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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】シール材
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240712BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20240712BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20240712BHJP
   B65D 75/32 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B27/34
B32B27/36
B65D75/32
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2016202806
(22)【出願日】2016-10-14
(65)【公開番号】P2018062377
(43)【公開日】2018-04-19
【審査請求日】2019-09-05
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】501428187
【氏名又は名称】株式会社レゾナック・パッケージング
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】ホウ ウェイ
【合議体】
【審判長】金丸 治之
【審判官】西堀 宏之
【審判官】田口 傑
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-248244(JP,A)
【文献】特開平7-156987(JP,A)
【文献】特開2002-205769(JP,A)
【文献】特開2010-167652(JP,A)
【文献】特許第3486551(JP,B2)
【文献】特開平7-276571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D65/00-65/46, B65D67/00-79/02, B32B27/34-27/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層と、接着対象物に対する接着箇所を形成するシーラント層と、を有するシール材であって、
前記基材層は、
ポリエステルフィルムと、
ウレタン系接着剤により接着されて前記ポリエステルフィルムに積層され、熱水収縮率が5%~13%であるポリアミドフィルムと、
を含み、
前記ポリアミドフィルムは、
前記ポリエステルフィルムよりも内層側に配置され、
機械流れ方向MDにおける熱水収縮率と幅方向TDにおける熱水収縮率との比MD/TDが0.8~1.2であり、
長手方向が前記機械流れ方向MDに対応し、短手方向が前記幅方向TDに対応する矩形状に形成され
前記ポリアミドフィルムと前記シーラント層との間に、ポリエチレン樹脂からなる中間層が配置され、前記ポリアミドフィルム、中間層およびシーラント層の順に積層してなることを特徴とする、矩形状開口部を有する容器の開口部をシールするシール材。
【請求項2】
前記ポリアミドフィルムは、熱水収縮率が12%以下であることを特徴とする請求項1に記載のシール材。
【請求項3】
前記シーラント層の厚みは、前記ポリエステルフィルムの厚み以上、かつ、前記ポリアミドフィルムの厚み以上であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載のシール材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール材およびシール材によってシールされた容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば固体や液体などの内容物が密封される容器には、容器の開口部を封止するシール材が用いられる。
例えば、特許文献1には、積層シートの樹脂層を透過してラミネート部を侵しやすい成分を含有する薬剤、香辛料、香料を内容物として包装する場合でも、上記成分の浸透によってデラミネーションが発生するのをより確実に回避しうる包装体、成形容器および成形容器用シートに関する技術が開示されている。また、引用文献2には、ポリアミドフィルムを含む複数層によって構成されているシール材に関する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-113181号公報
【文献】特許第3486551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シール材を構成する材料として、例えば、応力に対する耐久性を高めるために、ポリアミドフィルムが用いられる場合がある。ここで、ポリアミドフィルムは、例えば湿度が比較的に高い環境下では、吸湿して物性変化し易い。そして、ポリアミドフィルムが物性変化すると、シール材に反りが生じることがあった。
また、シール材で容器をシールする際には、例えば個々の容器の開口部形状に適合するように切断されたシール材をシール位置へ搬送する必要がある。このときに、シール材に反り(カール)が生じていると、シール材を適切に搬送し、正確なシール位置に位置決めすることが難くなるおそれがあった。
【0005】
本発明は、シール材の反りを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的のもと、本発明は、基材層と、接着対象物に対する接着箇所を形成するシーラント層と、を有するシール材であって、前記基材層は、ポリエステルフィルムと、ウレタン系接着剤により接着されて前記ポリエステルフィルムに積層され、熱水収縮率が5%~13%であるポリアミドフィルムと、を含み、前記ポリアミドフィルムは、前記ポリエステルフィルムよりも内層側に配置され、機械流れ方向MDにおける熱水収縮率と幅方向TDにおける熱水収縮率との比MD/TDが0.8~1.2であり、長手方向が前記機械流れ方向MDに対応し、短手方向が前記幅方向TDに対応する矩形状に形成され、前記ポリアミドフィルムと前記シーラント層との間に、ポリエチレン樹脂からなる中間層が配置され、前記ポリアミドフィルム、中間層およびシーラント層の順に積層してなることを特徴とする、矩形状開口部を有する容器の開口部をシールするシール材である。
さらに、前記ポリアミドフィルムは、熱水収縮率が12%以下であることを特徴とすることができる。
そして、前記シーラント層の厚みは、前記ポリエステルフィルムの厚み以上、かつ、前記ポリアミドフィルムの厚み以上であることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シール材の反りを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の一例である包装材の全体構成を示した図である。
図2】本実施形態のシール材の層構成の説明図である。
図3】(A)、(B)および(C)は、反り量の試験の説明図である。
図4】反り量の試験および突き刺し強さ試験の確認結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の一例である包装材1の全体構成を示した図である。
【0010】
[包装材1]
図1に示すように、包装材1は、容器2と、容器2を閉蓋するシール材3とを備える。
容器2は、矩形状の開口部21と、開口部21の周縁に形成されるフランジ部22とを有する箱状に形成されている。本実施形態の容器2の材料には、例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン等を用いることができる。容器2の材料に、これらの材料を用いた場合には、射出成形、圧縮成形、熱成形等の樹脂成型によって容器2を形成することができる。また、本実施形態の容器2の材料には、アルミニウムや銅等の金属箔にポリオレフィンやポリエステル等の樹脂を積層させたラミネート体を用いることができる。容器2の材料に、これらの材料を用いた場合には、樹脂層を内側にし、深絞り成形や張り出し成形などプレス成形によって容器2を形成することができる。
【0011】
そして、容器2には、内容物として、例えば乳液などの化粧品、清涼飲料水、液体洗剤、インクなど、液体が収容される。また、容器2には、内容物として、小麦粉などの食品、ファンデーションなどの化粧品、トナーなど、粉体が収容される。また、容器2には、内容物として、離乳食や味噌など、液体と固体が懸濁したスラリー状のものが収容される。
【0012】
シール材3は、本実施形態では、開口部21に対応して、矩形状に形成されている。また、シール材3は、例えば熱圧着により容器2のフランジ部22にヒートシールされる。そして、容器2の開口部21は、シール材3によって閉塞される。
なお、本実施形態において、シール材3の長手方向は、後述する機械流れ方向(MD)に対応し、シール材3の短手方向は、MD(機械流れ方向)に対して直交する方向、つまり幅方向(TD)に対応している。
【0013】
また、シール材3は、容器2にシールされた後、剥がすことが可能になっている。本実施形態の包装材1では、例えば容器2にシールされたシール材3の端部を摘まみながら所定方向に引っ張ることによって、容器2からシール材3を剥がし、開口部21を開放することができるようになっている。
【0014】
ここで、本発明者は、シール材3の層構成においてポリアミドフィルムを用いた場合に、ポリアミドフィルムの吸湿に伴う物性変化により、シール材3に反りが生じ得ることを知得した。そこで、本発明者は、シール材3における反りが抑制される条件について、ポリアミドフィルムに関する構成等について鋭意検討した結果、本実施形態のシール材3の構成を見出した。
以下、本実施形態のシール材3について、詳細に説明する。
【0015】
〔シール材3〕
図2は、本実施形態のシール材3の層構成の説明図である。
図2に示すように、シール材3は、基材層40と、基材層40に積層される中間層50と、中間層50に積層されるシーラント層60とを有している。
基材層40は、容器2に収容される内容物を保護する保護層として機能する。中間層50は、シール材3全体の厚みを一定以上にし、基材層40に加えて、内容物の保護機能を強化する。また、シーラント層60は、シール材3の取り付け対象である容器2に対する接着箇所を形成する。
【0016】
(基材層40)
基材層40は、第1基材層41と、第1基材層41に積層される第2基材層42とを有している。
第1基材層41は、第2基材層42よりも外側(シーラント層60に対して遠い側)に設けられる。なお、本実施形態において、第1基材層41は、シール材3の最外層に設けられる。また、本実施形態において、第2基材層42には、後述する中間層50が積層される。
【0017】
そして、第1基材層41には、ポリエステルフィルムを用いている。本実施形態において、第1基材層41は、2軸延伸により作成された延伸ポリエステルフィルムである。第1基材層41としてのポリエステルには、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を用いることができる。
本実施形態において、第1基材層41の厚みは、9μm~25μmであることが好ましい。
なお、第1基材層41としてポリエステルフィルムを用いる場合には、延伸ポリエステルフィルムや無延伸ポリエステルフィルムのどちらでも良いが、特に、延伸フィルム、さらには2軸延伸フィルムが好ましい。
【0018】
また、本実施形態では、第1基材層41としてポリエステルフィルムを用いることによって、シール材3の引っ張り強度を高めている。また、本実施形態のシール材3では、最外層である第1基材層41に吸水性が比較的低いポリエステルフィルムを用いることによって、第1基材層41の内側に形成される第2基材層42に水分が到達し難くなるようにしている。さらに、本実施形態では、最外層である第1基材層41にポリエステルフィルムを用いることで、後述する突き刺し強さも高めている。
【0019】
第2基材層42には、ポリアミドフィルムを用いている。本実施形態において、第2基材層42は、2軸延伸により作成された延伸ポリアミドフィルムである。第2基材層42としてのポリアミドには、例えば6ナイロン、6,6ナイロン、MXDナイロンを用いることができる。
本実施形態のシール材3では、第2基材層42としてポリアミドフィルムを設けることによって、シール材3に物が接触するなどシール材3が突き刺しを受けた場合の耐突き刺し性能の向上を図っている。
【0020】
なお、第2基材層42としてポリアミドフィルムを用いる場合には、延伸フィルムや無延伸フィルムのどちらでも良いが、特に、2軸延伸フィルムが好ましい。さらに、第2基材層42の厚みは、10μm~40μmにすることが好ましく、特に15μm~30μmがより好ましい。
【0021】
そして、第2基材層42には、熱水収縮率が1.5%以上のポリアミドフィルムを用いることが好ましく、さらに、第2基材層42には、熱水収縮率が12%以下のポリアミドフィルムを用いることがより好ましい。また、「TDにおける熱水収縮率」に対する「MDにおける熱水収縮率」の比(MD/TD)が0.8~1.2の範囲にある2軸延伸フィルムが好ましい。
【0022】
なお、熱水収縮率とは、ポリアミドフィルムの試験片(10cm×10cm)を95℃の熱水中に30分間浸漬した際の浸漬前後の試験片の延伸方向における寸法変化率であり、次式で求められる。
熱水収縮率(%)={(X-Y)/X}×100
ここで、X:浸漬処理前の延伸方向の寸法、Y:浸漬処理後の延伸方向の寸法である。
なお、2軸延伸フィルムを採用する場合における熱水収縮率は、2つの延伸方向(MD、TD)における寸法変化率の平均値である。
【0023】
そして、第1基材層41としてポリエステルフィルムを用い、第2基材層42としてポリアミドフィルムを用いる場合には、例えば第1基材層41にウレタン樹脂系接着剤を塗布し、例えばドライラミネートなどによって第2基材層42と貼り合わせる。
なお、両者の貼り合わせの際、第1基材層41としてのポリエステルフィルム(ロール)にかける機械流れ方向(MD)の張力は、第2基材層42としてのポリアミドフィルム(ロール)のMDの張力よりも高くしている。これによって、本実施形態では、シール材3のカールの発生を低減している。
【0024】
(中間層50)
中間層50は、ポリエチレン樹脂を用いている。また、中間層50の厚みは、15μm~50μmにすることが好ましい。
中間層50は、基材層40の第2基材層42に対して溶融させたポリエチレン樹脂を押し出しながらコートする押出ラミネートによって形成している。
【0025】
(シーラント層60)
シーラント層60には、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂などを用いることができる。本実施形態のシーラント層60は、基材層40上に形成された中間層50に対して、さらに溶融させたエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂を押し出しながらコートする押出ラミネートによって形成している。
【0026】
シーラント層60の厚みは、15μm~50μmにすることが好ましい。シーラント層60の厚みは、より厚い方がシール材3の反りが抑制される。本実施形態では、シーラント層60の厚みは、第1基材層41としてのポリエステルフィルムの厚み以上にしている。また、シーラント層60の厚みは、第2基材層42としてのポリアミドフィルムの厚み以上にしている。さらに、シーラント層60の厚みは、中間層50の厚み以上にしている。
【0027】
なお、シーラント層60は、上記の材料に限定されない。例えば、容器2の最内層(シール材3と接触(熱圧着)する層)にポリプロピレンを用いる場合には、シーラント層60をポリプロピレン系の材料によって形成することができる。
【0028】
また、中間層50およびシーラント層60を押出ラミネートにより形成する際には、シングル法を2回行っても良く、タンデム法によって連続で行っても良い。
【0029】
そして、本実施形態のシール材3では、第2基材層42に対して、第1基材層41とは反対側の面に中間層50やシーラント層60を設けている。これによって、本実施形態のシール材3では、第1基材層41とは反対側においてから、第2基材層42に水分が到達し難くなるようにしている。
【実施例
【0030】
(実施例1)
実施例1のシール材3は、以下の層構成となっている。基材層40の第1基材層41には、ポリエステルとして2軸延伸のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。第1基材層41の厚みは、16μmである。基材層40の第2基材層42には、ポリアミドとして熱水収縮率が1.5%である6ナイロンの2軸延伸フィルムを用いた。第2基材層42の厚みは、25μmである。そして、第1基材層41と第2基材層42とは、塗布量が厚み3μmまたは3g/mとなるようにウレタン系接着剤を塗布して貼り合せた。
また、中間層50には、ポリエチレン樹脂を用いた。中間層50の厚みは、35μmである。さらにまた、シーラント層60には、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂を用いた。シーラント層60の厚みは、35μmである。なお、中間層50とシーラント層60は、タンデム法で押し出しラミネートにより積層した。
【0031】
(実施例2)
実施例2のシール材3の層構成は、実施例1と同じである。そして、実施例2のシール材3では、第2基材層42として、熱水収縮率が5.0%のポリアミドフィルムを用いている。
【0032】
(実施例3)
実施例3のシール材3の層構成は、実施例1と同じである。そして、実施例3のシール材3では、第2基材層42として、熱水収縮率が12%のポリアミドフィルムを用いている。
【0033】
(実施例4)
実施例4のシール材3の層構成は、実施例1と同じである。そして、実施例4のシール材3では、第2基材層42として、熱水収縮率が13%のポリアミドフィルムを用いている。
【0034】
(比較例1)
比較例1のシール材の層構成は、実施例1と基本的に同じである。そして、比較例1のシール材では、第2基材層42として、熱水収縮率が1.0%のポリアミドフィルムを用いている。
【0035】
(比較例2)
比較例2のシール材は、実施例1の第1基材層41としてのポリエステルフィルムを設けていないものである。すなわち、比較例2のシール材における基材層は、ポリアミドフィルムのみを有している。また、ポリアミドフィルムの熱水収縮率は、5.0%である。なお、比較例2のシール材において、他の構成は、実施例1と同じである。
【0036】
[反り量の試験および突き刺し強さ試験]
続いて、上述した実施例1~実施例4、比較例1~比較例2のシール材に対して行った反り量の試験および突き刺し強さ試験について説明する。
【0037】
〔反り量の試験〕
まず、反り量(カール量)の試験について説明する。
図3は、反り量の試験の説明図である。
反り量の試験は、以下の条件に基づいて行った。まず、図3(A)に示すように、シール材3の製造時におけるフィルムロールのMDにおいて40mm、幅方向TDにおいて20mmの試料を作成した。そして、作成した試料は、23℃であって湿度50%Rhの環境下に24時間置いた。なお、試料は、基材層40側を上にした状態で水平な面に設置した。そして、図3(B)および図3(C)に示すように、試料の水平面から最も離れている箇所における水平面からの位置を測定し、各試料の反り量hとした。
また、試料の反り量hの評価は、5mm以下を合格とし、5mmよりも大きいものは不合格とした。
【0038】
〔突き刺し強さ試験〕
次に、突き刺し強さ試験について説明する。
突き刺し強さ試験は、JIS Z 1707(1997)食品包装用プラスチックフィルム通則に記載される突き刺し強さ試験に則って行った。また。評価は、突き刺し強さの級区分である3級の中央値である15N以上を○の合格、下限値までの10N以上かつ15Nより小さいものを△の合格として、10Nよりも小さいものを×の不合格とした。
【0039】
図4は、反り量の試験および突き刺し強さ試験の確認結果を示す図である。
まず、反り量の試験の結果として、実施例1~実施例4および比較例1~比較例2の各試料において、幅方向TD(図3(B)参照)において湾曲する反りが確認された。このシール材の反りは、ポリアミドフィルム(6ナイロンの2軸延伸フィルム)の吸湿に伴う物性変化(剛性変化)が起こり、均衡されていたシーラント層60との応力に変化が生じたことにより発生したものと考える。なお、基材層40(第1基材層41)側が凹となり、シーラント層60側が凸となる反りが確認された。
【0040】
そして、図4に示すように、実施例1、実施例2および実施例3のシール材は、反り量および突き刺し強さの評価結果が共に合格であった。また、実施例4のシール材は、反り量の評価結果が合格であったものの、突き刺し強さの評価結果が合格ではあるが他より劣る結果であった。
また、比較例1のシール材は、突き刺し強さの評価結果が合格であったものの、反り量の評価結果が不合格であった。さらに、比較例2のシール材は、突き刺し強さの評価結果が合格であったものの、反り量の評価結果が不合格であった。
【0041】
そして、確認結果より、反りが抑制されるという点では、ポリアミドフィルムの熱水収縮率が1.5%以上であることが好ましいという知見が得られた。また、反り量は、ポリアミドフィルムの熱水収縮率が大きいほど、小さくなるという知見も得られた。
【0042】
また、比較例2の確認結果より、第1基材層41としてポリエステルフィルムが設けられていない場合には、熱水収縮率が1.5%以上のポリアミドフィルムを用いても、反り量が大きくなることが判った。
【0043】
一方、突き刺し強さの評価結果が合格となるという点では、ポリアミドフィルムの熱水収縮率が12%以下であることが好ましいという知見が得られた。また、突き刺し強さは、ポリアミドフィルムの熱水収縮率が小さいほど、大きくなるという知見も得られた。
【0044】
以上より、反り量および突き刺し強さの両方の評価結果が合格基準を超えるという点では、ポリアミドフィルムの熱水収縮率を1.5%以上であって12%以下とすることが好ましいという結果が得られた。
【0045】
なお、本実施形態のシール材3においては、基材層40とシーラント層60との間に中間層50を設ける構成を採用しているが、中間層50は、必須の構成ではない。例えば、基材層40に対してシーラント層60を直接的に形成するようにしても良い。
また、本実施形態のシール材3においては、最外層にポリエステルフィルムが設けられる構成を採用したが、ポリアミドフィルムが最外層に設けられるようにしても良い。
【符号の説明】
【0046】
1…包装材、2…容器、3…シール材、21…開口部、22…フランジ部、40…基材層、41…第1基材層、42…第2基材層、50…中間層、60…シーラント層
図1
図2
図3
図4