(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】印刷機
(51)【国際特許分類】
B41F 7/02 20060101AFI20240712BHJP
B41F 27/12 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B41F7/02 514
B41F27/12 D
(21)【出願番号】P 2021037244
(22)【出願日】2021-03-09
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】714000460
【氏名又は名称】リョービMHIグラフィックテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】木村 憲太
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4074119(JP,B2)
【文献】特開2009-196168(JP,A)
【文献】特開2004-277034(JP,A)
【文献】特開2002-128297(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 7/02
B41F 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷部が備える版胴に版を給版するための給版装置を備え、
該給版装置は、前記版胴へ給版される版を吸着して保持する吸着部と、真空ポンプと、前記吸着部と前記真空ポンプとを連通する配管と、該配管途中に設けられ該配管を連通状態と非連通状態とに切り替えるべく開閉可能な切換弁と、前記配管途中の切換弁と前記真空ポンプとの間に配置され該配管内の圧力を検出可能な圧力センサと、前記版胴へ版を供給するよう給版指示を受けると、前記切換弁を閉じて前記真空ポンプを駆動し、前記圧力センサが第1負圧値以下になったことを検出した後に、前記切換弁を開く版吸着制御を実行する制御部と、を備えた印刷機。
【請求項2】
前記印刷部は、複数の印刷ユニットを備え、前記制御部は、印刷ユニット毎に前記版吸着制御を実行する請求項1に記載の印刷機。
【請求項3】
前記制御部は、所定の印刷ユニットに対する前記版吸着制御の実行によって前記切換弁が開いた後に前記圧力センサが第2負圧値以下になったことを検出すると、次の印刷ユニットに対して前記版吸着制御を実行する請求項2に記載の印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷部が備える版胴に版を給版するための給版装置を備えている印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかる印刷機の給版装置は、給版工程において版を保持して版胴へ移送するための移送部を備えている。移送部には、版を保持するための保持手段としての吸着パッドが設けられている。吸着パッドは、真空ポンプと配管によって接続されている。この配管は、真空ポンプから延びる主管と、主管から各印刷ユニットの吸着パッドへ分岐する複数の分岐管と、分岐管から吸着パッドへの各経路に配置される切換弁を備えて構成されている。この切換弁を開くことで、吸着パッドが真空ポンプと接続される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の給版装置では、前記真空ポンプは、電力消費を低減するために、必要な時のみ運転される。すなわち、吸着パッドが版を吸着する時にのみ運転される。
【0004】
また、真空ポンプは、運転により発生する騒音や発熱による作業環境の悪化を防止するために、印刷機から遠く離れて設置される場合がある。この場合、主管の真空ポンプから分岐管への接続位置までの長さを長くすることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、主管が長くなると、真空ポンプから切換弁までの配管における圧力が、版の吸着に必要な負圧まで低下するのに時間がかかる。この対策として、吸着の際は、真空ポンプの駆動開始から所定時間を経過した後に印刷ユニット毎に備える切換弁を順次開いていくように制御する。この所定時間は、想定される主管の長さの最長値に合わせて予め設定されている。そのため、真空ポンプを印刷機の近くに設置した場合であっても、真空ポンプの運転開始から切換弁を開くまでに上記所定時間がかかるため、無駄に給版時間が長くなるという問題があった。
【0007】
また、前記最長値よりも主管の長さが長くなるように真空ポンプを設置した場合には、上記所定時間が経過しても、真空ポンプから切換弁までの配管における圧力が、版の吸着に必要な負圧まで低下しておらず、その状態で切換弁を開いて吸着パッドが版を吸着しようとするため、版の吸着ミスが発生することがあった。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、給版時間が無駄に長くなることを防止することができながらも、版を確実に吸着することができる印刷機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷機は、印刷部が備える版胴に版を給版するための給版装置を備え、該給版装置は、前記版胴へ給版される版を吸着して保持する吸着部と、真空ポンプと、前記吸着部と前記真空ポンプとを連通する配管と、該配管途中に設けられ該配管を連通状態と非連通状態とに切り替えるべく開閉可能な切換弁と、前記配管途中の切換弁と前記真空ポンプとの間に配置され該配管内の圧力を検出可能な圧力センサと、前記版胴へ版を供給するよう給版指示を受けると、前記切換弁を閉じて前記真空ポンプを駆動し、前記圧力センサが第1負圧値以下になったことを検出した後に、前記切換弁を開く版吸着制御を実行する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、制御部は、版胴へ版を供給するよう給版指示を受けると、切換弁を閉じて真空ポンプを駆動し、圧力センサが第1負圧値以下になったことを検出した後に、版吸着制御を実行して切換弁を開くので、印刷機から真空ポンプまでの距離にかかわらず、吸着部への吸着を開始するタイミングを最適化できる。よって、給版時間が無駄に長くなることを防止することができながらも、版を確実に吸着することができる
【0011】
また、本発明に係る印刷機は、前記印刷部は、複数の印刷ユニットを備え、前記制御部は、印刷ユニット毎に前記版吸着制御を実行してもよい。
【0012】
上記のように、制御部が、印刷ユニット毎に版吸着制御を実行することによって、吸着ミスの原因特定を迅速に行える。
【0013】
また、本発明に係る印刷機は、前記制御部は、所定の印刷ユニットに対する前記版吸着制御の実行によって前記切換弁が開いた後に前記圧力センサが第2負圧値以下になったことを検出すると、次の印刷ユニットに対して前記版吸着制御を実行してもよい。
【0014】
上記のように、圧力センサが第2負圧値以下になったことを検出すると、次の印刷ユニットに対して版吸着制御を実行可能とすることによって、圧力センサを、吸着時の圧力を検出して吸着部が版を正常に吸着したかを判断するためのセンサとして兼用することができ、装置の簡素化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、圧力センサが第1負圧値以下になったことを検出すると、切換弁を開くことによって、給版時間が無駄に長くなることを防止することができながらも、版を確実に吸着することができる印刷機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】版セット姿勢にした版案内板に版をセットした状態を示す給版装置の概略図である。
【
図3】版がセットされた版案内板を給版姿勢に姿勢変更した状態を示す給版装置の概略図である。
【
図4】給版姿勢の版案内板の版を版胴に位置決めした状態を示す給版装置の概略図である。
【
図6】切換弁の動作を示し、(a)はOFFにした状態であり、(b)はONにした状態である。
【
図7】給版の版吸着処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図7の続きの処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の印刷機を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
印刷機は、
図1に示すように、上流側に給紙部Aを備え、下流側に排紙部Bを備え、それら中間に被印刷物である印刷用紙に印刷を行う印刷部Cを配設している。印刷部Cは、4台の印刷ユニット、左側から第1印刷ユニット1、第2印刷ユニット2、第3印刷ユニット3、第4印刷ユニット4を備えている。
【0019】
第1印刷ユニット1~第4印刷ユニット4は、略同一構成であるため、第1印刷ユニット1について説明する。第1印刷ユニット1は、
図1及び
図2に示すように、本体10と、本体10に内装され版5が巻き付けられる版胴6と、版胴6からのインキが転写されるゴム胴(ブランケット胴ともいう)7と、ゴム胴7とで印刷用紙を圧接してゴム胴上のインキを印刷用紙に転写する圧胴8と、印刷ユニット1の圧胴8に印刷用紙を受け渡すために搬送方向前端側に配置される給紙胴9と、前の印刷ユニットの圧胴から次の印刷ユニットの圧胴へ印刷用紙を受け渡すために圧胴間に配置される渡し胴11と、版胴6にインキを供する複数のインキローラを有するインキ装置(図示せず)と、版5を版胴6に供給するための給版装置12と、を備えている。版胴6は、本体カバー10の両側板10A,10A(
図2では一方のみ図示している)に支軸10Bを介して回転自在に支持されている。
【0020】
図2に示すように、本体10は、両側板10A,10A間の下流側に配置される下流側前板10Fを備え、下流側前板10Fは、両側板10A,10A間に上下動可能に取り付けられることで、両側板10A,10A間の下流側を開閉可能に構成されている。
【0021】
版胴6は、版5をくわえるための公知のクランプ装置13を備えている。このクランプ装置13は、版5のくわえ側端部(
図2では下端部)5Aをくわえるくわえ側版締部13Aと、版5の尻側端部(
図2では上端部)5Bをくわえる尻側版締部13Bと、を周方向に対となるように備えている。くわえ側版締部13Aは、位置決め部として、版胴6の軸心方向(以下において幅方向という)に互いに所定距離だけ離間した円柱状で一対の突起13T,13T(
図5参照)を備えている。また、版5のくわえ側端部5Aに、位置決め用凹部として、突起13T,13Tに係止する被位置決め部としての半円状の切欠5K,5K(
図5参照)が形成されている。後述するエアシリンダ14を伸長作動させることにより、版5のくわえ側端部5Aの切欠5K,5Kが版胴6の突起13T,13Tに進入係止して両者が位置決めされる。エアシリンダ14は、
図5に示すように、版案内板15に固定された一対の支持装置26,26に取り付けられたシリンダチューブ14Bと、先端に後述する吸引パイプ22が取り付けられたピストンロッド14Aと、を備えている。
【0022】
給版装置12は、
図1~
図5に示すように、版胴6へ給版される版5を吸着して保持する吸着部である吸着パッド16と、ポンプPと、吸着パッド16とポンプPとを連通する配管17と、配管途中に設けられ配管17を連通状態と非連通状態とに切り替えるべく開閉可能な切換弁18と、配管途中の切換弁18とポンプPとの間に配置され配管17内の圧力を検出可能な圧力センサ19と、ポンプP及び切換弁18を制御する制御部Sと、を備えている。
【0023】
ポンプPは、真空ポンプから構成され、印刷機から離間した位置に配置される。配管17は、真空ポンプPが接続される主管171と、主管171から分岐され主管171よりも径の小さい導圧管(導管)172と分岐管173A,173Bと、を備えている。
【0024】
圧力センサ19は、ポンプPから近い位置にある給紙部Aの上部に設けられ、上方に立ち上げられた前記導圧管172の上端に接続されている。そして、制御部Sが、版胴6へ版5を供給するよう給版指示を受けると、切換弁18を閉じてポンプを吸引駆動した時に、圧力センサ19は、配管17内の圧力が第1負圧値以下になったことを検出する。また、圧力センサ19は、後述する版吸着制御において閉じている切換弁18を開いた後に、配管17内の圧力が第2負圧値以下になったこと、つまり吸着パッド16にて版5を正常に吸着できていることを検出可能な吸着圧力センサとしても機能するように構成されている。詳細に説明すると、切換弁18を開くことにより、分岐管173Aと分岐管173Bが連通することと吸着パッド16からの空気漏れにより配管17内の圧力が一旦上昇するが、吸着パッド16が版5を正常に吸着すると、吸着パッド16からの空気漏れがなくなり、配管17内の圧力が低下することから、この圧力低下、すなわち配管17内の圧力が第2負圧値以下になったことを圧力センサ19によって検出することで、吸着パッド16にて版5を正常に吸着できていると判断することができる。
【0025】
分岐管173A,173Bは、主管171から4台の印刷ユニット1,2,3,4のそれぞれに備える吸着パッド16まで繋がるように設けられ、一方の分岐管173Aが、主管171から各印刷ユニット1の切換弁18までを連結する第1分岐管であり、他方の分岐管173Bが、切換弁18から吸着パッド16までを連結する第2分岐管である。
【0026】
更に、給版装置12は、
図2に示すように、版5を案内する版案内板15と、版5を吸着した吸着パッド16を版胴6に設けたくわえクランプ装置13側に向けて移動させるための移送部としての左右のエアシリンダ14と、を備えている。版案内板15は、上端部の支軸20により揺動自在に構成され、下流側前板10Fの両側部にそれぞれ備えた伸縮自在なシリンダ装置21(
図5参照)により揺動されて、版胴6から遠ざかって版5をセットする版セット姿勢(
図2に示す下流側前板10Fと面一となる姿勢)と、前記版胴6に近づいて版5を版胴6に給版するための給版姿勢(
図3及び
図4参照)とに姿勢変更可能に構成されている。したがって、左右のエアシリンダ14のピストン14Aを伸縮させることによって、吸引パイプ22を給版方向で移動させることによって、吸引パイプ22に取り付けた複数(
図5では4個)の吸着パッド16がそれぞれに対応する長孔15A(
図5参照)内を移動する。
図5において、吸着パッド16が長孔15Aの上方に位置して版5を吸着する吸着位置A1(
図2及び
図3並びに
図5の実線参照)と、吸着パッド16が長孔15Aの下方に位置してくわえクランプ側に位置する給版位置A2(
図4及び
図5の2点鎖線)との2位置に、エアシリンダ14の伸縮作動により切り換え可能に構成されている。
【0027】
制御部Sは、作業者がスイッチを押す、又は自動プログラムの起動開始により、版胴6へ版5を供給するよう給版指示を受けると、切換弁18を閉じてポンプPを吸引駆動し、圧力センサ19が第1負圧値以下になったことを検出すると、切換弁18までの配管17内の圧力が正常に減圧したと判断し、切換弁18を開く版吸着制御を実行するように構成されている。この実施形態では、複数の印刷ユニット1,2,3,4を備えているため、制御部Sは、所定の印刷ユニットに対する前記版吸着制御において吸着圧力センサ(この実施形態では圧力センサ19)が第2負圧値以下であることを検出したのちに、次の印刷ユニットに対して版吸着制御を実行するように構成されている。このように、次の印刷ユニットに対して版吸着制御を実行する吸着圧力センサを、圧力センサ19が兼用することによって、装置の簡素化を図ることができる。また、制御部Sが、印刷ユニット毎に版吸着制御を実行することによって、吸着ミスの原因特定を迅速に行える。
【0028】
吸着パッド16は、
図5に示すように、版案内板15に幅方向に所定間隔を置いて形成された複数の縦長状の長孔15Aのそれぞれから先端部が突出するように配置されている。また、吸着パッド16は、基端部が版案内板15の裏面側に設けられた吸引パイプ22に取り付けられている。吸引パイプ22には、幅方向中間部に吸引継手23が接続されている。吸引継手23には、幅方向外側に延びる横パイプ24が接続され、横パイプ24の外側端部に継手25を介して前記第2分岐管173Bが接続されている。したがって、継手25、横パイプ24、吸引継手23及び吸引パイプ22は、第2分岐管173Bの一部として構成されることになる。
【0029】
各切換弁18は、主管171に接続されている第1分岐管173Aと、吸着パッド16に接続されている第2分岐管173Bとを連通状態と非連通状態とに切り替えるべく開閉可能な電磁弁から構成されている。具体的には、切換弁18は、
図6(a),(b)に示すように、3つのポートを備える3ポート2位置切換弁からなり、通電時(ON時)は、コイルスプリング27の付勢力に抗して第1分岐管173Aと第2分岐管173Bとを連通させる状態に切り換え(
図6(b)参照)、非通電時(OFF時)は、コイルスプリング27の付勢力により第2分岐管173Bを大気に連通させる状態に切り換えると共に分岐管173Aを封鎖する(
図6(a)参照)。第2分岐管173Bは、
図1に示すように、上方に立ち上げてから水平方向後方へ案内され、後方から上方へ再度立ち上げられ、上方斜め前方に移動され、再度水平方向後方へ案内されてから直下方へ案内されているが、どのように案内される構成でもよい。
【0030】
給版の版吸着処理について
図7及び
図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0031】
作業者がスイッチを押す、又は自動プログラムの起動開始により、給版の版吸着処理が開始されると、配管17内の圧力が第1負圧値以下であるかどうかを確認する(ステップS1)。真空ポンプがOFF状態にあるにもかかわらず、配管17内の圧力が第1負圧値以下である場合には、圧力センサ19が異常であるとし(ステップS2)、給版工程異常終了となる。配管17内の圧力が第1負圧値以下でない場合(第1負圧値を越えている場合)は、真空ポンプPをONにする(ステップS3)。また、全印刷ユニットの4個の切換弁18をOFFにする(ステップS4)。この後、配管17内の圧力が第1負圧値以下になっているかどうかを確認する(ステップS5)。ステップS6において一定時間経過するまで配管17内の圧力が第1負圧値以下にならないと判定された場合に、真空ポンプPが異常であるとし(ステップS7)、給版工程異常終了となる。この実施形態では、ステップS7で真空ポンプPが異常であるとしているが、配管17での空気漏れによる異常や切換弁18の作動不良による異常等、複数の異常が考えられる。
【0032】
前記ステップS5で一定時間経過する前に配管17内の圧力が第1負圧値以下になると、一定時間経過するまで配管17内の圧力が第1負圧値以下であるかどうかを確認する(ステップS8)。一定時間経過後も配管17内の圧力が第1負圧値以下であれば、第1印刷ユニット1の切換弁18をONにして切換弁18を開く(ステップS9)。これは、配管17内の圧力が不安定な場合があるため、一定時間経過後の配管17内の圧力を確認することで安定した状態で次のステップへ移行できるようにしている。尚、ステップS6の一定時間とステップS8の一定時間とを同一時間にしてもよいし、ステップS8の一定時間をステップS6の一定時間よりも長い時間に設定してもよい。また、ステップS8は廃止することもできる。次に、切換弁18を開いてから、配管17内の圧力が第2負圧値以下になったかどうかを確認する(ステップS10)。一定時間経過しても配管17内の圧力が第2負圧値以下にならない場合には、ステップS11のYesへ移行して第1ユニットの版吸着異常とし(ステップS12)、給版工程異常終了となる。
【0033】
一定時間経過するまでに、配管17内の圧力が第2負圧値以下になった場合には、第1ユニット1の吸着パッド16が版5を正常に吸着したと判断し、ステップS10のYesへ移行して、
図8に示す、第2印刷ユニット2の切換弁18をONにして切換弁18を開く(ステップS13)。開いた後、配管17内の圧力が第2負圧値以下になっているかどうかを確認する(ステップS14)。一定時間経過しても、配管17内の圧力が第2負圧値以下にならない場合には、ステップS15のYesへ移行して第2印刷ユニット2の版吸着異常とし(ステップS16)、
図7に示す給版工程異常終了となる。
【0034】
一定時間が経過する前に配管17内の圧力が第2負圧値以下になった場合には、第2ユニット1の吸着パッド16が版5を正常に吸着したと判断して、次の印刷ユニットである第3印刷ユニット3に移行する。ここで第3印刷ユニット3は、第2印刷ユニット2と同一の動作になるため、省略し、最終の印刷ユニットである第4印刷ユニット4の動作を説明する。第4印刷ユニット4では、切換弁18をONにして切換弁18を開く(ステップS17)。そして、配管17内の圧力が第2負圧値以下になったかどうかを確認する(ステップS18)。一定時間経過しても配管17内の圧力が第2負圧値以下にならない場合には、ステップS19のYesへ移行して最終印刷ユニットである第4印刷ユニット4の版吸着異常とし(ステップS20)、
図7に示す給版工程異常終了となる。一定時間経過するまでに、配管17内の圧力が第2負圧値以下になった場合には、全ての印刷ユニット1,2,3,4の版の吸着が正常終了したとし、次の処理へ移行する(ステップS21)。尚、前記第2負圧値は、前記第1負圧値と同一の値に設定してもよいし、異なる値に設定してもよい。また、ステップS15の一定時間とステップS19の一定時間とをステップS6の一定時間と同一時間にしてもよいし、異なる時間に設定してもよい。尚、圧力センサ異常、真空ポンプ異常、各印刷ユニットの版吸着異常が発生して給版工程異常終了になると、異常の内容をオペレータに報知するための報知手段(音声や表示モニター等)を設けて実施することが好ましい。
【0035】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0036】
前記実施形態では、印刷部Cを4台の印刷ユニット1,2,3,4から構成したが、1台、2台又は3台あるいは5台以上の任意の台数から構成してもよい。
【0037】
また、前記実施形態では、第1印刷ユニット1、第2印刷ユニット2、第3印刷ユニット3、第4印刷ユニット4の順番で版吸着処理を行ったが、順番はこれに限定されない、例えば、第4印刷ユニット4、第3印刷ユニット3、第2印刷ユニット2、第1印刷ユニット1の順番でも良いし、第1印刷ユニット1、第3印刷ユニット3、第2印刷ユニット2、第4印刷ユニット4の順番でも良い。
【0038】
また、前記実施形態では、配管17内の圧力を検出する圧力センサ19で検出される圧力に基づいて各印刷ユニットに対して版吸着制御を行うようにしたが、各印刷ユニット毎に備えた圧力センサで検出される圧力に基づいて各印刷ユニットに対して版吸着制御を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…第1印刷ユニット、2…第2印刷ユニット、3…第3印刷ユニット、4…第4印刷ユニット、5…版、5A…くわえ側端部、5B…尻側端部、5K…切欠、6…版胴、7…ゴム胴、8…圧胴、9…給紙胴、10…本体、10A…側壁、10B…支軸、10F…下流側前板、11…胴、12…給版装置、13…クランプ装置、13A…くわえ側版締部、13B…尻側版締部、13T…突起、14…エアシリンダ、14A…ピストンロッド、14B…シリンダチューブ、15…版案内板、15A…長孔、16…吸着パッド、17…配管、18…切換弁、19…圧力センサ、20…支軸、21…シリンダ装置、22…吸引パイプ、23…吸引継手、24…横パイプ、25…継手、26…支持装置、27…コイルスプリング、171…主管、172…導圧管(導管)、173A,173B…分岐管、A…給紙部、A1…吸着位置、A2…給版位置、B…排紙部、C…印刷部、P…ポンプ(真空ポンプ)、S…制御部