(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】自動出力調整装置及び自動出力調整方法
(51)【国際特許分類】
G21D 3/00 20060101AFI20240712BHJP
G21C 7/08 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
G21D3/00 A
G21C7/08 100
(21)【出願番号】P 2021138384
(22)【出願日】2021-08-26
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伏見 篤
(72)【発明者】
【氏名】石井 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】光安 岳
(72)【発明者】
【氏名】中山 颯
【審査官】藤田 健
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-142588(JP,A)
【文献】特開平05-027071(JP,A)
【文献】特開昭59-151088(JP,A)
【文献】特開平03-046596(JP,A)
【文献】特表2003-526770(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0016025(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21D 3/00
G21C 7/08
G21C 7/36
G21C 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子炉の出力を制御するための複数の制御棒を自動操作して前記原子炉の出力を調整する自動出力調整装置であって、
全ての前記制御棒に対して全挿入から全引抜までの操作手順を定めた制御棒操作手順であって、特定の区間における前記操作手順が同一となるように設定されるN個(Nは2以上の整数)の制御棒操作手順を格納する制御棒操作手順格納装置と、
前記制御棒操作手順格納装置から読み出した、現在の前記制御棒の操作で用いられている1個の前記制御棒操作手順と、残りのN-1個の前記制御棒操作手順とで、前記操作手順が同一である同一領域を判定する制御棒操作手順判定装置と、
前記制御棒の挿入量及び位置を表す現在の制御棒パターンが、前記制御棒操作手順判定装置で判定された前記同一領域の操作手順で操作される前記制御棒パターンに該当する前記制御棒操作手順を残りのN-1個の前記制御棒操作手順から選択し、選択した前記制御棒操作手順に自動で切り換える制御棒操作制御装置と、を備える
自動出力調整装置。
【請求項2】
前記制御棒操作手順判定装置は、前記原子炉に設けられた発電機を制御するための発電機制御装置から入力する炉心出力信号に基づいて、前記原子炉の炉心平均燃焼度を算出し、
前記制御棒操作制御装置は、前記炉心平均燃焼度と前記制御棒操作手順との対応が設定される制御棒操作手順選択テーブルを参照して決定した前記制御棒操作手順に切り換える
請求項1に記載の自動出力調整装置。
【請求項3】
前記制御棒操作手順判定装置は、前記炉心出力信号と、炉心流量信号とに基づいて、前記原子炉の定格出力状態における炉心流量を算出し、
前記制御棒操作制御装置は、前記炉心流量の変更可能範囲が最大となる制御棒パターンを選択する
請求項2に記載の自動出力調整装置。
【請求項4】
前記制御棒操作手順判定装置は、前記炉心出力信号と、前記炉心流量信号と、キセノン反応度とに基づいて補正した前記炉心平均燃焼度を用いて前記制御棒操作手順選択テーブルを参照して選択した、前記制御棒操作手順に切り換える
請求項3に記載の自動出力調整装置。
【請求項5】
前記制御棒操作制御装置は、表示装置及び入力装置を備え、
前記表示装置は、前記制御棒操作手順判定装置により選択された切り換えるべき制御棒操作手順と、前記制御棒操作手順判定装置が切り換えの判断に用いた、少なくとも炉心平均燃焼度を含むパラメータを表示し、
前記入力装置から入力される手動切り換え指示に基づいて、選択した前記制御棒操作手順に切り換える
請求項1に記載の自動出力調整装置。
【請求項6】
前記原子炉から取り込んだ計測信号に基づいて前記原子炉内の炉心性能に関わる物理量を計算する炉心性能計算装置を備え、
前記制御棒操作手順判定装置は、前記制御棒パターンを変更した後に定格出力まで上昇した時の前記炉心性能として計算された炉心の最大線出力密度が最小となる制御棒パターン、又は前記炉心性能として計算された炉心の最小限界出力比が最大となる制御棒パターンを選択する
請求項1に記載の自動出力調整装置。
【請求項7】
再循環ポンプ及び制御棒駆動機構を備えた原子炉の出力を冷却水の再循環流量により制御する再循環流量制御装置と、制御棒操作監視装置とを統括制御し、
再循環流量の制御により前記原子炉の出力を調整する再循環流量制御部と、前記制御棒の操作により前記原子炉の出力を調整する制御棒制御部を有し、
前記制御棒制御部は、前記制御棒操作手順格納装置と、前記制御棒操作手順判定装置と、前記制御棒操作制御装置と、を有する
請求項1に記載の自動出力調整装置。
【請求項8】
前記制御棒操作手順判定装置は、前記原子炉に設けられた発電機を制御するための発電機制御装置から入力する炉心出力信号と、再循環流量信号とに基づいて、前記原子炉の定格出力状態における炉心流量を算出し、前記炉心流量の変更可能範囲が最大となる制御棒パターンを選択する
請求項7に記載の自動出力調整装置。
【請求項9】
原子炉の出力を制御するための複数の制御棒を自動操作して前記原子炉の出力を調整する自動出力調整装置の自動出力調整方法であって、
全ての前記制御棒に対して全挿入から全引抜までの操作手順を定めた制御棒操作手順であって、特定の区間における前記操作手順が同一となるように設定されるN個(Nは2以上の整数)の制御棒操作手順を格納する処理と、
現在の前記制御棒の操作で用いられている1個の前記制御棒操作手順と、残りのN-1個の前記制御棒操作手順とで、前記制御棒の操作までの操作手順が同一である同一領域を判定する処理と、
前記制御棒の挿入量及び位置を表す現在の制御棒パターンが、前記同一領域の操作手順で操作される前記制御棒パターンに該当する場合に、残りのN-1個の前記制御棒操作手順から選択した1個の前記制御棒操作手順に自動で切り換える処理と、を含む
自動出力調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動出力調整装置及び自動出力調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電プラント(以下、「プラント」とも略称する)は、原子炉の核分裂反応を調整又は停止させるために多数の制御棒を備えている。例えば、大型の沸騰水型原子炉の場合、原子炉の停止中は200本程度の制御棒が炉心に挿入されている。原子力発電プラントを起動するには、挿入した制御棒を炉心外へ徐々に引き抜き、中性子による核分裂反応を増加する必要がある。運転員は中性子束や熱出力などのパラメータを監視して、核分裂反応の急激な変化が生じないように操作する制御棒の位置を選択し、適切なタイミングで制御棒操作ボタンを押す。選択された制御棒は炉心に引抜または挿入され、核分裂反応を制御する。
【0003】
ここで、プラント起動後に運転を継続するのが困難な故障等が発生した場合は、原子炉を停止するための操作が行われる。この操作として、例えば、安全系のインターロック信号に基づいて全制御棒を挿入するスクラムや運転員の手動操作がある。
【0004】
原子力発電プラントの起動及び停止時における制御棒の操作は、運転員が実施すべき操作と、運転員の監視に占める割合が大きいことから、近年、制御棒操作を自動制御する装置が用いられている。
【0005】
このような自動制御装置として、例えば特許文献1に示されるものが知られている。この特許文献1には、原子炉起動時の制御棒操作において、制御棒全挿入時における中性子束φAに対する中性子束φの比(φ/φA)の値を監視し、該比の値が所定値に達するまでは高速に制御棒を引き抜き、それ以降は制御棒を徐々に引き抜いて原子炉を臨界状態にすることが記載されている。また、特許文献1には、原子炉の制御棒操作において、制御棒引き抜き操作時に原子炉ペリオド信号が設定値よりも小さくならないように制御棒一時停止位置を予め設定して制御棒を高速に引き抜く高速駆動モードと、制御棒操作時の投入反応度がほぼ等しくなるように制御棒一時停止位置を予め設定して制御棒を予め決めたブロック量単位に駆動するブロック駆動モードと、制御棒最小操作単位量(以下、ステップという。)進んだ位置に制御棒一時停止位置を予め設定して制御棒を1ステップずつ操作するステップ駆動モードとを用意しておくことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
沸騰水型の原子力発電プラントでは、出力運転中に制御棒の挿入量や位置を変更する制御棒パターンの変更が実施されている。これは、前述したような原子炉の起動・停止に関わる制御棒操作ではなく、原子炉の効率的な運転を達成するためのものである。すなわち、運転中に炉心へ挿入する制御棒の位置や挿入量を一定期間の運転の後に変更することで、炉心燃料の効率的な燃焼や出力分布の平坦化を図るものである。
【0008】
図1は、沸騰水型の原子力発電プラントの従来の制御棒パターンの変更例を模式的に示した図である。
図1に示すように、プラント起動から停止までの計画した期間(運転サイクル)において、3つの制御棒パターン100A,100B,100Cの順に変更される。それぞれの制御棒パターンは、炉心の横断面に対し、制御棒が挿入可能な位置を一つのマス目で表しており、制御棒が挿入されている位置に数値(
図2では、「a」、「b」などと表記)を記載している。ここで、数値「a」,「b」は制御棒の引抜量であり、制御棒が全て挿入された時(全挿入)には数値「0」となる。
図1では、「0」のマス目がないので、全挿入された制御棒は存在していないことが分かる。
【0009】
そして、マス目が空欄になっている位置の制御棒は全て引き抜かれた状態(全引抜)を表している。運転員は、プラントを起動した後、制御棒パターン100Aで一定期間を運転した後、制御棒パターン100Bに変更する。更に、運転員は、一定期間を運転した後、制御棒パターン100Bから制御棒パターン100Cに変更する。最終的に運転員は、全ての制御棒を引き抜く操作を行った後に、運転サイクルを終了してプラントを停止する。このような制御棒パターンの変更は、炉心燃料を万遍なく燃焼させるために行われる。そして、制御棒パターンの変更は、運転サイクル前に炉心管理者により計画されたものをベースとして、プラントの直近の運転実績を加味して最終的に判断される。
【0010】
特許文献1に示した制御棒操作装置により、起動時の制御棒操作は容易となり、運転員はプラントの総合的な監視に振り向ける時間を増やすことができる。一方、上述した制御棒パターンの変更については自動化されていない。その理由の一つとして、定格出力運転中の制御棒操作の頻度がこれまであまり多くなかったことが挙げられる。しかし、近年、変動性再生可能エネルギーの大量導入が進む中、二酸化炭素を排出しない調整力として原子力発電にも柔軟な運転が求められつつある。運転中に実施する出力調整の頻度が上がった場合、制御棒パターンの変更や変更前後での出力調整のための制御棒操作が運転員の負担となることが考えられる。そのため、負担軽減に向けて制御棒パターンの変更や変更前後で制御棒操作の自動化が有効である。
【0011】
ただし、制御棒パターンの変更を、例えば
図1の制御棒パターン100Aから制御棒パターン100Bに単純に移行する操作を自動化した場合、以下に示す2つの課題がある。一つは、制御棒パターンの変更時の制御棒位置の微調整ができないことである。前述したように、従来、運転サイクル中の制御棒パターンは、サイクル開始前に計画したものを直前の実績を踏まえて調整している。ここで、直前の運転実績を踏まえて、制御棒パターン100Bに破線の円で示す位置の引き抜き量「c」よりも制御棒を少し挿入した状態にすることを想定する。しかし、予め制御棒パターン100Aから制御棒パターン100Bへの固定した制御棒操作手順が準備されていると、引き抜き量「c」よりも制御棒を少し挿入した状態へ変更するための制御棒操作手順が無いので自動操作ができない。
【0012】
この引き抜き量「c」よりも制御棒を少し挿入した状態へ変更するという制御はイレギュラーなので、予め決まっていない制御棒パターンである。そこで、制御棒パターン100Aから制御棒パターン100Bへ移行する際に引き抜き量「c」まで制御棒を挿入することを事前に決めておく必要がある。なぜならば、次に制御棒パターン100Bから制御棒パターン100Cに変更するための操作手順を事前に作成するには、制御棒パターン100Bにて引き抜き量「c」まで制御棒が挿入されている位置から手順を作っておく必要があるためである。
【0013】
もう一つの課題として、変更後の出力変更を自動制御で実施できないことが挙げられる。例えば、太陽光発電システムによる発電量が多くなったため、原子力発電プラントの発電量を抑える要求が行われると、原子力発電プラントの出力変更が必要となる。そして、制御棒パターンの変更後に原子力発電プラントが出力調整のための制御棒操作を自動で実施するためには、変更後の制御棒パターン(例えば、制御棒パターン100B)を起点にして制御棒を挿入又は引抜きするための制御棒操作手順が必要となる。ところが従来、予め決められた制御棒パターン外の操作は行うことができなかった。このため、上述した引き抜き量「c」よりも深く挿入する場合と同様に、引き抜き量「c」まで制御棒が挿入されている位置から別な制御棒パターンに変化するための操作手順が必要となる。この操作手順が無いと、制御棒を引き抜き量「c」から動かせず、原子力発電プラントの出力を自動的に下げることができない。他にも計画外でプラントを停止する制御を行う場合にも、制御棒パターン100Bから制御棒を全挿入するような制御棒操作手順がなければ、自動操作は行われない。
【0014】
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、制御棒パターンの変更及び制御棒パターンの変更後の制御棒操作手順による原子力発電プラントの出力調整を自動化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る自動出力調整装置は、原子炉の出力を制御するための複数の制御棒を自動操作して原子炉の出力を調整するものである。この自動出力調整装置は、全ての制御棒に対して全挿入から全引抜までの操作手順を定めた制御棒操作手順であって、特定の区間における操作手順が同一となるように設定されるN個(Nは2以上の整数)の制御棒操作手順を格納する制御棒操作手順格納装置と、制御棒操作手順格納装置から読み出した、現在の制御棒の操作で用いられている1個の制御棒操作手順と、残りのN-1個の制御棒操作手順とで、操作手順が同一である同一領域を判定する制御棒操作手順判定装置と、制御棒の挿入量及び位置を表す現在の制御棒パターンが、制御棒操作手順判定装置で判定された同一領域の操作手順で操作される制御棒パターンに該当する制御棒操作手順を残りのN-1個の制御棒操作手順から選択し、選択した制御棒操作手順に自動で切り換える制御棒操作制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、制御棒パターンの変更及び制御棒パターンの変更後の制御棒操作による原子力発電プラントの出力調整を自動化することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】沸騰水型の原子力発電プラントの従来の制御棒パターンの変更例を模式的に示した図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る原子力発電プラントの全体構成例を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る制御棒操作手順格納装置に格納される制御棒のグループ分割の様子を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る制御棒操作手順の一例を示す図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る中間パターンの一例とした制御棒パターンの構成例を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る制御棒操作手順の別の一例を示す図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る制御棒パターンが変更される際の処理の例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る制御棒操作手順判定装置が複数の制御棒操作手順の重複する同一の手順領域を判定する様子を示す図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る制御棒操作手順選択テーブルの一例を示す図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態に係る原子力発電プラントの全体構成例を示すブロック図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る制御棒操作手順選択テーブルの一例を示す図である。
【
図12】本発明の第3の実施形態に係る原子力発電プラントの全体構成例を示すブロック図である。
【
図13】本発明の各実施の形態に係る計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0019】
[第1の実施形態]
図2は、第1の実施形態に係る原子力発電プラント30の全体構成例を示すブロック図である。原子力発電プラント30は、沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)の一例である。この原子力発電プラント30は、再循環ポンプを備えない自然循環炉で構成されている。
【0020】
原子力発電プラント30は、原子炉圧力容器1を備える。原子炉圧力容器1の内部に炉心2が保持されている。原子炉圧力容器1と炉心2は、炉心燃料を燃焼する原子炉の一例である。炉心2には、複数本の制御棒3(
図2では1本のみ図示)が挿抜可能な構造で取り付けられている。制御棒3には駆動機構4が設けられる。駆動機構4は、制御棒操作監視装置19から入力する指令により所望の位置へ制御棒3を移動する制御棒駆動機構の一例である。
【0021】
また、原子炉圧力容器1には、主蒸気配管6及び調整弁7が取り付けられており、原子炉で発生した蒸気をタービン8へ導く。タービン8には発電機9が接続してあり、タービン8の回転力を電力に変換する。タービン8で仕事をした蒸気は復水器10で冷却されて冷却水となる。この冷却水は、復水貯蔵タンク11を経て原子炉給水ポンプ12により原子炉圧力容器1に給水される。また、タービン8には出力計センサ13が取り付けられており、発電機9には電力計センサ14が取り付けられている。
【0022】
タービン発電機制御装置15は、出力計センサ13を用いて原子炉出力を計測し、電力計センサ14を用いて発電機出力(単に「出力」とも呼ぶ)を計測する。このタービン発電機制御装置15は、上述した自動出力調整装置16内にある制御棒操作制御装置17と制御棒操作手順判定装置18に接続されており、計測した原子炉出力と発電機出力を制御棒操作制御装置17と制御棒操作手順判定装置18に送出する。
【0023】
自動出力調整装置16は、原子炉の出力を制御するための複数の制御棒3を自動操作して原子炉の出力を調整する装置である。この自動出力調整装置16は、制御棒操作制御装置17、制御棒操作手順判定装置18及び制御棒操作手順格納装置20を備える。
【0024】
制御棒操作制御装置17は、制御棒の挿入量及び位置を表す現在の制御棒パターンが、制御棒操作手順判定装置18で判定された同一領域の操作手順で操作される制御棒パターンに該当する制御棒操作手順を残りのN-1個の制御棒操作手順から選択し、選択した制御棒操作手順に自動で切り換える。以下の説明で、制御棒操作制御装置17が制御棒操作手順を選択することを「制御棒操作手順に自動で切り換える」と表現する。実際には運転員が、制御棒操作制御装置17により選択された制御棒操作手順を確認し、入力装置17b(手順切り換えボタン)を押下することで制御棒操作手順が切り換わる。この制御棒操作制御装置17は、制御棒操作監視装置19と接続されており、制御棒操作信号を制御棒操作監視装置19に送出する。
【0025】
制御棒操作制御装置17には、運転員が制御棒3の動作状況を確認可能な表示装置17aと、運転員が出力制御の開始または終了を入力するための入力装置17bとが設けられる。
表示装置17aは、制御棒操作手順判定装置18により選択された切り換えるべき制御棒操作手順と、制御棒操作手順判定装置18が切り換えの判断に用いた、少なくとも炉心平均燃焼度Eを含むパラメータを表示する。そして、制御棒操作制御装置17は、入力装置17bから入力される手動切り換え指示に基づいて、選択した制御棒操作手順に切り換える。このため、運転員は、制御棒操作制御装置17の表示装置17aに表示される制御棒操作手順を確認して、入力装置17bの押下により、制御棒3の操作開始又は終了の指示、制御棒操作手順の切り換え指示を入力することが可能である。
【0026】
また、制御棒操作手順判定装置18は、制御棒操作監視装置19と接続されており、制御棒操作手順の選択信号を制御棒操作監視装置19に送出する。この制御棒操作手順判定装置18は、現在の制御棒3の操作で用いられている1個の制御棒操作手順と、残りのN-1個の制御棒操作手順とで、現在の制御棒3の操作までの操作手順が同一である同一領域を判定する。
【0027】
この制御棒操作手順判定装置18は、後述する
図9に示す制御棒操作手順選択テーブル60を備える。制御棒操作手順選択テーブル60は、制御棒操作制御装置17が現在の燃焼状態(例えば、炉心平均燃焼度)に基づき、制御棒操作手順を選択するために読み出される。
【0028】
制御棒操作手順格納装置20は、制御棒操作手順判定装置18及び制御棒操作監視装置19に接続されている。この制御棒操作手順格納装置20は、全ての制御棒3に対して全挿入から全引抜までの操作手順を定めた制御棒操作手順であって、特定の区間における操作手順が同一となるように設定されるN個(Nは2以上の整数)の制御棒操作手順を格納する。
【0029】
このように構成される各装置の動作例について説明する。
本実施形態に係る原子力発電プラント30の動作が開始されると、原子炉圧力容器1内の炉心2で発生した蒸気が主蒸気配管6と調整弁7を通じてタービン8に導かれる。タービン8は、蒸気のエネルギーにより回転し、発電機9を回転することによって電力を発生する。タービン8で仕事をした蒸気は復水器10で回収され、復水貯蔵タンク11を経て原子炉給水ポンプ12により原子炉圧力容器1に給水される。
【0030】
タービン発電機制御装置15は、電力計センサ14により計測した発電機出力を自動出力調整装置16内の制御棒操作制御装置17に送出する。
制御棒操作制御装置17は、運転員が入力装置17bを通じて指定した目標発電機出力(「目標出力」とも呼ぶ)と、タービン発電機制御装置15から送出された現在の発電機出力との偏差に基づき、例えば比例積分演算により制御棒操作信号を生成する。そして、制御棒操作制御装置17は、制御棒操作信号に基づいて、制御棒3の引抜信号又は挿入信号と、後述する制御棒操作モード信号とを制御棒操作監視装置19へ送出する。
【0031】
制御棒操作監視装置19は、選択した制御棒操作手順を制御棒操作手順格納装置20から読み込むための読み込み指令を制御棒操作手順格納装置20に送出し、制御棒操作手順格納装置20から当該制御棒操作手順データを読み出す。
【0032】
制御棒操作監視装置19は、制御棒操作手順格納装置20から読み込んだ制御棒操作手順データに基づき、制御棒操作制御装置17から受け取った引抜信号又は挿入信号及び現在の制御棒位置と制御棒操作モード信号により次の制御棒停止位置を決定する。そして、制御棒操作監視装置19は、駆動機構4を動作させて制御棒3を次の制御棒停止位置まで動かす。
【0033】
次に、制御棒3の操作手順について、
図3と
図4を参照して説明する。
図3は、制御棒操作手順格納装置20に格納される制御棒3のグループ分割の様子を示す図である。
図3では、制御棒3のグループ分割の一例として、制御棒パターン50A,50Bが示される。
図4は、制御棒操作手順の一例を示す図である。ここでは、制御棒操作手順(A)を一例として示す。
【0034】
本実施の形態で操作対象とされる制御棒3の数は全部で109本とする。そして、制御棒操作手順格納装置20には、これら複数の制御棒3をグループ1からグループ8まで8グループに分割した状態で、グループごとに同時に操作するための操作手順(ここでは、引抜手順)が格納されている。
図4では、グループ1を「Gr.1」のように表記する。そして、制御棒3の操作の単位は、制御棒3の全動作長を100等分した長さを最小単位としたステップとする。このため、100ステップで制御棒3が全挿入状態から全引抜状態となる。
【0035】
運転員が制御棒を操作する操作の方法(以下、「制御棒操作モード」と呼ぶ)は3種類ある。すなわち、制御棒を連続的に引抜き又は挿入する連続モード、2ステップから8ステップ程度のブロック単位で引抜き又は挿入するブロック駆動モード、そしてステップ単位で引抜き又は挿入するステップ駆動モードの3種類である。
【0036】
図3に示す制御棒パターン50A,50Bのマス目には、グループ番号が記載される。例えば、「1」が記載されたマス目は、グループ1に含まれる制御棒3の操作が行われることを表す。
図4に示す制御棒操作手順(A)は、制御棒を同時に引き抜くグループを縦に示し、制御棒を引抜く順番を横に示した表で構成される。すなわち、制御棒操作手順(A)は、グループ番号(Gr.1~Gr.8)と、手順(1~30)とで構成される表である。そして、制御棒操作手順(A)のグループ番号と手順が交差するセル内の上段には、各グループに含まれる制御棒3が連続モードで引き抜かれるときの停止位置が記載される。このセル内の下段には、ブロック駆動モードでの操作ステップ数が記載される。
【0037】
制御棒3の操作は、手順「1」から始まる。
例えば、最初にグループ1の制御棒3の引抜きが開始される。そして、連続モードの場合は32ステップまで連続的に引抜かれ、ブロック駆動モードの場合は4ステップ引抜いたところで制御棒3の引抜きが停止する。ステップ駆動モードの場合は1ステップ引抜いたところで制御棒3の引抜きが停止する。
【0038】
制御棒3の引き抜きが停止した後は、再度、制御棒操作制御装置17により行われる前述の比例積分演算により算出した制御棒操作信号に基づいて、制御棒操作モードを選択するための制御棒操作モード信号を生成する。制御棒操作制御装置17は、この制御棒操作モード信号に基づいて制御棒3の次の引抜き動作を行う。そして、原子力発電プラント30では、制御棒操作手順(A)に従い、特許文献1などに開示された装置を用いることにより、原子炉の出力を定格出力まで上昇することができる。
【0039】
なお、制御棒操作手順(A)を用いて制御棒を挿入する際には、制御棒操作手順(A)の手順(30)、手順(29)…手順(1)のように逆向きに手順が移行する。全引抜された制御棒は手順(30)で挿入開始され、手順(1)で全挿入される。
【0040】
次に制御棒パターンを変更する時の動作例について説明する。
一例として、
図1に記載した制御棒パターン100Aから制御棒パターン100Bへ変更する操作に注目する。
図2に示した自動出力調整装置16を用いて制御棒パターンを変更する際には、最初に制御棒パターン100Aから中間パターンに変更する。
【0041】
図5は、中間パターンの一例とした制御棒パターン50Cの構成例を示す図である。ここでの中間パターンは、
図5に示す制御棒パターン50Cとして表される。中間パターンでは、
図1に示した制御棒パターン100Aの引き抜き量「a」,「b」、制御棒パターン100Bの引抜量「c」が組み込まれている。そして、制御棒パターン100Aで動作が制御される制御棒3は、中間パターンを経た後、
図1に示した制御棒パターン100Bに設定される。
【0042】
図6は、制御棒操作手順の別の一例を示す図である。ここでは、制御棒操作手順(B)を一例として示す。
【0043】
制御棒操作手順格納装置20は、
図1に示した制御棒パターン100Bを含み、かつ
図4に示した制御棒操作手順(A)と一部の手順を同一とした、
図6に示す制御棒操作手順(B)を予め制御棒操作手順格納装置20に格納しておく。
【0044】
ここで、
図4に示した制御棒操作手順(A)と、
図6に示す制御棒操作手順(B)とを比較して説明する。図中に太線枠で囲んだ手順は、制御棒操作手順(A),(B)の共通する手順を表す。つまり、手順「1」~「19」は同じである。
【0045】
手順「20」以降は、制御棒操作手順(A),(B)で手順が異なる。
図4に示す制御棒操作手順(A)の手順「20」では、グループ6の制御棒3が32ステップまで引抜かれる。
一方、
図6に示す制御棒操作手順(B)の手順「20」では、グループ8の制御棒3が32ステップまで引抜かれる。つまり手順「20」では、先に引き抜かれる制御棒3が異なる。
【0046】
手順「21」以降について引き続き説明する。
図4に示す制御棒操作手順(A)の手順では、グループ6の制御棒を全引抜した後に、グループ7、グループ8、グループ7、…の順に、グループ7とグループ8の制御棒3が少しずつ引抜かれる。
一方、
図6に示す制御棒操作手順(B)の手順では、グループ8の制御棒を全引抜した後に、グループ7、グループ6、グループ7、…の順にグループ7とグループ6の制御棒3が少しずつ引抜かれる。
【0047】
<運転員の操作手順>
以上の準備の下、運転員の操作手順を含む制御棒3の移動制御のフローチャートについて、
図7を用いて説明する。ここでは、制御棒パターンが変更される処理について説明する。
図7は、制御棒パターンが変更される際の処理の例を示すフローチャートである。
【0048】
始めに、自動出力調整装置16は、現在の制御棒1の状態が
図1に示した制御棒パターン100Aに該当するものとして、
図4に示す制御棒操作手順(A)で制御棒3の操作を行っているとする。そして、運転員は、入力装置17bを通じて、現在よりも低い目標出力を制御棒操作制御装置17に設定する。または、運転員が直接、特定の制御棒3を目標の位置まで動作させるための目標制御棒パターンを指定できるように自動出力調整装置16を構成してもよい(S1)。
【0049】
運転員が制御棒操作制御装置17に現在よりも低い目標出力を設定するのは以下の理由による。すなわち、現在の制御棒パターンから別の制御棒パターンに変更する際には、様々な制御棒パターンを経由することができる。しかし、現在の制御棒パターンの状態で単に制御棒3を引き抜くと、原子炉の出力が上昇して定格出力を超える可能性がある。また、制御棒パターンの変更中には、制御棒3を浅く挿入する状態を経由することになる。この際、その制御棒3の周辺の出力が歪んで、熱的な制限を超えやすくなる。このため、制御棒パターンの変更時には、原子炉の出力を下げることができる制御棒パターン、言い換えれば、多くの制御棒3が挿入されるような制御棒パターンを経由することが一般的である。
【0050】
そこで、自動出力調整装置16は、複数の制御棒操作手順に含まれる同一の手順領域で制御棒3を操作するために、一旦低い目標出力を設定して、制御棒3の挿入を自動制御する。すなわち、自動出力調整装置16は、原子炉の出力を一旦下げるために、制御棒3を他の制御棒操作手順の同一部分まで挿入する。ここで、自動出力調整装置16は、制御棒3を引き抜くと出力が上昇し、制御棒3を挿入すると出力が低下するという原子炉運転の基本的な特性を前提に制御論理が組まれていることを想定する。
【0051】
次に、運転員が制御開始ボタンを押下する(S2)。運転員により制御開始ボタンが押下されることで、原子炉の出力下降制御が開始される。このため、制御棒操作制御装置17が自動的に制御棒3の挿入を開始する(S3)。出力下降制御の開始操作(制御開始ボタンの入力)は、制御棒操作制御装置17の入力装置17bが受け付ける。
【0052】
次に、制御棒操作監視装置19は、目標制御棒パターン(ここでは、
図5に示した中間パターン)に到達したか否かを判断する(S4)。例えば、一部の制御棒3が制御棒パターンで規定される位置よりも少し引き抜かれていた場合に、この制御棒3が目標制御棒パターンに到達するように制御棒3が挿入される。そこで、制御棒3が目標制御棒パターンに到達していなければ(S4のNO)、ステップS3に戻り、制御棒3の挿入が続けられる。
【0053】
一方、制御棒3が目標制御棒パターンに到達していれば(S4のYES)、運転員は、制御停止ボタンを押下する(S5)。運転員により制御停止ボタンが押下されることで、原子炉の出力下降制御が停止する。出力下降制御の停止操作(制御停止ボタンの入力)は、制御棒操作制御装置17の入力装置17bが受け付ける。
【0054】
出力下降制御が停止すると、制御棒操作手順判定装置18は、制御棒操作手順格納装置20から読み出した2つの制御棒操作手順(A)と制御棒操作手順(B)とで同一の手順領域を自動判別する。そして、制御棒操作手順判定装置18は、現在の制御棒位置が、2つの制御棒操作手順(A),(B)とで重複する同一の手順領域(例えば、手順「1」~「19」の間)にあるか否かを判定する(S6)。現在の制御棒位置が重複する手順領域になければ(S6のNO)、ステップS1に戻り、制御棒位置が複数の制御棒操作手順の重複する同一の手順領域になるまで処理が続けられる。
【0055】
一方、現在の制御棒位置が重複する手順領域にあれば(S6のYES)、制御棒操作制御装置17は、制御棒操作手順の切り換えが可能であることを表示する。このため、運転員による制御棒操作手順(B)への手順切り換えボタン(図示しない)の押下が可能となる(S6)。そして、制御棒操作制御装置17は、制御棒操作手順(A)から制御棒操作手順(B)に切り換え(S7)、表示装置17aに切り替え後の制御棒操作手順(B)を表示する。
【0056】
次に、運転員は、現在よりも高い、制御棒パターンの変更前の出力を目標出力として制御棒操作制御装置17に設定する。または、運転員が直接、目標制御棒パターンを指定できるように自動出力調整装置16を構成してもよい(S8)。現在よりも高い目標出力を設定するのは、制御棒3を中間パターンまで制御することで低下した原子炉の出力を元に戻すためである。
【0057】
次に、運転員が制御開始ボタンを押下する(S9)。制御開始ボタンが押下されることで、原子炉の出力上昇制御が開始される。このため、制御棒操作制御装置17が制御棒3の引抜を開始する(S10)。出力下降制御の開始操作(制御開始ボタンの入力)は、制御棒操作制御装置17の入力装置17bが受け付ける。そして、制御棒操作監視装置19は、
図1に示した制御棒パターン100Bとなるように制御棒3を引抜く動作を監視する。
【0058】
次に、制御棒操作監視装置19は、制御棒3が目標制御棒パターン(ここでは、
図1に示した制御棒パターン100B)に到達したか否かを判断する(S11)。制御棒3が
図1に示した目標制御棒パターンに到達していなければ(S11のNO)、ステップS10に戻り、制御棒3の引抜きが続けられる。
【0059】
一方、制御棒3が目標制御棒パターンに到達していれば(S11のYES)、運転員は、制御停止ボタンを押下する(S12)。制御停止ボタンが押下されることで、原子炉の出力上昇制御が停止する。出力上昇制御の停止操作(制御停止ボタンの入力)は、制御棒操作制御装置17の入力装置17bが受け付ける。そして、制御棒パターンの変更が完了する。
【0060】
図7に示すフローチャートにしたがって制御棒パターンの変更が実施されることにより、制御棒3の制御が終了した後に目標とする制御棒パターンを微調整したい場合にも、自動出力調整装置16が制御棒操作手順(B)に従って、制御棒3の挿入量を自動で操作できる。また、制御棒パターンの変更後に出力調整や計画外停止のための制御棒挿入を実施する必要が生じた場合にも、自動出力調整装置16が制御棒操作手順(B)を使用して、制御棒3を自動操作することが可能となる。
【0061】
次に、複数の制御棒操作手順の重複する同一の手順領域について、
図8を参照して説明する。
図8は、制御棒操作手順判定装置18が複数の制御棒操作手順の重複する同一の手順領域を判定する様子を示す図である。ここでは、3種類の制御棒操作手順(A)~(C)の例が示される。
【0062】
制御棒操作制御装置17は、制御棒操作手順格納装置20に格納されているN個の制御棒操作手順から、2つずつ制御棒操作手順を取り出す。そして、制御棒操作手順判定装置18は、操作の順序(1~30)毎に全制御棒3の挿入位置を計算し、2つの制御棒操作手順間で全制御棒3の挿入位置が同一となる順序を確認していく。
【0063】
制御棒操作手順判定装置18は、この処理をN×(N-1)/2個の組み合わせに対して実施する。
図8は、制御棒操作手順の数をN=3とした例である。そして、制御棒操作手順判定装置18は、3個の制御棒操作手順の組み合わせに対して、それぞれ同一となる順序を特定し、この特定した順序を同一の手順領域として記憶する。
図8に示すように、制御棒操作手順判定装置18は、制御棒操作手順(A)-制御棒操作手順(B)では、順序No.1~No.19が同一であると判定する。また、制御棒操作手順判定装置18は、制御棒操作手順(B)-制御棒操作手順(C)及び制御棒操作手順(A)-制御棒操作手順(C)の組み合わせでは、順序No.1~No.16が同一であると判定する。
【0064】
次に、制御棒操作制御装置17が複数の制御棒操作手順から一つの制御棒操作手順を自動的に選択する際に参照するテーブルについて、
図9を参照して説明する。
図9は、制御棒操作手順選択テーブル60の一例を示す図である。
【0065】
制御棒操作手順選択テーブル60は、炉心平均燃焼度Eと、制御棒操作手順とで構成される。
炉心平均燃焼度Eの項目は、タービン発電機制御装置15から制御棒操作制御装置17に送出される炉心出力を逐次算出するために用いられる。制御棒操作手順判定装置18は、原子炉に設けられた発電機9を制御するためのタービン発電機制御装置15から入力する炉心出力信号に基づいて、原子炉の炉心平均燃焼度Eを算出する。
また、制御棒操作手順の項目は、炉心平均燃焼度Eに合わせて、制御棒操作制御装置17が使用すべき制御棒操作手順を表す。
【0066】
[数1]
炉心平均燃焼度E = 炉心出力(MWt)×時間(d)/燃料装荷量(kg) …(1)
【0067】
制御棒操作制御装置17は、炉心平均燃焼度Eと制御棒操作手順との対応が設定される制御棒操作手順選択テーブル60を参照して、逐次算出した炉心平均燃焼度Eを制御棒操作手順選択テーブル60に当てはめる。この処理により、制御棒操作制御装置17は、制御棒パターンの変更の際に使用すべき制御棒操作手順を決定し、決定した制御棒操作手順に切り換えることができる。制御棒操作制御装置17は、例えば、上式(1)で算出した炉心平均燃焼度Eがa≦E<bであれば制御棒操作手順(B)を選択し、b≦E<cであれば制御棒操作手順(C)を選択する。
【0068】
そして、制御棒操作制御装置17は、
図7のステップS6で選択可能となった制御棒操作手順のうち、制御棒操作手順選択テーブル60で選択された制御棒操作手順のみを、
図7のステップS7で運転員が手順切り換えボタンを押下可能となるように制御する。または、制御棒操作制御装置17は、制御棒操作手順選択テーブル60で選択された制御棒操作手順だけを第1候補として、表示装置17aに表示することも可能である。そして、運転員は、制御棒操作制御装置17により自動的に選択された制御棒操作手順に切り換える操作を行うことができる。
【0069】
以上説明した第1の実施形態に係る自動出力調整装置16では、予め制御棒操作手順格納装置20に格納された複数の制御棒操作手順から制御棒操作制御装置17が選択した2つの制御棒操作手順が同一の順序となる手順を抽出する。その後、制御棒操作制御装置17が使用すべき制御棒操作手順が自動的に選択される。運転員は、自動的に選択された制御棒操作手順による制御開始ボタンを押下するだけで、制御棒パターンの変更の制御棒操作が自動化される。
【0070】
また、自動出力調整装置16は、制御棒パターンの変更後の出力抑制や上昇、計画外での停止など、制御棒操作により実施する運転を自動化できる。自動出力調整装置16により、原子力発電プラント30において部分負荷運転や計画外停止を実施する場合に、定型的ではあるものの労力を要する作業から、より高度なプラント全体の監視に運転員を割り当てることができ、原子力発電プラント30の安全性を向上できる。
【0071】
また、制御棒操作制御装置17は、予め格納した炉心平均燃焼度Eと制御棒操作手順との対応を設定した制御棒操作手順選択テーブル60に従って決定した制御棒操作手順を切り換える。このため、自動出力調整装置16は、炉心平均燃焼度Eに応じて、制御棒の位置を変え、炉心燃料全体を燃焼させることができ、炉心燃料の燃焼が進むことによる反応度の低下を補償できる。
【0072】
また、近年の変動性再生可能エネルギーの大量導入等に伴って、原子力発電プラント30に求められる出力調整の頻度が上がった場合においても、自動出力調整装置16は制御棒3の操作に係る運転員の負担を低減する。また、自動出力調整装置16が制御棒操作手順を自動で選択し、運転員は、変更前後の制御棒操作手順の良否を考慮しなくてもよい。この結果、運転員がプラント全体の監視に割り当てる時間を確保することが可能となり、プラント運転の安全性を高めることが可能な自動出力調整装置16を提供することができる。
【0073】
[第1の実施形態の変形例]
なお、制御棒操作手順選択テーブル60を参照して炉心平均燃焼度Eにより制御棒操作手順を選択した処理を、定格出力における冷却水の炉心流量の値により調整することも有効である。なぜならば、定格出力の到達時において、炉心流量が通常の制御範囲から逸脱しそうな場合には、すぐに制御棒パターンを変更して炉心流量を通常制御範囲に維持する必要が生じるため効率が悪いからである。
そこで、制御棒操作手順判定装置18は、炉心出力信号と、炉心流量信号とに基づいて、原子炉の定格出力状態における炉心流量を算出してもよい。そして、制御棒操作制御装置17は、炉心流量の変更可能範囲が最大となる制御棒パターンを選択してもよい。このように制御棒パターンが選択されることで、自動出力調整装置16は、定格出力での炉心流量の値により制御棒操作手順を選択する処理を実現可能となる。
【0074】
さらに、出力変更後に生じるキセノン反応度の変化までを考慮して定格出力の到達時に炉心流量の変更可能範囲を最大化するよう調整することも有効である。そこで、予め炉心出力P、炉心流量F、キセノン反応度Xをパラメータとして、炉心平均燃焼度Eを補正する関数ΔE=ΔE(P,F,X)を制御棒操作制御装置17に格納しておく。そして、制御棒操作手順判定装置18は、炉心出力信号と、炉心流量信号と、キセノン反応度に基づいて、炉心平均燃焼度Eを補正する。
【0075】
制御棒操作制御装置17は、炉心出力信号と、炉心流量信号と、キセノン反応度とに基づいて補正された炉心平均燃焼度Eを用いて制御棒操作手順選択テーブル60を参照する。すなわち、制御棒操作制御装置17は、上式(1)で算出された現在の炉心平均燃焼度EをE+ΔEに置き換えて、制御棒操作手順選択テーブル60に当てはめ、炉心流量の変更可能範囲が最大となる制御棒パターンを選択する。そして、制御棒操作制御装置17は、この制御棒パターンを含む制御棒操作手順に切り換えることができる。
【0076】
また、上述した実施の形態に係る自動出力調整装置16は、沸騰水型原子炉(BWR)に限らず、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)にも適用可能である。自動出力調整装置16を用いることで、加圧水型原子炉においても制御棒の操作を自動化することができる。
【0077】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る自動出力調整装置の構成例について、
図10と
図11を参照して説明する。第2の実施形態に係る自動出力調整装置では、原子炉の炉心性能を計算することで、制御棒操作手順を選択することが可能となる。
図10は、第2の実施形態に係る原子力発電プラント30の全体構成例を示すブロック図である。
【0078】
第2の実施形態に係る原子力発電プラント30は、第1の実施形態に係る原子力発電プラント30と同様の構成としているが、自動出力調整装置16Aを備える点が異なる。
自動出力調整装置16Aは、制御棒操作制御装置17に接続された炉心性能計算装置21を有する。
【0079】
炉心性能計算装置21は、原子炉から取り込んだ計測信号に基づいて原子炉内の炉心性能に関わる物理量を計算する。例えば、炉心性能計算装置21は、原子炉内の圧力、温度、流量や中性子束などの計測信号を取込み、3次元炉心シミュレータにより、炉心内の出力分布や冷却水の物理量を計算する。このような処理を経て、炉心性能計算装置21は、炉心燃料の最大線出力密度や最小限界出力比などの運転上の制限となるパラメータを監視する。
【0080】
制御棒操作制御装置17は、炉心性能計算装置21から最大線出力密度と最小限界出力比を取込む。制御棒操作制御装置17は、上述した第1の実施形態において
図9の制御棒操作手順選択テーブル60に示した炉心平均燃焼度Eによる制御棒操作手順の判定に以下の選択処理を加える。すなわち、制御棒パターンを変更した後に定格出力まで上昇した時の炉心性能として計算された炉心の最大線出力密度が最小となる制御棒パターン、又は炉心性能として計算された炉心の最小限界出力比が最大となる制御棒パターンを制御棒操作制御装置17が選択する処理である。このため、制御棒操作制御装置17は、
図11に示す制御棒操作手順選択テーブル60Aを参照する。ここで、制御棒操作手順選択テーブル60Aの構成例を説明する。
【0081】
図11は、制御棒操作手順選択テーブル60Aの一例を示す図である。
制御棒操作手順選択テーブル60Aのテーブル構成は、
図9に示した制御棒操作手順選択テーブル60と同様である。ただし、制御棒操作手順選択テーブル60Aでは、同一の炉心平均燃焼度Eに対して2つ以上の制御棒操作手順を対応させる。このため、炉心平均燃焼度Eが0≦E<aであれば制御棒操作手順(A)又は(D)が選択される。同様に、炉心平均燃焼度Eがa≦E<bであれば制御棒操作手順(B)又は(F)が選択され、b≦E<cであれば制御棒操作手順(C)又は(G)が選択される。
【0082】
なお、第1の実施形態に係る
図9に示した制御棒操作手順選択テーブル60では、炉心平均燃焼度Eに重なりがない。このため、炉心平均燃焼度EがΔEも含めて一意に定まれば、操作手順も一意に決まることとなる。
【0083】
上述したように、炉心平均燃焼度Eが0≦E<aであれば制御棒操作手順(A)又は(D)が選択される。そして、制御棒操作制御装置17は、制御棒操作手順(A)と(D)を制御棒操作手順格納装置20から読み込み、制御棒操作手順(A)と(D)を炉心性能計算装置21に送って、定格出力到達時の最大線出力密度又は最小限界出力比を算出させる。
【0084】
制御棒操作制御装置17は、炉心性能計算装置21が算出した定格出力到達時の最大線出力密度又は最小限界出力比を受け取ると、制御棒操作手順を選択する。この時、制御棒操作制御装置17は、制御棒操作手順(A)と(D)のうち、定格出力到達時の最大線出力密度が最小、又は最小限界出力比が最大となる制御棒操作手順を選択する。
【0085】
以上説明した第2の実施の形態に係る自動出力調整装置16Aでは、炉心性能計算装置21は、制御棒パターンを変更した後に定格出力まで上昇した時の炉心2の最大線出力密度が最小となるパターン又は最小限界出力比が最大となる制御棒操作手順を計算する。制御棒操作制御装置17は、複数の制御棒操作手順から最大線出力密度又は最小限界出力比の余裕が大きい制御棒パターンを含む制御棒操作手順を選択することができる。例えば、制御棒操作制御装置17が炉心2の最大線出力密度が最小となる制御棒操作手順を選択することで、制御棒3が操作されると、その後の制御棒3の操作では最大線出力密度が最小とはならないので、炉心2の出力を上げやすくなる。
【0086】
このように最大線出力密度又は最小限界出力比を制限することで、原子炉の出力を低下して運転するリスクを回避できる。このリスクとは、外部からの要求で決まる目標とすべき出力よりも、要求に応えられない低い出力で原子力発電プラント30を運転するリスクのことである。
【0087】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る自動出力調整装置の構成例について、
図12を参照して説明する。第3の実施形態に係る自動出力調整装置では、再循環ポンプ及び再循環流量制御装置を備える原子力発電プラントの出力を制御するものである。
図12は、第3の実施形態に係る原子力発電プラント30Aの全体構成例を示すブロック図である。
【0088】
第3の実施形態に係る原子力発電プラント30Aは、再循環ポンプ41及び再循環流量制御装置42を備え、再循環流量制御部43が付加された自動出力調整装置16Bを備える。
【0089】
再循環ポンプ41は、原子炉圧力容器1の内部にある冷却水を強制的に循環させる機能を有する。例えば、再循環ポンプ41は、炉心2の外側にある冷却水を炉心2の下部から炉心2内に流しこむ働きをする。
【0090】
沸騰水型原子炉では、炉心2の下部から炉心2に流入した冷却水の一部が、炉心2内で沸騰し、蒸気となって原子炉圧力容器1から主蒸気配管6に送り出される。この時、炉心2内で蒸気の占める割合(「ボイド率」と呼ぶ)が小さいほど中性子と炉心燃料の反応が増加する。そのため、再循環ポンプ41によって炉心2に流入する減速材の量(「炉心流量」と呼ぶ)を多くすることで、ボイド率を小さくし、原子炉の出力を増加させることができる。
【0091】
通常、沸騰水型原子炉では、この再循環流量による出力制御と、制御棒3を使用した出力制御とを組み合わせて出力が制御される。特に、定格運転のような出力の高い状態では、制御棒3を操作すると出力分布が歪み、熱的な制限に抵触する可能性がある。このため、多くの場合、再循環流量による出力制御が使用されている。
【0092】
自動出力調整装置16Bは、タービン発電機制御装置15及び再循環流量制御装置42に接続された再循環流量制御部43を備える。
再循環流量制御部43は、タービン発電機制御装置15から送出された現在の発電機出力を受け取り、再循環流量制御部43は、再循環流量制御装置42で行われる再循環流量を制御する。
そして、自動出力調整装置16Bは、再循環ポンプ41及び駆動機構4を備えた原子炉の出力を冷却水の再循環流量により制御する再循環流量制御装置42と、制御棒操作監視装置19と、再循環ポンプ41とを統括制御する。
【0093】
図12に示す原子力発電プラント30Aの構成とした場合、定格出力運転からの制御棒パターンの変更や出力調整などで出力を下降する際に、一定出力以上での出力調整を再循環流量制御により実施するように自動出力調整装置16Bが構成される。
【0094】
なお、
図12では、制御棒操作制御装置17、制御棒操作手順判定装置18及び制御棒操作手順格納装置20をひとまとめにして制御棒制御部25と呼ぶ。この制御棒制御部25は、再循環流量の制御により前記原子炉の出力を調整する再循環流量制御部43と、制御棒3の操作により原子炉の出力を調整する。すなわち、制御棒制御部25は、再循環流量の制御により出力を調整する再循環流量制御部43による再循環流量の制御操作と、制御棒操作とを組み合わせて原子炉の出力を調整する。この時、制御棒操作手順判定装置18は、炉心出力信号と、再循環流量信号とに基づいて、原子炉の定格出力状態における炉心流量を算出し、炉心流量の変更可能範囲が最大となる制御棒パターンを選択する
【0095】
以上説明した第3の実施形態に係る自動出力調整装置16Bでは、出力が高い状態で制御棒3を操作したときに生じやすい最大線出力密度や最小限界出力比の制限逸脱や燃料破損のリスクを回避した上で、これまで自動化されていなかった制御棒パターンの変更を自動化できる。更に、パターン変更後に再循環流量調整のみでは実施できなかった低い出力への出力調整が制御棒3の操作を含めて自動化することができる。このため、運転員の労力をより高度な監視業務に振り分けることができる。
【0096】
また、自動出力調整装置16Bは、炉心出力、炉心流量及び現在の制御棒パターンに従い、パターン変更後の定格出力状態において、炉心流量の変更可能範囲が最大となるパターンを選択できる。このため、長い期間を再循環流量の調整だけで出力を調整し、定格出力を維持することが可能となる。この結果、パターン変更の回数を減らすことができ、さらに次回の制御棒パターン変更までの期間を最大化できる。
【0097】
[計算機のハードウェア構成]
図13は、上述した各実施形態に係る装置を構成する計算機70のハードウェア構成図である。計算機70は、本実施の形態に係る各装置として動作可能なコンピューターとして用いられるハードウェアの一例である。
【0098】
計算機70は、バス74にそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)71、ROM(Read Only Memory)72、及びRAM(Random Access Memory)73を備える。さらに、計算機70は、表示装置75、入力装置76、不揮発性ストレージ77及びネットワークインターフェイス78を備える。
【0099】
CPU71は、本実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM72から読み出してRAM73にロードし、実行する。RAM73には、CPU71の演算処理の途中で発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメータ等がCPU71によって適宜読み出される。ただし、CPU71に代えてMPU(Micro Processing Unit)を用いてもよい。自動出力調整装置16を構成する各装置の動作は、各装置に内蔵されるCPU71のプログラムの実行により実現される。
【0100】
表示装置75は、例えば、液晶ディスプレイモニターであり、計算機70で行われる処理の結果等を運転員に表示する。入力装置76には、例えば、キーボード、マウス等が用いられ、運転員が所定の操作入力、指示を行うことが可能である。制御棒操作制御装置17に取り付けられる表示装置17aは
図13に示す表示装置75に対応し、入力装置17bは入力装置76に対応する。他の装置(タービン発電機制御装置15、制御棒操作手順判定装置18等)には、表示装置75と入力装置76が取り付けられない構成としてもよい。
【0101】
不揮発性ストレージ77としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ又は不揮発性のメモリ等が用いられる。この不揮発性ストレージ77には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機70を機能させるためのプログラムが記録されている。ROM72及び不揮発性ストレージ77は、CPU71が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機70によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
【0102】
ネットワークインターフェイス78には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。
【0103】
本実施の形態に係る自動出力調整装置16は、計算機70(コンピューター)がプログラムを実行することにより、
図2、
図10、
図12に示した各機能ブロックが連携して行う自動出力調整方法を実現する。
【0104】
なお、本発明は上述した各実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1…原子炉圧力容器、2…炉心、3…制御棒、9…発電機、15…タービン発電機制御装置、16…自動出力調整装置、17…制御棒操作制御装置、17a…表示装置、17b…入力装置、18…制御棒操作手順判定装置、19…制御棒操作監視装置、20…制御棒操作手順格納装置、30…原子力発電プラント、50A~50C…制御棒パターン、60…制御棒操作手順選択テーブル