(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】生理学的情報を決定するための装置、システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1455 20060101AFI20240712BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
A61B5/1455
A61B5/0245 100B
(21)【出願番号】P 2021548268
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2020054149
(87)【国際公開番号】W WO2020169550
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-02-15
(32)【優先日】2019-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】デ ハーン ジェラルド
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-534968(JP,A)
【文献】国際公開第2017/121834(WO,A1)
【文献】G. de Haan et al.,Improved motion robustness of remote-PPG by using the blood volume pulse signature,Physiological Measurement,2014年08月27日,Vol.35, No.9,p.1913-1926
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02 - 5/03
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を決定するための装置であって、前記装置は、
被検者の皮膚領域を透過し又は該皮膚領域から反射されて検出された電磁放射から導出された少なくとも3つの検出信号を取得する入力インターフェースであって、各検出信号は異なる波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を有し、前記検出信号のうちの少なくとも1つが600nm未満の波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を有する入力インターフェースと、
前記少なくとも3つの検出信号からパルス信号を、前記少なくとも3つの検出信号における前記パルス信号の予想される相対拍動性を表す所与のシグネチャベクトルを使用して計算するパルス信号計算ユニットであって、該パルス信号の計算は、前記取得された少なくとも3つの検出信号との積が前記シグネチャベクトルによって表される前記相対拍動性に等しいパルス信号をもたらす重みを使用して前記少なくとも3つの検出信号の加重結合を計算する処理を含むパルス信号計算ユニットと、
600nmを超えるチャンネルのみにおける波長依存性の反射又は透過情報を有する前記検出信号の拍動性を反映するベクトル係数によって表される前記シグネチャベクトルの一部のみから、少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を導出するための処理ユニットと
を有する、装置。
【請求項2】
前記少なくとも3つの検出信号のうちの2つは赤色及び/又は赤外光の異なる波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を含み、第3の検出信号が赤色以外の色の可視光の波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1の波長チャンネルは620nmから1000nmの範囲内の、特には660nmから760nmの範囲内の波長又は波長範囲をカバーし、第2の波長チャンネルは620nmから1000nmの範囲内の、特には850nmから940nmの範囲内の、特に900nm付近の波長又は波長範囲をカバーし、第3の波長チャンネルは400nmから600nmの範囲内の、特には520nmから580nmの範囲内の波長又は波長範囲をカバーする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記処理ユニットが、血液種の、特にHb、HbO2、MetHb及びHbCOのうちの1以上の相対濃度を示す生理学的情報を導出する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記パルス信号計算ユニットは異なる所与のシグ
ネチャベクトルを使用して前記少なくとも3つの検出信号から少なくとも2つのパルス信号を計算し、ここで、各パルス信号の計算には異なるシグネチャベクトルが使用され、所与のシグネチャベクトルは前記少なくとも3つの検出信号における対応するパルス信号の予想される相対拍動性を表し、パルス信号の計算は、前記取得された少なくとも3つの検出信号との積が前記対応するシグネチャベクトルにより表される相対拍動性に等しいパルス信号をもたらす重みを使用して、前記少なくとも3つの検出信号の加重結合を計算する処理を含み、
当該装置は、前記パルス信号に関する対応するパルス信号の特性を示す品質指示値を計算するための品質指示情報計算ユニットを更に有し、
前記処理ユニットが、最良品質指示値を持つ1以上のパルス信号をもたらす1以上のシグネチャベクトルであって、600nmを超える波長チャンネル
のみにおける波長依存性の反射又は透過情報を含む前記検出信号の拍動性を反映するベクトル係数により表される当該1以上のシグネチャベクトルの一部
のみを使用して、少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を導出する、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記品質指示情報計算ユニットが、正規化されたパルス信号の振幅スペクトル
をスライドする時間窓にわたって計算すると共に
、典型的なパルス周波数の範囲内の最も高いピークの振幅を前記パルス信号に対する品質指示情報として使用する、請求項
5に記載の装置。
【請求項7】
前記品質指示情報計算ユニットが、前記パルス信号の正規化された振幅スペクトルを計算すると共に
、典型的なパルス周波数の範囲内の最も高いピークの振幅を前記パルス信号に対する品質指示情報として使用する、請求項
5に記載の装置。
【請求項8】
前記品質指示情報計算ユニットが、スライドする時間窓内でパルス信号を計算すると共に、スペクトルのパルス周波数の範囲内における歪度を前記パルス信号の品質指示情報として定義する、請求項
5に記載の装置。
【請求項9】
前記品質指示情報計算ユニットが、スライドする時間窓内でバンドパスフィルタリングされたパルス信号を計算すると共に、パルス信号の尖度を前記パルス信号の品質指示情報として定義する、請求項
5に記載の装置。
【請求項10】
前記パルス信号計算ユニットは、時間窓にわたって正規化されたDCフリー検出信号C
nの共分散行列
【数13】
を計算することによって、パルス信号S
1、S
2を計算し、重みW
xを見つけて、
【数14】
として、パルス信号
【数15】
を計算し、ここで、kは
【数16】
及びx∈{1,2}となるように選択される、請求項1から
9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
被検者の少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を決定するためのシステムであって、前記システムは、
被検者の皮膚領域を透過した又は該皮膚領域から反射された電磁放射を検出すると共に該検出された電磁放射から少なくとも3つの検出信号を導出するための検出器であって、各検出信号は異なる波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を有し、前記検出信号の1つが600nm未満の波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を有する検出器と、
生理学的情報を抽出するための、請求項1から
10の何れか一項に記載の装置と
を有する、システム。
【請求項12】
被検者の少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を決定するための方法であって、前記方法は、
被検者の皮膚領域を透過し又は該皮膚領域から反射されて検出された電磁放射から導出された少なくとも3つの検出信号を取得するステップであって、各検出信号は異なる波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を有し、前記検出信号のうちの少なくとも1つが600nm未満の波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を有するステップと、
前記少なくとも3つの検出信号におけるパルス信号の予想される相対拍動性を表す所与のシグネチャベクトルを使用して、前記少なくとも3つの検出信号からパルス信号を計算するステップであって、該パルス信号の計算は、前記取得された少なくとも3つの検出信号との積が前記シグネチャベクトルによって表される前記相対拍動性に等しいパルス信号をもたらす重みを使用して前記少なくとも3つの検出信号の加重結合を計算する処理を含む、ステップと、
600nmを超えるチャンネルのみにおける波長依存性反射又は透過情報を有する前記検出信号の拍動性を反映するベクトル係数によって表される前記シグネチャベクトルの一部のみから、少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を導出するステップと
を有する、方法。
【請求項13】
コンピュータ上で実行された場合に、該コンピュータに請求項
12に記載の方法のステップを実行させるためのプログラムコード手段を有する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者等の被検者の少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を決定するための装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば心拍数(HR)、呼吸数(RR)又は動脈血酸素飽和度(SpO2)等の人のバイタルサインは、人の現在の状態の指示情報(指標)として、及び深刻な医療事象の強力な予測情報として機能する。このような理由で、バイタルサインは、入院患者及び外来患者のケア環境において、自宅において、又は更なる健康、レジャー及びフィットネス環境において広く監視されている。
【0003】
バイタルサインを測定する1つの方法は、プレチスモグラフィ(容積脈波記録法)である。プレチスモグラフィとは、一般的に、臓器または身体部分の容積変化の測定を、特には、心拍ごとに被検者の身体を経て進行する心臓血管脈波による容積変化の検出を指す。
【0004】
フォトプレチスモグラフィ(PPG)は、関心領域又はボリュームの光の反射率又は透過率の時間変化を評価する光学的測定技術である。PPGは、血液は周囲の組織よりも多く光を吸収し、従って各心拍に伴う血液量の変化が、それに応じて透過率又は反射率に影響を与えるという原理に基づいている。心拍数に関する情報に加えて、PPG波形(PPG信号とも呼ばれる)は、呼吸等の更なる生理学的現象に起因する情報も有し得る。異なる波長(通常は赤色及び赤外線)における透過率及び/又は反射率を評価することにより、血中酸素飽和度を決定できる。
【0005】
被検者の心拍数及び(動脈)血中酸素飽和度を測定するための従来のパルスオキシメータ(ここでは接触PPG装置とも呼ばれる)は、被検者の皮膚、例えば指先、耳たぶ又は額に取り付けられる。したがって、これらは「接触」PPG装置と呼ばれる。接触PPGは基本的に非侵襲性手法と見なされているが、接触PPG測定は、しばしば、不快で邪魔になることがある。パルスオキシメータは被検者に直接取り付けられ、如何なるケーブルも動く自由を制限し、ワークフローを妨げ得るからである。
【0006】
最近の10年において、目立たない測定のための非接触遠隔PPG(rPPG)装置(カメラベースの装置とも呼ばれる)が提案されている。遠隔PPGは、被検者から離れて配置された光源、又は一般的には放射線源、を利用する。同様に、検出器、例えばカメラ又は光検出器も、被検者被検者から離れて配置され得る。したがって、遠隔フォトプレチスモグラフィックシステム及び装置は、目立たず、医療及び非医療の日常的アプリケーションに適していると考えられている。
【0007】
PPGテクノロジーを使用すれば、バイタルサインを測定でき、これらバイタルサインは拍動する血液ボリュームによって引き起こされる皮膚の微小な光吸収変化により、即ち、血液ボリュームパルスによって引き起こされる人間の皮膚の周期的な色の変化により明示される。この信号は非常に小さく、照明の変化及び動きによる非常に大きな変動内に隠蔽されるため、基本的に低い信号対雑音比(SNR)を改善することに一般的な関心がある。特に一層深刻なヘルスケアアプリケーションでは、バイタルサイン測定装置及び方法の改善されたロバストさ及び精度が必要とされる、激しい動き、困難な環境照明条件又はアプリケーションの高い要求精度を伴う厳しい状況が依然として存在する。
【0008】
ビデオヘルスモニタリング(心拍数、呼吸数、SpO2、アクチグラフ、せん妄等)は、有望な新興分野である。その固有の目立たなさは、NICU患者等の弱い皮膚の若しくは長期間のバイタルサイン監視が必要な患者、広範囲の火傷のある患者、又は睡眠中に自宅で監視する必要があるCOPD患者にとり明らかな利点を有する。一般病棟又は救急部署等の他の環境では、非接触監視の快適さは依然として魅力的なフィーチャである。
【0009】
有望な新分野ではあるが、多くの課題を克服する必要がある。患者の動きに対してロバストであるシステムを設計することは、現在、特に救急部署におけるアプリケーションを可能にするための主要な課題の1つである。
【0010】
国際特許出願公開第2017/121834号は、被検者のバイタルサイン情報を帯びたフォトプレチスモグラフ画像を生成するための装置、システム及び方法を開示している。動きに対する、特に心弾動運動に対する有効性及びロバスト性の向上を提供するために、該提案された装置は、少なくとも2つの異なる波長チャンネルにおける被検者の皮膚領域の画像データを取得するための入力インターフェースであって、前記画像データは時間にわたり前記皮膚領域を透過し又は該皮膚領域から反射された光を検出することによって取得された2以上の画像フレームを有し、該画像データが前記少なくとも2つの異なる波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を有する入力インターフェース;ピクセルごと又はピクセルグループごとに及び時点ごとに前記少なくとも2つの異なる波長チャンネルの画像データ値を合成して、ピクセル又はピクセルグループごとの時間変動パルス信号を取得するための合成ユニット;及び前記少なくとも2つの画像フレームを含む時間窓内の各パルス信号の特性からフォトプレチスモグラフ画像を生成するための画像生成ユニット;を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、被検者の少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を決定するための装置、システム及び方法であって、被検者の動きの場合でさえも高い信頼度の結果を達成することができる装置、システム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様では、被検者の少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を決定するための装置が提供され、該装置は:
- 被検者の皮膚領域を透過し又は該皮膚領域から反射されて検出された電磁放射から導出された少なくとも3つの検出信号を取得するように構成された入力インターフェースであって、各検出信号は異なる波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を有し、前記検出信号のうちの少なくとも1つが600nm未満の波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を有する入力インターフェース;
- 前記少なくとも3つの検出信号における前記パルス信号の予想される相対拍動性を表す所与のシグネチャ(署名)ベクトルを使用して、前記少なくとも3つの検出信号からパルス(脈拍)信号を計算するよう構成されたパルス(脈拍)信号計算ユニットであって、該パルス信号の計算は、前記取得された少なくとも3つの検出信号との積が前記シグネチャベクトルによって表される前記相対拍動性に等しいパルス信号をもたらす重みを使用して前記少なくとも3つの検出信号の加重結合(weighted combination)を計算する処理を含む、パルス信号計算ユニット;及び
- 600nmを超えるチャンネルのみにおける波長依存性の反射又は透過情報を有する前記検出信号の拍動性を反映するベクトル係数によって表される前記シグネチャベクトルの一部から、少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を導出するための処理ユニット;
を有する。
【0013】
本発明の更なる態様では、被検者の少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を決定するためのシステムが提供され、該システムは:
- 被検者の皮膚領域を透過した又は該皮膚領域から反射された電磁放射を検出すると共に該検出された電磁放射から少なくとも3つの検出信号を導出するための検出器であって、各検出信号は異なる波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を有し、前記検出信号の1つが600nm未満の波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を有する検出器;及び
- 本明細書に記載される、生理学的情報を抽出するための装置;
を有する。
【0014】
本発明の更に別の態様では、対応する方法、コンピュータ上で実行された場合に該コンピュータに本明細書に開示される上記方法のステップを実行させるためのプログラムコード手段を有するコンピュータプログラム、並びにプロセッサによって実行された場合に本明細書に開示された前記方法を実行させるコンピュータプログラム製品を記憶した非一時的コンピュータ可読記録媒体が提供される。
【0015】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に示されている。請求項に記載された方法、システム、コンピュータプログラム及び媒体は、特に従属請求項に記載され、本明細書に開示された請求項に記載のシステムと同様及び/又は同一の好ましい実施形態を有することが理解されるべきである。
【0016】
本発明は、生理学的情報の動きに対してロバストな決定、特にSpO2(及び他のもの)等のバイタルサインの測定のために高い拍動性の波長を使用して、再校正の必要性を生じさせることなく動きに対するロバスト性を更に改善するという考えに基づいている。SpO2方法の問題は、校正可能性(即ち、該方法が、異なる被検者に対して良好な精度を生じるように校正することができ、利用可能な皮膚領域に関しては過度に厳しくはないこと)のために、650nmより長い波長を使用することが必要とされることである。550nm付近の大幅に強いPPG信号は、個人の間及び皮膚部位の間で大きく変化するからである。したがって、本発明によれば、600nm未満の(例えば、550nm付近の)高度に拍動性の波長は、シグネチャベースの間接的SpO2推定(又は他の生理学的情報の決定)に使用されるが、良好な校正可能性を維持するために、この600nm未満の波長自体における拍動性(相対拍動性強度、すなわち、反射光のAC/DC)は無視する。
【0017】
前述したように、PPG信号は、皮膚内の血液量の変化から生じる。したがって、斯かる変化は、反射/透過光の異なるスペクトル成分で見たときに、特徴的な拍動性の「シグネチャ(署名)」を提供する。この「シグネチャ」は、基本的に、血液の吸収スペクトル及び無血皮膚組織の吸収スペクトルのコントラスト(差)として生じる(皮膚の散乱特性も役割を果たす)。前記検出器(例えば、カメラ又はセンサ)が、各々が光スペクトルの特定の部分を感知する個別の数のカラーチャンネルを有する場合、これらのチャンネルにおける相対拍動性、即ち時間にわたる平均により除算された時変部分(AC/DC)を、「正規化された血液量ベクトル」、PBVとも呼ばれる「シグネチャベクトル」に配すことができる。G.de Haan及びA.van Leestの論文、“Improved motion robustness of remote-PPG by using the blood volume pulse signature”, Physiol. Meas. 35 1913, 2014(参照により本明細書に組み込まれる)には、このシグニチャベクトルが既知である場合、カラーチャンネル及びシグニチャベクトルに基づいた動きに強いパルス信号抽出が可能であることが示されている。もっとも、パルス信号の品質のためには、当該シグネチャが正確であることが不可欠である。そうでない場合、既知の方法は、シグネチャベクトルによって示されるように、パルスベクトルと正規化されたカラーチャンネルとの所定の相関を達成するために、出力パルス信号にノイズを混合するからである。
【0018】
PBV方法及び正規化された血液量ベクトル(“predetermined index element having a set orientation indicative of a reference physiological information”と呼ばれる)の使用の詳細も、米国特許出願公開第2013/271591号に記載されており、その詳細は参照により本明細書に組み込まれる。
【0019】
このように、本発明は、バイタルサインカメラを使用して動きにロバストなSpO2測定を達成するのみならず、改善された動きにロバストな脈拍信号、改善された脈拍数、オプションとしての改善された血清ビリルビン推定をもたらす(本質的に全てのPPGベースの情報を一層ロバストにすることができる)。最後に、本発明は、接触酸素濃度計の動きに対するロバスト性を改善するためにさえ使用され得る。
【0020】
好ましい実施形態において、前記少なくとも3つの検出信号のうちの2つは赤色及び/又は赤外光の異なる波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を含み、第3の検出信号は赤色以外の色の可視光の波長チャンネルに波長依存性の反射又は透過情報を含む。特定の実施構成において、第1の波長チャンネルは620nmから1000nmの範囲内の、特には660nmから760nmの範囲内の波長又は波長範囲をカバーし、第2の波長チャンネルは620nmから1000nmの範囲内の、特には850nmから940nmの範囲内の(例えば、900nm付近の)波長又は波長範囲をカバーし、第3の波長チャンネルは400nmから600nmの範囲内の、特には520nmから580nmの範囲内の波長又は波長範囲をカバーする。これらの波長チャンネルを使用することは、特にSpO2等の1以上のバイタルサインの決定に関して、信頼できる結果を提供することを示した。
【0021】
前記処理ユニットは、更に、血液種の、特にHb、HbO2、MetHb及びHbCOのうちの1以上の相対濃度を示す生理学的情報を導出するように構成できる。本発明は、このような生理学的情報を決定するのに特に有用であることを示した。
【0022】
更なる実施形態において、前記パルス信号計算ユニットは異なる所与のシグニチャベクトルを使用して前記少なくとも3つの検出信号から少なくとも2つのパルス信号を計算するように構成され、ここで、各パルス信号の計算には異なるシグネチャベクトルが使用され、所与のシグネチャベクトルは前記少なくとも3つの検出信号における対応するパルス信号の予想される相対拍動性を表し、パルス信号の計算は前記取得された少なくとも3つの検出信号との積が前記対応するシグネチャベクトルにより表される相対拍動性に等しいパルス信号をもたらす重みを使用して前記少なくとも3つの検出信号の加重結合を計算する処理を含み、当該装置は、前記パルス信号に関する対応するパルス信号の特性を示す品質指示値を計算するための品質指示情報計算ユニットを更に有し、前記処理ユニットは、少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を、最良品質指示値を持つ1以上のパルス信号をもたらす1以上のシグネチャベクトルであって、600nmを超える波長チャンネルに(即ち、600nmより長い波長を持つチャンネルに)波長依存性の反射又は透過情報を含む前記検出信号の拍動性を反映するベクトル係数により表される当該1以上のシグネチャベクトルの一部を使用して導出するように構成される。
【0023】
PPG信号の特徴的な波長依存性は、血液の組成が変化すると変化する。特に、動脈血の酸素飽和度は、620nmから780nmの波長範囲での吸収に強い影響を及ぼす。この異なるSpO2値に対して変化するシグネチャは、動脈血の酸素化に依存する相対的なPPGの拍動性につながる。この依存関係は、適応PBV方法(APBV)と呼ばれ、国際特許出願公開第2017/055218号及びM.van Gastel、S.Stuijk及びG.de Haanの論文“New principle for measuring arterial blood oxygenation, enabling motion-robust remote monitoring”, Nature Scientific Reports, Nov. 2016に詳細に説明されている動きにロバストな遠隔SpO2監視システムを実現するために使用できる。これらの文献で提供されるAPBV方法の詳細の説明も、参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
この実施形態は、前記パルス信号計算ユニットが異なるシグネチャベクトルの固定されたセットを使用するように構成され、前記処理ユニットが、最良の品質指示値を持つパルス信号をもたらした前記シグネチャベクトルの前記一部の時系列をフィルタリングして、前記生理学的情報が導出されるフィルタリングされた部分シグネチャベクトルを取得するように構成され、前記部分シグネチャベクトルの時系列が、パルス信号及び前記少なくとも2つの検出信号の連続する時間窓に関して計算された品質指示情報から取得される場合に更に改良され得る。
【0025】
前記品質指示情報を決定及び使用するためのさまざまなオプション存在する。一実施形態において、前記品質指示情報計算ユニットは、正規化されたパルス信号(例えば、自身の標準偏差により除算されたパルス信号)の振幅スペクトルを特にスライドする時間窓にわたって計算すると共に、特に典型的なパルス周波数の範囲内の最も高いピークの振幅を前記パルス信号に対する品質指示情報として使用するように構成できる。計算の基礎として前記正規化されたパルス信号の振幅スペクトルを使用するのではなく、順序を逆にすることができ、即ち、パルス信号の正規化された振幅スペクトルを使用でき、その場合において、正規化は、該振幅スペクトルの、その合計又はそのエネルギによる除算であり得る。
【0026】
他の実施形態において、前記品質指示情報計算ユニットは、スライドする時間窓内でパルス信号を計算すると共に、前記スペクトルのパルス周波数の範囲内における歪度を前記パルス信号の品質指示情報として定義するように構成できる。
【0027】
更に別の実施形態において、前記品質指示情報計算ユニットは、スライドする時間窓内でバンドパスフィルタリングされた(HR帯域に限定された)パルス信号を計算すると共に、パルス信号の尖度を前記パルス信号の品質指示情報として定義するように構成できる。
【0028】
更に他の実施形態において、前記パルス信号計算ユニットは、時間窓にわたって正規化されたDCフリー検出信号C
nの共分散行列
【数1】
を計算することによって、パルス信号S
1、S
2を計算し、重みW
xを見つけて、
【数3】
として、パルス信号
【数2】
を計算するように構成でき、ここで、kは
【数4】
及びx∈{1,2}となるように選択される。ここで、同じ検出信号C
nから得られた2つのパルス信号に対して、重み及びP
bvは異なることに留意されたい。
【0029】
本発明のこれら及び他の態様は、後に記載される実施形態から明らかとなり、該実施形態を参照して解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、血液の吸収スペクトルのグラフを示す。
【
図2】
図2は、本発明によるシステムの概略図を示す。
【
図3】
図3は、本発明による装置の第1実施形態の概略図を示す。
【
図4】
図4は、本発明による装置の第2実施形態の概略図を示す。
【
図5】
図5は、順序付けられた署名ベクトルの組の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
被検者の少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を決定するための既知の方法の問題は、被検者の動きに対する敏感さである。この理由は、バイタルサインが非接触センサ(カメラ等)又は接触センサ(パルスオキシメータ等)によって検出される皮膚の小さな色変化として現れるためである。しかしながら、被写体の動きは、検出される信号において非常に大きな変動に容易に生じさせるものであり、これらの歪まされた信号からバイタルサインを回復することは、解決すべき主要な問題の1つである。前述したPPV及びAPPV方法は、この問題を、シグネチャ(署名)ベースのパルス抽出方法を使用して例えばSpO2をロバストな態様で間接的に測定することにより解決している。これによりロバスト性が大幅に向上したが、例えば動きが通常ベッドにいる患者よりも強い救急部署におけるアプリケーションを可能にするためには、依然として更に改善できるであろう。
【0032】
SpO2推定法の問題は、校正可能性のために650nmより長い波長を使用する必要があることである。これは、より短い波長は皮膚への侵入が劣るためである。結果として、拍動性は、被検者及び身体の部位の間で異なる皮膚層の厚さに強く依存するようになる。しかしながら、より長い波長での低い拍動性は、被検者の動きに対する脆弱性を増加させる。同じ因数で動きに対するロバストさを向上できるので、550nm付近で大幅に(約5~10倍)強いPPG信号を使用することは非常に魅力的である。
【0033】
このことは、酸素飽和度に依存する血液の吸収スペクトルのグラフを示す
図1で見ることができる。センサが該スペクトルを例えば約650/760nm、810nm及び900nm付近でサンプリングする場合、「シグネチャ」ベクトル、Pbvは、全てがSpO
2に依存する3つの成分を有する。
【0034】
また、睡眠監視アプリケーションとは異なり、救急部署での測定では、邪魔になるとは見なされずに可視光を使用し得る。残念ながら、実験は、この遙かに高い拍動性は、個人の間及び皮膚部位の間でかなり異なると共に環境条件に依存し、このことは、各被検者に対して及び、恐らくは、環境の変化(温度等)を伴う当該手順の繰り返しに対してさえも再校正を必要とするであろう。
【0035】
本発明は、生理学的情報の動きに強い(ロバストな)決定のために、特にSpO2等のバイタルサインを決定するために、高拍動波長を使用する。本発明の1つの要素は、既知のシステムで使用されるNIR波長の1つに加えて、又はその代替として、600nm未満の、例えば、550nm付近の波長を使用することであり、該波長では拍動性は、非常に高いが、生理学的情報の決定、特にSpO2値の決定には重要ではない相対的に広く変動する範囲内である。このようにして、再校正の必要性を生ずることなく、動きに対するロバスト性を向上できる。これについては、以下で詳しく説明する。
【0036】
図2は、本発明によるシステム100の一実施形態の概略図を示している。システム100は、被検者120の皮膚領域を透過した又は該領域から反射された電磁放射を検出すると共に、該検出された電磁放射から少なくとも3つの検出信号を導出するための検出器110を備える。各検出信号は、異なる波長チャンネルに波長依存性の反射又は透過情報を含み、該検出信号の1つは、600nm未満の波長チャンネルに(すなわち、600nmより短い波長を有するチャンネルに)波長依存の反射又は透過情報を含む。
【0037】
システム100は、更に、上記少なくとも3つの検出信号から被検者の少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報を決定するための装置130を備える。被検者120は、患者、この例では、ベッド160(病院又は他の医療施設における)に横たわっている患者であり得るが、例えばインキュベーターに横たわっている新生児若しくは未熟児、又は自宅若しくは別の環境にいる人でもあり得る。
【0038】
被検者を透過した又は被検者から反射された電磁放射を検出するための検出器に関しては、代替的に(好ましい)又は一緒に使用され得る別の実施形態も存在する。システム100の実施形態では、上記検出器の2つの異なる実施形態が示され、以下で説明される。該検出器の両実施形態は、検出された電磁放射から検出信号を導出するように構成され、各検出信号は、異なる波長チャンネルに波長依存性の反射又は透過情報を含む。これによれば、フィルタ帯域幅は重なり合い得るが、好ましくは異なる光学フィルタが使用され得る。それらの波長依存性の透過率が異なっていれば十分である。
【0039】
一実施形態において、当該検出器は、フォトプレチスモグラフィ信号を導出すことができる被検者120の画像フレームを(遠隔的かつ目立たないように)キャプチャするための、特には時間にわたり被検者120の画像フレームのシーケンスをキャプチャするための適切なフォトセンサを含むカメラ112(撮像ユニット、又はカメラベースの若しくは遠隔のPPGセンサとも称する)を有する。カメラ112によってキャプチャされる画像フレームは、特に、例えば(デジタル)カメラにおけるアナログ又はデジタルフォトセンサによってキャプチャされるビデオシーケンスに対応し得る。このようなカメラ112は、通常、特定のスペクトル範囲(可視、IR)でも動作できるか、又は異なるスペクトル範囲の情報を提供できるCMOS又はCCDセンサ等のフォトセンサを含む。カメラ112は、アナログ又はデジタル信号を提供し得る。当該画像フレームは、関連するピクセル値を有する複数の画像ピクセルを含む。特に、これら画像フレームは、フォトセンサの異なる光感知性要素でキャプチャされた光強度(輝度)値を表すピクセルを含む。これらの光感知性要素は、特定のスペクトル範囲において感知的であり得る(すなわち、特定の色又は疑似色(NIRで)を表す)。これら画像フレームは、被検者の皮膚部分を表す少なくとも幾つかの画像ピクセルを含む。これによれば、画像ピクセルは、光検出器の1つの光感知性要素及びその(アナログ又はデジタル)出力に対応し得るか、又は複数の光感知性要素の組み合わせ(例えば、ビニングを介して)に基づいて決定され得る。
【0040】
他の実施形態において、当該検出器は、フォトプレチスモグラフィ信号を取得するために被検者120の皮膚部分に装着されるように構成された1以上の光学フォトプレチスモグラフィセンサ114(接触PPGセンサとも呼ばれる)を備える。該PPGセンサ114は、例えば、考えられる全ての実施形態の幾つかを挙げれば、血中酸素飽和度を測定するための指クリップの形態で若しくは手首に装着するウェアラブル装置として、又は心拍数を測定するための心拍数センサとして設計され得る。
【0041】
カメラ112を使用する場合、当該システム100は、患者の顔の皮膚(例えば、頬又は額の一部)等の関心領域142を、例えば所定の波長範囲又は複数の範囲の(例えば、赤色、緑色及び/又は赤外線の波長範囲の)光で照明するための、ランプ等の光源140(照明源とも呼ばれる)を更にオプションとして備え得る。前記照明に応答して前記関心領域142から反射される光は、カメラ112によって検出される。他の実施形態では、専用の光源は設けられないが、周囲光が被検者120の照明に使用される。前記反射された光からは、複数の所望の波長範囲の光(例えば、緑色及び赤色若しくは赤外光、又は少なくとも2つの波長チャンネルをカバーする十分に広い波長範囲の光)のみが検出及び/又は評価され得る。
【0042】
当該装置130は、更に、前記決定された情報を表示し、及び/又は医療要員に装置130、カメラ112、PPGセンサ114、光源140の設定及び/又はシステム100の何らかの他のパラメータを変更するためのインターフェースを提供するためのインターフェース150に接続される。このようなインターフェース150は種々のディスプレイ、ボタン、タッチスクリーン、キーボード又は他のヒューマンマシンインターフェース手段を含み得る。
【0043】
図2に示されるようなシステム100は、例えば、病院、医療施設又は高齢者介護施設等に配置され得る。患者のモニタリングとは別に、本発明は、新生児モニタリング、一般的な監視アプリケーション、セキュリティモニタリング、又はフィットネス機器、ウェアラブル、スマートフォンのような手持ち装置等のいわゆるライブスタイル環境等の他の分野にも適用できる。装置130、カメラ112、PPGセンサ114及びインターフェース150の間の単方向又は双方向通信は、無線又は有線通信インターフェースを介して機能できる。本発明の他の実施形態は、スタンドアロンでは設けられず、カメラ112又はインターフェース150に統合された装置130を含み得る。
【0044】
図3は、本発明による装置130の第1実施形態130aの更に詳細な概略図を示している。装置130aは、被検者120の皮膚領域を透過し又は該領域により反射されて検出された電磁放射から導出された少なくとも3つの検出信号210を取得するように構成された入力インターフェース131を備える。前述したように、各検出信号210は、異なる波長チャンネル内に波長依存性の反射又は透過情報を含み、その場合において、検出信号210のうちの少なくとも1つは600nm未満の波長チャンネル内に波長依存性の反射又は透過情報を含む。
【0045】
装置130aは、更に、前記少なくとも3つの検出信号210におけるパルス信号の予想される相対拍動性を表す所与のシグネチャベクトルを使用して、該少なくとも3つの検出信号210からパルス信号211を計算するように構成されたパルス信号計算ユニット132を備える。該パルス信号211の計算は、重みを使用して上記少なくとも3つの検出信号210の加重結合(weighted combination)を計算して、取得された(元の)少なくとも3つの検出信号との(内部)積がシグネチャベクトルにより表される相対拍動性に等しいパルス信号を生じさせる動作を伴う。この計算を実行する前に、好ましくは、上記パルス信号及び検出信号はDCフリーにされると共に、正規化される。
【0046】
装置130aは、更に、600nmを超える波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を含む検出信号の拍動性を反映するベクトル係数によって表される前記シグネチャベクトルの一部から、少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報212を導出するための処理ユニット133を有する。
【0047】
装置130aの上記種々のユニットは、本発明が適用される方法及び場所に応じて、1つ又は複数のデジタル又はアナログプロセッサに含まれ得る。これら種々のユニットは、完全に又は部分的にソフトウェアで実施化され、1以上の検出器に接続されたパーソナルコンピュータ上で実行され得る。必要とされる機能の一部又は全てを、ハードウェアで、例えば特定用途向け集積回路(ASIC)又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)で実施化することもできる。
【0048】
したがって、本発明の該実施形態によれば、600nmを超える(好ましくは630 nmを超える)少なくとも2つの波長に加えて、600nm未満の、例えば550nm付近の高度に拍動的な波長が(好ましくは、シグネチャベースで、即ち間接に)、生理学的情報の決定に(例えば、SpO2推定に)使用されることが保証され、これにより、600nm未満の波長の拍動的強度自体が結果的生理学的情報(SpO2等)において良好な校正性を維持するたに何の役割も果たさないことが確かにされる。
【0049】
使用される波長での相対拍動性は、特徴的なシグニチャとして、即ち、使用される波長での相対的な拍動強度を反映する成分を持つベクトルとして説明できる。これらの成分の1つは、基本的に不確実であり、何の情報も帯びない600nm未満の(例えば、550nm付近の)波長の拍動強度に対応する。
【0050】
この「シグネチャ」は、上記で説明したように、「正規化された血液量ベクトル」PBVとも呼ばれる。このPBVがわかっている場合は、カラーチャンネル及びシグネチャPBVに基づいた動きにロバストなパルス信号抽出が可能である。パルス信号の品質のためには、しかしながら、シグネチャが正確であることが不可欠である。そうでない場合、前述したPBV及びAPBV方法は、パルスベクトルのシグネチャPBVにより示される正規化されたカラーチャンネルの所定の相関を達成するために、出力パルス信号にノイズを混合するからである。複数のシグニチャベクトルを並行して検査するか、又は品質メトリックを使用してシグニチャを適応させれば、正しい相対拍動性を伴うシグニチャはPBV方法を使用して最高のパルス品質を提供するので、血液の組成(SpO2、CO、MtHB、ビリルビン等)を知ることが間接的に可能となる。
【0051】
図4は、本発明による装置130の第2実施形態130bの詳細な概略図を示している。この実施形態130bによれば、パルス信号計算ユニット132は、異なる所与のシグニチャベクトルを使用して、前記少なくとも3つの検出信号210から1つだけでなく少なくとも2つのパルス信号211a、211bを計算する。各パルス信号の計算には異なる所与のシグネチャベクトルが使用され、ここで、所与のシグネチャベクトルは前記少なくとも3つの検出信号における各パルス信号の予想される相対拍動性を表し、該パルス信号の計算は、重みを使用して前記少なくとも3つの検出信号の加重結合を計算して、取得された(元の)少なくとも3つの検出信号による積が各シグネチャベクトルによって表される相対拍動性に等しいパルス信号をもたらす動作を含む。
【0052】
当該装置は、更に、各パルス信号の特性を示す前記パルス信号211a、211bの品質指示値213を計算するための品質指示情報計算ユニット134を備える。処理ユニット133は、最良の品質指示値(又は複数の品質指示値)213を持つパルス信号をもたらす(1以上の)シグニチャベクトルであって、600nmを超える波長チャンネルにおける波長依存性の反射又は透過情報を含む検出信号の拍動性を反映するベクトル係数によって表される当該(1以上の)シグニチャベクトルの一部から、少なくとも1つのバイタルサインを示す生理学的情報212を導出するように構成される。したがって、一実施形態では単一のシグネチャベクトルの一部(最良の品質指示値をもたらす)のみが使用され得るが、他の実施形態では幾つかの(例えば、3つの)シグネチャベクトルの部分(最良の品質指示値をもたらす)も使用され得る。
【0053】
このように、本発明によれば、既知の前述したPBV及びAPBV方法とは反して、600nm未満(例えば、550nm付近)の追加の波長チャンネルが、ベクトルの範囲の拡張分が試験されることを必要とするが、この波長の拍動強度に対応する成分の選択は、生理学的情報の決定において、例えばSpO2、CO、MetHB、ビリルビン等の測定においては無視される。
【0054】
他の実施形態において、ロバストなパルス信号及びSpO2の測定は、センサ/カメラを用いたAPBV法(例えば、660nm、880nmにおいて及び更に550nm付近でスペクトルをサンプリングする)を使用して実施することができる。PBV法を使用して並行して検査されるシグネチャベクトルセットは、550nm、660nm及び880nmのチャンネルにおける相対拍動性を各々反映する3つの成分を持つベクトルを示す。
【0055】
特定の例において、このセットは、660nm及び880nm成分のM=30の異なる組み合わせを含み得、異なる第1成分(不確実な相対的550nm拍動性を反映する)を伴って複数(N)回発生するM=30の異なるSpO
2値(例えば、1%のステップで100%~70%)を反映する。
図5に示すように、これらのベクトルがリストで順序付けられる場合、このリストのインデックスは特定のSpO
2値に対応する。550 nmの拍動性は無視されるべきであるため、SpO2を提供するために該インデックスはMを法とされ得る。サブセットの選択はSpO
2測定にとり意味がないが、他の測定(例えば、皮膚の特性、身体の部位、色素沈着等)には使用できる。
図5に示されるように、順序付けられたシグネチャベクトルセットは、SpO
2範囲に対応する赤色/赤外線チャンネルにおける相対拍動性を持つ繰り返しサブセットを含む一方、各サブセットは550nmチャンネルの異なる拍動性を有する。該順序付けリストにおけるインデックス(最良品質のパルス信号を伴うシグネチャ)はSpO
2値を識別する一方、使用されるモジュロ関数は550nmの拍動強度からの如何なる影響も防止する。
【0056】
下記の表は、適切なPBVシグニチャベクトルセットの大幅に簡略化されたセットを示す。
【0057】
【0058】
第2の数字のセット(7~12行目)は、SpO2の関数としての550nm、660nm及び880nmの相対拍動性を示している。第1の数字のセット(1~6行目)及び第3の数字のセット(13~18行目)は第2のセットの複製であり、550nmチャンネルの拍動性が、各々、減少及び増加されている。実際のSpO2測定では、最適なベクトルが第1、第2又は第3のベクトルサブセットで見付かるかどうかは無関係であり、当該サブセット内の相対位置のみが関係する。
【0059】
以下では、PBV方法に関する幾つかの基本的な考慮事項について簡単に説明する。
【0060】
心臓の鼓動は、該心臓が血管床の抵抗に逆らって血液を送り出す際に、動脈における圧力変化を生じさせる。動脈は弾性的であるため、これら圧力変化に同期して直径が変化する。これらの直径の変化は、血液量の変化が光の吸収の変化を引き起こす皮膚の小さな血管でも起こる。
【0061】
単位長の正規化された血液量パルスベクトル(シグネチャベクトルとも呼ばれる)は、PBVとして定義され、赤色、緑色及び青色のカメラ信号における相対的なPPG強度を提供する。即ち、
【数5】
であり、ここで、σは標準偏差を示す。
【0062】
期待値を定量化するために、赤色、緑色及び青色チャンネルの各々の応答Hred(w)、Hgreen(w)及びHblue(w)がグローバルシャッターカラーCCDカメラの波長w、被検者の皮膚反射率ρ
s(w)の関数として測定され、絶対PPG-振幅曲線PPG(w)を使用した。これらの曲線(例えば、de Haan及びvan Leestの前記論文の
図2における)から、血液量パルスベクトルPBVは、
【数6】
として計算され、これは、白色のハロゲン照明スペクトルI(w)を使用すると、正規化されたPBV=[0.27,0.80,0.54]となる。よりノイズの多い曲線を使用する場合、結果はPBV=[0.29,0.81,0.50]となり得る。
【0063】
使用されたモデルによって予測された血液量パルスは、白色照明条件下で複数の被検者の測定値を平均した後に得られた実験的に測定された正規化血液量パルスベクトル、PBV=[0.33,0.78,0.53]にかなりよく対応する。この結果を考慮して、特に赤色において、及び僅かな程度で青色のカメラチャンネルにおいて観察されたPPG振幅は、500~600nmの区間の波長からのクロストークによって大いに説明できると結論付けられた。モデルが示すように、正確な血液量パルスベクトルは、カメラのカラーフィルタ、光のスペクトル及び皮膚の反射率に依存する。実際に、波長チャンネルのセットが与えられた場合であるが(ベクトルはRGBベースのベクトルと比較して、赤外においては異なるであろう)、当該ベクトルは非常に安定していることがわかった。
【0064】
更に、白色照明下の赤色、緑色及び青色のチャンネルにおける皮膚の相対反射率は皮膚のタイプにあまり依存しないことが分かった。これは、無血皮膚の吸収スペクトルはメラニン吸収によって支配されるためと思われる。より高いメラニン濃度は絶対吸収を大きく増加させ得るが、異なる波長での相対吸収は同じままである。このことは、メラニンの増加は皮膚を薄黒くさせるが、皮膚の正規化された色はほとんど変化させないことを意味する。その結果、正規化された血液量パルスPBVも白色照明下では非常に安定している。赤外波長ではメラニンの影響は更に減少する。メラニンの最大吸収は短波長(UV光)に対して発生し、より長い波長に対しては減少するからである。
【0065】
PBVの安定した特性は、血液量の変化によって引き起こされる色の変化を、別の原因による変化から区別するために使用できる。即ち、該安定したPBVは、色の変化を区別するための血液量変化の「シグネチャ」として使用できる。このように、カラーチャンネルPBVの既知の相対拍動性を、パルス信号と歪みとの間を区別するために使用できる。既知の方法を使用して得られるパルス信号Sは、個々のDCフリーの正規化されたカラーチャンネルの線形結合(「混合」の幾つかの可能な方法の1つを表す)として記述でき:
S=WC
n
ここで、WW
T=1であり、3xN行列C
nの3つの行の各々は、DCフリーの正規化された赤色、緑色及び青色チャンネル信号R
n、G
n及びB
nのN個のサンプル、即ち:
【数7】
を含む。
【0066】
ここで、演算子μは平均に対応する。異なる方法の間の主な違いは、重み付けベクトルWの計算にある。1つの方法において、ノイズ及びPPG信号は、2つのカラーチャンネルの線形結合として構築された2つの独立した信号に分離できる。一方の組み合わせはクリーンなPPG信号に近似し、他方の組み合わせは動きによるノイズが含んだ。最適化基準として、当該パルス信号におけるエネルギを最小化することができる。他の方法では、3つのカラーチャンネルの線形結合を、パルス信号を取得するために使用できる。
【0067】
PBV方法は、一般的に、米国特許出願公開第2013/271591号及び上記のde Haan及びvan Leestの論文に基本的に記載されているような血液量パルスベクトルを使用して混合係数を取得する。最良の結果は、Rn、Gn及びBnのバンドパスフィルタ処理されたバージョンが使用された場合に得られる。この方法によれば、PBVの既知の方向を使用して、パルス信号と歪とを区別する。これにより、パルスがビデオ内の唯一の周期的成分であるという(以前の方法の)仮定が除去されるだけでなく、歪み信号の向きに関する仮定も除去される。この目的のために、先のように、パルス信号は正規化されたカラー信号の線形結合として構築されると想定される。赤色、緑色及び青色チャンネルにおけるパルス信号の相対振幅はPBVによって与えられることが分かっているので、カラーチャンネルRn、Gn及びBnとの相関がPbvに等しくなるパルス信号Sを与える重みWPBVが探索され、
【数8】
その結果として、混合を決定するための重みは、
【数9】
により決定され、スカラkはW
PBVが単位長を有するように決定される。正規化された血液量パルスPBVに反映されたPPG信号の特徴的波長依存性を、皮膚領域にわたって平均化された時系列的RGBピクセルデータからパルス信号を推定するために使用できると結論付けられる。このアルゴリズムは、PBV方法と呼ばれる。
【0068】
一実施形態によれば、当該信頼性指示情報は、メトリック(例えば、周波数領域における同じピーク(脈拍数)、同様のSNR、又はパルス信号の対間の小さい平均二乗差)に従い、候補パルスの類似性に依存する信頼度数値(脈拍の品質又は呼吸信号に関する)を出力し得る。
【0069】
他の実施形態において、APBV方法は、3つの波長チャンネルの2以上の異なる組み合わせから(例えば[λ1,λ2]から、[λ1,λ3]から及び/又は[λ1,λ2,λ3]から)SpO
2値を抽出するために使用される。この場合、信頼性指示情報は、メトリック(例えば、恐らくは時間にわたりフィルタされた候補値の標準偏差(
図7に示されている);APBV方法の異なるバージョンによって抽出されたパルス信号のSNR値;(接触センサの場合)患者の動きを表す例えば加速度計信号等の動き信号の強度と組み合わせた候補SpO
2値の類似性;及び/又は(カメラベースのセンサの場合)被検者ビデオから計算されたモーションベクトルにより表される被写体の動きの強さ)に従って、SpO
2値の類似性に依存した信頼度数値を出力し得る。
【0070】
以下では、APBV方法に関する幾つかの基本的な考慮事項について簡単に説明する。
【0071】
APBVは、PPG波形から特徴を抽出する代わりに、SpO2の「シグネチャ」で抽出されたパルス信号の信号品質に基づいて間接的にSpO2を決定する。この手順は、数学的に:
【数10】
と書くことができ、ここで、C
nはDC正規化された色の変化が含まれ、スカラkはW
→
PBVが単位長を持つように選択される。P
→
bvに編集されたSpO2シグネチャは、生理学及び光学から導き出すことができる。同一のカメラを想定すると、N台のカメラのPPG振幅は:
【数11】
により決定できる。
【0072】
この場合、PPG振幅スペクトルPPG(λ)は、動脈血の主な発色団の2つの最も一般的な変形、ヘモグロビン;酸素化(HbO2)及び還元(Hb)からの光吸収スペクトルの線形混合によって近似でき:
【数12】
ここで、光路長の差は600<λ<1000nm及びSaO2∈[0,1]に対して無視できると仮定される。散乱の波長依存性効果は、この仮定を無効にさせ得ると認識される。2つの波長を使用する場合、比の比パラメータR及びAPBVパラメータP
→
bvの比は一致する。波長の選択は、3つの基準:1)臨床アプリケーションのために暗闇(λ>700nm)で酸素飽和度を測定したい望み;2)妥当なSpO
2コントラストを有すること;及び3)カメラのスペクトル感度内の波長;に基づくものであり得る。パルスオキシメトリで使用される一般的な2つの波長の代わりに3つを使用するというアイデアは、SpO
2測定のロバストさが2倍に向上されることによって動機付けられた。このことは、カメラで測定したときに動きがPPG波形にどの様に影響するかによって説明できる。動きによって引き起こされる強度の変化は全ての波長に対して等しいので、これらのアーティファクトの抑圧は、パルスシグニチャP
→
bvが、等しい重みのベクトルとして記述され得る、この動きのシグニチャと等しくない場合にAPBV方法に対して可能である。
【0073】
パルス品質が非常に良好であっても、推定されるSpO2値が十分に信頼でき、信用できるとは限らないことに注意すべきである。このことは、予期しない血液種(COHb等)が利用可能となって、SpO2校正曲線をシフトさせる、即ち、パルス抽出のためにPBV方法又はAPBV方法を使用する場合に、異なるシグネチャベクトルが最適なパルス品質に導かせる場合に、特に生じ得る。
【0074】
要約すると、本発明の実施形態によれば、パルス信号は、所与のシグネチャベクトルを使用して計算される、すなわち、重み(式(2)を参照)が決定される(波長チャンネルごとに1つの重み)。従来、式(2)に従って決定された全ての重みが、バイタルサインを決定するために使用されている(式(3)を参照)。対照的に、本発明によれば、600nm未満の少なくとも1つの波長チャンネル(例えば、緑色の波長チャンネル)に対して決定された重みは、所望のバイタルサイン(例えば、SpO2)を決定するためには無視され、600nmを超える波長チャンネル(例えば、赤色及び赤外波長チャンネル)に対する重みのみが所望のバイタルサインを決定するために使用される(例えば、式(3)に従って)。このことは、先に記載した表に示されているように、SpO2値は緑色チャンネル(ここでは550nm)における相対拍動性の異なる値に対して同一であるため可能である。
【0075】
所望のバイタルサインを決定するためには無視されるが、上記600nm未満の少なくとも1つの波長チャンネルに対する重みは決定される。さもなければ、600nmを超える波長チャンネルの重みが不正確になり、結果としてのパルス信号が十分にクリーンにならない可能性があるからである。当該パルス信号が可能な限りクリーンである(即ち、動きに対してロバストである)場合にのみ、600nmを超える波長チャンネルに与えられる重みは信頼性が高く、高い精度及び信頼性で所望のバイタルサインの値を決定できる。種々の波長チャンネルにおける相対拍動性が異なるほど、動きに対するロバスト性が向上する。動きは全ての波長チャンネルにおいて同じ相対拍動性を有する、即ち、パルスとのコントラストは相対拍動性が大きく異なる場合に最も高くなるからである。
【0076】
600nmを超える波長チャンネルにおける相対拍動と、バイタルサインの結果的値(例:SpO2値)との間の関係は、理論(例えば、人間の皮膚における吸収及び散乱現象のモデル化)から、又は好ましくは実験(例えば、多くの(静止した)個人に対する測定値を使用する、信頼できる基準測定(例えば、パルスオキシメータ等の接触測定装置によって得られた)を使用する、又はそれらの個人から抽出された血液サンプルの分析による)から決定できる。
【0077】
例えばAPBVを使用する相対拍動性の間接的な測定は最も有利と思われるが、血液種濃度の測定のロバスト性を向上させるために、情報量は少ないがものの、追加の波長チャンネル(550nm等)を使用する代替アルゴリズムも適用できる。
【0078】
典型的な実施形態は620nmから1000nmの間、特に660/760nmから880nmの間の波長範囲で感知された反射データを伝達する光センサチャンネルを使用する一方、追加のチャンネルは、好ましくは、400nmから600nmの間、特には520nmから580nmの間の範囲内で感知された反射データを伝達する。
【0079】
本発明の典型的な用途は、接触センサ又はカメラベースのフォトプレチスモグラフィであり、主たる測定は、血管、特に動脈又は細動脈内の、例えばHb、HbO2、MetHb、HbCO、ビリルビン等血液種の(相対的)濃度に関するものである。
【0080】
本発明は、接触センサ及び/又は非接触センサを使用して取得された検出信号に対して適用できる。例として、本発明は、ヘルスケアの分野、例えば、目立たない遠隔患者監視、一般的な監視、セキュリティ監視、及びフィットネス機器、フィットネス/ヘルスウォッチ/バンド(通常は手首に装着)等の所謂ライフスタイル環境ヘルスケアの分野に適用できる。アプリケーションには、酸素飽和度(パルスオキシメトリ)、心拍数、血圧、心拍出量、血液灌流の変化、自律機能の評価、呼吸、末梢血管疾患の検出等が含まれる。
【0081】
本発明は、例えば自動化されたCPR(心肺蘇生法)の間における、重症患者の迅速で信頼性の高い脈拍検出に使用できる。当該システムは、例えばNICUにおける非常に敏感な皮膚を持つ新生児のバイタルサインの監視のため及び皮膚の損傷(火傷等)のある患者に対して使用できるのみならず、一般病棟で使用されている接触センサよりも便利であり得る。
【0082】
本発明は、図面及び上記記載において詳細に例示及び説明されたが、そのような例示及び説明は、例示的又は解説的であり、限定するものではないと見なされるべきである。即ち、本発明は開示された実施形態に限定されるものではない。開示された実施形態に対する他の変形は、図面、本開示及び添付請求項の精査から、請求項に記載された発明を実施する際に当業者によって理解及び実施され得る。
【0083】
請求項において、「有する(含む)」という単語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、単数形は、複数を除外するものではない。単一の要素又は他のユニットは、請求項に記載された幾つかの項目の機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用できないことを示すものではない。
【0084】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体等の適切な非一時的媒体により保存/配布され得るが、他の形態で、例えば、インターネット又はその他の有線若しくは無線通信システムを介して配布することもできる。
【0085】
請求項における参照記号は、当該範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。