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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】ワーク供給装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 43/00 20060101AFI20240712BHJP
   B21D 5/02 20060101ALI20240712BHJP
   B30B 15/00 20060101ALI20240712BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20240712BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20240712BHJP
   B23Q 7/00 20060101ALI20240712BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B21D43/00 J
B21D5/02 V
B30B15/00 C
B23Q7/04 A
B23Q11/08 Z
B23Q7/00 J
B25J13/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020190282
(22)【出願日】2020-11-16
(65)【公開番号】P2022079224
(43)【公開日】2022-05-26
【審査請求日】2023-08-14
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】居駒 周
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-56467(JP,A)
【文献】特開2002-153929(JP,A)
【文献】国際公開第2018/190335(WO,A1)
【文献】特開2001-139170(JP,A)
【文献】国際公開第2013/186915(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 43/00
B21D 5/02
B30B 15/00
B23Q 7/04
B23Q 11/08
B23Q 7/00
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列毎に独立して平行に移動し、供給先に供給するワークがそれぞれ載置される複数列のワーク載置台と、
前記複数列中の隣り合う2列のうち少なくとも一方の列の前記ワーク載置台に設けられ、前記隣り合う2列のうち他方の列の前記ワーク載置台を連結する連結部材が取り付け及び取り外しされる連結部材取付部と、
を備え、
前記一方の列のワーク載置台は、前記連結部材取付部に対する前記連結部材の取り付けにより、前記ワーク載置台の移動方向において、前記他方の列のワーク載置台に対する相対移動を規制される、
ワーク供給装置。
【請求項2】
前記連結部材取付部に、前記他方の列のワーク載置台に一体に設けられた前記連結部材が取り付け及び取り外しされる請求項1に記載のワーク供給装置。
【請求項3】
各列の前記ワーク載置台は、シャッタにより仕切られた外側領域及び内側領域の間を、前記シャッタが開いた際に形成される通路を通ってそれぞれ平行に移動し、各列の前記ワーク載置台は、前記内側領域において前記ワークを加工機に受け渡すワーク供給ロボットを前記供給先として、前記外側領域において前記ワーク載置台に載置されたワークを供給する請求項1又は2に記載のワーク供給装置。
【請求項4】
各列の前記ワーク載置台のうち少なくとも前記連結部材取付部を有する前記ワーク載置台に設けられ、前記ワーク載置台に載置された前記ワークを前記ワーク載置台の列方向に位置決めする使用箇所と前記列方向において前記ワーク載置台に載置された前記ワークと干渉しない収納箇所との間で移動する位置決め部材をさらに備える請求項1~3のいずれか1項に記載のワーク供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを加工機で加工するワーク加工システムにおいて、ワーク供給ロボットが加工機にワークを受け渡すものが知られている。この種のワーク加工システムでは、ワーク供給ロボットの動作範囲から作業員を隔離することで、作業員の安全性の向上を図ることができる。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、ワーク供給ロボットにワークを供給するワーク供給装置の供給経路上に開閉可能なシャッタを配置し、シャッタの内側でワーク供給ロボットを動作させている。
【0004】
この技術では、閉じたシャッタの外側で、作業員がワーク供給装置のワーク載置台にワークを載置し位置決めする。ワーク供給装置は、シャッタが開いているときに、開いたシャッタに臨む複数のワーク載置台をシャッタの外側領域から内側領域に移動させる。ワーク供給ロボットは、閉じたシャッタの内側で、各ワーク載置台上のワークを加工機に順次供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-56467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、ワークがワーク載置台からはみ出すと隣のワーク載置台と干渉する可能性があるので、ワーク供給装置を用いてワーク供給ロボットに供給するワークの大きさを制限する必要がある。
【0007】
本発明の目的は、ワーク載置台からはみ出す大型のワークでも隣のワーク載置台との干渉を起こさないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明の1つの態様に係るワーク供給装置は、
加工機により加工するワークを供給する複数のワーク載置台と、
前記複数のワーク載置台のうち、前記各ワーク載置台の移動方向が平行に並ぶ並び方向における自身の隣において他の前記ワーク載置台が移動する一部の前記ワーク載置台に少なくとも設けられ、前記他のワーク載置台と連結する連結部材が着脱される連結部材取付部と、
を備え、
前記一部のワーク載置台は、前記連結部材取付部に取り付けられた前記連結部材により、前記他のワーク載置台に対する前記移動方向への相対移動を規制される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ワーク載置台からはみ出す大型のワークでも隣のワーク載置台との干渉を起こさないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係るワーク供給装置を備えるワーク加工システムの概略構成を示す斜視図である。
図2図2は、図1のワーク供給装置を拡大して示す平面図である。
図3図3は、図2のワーク載置台を拡大して示す斜視図である。
図4A図4Aは、図3の位置決め部の位置決め部材を使用箇所に進出させたワーク載置台を模式的に示す側面図である。
図4B図4Bは、図3の位置決め部の位置決め部材を収納箇所に退避させたワーク載置台を模式的に示す側面図である。
図5A図5Aは、図3の位置決め部の位置決め部材を使用箇所に進出させたワーク載置台を模式的に示す平面図である。
図5B図5Bは、図3の位置決め部の位置決め部材を収納箇所に退避させたワーク載置台を模式的に示す平面図である。
図6図6は、図5Aの隣り合う2つのワーク載置台を連結部材取付部に取り付けた連結部材で連結した状態を示す要部拡大斜視図である。
図7図7は、図6の連結した2つのワーク載置台に跨がる大きさのワークを載置した状態を模式的に示す図である。
図8A図8Aは、図2のワークを載置したワーク載置台がシャッタの通路を通って外側領域から内側領域に移動した状態を示す図である。
図8B図8Bは、2つ連結して図7の大型のワークを載置したワーク載置台がシャッタの通路を通って外側領域から内側領域に移動した状態を示す図である。
図9A図9Aは、本発明の第2実施形態に係るワーク供給装置における位置決め板を取り付けて使用箇所に進出させたワーク載置台を模式的に示す斜視図である。
図9B図9Bは、本発明の第2実施形態に係るワーク供給装置における位置決め板を取り外したワーク載置台を模式的に示す斜視図である。
図10A図10Aは、本発明の第3実施形態に係るワーク供給装置における位置決め部材を使用箇所に進出させたワーク載置台を模式的に示す斜視図である。
図10B図10Bは、本発明の第3実施形態に係るワーク供給装置における位置決め部材を収納箇所に退避させたワーク載置台を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一あるいは同等の部位、又は構成要素には、同一の符号を付している。
【0012】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものである。この発明の技術的思想は、各構成要素の材質、形状、構造、配置、機能等を下記のものに特定するものでない。
【0013】
[第1実施形態]
図1に示すワーク加工システム1は、加工機3、ワーク供給ロボット5、ワーク供給装置7、シャッタ9及びワーク排出装置11を有している。
【0014】
加工機3は、後述のワークW(図2図7参照)を加工する。加工機3は、ワークWに対する加工を1つずつ又は複数同時に行うことができる。加工機3が行う加工は種々のものであってよい。本実施形態では、ワークWが板金であるものとする。
【0015】
板金のワークWを加工する加工機3は、例えば、プレスブレーキ、しごき曲げ機等の折り曲げ加工機とすることができる。また、加工機3は、例えば、剪断加工用のプレス機械、タッピング加工を行うタッピングマシン等であってもよい。
【0016】
ワーク供給ロボット5は、ワーク供給ロボット5の後方の加工機3にワークWを供給する。ワーク供給ロボット5は、加工機3の前方に配置したガイド13上を加工機3に沿って左右方向に移動することができる。以後、ワーク加工システム1の左右方向、前後方向、上下方向に、それぞれX,Y,Zの符号を付して説明する。
【0017】
ワーク供給ロボット5は、例えば、旋回可能な多関節アームを有する公知のアーム式ロボットを含んで構成することができる。ワーク供給ロボット5は、ガイド13上の移動範囲と多関節アームの動作範囲とで定まる動作範囲内で動作することができる。
【0018】
ワーク供給ロボット5は、後述するワーク供給装置7によりワークWが供給される供給先である。ワーク供給ロボット5は、ワーク供給装置7から供給されるワークWを保持し、保持したワークWを予め決められた姿勢で加工機3に受け渡して、ワークWの加工を補助することができる。また、ワーク供給ロボット5は、加工機3による加工済のワークWをワーク排出装置11に移送することができる。
【0019】
ワーク供給装置7は、ワーク供給ロボット5にワークWを供給する。図2に示すように、ワーク供給装置7は、ベース部材15上を移動する複数列のワーク載置台19を有している。
【0020】
各列のワーク載置台19は、各ワーク載置台19にそれぞれ対応する不図示のレールに沿って移動することができる。各列のレールは、ベース部材15の上面に配置されている。各列のレールは前後方向Yにそれぞれ存在している。各列のレールは、左右方向Xに間隔をおいて互いに平行に配置されている。これらのレールにより、各ワーク載置台19は、ベース部材15上を前後方向Yにそれぞれ移動することができる。つまり、ワーク供給装置7は、前後方向Y(移動方向)にそれぞれ移動するワーク載置台19を、左右方向X(列方向)に複数列有している。各列のワーク載置台19は、独立して互いに平行に移動する。
【0021】
各ワーク載置台19は、床板21及び壁板23をそれぞれ有している。床板21には、ワーク供給ロボット5に供給するワークWを載置することができる。各ワーク載置台19が前後方向Yにおいて同じ位置に位置しているときに、それぞれの床板21は同一平面上に配置される。
【0022】
本実施形態のワーク供給装置7は、ワーク載置台19を4つ有している。4つのワーク載置台19は、左側と右側の2つの組に分かれている。各組は、2つのワーク載置台19,19をそれぞれ有している。2つのワーク載置台19,19は、左側の組と右側の組とで同じ構成である。各組の2つのワーク載置台19,19の詳しい構成を、左側の組を例に取って説明する。
【0023】
図3に示すように、組内の各ワーク載置台19の床板21は、加工機3に近い後端側が前端側よりも低い位置となるように傾斜している。床板21には、ワーク載置台19によってワーク供給ロボット5に供給するワークWが載置される。
【0024】
組内の各ワーク載置台19の壁板23は、床板21の後端から立設されている。壁板23は、床板21に近い下端側よりも上端側の方が加工機3に近くなるように傾斜している。床板21は、床板21上のワークWを自重で壁板23側に移動させることができる。ワークWを壁板23に突き当てると、床板21上のワークWを前後方向Yに位置決めすることができる。
【0025】
組内で一方の列に配置されるワーク載置台19は、図3の一番左側に示すワーク載置台19のように、位置決め板25を有している。位置決め板25は、壁板23の左側の端部に固定されている。位置決め板25の一部は、壁板23よりも床板21側(前方)に延出している。位置決め板25の延出部分に床板21上のワークWを突き当てると、ワークWを左右方向Xに位置決めすることができる。
【0026】
組内で他方の列に配置されるワーク載置台19は、図3の左から2番目に示すワーク載置台19のように、位置決め板25に代わる位置決め部27を有している。位置決め部27は、図4Aに模式的に示すように、取付板29及び位置決め部材31を有している。取付板29は、壁板23の左側の端部に固定されている。取付板29は、壁板23から加工機3側(後方)の部分に配置されている。位置決め部材31は、ヒンジ33を介して取付板29に取り付けられている。ヒンジ33の軸35は、左右方向Xに配置されている。位置決め部材31は取付板29に対して、ヒンジ33の軸35の周りに回転させることができる。なお、図4A及び後に参照する図4Bでは、床板21及び壁板23の傾斜の図示を省略している。
【0027】
位置決め部材31を壁板23側に回転させて起こすと、図4Aに示すように、位置決め部材31は取付板29の前端に当接し、取付板29の前方に一直線上に並んだ使用箇所P1に配置される。使用箇所P1の位置決め部材31の少なくとも一部は、壁板23よりも床板21側(前方)に配置される。使用箇所P1の位置決め部材31に床板21上のワークWを突き当てると、ワークWを左右方向Xに位置決めすることができる。位置決め部材31は、不図示の回転規制機構により使用箇所P1に保持することができる。
【0028】
位置決め部材31を床板21側に回転させて倒すと、位置決め部材31は、図4Bに模式的に示すように、床板21の外側を通過し床板21のワーク載置面(図4B中の上面)よりも下方の収納箇所P2に配置される。収納箇所P2に配置された位置決め部材31は、床板21のワークWと干渉しない。位置決め部材31は、不図示の回転規制機構により収納箇所P2に保持することができる。
【0029】
各ワーク載置台19は、ワーク供給ロボット5の動作範囲を含む図2の内側領域37とその外側の外側領域39との間を、対応する各レールに沿って独立して移動することができる。作業員は、外側領域39において、レールの前端に移動した各ワーク載置台19にワークWを載置することができる。ワーク供給ロボット5は、内側領域37において、レールの後端に移動した各ワーク載置台19からワークWを受け取ることができる。
【0030】
各ワーク載置台19を対応する各レールに沿ってそれぞれ移動させる機構は、例えば、リニアガイドを用いて構成することができる。リニアガイドは、駆動源を有していてもよい。駆動源には、例えば、モータ及びスプライン機構、シリンダ等を用いることができる。リニアガイドに駆動源を設ける場合、ワーク載置台19は、例えば、床板21の前方に延出する操作レバー41の操作で移動を開始し、リニアガイドの終端で不図示のセンサがワーク載置台19を検出すると移動を停止する構成とすることができる。
【0031】
シャッタ9は、各ワーク載置台19の前後方向Yへの移動範囲における内側領域37と外側領域39との境界位置に配置されて、内側領域37と外側領域39とを仕切っている。図2に示すように、シャッタ9は、左右方向Xにスライドする2枚の引き戸42,42を有している。
【0032】
シャッタ9は、各引き戸42を左右に分かれるようにスライドさせると、各ワーク載置台19が内側領域37と外側領域39との間を移動するための通路44を閉じる。シャッタ9は、各引き戸42を左右のどちらか一方に重なるようにスライドさせると、通路44の左側か右側のどちらか半分を開くことができる。
【0033】
シャッタ9は、ワーク載置台19がワーク供給ロボット5にワークWを供給するときを除いて、図2に示すように閉じており、ワーク載置台19の通路44を内側領域37と外側領域39との境界において遮断する。シャッタ9が通路44を遮断することで、ワーク載置台19にワークWを載置する外側領域39の作業員が、ワーク供給ロボット5の動作範囲を含む内側領域37から隔離される。この隔離により、作業員の安全性の向上を図ることができる。
【0034】
図1に示すワーク排出装置11は、ワーク供給装置7が加工機3から移送した加工済のワークWを、例えば、ベルトコンベアによって、ワーク加工システム1から排出することができる。
【0035】
以上の構成を有するワーク加工システム1は、ワーク載置台19の外側領域39とワーク排出装置11の終端部分を除く全体を、作業員の侵入を抑制する安全柵SFで囲んでいる。シャッタ9は安全柵SFの一部として構成することができる。
【0036】
ワーク加工システム1では、シャッタ9が開いて通路44を形成している間に、ワークWを床板21に載置した各ワーク載置台19を外側領域39から内側領域37に個々に移動させ、ワーク供給ロボット5にワークWを供給することができる。但し、床板21に載置したワークWが隣の列のワーク載置台19と干渉すると、ワーク供給装置7によるワークWのワーク供給ロボット5への供給に支障が生じる可能性がある。
【0037】
そこで、本実施形態では、加工機3で加工するワークWが、ワーク載置台19の床板21に載置すると隣の列のワーク載置台19と干渉する場合は、各組において、隣り合う2列のワーク載置台19,19の床板21,21に跨がってワークWを載置する。そして、隣り合う2列のワーク載置台19,19を、外側領域39から内側領域37に一体で移動させる。
【0038】
隣り合う2列のワーク載置台19,19を一体で移動させるために、本実施形態のワーク供給装置7では、各組の2つのワーク載置台19,19に、図5Aに示すように、それぞれの床板21,21に跨がる連結部43を設けている。
【0039】
連結部43は、各ワーク載置台19の床板21にそれぞれ形成した連結部材取付部45,47を有している。一方の床板21の連結部材取付部45は、他方の床板21側の縁部に形成された凹型溝49と、凹型溝49の底面から立設された取付ボルト51とを有している。他方の床板21の連結部材取付部47は、一方の床板21側の縁部に形成された凹型溝53と、凹型溝53の底面から立設された2つの取付ボルト55,55とを有している。凹型溝49,53及び取付ボルト51,55,55は、それぞれの床板21のワーク載置面に露出している。
【0040】
図5Bに示すように、各連結部材取付部45,47には、図中の右側に示すワーク載置台19の位置決め部材31を手前に倒して図4Bに示す収納箇所P2に配置した状態で、両床板21,21に跨がる連結部材57が取り付けられる。位置決め部材31の板厚は、両床板21,21間の隙間Cよりも薄い。収納箇所P2に配置した位置決め部材31は、隣の床板21と干渉することなく隙間Cに配置される。
【0041】
図6に示すように、連結部材57は、隙間Cを挟んで対向する両床板21,21の凹型溝49,53の形状に対応する輪郭の板材で形成されている。連結部材57は、連結部材取付部45,47の取付ボルト51及び取付ボルト55,55に対応する丸孔59及び長孔61を有している。丸孔59は、長孔61の長手方向における延長線上に配置されている。
【0042】
連結部材57を凹型溝49,53の中に配置すると、凹型溝49の取付ボルト51が丸孔59に挿通され、凹型溝53の2つの取付ボルト55,55が長孔61の長手方向両端付近にそれぞれ挿通される。
【0043】
丸孔59及び長孔61は内周面に段差(図示せず)を有している。連結部材57は、丸孔59の取付ボルト51及び長孔61の取付ボルト55,55にそれぞれナットを取り付けて、丸孔59及び長孔61の段差に係止させることで、凹型溝49,53の中に配置された状態で各床板21にそれぞれ固定することができる。
【0044】
また、例えば、取付ボルト51,55,55に代えて凹型溝49,53の底面から立設したピンを、丸孔59及び長孔61にそれぞれ圧入させても、連結部材57を各床板21にそれぞれ固定することができる。この場合は、丸孔59及び長孔61の内周面の段差を省略してもよい。
【0045】
連結部材57は、長孔61内の2箇所とその延長線上の丸孔59内の1箇所との計3箇所で、各床板21の連結部材取付部45,47に固定される。連結部材57を連結部材取付部45,47に固定すると、連結部材取付部45を形成した床板21と、連結部材取付部47を形成した床板21とが、連結部材57によって連結される。床板21同士が連結された各組の2つのワーク載置台19,19は、それぞれに対応するレール上を一体となって移動することができる。
【0046】
連結部材57は、長孔61及びその長手方向の延長線上にある丸孔59において、対応する取付ボルト51,55,55を介して各床板21に固定される。つまり、各床板21に対する連結部材57の3つの固定箇所は一直線上に配置される。よって、連結部材57で連結された両床板21,21は、一方の他方に対する位置が前後方向Yにずれる方向への相対移動を、連結部材57によって規制される。この規制により、両床板21,21を連結した状態で2つのワーク載置台19,19がレールに沿って移動する際に、両床板21,21a間に水平面内での捻れ方向の応力が加わりにくくすることができる。
【0047】
なお、連結部材57は、両床板21,21の凹型溝49,53の深さ以下の板厚で形成されている。よって、両床板21,21に固定された連結部材57は、各床板21のワーク載置面よりも上方に突出せず、床板21上のワークWとは干渉しない。
【0048】
隣り合う2列のワーク載置台19,19の床板21同士を連結部材57で連結すると、図7に模式的に示すように、連結部材57及び収納箇所P2の位置決め部材31と干渉せずに、大型のワークWを2つの床板21,21に跨がって載置することができる。載置した大型のワークWは、両ワーク載置台19,19の壁板23に突き当てて前後方向Yに位置決めすることができ、かつ、図中左側のワーク載置台19の位置決め板25に突き当てて左右方向Xに位置決めすることができる。
【0049】
加工機3で加工するワークWが、ワーク載置台19の床板21に載置しても隣の列のワーク載置台19と干渉しない大きさである場合は、図4Aに示すように、位置決め部27を有するワーク載置台19の位置決め部材31を起こし、使用箇所P1に配置する。そして、各列のワーク載置台19の床板21にワークWをそれぞれ載置する。さらに、載置したワークWを壁板23と位置決め板25及び位置決め部材31とに突き当てて、床板21上でワークWを前後方向Y及び左右方向Xに位置決めする。
【0050】
また、図8Aに示すように、引き戸42が開いてシャッタ9に形成された通路44に対応する組の2列のワーク載置台19,19を、ワークWを載置したまま外側領域39から内側領域37にそれぞれ移動させる。そして、レールの後端に移動したワーク載置台19のワークWを、ワーク供給ロボット5により加工機3に供給させる。
【0051】
加工機3で加工するワークWが、ワーク載置台19の床板21に載置すると隣のワーク載置台19と干渉する大きさである場合は、図4Bに示すように、位置決め部27を有するワーク載置台19の位置決め部材31を倒し、収納箇所P2に配置する。そして、2列のワーク載置台19,19の床板21,21同士を連結部材57で連結し、連結した2つの床板21,21に跨がってワークWを載置する。さらに、載置したワークWを両ワーク載置台19の壁板23及び一方のワーク載置台19の位置決め板25に突き当てて、連結した2つの床板21,21上でワークWを前後方向Y及び左右方向Xに位置決めする。
【0052】
また、図8Bに示すように、引き戸42が開いてシャッタ9に形成された通路44に対応する組の2列のワーク載置台19を、連結した2つの床板21,21に跨がってワークWを載置したまま、外側領域39から内側領域37に一体で移動させる。そして、レールの後端に移動した2列のワーク載置台19に跨がって載置したワークWを、ワーク供給ロボット5により加工機3に供給させる。
【0053】
本実施形態のワーク供給装置7では、隣の列のワーク載置台19と干渉しない大きさのワークWの場合は、各列のワーク載置台19でワークWをそれぞれワーク供給ロボット5に供給させることができる。また、隣のワーク載置台19と干渉する大きさのワークWの場合は、ワークWの大きさに合わせてワーク載置台19を大きくしなくても、連結した2列のワーク載置台19,19で1つのワークWをワーク供給ロボット5に供給させることができる。よって、ワーク供給装置7、ひいては、ワーク加工システム1を大型化しなくても、ワーク加工システム1で取り扱えるワークWの大きさのレンジを拡げることができる。
【0054】
また、隣の列のワーク載置台19と干渉する大きさのワークWに合わせてワーク載置台19を大きくすると、ワーク加工システム1あるいはワーク供給装置7の設置スペースが広がらない限り、ワーク載置台19の設置台数を減らさなければならなくなる。しかし、本実施形態のワーク供給装置7では、小さいワークWを加工機3に供給する際には、連結部材57を外して床板21同士の連結を解消することができる。床板21同士の連結を解消すれば、2つのワーク載置台19を個別にワークWの供給に使える状態に戻して、加工機3によるワークWの加工の生産性を高いレベルに戻すことができる。
【0055】
したがって、ワークWの大きさと、ワークWの加工について要求される生産性の高さとを考慮して、2つのワーク載置台19,19を連結するパターンと、連結しないパターンとを使い分けるといった運用を行うことができる。
【0056】
[第2実施形態]
第2実施形態に係るワーク供給装置7では、組内で他方の列に配置されるワーク載置台19に、図3の左から2番目に示すワーク載置台19の位置決め部27の代わりに、図9Aに模式的に示す、着脱式の位置決め部材63を設けている。位置決め部材63は、図9Bに模式的に示すように、ねじ止め及びその解消等により、壁板23の左側の端部に取り付け、また、左側の端部から取り外すことができる。
【0057】
加工機3で加工するワークWが、ワーク載置台19の床板21に載置しても隣の列のワーク載置台19と干渉しない大きさである場合は、図9Aに示すように、位置決め部材63を壁板23の左側の端部に取り付けて、使用箇所P1に配置する。そして、各列のワーク載置台19の床板21にワークWをそれぞれ載置する。さらに、載置したワークWを壁板23と位置決め板25及び位置決め部材63とに突き当てて、床板21上でワークWを前後方向Y及び左右方向Xに位置決めする。
【0058】
加工機3で加工するワークWが、ワーク載置台19の床板21に載置すると隣のワーク載置台19と干渉する大きさである場合は、図9Bに示すように、壁板23の左側の端部から位置決め部材63を取り外す。そして、2列のワーク載置台19,19の床板21,21同士を連結し、連結した2つの床板21,21に跨がってワークWを載置する。さらに、載置したワークWを両ワーク載置台19の壁板23及び一方のワーク載置台19の位置決め板25に突き当てて、連結した2つの床板21,21上でワークWを前後方向Y及び左右方向Xに位置決めする。
【0059】
なお、2列のワーク載置台19,19の床板21、21同士は、例えば、第1実施形態の連結部43の構成を適用して連結することができる。
【0060】
第2実施形態のワーク供給装置7でも、第1実施形態のワーク供給装置7と同様の効果を得ることができる。
【0061】
[第3実施形態]
第3実施形態に係るワーク供給装置7では、組内で他方の列に配置されるワーク載置台19に、第2実施形態の位置決め部材63の代わりに、図10Aに模式的に示す、スライド式の位置決め部65を設けている。位置決め部65は、取付板67、一対のガイド板69,69、及び、位置決め部材としてのスライド板71を有している。
【0062】
取付板67は、壁板23の左側の端部に固定されている。取付板67は、壁板23から加工機3側(後方)の部分に配置されている。
【0063】
一対のガイド板69,69は、上下方向Zにおける取付板67の両端に取り付けられて互いに対向している。各ガイド板69は、スライド板71の移動をガイドするガイド孔73をそれぞれ有している。また、各ガイド板69の輪郭の一部は、ガイド孔73に対応する形状のガイド面75を構成している。
【0064】
スライド板71は、一対の支持片77,77を有している。一対の支持片77,77は、上下方向Zにおけるスライド板71の両端に対向して配置されており、上下方向Zにおける一対のガイド板69,69の内側にそれぞれ配置されている。各支持片77のガイド板69に対向する面には、2本のガイドピン79,81がそれぞれ突設されている。ガイドピン79はガイド板69のガイド孔73に挿通されている。ガイドピン81は、ガイド板69のガイド面75に当接している。
【0065】
スライド板71は、例えば、ガイドピン79,81がガイド孔73及びガイド面75に倣って移動するように、ハンドル83を握ってスライドさせることができる。このスライドにより、スライド板71は、図10Aに示す使用箇所P1と図10Bに示す収納箇所P2との間で、取付板67をよけながら移動することができる。
【0066】
使用箇所P1のスライド板71は、壁板23よりも床板21側(前方)に配置される。使用箇所P1の位置決め部材31に床板21上のワークWを突き当てると、ワークWを左右方向Xに位置決めすることができる。収納箇所P2のスライド板71は、取付板67の外側の、壁板23から加工機3側(後方)の部分に配置される。
【0067】
加工機3で加工するワークWが、ワーク載置台19の床板21に載置しても隣のワーク載置台19と干渉しない大きさである場合は、図10Aに示すように、位置決め部65を有するワーク載置台19のスライド板71を使用箇所P1にスライドさせる。そして、各列のワーク載置台19の床板21にワークWをそれぞれ載置する。さらに、載置したワークWを壁板23と位置決め板25及びスライド板71とに突き当てて、床板21上でワークWを前後方向Y及び左右方向Xに位置決めする。
【0068】
加工機3で加工するワークWが、ワーク載置台19の床板21に載置すると隣のワーク載置台19と干渉する大きさである場合は、図10Bに示すように、位置決め部65を有するワーク載置台19のスライド板71を収納箇所P2にスライドさせる。そして、2列のワーク載置台19,19の床板21,21同士を連結し、連結した2つの床板21,21に跨がってワークWを載置する。さらに、載置したワークWを両ワーク載置台19の壁板23及び一方のワーク載置台19のスライド板71に突き当てて、連結した2つの床板21,21上でワークWを前後方向Y及び左右方向Xに位置決めする。
【0069】
なお、2つのワーク載置台19,19の床板21,21同士は、例えば、第1実施形態の連結部43の構成を適用して連結することができる。
【0070】
第3実施形態のワーク供給装置7でも、第1実施形態のワーク供給装置7と同様の効果を得ることができる。
【0071】
[変形例]
上述した各実施形態では、ワーク載置台19が外側領域39から内側領域37に移動して、外側領域39で載置されたワークWを内側領域37でワーク供給ロボット5に供給する構成としている。この構成では、ワーク載置台19に対するワークWの載置作業を、ワーク供給ロボット5によるワークWの加工機3への受け渡しを止めずに行える。よって、加工機3によるワークWの加工の生産性を高いレベルに保持することができる。
【0072】
また、各実施形態において、各組のワーク載置台19は、全て、位置決め部27,65又は位置決め部材63を有する図3の右側に示すワーク載置台19としてもよい。
【0073】
さらに、各組のワーク載置台19は、3列以上であってもよい。例えば、第1実施形態のワーク供給装置7において、図2の各組にワーク載置台19を追加する場合は、図3の右側に示すワーク載置台19の右側に、位置決め部27を有するワーク載置台19の列をさらに配置すればよい。この場合、さらに配置するワーク載置台19と右側のワーク載置台19との間に、右側のワーク載置台19と左側のワーク載置台19との間隔と同じ間隔を開ける。第2及び第3実施形態のワーク供給装置7でも同様に、図3の右側に示すワーク載置台19の右側に、位置決め部材63又は位置決め部65を有するワーク載置台19の列をさらに配置すればよい。
【0074】
各組に3列以上のワーク載置台19を設ける場合は、隣り合う列のワーク載置台19を何列に亘って連結して使用するかを、ワークWの大きさ等に応じて変えることができる。
【0075】
また、ワーク供給装置7によるワークWの供給先は、必ずしもワーク供給ロボット5である必要はなく、ワーク載置台19上のワークWを受け渡しできる相手であれば、ワーク供給ロボット5以外の相手がワークWの供給先であってもよい。さらに、隣り合う2列のワーク載置台19,19を連結するのに用いる連結部材57は、一方の列のワーク載置台19の床板21に固定され、あるいは、床板21と一体に形成されたものでもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 ワーク加工システム
3 加工機
5 ワーク供給ロボット
7 ワーク供給装置
9 シャッタ
19 ワーク載置台
21 床板
23 壁板
31,63 位置決め部材
37 内側領域
39 外側領域
43 連結部
44 通路
45,47 連結部材取付部
57 連結部材
71 スライド板(位置決め部材)
P1 使用箇所
P2 収納箇所
W ワーク
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B