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  • 特許-印刷機のインキキー開度調整システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】印刷機のインキキー開度調整システム
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20240712BHJP
   B41F 31/05 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B41F33/00 242
B41F31/05
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020174855
(22)【出願日】2020-10-16
(65)【公開番号】P2022065991
(43)【公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-05-15
(73)【特許権者】
【識別番号】714000460
【氏名又は名称】リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】深町 太一
(72)【発明者】
【氏名】谷本 裕子
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-90774(JP,A)
【文献】特開2003-175586(JP,A)
【文献】特開2012-152961(JP,A)
【文献】特開2006-56076(JP,A)
【文献】特開2003-276165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 31/00-35/06
B41M 1/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷画像を区分けした画像領域に設定された画像面積率が0%~20%の低画像面積率に対応するインキキーのOKシート印刷時の開度データを取得するデータ取得手段と、該データ取得手段で取得したインキキーの開度データに基づいて前記低画像面積率と前記インキキーの開度との相関関係を導出する相関関係導出手段と、該相関関係導出手段で導出した相関関係に前記インキキーの開度を小さくする係数、即ち1未満の値に設定した係数をかけて補正する補正手段と、を備えていることを特徴とする印刷機のインキキー開度調整システム。
【請求項2】
前記係数は、画像面積率を所定範囲の値毎に小分けに区画した区画領域毎に設定され、かつ、該係数は前記区画領域の画像面積率が大きいほど大きくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷機のインキキー開度調整システム。
【請求項3】
印刷画像を区分けした画像領域に設定された画像面積率が0%~20%の低画像面積率に対応するインキキーのOKシート印刷時の開度データを取得するデータ取得ステップと、該データ取得ステップで取得したインキキーの開度データに基づいて前記低画像面積率と前記インキキーの開度との相関関係を導出する相関関係導出ステップと、該相関関係導出ステップで導出した相関関係に前記インキキーの開度を小さくする係数、即ち1未満の値に設定した係数をかけて補正する補正ステップと、を備えていることを特徴とするとする印刷機のインキ量補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機のインキキー開度調整システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の印刷機においては、印刷前に、印刷する絵柄に応じてインキツボが備える複数のインキキーの開度を設定(プリセット)する。各インキキーの開度は、印刷する絵柄の各インキキーの領域における画像面積率と、予め記憶されている画像面積率とインキキーの開度との相関関係を示す変換カーブと、を用いて設定される。設定されたインキキーの開度での印刷において印刷物の色調(特に印刷濃度)が不適切なインキキーの領域においては、インキキーの開度を調整して色調を目標値に合わせる。
【0003】
また、従来の印刷機においては、印刷物の色調が目標値に合った状態(OKシート印刷時)におけるインキキーの開度とそのインキキーの領域の画像面積率の情報を取得し、それらの情報に基づいて新たな変換カーブを作成することができる。このようにして作成された新たな変換カーブは、より好適なものとなり、後の印刷に用いれば、より早期に色調が合うとされている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、印刷画像の中の画像面積率の低い(低画像面積率)の画像領域では、種々の要因によって、上記新たな変換カーブを用いてプリセットしたとしても、印刷画像の色調が合わないことがある。特に、低画像面積率の画像領域において印刷濃度が許容範囲を超えてしまった場合には、印刷濃度を印刷によって許容範囲内まで下げるためには多くの用紙が必要になるため、損紙が非常に増えるという不都合が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4395287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、その目的は、低画像面積率の画像領域における印刷濃度の超過を防止して、損紙の発生を抑えることができる印刷機のインキキー開度調整システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷機のインキキー開度調整システムは、印刷画像を区分けした画像領域に設定された画像面積率が所定値より低い低画像面積率に対応するインキキーのOKシート印刷時の開度データを取得するデータ取得手段と、該データ取得手段で取得したインキキーの開度データに基づいて前記低画像面積率と前記インキキーの開度との相関関係を導出する相関関係導出手段と、該相関関係導出手段で導出した相関関係に前記インキキーの開度を小さくする係数をかけて補正する補正手段と、を備えていることを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、相関関係導出手段で導出した相関関係にインキキーの開度を小さくする係数をかけて補正することによって、印刷機における低画像面積率が設定された画像領域に対応するインキキーの開度を小さく抑えることができる。よって、本発明のシステムを利用してインキキーの開度を調整した印刷機においては、低画像面積率が設定された画像領域における印刷濃度値を目標値よりも低い値にすることができ、印刷濃度値を下げるための印刷を抑えることができる。
【0009】
また、本発明に係る印刷機のインキキー開度調整システムでは、前記係数は、画像面積率を所定範囲の値毎に小分けに区画した区画領域毎に設定され、かつ、該係数は前記区画領域の画像面積率が大きいほど大きくなるように設定されていてもよい。
【0010】
上記のように、画像面積率を所定範囲の値毎に小分けに区画した区画領域毎に係数を設定し、区画領域の画像面積率が大きいほど大きくなるように該係数を設定することによって、低画像面積率の画像領域における印刷濃度値と目標値との濃度差の乖離をより小さくすることができる。
【0011】
また、本発明に係る印刷機のインキ量補正方法は、印刷画像を区分けした画像領域に設定された画像面積率が所定値より低い低画像面積率の画像領域に対応するインキキーのOKシート印刷時の開度データを取得するデータ取得ステップと、該データ取得ステップで取得したインキキーの開度データに基づいて前記低画像面積率と前記インキキーの開度との相関関係を導出する相関関係導出ステップと、該相関関係導出手段で導出した相関関係に前記インキキーの開度を小さくする係数をかけて補正する補正ステップと、を備えていることを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、相関関係導出ステップで導出した相関関係にインキキーの開度を小さくする係数をかけて補正することによって、印刷機における低画像面積率が設定された画像領域に対応するインキキーの開度を小さく抑えることができる。よって、本発明のシステムを利用してインキキーの開度を調整した印刷機においては、低画像面積率が設定された画像領域における印刷濃度値を目標値よりも低い値にすることができ、印刷濃度値を下げるための印刷を抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、相関関係導出手段で導出した相関関係にインキキーの開度を小さくする係数をかけて補正することによって、低画像面積率の画像領域における印刷濃度値の超過を防止することができる。これにより、低画像面積率の画像領域がある印刷物であっても、損紙の発生を抑えることができる印刷機のインキキー開度調整システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】印刷機のインキ供給部の概略側面図である。
図2】印刷機のインキ量補正を行うメインフローチャートを示している。
図3】第2カーブ作成を示すサブフローチャートである。
図4】第2カーブ作成後処理を示すサブフローチャートである。
図5】最小二乗法で求めた近似曲線で描いたインキキー開度を示すグラフである。
図6】プロットが不足している区間を基のカーブの点を用いて描いたインキキー開度を示すグラフである。
図7】プロットが不足している区間を基のカーブの点を用いないで描いたインキキー開度を示すグラフである。
図8】本発明に係る制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る印刷機のインキキー開度調整システムについて、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、印刷機において印刷を行う印刷ユニットの内部に備えるインキ供給部を示している。
【0017】
図1において、インキツボ内のインキが供給されるインキツボローラ1は、図中、反時計方向に回転し、インキ呼出しローラ2を介して下流に位置する多数のインキローラ群3にインキを供給する。インキ呼出しローラ2は、詳細図示しないが、インキツボローラ1と横転ローラ4にそれぞれ接離可能に往復動する。すなわち、インキ呼出しローラ2がインキツボローラ1に当接しているときは、インキ呼出しローラ2は横転ローラ4と離反している。この往復動をインキ呼出し動作ともいい、インキ呼出し回数が多いほど、インキローラ群3へのインキ供給量が多くなる。また、インキツボローラ1に対してインキツボが備えるインキキーKが矢印S方向にスライド移動することにより接離可能となっており、インキキーKがインキツボローラ1に対して離間するほど、インキキーKの開度が大きくなって多量のインキがインキツボローラ1上に供給されるように構成されている。各インキキーKは、図示していないインキキー駆動モータの駆動により移動する。また、インキローラ群3の下方に位置する水部には、湿し水を収容する水舟5が設けられており、水元ローラ6を介して版胴7に巻き付けられた刷版(図示せず)に水舟5内の湿し水を供給可能となっている。
【0018】
前記インキキーKは、インキツボローラ1(図1参照)の軸方向、つまり印刷機(印刷物)の幅方向(搬送方向と直交する方向)に複数並設されている。インキキーKのインキツボローラ1に対する距離(開度)は、印刷画像に基づく必要なインキ量によって、インキキー毎に決められる。印刷画像は、印刷機の幅方向に複数並んだ前記インキキーKそれぞれに対応する複数の領域に区分けした複数の画像領域を有している。各画像領域には、画像面積率が設定されており、本発明では、該画像面積率の中でも所定の面積率よりも低い低画像面積率が設定された画像領域における低画像面積率に対応するインキキーKの開度データを後述するデータ取得手段8にて取得することになる。
【0019】
そして、印刷前に印刷する絵柄に応じてインキツボが備えるインキキーKの開度を設定する(プリセット)。各インキキーKの開度は、印刷する絵柄の各インキキーKの領域における画像面積率と、予め記憶されている画像面積率とインキキーKの開度との関係を示す変換カーブ(元のカーブ)と、を用いて設定される。設定されたインキキーKの開度での印刷においてはインライン又はオフラインの計測手段によって印刷物の色調(特に印刷濃度)を計測する。印刷物の色調(特に印刷濃度)が不適切なインキキーKの領域においては、インキキーKの開度を調整して色調を目標値(許容範囲の中心値及びその近傍)に合わせる。
【0020】
印刷物の色調が目標値に合った状態(OKシート印刷時)におけるインキキーKの開度とそのインキキーKの領域の画像面積率の情報を取得し、それらの情報に基づいて新たなカーブである第1カーブを作成する。
【0021】
前記第1カーブに基づいてプリセットして印刷を行ったとしても、低画像面積率の画像領域では、種々の要因によって、印刷画像の色調が合わないことがある。特に、低画像面積率の画像領域において印刷濃度が許容範囲を超えてしまった場合には、印刷濃度を印刷によって許容範囲内まで下げるためには多くの用紙が必要になるため、損紙が非常に増えるという不都合が発生する。そこで、本願発明では、低画像面積率の画像領域での精度を高めるべく、新たな第2カーブを作成する。
【0022】
前記第2カーブを作成するために、図8に示す3つの手段を備えている。つまり、画像面積率が所定値より低い低画像面積率の画像領域に対応するインキキーKのOKシート印刷時の開度データを取得するデータ取得手段8と、該データ取得手段8で取得したインキキーKの開度データに基づいて低画像面積率とインキキーKの開度との相関関係を導出する相関関係導出手段9と、該相関関係導出手段9で導出した相関関係にインキキーKの開度を小さくする係数をかけて補正する補正手段10と、を制御部11に備えている。前記相関関係は、前記低画像面積率の値が徐々に大きくなる場合のインキキーKの開度の値の変化を示すものである。この相関関係は、図6及び図7に示すように、折れ線グラフで示しているが、棒グラフで示してもよいし、インキキーKの開度の値の変化をテーブルに記載した表で示してもよい。
【0023】
印刷機のインキ量補正を行って前記第2カーブを実際に作成する過程を図2図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0024】
まず、前記データ取得手段8で取得した低画像面積率(例えば画像面積率が0%~20%)の画像領域に対応するインキキーKの開度データの他、中画像面積率(例えば画像面積率が21%~50%)の画像領域に対応するインキキーKの開度データ及び高画像面積率(画像面積率が51%~100%)の画像領域に対応するインキキーKの開度データを、データ取得手段(このデータ取得手段は、前記データ取得手段8と同一であってもよいし、異なる手段から構成してもよい)で取得する。データの取得後、図2に示すように、取得したデータのうち、不適当なデータとなるインキキーの開度が0のプロットの除去を行う(ステップS1)。続いて、外れ値を除去する(ステップS2)。この外れ値は、各領域の面積率でのインキキーKの開度の平均と標準偏差を求め、平均との差が標準偏差の2倍以上のプロットのことである。
【0025】
前記2つの除去処理を行ってから、第2カーブの作成を行う(ステップS3)。第2カーブの作成は、図3に示すように、区間のプロット数が設定数以上か設定数未満か否かを判定し(ステップS10)、全ての区間でプロット数が設定数以上であると判定すると、前区間点があるか否かを判定する(ステップS11)。前区間点がある場合には、最小二乗法を用いて前区間との境界の点を通る近似直線を導出する(ステップS12)。前記前区間点が無い場合には、最小二乗法を用いて近似直線を導出する(ステップS13)。
【0026】
ここで、区間内のプロットの面積率が複数種(例えば、図5における画像面積率が40%~60%の間では5種)ある場合には、最小二乗法を用いて区間内のプロットの近似直線を求める。求めた近似直線から区間の境界の面積率でのインキキーKの開度を算出し、第2カーブの点として記録する。なお、区間内のプロットの面積率が1種類しかない場合には、最小二乗法を用いると、求める直線が垂直(傾きの分母が0)になるため、一つ前の区間のプロットも含めて最小二乗法を行って直線を求める。前記一つ前の区間のプロットを含めても、直線の傾きが垂直(又は垂直に近い直線)であれば、直線の傾きが変わるまで区間を広げて最小二乗法を行う。それでも変わらない場合には、後の区間のプロットも含めて最小二乗法を行う。
【0027】
図5では、画像面積率が0%~2%の区間と40%~60%の区間は、前の区間の点が無いため、最小二乗法で求めた近似直線である。また、画像面積率が2%~4%の区間、4%~8%の区間、8%~12%の区間、12%~16%の区間、16%~20%の区間、60%~80%の区間、80%~100%の区間は、前の区間に点があるため、前の区間との境界を通る近似直線である。尚、図5において、画像面積率が20%~40%の区間ではプロットがないため、画像面積率が20%の点と40%の点とを結んでいる。図5では、最小二乗法を用いて区間内のプロットの近似直線を求め、画像面積率に対するインキキーKの開度を示す第1カーブ1Rを示している。この第1カーブ1Rは、後述の係数による補正前のカーブである。
【0028】
近似直線の導出が完了し、作成した第1カーブに対して、補正手段10による係数による補正を行う(ステップS15)。画像面積率が低い値の区間では、インキキーKの開度が実際の値よりも大きくプロットされてしまうことや、インキキーKの開度を調整する際に、低い方から調整する方が容易であるため、最小二乗法で求めた開度について、低画像面積率の区間を小分けに区画された各区画(例えば図5では、0%~2%の区画、2%~4%の区画、4%~8%の区画、8%~12%の区画、12%~16%の区画、16%~20%の区画)に前記補正手段10にてそれぞれ設定した係数をかけて補正を行う(ステップS14)。低画像面積率(この実施形態では、0%~20%としているが、変更してもよい)の区間で使用する係数は、1未満の値に設定する。尚、本実施形態においては、係数を0.50~0.95の範囲から選定して設定している。図5に、画像面積率が0%~20%までの区間の第1カーブ1Rに対して係数(0.50~0.95の範囲から選定した値)をかけて補正した第2カーブ2R(実線参照)を描いている。図5では、第1カーブ1RのインキキーKの開度よりも第2カーブ2RのインキキーKの開度が小さな値になっている。そして、画像面積率が20%以降において第1カーブ1Rと第2カーブ2Rとのインキキー開度Kの値が同一になっている。すなわち、画像面積率が20%以降の区画においては、係数を1に設定している。このように設定することによって、低画像面積率の区間においてインキキーKの開度を小さく抑えることができる。この実施形態では、4%までの低画像面積率では、2%毎の領域の区画にし、4%以上は、2%よりも大きな4%毎の区画にしている。係数は、低画像領域において区画領域の画像面積率が大きいほど大きくなるように設定することもできる。また、係数は、区画領域毎に異なる値に設定してもよいし、複数領域を同一の値に設定してもよい。尚、本実施形態のインキキー開度調整システムにおいては、低画像面積率の区間であっても、第1カーブのインキキーKの開度を第2カーブにおいても採用したい区画については、係数を1に設定することができる。また、第2カーブのインキキーKの開度を第1カーブよりも大きくしたい区画に対しては、1より大きい係数を設定することができる。
【0029】
図6及び図7には、前述のように、最小二乗法を用いて区間内のプロットの近似直線を求めて作成した第1カーブの低画像面積率領域の各区画に1未満の係数をかけて作成した第2カーブを実線で示している。図6及び図7の破線のカーブは、元のカーブである。前記のように係数をかけて作成した第2カーブは、低画像面積率領域において係数をかける前の第1カーブ(図6及び図7では図示せず)のインキキーKの開度よりも小さいインキキーKの開度となる。
【0030】
前記のように係数をかけて補正が完了すると、プロット数が足りない区間の処理に移行する(ステップS15)。具体的には、図6に示すように、プロットが不足している画像面積率の区間(図6では12%~20%)において、プロットが不足している区間より前の区間のインキキーKの開度の最大値とプロットが不足している区間より後の区間のインキキーKの開度の最小値との間に元のカーブのインキキーの開度(画像面積率が16%の点)が存在しているため、その元のカーブのインキキーの開度を第2カーブのインキキーKの開度として記録する。
【0031】
また、プロットが不足している画像面積率の区間(図6では12%~20%)において、プロットが不足している区間より前の区間のインキキーの開度の最大値とプロットが不足している区間より後の区間のインキキーの開度の最小値との間に元のカーブのインキキーKの開度(画像面積率が16%の点)が存在していない場合には、図7に示すように、後の区間のインキキーKの開度の最小値と前の区間のインキキーKの開度の最大値とを結んだ直線上の点を第2カーブのインキキーKの開度として記録する。
【0032】
前記のようにプロットが不足している区間の処理が完了すると、直線の傾きが負になった区間があれば、その区間の処理を行う(ステップS16)。具体的には、第2カーブにある第1の点のインキキーKの開度がその点よりも画像面積率が高い第2の点のインキキーKの開度が低い場合に、その2点を結んでしまうと、負の傾きの直線となるため、第1の点よりも前のインキキーKの開度が低い点を選んで正の傾きの直線にして第1の点のインキキーの開度を設定する。
【0033】
前記のように求めた第2カーブの点のインキキーの開度に基づいて100段階のインキキーの開度に調整する(ステップS17)。第2カーブの作成が完了すると、図2に戻って、第2カーブの作成後の処理を行う(ステップS4)。つまり、図4の処理を行う。まず、第2カーブ作成中にエラーが発生していないか否かをチェックする(ステップS20)。エラーが発生していると判定されると、第2カーブが作成できなかったという内容のメッセージを表示部に表示し(ステップS21)、制御を終了する。ステップS20で、エラーが発生していないと判定されると、異常値のチェックを行い(ステップS22)、第2カーブの各点の値がインキキーKの開度の上限値又は下限値を超えている点がある場合には、範囲外の異常値があると判定し、その点の値をインキキーKの開度の上限値又は下限値に修正し(ステップS23)、修正された第2カーブを表示し(ステップS24)、制御を終了する。前記異常値のチェックで異常値が発見されなかった場合には、第2カーブを表示し(ステップS24)、制御を終了する。
【0034】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0035】
前記実施形態では、係数の値が区画領域の画像面積率が大きいほど大きくなるように設定されていたが、1未満の同一の値に設定してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…インキツボローラ、2…インキ呼出しローラ、3…インキローラ群、4…横転ローラ、5…水舟、6…水元ローラ、7…版胴、8…データ取得手段、9…相関関係導出手段、10…補正手段、11…制御部、K…インキキー、S…矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8