(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】バッテリ制御回路及びバッテリ装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240712BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20240712BHJP
H02H 7/12 20060101ALI20240712BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240712BHJP
H02M 3/07 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02J7/10 B
H02H7/12 G
H02H7/18
H02M3/07
(21)【出願番号】P 2020155998
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エイブリック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】安斎 亮一
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-100519(JP,A)
【文献】特開2009-225521(JP,A)
【文献】特開平11-187578(JP,A)
【文献】特開2020-61868(JP,A)
【文献】特開平9-247925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
7/34-7/36
H02H 7/00
7/10-7/20
H02M 3/00-3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の充電経路を開閉する制御を行うバッテリ制御回路であって、
前記二次電池の正極端子に接続され、所定の比で分圧する第1の分圧回路と、
前記第1の分圧回路と接地電位との間に直列に接続され、前記二次電池の電源電圧に重畳させる基準電圧を発生する基準電圧源と、
前記第1の分圧回路の出力端子に接続され、前記第1の分圧回路による分圧電圧に前記基準電圧源の基準電圧が重畳された第1の分圧電圧が非反転入力端子に入力される比較器と、
前記比較器の出力端子に接続され、前記比較器から出力される駆動信号によりオンオフ制御される発振器と、
前記発振器の出力端子に接続され、前記発振器から出力されるクロック信号を受けて昇圧して得た電圧を出力するチャージポンプドライバと、
前記チャージポンプドライバの出力端子と前記接地電位との間に直列に接続され、前記チャージポンプドライバから出力される電圧を前記所定の比で分圧した第2の分圧電圧を前記比較器の反転入力端子に出力する第2の分圧回路と、
前記チャージポンプドライバの出力端子がゲートと接続され、前記二次電池の正極端子と充電器との間にソース-ドレインが接続されているnチャネルMOSFETと、
を有することを特徴とするバッテリ制御回路。
【請求項2】
前記二次電池の正極端子と前記接地電位との間に接続され、前記二次電池の電源電圧を分圧して第3の分圧電圧を出力する第3の分圧回路を更に有し、
前記比較器は、前記非反転入力端子を第1の非反転入力端子とすると、前記第3の分圧回路から出力される前記第3の分圧電圧が入力される第2の非反転入力端子を更に備え、前記第1の非反転入力端子に入力される前記第1の分圧電圧及び前記第2の非反転入力端子に入力される前記第3の分圧電圧のうち低いほうの電圧が、前記反転入力端子に入力される前記第2の分圧電圧より低い場合には、前記発振器に前記駆動信号を出力しない請求項1に記載のバッテリ制御回路。
【請求項3】
二次電池と、
前記二次電池を充電可能な充電器と、
前記二次電池と前記充電器との間に接続されている請求項1又は2に記載のバッテリ制御回路と、を有することを特徴とするバッテリ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ制御回路及びバッテリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯機器には、その携帯動作時の電源としてバッテリ装置が付属されている。
このバッテリ装置には、所望のバッテリ電圧を得るようにした充電可能なバッテリとともに、このバッテリに対して充放電の制御を行うバッテリ制御回路が搭載されている。
【0003】
バッテリ制御回路では、二次電池の正極側において充電及び放電を制御するためのハイサイドスイッチとしてpチャネルMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)を用いることができる。通常、このpチャネルMOSFETは、同程度のオン抵抗を有するnチャネルMOSFETよりも面積が大きく高価であるため、nチャネルMOSFETがハイサイドスイッチとして用いられる場合がある。この場合、nチャネルMOSFETは、ゲートに接続されるチャージポンプ回路からの出力電圧により駆動する。
【0004】
このチャージポンプ回路は、その動作原理から入力電圧の倍数の電圧を出力するが、昇圧した電圧を出力する際に二次電池の電源電圧が変動する場合がある。このような場合に、二次電池の電源電圧の変動によりチャージポンプ回路の出力電圧が高くなるとnチャネルMOSFETのゲート耐圧を超えてしまうときがあるため、チャージポンプ回路の出力電圧を所定の電圧に調整するものが提案されている。
例えば、チャージポンプの出力をフィードバックする帰還回路に定電流を流すことにより、チャージポンプの出力を所定の電圧に調整できるチャージポンプ回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ハイサイドスイッチとして用いるnチャネルMOSFETのゲート耐圧を超えないように、より低い消費電流でチャージポンプドライバの出力電圧を制御することができるバッテリ制御回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態におけるバッテリ制御回路は、
二次電池の充電経路を開閉する制御を行うバッテリ制御回路であって、
前記二次電池の正極端子に接続され、所定の比で分圧する第1の分圧回路と、
前記第1の分圧回路と接地電位との間に直列に接続され、前記二次電池の電源電圧に重畳させる基準電圧を発生する基準電圧源と、
前記第1の分圧回路の出力端子に接続され、前記第1の分圧回路による分圧電圧に前記基準電圧源の基準電圧が重畳された第1の分圧電圧が非反転入力端子に入力される比較器と、
前記比較器の出力端子に接続され、前記比較器から出力される駆動信号によりオンオフ制御される発振器と、
前記発振器の出力端子に接続され、前記発振器から出力されるクロック信号を受けて昇圧して得た電圧を出力するチャージポンプドライバと、
前記チャージポンプドライバの出力端子と前記接地電位との間に直列に接続され、前記チャージポンプドライバから出力される電圧を前記所定の比で分圧した第2の分圧電圧を前記比較器の反転入力端子に出力する第2の分圧回路と、
前記チャージポンプドライバの出力端子がゲートと接続され、前記二次電池の正極端子と充電器との間にソース-ドレインが接続されているnチャネルMOSFETと、
を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの側面では、ハイサイドスイッチとして用いるnチャネルMOSFETのゲート耐圧を超えないように、より低い消費電流でチャージポンプドライバの出力電圧を制御することができるバッテリ制御回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態におけるバッテリ制御回路及びバッテリ装置を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示した基準電圧源の詳細を示す回路図である。
【
図3】第1の実施形態における電源電圧に対する充電制御スイッチ素子のゲート-ソース間電圧の依存性を示すグラフである。
【
図4】第2の実施形態におけるバッテリ制御回路及びバッテリ装置を示すブロック図である。
【
図5】第2の実施形態における比較器の詳細を示す回路図である。
【
図6】第2の実施形態における電源電圧に対する充電制御スイッチ素子のゲート-ソース間電圧の依存性を示すグラフである。
【
図7】従来のバッテリ制御回路及びバッテリ装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
従来から、携帯機器には、その携帯動作時の電源としてバッテリ装置が付属されている。
上記バッテリ装置には、所望のバッテリ電圧を得るようにした充電可能なバッテリとともに、このバッテリに対して充放電の制御を行うバッテリ制御回路が搭載されている。
【0011】
図7は、従来のバッテリ制御回路及びバッテリ装置を示すブロック図であり、特許文献1に記載されているブロック図である。
図7に示すように、従来の制御回路における昇圧回路1は、昇圧部2と、昇圧制御部3と、比較部4と、第1の電圧分割回路5と、定電流源6と、第2の電圧分割回路7とを有する。この昇圧回路1は、第2の電圧分割回路7を形成する抵抗に定電流源6の定電流I
0を流すことにより発生した一定電圧と、入力電圧Vinとを加算した電圧が昇圧部2の出力電圧になるように制御される。しかしながら、この制御回路では、定電流源を用いる点で消費電流が大きくなってしまう。
そこで、本発明の実施形態の一例では、より低い消費電流でチャージポンプドライバの出力電圧を制御することができるようにした。
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態におけるバッテリ制御回路及びバッテリ装置を示すブロック図である。
図1に示すように、バッテリ装置10は、二次電池SCと、バッテリ制御回路100とを有する。このバッテリ装置10は、二次電池SCを充電する際には充電器BCと接続される。
【0014】
バッテリ制御回路100は、二次電池SCの充電経路を開閉する制御を行う。このバッテリ制御回路100は、充電制御スイッチ素子101と、第1の分圧回路102と、基準電圧源103と、比較器104と、発振器105と、チャージポンプドライバ106と、第2の分圧回路107とを備える。
【0015】
充電制御スイッチ素子101は、nチャネルMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)であり、ゲートに入力されるチャージポンプドライバ106の出力電圧に応じて二次電池SCの充電経路を開閉する。この充電制御スイッチ素子101は、ソースが電源ライン121を通じて二次電池SCの正極端子に接続され、ドレインが充電器BCに接続され、ゲートがチャージポンプドライバ106の出力端子と接続されている。
【0016】
第1の分圧回路102は、直列に接続されている抵抗素子102a,102bで形成されており、所定の比で分圧することができる。抵抗素子102bと接続されていない抵抗素子102aの一端は、電源ライン121を通じて二次電池SCの正極端子に接続されている。また、抵抗素子102aと接続されていない抵抗素子102bの一端には、接地電位との間に基準電圧源103が直列に接続されている。
これにより、この第1の分圧回路102は、基準電圧源103の基準電圧Vrefが重畳されている状態の二次電池SCの電源電圧VDDを分圧した第1の分圧電圧Vpを、非反転入力ライン122から出力する。
【0017】
基準電圧源103は、第1の分圧回路102の抵抗素子102bの一端と接地電位との間に、二次電池SCとは極性を逆にして直列に接続されている。基準電圧源103は、直流の基準電圧Vrefを発生させる。
この基準電圧源103は、例えば、
図2に示すように、二次電池SCの電源電圧VDDを用いてトランジスタ103a,103b,103cにより形成することができる。具体的には、nチャネルのデプレッション型MOSFETであるトランジスタ103aと、nチャネルのエンハンスメント型MOSFETであるトランジスタ103bとによりED型の基準電圧源を形成して基準電圧Vrefを発生させる。pチャネルMOSFETであるトランジスタ103cは、トランジスタ103bのゲートに基準電圧を生成するように、帰還させる。
【0018】
図1に戻り、比較器104は、第1の分圧回路102に接続され、第1の分圧電圧Vpが非反転入力端子に入力される。また、比較器104の反転入力端子には、チャージポンプドライバ106で昇圧された出力電圧を所定の比で分圧した第2の分圧電圧Vnが入力される。これにより、比較器104は、第1の分圧電圧Vpと第2の分圧電圧Vnとを比較し、第1の分圧電圧Vpが第2の分圧電圧Vn以上であると発振器105を駆動させる駆動信号を出力する。また、比較器104は、第1の分圧電圧Vpが第2の分圧電圧Vn未満であると駆動信号を出力しない。
なお、本実施形態では、比較器104は、第1の分圧電圧Vpが第2の分圧電圧Vn以上であると駆動信号を出力し、第1の分圧電圧Vpが第2の分圧電圧Vn未満であると駆動信号を出力しないとしたが、これに限ることなく、第1の分圧電圧Vpが第2の分圧電圧Vnを超えると駆動信号を出力し、第1の分圧電圧Vpが第2の分圧電圧Vn以下であると駆動信号を出力しないとしてもよい。
【0019】
発振器105は、振幅が電源電圧VDDであって所定の周波数のクロック信号を出力することができる。この発振器105は、比較器104の出力端子と接続されており、比較器104から出力される駆動信号に応じてオンオフ制御され、オンに制御されるとクロック信号を出力する。すなわち、この発振器105は、オンに制御されるとクロック信号を生成してチャージポンプドライバ106に出力し、オフに制御されるとクロック信号を生成しない。
【0020】
チャージポンプドライバ106は、発振器105の出力端子に接続されており、発振器105から入力されたクロック信号を受けて昇圧して得た出力電圧Vcpを充電制御スイッチ素子101のゲート及び第2の分圧回路107に出力する。したがって、このチャージポンプドライバ106は、発振器105からクロック信号が入力されない場合には昇圧動作を停止し、出力をハイインピーダンス状態にする。発振器105からクロック信号が入力された場合には昇圧動作を行い、出力端子の電圧を上昇させる。
また、チャージポンプドライバ106は、出力電圧Vcpを充電制御スイッチ素子101のゲートに出力するとともに、第2の分圧回路107に出力する。
【0021】
第2の分圧回路107は、直列に接続されている抵抗素子107a,107bで形成されている。この第2の分圧回路107は、チャージポンプドライバ106の出力端子と接地電位との間に直列に接続され、チャージポンプドライバ106の出力電圧Vcpを分圧した第2の分圧電圧Vnを比較器104の反転入力端子に反転入力ライン123を通じて入力する。
【0022】
このように、バッテリ制御回路100は、第1の分圧電圧Vpが第2の分圧電圧Vn以上であると比較器104が検知すると、発振器105がクロック信号を生成し、このクロック信号を受けたチャージポンプドライバ106が昇圧動作を開始して充電制御スイッチ素子101をオンに制御する。また、バッテリ制御回路100は、第1の分圧電圧Vpが第2の分圧電圧Vn未満であると比較器104が検知すると、発振器105がクロック信号の生成を停止し、チャージポンプドライバ106が昇圧動作を停止する。そして、バッテリ制御回路100は、充電制御スイッチ素子101のゲートソース間に設けられているスイッチを導通させることで充電制御スイッチ素子101をオフに制御する。
【0023】
次に、第1の実施形態における充電制御スイッチ素子101のオンオフ制御について、数式を用いて説明する。
【0024】
図1に示すように、抵抗素子102aの抵抗値をRa、抵抗素子102bの抵抗値をRb、抵抗素子107aの抵抗値をRc、抵抗素子107bの抵抗値をRdとし、第1の分圧回路102及び第2の分圧回路107における分圧に係る所定の比をkとし、この式(1)の関係が成り立つように抵抗値を設定する。
k=Rb/(Ra+Rb)=Rd/(Rc+Rd)・・・(1)
【0025】
次に、二次電池SCの正極電圧を電源電圧VDD、基準電圧源103の基準電圧をVrefとすると、比較器104の非反転入力端子に入力される第1の分圧電圧Vpは、下記の式(2)で表される。
Vp=k(VDD-Vref)+Vref・・・(2)
【0026】
また、比較器104の反転入力端子に入力される第2の分圧電圧Vnは、チャージポンプドライバ106の出力電圧Vcpを用いて下記の式(3)で表される。
Vn=k・Vcp・・・(3)
【0027】
上記の式(2)及び(3)から充電制御スイッチ素子101のゲート-ソース間電圧Vgsは、下記の式(4)で表される。
Vgs=Vcp-VDD=(1-k)/k・Vref・・・(4)
【0028】
したがって、上記の式(4)より、バッテリ制御回路100は、電源電圧VDDによらず充電制御スイッチ素子101のゲート-ソース間電圧Vgsを一定に制御することができる。また、充電制御スイッチ素子101のゲート-ソース間電圧Vgsの大きさは、kを調整することで簡単に調整することができる。
【0029】
図3は、第1の実施形態における電源電圧に対する充電制御スイッチ素子のゲート-ソース間電圧の依存性を示すグラフである。
図3では、縦軸を充電制御スイッチ素子101のゲート-ソース間電圧Vgs、横軸を電源電圧VDDとする。
【0030】
図3に示すように、チャージポンプドライバ106の出力電圧VcpをAcp・VDDとすると、電源電圧VDDが0Vから(1-k)/k/(Acp-1)・Vrefまでの間の低い領域ではゲート-ソース間電圧Vgsを一定に制御することができず、発振器105が常時動作するためチャージポンプドライバ106が出力可能な最大電圧を出力する。すると、ゲート-ソース間電圧Vgsは下記の式(5)で表される。
Vgs=Vcp-VDD=(Acp-1)・VDD・・・(5)
【0031】
電源電圧VDDが(1-k)/k/(Acp-1)・Vref以上になると、Vgs=(1-k)/k・Vref一定となる。
【0032】
このように、第1の実施形態におけるバッテリ制御回路100は、電源電圧VDDによらず充電制御スイッチ素子101のゲート-ソース間電圧Vgsを一定に制御することができるため、ハイサイドスイッチとして用いる充電制御スイッチ素子101のゲート耐圧を超えないように、より低い消費電流でチャージポンプドライバ106の出力電圧を制御することができる。
【0033】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の第2の実施形態におけるバッテリ制御回路及びバッテリ装置を示すブロック図である。第2の実施形態におけるバッテリ制御回路100は、第1の実施形態において第3の分圧回路109が加えられ、2入力端子の比較器104が非反転入力端子を更に備える3入力端子の比較器110に代わる以外は第1の実施形態おけるバッテリ制御回路100と同様である。これにより、第2の実施形態におけるバッテリ制御回路100は、発振器105及びチャージポンプドライバ106を常時動作させないようにすることで、第1の実施形態よりも消費電流を低減することができる。
以下では、第1の実施形態と異なる点について説明する。
【0034】
図4に示すように、第3の分圧回路109は、直列に接続されている抵抗素子109a,109bで形成されており、抵抗素子109aの一端が電源ライン121を通じて二次電池SCの正極端子に接続されている。また、第3の分圧回路109は、抵抗素子109bの一端が接地電位と接続されている。この第3の分圧回路109は、電源電圧VDDを分圧した第3の分圧電圧Vp2を、非反転入力ライン124を通じて出力する。比較器110は、2つの非反転入力端子に入力される第1の分圧電圧Vp及び第3の分圧電圧Vp2のうち、電圧の低いほうが非反転入力になるように動作する。
【0035】
図5は、第2の実施形態における比較器の詳細を示す回路図である。
図5に示すように、比較器110は、トランジスタ110a-110fと、定電流源110g,110hとを備える。トランジスタ110a-110cは、pチャネルMOSFETである。トランジスタ110d-110fは、nチャネルMOSFETである。
【0036】
定電流源110gは、電源ライン121に接続され、出力端子がトランジスタ110a-110cのソースに接続されている。
定電流源110hは、電源ライン121に接続され、出力端子がトランジスタ110fのソース及び発振器105に接続されている。
【0037】
トランジスタ110aは、ゲートが非反転入力ライン122に接続され、ドレインがトランジスタ110cのドレイン、トランジスタ110dのソース、及びトランジスタ110fのゲートと接続されている。
トランジスタ110bは、ゲートが反転入力ライン123に接続され、ドレインがトランジスタ110eのソース及びゲート、並びにトランジスタ110dのゲートと接続されている。
トランジスタ110cは、ゲートが非反転入力ライン124に接続されている。
【0038】
トランジスタ110dは、ゲートがトランジスタ110eのドレイン及びゲートと接続され、ソースが接地電位に接続されている。
トランジスタ110eは、ソースが接地電位に接続されている。
これらトランジスタ110d及び110eは、カレントミラー回路を形成している。
トランジタ110fは、ドレインが定電流源110hに接続され、ゲートがトランジスタ110dのドレインに接続され、ソースが接地電位に接続されている。
【0039】
以上のように形成した比較器110は、第1の分圧電圧Vp及び第3の分圧電圧Vp2のいずれか低いほうの電圧を、第2の分圧電圧Vnと比較し、第2の分圧電圧Vn以上の場合に駆動信号をイネーブル状態(例えば、「H」レベル)として出力し、第2の分圧電圧Vn未満の場合に駆動信号をディセーブル状態(例えば、「L」レベル)として出力する。
【0040】
次に、第2の実施形態における充電制御スイッチ素子101のオンオフ制御について、数式を用いて説明する。
【0041】
図4に示すように、抵抗素子109aの抵抗値をRe、抵抗素子109bの抵抗値をRfとし、第3の分圧回路109における分圧の比をk1とすると、第3の分圧電圧Vp2は下記の式(7)で表される。
k1=Rf/(Re+Rf)・・・(6)
Vp2=k1・VDD・・・(7)
【0042】
電源電圧VDDが低い領域では、上記の式(3)のVnと式(7)のVp2が等しくなるように動作するため、充電制御スイッチ素子101のゲート-ソース間電圧Vgsは下記の式(8)で表される。
Vgs=(k1/k-1)・VDD・・・(8)
【0043】
次式、k1/k<Acpを満たすようにk1を設定することで、電源電圧VDDが低い領域では、上記の式(8)に従ってチャージポンプドライバ106の出力が制御される。これにより、発振器105及びチャージポンプドライバ106は、常時動作しないため消費電流を低減することができる。
【0044】
図6は、第2の実施形態における電源電圧に対する充電制御スイッチ素子のゲート-ソース間電圧の依存性を示すグラフである。
図6に示すように、電源電圧VDDが(1-k)/(k1-k)・Vref未満の低い領域では、上記の式(8)に従って充電制御スイッチ素子101のゲート-ソース間電圧Vgsが変化する。電源電圧VDDが(1-k)/(k1-k)・Vref以上になると、ゲート-ソース間電圧Vgsが(1-k)/k・Vrefとなり、電源電圧VDDによらず一定となり変化しない。
【0045】
以上、この発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10 バッテリ装置
100 バッテリ制御回路
101 充電制御スイッチ素子(nチャネルMOSFET)
102 第1の分圧回路
102a,b 抵抗素子
103 基準電圧源
103a,b,c トランジスタ
104,110 比較器
105 発振器
106 チャージポンプドライバ
107 第2の分圧回路
107a,b 抵抗素子
109 第3の分圧回路
109a,b 抵抗素子
121 電源ライン
122,124 非反転入力ライン
123 反転入力ライン
SC 二次電池
BC 充電器