適切に照明を行うことができ、デザイン的に優れている。なお、逆に下側を照明するように照明装置300を壁392に取り付けることにより、壁392から離れた床391の部分まで広がりのある照明することができる、光軸の光出射表面法線方向に対する角度は15度に限られず、30度、45度などとしてもよい。
【0036】
光源320の平面図を
図9に示す。光源320は、配線パターンを有する基板322に、3色の発光素子を配置したものである。発光素子としては、CSP(Chip Size Package)型LED323A(R)、CSP型LED323B(Yw)、CSP型LED323C(Bw)各20個を
図9のように配置し、基板内部の配線で直列に接続している。R・Yw・BwはLEDの発光色であり後述する。光源320は取付穴325を備え、取付穴325にネジを通して光源ベース335に締結する。光源320は配線端子326A(CSP型LED323A用)、配線端子326B(CSP型LED323B用)、配線端子326C(CSP型LED323C用)、配線端子326E(共通端子)を備え、3つの出力を有する電源350に接続され、各LEDの発光が制御される。
【0037】
<LEDの構造>
実施形態に用いる発光素子であるCSP型LED323A、CSP型LED323B、CSP型LED323Cは、InGaNなどからなる青色LEDチップと、青色LEDチップの側面及び上面を覆う蛍光体含有樹脂を備え、各LEDの底面または側面に電流を流すための端子を有するものである。蛍光体としては、青色LEDの光を吸収して緑色の光を発光する緑色、黄色の光を発光する黄色蛍光体、赤色の光を発光する赤色蛍光体のうちの1つまたはいくつかを用いる。
【0038】
以上の各LEDにおいて、黄色系蛍光体としては、例えば(Y1-xGdx)3Al5O12:Ce2+(0≦x≦1)を、緑色系蛍光体としては、例えばLu3Al5O12:Ce2+を、赤色系蛍光体としては例えばSrxCa1-xAlSiN3:Eu3+(0≦x≦1)蛍光体、Sr[LiAl3N4]:Eu2+やK2SiF6:Mn4+蛍光体を好適に用いることができる。量子ドットも好適に用いることができる。
【0039】
<LEDの色度>
本実施形態に用いるCSP型LED323としては、青白色LED「Bw」、赤色LED「R」、黄白色LED「Yw」の3つを用いる。なお、Ywは色度図上では黄色に近い色だが、他のBw・Rを同時に点灯させると緑色に近い色にも見える。
図10は、これらのLEDの色度を説明するための色度座標であり、参考のために各色温度における黒体輻射の色度を結ぶ線を点線で示している。
【0040】
青白色LEDであるBwは、
図10のCIE1931色度座標において、(0.336
,0.24)、(0.352
,0.44)、(0.15
,0.2)、(0.2
,0.1)で囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.23、0.26)である。
【0041】
赤色LEDであるRは、
図10の色度座標において、(0.66
,0.23)、(0.423
,0.355)、(0.5,0.5)と色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.60
,0.38)である。一般的な赤色の定義とは同じでないので注意されたい。
【0042】
黄白色LEDであるYwは、
図10の色度座標において、
(0.5,0.5)、(0.423
,0.355)、(0.342,0.312)、(0.352
,0.44)、(0.37
,0.63)及び色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.44
,0.47)である。
【0043】
Ywの色度範囲内のうち、各色温度における黒体輻射の色度を結ぶ線からduvがプラスの範囲内が好適であり、duvがプラス0.03から0が特に好適である。
【0044】
なお、各LEDの色度を、CIE1931における色度座標(x,y)でなくCIE1976における色度座標(u‘,v’)で表示することもでき、両者はu’=4x/(-2x+12y+3),v’=9y/(-2x+12y+3)という変換式で相互に変換可能である。その他の色度座標系で表示してもよい。
【0045】
<他の実施形態:筐体に関するバリエーション>
【0046】
実施形態1において、筐体と配線ボックスは分離可能な構成要素としたが、一体形成された筐体であってもよく、その例として、筐体側面314Bと配線ボックス側面363Dが一体化していてもよい。その場合であっても、溝318を流れてきた水が筐体の前側面に達して水を排出するための第2排水口を設ければよい。排水口の形としては筐体の底面まで続く形状(溝の形状)としてもよく、溝318の近傍だけに設けてもよい。
【0047】
実施形態1では、照明装置の筐体としては、略直方体形状としたが、略円筒形や、コーナーを湾曲させた筐体などとしてもよい。
【0048】
配線ボックスやアームは、筐体側面でなく筐体底面に設けてもよい。
【0049】
実施形態1では筐体側面のうちの一面に無線通信のための開口部を設けているが、他の筐体側面、あるいは筐体底面にも開口部を設け、そこにも防水キャップによる防水を行うことにより、送受信可能な電波の方向を広範囲にし、通信の死角をなくす、あるいは狭めることができる。
【0050】
実施形態1に用いた防水キャップは、断面において筐体外部に突出した形状としているが、例えば平坦な板状の防水キャップを用いてもよい。
【0051】
実施形態1に用いた防水キャップは、透明・半透明材料であってもよく、その場合点灯時の漏れ光により防水キャップが光り、側面から点灯状況が識別できる。一方、側面が光ることが不都合な用途に適応するため、不透明材料を用いてもよい。
【0052】
実施形態1に用いたパッキンの材質は、例えばゴムが好ましいが、柔軟性を有する材料であればよい。
【0053】
実施形態1に用いた押さえ板を省略し、光透過板を直接ネジで筐体に取り付けてもよいが、その場合、光透過板の割れや劣化がないように材質や厚さに注意する必要がある。
【0054】
<他の実施形態:光源とその制御に関するバリエーション>
【0055】
実施形態1では、3色の発光色のLEDを用いた光源を用いた例を挙げたが、高色温度及低色温度の2色、又は単色のLEDだけを用いてもよい。発光色が少ない方が、低コスト化が図れる。
【0056】
実施形態1では、LEDとして、一つの基板上にCSP型LEDを実装したものとしたが、基板上に青色LEDチップを並べ、全体を蛍光体入り樹脂で覆った、COB(Chip On Board)型LEDを用いてもよい。また、SMD(Surface Mount Device)型LEDをプリント基板に実装したものでもよい。
【0057】
発光素子は、LEDに限られず、有機EL(有機LED)や、蛍光体と励起光源が分離したもの、放電を用いるもの、電子ビームで励起するものなど、発光するものであればよい。
【0058】
実施形態1では、照明装置の発光色制御方法として無線制御の例を示したが、有線制御であってもよい。
【0059】
<他の実施形態:光学系に関するバリエーション>
【0060】
実施形態1では、光透過板329を、押さえ板330を介してネジ334で固定しているが、押さえ板330を省略して、ネジ334で直接光透過板329を固定するか、押さえ板330の代わりにウォッシャーを用いてもよい。
【0061】
実施形態1において、光拡散板は、色ムラや輝度ムラを低減するために挿入しているが、なくした方が光量は増加するため好ましい場合がある。また、光拡散板を入れる場合において、拡散の度合いを大きくしすぎないことが望ましい。
【0062】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0063】
300 照明装置
310 灯体
312 筐体
313 筐体底面
314 筐体側面
315 筐体側面壁部
316 溝
317 第1排水口
318 溝
319 第2排水口
320 光源
321 光軸
322 基板
323 CSP型LED
325 取付穴
326 配線端子
329 光透過板
330 押さえ板
334 ネジ
335 光源ベース
336 凹部
338 パッキン
340 開口部
344 凹部
345 パッキン
346 防水キャップ
347 板
348 ネジ
349 給電線
349E 電灯線
349J 接続部
350 電源
351 駆動線
352 ワイヤレスモジュール
360 配線ボックス
363D 配線ボックス側面
364A 側板
370 アーム
372 基部
374 取付部
376 ジョイント
380 照明制御装置
381 照明制御ソフトウエア
382 照明制御信号
391 床
392 壁
393 庇