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特許7519824取外し可能な加熱装置を備えた電気調理器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】取外し可能な加熱装置を備えた電気調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/086 20060101AFI20240712BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20240712BHJP
   A47J 27/08 20060101ALI20240712BHJP
   A47J 37/06 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
A47J27/086
A47J27/00 103N
A47J27/08 G
A47J37/06 321
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020110880
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2021006252
(43)【公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】1907038
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クエンティン ドス サントス
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルディーヌ ドア
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第207804046(CN,U)
【文献】中国実用新案第205697177(CN,U)
【文献】国際公開第2017/077571(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/086
A47J 27/00
A47J 27/08
A47J 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気調理器(2)であって、
- 調理対象の食品を受けるように構成された調理槽(4)を具備する筐体(3)、および
- 前記筐体(3)に対して枢動可能に取り付けられた蓋(5)であって、蓋(5)が前記調理槽(4)へのアクセス路を解放する開位置と、蓋(5)が前記調理槽(4)へのアクセスを妨げる閉位置との間で枢動する蓋(5)
を備え、
前記蓋(5)の内側面に取り付けられた加熱装置(7)であって、前記蓋(5)が前記閉位置を占めるときに前記調理槽(4)内に受けた前記調理対象の食品と向かい合わせの位置になるように、かつ前記調理対象の食品を加熱するように構成された加熱器(14)を具備する加熱装置(7)をさらに備える電気調理器(2)において、
前記加熱装置(7)が前記蓋(5)の前記内側面に取外し可能に取り付けられ、
前記加熱装置(7)を前記蓋(5)に錠止するように構成された錠止機構(15)を備え、
前記錠止機構(15)は、前記蓋(5)に設けられた錠止要素(16)であって、錠止要素(16)が前記加熱装置(7)と協働して前記加熱装置(7)を前記蓋(5)に錠止する錠止位置と、錠止要素(16)が前記加熱装置(7)を解放して前記加熱装置(7)を取り外せるようにする解放位置との間で可動に取り付けられた錠止要素(16)を備え、
前記加熱装置(7)は、前記加熱装置(7)が前記錠止機構(15)によって前記蓋(5)に錠止される錠止位置と、前記加熱装置(7)が前記錠止機構(15)によって解放されて取外し可能となる把持位置との間で前記蓋(5)に対して可動に取り付けられ、
前記加熱装置(7)は、前記錠止要素(16)が前記錠止位置から前記解放位置に移動すると、前記錠止位置から前記把持位置に自動的に移動するように構成されることを特徴とする電気調理器(2)。
【請求項2】
前記加熱装置(7)は、前記蓋(5)が前記閉位置を占めるときに前記調理槽(4)へのアクセス開口(9)を少なくとも部分的に閉じるように構成された閉鎖要素(8)を備え、前記加熱器(14)は前記閉鎖要素(8)に固定される請求項1に記載の電気調理器(2)。
【請求項3】
前記蓋(5)が前記閉位置にあるとき、前記閉鎖要素(8)および前記調理槽(4)は調理キャビティ(10)を画定し、前記加熱器(14)は、前記調理キャビティ(10)内に配置されるように構成される請求項2に記載の電気調理器(2)。
【請求項4】
前記閉鎖要素(8)は、前記蓋(5)が前記閉位置を占めるときに前記調理槽(4)のアクセス開口(9)を気密に閉じるように構成される請求項2または3に記載の電気調理器(2)。
【請求項5】
前記錠止要素(16)を前記錠止位置から前記解放位置に移動させるように構成された動作部品(19)を備える請求項1に記載の電気調理器(2)。
【請求項6】
前記動作部品(19)は、前記錠止要素(16)が前記錠止位置にある休止位置と、前記錠止要素(16)が前記解放位置にある錠止解除位置との間で前記蓋(5)に対して可動に取り付けられ、前記動作部品(19)は、前記休止位置から前記錠止解除位置への前記動作部品(19)の移動が、前記錠止位置から前記解放位置への前記錠止要素(16)の移動を引き起こすように構成される請求項5に記載の電気調理器(2)。
【請求項7】
前記動作部品(19)は、前記休止位置と前記錠止解除位置との間で前記動作部品(19)を移動させるようにユーザーが操作できる把持部(20)を備える請求項6に記載の電気調理器(2)。
【請求項8】
前記把持部(20)は、前記蓋(5)が前記開位置にあるときにだけユーザーがアクセスできる請求項7に記載の電気調理器(2)。
【請求項9】
蒸気出口弁(21)であって、蒸気出口弁(21)が前記調理槽(4)の内部と前記電気調理器(2)の外部とを連通させて蒸気を前記電気調理器(2)の外部に出せるようにする第1の弁位置と、蒸気出口弁(21)が前記調理槽(4)の内部を前記電気調理器(2)の外部から流体的に隔離して、前記調理槽(4)内の圧力上昇を可能にする第2の弁位置との間で可動な蒸気出口弁(21)を備える請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電気調理器(2)。
【請求項10】
前記蒸気出口弁(21)を前記第2の弁位置の方に付勢するように構成された、少なくとも1つの付勢要素(24)を備える請求項9に記載の電気調理器(2)。
【請求項11】
前記蓋(5)を前記閉位置に錠止するように構成された蓋錠止機構(26)と、ユーザーによって操作されて前記筐体(3)に対する前記蓋(5)の錠止および錠止解除を作動させるように構成された作動装置(30)とを備え、前記作動装置(30)は前記蓋(5)に可動に取り付けられて、
- 前記蓋(5)が前記筐体(3)から錠止解除され、前記蓋(5)が前記開位置に移動できる第1の作動位置と、
- 前記蓋(5)が前記閉位置に錠止され、前記蒸気出口弁(21)が前記第1の弁位置に維持される第2の作動位置と、
- 前記蓋(5)が前記閉位置に錠止され、前記蒸気出口弁(21)が前記第2の弁位置に維持される第3の作動位置と
を占めるように構成される請求項9または10に記載の電気調理器(2)。
【請求項12】
前記作動装置(30)を前記第2の作動位置に移動させたときに前記蒸気出口弁(21)を前記第1の弁位置に移動させるように構成された弁棒(32)を備える請求項11に記載の電気調理器(2)。
【請求項13】
前記筐体(3)内に配設され、前記調理槽(4)を加熱するように構成された加熱要素(6)を備える請求項1乃至12のいずれか一項に記載の電気調理器(2)。
【請求項14】
電気圧力調理器である請求項1乃至13のいずれか一項に記載の電気調理器(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、電気圧力鍋や、加圧下もしくは無加圧の多機能電気調理器のような、加圧下または無加圧で食品を調理するための電気調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気調理器であって、既知のように、
- 調理対象の食品を受けるように構成された調理槽を具備する筐体と、
- 筐体に対して枢動可能に取り付けられた蓋であって、蓋が調理槽へのアクセス路を解放する開位置と蓋が調理槽へのアクセスを妨げる閉位置との間で枢動する蓋と、
- 筐体内に配置されて伝導および対流によって調理槽を加熱するように構成された加熱要素であって、有利には調理槽の側壁の周りに延びる発熱抵抗体によって形成される加熱要素と
を含む調理器が知られている(たとえば、特許文献1または特許文献2)。
【0003】
加熱要素のこのようなレイアウトは、調理槽の側壁を加熱すること、したがって調理槽内に受けた食品の調理を行うことを可能にする。そのような調理は、電気調理器が電気圧力鍋か、無加圧の多機能電気調理器かによって圧力下または無加圧で行うことができる。
【0004】
しかし、このような電気調理器は、調理槽内に受けた食品のグリル調理を行うことなどはできない。
【0005】
これらの文献からは、蓋の内側面に取り付けられた加熱装置であって、蓋が閉位置を占めるときに調理槽内に受けた調理対象の食品と向かい合わせの位置になるように、そしてその調理対象の食品を加熱するように構成された加熱器を備える加熱装置も知られている。
【0006】
しかし、その加熱装置は、容易に掃除を行うことができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】CN109463999A
【文献】国際公開第2012056175A2号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明はそうした不都合のすべてまたは一部を改善することを目的とする。
【0009】
本発明の根本にある技術的問題は特に、電気調理器の調理槽内に受けた食品のグリル調理が可能であると同時に、構造的に単純で、掃除が容易な電気調理器を提供することにある。
【0010】
そのため、本発明は、電気調理器であって、
- 調理対象の食品を受けるように構成された調理槽を具備する筐体、および
- 筐体に対して枢動可能に取り付けられた蓋であって、蓋が調理槽へのアクセス路を解放する開位置と、蓋が調理槽へのアクセスを妨げる閉位置との間で枢動する蓋
を備え、
蓋の内側面に取り付けられた加熱装置であって、蓋が閉位置を占めるときに調理槽内に受けた調理対象の食品と向かい合わせの位置になるように、かつ前記調理対象の食品を加熱するように構成された加熱器を具備する加熱装置をさらに備える電気調理器において、
加熱装置が蓋の内側面に取外し可能に取り付けられることを特徴とする電気調理器に関する。
【0011】
加熱装置のこのようなレイアウトは、調理槽内に受けた食品をグリル調理で調理することを可能にするものであり、その食品を迅速に、かつたとえば油脂を加えることなく、またはごく少量の油脂を加えるだけで調理することができる。グリル調理では、電気圧力鍋タイプの電気調理器では行うことのできない「焼き色」を食品につけることもできる。
【0012】
さらに、加熱装置を蓋から取り外せることで、その掃除を容易にする、特に食器洗い機でその洗浄を行えるようにすることができる。
【0013】
そのため、本発明による電気調理器は、グリル調理が可能であると同時に、掃除が容易である。
【0014】
また、本発明による電気調理器は、筐体内に配置された加熱要素も備えている場合、調理槽内に受けた食品を、ユーザーの選択に応じて伝導調理(すなわち、調理槽の側壁の加熱を通して)またはグリル調理で加熱することが可能である。
【0015】
さらに、本発明による電気調理器が筐体内に配置された加熱要素を備えている場合、調理槽に受けた食品をその加熱要素でゆっくりと調理し、最後に加熱器で焼き色をつけることもできる。
【0016】
電気調理器はまた、下記の特徴の1つまたは複数を単独で、または組み合わせた形で有することもできる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、加熱装置は、蓋が閉位置を占めるときに調理槽へのアクセス開口を少なくとも部分的に閉じるように構成された閉鎖要素を備え、加熱器はその閉鎖要素に固定される。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、閉鎖要素は、蓋の方を向くように構成された第1の面と、蓋が閉位置を占めるときに調理槽の方を向くように構成された第2の面とを備え、加熱器は閉鎖要素の第2の面に延びる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、蓋が閉位置にあるとき、閉鎖要素および調理槽は調理キャビティを画定し、加熱器は、調理キャビティ内に配置されるように構成される。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、閉鎖要素は、蓋が閉位置を占めるときに調理槽のアクセス開口を気密に閉じるように構成される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、加熱装置は、閉鎖要素に固定された環状のシール要素であって、調理槽のアクセス開口と気密に協働するように構成されたシール要素を備える。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、加熱器は発熱抵抗体である。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、加熱装置を蓋に錠止するように、より具体的には閉鎖要素を蓋に錠止するように構成された錠止機構を備える。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、錠止機構は、蓋に設けられた、錠止ツメのような錠止要素であって、錠止要素が加熱装置と協働して加熱装置を蓋に錠止する錠止位置と、錠止要素が加熱装置を解放して加熱装置を取り外せるようにする解放位置との間で可動に取り付けられた錠止要素を備える。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、錠止要素は枢動軸の周りに枢動可能に取り付けられる。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、加熱装置は、蓋に設けられた錠止要素が錠止位置にあるときにその錠止要素と協働するように構成された錠止部品を備える。有利には、錠止部品は、閉鎖要素の第1の面など、閉鎖要素上に配置される。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、錠止部品は錠止開口を有しており、錠止要素は、錠止要素が錠止位置にあるときに錠止開口内に少なくとも部分的に挿入されるように構成される。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、錠止要素を錠止位置の方に付勢するように構成された付勢部品を備える。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、錠止要素を錠止位置から解放位置に移動させるように構成された動作部品を備える。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、動作部品は、錠止要素が錠止位置にある休止位置と、錠止要素が解放位置にある錠止解除位置との間で蓋に対して可動に取り付けられ、動作部品は、休止位置から錠止解除位置への動作部品の移動が、錠止位置から解放位置への錠止要素の移動を引き起こすように構成される。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、動作部品は、休止位置と錠止解除位置との間で動作部品を移動させるようにユーザーが操作できる、把持ハンドルのような把持部を備える。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、把持部は、蓋が開位置にあるときにだけユーザーがアクセスできる。こうした措置は、特に加熱器の温度があらかじめ定められた温度の値より高い間は蓋の開放を妨げる安全装置が調理器に備え付けられている場合などには、加熱装置の安全な取外しを行えるようにするものである。
【0033】
本発明の一実施形態によれば、動作部品は、移動軸の周りに枢動可能に蓋に取り付けられる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、動作部品は動作レバーである。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、蓋に設けられた保持穴を備えており、加熱装置は、加熱装置が蓋に取り付けられているときに保持穴内に納まるように構成された、保持ツメのような保持部品を備える。電気調理器のこのような構成により、加熱装置を蓋に錠止する前に加熱装置を蓋に対して容易に事前位置決めすることなどが可能になる。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、保持穴は錠止要素と反対側に配置される。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、保持部品は閉鎖要素と一体をなす。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、加熱装置は、加熱装置が錠止機構によって蓋に錠止される錠止位置と、加熱装置が錠止機構によって解放されて取外し可能となる把持位置との間で蓋に対して可動に取り付けられる。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、加熱装置は、少なくとも部分的には、保持部品と保持穴の協働によって把持位置に維持される。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、加熱装置は、錠止要素が錠止位置から解放位置に移動すると、錠止位置から把持位置に自動的に移動するように構成される。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、蒸気出口開口および蒸気出口弁を備えており、蒸気出口弁は、蒸気出口弁が蒸気出口開口を解放して調理槽の内部と電気調理器の外部とを連通させて蒸気を電気調理器の外部に出せるようにする第1の弁位置と、蒸気出口弁が蒸気出口開口を閉塞して(したがって、調理槽の内部を電気調理器の外部から流体的に隔離して)、調理槽内の圧力上昇を可能にする第2の弁位置との間で可動である。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、蒸気出口弁は閉鎖要素に取り付けられる。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、蒸気出口弁を第2の弁位置の方に付勢するように構成された、付勢ばねのような少なくとも1つの付勢要素を備える。有利には、その少なくとも1つの付勢要素は、閉鎖要素に設けられる。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、蓋を閉位置に錠止するように構成された蓋錠止機構と、ユーザーによって操作されて筐体に対する蓋の錠止および錠止解除を作動させるように構成された作動装置とを備え、その作動装置は蓋に可動に取り付けられて、
- 蓋が筐体から錠止解除され、蓋が開位置に移動できる第1の作動位置と、
- 蓋が閉位置に錠止され、蒸気出口弁が第1の弁位置に維持される第2の作動位置と、
- 蓋が閉位置に錠止され、蒸気出口弁が第2の弁位置に維持される第3の作動位置と
を占めるように構成される。
【0045】
その上で、電気調理器は、第2の作動位置から第3の作動位置への作動装置の移動が第1の弁位置から第2の弁位置への蒸気出口弁の移動を引き起こすように、また第3の作動位置から第2の作動位置への作動装置の移動が第2の弁位置から第1の弁位置への移動を引き起こすように構成される。
【0046】
電気調理器のこのような構成は、作動装置を動作させるだけで、作動装置が第2の作動位置を占めるときには(蒸気出口弁から蒸気を排出させることができるため)無加圧のグリル調理用に電気調理器を構成し、作動装置が第3の作動位置を占めるときには(そのときは蒸気出口弁が電気調理器の外部への蒸気の排出を妨げるため)圧力調理用に電気調理器を構成することを可能にする。
【0047】
さらに、作動装置は、ユーザーがただ1つの動きを与えるだけで、蓋の錠止を作動させるとともに、本発明による電気調理器の調理モードを選択することができ、それによって本発明による電気調理器の利用を大いに容易にする。
【0048】
また、同じ装置が電気調理器の調理モードの選択とその蓋の錠止とを果たすことで、電気調理器の製造コストが抑えられ、電気調理器の信頼性が高まる。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、加熱器は、作動装置が第2の作動位置を占めるときに起動することができる。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、蓋錠止機構は、蓋に設けられた蓋錠止部品であって、蓋錠止部品が筐体と協働して蓋を閉位置に錠止する蓋錠止位置と、蓋錠止部品が筐体を解放して蓋が開位置に移動できるようにする蓋解放位置との間で可動に取り付けられた蓋錠止部品を備える。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、蓋錠止機構は、蓋錠止部品を蓋錠止位置から蓋解放位置に移動させるように構成された駆動部品を備える。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、作動装置は駆動部品に機械的に連結される。有利には、駆動部品は作動装置と一体で回転する。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、作動装置は、蓋に対して回転可能に取り付けられる。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、作動装置を第2の作動位置に移動させたときに蒸気出口弁を第1の弁位置に移動させるように構成された弁棒を備える。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、弁棒はまた、作動装置を第1の作動位置に移動させたときに蒸気出口弁を第1の弁位置に移動させるように構成される。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、弁棒は蓋に取り付けられる。
【0057】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、筐体内に配設された加熱要素であって、たとえば少なくとも伝導によって、調理槽を加熱するように構成された加熱要素を備える。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、加熱要素は、作動装置が第3の作動位置を占めるときに起動することができる。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、蓋と加熱装置との間、より具体的には蓋と閉鎖要素との間に挟み込まれるように構成されたパッキンを備える。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、パッキンは、蒸気出口弁の周りに延びるように構成される。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、パッキンは、加熱装置を把持位置の方に付勢するように構成される。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、蓋に設けられた第1の電気接点と、閉鎖要素に設けられた第2の電気接点とを備え、第1の電気接点は、加熱装置が蓋に取り付けられ、たとえば蓋に錠止されるなどしているときは、第2の電気接点と協働して、加熱器への給電を行うように構成される。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、第1の電気接点および第2の電気接点は、調理槽内に発生する蒸気からパッキンによって保護される。
【0064】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、調理槽の内部の圧力、とりわけ調理キャビティ内の圧力を調節するように構成された圧力調節弁を備える。圧力調節弁はたとえば、球弁であってもよい。有利には、圧力調節弁は閉鎖要素に取り付けられる。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、調理槽の内部の圧力があらかじめ定められた閾値を超えたときに、調理槽の内部、とりわけ調理キャビティを電気調理器の外部と連通させるように構成された安全弁を備える。有利には、安全弁は閉鎖要素に取り付けられる。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、加熱装置の温度、さらにたとえば閉鎖要素の温度を判定するように構成された温度センサを備える。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、作動装置が占める位置を検出するように構成された複数の位置センサを備える。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、作動装置が第2の作動位置を占めるとき、たとえば、作動装置が第2の作動位置を占めていることを複数の位置センサが検出したときに、加熱器の給電を作動させるように構成された制御ユニットを備える。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、制御ユニットは、作動装置が第3の作動位置を占めるとき、たとえば複数の位置センサが、作動装置が第3の作動位置を占めていることを検出したときに、加熱要素の給電を作動させるように構成される。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、制御ユニットはまた、作動装置が第3の作動位置を占めるとき、たとえば電気調理器の調理モードの初期段階で、調理槽の圧力を上げるのに必要な時間を短縮するために、加熱器の給電を作動させるようにも構成される。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、電気調理器は、電気圧力鍋や加圧式の多機能電気調理器のような電気圧力調理器である。
【0072】
本発明の別の実施形態によれば、電気調理器は無加圧の電気調理器である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
本発明は、この電気調理器の実施形態を限定的でない例として示した添付の概略図を参照しながら行う以下の説明を通してよく理解されよう。
図1】本発明による電気調理器の斜視図であって、閉位置にある蓋を示した図である。
図2図1の電気調理器の部分斜視図であって、開位置にある蓋を示した図である。
図3図1の電気調理器の部分斜視図であって、把持位置にある加熱装置を示した図である。
図4図1の電気調理器の側面図であって、把持位置にある加熱装置を示した図である。
図5図1の電気調理器の部分上面図であって、錠止解除位置にある動作部品を示した図である。
図6】蓋および把持位置にある加熱装置の断面図である。
図7】加熱装置上面の斜視図である。
図8】加熱装置下面の斜視図である。
図9】加熱装置が取り外された状態で開位置にある蓋を示した、図1の電気調理器の部分斜視図である。
図10】錠止位置にある加熱装置を示した、図1の電気調理器の部分側面図であって、一部を切り取った図である。
図11】錠止位置にある加熱装置を示した、図1の電気調理器の部分斜視図であって、一部を切り取った図である。
図12】把持位置にある加熱装置を示した、図1の電気調理器の部分側面図であって、一部を切り取った図である。
図13】第1の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分上面図である。
図14】第1の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分斜視図である。
図15】第1の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分斜視図であって、一部を切り取った図である。
図16】第1の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分側面図であって、一部を切り取った図である。
図17】第2の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分上面図である。
図18】第2の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分斜視図である。
図19】第2の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分斜視図であって、一部を切り取った図である。
図20】第2の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分側面図であって、一部を切り取った図である。
図21】第3の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分上面図である。
図22】第3の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分斜視図である。
図23】第3の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分斜視図であって、一部を切り取った図である。
図24】第3の作動位置にある作動装置を示した、図1の電気調理器の部分側面図であって、一部を切り取った図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1から図24は、電気調理器2、より具体的には、電気圧力鍋や加圧式の多機能電気調理器のような電気圧力調理器を示している。
【0075】
とりわけ図1および図2に示すように、電気調理器2は、調理対象の食品を受けるように構成された調理槽4を具備する筐体3と、筐体3に対して枢動可能に取り付けられた蓋5であって、その蓋5が調理槽4へのアクセス路を解放する開位置(図1参照)と、蓋5が調理槽4へのアクセスを妨げる閉位置(図2参照)との間で枢動する蓋5とを備える。図示した実施形態によれば、調理槽4はほぼ円形の横断面を有する。しかし、調理槽4は、それ以外のあらゆる形状、たとえば正方形または長方形の横断面を有することもできよう。
【0076】
電気調理器2は、筐体3内に配置されて伝導によって調理槽4を加熱するように構成された加熱要素6をさらに備える。加熱要素6はたとえば、発熱抵抗体で、調理槽4の側壁の少なくとも一部の周りに延びるものであってもよい。
【0077】
電気調理器2は、蓋5の内側面に取外し可能に取り付けられた加熱装置7も備える。
【0078】
加熱装置7は、蓋5が閉位置を占めるときに調理槽4に対するアクセス開口9を気密に閉じるように構成された、金属製などの閉鎖要素8を備える。それにより、蓋5が閉位置にあるとき、閉鎖要素8および調理槽4は、調理キャビティ10を画定する。
【0079】
閉鎖要素8と調理槽4との間の気密を確保するため、加熱装置7は、閉鎖要素8に固定された環状のシール要素11(特に図6および図15参照)であって、調理槽4のアクセス開口9と気密に協働するように構成されたシール要素11を備えることが有利である。
【0080】
閉鎖要素8は、蓋5の方を向くように構成された第1の面8.1と、蓋5が閉位置を占めるときに調理槽4の方を向くように構成された第2の面8.2とを備える。図示した実施形態によれば、閉鎖要素8は全体が円形をなす。
【0081】
電気調理器2は、蓋5に設けられた保持穴12(図9参照)をさらに備え、加熱装置7は、保持ツメのような保持部品13(図6および図7参照)であって、閉鎖要素8と一体をなし、閉鎖要素8が蓋5に取り付けられたときに保持穴12内に納まるように構成された保持部品13を備える。
【0082】
加熱装置7は、閉鎖要素8に固定された加熱器14であって、閉鎖要素8の第2の面8.2上に延びる加熱器14をさらに備える。加熱器14はたとえば、発熱抵抗体で、ほぼ円弧状に延びるものであってもよい。有利には、加熱器14によって規定される円弧の中心の角度は180°超、たとえば220°超である。
【0083】
加熱器14は、調理キャビティ10内に配置されるように、かつ、蓋5が閉位置を占めるときに調理槽4内に受けた調理対象の食品と向かい合わせの位置になるように構成される。そして、より具体的には、加熱器14は、蓋5が閉位置を占めるとき、調理槽4内に受けた調理対象の食品を放射および対流によって加熱するように構成される。
【0084】
電気調理器2は、加熱装置7を蓋5に錠止するように、より具体的には閉鎖要素8を蓋5に錠止するように構成された錠止機構15も備える。
【0085】
図11および図12でより具体的に示すように、錠止機構15は、錠止ツメのような錠止要素16が閉鎖要素8の第1の面8.1に設けられた錠止部品17と協働して閉鎖要素8を蓋5に錠止する錠止位置(図11参照)と、錠止要素16が錠止部品17を、したがって閉鎖要素8を解放し、それによって加熱装置7の取外しが可能となる解放位置(図12参照)との間で枢動軸の周りを枢動するように蓋5に取り付けられた、錠止要素16を備える。各図に示されている実施形態によれば、錠止部品17は錠止開口18を有しており、錠止要素16は、錠止要素16が錠止位置に移動するときに錠止開口18内に少なくとも部分的に挿入されるように構成される。有利には、錠止要素16は、保持穴12と反対側に位置し、たとえば保持穴12と径方向に反対側となる。
【0086】
有利には、電気調理器2は、蓋に取り付けられた、付勢ばねのような付勢部品(図では見えず)であって、錠止要素16を錠止位置の方へ付勢するように構成された付勢部品を備える。
【0087】
特に図5に示されるとおり、電気調理器2は、錠止要素16を錠止位置から解放位置に移動させるように構成された、動作レバーのような動作部品19をさらに備える。
【0088】
動作部品19は、錠止要素16が錠止位置にある休止位置(図11および図13参照)と、錠止要素16が解放位置にある錠止解除位置(図5および図12参照)との間で、蓋5に対して移動軸の周りに枢動するように取り付けられ、動作部品19は、休止位置から錠止解除位置への動作部品19の移動が、錠止位置から解放位置への錠止要素16の移動を引き起こすように構成される。動作部品19の移動軸は、たとえば錠止要素16の枢動軸と直交するものであってもよい。有利には、動作部品19は、動作部品19が錠止解除位置を占めるときには錠止要素16を解放位置に維持するように構成される。
【0089】
各図に示す実施形態によれば、動作部品19は、錠止要素16と協働するように構成された動作アーム19.1と、休止位置と錠止解除位置との間で動作部品19を移動させるようにユーザーが操作できる、把持ハンドルのような把持部20を備える把持アーム19.2とを備える。有利には、把持部20は、蓋5が開位置にあるときにだけユーザーがアクセスすることができる。
【0090】
図2および図3においてとりわけ示されるとおり、加熱装置7は、加熱装置7が錠止機構15によって蓋5に錠止される錠止位置と、加熱装置7が錠止機構15によって解放されて取外し可能となる把持位置との間で蓋5に対して可動に取り付けられる。有利には、錠止位置と把持位置との間の加熱装置7の移動は、錠止要素16の枢動軸とほぼ平行で保持部品13近傍に延びる転向軸の周りで加熱装置7の転向を引き起こす。有利には、加熱装置7は、部分的には保持部品13と保持穴12の協働によって安定的に把持位置に維持される。
【0091】
電気調理器2は、閉鎖要素8に取り付けられた蒸気出口弁21であって、その蒸気出口弁21が閉鎖要素8に設けられた蒸気出口開口23の周りに延びる弁座22から離れ、調理槽4の内部と電気調理器2の外部とを連通させて蒸気を電気調理器2の外部に出せるようにする第1の弁位置(図15および図16参照)と、蒸気出口弁21が弁座22に対して気密に押支されることで調理槽4の内部が電気調理器2の外部から流体的に隔離され、それによって調理槽4内の圧力上昇が可能となる第2の弁位置(図23および図24参照)との間で可動な蒸気出口弁21を備える。典型的には、圧力式の電気調理器2は、40kPaから100kPaの圧力を発生させる。
【0092】
有利には、電気調理器2は、蒸気出口弁21を第2の弁位置の方に付勢するように構成された、付勢ばねのような複数の付勢要素24(特に図7参照)を備える。有利には、付勢要素24は、閉鎖要素8に設けられ、蒸気出口開口23の周りに規則的に配分される。
【0093】
図9に示すように、電気調理器2は、蓋5に取り付けられたパッキン25であって、蓋5と閉鎖要素8との間に挟み込まれるように構成されたパッキン25も備える。パッキン25は、蒸気出口弁21の周りに延び、加熱装置7を把持位置の方へ付勢するように構成される。
【0094】
電気調理器2は、蓋5を閉位置に錠止するように構成された蓋錠止機構26をさらに備える。
【0095】
蓋錠止機構26は、蓋5に設けられた蓋錠止部品27であって、蓋錠止部品27が筐体3と協働して蓋5を閉位置に錠止する蓋錠止位置(図19および図20参照)と、蓋錠止部品27が筐体3を解放して蓋5が開位置に移動できるようにする蓋解放位置(図15および図16参照)との間で可動に取り付けられた蓋錠止部品27を備える。
【0096】
図13図14および図16に特に示すように、蓋錠止機構26は、蓋錠止部品27を蓋錠止位置から蓋解放位置に移動させるように構成された駆動部品28と、蓋錠止部品27を蓋錠止位置の方へ付勢するように構成された復帰部品29とをさらに備える。駆動部品28の動作について以下にさらに詳しく説明する。
【0097】
電気調理器2は、駆動部品28に機械的に連結された作動装置30であって、ユーザーによって操作されて、筐体3に対する蓋5の錠止および錠止解除を作動させるように構成された作動装置30も備える。
【0098】
作動装置30は、蓋5に対して回転可動に取り付けられ、作動装置30はさらに、
- 蓋5が筐体3から錠止解除され、蓋5が開位置に移動することができる第1の作動位置(図13乃至図16参照)と、
- 蓋5が閉位置に錠止され、蒸気出口弁21が第1の弁位置に維持され、加熱器を動作させることが可能な第2の作動位置(図17乃至図20参照)であって、グリルポジションとも呼ぶ第2の作動位置と、
- 蓋5が閉位置に錠止され、蒸気出口弁21が第2の弁位置に維持され、加熱要素6を動作させることが可能な第3の作動位置(図21乃至図24参照)であって、同様に圧力ポジションとも呼ぶ第3の作動位置と
を占めるように構成される。
【0099】
それにより、電気調理器2は、第2の作動位置から第3の作動位置への作動装置30の移動が第1の弁位置から第2の弁位置への蒸気出口弁21の移動を引き起こすように、また第3の作動位置から第2の作動位置への作動装置30の移動が第2の弁位置から第1の弁位置への蒸気出口弁21の移動を引き起こすように構成される。
【0100】
各図に示す実施形態によれば、駆動部品28は作動装置30と一体で回転し、駆動部品28はさらに、作動装置30が第1の作動位置を占め、駆動部品28が蓋錠止部品27を蓋解放位置で固定する第1の角度位置(特に図13参照)と、作動装置30が第2の作動位置を占め、駆動部品28が蓋錠止部品27と協働しない第2の角度位置(特に図17参照)と、作動装置30が第3の作動位置を占め、駆動部品28が蓋錠止部品27から離れる第3の角度位置(特に図21参照)とを占めるように構成され、第1の角度位置、第2の角度位置および第3の角度位置は互いに角度的にオフセットされる。
【0101】
有利には、駆動部品28は、駆動部品28が第2の角度位置から第1の角度位置に移動するとき、蓋錠止部品27の後部を持ち上げるように、さらに蓋錠止部品27を蓋解放位置に枢動させるように構成された傾斜ランプ28.1(特に図14参照)を備える。
【0102】
電気調理器2は、蓋5に取り付けられた弁棒32であって、作動装置30および弁棒32にそれぞれ設けられたツメおよび傾斜可変のカムからなるアセンブリなどによって、作動装置30と機械的に連結された弁棒32をさらに備える。
【0103】
弁棒32は、作動装置30の回転軸とほぼ平行に延び、第1の弁位置に対応する第1の弁棒位置(図16参照)と、第2の弁位置に対応する第2の弁棒位置(図24参照)との間で蓋5に対して可動に取り付けられる。有利には、弁棒32は、作動装置30が第1の作動位置および第2の作動位置を占めるときには第1の弁棒位置を占めるように、また作動装置30が第3の作動位置を占めるときには第2の弁棒位置を占めるように構成される。
【0104】
より具体的には、弁棒32は、作動装置30を第1の作動位置および第2の作動位置に移動させると、(付勢要素24によって蒸気出口弁21に加わる付勢力に抗して)蒸気出口弁21を第1の弁位置に移動させるように、また作動装置30を第3の作動位置に移動させると、(付勢要素24によって蒸気出口弁21に加わる付勢力によって)蒸気出口弁21を第2の弁位置に移動させることができるように構成される。
【0105】
有利には、弁棒32は、弁棒32および作動装置30を湿気から守ることなどを目的として、弁棒32と蒸気出口弁21との間にベローズ33が挟み込まれるようにして、少なくとも部分的にベローズ33によって覆われることができる。
【0106】
電気調理器2は、作動装置30が占める位置を検出するように構成された複数の位置センサをさらに備える。電気調理器2はたとえば、作動装置30が第1の作動位置を占めていることを検出するように構成された第1の位置センサ34、作動装置30が第2の作動位置を占めていることを検出するように構成された第2の位置センサ35、および作動装置30が第3の作動位置を占めていることを検出するように構成された第3の位置センサ36を備えることができる。
【0107】
本発明の一実施形態によれば、第1の位置センサ34は、駆動部品28が第1の角度位置に移動したとき、駆動部品28によって起動されるように構成され、第2の位置センサ35は、駆動部品28が第2の角度位置に移動したとき、駆動部品28によって起動されるように構成され、第3の位置センサ36は、駆動部品28が第3の角度位置に移動したとき、駆動部品28によって起動されるように構成される。
【0108】
電気調理器2は、蓋5に設けられた第1の電気接点37(図5参照)および閉鎖要素8に設けられた第2の電気接点38(図7参照)をさらに備える。第1の電気接点37は、閉鎖要素8が蓋5に錠止されているときは第2の電気接点38と協働するように構成され、それによって加熱器14に対する給電を果たすようにされる。
【0109】
各図に示された実施形態によれば、第1の電気接点37および第2の電気接点38は、調理槽4内に発生する蒸気からパッキン25によって保護される。
【0110】
有利には、電気調理器2は、閉鎖要素8に取り付けられた圧力調節弁39(図7および図8参照)であって、調理槽4内部の圧力、とりわけ調理キャビティ10内の圧力を調節するように構成された圧力調節弁39を備える。圧力調節弁39はたとえば、球弁であってもよい。
【0111】
電気調理器2はそのほか、閉鎖要素8に取り付けられた安全弁40(図7および図8参照)であって、調理槽4の内部の圧力があらかじめ定められた閾値を超えたときに、調理槽4の内部、とりわけ調理キャビティ10を電気調理器2の外部と連通させるように構成された安全弁40をさらに備えることができる。
【0112】
電気調理器2は、加熱装置7の温度、さらにたとえば閉鎖要素8の温度を判定するように構成された温度センサ41(図9参照)も備えることができる。
【0113】
電気調理器2は、作動装置30が占める位置などに応じて、加熱要素6および加熱器14の給電を作動させるように構成された制御ユニット42をさらに備える。
【0114】
より具体的には、制御ユニット42は、作動装置30が第2の作動位置を占めるとき、すなわち作動装置30が第2の作動位置を占めていることを第2の位置センサ35が検出したときに、加熱器14の給電を作動させるように構成される。しかし、制御ユニット42は、作動装置30が第3の作動位置を占めるとき、たとえば電気調理器2の加圧調理モードの初期段階などで、調理槽4の圧力を上げるのに必要な時間を短縮するために加熱器14の給電を作動させるように構成されることもできよう。
【0115】
制御ユニット42は、たとえば、作動装置30が第3の作動位置を占めるとき、すなわち作動装置30が第3の作動位置を占めていることを第3の位置センサ36が検出したときにだけ、加熱要素6の給電を作動させるように構成されることができる。
【0116】
制御ユニット42は、既知のように、ユーザーが調理モードを選択できるように押しボタンおよび/またはスクリーンをさらに備えることができる。たとえば、ユーザーは調理時間および調理温度を選ぶか、またはあらかじめ登録された調理プログラムの中から選択を行うことができる。
【0117】
一方で、制御ユニット42は、ユーザーが選択した調理プログラムに応じて、また温度センサ41および加熱要素6付帯の追加的な温度センサ(もしあれば)によって計測された温度測定値に応じて、加熱要素6および加熱器14の作動または作動停止を行うように構成される。
【0118】
そのため、本発明による電気調理器2は、作動装置30を動作させるだけで、作動装置30が第2の作動位置を占めるときには(蒸気出口弁21から蒸気を排出させることができるため)電気調理器2を無加圧のグリル調理用に構成し、作動装置30が第3の作動位置を占めるときには(そのときは蒸気出口弁21が電気調理器外部への蒸気の排出を妨げるため)電気調理器2を圧力調理用に構成することができる。
【0119】
さらに、加熱装置7が取外し可能であることにより、本発明による電気調理器2の掃除を大いに容易にすることができる。
【0120】
当然のことながら、本発明は、あくまでも例として挙げて説明し、図示した実施形態に何ら限定されるものではない。変更、特に様々な部品の構成という観点からの変更や技術的等価物での置換えによる変更などは、それによって本発明の保護の対象領域から外れることなく可能である。そのため、電気調理器は特に無加圧電気調理器であることができよう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24