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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】電動作業車
(51)【国際特許分類】
   B60L 53/14 20190101AFI20240712BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240712BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B60L53/14
B60L50/60
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021214400
(22)【出願日】2021-12-28
(65)【公開番号】P2023097969
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】青木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】西中 正昭
(72)【発明者】
【氏名】河端 真一
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 竣也
(72)【発明者】
【氏名】溝口 祥輝
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/098903(WO,A1)
【文献】特開2013-240230(JP,A)
【文献】特開2008-054442(JP,A)
【文献】特開2018-042367(JP,A)
【文献】特開2013-066290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00-58/40
B60W 10/00-20/50
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体を走行駆動可能な電動モータと、
前記電動モータに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置により充電可能なバッテリーと、
前記給電装置の給電用コネクタが接続可能な接続部と、
前記電動モータの作動を制御するとともに、前記給電装置による充電状態を制御する制御装置と、
持ち運び可能な操作キーが車体に近接する状態、あるいは、前記操作キーが被装着部に装着された状態で、手動操作されることにより、前記制御装置を動作可能状態に切り換える始動指令手段と、が備えられ、
前記制御装置は、
前記動作可能状態であり、且つ、前記給電用コネクタが前記接続部に接続されている接続状態であると、充電モードに切り換えられるように構成され、
前記充電モードにおいて、前記電動モータによる走行を規制した状態で前記給電装置による充電を行うように構成され、且つ、前記給電装置による充電を開始したのちは、前記操作キーが車体から離間する状態あるいは前記操作キーが前記被装着部から取り外された状態に切り換わっても、前記給電装置による充電を継続して行い、充電が終了した際、前記操作キーが前記車体に近接する状態、あるいは、前記被装着部に差し込まれている状態であるか否かを判別し、充電が終了した後に、前記給電用コネクタが前記接続部から外された状態で前記手動操作がされると、前記充電モードから前記電動モータにより走行可能な状態に切り換わるように構成されている電動作業車。
【請求項2】
前記制御装置は、前記給電用コネクタが前記接続部に接続されている状態で、前記動作可能状態に切り換えられると、前記充電モードに切り換わる請求項1に記載の電動作業車 。
【請求項3】
前記制御装置は、前記操作キーが車体から離間する状態あるいは前記操作キーが前記被装着部から取り外された状態に切り換わった後、前記給電装置による充電を継続して行った場合、充電が完了すると、自動的に非作動状態に切り換わるように構成されている請求項1又は2に記載の電動作業車。
【請求項4】
前記操作キーが前記被装着部としての差し込み部に差し込み装着可能に構成されている請求項1から3のいずれか1項に記載の電動作業車。
【請求項5】
前記手動操作は押し操作式のスイッチである請求項1に記載の電動作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体を走行させながら、例えば、対地作業やその他の作業を行うように構成され、且つ、車体を走行駆動可能な電動モータと電動モータに駆動用電力を供給するバッテリーとを備えた電動作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電動作業車では、例えば、特許文献1に記載されるように、バッテリーの電力が消費されると、接続用コネクタを介して接続された外部の給電装置から充電が行われる。そして、この種の電動作業車では、持ち運び可能な操作キーを差し込んでキースイッチを操作して制御装置を含む電装品に電力が供給される状態で充電作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記バッテリーに対する充電作業は長い時間が必要であり、操作キーが装着されたままの状態で運転者が充電中に車体から離間することがある。そうすると、運転者以外の他人がキーを自由に操作することができ、他人により作業車を運転操作することが可能な状態となる。その結果、作業車が盗難の被害に合うという問題が生じていた。このような盗難の被害に合わないために、充電途中で操作キーを取り外すと、その後は充電処理が行われないので、充分な充電量にまで充電させることができない。
【0005】
そこで、充電作業に時間が掛かる場合に運転者が車体から離間することがあっても、充分な充電量にまで充電させることを可能にしながら作業車が盗難されるおそれを回避できるようにすることが要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動作業車の特徴構成は、車体を走行駆動可能な電動モータと、前記電動モータに駆動用電力を供給するとともに、外部の給電装置により充電可能なバッテリーと、前記給電装置の給電用コネクタが接続可能な接続部と、前記電動モータの作動を制御するとともに、前記給電装置による充電状態を制御する制御装置と、持ち運び可能な操作キーが車体に近接する状態、あるいは、前記操作キーが被装着部に装着された状態で、手動操作されることにより、前記制御装置を動作可能状態に切り換える始動指令手段と、が備えられ、前記制御装置は、前記動作可能状態であり、且つ、前記給電用コネクタが前記接続部に接続されている接続状態であると、充電モードに切り換えられるように構成され、前記充電モードにおいて、前記電動モータによる走行を規制した状態で前記給電装置による充電を行うように構成され、且つ、前記給電装置による充電を開始したのちは、前記操作キーが車体から離間する状態あるいは前記操作キーが前記被装着部から取り外された状態に切り換わっても、前記給電装置による充電を継続して行い、前記充電モードにおいて、充電が終了した後に、前記給電用コネクタが前記接続部から外された状態で前記スイッチが操作されると、前記充電モードから前記電動モータにより走行可能な状態に切り換わるように構成されている点にある。
【0007】
本発明によれば、操作キーが車体に近接する状態、あるいは、操作キーが被装着部に装着された状態で、始動指令手段が手動操作されると、制御装置が動作可能状態に切り換わる。そして、制御装置は、動作可能状態であり、且つ、給電用コネクタが接続部に接続されている接続状態であると、充電モードに切り換えられ、この充電モードにおいてバッテリーに対する充電が行われる。充電が行われている途中で、運転者が操作キーを持ったまま車体から離間することがあっても、充電が継続して行われ、充分な充電量にまで充電させることができる。
【0008】
運転者が操作キーを持ったまま車体から離間していると、操作キーが車体から離間しているので、他者が車体を走行させようとしても操作キーが存在しないので、制御装置による電動モータの作動等を行うことができず盗難のおそれはない。
【0009】
従って、充電作業に時間が掛かる場合に運転者が車体から離間することがあっても、充分な充電量にまで充電させることを可能にしながら作業車が盗難されるおそれを回避できるようにすることが可能となった。
【0010】
本発明においては、前記制御装置は、前記給電用コネクタが前記接続部に接続されている状態で、前記動作可能状態に切り換えられると、前記充電モードに切り換わると好適である。
【0011】
本構成によれば、充電モードに切り換えるときは、先に給電用コネクタが接続部に接続されている状態で、制御装置を動作可能状態に切り換える操作が必要である。これとは反対に、先に制御装置を動作可能状態に切り換えた後に、給電用コネクタが接続部に接続されると、充電モードに切り換わる構成では、例えば、電動モータが作動可能な状態に設定されている状態で、誤って給電用コネクタを接続部に接続するおそれがある。しかし、本構成によれば、先に給電用コネクタが接続部に接続されるので、充電動作を行う必要があることが明白であり、操作間違いを起こすおそれは少ない。
【0012】
本発明においては、前記制御装置は、前記操作キーが車体から離間する状態あるいは前記操作キーが前記被装着部から取り外された状態に切り換わった後、前記給電装置による充電を継続して行った場合、充電が完了すると、自動的に非作動状態に切り換わるように構成されていると好適である。
【0013】
本構成によれば、操作キーが車体から離間している状態で充電が継続して行われて充電が完了すると、制御装置は自動的に非作動状態に切り換わる。従って、操作キーを持たない他者によって始動指令手段が手動操作されても、制御装置が動作可能状態になることがなく、操作上の安全性を確保できる。
【0014】
本発明においては、前記操作キーが前記被装着部としての差し込み部に差し込み装着可能に構成されていると好適である。
【0015】
本構成によれば、運転者が操作キーを使用するときは、差し込み部に差し込み装着する動作が必要であるから、運転者は操作キーが車体に装着されていることを認識し易い。例えば、無線式の操作キーであれば、車体における運転部とは別の箇所に操作キーを放置したまま、運転者が車体から離間するおそれがあるが、上記構成であれば、このような不利を回避し易い。
本発明においては、前記手動操作は押し操作式のスイッチであると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】トラクタの左側面図である。
図2】インバータ等の配置を示す左側面図である。
図3】動力伝達の流れを示す図である。
図4】充電用の構成を示すブロック図である。
図5】制御動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、特に断りがない限り、図中の矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。図中の矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0018】
〔トラクタの全体構成〕
以下では、本発明に係る電動作業車の一例としてのトラクタについて説明する。図1に示すように、トラクタは、左右の前車輪10、左右の後車輪11、カバー部材12を備えている。
【0019】
トラクタは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。
【0020】
カバー部材12は、機体前部に配置されている。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられている。言い換えれば、カバー部材12は、運転部3の前方に配置されている。
【0021】
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32を有している。オペレータは、運転座席31に着座可能である。これにより、オペレータは、運転部3に搭乗可能である。ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。オペレータは、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0022】
トラクタは、走行用バッテリー4を備えている。カバー部材12は、機体左右方向に沿う開閉軸芯Q周りに揺動可能に構成されている。これにより、カバー部材12は、開閉可能に構成されている。カバー部材12が閉状態であるとき、走行用バッテリー4は、カバー部材12に覆われている。
【0023】
図2に示すように、トラクタは、インバータ14及び電動モータMを備えている。走行用バッテリー4は、インバータ14へ電力を供給する。インバータ14は、走行用バッテリー4からの直流電力を交流電力に変換して電動モータMへ供給する。そして、電動モータMは、インバータ14から供給される交流電力により駆動する。
【0024】
図2及び図3に示すように、トラクタは、静油圧式無段変速機15及びトランスミッション16を備えている。図3に示すように、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15a及び油圧モータ15bを有している。
【0025】
油圧ポンプ15aは、電動モータMからの回転動力により駆動する。油圧ポンプ15aが駆動することにより、油圧モータ15bから回転動力が出力される。尚、静油圧式無段変速機15は、油圧ポンプ15aと油圧モータ15bとの間で回転動力が変速されるように構成されている。静油圧式無段変速機15は、変速比を無段階に変更可能に構成されている。
【0026】
油圧モータ15bから出力された回転動力は、トランスミッション16に伝達される。
トランスミッション16に伝達された回転動力は、トランスミッション16の有するギヤ式変速機構によって変速され、左右の前車輪10及び左右の後車輪11へ分配される。これにより、左右の前車輪10及び左右の後車輪11が駆動する。
【0027】
図2及び図3に示すように、トラクタは、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18を備えている。電動モータMから出力された回転動力は、油圧ポンプ15a、ミッドPTO軸17、リヤPTO軸18へ分配される。これにより、ミッドPTO軸17及びリヤPTO軸18が回転する。
【0028】
ミッドPTO軸17またはリヤPTO軸18に作業装置が接続されていれば、ミッドPTO軸17またはリヤPTO軸18の回転動力により、作業装置が駆動することとなる。
例えば、図2に示すように、本実施形態では、ミッドPTO軸17に草刈装置19が接続されている。ミッドPTO軸17の回転動力により、草刈装置19が駆動する。
【0029】
〔モータの制御に係る構成〕
図4に示すように、電動モータMの制御に係る構成は、アクセル装置33と、電動モータMの作動を制御する制御装置34と、インバータ14と、を備えている。アクセル装置33は、ステアリングホイール32の近傍に備えられている。アクセル装置33は、図示はしないが、揺動操作可能なレバーと、レバーの揺動操作によって操作されるポテンショメータとを備えている。アクセル装置33は制御装置34と接続されている。制御装置34は、信号用ハーネス35を介してインバータ14と接続されている。制御装置34は、アクセル装置33の指令に応じて、インバータ14に指令するように構成されている。インバータ14は、制御装置34の指令に応じて、走行用バッテリー4から電動モータMに供給される電力を調整して電動モータMの出力を制御するように構成されている。
【0030】
〔充電に係る構成〕
図4に示すように、走行用バッテリー4は外部の給電装置KDにより充電可能である。
トラクタには、給電装置KDの給電用コネクタ36が接続可能な充電用接続部37が備えられている。充電用接続部37は、カバー部材12の内部に備えられ、カバー部材12を揺動開放すると、外方に露出する。制御装置34は、電動モータMの作動を制御するとともに、給電装置KDによる充電状態を制御する。
【0031】
充電用接続部37は、一般的に使用される標準的な規格に準拠したものである。給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続された状態で、電力供給線39を介して走行用バッテリー4に対する充電が行われる。走行用バッテリー4は、電力供給線39を介して高電圧(例えば、数十ボルト~数百ボルト)の電力を走行用電動モータMに供給する。
【0032】
走行用バッテリー4は、例えば、リチウムイオンバッテリーを用いて構成され、図示はしないが、低電圧の小型の単位電池を多数積層した状態で構成され、外側が収納ケースによって密閉状態で覆われて収納されている。従って、バッテリー内部に熱が籠り易く、内部温度が上昇すると温度が低下し難い。そこで、走行用バッテリーには内部温度を検出する温度検出手段としての温度センサ40が備えられている。温度センサ40の検出情報は制御装置34に入力されている。
【0033】
トラクタには、走行用バッテリー4の他に、制御装置34及びその他の電装品に電力を供給する電装品用バッテリー41が備えられている。電装品用バッテリー41は、電装品を駆動するために低電圧(12ボルト)の電力を供給する。電装品用バッテリー41は、DC/DCコンバータ42を介して走行用バッテリー4から供給される電力にて充電される。
【0034】
運転部3に、制御装置34を動作可能状態と非作動状態とに切り換え可能な始動指令手段としての切換操作部44が備えられている。切換操作部44は、持ち運び可能な操作キー45が差し込み装着可能な被装着部としての差し込み部46と、手動にて押し操作可能な押しボタン式のスイッチ47とを備えている。操作キー45が差し込み部46に差し込み装着された状態で、スイッチ47が押し操作されることにより、制御装置34を非作動状態から動作可能状態に切り換えることができる。操作キー45は、一般的な車両用のキーと同様に、当該作業車でのみ識別可能な鍵として機能するものである。
【0035】
操作パネル43には、例えば、車体の走行状態、作業状態、バッテリーの情報(充電量や温度)等を表示するメータパネル48が備えられている。メータパネル48は、制御装置34に接続され、制御装置34にて作動が制御されている。
【0036】
制御装置34、インバータ14、走行用バッテリー4、DC/DCコンバータ42、メータパネル48、及び、充電用接続部37等は、CAN(Controller Area Network)方式の信号用ハーネス35を介してデータを通信可能に接続されている。制御装置34は、充電通信用ハーネス49を介して充電用接続部37との間で通信が行われ、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されているか否かについての情報、及び、作業車側で必要とされる充電電流の情報等が伝達される。充電用接続部37と給電装置KDとの間も信号が通信可能に構成されている。制御装置34に切換操作部44の操作情報が入力される。
【0037】
〔充電のための制御〕
制御装置34は、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されている状態で、動作可能状態に切り換えられると、充電モードに切り換わる。そして、充電モードにおいて、給電装置KDにより走行用バッテリー4への充電を行うように構成されている。
【0038】
制御装置34は、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続された状態で給電装置KDによる走行用バッテリーへの充電を開始したのち、走行用バッテリー4への充電が完了するまでの間の充電作動中においては、車体の移動走行を禁止するように構成されている。具体的には、制御装置34は、充電作動中においては、電動モータMを駆動させないように構成されている。
【0039】
制御装置34は、給電装置KDによる充電を開始したのちは、操作キー45が差し込み部46から取り外された状態に切り換わっても、給電装置KDによる充電を継続して行うように構成されている。制御装置34は、操作キー45が差し込み部46から取り外された状態に切り換わった後、給電装置KDによる充電を継続して行った場合、充電が完了すると、自動的に非作動状態に切り換わるように構成されている。
【0040】
以下、図5のフローチャートを参照しながら制御装置34の具体的な充電制御について説明する。
【0041】
走行用バッテリー4に対して充電を行う場合には、作業者が給電装置KDの給電用コネクタ36を充電用接続部37に接続する。次に、運転部3の操作パネル43に備えられた切換操作部44において、操作キー45を差し込み部46に差し込み装着し、且つ、スイッチ47を押し操作する。制御装置34が、そのことを認識すると、充電モードに切り換わる(ステップ♯1,♯2,♯3)。
【0042】
充電モードに切り換えられると、インバータ14の出力を止めることにより電動モータMの作動を牽制する(ステップ♯4)。次に、給電装置KDに対して給電を行うように充電通信用ハーネス49を介して必要な情報を送信して、給電装置KDによる走行用バッテリー4に対する充電作動を開始する(ステップ♯5)。
【0043】
走行用バッテリー4が予め設定されている充電状態まで充電が行われ、満充電状態になると、充電を停止する(ステップ♯6,♯7)。
【0044】
充電が終了したときに、操作キー45が差し込み部46に差し込まれている状態であるか否かを判別する(ステップ♯8)。そのとき、操作キー45が抜き取られており、装着されていないことが判別されると、充電が行われている間に抜き取られて、運転者が持ち出したものと考えられるので、制御装置34を非作動状態に切り換えて、強制的に電源供給を遮断する(ステップ♯09)。
【0045】
従って、操作キー45が差し込み部46から取り外された状態に切り換わった後、給電装置KDによる充電を継続して行った場合、充電が完了すると、自動的に制御装置34が非作動状態に切り換わることになる。
【0046】
充電が終了したときに、操作キー45が差し込まれている状態であれば、作業者により給電装置KDの給電用コネクタ36が外されて充電用接続部37との接続が解除されたのちにスイッチ47が押し操作されると、充電モードが解除される(ステップ♯08、♯10、♯11)。このとき、インバータ14の出力を再始動することにより電動モータMを作動できるようにして、電動モータMの作動牽制状態を解除する(ステップ♯12)。従って、走行用バッテリー4に充電が行われている間は、車体を走行させるための操作が行われても電動モータMを作動させることがなく、車体が移動走行することは禁止される。
【0047】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、操作キー45が差し込み部46に差し込み装着可能に構成されるものを示したが、この構成に代えて、操作キー45が機体側の受信部との間で無線通信可能であり、操作キー45が車体に近接する状態でスイッチ47が操作されると、制御装置34が動作可能状態に切り換わる構成としてもよい。
【0048】
(2)上記実施形態では、操作キー45が被装着部から取り外された状態に切り換わった後、充電が完了すると、制御装置34が自動的に非作動状態に切り換わる構成としたが、この構成に代えて、例えば、運転者の携帯端末との間での通信を可能に構成して、運転者に充電が終了したことを報知する構成にしてもよく、音声で報知させるようにしてもよい。
【0049】
(3)上記実施形態では、制御装置34は、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されている状態で、動作可能状態に切り換えられると、充電モードに切り換わる構成としたが、この構成に代えて、制御装置34が予め動作可能状態に切り換えられたのちに、給電用コネクタ36が充電用接続部37に接続されると、充電モードに切り換わる構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、トラクタに限らず、田植機、コンバイン、建設機械等、種々の電動作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0051】
34 制御装置
36 給電用コネクタ
37 接続部
44 始動指令手段
45 操作キー
46 差し込み部(被装着部)
47 スイッチ
KD 給電装置
M 電動モータ
図1
図2
図3
図4
図5