(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】作業機械を制御するための方法、システム、および作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20240712BHJP
E02F 3/85 20060101ALI20240712BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20240712BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F3/85 D
G05D1/43
(21)【出願番号】P 2020176499
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】門野 裕一
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-164279(JP,A)
【文献】特開2019-178972(JP,A)
【文献】特開2000-137522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 3/84- 3/85
G05D 1/00- 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機
と走行装置とを含む作業機械を
自動制御するため
にコントローラによって実行される方法であって、
作業エリアと排土エリアとの境界位置を取得することと、
前記作業機械の現在位置を取得することと、
前記作業機械の現在位置に基づいて、前記作業エリアから前記排土エリアへ向かって前記作業機械を走行させることと、
前記作業機械が、前記作業エリアから前記排土エリアへ向かって走行しているときに、前記境界位置から前記作業エリア側に所定距離だけ離れた位置から前記作業機を上昇させることで、
地面から隆起した形状を有する輪留めを形成するように前記作業機械を制御すること、
を備える方法。
【請求項2】
前記輪留めの高さが、所定高さになるように、前記作業機を制御することをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
オペレータによる操作を示す操作信号を取得することと、
前記操作信号に応じて、前記所定高さを設定すること、
をさらに備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記作業エリア上の前記輪留め用の土砂の位置を取得することと、
前記土砂の位置から前記境界位置に向かう経路を設定することと、
前記経路に沿って移動するように前記作業機械を制御すること、
をさらに備える請求項1に記載の方法。
【請求項5】
置土位置を取得することと、
前記置土位置へ移動するように運搬車両を制御することと、
前記置土位置に前記輪留め用の土砂を置くように前記運搬車両を制御すること、
を備える請求項1に記載の方法。
【請求項6】
作業機
と走行装置とを含む作業機械を
自動制御するためのシステムであって、
前記作業機械の現在位置を検出するセンサと、
コントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
作業エリアと排土エリアとの境界位置を取得し、
前記作業機械の現在位置を取得し、
前記作業機械の現在位置に基づいて、前記作業エリアから前記排土エリアへ向かって前記作業機械を走行させ、
前記作業機械が、前記作業エリアから前記排土エリアへ向かって走行しているときに、前記境界位置から前記作業エリア側に所定距離だけ離れた位置から前記作業機を上昇させることで、
地面から隆起した形状を有する輪留めを形成するように前記作業機械を制御する、
システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記輪留めの高さが、所定高さになるように、前記作業機を制御する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
オペレータによる操作を示す操作信号を出力する入力装置をさらに備え、
前記コントローラは、
前記操作信号を取得し、
前記操作信号に応じて、前記所定高さを設定する、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記作業エリア上の前記輪留め用の土砂の位置を取得し、
前記土砂の位置から前記境界位置に向かう経路を設定し、
前記経路に沿って移動するように前記作業機械を制御する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、
置土位置を取得し、
前記置土位置へ移動するように運搬車両を制御し、
前記置土位置に前記輪留め用の土砂を置くように前記運搬車両を制御する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項11】
作業機と、
走行装置と、
作業機械の現在位置を検出するセンサと、
前記作業機械を自動制御するコントローラと、
を備え、
前記コントローラは、
作業エリアと排土エリアとの境界位置を取得し、
前記作業機械の現在位置を取得し、
前記作業機械の現在位置に基づいて、前記作業エリアから前記排土エリアへ向かって前記作業機械を走行させ、
前記作業機械が、前記作業エリアから前記排土エリアへ向かって走行しているときに、前記境界位置から前記作業エリア側に所定距離だけ離れた位置から前記作業機を上昇させることで、
地面から隆起した形状を有する輪留めを形成するように前記作業機械を制御する、
作業機械。
【請求項12】
前記コントローラは、前記輪留めの高さが、所定高さになるように、前記作業機を制御する、
請求項11に記載の作業機械。
【請求項13】
オペレータによる操作を示す操作信号を出力する入力装置をさらに備え、
前記コントローラは、
前記操作信号を取得し、
前記操作信号に応じて、前記所定高さを設定する、
請求項12に記載の作業機械。
【請求項14】
前記コントローラは、
前記作業エリア上の前記輪留め用の土砂の位置を取得し、
前記土砂の位置から前記境界位置に向かう経路を設定し、
前記経路に沿って移動するように前記作業機械を制御する、
請求項11に記載の作業機械。
【請求項15】
前記コントローラは、
置土位置を取得し、
前記置土位置へ移動するように運搬車両を制御し、
前記置土位置に前記輪留め用の土砂を置くように前記運搬車両を制御する、
請求項11に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械を制御するための方法、システム、および作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンプトラックなどの運搬車両は、土砂などの物体を排土エリアへ運び、排土エリアに物体を排出する作業を行うことがある。排土エリアは、崖下に位置しており、例えば特許文献1に示されているように、排土エリアの手前には、輪留めが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した輪留めは、ブルドーザなどの作業機械が土砂を運ぶことで形成される。輪留めの形成は、排土エリア付近での作業であるため、作業機械の自動制御により行われることが好ましい。本開示は、作業機械の自動制御により、輪留めを形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係る方法は、作業機を含む作業機械を制御するための方法である。本態様に係る方法は、以下の処理を備える。第1の処理は、作業エリアと排土エリアとの境界位置を取得することである。第2の処理は、作業機械の現在位置を取得することである。第3の処理は、作業機械が、作業エリアから排土エリアへ向かって走行しているときに、境界位置から作業エリア側に所定距離だけ離れた位置から作業機を上昇させることで、輪留めを形成するように作業機械を制御することである。なお、処理の実行の順番は、上記の順番に限らず、変更されてもよい。
【0006】
本開示の第2の態様に係るシステムは、作業機を含む作業機械を制御するためのシステムである。本態様に係るシステムは、センサとコントローラとを備える。センサは、作業機械の現在位置を検出する。コントローラは、作業エリアと排土エリアとの境界位置を取得する。コントローラは、作業機械の現在位置を取得する。コントローラは、作業機械が、作業エリアから排土エリアへ向かって走行しているときに、境界位置から作業エリア側に所定距離だけ離れた位置から作業機を上昇させることで、輪留めを形成するように作業機械を制御する。
【0007】
本開示の第3の態様に係る作業機械は、作業機と、センサと、コントローラとを備える。センサは、作業機械の現在位置を検出する。コントローラは、作業エリアと排土エリアとの境界位置を取得する。コントローラは、作業機械の現在位置を取得する。コントローラは、作業機械が、作業エリアから排土エリアへ向かって走行しているときに、境界位置から作業エリア側に所定距離だけ離れた位置から作業機を上昇させることで、輪留めを形成するように作業機械を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、作業機械の自動制御により、輪留めを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る作業機械の制御システムを示す模式図である。
【
図7】境界位置の付近の現況地形を示す縦断面図である。
【
図8】自動制御の処理を示すフローチャートである。
【
図9】境界位置の付近の現況地形を示す縦断面図である。
【
図10】境界位置の付近の現況地形を示す縦断面図である。
【
図11】境界位置の付近の現況地形を示す縦断面図である。
【
図12】置土位置と運搬車両の経路の一例を示す図である。
【
図13】輪留め用の土砂の位置と作業機械の経路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るシステム100について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態に係るシステム100を示す模式図である。システム100は、作業機械1と、運搬車両2と、リモートコントロールシステム3とを含む。システム100は、採掘場などのワークサイトに配置された作業機械1と運搬車両2とを制御する。作業機械1は、例えばブルドーザである。運搬車両2は、例えばダンプトラックである。作業機械1の数は、1台に限らず、1台より多くてもよい。運搬車両2の数は、1台に限らず、1台より多くてもよい。
【0011】
図2は、作業機械1の斜視図である。
図3は、作業機械1の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、作業機械1は、車体11と、走行装置12と、作業機13とを含む。車体11は、走行装置12に支持されている。走行装置12は、履帯14を有している。履帯14が回転することによって、作業機械1が走行する。
【0012】
作業機13は、車体11に取り付けられている。作業機13は、リフトフレーム15と、ブレード16と、リフトシリンダ17とを含む。リフトフレーム15は、上下に動作可能に走行装置12に取り付けられている。リフトフレーム15は、車体11に取り付けられてもよい。リフトフレーム15は、ブレード16を支持している。ブレード16は、リフトフレーム15の動作に伴って上下に移動する。リフトシリンダ17は、車体11とリフトフレーム15とに連結されている。リフトシリンダ17が伸縮することによって、リフトフレーム15は、上下に動作する。
【0013】
図3に示すように、作業機械1は、駆動源18と、油圧ポンプ19と、動力伝達装置20と、制御弁21とを含む。駆動源18は、例えば内燃エンジンである。油圧ポンプ19は、駆動源18によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ19から吐出された作動油は、リフトシリンダ17に供給される。なお、
図3では、1つの油圧ポンプが図示されているが、複数の油圧ポンプが設けられてもよい。
【0014】
動力伝達装置20は、駆動源18の駆動力を走行装置12に伝達する。動力伝達装置20は、例えば、HST(Hydro Static Transmission)であってもよい。或いは、動力伝達装置20は、トルクコンバーター、或いは複数の変速ギアを有するトランスミッションであってもよい。或いは、動力伝達装置20は、他の種類のトランスミッションであってもよい。
【0015】
制御弁21は、リフトシリンダ17などの油圧アクチュエータと、油圧ポンプ19との間に配置される。制御弁21は、油圧ポンプ19から、リフトシリンダ17に供給される作動油の流量を制御する。制御弁21は、圧力比例制御弁であってもよい。或いは、制御弁21は、電磁比例制御弁であってもよい。
【0016】
作業機械1は、機械コントローラ22と機械通信装置23とを備える。機械コントローラ22は、走行装置12、或いは動力伝達装置20を制御することで、作業機械1を走行させる。機械コントローラ22は、制御弁21を制御することで、ブレード16を上下に移動させる。
【0017】
機械コントローラ22は、取得したデータに基づいて作業機械1を制御するようにプログラムされている。機械コントローラ22は、プロセッサ221と記憶装置222とを含む。プロセッサ221は、例えばCPU(central processing unit)である。或いは、プロセッサ221は、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサ221は、プログラムに従って、作業機械1を制御するための処理を実行する。
【0018】
記憶装置222は、ROMなどの不揮発性メモリと、RAMなどの揮発性メモリとを含む。記憶装置222は、ハードディスク、或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでもよい。記憶装置222は、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置222は、作業機械1を制御するためのコンピュータ指令及びデータを記憶している。
【0019】
機械通信装置23は、リモートコントロールシステム3と無線により通信する。例えば、機械通信装置23は、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN、3G、4G、或いは5Gなどの移動体通信、或いは他のタイプの無線通信ネットワークを介して、リモートコントロールシステム3と通信する。
【0020】
作業機械1は、機械位置センサ24を含む。機械位置センサ24は、例えばGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)レシーバを含んでもよい。或いは、機械位置センサ24は、他の測位システムのレシーバを含んでもよい。機械位置センサ24は、Lidarなどの測距センサ、或いはステレオカメラなどのイメージセンサを含んでもよい。機械位置センサ24は、位置データを機械コントローラ22に出力する。位置データは、作業機械1の現在位置を示す。
【0021】
図4は、運搬車両2の側面図である。
図5は、運搬車両2の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、運搬車両2は、車体30と、走行装置31と、荷台32とを含む。車体30は、走行装置31に支持されている。走行装置31は、タイヤ33を含む。タイヤ33が駆動されることで、運搬車両2は走行する。
【0022】
荷台32は、車体30に支持されている。荷台32は、ダンプ姿勢と運搬姿勢とに動作可能に設けられている。
図3において、実線で示す荷台32は、運搬姿勢の荷台32の位置を示している。二点鎖線で示す荷台32’は、ダンプ姿勢の荷台32の位置を示している。運搬姿勢では、荷台32は、概ね水平に配置される。ダンプ姿勢では、荷台32は、運搬姿勢に対して傾斜した状態となる。
【0023】
図5に示すように、運搬車両2は、駆動源34と、油圧ポンプ35と、動力伝達装置36と、リフトシリンダ37と、制御弁38とを含む。駆動源34は、例えば内燃エンジンである。油圧ポンプ35は、駆動源34によって駆動され、作動油を吐出する。なお、
図5では、1つの油圧ポンプが図示されているが、複数の油圧ポンプが設けられてもよい。制御弁38は、リフトシリンダ37と油圧ポンプ35との間に配置されている。制御弁38は、油圧ポンプ35からリフトシリンダ37に供給される作動油の流量を制御する。なお、制御弁38は、圧力比例制御弁であってもよい。或いは、制御弁38は、電磁比例制御弁であってもよい。
【0024】
動力伝達装置36は、駆動源34の駆動力を走行装置31に伝達する。動力伝達装置36は、例えば、HST(Hydro Static Transmission)である。リフトシリンダ37は、油圧シリンダである。油圧ポンプ35から吐出された作動油は、リフトシリンダ37に供給される。リフトシリンダ37は、油圧ポンプ35からの作動油によって駆動される。リフトシリンダ37は、荷台32を昇降する。それにより、荷台32の姿勢が、運搬姿勢とダンプ姿勢とに切り換えられる。
【0025】
運搬車両2は、車両コントローラ40と車両通信装置41とを備える。車両コントローラ40は、走行装置31、或いは動力伝達装置36を制御することで、運搬車両2を走行させる。車両コントローラ40は、制御弁38を制御することで、荷台32を、運搬姿勢とダンプ姿勢とに切り替える。
【0026】
車両コントローラ40は、取得したデータに基づいて運搬車両2を制御するようにプログラムされている。車両コントローラ40は、プロセッサ401と記憶装置402とを含む。プロセッサ401は、例えばCPU(central processing unit)である。或いは、プロセッサ401は、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサ401は、プログラムに従って、運搬車両2を制御するための処理を実行する。
【0027】
記憶装置402は、ROMなどの不揮発性メモリと、RAMなどの揮発性メモリとを含む。記憶装置402は、ハードディスク、或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでもよい。記憶装置402は、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置402は、運搬車両2を制御するためのコンピュータ指令及びデータを記憶している。
【0028】
車両通信装置41は、リモートコントロールシステム3と無線により通信する。例えば、車両通信装置41は、Wi-Fi(登録商標)などの無線LAN、3G、4G、或いは5Gなどの移動体通信、或いは他のタイプの無線通信ネットワークを介して、リモートコントロールシステム3と通信する。
【0029】
運搬車両2は、車両位置センサ42を含む。車両位置センサ42は、例えばGPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)レシーバを含んでもよい。或いは、車両位置センサ42は、他の測位システムのレシーバを含んでもよい。車両位置センサ42は、Lidarなどの測距センサ、或いはステレオカメラなどのイメージセンサを含んでもよい。車両位置センサ42は、位置データを車両コントローラ40に出力する。位置データは、運搬車両2の現在位置を示す。
【0030】
リモートコントロールシステム3は、例えば、ワークサイトから離れた管理センタに配置される。或いは、リモートコントロールシステム3は、ワークサイト内に配置されてもよい。リモートコントロールシステム3は、作業機械1と運搬車両2とを遠隔操作する。
図1に示すように、リモートコントロールシステム3は、リモートコントローラ43と、入力装置44と、外部通信装置45とを含む。
【0031】
外部通信装置45は、機械通信装置23及び車両通信装置41と無線により通信する。外部通信装置45は、リモートコントローラ43からの指令信号を、機械通信装置23と車両通信装置41とに送信する。機械コントローラ22は、機械通信装置23を介して、指令信号を受信する。車両コントローラ40は、車両通信装置41を介して、指令信号を受信する。外部通信装置45は、機械通信装置23を介して、作業機械1の位置データを受信する。外部通信装置45は、車両通信装置41を介して、運搬車両2の位置データを受信する。
【0032】
入力装置44は、オペレータによって操作可能な装置である。入力装置44は、オペレータからの入力指令を受け、入力指令に対応する操作信号を、リモートコントローラ43に出力する。入力装置44は、オペレータによる操作に応じた操作信号を出力する。入力装置44は、リモートコントローラ43に操作信号を出力する。入力装置44は、マウス、或いはトラックボールなどのポインティングデバイスを含んでもよい。入力装置44は、キーボードを含んでもよい。入力装置44は、タッチスクリーンを含んでもよい。
【0033】
リモートコントローラ43は、入力装置44から操作信号を受信する。リモートコントローラ43は、作業機械1から、作業機械1の位置データを取得する。リモートコントローラ43は、運搬車両2から、運搬車両2の位置データを取得する。リモートコントローラ43は、プロセッサ431と記憶装置432とを含む。プロセッサ431は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。或いは、プロセッサ431は、CPUと異なるプロセッサであってもよい。プロセッサ431は、プログラムに従って、作業機械1と運搬車両2とを制御するための処理を実行する。
【0034】
記憶装置432は、ROMなどの不揮発性メモリと、RAMなどの揮発性メモリとを含む。記憶装置432は、ハードディスク、或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでもよい。記憶装置432は、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置432は、作業機械1と運搬車両2とを制御するためのコンピュータ指令及びデータを記憶している。
【0035】
次に、システム100によって実行される作業機械1及び運搬車両2の自動動作について説明する。
図6は、ワークサイトの上面図である。リモートコントローラ43は、ワークサイトの現況地形50を示す現況地形データを記憶している。現況地形50は、作業エリア51と排土エリア52とを含む。作業エリア51には、掘削機械4が配置されている。掘削機械4は、作業エリア51において掘削を行う。掘削機械4は、リモートコントローラ43によって自動制御されてもよい。或いは、掘削機械4は、手動で操作されてもよい。
【0036】
リモートコントローラ43は、作業エリア51の位置と排土エリア52の位置とを記憶している。リモートコントローラ43は、現況地形データから、作業エリア51と排土エリア52との境界位置53を取得する。リモートコントローラ43は、積込位置54と排土位置55とを決定する。積込位置54は、掘削機械4の付近の位置である。排土位置55は、境界位置53の近くの位置である。積込位置54と排土位置55とは、オペレータによる入力装置44の操作によって設定されてもよい。リモートコントローラ43は、積込位置54と排土位置55とを結ぶ走行経路56を決定する。リモートコントローラ43は、例えば運搬車両2の走行距離が最短となるように、走行経路56を決定する。
【0037】
リモートコントローラ43は、積込位置54に移動するように運搬車両2を制御する。掘削された土砂は、積込位置54において運搬車両2において積み込まれる。リモートコントローラ43は、走行経路56に沿って移動するように運搬車両2を制御する。リモートコントローラ43は、排土位置55において、荷台32から土砂を排出するように、運搬車両2を制御する。リモートコントローラ43は、次の積込位置54と排土位置55とを決定し、次の積込位置54に移動するように、運搬車両2を制御する。以上の処理が繰り返されることで、掘削機械4によって掘削された土砂が、作業エリア51から排土エリア52に運ばれる。
【0038】
図7は、作業エリア51と排土エリア52との境界位置53の付近の現況地形50を示す縦断面図である。
図7に示すように、境界位置53には、輪留め57が配置されている。輪留め57は、現況地形50から隆起した形状を有している。輪留め57の高さは、運搬車両2の荷台32の位置よりも低い。輪留め57は、運搬車両2が境界位置53から排土エリア52側に越えないように、境界位置53に配置される。以下、輪留め57を形成するための作業機械1の自動制御について説明する。
【0039】
図8は、輪留め57を形成するために機械コントローラ22によって実行される処理を示すフローチャートである。例えば、作業機械1は、リモートコントローラ43から輪留め57を形成する指令を受信したときに、
図8に示す処理を実行する。なお、
図8に示す処理の開始時には、
図9に示すように、作業機械1は、輪留め57を形成するため土砂58をブレード16に保持しているものとする。
【0040】
図8に示すように、ステップS101では、機械コントローラ22は、作業エリア51と排土エリア52との境界位置53を取得する。機械コントローラ22は、リモートコントローラ43から境界位置53を取得する。或いは、機械コントローラ22は、リモートコントローラ43から現況地形データを取得し、現況地形データから境界位置53を取得してもよい。
【0041】
ステップS102では、機械コントローラ22は、境界位置53へ向かって移動するように、作業機械1を制御する。すなわち、
図9に示すように、機械コントローラ22は、作業エリア51から排土エリア52へ向かって、作業機械1を走行させる。ステップS103では、機械コントローラ22は、作業機械1の現在位置を取得する。機械コントローラ22は、作業機械1の位置データから、作業機械1の現在位置を取得する。
【0042】
ステップS104では、機械コントローラ22は、作業機械1が、開始位置59に到達したかを判定する。
図10に示すように、開始位置59は、境界位置53から作業エリア51側に所定距離D1だけ離れた位置である。所定距離D1は、機械コントローラ22に記憶されている。所定距離D1は、固定値であってもよい。或いは、機械コントローラ22は、リモートコントローラ43から所定距離D1を取得してもよい。所定距離D1は、オペレータによる入力装置44への操作によって設定されてもよい。なお、
図10では、理解の用意のために、ブレード16に抱えられた土砂58が省略されている。
【0043】
ステップS105では、機械コントローラ22は、前進しながら、開始位置59からブレード16を上昇させる。機械コントローラ22は、作業機械1を前進させながら、開始位置59からブレード16を上昇させる。それにより、
図11に示すように、現況地形50上に土砂58が盛られる。機械コントローラ22は、ブレード16を所定高さH1まで上昇させる。それにより、高さが所定高さH1になるように輪留め57が形成される。
【0044】
所定高さH1は、機械コントローラ22に記憶されている。所定高さH1は、固定値であってもよい。例えば、所定高さH1は、ブレード16の高さの1/2である。或いは、所定高さH1は、オペレータによる入力装置44への操作によって設定されてもよい。機械コントローラ22は、ブレード16が所定高さH1に到達した後は、ブレード16を所定高さH1に保持する。
【0045】
ステップS106では、機械コントローラ22は、作業機械1が、終了位置63に到達したかを判定する。終了位置63は、境界位置53上に位置する。或いは、終了位置63は、開始位置59と境界位置53との間に位置してもよい。作業機械1が、終了位置63に到達したときには、機械コントローラ22は、輪留め57を形成する処理を終了する。以上のように、本実施形態に係るシステム100では、作業機械1の自動制御によって、境界位置53の付近に輪留め57が形成される。
【0046】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。作業機械1は、ブルドーザに限らず、ホイールローダ、モータグレーダ等の他の車両であってもよい。運搬車両2は、ダンプトラックに限らず、他の種類の車両であってもよい。作業機械1の駆動源18、或いは運搬車両2の駆動源34は、内燃エンジンに限らず、電動モータであってもよい。運搬車両2は、手動で操作されてもよい。
【0047】
リモートコントローラ43、機械コントローラ22、或いは車両コントローラ40は、互いに別体の複数のコントローラを有してもよい。リモートコントローラ43、機械コントローラ22、或いは車両コントローラ40による処理は、複数のコントローラに分散して実行されてもよい。上述した処理は、複数のプロセッサに分散して実行されてもよい。
【0048】
リモートコントローラ43は、輪留め57を形成するための土砂58を運ぶように運搬車両2を制御してもよい。例えば、
図12に示すように、リモートコントローラ43は、置土位置61を決定する。置土位置61は、作業エリア51上に位置している。置土位置61は、境界位置53から作業エリア51側に離れている。置土位置61は、オペレータによる入力装置44の操作によって、設定されてもよい。リモートコントローラ43は、置土位置61へ移動するように、運搬車両2を制御する。リモートコントローラ43は、置土位置61に輪留め57用の土砂58を置くように運搬車両2を制御する。
【0049】
機械コントローラ22は、運搬車両2によって置かれた輪留め57用の土砂58の位置を取得してもよい。例えば、機械コントローラ22は、リモートコントローラ43から置土位置61を取得し、置土位置61を輪留め57用の土砂58の位置として取得する。或いは、機械コントローラ22は、運搬車両2と通信を行い、運搬車両2から輪留め57用の土砂58の位置61を取得してもよい。機械コントローラ22は、
図13に示すように、土砂58の位置61から境界位置53に向かう経路62を設定する。機械コントローラ22は、土砂58の位置61と終了位置63とを結ぶように経路62を設定する。例えば、機械コントローラ22は、作業機械1の移動距離が最小となるように、経路62を設定してもよい。機械コントローラ22は、経路62に沿って移動するように作業機械1を制御する。
【0050】
作業機械1、或いは運搬車両2の自動制御の処理は、上述した実施形態のものに限らず、変更、省略、或いは追加されてもよい。自動制御の処理の実行順序は、上述した実施形態のものに限らず、変更されてもよい。機械コントローラ22による処理の一部は、リモートコントローラ43によって実行されてもよい。例えば、輪留め57を形成する処理の一部、或いは全部は、リモートコントローラ43によって実行されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本開示によれば、作業機械の自動制御により、輪留めを形成することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 作業機械
13 作業機
22 機械コントローラ
24 機械位置センサ
43 リモートコントローラ
44 入力装置
51 作業エリア
52 排土エリア
53 境界位置
57 輪留め