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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】衛星用光通信ラムダスイッチング
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/118 20130101AFI20240712BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20240712BHJP
   H04B 7/185 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H04B10/118
H04J14/02 101
H04B7/185
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020075761
(22)【出願日】2020-04-21
(65)【公開番号】P2020191627
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】16/392,105
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】スコット, ジェームズ ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラン, マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】スコット, ブラッドリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴールド, デニス エル.
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-075790(JP,A)
【文献】特表2015-524629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/048948(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/019807(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/118
H04J 14/02
H04B 7/185
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星ペイロードシステム(200)であって、
複数の光処理モジュール(202、204、206、208、210)を備え、各光処理モジュールが、
光スプリッタ(216)を備えたモジュール入力(212)、
光カプラ(220)を備えたモジュール出力(214)、
前記光スプリッタの第1の出力と前記光カプラへの第1の入力との間に配置された動的利得等化器(218)、
前記光スプリッタの第2の出力に接続された光学フィルタ(222)の出力バンク、及び
前記光カプラの第2の入力に接続された光学フィルタ(224)の入力バンクを備え、
前記複数の光処理モジュールが、複数のリング接続された光処理モジュール(204、208、210)、及び複数の衛星間光処理モジュール(202、206)を備え、
前記衛星ペイロードシステムが更に、複数の光通信波長を伝達するように構成された少なくとも1つの光ファイバリング(226)であって、前記リング接続された光処理モジュールのそれぞれのモジュール入力とモジュール出力を介して、前記リング接続された光処理モジュールのそれぞれと通信可能に接続された少なくとも1つの光ファイバリングを備え、
前記リング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つが、前記少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された波長のオンボードでの信号処理を提供するように構成され、
複数の前記リング接続された光処理モジュールが、それぞれ、光学フィルタのそれぞれのバンクを介してそれぞれの衛星間光処理モジュールと通信可能に接続され、
各衛星間光処理モジュールが、そのモジュール入力及びそのモジュール出力を介して対応する遠隔衛星と光学的に通信可能に接続されるように構成されている、衛星ペイロードシステム。
【請求項2】
前記複数の光処理モジュールのそれぞれについて、前記光学フィルタのそれぞれの出力バンクと前記光学フィルタのそれぞれの入力バンクが、動的に調整可能である、請求項1に記載の衛星ペイロードシステム。
【請求項3】
前記複数の光処理モジュールのそれぞれが、同一のアーキテクチャを有する、請求項1又は2に記載の衛星ペイロードシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの光ファイバリングが、二重逆回転光ファイバリングを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の衛星ペイロードシステム。
【請求項5】
前記リング接続された光処理モジュールのうちの前記少なくとも1つが、前記少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された光通信データのオンボードでの光信号処理を提供するように構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の衛星ペイロードシステム。
【請求項6】
前記リング接続された光処理モジュールのうちの前記少なくとも1つが、前記少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された波長に対応する電磁データのオンボードでの無線周波数信号処理を提供するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の衛星ペイロードシステム。
【請求項7】
ホップド無線周波数地上通信を提供するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の衛星ペイロードシステム。
【請求項8】
時間分割多重化を使用して複数の衛星から複数の信号を集約するように構成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の衛星ペイロードシステム。
【請求項9】
各光処理モジュールが、耐放射線性光学材料及び低アウトガス構造材料を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の衛星ペイロードシステム。
【請求項10】
複数の遠隔衛星への選択可能な光ルーティングを提供するように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の衛星ペイロードシステム。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の衛星ペイロードシステム(200)によって実行される方法(300)であって、前記衛星ペイロードシステムが、
複数の光処理モジュール(202、204、206、208、210)を備え、各光処理モジュールが、
光スプリッタ(216)を備えたモジュール入力(212)、
光カプラ(220)を備えたモジュール出力(214)、
前記光スプリッタの第1の出力と前記光カプラへの第1の入力との間に配置された動的利得等化器(218)、
前記光スプリッタの第2の出力に接続された光学フィルタ(222)の出力バンク、及び
前記光カプラの第2の入力に接続された光学フィルタ(224)の入力バンクを備え、
前記複数の光処理モジュールが、複数のリング接続された光処理モジュール(204、208、210)、及び複数の衛星間光処理モジュール(202、206)を備え、
前記衛星ペイロードシステムが更に、複数の光通信波長を伝達するように構成された少なくとも1つの光ファイバリング(226)であって、前記リング接続された光処理モジュールのそれぞれのモジュール入力とモジュール出力を介して、前記リング接続された光処理モジュールのそれぞれと通信可能に接続された少なくとも1つの光ファイバリングを備え、
前記方法が、
少なくとも1つの衛星間処理モジュールによって、前記少なくとも1つの衛星間処理モジュールのモジュール入力を介して、前記少なくとも1つの衛星間処理モジュールのモジュール出力を介して、それぞれの遠隔衛星と光学的に通信可能に接続すること、
前記少なくとも1つの衛星間処理モジュールによって、光学フィルタのそれぞれのバンクを介して前記リング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つに衛星間データを含む波長を渡すこと、及び
前記リング接続された光処理モジュールのうちの前記少なくとも1つによって少なくとも部分的に、前記衛星間データを処理することを含む、方法。
【請求項12】
前記複数の光処理モジュールのそれぞれについて、前記光学フィルタのそれぞれの出力バンクと前記光学フィルタのそれぞれの入力バンクが、動的に調整可能である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の光処理モジュールのそれぞれが、同一のアーキテクチャを有する、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの光ファイバリングが、二重逆回転光ファイバリングを備える、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記処理が、1)光通信データのオンボードでの光信号処理、又は2)前記少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された波長に対応する電磁データのオンボードでの無線周波数信号処理、のうちの少なくとも一方によって提供される、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
複数の遠隔衛星への選択可能な光ルーティングを提供することを更に含む、請求項11から15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衛星通信に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の衛星ペイロードは、通常、電子ドメイン内で動作する。更に、地上光システムは、通常、モジュール式の設計原理を使用せずに特注される。
【発明の概要】
【0003】
様々な実施形態による、衛星ペイロードシステムが開示される。衛星ペイロードシステムは、複数の光処理モジュールを含み、各光処理モジュールは、光スプリッタを含むモジュール入力、光カプラを含むモジュール出力、光スプリッタの第1の出力と光カプラへの第1の入力との間に配置された動的利得等化器、光スプリッタの第2の出力に接続された光学フィルタの出力バンク、及び光カプラの第2の入力に接続された光学フィルタの入力バンクを含み、複数の光処理モジュールは、複数のリング接続された光処理モジュール、及び複数の衛星間光処理モジュールを含み、衛星ペイロードシステムは更に、複数の光通信波長を伝達するように構成された少なくとも1つの光ファイバリングであって、リング接続された光処理モジュールのそれぞれのモジュール入力とモジュール出力を介して、リング接続された光処理モジュールのそれぞれと通信可能に接続された少なくとも1つの光ファイバリングを含み、リング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された波長のオンボードでの信号処理を提供するように構成され、複数のリング接続された光処理モジュールは、それぞれ、光学フィルタのそれぞれのバンクを介してそれぞれの衛星間光処理モジュールと通信可能に接続され、各衛星間光処理モジュールは、そのモジュール入力及びそのモジュール出力を介して対応する遠隔衛星と光学的に通信可能に接続されるように構成されている。
【0004】
上述の実施形態のオプションである様々な特徴には、以下のものが含まれる。複数の光処理モジュールのそれぞれについて、光学フィルタのそれぞれの出力バンクと光学フィルタのそれぞれの入力バンクが、動的に調整可能である。複数の光処理モジュールのそれぞれは、同一のアーキテクチャを有してよい。少なくとも1つの光ファイバリングは、二重逆回転(dual counter-rotating)光ファイバリングを含んでよい。リング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された光通信データのオンボードでの光信号処理を提供するように構成されてよい。リング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された波長に対応する電磁データのオンボードでの無線周波数信号処理を提供するように構成されてよい。衛星ペイロードシステムは、複数の遠隔衛星への選択可能な光ルーティングを提供するように構成されてよい。衛星ペイロードシステムは、ホップド(hopped)無線周波数地上通信を提供するように構成されてよい。衛星ペイロードシステムは、時間分割多重化を使用して複数の衛星から複数の信号を集約(aggregate)するように構成されてよい。各光処理モジュールは、耐放射線性光学材料と低アウトガス(low outgassing)構造材料を含んでよい。
【0005】
様々な実施形態による、衛星ペイロードシステムによって実行される方法が開示される。衛星ペイロードシステムは、複数の光処理モジュールを含み、各光処理モジュールは、光スプリッタを含むモジュール入力、光カプラを含むモジュール出力、光スプリッタの第1の出力と光カプラへの第1の入力との間に配置された動的利得等化器、光スプリッタの第2の出力に接続された光学フィルタの出力バンク、及び光カプラの第2の入力に接続された光学フィルタの入力バンクを含み、複数の光処理モジュールは、複数のリング接続された光処理モジュール、及び複数の衛星間光処理モジュールを含み、衛星ペイロードシステムは更に、複数の光通信波長を伝達するように構成された少なくとも1つの光ファイバリングであって、リング接続された光処理モジュールのそれぞれのモジュール入力とモジュール出力を介して、リング接続された光処理モジュールのそれぞれと通信可能に接続された少なくとも1つの光ファイバリングを含み、該方法は、少なくとも1つの衛星間処理モジュールによって、少なくとも1つの衛星間処理モジュールのモジュール入力を介して、少なくとも1つの衛星間処理モジュールのモジュール出力を介して、それぞれの遠隔衛星と光学的に通信可能に接続すること、少なくとも1つの衛星間処理モジュールによって、光学フィルタのそれぞれのバンクを介してリング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つに衛星間データを含む波長を渡すこと、及び、リング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つによって少なくとも部分的に、衛星間データを処理することを含む。
【0006】
上述の実施形態のオプションである様々な特徴には、以下のものが含まれる。複数の光処理モジュールのそれぞれについて、光学フィルタのそれぞれの出力バンクと光学フィルタのそれぞれの入力バンクが、動的に調整可能である。複数の光処理モジュールのそれぞれは、同一のアーキテクチャを有してよい。少なくとも1つの光ファイバリングは、二重逆回転光ファイバリングを含んでよい。処理は、少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された光通信データのオンボードでの光信号処理によって提供されてよい。処理は、少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された波長に対応する電磁データのオンボードでの無線周波数信号処理によって提供されてよい。該方法は、複数の遠隔衛星への選択可能な光ルーティングを提供することを含んでよい。該方法は、ホップド無線周波数地上通信を提供することを含んでよい。該方法は、時間分割多重化を使用して複数の衛星から複数の信号を集約することを含んでよい。各光処理モジュールは、耐放射線性光学材料と低アウトガス構造材料を含んでよい。
【0007】
この明細書に組み込まれ、且つ、この明細書の一部を構成する添付図面は、本教示を例示しており、説明部分と共に、本開示の原理を解説するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】様々な実施形態による、光通信(photonic)ラムダスイッチングを使用する衛星通信システムの概略図である。
図2】様々な実施形態による、光通信ラムダスイッチングを使用する衛星ペイロードシステムの概略図である。
図3】様々な実施形態による、光通信ラムダスイッチングの方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面の幾つかの細部は、厳密な構造的な精度、細部、及び縮尺を維持するより、むしろ、本開示の理解を促すために簡略化され図示されていることに留意されたい。
【0010】
ここで、添付図面に示される開示の実施例を、詳しく参照する。可能な場合には、図面全体を通して、同一または同様の部品に言及するのに同一の参照番号を使用する。以下の説明において添付図面を参照するが、添付図面は以下の説明の一部を形成するものであり、添付図面中では、例示目的で具体的な実施例が示されている。これらの実施例は、当業者が実施可能なように十分詳細に記載されており、他の実施例が利用され得ることと、本発明の範囲から逸脱することなく変更が加えられ得ることは、理解されるべきである。したがって、以下の説明は単なる例示にすぎない。
【0011】
先行技術の衛星ペイロードは、アナログ又は(電気的)デジタルであってよい。対照的に、ある実施形態は、全体的又は部分的に光ペイロードを提供する。そのようなペイロードは、1つのビームからもう1つのビームへ光子(photon)をスイッチすることができる。特に、ある実施形態は、ペイロード内のあらゆる光ビームから光ビームへのスイッチングを可能にする。ある実施形態は、地球を指すビーム同士の間、又は衛星間を接続する光クロスリンク同士の間でスイッチすることができる。
【0012】
様々な実施形態は、ユーザトラフィック又はシステム制御及び管理トラフィックを含む無線周波数(RF)キャリア又はチャネルを処理すること、時間分割多重化(TDM)を使用してトラフィックを集約すること、並びに集約されたTDMトラフィックを光波長にスイッチすることによって、衛星信号ルーティング、及び/又は衛星コンステレーションを介したトラフィックのスイッチングを提供する。ある実施形態は、衛星RF信号を光パルスに変換し、次いで、ダウンリンク向けにRFへ戻す。ある実施形態は、光通信ラムダスイッチングを使用する。
【0013】
ある実施形態は、衛星間のスイッチング及び/又はルーティング、TDMを使用したRFキャリア又はチャネルの集約、これらの集約の光波長へのマッピング、並びに結果として生じる波長の選択された目的地衛星ペイロードへのルーティングを取り扱うために、光挿入/分岐多重化器(OADM)を衛星ペイロードの中に統合する。ある実施形態では、OADMが、再構成可能なOADM(ROADM)であってよい。
【0014】
ある実施形態は、二重ホップ機能とは異なり、単一ホップ機能を提供する。一般的に、二重ホップシステムでは、地上のユーザ端末が衛星にデータを送信する。次いで、衛星は、高機能の処理向けに地球ゲートウェイ局にデータを送信してよい。次いで、地球ゲートウェイ局は、地上のファイバを介して処理されたデータを、もう1つの地球ゲートウェイシステムに渡す。もう1つの地球ゲートウェイシステムは、そのデータを異なる衛星に戻すように送信する。異なる衛星は、そのデータを地球の最終的な目的地端末に渡すことができる。
【0015】
対照的に、ある実施形態は、単一ホップ機能を提供する。ある実施形態による衛星ペイロードは、変調/符号化/ルーティング/スイッチングなどの処理ために、信号をゲートウェイ局に向けて降ろす必要がない十分なオンボードでの処理を有する。そのような処理は、代わりに、本明細書で開示されるペイロード上で実行されてよい。高機能の処理向けに地球ゲートウェイシステムにデータを送信する代わりに、ある実施形態は衛星間リンクを使用する。したがって、データは、地上ベースの端末から衛星に向けて上げられ、そのデータが地球の目的地端末において経路の終点に至るまで地球に戻されることがない。そのような実施形態は、非静止軌道(NGSO)衛星のコンステレーションを通して、又は、低軌道(LED)、中軌道(MEO)、及び静止軌道(GEO)衛星の何らかの組み合わせを含む、階層的コンステレーションを通して、トラフィックを効率的にルーティング及び/又はスイッチングする問題を解決する。
【0016】
ある実施形態の光学的又は部分的に光学的なペイロードは、既知の衛星ペイロードと比較して、優れたサイズ、重量、及び電力(SWaP)特性を有する。一般的に、光学ハードウェアは、電子ハードウェアより軽く、したがって、実施形態は、同じ重量でより多くの処理を行うことができる。実施形態は、光トランシーバの内部でエルビウム添加ファイバ増幅器を利用してよく、それは、リンクの中により多くの波長を詰め込むことができる。そのような実施形態は、完全に電子ベースのシステムと比較して、宇宙空間内の光バックボーンを介したより大きなルーティング機能を提供することができる。更に、本明細書で開示される光ハードウェアは、異なる信号経路同士の間の優れた信号耐性を提供する。
【0017】
図1は、様々な実施形態による、光通信ラムダスイッチングを使用する衛星通信システムの概略図である。図示されているシステムは、3つの衛星101、103、105のコンステレーションを含む。このコンステレーションは、静止又は非静止(例えば、LEO又はMEO)軌道内にあってよい。
【0018】
各衛星101、103、105は、それぞれのペイロード101、104、106を含む。ペイロード102、104、106は、光通信ラムダスイッチングを提供する。特に、各ペイロード102、104、106は、光挿入・分岐多重化器(OADM)を含む。それは、再構成可能なOADM(ROADM)であってよい。各ペイロード102、104、106は、TDMスイッチ/多重化器(MUX)を含む。TDMスイッチ/MUXは、完全に光学的であってよく、又はRFドメイン内で処理してよい。各ペイロード101、104、106は、信号処理回路も含む。それは、RFドメイン内で信号を処理してよく、又は代替的に完全に光ドメイン内で信号を処理してよい。
【0019】
衛星101は、それぞれ、衛星103と105との光衛星間リンク(OISL)を有するように図示されている。ISLは、静的、動的、又は非常に動的であってよい。静的なISLは、同じ軌道面内の衛星同士の間にあってよい。そのような衛星は、絶えず見えている前及び後の衛星を有してよい。動的なISLは、隣接する軌道面内の衛星同士の間にあってよい。そのような衛星は、例えば、同時に15分ぐらいの間だけ互いに見えていてよい。非常に動的なISLは、シーム(seam)内で隣接する面内の衛星同士の間にあってよい。そのような衛星は、例えば、同時に数分間のみ互いに見えていてよい。
【0020】
ISLは、粗い波長分割多重化(CWDM、例えばリンク当たり8又は16チャネル)、高密度WDM(DWDM、例えばリンク当たり32、64、又は128チャネル)、又は超高密度WDM(UDWDM、例えば、リンク当たり192以上のチャネル)を利用してよい。
【0021】
実施形態は、制約ベースの波長ルーティングを利用してよい。そのようなルーティングは、システムの一方の端から他方の端までの複数の衛星同士の間の多重波長を利用してよい。
【0022】
図1で描かれているように、衛星は、地上の様々なエンティティと通信することができる。衛星101及び105は、地球上にビームを浴びせるように図示されている。そのような通信は、RF及び/又は光学的であってよい。概して、地球へのダウンリンクはRFである。更に、一般的に、光通信リンクは、衛星同士の間であってよい。衛星101は、セルラー・インターネットオブシングスのユーザ端末108と通信するように図示されている。しかし、実施形態は、そのように限定されない。衛星101が通信することができる更なる地上ベースのエンティティは、モバイルWiFiアクセスポイント、航空・海洋モバイル衛星端末、静止衛星のユーザ端末、及び他のエンティティを含んでよい。
【0023】
衛星105は更に、地球規模のネットワーク運営センター(global NOC)110と通信するように図示されている。そのような地球規模のNOC110は、衛星運用センター(SOC)及びサイバーセキュリティ運営センター(CSOC)を含むように図示されている。CSOCは、システムが安全であることを保証するために、偵察及び監視を提供する。地球規模のNOCは、システム資源管理プログラム(SRM)を含み得る、ネットワーク運営センター(NOC)も含む。
【0024】
SRMは、オペレータの入力と制約、及び他の外的な制約(例えば、地球規模の気象、同じ周波数帯で動作する外部システムからのエフェメリスデータ)を受信する、地球規模のSRMであって、各衛星ペイロード、地上ゲートウェイ、及びユーザ端末に存在する分散型SRMクライアントに配布される地球規模の及び地域的な資源管理ポリシーを生成する、地球規模のSRMを含む、分散型エンティティであってよい。これらの配布されたポリシーは、局所的なペイロード、ゲートウェイ、及び端末SRMクライアントによって使用されて、ビーム、キャリア、及びスイッチング/転送機能に関連する局所的な構成情報を生成する。SRMクライアントは、システム資源割り当て及びシステム性能の継続的な最適化のために、主要な性能指標データを地球規模のSRMに供給し戻すこともできる。
【0025】
SRMは、ホップド及び非ホップドビームをサポートすることができる。概して、非ホップドビームは、それぞれが、異なる周波数帯域を有し、地球上の異なるセルに静的に割り当てられる、静的なビームを利用する。種々の周波数帯域を使用することによって、セルのエッジで干渉が生じないという利点がもたらされる。静的な非ホップドビームは、ユーザの人口が、静的であり、システムに対する常に同じアクセスを要求する限りにおいて、有用である。しかし、例えば、モバイルシステムは、一日の時間帯で変化するデマンド要件及び変化するアクセス要求を有し得る。それは、そのようなシステムが、時間内の種々のポイントにおいて種々のセル内で種々の要求を有し得ることを意味する。
【0026】
ホップドビームは、種々の時間において種々の場所で種々の周波数帯域のビームを利用する。ホップドビームについては、種々のセルが、時間内の種々のポイントにおいてエネルギー供給される。ビームホッピングは、空間順列に従って種々の時間におけるシステムに対する種々のアクセスを種々のユーザに与えることによって、システム容量を高める。種々の時間において使用され得る又は使用され得ない、非ホップドビームシステムによる複数の完全にエネルギー供給されるビームを有する代わりに、ホップドビームシステムは、TDMにマッピングされる周波数分割多重化(FDM)を利用する。TDMを使用して、トラフィックを種々の光波長に多重化し、ビームホッピングは、スペクトルを種々のチャネルの中に分割し次いでこれらのチャネルの間でホップするFDMを使用する。したがって、ビームホッピングは、効率的なやり方で動的要求をサービスすることを可能にする。ホッピングは、顧客が必要だと言っているものに基づいて、インテリジェントであってよく(コンピュータ制御されてよく)又は既知のパターンであってよい。
【0027】
SRMは、インテリジェントなビームホッピングを提供する。システムは、地上ベースの端末からSRMの中にリアルタイムのデータを供給する。次いで、SRMは、このデータを使用して、時間にわたりシステムの効率を高めるためにビームホッピングパターンを修正する方法を決定する。
【0028】
様々な実施形態によれば、光学的なISLは、(SRMが、ルーティング及び波長割り当てアルゴリズムを使用して端から端までの経路を決定する)多重波長相互接続を使用することができるか、又は、光学的なISLは、隣接する衛星同士の間の全てのトラフィックが単一の波長を使用して運ばれる、単一のコヒーレントレーザを使用することができる。例えば、前者は、回路交換ネットワーク向けに最適化されている一方で、後者のアプローチは、パケット交換ネットワーク向けに最適化されている。
【0029】
図2は、様々な実施形態による、光通信ラムダスイッチングを使用する衛星ペイロードシステム200の概略図である。例えば、衛星ペイロードシステム200は、図1の衛星101、103、105内に含まれてよい。システム200は、使用される波形(例えば、ホップド、非ホップド、TDM、FDM、CDMAなど)に対して透過的である。
【0030】
衛星ペイロードシステム200は、光処理モジュール202、204、206、208、210に基づいてよい。複数のそのような光処理モジュールは、同一のアーキテクチャを有するように製造されてよい。このやり方では、衛星ペイロードシステム200が、効率的に設計及び製造されてよい。例えば、光処理モジュール202、204、206、208、210は、再生産可能なアセンブリ工程を使用して構築されてよい。したがって、光処理モジュール202、204、206、208、210は、ブロードキャスト・選択スイッチ設計内で挿入/分岐ポイント毎に複製される、再使用可能な設計構成要素であってよい。そのような再使用によって、費用を削減し、製造及び空間適格性の効率を高める。
【0031】
光処理モジュール202、204、206、208、210の例示的な内部アーキテクチャは、光処理モジュール202に関連して説明されるが、その説明は、幾つかの実施形態による、残りの光処理モジュール204、206、208、210に適用される。光処理モジュール202は、入力212と出力214を含む。入力212と出力214は、光処理モジュール202に、光伝送路を接続し、光信号を伝達するための物理的なポートを含んでよい。入力212は、光処理モジュール202内の光スプリッタ216の入力に接続されてよい。光スプリッタ216は、1つの入力と2つの出力を有する。光スプリッタ216の一方の出力は、動的利得等化器(DGE)218に接続されてよい。DGE218は、以下で更に説明されるように、分岐/挿入多重化を支援する。DGE218の出力は、光カプラ220の入力に接続される。光カプラ220は、2つの入力と1つの出力を有する。光カプラ220の出力は、光処理モジュール202の出力214に供給される。
【0032】
光スプリッタ216の他方の出力は、出力光学フィルタ222のバンクに接続される。出力光学フィルタ222は、静的であってよく又は調整可能であってよい。調整可能な光学フィルタ222を利用する実施形態は、衛星コンステレーションの光バックボーンを通るルーティングを動的に変更することができる。すなわち、調整可能な光学フィルタ222を利用する実施形態は、ROADM機能を含む。光学フィルタの数は、衛星が通信する遠隔衛星の数と一致してよい。出力光学フィルタ222は、光伝送路を接続し光信号を伝達するための1以上の物理的なポートを含んでよい。
【0033】
光カプラ220の他方の入力は、出力光学フィルタ222のバンクに合致し得る入力光学フィルタ224のバンクに接続される。入力光学フィルタ224は、静的であってよく又は調整可能であってよく、OADM又はROADM機能を提供する。入力光学フィルタ224は、光伝送路を接続し光信号を伝達するための1以上の物理的なポートを含んでよい。
【0034】
したがって、光処理モジュール202は、光波長を受信するための入力212、光波長を送信するための出力214、別の1つの光処理モジュールの出力光学フィルタの対応するバンクと接続するための入力光学フィルタ224のバンク、及び別の1つの光処理モジュールの入力光学フィルタのバンクに接続するための出力光学フィルタ222のバンクを含む。
【0035】
光学・光通信構成要素は、宇宙空間を特徴付ける高放射、真空、及び低重力の環境内での動作を容易にするための特徴を含む。これらの特徴は、耐放射線性光学材料(例えば、ガラス、水晶、液晶、及び導波路)の使用、(例えば、構造部品向けの)高アウトガスポリマーを低アウトガス材料と交換すること、耐放射線性材料を用いた高放射線性環境で劣化する材料の排除、導線性ウィスカの形成を防止するための緩和策、熱伝達向けの対流への依存を除去するための熱管理、及び真空環境内での動作を可能にするための設計特徴の実装のうちの何れか、又は何らかの組み合わせを含む。真空内での動作向けのそのような設計特徴は、真空への移行を促進し真空が引き起こす応力を除去するための通気、内部圧力及びガス含有量を維持するための気密封止、及び周囲圧力と真空環境の両方で動作を可能にするための最適化された光学設計を含む。
【0036】
衛星ペイロードシステム200は、二重逆回転光ファイバリング226を更に含む。光ファイバリングは、主要な光ファイバリング、及び冗長性のための副次的な光ファイバリングを含んでよい。両方のリングは、システムの残りの部分に対して同じ接続を有する。冗長なリングは、一方のリングが故障した場合に、他方のリングが新しい主要なリングとして引き受けるように、相互接続されてよい。光ファイバリング226は、DWDM又はUDWDMを利用することができる。本明細書で詳細に説明されるように、光モジュールと協働して使用されるときに、光ファイバリング226は、トラフィックが所与の外部インターフェース上の1つの波長から異なる外部インターフェース上の異なる波長にスイッチすることを可能にする。すなわち、光ファイバリング226は、それらの範囲内で波長をスイッチングすることによって、ペイロード上の光スイッチングを少なくとも部分的に実行する。実施形態の帯域幅は、光ファイバリング当たりのより多くの波長を使用するか、又は更なる相互接続された光ファイバリングを使用することによっての何れかで、スケーリングされ得ることに留意されたい。
【0037】
光処理モジュール202、204、206、208、210は、それらのそれぞれの入力及び出力が、光ファイバリング226に接続されているか又は衛星間リンク向けに使用されるかに応じて、リング接続された光処理モジュール又は衛星間光処理モジュールとして分類されてよい。したがって、光処理モジュール204、208、210は、リング接続された光処理モジュールであり、一方で、光処理モジュール202、206は、衛星間光処理モジュールである。
【0038】
衛星間光処理モジュール202、206は、それぞれ、それらのそれぞれの光学フィルタバンクを介して、それぞれ、対応するリング接続された光処理モジュール204、208に接続される。したがって、衛星間光処理モジュール202の出力光学フィルタ222のバンクは、リング接続された光処理モジュール204の入力光学フィルタ228と通信可能に接続される。更に、衛星間光処理モジュール202の入力光学フィルタ224のバンクは、リング接続された光処理モジュール204の出力光学フィルタ230のバンクと通信可能に接続される。
【0039】
リング接続された光処理モジュール210は、光ファイバリング226からピックアップされた波長に関するデータの処理を提供する。ある実施形態によれば、そのような処理は、完全に光ドメイン232内にあってよい。代替的に、ある実施形態によれば、処理は、RFドメイン234内で実行される。そのような実施形態によれば、光処理モジュール206の光学フィルタのバンクは、RF処理回路に接続されている。そのようなRF処理回路は、図2で示されているように、TDMスイッチ236、TDM変調器/復調器238、及び専用RF処理回路240を含んでよい。
【0040】
システム200の光処理モジュール202、204、206、208、210、及び光学ファイバリング226は、隣接する衛星に向かうトラフィックを含むスルーパス、及び局所的な処理向けに分岐(drop)されるトラフィックを含む分岐パス(drop path)を含むように、概念化されてよい。特に、光処理モジュール202の光スプリッタ216は、受信したISL信号をスルーパスと分岐パスへ分割する。スルーパスのトラフィックは、DGE218の中へ進む。それは、分岐される(1以上の)波長を選択し、それらをスルーパスから除去する。DGE218は、したがって、これらの波長がもはやスルーパス内に存在しないように、分岐されるトラフィックをフィルタする。光カプラ220に向かうスルーパス内に残っている全ては、処理のために分岐されなかった受信信号である。これらの波長は、光カプラ220に送信される。
【0041】
光スプリッタ216からの分岐パスは、リング接続された光処理モジュール204に波形を渡す。それは、そのような波形を光ファイバリング226に渡す。そのような波形は、リング接続された光処理モジュール210によって光学的に処理されてよく、又は、TDMスイッチ236、TDM MUX/DEMUX238、及びRFプロセッサ240を使用して、RFドメイン234内で処理されてよい。次いで、処理された波形は、リング接続された光処理モジュール210の光カプラを介して光ファイバリング226に追加(add)される。より具体的には、処理される波形が、リング接続された光処理モジュール204によって光ファイバリング226からピックアップされ、それらのそれぞれの光学フィルタのバンクを介して、衛星間光処理モジュール202に渡される。光カプラ220では、RFドメイン234内であるか又は完全に光ドメイン内であるかに関わらず、オンボードで処理された分岐された波長が、隣接する衛星への送信向けのスルーパスの信号に追加される。これらの信号は、ISLに送信される。(分岐パスの一部の波形は、地上の地球端末に向けられ、これらは、ISLに移動するために再び追加されることはないことに留意されたい。)要するに、DGE218は、処理向けに分岐された光ファイバリング226上の全ての波形を除去し、次いで、DGE218の他方の側では、光カプラ220が、処理され光ファイバリング226から取得された適切な波形を再び追加して、出力214を介してISLへと向かわせる。したがって、DGE218は、少なくとも何らかの分岐機能を実行し、光カプラ220は、少なくとも何らかの追加機能を実行する。
【0042】
ある実施形態は、種々のRFビーム又は光波長への/種々のRFビーム又は光波長からのトラフィックが、種々の光波長にグルーミングされ得る、グルーミング機能を提供する。そのようなグルーミングは、ここで開示されているように、光学的に又はRFドメイン内で部分的に実行されてよい。
【0043】
ある実施形態は、トラフィックの波長を完全に光学的に、すなわち、RFドメインに入ることなしに変更することができる。そうするために、そのような実施形態は、調整可能な光学フィルタ222、224のバンクを利用することができる。そのような実施形態は、スイッチング機能向けにそのような調整可能なフィルタを使用することができる。例えば、第1の波長におけるトラフィックは、光スプリッタ216を介して分岐パスに向けられてよい。トラフィックは、光学フィルタ222のバンクに入ってよく、光学フィルタ222のバンクから対応する波長のフィルタによって選択されてよい。光学フィルタ228の受信バンクの対応するフィルタは、対応する受信フィルタを、第1の波長とは異なる第2の波長に調整することができる。次いで、第2の波長からのトラフィックは、リング接続された光処理モジュール204の光カプラを介して、第2の波長で光ファイバリング226に入ることができる。
【0044】
代替的に、ある実施形態は、TDMスイッチ236を使用して、電気変換プロセスを介して信号を進めることによって、波長を変更することができる。そのような実施形態によれば、1つの波長でトラフィックが引き抜かれた際に、その波長はRFドメイン234内で変更され、次いで、変更された波長は再び追加される。
【0045】
図3は、様々な実施形態による、衛星光通信ラムダスイッチングの方法300のフロー図である。方法300は、衛星ペイロードシステム200などのシステムによって実行されてよい。そのシステムは、衛星101、103、又は105などの衛星内に配備されてよい。
【0046】
ブロック302では、システム200が、衛星間リンクを介して遠隔衛星と通信可能に接続される。そのようなリンクは、例えば、システム200の衛星間光処理モジュール(例えば、光処理モジュール202)の入力と出力を使用して設けられてよい。そのリンクは、純粋に光学的であってよい。そのリンクは、2つの構成要素を含んでよく、一方は送信向けであり、他方は受信向けである。標準的な光学素子が、遠隔衛星を用いて光波長を見つけ、送信し、受信するために使用されてよい。
【0047】
ブロック304では、システム200が、受信衛星間光処理モジュール(例えば、光処理モジュール202)から、リング接続された光処理モジュール(例えば、光処理モジュール204)に、受信した光波長を渡す。システム200は、光学フィルタ(例えば、224、230)のそれらのそれぞれのバンクを介して波長を渡すことができる。
【0048】
ブロック306では、システム200が、ISLを経由して受信したトラフィックを処理する。処理は、波長変更、変調、符号化、ルーティング、及び/又はスイッチングを含んでよい。処理は、完全に光ドメイン内で実行されてよく、又は部分的にRFドメイン(例えば、234)内で実行されてよい。
【0049】
一旦処理されると、光処理モジュール(例えば、206)によってピックアップされた信号は、光ファイバリング226に再び追加されてよく、その信号が処理の前にそこから受信されたところの衛星から異なる衛星に送信されてよい。
【0050】
更に、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
1.
衛星ペイロードシステム(200)であって、複数の光処理モジュール(202、204、206、208、210)を備え、各光処理モジュールは、光スプリッタ(216)を備えたモジュール入力(212)、光カプラ(220)を備えたモジュール出力(214)、光スプリッタの第1の出力と光カプラへの第1の入力との間に配置された動的利得等化器(218)、光スプリッタの第2の出力に接続された光学フィルタ(222)の出力バンク、及び光カプラの第2の入力に接続された光学フィルタ(224)の入力バンクを備え、複数の光処理モジュールは、複数のリング接続された光処理モジュール(204、208、210)、及び複数の衛星間光処理モジュール(202、206)を備え、衛星ペイロードシステムは更に、複数の光通信波長を伝達するように構成された少なくとも1つの光ファイバリング(226)であって、リング接続された光処理モジュールのそれぞれのモジュール入力とモジュール出力を介して、リング接続された光処理モジュールのそれぞれと通信可能に接続された少なくとも1つの光ファイバリングを備え、リング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された波長のオンボードでの信号処理を提供するように構成され、複数のリング接続された光処理モジュールは、それぞれ、光学フィルタのそれぞれのバンクを介してそれぞれの衛星間光処理モジュールと通信可能に接続され、各衛星間光処理モジュールは、そのモジュール入力及びそのモジュール出力を介して対応する遠隔衛星と光学的に通信可能に接続されるように構成されている、衛星ペイロードシステム。
2.
複数の光処理モジュールのそれぞれについて、光学フィルタのそれぞれの出力バンクと光学フィルタのそれぞれの入力バンクが、動的に調整可能である、条項1に記載の衛星ペイロードシステム。
3.
複数の光処理モジュールのそれぞれが、同一のアーキテクチャを有する、条項1に記載の衛星ペイロードシステム。
4.
少なくとも1つの光ファイバリングが、二重逆回転光ファイバリングを備える、条項1に記載の衛星ペイロードシステム。
5.
リング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された光通信データのオンボードでの光信号処理を提供するように構成されている、条項1に記載の衛星ペイロードシステム。
6.
リング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された波長に対応する電磁データのオンボードでの無線周波数信号処理を提供するように構成されている、条項1に記載の衛星ペイロードシステム。
7.
複数の遠隔衛星への選択可能な光ルーティングを提供するように構成されている、条項1に記載の衛星ペイロードシステム。
8.
ホップド無線周波数地上通信を提供するように構成されている、条項1に記載の衛星ペイロードシステム。
9.
時間分割多重化を使用して複数の衛星から複数の信号を集約するように構成されている、条項1に記載の衛星ペイロードシステム。
10.
各光処理モジュールが、耐放射線性光学材料及び低アウトガス構造材料を含む、条項1の衛星ペイロードシステム。
11.
衛星ペイロードシステム(200)によって実行される方法(300)であって、衛星ペイロードシステムが、複数の光処理モジュール(202、204、206、208、210)を備え、各光処理モジュールは、光スプリッタ(216)を備えたモジュール入力(212)、光カプラ(220)を備えたモジュール出力(214)、光スプリッタの第1の出力と光カプラへの第1の入力との間に配置された動的利得等化器(218)、光スプリッタの第2の出力に接続された光学フィルタ(222)の出力バンク、及び光カプラの第2の入力に接続された光学フィルタ(224)の入力バンクを備え、複数の光処理モジュールは、複数のリング接続された光処理モジュール(204、208、210)、及び複数の衛星間光処理モジュール(202、206)を含み、衛星ペイロードシステムが更に、複数の光通信波長を伝達するように構成された少なくとも1つの光ファイバリング(226)であって、リング接続された光処理モジュールのそれぞれのモジュール入力とモジュール出力を介して、リング接続された光処理モジュールのそれぞれと通信可能に接続された少なくとも1つの光ファイバリングを備え、該方法が、少なくとも1つの衛星間処理モジュールによって、少なくとも1つの衛星間処理モジュールのモジュール入力を介して、少なくとも1つの衛星間処理モジュールのモジュール出力を介して、それぞれの遠隔衛星と光学的に通信可能に接続すること、少なくとも1つの衛星間処理モジュールによって、光学フィルタのそれぞれのバンクを介してリング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つに衛星間データを含む波長を渡すこと、及び、リング接続された光処理モジュールのうちの少なくとも1つによって少なくとも部分的に、衛星間データを処理することを含む、方法。
12.
複数の光処理モジュールのそれぞれについて、光学フィルタのそれぞれの出力バンクと光学フィルタのそれぞれの入力バンクが、動的に調整可能である、条項11に記載の方法。
13.
複数の光処理モジュールのそれぞれが、同一のアーキテクチャを有する、条項11に記載の方法。
14.
少なくとも1つの光ファイバリングが、二重逆回転光ファイバリングを備える、条項11に記載の方法。
15.
処理は、少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された光通信データのオンボードでの光信号処理によって提供される、条項11に記載の方法。
16.
処理は、少なくとも1つの光ファイバリングに伝達された波長に対応する電磁データのオンボードでの無線周波数信号処理によって提供される、条項11に記載の方法。
17.
複数の遠隔衛星への選択可能な光ルーティングを提供することを更に含む、条項11に記載の方法。
18.
ホップド無線周波数地上通信を提供することを更に含む、条項11に記載の方法。
19.
時間分割多重化を使用して複数の衛星から複数の信号を集約することを更に含む、条項11に記載の方法。
20.
各光処理モジュールが、耐放射線性光学材料及び低アウトガス構造材料を含む、条項11に記載の方法。
【0051】
本開示は、この出願で説明される特定の実施形態に関して限定されず、それらの実施形態は、様々な態様の例示であることが意図されている。当業者には明らかであるように、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、多くの修正及び変形が行われ得る。本明細書で列挙されているものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び装置は、前述の説明から当業者にとって明らかであろう。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図されている。本開示は、添付の特許請求の範囲、及び係る特許請求の範囲に認められる均等物の全範囲を参照してのみ限定されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみが目的であり、限定することを意図していないことも理解されるだろう。
【0052】
本明細書における、実質的にいかなる複数形及び/又は単数形の用語の使用に関しても、当業者は、文脈及び/又は用途に適切であるように、複数形から単数形に、及び/又は、単数形から複数形に、変換することが可能である。様々な単数形/複数形の変化は、明瞭さを目的として本明細書で明示的に説明される場合がある。
【0053】
通常、本明細書、特に付随する特許請求の範囲(例えば付随する特許請求の範囲の本文)で使用される用語は概して、「オープン」ターム(“open”term)として意図されている(例えば、「含んでいる(including)」という用語は、「~を含んでいるがそれだけに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「少なくとも~を有する」と解釈されるべきであり、「含む(include)」という用語は、「~を含むがそれだけに限定されない」と解釈されるべきである、等)と、当業者には理解されよう。更に、特定の数の導入される請求項の記載(introduced claim recitation)が意図される場合、かかる意図は特許請求の範囲において明示的に記載され、かかる記載がなければかかる意図は存在しないことになると、当業者には理解されよう。例えば、理解の一助としては、下記の付随する特許請求の範囲は、請求項記載を導入するために、「少なくとも1つ(at least one)」及び「一又は複数(one or more)」という導入フレーズの使用を包含し得る。しかし、かかるフレーズの使用は、たとえ同一の請求項が「1以上」又は「少なくとも1つ」という導入フレーズ、及び、「1つの(a又はan)」という不定冠詞を含む時であっても、不定冠詞「1つの」による請求項記載の導入により、かかる導入される請求項記載を包含する特定の請求項のいずれかが、1つのかかる記載のみを包含する実施形態に限定されることを暗示すると、解釈されるべきではない(例えば、「1つの」は、「少なくとも1つ」、又は「1以上」を意味すると解釈すべきである)。請求項の記載を導入するために使用される定冠詞の使用についても、同じことが言える。加えて、たとえ幾つかの特定の導入される請求項記載が明示的に記載されていても、当業者には、かかる記載が、少なくとも記載されている数を意味すると解釈されるべきであることが、認識されよう(例えば、他の修飾語句を伴わない単なる「2つの記載」という記載は、少なくとも2つの記載、又は2を上回る数の記載を意味する)。また更に、「A、B、及びCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する従来用法が使用される事例においては、通常、かかる構文は、当業者がその従来用法を理解するであろう意味において、意図されている(例えば、「A、B、及び、Cのうちの少なくとも1つを有するシステム」とは、Aだけを有するシステム、Bだけを有するシステム、Cだけを有するシステム、AとBを共に有するシステム、AとCを共に有するシステム、BとCを共に有するシステム、及び/又は、AとBとCをまとめて有するシステムなどを含むことになるが、それらだけに限定されるわけではない)。「A、B、又はCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する従来用法が使用される事例においては、通常、かかる構文は、当業者がその従来用法を理解するであろう意味において、意図されている(例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つを有するシステム」とは、Aだけを有するシステム、Bだけを有するシステム、Cだけを有するシステム、AとBを共に有するシステム、AとCを共に有するシステム、BとCを共に有するシステム、及び/又は、AとBとCをまとめて有するシステムなどを含むことになるが、それらだけに限定されるわけではない)。更に、明細書、特許請求の範囲、又は図面の何れにおいても、事実上、2を上回る数の代替事項を提示する離接語及び/又はフレーズのいずれもが、それらの事項のうちの1つか、それらの事項の何れか、又は両方の事項を含む可能性を考慮していると理解されるべきであると、当業者には理解されよう。例えば、「A又はB」というフレーズは、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むように理解される。加えて、本開示の特徴及び態様がマーカッシュグループ形式で記述されている場合、本開示もそれにより、マーカッシュグループの個別の項目又は項目のサブグループの何れかに関して記述されると、当業者には認識されよう。
【0054】
本明細書では様々な態様及び実施形態が開示されているが、他の態様及び実施形態も、当業者には自明となろう。本明細書で開示されている様々な態様及び実施形態は、例示を目的とするものであって限定を意図しておらず、下記の特許請求の範囲により示される真の範囲及び本質を伴う。
図1
図2
図3