(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】復水器の洗浄システム及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
F28G 1/12 20060101AFI20240712BHJP
B08B 9/055 20060101ALI20240712BHJP
F28F 27/00 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
F28G1/12 A
B08B9/055 552
F28F27/00 511G
(21)【出願番号】P 2020191859
(22)【出願日】2020-11-18
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀田 克広
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 正彦
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-101022(JP,A)
【文献】特公平04-074637(JP,B2)
【文献】特開2003-121095(JP,A)
【文献】特開昭62-129697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28G 1/00 - 15/10
B08B 1/00 - 13/00
F28F 27/00
F28B 1/00 - 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
復水器の洗浄システムであって、
前記復水器の性能を検出する性能検出装置と、
前記復水器に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボールを供給するとともに前記復水器を通過した前記複数の洗浄ボールを回収することにより前記復水器の洗浄を行う洗浄ボール供給回収装置と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記復水器の洗浄の前における前記性能検出装置による検出値である洗浄前性能と、前記復水器の洗浄の後における前記性能検出装置による検出値である洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断
し、
前記制御装置は、前記復水器の運転データに基づいて、前記洗浄の開始を判断するための前記復水器の性能に関する基準値を算出し、前記性能検出装置による検出値が前記基準値以下となったら、前記洗浄ボール供給回収装置を起動して前記復水器の洗浄を開始し、
前記制御装置は、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも低い又は同じ場合は前記洗浄性能が低下した可能性があると判断し、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも高いが前記基準値以下の場合は前記復水器の洗浄を再び行い、この洗浄の前後の前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄性能の低下の可能性の有無を再び判断する、復水器の洗浄システム。
【請求項2】
復水器の洗浄システムであって、
前記復水器の性能を検出する性能検出装置と、
前記復水器に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボールを供給するとともに前記復水器を通過した前記複数の洗浄ボールを回収することにより前記復水器の洗浄を行う洗浄ボール供給回収装置と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記復水器の洗浄の前における前記性能検出装置による検出値である洗浄前性能と、前記復水器の洗浄の後における前記性能検出装置による検出値である洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断
し、
前記制御装置には、前記洗浄の開始を判断するための前記復水器の性能に関する基準値が予め設定されており、前記性能検出装置による検出値が前記基準値以下となったら、前記洗浄ボール供給回収装置を起動して前記復水器の洗浄を開始し、
前記制御装置は、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも低い又は同じ場合は前記洗浄性能が低下した可能性があると判断し、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも高いが前記基準値以下の場合は前記復水器の洗浄を再び行い、この洗浄の前後の前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄性能の低下の可能性の有無を再び判断する、復水器の洗浄システム。
【請求項3】
復水器の洗浄システムであって、
前記復水器の性能を検出する性能検出装置と、
前記復水器に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボールを供給するとともに前記復水器を通過した前記複数の洗浄ボールを回収することにより前記復水器の洗浄を行う洗浄ボール供給回収装置と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記復水器の洗浄の前における前記性能検出装置による検出値である洗浄前性能と、前記復水器の洗浄の後における前記性能検出装置による検出値である洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断し、
前記制御装置には、前記洗浄ボールに関する異なる複数の条件ごとの洗浄力の関係が予め設定されており、
前記洗浄性能が低下した可能性があると判断されて前記洗浄ボールを更新した場合、前記制御装置は、前記洗浄ボールの更新前後における前記復水器の洗浄のそれぞれについての前記洗浄後性能を比較し、前記関係に基づいて、前記洗浄ボールに関する条件の変更の必要性を判断する
、復水器の洗浄システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記復水器の運転データに基づいて、前記洗浄の開始を判断するための前記復水器の性能に関する基準値を算出し、前記性能検出装置による検出値が前記基準値以下となったら、前記洗浄ボール供給回収装置を起動して前記復水器の洗浄を開始する、請求項
3に記載の復水器の洗浄システム。
【請求項5】
前記制御装置には、前記洗浄の開始を判断するための前記復水器の性能に関する基準値が予め設定されており、前記性能検出装置による検出値が前記基準値以下となったら、前記洗浄ボール供給回収装置を起動して前記復水器の洗浄を開始する、請求項
3に記載の復水器の洗浄システム。
【請求項6】
復水器の洗浄方法であって、
前記復水器に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボールを供給するとともに前記復水器を通過した前記複数の洗浄ボールを回収することにより前記復水器の洗浄を行うステップと、
前記復水器の洗浄前に、前記復水器の性能である洗浄前性能を検出するステップと、
前記復水器の洗浄後に、前記復水器の性能である洗浄後性能を検出するステップと、
前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断するステップと
、
前記復水器の運転データに基づいて、前記洗浄の開始を判断するための前記復水器の性能に関する基準値を算出するステップと、
前記洗浄前性能と前記基準値とを比較するステップと
を含
み、
前記洗浄前性能が前記基準値以下となったら、前記復水器の洗浄を行い、
前記洗浄の洗浄性能が低下したか否かを判断するステップにおいて、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも低い又は同じ場合には、前記洗浄性能が低下した可能性があると判断し、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも高いが前記基準値以下の場合には、前記復水器の洗浄を行うステップを再び行い、この洗浄の前後の前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄性能の低下の可能性の有無を再び判断する、復水器の洗浄方法。
【請求項7】
復水器の洗浄方法であって、
前記復水器に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボールを供給するとともに前記復水器を通過した前記複数の洗浄ボールを回収することにより前記復水器の洗浄を行うステップと、
前記復水器の洗浄前に、前記復水器の性能である洗浄前性能を検出するステップと、
前記復水器の洗浄後に、前記復水器の性能である洗浄後性能を検出するステップと、
前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断するステップと
、
前記洗浄の開始を判断するための前記復水器の性能に関する基準値を予め決定するステップと、
前記洗浄前性能と前記基準値とを比較するステップと
を含
み、
前記洗浄前性能が前記基準値以下となったら、前記復水器の洗浄を行い、
前記洗浄の洗浄性能が低下したか否かを判断するステップにおいて、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも低い又は同じ場合には、前記洗浄性能が低下した可能性があると判断し、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも高いが前記基準値以下の場合には、前記復水器の洗浄を行うステップを再び行い、この洗浄の前後の前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄性能の低下の可能性の有無を再び判断する、復水器の洗浄方法。
【請求項8】
復水器の洗浄方法であって、
前記復水器に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボールを供給するとともに前記復水器を通過した前記複数の洗浄ボールを回収することにより前記復水器の洗浄を行うステップと、
前記復水器の洗浄前に、前記復水器の性能である洗浄前性能を検出するステップと、
前記復水器の洗浄後に、前記復水器の性能である洗浄後性能を検出するステップと、
前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断するステップと、
前記洗浄ボールに関する異なる複数の条件ごとの洗浄力の関係を予め決定するステップ
と
を含み、
前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断するステップにおいて前記洗浄性能が低下した可能性があると判断されて前記洗浄ボールを更新した場合に、前記洗浄ボールの更新前後における前記復水器の洗浄のそれぞれについての前記洗浄後性能を比較し、前記関係に基づいて、前記洗浄ボールに関する条件の変更の必要性を判断する
、復水器の洗浄方法。
【請求項9】
前記復水器の運転データに基づいて、前記洗浄の開始を判断するための前記復水器の性能に関する基準値を算出するステップと、
前記洗浄前性能と前記基準値とを比較するステップと
を含み、
前記洗浄前性能が前記基準値以下となったら、前記復水器の洗浄を行う、請求項
8に記載の復水器の洗浄方法。
【請求項10】
前記洗浄の開始を判断するための前記復水器の性能に関する基準値を予め決定するステップと、
前記洗浄前性能と前記基準値とを比較するステップと
を含み、
前記洗浄前性能が前記基準値以下となったら、前記復水器の洗浄を行う、請求項
8に記載の復水器の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、復水器の洗浄システム及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービンに連結される復水器は複数の細管を備えている。細管内には、蒸気タービンの蒸気を冷却凝縮するための冷却用流体(海水、河川及び湖沼の水、又は冷却塔等により処理された処理水等)が流れるため、細管の内面には、冷却用流体中の成分や生物等が付着することがある。このようにして細管の内面が汚れると、復水器の冷却性能が低下してしまうため、細管の洗浄が必要になる。
【0003】
特許文献1には、洗浄ボールを冷却用流体に供給し、洗浄ボールを冷却用流体と共に細管内に流すことにより、細管の内面を洗浄ボールで洗浄する装置が記載されている。この装置では、スポンジ製のノーマルボール及び表面に硬い材料を混在させた特殊ボールが用意され、1日1回の頻度で通常はノーマルボールを用いて洗浄を行う。洗浄終了後に、細管の内面の汚れ具合の指標(清浄度)を算出し、指標が管理値以上であれば次の洗浄時にもノーマルボールを用いるが、指標が管理値以下であれば次の洗浄時に特殊ボールを用いて洗浄強度を高めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
洗浄ボールは消耗品であるので、洗浄ボールを使用し続けると洗浄ボールが劣化し、洗浄性能が低下する。特許文献1の装置では、指標が管理値まで低下するまでの期間が短くなることでノーマルボールの劣化を検知可能であるが、ノーマルボールの劣化を検知するまでに時間がかかり、劣化したノーマルボールを用いて洗浄性能の低下した状態で洗浄を行う回数が増えるおそれが考えられる。
【0006】
また、洗浄性能の低下が洗浄ボールの消耗に起因するものではなく、細管の内面に付着した付着物の種類又は付着具合(細管の内面の汚れ具合)に起因する場合には、適切な洗浄ボールに変更する必要があるが、特許文献1の装置では、この判断を行うまでにも時間がかかり、細管の内面の汚れ具合に適合しない洗浄ボールを用いた状態で洗浄を行う回数が増えるおそれも考えられる。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本開示の少なくとも1つの実施形態は、洗浄性能の低下を迅速に検知可能な復水器の洗浄システム及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示に係る復水器の洗浄システムは、前記復水器の性能を検出する性能検出装置と、前記復水器に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボールを供給するとともに前記復水器を通過した前記複数の洗浄ボールを回収することにより前記復水器の洗浄を行う洗浄ボール供給回収装置と、制御装置とを備え、前記制御装置は、前記復水器の洗浄の前における前記性能検出装置による検出値である洗浄前性能と、前記復水器の洗浄の後における前記性能検出装置による検出値である洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断し、前記制御装置は、前記復水器の運転データに基づいて、前記洗浄の開始を判断するための前記復水器の性能に関する基準値を算出し、前記性能検出装置による検出値が前記基準値以下となったら、前記洗浄ボール供給回収装置を起動して前記復水器の洗浄を開始し、前記制御装置は、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも低い又は同じ場合は前記洗浄性能が低下した可能性があると判断し、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも高いが前記基準値以下の場合は前記復水器の洗浄を再び行い、この洗浄の前後の前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄性能の低下の可能性の有無を再び判断する。
【0009】
また、本開示に係る復水器の方法は、前記復水器に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボールを供給するとともに前記復水器を通過した前記複数の洗浄ボールを回収することにより前記復水器の洗浄を行うステップと、前記復水器の洗浄前に、前記復水器の性能である洗浄前性能を検出するステップと、前記復水器の洗浄後に、前記復水器の性能である洗浄後性能を検出するステップと、前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断するステップと、前記復水器の運転データに基づいて、前記洗浄の開始を判断するための前記復水器の性能に関する基準値を算出するステップと、前記洗浄前性能と前記基準値とを比較するステップとを含み、前記洗浄前性能が前記基準値以下となったら、前記復水器の洗浄を行い、前記洗浄の洗浄性能が低下したか否かを判断するステップにおいて、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも低い又は同じ場合には、前記洗浄性能が低下した可能性があると判断し、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも高いが前記基準値以下の場合には、前記復水器の洗浄を行うステップを再び行い、この洗浄の前後の前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄性能の低下の可能性の有無を再び判断する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の復水器の洗浄システム及び洗浄方法によれば、復水器の洗浄の前後における復水器の性能に基づいて、復水器の洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断するので、洗浄性能の低下を迅速に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態1に係る復水器の洗浄システムの構成模式図である。
【
図2】本開示の実施形態1に係る復水器の洗浄システムの動作(復水器の洗浄方法)を説明するためのフローチャートである。
【
図3】本開示の実施形態2に係る復水器の洗浄システムにおいて、洗浄ボールに関する異なる複数の条件ごとの洗浄力の関係の一例を示すテーブルである。
【
図4】本開示の実施形態2に係る復水器の洗浄システムの動作(復水器の洗浄方法)を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態による復水器の洗浄システム及び洗浄方法について、図面に基づいて説明する。かかる実施の形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0013】
(実施形態1)
<本開示の実施形態1に係る復水器の洗浄システムの構成>
図1に示されるように、復水器1は、蒸気タービン2の蒸気を冷却凝縮するためのものであり、冷却用流体(例えば海水、河川及び湖沼の水、又は冷却塔等により処理された処理水等)が内部を流通する複数の細管3と、各細管3の上流端側及び下流端側のそれぞれにおいて各細管3と連通する入口側ヘッダー4及び出口側ヘッダー5とを備えている。復水器1には、復水器1を洗浄するための、特に細管3の内面を洗浄するための洗浄システム10が設けられている。
【0014】
詳細な洗浄動作については後述するが、洗浄システム10は、復水器1に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボール6を供給し、洗浄ボール6を冷却用流体と共に細管3内に流すことにより、細管3の内面を洗浄ボール6で洗浄するものである。洗浄システム10は、復水器1の性能を検出する性能検出装置20と、復水器1に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボール6を供給するとともに復水器1を通過した複数の洗浄ボール6を回収することにより復水器1の洗浄を行う洗浄ボール供給回収装置30と、制御装置40とを備えている。制御装置40には、復水器1の性能や洗浄に関する情報等を表示するための表示装置であるモニター50が電気的に接続されている。
【0015】
性能検出装置20は、入口側ヘッダー4及び出口側ヘッダー5のそれぞれの内部の冷却用流体の温度を検出する入口側温度センサ21及び出口側温度センサ22と、入口側ヘッダー4に接続された入口側配管7を流れる冷却用流体の流量を検出する流量センサ23と、入口側温度センサ21及び出口側温度センサ22並びに流量センサ23と電気的に接続される制御装置40とを備えている。この実施形態1において、復水器1の性能として、復水器1の入口側及び出口側の冷却用流体の温度(入口側温度センサ21及び出口側温度センサ22のそれぞれによって検出された温度に相当する)と、復水器1に供給される冷却用流体の流量(流量センサ23によって検出された流量に相当する)とから、熱交換器協会(HEI)の工業規格に従って求めることができる復水器清浄度(CF値)を用いる。
【0016】
洗浄ボール供給回収装置30は、洗浄ボール6を回収する洗浄ボール回収器31と、一端が洗浄ボール回収器31に連通するとともに他端が入口側配管7に連通する洗浄ボール供給配管32と、洗浄ボール回収器31内の洗浄ボール6を洗浄ボール供給配管32を介して入口側配管7内に供給する洗浄ボール供給ポンプ33と、出口側ヘッダー5に接続される出口側配管8を流れる冷却用流体中の洗浄ボール6を回収するストレーナ装置34とを備えている。ストレーナ装置34は、出口側配管8内に設けられ、配管35を介して洗浄ボール回収器31と連通している。洗浄ボール供給ポンプ33は制御装置40と電気的に接続されている。
【0017】
<本開示の実施形態1に係る復水器の洗浄システムの動作(復水器の洗浄方法)>
次に、本開示の実施形態1に係る復水器の洗浄システムの動作、すなわち復水器の洗浄方法を、
図1と、
図2のフローチャートとに基づいて説明する。蒸気タービン2が稼働し、蒸気タービン2からの蒸気と、復水器1の細管3内を流れる冷却用流体とが熱交換することにより蒸気を冷却凝縮する間、入口側温度センサ21と出口側温度センサ22と流量センサ23とがそれぞれ、復水器1の入口側及び出口側の冷却用流体の温度と復水器1に供給される冷却用流体の流量とを測定し、これらの測定値は制御装置40に伝送され、制御装置40はこれらの測定値からCF値(CF
1)を算出する。すなわち、性能検出装置20は復水器1の性能を検出する。
【0018】
制御装置40には、洗浄システム10による洗浄の開始を判断するための復水器1の性能に関する基準値CF0が予め設定されていることとする。制御装置40は、算出したCF値(CF1)と基準値CF0とを比較する(ステップS1)。ステップS1においてCF1>CF0と判定された場合には、洗浄システム10による洗浄は必要ないと判断し、洗浄は行わない。一方、CF1≦CF0と判定された場合には、洗浄システム10による洗浄が必要であると判断し、復水器1の洗浄を行う(ステップS2)。
【0019】
復水器1の洗浄は、制御装置40が洗浄ボール供給ポンプ33を起動することにより開始される。洗浄ボール供給ポンプ33が起動すると、洗浄ボール回収器31内の複数の洗浄ボール6が洗浄ボール供給配管32を介して入口側配管7内に供給される。入口側配管7内に供給された複数の洗浄ボール6は、入口側配管7内を流れる冷却用流体の流れに乗り、入口側ヘッダー4を介して細管3のそれぞれに分散して流入する。洗浄ボール6は細管3内を流れる際に細管3の内面を擦ることにより、細管3の内面に付着する付着物が内面から剥がされる。これにより、細管3の内面が洗浄される。洗浄ボール6は、細管3から流出した後、出口側ヘッダー5及び出口側配管8を順次流れる。洗浄ボール6は、出口側配管8を流れる間にストレーナ装置34により回収され、配管35を介して洗浄ボール回収器31に戻される。復水器1の洗浄が行われている間は、このような動作を繰り返す。
【0020】
復水器1の洗浄の終了後、性能検出装置20は復水器1の性能(CF2)を検出する。ここで、復水器1の洗浄前に検出されたCF1は洗浄前性能であり、復水器1の洗浄後に検出されたCF2は洗浄後性能である。制御装置40は、洗浄前性能と洗浄後性能とを比較する(ステップS3)。尚、洗浄後性能であるCF2として、復水器1の洗浄が終了してから1時間経過するまでの復水器1の性能の平均値を使用してもよいし、復水器1の洗浄が終了してから1時間後の復水器1の性能の検出値を使用してもよい。また、いずれの場合も「1時間」は例示であり、任意の時間を選択することも可能である。ステップS3においてCF1≧CF2と判定された場合には、制御装置40は、洗浄性能が低下した可能性があると判断し(ステップS4)、モニター50に洗浄性能が低下した可能性があることを表示する。一方、ステップS3においてCF1<CF2と判定された場合、CF2とCF0とを比較する(ステップS5)。ステップS5においてCF2>CF0であれば洗浄システム10の動作を終了するが、CF2≦CF0であればステップS2に戻り、ステップS2以降の動作を繰り返す。これにより、洗浄性能の低下の可能性の有無をより正確に判断することができる。尚、ステップS5においてCF2≦CF0であればステップS2に戻るため、場合によっては、ステップS5からステップS2に戻る動作を何回も繰り返してしまう可能性がある。このような場合には、この動作を数回繰り返した後に、洗浄ボール6の変更をしてもよいし、洗浄システム10の動作を終了してもよい。
【0021】
洗浄性能が低下した可能性があると判断された場合には、洗浄ボール6が劣化したと判断したり、現状使用している洗浄ボール6の仕様では、細管3の内面の汚れ具合に適合しないと判断したりして、洗浄ボール6の更新を行う(ステップS6)。ステップS6では例えば、洗浄ボール回収器31内の洗浄ボール6を取出して、洗浄ボール6の検査で劣化を確認した場合は前者の判断が正しいと考えられるので、同じ種類の新品の洗浄ボールに変更する。洗浄ボール6の検査で劣化を確認できなければ後者の判断が正しいと考えられるので、現状使用している種類の洗浄ボールよりも洗浄力の高い種類の洗浄ボールに変更する。
【0022】
このように、復水器1の洗浄の前後における復水器1の性能に基づいて、復水器1の洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断するので、洗浄性能の低下を迅速に検知することができる。
【0023】
<本開示の実施形態1に係る復水器の洗浄システムの変形例>
実施形態1では、洗浄システム10による洗浄の開始を判断するための復水器1の性能に関する基準値CF0が予め設定されていたが、この形態に限定するものではない。復水器1の運転データに基づいて、洗浄の開始を判断するための復水器の性能に関する基準値CF0’を制御装置40が算出し、性能検出装置20による検出値がその基準値CF0’以下となったら、洗浄ボール供給回収装置30を起動して復水器1の洗浄を開始するようにしてもよい。
【0024】
例えば、実施形態1において復水器1の性能の設計値に基づいて基準値CF0を設定してしまうと(例えば、設計値の60%に設定する)、復水器1が設計値以上の性能で通常運転をしている場合には、洗浄性能が低下していても復水器1の性能が基準値CF0まで低下するまでに時間がかかり、復水器1の洗浄を行うタイミングが遅れることがある。しかしながら、復水器1の運転データに基づいて復水器の性能に関する基準値CF0’を算出するようにすれば(例えば、通常運転時における復水器1の性能の平均値を算出し、その平均値の60%とする)、洗浄性能が低下して復水器1の性能が低下したことを迅速に検知することができるので、適切なタイミングで復水器1の洗浄を行うことができる。
【0025】
実施形態1では、各CF値(CF0、CF1、CF2)の比較を、それぞれの値の大小関係に基づいて行っていたが、この形態に限定するものではない。例えば、CF1とCF0とを比較する際に、CF1>CF0の代わりにCF1/CF0>1か否かで判定し、CF1≦CF0の代わりにCF1/CF0≦1か否かで判定するように、互いに比較されるCF値の比に基づいて判定してもよい。
【0026】
実施形態1では、復水器1の性能としてCF値を用い、この値を算出するための性能検出装置20は、入口側温度センサ21と出口側温度センサ22と流量センサ23と制御装置40とを備えていたが、この形態に限定するものではない。CF値の代わり、復水器1の真空圧力の予測値と実測値との偏差ΔPを復水器1の性能として用いることもできる。この場合、性能検出装置20は、復水器1の内圧を検出する圧力センサ24と、圧力センサ24に電気的に接続された制御装置40とを備えている。制御装置40に偏差ΔPの基準値ΔP0を予め設定してもよいし、あるいは、復水器1の運転データに基づいてΔPの基準値ΔP0’を制御装置40が算出するようにしてもよい。
【0027】
この形態では、蒸気タービン2が稼働し、蒸気タービン2からの蒸気と、復水器1の細管3内を流れる冷却用流体とが熱交換することにより蒸気を冷却凝縮する間、圧力センサ24が復水器1の内圧を測定し、この測定値は制御装置40に伝送され、制御装置40は、復水器1の運転データに基づいて復水器1の真空圧力の予測値を算出し、復水器1の内圧の測定値と真空圧力の予測値との偏差ΔP1を算出する。制御装置40は、実施形態1におけるCF値の大小関係と同様の方法で、ΔP1とΔP0又はΔP0’との大小関係に基づいて、復水器1の洗浄の開始を判断する。洗浄終了後も、ΔP1を洗浄前性能とし、洗浄終了後に算出された偏差ΔP2を洗浄後性能とし、実施形態1と同様に洗浄前性能と洗浄後性能との大小関係に基づいて、復水器1の洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断できる。
【0028】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る復水器の洗浄システム及び洗浄方法について説明する。実施形態2に係る復水器の洗浄システム及び洗浄方法は、実施形態1に対して、洗浄ボールの交換条件を提案するように変更したものである。尚、実施形態2において、実施形態1の構成要件と同じものは同じ参照符号を付し、その詳細な説明は省略する。実施形態2において、実施形態1は、特に言及がある場合を除き、実施形態1の各種変形例も含むものとする。
【0029】
<本開示の実施形態2に係る復水器の洗浄システムの構成>
本開示の実施形態2に係る復水器1の構成は、
図1で示される実施形態1の構成と同じである。ただし、制御装置40に、洗浄システム10で使用可能な洗浄ボール6に関する異なる複数の条件ごとの洗浄力の関係がテーブルとして記憶されている点で、実施形態1と構成が異なる。尚、この関係(テーブル)は、予め実験等によって作成されるものである。
【0030】
当該テーブルの一例として、
図3にテーブル60を示す。テーブル60には、異なる4種類の洗浄ボール、すなわち、通常ボール、軟質の高洗浄ボール、硬質の高洗浄ボール、炭化ケイ素製の高洗浄ボールが、洗浄システム10で使用可能な洗浄ボール6として登録されている。これはあくまでも一例であり、洗浄ボールの種類の数や各種類は適宜変更可能である。また、テーブル60には、各洗浄ボールについての洗浄効果の詳細、すなわち、細管3の内面に軟質堆積物、沈着性スケール、有機汚染物、硬質スケール、結晶化スケールのそれぞれが付着したときに、各洗浄ボールがそれらの付着物に対してどの程度の洗浄効果があるかが定性的な基準で特定されている。これらに基づいて、各洗浄ボールの総合的な洗浄効果が定性的な基準で特定されている。テーブル60では、定性的な基準として、効果がないことを意味する「-」と、ある程度の効果を意味する「〇」と、良好な効果を意味する「◎」とを用いているが、この形態に限定するものではなく、数値等で特定してもよい。
【0031】
<本開示の実施形態2に係る復水器の洗浄システムの動作(復水器の洗浄方法)>
次に、本開示の実施形態2に係る復水器の洗浄システムの動作、すなわち復水器の洗浄方法を説明する。実施形態2は、ステップS1~S5までは実施形態1と同じであるが、洗浄ボール6の更新を行う動作(実施形態1のステップS6)において実施形態1と異なる。以下では、実施形態1と異なる動作について説明する。
【0032】
図4に示されるように、ステップS4で洗浄性能が低下した可能性があると判断された場合には、制御装置40は、洗浄ボール6を確認するようなメッセージをモニター50に表示する(ステップS11)。そのメッセージに従って、洗浄ボール回収器31内の洗浄ボール6を取出して、洗浄ボール6が劣化しているかどうかを確認する(ステップS12)。ステップS12において洗浄ボール6が劣化していると判断された場合には、実施形態1のステップS6と同様にして同じ種類の新品の洗浄ボールに変更する(ステップS13)。
【0033】
一方、ステップS12において洗浄ボール6の劣化が確認されなかった場合には、制御装置40は、テーブル60(
図3参照)に基づいて、より洗浄力の高い洗浄ボールの種類を提案する(ステップS14)。例えば、制御装置40には、使用中の洗浄ボールの種類が記憶されており、その種類が通常ボールであったとすると、制御装置40は、モニター50に、軟質の高洗浄ボール、硬質の高洗浄ボール、炭化ケイ素性の高洗浄ボールのいずれかに交換するようなメッセージを表示する。各洗浄ボールの洗浄性能を比較できるように、テーブル60をモニター50に表示した上で、上記メッセージを表示してもよい。これにより、どの種類の洗浄ボールに変更すべきかの検討を行いやすくなる。
【0034】
同じ種類の新品の洗浄ボールに変更した後、又は、洗浄ボールの種類を変更した後、すなわち洗浄ボール6を更新した後に復水器1の洗浄を行い、上記動作を経由して再び洗浄性能が低下した可能性があると判断されれば、使用中の洗浄ボール6が細管3の内面の汚れ具合に適合しないと判断できるので、同じ種類の洗浄ボールへの変更ではなく、より高い洗浄力の洗浄ボールへ変更するとの判断を迅速に行うことができる。このように、実施形態2では、洗浄ボール6の無駄な変更を防いで、適切な洗浄性能に調整することができる。
【0035】
<本開示の実施形態2に係る復水器の洗浄システムの変形例>
実施形態2では、ステップS14において、より洗浄力の高い洗浄ボールの種類として、材質の異なる洗浄ボールを提案しているが、この形態に限定するものではない。同じ材質であってもサイズの異なる洗浄ボールを提案してもよい。サイズが大きい洗浄ボールほど、洗浄性能は高くなる。また、同じ材質かつ同じサイズの洗浄ボールの個数を増やすように提案してもよい。洗浄ボールの個数が多いほど、洗浄性能は高くなる。さらに、復水器1の洗浄中に洗浄ボール6が細管3を通過する回数を増やすように、すなわち復水器1の洗浄時間を増やすように提案してもよい。洗浄ボール6が細管3を通過する回数が多いほど、洗浄性能は高くなる。これらの条件を変更することは、いずれも「洗浄ボールに関する条件の変更」に相当する。すなわち、実施形態2では、洗浄性能が低下した可能性があると判断されて洗浄ボール6を更新した場合、制御装置40は、洗浄ボール6の変更前後における復水器1の洗浄のそれぞれについての洗浄後性能を比較し、テーブル60に基づいて、洗浄ボール6に関する条件の変更の必要性を判断している。
【0036】
(その他の実施形態)
復水器1は、蒸気タービン2とともに発電プラントの構成機器の1つであるので、復水器1の性能が洗浄ボール6に関する条件の変更によって回復すると、発電プラント全体の性能の回復にもつながる。このため、発電プラントの運転時のデータから、復水器1の性能(CF値や偏差ΔP)と発電プラントの性能(出力等)との相関関係を求めておき、モニター50には、復水器1の性能と共に又はそれに代えて、発電プラントの性能を表示してもよい。復水器1の性能の回復のメリットは通常は分かりにくいが、発電プラント全体の性能の回復のメリットは直感的にわかりやすい。
【0037】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0038】
[1]一の態様に係る復水器の洗浄システムは、
前記復水器(1)の性能を検出する性能検出装置(20)と、
前記復水器(1)に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボール(6)を供給するとともに前記復水器(1)を通過した前記複数の洗浄ボール(6)を回収することにより前記復水器(1)の洗浄を行う洗浄ボール供給回収装置(30)と、
制御装置(40)と
を備え、
前記制御装置(40)は、前記復水器(1)の洗浄の前における前記性能検出装置(20)による検出値である洗浄前性能(CF1/ΔP1)と、前記復水器(1)の洗浄の後における前記性能検出装置(20)による検出値である洗浄後性能(CF2/ΔP2)とに基づいて、前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断する。
【0039】
本開示の復水器の洗浄システムによれば、復水器の洗浄の前後における復水器の性能に基づいて、復水器の洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断するので、洗浄性能の低下を迅速に検知することができる。
【0040】
[2]別の態様に係る復水器の洗浄システムは、[1]の復水器の洗浄システムであって、
前記制御装置(40)は、前記復水器(1)の運転データに基づいて、前記洗浄の開始を判断するための前記復水器(1)の性能に関する基準値(CF0’/ΔP0’)を算出し、前記性能検出装置(20)による検出値(CF1/ΔP1)が前記基準値(CF0’/ΔP0’)以下となったら、前記洗浄ボール供給回収装置(30)を起動して前記復水器(1)の洗浄を開始する。
【0041】
例えば復水器の性能の設計値に基づいて基準値を設定してしまうと、復水器が設計値以上の性能で通常運転をしている場合には、復水器の洗浄を行うタイミングが遅れることがある。しかしながら、上記[2]の構成によれば、適切なタイミングで復水器の洗浄を行うことができる。
【0042】
[3]さらに別の態様に係る復水器の洗浄システムは、[1]の復水器の洗浄システムであって、
前記制御装置(40)には、前記洗浄の開始を判断するための前記復水器(1)の性能に関する基準値(CF0/ΔP0)が予め設定されており、前記性能検出装置による検出値(CF1/ΔP1)が前記基準値(CF0/ΔP0)以下となったら、前記洗浄ボール供給回収装置(30)を起動して前記復水器(1)の洗浄を開始する。
【0043】
このような構成によれば、通常の復水器の性能に大きな変動がない場合に、適切なタイミングで復水器の洗浄を行うことができる。
【0044】
[4]さらに別の態様に係る復水器の洗浄システムは、[2]または[3]の復水器の洗浄システムであって、
前記制御装置(40)は、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも低い又は同じ場合は前記洗浄性能が低下した可能性があると判断し、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも高いが前記基準値以下の場合は前記復水器(1)の洗浄を再び行い、この洗浄の前後の前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄性能の低下の可能性の有無を再び判断する。
【0045】
このような構成によれば、洗浄性能の低下の有無をより正確に判断することができる。
【0046】
[5]さらに別の態様に係る復水器の洗浄システムは、[1]~[4]のいずれかの復水器の洗浄システムであって、
前記制御装置(40)には、前記洗浄ボール(6)に関する異なる複数の条件ごとの洗浄力の関係(テーブル60)が予め設定されており、
前記洗浄性能が低下した可能性があると判断されて前記洗浄ボールを更新した場合、前記制御装置(40)は、前記洗浄ボール(6)の更新前後における前記復水器(1)の洗浄のそれぞれについての前記洗浄後性能を比較し、前記関係(60)に基づいて、前記洗浄ボール(60)に関する条件の変更の必要性を判断する。
【0047】
このような構成によれば、洗浄ボールの無駄な更新を防いで、適切な洗浄性能に調整することができる。
【0048】
[6]一の態様に係る復水器の洗浄方法は、
前記復水器(1)に供給される冷却用流体に複数の洗浄ボール(6)を供給するとともに前記復水器(1)を通過した前記複数の洗浄ボール(6)を回収することにより前記復水器(1)の洗浄を行うステップと、
前記復水器の洗浄前に、前記復水器(1)の性能である洗浄前性能(CF1/ΔP1)を検出するステップと、
前記復水器(1)の洗浄後に、前記復水器(1)の性能である洗浄後性能(CF2/ΔP2)を検出するステップと、
前記洗浄前性能(CF1/ΔP1)と前記洗浄後性能(CF2/ΔP2)とに基づいて、前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断するステップと
を含む。
【0049】
本開示の復水器の洗浄方法によれば、復水器の洗浄の前後における復水器の性能に基づいて、復水器の洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断するので、洗浄性能の低下を迅速に検知することができる。
【0050】
[7]別の態様に係る復水器の洗浄方法は、[6]の復水器の洗浄方法であって、
前記復水器(1)の運転データに基づいて、前記洗浄の開始を判断するための前記復水器(1)の性能に関する基準値(CF0’/ΔP0’)を算出するステップと、
前記洗浄前性能(CF1/ΔP1)と前記基準値(CF0’/ΔP0’)とを比較するステップと
を含み、
前記洗浄前性能(CF1/ΔP1)が前記基準値(CF0’/ΔP0’)以下となったら、前記復水器(1)の洗浄を行う。
【0051】
例えば復水器の性能の設計値に基づいて基準値を設定してしまうと、復水器が設計値以上の性能で通常運転をしている場合には、復水器の洗浄を行うタイミングが遅れることがある。しかしながら、上記[7]の方法によれば、適切なタイミングで復水器の洗浄を行うことができる。
【0052】
[8]さらに別の態様に係る復水器の洗浄方法は、[6]の復水器の洗浄方法であって、
前記洗浄の開始を判断するための前記復水器(1)の性能に関する基準値(CF0/ΔP0)を予め決定するステップと、
前記洗浄前性能(CF1/ΔP1)と前記基準値(CF0/ΔP0)とを比較するステップと
を含み、
前記洗浄前性能(CF1/ΔP1)が前記基準値(CF0/ΔP0)以下となったら、前記復水器(1)の洗浄を行う。
【0053】
このような方法によれば、通常の復水器の性能に大きな変動がない場合に、適切なタイミングで復水器の洗浄を行うことができる。
【0054】
[9]さらに別の態様に係る復水器の洗浄方法は、[7]または[8]の復水器の洗浄方法であって、
前記洗浄の洗浄性能が低下したか否かを判断するステップにおいて、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも低い又は同じ場合には、前記洗浄性能が低下した可能性があると判断し、前記洗浄後性能が前記洗浄前性能よりも高いが前記基準値以下の場合には、前記復水器(1)の洗浄を行うステップを再び行い、この洗浄の前後の前記洗浄前性能と前記洗浄後性能とに基づいて、前記洗浄性能の低下の可能性の有無を再び判断する。
【0055】
このような方法によれば、洗浄性能の低下の可能性の有無をより正確に判断することができる。
【0056】
[10]さらに別の態様に係る復水器の洗浄方法は、[6]~[9]のいずれかの復水器の洗浄方法であって、
前記洗浄ボール(6)に関する異なる複数の条件ごとの洗浄力の関係(テーブル60)を予め決定するステップをさらに含み、
前記洗浄の洗浄性能の低下の可能性の有無を判断するステップにおいて前記洗浄性能が低下した可能性があると判断されて前記洗浄ボール(6)を更新した場合に、前記洗浄ボール(6)の更新前後における前記復水器(1)の洗浄のそれぞれについての前記洗浄後性能を比較し、前記関係(60)に基づいて、前記洗浄ボールに関する条件の変更の必要性を判断する。
【0057】
このような方法によれば、洗浄ボールの無駄な更新を防いで、適切な洗浄性能に調整することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 復水器
6 洗浄ボール
10 洗浄システム
20 性能検出装置
30 洗浄ボール供給回収装置
40 制御装置
60 テーブル(洗浄ボールに関する異なる複数の条件ごとの洗浄力の関係)