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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】自転車、及び自転車用動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 1/10 20100101AFI20240712BHJP
   B62M 9/00 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B62M1/10 A
B62M9/00 A
B62M9/00 E
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018190756
(22)【出願日】2018-10-09
(65)【公開番号】P2020059347
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-09-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】松岡 佳宏
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】横溝 顕範
【審判官】中村 則夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-2604(JP,A)
【文献】特開2012-13626(JP,A)
【文献】米国特許第5035678(US,A)
【文献】特開2013-112331(JP,A)
【文献】実開平4-132224(JP,U)
【文献】実開平1-165333(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M1/10
B62M3/00
B62M6/40-6/50
B62M9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動アシスト自転車を除く自転車であって、
クランク軸と、
前記クランク軸の両端部に取り付けられる一対のクランクアームと、
周方向に延びる入力窓部を有し、前記クランク軸からトルクが入力される入力プレートと、
前記入力窓部と対向するように配置された第1出力窓部を有し、軸方向において前記入力プレートの側方に配置され、前記入力プレートに対して相対回転可能な第1出力プレートと、
前記第1出力プレートに取り付けられるスプロケットと、
前記入力窓部及び第1出力窓部に収容され、前記入力プレートと前記第1出力プレートとを弾性的に連結する弾性部材と、
を備える、自転車。
【請求項2】
前記入力窓部と対向するように配置された第2出力窓部を有し、軸方向において前記入力プレートを前記第1出力プレートと挟むように配置され、前記入力プレートに対して相対回転可能な第2出力プレートをさらに備える、
請求項1に記載の自転車。
【請求項3】
軸方向に延び、前記第1出力プレートと前記第2出力プレートとを連結する固定ピンをさらに備える、
請求項2に記載の自転車。
【請求項4】
前記入力プレートは、周方向に延びるストッパ孔を有し、
前記固定ピンは、前記ストッパ孔を介して軸方向に延びる、
請求項3に記載の自転車。
【請求項5】
前記第1出力プレートは、前記第1出力窓部の周縁部から延びて前記弾性部材の軸方向移動を規制する第1規制部を有する、
請求項1から4のいずれかに記載の自転車。
【請求項6】
前記入力プレートと前記第1出力プレートとの間に配置される第1スラスト部材をさらに備える、
請求項1から5のいずれかに記載の自転車。
【請求項7】
前記スプロケットは、前記固定ピンによって前記第1出力プレートに取り付けられる、
請求項3又は4に記載の自転車。
【請求項8】
前記スプロケットは、前記第1出力プレートと一体的に形成される、
請求項1から6のいずれかに記載の自転車。
【請求項9】
前記弾性部材は、コイルスプリングである、
請求項1から8のいずれかに記載の自転車。
【請求項10】
電動アシスト自転車を除く自転車に用いられ、クランク軸に入力されたトルクを駆動輪へと伝達する自転車用動力伝達装置であって、
周方向に延びる入力窓部を有し、前記クランク軸と一体的に回転する入力プレートと、
前記入力窓部と対向するように配置された第1出力窓部を有し、軸方向において前記入力プレートの側方に配置され、前記入力プレートに対して相対回転可能な第1出力プレートと、
前記第1出力プレートに取り付けられるスプロケットと、
前記入力窓部及び第1出力窓部に収容され、前記入力プレートと前記第1出力プレートとを弾性的に連結する弾性部材と、
を備える、自転車用動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車、及び自転車用動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、内部回転部材と、外部回転部材と、弾性変形部とを有する自転車が提案されている。内部回転部材は回転軸と一体的に回転する。外部回転部材は内部回転部材と相対回転可能である。内部回転部材は外周凸部を有しており、外部回転部材は内周凸部を有している。外周凸部と内周凸部とは同一円周上に配置されている。この外周凸部と内周凸部との間に弾性変形部が配置されている。
【0003】
この自転車によれば、例えば内部回転部材にトルクが入力されて内部回転部材と外部回転部材とが相対回転すると、外周凸部と内周凸部とに挟まれた弾性変形部が圧縮変形する。そして、入力トルクが小さくなったときに、弾性変形部の復元力によって入力トルクを補うことによって、入力トルクの変動を吸収して回転を安定化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4456179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように構成された自転車において、入力プレートと出力プレートとの捩れ角を大きくして十分に入力トルクの変動を吸収することが好ましい。
【0006】
本発明の課題は、入力プレートと出力プレートとの捩れ角の広角化にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1側面に係る自転車は、クランク軸と、一対のクランクアームと、入力プレートと、第1出力プレートと、スプロケットと、弾性部材とを備えている。クランクアームは、クランク軸の両端部に取り付けられる。入力プレートは、周方向に延びる入力窓部を有する。入力プレートは、クランク軸からトルクが入力される。第1出力プレートは、入力窓部と対向するように配置された第1出力窓部を有する。第1出力プレートは、軸方向において入力プレートの側方に配置される。第1出力プレートは、入力プレートに対して相対回転可能である。スプロケットは、第1出力プレートに取り付けられる。弾性部材は、入力窓部及び第1出力窓部に収容される。弾性部材は、入力プレートと第1出力プレートとを弾性的に連結する。
【0008】
この構成によれば、クランク軸に入力された入力トルクが入力プレートに伝達され、入力プレートが回転し、入力プレートと第1出力プレートとが相対回転する。入力プレートと第1出力プレートとが相対回転すると、入力窓と第1出力窓とに亘って収容された弾性部材が周方向に圧縮される。そして、入力トルクが小さくなると、弾性部材の復元力によって入力トルクを補い、入力トルクの変動が弾性部材によって吸収される。そして、入力プレートと第1出力プレートとは軸方向に並んでいるため、従来のように外周凸部と内周凸部とが同一円周上に配置されたものと比べて、入力プレートと第1出力プレートとの捩れ角を広角化することができる。
【0009】
好ましくは、自転車は、第2出力プレートをさらに備える。第2出力プレートは、入力窓部と対向するように配置された第2出力窓部を有する。第2出力プレートは、軸方向において入力プレートを第1出力プレートと挟むように配置される。第2出力プレートは、入力プレートに対して相対回転可能である。
【0010】
好ましくは、自転車は、固定ピンをさらに備える。固定ピンは、軸方向に延び、第1出力プレートと第2出力プレートとを連結する。
【0011】
好ましくは、入力プレートは、周方向に延びるストッパ孔を有する。固定ピンは、ストッパ孔を介して軸方向に延びる。なお、ストッパ孔は、スリットや切欠などを含む概念である。
【0012】
好ましくは、第1出力プレートは、第1出力窓部の周縁部から延びて弾性部材の軸方向移動を規制する第1規制部を有する。
【0013】
好ましくは、自転車は、第1スラスト部材をさらに備える。第1スラスト部材は、入力プレートと第1出力プレートとの間に配置される。この構成によれば、入力プレートと第1出力プレートとの軸方向距離を一定に保持することができる。
【0014】
好ましくは、スプロケットは、固定ピンによって第1出力プレートに取り付けられる。
【0015】
好ましくは、スプロケットは、第1出力プレートと一体的に形成される。
【0016】
好ましくは、弾性部材は、コイルスプリングである。
【0017】
本発明の第2側面に係る自転車用動力伝達装置は、クランク軸に入力されたトルクを駆動輪へと伝達する。この自転車用動力伝達装置は、入力プレートと、第1出力プレートと、スプロケットと、弾性部材とを備えている。入力プレートは、周方向に延びる入力窓部を有する。入力プレートは、クランク軸と一体的に回転する。第1出力プレートは、入力窓部と対向するように配置された第1出力窓部を有する。第1出力プレートは、軸方向において入力プレートの側方に配置される。第1出力プレートは、入力プレートに対して相対回転可能である。スプロケットは、第1出力プレートに取り付けられる。弾性部材は、入力窓部及び第1出力窓部に収容される。弾性部材は、入力プレートと第1出力プレートとを弾性的に連結する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、入力プレートと出力プレートとの捩れ角を広角化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】自転車の拡大断面図。
図2】自転車用動力伝達装置の断面図。
図3】自転車用動力伝達装置の一部断面図。
図4】自転車用動力伝達装置の一部断面図。
図5】走行時間と、駆動力及び車速との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る自転車用動力伝達装置を用いた自転車の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、軸方向とは、クランク軸の回転軸Oが延びる方向を言う。また、周方向とは、クランク軸の回転軸Oを中心とした円の周方向を言い、径方向とは、クランク軸の回転軸Oを中心とした円の径方向を言う。
【0021】
[自転車]
図1に示すように、自転車100は、クランク軸1、一対のクランクアーム2、及び自転車用動力伝達装置10を備えている。クランク軸1は、フレーム101に回転可能に支持されている。一対のクランクアーム2は、クランク軸1の両端部に取り付けられている。各クランクアーム2は、互いに180度の位相差となるように配置されている。なお、クランクアーム2の先端部にはペダルが取り付けられており、ペダルを漕ぐことによってクランク軸1に入力トルクが入力され、クランク軸1が回転する。
【0022】
[自転車用動力伝達装置]
自転車用動力伝達装置10は、ペダルからクランクアーム2を介してクランク軸1に入力されたトルクを駆動輪(図示省略)へと伝達するように構成されている。図2に示すように、自転車用動力伝達装置10は、入力プレート3、第1出力プレート4、第2出力プレート5、スプロケット6、及び複数の弾性部材7を有している。また、自転車用動力伝達装置10は、複数の固定ピン8、第1スラスト部材9a、及び第2スラスト部材9bをさらに有している。
【0023】
[入力プレート]
入力プレート3は、クランク軸1からトルクが入力されるように構成されている。詳細には、入力プレート3は、クランク軸1と一体的に回転するようにクランク軸1に取り付けられている。例えば、入力プレート3は中央部にスプライン孔31を有している。スプライン孔31は軸方向に延びている。このスプライン孔31にクランク軸1がスプライン嵌合している。
【0024】
入力プレート3は、円板状に形成されている。入力プレート3は、中央部にボス部32を有しており、ボス部32に上述したスプライン孔31が形成されている。
【0025】
図3に示すように、入力プレート3は、複数の入力窓部33を有している。なお、本実施形態では、入力プレート3は3つの入力窓部33を有している。入力窓部33は、入力プレート3の外周部に配置されている。入力窓部33は、軸方向に貫通している。入力窓部33は、周方向に延びている。各入力窓部33は、実質的に同じ円周上に配置されている。
【0026】
入力プレート3は、周方向に延びる複数のストッパ孔34を有している。なお、本実施形態では、ストッパ孔34は、入力プレート3の外周端部を切り欠いた切欠部によって構成されているが、スリットであってもよい。ストッパ孔34は、後述する固定ピン8の周方向の移動範囲を規制するように構成されている。
【0027】
入力プレート3は、例えば、鉄や、ステンレス、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などによって構成することができる。
【0028】
[第1出力プレート]
図2に示すように、第1出力プレート4は、軸方向において、入力プレート3の側方に配置されている。第1出力プレート4は、入力プレート3に対して相対回転可能に配置されている。第1出力プレート4は、円板状であって、中央部に貫通孔を有している。この第1出力プレート4の内周面が入力プレート3のボス部32の外周面と当接することによって、第1出力プレート4は径方向において支持されている。
【0029】
図3に示すように、第1出力プレート4は、複数の第1出力窓部41を有している。なお、本実施形態では、第1出力プレート4は3つの第1出力窓部41を有している。第1出力窓部41は、第1出力プレート4の外周部に配置されている。
【0030】
第1出力窓部41は、軸方向に貫通している。第1出力窓部41は、周方向に延びている。各第1出力窓部41は、実質的に同じ円周上に配置されている。第1出力窓部41は、入力窓部33と対向するように配置されている。
【0031】
第1出力プレート4は、第1規制部42を有している。第1規制部42は、第1出力窓部41の周縁部から第1出力窓部41の中央部に向かって延びている。第1規制部42は、弾性部材7の軸方向移動を規制するように構成されている。すなわち、弾性部材7は、軸方向の一方側において、第1規制部42によって支持されている。なお、本実施形態では、一つの第1出力窓部41に対して2つの第1規制部42を有している。一方の第1規制部42は、第1出力窓部41の径方向外側の周縁部から径方向内側に延びており、他方の第1規制部42は、第1出力窓部41の径方向内側の周縁部から径方向外側に延びている。
【0032】
[第2出力プレート]
図2に示すように、第2出力プレート5は、軸方向において、入力プレート3の側方に配置されている。なお、第2出力プレート5は、軸方向において、入力プレート3を基準にして第1出力プレート4の反対側に配置されている。すなわち、第2出力プレート5は、第1出力プレート4と協働して入力プレート3を挟むように配置されている。第2出力プレート5は、入力プレート3に対して相対回転可能に配置されている。
【0033】
第2出力プレート5は、円板状であって、中央部に貫通孔を有している。第2出力プレート5の内周面は、例えば、クランクアーム2のボス部21と当接していてもよいし、当接していなくてもよい。
【0034】
図4に示すように、第2出力プレート5は、複数の第2出力窓部51を有している。なお、本実施形態では、第2出力プレート5は3つの第2出力窓部51を有している。第2出力窓部51は、第2出力プレート5の外周部に配置されている。
【0035】
第2出力窓部51は、軸方向に貫通している。第2出力窓部51は、周方向に延びている。各第2出力窓部51は、実質的に同じ円周上に配置されている。第2出力窓部51は、入力窓部33と対向するように配置されている。すなわち、軸方向視において、第1出力窓部41、入力窓部33、第2出力窓部51が重複している。
【0036】
第2出力プレート5は、第2規制部52を有している。第2規制部52は、第2出力窓部51の周縁部から第2出力窓部51の中央部に向かって延びている。第2規制部52は、弾性部材7の軸方向移動を規制するように構成されている。すなわち、弾性部材7は、軸方向の他方側において、第2規制部52によって支持されている。なお、本実施形態では、一つの第2出力窓部51に対して2つの第2規制部52を有している。一方の第2規制部52は、第2出力窓部51の径方向外側の周縁部から径方向内側に延びており、他方の第2規制部52は、第2出力窓部51の径方向内側の周縁部から径方向外側に延びている。
【0037】
第1出力プレート4及び第2出力プレート5は、例えば、鉄や、ステンレス、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などによって構成することができる。
【0038】
[第1スラスト部材]
図2に示すように、第1スラスト部材9aは、軸方向において入力プレート3と第1出力プレート4との間に配置されている。第1スラスト部材9aは、入力プレート3及び第1出力プレート4と当接している。この第1スラスト部材9aは、入力プレート3と第1出力プレート4との軸方向距離を一定に維持するように構成されている。すなわち、第1スラスト部材9aは、第1出力プレート4が入力プレート3側に近付く方向への軸方向移動を規制する。
【0039】
[第2スラスト部材]
第2スラスト部材9bは、軸方向において入力プレート3と第2出力プレート5との間に配置されている。第2スラスト部材9bは、入力プレート3及び第2出力プレート5と当接している。この第2スラスト部材9bは、入力プレート3と第2出力プレート5との軸方向距離を一定に維持するように構成されている。すなわち、第2スラスト部材9bは、第2出力プレート5が入力プレート3側に近付く方向への軸方向移動を規制する。
【0040】
第1スラスト部材9a及び第2スラスト部材9bは、例えば、樹脂や、アルミニウム、銅などによって構成することができる。
【0041】
[固定ピン]
固定ピン8は、軸方向に延びており、第1出力プレート4と第2出力プレート5とを連結している。図3及び図4に示すように、固定ピン8は、入力プレート3のストッパ孔34を介して軸方向に延びている。このため、入力プレート3に対して第1出力プレート4及び第2出力プレート5が所定の角度以上回転すると、固定ピン8がストッパ孔34の周方向端部に当接し、第1出力プレート4及び第2出力プレート5の回転が規制される。
【0042】
[スプロケット]
図3に示すように、スプロケット6は、第1出力プレート4に取り付けられている。詳細には、スプロケット6は、固定ピン8によって第1出力プレート4に取り付けられている。スプロケット6は外周端部に複数の歯を有している。このスプロケット6にはチェーンが掛けられており、チェーンなどを介してスプロケット6から駆動輪へとトルクが伝達される。
【0043】
[弾性部材]
図2から図4に示すように、弾性部材7は、入力窓部33、第1出力窓部41、及び第2出力窓部51に収容されている。周方向における弾性部材7の両端部は、入力窓部33、第1出力窓部41、及び第2出力窓部51の内壁面に当接している。弾性部材7は、入力プレート3と、第1及び第2出力プレート4,5とを弾性的に連結している。すなわち、入力プレート3からのトルクが、弾性部材7を介して第1及び第2出力プレート4,5に伝達される。弾性部材7は、例えばコイルスプリングである。
【0044】
[作用]
図5は、自転車の漕ぎ始めからの駆動力及び車速の経時変化を示すグラフである。図5のAは自転車用動力伝達装置10を有する自転車100の駆動力、図5のBは自転車用動力伝達装置10を有さない自転車の駆動力、図5のCは走行抵抗を、それぞれ概念的に示したものである。また、図5のDは自転車用動力伝達装置10を有する自転車100の車速、図5のEは自転車用動力伝達装置10を有さない自転車の車速を概念的に示したものである。
【0045】
図5に示すように、従来の自転車では、駆動力は走行抵抗を上回ったり下回ったりするように増減を繰り返す(図5のB)。このため、車速は加速と減速とを繰り返して徐々に上昇する(図5のE)。これに対して、上述したように構成された自転車100では、駆動力は、走行抵抗を上回った状態で増減を繰り返す(図5のA)。このため、車速は加速状態を維持したまま安定して上昇する(図5のD)。
【0046】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0047】
変形例1
上記実施形態では、スプロケット6は、固定ピン8によって第1出力プレート4に取り付けられているが、これに限定されない。例えば、スプロケット6は、第1出力プレート4と一体的に形成されていてもよい。より具体的には、スプロケット6は、第1出力プレート4と1つの部材によって形成されていてもよい。
【0048】
変形例2
上記実施形態では、自転車用動力伝達装置10は、第1出力プレート4および第2出力プレート5を有しているが、第2出力プレート5を省略してもよい。すなわち、自転車用動力伝達装置10は、第1出力プレート4のみを有しており、第2出力プレート5を有していなくてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 クランク軸
2 クランクアーム
3 入力プレート
33 入力窓部
34 ストッパ孔
4 第1出力プレート
41 第1出力窓部
42 第1規制部
5 第2出力プレート
51 第2出力窓部
6 スプロケット
7 弾性部材
8 固定ピン
9a 第1スラスト部材
図1
図2
図3
図4
図5