(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】履帯型車両の履帯用の駆動輪の構造
(51)【国際特許分類】
B62D 55/135 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
B62D55/135
(21)【出願番号】P 2021569227
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(86)【国際出願番号】 SE2020050566
(87)【国際公開番号】W WO2020251449
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521503857
【氏名又は名称】ビーエーイー システムズ ハッグルンズ アクチエボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ゼーダーシュトレーム,グスタフ
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/051003(WO,A1)
【文献】特開2013-001127(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 55/135
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履帯型車両(V)の履帯(E)用の駆動輪(DW)の構造(A)であって、前記駆動輪(DW)は、ハブ部材(H)と、前記ハブ部材(H)に取り付けられた駆動スプロケット部材(S1、S2)とを備え、前記駆動スプロケット部材(S1、S2)は、リング状の駆動スプロケット(10)を備え、前記駆動スプロケット(10)の円周上に1組の歯(12)が配置され、前記駆動スプロケット(10)は、前記履帯(E)と係合するように構成され、前記駆動スプロケット部材(S1、S2)は、前記駆動スプロケット(10)用の支持部材(20)をさらに備え
る構造(A)であって、前記駆動スプロケット(10)は、少なくとも2つの円弧状の駆動スプロケット部品(10A、10B)に分割され、各駆動スプロケット部品(10A、10B)は、前記履帯(E)に対する駆動スプロケット部品の非係合状態で、交換可能に構成され、前記構造(A)は、前記駆動スプロケット(10)の再組み立てを容易にするための、前記支持部材(20)の周りに円周方向に分配された第1の案内部材(G1)と、前記それぞれの駆動スプロケット部品(10A、10B)の周りに円周方向に分配された第2の案内部材(G2)とを備える案内構成(G1、G2)を備え
、前記第1及び第2の案内部材(G1、G2)の一方が凹部(G2)であり、前記第1及び第2の案内部材(G1、G2)の他方が、前記凹部(G2)と係合するように構成された突出部(G1)であり、前記凹部(G2)が円周方向に延びる溝であり、前記突出部(G1)が円周方向に延びる隆起部であることを特徴とする、構造(A)。
【請求項2】
前記第1及び第2の案内部材(G1、G2)の一方が、前記支持部材(20)の一方の側(10c)に配置され、前記第1及び第2の案内部材(G1、G2)の他方が、前記それぞれの駆動スプロケット部品(10A、10B)に
、前記支持部材(20)に対向して配置される、請求項
1に記載の構造。
【請求項3】
前記駆動スプロケット(10)が分割された円弧状の各駆動スプロケット部品(10A、10B)が、第1の端部部分(10e)及び第2の端部部分(10f)を有し、駆動スプロケット部品の各端部部分は、前記駆動スプロケット(10)を形成するように、別の駆動スプロケット部品の端部部分と接続するように構成され、前記構造(A)は、前記駆動スプロケット(10)の再組み立てを容易にするための、駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第1の接続部材(C1)と、前記第1の接続部材(C1)と接続するように意図された別の駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第2の接続部材(C2)とを備える接続構成(C1、C2)をさらに備える、請求項1
又は2に記載の構造。
【請求項4】
前記第1及び第2の接続部材(C1、C2)の一方が凹部(C1)であり、前記第1及び第2の接続部材(C2)の他方が、前記凹部(C1)と係合するように構成された突出部(C2)である、請求項
3に記載の構造。
【請求項5】
前記駆動輪(DW)が、前記ハブ部材(H)の外側に配置された外側駆動スプロケット部材(S1)と、前記ハブ部材(H)の内側に配置された内側駆動スプロケット部材(S2)とを備える、請求項1~
4のいずれか一項に記載の構造。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の構造を備えた車両(V)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、履帯型車両の履帯用の駆動輪の構造に関する。また本発明は、そのような構造を有する駆動輪を備える履帯型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
履帯型車両は、その両側に履帯アセンブリを備え得る。各履帯アセンブリは、駆動輪と、テンションホイールと、それらの間にある1組の路面ホイールとを備える1組の車輪の上を走るように配置された履帯を備える。
【0003】
駆動輪は、ハブ部材と、ハブ部材のそれぞれの側に接続された内側駆動スプロケット及び外側駆動スプロケットとを備え得る。
【0004】
駆動輪の摩耗は、そのような履帯型車両が使用される環境に依存して、比較的大きくなることがある。ゴム製の履帯を使用する場合、駆動輪の交換は作業場で行う必要があり、作業場で駆動輪の各駆動スプロケットを取り外す必要がある。したがって、履帯型車両が作業場にアクセスできないときに、駆動スプロケットの摩耗のために駆動輪を交換する必要がある場合、問題のある状況が発生する可能性がある。
【0005】
駆動輪のメンテナンスを容易にする履帯用の駆動輪の構造を提供する必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の目的
本発明の目的は、駆動輪のメンテナンスを容易にする履帯用の駆動輪の構造を提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、そのような構造を備えた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の概要
以下の記載から明らかなこれら及び他の目的は、添付の独立請求項に記載されているような構造及び車両によって達成される。構造の好ましい実施形態は、添付の従属請求項で定義される。
【0009】
本発明によれば、目的は、履帯型車両の履帯のための駆動輪の構造によって達成される。駆動輪は、ハブ部材と、ハブ部材に取り付けられた駆動スプロケット部材とを備える。前記駆動スプロケット部材は、リング状の駆動スプロケットを備え、1組の歯が前記駆動スプロケットの円周上に配置されている。前記駆動スプロケットは、前記履帯と係合するように構成されている。前記駆動スプロケット部材は、前記駆動スプロケットのための支持部材をさらに備える。前記駆動スプロケットは、少なくとも2つの円弧状の駆動スプロケット部品に分割されており、各駆動スプロケット部品は、前記履帯に対する駆動スプロケット部品の非係合状態において、交換可能に構成されている。前記構造は、駆動スプロケットの再組み立てを容易にするために、支持部材の周囲に円周方向に分配された第1の案内部材と、それぞれの駆動スプロケット部品の周囲に円周方向に分配された第2の案内部材とを備える案内構成を備える。
【0010】
このような案内構成を提供することにより、駆動スプロケットの組み立て/再組み立てに関連した半径方向の制御が得られる。支持部材のそのような第1の案内部材と、それぞれの駆動スプロケット部品の第2の案内部材とによって、駆動スプロケット、ひいては各駆動スプロケット部品は、駆動スプロケット部品の支持部材への組み立て/再組み立ての際に、支持部材に対して正しい半径方向の位置に導かれることができる。したがって、これにより駆動輪のメンテナンスが容易になる。さらに、そのような案内構成は、駆動輪が履帯型車両に組み付けられたときに、駆動輪の半径方向の負荷を引き受ける。また、そのような案内構成は、駆動輪の製造を容易にし得る。このようにしてそのような分割された駆動スプロケットを提供することにより、駆動スプロケットの組み立て/再組み立てに関連した半径方向の制御が得られ、スプロケット部品が支持部材に対してどのように回転するかとは無関係に組み立てられるという点で、駆動輪のメンテナンスが容易になり、車両の休止時間の短縮が容易になる。
【0011】
構造の一実施形態によれば、前記第1及び第2の案内部材の一方は凹部であり、前記第1及び第2の案内部材の他方は、前記凹部と係合するように構成された突出部である。これにより、支持部材上でスプロケット部品を組み立てる/再組み立てする際に、スプロケット部品の案内が容易になる。これにより、支持部材に対するそれぞれのスプロケット部品の正しい半径方向の位置が促される。
【0012】
構造の一実施形態によれば、前記凹部は円周方向に延びる溝であり、前記突出部は円周方向に延びる隆起部である。これにより、支持部材上でスプロケット部品を組み立てる/再組み立てする際の、スプロケット部品の案内が容易になる。これにより、支持部材に対するそれぞれのスプロケット部品の正しい半径方向の位置が促される。このように、突出部と凹部を円周方向に延ばすことで、スプロケット部品を、支持部材に対してどのように回転させるかに関係なく組み立てることができる。
【0013】
構造の一実施形態によれば、前記第1及び第2の案内部材の一方は、支持部材の一方の側に配置され、前記第1及び第2の案内部材の他方は、それぞれの駆動スプロケット部品に対向して配置される。これにより、支持部材上でスプロケット部品を組み立てる/再組み立てする際のスプロケット部品の案内が容易になる。これにより、支持部材に対するそれぞれのスプロケット部品の正しい半径方向の位置が促される。
【0014】
前記構造の一実施形態によれば、駆動スプロケットが分割された各円弧状の駆動スプロケット部品は、第1の端部部分と第2の端部部分とを有し、駆動スプロケット部品の各端部部分は、前記駆動スプロケットを形成するように、別の駆動スプロケット部品の端部部分と接続するように構成され、前記構造は、前記駆動スプロケットの再組み立てを容易にするための、前記駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第1の接続部材と、前記第1の接続部材と接続するように意図された別の駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第2の接続部材とを備える接続構成をさらに備える。このような接続構成を提供することで、駆動スプロケットの組み立て/再組み立てに関連した半径方向及び軸方向の制御が得られる。駆動スプロケット部品の端部部分のこのような第1及び第2の接続部材によって、駆動スプロケットの駆動スプロケット部品が駆動輪の支持部材上に適用されたときに互いに正しく整列するように、駆動スプロケット部品の支持部材への組み立て/再組み立ての間に、駆動スプロケット部品を互いに正しい位置に容易に導くことができる。
【0015】
構造の一実施形態によれば、前記第1及び第2の接続部材の一方は凹部であり、前記第1及び第2の接続部材の他方は、前記凹部と係合するように構成された突出部である。これにより、支持部材上でスプロケット部品を組み立てる/再組み立てする際に、スプロケット部品を相対的に案内することが容易になる。これにより、スプロケット部品の半径方向及び軸方向の両方の相対的な正しい位置合わせが容易になる。
【0016】
構造の一実施形態によれば、前記駆動輪は、前記ハブ部材の外側に配置された外側駆動スプロケット部材と、前記ハブ部材の内側に配置された内側駆動スプロケット部材とを備える。
【0017】
本発明によれば、目的は、本明細書に記載されたような構造を備える履帯型車両によって達成される。
【0018】
図面の説明
本発明のより深い理解のために、以下の詳細な記載が、添付の図面と併せて読まれる場合に参照され、ここで同様の参照文字は、いくつかの図を通して同様の部品を指している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本開示の一実施形態による履帯型車両の側面図を概略的に示す。
【
図2】本開示の一実施形態による履帯型車両の履帯アセンブリの側面図を概略的に示す。
【
図3a】本開示の一実施形態による履帯アセンブリの履帯用の駆動輪を示す、
図2の履帯アセンブリの断面図を概略的に示す。
【
図3b】本開示の一実施形態による履帯アセンブリの履帯用の駆動輪を示す、
図2の履帯アセンブリの断面図を概略的に示す。
【
図4】本開示の一実施形態による、
図3bの駆動輪及び履帯の一部の斜視図を概略的に示す。
【
図5】本開示の一実施形態による、
図4の駆動輪の一部の斜視図を概略的に示す。
【
図6a】本開示の一実施形態による、
図5の駆動輪の一部の断面図を概略的に示す。
【
図6b】本開示の実施形態による、
図6aの駆動輪の一部の一部の断面図を概略的に示す。
【
図7】本開示の一実施形態による円弧状の駆動スプロケット部品の斜視図を概略的に示す。
【
図8a】本開示の一実施形態による
図7の円弧状の駆動スプロケット部品の側面図を概略的に示す。
【
図8b】本開示の一実施形態による
図7の円弧状の駆動スプロケット部品の正面図を概略的に示す。
【
図8c】本開示の一実施形態による
図7の円弧状の駆動スプロケット部品の後面図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本明細書中、「ゴム製履帯」に関連する「ゴム」という用語は、ゴム、エラストマー、又はゴムとエラストマーの組み合わせなど、あらゆる弾性材料のことをいう。
【0021】
本開示の一態様によれば、履帯型車両の履帯のための駆動輪の構造が提供される。この構造は、履帯型車両の駆動輪の駆動スプロケットの交換及び再組み立てを容易にするための構造である。この構造は、駆動輪のそれぞれの駆動スプロケット部品の交換及び再組み立てを容易にするための構造である。
【0022】
そのような履帯型車両は、車両を駆動するための右側履帯アセンブリ及び左側履帯アセンブリを備え得る。このような履帯型車両は、代替的に、単一の履帯アセンブリを有する履帯型車両であり得る。各履帯アセンブリは、駆動輪、テンションホイール、1組の路面ホイール、及び前記ホイールの上を走るように配置された履帯を備え得る。それぞれの履帯アセンブリの履帯は、前記駆動輪によって駆動され、したがって回転されるように配置され得る。履帯型車両は、前記駆動輪を駆動するための駆動手段を備え得る。前記駆動手段は、1つ又は複数の内燃機関及び/又は1つ又は複数の電気機械などの任意の適切な駆動手段であり得る。
【0023】
それぞれの履帯アセンブリの履帯は、任意の適切な構成を有し得るものであり、また任意の適切な材料のものであり得る。それぞれの履帯アセンブリの履帯は、本開示の一態様によれば、ゴム製履帯であり得る。それぞれの履帯アセンブリの履帯は、本開示の一態様によれば、スチール製履帯であり得る。
【0024】
駆動輪は、ハブ部材と、ハブ部材に取り付けられた駆動スプロケット部材とを備える。前記駆動スプロケット部材は、前記駆動スプロケットの円周上に配置された1組の歯を有するリング状の駆動スプロケットを備える。
【0025】
前記駆動スプロケットは、前記履帯と係合するように構成されている。前記駆動スプロケットの前記1組の歯は、前記履帯と係合するように構成されている。
【0026】
前記駆動スプロケット部材は、前記駆動スプロケットの支持部材をさらに備える。駆動輪の前記支持部材は、ハブ部材に取り付けられるように構成され得る。駆動輪の前記支持部材は、ジョイント部材、例えば、ねじジョイント部材によって前記ハブ部材に取り付けられるように構成され得る。
【0027】
前記駆動スプロケットは、前記支持部材に取り付けられるように構成され得る。前記駆動スプロケットは、ジョイント部材、例えばねじジョイント部材によって、支持部材に取り付けられるように構成され得る。
【0028】
前記駆動スプロケットは、少なくとも2つの円弧状の駆動スプロケット部品に分割されており、各駆動スプロケット部品は、前記履帯に対する駆動スプロケット部品の非係合状態において、交換可能に構成されている。
【0029】
前記駆動輪が履帯型車両に配置されているとき、駆動スプロケットの歯の一部は履帯に係合され得る。前記駆動輪が履帯型車両に配置されているとき、一方の駆動スプロケット部品の歯の一部が前記履帯と係合され得、別の駆動スプロケット部品は前記履帯と係合しないように駆動輪の回転された位置にあり得、したがって、取り外して交換することができる。その後、駆動輪を駆動輪の別の回転された位置に回転させて、別の駆動スプロケット部品を履帯と係合しないように回転させ、その結果、別の駆動スプロケット部品を取り外して交換することができる。
【0030】
前記構造は、駆動スプロケットの再組み立てを容易にするために、支持部材の周囲に円周方向に分配された第1の案内部材と、それぞれの駆動スプロケット部品の周囲に円周方向に分配された第2の案内部材とを備える案内構成を備える。前記構造は、このように、駆動スプロケット部品の1つ又は複数を支持部材に再組み付けすることを容易にするための、支持部材の周りに円周方向に分配された第1の案内部材と、それぞれの駆動スプロケット部品の周りに円周方向に分配された第2の案内部材とを備える案内構成を備える。前記構造は、駆動スプロケット、ひいては駆動スプロケットの1つ又は複数の部品を組み立てることを容易にするための、支持部材の周りに円周方向に分配された第1の案内部材と、それぞれの駆動スプロケット部品の周りに円周方向に分配された第2の案内部材とを備える案内構成を備える。組み立て/再組み立てされる駆動スプロケット部品は、損傷/破損した駆動スプロケット部品と置き換わる新しい駆動スプロケット部品であり得、又は、例えば修理された、取り外された同じ駆動スプロケット部品であり得る。
【0031】
支持部材の周囲に円周方向に分配された前記第1の案内部材と、それぞれの駆動スプロケット部品の周囲に円周方向に分配された第2の案内部材とは、駆動スプロケットの組み立て/再組み立てに関連して半径方向の制御が得られるように構成されている。支持部材の周囲に円周方向に分配された前記第1の案内部材と、それぞれの駆動スプロケット部品の周囲に円周方向に分配された第2の案内部材とは、駆動スプロケット、ひいては各駆動スプロケット部品が、支持部材に対する駆動スプロケット部品の組み立て/再組み立て時に、支持部材に対して正しい半径方向位置に導くことができるように構成されている。
【0032】
本開示の一態様によれば、前記第1及び第2の案内部材の一方は凹部であり、前記第1及び第2の案内部材の他方は、前記凹部と係合するように構成された突出部である。
【0033】
本開示の一態様によれば、前記凹部は円周方向に走る溝であり、前記突出部は円周方向に走る隆起部である。一実施形態によれば、前記周方向に走る溝は、特定の断面形状、例えば、U字形、V字形、円弧形等を有し、前記円周方向に走る隆起部は、断面形状、例えば、長方形、三角形、円弧形等を有し、少なくとも部分的に前記溝に嵌合し、したがって係合するように構成され、したがって、本質的に対応する逆の形状を有する。
【0034】
本開示の一態様によれば、前記第1及び第2の案内部材の一方は、支持部材の一方の側に配置され、前記第1及び第2の案内部材の他方は、それぞれの駆動スプロケット部品に対向して配置されている。構造の一実施形態によれば、前記第1及び第2の案内部材の一方は、前記支持部材の一方の側に配置され、前記第1及び第2の案内部材の他方は、前記駆動スプロケットの側に配置され、すなわち、それぞれの駆動スプロケット部品の側に配置される。
【0035】
本開示の一態様によれば、前記第1及び第2の案内部材の一方は、1組の円周方向に分配された開口部/穴を備え、前記第1及び第2の案内部材の他方は、前記開口部/穴と係合可能な1組の円周方向に分配されたタップを備える。
【0036】
本開示の一態様によれば、駆動スプロケットが分割された円弧状の各駆動スプロケット部品は、第1の端部部分と第2の端部部分とを有する。駆動スプロケット部品の各端部部分は、前記駆動スプロケットを形成するように、別の駆動スプロケット部品の端部部分と接続するように構成され得る。
【0037】
本開示の一態様によれば、前記構造は、駆動スプロケットの再組み立てを容易にするための、駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第1の接続部材と、第1の接続部材と接続するように意図された別の駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第2の接続部材とを備える接続構成をさらに備える。したがって、前記構造は、駆動スプロケットの支持部材への再組み立てを容易にするための、駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第1の接続部材と、第1の接続部材と接続するように意図された別の駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第2の接続部材とを備える接続構成を備える。
【0038】
駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された前記第1の接続部材と、別の駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第2の接続部材とは、駆動スプロケットの組み立て/再組み立てに関連した半径方向及び軸方向の制御が得られるように構成されている。
【0039】
駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された前記第1の接続部材と、別の駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第2の接続部材とは、駆動輪の支持部材上に適用されたときに、駆動スプロケットの駆動スプロケット部品が互いに正しく整列するように、支持部材に対する駆動スプロケット部品の組み立て/再組み立ての間に、駆動スプロケット部品を互いに正しい位置に容易に導くことができるように構成されている。
【0040】
本開示の一態様によれば、前記第1及び第2の接続部材の一方は凹部であり、前記第1及び第2の接続部材の他方は、前記凹部と係合するように構成された突出部である。一実施形態によれば、前記凹部は、例えばU字形、V字形、円弧形等の特定の断面形状を有し、前記突出部は、例えば長方形、三角形、円弧形等の断面形状を有し、少なくとも部分的に凹部に嵌合し、したがって凹部と係合するように構成され、したがって本質的に対応する逆の形状を有する。一実施形態によれば、前記凹部は溝であり、前記突出部は隆起部であり、前記溝及び隆起部はそれぞれ、それぞれの円弧形状の駆動スプロケット部品の仮想軸の軸方向の延びと本質的に平行な延びを有する。一実施形態によれば、前記凹部は止まり穴であり、前記溝は、前記穴に嵌合するように構成されたタップである。
【0041】
本開示の一態様によれば、前記駆動輪は、ハブ部材の外側に配置された外側駆動スプロケット部材と、ハブ部材の内側に配置された内側駆動スプロケット部材とを備える。
【0042】
単一の駆動輪を有する単一の履帯アセンブリを備えた履帯型車両の場合、駆動輪は、ハブ部材と、ハブ部材に取り付けられた駆動スプロケット部材とを備える。この場合、駆動輪は、ハブ部材の一方の側に配置された第1の駆動スプロケット部材と、ハブ部材の反対側に配置された第2の駆動スプロケット部材とを備え得る。それによりハブ部材は、駆動輪が車両の単一履帯アセンブリに取り付けられたときに、車両の一方の側から外を向くように構成された第1の側と、車両の反対側から外を向くように構成された反対の第2の側とを有する。
【0043】
図1は、本開示の一実施形態による履帯型車両Vの側面図を概略的に示している。
【0044】
【0045】
履帯型車両Vは、本開示の一態様によれば、車両Vのシャーシと車体とを備える車両本体Bを備える。
【0046】
履帯型車両Vは、車両Vを駆動するための右側履帯アセンブリT1及び左側履帯アセンブリを備え、右側履帯アセンブリが
図1に示されている。各履帯アセンブリは、駆動輪DWと、テンションホイールTWと、1組の路面ホイールRWと、前記ホイール上を走行するように配置された履帯Eとを備えている。ここでは、駆動輪DWは前方に配置され、テンションホイールTWは後方に配置され、路面ホイールRWは駆動輪DWとテンションホイールTWの間に配置されている。しかしながら、本開示による履帯型車両は、駆動輪、テンションホイール及び路面ホイールの任意の適切な構造を有する履帯アセンブリを有し得る。本開示の一態様によれば、テンションホイールは前方に配置され、駆動輪は後方に配置され、路面ホイールはそれらの間に配置され得る。
【0047】
それぞれの履帯アセンブリの履帯Eは、前記駆動輪DWによって駆動され、したがって回転するように配置される。前記履帯型車両Vは、前記駆動輪DWを駆動するための図示されない駆動手段を備えている。前記駆動手段は、内燃機関及び/又は電気機械などの任意の適切な駆動手段であり得る。
【0048】
それぞれの履帯アセンブリの履帯は、任意の適切な構成を有し得るものであり、任意の適切な材料のものであり得る。それぞれの履帯アセンブリの履帯Eは、本開示の一態様によれば、ゴム製履帯である。それぞれの履帯アセンブリの履帯は、本開示の一態様によれば、スチール製履帯であり得る。
【0049】
図2は、本開示の一実施形態による履帯型車両の履帯アセンブリT1の側面図を概略的に示している。履帯アセンブリT1は、駆動輪DWと、前記駆動輪DWの上を走行するように配置された履帯Eとを備える。履帯アセンブリT1は、図示されないテンションホイールと路面ホイールとを備え得る。
【0050】
図3a~bは、本開示の一実施形態による履帯アセンブリT1の履帯Eのための駆動輪DWを示す、
図2の履帯アセンブリT1の断面
図A-Aを概略的に示す。
図4は、本開示の一実施形態による、
図3bの駆動輪DW及び履帯Eの一部の斜視図を概略的に示す。
図5は、本開示の一実施形態による
図4の駆動輪の一部の斜視図を概略的に示す。
【0051】
駆動輪DWは中心軸Zを有する(
図3a~b参照)。駆動輪DWは、ハブ部材Hを備える。ハブ部材Hは、履帯型車両の駆動手段の駆動軸と動作可能に係合するように構成され、駆動手段によって回転するように構成されている。したがって、ハブ部材Hは、中心軸Zを中心に回転するように構成されている(
図3a~b参照)。
【0052】
ハブ部材Hは、本実施形態によれば、スポークを有する。本開示によるハブ部材は、任意の適切な構成を有し得る。駆動手段は、図示しない本開示の一態様によれば、駆動手段、例えば電気機械が少なくとも部分的に駆動輪の外周内に収容されるように、駆動輪に関連して配置され得、駆動手段の軸は、駆動輪の中心軸Zと本質的に同軸に一致する。
【0053】
本開示の一態様によれば、前記ハブ部材Hは、第1の側H1と、反対側の第2の側H2とを有する。例えば
図3a~bに示された本開示の実施形態によれば、車両を駆動するための右側履帯アセンブリと左側履帯アセンブリとを有する履帯型車両の場合、第1の側は、車両、すなわち、車両の側から外を向くように構成された前側H1を構成し、反対側の第2の側は、車両の方を向くように構成された後側H2を構成している。
【0054】
本開示の一態様によれば、ハブ部材Hは、前側H1と反対側の後側H2とを有する(
図3a~b参照)。前側H1は、車両から外を向くように構成され、後側H2は、車両の方を向くように構成されている。
【0055】
本開示の一態様によれば、前記駆動輪DWは、ハブ部材Hの第1の側H1に配置された第1の駆動スプロケット部材S1と、ハブ部材Hの反対側の第2の側H2に配置された反対側の第2の駆動スプロケット部材S2とを備える。例えば
図3a~bに示された本開示の実施形態によれば、車両を駆動するための右側履帯アセンブリと左側履帯アセンブリとを有する履帯型車両の場合、第1の駆動スプロケット部材S1は、ハブ部材Hの前側H1に配置された外側駆動スプロケット部材S1を構成し、第2の駆動スプロケット部材S2は、ハブ部材Hの後側H2に配置された内側駆動スプロケット部材S2を構成している。
【0056】
本開示の一態様によれば、前記駆動輪DWは、ハブ部材Hの前側H1に配置された外側駆動スプロケット部材S1と、ハブ部材Hの後側H2に配置された内側駆動スプロケット部材S2とを備える。
【0057】
それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2は、リング状の駆動スプロケット10を備える。各リング状の駆動スプロケット10は、駆動スプロケット12の円周上に配置された1組の歯12を有する。それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の駆動スプロケット10は、前記履帯Eと係合するように構成される。それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の前記駆動スプロケット10の前記歯12は、前記履帯Eと係合するように構成されている。
【0058】
前記歯は12、前記履帯型車両の履帯と係合するように構成される。
【0059】
それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2は、それぞれの駆動スプロケット10用の支持部材20を備える。本実施形態によれば、外側駆動スプロケット部材S1は、前記外側駆動スプロケット部材S1の駆動スプロケット10用の支持部材20を備える。本実施形態によれば、内側駆動スプロケット部材S2は、前記内側駆動スプロケット部材S2の駆動スプロケット10用の支持部材を備える。
【0060】
それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の支持部材20は、
図2及び
図3の実施形態によれば、リング状の構成を有する。それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の支持部材20は、外側20aと、反対側の内側20bとを有する。
【0061】
それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の支持部材20は、前側20cと反対側の後側20dとを有する。
【0062】
外側駆動スプロケットS1の支持部材20の前側20cは、ハブ部材Hに取り付けられたときに、ハブ部材Hの前側H1から離れる方向に向くように構成されている。内側駆動スプロケットS2の支持部材20の前側20cは、ハブ部材Hに取り付けられたときに、ハブ部材Hの後側H2から離れる方向に向くように構成されている。
【0063】
外側駆動スプロケットS1の支持部材20の後側20dは、ハブ部材Hに取り付けられたときに、ハブ部材Hの前側H1の方を向くように構成されており、内側駆動スプロケットS2の支持部材20の後側20dは、ハブ部材Hに取り付けられたときに、ハブ部材Hの後側H2の方を向くように構成されている。
【0064】
それぞれの駆動スプロケットS1、S2の支持部材20は、ハブ部材に取り付けられるように構成されている。それぞれの駆動スプロケットS1、S2の支持部材20は、本開示の一態様によれば、ハブ部材Hに取り付けられるように構成された単一の部分であり、それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の駆動スプロケット10を受け入れるように構成されている。
【0065】
外側駆動スプロケットS1の支持部材20は、ハブ部材Hの第1の側H1、ここでは前側H1に接続してハブ部材Hに取り付けられるように構成される。内側駆動スプロケットS2の支持部材20は、ハブ部材Hの第2の側H2、ここでは後側H2に接続してハブ部材Hに取り付けられるように構成されている。
【0066】
それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の駆動スプロケット10は、外側10aと、反対側の内側10bとを有する。
【0067】
それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の駆動スプロケット10は、前側10cと反対側の後側10dとを有する。
【0068】
外側駆動スプロケット部材S1の駆動スプロケット10の前側10cは、支持部材20に取り付けられたときに、外側駆動スプロケット部材S1の支持部材20の前側20cから離れる方を向くように構成される。内側駆動スプロケット部材S2の駆動スプロケット10の前側10cは、内側駆動スプロケット部材S2の支持部材20に取り付けられたときに、内側駆動スプロケット部材S2の支持部材20の前側20cから離れる方を向くように構成される。駆動スプロケット10の歯12は、前側10cから突出するように構成される。
【0069】
外側駆動スプロケット部材S1の駆動スプロケット10の後側10dは、支持部材20に取り付けられたときに、外側駆動スプロケット部材S1の支持部材20の前側20cの方を向くように構成される。内側駆動スプロケット部材S2の駆動スプロケット10の後側10dは、支持部材20に取り付けられたときに、内側駆動スプロケット部材S2の支持部材20の前側20cの方を向くように構成される。
【0070】
駆動輪DWのそれぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の駆動スプロケット10は、基部14を備える。基部14は、円弧状の形状を有している。基部14は、前記外側10a、反対側の内側10b、前記前側10c及び前記後側10dを備える。歯12は、外側10aの前記基部14から及び前側10cから突出するように構成されている。
【0071】
駆動輪DWのそれぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の駆動スプロケット10は、基部14を備える。
【0072】
本実施形態によれば、それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の駆動スプロケット10は、それぞれのリング状の駆動スプロケット10の内側10bの周りに配置された1組の締結部材16を備える。外側駆動スプロケット部材S1の1組の締結部材16を示す
図5を参照のこと。それぞれの締結部材16は、駆動スプロケット10を駆動輪DWのそれぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の支持部材20に取り付けるためのボルトジョイントJを備えるか、又は、ボルトジョイントJを受け入れるように配置されている。駆動スプロケットをそれぞれの駆動スプロケット部材の支持部材に取り付けるためのボルトジョイントの数は、任意の適切な数であり得、例えば、履帯型車両の構成に応じて変化し得る。
【0073】
本実施形態によれば、締結部材16は、前記ボルトジョイントJによって、支持部材20の対応する締結部材26に取り付けられる。したがって、それぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の支持部材20は、それぞれのリング状の支持部材20の内側20bの周りに配置された1組の締結部材26を備える。
【0074】
駆動輪DWのそれぞれの駆動スプロケット部材S1、S2の駆動スプロケット10は、この実施形態によれば、2つの円弧状の駆動スプロケット部品10A、10B、すなわち、第1の円弧状の駆動スプロケット部品10A及び第2の円弧状の駆動スプロケット部品10Bに分割される(
図5を参照のこと)。歯の数に応じて、それぞれの円弧状駆動スプロケット部品は、同じ物品又は異なる物品であり得る。
図3a~bと
図4では、第1の駆動スプロケット部品10Aが見える。第1の円弧状駆動スプロケット部品10A及び第2の円弧状駆動スプロケット部品10Bは、そのそれぞれの端部部分で互いに接続されるように構成される。円弧状の駆動スプロケット部品10A、10Bが接続されると、前記駆動スプロケット10が形成される。円弧状の駆動スプロケット部品10A、10Bが接続されると、それぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの第1の端部部分が接続される第1の境界線B1が形成され、それぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの第2の端部部分が接続される第2の境界線B2が形成される(
図5を参照のこと)。
【0075】
各駆動スプロケット部品10A、10Bは、前記履帯Eに対する駆動スプロケット部品の非係合状態において、交換可能に構成されている。このように、各駆動スプロケット部品10A、10Bを備えた駆動スプロケットは、駆動輪DWの特定の回転位置において、一方の駆動スプロケット部品が履帯Eに係合せず、それによりその駆動スプロケット部品を取り外すことが容易になるように構成されている。その後、駆動輪DWが特定の新しい回転位置まで回転するように履帯Eを回転させることによって、他方の駆動スプロケット部品が履帯に係合しなくなり、その結果、私も取り外される。
【0076】
図3aでは、外側駆動スプロケット部材S1の駆動スプロケット10の第1の駆動スプロケット部品10Aが、支持部材20から取り外されている。
図3bでは、内側駆動スプロケット部材S2の駆動スプロケット10の第1の駆動スプロケット部品10Aが支持部材20から取り外されている。
【0077】
図6aは、本開示の一実施形態による
図5の駆動輪DWの一部の断面図を概略的に示し、
図6bは、本開示の一実施形態による
図6aの駆動輪DWの一部の一部の断面図を概略的に示す。
【0078】
図6aには、駆動輪DWの駆動アクスルAが示されている。駆動シャフトAは、車両の駆動構造によって、軸Zを中心に駆動輪DWを回転させるように構成されている。
【0079】
図7は、本開示の一実施形態による円弧状の駆動スプロケット部品の斜視図を概略的に示し、
図8aは、本開示の一実施形態による
図7の円弧状の駆動スプロケット部品の側面図を概略的に示し、
図8bは、本開示の一実施形態による
図7の円弧状の駆動スプロケット部品の正面図を概略的に示し、
図8cは、本開示の一実施形態による
図7の円弧状駆動スプロケット部品の背面図を概略的に示している。
【0080】
各円弧状の駆動スプロケット部品10A、10Bは、上述したように、駆動スプロケット10を形成する駆動スプロケット部品が駆動輪DWの支持部材20上に取り付けられたときに、前記境界線B1、B2を提供するように構成された第1の端部部分10e及び第2の端部部分10fを有する。円弧状の駆動スプロケット10Aの第1の端部部分10e及び第2の端部部分10fは、
図7及び
図8b~cに示されている。
【0081】
円弧状の駆動スプロケット部品10A、10Bが接続されると、それぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの第1の端部部分が接続される第1の境界線B1が形成され、それぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの第2の端部部分が接続される第2の境界線B2が形成される(
図5を参照のこと)。
【0082】
本開示は、駆動輪の構造を備える。この構造は、駆動輪DWの駆動スプロケット10の交換及び再組み立てを容易にするための構造である。前記構造は、駆動輪DWのそれぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの交換及び再組み立てを容易にするための構造である。
【0083】
前記構造は、駆動輪DWの駆動スプロケット10、ひいてはそれぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの交換及び再組み立てを容易にするための案内構成G1、G2を備える。
【0084】
前記案内構成G1、G2は、支持部材20の周囲に円周方向に分配された第1の案内部材G1を備える。
【0085】
前記案内構成G1、G2は、駆動スプロケット10の再組み立てを容易にするための、それぞれの駆動スプロケット部品、ひいては駆動スプロケット10の周りに円周方向に分配された第2の案内部材G2を備える。
【0086】
構造の一実施形態によれば、前記第1及び第2の案内部材G1、G2の一方は、凹部であり、前記第1及び第2の案内部材G1、G2の他方は、前記凹部と係合するように構成された突出部である。例えば
図6a~bを参照して開示された実施形態によれば、それぞれの支持部材20に配置された第1の案内部材G1は、突出部G1である。例えば
図6a~bを参照して開示された実施形態によれば、それぞれの駆動スプロケット10上に配置された第2の案内部材G2は、凹部G2である。
【0087】
この構造の実施形態によれば、前記突出部G1は、支持部材20の前側20cの周りを走る円周方向に走る隆起部G1である。
【0088】
このように、構造のこの実施形態によれば、前記突出部G1は、支持部材のリング状の延びに従って、支持部材20の前側20cで円弧状の軌道で、すなわち円弧状の隆起部G1で延びるように構成されている。構造のこの実施形態によれば、前記突出部G1は、支持部材20のリング形状に従って、支持部材20の前側20cで円形に、すなわち円形の隆起部G1で延びるように構成されている。
【0089】
この構造の本実施形態によれば、前記凹部G2は、駆動スプロケット10の後側10d、すなわち、それぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの後側10dの周りに延びる円周方向に延びる溝G2である(
図8a及び
図8cも参照のこと)。したがって、構造のこの実施形態によれば、前記凹部G2は、それぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの円弧状の延びに従って、それぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの後側10dで円弧状の軌道で、すなわち円弧状の溝G2で延びるように構成されている。それぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの溝G2は、第1及び第2の境界線B1、B2を有するリング状の駆動スプロケット10が形成されるようにスプロケット部品10A、10Bが接続されたときに、駆動スプロケット10の後側に円形の溝G2が形成されるように溝G2が一致するように構成されるように、円弧状の軌道で延びるように構成されている。
【0090】
凹部G2、例えば溝G2は、支持部材20の前記突出部G2を受け入れるように構成された任意の適切な断面を有し得る。凹部G2は、任意の適切な多角形の断面を有し得る。凹部G2は、一実施形態によれば、円弧状の断面を有し得る。凹部G2は、一実施形態によれば、U字形の断面を有し得る。凹部G2は、一実施形態によれば、V字形の断面を有し得る。凹部G2は、一実施形態によれば、矩形状、例えば正方形状の断面を有し得る。
【0091】
突出部G1、例えば隆起部G1は、対応する断面を有するスプロケット10のそれぞれのスプロケット部品10A、10Bの凹部G2を受けるように構成された任意の適切な断面を有し得る。隆起部G2は、任意の適切な多角形の断面を有し得る。隆起部G1は、一実施形態によれば、対応する円弧状の断面を有するそれぞれのスプロケット部品10A、10Bの凹部G2に少なくとも部分的に嵌合するように構成された円弧状の断面を有し得る。隆起部G1は、一実施形態によれば、対応するU字形の断面を有するそれぞれのスプロケット部品10A、10Bの凹部G2に少なくとも部分的に嵌合するように構成された矩形の断面を有し得る。隆起部G1は、一実施形態によれば、対応するV字形の断面を有するそれぞれのスプロケット部品10A、10Bの凹部G2に少なくとも部分的に嵌合するように構成された三角形の断面を有し得る。
【0092】
図示されていない構造の一実施形態によれば、前記第1及び第2の案内部材の一方は、1組の円周方向に分配された開口部/穴を備え、前記第1及び第2の案内部材の他方は、前記開口部/穴と係合可能な1組の円周方向に分配されたタップを備える。
【0093】
上述したように、それぞれの円弧状の駆動スプロケット部品10A、10Bの第1の端部部分10e及び第2の端部部分10f(
図7及び
図8b~c参照のこと)は、駆動スプロケット10を形成する駆動スプロケット部品が駆動輪DWの支持部材20上に取り付けられたときに、前記境界線B1、B2(
図5参照のこと)を提供するように構成される。
【0094】
このように、それぞれの円弧状の駆動スプロケット部品10A、10Bの第1の端部部分10e及び第2の端部部分10fは、駆動スプロケット10が分割される境界を提供する。
【0095】
駆動輪DWのそれぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの交換及び再組み立てを容易にするための構造は、本開示の一態様によれば、駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第1の接続部材C1と、第1の接続部材C1と接続するように意図された別の駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第2の接続部材C2とを含む、駆動スプロケットの再組み立てを容易にするための接続構成C1、C2をさらに備え得る。
【0096】
構造の一実施形態によれば、前記第1及び第2の接続部材C1、C2の一方は凹部であり、前記第1及び第2の接続部材C1、C2の他方は、前記凹部と係合するように構成された突出部である。一実施形態によれば、前記凹部は、特定の断面形状、例えばU字形、V字形、円弧形等を有し、前記突出部は、少なくとも部分的に凹部に嵌合し、したがって係合するように構成され、したがって本質的に対応する逆の形状を有する断面形状、例えば長方形状、三角形状、円弧状等を有する。一実施形態によれば、前記凹部は溝であり、前記突出部は隆起部であり、前記溝及び隆起部はそれぞれ、それぞれの円弧状の駆動スプロケット部品の仮想軸の軸方向の延長と本質的に平行な延びを有する。一実施形態によれば、前記凹部は止まり穴であり、前記溝は前記穴に嵌合するように構成されたタップである。
【0097】
図8bは、第1の円弧状駆動スプロケット部品10Aが、第1の端部部分10eに接続して配置された第1の接続部材C1と、第2の端部部分10fに接続して配置された第2の接続部材C2とを有する、本開示の例示的な実施形態を概略的に示す。第1の接続部材C1は、この例によれば凹部C1であり、第2の接続部材C2は、この例によれば突出部C2である。
【0098】
図8bによる第1の円弧状駆動スプロケット部品10Aが接続構成C1、C2を有する状態で、第2の円弧状スプロケット部品10Bは、第1の端部部分10eに接続して配置された第1の接続部材C1が凹部C1の形状であり、第2の接続部材C2が突出部C2の形状である接続構成C1、C2を有するように配置されることになる。ここで、第1の駆動スプロケット部品10Aの第1の端部10eの凹部C1は、第2の駆動スプロケット部品10Bの第2の端部10fの突出部C2と係合し、第1の駆動スプロケット部品10Aの第2の端部10fの突出部C2は、第2の駆動スプロケット部品10Bの第1の端部10eの凹部C1と係合することになり、これにより、組み立てたときに駆動スプロケット10が形成されることになる。
【0099】
或いは、図示されていないが、第1の円弧状駆動スプロケット部品10Aは、第1の端部部分10e及び第2の端部部分10fの両方に接続された第1の接続部材C1、例えば凹部を有することができ、ここで第2の円弧状駆動スプロケット部品10Bは、第1の接続部材C1と係合するための、第1の端部部分10e及び第2の端部部分10fの両方に接続された第2の接続部材C2、例えば突出部を有することになる。
【0100】
図6aは、本開示の一実施形態によるハブ部材H、支持部材20及び駆動スプロケット10を示す、
図5の駆動輪DWの一部の断面図を概略的に示す。本実施形態によれば、支持部材20は、基部22と、周辺部24とを有する。基部22は、本実施形態によれば、支持部材20の前側20c上に延びる前記円周方向に延びる隆起部G2の形状の第2の案内部材G2を備える。周辺部24は、本実施形態によれば、基部22の周囲を取り囲んで延びるように構成されている。周辺部24は、本実施形態によれば、支持部材20の外側20aを備える。このように、支持部材20を基部22と周辺部24とに分割することにより、前記部分22、24を異なる材料で作ることができる。
【0101】
一実施形態によれば、基部22はスチール製であり、周辺部24はプラスチック製である。これにより、ドライブホイールDWの重量を低減することができる。さらに、特定の環境条件において、改善された耐久性を得ることができる。また、これにより、冬季条件において雪や氷の詰まりが少なくなる可能性がある。
【0102】
本発明の好ましい実施形態に関する前述の記載は、説明及び解説のために提供されたものである。網羅的に説明することや、開示された正確な形態に本発明を限定することを意図していない。明らかに、多くの修正及び変形が当業者には明らかになるであろう。実施形態は、本発明の原理とその実用的な応用を最もよく説明するために選択され、記載されたものであり、それにより、当業者は様々な実施形態について、また企図された特定の使用に適した様々な変更とともに本発明を理解することができる。
【0103】
以下に、本開示による構造及び履帯型車両のいくつかの一般的な態様を列挙する。
【0104】
態様1:履帯型車両Vの履帯E用の駆動輪DWの構造Aであって、駆動輪DWは、ハブ部材Hと、ハブ部材Hに取り付けられた駆動スプロケット部材S1、S2とを備え、前記駆動スプロケット部材S1、S2は、リング状の駆動スプロケット10を備え、1組の歯12が前記駆動スプロケット10の円周上に配置され、前記駆動スプロケット10は、前記履帯Eに係合するように構成され、前記駆動スプロケット部材S1、S2は、前記駆動スプロケット10用の支持部材20をさらに備え、前記駆動スプロケット10は、少なくとも2つの円弧状の駆動スプロケット部品10A、10Bに分割され、各駆動スプロケット部品10A、10Bは、前記履帯Eに対する駆動スプロケット部品の非係合状態において、交換可能に構成され、前記駆動スプロケット10が分割された円弧状の各駆動スプロケット部品10A、10Bは、第1の端部部分10eと第2の端部部分10fを有し、駆動スプロケット部品の各端部部分は、前記駆動スプロケット10を形成するように別の駆動スプロケット部品の端部部分と接続するように構成され、前記構造Aは、駆動スプロケット10の再組み立てを容易にするための、駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第1の接続部材C1と、第1の接続部材C1と接続するように意図された別の駆動スプロケット部品の端部部分に接続して配置された第2の接続部材C2とを備える接続構成C1、C2をさらに備える、構造A。
【0105】
態様2:前記第1及び第2の接続部材C1、C2の一方は凹部C1であり、前記第1及び第2の接続部材C2の他方は、前記凹部C1と係合するように構成された突出部C2である、態様1に記載の構造。
【0106】
態様3:前記構造Aが、駆動スプロケット10の再組み立てを容易にするための、支持部材20の周囲に円周方向に分配された第1の案内部材G1と、それぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bの周囲に円周方向に分配された第2の案内部材G2とを備える案内構成G1、G2を備える、態様1又は2に記載の構造。
【0107】
態様4:前記第1及び第2の案内部材G1、G2の一方が凹部G2であり、前記第1及び第2の案内部材G1、G2の他方が、前記凹部G2と係合するように構成された突出部G1である、態様1~3のいずれかに記載の構造。
【0108】
態様5:前記凹部G2が、円周方向に延びる溝であり、前記突出部G1が、円周方向に延びる隆起部である、態様4に記載の構造。
【0109】
態様6:前記第1及び第2の案内部材G1、G2の一方が支持部材(20)の一方の側10cに配置され、前記第1及び第2の案内部材G1、G2の他方がそれぞれの駆動スプロケット部品10A、10Bに対向して配置される、態様3~5のいずれかに記載の構造。
【0110】
態様7:前記駆動輪DWが、前記ハブ部材Hの外側に配置された外側駆動スプロケット部材S1と、前記ハブ部材Hの内側に配置された内側駆動スプロケット部材S2とを備える、態様1~6のいずれかに記載の構造。
【0111】
態様8:態様1~7のいずれかに記載の構造を備える車両V。