(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】セミアクティブサスペンションを備えた車両の安定性を制御するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B60G 17/016 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
B60G17/016
(21)【出願番号】P 2021559964
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(86)【国際出願番号】 IB2020053341
(87)【国際公開番号】W WO2020208538
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】102019000005722
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】399016318
【氏名又は名称】オートモビリ ランボルギーニ ソチエタ ペル アツイオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】コルノ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】サヴァレーシ,セルジオ マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】パンツァーニ,ジュリオ
(72)【発明者】
【氏名】ガッルッピ,オルガ
(72)【発明者】
【氏名】チェッコーニ,ヤコポ
(72)【発明者】
【氏名】シニガーリャ,アンドレア
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-208619(JP,A)
【文献】実開平01-126804(JP,U)
【文献】特開平08-310214(JP,A)
【文献】特開2010-228692(JP,A)
【文献】特開平05-201225(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第02260106(GB,A)
【文献】特開平06-247126(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02701902(FR,A1)
【文献】特開2002-219921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0141543(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105818634(CN,A)
【文献】特開2013-193717(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0253764(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0124413(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 17/016
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開の長手方向軸(x)、展開の横軸(y)および展開の垂直軸(z)を有し且つ本体(2)、複数のホイール(3)、および、各ホイール(3)について、当該ホイール(3)と前記本体(2)との間に配置された少なくとも1つのセミアクティブダンパ(4)を備える車両(1)の安定性を制御するためのシステム(100)であって、
前記セミアクティブダンパ(4)の減衰レベル(C
ref)を連続的に調整するように構成された少なくとも1つのアクチュエータ(5)と、
前記車両(1)の少なくとも1つの動的パラメータを測定し、前記動的パラメータに関する情報項目を含む少なくとも1つの第1の信号(S1)を送信するように構成された少なくとも1つの第1のセンサ(6D)と、
前記車両(1)のドライバーによって入力される入力データを測定し、その入力データに関する情報項目を含む少なくとも1つの第2の信号(S2)を送信するように構成された少なくとも1つの第2のセンサ(6C)と、
前記第1のセンサ(6D)および前記第2のセンサ(6C)と通信し、前記第1の信号(S1)および前記第2の信号(S2)を受信するように構成された高レベル制御ユニット(8H)と、
前記第1の信号(S1)を受信するために前記第1のセンサ(6D)および前記高レベル制御ユニット(8H)と通信する中レベル制御ユニット(8M)と、
前記アクチュエータ(5)および前記中レベル制御ユニット(8M)と通信し、駆動信号を前記アクチュエータ(5)に送信するように構成された低レベル制御ユニット(8L)と、を備え、
前記第1の信号(S1)の関数として前記減衰レベル(C
ref)を計算するために、前記高レベル制御ユニット(8H)は、前記第1の信号(S1)および前記第2の信号(S2)の関数として、前記中レベル制御ユニット(8M)によって実行されるアルゴリズム(A)をパラメータ化するように構成されて
おり、
前記第1のセンサ(6D)、前記第2のセンサ(6C)、前記高レベル制御ユニット(8H)および前記中レベルユニット(8M)と通信するコンピュータ化された計算ユニット(7)を備え、前記コンピュータ化された計算ユニット(7)は、前記第1の信号(S1)および前記第2の信号(S2)を処理し、前記第1の信号(S1)および前記第2の信号(S2)から導出される少なくとも1つの量を前記高レベル制御ユニット(8H)および前記中レベルユニット(8M)に送信するように構成されており、
前記第1のセンサ(6D)は、
展開の前記垂直軸(z)に平行な方向に沿って、対応するホイール(3)に近接する前記本体(2)の加速度を測定するように構成された加速度計(10)と、
展開の前記垂直軸(z)に平行な方向に沿って、前記ダンパ(4)の圧縮を測定するように構成されたポテンショメータ(11)と、のうちの少なくとも1つを備え、
前記第2のセンサ(6C)は、
ステアリングホイール(13)によって決定されるステアリング角度(δ)を測定するように構成されたステアリング角度センサ(12)と、
アクセル(15)からのコマンドを介して加えられる動作を測定するように構成されたアクセルセンサ(14)と、
ブレーキ(17)からのコマンドを介して加えられる動作を測定するように構成されたブレーキセンサ(16)と、のうちの少なくとも1つを備え、
前記第1のセンサ(6D)は、少なくとも前記ポテンショメータ(10)および前記加速度計(11)を備え、前記コンピュータ化された計算ユニット(7)は、前記加速度計(10)および前記ポテンショメータ(11)からの少なくとも1つの情報項目を含む前記第1の信号(S1)の関数として前記ホイール(3)に近接する前記本体の垂直速度(z
c
)およびダンパ圧縮速度(z
d
)を計算するように構成され、
前記ダンパ(4)の前記減衰レベル(C
ref
)は、前記本体の前記垂直速度(z
c
)および前記ダンパ圧縮速度(z
d
)に基づいて、前記中レベル制御ユニット(8M)によって計算され、
前記ダンパ(4)の前記減衰レベル(C
ref
)は、以下のように定義されるアルゴリズム(A)を使用して、前記中レベル制御ユニット(8M)によって計算され、
ここで、(C
min
)と(C
max
)はそれぞれ、適用可能な減衰レベル(C
ref
)の最小値と最大値であり、(K
sky
)と(C
nom
)は、それぞれ、アルゴリズム(A)のゲインと垂直本体速度(z
c
)またはダンパ圧縮速度(z
d
)がない場合の名目減衰レベルを表す2つの調整可能なパラメータである、システム(100)。
【請求項2】
前記名目減衰レベル(C
nom)は、前記高レベル制御ユニット(8H)によって以下のように計算され、
ここで、(C
0)はデフォルトの名目減衰レベルであり、(C
lat)および(C
long)はそれぞれ、第1の加法係数および第2の加法係数であり、両方とも前記第1の信号(S1)および前記第2の信号(S2)の関数として前記高レベル制御ユニット(8H)によって計算される、請求項
1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記第1の加法係数(C
lat)は、以下のように計算され、
ここで、(K
lat)は調整可能なゲイン係数であり、(A
y,HP)はフィルタ処理された量であり、
ここで、(v)は前記車両(1)の移動速度、(K
us)はステアリング基準係数、(L)は前記車両(1)のホイールベースの長さを表すパラメータである、請求項
2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記第2の加法係数(C
long)は、以下のように計算され、
ここで、(K
long)は調整可能なゲイン係数であり、(A
x,HP)はフィルタ処理された量であり、
ここで、(ρ)は空気密度、(S)は前記車両(1)の前面、(C
x)は前記車両(1)の空力摩擦係数、(m)は前記車両(1)の質量、(v)は前記車両(1)の移動速度、(k
bk)はブレーキ効率、(P
bk)は前記ブレーキセンサ(16)によって測定されるブレーキ制御(17)の圧力、(k
pos)は推進ユニットの効率を表す第1のモデルパラメータ、(k
neg)は前記推進ユニットの効率を表す第2のモデルパラメータ、(T
eng,pos)はエンジンの正のトルクを表すパラメータ、(T
eng,neg)はエンジンの負のトルクを表すパラメータ、(ω
eng)は前記車両(1)のエンジンの回転数を表すパラメータである、請求項
2または
3に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記ダンパ(4)が磁性流体ダンパである、請求項1から
4のいずれか一項に記載のシステム(100)。
【請求項6】
展開の長手方向軸(x)、展開の横軸(y)および展開の垂直軸(z)を有し且つ本体(2)、複数のホイール(3)、および各ホイール(3)について、当該ホイール(3)と前記本体(2)との間に配置された少なくとも1つのセミアクティブダンパ(4)を備える車両(1)の安定性を制御するための方法(200)であって、
前記車両(1)の少なくとも1つの動的パラメータをキャプチャするための第1の測定ステップ(201)と、
前記車両(1)のドライバーによって入力される少なくとも1つの入力データをキャプチャするための第2の測定ステップ(202)と、
前記動的パラメータおよび前記入力データの関数として前記ダンパ(4)の減衰レベル(C
ref)を計算するためにアルゴリズム(A)を実行するステップ(203)と、
前記ダンパ(4)に動作可能に接続されたアクチュエータ(5)によって、前記アルゴリズム(A)によって計算された前記減衰レベル(C
ref)を実施するステップ(204)と、を含
み、
前記車両(1)の少なくとも1つの動的パラメータをキャプチャするための前記第1の測定ステップ(201)が、
前記車両(1)の前記垂直軸(z)に平行な方向に沿って、前記ホイール(3)に近接する前記本体(2)の少なくとも1つの加速度を測定するサブステップと、
前記垂直軸(z)にほぼ平行な方向に沿って少なくとも1つの前記ダンパ(4)の圧縮を測定するサブステップと、のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1の測定ステップ(201)は少なくとも、前記本体(2)の少なくとも1つの加速度を測定する前記サブステップと、少なくとも1つの前記ダンパ(4)の圧縮を測定するサブステップとを含み、前記第1の測定ステップ(201)は、前記車両(1)の前記動的パラメータを処理して、前記ホイール(3)に近接する前記本体の垂直速度(z
c
)と前記ダンパの圧縮速度(z
d
)とを計算するサブステップを含み、
前記車両(1)の前記ドライバーによって入力される入力データをキャプチャするための前記第2の測定ステップ(202)が、
ステアリングホイール(13)によって決定されるステアリング角度(δ)を測定するサブステップと、
アクセル(15)からのコマンドを介して加えられる加速度の動作を測定するサブステップと、
ブレーキ(17)からのコマンドを介して加えられるブレーキの動作を測定するサブステップと、のうちの少なくとも1つを含み、
前記実行ステップ(203)は、以下のように定義されるアルゴリズム(A)を実行することを含み、
ここで、(C
min
)と(C
max
)はそれぞれ、適用可能な減衰レベル(C
ref
)の最小値と最大値であり、(K
sky
)と(C
nom
)は、それぞれ前記アルゴリズム(A)のゲインと前記垂直本体速度(z
c
)または前記ダンパ圧縮速度(z
d
)がない場合の名目減衰レベルを表す2つの調整可能なパラメータである、方法(200)。
【請求項7】
前記パラメータ(C
nom)は、前記第1の測定ステップ(201)中にキャプチャされる前記車両(1)の動的パラメータおよび前記第2の測定ステップ(202)中にキャプチャされる前記入力データの関数として計算される、請求項
6に記載の方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の安定性を制御するためのシステムおよび方法、具体的には、セミアクティブサスペンションを備えた車両の安定性を制御するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サスペンションシステムは、車両の運転性と安全性、および悪路でのドライバーの快適性に大きな影響を与える。
【0003】
最新の安定性制御システムは、主に2種類のサスペンションを含む。すなわち、電子式空気圧サスペンションとセミアクティブサスペンションである。
【0004】
2種類のサスペンションの違いは、電子式空気圧サスペンションがアクティブであり、力を加えることができるのに対し、セミアクティブサスペンションはパッシブであり、収縮と伸長に対するサスペンションの抵抗を調整することができるという事実にある。
【0005】
ただし、セミアクティブサスペンションには、制御周波数が高く、重量とスペースの面で煩わしさが少なく、パッシブである限りにおいてエネルギー消費が少ないという利点がある。
【0006】
これまでに知られている制御方法は、スカイフックタイプのアルゴリズムを実装しており、これは、地面と接触している実質的に減衰されない質量、すなわちホイールと比較して、減衰される質量、すなわち車体のダイナミクスを可能な限り制限するように設計されている。
【0007】
スカイフックアルゴリズムは、特定のセンサによって測定される車体とホイールの垂直速度に基づいて、最適な運転の質を保証するためにダンパが適用する必要のある理想的な減衰レベルを計算する。
【0008】
開発されたサスペンション制御方法のほとんどは、路面の凹凸によって引き起こされる衝撃を局所的に減衰させるために、車両角度の数学モデルに基づいている。
【0009】
しかしながら、これらのシステムは、例えば、ドライバーによって与えられるステアリング、ブレーキングおよび加速コマンドによって決定されるローリングおよびピッチングダイナミクスなど、車両の安定性および運転の楽しさに影響を与える車両の一般的なダイナミクスを制御することができない。
【0010】
これらのダイナミクスを制御するために、従来技術は、低レベルコントローラを使用して個々の車両ダイナミクスを処理し、高レベルコントローラを使用して所定の論理に基づいてどの低レベルコントローラを優先するかを決定する階層システムの使用を教示している。
【0011】
したがって、サスペンション制御は、最適ではない方法で管理されている。1つの制御システムが他の制御システムよりも優先され、他の制御システムのコマンドが無視されるからである。
【0012】
したがって、高い優先度がローリングおよびピッチング制御システムに割り当てられている場合には、路面の凹凸の減衰を制御するシステムによって発行されるコマンドは無視され、その逆も同様である。
【0013】
したがって、これらの優先度ベースの制御システムは、車両ダイナミクスの完全な同時制御を保証せず、このことは、運転の快適性と車両の路面保持能力に悪影響を及ぼす。
【0014】
その結果として、車両安定性制御の分野で特に強く感じられるニーズは、完全なシステム、つまり、路面の凹凸と一般的な車両ダイナミクスとを同時に処理できるシステムを提供することである。
【発明の概要】
【0015】
これに関連して、本発明の主の目的は、上記の欠点を克服することである。
【0016】
具体的には、本開示の目的は、セミアクティブダンパを備えた車両の安定性を制御し、路面の凹凸による振動とドライバーの操作による車両のローリングおよびピッチングダイナミクスを同時に処理することを可能にするシステムを提案することである。
【0017】
本開示の一態様によれば、セミアクティブダンパを備えた車両の安定性を制御するためのシステムは、
セミアクティブダンパの減衰レベルを連続的に調整するように構成された複数のアクチュエータと、
車両の少なくとも1つの動的パラメータを検出するように構成された第1のセンサ群と、
車両のドライバーからの入力データ(input)をキャプチャするように構成された第2のセンサ群と、
2つのセンサ群によって検出された量に応じて、モデルを介して、名目減衰パラメータを計算するように構成された高レベル制御ユニットと、
第1のセンサ群によって検出された量に応じて、パラメータ化されたアルゴリズムを介して各ダンパに高レベル制御ユニットによって適用される減衰レベルを計算するように構成された少なくとも1つの中レベル制御ユニットと、
ダンパのアクチュエータに駆動信号を送信するように構成された少なくとも1つの低レベル制御ユニットと、を備える。
【0018】
別の態様によれば、本開示は、車両の動的パラメータをキャプチャするステップと、ドライバーによって入力される入力データをキャプチャするステップと、車両が備える各ダンパに適用される最適な減衰レベルを計算するためのアルゴリズムを実行するステップと、最後に、計算された減衰レベルを実行するステップと、を含む方法または車両の安定性の制御に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されているように、車両の安定性を制御するためのシステムの好ましいが非排他的な実施形態の非限定的な説明においてより明白である。
【
図1】この特許明細書の安定性制御システムを備えた車両の概略側面図を示す。
【
図2】
図1の安定性制御システムの詳細を概略的に示す。
【
図3】グレースケールマップを通じて、車両の動的パラメータと減衰レベルとの一致を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図面を特に参照して、数字100は、車両1の安定性を制御するためのシステムを示す。
【0021】
図示のように、車両1は、車体2と、車両が地面に接触する点である複数のホイール3とを有する。
【0022】
好ましくは、車両1は4つのホイール3を有する。
【0023】
車両1はまた、展開の長手方向軸x、展開の横軸y、および展開の垂直軸zを有する。
【0024】
車両1は、車両1が備える各ホイール3に対して少なくとも1つのセミアクティブダンパ4をさらに備える。簡単にするために、言及は、以下では、1つのダンパ4のみに対してなされる。セミアクティブダンパ4は、好ましくは、各ホイールについてすべて技術的に同じであるからである。
【0025】
ダンパ4は、対応するホイール3と車体2との間に配置されており、車両1の展開の垂直軸zに沿って車体2の振動を減衰させるように構成される。
【0026】
好ましくは、ダンパ4は、最小減衰レベルCminと最大減衰レベルCmaxとの間で連続的に調整可能な減衰レベルCrefを有する。
【0027】
言い換えると、可能な減衰レベルCrefの数は限定されておらず、事前に決定されていないが、CminとCmaxによって規定される範囲内で必要に応じて設定できる。
【0028】
有利なことに、有限数の調整レベルを有する従来のスカイフックシステムと比較して、減衰レベルCrefを連続的に調整できるという事実により、システム100は、車両1の安定性および運転の楽しさの観点での明らかな利点とともに、減衰レベルを設定する実質的に無限の可能性を有することができる。
【0029】
好ましいが非限定的な実施形態では、セミアクティブダンパ4は、磁性流体ダンパ、すなわち、ダンパ4自体に含まれる液体の流体力学特性を変更するために磁場を印加することによって振動に対する抵抗が調整されるタイプのダンパである。
【0030】
別の実施形態では、セミアクティブダンパ4は、電気粘性または電気油圧式ダンパである。
【0031】
車両1の安定性システム100は、展開の垂直軸zに沿った車体2の振動を制限するために、したがって、車両1のドライバーに最適な快適さを保証するために、車両1のダンパ4を制御および駆動する役割を担う。
【0032】
図2に示されるように、システム100は、ダンパ4の減衰レベルC
refを連続的に調整するように構成された少なくとも1つのアクチュエータ5を備える。
【0033】
好ましくは、車両1が備える各ダンパ4は、それぞれのダンパ4を駆動する役割を担うアクチュエータ5に関連付けられている。
【0034】
アクチュエータ5は、制御信号を機械的、電気的、または磁気的な刺激に変換して、セミアクティブダンパ4の物理特性を連続的に変更し、物理特性は対応するホイール3および/または車体2の展開の垂直軸zに沿った振動に対するセミアクティブダンパ4の応答を調整する。
【0035】
システム100は、車両1の少なくとも1つの動的パラメータを測定して当該動的パラメータに関する情報項目を含む少なくとも1つの第1の信号S1を送信するように構成された少なくとも1つの第1のセンサ6Dを備える。
【0036】
好ましくは、少なくとも第1のセンサ6Dは、以下のうちの少なくとも1つを含む。すなわち、
展開の垂直軸zに平行な方向に沿ってホイール3の1つに近接する車体2の加速度を測定するように構成された加速度計10、
ダンパ4の圧縮をその展開軸に沿って測定するように構成されたポテンショメータ11、
車両1の位置をキャプチャするように構成されたGPSセンサ、の少なくとも1つを含む。
【0037】
また、図示のように、システム100は、車両1のドライバーによって入力された入力データをキャプチャしてその入力データに関する情報項目を含む少なくとも1つの第2の信号S2を送信するように構成された少なくとも1つの第2のセンサ6Cを備える。
【0038】
好ましくは、少なくとも第2のセンサ6Cは、以下のうちの少なくとも1つを含む。すなわち、
ステアリングホイール13によって決定されるステアリング角度δを測定するように構成されたステアリング角度センサ12、
アクセル15からのコマンドを介して加えられる動作を測定するように構成されたアクセルセンサ14、
ブレーキ17からのコマンドを介して加えられる動作を測定するように構成されたブレーキセンサ16、のうちの少なくとも1つを含む。
【0039】
換言すれば、第2のセンサ6Cは、ドライバーの行動を監視し、その動作は、車両1の並進および振動運動に(応答間隔後に)反映され、振動運動は、次いで、第1のセンサ6Dによって監視される。
【0040】
有利なことに、2つの異なるタイプのセンサ(1つは車両1の動きを監視するためのものであり、1つはドライバーの動作を監視するためのものである)の使用は、モデルを通して、車両1の今後のダイナミクス、特に車両1が受けようとしている長手方向および横方向の加速度を予測することを可能にする。
【0041】
車両1の今後のダイナミクスを予測する可能性はまた、ドライバーの運転の快適さを保証すると同時に良好な路面保持を保証するために、システム100がダンパ4の状態を予防的に適応させることができることを保証する。
【0042】
また、図示のように、システム100は、第1のセンサ6Dおよび第2のセンサ6Cと通信する高レベル制御ユニット8Hを備える。
【0043】
高レベル制御ユニット8Hは、第1の信号S1および第2の信号S2に応じて名目減衰パラメータCnomを計算するように構成される。
【0044】
名目減衰パラメータCnomは、車体2または対応するホイール3が車両1の展開の垂直軸zに沿った振動を受けていないときにダンパ4が適用しなければならない減衰レベルを表す。
【0045】
有利なことに、第2のセンサ6Cから受信した第2の信号S2に依存することにより、高レベル制御ユニット8Hは、ドライバの動作にも基づいて名目減衰レベルCnomを計算することができ、車両1のダイナミクスに対するシステム100の応答を予測して、ひいては改善することが可能になる。
【0046】
システム100は、高レベル制御ユニット8Hおよび第1のセンサ6Dと通信する中レベル制御ユニット8Mをさらに備える。
【0047】
中レベル制御ユニット8Mは、高レベル制御ユニット8Hから名目減衰パラメータCnomを受け取り、アルゴリズムまたは計算ルーチンAを介して、第1のセンサ6Dから受信した第1の信号S1に応じて減衰レベルCrefを計算するように構成される。
【0048】
換言すれば、中レベル制御ユニット8Mは、高レベル制御ユニット8Hと通信しており、高レベル制御ユニット8Hは、ダンパ4のレベルに適用される減衰レベルCrefを計算する役割を担うアルゴリズムAをパラメータ化する。
【0049】
したがって、アルゴリズムのパラメータ化という用語は、アルゴリズムへの入力データとして適用されたときに、独立した入力データ変数(このケースでは信号S1)と実質的に同じようにアルゴリズムの結果に影響を与えるパラメータを計算することを意味するために使用される。
【0050】
アルゴリズムという用語は、有限の一連のルールに従って実行される有限数のステップを通じて、入力データ変数および/または入力パラメータの関数として出力データ変数の値を取得することを可能にする任意の計算ルーチンを意味するために使用される。
【0051】
一実施形態では、システム100は、車両1が備える各ダンパ4に中レベル制御ユニット8Mを備え、したがって、各中レベル制御ユニット8Mは、単一のダンパ4の減衰レベルCrefを計算する役割を担う。
【0052】
好ましくは、高レベル制御ユニット8Hは、アルゴリズムAにおいて入力データ変数を構成する名目減衰レベルCnomを中レベル制御ユニット8Mに送信する。
【0053】
したがって、アルゴリズムAは、第1のセンサ6Dから受信された第1の信号S1および高レベル制御ユニット8Hから受信された名目減衰パラメータCnomの関数として減衰レベルCrefを計算する。
【0054】
具体的には、各中レベル制御ユニット8Mは、それぞれのアルゴリズムAを実行して、他の中レベル制御ユニット8Mとは独立して、それに関連付けられたダンパ4の最適な減衰レベルCrefを計算する。
【0055】
有利なことに、車両1の各ダンパ4に中レベル制御ユニット8Mが存在することにより、各ダンパ4は、他のアルゴリズムAとは異なって明確に区別されるそれぞれのアルゴリズムAを実行することができる。
【0056】
高レベル制御ユニット8Hによって計算される名目減衰レベルCnomは、すべての中レベル制御ユニット8Mに送られる。
【0057】
一実施形態では、同一の名目減衰レベルCnomは、中レベル制御ユニット8Mに送られ、したがって、すべてのアルゴリズムAに共通の入力データ変数を構成し、すべてのアルゴリズムAは、次に、各々が関連付けられているダンパ4の最適な減衰レベルCrefを計算するべく、各中レベル制御ユニット8Mによって独立して実行される。
【0058】
別の実施形態では、明確に区別され且つ固有の名目減衰レベルCnomが、各中レベル制御ユニット8Mに送られ、それぞれのアルゴリズムAの入力データ変数を構成し、それぞれのアルゴリズムAは、したがって、それが関連付けられているダンパ4の最適な減衰レベルCrefを計算するべく、他の中レベル制御ユニット8Mの他のアルゴリズムとは独立して実行される。
【0059】
システム100は、中レベル制御ユニット8Mおよびアクチュエータ5と通信し且つ駆動信号をアクチュエータ5に送信するように構成された低レベル制御ユニット8Lを備える。
【0060】
より正確には、低レベル制御ユニット8Lは、中レベル制御ユニット8Mから所望の減衰レベルCrefを含む情報項目を受信し、アクチュエータ5のための対応する駆動信号を生成するように構成される。
【0061】
好ましくは、システム100は、車両1が備える各アクチュエータ5に低レベル制御ユニット8Lを備え、したがって、各低レベル制御ユニット8Lは、単一のアクチュエータ5を駆動する役割を担う。
【0062】
好ましい実施形態では、システム100は、第1のセンサ6D、第2のセンサ6C、高レベル制御ユニット8H、および中レベル制御ユニット8Mと通信するコンピュータ化された計算ユニット7を備える。
【0063】
ユニット7は、第1のセンサ6Dからの第1の信号S1および第2のセンサ6Cからの第2の信号S2を処理するように構成される。
【0064】
ユニット7はまた、少なくとも1つの導出信号を高レベル制御ユニット8Hおよび中レベル制御ユニット8Mに送信するように構成される。
【0065】
言い換えれば、ユニット7は、第1のセンサ6Dおよび第2のセンサ6Cによってキャプチャされた生データを入力データとして受け取り、フィルタリングまたは積分によってそれらを処理して、車両1に存在する各ダンパ4に適用される減衰レベルCrefを計算するために使用される他の量を導出する。
【0066】
少なくとも1つの加速度計10および少なくとも1つのポテンショメータ11を備える実施形態では、コンピュータ化された計算ユニット7は、システム100に含まれるポテンショメータ11および加速度計10からの情報項目を含む第1の信号S1を処理して、ホイール3に近接する車体の垂直速度zcおよびダンパ圧縮速度zdを取得する。
【0067】
換言すれば、加速度計10によってキャプチャされた加速度およびポテンショメータ11によってキャプチャされた動きから、コンピュータ化された計算ユニット7は、積分および微分(および必要に応じて濾過)のそれぞれによって、ホイール3に近接する車体の垂直速度zcおよびダンパ圧縮速度zdを導出する。
【0068】
以下に説明するのは、
図2に示す好ましい実施形態であり、ここでは、ダンパ4の減衰レベルC
refは、車体の垂直速度z
cおよびダンパ圧縮速度z
dの関数として、アルゴリズムAを介して、対応する中レベル制御ユニット8Mによって計算される。
【0069】
この好ましい実施形態で採用された慣習によれば、zcは、車体2が展開の垂直軸zに沿って下向きに移動するときに正と定義され、zdは、言及のダンパ4が圧縮されるときに正と定義される。
【0070】
この実施形態では、それぞれの中レベル制御ユニット8Mによって実行されるアルゴリズムAは、以下のように定義される。
【0071】
【0072】
ここで、CminおよびCmaxはそれぞれ、ダンパ4に適用可能な減衰レベルCrefの最小値と最大値であり、satは、Crefのダイナミクスを範囲[Cmin,Cmax]に制限する飽和関数であり、KskyはアルゴリズムAのゲインを表すパラメータである。
【0073】
つまり、関数satは、Kskyzczd+Cnomが範囲[Cmin,Cmax]内にある場合に値Crefを変更せずに保持するが、Kskyzczd+CnomがCmaxより大きい場合にCref=Cmaxを適用し、Kskyzczd+CnomがCminより大きい場合にCref=Cminを適用する。
【0074】
好ましくは、ゲインKskyは、種々の車両姿勢構成に対応する有限数の値から、車両1のドライバーによって選択可能である。
【0075】
図2に示されるシステム100の好ましい実施形態は、高レベル制御ユニット8Hに加えて、4つの中レベル制御ユニット8M、4つの低レベル制御ユニット8L、および4つのアクチュエータ5(車両1の各ホイール3に1つ)を備える。
【0076】
この実施形態では、高レベル制御ユニット8Hおよび4つの中レベル制御ユニット8Mは、それぞれ、各ホイール3について独立して、名目減衰レベルCnom,iおよび減衰レベルCref,i(ここで、iは1から4までの整数)を計算する。
【0077】
有利なことに、この実施形態では、減衰Cref,iと名目減衰Cnom,iの種々の値の間の独立性により、車両1の姿勢の最適な調整が可能になる。
【0078】
有利なことに、アルゴリズムAを使用すると、2段階の従来のスカイフックアルゴリズムと比較して、快適さを増すために、減衰レベルCrefをより均一に調整することが可能である。
【0079】
実際、従来のスカイフックアルゴリズムは、次のように、車体の垂直速度zcとダンパ圧縮速度zdの関数として減衰レベルCrefを計算する。
【0080】
【0081】
ダンパ動作を処理するこの方法は、関連する速度がほぼゼロのときに不要な振動を引き起こす。これは、センサノイズなどによる小さな変動により、減衰レベルで許容される2つの状態間で多くの変化が生じるからである。
【0082】
図3に提案され図示された実施形態では、C
nom=0である構成では、速度値z
c、z
dの小さな変動が減衰値C
refのわずかな変動のみを引き起こし、したがって、スカイフックアルゴリズムの従来の実施における状態変化によって引き起こされる振動をキャンセルする。
【0083】
有利なことに、スカイフックアルゴリズムのこのより均一な変動の使用は、(車両1の振動により良く適応することができる)ダンパ4の減衰レベルCrefのより多様な調整を確実にし、したがって、ドライバーの運転の快適性を改善する。
【0084】
パラメータCnomは、(必要に応じて、コンピュータ化された計算ユニット7によって処理される)第1の信号S1および第2の信号S2の関数として高レベル制御ユニット8Hによって計算され、中レベル制御ユニット8Mに送信される。
【0085】
上記のように、名目減衰パラメータCnomは、振動がない場合(つまり、zc=0またはzd=0の場合)にダンパに適用されるダンパパラメータである。
【0086】
さらに、好ましい実施形態によれば、名目減衰パラメータCnomは、以下の関係を介して高レベル制御ユニット8Hによって得られる。
【0087】
【0088】
ここで、C0はデフォルトの名目減衰レベルであり、車両1の長手方向または横方向の加速度がない場合に適用され、ClatおよびClongはそれぞれ、第1の加法係数(additive factor)および第2の加法係数であり、両方とも第1の信号S1および第2の信号S2の関数として高レベル制御ユニット8Hによって計算される。
【0089】
第1の加法係数Clatおよび第2の加法係数Clongは、車両1の横方向加速度および長手方向加速度のダイナミクスをそれぞれ考慮に入れる。
【0090】
好ましくは、デフォルトの名目減衰レベルC0は、車両1の種々の姿勢構成に対応する有限数の値から車両1のドライバーによって選択可能である。
【0091】
より具体的には、この好ましい実施形態では、第1の加法係数Clatは、以下のように、高レベル制御ユニット8Hによって計算される。
【0092】
【0093】
ここで、Klatは調整可能なゲイン係数であり、Ay,HPは、好ましくはハイパスバンドフィルタによってフィルタ処理される量のバージョン(version)である。
【0094】
【0095】
ここで、vは車両1の移動速度、Kusはステアリング基準係数、Lは車両1のホイールベースの長さを表すモデルパラメータである。
【0096】
好ましくは、移動速度vは、車両1が備えるGPSセンサによってキャプチャおよび送信される少なくとも1つの第1の信号S1を処理することによって、コンピュータ化された計算ユニット7によって導出される。
【0097】
さらに、好ましい実施形態によれば、第2の加法係数Clongは、以下のように、高レベル制御ユニット8Hによって計算される。
【0098】
【0099】
ここで、Klongは調整可能なゲイン係数であり、Ax,HPは、好ましくはハイパスバンドフィルタによってフィルタ処理される量のバージョンである。
【0100】
【0101】
ここで、ρは空気密度、Sは車両1の前面、Cxは車両1の空力摩擦係数、mは車両1の質量、vは車両1の移動速度、kbkはブレーキ効率、Pbkはブレーキセンサ16によって測定されるブレーキ制御17の圧力、kposは推進ユニットの効率を示す第1のモデルパラメータ、knegは推進ユニットの効率を示す第2のモデルパラメータ、Teng,posはエンジンの正のトルクを示す正のパラメータ、Teng,negはエンジンの負のトルクを示す負のパラメータ、ωengは車両1のエンジンの回転数を表すパラメータである。
【0102】
好ましくは、Teng,posが0より大きい場合、Teng,negは0に等しく、Teng,negが0より小さい場合、Teng,posは0に等しい。言い換えると、前述の式の最後の2つの加数の両方が、Axの計算に同時に寄与することは不可能である。
【0103】
有利には、第1の加法係数Clatおよび第2の加法係数Clongの存在により、安定性制御システム100は、車両1のローリングおよびピッチングダイナミクスをそれぞれ考慮に入れることができる。
【0104】
さらに有利なことに、名目減衰レベルCnom(したがって、第1の加法係数Clatおよび第2の加法係数Clongを加算することによって計算される)がアルゴリズムAをパラメータ化するという事実は、ローリングおよびピッチングダイナミクスの両方の存在下で運転快適性および路面保持を同時に管理することを可能にする。
【0105】
実際に、高レベル制御ユニット8Hによって計算される名目減衰レベルCnomの追加は、中レベル制御ユニット8Mが、第2の信号S2の関数として、つまり、ドライバーによって入力された入力データの関数として、以前に最適化された車両姿勢でアルゴリズムAを実行することを可能にする。
【0106】
また、本発明に従って規定されるのは、展開の長手方向軸x、展開の横軸yおよび展開の垂直軸zを有する車両1であって、本体2と、複数のホイール3と、各ホイール3について、当該ホイール3と本体2との間に配置された少なくとも1つのセミアクティブダンパ4とを備える車両1の安定性を制御するための方法200である。
【0107】
方法200は、車両1の動的パラメータをキャプチャするための第1の測定ステップ201を含む。
【0108】
車両1の動的パラメータをキャプチャするための第1の測定ステップ201は、以下のサブステップのうちの少なくとも1つを含む。すなわち、
車両1の垂直軸zに平行な方向に沿ってホイール3に近接する本体2の少なくとも1つの加速度を測定するサブステップと、
垂直軸zにほぼ平行な方向に沿って少なくとも1つのダンパ4の圧縮を測定するサブステップと、のうちの少なくとも1つを含む。
【0109】
好ましくは、少なくとも車体2の加速度の測定およびダンパ4の圧縮の測定を含む実施形態では、第1の測定ステップ201は、ホイール3に近接する車体の垂直速度zcおよびダンパ圧縮速度zdを計算するべく、車両1の動的パラメータを処理する少なくとも1つのサブステップを含む。
【0110】
第1の測定ステップ201の後、方法200は、車両1のドライバーによって入力される入力データをキャプチャするための第2の測定ステップ202を含む。
【0111】
好ましくは、車両1のドライバーによって入力される入力データをキャプチャするための第2の測定ステップ202は、以下のサブステップのうちの少なくとも1つを含む。すなわち、
ステアリングホイール13によって決定されるステアリング角度δを測定するサブステップと、
アクセル15からのコマンドを介して加えられる加速度の動作を測定するサブステップと、
ブレーキ17からのコマンドを介して加えられるブレーキの動作を測定するサブステップと、のうちの少なくとも1つを含む。
【0112】
次に、方法200は、第1の測定ステップ201でキャプチャされた動的パラメータおよび第2の測定ステップ202でキャプチャされた入力データの関数としてダンパ4の減衰レベルCrefを計算するべく、アルゴリズムAの実行ステップ203を含む。
【0113】
少なくとも車体2の加速度の測定、ダンパ4の圧縮の測定、および車両1の動的パラメータを処理するサブステップを含む好ましい実施形態では、実行ステップ203は、次のように規定されたアルゴリズムAを実行することを含む。
【0114】
【0115】
ここで、CminおよびCmaxはそれぞれ、減衰レベルCrefの最小値および最大値であり、satは、Crefのダイナミクスを範囲[Cmin,Cmax]に制限する飽和関数であり、KskyおよびCnomは、それぞれ、アルゴリズムAのゲインと垂直本体速度zcまたはダンパ圧縮速度zdがない場合の名目減衰レベルを表す2つの調整可能なパラメータである。
【0116】
好ましくは、名目減衰レベルCnomは、第1の測定ステップ201中にキャプチャされた車両1の動的パラメータおよび第2の測定ステップ202中にキャプチャされた入力データの動的パラメータの関数として計算される。