(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】オゾン発生装置
(51)【国際特許分類】
C01B 13/10 20060101AFI20240712BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
C01B13/10 Z
A61L9/20
(21)【出願番号】P 2020114772
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】金児 裕美
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-139462(JP,A)
【文献】国際公開第2018/029774(WO,A1)
【文献】特開平09-024092(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/10
A61L 9/015
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エキシマランプと、
前記エキシマランプに電力を供給するランプ電源部と、
装置動作を制御する制御部と、
前記制御部および前記ランプ電源部に電力を供給する低電圧電源部とを備え、
筐体内において、前記エキシマランプが配置される第1の区画と、前記低電圧電源部および前記制御部が配置される第2の区画と、前記ランプ電源部が配置される第3の区画とが、
ガスの送風方向に沿って形成され、また、それぞれ、ガス流路として機能し、
前記第1、第2、第3の区画が、互いに隣り合っていることを特徴とするオゾン発生装置。
【請求項2】
前記第3の区画が、筐体内の2つの隅を含む空間で構成され、
前記第1および第2の区画が、それぞれ筐体内の1つの隅を含む空間で構成されることを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生装置。
【請求項3】
前記エキシマランプの陽極が、前記第1の区画と前記第3の区画とを分け隔てる絶縁性隔壁を介して、前記ランプ電源部と電気的に接続し、
前記エキシマランプの陰極が、前記第1の区画と前記第2の区画とを分け隔てる導電性隔壁を介して、アースと電気的に接続することを特徴とする請求項1または2に記載のオゾン発生装置。
【請求項4】
前記導電性隔壁に取り付けられ、前記エキシマランプを支持するランプ支持部と、
前記絶縁性隔壁に取り付けられ、前記エキシマランプの陽極と接続する給電線の端子が差し込み可能なコネクタと
をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のオゾン発生装置。
【請求項5】
前記第1、第2、第3の区画において、ガス供給部から供給されるガスの流入可能な第1、第2、第3の開口部がそれぞれ設けられ、
前記第1の開口部の面積が、前記第3の開口部の面積以上であって、
前記第2の開口部の面積が、前記第1および第3の開口部の面積よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のオゾン発生装置。
【請求項6】
前記筐体が、直上に設置され、
前記ランプ電源部が、筐体前後方向中央ラインより前記エキシマランプとは反対側の後方側に位置し、また、筐体上下方向中央ラインを跨ぐ位置にあり、
前記エキシマランプ、前記低電圧電源部そして前記制御部が、筐体前後方向中央ラインよりも前記ランプ電源部とは反対側の前方側に位置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のオゾン発生装置。
【請求項7】
前記第1、第2、第3の区画へガスを供給する送風機をさらに備え、
前記送風機の軸が、筐体前後方向中央ラインより前記ランプ電源部とは反対側の前方側に位置することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のオゾン発生装置。
【請求項8】
前記低電圧電源部が、商用電源周波数をもつ交流電圧から直流電圧に変換し、
前記ランプ電源部が、前記直流電圧から高周波電圧に変換するスイッチング回路と、高周波電圧を昇圧する昇圧トランスとを備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のオゾン発生装置。
【請求項9】
前記制御部が、商用電源周波数をもつ交流電圧から直流電圧に変換する周波数コンバータを有し、
前記ランプ電源部が、高周波電圧を昇圧する昇圧トランスを備えることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のオゾン発生装置。
【請求項10】
前記第1の区画を形成する2つの筐体側面の一部として構成され、ヒンジ開閉する扉をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のオゾン発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エキシマランプを用いたオゾン発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
殺菌、脱臭などに使用可能なオゾン生成装置は、エキシマランプ、電源部、送風機などを筐体内に備え、エキシマランプが紫外線を空気などに照射することによってオゾンが発生する。筐体内では、送風機によって空気の流れが生じ、発生したオゾンが開口部を通じて外部へ放出される。エキシマランプ、電源部、送風機などは、発生したオゾンの外部への効果的な排出、電源部の冷却といった目的を達成するように装置内に配置されている。
【0003】
例えば、十分な量のオゾンを排出することを考慮し、筐体内部をエキシマランプ配置用の第1室と、電源配置用の第2室とに区分けし、第1室、第2室とを連通する部分に送風機を配置する(特許文献1参照)。また、清掃などのメンテナンスを考慮し、筐体内をオゾン発生室と電源室とに区分けし、オゾン発生室に送風ファンを設ける一方、電源室に冷却ファンを設ける(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-24546号公報
【文献】特開2014-5166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オゾン発生装置の使用場所は、ホテルなどの客室、娯楽施設の共有スペース、病院の病棟など様々であり、設置スペースや設置向きに制限がある状況でも使用できることが求められる。したがって、設置場所に合わせて縦置き(直上設置)、横置きできることが望ましい。
【0006】
しかしながら、設置向きを考慮せずにエキシマランプ、電源部などを筐体内に区画配置すると、重量バランス、ガスの流れ、電源冷却などに関し、その機能性および効果が、設置向きによってトレードオフ関係になる恐れがある。
【0007】
したがって、様々な使用環境において、機能性および効果を低減せずに、状況に合わせた設置を行うことができるオゾン発生装置を提供することが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のオゾン発生装置は、エキシマランプと、前記エキシマランプに電力を供給するランプ電源部と、装置動作を制御する制御部と、前記制御部に電力を供給する低電圧電源部とを備える。制御部と低電圧電源部を別々に構成してもよく、定電圧電源部が制御部に含まれるように構成してもよい。また、第1、第2、第3の区画へガスを供給する送風機を装置に設けることが可能である。
【0009】
例えば、低電圧電源部は、商用電源周波数をもつ交流電圧から直流電圧に変換し、前記ランプ電源部が、前記直流電圧から高周波電圧に変換するスイッチング回路と、高周波電圧を昇圧する昇圧トランスとを備える。あるいは、制御部が、商用電源周波数をもつ交流電圧から直流電圧に変換する周波数コンバータを設け、前記ランプ電源部が、高周波電圧を昇圧する昇圧トランスを備えるように構成してもよい。
【0010】
本発明では、筐体内において、前記エキシマランプが配置される第1の区画と、前記低電圧電源部および前記制御部のうち少なくとも前記制御部が配置される第2の区画と、前記ランプ電源部が配置される第3の区画とが、筐体内のガスの流路に沿って形成されている。そして、前記第1、第2、第3の区画が、互いに隣り合うように構成されている。
【0011】
このような筐体内での構成要素配置箇所に応じた第1、第2、第3の区画形成、および互いに隣り合う隣接配置構成によって、重心バランスの適正化、効果的なオゾン放出、電源などの冷却を効果的に発揮する筐体内での適切なガスの流れ、エキシマランプへの高圧電力供給での絶縁破壊防止を可能にする。
【0012】
筐体内での第1、第2、第3の区画形成に関しては、様々な空間構成が可能である。例えば、筐体内の空間全体を、それぞれ少なくとも1つの隅を含む空間に区画することが可能であり、また、第1、第2、第3の区画以外の空間を設けるように複数の区画を形成することも可能である。例えば、エキシマランプの取り外し箇所、ランプ電源部、制御部、低電圧部の重量などを考慮し、第3の区画を、筐体内の2つの隅を含む空間で構成し、前記第1および第2の区画を、それぞれ筐体内の1つの隅を含む空間で構成することが可能である。
【0013】
例えばオゾン発生装置は、直上に設置可能であり、ランプ電源部が、筐体前後方向中央ラインより前記エキシマランプとは反対側の後方側に位置し、また、筐体上下方向中央ラインを跨ぐ位置に構成することができる。また、エキシマランプ、前記低電圧電源部そして前記制御部が、筐体前後方向中央ラインよりも前記ランプ電源部とは反対側の前方側に位置するように構成することができる。前記送風機の軸が、筐体前後方向中央ラインより前記ランプ電源部とは反対側の前方側に位置するように構成することが可能である。
【0014】
一方、絶縁破壊の防止を考慮すると、エキシマランプの陽極が、前記第1の区画と前記第3の区画とを分け隔てる絶縁性隔壁を介して、前記ランプ電源部と電気的に接続し、前記エキシマランプの陰極が、前記第1の区画と前記第2の区画とを分け隔てる導電性隔壁を介して、アースと電気的に接続するように構成することができる。
【0015】
例えば、導電性隔壁に取り付けられ、前記エキシマランプを支持するランプ支持部と、前記絶縁性隔壁に取り付けられ、前記エキシマランプの陽極と接続する給電線の端子が差し込み可能なコネクタとを備えるように構成すればよい。
【0016】
また、オゾンの効果的な放出、ランプ電源部などの効果的な冷却を考慮すれば、第1、第2、第3の区画において、ガス供給部から供給されるガスの流入可能な第1、第2、第3の開口部をそれぞれ設け、前記第1の開口部の面積が、前記第3の開口部の面積以上であって、前記第2の開口部の面積が、前記第1および第3の開口部の面積よりも小さくなるように構成することができる。
【0017】
さらに、エキシマランプの交換などを考慮すると、第1の区画を形成する2つの筐体側面の一部として構成され、ヒンジ開閉する扉を構成することも可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、様々な使用環境において、機能性および効果を低減せずに、状況に合わせた設置を行うことができるオゾン発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態であるオゾン発生装置の概略的正面図である。
【
図2】オゾン発生装置の上から見た概略的平面図である。
【
図3】オゾン発生装置の正面扉を開けた時の概略的側面図である。
【
図4】装置本体の上方側からの概略的内部構成図である。
【
図5】装置本体の前面からの概略的内部構成図である。
【
図6】装置本体の右側面側からの概略的内部構成図である。
【
図7】吸気ファン70から区画K1、K2、K3へ流入するガスの底面側の開口エリアの相対的な大きさを概念的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態であるオゾン発生装置の概略的正面図である。
図2は、オゾン発生装置の上から見た概略的平面図である。
図3は、オゾン発生装置の正面扉を開けた時の概略的側面図である。
【0022】
オゾン発生装置10は、持ち運び可能なユニットであり、除菌、脱臭などの目的で客室や病棟、娯楽施設その他様々な場所に設置可能である。オゾン発生装置10は、縦置き、横置き両方可能であり、ここでは縦置き、すなわち直上設置を通常の設置姿勢とし、これに合わせて装置本体20の前後方向、上下方向、左右方向が規定される。装置本体20は、底面20Cに設けられた4つの脚115A~115Dによって支持される。
【0023】
装置本体20の前面20Fには、タイマーダイヤル120、電源ボタン125が設けられ、ユーザは電源ON,OFFの切替操作、運転時間設定操作を行うことができる。装置本体20の右側面20R,左側面20Lには、把持部110の端部が取り付けられている。装置本体20の上面20Tには、略等間隔で並ぶスリット状の開口部20Rが形成されている(
図2参照)。
【0024】
吸気ファン(送風機)70は、装置本体20の底面20C付近に装着され、吸気ファン70から吸入された空気などのガスは、装置本体20内を上方に沿って流れ、開口部20Rから放出される。なお、
図2には、開口部20Rを通じて視認される内部構成要素については図示しておらず、また把持部110についても図示を省略している。
【0025】
装置本体20の前面20Fには、左側面20L傍に設けられたヒンジ機構142によってヒンジ開閉する扉140が形成されている。扉140は、互いに直交する前面20Fおよび右側面20Rの一部で一体構成された角状扉であり、扉140の前面20Fを構成する部分は、タイマーダイヤル120、電源ボタン125を避けるようにここでは台形状に形成されている。
【0026】
図3に示すように、扉140を開けると、装置本体20の前面20Fおよび右側面20Rの2つの方向から、装置本体20内に設けられたエキシマランプ30が視認される。
図3は、扉140の最も開いた状態を示している。メンテナンス業者などは、エキシマランプ30の交換時などに扉140を開閉させる。
【0027】
装置本体20の背面20Bには、4つの脚117A~117Dが設けられている。オゾン発生装置10を横向きで設置する場合、装置本体20の背面20Bを下側に向けて設置する。
【0028】
オゾン発生装置10は、縦置き、横置きいずれにおいても、ランプ電源の冷却、発生するオゾンの放出、重量バランスなどの機能性および効果を発揮するように、その装置内部が配置構成されている。以下、
図4~
図7を用いて詳述する。
【0029】
図4は、装置本体20の上方側からの概略的内部構成図であり、
図2の上面20T下側での断面内部構成に相当する。
図5は、装置本体20の前面からの概略的内部構成図であり、
図1の前面20F後方での断面内部構成に相当する。
図6は、装置本体20の右側面側からの概略的内部構成図であり、右側面20R内側での断面内部構成に相当する。
【0030】
なお、配置構成に関しては、装置前後方向に沿って筐体20K内で中央を通るラインを前後方向中央ラインC1、装置左右方向に沿って筐体20K内で中央を通るラインを左右方向中央ラインC2、装置上下方向に沿って筐体20K内で中央を通るラインを上下方向中央ラインC3として規定し、配置関係を説明する。
【0031】
図4に示すように、装置本体20の筐体20K内には、エキシマランプ30とともに、エキシマランプ30に対して電力を供給するランプ電源部40、タイマー設定、ランプ点灯制御などを含むオゾン発生装置全体の動作を制御する制御部50、ランプ電源部40と制御部50へ電力を供給する低電圧電源部60が設けられている。筐体20K内には、3つの区画K1、K2、K3が形成され、それぞれ、エキシマランプ30、制御部50および低電圧電源部60、ランプ電源部40とが配置されている。なお、
図4では、吸気ファン70の図示を省略している。
【0032】
ランプ電源部40の設置される区画K3は、筐体20Kの背面側に形成され、筐体20Kの内側の2つの隅(コーナー)R3、R4を含む空間として構成される。
図6に示すように、ランプ電源部40は、前後方向中央ラインC1より後方側に位置し、低電圧電源部60から供給された直流電圧から高周波数電圧に変換するスイッチング回路42と、高周波数の直流電圧を昇圧する昇圧トランス44とを備える。スイッチング回路42は、昇圧トランス44より下方に設置される。また、昇圧トランス44は、筐体20Kの上下方向中央ラインC3を跨ぐ位置に配置されている。
【0033】
ランプ電源部40の昇圧トランス44は、給電線46、47を介してエキシマランプ30の陽極(内側電極、ここでは図示せず)と接続する。
図4、6に示すように、第1の区画K1と、第3の区画K3とを隔てる絶縁性の隔壁25Aには、コネクタ48が埋め込み設置され、給電線46、給電線47の端子がコネクタ48にそれぞれ差し込まれて電気的に接続される。
【0034】
制御部50および低電圧電源部60が配置されている区画K2は、筐体20Kの内側の1つの隅R2を含む空間として構成され、筐体20Kの前方左側面側に形成されている。また、区画K2は、ここでは断面L字型の隔壁25Bによって形成されている。制御部50および低電圧電源部60は、前後方向中央ラインC1より前方側に位置する。
【0035】
低電圧電源部60は、商用交流周波数をもつ交流電圧を直流低電圧に変換し、給電線55を介して制御部50と接続する。また、給電線56を介して区画K3のランプ電源部40と電気的に接続する(
図4参照)。
図5に示すように、制御部50は、低電圧電源部60よりも上方に設置され、また、低電圧電源部60は、ここでは上下方向中央ラインC3より下側に配置されている。
【0036】
エキシマランプ30の配置される区画K1は、筐体20Kの前方右側面側に形成され、筐体20Kの内側の1つの隅R1を含む空間として構成され、エキシマランプ30は、前後中央ラインC1より前方側に配置されている。
図4、5に示すように、区画K1では、エキシマランプ30がランプ支持部35によって支持されている。ランプ支持部35は、エキシマランプ30の取り外し方向が右側面20R側となるように、区画K1と区画K2とを隔てる隔壁25Bに取り付けられている。
【0037】
ランプ支持部35は、一対の板状の把持部36、37を備え、エキシマランプ30の両端部付近を保持している。さらに、エキシマランプ30の下方端部を支える下支え部38を備え、エキシマランプ30が下方向に抜け落ちないように支えている。エキシマランプ30を保持する把持部36または37の少なくとも一方は、エキシマランプ30の放電容器表面に配設された陰極(外側電極、ここでは図示せず)を保持し、導電性の隔壁25Bを通じてアースと電気的に接続している。
【0038】
再び
図4を参照すると、エキシマランプ30用スペース(空間領域)としての区画K1、制御部50および低電圧電源部60用のスペースとしての区画K2、ランプ電源部40用スペースとしての区画K3は、境界部分となる隔壁25A、25Bを挟んで互いに隣り合っている。
【0039】
そして、エキシマランプ30、制御部50および低電圧電源部60、ランプ電源部40は、上面側から見て互いに適度な距離間隔で筐体20K内に配置されている。すなわち、ランプ電源部40は、前後中央ラインC1に関してエキシマランプ30、制御部50および低電圧電源部60とは反対側に位置し、エキシマランプ30と、制御部50および低電圧電源部60とが、左右方向中央ラインC2を間に挟んで配置されている。
【0040】
上述したように、吸気ファン70は装置底面20C付近に配置され、区画K1、区画K2、区画K3は、それぞれ吸気ファン70によって吸入されたガスが流れ込むように、底面20C側で開口し、そして、隔壁25A、25Bが吸気ファン70の傍まで延びている(
図5、6参照)。区画K1、区画K2、区画K3に流入したガスは、それぞれ上面20Tに形成された開口部20Rに向けて流れていく。
【0041】
区画K1は、エキシマランプ30で発生するオゾンの流れるガス流路として機能し、区画K2は、ランプ電源部40を冷却するガス流路として機能する。また、区画K3は、制御部50および低電圧電源部60を冷却するガス流路として機能する。単一の吸気ファン70の送風方向に沿って形成された区画K1、K2、K3は、エキシマランプ30、ランプ電源部40、制御部50および低電圧電源部60の配置箇所を規定するとともに、ガス流路を3つに分ける。
【0042】
このような区画配置によって、エキシマランプ30、ランプ電源部40、制御部50および低電圧電源部60に関し、筐体20K内での重量バランス配分が良好となり、各構成要素を筐体20K付近に配置しながら、重心位置が筐体20Kの中心付近に設定され、転倒などの恐れがなく安定して設置することができる。また、吸気ファン70の中心軸も、前後方向中央ラインC1より前方側に位置するため、重量バランスが安定化する。
【0043】
一方、オゾン発生装置10を、タイマーダイヤル120を上にして脚部117A~117Dで支持する横置き設置した場合でも、ランプ電源部40をエキシマランプ30より下方に配置するため(
図6参照)、重心位置が低くなり、安定した設置が可能となる。したがって、オゾンの放出、電源冷却などの機能性も、縦置き、横置き両方とも発揮することができる。
【0044】
上述したように、区画K3では、ランプ電源部40用の区画K3を装置後方側に定め、隔壁25A、25Bによって筐体20Kの左右方向両端にまで至るスペースを確保する一方、エキシマランプ30、制御部50及び低電圧電源部60の区画K1、K2は、装置前方側で右側面20R側、左側面20L側のスペースをそれぞれ確保している。
【0045】
このような筐体20K内での区画K1、K2、K3の隣接配置構成により、区画K3内の昇圧トランス44と区画K1内のエキシマランプ30との電気的接続、および区画K2内の低電圧電源部60と区画K3内のスイッチング回路42との電気的接続について、重量バランスを考慮しながら自在に配線することができる。
【0046】
筐体20Kの1つの隅(コーナー)に規定された区画K1にエキシマランプ30を配置し、区画K2、K3を異なる隔壁25A、25Bで隣り合う構成にすることで、アース接続するランプ把持部37を導電性の隔壁25Bに取り付けるとともに、昇圧トランス44とエキシマランプ30の陽極とを電気的に繋げるコネクタ48を、絶縁性の隔壁25Aに設けることができる。これにより、絶縁破壊に対する信頼性が向上する。
【0047】
また、区画K1を開閉する扉140は、前面20F、右側面20Rそれぞれの一部によって構成され、エキシマランプ30から離れる方向へ軸回転する。エキシマランプ30を交換等する場合、ランプ支持部35の取り付け構造により、エキシマランプ30の取り出し方向は、右側面20R側を向く方向になる。
【0048】
このとき、扉140の開く方向が、エキシマランプ30の取り出し方向とは異なる前面側であるため、扉140およびタイマーダイヤル120がエキシマランプ30の取り出しの障害とならない。特に、アース側のランプ把持部36、37にエキシマランプ30の陰極を装着させた状態でも、扉140の開閉が干渉することなくエキシマランプ30を装着させることができる。
【0049】
縦置き横置き両方を可能にするために、比較的重量のあるランプ電源部40が配置される区画K3は、隔壁25A、25Bによって筐体20Kの左右方向両端にまで至り、2つの隅を含むスペースを確保している。これによって、スイッチング回路42、昇圧トランス44の配置スペースが確保され、重量配分などを考慮して左右方向、上下方向の設置を可能にする。
【0050】
特に、内部構成要素として最も重量のある昇圧トランス44が上下方向中央ラインC3を跨ぐ位置に配置されることによって、装置バランスが安定化する。昇圧トランス44を、上下方向中央ラインC3より下方に配置してもよい。
【0051】
また、低電圧電源部60を、同じ電源構造であるランプ電源部40の区画K3ではなく、制御部50と同じ区画K2に配置することによって、昇圧トランス44を区画K3内に隔離し、異常な絶縁破壊が生じるのを防ぐことができる。また、オゾン発生装置10を直上に設置したとき、上下方向の重量バランスを制御部50との間で低電圧電源部60の位置を容易に調整することができる。
【0052】
図7は、吸気ファン70から区画K1、K2、K3へ流入するガスの底面側の開口面積の相対的な大きさを概念的に示した図である。
図7に示すように、エキシマランプ30用の区画K1の開口部L1の面積が最も大きい。次に、ランプ電源部40用の区画K3の開口部L3の面積が大きく、制御部50および低電圧電源部60用の区画K2の開口部L2の面積が最も小さい。
【0053】
エキシマランプ30の配置される区画K1に最もガス流量を多くすることによって、効果的なオゾン放出が可能となる。また、熱の放出が大きい昇圧トランス44を備えたランプ電源部40の配置される区画K3に対しても多くのガスが流れることによって、ランプ電源部40を効果的に冷却することができる。
【0054】
制御部50および低電圧電源部60を配置した区画K2に対するガス流量は相対的に少ないが、制御部50および低電圧電源部60の放熱は、ランプ電源部40と比べてその影響が小さいため、動作中の冷却効果が十分に発揮される。したがって、上述したように重量バランスを配慮した吸気ファン70の前方側配置が、上述したガス流量の分配をそのまま実現させることができる。なお、区画K1、区画K3のガス流入の開口面積を同じにしてもよい。
【0055】
なお、制御部50において、商用周波数電圧から高周波数電圧に変換する周波数コンバータを収納し、ランプ電源部40の昇圧トランス44によって昇圧するようにしてもよい。また、低電圧電源部60を区画K3に配置し、制御部50のみ区画K2に配置するようにしてもよい。また、低電圧電源部60とを一体的にした回路構成にすることも可能である。
【0056】
扉140の構成については、第1の区画K1、第2の区画K2、第3の区画K3を筐体内に設けないオゾン発生装置に対しても適用可能である。この場合、オゾン発生装置は、エキシマランプと、2つの筐体側面の一部として構成され、エキシマランプが露出するようにヒンジ開閉可能な扉とを備えるように構成することができる。
【0057】
また、第1の区画K1、第2の区画K2、第3の区画K3以外の区画も形成するように筐体内を空間分割する場合に対しても、絶縁破壊を防ぐように、エキシマランプの陽極と、陰極を電気的に接続させることが可能である。例えば、オゾン発生装置は、エキシマランプを備え、エキシマランプの陽極が、ランプ電源部が配置されているランプ電源区画とを分け隔てる絶縁性隔壁を介して、ランプ電源部と電気的に接続し、エキシマランプの陰極が、ランプ電源区画とは異なる区間とを分け隔てる導電性隔壁を介して、アースと電気的に接続するように構成することができる。
【符号の説明】
【0058】
10 オゾン発生装置
20 装置本体
20K 筐体
30 エキシマランプ
40 ランプ電源部
50 制御部
60 低電圧電源部
140 扉
K1 第1の区画
K2 第2の区画
K3 第3の区画