(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】浮体構造物及び洋上施設
(51)【国際特許分類】
B63B 35/44 20060101AFI20240712BHJP
B63B 27/24 20060101ALI20240712BHJP
B63B 35/00 20200101ALI20240712BHJP
B63B 77/10 20200101ALI20240712BHJP
【FI】
B63B35/44 C
B63B27/24 A
B63B35/00 T
B63B77/10
(21)【出願番号】P 2020042477
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2022-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】502116922
【氏名又は名称】ジャパンマリンユナイテッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118267
【氏名又は名称】越前 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】吉本 治樹
(72)【発明者】
【氏名】神澤 謙
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】実開平4-93298(JP,U)
【文献】特開2012-218546(JP,A)
【文献】特表2018-507135(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0240947(US,A1)
【文献】米国特許第9446825(US,B1)
【文献】特開2017-133431(JP,A)
【文献】実開平5-597(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/0201954(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102765466(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103291546(CN,A)
【文献】特開昭57-191188(JP,A)
【文献】特表2005-504205(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2208830(GB,A)
【文献】福本幸成,佐藤功也,長谷川巌,永井紀彦,洋上風車基礎部ケーブル保護管に作用する波圧に関する水理模型実験,土木学会論文集B3(海洋開発),日本,土木学会,2016年08月30日,72巻2号,pp.I_670-I_675,DOI:10.2208/jscejoe.72.I_670,ISSN 2185-4688
【文献】長縄成実,最新の坑井掘削技術(その4),石油開発時報,日本,石油鉱業連盟,2006年11月,151号,pp.12-19,ISSN 0288-884X
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/00,27/24,77/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に潜水した状態で浮力体を構成するロワーハルと、
前記ロワーハルに立設された複数のコラムと、
前記複数のコラム上に配置されたアッパーハルと、
前記ロワーハル及び前記アッパーハルによって両端支持され、内部に線状構造体を
個別に挿通可能な複数の保護配管と、を備え、
前記ロワーハルは、中心部と、該中心部から放射状に延出された複数の柱状体と、を含む構成を有し、
前記コラムは、前記複数の柱状体の前記中心部と反対側の端部にのみ接続されており、
前記保護配管は、前記中心部又は前記中心部に近接した前記柱状体の側面に配置されている、
ことを特徴とする浮体構造物。
【請求項2】
前記ロワーハルは、前記中心部の側面に前記保護配管を配置する支持面を有する、請求項1に記載の浮体構造物。
【請求項3】
前記線状構造体は、送電ケーブル、通信ケーブル又は流体搬送ホースの何れかである、請求項1に記載の浮体構造物。
【請求項4】
前記コラムは、水面貫通部に拡幅部を有する、請求項1に記載の浮体構造物。
【請求項5】
前記コラムは、上部が中心に向かって傾斜した傾斜部を有する、請求項1に記載の浮体構造物。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載された浮体構造物を備えた洋上施設であって、
前記アッパーハルに配置された上部構造物は、発電設備、変電設備、貯電設備、石油・ガス生産設備、二酸化炭素回収・貯留設備又は観測設備の何れかである、ことを特徴とする洋上施設。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体構造物及び洋上施設に関し、特に、セミサブ(セミサブマーシブル)型の浮体構造物及び洋上施設に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のわが国では、「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律(再エネ海域利用法)」が施行される等、洋上における再生可能エネルギー発電設備の普及が期待されている。洋上に発電設備を設置するためには浮体構造物が必要になる。例えば、洋上風力発電設備に使用される浮体構造物は、一般に、セミサブ型、スパー型、TLP(テンションレグプラットフォーム)型に大別される。
【0003】
これらの浮体構造物は何れも広義的には半潜水形式であるが、以下の特徴を有する点で区別される。セミサブ型の浮体構造物は、水面貫通部を多柱構造に構成した浮体をカテナリー係留したものである。スパー型の浮体構造物は、水面貫通部を1本の柱体で構成した浮体をカテナリー係留したものである。TLP型の浮体構造物は、箱型の浮体を海底に緊張係留したものである。
【0004】
風力発電に限らず、洋上発電設備では、得られた電力を集約又は地上に送電するための送電ケーブルが必要である。例えば、特許文献1に記載された浮体構造物は、浮体の側面部に配置されたターレットムアリング装置等の係留機構を備え、海底ケーブルはターレットを経由して浮体に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された発明のように、浮体の外縁から送電ケーブルを海中に投入した場合、浮体の外縁は揺動による上下変動が激しい部分であり、送電ケーブルにかかる負荷が大きく、損傷しやすいという問題がある。したがって、送電ケーブルの短寿命化及びコストアップを招くこととなる。このことは浮体構造を長期間に渡って継続的に使用したいというニーズにも反する。なお、かかる問題は、送電ケーブル以外の海中に投入される線状構造体(例えば、通信ケーブル、流体搬送ホース等)にも同様のことがいえる。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み創案されたものであり、海中に投入されるケーブルにかかる負荷を軽減することができる、浮体構造物及び洋上施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、水中に潜水した状態で浮力体を構成するロワーハルと、前記ロワーハルに立設された複数のコラムと、前記複数のコラム上に配置されたアッパーハルと、前記ロワーハル及び前記アッパーハルによって両端支持され、内部に線状構造体を個別に挿通可能な複数の保護配管と、を備え、前記ロワーハルは、中心部と、該中心部から放射状に延出された複数の柱状体と、を含む構成を有し、前記コラムは、前記複数の柱状体の前記中心部と反対側の端部にのみ接続されており、前記保護配管は、前記中心部又は前記中心部に近接した前記柱状体の側面に配置されている、ことを特徴とする浮体構造物が提供される。
【0009】
前記ロワーハルは、前記中心部の側面に前記保護配管を配置する支持面を有していてもよい。
【0010】
前記線状構造体は、送電ケーブルであってもよいし、通信ケーブルであってもよいし、流体搬送ホースであってもよい。
【0011】
前記コラムは、水面貫通部に拡幅部を有していてもよい。
【0012】
前記コラムは、上部が中心に向かって傾斜した傾斜部を有していてもよい。
【0013】
また、本発明によれば、上述した何れかの構成を有する浮体構造物を備えた洋上施設であって、前記アッパーハルに配置された上部構造物は、発電設備、変電設備、貯電設備、石油・ガス生産設備、二酸化炭素回収・貯留設備又は観測設備の何れかである、ことを特徴とする洋上施設が提供される。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明に係る浮体構造物及び洋上施設によれば、浮体構造物の中心に近い部分に線状構造体用の保護配管を配置したことから、揺動による上下変動が少ない場所にケーブル等の線状構造体を配置することができ、海中に投入される線状構造体にかかる負荷を軽減することができる。また、保護配管をロワーハルとアッパーハルで両端支持したことにより、保護配管の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る浮体構造物を備えた洋上施設を示す側面図である。
【
図3】
図1に示した浮体構造物のA-A矢視断面図である。
【
図4】
図1に示した浮体構造物の第一変形例を示す図である。
【
図5】
図1に示した浮体構造物の他の変形例を示す図であり、(A)は第二変形例、(B)は第三変形例、(C)は第四変形例、(D)は第五変形例、を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図5(D)を用いて説明する。ここで、
図1は、本発明の一実施形態に係る浮体構造物を備えた洋上施設を示す側面図である。
図2は、
図1に示した洋上施設の平面図である。
図3は、
図1に示した浮体構造物のA-A矢視断面図である。
【0017】
本発明の一実施形態に係る洋上施設1は、
図1に示したように、水中に潜水した状態で浮力体を構成するロワーハル2と、ロワーハル2に立設された4本のコラム3と、4本のコラム3上に配置されたアッパーハル4と、ロワーハル2及びアッパーハル4によって両端支持された保護配管5と、を備えた浮体構造物11と、アッパーハル4に配置された上部構造物6と、浮体構造物11を海底に係留する係留索7と、を備えている。
【0018】
ロワーハル2は、例えば、
図3に示したように、中心部21と、中心部21から放射状に延出された4本の柱状体22と、により構成されている。中心部21及び柱状体22は、内部に空洞を有し、必要に応じてバラスト水を注排水可能に構成されていてもよい。
【0019】
中心部21は、略鉛直方向の軸心を有する柱状体であり、略角柱形状であってもよいし、略円筒形状であってもよい。本実施形態では、中心部21は八角柱形状を有している。
【0020】
4本の柱状体22は、実質的に同じ形状を有しており、中心部21の周囲に均等な間隔(90°間隔)で配置されている。柱状体22は、略水平方向の軸心を有する柱状体であり、略角柱形状であってもよいし、略円筒形状であってもよい。
【0021】
ロワーハル2は、中心部21の側面に保護配管5を配置する支持面23を備えていてもよい。支持面23は、例えば、平面形状であるが、凸形状又は凹形状の曲面であってもよい。
【0022】
コラム3は、ロワーハル2を構成する4本の柱状体22の中心部21と反対側の端部にそれぞれ設置されている。コラム3は、略角柱形状であってもよいし、略円筒形状であってもよい。また、コラム3は、内部に空洞を有しており、柱状体22の空洞と連通していてもよいし、区切られていてもよい。また、コラム3は、必要に応じてバラスト水を注排水可能に構成されていてもよい。
【0023】
コラム3は、上部が中心に向かって傾斜した傾斜部31を有していてもよい。かかる傾斜部31を形成することにより、アッパーハル4の大きさを上部構造物6の設置に必要最小限の大きさに合わせることができるとともに、アッパーハル4に負荷される静的荷重及び補強重量を削減することができる。
【0024】
本実施形態では、傾斜部31が水面貫通部12の上下に渡るように形成されているが、水面貫通部12よりも上方の部分にのみ傾斜部31を形成するようにしてもよい。また、コラム3は、傾斜部31を省略して鉛直上方に延びるように形成してもよい。
【0025】
また、コラム3は、水面貫通部12に拡幅部32を有していてもよい。拡幅部32は、コラム3の外周に稼働喫水の上下に渡って配置される付加物である。かかる拡幅部32を配置することにより、浮体構造物11の復原性能を向上させつつ波浪中動揺性能の低下を抑制することができ、重量の削減を図ることもできる。なお、拡幅部32は、必要に応じて省略してもよい。
【0026】
アッパーハル4は、例えば、上部構造物6を設置可能な甲板(デッキ)を形成する構造物である。アッパーハル4は、箱型形状であってもよいし、板形状であってもよい。図示したように、箱型形状のアッパーハル4の場合、その内部は、例えば、必要なケーブルや機器を配置する空間として使用される。また、アッパーハル4の内部は、複数階層に形成されていてもよい。また、上部構造物6の一部又は全部がアッパーハル4内に収容されていてもよい。アッパーハル4の底部は、4本のコラム3の上端部に接続されている。
【0027】
保護配管5は、例えば、送電ケーブル8を挿通するための配管である。ただし、保護配管5に挿通される線状構造体は、送電ケーブル8に限定されるものではなく、浮体構造物11から海中に投入する必要がある他の線状構造体(例えば、通信ケーブル、流体搬送ホース等)であってもよい。なお、線状構造体は可撓性を有していることが好ましい。
【0028】
保護配管5の上部はアッパーハル4に接続されており、保護配管5の下部はロワーハル2に接続されていることから、保護配管5は、アッパーハル4及びロワーハル2によって両端支持されている。保護配管5の内径は、挿通される線状構造体(例えば、送電ケーブル8)の太さに応じて設計される。
【0029】
保護配管5の上部は、例えば、
図1に示したように、アッパーハル4の底部から甲板まで貫通するようにアッパーハル4に接続されていてもよい。また、図示しないが、保護配管5は、アッパーハル4の内部空間と連通するように、少なくともアッパーハル4の底部を貫通した状態に接続されていてもよい。また、甲板まで貫通する保護配管5とアッパーハル4の内部空間に連通する保護配管5とが混在していてもよい。保護配管5のアッパーハル4を貫通する部分は、例えば、溶接によって固定される。
【0030】
保護配管5の下部は、例えば、
図1及び
図3に示したように、ロワーハル2に形成された支持面23に接続される。すなわち、保護配管5は、中心部21の側面に配置されている。保護配管5は、溶接によって支持面23に固定されていてもよいし、支持面23を構成する中心部21の外壁に埋め込まれていてもよい。
【0031】
また、
図1に示したように、保護配管5は、下端がロワーハル2の底面2aより下方に突出するように構成されていてもよい。本実施形態では、ロワーハル2の底面2aは、保護配管5を配置する支持面23を有する中心部21の底面に相当する。このように、保護配管5をロワーハル2の底面2aよりも下方に突出させることにより、送電ケーブル8とロワーハル2との接触を抑制することができる。
【0032】
また、図示しないが、保護配管5の上端及び下端の開口部には、必要に応じて弾性材等の緩衝材を配置して、送電ケーブル8と保護配管5との摩擦を低減するようにしてもよい。また、保護配管5の上端及び下端の開口部には、必要に応じてスティフナ等の補強材を配置してもよい。なお、本実施形態において、緩衝材や補強材は保護配管5に付随する部品であることから、本実施形態において、緩衝材や補強材を保護配管5の一部とみなすことができる。
【0033】
また、本実施形態では、12本の保護配管5を配置しているが、必ずしも全ての保護配管5に最初から送電ケーブル8を挿通させておかなくてもよい。使用しない保護配管5については、上端の開口部に栓をしておけばよい。また、予め余分に保護配管5を配置しておくことにより、後から送電ケーブル8の本数が増えた場合であっても容易に対応することができる。
【0034】
上部構造物6は、例えば、変電設備である。変電設備は、例えば、ガス絶縁装置、真空絶縁開閉装置、主変圧器等を備えている。洋上変電設備は、基本的には陸上の変電設備と同じ構成であるが、塩害対策等が施されている。上部構造物6が変電設備の場合、浮体構造物11の周囲には複数の洋上風力発電装置が配置されており、これらの洋上風力発電装置で発生した電力が本実施形態に係る浮体構造物11の上部構造物6(変電設備)に集約された後、陸上の受電設備等に送電される。
【0035】
したがって、上部構造物6が変電設備の場合、浮体構造物11には複数の送電ケーブル8が連結されることになる。従来のセミサブ型の浮体構造物では、浮体の外縁から送電ケーブルを海中に投入することが一般的である。浮体の外縁は揺動による上下変動が激しい部分であり、送電ケーブルにかかる負荷が大きく、損傷しやすい。
【0036】
それに対して、本実施形態に係る浮体構造物11では、浮体構造物11の中心に近い部分に保護配管5を配置したことから、揺動による上下変動が少ない場所に送電ケーブル8を配置することができ、海中に投入される送電ケーブル8にかかる負荷を軽減することができる。
【0037】
なお、上部構造物6は、変電設備に限定されるものではない。例えば、上部構造物6は、風力発電装置・太陽光発電装置・海洋温度差発電装置等を備えた発電設備であってもよいし、複数の発電装置から送電された電気を貯蓄可能な蓄電池を備えた貯電設備であってもよい。
【0038】
また、上部構造物6は、電力設備に限定されるものではなく、洋上で石油・ガスを生産・貯蔵するための石油・ガス生産設備、二酸化炭素を人工的に封じ込めるための二酸化炭素回収・貯留(CCS:Carbon dioxide capture and storage)設備等の洋上生産設備であってもよいし、海洋データや風況データ等を取得するための観測設備であってもよい。
【0039】
係留索7は、例えば、浮体構造物11を海底にカテナリー係留するためのチェーンである。係留索7の上端は、コラム3の上部に配置されたストッパー71に接続されている。また、係留索7の中間部は、コラム3の側面に配置されたフェアリーダ72により案内されている。
【0040】
次に、上述した浮体構造物11の変形例について、
図4~
図5(D)を参照しつつ説明する。ここで、
図4は、
図1に示した浮体構造物の第一変形例を示す図である。
図5は、
図1に示した浮体構造物の他の変形例を示す図であり、(A)は第二変形例、(B)は第三変形例、(C)は第四変形例、(D)は第五変形例、を示している。各図は、
図3に示したA-A矢視断面図と同じ断面図であり、説明の便宜上、係留索7及びフェアリーダ72の図は省略してある。
【0041】
図4に示した第一変形例は、上述した実施形態におけるロワーハル2の支持面23を省略したものである。この第一変形例では、中心部21は四角柱形状を有している。保護配管5は、中心部21に近接した柱状体22の側面に配置されている。具体的には、保護配管5は、柱状体22の中心部21に連結された部分の隅部を構成する側面に配置される。このように、保護配管5は、中心部21に近接した部分の周囲に配置されていてもよい。なお、保護配管5の本数は、図示した本数に限定されるものではない。
【0042】
図5(A)に示した第二変形例は、ロワーハル2を中心部21と3本の柱状体22により構成したものである。この変形例では、コラム3は、正三角形の各頂点に配置される。第二変形例の中心部21は、六角柱形状を有しており、柱状体22の間に位置する側面に支持面23が形成される。なお、支持面23は省略してもよい。また、保護配管5の本数は、図示した本数に限定されるものではない。
【0043】
図5(B)に示した第三変形例は、ロワーハル2を中心部21と6本の柱状体22により構成したものである。この変形例では、コラム3は、正六角形の各頂点に配置される。第三変形例の中心部21は、十二角柱形状を有しており、柱状体22の間に位置する側面に支持面23が形成される。なお、支持面23は省略してもよい。また、保護配管5の本数は、図示した本数に限定されるものではない。
【0044】
図5(C)に示した第四変形例は、ロワーハル2を中心部21と6本の柱状体22により構成したものである。この変形例では、コラム3は、長方形の各頂点と各長辺の中間点に配置される。第四変形例の中心部21は、第三変形例と同じ構成を有している。なお、支持面23は省略してもよい。また、保護配管5の本数は、図示した本数に限定されるものではない。
【0045】
かかる第四変形例に示したように、コラム3の中心点を結んで形成されるロワーハル2の外形は、正多角形に限定されず、長方形であってもよいし、その他の多角形であってもよい。ロワーハル2の外形が正多角形でない場合であっても、中央に中心部21が配置され、中心部21から放射状に柱状体22が配置される。なお、支持面23は省略してもよい。また、保護配管5の本数は、図示した本数に限定されるものではない。
【0046】
また、第三変形例及び第四変形例に示したように、本実施形態において、ロワーハル2を構成する柱状体22は、コラム3よりも細くてもよい。なお、図示しないが、柱状体22は、コラム3よりも太くてもよい。また、第四変形例に示したように、本実施形態において、コラム3は円筒形状であってもよい。また、第四変形例に示したように、ロワーハル2を構成する柱状体22は、水平方向の長さが異なっていてもよい。
【0047】
図5(D)に示した第五変形例は、ロワーハル2の構成を変更したものである。具体的には、第五変形例に係るロワーハル2は、中心部21及び柱状体22に加えて、柱状体22の周方向に隣接する外端部を連結するように配置された外周連結部24を備えている。外周連結部24は、柱状体22と同様に、内部に空洞を有し、必要に応じてバラスト水を注排水可能に構成されていてもよい。なお、ここでは、外周連結部24を円弧形状に形成しているが、直線形状であってもよい。
【0048】
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
1 洋上施設
2 ロワーハル
2a 底面
3 コラム
4 アッパーハル
5 保護配管
6 上部構造物
7 係留索
8 送電ケーブル
11 浮体構造物
12 水面貫通部
21 中心部
22 柱状体
23 支持面
24 外周連結部
31 傾斜部
32 拡幅部
71 ストッパー
72 フェアリーダ