IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日産自動車株式会社の特許一覧 ▶ ルノー エス.ア.エス.の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図1
  • 特許-情報処理装置及び情報処理方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20240712BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240712BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20240712BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240712BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
G01C21/34
G01C21/26 P
G08G1/005
G09B29/10 A
G09B29/00 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020181462
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022072162
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】賈 舒陽
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-165710(JP,A)
【文献】特開2020-160912(JP,A)
【文献】河野 亜希 Aki Kouno,景観の可視性を考慮したルート探索システムの提案,FIT2007 第6回情報科学技術フォーラム 情報科学技術レターズ 第6巻 Information Technology Letters,2007年08月22日,pp.351-354
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G01C 21/26
G08G 1/005
G09B 29/10
G09B 29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得部と、コントローラと、出力部と、を備える情報処理装置であって、
前記取得部は、
ユーザの位置および車両の位置を取得し、
前記ユーザの位置を含む地域での環境情報を取得し、
前記地域に含まれる地点に対応付けられる、前記ユーザの行動履歴を取得し、
前記コントローラは、
前記ユーザの位置と前記車両の位置に基づいて、少なくとも1つ以上の待合地点候補を算出し、
前記ユーザの位置から前記待合地点候補まで前記ユーザが移動する経路を算出し、
前記経路に沿った前記環境情報、及び、前記行動履歴に基づいて、前記ユーザが前記経路を認識する難易度を示すコストを前記経路ごとに算出し、
前記コストに基づいて、前記ユーザと前記車両が待ち合わせる待合地点を前記待合地点候補から選出し、
前記出力部は、
前記待合地点を前記ユーザの端末に送信すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記コストが小さい前記経路に係る前記待合地点候補ほど高い優先度を付して前記待合地点として選出すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記経路のうち前記ユーザの位置から前記待合地点候補よりも手前の位置までの区間に沿った前記環境情報に基づいて前記経路ごとに前記コストを算出すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項に記載の情報処理装置であって、
前記経路のうち前記ユーザの位置から前記待合地点候補よりも手前の位置までの区間に含まれる、前記行動履歴に対応付けられた地点の数が多いほど、前記経路に対して算出される前記コストが小さいこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記待合地点として選出された前記待合地点候補の中の第1待合地点候補に係る第1経路と、
前記第1待合地点候補とは異なる前記待合地点候補の中の第2待合地点候補に係る第2経路に対して、
前記第1経路の長さから前記第2経路の長さを引いた差分が所定長さよりも大きい場合には、前記第1待合地点候補を前記待合地点として選出することを解除すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
請求項に記載の情報処理装置であって、
前記取得部は、
前記ユーザの属性情報を取得し、
前記所定長さは、前記属性情報に基づいて設定されること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記環境情報は、前記地域に存在する前記ユーザの興味のある地点である興味ポイントの情報を含むこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
請求項に記載の情報処理装置であって、
前記経路に沿った前記興味ポイントの数が多いほど、前記経路に対して算出される前記コストが小さいこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記興味ポイントの視認しやすさを示す指標値を算出し、
前記指標値が大きいほど、前記経路に対して算出される前記コストが小さいこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項10】
請求項に記載の情報処理装置であって、
前記経路と前記興味ポイントの間の距離が小さいほど、前記指標値が大きいこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記経路と前記興味ポイントの間に障害物があるか否かを判定し、
障害物があると判定された場合の前記指標値よりも、障害物がないと判定された場合の前記指標値の方が大きいこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記経路の通過しにくさを示すアクセス難易度を算出し、
前記アクセス難易度が大きいほど、前記経路に対して算出される前記コストが大きいこと
を特徴とする情報処理装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記経路の通過しにくさを示すアクセス難易度を算出し、
前記アクセス難易度が所定閾値以下の前記経路のみを算出すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の情報処理装置であって、
前記コントローラは、
前記経路における、右左折の数、高低差、階段の数、横断歩道の数の少なくともいずれかに基づいて前記アクセス難易度を算出すること
を特徴とする情報処理装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の情報処理装置から前記待合地点を受信し、
受信した前記待合地点に関する情報を、音声データ又は画像データによって前記ユーザに提示すること
を特徴とする情報端末。
【請求項16】
取得部および出力部と接続されたコントローラを制御する情報処理方法であって、
前記取得部は、
ユーザの位置および車両の位置を取得し、
前記ユーザの位置を含む地域での環境情報を取得し、
前記地域に含まれる地点に対応付けられる、前記ユーザの行動履歴を取得し、
前記コントローラは、
前記ユーザの位置と前記車両の位置に基づいて、少なくとも1つ以上の待合地点候補を算出し、
前記ユーザの位置から前記待合地点候補まで前記ユーザが移動する経路を算出し、
前記経路に沿った前記環境情報、及び、前記行動履歴に基づいて、前記ユーザが前記経路を認識する難易度を示すコストを前記経路ごとに算出し、
前記コストに基づいて、前記ユーザと前記車両が待ち合わせる待合地点を前記待合地点候補から選出し、
前記出力部は、
前記待合地点を前記ユーザの端末に送信すること
を特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザと配車される車両とが合流する地点として推奨される待合地点を提供する技術であって、ユーザの出発地から車両との待合地点までの移動経路、及び、設定された待合せ時間をユーザに提示し、ユーザと車両が選択された待合地点にて合流させる技術が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2018-526715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術によれば、ユーザの出発地から所定閾値内に存在することを条件として待合地点が推奨されるか否かが決定されるため、ユーザの出発地に近い待合地点であったとしても、待合地点までの経路を認識しにくく、ユーザがアクセスしづらい待合地点が推奨されてしまう恐れがあるという課題がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、ユーザの出発地から待合地点までの経路を認識しやすく、ユーザがアクセスしやすい待合地点を提示することができる情報処理装置及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した問題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理装置及び情報処理方法は、ユーザの位置と車両の位置に基づいて、少なくとも1つ以上の待合地点候補を算出し、ユーザの位置から待合地点候補までユーザが移動する経路を算出し、経路に沿った環境情報に基づいて、ユーザが経路を認識する難易度を示すコストを経路ごとに算出し、コストに基づいて、ユーザと車両が待ち合わせる待合地点を待合地点候補から選出し、待合地点をユーザの端末に送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの出発地から待合地点までの経路を認識しやすく、ユーザがアクセスしやすい待合地点を提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0010】
[情報処理装置の構成]
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理装置1の構成例を説明する。情報処理装置1は、無線又は有線によって端末200(情報端末)と通信可能なように接続され、端末200から各種のデータを受信する。なお、情報処理装置1は、端末200に搭載されるものであってもよいし、端末200の外部に設置されるものであってもよい。
【0011】
ここで、端末200は、ユーザからの配車リクエストを受け付け、受け付けた配車リクエストを情報処理装置1に送信する。端末200としては、例えば、ユーザが日常的に利用する携帯端末(スマートフォン、タブレットなど)が挙げられる。その他にも、端末200は、ユーザが利用するパソコンなどのコンピュータであってもよいし、ユーザからのリクエストを自動応答で受け付ける音声自動応答装置であってもよい。
【0012】
図1に示すように情報処理装置1は、取得部21と、コントローラ100と、出力部300とを備える。その他、情報処理装置1は、データベース23を備えるものであってもよい。コントローラ100は、取得部21、データベース23、出力部300と通信可能なように接続される。
【0013】
取得部21は、端末200で受け付けた配車リクエストを取得する。情報処理装置1が端末200に搭載される場合には、取得部21は、端末200によって提供されるAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を介して端末200の入力部(不図示)と接続されるものであってもよい。また、情報処理装置1が端末200に搭載されない場合には、取得部21は、4G、5G、LTEなどの無線ネットワーク等で端末200と接続されるものであってもよい。
【0014】
また、取得部21は、ユーザの端末200の位置情報を取得する位置検出センサによって、ユーザの位置を取得する。例えば、位置検出センサは、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)などの絶対位置を計測するセンサである。その他、位置検出センサは、Wi-Fi(登録商標)測位、RFID(Radio Frequency Identifier)測位、ビーコン測位などの手法によって絶対位置を計測するセンサであってもよい。
【0015】
さらに、取得部21は、ユーザに配車される車両に搭載された位置検出センサによって、車両の位置を取得するものであってもよい。車両に搭載された位置検出センサは、端末200の位置情報を取得する位置検出センサと同種のものであってもよいが、これに限定されない。例えば、例えばオドメトリと呼ばれる方法を用いて位置を推定してもよい。オドメトリとは、車両の回転角、回転角速度に応じて車両の移動量及びと移動方向を求めることにより、車両の位置を推定する方法である。
【0016】
また、取得部21は、図示しない外部サーバから、ユーザの位置を含む地域での環境情報を取得するものであってもよい。ここで、「環境情報」は、道路地図データ上に点在する特定の興味ポイント(POI:Point Of Interest)の位置情報や興味ポイントの属性情報を含む。その他、環境情報は、ユーザの位置を含む地域での地図情報(道路形状、高低差などの地形データ、階段の位置、横断歩道などの交通標識の位置、交通信号の位置など)を含むものであってもよい。
【0017】
「興味ポイント」とは、例えば、車両が目的地に到着するまでの間にユーザが興味のある、または興味を持つと予想される、コンビニエンスストア、喫茶店、レストラン、観光施設、ショップ、娯楽施設、駐車場等のある位置である。興味ポイントの属性情報は、当該興味ポイントにある建物や土地の外観や当該興味ポイントにある看板に関する情報であり、外観や看板の大きさ、高さ、色、点滅の有無などの情報を含む。
【0018】
取得部21は、興味ポイントの位置情報や属性情報を、道路沿いの風景をパノラマ写真で提供するインターネットサービスや、複数の車両の車載カメラから取得された画像をデータベース化して記憶する外部サーバなどから取得するものであってもよい。
【0019】
取得部21は、ユーザの位置を含む地域に含まれる地点に対応付けられる、ユーザの行動履歴を取得するものであってもよい。「行動履歴」は、ユーザが過去に当該地点に滞在したことがあるか否かの情報を含む。その他、「行動履歴」は、当該地点での滞在時間や、滞在頻度の情報を含むものであってもよい。
【0020】
取得部21は、ユーザ自身の属性情報を取得するものであってもよい。ユーザの属性情報は、ユーザの歩行速度、年齢、性別、身体的特徴などの情報から構成されるものであってもよい。例えば、端末200が、ユーザが日常的に利用する携帯端末(スマートフォン、タブレットなど)である場合には、情報処理装置1として機能するアプリケーションが、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)やその他のクラウドサービスなどと連携することにより、これらの属性情報を取得するものであってもよい。
【0021】
その他、ユーザの属性情報は、ユーザに対する事前アンケートに基づいて登録されたユーザの属性情報を特定するためのユーザ識別情報を含むものであってもよい。
【0022】
データベース23は、取得部21によって配車リクエストを記憶する。また、データベース23は、取得部21によって取得した種々の情報を記憶するものであってもよい。
【0023】
出力部300は、コントローラ100での処理の結果を、端末200に出力する。具体的には、出力部300は、ユーザと当該ユーザに配車される車両が待ち合わせる待合地点を出力する。その他、出力部300は、ユーザの位置から待合地点までユーザが移動する経路を出力するものであってもよい。コントローラ100における待合地点及び経路の算出については後述する。
【0024】
なお、端末200(情報端末)は、音声データ又は画像データによって、出力部300より受信した待合地点に関する情報をユーザに提示する。配車サービスを利用するユーザは、提示された情報を確認することにより、ユーザは待合地点まで移動を開始できる。
【0025】
コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置、入出力部などを備える汎用のコンピュータである。コントローラ100は、取得部21、データベース23、出力部300と接続される。
【0026】
コントローラ100には、情報処理装置1として機能させるためのコンピュータプログラムがインストールされている。コンピュータプログラムを実行することにより、コントローラ100は情報処理装置1が備える複数の情報処理回路として機能する。
【0027】
なお、ここでは、ソフトウェアによって情報処理装置1が備える複数の情報処理回路を実現する例を示すが、もちろん、以下に示す各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。
【0028】
コントローラ100は、複数の情報処理回路として、候補算出部110と、経路算出部120と、コスト算出部130と、待合地点選出部140とを備える。
【0029】
候補算出部110は、ユーザの位置と車両の位置に基づいて、少なくとも1つ以上の待合地点候補を算出する。具体的には、候補算出部110は、ユーザの位置を含む地域(例えば、ユーザが徒歩で移動可能な範囲の領域)において、ユーザに配車される車両が停車可能な場所を検索し、当該停車可能な場所のうちユーザが車両に乗車するのに適した場所を抽出して待合地点候補とする。
【0030】
待合地点候補の算出方法はこれに限定されず、例えば、ユーザの位置を含む地域において、過去に配車された車両がユーザの乗降のために停車した場所を検索して、待合地点候補とするものであってもよい。その他、待合地点候補は、車両の位置から所定時間以内に車両が到達可能な場所、かつ、ユーザの位置を含む地域のうち、ユーザに配車される車両が停車可能な場所を検索し、当該停車可能な場所のうちユーザが車両に乗車するのに適した場所を抽出して待合地点候補とするものであってもよい。
【0031】
経路算出部120は、ユーザの位置から待合地点候補までユーザが移動する経路を算出する。具体的には、ユーザの位置を含む地域における地図情報等に基づいて、ユーザの位置から候補算出部110によって算出された待合地点候補まで、ユーザが移動することが可能な経路を算出する。経路算出部120による経路の算出は、待合地点候補ごとに行われる。経路算出部120による経路の算出は、1つの待合地点候補に対して、複数の経路が算出されるものであってもよい。
【0032】
なお、経路算出部120は、経路の算出の際、ユーザの位置を含む地域における地図情報等に基づいて、当該経路の通過しにくさを示すアクセス難易度を算出するものであってもよい。ここで「アクセス難易度」は、例えば、経路上に存在する右左折を行う地点、高低差のある区間、階段の区間、横断歩道などの、経路上のユーザの移動を妨げる障害の数や種別に応じて算出されるものである。経路上の障害の数が多いほど、アクセス難易度は大きな値として算出される。また、経路上の障害の種別に応じて、アクセス難易度への寄与度が変更されるものであってもよい。
【0033】
その他、経路算出部120は、アクセス難易度が所定閾値以下の経路のみを算出するものであってもよい。例えば、経路算出部120は、ユーザの位置を経路探索の開始点とする経路を、待合地点候補に向かって延長していく間、随時、経路のアクセス難易度を更新し、アクセス難易度が所定閾値を超えた場合、その時点で経路探索を終了するものであってもよい。
【0034】
また、経路算出部120は、経路が長いほど大きなアクセス難易度を算出するものであってもよい。経路が長いほど、ユーザは長い距離を移動する必要が生じ、経路を通過する際の負荷が増すと考えられるためである。
【0035】
その他、経路算出部120は、ユーザの属性情報に基づいて、ユーザごとに異なるアクセス難易度を設定するものであってもよい。例えば、ユーザの歩行速度が小さい場合のアクセス難易度と比較して、ユーザの歩行速度が大きい場合のアクセス難易度は小さく設定されるものであってもよい。
【0036】
コスト算出部130は、経路に沿った環境情報に基づいて、ユーザが経路を認識する難易度を示すコストを経路ごとに算出する。
【0037】
ユーザが経路を認識する難易度を示すコストとは、大まかにいえば、経路の出発地(ユーザの位置)又は経路上の地点において、ユーザが待合地点候補まで移動しようとしたときに迷う度合いと相関関係がある。例えば、ある経路をユーザに提示した際に、経路と合わせて表示される経路に沿った目印が視認しにくかったり、当該目印に類似する目印が複数あるなどして移動方向について混乱が生じやすかったりする場合には、当該経路について算出されるコストは大きな値となる。
【0038】
なお、経路算出部120は、経路算出部120によって算出された経路に対してコストを算出するため、待合地点候補自体の情報に基づいてコストを算出するものではない点に注意されたい。経路算出部120が算出するコストは、経路上を移動しようとするユーザが当該経路を誤りなく認識できるかどうかと関係するファクターであって、ユーザが待合地点候補自体を誤りなく認識できるかどうかと関係するファクターとは異なる。
【0039】
したがって、経路算出部120は、例えば、経路のうちユーザの位置から待合地点候補よりも手前の位置までの区間に沿った環境情報に基づいて経路ごとにコストを算出するものであってもよい。
【0040】
コスト算出部130によるコスト算出の具体例を説明する。まず初めに、経路算出部120は、アクセス難易度に基づいてコストを仮設定する。例えば、コスト算出部130は、アクセス難易度が大きいほどコストが大きくなるようコストを仮設定する。
【0041】
そして、コスト算出部130は、経路に沿った環境情報、ユーザの行動履歴、経路の長さ、ユーザの属性情報、経路について算出されたアクセス難易度などの情報に基づいて、仮設定されたコストを変更する必要があるかを判定する。
【0042】
例えば、経路算出部120は、ユーザの位置を含む地域における行動履歴に基づいて経路ごとにコストを算出するものであってもよい。特に、経路算出部120は、行動履歴に対応付けられた地点の数が経路上に多いほど、経路のコストを小さく設定するものであってもよい。
【0043】
より具体的には、コスト算出部130は、経路が通過する各点について、ユーザの行動履歴があるか否かを判定し、行動履歴がある地点が見つかるごとに、所定値をコストから減算し、最終的なコストを設定するものであってもよい。その他、コスト算出部130は、経路の出発地であるユーザの位置について、ユーザの行動履歴があるか否かを判定し、行動履歴がある場合に算出するコストを、行動履歴がない場合に算出するコストより小さく設定するものであってもよい。
【0044】
このようにコストを設定する理由は、行動履歴のある地点が経路上に多いほど、ユーザは当該経路の移動に際して迷いにくいと考えられるためである。
【0045】
また、経路算出部120は、経路に沿った興味ポイントに基づいて、ユーザが経路を認識する難易度を示すコストを経路ごとに設定するものであってもよい。特に、経路算出部120は、経路に沿った興味ポイントの数が多いほど、経路のコストを小さく設定するものであってもよい。より具体的には、コスト算出部130は、経路から所定範囲内にある興味ポイントを検索し、検索によって見つけられた興味ポイントの数に応じて所定値をコストから減算し、最終的なコストを設定するものであってもよい。
【0046】
このようにコストを設定する理由は、経路に沿った興味ポイントの数が多いほど、ユーザは当該経路を移動する際に興味ポイントを目印として移動することが容易になり、迷いにくいと考えられるためである。
【0047】
コスト算出部130は、経路に沿った興味ポイントごとに、興味ポイントの視認しやすさを示す指標値を算出し、算出した指標値が大きいほど、経路のコストを小さく設定するものであってもよい。この場合、コスト算出部130は、検索によって見つけられた興味ポイントに関する指標値の値をコストから減算し、最終的なコストを設定するものであってもよい。
【0048】
例えば、コスト算出部130は、興味ポイントと経路の間の距離、又は、ユーザの位置と興味ポイントの間の距離を環境情報に基づいて算出し、算出したこれらの距離に基づいて、興味ポイントの視認しやすさを示す指標値を定めてもよい。特に、コスト算出部130は、これらの距離が小さいほど、指標値を大きく設定するものであってもよい。
【0049】
また、コスト算出部130は、経路と興味ポイントの間に障害物があるか否かを判定し、障害物があると判定された場合の指標値よりも、障害物がないと判定された場合の指標値を大きく設定するものであってもよい。このようにコストを設定する理由は、経路に沿った興味ポイントが障害物で遮蔽されてしまうことにより、ユーザは当該経路を移動する際に興味ポイントを目印として移動することが困難となり、迷いやすくなると考えられるためである。
【0050】
待合地点選出部140は、コストに基づいて、ユーザと車両が待ち合わせる待合地点を待合地点候補から選出する。例えば、待合地点選出部140は、複数の待合地点候補のうち、コストが最小となる経路に係る待合地点候補を待合地点として選出するものであってもよい。
【0051】
また、待合地点選出部140は、複数の経路をコストが小さいものから順番に並べていき、コストが最小となる経路から順に所定個数の経路を選出し、選出された経路に係る待合地点候補を待合地点として選出するものであってもよい。すなわち、待合地点選出部140は、コストが小さい経路に係る待合地点候補ほど高い優先度を付して待合地点として選出するものであってもよい。
【0052】
なお、待合地点選出部140は、ユーザの移動距離の観点から、待合地点として選出された待合地点候補の再度の選出を行ってもよい。まず、待合地点選出部140は、選出された待合地点候補の中の一の待合地点候補(第1待合地点候補)と、それ以外の待合地点候補(第2待合地点候補)とを比較する。第1待合地点候補に係る経路の長さから第2待合地点候補に係る経路の長さを引いて得られる差分が、所定長さよりも大きい場合には、第1待合地点候補について、待合地点としての選出を解除するものであってもよい。
【0053】
第1待合地点候補に係る経路のコストが第2待合地点候補に係る経路のコストよりも小さい場合であっても、第1待合地点候補に係る経路は第2待合地点候補に係る経路と比較して許容できるレベル以上に移動の距離が長い場合には、ユーザの負担につながる可能性が高い。そのため、待合地点選出部140は、上述した条件で第1待合地点候補を待合地点として選出することを解除する。
【0054】
経路のコスト(アクセス難易度及びその他ユーザが経路を認識する難易度に関する指標を含む値)が小さいことを優先するか、経路自体の距離を優先するかは、ユーザによって異なる。そのため、上述した所定長さは、ユーザの属性情報に基づいて設定されるものであってもよい。
【0055】
[情報処理装置の処理手順]
次に、本実施形態に係る情報処理装置1の処理手順を、図2のフローチャートを参照して説明する。図2に示す情報処理装置1の処理は、ユーザの指示に基づいて開始されるものであってもよいし、所定の周期で繰り返し実行されるものであってもよい。その他、図2に示す情報処理装置1の処理は、配車リクエストに基づいてユーザに配車される車両が決定した後に開始されるものであってもよい。
【0056】
まず、ステップS103において、取得部21は、ユーザの位置の情報(位置情報)、ユーザの位置を含む地域の環境情報、行動履歴を取得する。
【0057】
ステップS105において、候補算出部110は、ユーザの位置と車両の位置に基づいて、少なくとも1つ以上の待合地点候補を算出する。
【0058】
ステップS107において、候補算出部110によって算出された待合地点候補のうち、経路算出部120は、まだ経路が算出されていない待合地点候補を選択する。
【0059】
ステップS109において、経路算出部120は、ユーザの位置から選択した待合地点候補までユーザが移動する経路を算出する。そして、ステップS111において、コスト算出部130は、経路算出部120が算出した経路に係るコストを算出する。
【0060】
ステップS113において、経路算出部120は、候補算出部110によって算出された全ての待合地点候補について経路が算出されたか否かを判定する。
【0061】
全ての待合地点候補について経路が算出されていないと判定された場合(ステップS113でNOの場合)、ステップS107に戻る。
【0062】
一方、全ての待合地点候補について経路が算出されていないと判定された場合(ステップS113でYESの場合)、ステップS115において、待合地点選出部140は、コストに基づいて、ユーザと車両が待ち合わせる待合地点を待合地点候補から選出する。
【0063】
その後、ステップS117において、出力部300は、ユーザと当該ユーザに配車される車両が待ち合わせる待合地点を出力する。すなわち、出力部300は、待合地点選出部140によって待合地点として選出された待合地点候補を出力する。
【0064】
[実施形態の効果]
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、ユーザの位置と車両の位置に基づいて、少なくとも1つ以上の待合地点候補を算出し、ユーザの位置から待合地点候補までユーザが移動する経路を算出し、経路に沿った環境情報に基づいて、ユーザが経路を認識する難易度を示すコストを経路ごとに算出し、コストに基づいて、ユーザと車両が待ち合わせる待合地点を待合地点候補から選出し、待合地点をユーザの端末に送信する。
【0065】
これにより、ユーザの出発地から待合地点までの経路を認識しやすく、ユーザがアクセスしやすい待合地点を提示することができる。また、ユーザが出発地から待合地点まで移動しようとする際に、出発地又は経路上でユーザが進むべき方向に迷うことが少なくなり、ユーザが待合地点に到達するのが遅くなってしまうことが抑制される。その結果、待合地点においてユーザに配車される車両がユーザを待って待機する可能性が減り、配車システム全体の効率が向上する。
【0066】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、コストが小さい経路に係る待合地点候補ほど高い優先度を付して待合地点として選出するものであってもよい。これにより、複数の待合地点が優先度付きで選出され、優先度の高い複数の待合地点の中から一つの待合地点を選択する自由度をユーザに与えることができる。また、システムが提案した優先度を参考にしつつ複数の待合地点同士の比較を行って、一つの待合地点を選択することができる。
【0067】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、経路のうちユーザの位置から待合地点候補よりも手前の位置までの区間に沿った環境情報に基づいて経路ごとにコストを算出するものであってもよい。特に、ユーザの位置を開始点とする所定範囲の区間での環境情報に基づいてコストが算出されるため、ユーザの位置に近い位置での環境情報がコストの算出に影響することになる。その結果、出発地においてユーザが進むべき方向に迷うことが少なくなり、ユーザが待合地点に到達するのが遅くなってしまうことが抑制される。
【0068】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、ユーザの位置を含む地域に含まれる地点に対応付けられる、ユーザの行動履歴を取得し、行動履歴に基づいて経路ごとにコストを算出するものであってもよい。行動履歴のある地点が経路上に多いほど、ユーザは当該経路の移動に際して迷いにくいと考えられ、ユーザの行動履歴をコストの算出に反映することができる。その結果、ユーザが経路を認識する難易度をより正確に示すコストを算出でき、ユーザにとってより適切な待合地点を待合地点候補から選出することができる。
【0069】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法において、経路のうちユーザの位置から待合地点候補よりも手前の位置までの区間に含まれる、行動履歴に対応付けられた地点の数が多いほど、経路に対して算出されるコストが小さいものであってもよい。これにより、ユーザの位置に近い位置での行動履歴がコストの算出に影響することになる。その結果、出発地においてユーザが進むべき方向に迷うことが少なくなり、ユーザが待合地点に到達するのが遅くなってしまうことが抑制される。
【0070】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、待合地点として選出された待合地点候補の中の第1待合地点候補に係る第1経路と、第1待合地点候補とは異なる待合地点候補の中の第2待合地点候補に係る第2経路に対して、第1経路の長さから第2経路の長さを引いた差分が所定長さよりも大きい場合には、第1待合地点候補を待合地点として選出することを解除するものであってもよい。さらに、所定長さは、ユーザの属性情報に基づいて設定されるものであってもよい。
【0071】
これらにより、経路に係るコストが小さいことから経路の認識の難易度が小さいが、経路上の移動距離が長いためにユーザに負荷がかかってしまうような待合地点が選出されてしまうことを抑制できる。その結果、ユーザの利便性が向上する。
【0072】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法において、環境情報は、地域に存在するユーザの興味のある地点である興味ポイントの情報を含むものであってもよい。これにより、経路を移動する際の目印となりうる興味ポイントの情報に基づいて、コストを算出することができる。その結果、ユーザが経路を認識する難易度をより正確に示すコストを算出でき、ユーザにとってより適切な待合地点を待合地点候補から選出することができる。
【0073】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、経路に沿った興味ポイントの数が多いほど、経路に対して算出されるコストを小さく設定するものであってもよい。これにより、ユーザが経路を認識する難易度をより正確に示すコストを算出できる。
【0074】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、興味ポイントの視認しやすさを示す指標値を算出し、指標値が大きいほど、経路に対して算出されるコストを小さく設定するものであってもよい。また、経路と興味ポイントの間の距離、又は、ユーザの位置と興味ポイントの間の距離が小さいほど、指標値を大きく設定するものであってもよい。
【0075】
さらには、経路と興味ポイントの間に障害物があるか否かを判定し、障害物があると判定された場合の指標値よりも、障害物がないと判定された場合の指標値の方を大きく設定するものであってもよい。
【0076】
これらにより、経路を移動する際の目印の視認性をコストの計算に反映させることができ、ユーザが経路を認識する難易度をより正確に示すコストを算出できる。
【0077】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、経路の通過しにくさを示すアクセス難易度を算出し、アクセス難易度が大きいほど、経路に対して算出されるコストを大きく設定するものであってもよい。これにより、経路の通過しにくさを加味して待合地点の選出を行うことができ、ユーザにとってより適切な待合地点を待合地点候補から選出することができる。
【0078】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、経路の通過しにくさを示すアクセス難易度を算出し、アクセス難易度が所定閾値以下の経路のみを算出するものであってもよい。これにより、ユーザにとって通過の負荷が高い経路に係る待合地点が選出されてしまう可能性を低減できる。さらには、所定閾値よりも大きなアクセス難易度を有する経路を計算対象から除外することができ、計算負荷を低減することができる。
【0079】
また、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、経路における、右左折の数、高低差、階段の数、横断歩道の数の少なくともいずれかに基づいてアクセス難易度を算出するものであってもよい。これにより、経路の通過しにくさを加味して待合地点の選出を行うことができ、ユーザにとってより適切な待合地点を待合地点候補から選出することができる。
【0080】
さらに、本実施形態に係る情報処理装置及び情報処理方法は、待合地点を情報端末に送信し、情報端末は、受信した待合地点に関する情報を、音声データ又は画像データによってユーザに提示するものであってもよい。これにより、ユーザは、待合地点に関する情報を認識し、待合地点まで移動を開始できる。
【0081】
上述の実施形態で示した各機能は、1又は複数の処理回路によって実装されうる。処理回路には、プログラムされたプロセッサや、電気回路などが含まれ、さらには、特定用途向けの集積回路(ASIC)のような装置や、記載された機能を実行するよう配置された回路構成要素なども含まれる。
【0082】
以上、実施形態に沿って本発明の内容を説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変形及び改良が可能であることは、当業者には自明である。この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0083】
本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0084】
1 情報処理装置
21 取得部
23 データベース
100 コントローラ
110 候補算出部
120 経路算出部
130 コスト算出部
140 待合地点選出部
300 出力部
図1
図2