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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240712BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021142508
(22)【出願日】2021-09-01
(65)【公開番号】P2023035559
(43)【公開日】2023-03-13
【審査請求日】2023-02-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 裕喜
(72)【発明者】
【氏名】永吉 直樹
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/131742(WO,A1)
【文献】特開2021-051702(JP,A)
【文献】特開2015-087147(JP,A)
【文献】特開2008-145192(JP,A)
【文献】特開2021-012131(JP,A)
【文献】特開平09-251544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物が搬送される搬送路を撮影する撮影部で撮影された複数の画像から、前記対象物を含む前記画像である判定対象画像をパタンマッチングにより取得する取得部と、
前記判定対象画像に含まれる前記対象物の円弧形状部および前記対象物の端部の各々を含む特定領域を前記判定対象画像から抽出し、前記特定領域に含まれる前記対象物の画像領域以外の領域をマスキング処理した後の前記特定領域を、前記判定対象画像から前記対象物の異常の判定結果を出力する学習モデルへ入力し前記学習モデルからの出力として、前記判定対象画像に含まれる前記対象物の円弧形状部および前記対象物の端部の各々の異常を判定する判定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
対象物が搬送される搬送路を撮影する撮影部と、
前記撮影部で撮影された複数の画像から、前記対象物を含む前記画像である判定対象画像をパタンマッチングにより取得する取得部と、
前記判定対象画像に含まれる前記対象物の円弧形状部および前記対象物の端部の各々を含む特定領域を前記判定対象画像から抽出し、前記特定領域に含まれる前記対象物の画像領域以外の領域をマスキング処理した後の前記特定領域を、前記判定対象画像から前記対象物の異常の判定結果を出力する学習モデルへ入力し前記学習モデルからの出力として、前記判定対象画像に含まれる前記対象物の円弧形状部および前記対象物の端部の各々の異常を判定する判定部と、
を備える情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベルトコンベア等の搬送路を搬送される対象物の異常を検出する装置が知られている。例えば、撮影された検査対象物の映像の正規化データを用いて異物を識別する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-174481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、搬送速度が高速となるほど対象物の異常検出が困難となる場合があった。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、搬送される対象物の異常を高精度に判定することができる情報処理装置および情報処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる情報処理装置は、取得部と、判定部と、を備える。取得部は、対象物が搬送される搬送路を撮影する撮影部で撮影された複数の画像から、前記対象物を含む前記画像である判定対象画像をパタンマッチングにより取得する。判定部は、前記判定対象画像に含まれる前記対象物の円弧形状部および前記対象物の端部の各々を含む特定領域を前記判定対象画像から抽出し、前記特定領域に含まれる前記対象物の画像領域以外の領域をマスキング処理した後の前記特定領域を、前記判定対象画像から前記対象物の異常の判定結果を出力する学習モデルへ入力し前記学習モデルからの出力として、前記判定対象画像に含まれる前記対象物の円弧形状部および前記対象物の端部の各々の異常を判定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる情報処理装置および情報処理システムによれば、搬送される対象物の異常を高精度に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る情報処理システムの一例を示す模式図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理装置の一例のハードウェア構成図である。
図3図3は、実施形態に係る情報処理装置の一例の機能ブロック図である。
図4A図4Aは、実施形態に係る動画像の一例の模式図である。
図4B図4Bは、実施形態に係る静止画像の一例の模式図である。
図5A図5Aは、実施形態に係る異常判定の一例の説明図である。
図5B図5Bは、実施形態に係る特定領域の画像の一例の説明図である。
図5C図5Cは、実施形態に係るマスキング処理された特定領域の一例の模式図である。
図6図6は、実施形態に係る表示画面の一例の模式図である。
図7図7は、実施形態に係る情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本開示に係る情報処理装置および情報処理システムの実施形態を説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の情報処理システム1の一例を示す模式図である。情報処理システム1は、情報処理装置10と、撮影部20と、搬送路30と、を備える。
【0011】
情報処理システム1は、搬送路30を搬送される対象物の異常を判定するシステムである。
【0012】
対象物とは、異常の判定対象の物である。対象物は、搬送路30を搬送される物であればよい。対象物は、例えば、車両等の製品、製品または建造物等を構成する部品D、果実等の食品、等である。本実施形態では、対象物が、車両を構成する部品Dである形態を一例として説明する。
【0013】
搬送路30は、部品Dの搬送される経路である。搬送路30は、例えば、無端状のベルト部材等で構成され、内側を円柱状の支持体30Aおよび支持体30B等によって支持されている。支持体30Aおよび支持体30Bの回転によって、支持体30Aおよび支持体30Bによって支持された搬送路30が回転され、搬送路30上の部品Dが搬送方向に搬送される。図1には、搬送路30上の部品Dが矢印X方向に搬送される形態を一例として示す。
【0014】
撮影部20は、部品Dの搬送される搬送路30を撮影する。撮影部20は、搬送路30上の所定の撮影範囲22を撮影可能に配置されている。撮影範囲22は、例えば、搬送路30を搬送される1つの部品Dの全体を含む範囲となるように予め調整されている。すなわち、本実施形態では、撮影部20は、搬送路30を搬送される部品Dの全体像を撮影可能に配置されている。なお、撮影部20は、搬送路30を搬送される部品Dの少なくとも一部を撮影可能であればよい。
【0015】
撮影部20は、撮影によって複数の画像を得る。例えば、撮影部20は、時系列に連続する複数の画像から構成される動画像データを得る。動画像データは、撮影部20で撮影される複数の画像の一例である。本実施形態では、撮影によって得られる複数の画像を、動画像データと称して説明する場合がある。動画像データを構成する各画像は、例えば、静止画像である。以下では、動画像データを動画像と称し、静止画像データを静止画像と称して説明する場合がある。
【0016】
本実施形態では、撮影部20は、搬送路30の駆動が開始されたときに、搬送路30の動画像の撮影を開始する形態を一例として説明する。搬送路30の駆動とは、搬送路30の矢印X方向への搬送を意味する。
【0017】
例えば、撮影部20は、ユーザによる撮影部20の撮影開始ボタンの操作指示等によって撮影開始信号を受付けると、搬送路30の動画像の撮影を開始する。ユーザは、搬送路30の駆動が開始されると、撮影部20の撮影開始ボタン等を操作指示すればよい。
【0018】
なお、撮影部20は、搬送路30の駆動を検出したときに、搬送路30の動画像の撮影を開始してもよい。この場合、撮影部20と搬送路30の駆動部とを通信可能に接続した構成とし、駆動開始したときに搬送路30が撮影開始信号を撮影部20へ送信する構成とすればよい。
【0019】
本実施形態では、情報処理システム1は、1つの撮影部20を備える形態を一例として説明する。撮影部20は、搬送路30を搬送される部品Dを所定の撮影方向から撮影可能な位置に配置されている。所定の撮影方向は、例えば、搬送路30を搬送される部品Dを上面側から撮影可能な方向である。上面側から撮影可能な方向とは、例えば、搬送路30における部品Dの搬送面に対して対向する方向側から該搬送面に向かう方向である。
【0020】
情報処理装置10は、搬送路30を搬送される部品Dの異常を判定する。
【0021】
まず、情報処理装置10のハードウェア構成を説明する。
【0022】
図2は、情報処理装置10のハードウェア構成図の一例である。
【0023】
情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11A、ROM(Read Only Memory)11B、RAM(Random Access Memory)11C、およびI/F11D等がバス11Eにより相互に接続され、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成である。
【0024】
CPU11Aは、本実施形態の情報処理装置10を制御する演算装置である。ROM11Bは、CPU11Aによる各種処理を実現するプログラム等を記憶する。RAM11Cは、CPU11Aによる各種処理に必要なデータを記憶する。I/F11Dは、データを送受信するためのインターフェースである。
【0025】
本実施形態の情報処理装置10で実行される情報処理を実行するためのプログラムは、ROM11B等に予め組み込んで提供される。なお、本実施形態の情報処理装置10で実行されるプログラムは、情報処理装置10にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するように構成してもよい。
【0026】
次に、情報処理装置10の機能的構成を説明する。
【0027】
図3は、情報処理装置10の一例の機能ブロック図である。図3には、情報処理システム1に含まれる情報処理装置10以外の構成も併せて示す。
【0028】
情報処理装置10は、処理部12と、通信部14と、記憶部16と、表示部18と、を備える。処理部12、通信部14、記憶部16、および表示部18は、例えば、バス19を介して通信可能に接続されている。
【0029】
通信部14は、撮影部20と通信可能に接続されている。通信部14は、撮影部20と通信するための通信インターフェースである。記憶部16は、各種の情報を記憶する。本実施形態では、記憶部16は、学習モデル16Aを予め記憶する。学習モデル16Aの詳細は後述する。
【0030】
表示部18は、各種の情報を表示する。表示部18は、例えば、画像を表示するディスプレイである。なお、情報処理装置10は、音声を出力するスピーカを更に備えた構成であってもよい。
【0031】
処理部12は、各種の情報処理を実行する。本実施形態では、処理部12は、取得部12Aと、判定部12Bと、出力制御部12Cと、を備える。取得部12A、判定部12B、および出力制御部12Cの一部または全ては、例えば、CPU等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよい。また、取得部12A、判定部12B、および出力制御部12Cの一部または全ては、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現してもよい。また、取得部12A、判定部12B、および出力制御部12Cの一部または全ては、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。
【0032】
取得部12A、判定部12B、および出力制御部12Cの少なくとも1つを、ネットワーク等を介して情報処理装置10に通信可能に接続された外部の情報処理装置に搭載した構成としてもよい。また、記憶部16に記憶されたデータの少なくとも一部を、ネットワーク等を介して情報処理装置10に通信可能に接続された外部の情報処理装置に記憶した構成としてもよい。
【0033】
取得部12Aは、部品Dが搬送される搬送路30を撮影する撮影部20で撮影された動画像から、部品Dを含む画像を判定対象画像として取得する。部品Dを含む画像は、撮影部20で撮影された複数の画像における、対象物を含む画像である判定対象画像の一例である。
【0034】
図4Aは、撮影部20で撮影された動画像40の一例の模式図である。動画像40は、時系列に連続する複数の画像42から構成される。画像42は、例えば、静止画像である。上述したように、撮影部20は、搬送路30上の所定の撮影範囲22を撮影するように配置されている。また、例えば、撮影範囲22は、搬送路30を搬送される1つの部品Dの全体像を含む範囲となるように予め調整されている。このため、搬送路30を搬送される部品Dが撮影範囲22に至ったタイミングで撮影された画像42には部品Dが含まれる。また、搬送路30を搬送される部品Dが撮影範囲22から外れた位置に存在するタイミングで撮影された画像42には部品Dが含まれない。以下では、部品Dを含む画像42を、判定対象画像44と称して説明する。
【0035】
取得部12Aは、撮影部20で順次撮影される画像42を順次確認し、画像42に部品Dが含まれる否かを判断する。取得部12Aは、部品Dを含む画像42を特定した場合、該画像42を判定対象画像44として取得する。
【0036】
例えば、取得部12Aは、パタンマッチング等の画像処理技術を用いて、撮影部20で順次撮影される画像42に部品Dが含まれるか否かを判断する。そして、取得部12Aは、部品Dが含まれると判断した画像42を判定対象画像44として取得する。
【0037】
なお、取得部12Aは、部品Dの全体像を含む画像42を判定対象画像44として取得することが好ましい。この場合、例えば、パタンマッチングに用いるパタンとして、部品Dの全体像を表すパタン画像を予め記憶部16に記憶すればよい。そして、取得部12Aは、記憶部16に記憶された部品Dの全体像を表すパタン画像を用いたパタンマッチング等により、部品Dの全体像を含む判定対象画像44を取得すればよい。
【0038】
図4Bは、判定対象画像44の一例を示す模式図である。判定対象画像44には、部品Dの画像領域46が含まれる。
【0039】
図3に戻り説明を続ける。判定部12Bは、取得部12Aで取得した判定対象画像44に基づいて、部品Dの異常を判定する。
【0040】
部品Dの異常とは、部品Dに生じている異常を意味する。部品Dの異常は、例えば、部品Dに対する傷、割れ、汚れ、変形、または変色、等を意味する。
【0041】
判定部12Bは、部品Dに異常が含まれるか否かを判定し、部品Dに異常が含まれる場合、部品Dを異常と判定する。判定部12Bは、部品Dに異常が含まれない場合、部品Dを正常と判定する。
【0042】
判定部12Bは、例えば、部品Dを含む判定対象画像44に対して正常パタンまたは異常パタンを用いたパタンマッチング等の画像処理技術を用いて、部品Dの異常を判定する。正常パタンには、異常を含まない部品Dの画像を用いればよい。異常パタンには、異常を含む部品Dの画像を用いればよい。
【0043】
また、判定部12Bは、学習モデル16Aを用いて判定対象画像44から部品Dの異常を判定してもよい。本実施形態では、判定部12Bは、学習モデル16Aを用いて部品Dの異常を判定する形態を一例として説明する。
【0044】
学習モデル16Aは、判定対象画像44から部品Dの異常の判定結果を出力する学習モデルである。言い換えると、学習モデル16Aは、判定対象画像44を入力とし、部品Dの異常の判定結果を出力とする学習モデルである。
【0045】
情報処理装置10は、公知の機械学習により学習モデル16Aを予め学習し、記憶部16に予め記憶すればよい。
【0046】
例えば、情報処理装置10は、ユークリッド距離を用いたクラスタリング手法等による教師データなしの機械学習により、学習モデル16Aを予め学習する。例えば、情報処理装置10は、異常を含まない部品Dの複数の判定対象画像44を用いて、正常な部品Dの判定対象画像44の特徴を学習することで、学習モデル16Aを学習する。
【0047】
また、情報処理装置10は、教師データを用いた機械学習により予め学習モデル16Aを学習してもよい。教師データには、例えば、異常を含む部品Dの判定対象画像44と異常を表す判定結果との対、および異常を含まない部品Dの判定対象画像44と正常を表す判定結果との対、の各々の複数の対を用いればよい。また、この場合、機械学習には、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)等の深層学習等を用いればよい。
【0048】
なお、学習モデル16Aの学習は、外部の情報処理装置等で実行してもよい。この場合、情報処理装置10は、他の情報処理装置で学習された学習モデル16Aを予め記憶部16に記憶すればよい。
【0049】
なお、判定部12Bは、判定対象画像44を複数の分割領域に分割した分割領域ごとに異常を判定してもよい。この場合、判定部12Bは、判定対象画像44を複数の分割領域に分割した分割領域の各々を入力とし、分割領域ごとの異常の判定結果を出力とする学習モデル16Aを予め学習し、判定処理に用いればよい。
【0050】
また、判定部12Bは、判定対象画像44に含まれる部品Dの予め定めた形状の特定領域ごとに、異常を判定してもよい。特定領域には、部品Dにおける異常の発生しやすい領域、および部品Dにおける特に正常であることが要求される領域、等を予め定めればよい。この場合、判定部12Bは、特定領域の各々を入力とし、特定領域ごとの異常の判定結果を出力とする学習モデル16Aを予め学習し、判定処理に用いればよい。
【0051】
図5Aは、異常判定の一例の説明図である。図5Aには、特定領域が、部品Dの円弧形状部46Aおよび部品Dの端部46Bである形態を一例として示す。部品Dの円弧形状部46Aは、アーチ部、または、アーチ形状部と称される場合がある。部品Dの端部46Bは、例えば、ボトム、またはボトム部と称される場合がある。
【0052】
判定部12Bは、判定対象画像44から、部品Dの円弧形状部46Aを含む特定領域44Aおよび部品Dの端部46Bを含む特定領域44Bを抽出する。判定部12Bは、パタンマッチング等の画像処理技術を用いて、円弧形状部46Aの特定領域44Aおよび端部46Bの特定領域44Bを判定対象画像44から抽出すればよい。
【0053】
図5Bは、判定対象画像44から抽出された特定領域44Aおよび特定領域44Bの各々の画像の一例の説明図である。特定領域44Aには部品Dの円弧形状部46Aが含まれ、特定領域44Bには部品Dの端部46Bが含まれる。
【0054】
判定部12Bは、判定対象画像44から抽出した特定領域44Aおよび特定領域44Bの各々を学習モデル16Aへ入力することで、学習モデル16Aからの出力として、特定領域44Aに含まれる円弧形状部46Aおよび特定領域44Bに含まれる端部46Bの各々の異常の判定結果を得る。
【0055】
なお、判定部12Bは、判定対象画像44に含まれる部品Dの画像領域46以外の領域をマスキング処理した判定対象画像44に基づいて、部品Dの異常を判定してもよい。判定対象画像44から抽出した特定領域44Aおよび特定領域44Bを用いて部品Dの異常を判定する場合、判定部12Bは、特定領域44Aおよび特定領域44Bの各々に含まれる部品Dの画像領域46以外の領域をマスキング処理した後に、部品Dの円弧形状部46Aおよび端部46Bの各々の異常を判定してもよい。
【0056】
図5Cは、マスキング処理された特定領域44Aの一例の模式図である。例えば、判定部12Bは、特定領域44Aにおける円弧形状部46A以外の領域Mをマスキング処理する。判定部12Bは、マスキング処理された特定領域44Aを学習モデル16Aへ入力することで、円弧形状部46Aの異常の判定結果を得ればよい。
【0057】
判定部12Bが、部品Dの画像領域46以外の領域をマスキング処理した判定対象画像44を用いて部品Dの異常を判定することで、より高精度で且つ高速に部品Dの異常を判定することができる。
【0058】
図3に戻り説明を続ける。出力制御部12Cは、判定部12Bによる判定結果を出力する。本実施形態では、出力制御部12Cは、判定部12Bによる判定結果を、表示部18に表示する。
【0059】
図6は、判定結果の表示画面50の一例の模式図である。
【0060】
出力制御部12Cは、判定部12Bによる判定結果を含む表示画面50を表示部18に表示する。
【0061】
表示画面50は、例えば、判定に用いた判定対象画像44と、判定結果52と、を含む。図6には、判定結果52として、部品Dの円弧形状部46Aの判定結果52Aと、部品Dの端部46Bの判定結果52Bと、を一例として示す。図6には、部品Dの円弧形状部46Aの判定結果52Aが「異常」であり、部品Dの端部46Bの判定結果52Bが「正常」であった場合を一例として示す。また、図6中、“アーチ”は、判定結果52Aが円弧形状部46Aの判定結果52であることをユーザに提供するための文字情報の一例である。図6中、“ボトム”は、判定結果52Bが部品Dの端部46Bの判定結果52であることをユーザに提供するための文字情報の一例である。
【0062】
なお、出力制御部12Cは、判定対象画像44に含まれる部品Dの円弧形状部46Aに対応する位置に円弧形状部46Aの異常の判定結果52Aを重畳表示し、端部46Bに対応する位置に端部46Bの異常の判定結果52Bを重畳表示してもよい。
【0063】
また、出力制御部12Cは、異常を表す判定結果52を、正常を表す判定結果52に比べて、よりユーザに注意を促すことの可能な表示形態で表示部18に表示してもよい。例えば、出力制御部12Cは、異常を表す判定結果52を、赤色等の、ユーザに対してより注視を促す表示色で表示部18に表示する。また、例えば、出力制御部12Cは、正常を表す判定結果52を、青色等の、より注視を促さない表示色で表示部18に表示する。
【0064】
また、出力制御部12Cは、部品Dの異常が判定された場合、異常を表す音声をスピーカから出力してもよい。また、出力制御部12Cは、部品Dの異常が判定された場合、異常を表す情報を、ネットワーク等を介して情報処理装置10の管理者の管理する情報処理装置等へ送信してもよい。
【0065】
次に、本実施形態の情報処理装置10で実行する情報処理の流れの一例を説明する。
【0066】
図7は、情報処理装置10が実行する情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図7に示す情報処理が開始される前に、搬送路30の駆動が開示され、撮影部20が動画像40の撮影を開始した状態である場面を想定して説明する。
【0067】
取得部12Aは、撮影部20で撮影された画像42に部品Dが含まれるか否かを判断する(ステップS100)。
【0068】
画像42に部品Dが含まれないと判断すると(ステップS100:No)、後述するステップS108へ進む。画像42に部品Dが含まれると判断すると(ステップS100:Yes)、ステップS102へ進む。
【0069】
ステップS102では、取得部12Aは、ステップS100で部品Dが含まれると判断された画像42を判定対象画像44として取得する(ステップS102)。すなわち、取得部12Aは、撮影部20で撮影された動画像40から、部品Dを含む画像42を判定対象画像44として取得する。
【0070】
判定部12Bは、ステップS102で取得した判定対象画像44に含まれる部品Dの異常を判定する(ステップS104)。例えば、判定部12Bは、ステップS102で取得した判定対象画像44を学習モデル16Aへ入力することで、該学習モデル16Aからの出力として部品Dの異常の判定結果を得る。
【0071】
出力制御部12Cは、ステップS104の判定結果を表示部18に表示する(ステップS106)。
【0072】
次に、処理部12は、部品Dの異常判定処理を終了するか否かを判断する(ステップS108)。例えば、処理部12は、異常判定処理の終了指示信号を受付けたか否かを判別することで、ステップS108の判断を行う。例えば、ユーザは、部品Dの異常判定処理を終了するときに、情報処理装置10の操作部等を操作することで、異常判定処理の終了指示信号を入力する。処理部12は、終了指示信号を受付けた場合、異常判定処理を終了すると判断すればよい。
【0073】
ステップS108で否定判断すると(ステップS108:No)、上記ステップS100へ戻る。ステップS108で肯定判断すると(ステップS108:Yes)、本ルーチンを終了する。
【0074】
以上説明したように、本実施形態の情報処理装置10は、取得部12Aと、判定部12Bと、を備える。取得部12Aは、部品Dが搬送される搬送路30を撮影する撮影部20で撮影された複数の画像42(動画像40)から、部品Dを含む画像42である判定対象画像44を取得する。判定部12Bは、判定対象画像44に基づいて部品Dの異常を判定する。
【0075】
従来技術では、対象物の動画像である映像データの全てについて正規化処理等の画像処理を行った上で異常を識別していた。このため、従来技術では、対象物の搬送速度が高速となるほど、情報処理速度が追い付かない場合があり、異常検出が困難となる場合があった。
【0076】
一方、本実施形態の情報処理装置10では、搬送路30を撮影する撮影部20で撮影された複数の画像42の全てではなく、撮影された複数の画像42に含まれる部品Dを含む画像42である判定対象画像44から部品Dの異常を判定する。すなわち、本実施形態の情報処理装置10では、撮影された複数の画像42の内、部品Dを含む画像42である判定対象画像44を選択的に取得し、部品Dの異常の判定に用いる。このため、本実施形態の情報処理装置10では、搬送路30の搬送速度に拘わらず判定対象画像44を選択的に取得することができ、異常の判定に用いることができる。
【0077】
従って、本実施形態の情報処理装置10は、対象物の異常を高精度に判定することができる。
【0078】
また、搬送路30を搬送される部品Dの搬送間隔は、一定の間隔とは限らない。本実施形態の情報処理装置10では、搬送路30を撮影する撮影部20で撮影された複数の画像42の内、部品Dを含む画像42である判定対象画像44から部品Dの異常を判定する。本実施形態の情報処理装置10は、撮影された複数の画像42から判定対象画像44を取得して部品Dの異常の判定に用いるため、部品Dの搬送間隔が一定の間隔ではない場合であっても、部品Dの異常を高精度に判定することができる。
【0079】
また、本実施形態の情報処理装置10は、搬送路30を撮影する撮影部20で順次撮影される複数の画像42の内、部品Dを含む画像42である判定対象画像44から部品Dの異常を判定する。すなわち、本実施形態の情報処理装置10は、撮影部20で順次撮影される画像42の各々の内の部品Dを含む画像42である判定対象画像44を部品Dの異常の判定に用いる。このため、本実施形態の情報処理装置10は、搬送路30による部品Dの搬送と並行してリアルタイムに部品Dの異常を判定することができる。
【0080】
また、本実施形態の情報処理装置10および撮影部20は、搬送路30とは別体として構成されている。このため、本実施形態の撮影部20および情報処理装置10を既存の搬送路30に設けることで、部品Dの異常を高精度に判定する情報処理システム1を容易に構築することができる。また、電子回路等の専門知識のないユーザであっても、本実施形態の情報処理装置10および撮影部20を既存の搬送路30に対して設置することで、部品Dの異常を高精度に判定する情報処理システム1を容易に構築することができる。
【0081】
また、本実施形態の情報処理装置10の判定部12Bは、判定対象画像44から対象物の異常の判定結果を出力する学習モデル16Aを用いて、対象物の異常を判定する。
【0082】
判定部12Bは、判定対象画像44を学習モデル16Aへ入力することで、学習モデル16Aからの出力として部品Dの異常の判定結果52を得ることができるため、上記効果に加えて、高速且つ高精度に部品Dの異常を判定することができる。また、判定部12Bが学習モデル16Aを用いて部品Dの異常を判定するため、処理部12の処理負荷軽減を図ることができる。
【0083】
また、判定部12Bは、判定対象画像44に含まれる部品Dの画像領域以外の領域をマスキング処理した判定対象画像44に基づいて、部品Dの異常を判定することができる。マスキング処理した判定対象画像44を用いることで、判定部12Bは、判定対象画像44に含まれる部品Dの画像領域46を選択的に用いて異常を判定することができる。よって、本実施形態の情報処理装置10は、処理対象のデータ量の削減を図ることが出来るため、上記効果に加えて、処理部12の処理負荷軽減を図ることができる。また、判定対象画像44に含まれる部品Dの画像領域46を選択的に判定処理に用いることができるため、上記効果に加えて、更に高精度に部品Dの異常を判定することができる。
【0084】
また、判定部12Bは、判定対象画像44に含まれる部品Dの円弧形状部46Aおよび端部46Bの各々の異常を判定する。部品Dの円弧形状部46Aおよび端部46Bには、傷等の異常の発生確率が高い。また、部品Dの円弧形状部46Aおよび端部46Bは、特に、正常であることが要求される部分である。判定部12Bが、判定対象画像44に含まれる部品Dの画像領域46の内、特に、部品Dの円弧形状部46Aおよび端部46Bの各々の異常を判定することで、上記効果に加えて、より高精度に部品Dの異常を判定することができる。
【0085】
(変形例)
上記実施形態では、情報処理システム1が1つの撮影部20を備える形態を一例として説明した。しかし、情報処理システム1は、複数の撮影部20を備えた構成であってもよい。この場合、複数の撮影部20は、搬送路30を搬送される1つの部品Dを互いに異なる撮影方向から撮影可能な位置に配置することが好ましい。
【0086】
情報処理システム1が、搬送路30を搬送される部品Dを互いに異なる撮影方向から撮影可能な複数の撮影部20を備えることで、1つの部品Dについて互いに異なる複数の撮影方向から撮影した複数種類の動画像40が得られる。すなわち、ある撮影方向から撮影された動画像40では死角となっていた部品Dの領域が、他の撮影方向から撮影された動画像40には含まれる場合がある。
【0087】
このため、これらの複数種類の動画像40を用いて、処理部12が上記実施形態で説明した情報処理を行うことで、情報処理装置10は、部品Dの異常をより高精度に判定することが可能となる。
【0088】
また、上記実施形態では、撮影部20の撮影範囲22が、搬送路30を搬送される1つの部品Dの全体を含む範囲となるように予め調整されている形態を一例として説明した。しかし、撮影部20の撮影範囲22は、搬送路30を搬送される部品Dの一部の領域を含む範囲であってもよい。この場合、例えば、撮影部20の撮影範囲22は、搬送路30を搬送される部品Dにおける、異常を特に検出する対象の領域を少なくとも含む範囲となるように、予め調整することが好ましい。異常を特に検出する対象の領域を少なくとも含む撮影範囲22とすることで、部品Dの異常をより高精度に判定することができる。
【0089】
なお、上記実施形態の情報処理装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDDに記憶されていてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM11Bに予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0090】
また、上記実施形態の情報処理装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施形態の情報処理装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0091】
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
12A 取得部
12B 判定部
12C 出力制御部
20 撮影部
30 搬送路
D 部品
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7