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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】カウンター装置
(51)【国際特許分類】
   A47F 9/00 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
A47F9/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020160288
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022053578
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000152228
【氏名又は名称】株式会社内田洋行
(74)【代理人】
【識別番号】100107113
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 健一
(72)【発明者】
【氏名】立川 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】秋田 美紀
(72)【発明者】
【氏名】松井 香代子
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-139577(JP,A)
【文献】特開2005-211125(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 9/00
A47B 1/00-41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板と、幕板とから構成されるユニットを複数備える連結仕様のカウンター装置において、
前記カウンター装置の側端の少なくとも一方に設けられるエンドパネルと、複数の前記ユニットの連結位置に設けられる中間脚とを備え、
前記エンドパネルには前記幕板と結合する少なくとも第1及び第2の結合手段が設けられており、
前記第1の結合手段は、正面から見て、前記幕板の取り付け位置が前記天板の奥行方向の略中間になる位置に設けられ、
前記第2の結合手段は、正面から見て、前記幕板の取り付け位置が略中間よりも奥行方向になるように設けられており、
前記第1の結合手段又は前記第2の結合手段のいずれかを選択して前記幕板を結合することにより前記幕板の取り付け位置を前記天板の奥行方向に変更可能に構成し、
前記中間脚の上端に設けられて前記天板と結合する天板受部材とを備え、
前記天板受部材を、前記幕板が前記第1の結合手段又は前記第2の結合手段のいずれに結合するかに対応して、前記中間脚に対して前記天板の奥行方向に移動可能に構成したことを特徴とするカウンター装置。
【請求項2】
前記幕板の側端には嵌挿手段凹部又は凸部が設けられ、前記中間脚には嵌挿手段凸部又は凹部が複数設けられ、前記幕板と前記中間脚の嵌挿手段凹部又は凸部同士を嵌入することにより複数の前記幕板を連結し、
連結された状態で前記天板受部材を前記中間脚に取り付けることにより複数の前記ユニットを連結可能に構成したことを特徴とする請求項1記載のカウンター装置。
【請求項3】
前記天板受部材の断面は略コの字型であり、前記中間脚に取り付けられた状態で略コの字型の開放部分が上方を向き、
前記天板の裏面には前記天板受部材の略コの字型の開放部分に接する溝部が設けられ、
複数の前記天板の前記溝部を、前記天板受部材の略コの字型の開放部分に接することにより複数の前記ユニットを連結可能に構成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のカウンター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受付用や接客用のカウンター装置に関し、特に、用途に応じて天板下の空間の大きさを変更可能な構造をもつカウンター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
受付用や接客用のカウンター装置として、例えば下記のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-332707「車椅子対応カウンター」 左右両側の脚部材に天板を支持させ、該天板の下に幕板を具備して成るカウンタ-において、天板の下に幕板を平面から視て斜めに配備し、車椅子に乗った訪問者が幕板位置の深い側に入れるようにした。
【文献】特開2012-61137公報「幕板を備えた天板付家具」 天板下の空間を仕切る幕板を、上幕板部材と下幕板部材に分割して、相対的に上幕板部材を来訪者側天板縁(第1の使用縁)寄りに配置し、下幕板部材を接客要員側天板縁(第2の使用縁)寄りに配置した。来訪者側の天板寄りの空間を物品収納に利用できるようにし、スペースの有効活用を図る。
【文献】特許3473456号公報「多目的テーブルと他のテーブルとの組合せテーブル」 天板の両側下面に脚板を取付けるとともに、両脚板間の前後両端部及び中央部の何れか一箇所に幕板を位置変更可能に取付けてなる多目的テーブルと他のテーブルとを組み合わせてなる組合せテーブルが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バリアフリーが進展し、車椅子の使用者が増加している。これに対応して、例えば、公共性の高い市町村役場や農業協同組合,各種の金融機関など、多くの人が来訪して集まるところでは、その窓口業務に使用する受付用や接客用のカウンターにも配慮が必要である。具体的には、車椅子利用者の便を考慮して天板の下の足元の有効空間を広くし、車椅子のままで容易にカウンターに着くことができることが望ましい。他方、車椅子を使用しない一般の利用者にとって、車椅子利用者ほど広い空間は必須ではない。これらに鑑み、カウンター装置は適切な構成を備えることが望ましい。
【0005】
特許文献1記載の車椅子対応カウンターは、車椅子利用者とそうでない利用者の両方に対応できるものである。特許文献2記載の受付用カウンターは、車椅子利用者に対応できるものである。これらはいずれも、車椅子利用者でない場合は足元の広い空間が無駄になるという問題がある。しかも、幕板の位置が固定であり、設置状況に応じて構成を変更すること、例えば車椅子対応が必要な設置場所の場合には天板下の空間を広くし、そうでないときは狭くするといったことができない。
【0006】
特許文献3記載のテーブル装置(カウンター装置)は、左右の支持体間の前後両端部及び中央部の何れか一箇所に幕板を位置変更可能に取り付けるようにしたものである。状況に応じて幕板の位置を変えることで天板下の空間の大きさを調整することができる。しかし、特許文献3の技術は配線機能を備えたOA机の自由なレイアウト設定と配線のコードの処理を容易にすることを目的とするものであり、車椅子への対応を目的としたものではない。また、テーブルをOA机に密接して配置することは記載されているが、複数のテーブルを連結して長いテーブルを構成することは記載されていない。
【0007】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、複数のカウンター装置を連結して長くできる連結仕様のカウンター装置において、状況に応じて構造を容易に変更可能であり、車椅子対応が必要なときに天板下の空間を大きくでき、しかも、連結を容易に行うことができる構造、連結部分の外観が向上するものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、天板と、幕板とから構成されるユニットを複数備える連結仕様のカウンター装置において、
前記カウンター装置の側端の少なくとも一方に設けられるエンドパネルと、複数の前記ユニットの連結位置に設けられる中間脚とを備え、
前記エンドパネルには前記幕板と結合する少なくとも第1及び第2の結合手段(取り付けネジ穴、フックやスリットなど)が設けられており、
前記第1の結合手段は、正面から見て、前記幕板の取り付け位置が前記天板の奥行方向の略中間になる位置に設けられ、
前記第2の結合手段は、正面から見て、前記幕板の取り付け位置が略中間よりも奥行方向になるように設けられており、
前記第1の結合手段又は前記第2の結合手段のいずれかを選択して前記幕板を結合することにより前記幕板の取り付け位置を前記天板の奥行方向に変更可能に構成したものである。
また、前記中間脚の上端に設けられて前記天板と結合する天板受け部材とを備え、天板同士の連結部分は、中間脚とその上端に固着される天板受け部材によって構成される。
前記天板受け部材を、前記幕板が前記第1の結合手段又は前記第2の結合手段のいずれに結合するかに対応して、前記中間脚に対して前記天板の奥行方向に移動可能に構成したものである。
【0009】
前記幕板の側端にはテーパー状スリット(ダルマ孔でもよい、嵌挿手段凹部又は凸部)が設けられ、前記中間脚にはフック(ネジでもよい、嵌挿手段凸部又は凹部)が複数設けられ(凹部と凸部は逆であってもよい、例えば幕板にフック、中間脚にスリット)、前記テーパー状スリットに前記フックを掛ける(前記幕板と前記中間脚の嵌挿手段同士を嵌入する)ことにより複数の前記幕板を簡易かつ強固に連結することが可能である。
連結された状態で前記天板受け部材を前記中間脚に取り付けることにより複数の前記ユニットは、相対的に外れることがなく、連結可能に構成したものである。
【0010】
前記天板受け部材の断面は略コの字型であり、前記中間脚に取り付けられた状態で略コの字型の開放部分が上方を向き、
前記天板の裏面には前記天板受け部材の略コの字型の開放部分の先端の一方に嵌合するスリット(位置決め溝、溝部)が設けられ、
複数の前記天板の前記スリットを、前記天板受け部材の略コの字型の開放部分の先端にそれぞれ嵌入させることにより天板と天板受け部材の固定位置が合致するので、複数の前記ユニットを簡易に連結可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0011】
本願発明によれば、前記幕板が前記第1の結合手段又は前記第2の結合手段のいずれかに結合するので、状況に応じて構造を容易に変更可能であり、車椅子対応が必要なときに天板下の空間を大きくできる。
【0012】
また、前記幕板と前記中間脚の嵌挿手段凹部又は凸部を係合させて複数の前記ユニットを連結するので、組み立てが容易でありながら強固に組み立てることができる。
【0013】
また、複数の前記天板の前記スリットを、前記天板受け部材の略コの字型の開放部分の先端にそれぞれ嵌入させて複数の前記ユニットを連結するので、組み立てが容易である。天板受け部材は天板のスリット内に設けられ表面に露出していないので、連結部分の外観を向上させつつ、下肢空間を広く取ることができ、なおかつ天板へのクランプ等のオプションパーツを任意の位置に装着することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)発明の実施の形態に係る標準タイプ(第1形態)のカウンター装置、(b)同じく車椅子タイプ(第2形態)のカウンター装置の分解斜視図である。
図2】標準タイプ(第1形態)の連結状態のカウンター装置の背面斜視図である。
図3】標準タイプ(第1形態)における天板及び幕板とエンドパネルの結合状態を示す斜視図である。
図4図1(a)の右側面図である。
図5】標準タイプ(第1形態)における中間脚と天板受部材の結合を説明する斜視図である。
図6図1(b)の右側面図である。
図7】車椅子タイプ(第2形態)における中間脚と天板受部材の結合を説明する斜視図である。
図8】中間脚と幕板の結合を説明する背面斜視図である(標準タイプと車椅子タイプに共通)。
図9】中間脚を幕板に結合した状態の背面斜視図である。
図10】本件カウンター装置の三面図である(陰線表示)。
図11】天板受部材の取付状態を示すA-A矢視断面図である。
図12】天板受部材の取付状態を示すB-B矢視断面図である。
図13】天板受部材及び天板取付具の取付状態を示すC-C矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の実施の形態について、図面を参照して説明を加える。
【0016】
<概要>
図1は、(a)発明の実施の形態に係る標準タイプ(第1形態)のカウンター装置、(b)同じく車椅子タイプ(第2形態)のカウンター装置の分解斜視図、図2は、標準タイプ(第1形態)の連結状態のカウンター装置の背面斜視図を示す。
【0017】
発明の実施の形態は、図2に示すように、天板1-1と幕板2-1とから構成されるユニット、及び、天板1-2と幕板2-2とから構成されるユニットを備える連結仕様のカウンター装置であり、状況に応じて標準タイプ(第1形態)と車椅子タイプ(第2形態)いずれの構造にも容易に変更可能なものである。本件カウンター装置を組み立てる際にどちらのタイプも選択でき、車椅子対応が必要なときに天板下の空間を大きくできる。図2はユニットを2つ連結したものを示すが、連結するユニットの数はこれに限定されない。
【0018】
図1及び図2は2つ以上のユニットを備えるカウンター装置の説明図であるが、説明の便宜上、図1ではひとつのユニットのみを示し、他方のエンドパネル3等の表示は省略している。以下の説明において、図中のユニットがひとつであり混乱が生じないときに1、2、3のように記載し、ユニットが複数で両者を区別する必要があるときは1-1、1-2、…のように記載する。
【0019】
図1及び図2を参照すると、本件カウンター装置の側端にはエンドパネル3、3-1、3-2が設けられている。エンドパネル3は少なくとも片側に設けられていればよい。他方には他のユニット(コーナーユニットなど)を設けることができる。天板1-1と1-2の接続部には中間脚4を備える。
【0020】
エンドパネル3には幕板2と結合する取付穴(第1及び第2の結合手段、ネジやフックなどでもよい)31、32が設けられている。取付穴31、32はそれぞれ2つの取付穴からなる。それらの高さ方向の位置は同じであるが奥行方向の位置は異なる。取付穴31は、正面から見て、幕板2の取り付け位置が天板1の奥行方向の略中間になる位置に設けられている。取付穴32は、正面から見て、幕板2の取り付け位置が略中間よりも奥行方向になるように設けられている。取付穴31を選択して幕板2をエンドパネル3に結合することにより図1(a)の標準タイプ(第1形態)の構成とし、取付穴32を選択して結合することにより図1(b)の車椅子タイプ(第2形態)の構成とすることができる。このようにすることで、天板下の空間を広げ、車椅子にも対応できる(図4の符号a、図6の符号b参照)。
【0021】
中間脚4の上端には天板1と結合する天板受部材5を備える。天板受部材5は天板1と中間脚4の固定部材を兼ねる。上記タイプの違いに応じて中間脚の位置を変える必要があるが、天板1の位置は変わらない(変わるのは幕板2の位置)。このため天板受部材5を、カウンター装置の構成が標準タイプ(第1形態)と車椅子タイプ(第2形態)のいずれであるのに対応して、奥行方向に移動可能に構成している(タイプに応じて中間脚4と天板受部材5の相対的位置関係が異なる)。この具体的な構成については後述する。
【0022】
<標準タイプ(第1形態)の構造・組み立て方>
図3は、標準タイプ(第1形態)における天板1及び幕板2とエンドパネル3の結合状態を示す斜視図である。この図では説明の便宜上、中間脚4の表示を省略している。図4は、図1(a)の右側面図である。図5は、標準タイプ(第1形態)における中間脚4と天板受部材5の結合を説明する斜視図である。
【0023】
標準タイプにする場合、標準タイプ取付穴31を選択する。上下2つの取付穴31の上方に取り付けネジを入れ、幕板2の端に設けられているだるま孔21に引っ掛け、幕板2を下ろす。次に、もうひとつの取付穴(だるま孔でもよい)22と下方の取付穴31をネジ止めする。だるま孔21もしっかりとネジ止めする。だるま孔21と取付穴22は幕板2の両端に設けられている。図4からわかるように、標準タイプでは標準的なテーブルの下方空間を確保できる(図4の符号aの長さが天板1の約半分)。
【0024】
図5を参照すると、中間脚4の上面には所定間隔で2つの天板受部材取付穴41が設けられ、前面には2組の幕板取付フック42が設けられている。幕板取付フック42はそれぞれ上下に配列される左列3つフックと右列3つのフックからなる。1組の幕板取付フック42(図5左側3つ)は幕板2-1用であり、他方(図5右側)は幕板2-2用である。天板受部材5の断面は略コの字型をしている。天板受部材5には、天板受部材取付穴41の間隔に合わせて2組の取付穴51、52が設けられている。2つの51は標準タイプ取付穴であり手前側に設けられ、2つの52は車椅子タイプ取付穴であり奥側に設けられる。
【0025】
標準タイプでは、天板受部材取付穴41と標準タイプ取付穴51をネジ止めする。標準タイプと車椅子タイプで奥行方向の中間脚の位置が変わるが、その変化を取付穴51、52の位置の違いで吸収するので、エンドパネル3との関係では天板受部材5の位置が変わらない。言い換えれば、中間脚4と天板受部材5の相対的位置関係を、カウンター装置の構成が標準タイプと車椅子タイプのいずれであるのに対応して移動可能に構成している。
【0026】
<車椅子タイプ(第2形態)の構造・組み立て方>
図6は、図1(b)の右側面図である。図7は、車椅子タイプ(第2形態)における中間脚4と天板受部材5の結合を説明する斜視図である。
【0027】
車椅子タイプにする場合、車椅子タイプ取付穴32を選択する。上下2つの取付穴32の上方に取り付けネジを入れ、幕板2の端に設けられているだるま孔21に引っ掛け、幕板2を下ろす。次に、もうひとつのだるま孔22と下方の取付穴32をネジ止めする。図6からわかるように、車椅子タイプでは標準的空間よりも広い下方空間を確保できる(図6の符号bは、図4の符号aよりも長い)。
【0028】
図7を参照すると、車椅子タイプでは、天板受部材取付穴41と車椅子タイプ取付穴52をネジ止めする。車椅子タイプでは中間脚4が奥行方向に移動するが、その変化を取付穴51、52の位置に違いで吸収している。
【0029】
<標準タイプと車椅子タイプに共通の構造・組み立て方>
天板受部材5の取り付け位置を除き、中間脚4を幕板2へ取り付けるやり方や天板1の取り付け方は、標準タイプと車椅子タイプで異ならない。
【0030】
図8は、中間脚4と幕板2の結合を説明する背面斜視図である(標準タイプと車椅子タイプに共通)。図9は、中間脚4を幕板2に結合した状態を示す背面斜視図である。2つの幕板2-1と2-2を突き合わせた状態で中間脚4を幕板2-1と2-2の連結部に当て、そのスリット23に幕板取付フック42を嵌め込む。これにより中間脚4が幕板2-1、2-2に結合するとともに、幕板2-1と2-2が中間脚4により連結される。スリット23と幕板取付フック42は上下方向に並んで3つ設けられているが、その数は3に限定されない。スリット23は、幕板2-1、2-2の端に設けられた部材に設けられる(例えば板金にプレス加工でスリットを設け、これを折り曲げて断面をコの字型にし溶接で固定)。スリット23はテーパー状(あるいはダルマ孔、階段状)になっていて、その上部は下部よりも狭くなっており、幕板下部の幅が広いスリットを幕板取付フック42に差し込み、その後幕板2を下部にスライドさせることで、スリットの幅が狭い場所にフック42が入り、中間脚4は強固に結合される。その後、天板受部材5を中間脚4の上部に取り付けることで、中間脚と幕板は分離することができなくなる。図9は標準タイプを示すが、車椅子タイプでも同様である。
【0031】
図10は、本件カウンター装置の三面図であり、上から順番に平面図、正面図、右側面図である(各要素の位置関係を示すために図10では隠線も表示している)。図11は、天板受部材の取付状態を示すA-A矢視断面図である。図12は、天板受部材の取付状態を示すB-B矢視断面図である。図13は、天板受部材及び天板取付具の取付状態を示すC-C矢視断面図であり、左側は天板1-1とエンドパネル3-1の結合箇所を示し、右側は天板1-1と1-2の連結箇所を示す。図11乃至図13は、図10よりも拡大して表示している。
【0032】
天板1-1及び1-2を天板受部材5に乗せると位置決め溝12に嵌まり込み動かなくなる。図10乃至図13は、この状態を示している。
【0033】
溝12の長さは天板受部材5の長さと同程度又は少し長く(図11及び図13参照)、載置状態において天板1-1の溝12と天板1-2の溝12の間隔は天板受部材5の幅と同程度(図12及び図13参照)、溝の深さ(高さ)は天板受部材5と同程度かやや深い凹部である(図12参照)。天板1-1の溝12と天板1-2の溝12の間は天板受部材5の厚み程度の凹部となっている。このため天板の裏面はフラットになっている(図11及び図12参照)。この状態で裏面からネジ止めして天板1-1を固定する。図の例では天板受部材5には6つのネジ孔(3つ一組のネジ穴が天板1-1と1-2用に2組)が設けられている。溝12の近傍にはケーブルなどを通すための開口11が設けられている。
【0034】
天板1とエンドパネル3の取り付け方は図13の左側に示すとおりである。天板取付具6が天板1の裏面に設けられる溝13に嵌まり込みネジ止めされることで、天板1はエンドパネル3に結合される。天板取付具6の他方はエンドパネル3にネジ止めされる(図3及び図4参照)。
【0035】
天板1の位置決め溝12は、エンドパネル3と中間脚4のいずれの取り付けにも使用できる。図の例では天板1の両端には対称に同じ形状で位置決め溝12を設けている。このため天板1は天板1-1と1-2どちらにも使用できる。同様に、幕板2は幕板2-1と2-2どちらにも使用できる。
【0036】
発明の実施の形態によれば、幕板2がエンドパネル3の標準タイプ取付穴(第1結合手段)31又は車椅子タイプ取付穴(第2結合手段)32のいずれかを選択して結合するので、状況に応じて構造を容易に変更可能であり、車椅子対応が必要なときに天板下の空間を大きくできる。それに合わせて、天板受部材5の標準タイプ取付穴51又は車椅子タイプ取付穴52のいずれかを選択して中間脚4に結合する。
【0037】
また、幕板2のスリット23と中間脚4の幕板取付フック42を係合(嵌挿手段凹部又は凸部同士を係合)させて複数のユニット(天板1と幕板2からなるユニット)を連結するので、組み立てが容易である。また、スリット23の幅が差し込み部分は広く、勘合部分は狭くなっているため、がたつき無く強固に接合される。
【0038】
また、複数の天板1の位置決め溝(スリット)12を、天板受部材5の略コの字型の開放部分にそれぞれ嵌入させて複数のユニットを連結するので、組み立てが容易である。スリットは天板の裏面に設けられ表面に露出していないので、連結部分の外観が向上するばかりではなく、下肢空間が広く取れる。
【0039】
天板受部材5を略コの字型とすることでその強度を高めることができる。天板受部材5の形状に合わせて天板1の裏面を彫り込むことで位置決め溝12を形成している。組み立て時に天板1を載せるだけで位置決めができ、施工しやすい。
【0040】
天板1の裏面を彫り込むことで位置決め溝12を形成しているので、天板1の裏面がフラットになり、裏面がすっきりしてクランプ等が任意の位置で取付け出来るようになる。
【0041】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0042】
1、1-1、1-2 天板
11 開口
12 位置決め溝(スリット、溝部)
2、2-1、2-2 幕板
21 だるま孔(エンドパネルの上部取付部)
22 取付穴(エンドパネルの下部取付部)
23 スリット(中間脚の取付部、嵌挿手段凹部又は凸部)
3、3-1、3-2 エンドパネル
31 標準タイプ取付穴(第1結合手段)
32 車椅子タイプ取付穴(第2結合手段)
4 中間脚
41 天板受部材取付穴
42 幕板取付フック(嵌挿手段凸部又は凹部)
5 天板受部材
51 標準タイプ取付穴
52 車椅子タイプ取付穴
6 天板取付具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13