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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】コンパクト容器
(51)【国際特許分類】
   A45D 33/00 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
A45D33/00 615B
A45D33/00 615E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019067546
(22)【出願日】2019-03-29
(65)【公開番号】P2020162947
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-10-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 浩通
【合議体】
【審判長】北村 英隆
【審判官】西 秀隆
【審判官】窪田 治彦
(56)【参考文献】
【文献】実開平6-79419(JP,U)
【文献】実開平3-84007(JP,U)
【文献】実開平3-49010(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される中皿と、
前記中皿が収容される収容部を有する容器本体と、
前記収容部を開放可能に閉塞する蓋体と、を備え、
前記容器本体は、前記収容部に収容された前記中皿に係合可能な係合部を有し、
前記係合部は、少なくとも前記収容部を形成する前記容器本体の周壁の一部を形成すると共に、前記容器本体の中心軸線に交差する径方向に弾性変形可能であり、さらに、前記収容部を形成する前記容器本体の底壁の一部を形成すると共に、前記底壁において、ヒンジ部を介して前記容器本体の中心軸線に沿う軸方向に変位可能に一体に連結された底壁押上部と、前記底壁押上部に連設され前記周壁の一部を形成すると共に、前記径方向の内側に向かって膨らんだ周壁膨出部と、を備え、
前記底壁押上部は、前記底壁に形成された2本の平行なスリットの間に配設されて、前記軸方向から視て前記中心軸線と交差する径方向に延び、前記底壁の他の部分である主底壁部よりも上側に押上可能であり、
前記周壁膨出部は、前記2本の平行なスリットを前記周壁まで延長し、その間に配設された前記周壁の一部であって、左右方向の寸法が一定の帯状となって前記軸方向に延びると共に、前記径方向の内側に向かって膨らむように、前記左右方向から視て、略くの字に弾性変形している、ことを特徴とするコンパクト容器。
【請求項2】
前記係合部は、前記中皿の上端開口縁に上方から係合する係合突起を有する、ことを特徴とする請求項1に記載のコンパクト容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンパクト容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、内容物が収容される中皿と、中皿が収容される収容部を備えた容器本体と、収容部を開放可能に閉塞する蓋体と、を備えたコンパクト容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-13708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなコンパクト容器では、使用後は分別廃棄や内容物のリフィル等のために、中皿を収容部から取り外したり、装着したりする必要があるが、その操作性について改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コンパクト容器の中皿を収容部から着脱する操作性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係るコンパクト容器は、内容物が収容される中皿と、前記中皿が収容される収容部を有する容器本体と、前記収容部を開放可能に閉塞する蓋体と、を備え、前記容器本体は、前記収容部に収容された前記中皿に係合可能な係合部を有し、前記係合部は、少なくとも前記収容部を形成する前記容器本体の周壁の一部を形成すると共に、前記容器本体の中心軸線に交差する径方向に弾性変形可能である。
【0007】
本発明に係るコンパクト容器によれば、中皿に係合可能な係合部が、少なくとも収容部を形成する容器本体の周壁の一部を形成しているので、係合部(周壁の一部)が径方向に弾性変形することで、中皿を収容部から取り外し可能にしつつ、中皿を収容部にしっかりと固定することができる。
【0008】
(2)前記係合部は、さらに、前記収容部を形成する前記容器本体の底壁の一部を形成すると共に、前記底壁において、ヒンジ部を介して前記容器本体の中心軸線に沿う軸方向に変位可能に一体に連結されていても良い。
【0009】
この場合には、係合部が、収容部を形成する容器本体の底壁の一部を形成しているので、係合部(底壁)を軸方向上側に変位させると、収容部に収容された中皿を押上げて、中皿を収容部から容易に取り外すことができる。また、係合部が、容器本体の底壁にヒンジ部を介して一体で形成されているため、コストを低減できる。
【0010】
(3)前記係合部は、前記周壁の一部を形成すると共に、前記径方向の内側に向かって膨らんだ周壁膨出部を有し、前記周壁膨出部は、前記中皿の外周面に対して前記径方向の外側に弾性変形した状態で当接していても良い。
【0011】
この場合には、係合部が径方向の内側に向かって膨らんだ周壁膨出部を有し、周壁膨出部が中皿の外周面に対して径方向の外側に弾性変形した状態で当接しているので、中皿を収容部にしっかりと固定できる。すなわち、周壁膨出部は、径方向の内側に向かって膨らんでいるため、中皿を周壁膨出部と対向する周壁に対して押圧するように付勢することで、中皿の収容部からの抜け出しを規制することができる。
【0012】
(4)前記係合部は、前記中皿の上端開口縁に上方から係合する係合突起を有しても良い。
【0013】
この場合には、係合突起によって、中皿の収容部からの上方への抜け出しを規制できる。また、係合突起が係合部と共に、収容部に対して脱離可能となるため、中皿を収容部から取り外し易くなる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコンパクト容器によれば、中皿を収容部から着脱する操作性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るコンパクト容器の縦断面図である。
図2図1に示すコンパクト容器の蓋体を開いた状態を示す平面図である。
図3図1に示すコンパクト容器の要部拡大図である。
図4】本発明の一実施形態に係るコンパクト容器から中皿を取り外す様子を示す要部拡大図である。
図5】本発明の一実施形態に係るコンパクト容器から中皿を取り外す様子を示す要部拡大図である。
図6】本発明の一実施形態に係るコンパクト容器に中皿をセットする前の様子を示す縦断面図である。
図7図6に示すコンパクト容器において係合部の保持部が本体軸を乗り越える様子を示す要部拡大図である。
図8図6に示すコンパクト容器の係合部の状態を示す要部拡大図である。
図9図6に示すコンパクト容器に中皿をセットする様子を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係るコンパクト容器について説明する。
本実施形態のコンパクト容器1は、図1及び図2に示されるように、内容物が収容される中皿10と、中皿10が収容される収容部20aを備えた容器本体20と、収容部20aを開放可能に閉塞する蓋体30と、を備えている。
【0017】
中皿10、および容器本体20は、有底筒状に形成され、蓋体30は、有頂筒状に形成され、中皿10、容器本体20、および蓋体30は、共通軸と同軸に配設されている。以下、この共通軸を中心軸線Oといい、中心軸線Oに沿う軸方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。軸方向のうち、収容部20aに対して蓋体30側を上側といい、容器本体20の底壁22側を下側という。
【0018】
なお、図1に示すコンパクト容器1の縦断面は、中心軸線Oと、後述する係止突起23bと、後述する蓋ヒンジ部31と、を含む部分となっている。つまり、この縦断面を示す断面線は、軸方向から見て、中心軸線Oと後述する係止突起23bとを通る直線、並びに、中心軸線Oと後述する蓋ヒンジ部31とを通る直線となっている。なお、後述する図6及び図9に示すコンパクト容器1の縦断面も同様である。
【0019】
中皿10は、金属材料により扁平な有底筒状に形成されている。中皿10が、金属材料により形成されることで、収容される内容物の種類や内容物が含有する成分等によらず、多くの種類の内容物を収容することができる。中皿10は、容器本体20に対して非接着状態で収容部20aに収容されている。なお、中皿10は、金属材料に限らず例えば、合成樹脂材料等の他の材質で形成されてもよい。
【0020】
容器本体20は、例えば合成樹脂材料等により扁平な有底筒状に形成されている。容器本体20は、収容部20aを形成する周壁21及び底壁22を備えている。本実施形態の周壁21は、中心軸線Oを中心とする略円筒状に形成され、径方向において中皿10と対向している。底壁22は、周壁21の下端部に連設され、底壁22の下端開口を閉塞すると共に、軸方向において中皿10と対向している。
【0021】
蓋体30は、例えば合成樹脂材料等により扁平な有頂筒状に形成されている。蓋体30は、蓋ヒンジ部31を介して容器本体20に連結されている。蓋体30、および蓋ヒンジ部31は、容器本体20と一体に形成されている。以下、径方向のうち、蓋ヒンジ部31が配置された一方側を後側といい、一方側の反対側(他方側)を前側といい、前後方向に直交する方向を左右方向(直交方向)という。
【0022】
蓋ヒンジ部31は、蓋体30および容器本体20の後端部同士を連結している。図示の例では、蓋体30の頂壁の下面と、中皿10の上端開口と、の間に、例えばパフ等の塗布具Wが収容可能とされている。蓋体30の周壁の前端部には、前方に向けて突出した蓋操作突片32が形成されている。一方、容器本体20の周壁21の前端部には、前方に向けて突出した容器操作突片23a(図2参照)が形成されている。
【0023】
蓋操作突片32、および容器操作突片23aそれぞれにおいて、周方向の端部のみが軸方向で重なり合っている。容器本体20の周壁21の前端部において、容器操作突片23aに周方向で隣接する部分に、係止突起23bが形成されている。蓋操作突片32には、係止突起23bに着脱可能にアンダーカット嵌合した被係止突起33(図1参照)が形成されている。
【0024】
容器本体20は、収容部20aに収容された中皿10に係合可能な係合部40を有している。係合部40は、中皿10の上端開口縁11に係合する係合突起41と、容器本体20の周壁21の一部を形成する周壁膨出部42と、容器本体20の底壁22の一部を形成する底壁押上部43と、を備えている。本実施形態の係合部40は、図1に示す縦断面視で、略L字のアーム状に形成されている。
【0025】
底壁押上部43は、容器本体20の底壁22の一部である帯状部22aを形成すると共に、容器本体20の中心軸線Oに沿う軸方向に変位可能である。底壁押上部43は、容器本体20の底壁22において、径方向のうちの中央部から一方側(後側)に離れた部分に設けられている。底壁押上部43は、図2に示すように、底壁22に形成された2本の平行なスリット24の間に配設され、左右方向の寸法が一定の帯状となって径方向に延びている。
【0026】
底壁押上部43(帯状部22a)の前端部は、押上ヒンジ部44(ヒンジ部)を介して底壁22の他の部分である主底壁部22bに連結されている。押上ヒンジ部44は、底壁22の上面において左右方向に直線状に延びる窪みを形成している。これにより、底壁押上部43は、容器本体20の底壁22において、押上ヒンジ部44を中心に上下に回動できる。したがって、底壁押上部43(帯状部22a)は、底壁22の主底壁部22bに対して軸方向に変位できる。
【0027】
周壁膨出部42は、図1に示すように、収容部20aを形成する容器本体20の周壁21の一部である分離周壁部21aを形成すると共に、容器本体20の中心軸線Oに交差する径方向に弾性変形可能である。周壁膨出部42は、底壁押上部43の後端部に連設され、軸方向の上側に延びている。つまり、周壁膨出部42は、径方向のうちの一方側(後側)に配置された周壁21の一部を形成している。
【0028】
周壁膨出部42は、底壁押上部43の後端部から上方に向かって延在している。この周壁膨出部42は、図2に示すように、底壁22に形成された2本の平行なスリット24を周壁21まで延長し、その間に配設された周壁21の一部であって、左右方向の寸法が一定の帯状となって軸方向に延びている。したがって、周壁膨出部42(分離周壁部21a)は、周壁21の他の部分である主周壁部21bに対して分離されて径方向に変位できる。
【0029】
周壁膨出部42(分離周壁部21a)は、図1に示すように、周壁21の主周壁部21bよりも径方向の厚みが薄くなっている。具体的は、周壁膨出部42(分離周壁部21a)の内壁面の径方向位置は、周壁21の主周壁部21bと同等(ないし周壁膨出部42の方が僅かに径方向内側に位置する)であるが、周壁膨出部42の外壁面の径方向位置は、周壁21の主周壁部21bよりも径方向内側に位置している。つまり、周壁膨出部42(分離周壁部21a)は、周壁21の主周壁部21bよりも薄く、径方向に弾性変形し易くなっている。
【0030】
図3の拡大図に示すように、周壁膨出部42は、径方向の内側に向かって膨らんでいる。具体的には、周壁膨出部42は、径方向の内側に向かって膨らむように、左右方向から視て、略くの字に弾性変形している。図3中、二点鎖線は、中皿10を収容部20aに収容する前の周壁膨出部42の位置(状態)を示している。周壁膨出部42は、図3において二点鎖線で示す位置よりも径方向外側で、中皿10の外周面12に当接している。
【0031】
つまり、周壁膨出部42は、中皿10の外周面12に対して径方向の外側に弾性変形した状態で当接していている。これにより、中皿10は、径方向の一方側(後側)に配置された周壁膨出部42(分離周壁部21a)によって径方向の他方側(前側)に付勢され、径方向の他方側(前側)に位置する周壁21の主周壁部21bに押し付けられることで、収容部20aに固定されている。これにより、中皿10の収容部20aからの抜け出しを規制することができる。
【0032】
すなわち、本実施形態では、中皿10の収容部20aからの取り出しを容易にするために、係合部40(分離周壁部21a)に形成された係合突起41を除き、中皿10の上端開口縁11に対して上方から係合する部分は無い。換言すると、分離周壁部21a以外の主周壁部21bには、係合突起41が無く、主周壁部21bの内側が平滑な円筒面となっている。しかし、この状態で、仮に中皿10と主周壁部21bとの間に径方向に隙間が形成されてしまうと、係合突起41を回転中心として回転するように中皿10が収容部20aから脱離してしまう虞がある。このため、本実施形態では、周壁膨出部42によって、中皿10を径方向において対向する主周壁部21bに押圧し、脱離を規制している。
【0033】
係合突起41は、周壁膨出部42の上端部から径方向内側に向かって突設されている。 係合突起41は、中皿10の上端開口縁11上に位置して、上端開口縁11に係合することで、収容部20aから中皿10が軸方向上側に抜けることを規制する。また、係合突起41は、略くの字の周壁膨出部42が径方向外側に弾性変形すると、その変形に伴って先端部が僅かに下がり、中皿10の上端開口縁11を軸方向の下側に向かって押圧する。
【0034】
これにより、中皿10は、軸方向の上側に配置された係合突起41によって軸方向の下側に付勢され、軸方向の下側に位置する底壁22に押し付けられることで、収容部20aに固定されている。つまり、係合突起41によって、中皿10の収容部20aに対する軸方向のガタツキを抑制することができる。これにより、例えば、中皿10に粉を固めた(固形パウダー)化粧料などが収容される場合には、当該固形パウダーの割れを抑制することができる。
【0035】
図2に示すように、係合部40は、軸方向から見て、径方向において、蓋ヒンジ部31と隣り合って設けられている。蓋ヒンジ部31は、容器本体20の上端開口縁のうち径方向の一方側(後側)から径方向外側に向かって膨出する容器フランジ31aを介して、容器本体20と接続されている。容器フランジ31aの径方向内側には、容器フランジ31aの上面に対し一段下がった位置に、本体軸25が形成されている。本体軸25は、周方向に延びて、2本のスリット24の間に架設されている。
【0036】
図3に示すように、周壁膨出部42の上端部において、係合突起41と反対側には、容器フランジ31aに連設された本体軸25を保持する保持部45が設けられている。保持部45は、周壁膨出部42から径方向内側に向かって突出する第1突部45a及びその下方に配置された第2突部45bと、第1突部45aと第2突部45bとの間に形成された溝部45cと、を有している。
【0037】
保持部45は、第1突部45aの下面と第2突部45bの上面との間(溝部45c)で、本体軸25を挟み込む。なお、保持部45(第1突部45a)は、蓋体30を閉じたときには、蓋体30と本体軸25との間で挟み込まれる(図1参照)。第1突部45aの下面は、本体軸25の上面と略平行な平坦面となっている。一方、第2突部45bの上面は、径方向外側に向かうに従って、本体軸25の下面に対して軸方向下側に離間する傾斜面となっている。このため、保持部45は、係合部40が押下げられたときに、本体軸25から離脱し難く、係合部40が押上げられたときに、本体軸25から離脱し易くなっている。
【0038】
以上の構成において、図1において符号Fで示すように、底壁押上部43を押上げて、係合部40を押上ヒンジ部44回りに回転させると、係合部40と共に収容部20aから中皿10を押上げることができる。この際、図4に示す保持部45においては、係合部40の押上げによって、本体軸25に当接する第2突部45bが相対的に下方に押下げられる。そうすると、周壁膨出部42の上端部において係合突起41の先端が上向きに回動し、係合突起41が底壁22と軸方向で対向しなくなり、中皿10を軸方向で挟んだ押圧が解除される。
【0039】
中皿10をさらに押上げると、図5に示すように、本体軸25の下面と第2突部45bの上面(傾斜面)において滑りが発生し、保持部45が本体軸25から離脱する。保持部45が本体軸25から離脱すると、周壁膨出部42の径方向の外側への変位規制が解除され、周壁膨出部42が径方向の外側に変位すると共に、周壁膨出部42が主周壁部21bと径方向で正対しなくなり、中皿10を径方向で挟んだ押圧が解除される。
【0040】
これにより、中皿10を収容部20aから容易に取り外すことができる。つまり、コンパクト容器1から、金属材料などで形成された中皿10を分別することができる。なお、本実施形態では、底壁押上部43が、容器本体20の底壁22において、径方向のうちの中央部から後側に離れた部分に設けられ、同じく後側に設けられた係合突起41と共に収容部20aに対して脱離可能となるため、中皿10を収容部20aから取り外し易くなる。つまり、係合突起41が、仮に、分離周壁部21a以外の主周壁部21bに設けられた場合、その係合突起41の係合解除のために必要であった押上力を軽減することができる。
【0041】
一方、中皿10を収容部20aに固定する場合は、先ず、図6に示すように、係合部40を押上ヒンジ部44回りに回転させつつ、係合部40の周壁膨出部42を径方向内側に弾性変形させながら、本体軸25を保持部45に保持させる。このとき、図7に示す拡大図に示すように、周壁膨出部42を、くの字状に撓ませ、第1突部45aの上面を斜めに傾斜させることで、本体軸25を乗り越えやすくすることができる。なお、図6に示す例では、底壁22の下側から上側に向かって、係合部40を押上ヒンジ部44回りに回転させているが、係合部40を押し上げた状態である場合には、底壁22の上側にから下側に向かって、係合部40を押上ヒンジ部44回りに回転させるとよい。
【0042】
図8は、中皿10を収容部20aに収容する前の係合部40の状態を示している。この状態では、第1突部45aの下面は、本体軸25の上面に当接しているが、第2突部45bの上面は、本体軸25の下面に当接していない。また、本体軸25の上面に連なる容器フランジ31aと本体軸25との段差壁面と、第1突部45aの先端面との間には、径方向に隙間が形成されている。
【0043】
図9は、中皿10を収容部20aにセットする様子を示している。先ず、中皿10を容器本体20の中心軸線Oに対して傾けながら、中皿10の後端部を係合突起41の下側に潜りこませる。つぎに、中皿10を周壁膨出部42に向かって押し込み、周壁膨出部42を径方向外側に弾性変形させながら、中皿10の前端部を押下げることで、中皿10を収容部20aに収容する。中皿10が収容部20aに収容されると、図3に示すように、周壁膨出部42の径方向外側への弾性変形による径方向の押圧、及び上述した係合突起41による軸方向の押圧が生じ、中皿10がしっかりと固定される。
【0044】
以上説明したように、本実施形態によるコンパクト容器1によれば、中皿10に係合可能な係合突起41を有する係合部40が、少なくとも収容部20aを形成する容器本体20の周壁21の一部を形成しているので、係合部40が径方向に弾性変形することで、中皿10を収容部20aから取り外し可能にしつつ、中皿10を収容部20aにしっかりと固定することができる。
【0045】
また、本実施形態では、係合部40は、収容部20aを形成する容器本体20の底壁22の一部を形成すると共に、底壁22において、押上ヒンジ部44を介して容器本体20の中心軸線Oに沿う軸方向に変位可能に一体に連結されている。このため、底壁押上部43を軸方向上側に変位させると、収容部20aに収容された中皿10を押上げて、中皿10を収容部20aから容易に取り外すことができる。また、係合部40が、容器本体20の底壁22に押上ヒンジ部44を介して一体で形成されているため、コストを低減できる。
【0046】
また、本実施形態では、係合部40は、周壁21の一部を形成すると共に、径方向の内側に向かって膨らんだ周壁膨出部42を有し、周壁膨出部42は、中皿10の外周面12に対して径方向の外側に弾性変形した状態で当接している。このように、周壁膨出部42が、径方向の内側に向かって膨らんでいることで、中皿10を周壁膨出部42と対向する主周壁部21bに対して押圧するように付勢し、中皿10の収容部20aからの抜け出しを規制することができる。
【0047】
また、本実施形態では、係合部40は、中皿10の上端開口縁11に上方から係合する係合突起41を有している。この構成によれば、係合突起41によって、中皿10の収容部20aからの上方への抜け出しを規制できる。また、係合突起41が係合部40と共に、収容部20aに対して脱離可能となるため、中皿10を収容部20aから取り外し易くなる。
【0048】
また、本実施形態では、蓋体30は、蓋ヒンジ部31を介して容器本体20に連結されており、係合部40は、図2に示すように、容器本体20の中心軸線Oに沿う軸方向から見て、径方向において、蓋ヒンジ部31と隣り合って設けられている。この構成によれば、係合部40と蓋ヒンジ部31が径方向に隣り合って配置されているので、中皿10を固定するために係合部40が中皿10から受ける反力を、蓋ヒンジ部31側の構造体(本体軸25)に負担させることができる。このため、例えば、容器本体20の周壁21を厚くする等しなくてもよく、コンパクト容器1の軽量化や小型化に寄与できる。
【0049】
このように、本実施形態に係るコンパクト容器1によれば、中皿10を収容部20aから着脱する操作性を改善することができる。
【0050】
本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0051】
例えば、上記実施形態では、係合部40が、容器本体20の底壁22の一部を形成すると説明したが、係合部40が、容器本体20の周壁21の一部のみを形成する形態であっても構わない。また、係合部40は、図2に示すように、容器本体20の中心軸線Oに沿う軸方向から見て、径方向において、蓋ヒンジ部31と隣り合って設けられていなくてもよい。
例えば、容器本体20の周壁21の径方向の他方側(前側)の一部ないし左右方向の左側または右側が、径方向に弾性変形可能な係合部40となっていても構わない。
【0052】
例えば、上記実施形態では、蓋体30が、容器本体20に蓋ヒンジ部31を介して連結された構成を示したが、蓋体30が、容器本体20に着脱可能に螺着された構成等を採用してもよい。
また、底壁押上部43は、例えば容器本体20の底壁22の中央部に配設する等適宜変更してもよい。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 コンパクト容器
10 中皿
12 外周面
20 容器本体
20a 収容部
21 周壁
22 底壁
30 蓋体
31 蓋ヒンジ部
40 係合部
41 係合突起
42 周壁膨出部
44 押上ヒンジ部(ヒンジ部)
O 中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9