(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】KEEキャップ層を有する共押出架橋ポリオレフィン発泡体
(51)【国際特許分類】
B32B 5/18 20060101AFI20240712BHJP
B29C 48/08 20190101ALI20240712BHJP
B29C 48/21 20190101ALI20240712BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240712BHJP
B29C 48/16 20190101ALI20240712BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240712BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240712BHJP
E04B 1/86 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B32B5/18
B29C48/08
B29C48/21
B29C44/00 E
B29C48/16
B32B27/32 E
B32B27/00 A
E04B1/86 C
(21)【出願番号】P 2021557942
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 US2020025480
(87)【国際公開番号】W WO2020205633
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511040425
【氏名又は名称】トーレ プラスティックス (アメリカ) インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ダート ダン
(72)【発明者】
【氏名】ボールドウィン ジェシー ジュード
(72)【発明者】
【氏名】ボック ケイトリン ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】シエラドツキ パヴェル
【審査官】加賀 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-059335(JP,A)
【文献】特開昭60-018533(JP,A)
【文献】特開2018-172674(JP,A)
【文献】特表2018-502746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 5/18
B29C 48/08
B29C 48/21
B29C 44/00
B29C 48/16
B32B 27/32
B32B 27/00
E04B 1/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出発泡体層
と、
前記発泡体層の面上の共押出キャップ層であって、
15
~85質量%の
、エチレン/アクリル酸n-ブチル/一酸化炭素ターポリマー及び/又はエチレン/アクリル酸2-エチルヘキシル/一酸化炭素ターポリマーを含むケトン-エチレン-エステル(KEE)ターポリマー、及び
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出キャップ層
と、
前記共押出発泡体層と反対側の前記共押出キャップ層の面上のポリ塩化ビニル(PVC)層とを含む多層発泡構造体
であって、
前記共押出キャップ層と前記PVC層の間に、コロナ、プラズマ、又は化学的表面処理も、接着下塗剤も、接着剤も含まない、多層発泡構造体。
【請求項2】
前記共押出発泡体層は、2~15質量%のKEEを含む、請求項1に記載の多層発泡構造体。
【請求項3】
前記共押出発泡体層は、少なくとも70質量%の、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む、請求項1に記載の多層発泡構造体。
【請求項4】
前記発泡体層は、1~20質量%の量の添加剤を含む、請求項1に記載の多層発泡構造体。
【請求項5】
前記キャップ層は、1~8質量%の量の添加剤を含む、請求項1に記載の多層発泡構造体。
【請求項6】
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出発泡体層と、
前記発泡体層の面上の共押出キャップ層であって、
15
~85質量%の
、エチレン/アクリル酸n-ブチル/一酸化炭素ターポリマー及び/又はエチレン/アクリル酸2-エチルヘキシル/一酸化炭素ターポリマーを含むケトン-エチレン-エステル(KEE)ターポリマー、及び
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出キャップ層と
を含む多層発泡構造体;並びに
前記発泡体層と反対側の前記キャップ層の面上の積層
PVC層
を含む積層体
であって、
前記共押出キャップ層と前記積層PVC層の間に、コロナ、プラズマ、又は化学的表面処理も、接着下塗剤も、接着剤も含まない、積層体。
【請求項7】
前記積層
PVC層は、可撓性フィルム又はホイルである、請求項6に記載の積層体。
【請求項8】
前記積層
PVC層は、半可撓性又は剛性のボード、プランク、タイル、又は基材である、請求項6に記載の積層体。
【請求項9】
前記積層
PVC層は、未発泡であるか又は発泡化されている、請求項6に記載の積層体。
【請求項10】
前記共押出発泡体層は、2~15質量%のKEEを含む、請求項6に記載の積層体。
【請求項11】
前記共押出発泡体層は、少なくとも70質量%の、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む、請求項6に記載の積層体。
【請求項12】
前記発泡体層は、1~20質量%の量の添加剤を含む、請求項6に記載の積層体。
【請求項13】
PVC上部床層;
下張り床層;並びに
前記下張り床層と前記
PVC上部床層との間に配置された少なくとも1つの下敷き層であって、
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出発泡体層と、
15
~85質量%の
、エチレン/アクリル酸n-ブチル/一酸化炭素ターポリマー及び/又はエチレン/アクリル酸2-エチルヘキシル/一酸化炭素ターポリマーを含むケトン-エチレン-エステル(KEE)ターポリマー、及び
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せ
を含む、前記発泡体層の面上の共押出キャップ層と
を含む多層発泡構造体を含む少なくとも1つの下敷き層
を含む床材システム
であって、
前記PVC上部床層が、前記共押出発泡体層と反対側の前記共押出キャップ層の面上にあり、
前記共押出キャップ層と前記PVC上部床層の間に、コロナ、プラズマ、又は化学的表面処理も、接着下塗剤も、接着剤も含まない、床材システム。
【請求項14】
多層構造を形成するための方法であって、
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せ
化学発泡剤
を含む第1の層、並びに
15
~85質量%の
、エチレン/アクリル酸n-ブチル/一酸化炭素ターポリマー及び/又はエチレン/アクリル酸2-エチルヘキシル/一酸化炭素ターポリマーを含むケトン-エチレン-エステル(KEE)ターポリマー、及び
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せ
を含む、前記第1の層の面上の第2の層
を共押出しすること;
共押出しされた第1の層と反対側の共押出しされた第2の層の面上にポリ塩化ビニル(PVC)層を接合すること;
前記共押出しされた層に、電離放射線を照射すること;並びに
前記共押出しされ照射された層を発泡させること
を含
み、
前記多層構造が、前記共押出しされた第2の層と前記PVC層の間に、コロナ、プラズマ、又は化学的表面処理も、接着下塗剤も、接着剤も含まない、方法。
【請求項15】
前記第1の層は、2~15質量%のKEEを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の層は、少なくとも70質量%の、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の層は、1~20質量%の量の添加剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の層は、1~8質量%の量の添加剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の層中の化学発泡剤の量は、4~10質量%である、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記化学発泡剤は、アゾジカルボンアミドを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の層は、架橋剤を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の層中の架橋剤の量は、1~3質量%である、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月29日に出願された米国特許非仮出願第16/370,043号、及び2019年3月29日に出願された米国特許非仮出願第16/370,154号の優先権を主張するものである。これら文献の開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
技術分野
本開示は、KEE(ケトン-エチレン-エステル)ターポリマーキャップ層を有する多層発泡構造体に関する。より具体的には、本開示は、KEEキャップ層を含む、物理的に架橋された独立気泡連続多層発泡構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン発泡体は、これらに限定されないが、車両内装のトリム部品、屋根膜、及び床下敷き等、種々の応用に使用することができる。こうした種々の応用に使用する場合、ポリオレフィン発泡体を、ポリ塩化ビニル(PVC)表皮又はポリ塩化ビニル発泡体に接合させることができる。伝統的には、ポリオレフィン発泡体とポリ塩化ビニルの十分な接着を得るために、コロナ、プラズマ、又は化学薬品等の表面改質処理をポリオレフィン発泡体に施していた。その後、十分な接着を得るために、接着下塗剤及び/又は接着剤を表面改質ポリオレフィン発泡体に塗布していた。
しかしながら、ポリオレフィン発泡体の表面を改質し、続いて発泡体を下塗剤及び/又は接着剤でコーティングすることは、発泡体の製造と最終応用との間の追加の処理ステップである。これはコストを増加させる場合があり、それによりこのプロセスは商業目的には不経済なものになる可能性がある。加えて、特にコロナによるポリオレフィン表面改質は一過性である可能性もあり、処理された発泡体が、倉庫又は小売店での長期保管には好適ではない場合がある。
【発明の概要】
【0003】
ポリオレフィン発泡体層組成物をKEE(ケトン-エチレン-エステル)ターポリマーキャップ層と共に共押出しすることにより、(a)ポリオレフィン発泡体の表面をコロナ、プラズマ、又は化学薬品で処理して発泡体表面を改質すること、並びに(b)表面改質ポリオレフィン発泡体に接着下塗剤及び/又は接着剤を塗布することの両方に関連付けられる問題を克服することできることが発見された。KEEは、PVCとの混和性が高い(従って適合性が高い)ため、KEEキャップ層を有する共押出ポリオレフィン発泡体は、表面処理、下塗剤、及び/又は接着剤を必要とせずに、PVCと容易に熱接合することが予想される。加えて、コロナの場合とは異なり、KEEキャップ層には、倉庫又は小売店での長期保管により製品が下塗剤又は接着剤と接着し難くなるような「保管寿命」がない。
一部の実施形態では、多層発泡構造体が提供され、多層発泡構造体は、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出発泡体層、並びに発泡体層の面上の共押出キャップ層を含み、キャップ層は、少なくとも15質量%のケトン-エチレン-エステルターポリマー並びにポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む。一部の実施形態では、共押出発泡体層は、2~15質量%のKEEを含む。一部の実施形態では、共押出発泡体層は、少なくとも70質量%のポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む。一部の実施形態では、発泡体層は、1~20質量%の量の添加剤を含む。一部の実施形態では、キャップ層は、1~8質量%の量の添加剤を含む。一部の実施形態では、ポリプロピレンは、230℃で10分間当たり0.1~25グラムのメルトフローインデックスを有する。一部の実施形態では、ポリエチレンは、190℃で10分間当たり0.1~25グラムのメルトフローインデックスを有する。一部の実施形態では、多層発泡構造体の密度は、20~250kg/m3である。一部の実施形態では、多層発泡構造体は、20~75%の架橋度を有する。一部の実施形態では、多層発泡構造体は、0.05~1.0mmの平均独立気泡サイズを有する。一部の実施形態では、多層発泡構造体は、0.2~50mmの厚さを有する。
【0004】
一部の実施形態では、積層体が提供され、積層体は、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出発泡体層並びに発泡体層の面上の共押出キャップ層を含む多層発泡構造体であって、キャップ層は、少なくとも15質量%のKEE並びにポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む多層発泡構造体;並びに発泡体層の反対側のキャップ層の面上の積層体層を含む。一部の実施形態では、積層体層は、可撓性フィルム、ホイル、又は発泡体である。一部の実施形態では、積層体層は、半可撓性又は剛性のボード(board)、プランク(plank)、タイル、又は基材である。一部の実施形態では、積層体層は、PVC、KEE、又はPVC及びKEEのブレンドを含む。
【0005】
一部の実施形態では、多層構造を形成するための方法であって、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せ並びに化学発泡剤を含む第1の層;並びに少なくとも15質量%のケトン-エチレン-エステルターポリマー並びにポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む、第1の層の面上の第2の層を共押出しすること;共押出しされた層に電離放射線を照射すること;並びに照射され共押出しされた層を発泡させることを含む方法が提供される。一部の実施形態では、第1の層は、2~15質量%のKEEを含む。一部の実施形態では、第1の層は、少なくとも70質量%のポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む。一部の実施形態では、第1の層は、1~20質量%の量の添加剤を含む。一部の実施形態では、第2の層は、1~8質量%の量の添加剤を含む。一部の実施形態では、ポリプロピレンは、230℃で10分間当たり0.1~25グラムのメルトフローインデックスを有する。一部の実施形態では、ポリエチレンは、190℃で10分間当たり0.1~25グラムのメルトフローインデックスを有する。一部の実施形態では、第1の層中の化学発泡剤の量は、4~10質量%である。一部の実施形態では、化学発泡剤は、アゾジカルボンアミドを含む。一部の実施形態では、第1の層は、架橋剤を含む。一部の実施形態では、第1の層中の架橋剤の量は、1~3質量%である。一部の実施形態では、電離放射線は、アルファ、ベータ(電子線)、X線、ガンマ、及び中性子からなる群から選択される。一部の実施形態では、共押出しされた構造は、最大で4回に分けて照射される。一部の実施形態では、電離放射線は、加速電圧が200~1500kVの電子線である。一部の実施形態では、吸収電子線線量は、10~500kGyである。一部の実施形態では、電離放射線は、押出しされた構造を20~75%の架橋度に架橋する。一部の実施形態では、発泡は、照射された構造を、溶融塩及び放射ヒーター又は熱風オーブンで加熱することを含む。一部の実施形態では、多層発泡構造体は、20~250kg/m3の密度を有する。一部の実施形態では、多層発泡構造体は、0.05~1.0mmの平均独立気泡サイズを有する。一部の実施形態では、多層発泡構造体は、0.2~50mmの厚さを有する。
【0006】
本明細書における値又はパラメータの「約」への言及は、その値又はパラメータ自体に関するばらつきを含む(及び記述する)。例えば、「約X」を参照する記載は、「X」の記載を含む。加えて、値又はパラメータの文字列がその後に続く「未満」、「より大きい」、「多くても」、「少なくとも」、「以下」、「以上」、又は他の同様の語句への参照は、この語句が値又はパラメータの文字列の各値又はパラメータに適用されることを意味する。例えば、層が、約20質量%、約15質量%、又は約10質量%未満の化学発泡剤を有するという記述は、層中の化学発泡剤の質量パーセントが、約20質量%未満、約15質量%未満、又は約10質量%未満であってもよいことを意味することが意図される。
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかに別様であることを示さない限り、複数形も含むことが意図される。また、「及び/又は」という用語は、本明細書で使用される場合、関連列挙項目の1つ又は複数のありとあらゆる考え得る組合せを指し、それらを包含することが理解されるべきである。「含む(includes)」、「含むこと(including)」、「含む(comprises)」、及び/又は「含むこと(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、記述されている特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分、及び/又は単位の存在を特定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、成分、単位、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことが更に理解されるべきである。
【0007】
本明細書に記載の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「からなる」及び/又は「から本質的になる」ことを含むことが理解される。本明細書に記載の全ての方法、システム、組成物、及びデバイスの場合、方法、システム、組成物、及びデバイスは、列挙されている成分若しくはステップを含んでいてもよく、或いは列挙されている成分若しくはステップ「からなって」いてもよく又は「から本質的になって」いてもよい。システム、組成物、若しくはデバイスが、列挙されている成分から「本質的になる」と記載される場合、システム、組成物、若しくはデバイスは、列挙されている成分を含有し、システム、組成物、若しくはデバイスの性能に実質的に影響を及ぼさない、明示的に列挙されている成分以外の他の成分を含有してもよいが、システム、組成物、若しくはデバイスの性能に実質的に影響を及ぼすあらゆる他の成分を含有しないか、又はシステム、組成物、若しくはデバイスの性能に実質的に影響を及ぼすのに十分な濃度若しくは量の余分な成分を含有しないかのいずれかである。方法が、列挙されているステップから「本質的になる」と記載されている場合、方法は、列挙されているステップを含有し、方法の結果に実質的に影響を及ぼさない他のステップを含有してもよいが、方法は、方法の結果に実質的に影響を及ぼす、明示的に列挙されているステップ以外の他のステップを含有しない。
【0008】
本開示では、種々の実施形態における特定の構成成分、特定の組成物、特定の化合物、又は特定の成分を「実質的に含まない」とは、質量で約5%未満、約2%未満、約1%未満、約0.5%未満、約0.1%未満、約0.05%未満、約0.025%未満、又は約0.01%未満の特定の構成成分、特定の組成物、特定の化合物、又は特定の成分が存在することを意味する。好ましくは、特定の構成成分、特定の組成物、特定の化合物、又は特定の成分を「実質的に含まない」とは、質量で約1%未満の特定の構成成分、特定の組成物、特定の化合物、又は特定の成分が存在することを示す。
追加の利点は、当業者であれば、以下の詳細な説明から容易に明らかになるだろう。本明細書の例及び説明は、性質が例示であり、限定ではないとみなされるべきである。
添付の図を参照して、種々の実施形態が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】30×倍率及び45°の実施例1Aの一次表面(primary surface)の画像である。
【
図1B】30×倍率及び45°の実施例1Bの一次表面の画像である。
【
図2A】30×倍率及び45°の実施例2Aの一次表面の画像である。
【
図2B】30×倍率及び45°の実施例2Bの一次表面の画像である。
【
図3】30×倍率及び45°の実施例3の一次表面の画像である。
【
図4A】30×倍率及び45°の実施例4Aの一次表面の画像である。
【
図4B】30×倍率及び45°の実施例4Bの一次表面の画像である。
【
図5】30×倍率及び45°の実施例5の一次表面の画像である。
【
図6】30×倍率及び45°の実施例6の一次表面の画像である。
【
図7】30×倍率及び45°の実施例7の一次表面の画像である。
【
図8】30×倍率及び45°の実施例8の一次表面の画像である。
【
図9】30×倍率及び45°の実施例9の一次表面の画像である。
【
図10】30×倍率及び45°の実施例10の一次表面の画像である。
【
図11】30×倍率及び45°の実施例11の一次表面の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書には、KEEキャップ層を有する架橋独立気泡共押出ポリオレフィン発泡体、並びにKEEキャップ層を有する架橋独立気泡共押出ポリオレフィン発泡体を製造するための方法が記載されている。特に、ポリオレフィン発泡体層組成物をKEEキャップ層と共に共押出しすることにより、ポリオレフィン発泡体の表面をコロナ、プラズマ、又は化学薬品で処理すること、及び/又は接着下塗剤若しくは接着剤を表面改質ポリオレフィンフィルムに塗布することに関連付けられる問題を克服することができることが発見された。具体的には、本明細書で開示の構造は、ポリ塩化ビニルフィルム及びポリ塩化ビニル発泡体に容易に接合させることができ、保管寿命が長くなると共に製品が下塗剤及び接着剤に接着し難くなることを回避することができる。
KEEキャップ層(複数可)を有する架橋独立気泡共押出ポリオレフィン発泡体を生産するための方法は、(a)共押出しステップ、(b)照射ステップ;及び(c)発泡ステップを含んでいてもよい。
共押出しとは、複数層の材料を同時に押出すことである。このタイプの押出しは、2つ又はそれよりも多くの押出機を使用して、一定の容積スループットの材料を、材料を所望の形態に押出すことができる押出しヘッド(ダイ)へと送達することができる。共押出ステップでは、組成物を複数の押出機へと送給して、未発泡多層構造を形成することができる。例えば、「A」発泡体層組成物を1つの押出機に送給してもよく、「B」キャップ層組成物を第2の押出機に送給してもよい。成分を押出機へと送給するための方法は、押出機の設計及び利用可能な材料取扱い装置に基づいてもよい。必要に応じて、発泡体層組成物及びキャップ層組成物の成分を、押出機へと送給する前にブレンドし、それらの分散を容易にしてもよい。そのようなブレンドには、ヘンシェルミキサー(Henshel mixer)を使用することができる。全ての成分をブレンドして、押出機の単一ポートから送給してもよい。成分は、各成分毎に別々に指定されたポートから個別に送給してもよい。例えば、架橋促進剤又は任意の他の添加剤が液体である場合、促進剤及び/又は添加剤は、固形成分とブレンドする代わりに、押出機の送給ゲート(又は複数のゲート)から又は押出機のベント開口部(ベントが装備されている場合)から添加することができる。成分をブレンドすること及び個々の成分をポート送給することを組み合わせて使用してもよい。
【0011】
各押出機は、一定の量の各組成物を1つ又は複数のマニホールドに送達することができる。次いで、1つ又は複数のマニホールドからシートダイに送給して、未発泡共押出多層シートを作出することができる。材料を共押出しするための一般的な方法は2つ存在する:(1)フィードブロックマニホールド及び(2)ダイ内のマルチマニホールド。フィードブロックマニホールドの要素は、(a)上部層、中間層、及び下部層の入口ポート;(b)別々の流動流をフィードブロック内部の1つの積層メルト流へと導く流線型メルト積層領域;(c)フィードブロックとシートダイとの間のアダプタープレート;及び/又は(d)シートダイ(単層ダイと同様)を含んでいてもよく、積層メルト流は、ダイの中心に進入し、マニホールドに沿って広がり、別個の多層押出物としてダイ出口から流出する。マルチマニホールドダイの要素は、(a)1つよりも多くの送給チャネルが存在することを除いて単層ダイと同様であってもよく、(b)その各メルトチャネルは、流動制御用の独自のチョーカーバーを有してもよく、及び/又は(c)メルト流が、出口付近のダイ内部で収束し、別個の多層押出物として出現してもよい。
【0012】
本明細書で提供される多層構造の層厚は、マニホールド(複数可)及び/又はダイの設計により決定することができる。例えば、80/20フィードブロックマニホールドは、各押出機の速度及びサイズがそれに適合する場合、組成物をおよそ4:1比で送達することができる。例えば、50/50フィードブロックマニホールドは、各押出機の速度及びサイズがそれに適合する場合、組成物を1:1比で送達することができる。こうした比は、例えば、(a)各押出機に送給される材料の量;(b)1つの押出機と別の押出機との相対押出速度;(c)各押出機の相対サイズ;及び/又は(d)個々の層の組成(つまり、粘度)を変化させることにより変更することができる。
【0013】
全体的な多層シートの厚さは、全体的なダイギャップにより制御することができる。しかしながら、全体的な多層シートの厚さは、溶融多層押出物を延伸する(つまり、「引っ張る」)こと、及び/又は溶融多層押出物をニップに通して平坦化することにより調整することもできる。
本明細書に開示の多層構造は、異なる組成物で作られている少なくとも2つの層を含んでいてもよく、層の少なくとも1つは、KEE(ケトン-エチレン-エステル)ターポリマーを含んでいてもよい。加えて、多層構造は、発泡性又は発泡化組成物で作られている少なくとも1つの層を含んでいてもよい。一部の実施形態では、多層構造は、少なくとも1つの「A」ポリオレフィン発泡体層及び少なくとも1つの「B」KEEキャップ層を含んでいてもよい。また、一部の実施形態では、「B」KEEキャップ層は、ポリオレフィンを含んでいてもよい。また、一部の実施形態では、「A」ポリオレフィン発泡体層は、KEEを含んでいてもよい。また、一部の実施形態では、「B」KEEキャップ層は、発泡性であってもよく又は発泡化されていてもよい。
押出機へと送給される発泡性組成物は、少なくとも1つのポリプロピレン、少なくとも1つのポリエチレン、及び/又はそれらの組合せを含んでいてもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物は、多層化構造のポリオレフィン発泡体層(A)を形成することができる。一部の実施形態では、発泡体層組成物は、多層化構造のKEEキャップ層(B)を形成することができる。
【0014】
発泡性組成物のポリプロピレンは、弾性又は軟化成分を含んでいてもよい。弾性又は軟化成分は、典型的には、エチレン又はゴム成分であり、従って、これらに限定されないが、ポリプロピレン、耐衝撃改質ポリプロピレン、ポリプロピレン-エチレンコポリマー、耐衝撃改質ポリプロピレン-エチレンコポリマー、メタロセンポリプロピレン、メタロセンポリプロピレン-エチレンコポリマー、メタロセンポリプロピレンオレフィンブロックコポリマー(制御されたブロック配列を有する)、ポリプロピレンベースのポリオレフィンプラストマー、ポリプロピレンベースのポリオレフィンエラスト-プラストマー、ポリプロピレンベースのポリオレフィンエラストマー、ポリプロピレンベースの熱可塑性ポリオレフィンブレンド、及びポリプロピレンベースの熱可塑性エラストマーブレンドが挙げられる。更に、ポリプロピレンは、ポリエーテルアミンで改質されていてもよい。
発泡性組成物のポリエチレンとしては、これらに限定されないが、LDPE、LLDPE(ホモポリマー、ブテン又はヘキセン又はオクテンとのコポリマー、ブテン及び/又はヘキセン及び/又はオクテンとのターポリマー)、VLDPE(ホモポリマー、ブテン又はヘキセン又はオクテンとのコポリマー、ブテン及び/又はヘキセン及び/又はオクテンとのターポリマー)、VLLDPE(ホモポリマー、ブテン又はヘキセン又はオクテンとのコポリマー、ブテン及び/又はヘキセン及び/又はオクテンとのターポリマー)、HDPE、ポリエチレン-プロピレンコポリマー、メタロセンポリエチレン、メタロセンエチレン-プロピレンコポリマー、及びメタロセンポリエチレンオレフィンブロックコポリマー(制御されたブロック配列を有する)が挙げられ、これらはいずれも、グラフト適合化剤又はアセテート及び/若しくはエステル基を含むコポリマーを含んでいてもよい。
【0015】
また、押出機へと送給される発泡体層組成物は、少なくとも1つのKEEを含んでいてもよい。KEEは、ケトン-エチレン-エステルターポリマーを含む。1つの例は、エチレン/アクリル酸n-ブチル/一酸化炭素(E/nBA/CO)ターポリマーである。他の例としては、エチレン/酢酸ビニル/一酸化炭素(E/VA/CO)ターポリマー及びエチレン/アクリル酸2-エチルヘキシル/一酸化炭素(E/EHA/CO)ターポリマーが挙げられる。こうしたポリマーは、種々の短鎖分岐及びモノマー配列を呈することができる。
一部の実施形態では、発泡体層組成物中の少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は少なくとも1つのポリエチレンの量は、組成物の約70PPR%、約75PPR%、約80PPR%、約85PPR%、約90PPR%、又は約95PPR%以上であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物中の少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は少なくとも1つのポリエチレンの量は、組成物の約100PPR%、約95PPR%、約90PPR%、約85PPR%、約80PPR%、又は約75PPR%以下であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物中の少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は少なくとも1つのポリエチレンの量は、発泡体組成物の少なくとも約50質量%、約60質量%、約65質量%、約70質量%、約75質量%、約80質量%、約85質量%、又は約90質量%であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物中の少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は少なくとも1つのポリエチレンの量は、発泡体層組成物の約95質量%、約90質量%、約85質量%、約80質量%、約75質量%、約70質量%、約65質量%、又は約60質量%以下であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物中の少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は少なくとも1つのポリエチレンの量は、発泡体層組成物の約50~95質量%、約65~90質量%、約70~90質量%、又は約70~85質量%であってもよい。
【0016】
一部の実施形態では、KEEの量は、発泡体層組成物の約20PPR%、約15PPR%、約10PPR%、又は約5PPR%以下であってもよい。一部の実施形態では、KEEの量は、発泡体層組成物の約0.1PPR%、約1PPR%、約5PPR%、約10PPR%、又は約15PPR%以上であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物中のKEEの量は、発泡体層組成物の約20質量%、約15質量%、約10質量%、約5質量%、又は約1質量%以下であってもよい。一部の実施形態では、KEEの量は、発泡体層組成物の約0.1質量%、約1質量%、約5質量%、約10質量%、又は約15質量%以上であってもよい。一部の実施形態では、KEEの量は、発泡体層組成物の約0.1~20質量%、約1~15質量%、約2~10質量%、又は約3~5質量%であってもよい。
押出機へと送給されるキャップ層組成物は、少なくとも1つのKEE及び少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は少なくとも1つのポリエチレン(上記に記載の通りの、KEE、ポリプロピレン、及びポリエチレン)を含んでいてもよい。一部の実施形態では、キャップ層組成物は、多層構造のKEEキャップ層(B)を形成することができる。
一部の実施形態では、キャップ層組成物中のKEEの量は、キャップ層組成物の約15PPR%、約30PPR%、約40PPR%、約50PPR%、約60PPR%、約70PPR%、約80PPR%、又は約90PPR%以上であってもよい。一部の実施形態では、キャップ層組成物中のKEEの量は、キャップ層組成物の約100PPR%、約90PPR%、約80PPR%、約70PPR%、約60PPR%、約50PPR%、約40PPR%、又は約30PPR%以下であってもよい。一部の実施形態では、キャップ層組成物中のKEEは、キャップ層組成物の少なくとも約15質量%、約30質量%、約40質量%、約50質量%、約60質量%、約70質量%、約80質量%、約90質量%、又は約95質量%であってもよい。一部の実施形態では、キャップ層組成物中のKEEの量は、キャップ層組成物の約100質量%、約95質量%、約90質量%、約80質量%、約70質量%、約60質量%、約50質量%、約40質量%、又は約30質量%以下であってもよい。一部の実施形態では、キャップ層組成物中のKEEは、キャップ層組成物の約15~85質量%、約30~70質量%、又は約40~60質量%であってもよい。
【0017】
一部の実施形態では、キャップ層組成物中の少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は少なくとも1つのポリエチレンの量は、キャップ層組成物の約85PPR%、約70PPR%、約60PPR%、約50PPR%、約40PPR%、約30PPR%、約20PPR%、約15PPR%、又は約10PPR%以下であってもよい。一部の実施形態では、キャップ層組成物中の少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は少なくとも1つのポリエチレンの量は、キャップ層組成物の約5PPR%、約10PPR%、約15PPR%、約20PPR%、約30PPR%、約40PPR%、約50PPR%、約60PPR%、又は約70PPR%以上であってもよい。一部の実施形態では、キャップ層組成物中の少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は少なくとも1つのポリエチレンの量は、キャップ層組成物の約85質量%、約70質量%、約60質量%、約50質量%、約40質量%、約30質量%、約20質量%、約15質量%、又は約10質量%以下であってもよい。一部の実施形態では、キャップ層組成物中の少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は少なくとも1つのポリエチレンの量は、キャップ層組成物の約5質量%、約10質量%、約15質量%、約20質量%、約30質量%、約40質量%、約50質量%、約60質量%、又は約70質量%以上であってもよい。一部の実施形態では、キャップ層組成物中の少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は少なくとも1つのポリエチレンの量は、キャップ層組成物の約15~85質量%、約30~70質量%、又は約40~60質量%であってもよい。
【0018】
本開示の組成物を用いて広範囲の多層構造及び発泡体物品を作出することができるため、広範囲のポリプロピレン、ポリエチレン、及びKEEを組成物に使用して、種々のインプロセス製造要件及び商業的最終使用要件を満たすことができる。
市販のケトン-エチレン-エステル(KEE)ターポリマーの非限定的な例としては、これらに限定されないが、Dow Chemical Company社のELVALOY(登録商標)HPシリーズ(E/nBa/Coターポリマー)(例えば、ELVALOY(登録商標)HP441、ELVALOY(登録商標)HP641等)、並びにこれらもDow Chemical Company社製であるが、ELVALOY(登録商標)741、ELVALOY(登録商標)742、及びELVALOY(登録商標)4924(E/VA/COターポリマー)が挙げられる。
「ポリプロピレン」の非限定的な例は、アイソタクチックホモポリプロピレンである。市販の例としては、これらに限定されないが、Braskem社のFF018F、Total Petrochemicals社の3271、及びConoco社のCOPYLENE(商標)CH020が挙げられる。
【0019】
「耐衝撃改質ポリプロピレン」の非限定的な例としては、エチレン-プロピレン(EP)コポリマーゴムを有するホモポリプロピレンである。ゴムは、非晶質又は半結晶性であってもよいが、材料にいかなるプラストマー又はエラストマー特性を付与するのに十分な量ではない。市販の「耐衝撃改質ポリプロピレン」の少数の非限定的な例は、Braskem社のTI4003F及びTI4015F、並びにLyondellBasell社のPRO-FAX(登録商標)8623及びPRO-FAX(登録商標)SB786である。
「ポリプロピレン-エチレンコポリマー」は、ランダムエチレン単位を有するポリプロピレンである。市販の「ポリプロピレン-エチレンコポリマー」の少数の非限定的な例は、Total Petrochemicals社の6232、7250FL、及びZ9421、Braskem社の6D20及びDS6D81、並びにLyondellBasell社のPRO-FAX(登録商標)RP311H及びADSYL(商標)7415XCPである。
「耐衝撃改質ポリプロピレン-エチレンコポリマー」は、ランダムエチレン単位及びエチレン-プロピレン(EP)コポリマーゴムを有するポリプロピレンである。ゴムは、非晶質又は半結晶性であってもよいが、材料にいかなるプラストマー又はエラストマー特性を付与するのに十分な量ではない。市販の耐衝撃改質ポリプロピレン-エチレンコポリマーの非限定的な例は、Braskem社のPRISMA(登録商標)6910である。
【0020】
「メタロセンポリプロピレン」は、メタロセンシンジオタクチックホモポリプロピレン、メタロセンアタクチックホモポリプロピレン、及びメタロセンアイソタクチックホモポリプロピレンである。「メタロセンポリプロピレン」の非限定的な例は、LyondellBasell社のMETOCENE(商標)及びExxonMobil社のACHIEVE(商標)という商品名で市販されているものである。メタロセンポリプロピレンは、TotalPetrochemicals社からも市販されており、これらに限定されないが、グレードM3551、M3282MZ、M7672、1251、1471、1571、及び1751が挙げられる。
【0021】
「メタロセンポリプロピレン-エチレンコポリマー」は、ランダムエチレン単位を有するメタロセンシンジオタクチック、メタロセンアタクチック、及びメタロセンアイソタクチックポリプロピレンである。市販の例としては、これらに限定されないが、TotalPetrochemicals社のLumicene(登録商標)MR10MX0及びLumicene(登録商標)MR60MC2、並びにLyondellBasell社のPurell(登録商標)SM170Gが挙げられる。
「メタロセンポリプロピレンオレフィンブロックコポリマー」は、分布がランダムでない交互結晶性硬質「ブロック」及び非晶質軟質「ブロック」を有する、即ち制御されたブロック配列を有するポリプロピレンである。「メタロセンポリプロピレンオレフィンブロックコポリマー」の例としては、これらに限定されないが、Dow Chemical Company社のINTUNE(商標)製品ラインが挙げられる。
「ポリプロピレンベースのポリオレフィンプラストマー」(POP)及び「ポリプロピレンベースのポリオレフィンエラストプラストマー」は、プラストマー及びエラストプラストマー特性を有する、メタロセン及び非メタロセン両方のプロピレンベースのコポリマーである。非限定的な例は、Dow Chemical Company社のVERSIFY(商標)(メタロセン)、ExxonMobil社のVISTAMAXX(商標)(メタロセン)、及びLyondellBasell社のKOATTRO(商標)(非メタロセン)(プラストマーポリマーのブテン-1ベースの商品ライン。ある特定のグレードはブテン-1ホモポリマーベースであり、他のものはポリプロピレン-ブテン-1コポリマーベースの材料である)という商品名で市販されている。
【0022】
「ポリプロピレンベースのポリオレフィンエラストマー」(POE)は、エラストマー特性を有する、メタロセン及び非メタロセン両方のプロピレンベースのコポリマーである。プロピレンベースのポリオレフィンエラストマーの非限定的な例は、Dow Chemical Company社のVERSIFY(商標)(メタロセン)及びExxonMobil社のVISTAMAXX(商標)(メタロセン)という商品名で市販されているポリマーである。
「ポリプロピレンベースの熱可塑性ポリオレフィンブレンド」(TPO)は、ポリプロピレン、ポリプロピレン-エチレンコポリマー、メタロセンホモポリプロピレン、及びメタロセンポリプロピレン-エチレンコポリマーであり、これらは、熱可塑性ポリオレフィンブレンド(TPO)にプラストマー、エラストプラストマー、又はエラストマー特性を与えるのに十分な程度の量のエチレン-プロピレンコポリマーゴムを有する。ポリプロピレンベースのポリオレフィンブレンドポリマーの非限定的な例は、JSR Corporation社のEXCELINK(商標)、Mitsubishi Chemical Corporation社のTHERMORUN(商標)及びZELAS(商標)、LyondellBesell社のADFLEX(商標)及びSOFLEL(商標)、並びにTeknor Apex Company社のTELCAR(商標)という商品名で市販されているポリマーブレンドである。
「ポリプロピレンベースの熱可塑性エラストマーブレンド」(TPE)は、ポリプロピレン、ポリプロピレン-エチレンコポリマー、メタロセンホモポリプロピレン、及びメタロセンポリプロピレン-エチレンコポリマーであり、これらは、熱可塑性エラストマーブレンド(TPE)にプラストマー、エラストプラストマー、又はエラストマー特性を与えるのに十分な程度の量のジブロック又はマルチブロック熱可塑性ゴム改質剤(SEBS、SEPS、SEEPS、SEP、SERC、CEBC、及びHSB等)を有する。ポリプロピレンベースの熱可塑性エラストマーブレンドポリマーの非限定的な例は、PolyoneCorporation社のGLS(商標)DYNAFLEX(商標)及びGLS(商標)VERSAFLEX(商標)、Teknor Apex Company社のMONPRENE(登録商標)、並びにA.Schulman社のDURAGRIP(登録商標)という商品名で市販されているポリマーブレンドである。
【0023】
「VLDPE」及び「VLLDPE」は、弾性又は軟化成分、典型的にはブテン及び/又はヘキセン及び/又はオクテンのα-オレフィンを含む、非常に低密度のポリエチレン及び直鎖状で非常に低密度のポリエチレンである。VLDPE及びVLLDPEの非限定的な例は、Dow Chemical Company社の商品名FLEXOMER(商標)、及びBorealis社のSTAMYLEX(商標)の特定グレードが市販されている。
「LDPE」及び「LLDPE」は、それぞれ、低密度ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレンである。LDPE及びLLDPEの非限定的な例としては、少なくとも、ExxonMobil(商標)社(例えば、LLP8501.67)及びDow Chemical Company社(例えば、DFDA-7059 NT 7)により提供されているものが挙げられる。市販のLLDPEポリマーは、典型的には、ブテン及び/又はヘキセン及び/又はオクタンのα-オレフィンを含むコポリマーである。
「メタロセンポリエチレン」は、非弾性からエラストマーまでの範囲の特性を有するメタロセンベースのポリエチレンである。メタロセンポリエチレンの非限定的な例は、Dow Chemical Company Chemical Company社のENGAGE(商標)、ExxonMobil(商標)のENABLE(商標)及びEXCEED(商標)、並びにBorealis社のQUEO(商標)という商品名で市販されている。
「メタロセンポリエチレンオレフィンブロックコポリマー」は、分布がランダムでない交互結晶性ハード「ブロック」及び非晶質ソフト「ブロック」を有する、即ち制御されたブロック配列を有するポリエチレンである。「メタロセンポリエチレンオレフィンブロックコポリマー」の例としては、これに限定されないが、Dow Chemical Company Chemical Company社のINFUSE(商標)製品ラインが挙げられる。
【0024】
また、こうしたポリエチレンは、アセテート及び/又はエステル基を含むコポリマー及びターポリマーであってもよい。コモノマー基としては、これらに限定されないが、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、及びアクリル酸が挙げられる。非限定的な例は、Dow Chemical Company社のBYNEL(登録商標)、ELVAX(登録商標)、及びELVALOY(登録商標);Arkema社のEVATANE(登録商標)、LOTADER(登録商標)、及びLOTRYL(登録商標);ExxonMobil社のESCORENE(商標)、ESCOR(商標)、及びOPTEMA(商標)という商品名で市販されている。
上記に列挙されているポリプロピレン及びポリエチレンは、官能化されていてもよい。官能化ポリプロピレン及びポリエチレンとしては、グラフト化モノマーが挙げられる。典型的には、モノマーは、フリーラジカル反応によりポリプロピレン又はポリエチレンにグラフトされている。官能化ポリプロピレン及びポリエチレンの調製に好適なモノマーは、例えば、オレフィン性不飽和モノカルボン酸、例えばアクリル酸又はメタクリル酸、及び対応するtert-ブチルエステル、例えば(メタ)アクリル酸tert-ブチル、オレフィン性不飽和ジカルボン酸、例えばフマル酸、マレイン酸、及びイタコン酸、並びに対応するモノ-及び/又はジ-tert-ブチルエステル、例えばフマル酸モノ-又はジ-tert-ブチル及びマレイン酸モノ-又はジ-tert-ブチル、オレフィン性不飽和ジカルボン酸無水物、例えば無水マレイン酸、スルホ又はスルホニル含有オレフィン性不飽和モノマー、例えばp-スチレンスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロペンスルホン酸、又は(メタ)アクリル酸2-スルホニル、オキサゾリニル含有オレフィン性不飽和モノマー、例えばビニルオキサゾリン及びビニルオキサゾリン誘導体、並びにエポキシ含有オレフィン性不飽和モノマー、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル又はアリルグリシジルエーテルである。
【0025】
最も広く市販されている官能化ポリプロピレンは、無水マレイン酸で官能化されているものである。非限定的な例は、Mitsui Chemicals社のADMER(登録商標)QF及びQBシリーズ、LyondellBasell社のPLEXAR(登録商標)6000シリーズ、Dow Chemical Company社のBYNEL(登録商標)5000シリーズ、及びArkema社のOREVAC(登録商標)PPシリーズである。
【0026】
また、最も広くに市販されている官能化ポリエチレンは、無水マレイン酸で官能化されているものである。非限定的な例は、Mitsui Chemicals社のADMER(登録商標)NF及びSEシリーズ、LyondellBasell社のPLEXAR(登録商標)1000、2000、及び3000シリーズ、Dow Chemical Company社のBYNEL(登録商標)2100、3000、3800、3900、4000シリーズ、並びにArkemaのOREVAC(登録商標)PE、T、及びLOTADER(登録商標)シリーズの一部である。
他のグラフト化モノマーで官能化されているポリエチレンも市販されている。非限定的な例としては、Dow Chemical Company社のBYNEL(登録商標)1100、2200、及び3100シリーズ、及びArkemaのLOTADER(登録商標)AXシリーズが挙げられる。
無水マレイン酸で官能化されているポリプロピレン及びポリエチレン以外のポリマーも市販されていることに留意されたい。例えば、Addivant社のROYALTUF(登録商標)シリーズは、無水マレイン酸で官能化されているEPDMゴムのシリーズである。別の例では、Kraton社のKRATON(商標)FGシリーズは、無水マレイン酸で官能化されているSEBSポリマーのシリーズである。
【0027】
本明細書で提供される任意の発泡性層及び任意のキャップ層の組成物は、230℃で10分間当たり約0.1~約25グラムのメルトフローインデックスを有する少なくとも1つのポリプロピレン及び/又は190℃で10分間当たり約0.1~約25グラムのメルトフローインデックスを有する少なくとも1つのポリエチレンを含んでいてもよい。一部の実施形態では、ポリプロピレン(複数可)及び/又はポリエチレン(複数可)のメルトフローインデックスは、好ましくは、それぞれ230℃及び190℃で10分間当たり約0.3~約20グラム、より好ましくは、それぞれ約230℃及び190℃で10分間当たり約0.5~約15グラムである。ポリマーの「メルトフローインデックス」(MFI)値は、ASTM D1238に従って、ポリプロピレン及びポリプロピレンベースの材料の場合は230℃で、ポリエチレン及びポリエチレンベースの材料の場合は190℃で、2.16kgのプランジャーを使用して10分間にわたって画定及び測定される。比較的高いメルトフロー樹脂の場合、試験時間を短縮してもよい。
MFIは、ポリマーの流動特徴の尺度を提供し、ポリマー材料の分子量及び処理性の指標である。高いMFI値は、低い粘度に対応する。MFI値が高すぎると、本開示による押出しを十分に実施することができない。高すぎるMFI値に関連付けられる問題としては、押出し中の低圧力、厚さプロファイルの設定問題、低溶融粘度による不均一な冷却プロファイル、低溶融強度、及び/又は機械問題が挙げられる。逆に、低いMFI値は、高粘度に対応する。MFI値が低すぎると、溶融処理中の高圧、シート品質及びプロファイル問題、並びに発泡剤分解及び活性化のリスクを引き起こすより高い押出温度が引き起こされる可能性がある。
【0028】
上記のMFI範囲は、発泡に影響を及ぼす材料の粘度を反映することができるため、発泡プロセスにとっても重要である。いかなる理論にも束縛されないが、特定のMFI値がより効果的である理由は幾つかあると考えられる。より低いMFI材料は、分子鎖長が長くなると共に一部の物理的特性が向上し、応力を加えた際に鎖の流動に必要なエネルギーをより多く生み出すことができる。また、分子鎖(MW)が長いほど、鎖の結晶化が可能である結晶実体がより多くなるため、分子間結合により高い強度が提供される。しかしながら、MFIが低すぎると、粘度が高くなり過ぎる。一方で、より高いMFI値を有するポリマーは、より短い鎖を有する。従って、より高いMFI値を有する所与の容積の材料には、より低いMFIを有するポリマーと比べてより多くの鎖端が微視的レベルで存在し、それらは回転して、そのような回転(例えば、Tg、即ちポリマーのガラス転移温度よりも高い温度で生じる回転)には空間が必要であるため自由容積を生み出すことができる。それにより、自由容積が増加し、応力下での流動を容易にすることができる。
【0029】
また、ポリマーに加えて、押出機へと送給される組成物は、本開示の多層化構造の生産と適合性である添加剤を含んでいてもよい。一般的な添加剤としては、これらに限定されないが、有機過酸化物、酸化防止剤、潤滑剤、加工助剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、成核剤、可塑剤、抗微生物剤、殺真菌剤、光安定剤、UV吸収剤、ブロッキング防止剤、充填剤、脱臭剤、臭気吸着剤、防曇剤、揮発性有機化合物(VOC)吸着剤、半揮発性有機化合物(SVOC)吸着剤、増粘剤、気泡サイズ安定剤、金属不活化剤、及びそれらの組合せが挙げられる。好適な酸化防止剤パッケージとしては、Toray Industries,Inc.社が開発し、Techmer PMにより配合された標準酸化防止剤のブレンドであるPR023、及び/又はToray Plastics(America),Inc.社が調合し、Amfine Chemical社によりブレンドされた酸化防止剤のブレンドであるPR086が挙げられる。適切な加工助剤には、Techmer PM社のTPM11166を挙げることができる。好適な添加剤の追加の例としては、Techmer PM社のブラックコンセントレート(black concentrate)であるPM91399を挙げることができる。
【0030】
一部の実施形態では、発泡体層組成物及び/又はキャップ層組成物中の化学発泡剤(複数可)及び架橋促進剤(複数可)以外の添加剤(複数可)の量は、組成物の約20PPR%、約15PPR%、約10PPR%、約8PPR%、約6PPR%、約4PPR%、約2PPR%、又は約1PPR%以下であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物及び/又はキャップ層組成物中の化学発泡剤(複数可)及び架橋促進剤(複数可)以外の添加剤(複数可)の量は、組成物の約0.5PPR%、約1PPR%、約2PPR%、約4PPR%、約6PPR%、約8PPR%、約10PPR%、又は約15PPR%以上であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物及び/又はキャップ層組成物中の化学発泡剤(複数可)及び架橋促進剤(複数可)以外の添加剤(複数可)の量は、組成物の約0.5~20PPR%、約1~10PPR%、約1.5~5PPR%、又は約2~3PPR%であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物中の化学発泡剤(複数可)及び架橋促進剤(複数可)以外の添加剤(複数可)の量は、発泡体層組成物の約1~20質量%、約3~15質量%、約5~10質量%、又は約6~8質量%であってもよい。一部の実施形態では、キャップ層組成物中の化学発泡剤(複数可)及び架橋促進剤(複数可)以外の添加剤(複数可)の量は、キャップ層組成物の約0.5~10質量%、約1~6質量%、又は約1.5~5質量%であってもよい。
成分がどのように押出機へと送給されるかに関わりなく、押出機内での剪断力及び混合は、均質な層の生産に十分であり得る。共回転及び逆回転二軸スクリュー押出機は、押出機バレルを通して十分な剪断力及び混合を提供し、均一な特性を有する層を押し出すことができる。
【0031】
比エネルギーは、層の成分の押出し中に加えられる仕事量及び押出しプロセスの強度の指標である。比エネルギーは、押出機により処理されている材料に加えられるエネルギーであると規定され、1キログラム当たり換算で正規化されている。比エネルギーは、1時間当たりに送給されるキログラムの総材料当たりのキロワット単位の印加エネルギーで定量化される。比エネルギーは、以下の式に従って算出される。
【数1】
式中、
【数2】
比エネルギーは、押出機内の成分の剪断及び混合の量を定量化するために使用することができる。本明細書で開示の多層構造を形成するために使用される押出機は、少なくとも約0.100kW時/kg、好ましくは少なくとも約0.120kW時/kg、より好ましくは少なくとも約0.150kW時/kgの比エネルギーを生み出すことが可能であってもよい。
【0032】
任意の発泡性層は、化学発泡剤(CFA)を含んでいてもよい。任意の発泡性層の押出温度は、化学発泡剤の熱分解開始温度より少なくとも10℃低くてもよい。押出温度が発泡剤の熱分解温度を超えると、発泡剤が分解し、望ましくない「予備発泡」がもたらされることになる。任意のキャップ層の押出温度は、キャップ層に隣接する任意の発泡性層の化学発泡剤の熱分解開始温度より少なくとも10℃低くてもよい。キャップ層の押出温度が隣接層中の発泡剤の熱分解温度を超えると、隣接層中の発泡剤が分解し、この場合も望ましくない「予備発泡」がもたらされる場合がある。
発泡体層組成物は、様々な異なる化学発泡剤を含んでいてもよい。化学発泡剤の例としては、これらに限定されないが、アゾ化合物、ヒドラジン化合物、カルバジド、テトラゾール、ニトロソ化合物、及び炭酸塩が挙げられる。加えて、化学発泡剤は、単独で又は任意の組合せで使用することができる。一部の実施形態で使用することができる1つの化学発泡剤は、アゾジカルボンアミド(ADCA)である。化学発泡剤の例は、P.T.Lauten Otsuka Chemical社のUNIFOAM(登録商標)TC-18Iであり、これは、Biddle Sawyer Corporation社により輸入され、米国ではAzofoam(登録商標)TC-18Iとして販売されている。ADCAの熱分解は、典型的には、約190~230℃の温度で生じる。ADCAが押出機内で熱分解するのを防止するため、押出温度を190℃に又はそれ未満に維持してもよい。
【0033】
発泡体層組成物及び/又はキャップ層組成物中の化学発泡剤の量は、組成物の約30PPR%、約20PPR%、約15PPR%、約10PPR%、約8PPR%、又は約5PPR%以下であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物及び/又はキャップ層組成物中の化学発泡剤の量は、組成物の約1PPR%、約5PPR%、約10PPR%、約15PPR%、又は約20PPR%以上であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物及び/又はキャップ層組成物中の化学発泡剤の量は、組成物の約1~30PPR%、約2~20PPR%、約5~15PPR%、又は約6~10PPR%であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物中の化学発泡剤の量は、発泡体層組成物の約1~20質量%、約2~15質量%、約5~10質量%、又は約6~8質量%であってもよい。一部の実施形態では、キャップ層組成物中の化学発泡剤の量は、キャップ層組成物の約0.1~5質量%、約0.5~3質量%、又は約1~2質量%であってもよい。化学発泡剤の量は、とりわけ、未発泡シート厚、所望の発泡体厚、所望の発泡体密度、押し出される材料、架橋パーセンテージ、化学発泡剤のタイプ(異なる発泡剤は、著しく異なる量のガスを発生し得る)に依存する場合がある。
【0034】
化学発泡剤の上記で列挙されている量は、ADCAにのみ特異的である可能性があることに留意されたい。他の発泡剤は、CFAの質量当たり種々の量の容積ガスを生成することができ、それに応じて考慮することができる。例えば、ADCAを化学発泡剤p-トルエンスルホニルセミカルバジド(TSS)と比較すると、発泡性層が40PPHRのADCAを含む場合、発泡ステップ中にほぼ同じ量のガスを発生させるためには約63PPHRのTSSが必要とされることになる。
熱分解性発泡剤の分解温度と最も高い融点を有するポリマーの融点との差が大きい場合、発泡剤を分解するための触媒を使用してもよい。例示的な触媒としては、これらに限定されないが、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、グリセリン、及び尿素が挙げられる。押出しの下限温度は、最も高い融点を有するポリマーの融点であってもよい。押出温度が、最も高い融点を有するポリマーの溶融温度未満に低下すると、望ましくない「未溶融」が出現する。この下限温度未満で押し出された押出層は、発泡時に、不均一な厚さ、不均一な気泡構造、気泡崩壊のポケット、及び他の望ましくない属性を呈する場合がある。
【0035】
未発泡多層シートの押出しと発泡化多層シートの押出し(一般的に「押出発泡」と呼ばれる)とは大きく異なる。押出発泡は、物理的発泡剤、化学的発泡剤、又は物理的発泡剤及び化学的発泡剤の混合物を用いて実施することができる。物理的発泡剤は、ポリマー溶融物へと高圧で直接的に注入される無機及び有機ガス(窒素、二酸化炭素、ペンタン、ブタン等)であってもよい。ガスは、押出ダイを出る際にポリマー溶融物を成核及び膨張させ、発泡化ポリマーを作出することができる。以前に記載の例等の化学発泡剤は、分解温度で発熱的又は吸熱的に分解してガスを生成する固体であってもよい。化学発泡剤から発生する典型的なガスとしては、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア等が挙げられる。化学発泡剤を押出発泡するために、化学発泡剤をポリマー溶融物に分散させ、溶融物を、押出機及びダイ内にある間に化学発泡剤の分解温度を上回る温度に加熱してもよい。ポリマー溶融物が押出ダイを出る際に、発泡化ポリマーを作ることができる。
【0036】
発泡剤が、物理的、化学的、又は組合せであるか否かに関わりなく、典型的な押出発泡では、一次表面が両方とも、本開示の方法で生産される等価構造よりも著しく粗いポリマーシートが生成される。多数の応用では、多層(並びに単層)発泡体シートの表面プロファイルが重要であり得るため、押出発泡化シートは、そうした応用には使用できない場合がある。そうした応用では、フィルム、布地、繊維層、及び皮革への積層のし易さ;積層における接触面積のパーセンテージ;視覚的美観等の、所望の特性を得るために滑らかな発泡体表面が必要となる場合がある。参照によりその全体が本明細書に組み込まれる国際公開第2016109544号パンフレットには、押出発泡化ポリマーシートと、本開示の方法により生産された等価な発泡化ポリマーシートとの間の表面粗さの違いを示す例が含まれている。
押出発泡化物品のより粗い表面は、一般に、より大きなサイズの気泡(本開示に従って生産される発泡体と比較して)により引き起こされる場合がある。気泡サイズ及び気泡サイズ分布は、ほとんどの商業応用ではそれほど重要ではない場合があるが、表面粗さは気泡サイズの関数であるため、滑らかな発泡体表面を必要とする応用では、より大きな気泡を有する発泡体は、より小さな気泡を有する発泡体よりも望ましくない場合がある。
【0037】
未発泡共押出多層構造の厚さは、約0.1~約30mm、約0.2~約25mm、約0.3~約20mm、又は約0.4~約15mmであってもよい。任意の個々のA層又はB層は、少なくとも約0.05mm、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.15mm、又は少なくとも約0.2mmの厚さを有してもよい。任意の個々のA層又はB層は、約0.2mm、約0.15mm、又は約0.10mm以下の厚さを有してもよい。一部の実施形態では、未発泡共押出多層構造のキャップ層は、約0.1~300ミクロン、約25~200ミクロン、又は約30~175ミクロンの厚さを有してもよい。一部の実施形態では、未発泡共押出多層構造のキャップ層は、300ミクロン未満、250ミクロン未満、200ミクロン未満、175ミクロン未満、150ミクロン未満、125ミクロン未満、100ミクロン未満、90ミクロン未満、80ミクロン未満、70ミクロン未満、60ミクロン未満、50ミクロン未満、40ミクロン未満、30ミクロン未満、20ミクロン未満、10ミクロン未満、5ミクロン未満、又は1ミクロン未満の厚さを有してもよい。一部の実施形態では、未発泡共押出多層構造のキャップ層は、1ミクロンよりも厚い、5ミクロンよりも厚い、10ミクロンよりも厚い、20ミクロンよりも厚い、30ミクロンよりも厚い、40ミクロンよりも厚い、50ミクロンよりも厚い、60ミクロンよりも厚い、70ミクロンよりも厚い、80ミクロンよりも厚い、90ミクロンよりも厚い、100ミクロンよりも厚い、125ミクロンよりも厚い、150ミクロンよりも厚い、175ミクロンよりも厚い、200ミクロンよりも厚い、又は250ミクロンよりも厚い厚さを有してもよい。未発泡キャップの厚さは、未発泡共押出多層化シート全体と比べてどれだけ薄くてもよいかには制限はなく、約0.1μmという薄さであってもよく、又は多層化可撓性包装及び障壁フィルムに使用される非常に薄い結合層の典型的な厚さであってもよい。一部の実施形態では、未発泡共押出多層構造の発泡体層は、約0.1~5mm、約0.5~3mm、約1~2mm、又は約1~1.5mmの厚さを有してもよい。一部の実施形態では、未発泡共押出多層構造の発泡体層は、約5mm、約3mm、約2mm、約1.5mm、約1mm、又は約0.5mm以下の厚さを有してもよい。一部の実施形態では、未発泡共押出多層構造の発泡体層は、約0.1mm、約0.5mm、約1mm、約1.5mm、約2mm、又は約3mm以上の厚さを有してもよい。
【0038】
キャップ層を発泡させることが意図されていないか又はわずかに発泡させるだけである場合、キャップは、発泡ステップ中の発泡性層(複数可)の膨張を著しく妨げないように、薄くて溶融時に追従が容易であってもよい。他の層(複数可)の発泡膨張を妨げる可能性のある多数の物理的特性の中には、キャップの厚さ、可撓性、溶融強度、及び架橋パーセンテージがある。同様に、発泡性層(複数可)の厚さ、可撓性、溶融強度、及び架橋パーセンテージ、並びに発泡化層(複数可)の最終的な厚さ及び密度も、キャップが発泡性層の膨張を阻害するか否かの要因である。最大キャップ厚の基本的指針としては、共押出未発泡シート全体の約20%、約15%、約10%、又は約5%以下であるべきである。キャップ厚が、共押出未発泡シート全体の約20%よりも厚いと、多層化シートを加熱及び発泡させる際に、多層化シートが湾曲、折込、及びそれ自体に対して折り畳んでしまうという問題が生じる場合がある。
共押出シートの生産後(例えば、2つの押出機により)、押出多層化シートを、所与の照射線量の電離放射線の照射に供して多層化シートの組成物を架橋し、それにより照射架橋多層構造を得ることができる。電離放射線は、ポリプロピレン(複数可)、ポリプロピレンベースの材料、一部のポリエチレン(複数可)、及び一部のポリエチレンベースの材料では、十分な架橋度を生成することができないことが多い。従って、押出機へと送給される組成物に架橋促進剤を添加して、架橋を促進してもよい。電離放射線により架橋されたポリマーは、一般的に「物理的に架橋された」と呼ばれる。
【0039】
「物理的」架橋と「化学的」架橋を区別することが重要である。化学架橋では、架橋は、架橋促進剤により発生するが、電離放射線は使用されない。化学的架橋は、典型的には、過酸化物、シラン、又はビニルシランを使用することを含む。過酸化物架橋プロセスでは、架橋は、典型的には押出ダイで生じる。シラン及びビニルシラン架橋プロセスの場合、架橋は、典型的には、押出された材料の架橋が熱及び水分により加速される二次操作において押出し後に生じる。化学的架橋方法に関わりなく、化学的に架橋された発泡体シートは、典型的には、本開示の方法で生産される等価な構造よりも著しく粗い一次表面を呈する。多数の応用では、多層(並びに単層)発泡体シートの表面プロファイルが重要であり得るため、化学的に架橋された発泡体シートは、そうした応用には使用できない場合がある。そうした応用では、フィルム、布地、繊維層、及び皮革への積層のし易さ;積層における接触面積のパーセンテージ;視覚的美観等の、所望の特性を得るために滑らかな発泡体表面が必要とされる場合がある。国際公開第2016109544号パンフレットには、化学的に架橋された発泡化ポリマーシートと、本開示の方法により生産される等価な発泡化ポリマーシートとの間の表面粗さの違いを示す例が含まれている。
化学的に架橋された発泡化物品のより粗い表面は、一般に、より大きなサイズの気泡により引き起こされる場合がある(本開示に従って生産される発泡体と比較して)。気泡サイズ及びサイズ分布はほとんどの商業応用では重要ではないが、表面粗さは気泡サイズの関数であるため、滑らかな発泡体表面を必要とする応用では、より大きな気泡を有する発泡体は、より小さな気泡を有する発泡体よりも望ましくない場合がある。
【0040】
電離放射線の例としては、これらに限定されないが、アルファ、ベータ(電子線)、X線、ガンマ、及び中性子が挙げられる。それらの中でも、均一なエネルギーを有する電子線を使用して、架橋ポリオレフィン発泡体/KEEキャップ構造を調製することができる。電子線照射時の曝露時間、照射頻度、及び加速電圧は、意図されている架橋度及び多層化構造の厚さに応じて幅広く様々であってもよい。しかしながら、電離放射線は、一般に、約10~約500kGy、約20~約300kGy、又は約20~約200kGyの範囲であってもよい。照射線量が低すぎると、発泡時に気泡安定性が維持されない場合がある。照射線量が高すぎると、得られる多層化発泡構造体の成形性が不良となる場合がある。多層化発泡体シートを熱成形応用に使用する場合、成形性は望まれる特性である。また、未発泡シートは、電子線放射への曝露時に発熱性熱放出により軟化する場合があり、そのため、照射線量が高すぎると構造が変形する可能性がある。加えて、ポリマー成分は、過度のポリマー鎖切断により劣化する場合もある。
【0041】
共押出未発泡多層化シートは、最大で4回に分けて、好ましくは2回以下、より好ましくは1回のみ照射してもよい。照射頻度が約4回よりも多い場合、ポリマー成分が劣化を被る場合があり、そのため発泡時に、例えば、得られる発泡体層(複数可)に均一な気泡が作出されない。押出構造の厚さが約4mmよりも大きい場合、多層化プロファイルの各一次表面に電離放射線を照射して、一次表面(複数可)と内部層との架橋度をより均一にすることが好ましい場合がある。
電子線の照射は、電子の加速電圧を制御することにより種々の厚さを有する共押出シートを効果的に架橋することができるという利点を提供する。加速電圧は、一般に、約200~約1500kV、約400~約1200kV、又は約600~約1000kVの範囲であってもよい。加速電圧が約200kV未満の場合、放射線は、共押出シートの内部部分に到達しない場合がある。その結果、内部部分の気泡が粗くなり、発泡時に不均一となる可能性がある。加えて、所与の厚さプロファイルのための加速電圧が低すぎると、アーク放電が引き起こされ、発泡化構造に「ピンホール」又は「トンネル」がもたらされる可能性がある。一方で、加速電圧が約1500kVよりも大きいと、ポリマーが劣化する場合がある。一部の実施形態では、放射線源は、照射中に共押出未発泡多層シートのB層に対向していてもよい。一部の実施形態では、放射線源は、照射中に共押出未発泡多層シートのA層に対向していてもよい。
【0042】
選択した電離放射線のタイプに関わりなく、架橋は、「東レゲル画分パーセンテージ法(Toray Gel Fraction Percentage Method)」で測定して、押出構造の組成が約20~約75%又は約30~約60%架橋されるように実施される。「東レゲル画分パーセンテージ法」によると、テトラリン溶媒を使用して、組成物中の非架橋成分を溶解させる。原理的には、非架橋材料をテトラリンに溶解させ、架橋度を、組成物全体における架橋材料の質量パーセンテージとして表す。ポリマー架橋のパーセントを決定するために使用される装置としては、100メッシュ(0.0114cm(0.0045インチ)ワイヤ直径);304タイプのステンレス鋼バッグ;番線及びクリップ;Miyamoto恒温油浴装置;化学天秤;ドラフト;ガスバーナー;高温オーブン;帯電防止銃;並びに3つの3.5リットル蓋付き広口ステンレス鋼容器が挙げられる。使用される試薬及び材料としては、テトラリン高分子量溶媒、アセトン、及びシリコーンオイルが挙げられる。具体的には、空のワイヤメッシュバッグを秤量し、その質量を記録する。各試料について、100ミリグラム±5ミリグラムの試料を秤取し、ワイヤメッシュバッグに移す。ワイヤメッシュバッグ及び試料の質量を記録する。試料は、典型的には薄くスライスした発泡体切断物の形態である。各バッグを、対応する番手のワイヤ及びクリップに取り付ける。溶媒温度が130℃に達したら、束にしたもの(バッグ及び試料)を溶媒に浸漬する。試料を上下に約5~6回振ってあらゆる空気の泡を消失させ、試料を完全に湿潤させる。試料を撹拌機に取り付け、溶媒が発泡体を溶解することができるように三(3)時間撹拌する。次いで、試料をドラフト内で冷却する。第1の(primary)アセトンの容器内で試料を約7~8回上下に振ることにより洗浄する。試料を、第2のアセトン洗浄で2回洗浄する。洗浄した試料を、上記と同様に、新しいアセトンの第3の容器内でもう一回洗浄する。次いで、試料をドラフト内に懸下して、アセトンを約1~約5分間蒸発させる。次いで、試料を120℃の乾燥オーブンで約1時間乾燥させる。試料を最低でも約15分間冷却する。ワイヤメッシュバッグを化学天秤で秤量し、質量を記録する。次いで、式100*(C-A)/(B-A)を使用して架橋度を算出する。式中、A=空のワイヤメッシュバッグ質量、B=ワイヤバッグ質量+テトラリン浸漬前の発泡体試料、及びC=ワイヤバッグ質量+テトラリン浸漬後の溶解試料である。
【0043】
好適な架橋促進剤としては、これらに限定されないが、市販の二官能性、三官能性、四官能性、五官能性、及びより高次官能性モノマーが挙げられる。そのような架橋モノマーは、液体、固体、ペレット、及び粉末の形態で入手可能である。例としては、これらに限定されないが、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、及び1,10-デカンジオールジメタクリレート等のアクリレート又はメタクリレート;カルボン酸のアリルエステル(トリメリト酸トリアリルエステル、ピロメリト酸トリアリルエステル、及びシュウ酸ジアリルエステル等);シアヌル酸トリアリル及びイソシアヌル酸トリアリル等のシアヌル酸又はイソシアヌル酸のアリルエステル;N-フェニルマレイミド及びN,N’-m-フェニレンビスマレイミド等のマレイミド化合物;フタル酸ジプロパギル及びマレイン酸ジプロパギル等の、少なくとも2つの三重結合を有する化合物;並びにジビニルベンゼンが挙げられる。加えて、そのような架橋促進剤は、単独で又は任意の組合せで使用することができる。本開示では、二官能性液体架橋モノマーであるジビニルベンゼン(DVB)を架橋促進剤として使用することができる。例えば、好適な市販のDVBは、Dow Chemical Company社のDVB HPを含んでいてもよい。
【0044】
発泡体層組成物及び/又はキャップ層組成物中の架橋促進剤の量は、組成物の約5PPR%、約4PPR%、約3PPR%、約2.5PPR%、約2PPR%、約1.5PPR%、又は約1PPR%以下であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物及び/又はキャップ層組成物中の架橋促進剤の量は、組成物の約0.5PPR%、約1PPR%、約1.5PPR%、約2PPR%、約2.5PPR%、約3PPR%、又は約4PPR%以上であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物及び/又はキャップ層組成物中の架橋促進剤の量は、組成物の約0.1~5PPR%、約0.5~3PPR%、約1~3PPR%、又は約2~3PPR%であってもよい。一部の実施形態では、発泡体層組成物中の架橋促進剤の量は、発泡体層組成物の約0.5~5質量%又は約1~3質量%であってもよい。
架橋促進剤の上記に列挙されている量は、DVBにのみ特異的である可能性があることに留意されたい。他の架橋促進剤は、DVBよりも架橋効率が高い場合もあり又は低い場合もある。従って、別の架橋促進剤の必要量は、それに応じて考慮されるべきである。架橋促進剤は、電離放射線線量、架橋されるポリマー、モノマーの化学構造、モノマーの官能基数、及びモノマーが液体であるか又は粉末であるかに基づき、架橋効率が様々であってもよい。
【0045】
架橋は、様々な異なる技法を使用して発生させることができ、異なるポリマー分子間の分子間、及び単一ポリマー分子の部分間の分子内の両方に形成することができる。そのような技法としては、これらに限定されないが、ポリマー鎖とは別の架橋促進剤を提供すること、及び架橋を形成することができるか又は活性化して架橋を形成することができる官能基を含む架橋促進剤が組み込まれたポリマー鎖を提供することが挙げられる。
共押出シートの照射後、架橋多層化シートを、熱分解性起泡剤の分解温度よりも高い温度に加熱することにより、発泡を達成することができる。発泡は、約200~260℃又は約220~240℃において連続プロセスで実施することができる。連続発泡体シートを生産する場合、バッチプロセスよりも連続発泡プロセスが好ましい場合がある。
発泡は、典型的には、架橋多層化シートを、溶融塩、放射ヒーター、垂直若しくは水平熱風オーブン、マイクロ波エネルギー、又はこうした方法を組み合わせて加熱することにより実施することができる。また、例えば、オートクレーブ内で窒素を使用する含浸プロセスに続いて、溶融塩、放射ヒーター、垂直若しくは水平熱風オーブン、マイクロ波エネルギー、又はこうした方法の組合せにより自由発泡させて、発泡を実施してもよい。任意選択で、発泡前に、架橋多層化シートを予熱して軟化させてもよい。これにより、特に厚くて硬いシートの場合、発泡時の構造膨張の安定化を支援することができる。
【0046】
多層化発泡体シートの密度は、JIS K6767で測定される「コア」密度ではなく、断面密度又は「全体」密度を使用して画定及び測定することができる。上記に記載の方法を使用して生産される多層化発泡体シートは、断面又は「全体」密度が約20~250kg/m3、約30~200kg/m3、又は約50~150kg/m3の発泡体を産出することができる。断面密度は、起泡剤の量及び押出構造の厚さにより制御することができる。多層化発泡体シートの密度が、約20kg/m3未満の場合、密度を達成するために大量の化学起泡剤が必要になるため、シートが効率的に発泡しない場合がある。加えて、シートの密度が約20kg/m3未満の場合、発泡ステップ中のシートの膨張を制御することが次第に困難となる場合がある。更に、多層化発泡体シートの密度が約20kg/m3未満である場合、発泡体は次第に気泡崩壊し易くなる場合がある。従って、約20kg/m3未満の密度では、均一な断面密度及び厚さの多層化発泡体シートを生産することは困難である可能性がある。
多層化発泡体シートは、約250kg/m3の断面密度に限定されない。約350kg/m3、約450kg/m3、又は約550kg/m3の断面密度を有する発泡体も生産することができる。しかしながら、所与の応用で使用することができる他の材料と比較した場合、より高い密度は一般に法外な費用がかかる可能性があるため、発泡体シートは、約250kg/m3未満の密度を有することが好ましい場合がある。
【0047】
上記の方法を使用して生産される発泡体層は、独立気泡を有してもよい。好ましくは、気泡の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは98%よりも多くは、損傷を受けていない気泡壁を有する。平均気泡サイズは、約0.05~約1.0mm、好ましくは約0.1~約0.7mmであってもよい。平均気泡サイズが約0.05mm未満の場合、発泡構造体の密度は、典型的には250kg/m3よりも高くなる可能性がある。平均気泡サイズが1mmよりも大きい場合、発泡体は不均一な表面を有する可能性がある。発泡体の気泡集団が好ましい平均気泡サイズを有していない場合、発泡構造体が引き裂かれる可能性もあるため望ましくない。これは、発泡構造体が引き伸ばされる際に、又はその部分が二次プロセスに供される際に生じる可能性がある。発泡体層(複数可)の気泡サイズは、発泡構造体のコアにある比較的丸い気泡集団と、発泡構造体の表面付近の表皮の比較的平坦で、薄く、及び/又は細長い気泡集団とを表す二峰性分布を示す場合がある。
【0048】
多層化ポリオレフィン発泡体/KEEキャップシートの全体的厚さは、約0.2mm~約50mm、約0.4mm~約40mm、約0.6mm~約30mm、又は約0.8mm~約20mmであってもよい。厚さが約0.2mm未満の場合、一次表面(複数可)からのガス損失が著しいため、発泡が効率的でない場合がある。厚さが約50mmよりも厚くなると、発泡ステップ中の膨張を制御することが次第に困難となる場合がある。従って、均一な断面密度及び厚さを有する多層化ポリオレフィン発泡体/KEEキャップシートを生産することは次第により困難となる可能性がある。一部の実施形態では、発泡化共押出多層構造のキャップ層は、約0.1~100ミクロン、約1~100ミクロン、又は約5~75ミクロンの厚さを有してもよい。一部の実施形態では、発泡化共押出多層構造の発泡体層は、約0.1~5mm、約0.5~5mm、約1~5mm、約2~5mm、又は約2~4mmの厚さを有してもよい。
一部の実施形態では、所望の厚さは、スライス、スカイビング、又は接合等の二次加工により得ることができる。スライス、スカイビング、又は接合により、約0.1mm~約100mmの厚さ範囲を生産ことができる。
発泡させないか又は軽く発泡させることが意図されているキャップ層(複数可)の場合、多層化シートの発泡時にキャップ層の厚さを低減させることができる。これは、発泡性層(複数可)が膨張し、結果的にキャップ層(複数可)が引き伸ばされるためである可能性がある。従って、例えば、多層化シートが元の面積の2倍に膨張する場合、キャップ厚は約半分になると予想することができる。多層化シートが元の面積の4倍に膨張する場合、キャップ厚は、元の厚さの約4分の1に低減されると予想することができる。
【0049】
本開示の多層化ポリオレフィン発泡体/KEEキャップシートは、PVCへの接着が必要とされる応用に使用することができる。PVCは、可撓性のフィルム、ホイル、又は発泡体であってもよい。また、PVCは、半可撓性又は剛性のボード、プランク、タイル、又は基材であってもよい。ボード、プランク、タイル、又は基材は、中実であってもよく又は発泡体であってもよい。重要なことには、PVCは、多層化構造の表面層であってもよい。
【0050】
一部の実施形態では、多層発泡構造体は、多層発泡体及び可撓性積層体層を含む積層体である。好ましくは、積層体層は、多層発泡体のKEEキャップ側に施すことができる。こうした積層体では、多層発泡構造体は、例えば、フィルム、ホイル、又は発泡体と組み合わせることができる。そのような積層体層に好適な材料の例としては、これらに限定されないが、可撓性PVCフィルム、可撓性PVCホイル、及び可撓性PVC発泡体が挙げられる。そのような層は、当業者に周知の標準技法を使用して製造することができる。重要なことには、本開示の多層発泡体は、こうした材料で片面又は両面が積層されていてもよく、複数の他の層を含んでいてもよい。多層発泡体の両面に積層がなされている場合、好ましくは、そうした積層体層は、多層発泡体のKEEキャップ層に施されていてもよい。
多層発泡構造体(又は多層化発泡構造体を含む積層体)は熱成形することもできる。多層発泡構造体又は積層体を熱成形するために、多層発泡体/KEEキャップ構造の層全てのブレンドの融点まで、発泡体を加熱してもよい。いずれかの層が非混和性ポリマーを有する場合、多層発泡構造体は、1つよりも多くの融点を呈する場合がある。その場合、多層発泡構造体は、典型的には、発泡体が多層発泡体層組成物の最も低い融点と最も高い融点との間の温度に加熱する場合に、熱成形することができる。加えて、多層発泡構造体は、硬質ポリプロピレン、ABS、又は木質繊維複合材等の基材上に熱成形することができる。熱活性化接着剤を使用して、多層発泡体/KEEキャップ構造のキャップ側又は非キャップ側への基材の接合を向上させることができる。積層体の場合、積層体層は、基材の反対側にあってもよい(例えば、積層体層が保護及び/又は装飾目的である場合)。また、多層発泡構造体と同時に基材自体を熱成形してもよい。
【0051】
一部の実施形態では、多層発泡構造体又は積層体(熱成形されていてもよく、又はされなくてもよい)は、ドアパネル、ドアロール、ドアインサート、ドアスタッファー、トランクスタッファー、アームレスト、センターコンソール、シートクッション、シートバック、ヘッドレスト、シートバックパネル、インストルメントパネル、ニーボルスター、又はヘッドライナー等の自動車内装部品に使用することができる。こうした多層発泡構造体又は積層体(熱成形されていてもよく、又はされなくてもよい)は、椅子クッション、椅子背もたれ、ソファクッション、ソファトリム、リクライニングチェアクッション、リクライニングチェアトリム、カウチクッション、カウチトリム、スリーパークッション、又はスリーパートリム等の家具(例えば、商業用、事務所用、住宅用の家具)にも使用することができる。こうした多層発泡積層体又は構造体は、モジュール式壁、移動型壁、壁パネル、モジュール式パネル、事務所システムパネル、間仕切り、又は可搬型仕切り等の壁にも使用することができる。多層発泡積層体又は構造は、可動式又は固定式のいずれであってもよい収納ケース(例えば、商業用、事務所用、及び住宅用)にも使用することができる。更に、多層発泡積層体及び構造(熱成形されていてもよく、又はされなくてもよい)は、椅子クッションカバー、椅子背もたれカバー、アームレストカバー、ソファカバー、ソファクッションカバー、リクライニングチェアークッションカバー、リクライニングチェアカバー、カウチクッションカバー、カウチカバー、スリーパークッションカバー、スリーパーカバー、壁カバー、及び建築用カバー等のカバーにも使用することができる。
【0052】
一部の実施形態では、多層発泡構造体又は積層体は、屋根膜として及び屋根防水材として使用することができる。積層体の場合:PVC、KEE、及びPVC/KEEブレンドは、多層発泡構造体に対する積層体層として好適である。多層発泡構造体のKEEキャップ層は、積層体層に対向していてもよい。
一部の実施形態では、多層発泡構造体は、多層発泡体及び非可撓性積層体層を含む積層体である。好ましくは、多層発泡体は、KEEキャップ側が積層体層に施されていてもよい。そうした積層体では、多層発泡構造体は、例えば、ボード、プランク、タイル、又は基材と組み合わせることができる。ボード、プランク、タイル、又は基材は、発泡体であってもよい。そのような層は、当業者に周知の標準技法を使用して製造することができる。重要なことには、本開示の多層発泡体は、こうした材料で片面又は両面が積層されていてもよく、複数の他の層を含んでいてもよい。多層発泡体の両面が積層されている場合、好ましくは、そうした積層体層は、多層発泡体のキャップ層に施すことができる。
【0053】
一部の実施形態は、本開示の多層発泡構造体の第1の層と、床用又は壁用のビニル床タイル又は木材-PVC複合材のいずれかで構成される第2の層とを含む。こうした積層体では、第1の層は、溶融接合により隣接するタイル又は複合材に連結させることができる。好ましくは、多層発泡構造体のKEEキャップ層は、第2の層に面する第1の層の側にあってもよい。
ビニル床タイル又は木材-PVC複合材に取り付けられた多層発泡体は、幾つかの目的に役目を果たすことができる。発泡体は、パネルが衝撃を受けた際に、例えばブーツ又はハイヒール靴を履いてパネルの上を歩く際に、反射音圧レベルを低減させることができる。発泡体は、パネルと下張り床(合板、配向性ストランドボード(OSB)、コンクリート等)との間の水蒸気障壁として機能することもでき、下張り床のあらゆる凹凸、隆起、又は突起(例えば、突き出た釘頭)が、発泡体により緩衝されることになるため、複数のパネル間でより均一な敷設の提供を支援することができる。こうしたタイル及び複合材は、一般的に、住居用住宅、オフィスビル、及び他の商業ビルに設置される。
【0054】
上記の応用のいずれかの要件を満たすために、本開示の開示された構造は、これらに限定されないが、エンボス加工、コロナ又はプラズマ処理、表面粗化、表面平滑化、穿孔又は微小穿孔、重ね継ぎ(splicing)、スライス、スカイビング、層化、接合、及び孔抜を含む、種々の二次加工に供することができる。
【実施例】
【0055】
実施例の原材料
以下の表1には、以下の実施例で使用した種々の成分のリスト及びそうした成分の説明が提供されている。
【表1】
【0056】
実施例の変換プロセス
以下の表2は、実施例1~11の調合物を提供する。
【表2】
【0057】
以下の表3は、実施例1~11の多層構造の共押出し、照射、及び特性を提供する。
【表3】
【0058】
実施例1A、1B、2A、2B、3、4A、4B、5、6、7、8、9、10、及び11の多層化構造の画像は、30×倍率で一次表面から45°であり、それぞれ、
図1A、1B、2A、2B、3、4A、4B、5、6、7、8、9、10、及び11に見出すことができる。
【0059】
本出願では、本文及び図に幾つかの数値範囲が開示されている。本開示は本開示の数値範囲の全体にわたって実施可能であるため、本開示の数値範囲は、正確な範囲制限が本明細書に逐語的に記載されていない場合であっても、端点を含む本開示の数値範囲内の任意の範囲又は値を本質的に裏付ける。
上記の説明は、当業者が本開示を製作及び使用することを可能にするために提示されており、特定の応用及びその要件の文脈で提供されている。好ましい実施形態に対する種々の改変は、当業者であれば容易に明らかになるだろう。本明細書で規定されている基本原理は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の実施形態及び応用に適用することができる。従って、本開示は、示されている実施形態への限定を意図するものではなく、本明細書に開示されている原理及び特徴と一致する最も広い範囲が与えられるべきである。最後に、本出願で参照されている特許及び刊行物の開示は全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出発泡体層;並びに
前記発泡体層の面上の共押出キャップ層であって、
少なくとも15質量%のケトン-エチレン-エステル(KEE)ターポリマー、及び
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出キャップ層
を含む多層発泡構造体。
〔2〕前記共押出発泡体層は、2~15質量%のKEEを含む、前記〔1〕に記載の多層発泡構造体。
〔3〕前記共押出発泡体層は、少なくとも70質量%の、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む、前記〔1〕に記載の多層発泡構造体。
〔4〕前記発泡体層は、1~20質量%の量の添加剤を含む、前記〔1〕に記載の多層発泡構造体。
〔5〕前記キャップ層は、1~8質量%の量の添加剤を含む、前記〔1〕に記載の多層発泡構造体。
〔6〕前記ポリプロピレンは、230℃で10分間当たり0.1~25グラムのメルトフローインデックスを有する、前記〔1〕に記載の多層発泡構造体。
〔7〕前記ポリエチレンは、190℃で10分間当たり0.1~25グラムのメルトフローインデックスを有する、前記〔1〕に記載の多層発泡構造体。
〔8〕前記多層発泡構造体の密度は、20~250kg/m
3
である、前記〔1〕に記載の多層発泡構造体。
〔9〕20~75%の架橋度を有する、前記〔1〕に記載の多層発泡構造体。
〔10〕0.05~1.0mmの平均独立気泡サイズを有する、前記〔1〕に記載の多層発泡構造体。
〔11〕0.2~50mmの厚さを有する、前記〔1〕に記載の多層発泡構造体。
〔12〕ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出発泡体層と、
前記発泡体層の面上の共押出キャップ層であって、
少なくとも15質量%のケトン-エチレン-エステル(KEE)ターポリマー、及び
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出キャップ層と
を含む多層発泡構造体;並びに
前記発泡体層と反対側の前記キャップ層の面上の積層体層
を含む積層体。
〔13〕前記積層体層は、可撓性フィルム又はホイルである、前記〔12〕に記載の積層体。
〔14〕前記積層体層は、半可撓性又は剛性のボード、プランク、タイル、又は基材である、前記〔12〕に記載の積層体。
〔15〕前記積層体層は、未発泡であるか又は発泡化されている、前記〔12〕に記載の積層体。
〔16〕前記共押出発泡体層は、2~15質量%のKEEを含む、前記〔12〕に記載の積層体。
〔17〕前記共押出発泡体層は、少なくとも70質量%の、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む、前記〔12〕に記載の積層体。
〔18〕前記発泡体層は、1~20質量%の量の添加剤を含む、前記〔12〕に記載の積層体。
〔19〕前記ポリプロピレンは、230℃で10分間当たり0.1~25グラムのメルトフローインデックスを有する、前記〔12〕に記載の積層体。
〔20〕前記ポリエチレンは、190℃で10分間当たり0.1~25グラムのメルトフローインデックスを有する、前記〔12〕に記載の積層体。
〔21〕上部床層;
下張り床層;並びに
前記下張り床層と前記上部床層との間に配置された少なくとも1つの下敷き層であって、
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む共押出発泡体層と、
少なくとも15質量%のケトン-エチレン-エステル(KEE)ターポリマー、及び
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せ
を含む、前記発泡体層の面上の共押出キャップ層と
を含む多層発泡構造体を含む少なくとも1つの下敷き層
を含む床材システム。
〔22〕多層構造を形成するための方法であって、
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せ
化学発泡剤
を含む第1の層、並びに
少なくとも15質量%のケトン-エチレン-エステル(KEE)ターポリマー、及び
ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せ
を含む、前記第1の層の面上の第2の層
を共押出しすること;
前記共押出しされた層に、電離放射線を照射すること;並びに
前記共押出しされ照射された層を発泡させること
を含む方法。
〔23〕前記第1の層は、2~15質量%のKEEを含む、前記〔22〕に記載の方法。
〔24〕前記第1の層は、少なくとも70質量%の、ポリプロピレン、ポリエチレン、又はポリプロピレン及びポリエチレンの組合せを含む、前記〔22〕に記載の方法。
〔25〕前記第1の層は、1~20質量%の量の添加剤を含む、前記〔22〕に記載の方法。
〔26〕前記第2の層は、1~8質量%の量の添加剤を含む、前記〔22〕に記載の方法。
〔27〕前記ポリプロピレンは、230℃で10分間当たり0.1~25グラムのメルトフローインデックスを有する、前記〔22〕に記載の方法。
〔28〕前記ポリエチレンは、190℃で10分間当たり0.1~25グラムのメルトフローインデックスを有する、前記〔22〕に記載の方法。
〔29〕前記第1の層中の化学発泡剤の量は、4~10質量%である、前記〔22〕に記載の方法。
〔30〕前記化学発泡剤は、アゾジカルボンアミドを含む、前記〔22〕に記載の方法。
〔31〕前記第1の層は、架橋剤を含む、前記〔22〕に記載の方法。
〔32〕前記第1の層中の架橋剤の量は、1~3質量%である、前記〔31〕に記載の方法。
〔33〕前記電離放射線は、アルファ、ベータ(電子線)、X線、ガンマ、及び中性子からなる群から選択される、前記〔22〕に記載の方法。
〔34〕前記共押出しされた構造は、最大で4回に分けて照射される、前記〔22〕に記載の方法。
〔35〕前記電離放射線は、加速電圧が200~1500kVの電子線である、前記〔33〕に記載の方法。
〔36〕吸収電子線線量が10~500kGyである、前記〔35〕に記載の方法。
〔37〕前記電離放射線は、前記押出しされた構造を20~75%の架橋度に架橋する、前記〔22〕に記載の方法。
〔38〕発泡は、前記照射された構造を溶融塩及び放射ヒーター又は熱風オーブンで加熱することを含む、前記〔22〕に記載の方法。
〔39〕多層発泡構造は、20~250kg/m
3
の密度を有する、前記〔22〕に記載の方法。
〔40〕多層発泡構造は、0.05~1.0mmの平均独立気泡サイズを有する、前記〔22〕に記載の方法。
〔41〕多層発泡構造は、0.2~50mmの厚さを有する、前記〔22〕に記載の方法。