(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】モータモジュール、管理モジュール、車載機器制御システム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20240712BHJP
B60R 16/023 20060101ALI20240712BHJP
H02P 5/46 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B60R16/02 660B
B60R16/023 Z
H02P5/46 B
(21)【出願番号】P 2020153316
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】ニデックモビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】藤田 篤
(72)【発明者】
【氏名】木越 勝敬
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-114228(JP,A)
【文献】特開2006-109164(JP,A)
【文献】特開2018-193032(JP,A)
【文献】特開2005-299152(JP,A)
【文献】特開2011-011710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/00-16/08
H02P 5/00- 5/753
B60J 1/00- 1/20
E05F 15/00-15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された車載機器の動力源であるモータと、
前記モータを駆動する駆動部と、
前記駆動部を動作させて前記モータの駆動を制御することにより前記車載機器を動作させる制御部と、を備えたモータモジュールにおいて、
前記車両に構築されたネットワークを経由して通信を行う通信部と、
前記車載機器を動作させるために操作する操作モジュールが、前記ネットワークを経由せずに接続される接続部と、をさらに備え、
前記制御部は、
前記操作モジュールとの
1対1での接続状態に応じて印加される電圧に基づいて、対応する前記車載機器の識別情報を決定し、
当該識別情報を、内部に有するメモリに記憶させるとともに、前記通信部により前記ネットワークを経由して、当該モータモジュールを管理する管理モジュールへ通知し、
前記管理モジュールから送信された制御情報として、対応する前記車載機器に特化したモータ制御用のパラメータ情報と、前記車載機器の動作を命じる動作指令情報とを、前記通信部によりそれぞれ受信し、このうち前記メモリに記憶された前記車載機器の識別情報と一致する情報が付帯された前記パラメータ情報を前記メモリに記憶させ、
前記管理モジュールから受信した前記動作指令情報のうち、前記車載機器の識別情報と一致する情報が付帯された動作指令情報、または前記操作モジュールの操作状態に応じて当該操作モジュールから前記接続部を経由して入力された操作信号
と、前記メモリに記憶された前記パラメータ情報とに基づいて、前記駆動部により前記モータの駆動を制御して前記車載機器を動作させる、ことを特徴とするモータモジュール。
【請求項2】
車両に搭載された車載機器の動力源であるモータを有したモータモジュールとの間で、前記車両に構築されたネットワークを経由して通信を行って、前記モータモジュールを管理する管理モジュールであって、
前記車載機器の識別情報が予め記憶された記憶部を備え、
前記記憶部には、前記モータモジュールが前記モータの駆動を制御して前記車載機器を動作させるための前記車載機器に特化したモータ制御用のパラメータ情報が、前記車載機器の識別情報と対応するように予め記憶され、
前記モータモジュールから送信された前記車載機器の識別情報を、前記ネットワークを経由して受信し、
受信した前記
車載機器の識別情報が、前記記憶部に記憶された前記
車載機器の識別情報と一致する場合
は、当該識別情報を、前記モータの駆動を制御して前記車載機器を動作させるための制御情報に付帯させ
、
前記制御情報として、前記識別情報と対応する前記パラメータ情報と、前記車載機器の動作を命じる動作指令情報とを、前記ネットワークを経由して前記モータモジュールに
それぞれ送信し、
受信した前記車載機器の識別情報が、前記記憶部に記憶された前記車載機器の識別情報と一致しない場合は、異常を示す信号を出力する、ことを特徴とする管理モジュール。
【請求項3】
請求項
2に記載の管理モジュールにおいて、
前記車載機器は、前記車両の所定の席に設けられたパワーウインドウ機構から成り、
当該管理モジュールは、前記所定の席から離れた位置に設けられて前記パワーウインドウ機構を遠隔操作するためのスイッチモジュールから成り、
前記スイッチモジュールの遠隔操作状態に応じて前記パワーウインドウ機構の開閉動作を命じる前記動作指令情報に、前記記憶部に記憶された当該パワーウインドウ機構の識別情報を付帯させた状態で、当該動作指令情報を前記ネットワークを経由して前記モータモジュールに送信する、ことを特徴とする管理モジュール。
【請求項4】
車両に搭載された車載機器の動力源であるモータを有し、当該モータの駆動を制御して前記車載機器を動作させるモータモジュールと、
前記モータモジュールを管理する管理モジュールと、を含み、
前記モータモジュールと前記管理モジュールとが前記車両に構築されたネットワークを経由して通信を行う車載機器制御システムであって、
前記モータモジュールは、前記車載機器の識別情報を決定して、当該識別情報を前記ネットワークを経由して前記管理モジュールに送信し、
前記管理モジュールは、
前記車載機器の識別情報が予め記憶された記憶部を有し、
前記モータモジュールから送信された前記車載機器の識別情報を、前記ネットワークを経由して受信し、
受信した前記識別情報が、前記記憶部に記憶された前記識別情報と一致する場合に、当該識別情報を、前記モータの駆動を制御して前記車載機器を動作させるための制御情報に付帯させて、当該制御情報を前記ネットワークを経由して前記モータモジュールに送信し、
前記モータモジュールは、
前記管理モジュールから前記ネットワークを経由して受信した前記制御情報のうち、決定した前記車載機器の識別情報と一致する情報が付帯された制御情報に基づいて、前記モータの駆動を制御して前記車載機器を動作させる、
車載機器制御システムにおいて、
前記車載機器を動作させるために操作する操作モジュールをさらに含み、
前記モータモジュールは、
前記操作モジュールが前記ネットワークを経由せずに接続される接続部を有し、
前記操作モジュールとの接続状態に応じて印加される電圧に基づいて、前記車載機器の識別情報を決定し、当該識別情報を内部に有するメモリに記憶させるとともに、前記ネットワークを経由して前記管理モジュールへ送信し、
前記管理モジュールの前記記憶部には、前記モータモジュールが前記モータの駆動を制御して前記車載機器を動作させるための前記車載機器に特化したモータ制御用のパラメータ情報が、前記車載機器の識別情報と対応するように予め記憶され、
前記管理モジュールは、
前記モータモジュールから送信された前記車載機器の識別情報を、前記ネットワークを経由して受信し、
受信した前記識別情報が前記記憶部に記憶された前記識別情報と一致する場合は、前記制御情報として、当該識別情報と対応する前記パラメータ情報を、前記ネットワークを経由して前記モータモジュールに送信し、
前記モータモジュールは、前記管理モジュールから送信された前記パラメータ情報を前記ネットワークを経由して受信し、そのうち前記メモリに記憶された前記車載機器の識別情報と一致する情報が付帯されたパラメータ情報を前記メモリに記憶させ、
前記管理モジュールは、前記制御情報として、前記車載機器の動作を命じる動作指令情報を、前記ネットワークを経由して前記モータモジュールに送信し、
前記モータモジュールは、前記管理モジュールから受信した前記動作指令情報のうち、前記メモリに記憶された前記車載機器の識別情報と一致する情報が付帯された動作指令情報、または前記操作モジュールから入力された操作信号と、前記メモリに記憶された前記パラメータ情報とに基づいて、前記モータの駆動を制御して前記車載機器を動作させる、ことを特徴とする車載機器制御システム。
【請求項5】
請求項
4に記載の車載機器制御システムにおいて、
前記管理モジュールは、前記パラメータ情報が必要であるか否かを示す要否情報を要求するリクエスト情報を、前記ネットワークを経由して前記モータモジュールに送信し、
前記モータモジュールは、前記ネットワークを経由して前記リクエスト情報を受信すると、前記パラメータ情報の要否を判断し、当該判断結果を示した前記要否情報に前記メモリに記憶された前記車載機器の識別情報を付帯させた状態で、当該要否情報を前記ネットワークを経由して前記管理モジュールに返信し、
前記管理モジュールは、前記モータモジュールから返信された前記要否情報を前記ネットワークを経由して受信し、当該受信した要否情報において前記パラメータ情報が必要であると示され、かつ当該受信した要否情報に付帯された前記車載機器の識別情報が前記記憶部に記憶された前記車載機器の識別情報と一致する場合は、当該識別情報に対応する前記パラメータ情報に当該識別情報を付帯させた状態で、当該パラメータ情報を前記ネットワークを経由して前記モータモジュールに送信する、ことを特徴とする車載機器制御システム。
【請求項6】
請求項
4または請求項
5に記載の車載機器制御システムにおいて、
前記車載機器は、前記車両の所定の席に設けられたパワーウインドウ機構から成り、
前記管理モジュールは、前記所定の席から離れた位置に設けられて前記パワーウインドウ機構を遠隔操作する第1スイッチモジュールから成り、
前記第1スイッチモジュールは、その遠隔操作状態に応じて前記パワーウインドウ機構の開閉動作を命じる前記動作指令情報に、前記パワーウインドウ機構の識別情報を付帯させた状態で、当該動作指令情報を前記ネットワークを経由して前記モータモジュールに送信し、
前記モータモジュールは、前記第1スイッチモジュールから送信されて前記ネットワークを経由して受信した前記動作指令情報のうち、決定した前記車載機器の識別情報と一致する情報が付帯された動作指令情報に基づいて、前記モータの駆動を制御して前記パワーウインドウ機構を開閉動作させ、
前記操作モジュールは、前記所定の席に設けられた第2スイッチモジュールから成り、
前記モータモジュールは、前記第2スイッチモジュールの操作状態に応じて前記接続部を経由して入力された操作信号に基づいて、前記モータの駆動を制御して前記パワーウインドウ機構を開閉動作させる、ことを特徴とする車載機器制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された車載機器を動作させるためのモータモジュールと、これを管理する管理モジュールと、これらを含んだ車載機器制御システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両に搭載された車載機器を動作させるため、たとえば特許文献1に開示されているような、モータモジュールが用いられている。このモータモジュールは、車載機器の動力源であるモータと、モータの回転軸の回転を減速する機構と、モータの回転数を検出するセンサと、モータを駆動する駆動部と、駆動部を動作させてモータの駆動を制御する制御部などが一体化されたものである。
【0003】
また、上記の構成に加えて、車載機器を動作させるための情報を記憶するメモリと、車両に構築されたLANやCANなどのネットワークを経由して、他のモジュールや装置と通信を行う通信部が一体化されたモータモジュールもある。たとえば特許文献2および特許文献3には、そのようなモータモジュール(子機)と、当該モータモジュールを管理する管理モジュール(親機)とを含んだ車載機器制御システムが開示されている。管理モジュールは、CPUなどから成る制御部と、メモリと、車両のネットワークを経由した通信を行う通信部などを備えたECU(電子制御装置)、またはその他の機能を有するモジュールから構成されている。
【0004】
モータモジュールが車載機器の動作を制御したり、管理モジュールがモータモジュールを制御したりするには、初期設定を行う必要がある。このため、特許文献2および特許文献3では、子機の識別情報と、親機が子機を制御するためのドライバ(ソフトウェア)とを、予め子機のメモリに記憶させておく。子機は、自身のメモリに記憶された識別情報とドライバとを、ネットワークを経由して親機に送信する。親機は、子機から識別情報とドライバを受信すると、これらを関連付けてメモリに記憶させる。この後、親機は、ドライバで示された条件に従う制御指令を識別情報とともに子機に送信する。子機は、当該制御指令を受信して、当該制御指令に基づいてモータなどの本体部の動作を制御し、車載機器を動作させる。
【0005】
一方、特許文献4および特許文献5には、子機が親機または他の子機から印加される電圧に基づいて、自身の識別情報を決定する技術が開示されている。具体的には、親機に備わる電圧供給部に接続された電線に、複数の子機に備わる抵抗回路を直列に接続して、当該電線に電圧供給部から電圧を印加する。すると、子機が自身の抵抗回路の分圧値に基づいて、自身の識別情報を決定する。
【0006】
また、特許文献6には、子機(モジュール)を直接接続する親機(メインユニット)の識別端子の開放/短絡状態に基づいて、子機を識別する技術が開示されている。具体的には、親機に設けられた複数のコネクタにそれぞれ備わる3つの識別端子のうちいずれか2つと、子機に備わる2つの接続端子とを接続することで、識別端子間の短絡/開放の状態を変化させる。親機は、識別端子間の短絡/開放の状態に基づいて、子機が接続されたコネクタと、該コネクタに対応する子機の種類やCANのIDを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2010/110112号
【文献】特開2015-20647号公報
【文献】特開2015-20648号公報
【文献】特開2006-256547号公報
【文献】特開2013-192012号公報
【文献】特開2017-133876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
たとえばパワーウインドウ機構のような車載機器は、車両に複数搭載されるため、当該各車載機器の動力源として、同一の仕様と性能を有する複数のモータモジュールが用いられることがある。そのような同一種類の複数の車載機器には、形状や部材同士の摩擦係数などの物理的な個体差がある。具体的には、たとえば車両の前席と後席にそれぞれ設けられたパワーウインドウ機構においては、前席の窓ガラスと後席の窓ガラスの形状や重量が異なり、各窓ガラスと周辺部材との摩擦係数も異なる。また、車種が異なる車両にそれぞれ設けられたパワーウインドウ機構においても、たとえば、一方の車両の前席の窓ガラスと他方の車両の前席の窓ガラスの形状や重量が異なり、各窓ガラスと周辺部材との摩擦係数も異なる。
【0009】
それ故、同一種類の複数の車載機器を、同一の仕様と性能を有する複数のモータモジュールにより動作させるには、各モータモジュールがそれぞれに対応する車載機器を認識して、当該車載機器が正しく動作するようにモータの駆動を制御しなければならない。このために、各モータモジュールのメモリに、対応する車載機器の識別情報を予め記憶させておくことが考えられる。しかしこの場合、複数のモータモジュールを、それぞれに対応する車載機器が正しく動作するように設置するには、各モータモジュールの品番を異ならせて、複数のモータモジュールを別々に管理しなければならず、取り扱いが煩雑になってしまう。
【0010】
本発明の課題は、同一の仕様と性能を有する複数のモータモジュールにより、同一種類の複数の車載機器を動作させる場合に、当該複数のモータモジュールの管理を容易にして、取り扱いが煩雑になるのを防ぐことである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のモータモジュールは、車両に搭載された車載機器の動力源であるモータと、モータを駆動する駆動部と、駆動部を動作させてモータの駆動を制御することにより車載機器を動作させる制御部と、車両に構築されたネットワークを経由して通信を行う通信部と、車載機器を動作させるために操作する操作モジュールがネットワークを経由せずに接続される接続部とを備える。制御部は、操作モジュールとの1対1での接続状態に応じて印加される電圧に基づいて、対応する車載機器の識別情報を決定し、当該識別情報を、内部に有するメモリに記憶させるとともに、通信部によりネットワークを経由して、当該モータモジュールを管理する管理モジュールへ通知する。また、制御部は、管理モジュールから送信された制御情報として、対応する車載機器に特化したモータ制御用のパラメータ情報と、車載機器の動作を命じる動作指令情報とを、通信部によりそれぞれ受信し、このうちメモリに記憶された車載機器の識別情報と一致する情報が付帯されたパラメータ情報をメモリに記憶させる。そして、制御部は、管理モジュールから受信した動作指令情報のうち、車載機器の識別情報と一致する情報が付帯された動作指令情報、または操作モジュールの操作状態に応じて当該操作モジュールから接続部を経由して入力された操作信号と、メモリに記憶されたパラメータ情報とに基づいて、駆動部によりモータの駆動を制御して車載機器を動作させる。
【0012】
また、本発明の管理モジュールは、車両に搭載された車載機器の動力源であるモータを有したモータモジュールとの間で、車両に構築されたネットワークを経由して通信を行って、モータモジュールを管理するモジュールであって、車載機器の識別情報が予め記憶された記憶部を備える。この記憶部には、モータモジュールがモータの駆動を制御して車載機器を動作させるための車載機器に特化したモータ制御用のパラメータ情報が、車載機器の識別情報と対応するように予め記憶されている。そして、管理モジュールは、モータモジュールから送信された車載機器の識別情報を、ネットワークを経由して受信し、受信した車載機器の識別情報が、記憶部に記憶された車載機器の識別情報と一致する場合は、当該識別情報を、モータの駆動を制御して車載機器を動作させるための制御情報に付帯させ、当該制御情報として、識別情報と対応するパラメータ情報と、車載機器の動作を命じる動作指令情報とを、ネットワークを経由してモータモジュールにそれぞれ送信する。一方、受信した車載機器の識別情報が、記憶部に記憶された車載機器の識別情報と一致しない場合は、管理モジュールは異常を示す信号を出力する。
【0013】
また、本発明の車載機器制御システムは、車両に搭載された車載機器の動力源であるモータの駆動を制御して車載機器を動作させるモータモジュールと、このモータモジュールを管理する管理モジュールと、車載機器を動作させるために操作する操作モジュールとを含み、モータモジュールと管理モジュールとが車両に構築されたネットワークを経由して通信を行うシステムであって、モータモジュールは、車載機器の識別情報を決定して、当該識別情報をネットワークを経由して管理モジュールに送信する。管理モジュールは、車載機器の識別情報が予め記憶された記憶部を有し、モータモジュールから送信された車載機器の識別情報を、ネットワークを経由して受信し、受信した識別情報が、記憶部に記憶された識別情報と一致する場合に、当該識別情報を、モータの駆動を制御して車載機器を動作させるための制御情報に付帯させて、当該制御情報をネットワークを経由してモータモジュールに送信する。モータモジュールは、管理モジュールからネットワークを経由して受信した制御情報のうち、決定した車載機器の識別情報と一致する情報が付帯された制御情報に基づいて、モータの駆動を制御して車載機器を動作させる。
また、モータモジュールは、操作モジュールがネットワークを経由せずに接続される接続部を有し、操作モジュールとの接続状態に応じて印加される電圧に基づいて、車載機器の識別情報を決定し、当該識別情報を内部に有するメモリに記憶させるとともに、ネットワークを経由して管理モジュールへ送信する。管理モジュールの記憶部には、モータモジュールがモータの駆動を制御して車載機器を動作させるための車載機器に特化したモータ制御用のパラメータ情報が、車載機器の識別情報と対応するように予め記憶されている。管理モジュールは、モータモジュールから送信された車載機器の識別情報を、ネットワークを経由して受信し、受信した識別情報が記憶部に記憶された識別情報と一致する場合は、制御情報として、当該識別情報と対応するパラメータ情報を、ネットワークを経由してモータモジュールに送信する。モータモジュールは、管理モジュールから送信されたパラメータ情報をネットワークを経由して受信し、そのうちメモリに記憶された車載機器の識別情報と一致する情報が付帯されたパラメータ情報をメモリに記憶させる。管理モジュールは、制御情報として、車載機器の動作を命じる動作指令情報を、ネットワークを経由してモータモジュールに送信する。モータモジュールは、管理モジュールから受信した動作指令情報のうち、メモリに記憶された車載機器の識別情報と一致する情報が付帯された動作指令情報、または操作モジュールから入力された操作信号と、メモリに記憶されたパラメータ情報とに基づいて、モータの駆動を制御して車載機器を動作させる。
【0014】
上記構成によると、モータモジュールは、操作モジュールとの接続状態に応じて印加される電圧に基づいて、対応する車載機器の識別情報を決定する。そして、モータモジュールは、操作モジュールから入力された操作信号に基づいて、モータの駆動を制御して、対応する車載機器を動作させるだけでなく、管理モジュールから送信されてネットワークを経由して受信した制御情報のうち、対応する車載機器の識別情報と一致する情報が付帯された制御情報に基づいて、モータの駆動を制御して、対応する車載機器を動作させる。このため、モータモジュールは、対応する車載機器用の制御情報に基づいて、モータの駆動を制御して、当該車載機器を適切に動作させることができる。そしてこの結果、同一種類の複数の車載機器に物理的な個体差があっても、各車載機器を動作させるために、同一の仕様と性能を有する複数のモータモジュールを用いて、当該各モータモジュールにより各車載機器を適切に動作させることができる。また、車両の車種や設置される場所に関係なく、同一種類の車載機器を動作させるために、同一の仕様および性能を有するモータモジュールを用いて、当該モータモジュールにより当該車載機器を適切に動作させることもできる。さらに、各車載機器の識別情報を各モータモジュールのメモリに予め記憶させておく必要がなく、いずれかの車載機器に対して、いずれかのモータモジュールを設置するだけでよい。このため、複数のモータモジュール品番を異ならせて、複数のモータモジュールを別々に管理する必要もなく、当該モータモジュールの設置が容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、同一の仕様と性能を有する複数のモータモジュールにより、同一種類の複数の車載機器を動作させる場合に、複数のモータモジュールの管理を容易にして、取り扱いが煩雑になるのを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態のパワーウインドウシステムの構成図である。
【
図2】
図1の運転席のスイッチモジュールとモータモジュールの詳細な構成図である。
【
図3】
図1の第1他席のスイッチモジュールとモータモジュールの詳細な構成図である。
【
図4】
図1の第2他席のスイッチモジュールとモータモジュールの詳細な構成図である。
【
図5】
図1の第3他席のスイッチモジュールとモータモジュールの詳細な構成図である。
【
図6】
図1のモータモジュールの初期設定時の動作を示したフローチャートである。
【
図7】
図6の識別情報認識処理の詳細を示したフローチャートである。
【
図8】
図1のモータモジュールの識別情報を決定する方法を説明するための図である。
【
図9】
図1のモータモジュールの識別情報を決定する方法を説明するための図である。
【
図10】
図1の運転席のスイッチモジュールの初期設定時の動作を示したフローチャートである。
【
図11】
図1のパワーウインドウシステムの初期状態を示した図である。
【
図12】
図1のパワーウインドウシステムの初期設定時の通信状態を示した図である。
【
図13】
図1のパワーウインドウシステムの初期設定時の通信状態を示した図である。
【
図14】
図1のパワーウインドウシステムの初期設定時の通信状態を示した図である。
【
図15】
図1のパワーウインドウシステムの初期設定時の通信状態を示した図である。
【
図16】
図1のパワーウインドウシステムの運用時の動作と通信状態を示した図である。
【
図17】
図1のパワーウインドウシステムの運用時の動作と通信状態を示した図である。
【
図18】
図1のパワーウインドウシステムの運用時の動作と通信状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。
【0018】
まず、実施形態のパワーウインドウシステムの構成を説明する。
【0019】
図1は、パワーウインドウシステム100の構成図である。パワーウインドウシステム100は、自動四輪車から成る車両に搭載されている。パワーウインドウシステム100には、複数のパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1D、複数のモータモジュール2A、2B、2C、2D、複数のスイッチモジュール3A、3B、3C、3D、およびネットワーク4が含まれている。
【0020】
パワーウインドウ機構1A、モータモジュール2A、およびスイッチモジュール3Aは、車両の運転席に設置されている。パワーウインドウ機構1B、モータモジュール2B、およびスイッチモジュール3Bは、車両の第1他席(たとえば助手席)に設置されている。パワーウインドウ機構1C、モータモジュール2C、およびスイッチモジュール3Cは、車両の第2他席(たとえば後部左座席)に設置されている。パワーウインドウ機構1D、モータモジュール2D、およびスイッチモジュール3Dは、車両の第3他席(たとえば後部右座席)に設置されている。
【0021】
ネットワーク4は、車両に構築された有線のLAN(Local Area Network)から構成されている。ネットワーク4には、各モータモジュール2A、2B、2C、2Dと運転席のスイッチモジュール3Aとが接続されている。他の例として、LANに代えて、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)、あるいはこれら以外の有線または無線のネットワークを車両に設けてもよい。
【0022】
パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dは、車両の運転席、第1他席、第2他席、および第3他席の各窓の窓ガラスと、当該窓ガラスを移動させて窓を開閉させる機構などから構成されている。パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dには、形状や部材同士の摩擦係数などといった物理的な個体差がある。パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dは、本発明の「車載機器」の一例である。パワーウインドウシステム100は、本発明の「車載機器制御システム」の一例である。
【0023】
モータモジュール2A、2B、2C、2Dは、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dをそれぞれ動作させる動力源であるモータ23と、制御部21などを有している(詳細は後述する)。モータモジュール2A、2B、2C、2Dの各々の仕様と性能は同一である。
図1では、便宜上、各モータモジュール2A、2B、2C、2Dに備わる構成要素に同一符号を付している(後述する
図2~
図5および
図11~
図18でも同様)。
【0024】
スイッチモジュール3A、3B、3C、3Dは、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dに窓の開閉を行わせる場合に操作する複数のスイッチを有している(
図2~
図5に図示、詳細は後述する)。また、運転席のスイッチモジュール3Aは、運転席から離れた位置にある他席のパワーウインドウ機構1B、1C、1Dを遠隔操作するための複数のスイッチ(
図2~
図5に図示)や、制御部31なども有している(詳細は後述する)。対応するモータモジュール2A、2B、2C、2Dとスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dとは、ネットワーク4を経由せずに、それぞれハーネス5A、5B、5C、5Dにより1対1で接続されている。
【0025】
運転席のスイッチモジュール3Aは、ネットワーク4を経由して各席のモータモジュール2A、2B、2C、2Dと通信し、モータモジュール2A、2B、2C、2Dを管理する。運転席のスイッチモジュール3Aは、本発明の「管理モジュール」と「操作モジュール」の一例である。他席のスイッチモジュール3B、3C、3Dは、本発明の「操作モジュール」の一例である。
【0026】
次に、各モータモジュール2A、2B、2C、2Dと各スイッチモジュール3A、3B、3C、3Dの構成を詳述する。
【0027】
図2は、運転席のモータモジュール2Aとスイッチモジュール3Aの構成図である。
図3は、第1他席のモータモジュール2Bとスイッチモジュール3Bの構成図である。
図4は、第2他席のモータモジュール2Cとスイッチモジュール3Cの構成図である。
図5は、第3他席のモータモジュール2Dとスイッチモジュール3Dの構成図である。
図2~
図5では、便宜上、対応する部分には、同一符号を付している。
【0028】
図2~
図5に示すように、各席のモータモジュール2A、2B、2C、2Dには、制御部21、駆動部22、モータ23、通信部24、接続部25、電源回路26、および電圧監視回路27などが備わっている。
【0029】
制御部21は、CPUなどから成り、内部に揮発性メモリ21aを有している。駆動部22は、モータ23を駆動する回路から成る。制御部21は、駆動部22を動作させて、モータ23の駆動を制御し、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1D(
図1)を動作させる。揮発性メモリ21aには、対応するモータ23およびパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを動作させるための情報が記憶される。通信部24は、ネットワーク4を経由した通信を行うための回路から成る。駆動部22によりモータ23の駆動を制御して対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを開閉動作させるための制御情報などは、運転席のスイッチモジュール3Aから送信されて、ネットワーク4を経由して通信部24により受信される。
【0030】
接続部25は、対応するスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dをハーネス5A、5B、5C、5Dによりそれぞれ接続するためのコネクタから成る。接続部25には、複数の端子Tc、To、Ta、Tgが設けられている。各端子Tc、To、Ta、Tgには、ハーネス5A、5B、5C、5Dに備わる各電線51、52、53、54の一端が接続されている。
【0031】
端子Tc、To、Taと制御部1の入力ポートP1、P2、P3とは、内部配線L1、L2、L3によりそれぞれ接続されている。内部配線L1、L2、L3上には、それぞれ抵抗Rd、Re、Rfが設けられている。また、内部配線L1上の抵抗Rdと端子Tcの間には、抵抗Raの一端と抵抗R1の一端とがそれぞれ接続されている。内部配線L2上の抵抗Reと端子Toの間には、抵抗Rbの一端と抵抗R2の一端とがそれぞれ接続されている。内部配線L3上の抵抗Rfと端子Taの間には、抵抗Rcの一端が接続されている。抵抗Ra、Rb、Rcの他端は、スイッチング素子Q1を介して電源Vcc1に接続されている。抵抗R1、R2の他端は、スイッチング素子Q2を介して電源Vcc2に接続されている。端子Tgはグランドに接地されている。
【0032】
車両に搭載された車載バッテリBtから制御部21までの給電用の内部配線L4上には、整流ダイオードD1と電源回路26とが設けられている。電源回路26は、整流ダイオードD1のカソード側にあって、車載バッテリBtから出力される高電圧を所定の低電圧に変換して、制御部21に供給する。整流ダイオードD1と電源回路26の間には、電源バックアップコンデンサCが設けられている。電圧監視回路27は、車載バッテリBtから出力される電圧のレベルや瞬断(一時的な電圧低下)などを監視する。
【0033】
各席のスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dには、接続部35とスイッチW1、W2、W3などが備わっている。接続部35は、対応するモータモジュール2A、2B、2C、2Dをハーネス5A、5B、5C、5Dにより接続するためのコネクタから成る。接続部35には、複数の端子Tc1、Tc2、To1、To2、Ta1、Tg1が設けられている。このうち、端子Ta1と端子Tg1には、ハーネス5A、5B、5C、5Dの電線53の他端と電線54の他端とがそれぞれ接続されている。
【0034】
モータモジュール2A、2B、2C、2Dが、それぞれに接続されたスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dを識別できるようにするため、席に応じて、各モータモジュールと各スイッチモジュールとの間の接続状態を異ならせている。詳しくは、
図2および
図3に示すように、運転席のスイッチモジュール3Aと第1他席のスイッチモジュール3Bの端子Tc1には、ハーネス5A、5Bの電線51の他端がそれぞれ接続されている。
図4および
図5に示すように、第2他席のスイッチモジュール3Cと第3他席のスイッチモジュール3Dの端子Tc2には、ハーネス5C、5Dの電線51の他端がそれぞれ接続されている。
【0035】
また、
図2および
図4に示すように、運転席のスイッチモジュール3Aと第2他席のスイッチモジュール3Cの端子To1には、ハーネス5A、5Cの電線52の他端がそれぞれ接続されている。
図3および
図5に示すように、第1他席のスイッチモジュール3Bと第3他席のスイッチモジュール3Dの端子To2には、ハーネス5B、5Dの電線52の他端がそれぞれ接続されている。このように、モータモジュールとスイッチモジュールとの接続状態を異ならせるために、4種類のハーネスを用いることができる。
【0036】
各スイッチモジュール3A、3B、3C、3DのスイッチW1、W2、W3は、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを操作するために、ユーザによりオン(短絡)またはオフ(開放)される。具体的には、たとえば対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dをマニュアル閉動作させるときは、スイッチW1がオン操作される。また、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dをマニュアル開動作させるときは、スイッチW2がオン操作される。また、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dをオート閉動作させるときは、スイッチW1とスイッチW3がオン操作される。また、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dをオート開動作させるときは、スイッチW2とスイッチW3がオン操作される。また、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dのマニュアルでの開閉動作を停止させるときは、スイッチW2またはスイッチW1がオフ操作される。さらに、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dのオートでの開閉動作を停止させるときは、スイッチW2またはスイッチW1が再度オン操作またはオフ操作される。
【0037】
各モータモジュール2A、2B、2C、2Dに対して、ハーネス5A、5B、5C、5Dにより接続されたスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dは、本発明の「第2スイッチモジュール」の一例である。
【0038】
スイッチモジュール3A、3B、3C、3Dにおいて、一端が端子Tc1に接続された内部配線L5上には、整流ダイオードD2が設けられている。一端が端子Tc2に接続された内部配線L6上には、整流ダイオードD3が設けられている。整流ダイオードD2、D3の各カソードは、スイッチW1の一端に接続されている。
【0039】
一端が端子To1に接続された内部配線L7上には、整流ダイオードD4が設けられている。一端が端子To2に接続された内部配線L8上には、整流ダイオードD5が設けられている。整流ダイオードD4、D5の各カソードは、スイッチW2の一端に接続されている。
【0040】
一端が端子Ta1に接続された内部配線L9の他端は、スイッチW3の一端に接続されている。各スイッチW1、W2、W3の他端は、内部配線L10に接続されている。端子Tg1も内部配線L10に接続されている。
【0041】
端子Tc1と整流ダイオードD2との間の内部配線L5には、抵抗R4の一端が接続されている。端子Tc2と整流ダイオードD3との間の内部配線L6には、抵抗R3の一端が接続されている。端子To1と整流ダイオードD4との間の内部配線L7には、抵抗R6の一端が接続されている。端子To2と整流ダイオードD5との間の内部配線L8には、抵抗R5の一端が接続されている。抵抗R3、R4、R5、R6の他端は、内部配線L10に接続されている。抵抗R3と抵抗R4の抵抗値は異なっている。また、抵抗R5と抵抗6の抵抗値も異なっている。
【0042】
後述する初期設定時には、スイッチモジュール3A、3B、3C、3DのスイッチW1、W2、W3がオンされていない状態にある。このとき、
図2の運転席のモータモジュール2Aと
図3の第1他席のモータモジュール2Bでは、制御部21がスイッチング素子Q2をオンすることで、電源Vcc2からの電流が、抵抗R1と端子Tcなどを通って、該端子Tcに接続されたハーネス5A、5Bの電線51に流れて行く。そして、当該電線51を通った電流が、運転席のスイッチモジュール3Aと第1他席のスイッチモジュール3Bの端子Tc1、抵抗R4、端子Tg1、該端子Tg1に接続されたハーネス5A、5Bの電線54、およびモータモジュール2A、2Bの端子Tgなどを通って、グランドに流れて行く。
【0043】
また、
図4の第2他席のモータモジュール2Cと
図5の第3他席のモータモジュール2Dでは、制御部21がスイッチング素子Q2をオンすることで、電源Vcc2からの電流が、抵抗R1と端子Tcなどを通って、該端子Tcに接続されたハーネス5C、5Dの電線51に流れて行く。そして、当該電線51を通った電流が、第2他席のスイッチモジュール3Cと第3他席のスイッチモジュール3Dの端子Tc2、抵抗R3、端子Tg1、該端子Tg1に接続されたハーネス5C、5Dの電線54、およびモータモジュール2C、2Dの端子Tgなどを通って、グランドに流れて行く。
【0044】
また、
図2の運転席のモータモジュール2Aと
図4の第2他席のモータモジュール2Cでは、制御部21がスイッチング素子Q2をオンすることで、電源Vcc2からの電流が、抵抗R2と端子Toなどを通って、該端子Toに接続されたハーネス5A、5Cの電線52に流れて行く。そして、当該電線52を通った電流が、運転席のスイッチモジュール3Aと第2他席のスイッチモジュール3Cの端子To1、抵抗R6、端子Tg1、該端子Tg1に接続されたハーネス5A、5Cの電線54、およびモータモジュール2A、2Cの端子Tgなどを通って、グランドに流れて行く。
【0045】
さらに、
図3の第1他席のモータモジュール2Bと
図5の第3他席のモータモジュール2Dでは、制御部21がスイッチング素子Q2をオンすることで、電源Vcc2からの電流が、抵抗R2と端子Toなどを通って、該端子Toに接続されたハーネス5B、5Dの電線52に流れて行く。そして、当該電線52を通った電流が、第1他席のスイッチモジュール3Bと第3他席のスイッチモジュール3Dの端子To2、抵抗R5、端子Tg1、該端子Tg1に接続されたハーネス5B、5Dの電線54、およびモータモジュール2B、2Dの端子Tgなどを通って、グランドに流れて行く。
【0046】
上述したように、モータモジュール2A、2B、2C、2Dの電源Vcc2からスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dを経由して、グランドまで電流が流れることにより、制御部21に設けられた入力ポートP1、P2に電圧が印加される。制御部21は、入力ポートP1、P2への印加電圧値に基づいて、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報を決定する(詳細は後述する)。
【0047】
後述する運用時には、モータモジュール2A、2B、2C、2Dにおいて、制御部21がスイッチング素子Q1をオンすることで、電源Vcc1からの電流が、抵抗Ra、Rb、Rcと端子Tc、To、Taなどを通って、当該端子Tc、To、Taに接続されたハーネス5A、5B、5C、5Dの電線51、52、53に流れて行く。そして、スイッチモジュール3A、3B、3C、3Dにおいて、スイッチW1、W2、W3がオンされていないときは、上記ハーネス5A、5B、5C、5Dの電線51、52、53を通った電流が、該電線51、52、53と接続された端子Tc1、Tc2、To1、To2、Ta1、抵抗R4、R3、R6、R5、端子Tg1、該端子Tg1に接続されたハーネス5A、5B、5C、5Dの電線54、およびモータモジュール2A、2B、2C、2Dの端子Tgなどを通って、グランドに流れて行く。
【0048】
また、スイッチW1、W2、W3のいずれかがオン操作されたときは、上記ハーネス5A、5B、5C、5Dの電線51、52、53を通った電流が、該電線51、52、53と接続された端子Tc1、Tc2、To1、To2、Ta1、オン操作されたスイッチW1、W2、W3、端子Tg1、該端子Tg1に接続されたハーネス5A、5B、5C、5Dの電線54、およびモータモジュール2A、2B、2C、2Dの端子Tgなどを通って、グランドに流れて行く。
【0049】
上述したようにモータモジュール2A、2B、2C、2Dの電源Vcc1からスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dを経由して、グランドまで電流が流れることにより、制御部21に設けられた入力ポートP1、P2、P3に電圧が印加される。また、スイッチW1、W2、W3の操作状態に応じて、入力ポートP1、P2、P3に印加される電圧の大きさが変化する。制御部21は、入力ポートP1、P2、P3への印加電圧の変化を、スイッチW1、W2、W3の操作状態に応じてスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dから接続部25を経由して入力された操作信号とみなす。そして、制御部21は、当該操作信号に基づいて駆動部22によりモータ23の駆動を制御して、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dに窓の開閉動作を行わせる。
【0050】
図2に示すように、運転席のスイッチモジュール3Aには、前述した構成に加えて、制御部31、通信部34、およびスイッチW4b、W5b、W6b、W4c、W5c、W6c、W4d、W5d、W6dが備わっている。制御部31は、CPUなどから成り、内部に揮発性メモリ31aと不揮発性メモリ31bとを有している。揮発性メモリ31aと不揮発性メモリ31bとは、本発明の「記憶部」の一例である。通信部34は、ネットワーク4を経由した通信を行うための回路から成る。モータモジュール2A、2B、2C、2Dが対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを開閉動作させるための制御情報などは、通信部34によりネットワーク4を経由してモータモジュール2A、2B、2C、2Dに送信される。
【0051】
スイッチW4b、W5b、W6bは、第1他席のパワーウインドウ機構1Bを遠隔操作するために、ユーザによりオンまたはオフされる。スイッチW4c、W5c、W6cは、第2他席のパワーウインドウ機構1Cを遠隔操作するために、ユーザによりオンまたはオフされる。スイッチW4d、W5d、W6dは、第3他席のパワーウインドウ機構1Dを遠隔操作するために、ユーザによりオンまたはオフされる。スイッチW4b、W4c、W4dをオン・オフ操作すると、各席のスイッチW1を操作した場合と同様の動作が行われる。スイッチW5b、W5c、W5dをオン・オフ操作すると、各席のスイッチW2を操作した場合と同様の動作が行われる。スイッチW6b、W6c、W6dをオン・オフ操作すると、各席のスイッチW3を操作した場合と同様の動作が行われる。
【0052】
他席のモータモジュール2B、2C、2Dに対して、運転席のスイッチモジュール3Aは、本発明の「第1スイッチモジュール」の一例である。
【0053】
各スイッチW4b、W5b、W6b、W4c、W5c、W6c、W4d、W5d、W6dの一端は、制御部31に接続されている。各スイッチW4b、W5b、W6b、W4c、W5c、W6c、W4d、W5d、W6dの他端は、グランドに接地されている。制御部31は、各スイッチW4b、W5b、W6b、W4c、W5c、W6c、W4d、W5d、W6dのオンまたはオフの操作状態を検出する。そして、制御部31は、その操作状態に応じて他席のパワーウインドウ機構1B、1C、1Dを動作させるための動作指令情報を生成し、当該動作指令情報を通信部34によりネットワーク4を経由して他席のモータモジュール2B、2C、2Dに送信する。動作指令情報は、本発明の「制御情報」の一例である。
【0054】
次に、パワーウインドウシステム100の初期設定時の動作を説明する。
【0055】
図6は、モータモジュール2A、2B、2C、2Dの初期設定時の動作を示したフローチャートである。
図7は、
図6の識別情報認識処理の詳細を示したフローチャートである。
図8および
図9は、モータモジュールの識別情報を決定する方法を説明するための図である。
図10は、運転席のスイッチモジュール3Aの初期設定時の動作を示したフローチャートである。
図11は、パワーウインドウシステム100の初期状態を示した図である。
図12~
図15は、パワーウインドウシステム100の初期設定時の通信状態を示した図である。
【0056】
なお、初期設定は、モータモジュール2A、2B、2C、2Dの揮発性メモリ21aや、運転席のスイッチモジュール3Aの揮発性メモリ31aに情報が記憶されていない初期状態において実行される。初期設定時にスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dの各スイッチがオン操作されることはない。
【0057】
図11に示すように、初期状態では、運転席のスイッチモジュール3Aの不揮発性メモリ31bに、各席のパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diと、各パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dに特化したモータ23の制御用のパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpとが対応するように予め記憶されている。識別情報Ai、Bi、Ci、Diは、各パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dがいずれの席に設置されたものであるかを示している。パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpは、モータ23の駆動を制御して、各パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを開閉動作させるための情報である。このパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpには、各パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dにおける窓の開閉量や、開閉位置に応じて開閉速度を制御するための情報や、各パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dで異物の挟み込みを検出したり当該挟み込みを解除したりするための情報などが含まれている。パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpは、本発明の「制御情報」の一例である。
【0058】
初期設定時にモータモジュール2A、2B、2C、2Dの制御部21は、まず識別情報認識処理を実行する(
図6のステップS1)。この識別情報認識処理において、制御部21は、まず自身が属するモータモジュール2A、2B、2C、2Dに対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diが内部の揮発性メモリ21aに記憶済みであるか否かを確認する(
図7のステップS11)。当該識別情報Ai、Bi、Ci、Diが揮発性メモリ21aに記憶済みであれば(ステップS11:YES)、制御部21は識別情報認識処理を終了する。
【0059】
また、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diが揮発性メモリ21aに記憶済みでなければ(ステップS11:NO)、制御部21は、対応するスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dとの接続状態に応じて入力ポートP1、P2に印加される電圧値を検出する(ステップS12)。
【0060】
図2に示すように、ハーネス5Aが接続部25、35に接続された場合、抵抗R1と抵抗R4の分圧比により、入力ポートP1に印加される電圧値は、
図8に示すように、所定値V2以上でかつ所定値V3未満の範囲に含まれる(
図7のステップS13:YES)。また、抵抗R2と抵抗R6の分圧比により、入力ポートP2に印加される電圧値も、
図8に示すように、所定値V2以上でかつ所定値V3未満の範囲に含まれる(
図7のステップS14:YES)。この場合、制御部21は、
図9に示すように対応するパワーウインドウ機構1Aが運転席用であることを示す識別情報Aiを決定し(
図7のステップS15)、当該識別情報Aiを揮発性メモリ21aに記憶させて(ステップS16、
図12参照)、識別情報認識処理を終了する。
【0061】
また、
図3に示すように、ハーネス5Bが接続部25、35に接続された場合、抵抗R1と抵抗R4の分圧比により、入力ポートP1に印加される電圧値は、
図8に示すように、所定値V2以上でかつ所定値V3未満の範囲に含まれる(
図7のステップS13:YES)。また、抵抗R2と抵抗R5の分圧比により、入力ポートP2に印加される電圧値は、
図8に示すように、所定値V1以上でかつ所定値V2未満の範囲に含まれる(
図7のステップS17:YES)。この場合、制御部21は、
図9に示すように対応するパワーウインドウ機構1Bが第1他席用であることを示す識別情報Biを決定し(
図7のステップS18)、当該識別情報Biを揮発性メモリ21aに記憶させて(ステップS16、
図12参照)、識別情報認識処理を終了する。
【0062】
また、
図4に示すように、ハーネス5Cが接続部25、35に接続された場合、抵抗R1と抵抗R3の分圧比により、入力ポートP1に印加される電圧値は、
図8に示すように、所定値V1以上でかつ所定値V2未満の範囲に含まれる(
図7のステップS20:YES)。また、抵抗R2と抵抗R6の分圧比により、入力ポートP2に印加される電圧値は、
図8に示すように、所定値V2以上でかつ所定値V3未満の範囲に含まれる(
図7のステップS21:YES)。この場合、制御部21は、
図9に示すように対応するパワーウインドウ機構1Cが第2他席用であることを示す識別情報Ciを決定し(
図7のステップS22)、当該識別情報Ciを揮発性メモリ21aに記憶させて(ステップS16、
図12参照)、識別情報認識処理を終了する。
【0063】
さらに、
図5に示すように、ハーネス5Dが接続部25、35に接続された場合、抵抗R1と抵抗R3の分圧比により、入力ポートP1に印加される電圧値は、
図8に示すように、所定値V1以上でかつ所定値V2未満の範囲に含まれる(
図7のステップS20:YES)。また、抵抗R2と抵抗R5の分圧比により、入力ポートP2に印加される電圧値も、
図8に示すように、所定値V1以上でかつ所定値V2未満の範囲に含まれる(
図7のステップS23:YES)。この場合、制御部21は、
図9に示すように対応するパワーウインドウ機構1Dが第3他席用であることを示す識別情報Diを決定し(
図7のステップS24)、当該識別情報Diを揮発性メモリ21aに記憶させて(ステップS16、
図12参照)、識別情報認識処理を終了する。
【0064】
一方、入力ポートP1に印加される電圧値が、所定値V2以上でかつ所定値V3未満の範囲に含まれていても(
図7のステップS13:YES)、入力ポートP2に印加される電圧値が、所定値V1未満または所定値V3以上となることがある(ステップS14:NO、ステップS17:NO)。この場合、制御部21は、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報を決定することができず、
図9に示すように異常があると判断し、異常を示す信号を出力して(
図7のステップS19)、識別情報認識処理を終了する。ステップS19では、たとえば制御部21は、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報を決定できなかったことを示す異常情報を、通信部24によりネットワーク4を経由して運転席のスイッチモジュール3Aや車両側のECU(電子制御装置)に通知したり、車両に備わるディスプレイやスピーカなどにより上記異常情報を報知したりしてもよい。
【0065】
また、入力ポートP1に印加される電圧値が、所定値V1以上でかつ所定値V2未満の範囲に含まれていても(
図7のステップS20:YES)、入力ポートP2に印加される電圧値が、所定値V1未満または所定値V3以上となる場合がある(ステップS21:NO、ステップS23:NO)。または、入力ポートP1に印加される電圧値が、所定値V1未満または所定値V3以上となる場合もある(ステップS13:NO、ステップS20:NO)。これらの場合も、制御部21は、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報を決定することができず、
図9に示すように異常があると判断し、異常を示す信号を出力して(ステップS19)、識別情報認識処理を終了する。
【0066】
上述したように、モータモジュール2A、2B、2C、2Dにおいて、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diを決定して、揮発性メモリ21aに記憶させることで、識別情報Ai、Bi、Ci、Diの学習が完了したことになる。識別情報認識処理の終了後、制御部21は、揮発性メモリ21aに記憶された対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diを、通信部24によりネットワーク4を経由して運転席のスイッチモジュール3Aに通知する(
図6のステップS2、
図12)。
【0067】
初期設定時に運転席のスイッチモジュール3Aの制御部31は、モータモジュール2A、2B、2C、2Dから通知された識別情報Ai、Bi、Ci、Diを受信する度に、
図10の各処理を実行する。
【0068】
運転席のスイッチモジュール3Aにおいて、まず、モータモジュール2A、2B、2C、2Dからネットワーク4を経由して通知された識別情報Ai、Bi、Ci、Diを通信部34により受信する(
図10のステップS31:YES)。すると、制御部31は、当該識別情報Ai、Bi、Ci、Diを揮発性メモリ31aに記憶させる(ステップS32、
図12の「識別情報学習結果」)。
【0069】
そして、制御部31は、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpが必要であるか否かを示す要否情報を要求する要否リクエスト情報を、通信部34によりネットワーク4を経由させてモータモジュール2A、2B、2C、2Dに送信する(ステップS33、
図13参照)。このとき、制御部31は、送信する要否リクエスト情報に、ステップS32で揮発性メモリ31aに記憶させた識別情報Ai、Bi、Ci、Diを付帯させる。
【0070】
モータモジュール2A、2B、2C、2Dでは、運転席のスイッチモジュール3Aから送信された要否リクエスト情報を、ネットワーク4を経由して通信部24により受信する(
図6のステップS3:YES)。すると、制御部21は、当該要否リクエスト情報に付帯された識別情報と、揮発性メモリ21aに記憶された対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diとを照合する。そして、要否リクエスト情報に付帯された識別情報が揮発性メモリ21aに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diと一致すると(ステップS3a:YES)、制御部21は、揮発性メモリ21aにパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを記憶済みであるか否かを確認する。このとき、揮発性メモリ21aにパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを記憶済みであれば(
図6のステップS4:YES)、制御部21は、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpが不要であることを示す要否情報を、通信部24によりネットワーク4を経由して運転席のスイッチモジュール3Aに返信し(ステップS6)、終了となる。ステップS6では、制御部21は、返信する要否情報に、揮発性メモリ21aに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diを付帯させる。
【0071】
一方、揮発性メモリ21aにパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを記憶済みでなければ(
図6のステップS4:NO)、制御部21は、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpが必要であることを示す要否情報を、通信部24によりネットワーク4を経由して運転席のスイッチモジュール3Aに返信する(ステップS5、
図13参照)。このときも、制御部21は、返信する要否情報に、揮発性メモリ21aに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diを付帯させる。
【0072】
運転席のスイッチモジュール3Aでは、モータモジュール2A、2B、2C、2Dからネットワーク4を経由して送信された要否情報を、通信部34により受信する(
図10のステップS34:YES)。すると、制御部31は、当該要否情報に付帯された識別情報と、不揮発性メモリ31bに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diとを照合する。そして、要否情報に付帯された識別情報が、不揮発性メモリ31bに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diと一致しなければ(ステップS35:NO)、制御部31が異常を示す信号を出力して(ステップS36)、終了となる。ステップS36では、車両に設けられたディスプレイやスピーカなどにより、異常を示す情報や画像や音を報知してもよい。また、ステップS36では、制御部31が、ステップS34で受信した識別情報と一致する識別情報が揮発性メモリ31aに記憶されているか否かを確認し、記憶されていれば、当該識別情報が管理対象外であることなどを示す異常情報を、揮発性メモリ31a内の「識別情報学習結果」に追記してもよい。
【0073】
一方、要否情報に付帯された識別情報が、不揮発性メモリ31bに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diと一致すると(ステップS35:YES)、制御部31は、モータモジュール2A、2B、2C、2Dから受信した要否情報を確認する。そして、受信した要否情報で、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpが必要であることが示されていなければ(ステップS37:NO)、終了となる。
【0074】
また、モータモジュール2A、2B、2C、2Dから受信した要否情報で、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpが必要であることが示されていれば(ステップS37:YES)、制御部31は、当該要否情報に付帯された識別情報Ai、Bi、Ci、Diに対応するパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを不揮発性メモリ31bから読み出す。そして、制御部31は、当該パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを通信部34によりネットワーク4を経由して送信する(ステップS38、
図14参照)。このとき、制御部31は、送信するパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpに、対応する識別情報Ai、Bi、Ci、Diを付帯させる。
【0075】
モータモジュール2A、2B、2C、2Dでは、運転席のスイッチモジュール3Aから送信されたパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを、ネットワークを経由して通信部24により受信する(
図6のステップS7:YES)。すると、制御部21は、受信したパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpに付帯された識別情報と、揮発性メモリ21aに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diとを照合する。そして、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpに付帯された識別情報が、揮発性メモリ21aに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diと一致すると(ステップS7a:YES)、制御部21は、受信したパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを揮発性メモリ21aに記憶させる(ステップS8、
図14参照)。これにより、モータモジュール2A、2B、2C、2Dにおいて、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpの学習が完了する。
【0076】
運転席のスイッチモジュール3Aでは、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを送信した後、しばらくしてから制御部31が、パラメータ情報の学習が完了したことを示す結果の返信を要求する結果リクエスト情報を、通信部34によりネットワーク4を経由して送信する(ステップS39)。このとき、制御部31は、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを送信したときに付帯させたのと同一の識別情報Ai、Bi、Ci、Diを、送信する返信リクエスト情報に付帯させる(
図15参照)。
【0077】
モータモジュール2A、2B、2C、2Dでは、運転席のスイッチモジュール3Aから送信された結果リクエスト情報を、ネットワークを経由して通信部24により受信する(
図6のステップS9:YES)。すると、制御部21は、受信した結果リクエスト情報に付帯された識別情報と、揮発性メモリ21aに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diとを照合する。そして、受信した結果リクエスト情報に付帯された識別情報が、揮発性メモリ21aに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diと一致すると(ステップS9a:YES)、制御部21は、パラメータ情報の学習が完了しているか否かを確認する。このとき、いずれかのパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpが揮発性メモリ21aに記憶済みであれば、制御部21は、パラメータ情報の学習が完了したと判断する(ステップS10:YES)。そして、制御部21は、パラメータ情報の学習が完了したことを示す結果を、通信部24によりネットワーク4を経由して運転席のスイッチモジュール3Aに返信し(ステップS10a、
図15参照)、終了となる。
【0078】
また、制御部21は、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpが揮発性メモリ21aに記憶されていなければ、制御部21は、パラメータ情報の学習が完了していないと判断する(ステップS10:NO)。そして、制御部21は、そのパラメータ情報の学習未完を確認したのが1回目であれば(ステップS10b:NO)、運転席のスイッチモジュール3Aから再度パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpが送信されるのを待つ。対して、制御部21が、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpの学習未完(ステップS10:NO)を確認したのが2回目であれば(ステップS10b:YES)、終了となる。
【0079】
運転席のスイッチモジュール3Aでは、結果リクエスト情報を送信してから所定時間内に、モータモジュール2A、2B、2C、2Dからパラメータ情報の学習が完了したことを示す結果を、ネットワークを経由して通信部34により受信する(
図10のステップS40:YES)。この場合、制御部31は、受信したパラメータ情報の学習完了の結果に付帯された識別情報と、揮発性メモリ21aに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diとを照合する。そして、受信した学習完了の結果に付帯された識別情報が、揮発性メモリ21aに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diと一致すると(ステップS40a:YES)、制御部31は、受信したパラメータ情報の学習完了の結果を揮発性メモリ31aに記憶させて(ステップS42、
図15の「パラメータ情報学習結果」)、終了となる。ステップS42では、ステップS39で送信したパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpの学習完了の結果と、対応する識別情報Ai、Bi、Ci、Diとを関連付ける。
【0080】
また、結果リクエスト情報を送信してから所定時間内に、パラメータ情報の学習完了の結果を、通信部34により受信しない場合(ステップS40:NO)、これが1回目であれば(ステップS41:NO)、制御部31は、再度パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを通信部34により送信して(ステップS38)、以降の処理を実行する。対して、パラメータ情報の学習完了の結果を受信しない場合(ステップS40:NO)が2回目であれば(ステップS41:YES)、終了となる。
【0081】
次に、パワーウインドウシステム100の運用時の動作を説明する。
【0082】
図16~
図18は、パワーウインドウシステム100おける運用時の動作と通信状態を示した図である。なお、運用時とは、前述した初期設定が完了した後のことである。運用時には、スイッチモジュール3A、3B、3C、3Dの各スイッチがオン操作される。
【0083】
たとえば
図16に示すように、運転席のスイッチモジュール3Aに備わる運転席のパワーウインドウ機構1A用のスイッチW1、W2、W3(
図2)のいずれかがオン操作された場合、当該操作状態に応じた操作信号が、スイッチモジュール3Aからハーネス5Aと運転席のモータモジュール2Aの接続部25(
図2)を経由して制御部21に入力される。すると、モータモジュール2Aにおいて、制御部21が、当該操作信号と揮発性メモリ21aに記憶されたパラメータ情報Apとに基づいて、駆動部22によりモータ23の駆動を制御し、パワーウインドウ機構1Aを開閉動作させる。
【0084】
また、
図17に示すように、運転席のスイッチモジュール3Aに備わる第1他席のパワーウインドウ機構1B用のスイッチW4b、W5b、W6b(
図2)のいずれかがオン操作された場合、制御部31が、その遠隔操作状態に応じて第1他席のパワーウインドウ機構1Bの開閉動作を命じる動作指令情報を、通信部34によりネットワーク4を経由して送信する。このとき、制御部31は、不揮発性メモリ31bに記憶された第1他席のパワーウインドウ機構1Bの識別情報Biを、動作指令情報に付帯させる。第1他席のモータモジュール2Bでは、運転席のスイッチモジュール3Aから送信された動作指令情報を通信部24により受信すると、当該動作指令情報に付帯された識別情報と、不揮発性メモリ21aに記憶された識別情報Biとを照合する。そして、当該動作指令情報に付帯された識別情報が、不揮発性メモリ21aに記憶された識別情報Biと一致すると、制御部21は、当該動作指令情報と揮発性メモリ21aに記憶されたパラメータ情報Bpとに基づいて、駆動部22によりモータ23の駆動を制御して、パワーウインドウ機構1Bを開閉動作させる。
【0085】
図示を省略しているが、運転席のスイッチモジュール3Aに備わる、他席のパワーウインドウ機構1C、1D用のスイッチW4c、W5c、W6c、W4d、W5d、W6d(
図2)のいずれかがオン操作された場合も、制御部31が、その遠隔操作状態に応じて対応する他席のパワーウインドウ機構1C、1Dの開閉動作を命じる動作指令情報を、対応する他席のモータモジュール2C、2Dの識別情報Ci、Diを付帯させた状態で、通信部34によりネットワーク4を経由して送信する。モータモジュール2C、2Dでは、運転席のスイッチモジュール3Aから送信された動作指令情報を通信部24により受信し、当該動作指令情報に付帯された識別情報が、不揮発性メモリ21aに記憶された識別情報(CiまたはDi)と一致すると、制御部21が、当該動作指令情報と揮発性メモリ21aに記憶されたパラメータ情報Cp、Dpとに基づいて、駆動部22によりモータ23の駆動を制御して、対応するパワーウインドウ機構1C、1Dを開閉動作させる。
【0086】
また、
図18に示すように、第1他席のスイッチモジュール3Bに備わる、第1他席のパワーウインドウ機構1B用のスイッチW1、W2、W3(
図3)のいずれかがオン操作された場合、当該操作状態に応じた操作信号が、スイッチモジュール3Bからハーネス5Bと第1他席のモータモジュール2Bの接続部25(
図3)を経由して制御部21に入力される。すると、モータモジュール2Bにおいて、制御部21が、当該操作信号と揮発性メモリ21aに記憶されたパラメータ情報Bpとに基づいて、駆動部22によりモータ23の駆動を制御し、パワーウインドウ機構1Bを開閉動作させる。
【0087】
図示を省略しているが、他席のスイッチモジュール3C、3Dに備わる、他席のパワーウインドウ機構1C、1D用のスイッチW1、W2、W3(
図4、
図5)のいずれかがオン操作された場合も、当該操作状態に応じた操作信号が、操作されたスイッチモジュール3C、3Dから対応するハーネス5C、5Dと他席のモータモジュール2C、2Dの接続部25(
図4、
図5)を経由して制御部21に入力される。すると、モータモジュール2C、2Dにおいて、制御部21が、入力された該操作信号と揮発性メモリ21aに記憶されたパラメータ情報(CpまたはDp)とに基づいて、駆動部22によりモータ23の駆動を制御し、パワーウインドウ機構1C、1Dを開閉動作させる。
【0088】
以上の実施形態によると、各席のモータモジュール2A、2B、2C、2Dは、同一席に設けられたスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dとの接続状態に応じて入力ポートP1、P2に印加された電圧に基づいて、同一席に設けられた対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diを決定する。そして、モータモジュール2A、2B、2C、2Dは、スイッチモジュール3A、3B、3C、3Dから入力された操作信号に基づいて、モータ23の駆動を制御して、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを動作させるだけでなく、運転席のスイッチモジュール3Aから送信されてネットワーク4を経由して受信した制御情報(パラメータ情報や動作指令情報)のうち、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diと一致する情報が付帯された制御情報に基づいて、モータ23の駆動を制御して、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを動作させる。このため、モータモジュール2A、2B、2C、2Dは、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1D用の制御情報に基づいて、モータ23の駆動を制御して、当該パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを適切に動作させることができる。
【0089】
そしてその結果、同一種類の複数のパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dに物理的な個体差があっても、各パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを開閉動作させるために、同一の仕様と性能を有する複数のモータモジュール2A、2B、2C、2Dを用いて、当該各モータモジュールにより各パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを適切に動作させることができる。また、車両の車種や設置される座席位置に関係なく、各席のパワーウインドウ機構を開閉動作させるために、同一の仕様および性能を有するモータモジュール2A、2B、2C、2Dを用いて、当該モータモジュールによりパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを適切に動作させることもできる。さらに、各パワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diを、各モータモジュール2A、2B、2C、2Dのメモリに予め記憶させておく必要がなく、いずれかのパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dに対して、いずれかのモータモジュール2A、2B、2C、2Dを設置するだけでよい。このため、複数のモータモジュール2A、2B、2C、2Dの品番を異ならせて、これらのモータモジュールを別々に管理する必要もなく、モータモジュール2A、2B、2C、2Dの設置が容易になる。よって、複数のモータモジュール2A、2B、2C、2Dの管理が容易となり、取り扱いが煩雑になるのを防ぐことができる。また、各モータモジュール2A、2B、2C、2Dに、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diを予め記憶させておくためのメモリ領域を確保したり、高価な不揮発性メモリを設けたりすることが不要となる。
【0090】
また、以上の実施形態では、同一席に設置されたモータモジュール2A、2B、2C、2Dとスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dとがそれぞれハーネス5A、5B、5C、5Dにより1対1で接続されている。そして、モータモジュール2A、2B、2C、2Dが、その接続状態に応じて入力ポートP1、P2に印加される電圧に基づいて、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diを決定する。このため、当該識別情報Ai、Bi、Ci、Diを決定するために、たとえば運転席のスイッチモジュール3Aとモータモジュール2A、2B、2C、2Dとを直列に接続する場合よりも、接続用の配線(ハーネス5A、5B、5C、5D)の長さを短くして、当該配線の引き回しを容易にすることができる。
【0091】
また、以上の実施形態では、各席のパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diと、各席のパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dに特化したモータ23の制御用のパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpとが対応するように、運転席のスイッチモジュール3Aの不揮発性メモリ31bに予め記憶されている。そして、初期設定時に、運転席のスイッチモジュール3Aが、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpに対応する識別情報Ai、Bi、Ci、Diを付帯させて、当該パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpをネットワーク4を経由してモータモジュール2A、2B、2C、2Dに送信する。このため、各席のモータモジュール2A、2B、2C、2Dは、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1D用のパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを確実に取得して、内部の揮発性メモリ21aに記憶させることができる。
【0092】
また、運用時に、運転席のスイッチモジュール3Aが、スイッチW4b、W5b、W6b、W4c、W5c、W6c、W4d、W5d、W6dの操作状態に応じて対応する他席のパワーウインドウ機構1B、1C、1Dの開閉動作を命じる動作指令情報に、当該他席のパワーウインドウ機構1B、1C、1Dの識別情報Bi、Ci、Diを付帯させて、当該動作指令情報をネットワーク4を経由して他席のモータモジュール2B、2C、2Dに送信する。このため、他席のモータモジュール2B、2C、2Dが、対応するパワーウインドウ機構1B、1C、1D用の動作指令情報を確実に取得することができる。また、運用時に、各席のスイッチモジュール3A、3B、3C、3DのスイッチW1、W2、W3の操作状態に応じた操作信号が、対応するモータモジュール2A、2B、2C、2Dに接続部25を経由して入力される。
【0093】
そのため、各席のモータモジュール2A、2B、2C、2Dにおいて、運転席のスイッチモジュール3Aから受信したパワーウインドウ機構1B、1C、1D用の動作指令情報、または対応するスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dから入力された操作信号と、揮発性メモリ21aに記憶されたパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpとに基づいて、モータ23の駆動を制御し、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dをより適切に開閉動作させることが可能となる。また、各モータモジュール2A、2B、2C、2Dに、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpの記憶が可能な記憶容量の大きい不揮発性メモリを設ける必要がなくなる。
【0094】
また、以上の実施形態では、運転席のスイッチモジュール3Aが、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpが必要であるか否かを示した要否情報を要求する要否リクエスト情報を、ネットワーク4を経由してモータモジュール2A、2B、2C、2Dに送信する。そして、モータモジュール2A、2B、2C、2Dがその要否リクエスト情報を受信して、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpの要否を判断し、この判断結果を示す要否情報に対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diを付帯させて、当該要否情報を運転席のスイッチモジュール3Aに返信する。さらに、運転席のスイッチモジュール3Aが、モータモジュール2A、2B、2C、2Dから要否情報を受信して、当該要否情報でパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpが必要であると示され、かつ当該要否情報に付帯された識別情報Ai、Bi、Ci、Diが不揮発性メモリ31bに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diと一致するか否かを確認する。
【0095】
そして、要否情報に付帯された識別情報Ai、Bi、Ci、Diと不揮発性メモリ31bに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diとが一致した場合に、運転席のスイッチモジュール3Aが、一致した識別情報Ai、Bi、Ci、Diを対応するパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpに付帯させて、当該パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpをモータモジュール2A、2B、2C、2Dに送信する。このため、モータモジュール2A、2B、2C、2Dは、揮発性メモリ21aにパラメータ情報2A、2B、2C、2Dが記憶されていないとき(初期状態のとき)などに、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpが必要であると判断して、運転席のスイッチモジュール3Aから対応するパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを確実に受信して、揮発性メモリ21aに記憶させることができる。
【0096】
また、要否情報に付帯された識別情報Ai、Bi、Ci、Diと不揮発性メモリ31bに記憶された識別情報Ai、Bi、Ci、Diとが一致しない場合に、運転席のスイッチモジュール3Aが、パラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpをモータモジュール2A、2B、2C、2Dに送信せず、異常を示す信号を出力する。このため、対応していないモータモジュールに誤ってパラメータ情報を学習させるのを防止することができる。また、モータモジュール2A、2B、2C、2Dにおけるパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpの学習処理に異常があったことを通知することができる。
【0097】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。
【0098】
たとえば、前記の実施形態では、スイッチW1、W2、W3と接続されるように、抵抗R3~R6と端子Tc1、Tc2、To1、To2、Ta1、Tg1をスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dに設けて、モータモジュール2A、2B、2C、2Dで識別情報Ai、Bi、Ci、Diを決定する例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。スイッチW1、W2、W3に代えて、たとえば照明用のLEDや水没検知回路などのような、スイッチモジュールに備わる他の電子部品や電気回路と接続されるように、同様な複数の抵抗と端子をスイッチモジュールに設けて、モータモジュールで対応するパワーウインドウ機構の識別情報を決定するようにしてもよい。
【0099】
また、たとえばモータモジュールの接続部25とスイッチモジュールの接続部35のうち、一方の接続部の端子の数を他方の接続部の端子の数より多くし、一方の接続部の端子と他方の接続部の端子との接続状態に応じて、一方の接続部の端子の短絡/開放状態を変えることにより、モータモジュールで対応するパワーウインドウ機構の識別情報を決定するようにしてもよい。
【0100】
また、前記の実施形態では、各席のパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dに特化したモータ制御用のパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを、運転席のスイッチモジュール3Aから各席のモータモジュール2A、2B、2C、2Dに配信した例を示したが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、たとえば、各モータモジュール2A、2B、2C、2Dに不揮発性メモリを設けて、当該不揮発性メモリに全てのパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diとパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpとを対応付けて予め記憶させてもよい。この場合、各モータモジュール2A、2B、2C、2Dが、対応するパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dの識別情報Ai、Bi、Ci、Diを決定した後、当該識別情報Ai、Bi、Ci、Diに対応するパラメータ情報Ap、Bp、Cp、Dpを不揮発性メモリから読み出してもよい。
【0101】
また、前記の実施形態では、パワーウインドウシステム100にパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1D、モータモジュール2A、2B、2C、2D、およびスイッチモジュール3A、3B、3C、3Dをそれぞれ4つ設けた例を示したが、これらの数は4つ以外でもよい。
【0102】
また、前記の実施形態では、運転席のスイッチモジュール3Aを管理モジュールとして用いたが、他席のスイッチモジュール3B、3C、3Dと同一構成のものを運転席のスイッチモジュールとして用いて、これらとは別の管理モジュールを設けてもよい。
【0103】
さらに、以上の実施形態では、車載機器としてパワーウインドウ機構1A、1B、1C、1Dを例に挙げたが、その他の車載機器を動作させるモータモジュール、管理モジュール、および車載機器制御システムに対しても、本発明を適用することは可能である。
【符号の説明】
【0104】
1A、1B、1C、1D パワーウインドウ機構(車載機器)
2A、2B、2C、2D モータモジュール
3A スイッチモジュール(管理モジュール、操作モジュール、第1スイッチモジュール、第2スイッチモジュール)
3B、3C、3D スイッチモジュール(操作モジュール、第2スイッチモジュール)
4 ネットワーク
21 制御部
21a 揮発性メモリ(メモリ)
22 駆動部
23 モータ
24 通信部
25 接続部
31a 揮発性メモリ(記憶部)
31b 不揮発性メモリ(記憶部)
Ai、Bi、Ci、Di 識別情報
Ap、Bp、Cp、Dp パラメータ情報
100 パワーウインドウシステム