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特許7520047電気機械用の電磁部品、特に固定子コア又は回転子コアなどの積層コアを製造するための方法
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  • 特許-電気機械用の電磁部品、特に固定子コア又は回転子コアなどの積層コアを製造するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】電気機械用の電磁部品、特に固定子コア又は回転子コアなどの積層コアを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
H02K15/02 F
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021566574
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2020051176
(87)【国際公開番号】W WO2020233840
(87)【国際公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-11-09
(31)【優先権主張番号】102019113290.8
(32)【優先日】2019-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514309479
【氏名又は名称】ティッセンクルップ スチール ヨーロッパ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】THYSSENKRUPP STEEL EUROPE AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トバイアス レウィ
(72)【発明者】
【氏名】カルステン マシャリッツァ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルカー カーメン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ タイツ
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-038915(JP,A)
【文献】特開平10-261535(JP,A)
【文献】特表2001-510015(JP,A)
【文献】特開2018-143034(JP,A)
【文献】特開2011-038773(JP,A)
【文献】特開2018-145492(JP,A)
【文献】特許第5750196(JP,B2)
【文献】特開2003-299284(JP,A)
【文献】特表2018-534388(JP,A)
【文献】特開2005-268589(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0034295(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータなどの電気機械用の電磁部品を製造するための方法であって、インラインプロセスで実装される以下のステップ、すなわち
A)出発材料として金属シートを提供するステップと、
B)前記金属シートから多数のラメラを打ち抜くステップと、
C)前記ラメラ熱処理を行うステップであって、前記熱処理は、応力緩和焼鈍、ソフトアニーリング、または再結晶焼鈍として、
毎分10ケルビン未満の加熱速度で前記ラメラを200℃~650℃の所定の温度範囲に加熱するサブステップと、
この温度範囲、前記応力緩和焼鈍またはソフトアニーリングの場合に1分~7時間の時間、または前記再結晶焼鈍の場合に30分~7時間の時間だけ保持するサブステップと、
前記インラインプロセスの一部として炉セクションにおいて、室温の不活性ガス雰囲気下および/または室温の空気中で前記ラメラを冷却するサブステップ
含むことによって実施される、ステップと、
D)前記熱処理されたラメラを接合して、前記部品または前記部品の一部を形成するステップであって、前記ラメラの接合は、前記ラメラの数の前記ラメラのそれぞれについて、以下のステップ、すなわち
熱活性化接着剤を前記ラメラの表面に、実質的に表面全体に塗布して、接着剤コーティングを形成するサブステップと、
前記接着剤コーティングの前記接着剤を活性化するサブステップと、
を含む、ステップ
を有し、
前記活性化された接着剤を有する前記ラメラは、位置整列および角度整列された方法で重ね合わされ、それらの端面において軸方向に作用する圧縮力を受け、前記活性化は、赤外線放射を放出するための手段を使用して、赤外線放射で前記接着剤コーティングを照射することによってもたらされ、
赤外線放射を放出するための前記手段は、処理順序に関して、パンチングツールと排出パンチとの間に配置され、
第1のラメラ表面へのパンチング方向に向けられた少なくとも1つの上部ランプ、または
前記パンチングツールの反対側に存在する第2のラメラ表面へのパンチング方向に対して向けられた少なくとも1つの下部ランプ、または
少なくとも1つの上部ランプと少なくとも1つの下部ランプの両方
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
電磁放射による前記接着剤コーティングの前記照射は、NIR波長範囲で、0.8マイクロメートルと1.2マイクロメートルとの間の波長で、または0.85マイクロメートルと0.9マイクロメートルとの間の波長で最大の発光パワーで行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱活性化接着剤を塗布するステップと前記接着剤を活性化するステップとの間に、前記接着剤コーティングの検査は光学検査方法によって行われ、前記光学検査方法が前記接着剤コーティングの十分に均一な厚さ分布を検出した場合にのみラメラが前記接合のプロセスで使用され、さもなければ前記ラメラはリジェクトとして当該方法から削除されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記接着剤コーティングの前記検査は光学的検査方法によって行われ、前記光学的検査方法が、熱画像カメラによる、前記接着剤コーティングの熱画像の捕捉であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記金属シートは、
- 電磁鋼ストリップから作られたパネル、若しくは電磁鋼ストリップであり、または、
- 軟磁性材料で作られた、パネル若しくはストリップである、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記金属シートは、無方向性電磁鋼ストリップからなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
前記金属シートは、Feおよび不可避の不純物に加えて、
0.1~3.50 Si、
0.01~1.60 Al、
0.07~0.65 Mn、
最大0.25のP
を含み(重量%でのすべての数値)、
不可避の不純物を含むすべての成分の合計は100重量%であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
記熱処理は、二つの温度Ac1およびAc3の間で実行されることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
熱活性化接着剤は、前記ラメラの両面に塗布されることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
前記熱活性化接着剤は、
エポキシ樹脂の60重量部、
潜在硬化剤の0.5~15重量部、
潜在的加速器の1~15重量部、
を含むことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
第1の電磁部品と第2の電磁部品とを有する電気機械であって、
前記第1の電磁部品は、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の方法を使用して製造され、前記第2の電磁部品は、ラメラからなる積層コアとして接合され、または接着され、前記第2の電磁部品の前記ラメラは、出発材料として提供される金属シート、例えば、請求項6または請求項7の定義による電磁鋼ストリップから打ち抜かれた後、または接合され第2の部品を形成する前に、いかなる熱処理も受けず、前記第1の電磁部品はステータであり、前記第2の電磁部品は電気機械のロータであることを特徴とする電気機械。
【請求項12】
固定子または回転子として設計された、請求項1ないし10のいずれかに記載の方法を使用して製造されたことを特徴とする電気部品または積層コア。
【請求項13】
請求項12に記載の電気部品を有することを特徴とする電気機械。
【請求項14】
乗用車、トラック、電動二輪車、小型電気自動車、航空機、または無人機用の電気モータとして設計されたことを特徴とする請求項13に記載の電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータ又は発電機などの電気機械用の、例えば固定子コア又は回転子コアとして設計された電磁部品、特に積層コアを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータなどの電気機械の動作モードは、古くから知られている。特に、「電気自動車」という流行語で知られている、個別の乗客輸送において電気モータの使用が増加していることに照らすと、電気モータの重要性は増し続けている。すべての電気モータの実質的な部品(component)は、固定子と回転子であり、「固定子」という用語はモータの静止部分を意味し、「回転子」という用語はモータの可動部分を意味する。
電気モータを提供する際の1つの課題は、経済的に合理的な努力の一環として、電気モータの効率、例えば、体積あたりの提供電力および/または効率係数を増加させることである。
【0003】
効率的な電気モータを提供するための1つの概念は、固定子および/または回転子、或いは、固定子および/または回転子の一部をいわゆる固定子コアまたは回転子コアとして製造することである。この場合、前記部品は、個々のいわゆるラメラから、ラメラスタックとしても知られる積層コアとして組み立てられる。「ラメラ」という用語は、電磁鋼板または電磁鋼板から取り外された成形部品を意味する。このための一般的な方法は、ラメラを打ち抜くことである。次に、ラメラスタックは、ラメラを一緒に積み重ね、それらを部分的または好ましくは完全に互いに電気的に絶縁することによって、多数の薄いラメラから組み立てられる。
【0004】
そのような部品、特にそのような積層コアの製造は、常に、ラメラを製造し、ラメラを相互接続するステップを含む。接続は、接続後、ラメラが部分的に、好ましくは完全に、互いに電気的に絶縁されるように確立されることが好ましく、これは、好ましくは、2つの隣接するラメラが電気的に相互接続されないことを意味する。
【0005】
個々のラメラは通常、パンチングによって生成される。積層コアを形成するための打ち抜かれたラメラの接続は、様々な既知の方法、例えば、ねじ込み、クリップの適用、溶接、またはパンチスタッキングによって達成することができる。しかしながら、接続プロセス中に発生する機械的作用のために、当業者に知られているこれらの製造方法のそれぞれは、接続後に優勢となる完成した板金コアの電磁特性への悪影響を伴う。特に、機械的接続で避けられない機械的応力は、少なくともある程度は、積層コア内の磁気特性および磁力線のコースに悪影響を与える可能性があり、これは直接、積層コアを構成する電気モータの効率に悪影響を与える。通常パンチスタッキング中に発生する2つ以上のラメラ間の電気的接続は、追加の損失につながる。
【0006】
ラメラへの機械的影響の悪影響を低減し、同時にラメラ間の良好な絶縁を達成するための好都合なオプションは、接続手段として接着剤を使用することである。これらの接着剤システムは、電気絶縁ワニスと同様の絶縁特性も備えている。
【0007】
当業者に知られている手順は、いわゆるベーキングワニスの使用である。打ち抜かれた電気鋼板を接着するためのベーキングワニスの使用は、例えば、特許文献1に記載されている。ベーキングワニスを使用するための1つの手順は、板金、特に板金ストリップの被覆、それに続く板金からの個々のラメラの打ち抜き、個々のラメラの互いに整列された位置決め、およびそれに続く、定義された期間および定義された温度での、結果物であるシートスタックの熱処理である。多くの場合、ラメラは、例えば、端面に、好ましくは均一な表面力で、板金コアの軸方向に、板金コアの内部に向けて力を加えることによって、熱処理中に互いに押し付けられる。典型的な反応温度は150℃から250℃であり、ベーキングワニスが反応する典型的な時間は30分から150分であり、その後の冷却段階があるが、正確なパラメータは、使用する特定のベーキングワニスと、コンポーネントおよび接着装置の形状と、に自然に依存する。固定子コアおよび/または回転子コアの優れた電磁特性は、一般にこの手順を使用して達成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】DE 38 29 068 C1
【発明の概要】
【0009】
効率をさらに向上させたいという要望に照らして、本発明の目的は、電磁エネルギーの機械的エネルギーへの変換が改善された電磁部品および電気機械を提供することにある。
【0010】
この目的は、請求項1の特徴およびその展開を有する方法によって達成される。
【0011】
本発明による方法は、以下のステップ:
A)出発材料として、金属シート、特に接着剤でコーティングされていない金属シートを提供することと、
B)金属シートから多数のラメラを打ち抜くことと、
C)ラメラを熱処理することと、
D)熱処理されたラメラを接合して、積層コアまたは積層コアの一部を形成することと、
を含む。
【0012】
これらのステップは、たとえばインラインプロセスと呼ばれる方法で実装できるが、順次通過するステーションでの実装も可能である。
【0013】
「板金」という用語は、一般に、金属材料で作られた圧延製品を意味し、軽いゲージの金属シートまたは厚いゲージの金属シートに加えて、特に、金属ストリップ、例えば、軟磁性材料、鋼ストリップ、又は電気鋼ストリップでできている製品をも意味する。
【0014】
ラメラは金属板から打ち抜かれている。ステップB)からの打ち抜きは、好ましくは、パンチングツールを使用して実施される。これは、1つ、できれば4つなどの複数のラメラを金属シートから打ち抜くためのツールである。ラメラは、好ましくは、多数の接続ウェブ、例えば3つの接続ウェブが、関連する打ち抜かれたラメラとパンチングツールへ最初に輸送された板金との間に残り、打ち抜かれたラメラがまだ板金の不可欠な部分であるように、パンチングツールを使用して打ち抜かれる。これは、インラインシステムを介して、板金、特に金属ストリップと一緒にラメラをさらに搬送できるようにするために使用される。
【0015】
ただし、ラメラは、そのパンチングによって金属シートからすぐに分離することもできる。
【0016】
本質的な発明の概念は、ラメラが打ち抜かれた後、ラメラが接合される前に、ラメラが熱処理を受けることである。熱処理とは、特に、ラメラを所定の温度または所定の温度範囲で加熱し、この温度を所定の期間保持し、好ましくは炉内でラメラをゆっくりと冷却することを指す。
【0017】
熱処理は、インラインプロセスの一部として炉セクションで実行することができ、あるいは、閉鎖炉で行われる中間ステップで実行することができる。
【0018】
本発明に従って製造された積層コアから作製された固定子および/または回転子が使用された場合、すなわち、運ばれるラメラの熱処理を伴う製造で、電気機械で発生する損失を大幅に低減できることが見出された。ラメラが打ち抜かれた後、ラメラが結合される前に。本発明者らは、これを、パンチングがラメラに内部応力および塑性変形を導入し、それらが完成した積層コアの磁力線の進路に悪影響を与えるという事実に起因すると考えている。特に、下記の材料の1つを出発材料として使用し、下記の好ましい接着剤の1つを使用する実施形態では、接着剤の高い反応性および貯蔵安定性が非常に優れた磁性材料特性に関連しているために、優れた電磁部品の製造に有利な優れた相乗効果が得られる。
【0019】
この方法の第1の代替開発では、ラメラの接合は、ラメラの数のラメラのそれぞれについて、以下のステップ:
D1)ラメラの表面に熱活性化接着剤を塗布して接着剤コーティングを形成することと、
D2)オプションで、光学検査法を使用して接着剤コーティングを検査することと、
D3)接着剤コーティングの接着剤を活性化することと、
を順次含む。
【0020】
その後、活性化された接着剤を有するラメラは、位置整列および/または角度整列された方法で重ね合わされ、それらの端面において、軸方向に作用する圧縮力を受ける。
【0021】
ステップD1)からD3)のすべては、ステップC)の後に実行され、自明であるように、順序D1)、D2)、D3)で実行される。したがって、ラメラを接合するための出発材料は、すでに熱処理されたラメラである。
【0022】
接着剤の塗布は、特に、ラメラの表面への接着剤の完全な又は実質的に完全な塗布として実施することができる。この開発の文脈では、「実質的に」という用語は、ラメラの少なくとも片面の面積の、少なくとも50パーセント、55パーセント、66パーセント、65パーセント、70パーセント、72パーセント、74パーセント、76パーセント、78パーセント、好ましくは、80パーセント、82パーセント、84パーセント、86パーセント、88パーセント、特に好ましくは、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、特に96、97、98、99、又は100パーセントが、接着剤で覆われていることを意味する。
【0023】
ラメラに塗布された接着剤は、接着剤を乾燥させるために、乾燥領域で、例えば、別個の乾燥ユニットとして、又はインラインシステムの乾燥セクションとして熱処理することができる。
【0024】
この方法の変形は、好ましくは、インラインシステムにおけるインラインプロセスとして知られている方法で実行される。ただし、熱処理後に接合を行うという本質的な側面を考慮すれば、順次行う変形も可能である。
【0025】
「インラインシステム」という用語は、いくつかの処理ステーション、すなわち少なくとも上記のものが所定の順序で配置され、インラインシステムに供給される板金、例えば電磁鋼ストリップが所定のステーションで自動的かつ順次処理されることを意味する。
【0026】
活性化は、好ましくは、赤外線を放出するための手段を使用して、接着剤コーティングを赤外線で照射することによってもたらされる。
【0027】
赤外線放射を放出するための手段は、特に、NIRエミッタとして、すなわち、NIR波長スペクトル、すなわち、780nmと3μmとの間の波長の電磁放射を放出するように設計されたランプとして、設計することができる。
【0028】
好ましい方法では、成形部品は近赤外波長域で照射され、好ましくは0.8マイクロメートルと1.2マイクロメートルとの間の波長で使用され、特に好ましくは、0.85マイクロメートルと0.9マイクロメートルとの間の波長のNIR(近赤外)放射で、発光力の最大値が達成される。
【0029】
この方法がインラインシステムで実施される場合、インラインシステムは、好ましくは、排出パンチを有する。この排出パンチは、シート表面に垂直に力を加えることによって、金属シート、特に金属ストリップにまだ接続されているラメラを、1つまたは複数のウェブによって、ウェブを分離又は接着剤が活性化された後の金属シートからウェブを分離することによって、順次分離するパンチである。
【0030】
活性化後の短い時間内に、ラメラをまとめ、その後、接着剤を乾燥させて硬化させる必要がある。
【0031】
適切な接着剤組成物を使用する場合、金属シートは、例えば、0.5秒から1秒の短い活性化時間およびわずか数秒の短い硬化時間の表面を有する。
【0032】
赤外線を放出するための手段は、(処理シーケンスに関して)パンチングツールの後ろに配置され、好ましくは、パンチングツールと排出パンチとの間に配置され、以下の:
-パンチング方向に第1のラメラ表面に向けられた少なくとも1つの上部ランプ、又は
-パンチングツールの反対側に存在する第2のラメラ表面にパンチング方向に対して向けられた少なくとも1つの下部ランプ、又は
-少なくとも1つの上部ランプと少なくとも1つの下部ランプの両方、
を有する。
【0033】
ラメラ表面でのランプの位置合わせは、必ずしも直角である必要はないが、別の角度で実行することもできる。
【0034】
第1および/または第2のラメラ表面がランプで照らされるかどうかは、当然、片面または両面にコーティングされたラメラが使用されるかどうかに依存する。第1の場合および第2の場合において、片側に接着剤コーティングを有するラメラを使用することができ、特に第3の場合において、両側に接着剤コーティングを有するラメラを使用することができ、ラメラがもう一方のスティック(stick)の上部に非常によくくっつくように配置されるという利点がある。
【0035】
この方法の第2の代替開発では、ラメラは、異なる方法で、すなわち、ラメラの数のラメラごとに、以下のステップで順次結合される。
D1)ラメラの表面に熱活性化接着剤を塗布して接着剤コーティングを形成し、オプションでその後の熱処理で接着剤コーティングを乾燥させる。
D2)オプションで、光学検査法を使用して接着剤コーティングを検査する。
D3)位置合わせおよび/または角度調整された方法でラメラを重ね合わせる。
D4)重ね合わせたラメラの端面に軸方向に作用する圧縮力を加える。
D5)少なくとも一時的に圧縮力を受ける重ねられたラメラを所定の温度で所定の時間加熱して、接着剤コーティングの接着剤を活性化する。
【0036】
必要に応じて、ステップD1)の後、およびステップD2)の前または後に、接着剤コーティングを乾燥ステーションで熱乾燥させることができる。
【0037】
この方法の第2の代替開発は、特に、適用された接着剤が、個々のラメラが一緒になる前に、例えば赤外線放射による個々のラメラの熱活性化によって活性化されないという点で、第1の代替開発とは異なるが、熱活性化は、ラメラが集められた後、つまり炉内でラメラを加熱することによって行われる。
【0038】
代替の開発の両方において、熱的に活性化された接着剤は、好ましくは、ラメラに適用される水性分散液として接着剤を提供することによって適用される。適用は、好ましくは噴霧によって実施されるが、特に反対方向に回転するロールを用いたロールツーロール法による適用も可能である。
【0039】
接着剤の塗布は、特に、ラメラの表面への接着剤の完全なまたは実質的に完全な塗布として実施することができる。この開発の文脈では、「実質的に」という用語は、ラメラの少なくとも片側の面積の、少なくとも50パーセント、55パーセント、60パーセント、65パーセント、70パーセント、72パーセント、74パーセント、76パーセント、78パーセント、好ましくは80パーセント、82パーセント、84パーセント、86パーセント、88パーセント、特に好ましくは90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、特に96、97、98、99または100パーセントが、接着剤で覆われていることを意味する。
【0040】
ラメラに塗布された接着剤は、接着剤を乾燥させるために、乾燥領域で、例えば、別個の乾燥ユニットとして、またはインラインシステムの乾燥セクションとして熱処理することができる。
【0041】
これは、既知のベーキングワニス法と同様の手順であり、接着剤を活性化する手順の点で最初の代替方法とは異なる。
【0042】
ステップD5において、所定の時間は、好ましくは10分と60分との間、特に好ましくは10分と40分との間である。
【0043】
ステップD5において、100℃と250℃との間、好ましくは100℃と200℃との間、特に好ましくは100℃と150℃との間の温度が、所定の温度として提供される。
【0044】
上で説明した両方の代替開発において、電気部品、固定子コア、または固定子コアの一部は、打ち抜かれた後、接着される前に、熱処理されたラメラを一緒に接着することによって製造される。これは、熱処理の結果としての個々のラメラの磁気的挙動の上記の改善を組み合わせたものであり、これは、本発明者らによる調査によれば、特にラメラのエッジ領域における応力低減および/または再結晶または粒子拡大によるものであり、形状の恒久的な変化、ラメラの電気的相互接続、または電気部品または固定子コアの1つまたは複数のラメラへの圧力の作用なしには生じないラメラを接合する方法を伴う。その結果、電気機械、特に高効率、特に高効率係数の電気モータでの使用に非常に適した電気部品、特に固定子コアまたは積層コアが提供される。
【0045】
この方法の開発において、少なくとも1つの電磁部品は、前述の方法の1つを使用して生成され、少なくとも1つの電磁部品は、従来の方法を使用して生成される。これにより、電磁部品の特性を必要に応じて設定できるように電気機械を製造することができる。たとえば、高速で高効率の電気モータの場合、ロータはパンチスタックされているため、少なくとも出発材料の元の機械的特性を備えているため、ここに関連する塑性変形や破裂に対して高い(操作上の)強度を有する。一方、固定子は、上記の方法を使用して焼きなましおよび接着されるため、ここで関連する損失が最も低くなる。
【0046】
言い換えれば、本発明またはその開発の1つによる方法を使用して製造される第1の電磁部品と、従来の方法を使用して製造される、すなわち、特に金属シートから打ち抜かれおよび接合、特に接着、例えば、本発明による方法のステップC又はパンチアウト後で結合前のその開発の1つと同様にラメラの熱処理を実施することなく、例えばベーキングワニス接着によって接合された、ラメラから製造される第2の電磁部品と、を有する電気機械を提供することができる。これは、ステップC)の第1の電磁部品が熱処理されたラメラを有し、第2の電磁部品が打ち抜き後に熱処理されていないラメラを有することを意味する。特に、第1の電磁部品は、電気機械の固定子とすることができ、第2の電磁部品は、電気機械の回転子とすることができる。そのような手順は、固定子が本発明に従って達成することができる優れた電磁特性を有するという利点を有するが、回転子の場合、回転部品としての回転子にとって重要な機械的特性の低下は、アニーリングが行われないため、特定の強度は回避される。
【0047】
次のステートメントは、第1の代替開発、第2の代替開発、およびそれらのすべての変形と改良とに適用される。
【0048】
ステップD2における接着剤コーティングの検査は、好ましくは、光学的検査方法を使用して実施される。特に、この方法は、光学検査法が接着剤コーティングの十分に均一な厚さ分布を検出した場合にのみラメラが接合プロセスで使用されるように自動化することができ、そうでない場合、ラメラはリジェクトとして方法から除去される。
【0049】
光学的検査方法については、熱画像カメラを用いて、接着剤コーティング、好ましくはまだ乾燥していない接着剤コーティングの熱画像を捕捉することが特に好ましい。このようにして、接着剤で十分にコーティングされていないサンプルのみを確実に検出することができ、積層コアの十分な機械的安定性を確保することができる。サンプルが不適切にコーティングされていると見なされる場合は、本発明の実施を任務とする当業者の裁量であり、本発明による方法の記載された開発の基本的な機能とは無関係である。
【0050】
ラメラを位置整列および/または角度整列した方法で重ね合わせるために、ラメラは、好ましくは、位置決め領域が配置されている受容装置に挿入される。位置決め領域は、位置決め領域に導入されたラメラを、すでにそこに存在するラメラに対して、位置決め整列または角度整列の方法で配置するために使用され、最終的に、互いに整列され、活性化された接着剤を提供するラメラのスタックをもたらす。
【0051】
位置決め領域は、例えば、成形部品の断面に実質的に対応し、意図された位置決めでそれと位置合わせされる側面断面を有する円筒形中空管として例えば設計される円筒形管とすることができる。必要な圧縮力を発揮するために、ラメラスタックの端面に軸方向の力を加える圧力ラムが提供される。
【0052】
重ねられたラメラに軸方向に作用する圧縮力を加えることは、ラメラ表面に垂直な方向に加えられる圧縮力を好ましくは均一な表面圧力で加えて、結合されたラメラのスタックの端面上で個々のラメラを互いに圧縮することを意味する。
【0053】
金属シートは、好ましくは電磁鋼ストリップから作製されたパネルであるか、または電気鋼ストリップであり、金属シートは、特に好ましくは、無方向性電磁鋼ストリップからなる。
【0054】
Feおよび不可避の不純物に加えて、以下の
0.1~3.50 Si、
0.01~1.60 Al、
0.07~0.65 Mn、
オプションで最大0.25のP、
の元素(すべての数値は重量%である)を含む材料を使用することが好ましい。
【0055】
本出願の範囲内で金属合金を指定する場合、不可避の不純物を含むすべての成分(constituents)の重量%の数値は、合計で100重量%になることが理解される。
【0056】
材料は、好ましくは、鉄および不可避の不純物に加えて、以下の
0.1~3.50 Si、
0.01~1.60 Al、
0.07~0.65 Mn、
オプションで最大0.25のP、
の元素(element)(すべての数値は重量%である)を含む非結晶性鋼である。
【0057】
特に好ましくは、上記の1つに加えて、以下の
2.3~3.40 Si、
0.3~1.1 Al、
0.07~0.250 Mn、
オプションで0.030までのP、残りのFeおよび避けられない不純物、
を含む条件も満たされる(すべての数値は重量%である)。
【0058】
無方向性(non-grain-oriented)電磁鋼ストリップまたは無方向性電磁鋼板は、好ましくは、DIN EN60404-2に従って決定された、P1.0;0.7~7W/kgの範囲の50HzでのおよびP1.5;1.8~15W/kgの範囲の50Hzでの特定のコア損失、および/または、1.45T~1.71Tの範囲のJ2500でのおよび1.6T~1.8Tの範囲のJ5000での分極を有する。
【0059】
より好ましい実施形態では、無方向性電磁鋼ストリップまたは無方向性電磁鋼板は、DIN EN60404-2に従って決定された、P1.0;0.8~3.5W/kgの範囲の50HzでのおよびP1.5;1.9~8.0W/kgの範囲の50Hzでの特定のコア損失、および/または、1.47T~1.71Tの範囲のJ2500でのおよび1.58T~1.80Tの範囲のJ5000での分極を有する。
【0060】
さらに好ましい実施形態では、無方向性電磁鋼ストリップまたは無方向性電磁鋼板は、DIN EN60404-2に従って決定された、P1.0;1.0~1.5W/kgの範囲の50HzでのおよびP1.5;2.2~3.3W/kgの範囲の50Hzでの特定のコア損失、および/または、1.47T~1.57Tの範囲のJ2500でのおよび1.58T~1.65Tの範囲のJ5000での分極を有する。
【0061】
無方向性電磁鋼ストリップまたは無方向性電磁鋼板は、好ましくは、DIN EN60404-2に従って決定された、P1.0;8~120W/kgの範囲の400HzでのおよびP1.5;18~360W/kgの範囲の400Hzでの特定のコア損失、および/または、1.45T~1.75Tの範囲のJ2500でのおよび1.45T~1.85Tの範囲のJ5000でのおよび1.50~1.95Tの範囲のJ10,000での分極を有する。
【0062】
さらに好ましい実施形態では、材料は、DIN EN60404-2に従って決定された、P1.0;10~25W/kgの範囲の400HzでのおよびP1.5;25~49 W/kgの範囲の400Hzでの特定のコア損失、および/または、1.45T~1.75Tの範囲のJ2500でのおよび1.45T~1.85Tの範囲のJ5000でのおよび1.50~1.95Tの範囲のJ10,000での分極を有する。
【0063】
無方向性電磁鋼ストリップまたは無方向性鋼板は、好ましくは、標準的な通常の条件下で、190~610MPaの長手方向の降伏点および310~740MPaの最大引張強度を有し、DIN EN ISO 6892-1に従って測定された破断点A80で6~48%の最小伸び、および100~250の硬度Hv5を有する。
【0064】
特に好ましい実施形態では、材料は、室温での長手方向の降伏強度が310~600MPaであり、最大引張強度が400~640MPaであり、DIN EN ISO 6892-1に従って測定された破断点A80で7~32%の伸び、および130~250の硬度Hv5を有する。
【0065】
この材料は、好ましくはP1.0;5~17%の範囲の400Hzで異方性を有する。
【0066】
出発材料はまた、Feおよび不可避の不純物に加えて、
0.1~4.0 Si、
0.01~2.60 Al、
0.07~3.0 Mn、
オプションで最大0.5までのP、
オプションで最大0.015までのB、
オプションで最大0.2までのSb、
オプションで最大0.01までのZn、
オプションで最大5までのCr、
オプションで最大5までのNi、
オプションで最大0.25までのV、
オプションで最大0.5までのSn、
オプションで最大0.01までのAs、
オプションで最大0.3までのNb、
オプションで最大0.5までのW、
オプションで最大0.85までのZr、
オプションで最大0.2までのMo、
オプションで最大1.0までのCu、
オプションで最大0.5までのTi、
オプションで最大0.5までのC、
オプションで最大0.01までのCe、
(すべての数値は重量%である)からなる軟磁性材料とすることができる。
【0067】
厚さが0.05と2.5mmとの間の板金、特に電磁鋼ストリップが適切であり、好適に使用されるために、厚さは0.1と1.0mmとの間が好ましい。電気機械の用途に応じて、0.5と1.0mmとの間の厚さが特に好ましい。
【0068】
一実施形態によれば、熱処理は、応力緩和焼鈍として実施される。これは、特に、ラメラが、それぞれの場合に使用される材料のAc1温度よりも低い温度または温度範囲内の温度に加熱されることを意味する。例えば、200℃~650℃との間の温度を前記温度として提供することができる。加熱はゆっくりと行われる。たとえば、1分あたり10ケルビン未満の均一な加熱が行われる。その後、温度は通常、より長い期間、例えば、少なくとも30分、好ましくは少なくとも1時間維持され、その後、徐冷、例えば、不活性ガス雰囲気下および/または空気中での冷却が行われる。出発材料として使用される金属シートがすでに所望の粒径を有する場合、応力緩和焼鈍が最も適切な方法である。
【0069】
あるいは、熱処理はソフトアニーリングとして実施することができる。加熱はゆっくりと行われる。たとえば、1分あたり10ケルビン未満の均一な加熱が行われる。その後、温度は、より長い期間、例えば、少なくとも1分、好ましくは1時間から7時間の間、より好ましくは1.4時間から4時間の間維持され、その後、徐冷、例えば不活性ガス雰囲気下および/または空気中での冷却が行われる。あるいは、再結晶焼鈍として熱処理を行うこともできる。加熱はゆっくりと行われ、たとえば、1分あたり10ケルビン未満の均一な加熱が行われる。その後、温度は、より長い期間、例えば、少なくとも30分、好ましくは1時間から7時間の間、より好ましくは1.5時間から4時間の間維持され、その後、ゆっくりと冷却され、例えば、不活性ガス雰囲気下で冷却され、又は温度に応じて、空気中で行われる。温度および温度に基づく保持時間は、好ましくは、粒子成長が望まれるかどうか、およびどの出発材料(合金、グレード、粒子サイズ、形状など)に対してどの目標粒子サイズが望まれるかに応じて選択される。
【0070】
アニーリングステップについて上で定義された温度および時間の仕様は、アニーリング炉での連続的な熱処理ステップとして実行される熱処理に関連している。アニーリングが連続プロセスで実行される場合、アニーリング条件はもちろん適合されなければならず、これは当業者にとって問題ではない。
【0071】
ラメラの両方の表面は、特に好ましくは、熱活性化接着剤でコーティングされ、その結果、ラメラが接合されるときに、一方の接着面が他方の接着面に隣接し、非常に良好な接着性の利点がある。
以下の
-60重量部の固体樹脂形態に基づくエポキシ樹脂、
-0.5~15重量部の潜在硬化剤、
-1~15重量部の潜在的加速器、
を含む接着剤が好ましく使用される。
【0072】
接着剤は、好ましくは1~10重量部の潜在硬化剤、特に好ましくは2~5重量部の潜在硬化剤を有する。
【0073】
「潜在的硬化剤」という用語は、エポキシ樹脂を硬化させるために使用されるが、特に化学的および/または熱エネルギーを供給することによって硬化のために活性化されなければならない物質を意味する。潜在的硬化剤は、例えば、粉末形態の固体として接着剤に添加される。
【0074】
「潜在性促進剤」という用語は、潜在的硬化剤によるエポキシ樹脂の硬化を促進する物質を意味する。促進剤に関連する属性「潜在的」は、促進剤がその機能を果たすために、化学的および/または熱エネルギーによっても事前に活性化されなければならないという事実に関連している。潜在的促進剤は、例えば、粉末形態の固体として接着剤に添加される。
【0075】
上記の組成物は、特定の重量部で固体として存在する成分の混合物であって、適切な液体との分散液および/または溶液中で、接着剤カバーを形成することができる接着剤になる接着剤混合物を形成するものに関する。使用可能な状態で、すなわち被覆に適した形態で、特定の成分を有する接着剤は、好ましくは、分散媒体中の上記組成物の分散体として、特に水性分散液として存在する。
【0076】
ラメラは熱活性化接着剤でコーティングされているため、非常に高品質の電磁部品、特に固定子コアまたは回転子コアを柔軟に製造できる。接着剤は最初に熱的に活性化されなければならないので、接着剤機能は、例えばパンチングによってラメラが板金から除去された後の所望の時点でまたは所望の方法ステップにおいて接着剤でコーティングを実行することができる。活性化後の短い時間内に、ラメラをまとめてから、接着剤を乾燥させて硬化させる必要がある。これは、欠陥がなく、剥離がなく、幾何学的に正確で、機械的に安定したコアを作成する唯一の方法である。
【0077】
上記のような接着剤組成物では、ラメラはそれぞれ、例えば、0.5秒から1秒の短い活性化時間、およびわずか数秒の短い硬化時間の表面を有する。これらの特性は、比較的高い耐熱性、比較的高い絶縁性、およびエージング能力と密接に関連している。
【0078】
本発明に従って使用される接着剤中に存在するエポキシ樹脂は、2つ以上のエポキシ基を有する1つ以上のエポキシ樹脂成分を含み、そのうちの少なくとも1つのエポキシ樹脂は、50℃を超える軟化点を有することが好ましい。
【0079】
エポキシ樹脂は、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族エポキシ樹脂とすることができる。脂肪族エポキシ樹脂は、脂肪族基と少なくとも2つのエポキシ樹脂基の両方を担持する成分を含む。本発明の好ましい実施形態では、エポキシ樹脂はビスフェノールAエポキシ樹脂である。
【0080】
使用される潜在的硬化剤は、好ましくは80℃から200℃の範囲の温度で接着剤のエポキシ樹脂と硬化反応に入る物質または物質の混合物である。
【0081】
硬化剤は、ジシアンジアミド、アジリジン誘導体、トリアジン誘導体、イミダゾリン、イミダゾール、o-トリルビグアニド、環状アミジン、有機ヘキサフルオロアンチモネートまたはヘキサフルオロホスフェート化合物、又はBF3アミン錯体を含むことができる。化合物は、個別に又は組み合わせて使用することができる。
【0082】
一実施形態では、接着剤は、1~10重量部の潜在的促進剤、好ましくは1~5重量部の潜在的促進剤、特に好ましくは2~5重量部の潜在的促進剤、非常に特に好ましくは2~4重量部の潜在的促進剤を含むことができる。
【0083】
別の好ましい実施形態では、接着剤はさらに0.2~8重量部、好ましくは0.2~4重量部の吸収添加剤を有する。このさらなる概念に従って提供することができる吸収添加剤は、ランプブラックのグループおよび/または水溶性染料のグループから選択される。
【0084】
吸収添加剤という用語は、熱放射を吸収する物質を意味する。熱放射を吸収する物質は、特に、電磁放射によって、特に赤外線(IR)波長範囲、好ましくは近赤外線(NIR)波長範囲の光を照射することによって、接着剤の熱活性化が行われる方法のより効率的な使用を可能にするという利点に関連している。
【0085】
接着剤は、好ましくは、当業者に知られている1つまたは複数の絶縁添加剤を含み、「絶縁添加剤」という用語は、接着剤の電気抵抗を増加させるために特別に提供される添加剤を指す。絶縁添加剤は、1~10重量部、好ましくは1ないし5重量部の量で、接着剤に含ませることが可能である。
潜在的促進剤は、好ましくは尿素誘導体を有する。
【0086】
特に好ましくは、尿素誘導体は、N、N-ジメチル尿素またはN、N’-ジメチル尿素または二官能性尿素誘導体であり、官能基として2つの尿素基を使用することが好ましく、非常に特に好ましくは、4,4’-メチレン-ビス-(フェニルジメチル尿素)、または上記のいくつかの混合物である。
【0087】
接着剤に含まれる潜在的促進剤は、好ましくは少なくとも50重量%の、より好ましくは少なくとも90重量%の、さらにより好ましくは少なくとも98重量%の、特に好ましくは完全に4,4’-メチレン-ビス-(フェニルジメチル尿素)からなる。
【0088】
接着剤コーティングは、片面または両面のラメラに塗布することができる。両面に接着剤コーティングが適用される場合、コーティングの厚さは同じでもよいが、異なる厚さを提供することもできる。
【0089】
接着剤コーティングの好ましい厚さ、すなわち、片面接着剤の場合は片面のコーティングの厚さ、または両面接着剤コーティングの場合は両側の接着剤コーティングの合計の厚さは、1マイクロメートルと20マイクロメートルとの間、好ましくは2マイクロメートルと10マイクロメートルとの間、特に好ましくは4マイクロメートルと8マイクロメートルとの間である。
【0090】
有利に使用することができる指定された接着剤のすべては、特にそれらが水性分散液として提供され、したがって、例えば噴霧によるラメラへの適用に適しているという点で有利である。
【0091】
接着剤の反応性が高いため、ラメラを接合するために接着剤コーティングへの比較的短くて低い入熱のみが必要であることも特に有利である。したがって、特に本発明によるステップC)が決定的であり、および依然としてラメラの機械的特性のために決定的であり、したがって、完成したコンポーネントの機械的特性は、単一のステップを最適化することによって大部分を決定的に調整することができる。
【0092】
たとえば、電磁的、機械的、および熱的な機械設計、異なる板金を選択する可能性、ラメラ設計の構築の自由度の向上、および可能なコンポーネントの公差と媒体および/または熱ガイダンスに関する利点などの利点が考えられる。部品と機械の製造(たとえば、コンパクトでソリッドな部品を扱う場合)および機械加工の面でも、さらなる利点がある。本発明またはその開発の1つによる板金の1つを備えた電気機械におけるさらなる利点は、より高い性能および効率、より小さな必要な設置スペース、より良い幾何学的特性(例えば、特に一定の表面圧力で、ストップに対する再圧縮によって達成することができ、電磁部品のより優れた寸法安定性という利点がある)、および設計によっては音響上の利点がある。
【0093】
表面検査システムは、コーティングステーションのすぐ下流に配置してよく、例えば、熱画像カメラ、任意選択で、コーティングプロセスを監視し、副産物として、より大きな欠陥または電磁鋼ストリップの穴に関する追加の品質管理を可能にする層厚測定システムを配置してよい。穴を検出するために、光源をラメラホルダに組み込むこともでき、これにより、穴がある場合、センサが穴を検出し、プロセスからラメラを自動的に排出する。
【0094】
ポジショニングステーションには、センサを介して影響と測定変数を記録し、データベースに保存するため、またはインターフェースを介して別のシステムに転送するために、コアの電磁特性をチェックするための測定コイルを含めることができる。さらに、例えば、ラメラまたは電気部品の識別番号が、レーザによって接着剤コーティングに刻印されている場合がある。
【0095】
積層コアの縁または側面上の接着性残留物を除去するために、積層コアの縁は、前記コアを製造するための方法に従って洗浄することができる。洗浄は、化学的および/または機械的に行うことができる。
本発明の主題のさらなる詳細、特徴、および利点は、例として本発明の実施形態を示す図面に関連する以下の説明から生じる。
【0096】
言うまでもなく、上記および下記の機能は、示された組み合わせだけでなく、他の組み合わせまたは単独で使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
図面において、
図1】一実施形態としての本発明の第1の開発を概略的に示す説明図である。
図2】一実施形態としての本発明の代替の開発を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
図1は、無方向性電磁鋼ストリップとして設計された金属シート1が出発材料として提供されることを概略的に示す。多数のラメラ2は、パンチングツール4を用いて金属シートから打ち抜かれ、本実施形態ではスタック3に集められる。打ち抜き後、ラメラを炉5で熱処理する。熱処理の正確な方法は当業者の裁量であり、特に出発材料に依存する。結晶粒成長がもはや望ましくない場合、熱処理は、特に、当業者に知られている応力緩和焼鈍、すなわち、Ac1未満の温度範囲でのゆっくりとした加熱であり、例えば、60分、この温度範囲で長期間保持され、室温からゆっくりと冷ましていく。熱処理を行うことにより、特にエッジ領域での打ち抜きによって依然として存在する残留応力が除去されるか、または少なくとも大部分が除去される、ラメラが得られる。このようにして得られたラメラを用いて、熱処理されたラメラを接合して積層コアまたは積層コアの一部を形成することができる。ラメラの接合のために、ラメラの数の各ラメラは、コンベヤーベルトによって異なる処理ステーションに順次運ばれる。第1のワークステーション6では、水性分散液の形態の接着剤が、スプレー装置6’によって表面全体に塗布される。次に、ラメラには熱的に活性化された接着剤コーティングが施されている。コーティングの直後に、試験ステーション7は、熱画像カメラ7’および接続された評価装置を使用して、塗布されたコーティングに欠陥が十分にないことを確認し、必要に応じて、不合格品を廃棄する。オプションで、接着剤コーティングを乾燥させるために乾燥ステーションを設けることもできる。
【0099】
次に、十分に欠陥のないコーティングが提供されたラメラは、接着剤コーティングの接着剤を活性化するために、NIR放射のNIR照射装置8’の下の活性化ステーションで、好ましくは5kWと20kWとの間の放出電力で照射される。
【0100】
接着剤が活性化された後、活性化された接着剤を有するラメラは、位置整列および/または角度整列された方法で3’に重ね合わされる。次に、圧力ラム9は、ラメラスタック3’の端面に圧縮力を加え、その力は、積層されたコアを軸方向に圧縮する。好ましくは、軸方向に加えられる力が端面のすべての点で同じになるように、均一な表面圧力が加えられる。
【0101】
別の実施形態を図2に示す。これは、起動ステーション8が提供されていないという点で、図1に示されている実施形態とは異なる。代わりに、ステーション6でコーティングされ、ステーション7で検査されたラメラの数が、位置調整および/または角度調整された方法で重ね合わされ、ラメラは加熱され、接着剤を活性化するのに十分長い時間、例えば少なくとも30分間、炉9内で100℃と250℃との温度に維持される。ラム9で圧力を加えることによる積層コアの圧縮が同時に行われる。
【0102】
方法全体がインラインまたは連続プロセスで実行される実施形態は、図1および図2に示される方法と同等である。特に、スタック3にはラメラの集まりはなく、むしろラメラは、1つまたは複数のウェブ、特に金属シートを輸送することによってプロセスを通して輸送されるために金属シート上の3つのウェブに付着したままである。さらに、例えば、炉5の代わりに連続炉を使用することができ、ラメラは、ステップ8(図1)またはステップ7(図2)の後に、当業者に知られているいわゆる排出パンチを使用してウェブを分離することによって、金属シートから除去することができる。本発明に従って必要とされる、または開発に必要とされる境界条件が当業者によって実施される限り、プロセスは機能的に同等である。
図1
図2