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特許75199932つの後輪を備える乗用サドル付き自動車
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】2つの後輪を備える乗用サドル付き自動車
(51)【国際特許分類】
   B62K 5/10 20130101AFI20240712BHJP
   B62K 5/027 20130101ALI20240712BHJP
   B62M 7/02 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B62K5/10
B62K5/027
B62M7/02 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021515641
(86)(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 IB2019058858
(87)【国際公開番号】W WO2020079634
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2022-07-05
(31)【優先権主張番号】102018000009558
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera, PI,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ラッファエッリ
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-045127(JP,U)
【文献】特開昭59-050882(JP,A)
【文献】特開2005-313875(JP,A)
【文献】特開2011-201431(JP,A)
【文献】特開昭59-128074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 21/05
B62D 9/02
B62K 5/00
B62K 25/10
B62M 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗用サドル付き自動車(4)であって、
少なくとも1つの前輪(12)を有して、長手方向(Y-Y)に沿って伸びる前端フレーム(8)と、
後輪軸(22)の両側に取り付けられている1対の後輪(16,20)を有する後軸フレーム(14)と、
前記前端フレーム(8)に取り付けられて、且つ駆動トルクを前記1対の後輪(16,20)、及び/又は前記前輪(12)に与えるように構成されている動力ユニット(24)とを備えており、
前記動力ユニット(24)は、連結式トランスミッションジョイント(32)により、前記後輪軸(22)に接続されており、
前記連結式トランスミッションジョイント(32)は、
前記前端フレーム(8)と前記後軸フレーム(14)との間において、前記長手方向(Y-Y)周りに相対的に回転できて、
駆動トルクを前記1対の後輪(16,20)に伝達するように構成され、
前記1対の後輪(16,20)は、駆動トルクを前記1対の後輪(16,20)に与えるように構成されているトランスミッションシャフト(28)を備えており、
前記トランスミッションシャフト(28)は、前記長手方向(Y-Y)に対して横方向(X-X)に伸び、
前記連結式トランスミッションジョイント(32)は、前記トランスミッションシャフト(28)を通過する前記横方向(X-X)と、前記長手方向(Y-Y)と平行な方向との間の交点に配置されている球中心(C)を有するホモキネティックジョイントであることを特徴とする、乗用サドル付き自動車(4)。
【請求項2】
前記1対の後輪(16,20)は、前記後輪軸(22)を形成する剛性軸(52)により互いに接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の乗用サドル付き自動車(4)。
【請求項3】
前記1対の後輪(16,20)は、ロール機構(64)に取り付けられており、
前記ロール機構(64)は、前記長手方向(Y-Y)に沿って形成されている前記自動車(4)の中央面(M)に対して前記1対の後輪(16,20)をロール回転させることができることを特徴とする、請求項2に記載の乗用サドル付き自動車(4)。
【請求項4】
前記ロール機構(64)は、両端部(76,80)において、前記1対の後輪(16,20)のそれぞれの車輪にそれぞれ接続されている少なくとも1つの第1支持アーム(68)と第2支持アーム(72)とを備えており、
前記剛性軸(52)は、前記第1支持アーム(68)と前記第2支持アーム(72)との間に構成されていることを特徴とする、請求項3に記載の乗用サドル付き自動車(4)。
【請求項5】
前記ロール機構(64)は、第1支持アーム(68)と、第2支持アーム(72)を形成する前記剛性軸(52)とを備えることを特徴とする、請求項3に記載の乗用サドル付き自動車(4)。
【請求項6】
前記第1支持アーム(68)と前記第2支持アーム(72)は、端部ヒンジ(44)により前記1対の後輪(16,20)に接続されていることを特徴とする、請求項4に記載の乗用サドル付き自動車(4)。
【請求項7】
前記第1支持アーム(68)と前記剛性軸(52)は、端部ヒンジ(44)により前記1対の後輪(16,20)に接続されていることを特徴とする、請求項5に記載の乗用サドル付き自動車(4)。
【請求項8】
前記端部ヒンジ(44)は、前記トランスミッションシャフト(28)の両端部に配置されて、ホモキネティックジョイント(84)と幾何学的にオーバーラップすることを特徴とする、請求項6又は7に記載の乗用サドル付き自動車(4)。
【請求項9】
サスペンションユニット(36)は、前記動力ユニット(24)と前記前端フレーム(8)との間に設けられていることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の乗用サドル付き自動車(4)。
【請求項10】
前記サスペンションユニット(36)は、ばね及び/又はダンパを備えることを特徴とする、請求項9に記載の乗用サドル付き自動車(4)。
【請求項11】
駆動トルクを前記1対の後輪(16,20)に伝達するデフ(56)を備える、請求項1~10のいずれかに記載の乗用サドル付き自動車(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの後輪を含む少なくとも3つの車輪を備える乗用サドル付き自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、2つの後輪を備える自動車は、乗客を運ぶためだけではなく、何よりも物を運ぶために用いられて、互いに対となる後輪があることにより、大きな積載量と安定性を有する。
【0003】
周知の自動車は、少なくとも1つの前輪を備える前方フレームと、1対の後輪を備える後方フレームとを有する。
【0004】
動力ユニットは、前方フレームが自動車の中央面に対して傾斜できるように、後方フレームに取り付けられている。この運動学により、通常の二輪車のようにカーブに向かうことができて、同時に、前端から部分的に独立していることを保つ後輪において、後軸の荷重を支えることができる。
【0005】
一方、動力ユニットを、1対の後輪を有する後軸に設けることにより、複数の欠点をもたらす。
【0006】
最も大きな課題は、後軸がロール回転しないため、駆動するとき、またカーブに向かうとき、乗用車のように、後軸が外側に付勢する遠心力を受けることにある。したがって、この効果が大きくなるにつれて、ロール回転運動を行うための前軸の独立性が無効化される。
【0007】
外側に対する傾斜を制限するため、上述の自動車の後軸は、剛性軸を備えており、独立したサスペンションを1対の後輪に備える場合、カーブにおいて、後軸が前軸に対して反対の位相でロール回転するため、独立したサスペンションを1対の後輪に備えない。
【0008】
独立したサスペンションを上述の種類の自動車に配置することは、カーブにおいて、後輪の一方、すなわちカーブの方向に対する内輪が地面に対して浮かぶ傾向があり、グリップを完全に失う傾向があることを意味する。
【0009】
周知の方法において、一般的に、2つの代替手段がある。ある代替手段は、エンジンが剛性後軸によりロックされることにより、エンジンと剛性後軸との間でやりとりされるトルクが動力ユニットの内側にあり、トリムの変化の課題を生じないことである。または、別の代替手段は、動力装置がフレーム及び1つの前輪(又は複数の前輪)と共にロール回転する一方、後輪の間の横方向の伝達軸が地面に対して平行を保つことである。後者の場合、2つの部品が互いに分離されて、2つの部品を繋げる接続部により、長手方向の軸に対するトルクのやりとりを行うときだけ、反作用として車両をロールオフさせるトルクが生じる。
【0010】
したがって、周知の方法は、一般的に、長手方向の軸に従ってトルクを伝えるように、駆動後輪と運動学的に接続される(トルクグリップのための)横方向の出力軸を備える動力装置の使用法を提供する。すなわち、後輪に対する伝達トルクは、移動方向と平行な長手方向の軸に送られる。
【0011】
この状態において、車両が互いに対となる2つの後輪を備える一方、反作用トルクは、明らかに、駆動トルクと同じ方向にある一方、車両をロール回転させる傾向があり、又は車両のフレーム部が後輪軸に対する回転の自由度を有する。
【0012】
車両のロール回転は、駆動トルクを受けて、特に3輪車両の場合、車両の安定性を損なう傾向がある。3輪車両の対となる2つの後輪は、乗車できるサドルを備えるバイクの積載量を増やすように形成されている。したがって、3輪車両は、高負荷の状態で移動することがある。
【0013】
また、このロール回転する傾向は、運転手の運転の感覚を大きく悪化させる。
【発明の概要】
【0014】
したがって、先行技術に関して記載されている欠点と制限を解決する必要がある。
【0015】
この要求は、請求項1に記載の乗用サドル付き自動車により達成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の特徴と利点が、好ましくは非限定的な実施形態の以下の説明から明らかになる。
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の側面図を示す。
図2図2は、本発明の別の実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の側面図を示す。
【0018】
図3図3は、直線配置又は直進のステップにおける、剛性後軸を備える乗用サドル付き自動車の概略背面図を示す。
図4図4は、ロール回転のステップにおける、剛性後軸を備える乗用サドル付き自動車の概略背面図を示す。
【0019】
図5図5は、直線配置又は直進のステップにおける、2つの支持アームを有する後方ロール回転運動学機構を備える乗用サドル付き自動車の概略背面図を示す。
図6図6は、ロール回転のステップにおける、2つの支持アームを有する後方ロール回転運動学機構を備える乗用サドル付き自動車の概略背面図を示す。
【0020】
図7図7は、直線配置又は直進のステップにおける、剛性軸と共に単一の支持アームを有する後方ロール回転運動学機構を備える乗用サドル付き自動車の概略背面図を示す。
図8図8は、ロール回転のステップにおける、剛性軸と共に単一の支持アームを有する後方ロール回転運動学機構を備える乗用サドル付き自動車の概略背面図を示す。
【0021】
図9図9は、直線配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の背面図を示す。
図10図10は、直線配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の斜視図を示す。
図11図11は、傾斜配置又はロール回転配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の背面図を示す。
図12図12は、傾斜配置又はロール回転配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の斜視図を示す。
図13図13は、直線配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の斜視図を示す。
図14図14は、直線配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の斜視図を示す。
図15図15は、直線配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の背面図を示す。
図16a図16aは、傾斜配置又はロール回転配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の背面図を示す。
図16b図16bは、傾斜配置又はロール回転配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の側面図を示す。
図17a図17aは、直線配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の側面図を示す。
図17b図17bは、直線配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の背面図を示す。
図18a図18aは、傾斜配置又はロール回転配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の側面図を示す。
図18b図18bは、傾斜配置又はロール回転配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の背面図を示す。
図19a図19aは、直線配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の斜視図を示す。
図19b図19bは、直線配置における、本発明の好ましい実施形態に記載の乗用サドル付き自動車の斜視図を示す。
【0022】
以下に説明する実施形態に共通している要素又は要素の一部は、同じ符号で参照されている。
【発明を実施するための形態】
【0023】
上述の図面を参照して、符号4は、全体として、本発明に記載の乗用サドル付き自動車の全体概略図を示す。
【0024】
本発明の目的のため、寸法、材料、動力装置の大きさ、及びエンジンの種類に関して限定することなく、乗用サドル付き自動車という用語が広義で理解される必要があることを示す。
【0025】
乗用サドル付きの定義は、自動車がサドル6を備えること、及び運転手が、特にサドルに対して横方向の両側に配置されている脚部を備えるサドル自体の乗員として配置されることを意味する。
【0026】
乗用サドル付き自動車4は、長手方向Y-Yに沿って伸びて、且つ少なくとも1つの前輪12を回転可能に支持する前端フレーム8を備える。前輪12は、一般的に操舵輪である。また、固定されるように、又は連結式四角形により接続されるように、共に接続され得る2つの操舵前輪を有する四輪車を提供することもできる。
【0027】
自動車はまた、後輪軸22の両側に取り付けられている1対の後輪16,20を有する後軸フレーム14を備える。
【0028】
後輪16,20は、上記長手方向Y-Yと垂直に配置されている後輪軸22の周りを回転するように、周知の方法でベアリングに回転可能に支持されている。
【0029】
乗用サドル付き自動車4はまた、上記前方フレーム8に取り付けられて、且つ駆動トルクを上記1対の後輪16,20、及び/又は上記前輪12に与えるように構成されている動力ユニット24を備える。
【0030】
有利であるように、動力ユニット24は、連結式トランスミッションジョイント32により、上記後輪軸22に接続されている。連結式トランスミッションジョイント32は、上記前方フレーム8と上記後方フレーム14との間において、上記長手方向Y-Y周りに相対的に回転できて、且つ駆動トルクを上記1対の後輪16,20に伝達するように構成されている。
【0031】
特に、トルクを車輪に伝達することに関して、上記1対の後輪16,20は、駆動トルクを後輪16,20に与えるように構成されているトランスミッションシャフト28を備える。トランスミッションシャフト28は、上記長手方向Y-Yと垂直な横方向X-Xに伸びる。
【0032】
考えられる実施形態によれば、連結式トランスミッションジョイント32は、トランスミッションシャフト28を通過する横方向X-Xと、長手方向Y-Yと平行な方向との間の交点に配置されている球中心(C)を有するホモキネティックジョイントである。
【0033】
この方法により、上記中心は、非常に低く位置している、すなわち地面の近くに位置している。後軸は、バイクの良好なダイナミクスを有するため、後輪16,20の接点の中央面の突起の近くの地面を遮るように傾斜している。
【0034】
さらに考えられる実施形態によれば、連結式トランスミッションジョイント32は、平均的なホモキネティック伝達率を得るカルダンジョイントである。
【0035】
傾斜する乗用サドル付き自動車4の種類は複数あってもよい。例えば、動力グループ24が前方フレーム8に固定され得る。または、サスペンションアセンブリ36を動力グループ24と前端フレーム8との間に設ける/挿入することができる。上記サスペンションアセンブリ36は、ばね及び/又はダンパを備えてもよい。
【0036】
後軸の配置はまた、変わり得る。例えば、上記後輪16,20は、上記後輪軸22を形成する剛性軸52により互いに接続され得る。
【0037】
好ましくは、上記1対の後輪16,20は、ロール回転運動学機構64に取り付けられている。このロール回転運動学機構64は、上記長手方向Y-Yに沿って形成される自動車の中央面M-Mに対して1対の後輪16,20をロール回転させ得る。
【0038】
考えられる実施形態によれば、上記ロール回転運動学機構64は、両端部76,80において、(横方向X-Xに関して)上記1対の後輪16,20のそれぞれの車輪16,20にそれぞれ接続されている少なくとも1つの第1支持アーム68と第2支持アーム72とを備える。この実施形態において、剛性軸52は、長手方向Y-Y及び横方向X-Xと垂直な垂直方向Z-Zに沿って、上記第1支持アーム68と上記第2支持アーム72との間に構成されている。
【0039】
さらに考えられる実施形態によれば、上記ロール回転運動学機構64は、第1支持アーム68と、第2支持アーム72を形成する剛性軸52とを備える。
【0040】
また、この場合、第1支持アーム68と剛性軸は、両端部76,80において、(横方向X-Xに関して)上記1つの後輪16,20のそれぞれの車輪16,20と接続されている。
【0041】
さらに詳細には、第1支持アーム68と第2支持アーム72(及び/又は剛性軸52)は、端部ヒンジ44により上記後輪16,20と接続されている。
【0042】
ある実施形態によれば、上記端部ヒンジ44は、設けられていれば、後輪16,20のロール回転運動に対応するため、長手方向のヒンジである。これらの長手方向のヒンジは、ホモキネティックジョイント84と協調する。特に、上記端部ヒンジ44は、トランスミッションシャフト28の端部に配置されて、ホモキネティックジョイント84と幾何学的に重なる。
【0043】
上述のすべての実施形態において、バイクは、駆動トルクを上記後輪16,20に伝達するデフ56を備えてもよい。上記デフはまた、ビスカスジョイント及び/又は電気制御を備える自動ロック型、機械型であってもよい。
【0044】
本発明に記載の傾斜する乗用サドル付き自動車の動作を説明する。
【0045】
特に、本発明の方法において、駆動トルクの伝達は横軸に沿って起こる。これは、始めに、反作用トルクは横方向に向かい、車両のホイールベースの互いに離間している前輪と後輪において放出されることを意味する。この反作用トルクは、特に、反作用トルクが長手方向に向かう場合に生じる牽引力/圧縮力と比べられるとき、相対的に大きなピッチにより、明らかに制限されているサスペンションにおいて、牽引力/圧縮力を生じるため、明らかに制限されているピッチ回転モーメントを生じる傾向がある。
【0046】
実際には、駆動トルクと反作用のトルクが長手方向を向く周知の方法の場合、このトルクは、ホイールベースよりも明らかに小さな距離で互いに離間している後輪において放出される。したがって、牽引力/圧縮力の摘出は、かなり大きくなり、乗用サドル付き自動車の吊るされたマスにおいて明らかに誘発されるロール回転を生じる。一方、本発明の方法は、エンジンの加速/減速により、いずれかのロール回転を誘発することはなく、非常に制限されて、且つ運転手が実質的に感知できないピッチ回転を誘発することを制限する。
【0047】
同時に、本発明のトランスミッションジョイントは、ロール回転が正確にできることにより、フレームと後輪との間において生じるいずれかのロール回転を生じない。
【0048】
本発明は、説明から分かるように、従来技術の欠点を克服することができる。
【0049】
実際には、駆動トルク及び対応する反作用トルクの伝達は、長手方向ではなく横方向で起こる。したがって、従来技術の方法とは異なり、エンジンの加速と減速により、ロール回転は生じない。
【0050】
駆動トルクに対して反作用するトルクにより誘発される変化だけが、完全に無視できるほどのピッチ回転運動である。この無視できるほどのピッチ回転運動は、車両の姿勢の安定性を損なわず、運転の感覚を悪化させない。このピッチ回転運動は、(互いに対となる後輪の間の軌道よりも明らかに大きな)車両のホイールベースに対して反比例するため、無視できる。
【0051】
したがって、本発明の方法において、動力装置により伝達されるトルクに対する反作用は、ロール回転の反作用ではなく、ピッチ回転をもたらす。
【0052】
ロール回転の観点から、設けられているジョイントは、後輪とフレームとの間で長手方向のロール回転軸周りに相対的に回転できるトランスミッションジョイントであるため、ロール回転は誘発されない。
【0053】
当業者は、具体的且つ付帯的な要求を満たすため、上述の方法に対して複数の変更と調整を行い得る。すべての変更と調整は、以下の請求項において定められる保護の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16a
図16b
図17a
図17b
図18a
図18b
図19a
図19b