(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】ステレオリソグラフィ用光硬化性組成物、その組成物を使用するステレオリソグラフィ法、そのステレオリソグラフィ法によって形成されたポリマーコンポーネント、及びそのポリマーコンポーネントを含むデバイス
(51)【国際特許分類】
B29C 64/314 20170101AFI20240712BHJP
B29C 64/124 20170101ALI20240712BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240712BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240712BHJP
【FI】
B29C64/314
B29C64/124
B33Y70/00
B33Y80/00
(21)【出願番号】P 2021570968
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(86)【国際出願番号】 US2020035120
(87)【国際公開番号】W WO2020243429
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-03-03
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521138305
【氏名又は名称】ロジャーズ・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トレヴァー・ポリドーレ
(72)【発明者】
【氏名】ディルク・バーズ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・エー・クース
(72)【発明者】
【氏名】ブルース・フィッツ
(72)【発明者】
【氏名】ムラリ・セートゥマドハヴァン
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-520398(JP,A)
【文献】特開平06-065334(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0105589(KR,A)
【文献】国際公開第95/013565(WO,A1)
【文献】特開平05-224412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステレオリソグラフィ三次元印刷用の光硬化性組成物であって、
光反応性末端基を含む疎水性オリゴマーを含む光反応性オリゴマー成分、
光反応性末端基を有する光反応性モノマーを含む光反応性モノマー成分、及び
光開始剤を含む光開始組成物
を含み;
前記光反応性モノマー成分は、少なくとも50質量%のメタクリラート官能性モノマーを含み;
前記光硬化性組成物は、ブルックフィールド粘度計を使用して求めて22℃で250~10,000センチポアズの粘度を有し;
その光硬化組成物は、23℃にて10ギガヘルツでスプリットポスト誘電体共振器試験によっ
て求めて、0.010未
満の誘電損失を有する、光硬化性組成物。
【請求項2】
35~85質量パーセントの光反応性オリゴマー成分、
15~65質量パーセントの光反応性モノマー成分、
0.01~15質量パーセントの光開始組成物を含み、
ここで、各質量パーセントは、光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分及び光開始組成物の合計質量である100質量に対するものである、請求項1に記載の光硬化性組成物。
【請求項3】
光反応性オリゴマー成分の疎水性オリゴマーが、(メタ)アクリラート末端
基を含む、請求項1又は請求項2に記載の光硬化性組成物。
【請求項4】
光反応性オリゴマー成分の疎水性オリゴマーが、(メタ)アクリラート誘導体化ポリエステル、(メタ)アクリラート誘導体化ポリウレタン、(メタ)アクリラートウレタン誘導体化ポリブタジエンオリゴマー、又はその組み合わせである、請求項1から3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項5】
光反応性オリゴマー成分が、1モル当たり500~5,000グラムの数平均分子量を有するウレタン(メタ)アクリラート誘導体化ポリブタジエンオリゴマーを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項6】
光反応性モノマーが、(メタ)アクリラート末端
基を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項7】
アクリラート末端基を有するモノマーが、光反応性オリゴマー成分及び光反応性モノマー成分の合計質量に対して20質量パーセント以下の量で存在する、請求項6に記載の光硬化性組成物。
【請求項8】
光反応性モノマー成分が、ジメタクリル酸エチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン及びメタクリル酸イソボルニルの組み合わせを含む、請求項6に記載の光硬化性組成物。
【請求項9】
粒状充填剤を
、光硬化性組成物の総体積に対して5~60vol
%の量で更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項10】
粒状充填剤が、シリカ、アルミナ、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ノナチタン酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム又はその組み合わせを
含む、請求項9に記載の光硬化性組成物。
【請求項11】
光開始組成物が、紫外線吸収剤
を更に含
む、請求項1から10のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項12】
光開始組成物が、シンチレート剤
を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項13】
10ギガヘルツで2~12の比誘電率を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物の光硬化生成物を含む三次元構造体。
【請求項15】
スプリットポスト誘電体共振器試験によって23℃の温度にて10ギガヘルツで求めて、10GHzで0.004未満の誘電損失を有する、請求項14に記載の三次元構造体。
【請求項16】
多孔性である、請求項14又は請求項15に記載の三次元構造体。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか一項に記載の三次元構造体を含む電子デバイス。
【請求項18】
インピーダンスマッチング層、誘電体導光路、レンズ、反射アレイ、アンテナマッチング構造体、スーパーストレート、カップラー、ディバイダー、レドーム又は誘電体アンテナである、請求項17に記載の電子デバイス。
【請求項19】
少なくとも1つの導電体が、前記光硬化生成物の上に、又はそれに接して配置された、請求項18に記載の電子デバイス。
【請求項20】
三次元ポリマー構造体を製作するためのステレオリソグラフィ法であって、
請求項1から13のいずれか一項に記載の光硬化性組成物を含むある量の組成物を用意する工程;
パターンで前記組成物の一部を活性化放射線で照射して、前記三次元ポリマー構造体の光硬化層を形成する工程;
前記光硬化層を光硬化性組成物と接触させる工程;
パターンで光硬化性組成物を活性化放射線で照射して、第1の前記光硬化層の上に第2の光硬化層を形成する工程;並びに、
接触及び照射を繰り返して、前記三次元ポリマー構造体を形成する工程
を含む方法。
【請求項21】
前記三次元ポリマー構造体を熱により硬化させる工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
多孔性である、請求項20又は請求項21に記載の方法によって作製された三次元構造体。
【請求項23】
請求項21に規定した三次元構造体又は請求項22に記載の三次元構造体を含む電子デバイス。
【請求項24】
インピーダンスマッチング層、誘電体導光路、レンズ、反射アレイ、アンテナマッチング構造体、スーパーストレート、カップラー、ディバイダー、レドーム又は誘電体アンテナである、請求項23に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月30日に出願された米国特許仮出願第62/854387号の利益及び優先権を主張し、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、ステレオリソグラフィ用光硬化性組成物、光硬化性組成物を形成する方法、この組成物を使用するステレオリソグラフィ法、ステレオリソグラフィ法によって形成されたコンポーネント(component)、及びコンポーネントを含むデバイスが開示される。
【0003】
付加製造(AM)は、3次元(3D)印刷及び固体自由造形を含み、デジタルモデルから事実上いかなる形状の三次元物体の製造も可能にする。一般に、これは、コンピュータ支援設計(CAD)モデル化ソフトウェアを用いて所望の構造のデジタル青写真を作成し、次いで、その仮想青写真をデジタル断面に薄切りすることによって達成される。これらの断面を、順次の層状化工程で形成又は堆積させて3D構造体を作成する。
【0004】
AMの1つの応用分野は、高周波数無線通信、例えば、アンテナ素子、レドーム及びレンズで使用される電子コンポーネントの形成である。ステレオリソグラフィ設備(SLA)による印刷は、高度の印刷速度及び高解像度能力のために、これらのコンポーネントを形成するための好ましいAMの方法である。種々様々の材料がSLA印刷に使用するために開発されているが、しかし、10ギガヘルツ等の高周波数で測定した場合、これらの材料は0.01を超える大きい誘電損失係数(Df)を有する。そのため、10ギガヘルツで0.01未満のDfを有する印刷構造体を提供するための改善された材料に対する必要性が、当業界で依然として存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第4575330号
【文献】米国特許第4929402号
【文献】米国特許第5104592号
【文献】米国特許第5184307号
【文献】米国特許第5192559号
【文献】米国特許第5234636号
【文献】米国特許第5236637号
【文献】米国特許第5273691号
【文献】米国特許第9205601号
【非特許文献】
【0006】
【文献】Krupka J., Gregory A.P., Rochard O.C., Clarke R.N., Riddle B., Baker-Jarvis J., "Uncertainty of Complex Permittivity Measurement by Split-Post Dielectric Resonator Techniques," Journal of the European Ceramic Society、10号、2673-2676頁、2001年
【文献】Krupka, J., Geyer, R.G., Baker-Jarvis, J., Ceremuga, J., "Measurements of the complex permittivity of microwave circuit board substrates using split dielectric resonator and reentrant cavity tech¬niques", Seventh International Conference on Dielectric Materials, Measurements and Applications, (Conf. Publ. No. 430)、1996年9月、21-24頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ステレオリソグラフィ三次元印刷用光硬化性組成物であって、光反応性末端基を含む疎水性オリゴマーを含む光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分、及び光開始剤を含む光開始組成物を含み;ブルックフィールド粘度計を使用して求めて22℃で250~10,000センチポアズの粘度を有し;その光硬化組成物は、それぞれ10ギガヘルツ(GHz)でスプリットポスト誘電体共振器試験によって求めて0.010未満、好ましくは0.008未満、より好ましくは0.006未満、最も好ましくは0.004の誘電損失を有する、光硬化性組成物が開示される。
【0008】
また、光硬化性組成物を使用する、光硬化三次元構造体の製作のための方法が開示される。
【0009】
上記の方法によって作製された光硬化三次元構造体も開示される。
【0010】
別の態様において、電子デバイスは光硬化三次元構造体を含む。
【0011】
上記の記載及び他の特色は、以下の図、詳細な説明、実施例及び請求項によって例示される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ステレオリソグラフィは、光学的組み立て、光凝固及び樹脂印刷とも当業界で称される特殊な3D印刷方式である。前述の方法のうちのいずれも本明細書において使用することができ、総体として「SLA」法と称される。これらの方法において、液体樹脂の連続的薄層が、光源を使用して選択的に光硬化される。光源は、層のスタックの上部又は底部のいずれかに位置することができる。光硬化性組成物は、SLA印刷での使用に利用可能であるが、しかし、当業界で、誘電損失が非常に低い光硬化成分を提供し、高周波数で作動する電子デバイスに使用するのに適している組成物に対する必要性が依然存在する。当業界で公知のように、所望される一組の性質を提供するSLA印刷に使用することができる光硬化性組成物を開発するには、効率的なSLA製作に対して必要とされる性質と、光硬化コンポーネントの所望の性質との注意深い釣り合いを必要とする。効率的なSLA製作は、狭い範囲の適切な粘度及び光硬化時間を有する光硬化性組成物に依存する。これは非常に低い損失の電子コンポーネントに対して設計される先端材料にとって達成するのが特に難しい。そのようなコンポーネントは、例えば5Gネットワーク等での高い作動周波数に対して必要とされる。適切な材料の望ましい性質のウィンドウは、狭く、いかなる製作方法を使用しても達成するのが難しく、それにはとりわけ非常に低い損失(例えば、10ギガヘルツ(GHz)で0.01未満のDf)が含まれる。低い損失等の所望の性質を得るためのなんらかの単一の変更も光硬化性組成物の印刷適性に悪影響を及ぼすことがあり、組成物の印刷適性を改善する何らかの変更が、光硬化ポリマーの所望の性質に悪影響を及ぼすことがあるので、非常に低い損失を有する電子コンポーネント用のSLA印刷可能な組成物を達成することは、特に困難である。
【0013】
本出願の発明者らは、SLA製作方法を使用する三次元ポリマー構造体の効率的な製作を可能にし、10GHzで測定した場合、特に0.01未満の散逸係数(Df)を有する、非常に低損失の光硬化ポリマー組成物を提供する光硬化性組成物を発見した。組成物は、電子コンポーネント、殊に高周波数で作動するもので使用される三次元ポリマー物品に他の所望の性質を更に与えることができる特定の配合物である。
【0014】
SLA印刷可能な組成物は光硬化性であり、特定の光反応性オリゴマー成分及び光反応性モノマー成分を、光開始剤系及び任意選択のセラミック充填剤と一緒に含む。
【0015】
光反応性オリゴマー成分は、光硬化反応に関与することができる反応性基、すなわち、光ラジカル重合性の基を含む疎水性、無極性又は両親媒性のオリゴマーを含む。光反応性オリゴマーのオリゴマー骨格は、好ましくは無極性又は両親媒性、及び疎水性であり、典型的には炭化水素繰り返し単位又は脂肪族エステル繰り返し単位を含む。当業界では公知であるが、疎水性は、水との水素結合を受容又は寄与しそうでない材料と相関がある。例えば、好ましい疎水性オリゴマー骨格は、ポリブタジエンであり、無極性、疎水性の部分を含む。別の疎水性オリゴマー骨格は、ポリ(C4~6アルキレン)エステル骨格である。追加の官能基は、リンカー、例えばカルバマートエステル(ウレタン)、エーテル、エステル、アミド、ケトン等として骨格中に存在することができ、骨格にある程度の両親媒性の特徴を与えることができる。
【0016】
少なくとも1個の光反応性基が、好ましくは末端(すなわち、端末)基として光反応性オリゴマー中に存在する。より好ましくは、複数の光反応性基が、末端基、すなわち少なくとも2個の光反応性端末基として存在する。そのような基は、ビニル及びアリル等のアルケニル基、並びにアクリラート及びメタクリラート等の(メタ)アクリロイル末端基を含むことができる。光ラジカル重合性の基として、端末プロパルギル(2-プロピニル)等の端末アルキニルを挙げることもできる。好ましい光反応性末端基は、本明細書において使用される場合、アクリラート基及びメタクリラート基の両方を含む(メタ)アクリラートである。メタクリラート末端基がはるかに好ましい。
【0017】
光反応性オリゴマーは市販され、又はヒドロキシル、カルボン酸、イソシアナート等の反応性官能基を含む前駆体から当業界で公知の方法によって製作することができる。例えば、(メタ)アクリラート官能性オリゴマーポリエステル又は(メタ)アクリラート官能性オリゴマーポリウレタンは、以下の分類された前駆体(カテゴリーAからカテゴリーG)から誘導することができる。
【0018】
カテゴリーA:
脂肪族多塩基カルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸及び1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸。
脂環式多塩基カルボン酸、例えば、1,2-,1,3-,1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸及びヘキサヒドロテレフタル酸。
芳香族多塩基カルボン酸、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、ピロメリト酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4-ジフェニルジカルボン酸、及びジフェニルメタン-4,4'-ジカルボン酸。
無水物類、例えば、ヘキサヒドロトリメリト酸及びメチルヘキサヒドロフタル酸。
アルケニル多塩基カルボン酸、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、HET酸、テトラヒドロフタル酸。
【0019】
カテゴリーB:
脂肪族多価アルコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、2,3-ジメチルトリメチレングリコール、1,2-,1,3-,1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、1,2-,1,4-,1,5-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、3-メチル-4,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-,1,5-,1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトール及びグリセリン。
ポリエーテル多価アルコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジペンタエリトリトール、ジグリセリン、スピログリコール及びトリグリセリン。
脂環式多価アルコール、例えば、トリシクロデカンジメタノール、1,3-,1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA及び水素化ビスフェノールF。
芳香族多価アルコール、例えば、テレフタル酸ビス(ヒドロキシ-エチル)。
アルケニル多価アルコール、例えば、ヒドロキシル端末ポリブタジエン。
【0020】
カテゴリーC:
ラクトンの開環重合に由来するポリエステルポリオール、例えば、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、α-メチル-γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、α-クロロ-ε-カプロラクトン、γ-メチル-ε-カプロラクトン、ε-ヘプタラクトン、ε-デカラクトン、ω-ペンタデカラクトン及び7-イソプロピル-4-メチルオキセパン-2-オン。
ラクトンの開環重合に由来するアルケニルポリエステルポリオール、例えば、α-メチレン-γ-ブチロラクトン、4-イソプロペニル-7-メチルオキセパン-2-オン、及びα-プロパルギル-ε-カプロラクトン。
【0021】
カテゴリーD:
脂肪族ジイソシアナート、例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート。
脂環式ジイソシアナート、例えば、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアナート及び4,4'-ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(水素化MDI)。
芳香族ジイソシアナート、例えば、2,4-トリレンジイソシアナート(2,4-TDI)、2,6-トリレンジイソシアナート(2,6-TDI)、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート、1,4-フェニレンジイソシアナート、1,5-ナフタレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート及びテトラメチルキシリルエンジイソシアナート。
【0022】
カテゴリーE:
α,β-不飽和ケトンを含有するイソシアナート、例えば、(メタ)アクリロイルイソシアナート及び(メタ)アクリル酸2-イソシアナトエチル。
イソシアナートを含有する光反応性アルケン、例えば、m-,p-イソプロペニル-α,α'-ジメチルベンジルイソシアナート及びビニルイソシアナート。
【0023】
カテゴリーF:
ヒドロキシ含有α,β-不飽和ケトンモノマー、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-エチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、モノ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、及び(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル。
【0024】
カテゴリーG:
α,β-不飽和カルボン酸モノマー、例えば、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル。
【0025】
特に、少なくとも2つの異なるカテゴリーからの少なくとも1つの成分を反応させる。光反応性(メタ)アクリラート官能性オリゴマーポリエステルは、上記のカテゴリーに特有の材料を反応させて、様々な構造配列を生成させることによって調製することができる。例えば、カテゴリーF及びGからの成分を反応させて、配列FGのポリエステルを生成させるために使用することができる。生成させることができる他の配列には、FCG、FAF、GBAF、GBCG、FCACF及びGBABGが含まれる。
【0026】
官能性光反応性(メタ)アクリラートオリゴマーポリウレタンは、上記のカテゴリーに特有の材料を反応させて、以下の構造配列、例えば:FE、EBE、FCE、FDF、GBE、FDBDF、FCDCF及びEBABEを生成させることによって調製することもできる。
【0027】
光反応性疎水性オリゴマーの数平均分子量は、1モル当たり250~10,000グラム(g/mol)、例えば500~5,000g/mol、700~5,000g/モル、又は1,000~4,000g/molであってもよい。
【0028】
好ましい光反応性オリゴマーは、脂肪族ウレタン連結基を含有する(メタ)アクリラート官能性オリゴマーポリエステルであり、カプロラクトン、アクリル酸ヒドロキシ-エチル、アクリル酸、及び4,4'-ジシクロヘキシルジイソシアナートの反応によって生成される。以下に記載の他のジイソシアナートを使用することができる。このタイプの好ましいオリゴマーは、例えば商品名CN 9014 NSの下でSartomer社(Arkemaグループ)から市販されている。
【0029】
別の好ましい光反応性オリゴマーは、ウレタン(メタ)アクリラート誘導体化ポリブタジエンオリゴマーである。そのようなオリゴマーは、(メタ)アクリル酸(C1~6-アルキル)官能化イソシアナートを用いるヒドロキシル端末ポリブタジエンの誘導化によって得ることができる。
【0030】
ヒドロキシル端末ポリブタジエンは式(1)の構造を有することができる
【0031】
【0032】
[式中、x、y及びzは各単位のモル比であり、0から1に変化することができ、x+y+z=1である。]。
【0033】
(メタ)アクリル酸(C1~6-アルキル)-官能化イソシアナートは、式(2)のものであってもよい
【0034】
【0035】
[式中、R1はC3~36有機基であり、R2は水素又はメチルである。]。
R1がエチルである例には、アクリロイルオキシエチルイソシアナート及びメタクリロイルオキシエチルイソシアナートが含まれる。一態様においてR1は置換又は非置換のC6~36芳香族基、好ましくは置換C7~15芳香族基である。式(2)の化合物はジイソシアナートから誘導することができる。そのようなジイソシアナートの例には、2,4-トルエンジイソシアナート、2,6-トルエンジイソシアナート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、4,4'-ジシクロヘキシルジイソシアナート、m-及びp-テトラメチルキシリレンジイソシアナート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアナート(イソホロンジイソシアナート)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HMDI)、1,5-ナフチレンジイソシアナート、ジアニシジンジイソシアナート、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-5-エン-2,3-ジカルボン酸ジ-(2-イソシアナトエチル)、2,2,4-及び2,4,4-トリメチレンヘキサメチレンジイソシアナートが含まれる。式(2)の化合物は、アクリル酸2-ヒドロキシ-エチル及びメタクリル酸2-ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリルヒドロキシ化合物との、ジイソシアナートの反応から誘導することができる。一態様において、ジイソシアナートには、イソホロンジイソシアナート、メチレン-ビス-フェニルジイソシアナート、トルエンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、m-テトラメチルキシリルエンジイソシアナート、又はその組み合わせが含まれ得る。更に、式(2)において、R2は好ましくは水素である。
【0036】
一態様において、ウレタン(メタ)アクリラート誘導体化ポリブタジエンオリゴマーは式(1)の構造を有する
【0037】
【0038】
[式中、nは10~1000であり、上記の範囲内の数平均分子量を与えるように選択される。]。また、式(2)のウレタンメタクリラート誘導体化ポリブタジエンオリゴマーを使用することができる、
【0039】
【0040】
[式中、nは10~1000であり、上記の範囲内の数平均分子量を与えるように選択される。]。式1及び2において、各nは独立して選択することができる。様々なウレタン(メタ)アクリラート誘導体化ポリブタジエンの組み合わせを使用することができる。
【0041】
好ましいオリゴマーは、特有の分子量範囲を有する、ウレタン(メタ)アクリラート誘導体化ポリブタジエンオリゴマーである。数平均分子量は、1モル当たり500~5,000グラム、1モル当たり700~5,000グラム、又は1モル当たり1,000~4,000グラムである。適切なウレタンメタクリラート誘導体化ポリブタジエンは、例えばDymax社、Sartomer社又はNippon Soda社から市販されている。
【0042】
光硬化性組成物は、全体組成の粘度を調節し、光反応性オリゴマーと架橋するための光反応性モノマー成分を更に含む。光反応性モノマーは、(メタ)アクリラート基等の、1種又は複数の光ラジカル重合性の基を含むことができる。好ましくは、カルボン酸、ヒドロキシル、メルカプト基及びアミノ基等の、アルケニル、アルキニル又は(メタ)アクリル基以外の官能基は、存在しない。驚くべき態様において、メタクリラート端末化合物が性質の組み合わせを改善するのと同様に、メタクリラート基が好ましいことが見いだされた(参照:例えばTable 1(表2))。特に、組成物の光硬化性成分(オリゴマー及びモノマー成分)が、20質量%以下の端末アクリラート基含有モノマーを含む場合、最も良好な結果が得られることが見いだされた(参照:例えば、実施例4、Table 6(表7))。
【0043】
適切な光反応性モノマーは、それぞれ1、2、3、4又は5個の不飽和基を有する、モノ、ジ、トリ、テトラ又はペンタ官能性であってよく、好ましくは1、2又は3個の(メタ)アクリラート基を有することができる。様々なモノマー、例えば単官能性モノマー及び二官能性モノマーの組み合わせを使用することができる。例示の光反応性モノマーは、芳香族基、又は環式若しくは非環式の脂肪族基を含むことができる。例示の芳香族モノマーには、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル及び(メタ)アクリル酸フェニルが含まれる。一態様において、芳香族(メタ)アクリラートは光硬化性組成物中に存在しない。
【0044】
好ましくは、光反応性モノマーは低いDfを与える環式又は非環式の脂肪族モノマーである。例示の環式脂肪族(メタ)アクリラートモノマーには、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、ジ(メタ)アクリル酸シクロヘキシル及び(メタ)アクリル酸イソボルニルが含まれる。
【0045】
例示の非環式脂肪族(メタ)アクリラートモノマーには、(メタ)アクリル酸(C1~18アルキル)、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸iso-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸イソ-デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸エトキシエトキシエチル((メタ)アクリル酸エチルカルビトール))、ジ(メタ)アクリル酸1,2-,1,3-及び1,4-ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,2-,1,3-,1,4-,1,5-及び1,6-ヘキサンジオール並びにその組み合わせ、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸グリセリン、ジ(メタ)アクリル酸1,2-及び1,3-プロパンジオール、トリ(メタ)アクリル酸エトキシ化トリメチロールプロパン、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸ペンタエリトリトール、又はトリ(メタ)アクリル酸イソシアヌル酸トリス(2-ヒドロキシエチル)が含まれる。
【0046】
(メタ)アクリラートが好ましいが、他のアルケニル光反応性モノマー、例えばイソシアヌル酸トリアリル、(メタ)アクリル酸アリル、ペンタエリトリトールジアリルエーテル、ペンタエリトリトールトリアリルエーテル、ペンタエリトリトールテトラアリルエーテル、ジアリルエーテル、テトラアリルオキシエタン、テトラアリルオキシプロパン、テトラアリルオキシブタン、スチレン、アルファ-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、フタル酸ジアリル、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン又はジビニルエーテルが存在することができる。
【0047】
(メタ)アクリラートが好ましいが、他のアルキニル光反応性モノマー、例えばジプロパルギル、フェニルプロパルギルエーテル、ベンジルプロパルギルエーテル、安息香酸プロパルギル、プロパルギルエーテル、又はシアヌール酸トリプロパルギルが存在することができる。
【0048】
使用される光反応性モノマーは、(メタ)アクリロイル、アルケニル及びアルキニル官能基、例えば(メタ)アクリル酸ビニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸プロパルギル、ビニルアセチレン、アリルビニルアセチレン、N,N-メチレンビスアクリルアミド、N,N-メチレンビスメタクリルアミド又はアリルビニルエーテルの組み合わせを有することができる。
【0049】
本出願の発明者らは、(メタ)アクリル酸イソボルニル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,6-ヘキサンジオール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、ジメタクリル酸1,3-ブタンジオール又はその組み合わせを含むある種の光反応性モノマーが、光硬化性モノマー成分における使用に殊に適切であることを見いだした。(メタ)アクリル酸イソボルニルは、メタクリル酸イソボルニル又はアクリル酸イソボルニルであってもよい。組み合わせて使用することができる。ジ(メタ)アクリル酸1,6-ヘキサンジオールは、ジメタアクリル酸1,6-ヘキサンジオール又はジアクリル酸1,6-ヘキサンジオールであってもよい。組み合わせて使用することができる。実施例において説明するように、これらのモノマーを使用すると、所望される硬化度(架橋及び重合)を与え、10GHzで測定した場合に0.01未満のDfを達成し、光硬化ポリマーからの低分子量成分の移行を防止する。
【0050】
一般に、光硬化性組成物は、25~85質量パーセント(質量%)の光反応性オリゴマー成分;25~65質量%の光反応性モノマー成分;及び0.1~15質量%、好ましくは0.1~5質量%の光開始組成物を含むことができ、ここで、各質量パーセントは、光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分及び光開始組成物の合計質量である100質量パーセントに対するものである。別の態様において、光硬化性組成物は、35~85質量パーセント(質量%)の光反応性オリゴマー成分;15~65質量%の光反応性モノマー成分;及び0.1~15質量%、好ましくは0.1~5質量%の光開始組成物を含むことができ、ここで、各質量パーセントは、光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分及び光開始組成物の合計質量である100質量パーセントに対するものである。
【0051】
驚いたことに、光硬化成分の粘度、硬化速度、硬化度及び物理的性質の有利な組み合わせは、特定の量の各モノマーを粒状セラミック充填剤の添加と一緒に使用することで得ることができ、その量は各モノマー及びセラミック充填剤について変動することが見いだされた。特に、特定の量における特定の成分の使用によって、SLA法で使用される高速硬化、並びに光硬化組成物の低い損失及び低い吸湿性等の他の性質と一緒に、十分な流動性及び自己水平化特性を有する粘度がもたらされ得る。粒状セラミック充填剤の使用は、粘度と誘電率の両方を調節するために使用することができる。それは、殊に広範囲の誘電率の達成を可能にすることができる。最終的に、充填剤の使用は、高コスト成分の使用を減らし、組成物の全コストを下げることができる。
【0052】
したがって、光硬化性組成物は、場合によって、光硬化成分の性質、特に誘電率を調節する粒状セラミック充填剤を含むことができる。好ましい実施形態において、この粒状セラミック充填剤は、光硬化成分の誘電率を少なくとも部分的に所望の範囲に調節するために存在する。粒状充填剤は、シリカ、アルミナ、チタン酸カルシウム(CaTiO3)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、ノナチタン酸バリウム(Ba2Ti9O20)、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、又はその組み合わせを含むことができる。
【0053】
より高い誘電率(Dk)の充填剤を使用すると、多孔質構造体の製作が可能になり、なお所望のDkを達成することができる。好ましい高誘電率充填剤には、シリカ、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、ノナチタン酸バリウム又はその組み合わせが含まれる。幾つかの応用分野において、望ましくはより多くの空気が多孔質構造体に組み込まれる。これらの構造体では、5以上のDkを有する粒状充填剤、例えば、アルミナ、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ノナチタン酸バリウム又はその組み合わせが所望される。
【0054】
他の充填剤は、それが著しく光硬化性組成物の硬化や所望のDkに悪影響を及ぼさないことを条件として、使用することができる。例えば、光硬化性組成物の硬化に著しく不利な影響を与えることを避けるために、不透明な充填剤、例えば、多くの等級の二酸化チタン(チタニア)は最小限にされ、好ましくは除外される。ナノ寸法のチタニア等の充填剤が硬化の長さ又は硬化度に著しく悪影響を及ぼさない程度まで、充填剤を存在させることができる。光硬化性組成物の硬化に著しい悪影響を及ぼすことを更に避けるために、粒状充填剤は、硬化波長で光硬化組成物の屈折率の2倍内、例えば1.5倍内、又は1.25倍内、又は1倍内にある屈折率を有することができる。
【0055】
存在する場合、粒状充填剤は、それぞれ、粒状充填剤を含む光硬化性組成物の総体積に対して、光硬化性組成物の5~60体積パーセント(vol%)、又は10~50vol%、又は10~40vol%、又は10~30vol%の量で使用される。充填剤の粒径は、光硬化組成物の十分な流動性、並びに所望の電気的及び機械的性質をいずれも与えるように選択される。例えば、充填剤は、25マイクロメートル未満、又は15マイクロメートル未満のメジアン粒径を有することができる。
【0056】
粒状充填剤は、光硬化性組成物中の充填剤の分散を改善するために分散剤を用いて被覆することができる。分散剤には、アルキルシランコーティング、アルケニルシランコーティング、アルキニルシランコーティング、(メタ)アクリロイルシランコーティング、アミノシランコーティング、塩素化シランコーティング、フッ素化アルキルシランコーティング、ジルコン酸コーティング、チタン酸コーティング、又はその組み合わせが含まれ得る。コーティング剤には、フェニルトリメトキシシラン、p-クロロメチルフェニルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノトリメトキシシラン、アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、o-(プロパルギルオキシ)-n-(トリエトキシ-シリルプロピル)ウレタン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、(トリデカフルオロ-1,1,2,2-テトラヒドロデシル)-1-トリエトキシシラン、ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(ジオクチル)ピロホスファートジルコナート、ジルコン酸ネオペンチル(ジアリル)オキシトリ(N-エチレンジアミノ)エチル、チタン酸オレイル又はその組み合わせが含まれ得る。一態様において、分散剤は、シランコーティング、例えば、フェニルトリメトキシシラン又はチタン酸オレイル等のチタン酸コーティングである。
【0057】
粒状充填剤を、組成物を形成する前にコーティング剤で前処理することができ、あるいは、コーティング剤を、組成物に添加することができる。コーティングは、粒状充填剤の合計質量に対して0.1~2.0質量%、又は0.3~1.2質量%の量で存在することができる。
【0058】
光硬化性組成物は、光ラジカル開始剤、すなわち紫外線及び/又は可視光線等の放射線への曝露でフリーラジカルを、生成する化合物を、重合反応を開始させるのに十分な量で含む光開始組成物を更に含む。光ラジカル開始剤は、単一の化合物、2つ以上の活性化合物の混合物、2つ以上の異なる化合物の組み合わせ(例えば共開始剤)であってもよい。
【0059】
一態様において、光ラジカル開始剤は紫外線光開始剤であることが好ましい。そのような光開始剤には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾインエーテル、チオキサントン、チオキサントン-フルオレン、クマリン、ケトクマリン、カンファーキノン、アントラキノン、ベンゾイルリン化合物、アクリジン、及びトリアゼンを含む。例としては、2,2'-ジエトキシアセトフェノン、2,2'-ジブトキシアセトフェノン、2,2'-ジメトキシ-α-フェニルアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、ベンゾフェノン、4,4'-ジクロロベンゾフェノン、4,4'-(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、3,3'-ジメチル-2-メトキシ-ベンゾフェノン、2,2'-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノ-1-オン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、アントラキノン、iso-ブチルベンゾインエーテル、ベンゾインブチルエーテルのブチル異性体の混合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、9-フェニルアクリジン、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3',4'-ジメトキシ-スチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4'-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、及び2-(p-メトキシメトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンが含まれる。紫外線光開始剤は、0.01~15質量%又は0.2~10質量%の量で光硬化性組成物中に存在することができ、ここで、各質量パーセントは、光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分及び光開始剤組成物の合計質量である100質量パーセントに対するものである。
【0060】
光開始組成物は場合によって、紫外線吸収剤を更に含むことができる。紫外線吸収剤には、ヒドロキシベンゾフェノン、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン他が含まれ得る。その組み合わせを使用することができる。紫外線吸収剤は、0.1~10質量%、0.1~5質量%、又は0.3~3質量%の量で存在し、ここで、各質量パーセントは、光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分及び光開始剤組成物の合計質量である100質量パーセントに対するものである。
【0061】
光開始組成物は場合によって、なお更にシンチレート剤を含む。シンチレート剤は、高エネルギーの非可視放射エネルギーを吸収し、吸収エネルギーによる励起に応じて、励起エネルギーより低準位でより長波長の、しかしなお可視光線より短波長で高エネルギー準位の放射エネルギーを放射することができる。シンチレート剤には多環式芳香族化合物が含まれ得る。シンチレート剤には、2,5-ジフェニルオキサゾール、1,4-ビス-2-(5-フェニルオキサゾリル)-ベンゼン)、テルフェニル、1,1,4,4-テトラフェニルブタジエン、2,5-ビス(5-tert-ブチル-ベンズオキサゾール-2-イル)チオフェン又はその組み合わせが含まれ得る。別の実施例において、シンチレート剤には、2,6-ピリジンジカルボン酸(ジピコリン酸、DPA)のトリス錯体等のランタニドキレート、例えば、Li3[Eu(DPA)3]が含まれ得る。キレート状態で使用することができるランタニドには、ユウロピウム(Eu)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、テルビウム(Tb)又はその組み合わせが含まれる。シンチレート剤は、スピン軌道結合増大シンチレート材料、例えばイリジウム-トリス[2-(4-トシル)ピリジナト-NC2]、又はピラゾラート架橋した環状メタル化プラチナ(II)錯体であってもよい。その組み合わせを使用することができる。シンチレート剤は、0.01~2質量%、0.05~1質量%又は0.1~1質量%の量で存在することができ、ここで、各質量パーセントは、光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分及び光開始剤組成物の合計質量である100質量パーセントに対するものである。
【0062】
光硬化性組成物は、難燃剤、熱安定剤、抗酸化剤、可塑剤、重合禁止剤、紫外線安定剤、又は粘度調整剤を含むことができる添加剤組成物を更に含むことができる。前述のものの少なくとも1つを含む組み合わせを使用することができる。
【0063】
熱安定剤又は抗酸化剤は、ホスファイト、例えば、亜リン酸2-エチルヘキシルジフェニル、亜リン酸ジフェニルイソデシル、亜リン酸トリイソデシル、ジ亜リン酸ジスチリルペンタエリトリトール、亜リン酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)、又はジ亜リン酸ビス(2,4-ジ-テトラ-t-ブチルフェニル)ペンタエリトリトール;チオプロピオナート又はプロピオナート、例えばチオジプロピオン酸ジラウリル、テトラキス[プロピオン酸メチレン-3-(3,5-ジ-テトラ-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]、プロピオン酸イソトリデシル-3-(3,5-ジ-テトラ-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)、プロピオン酸イソオクチル-3-(3,5-ジ-テトラ-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)、プロピオン酸チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-テトラ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)、ヘキサメチレンビス[プロピオン酸3-(3,5-ジ-テトラ-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)];ヒンダードアリール化合物、例えば4,4'チオビス(6-テトラ-ブチル-m-クレゾール)、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、イソシアヌル酸トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)、プロピオン酸オクタデシル-3-(3,5ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)、プロピオン酸トリエチレングリコールビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)、又は2,2-メチレンビス(4-メチル-6-(1-メチルシクロヘキシル)-フェノール);トリアゾール、例えば2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-テトラ-ブチル-フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-テトラ-ブチル-フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-ジ-テトラ-アミルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ジ(1,1-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、又はビス[2-ヒドロキシ-5-テトラヒドロ-オクチル3-(ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]メタン;ベンゾアート、例えば、3,5-ジ-テトラ-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル;トリアジン、例えば2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシル-オキシ-プロピル)オキシ]-2ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-(4,6-ビス-ビフェニル-4-イル-[1,3,5]トリアジン-2-イル)-3-ヒドロキシ-フェノキシ]プロピオン酸6-メチル-ヘプチルエステル、又は2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン他であってもよい。様々な化合物の組み合わせを使用することができる。
【0064】
幾つかの態様において、光硬化性樹脂組成物は、熱硬化性成分及び熱硬化を開始させる熱硬化開始剤を更に含む。熱硬化性成分を包含させることによって、ポリマー構造体の多段階硬化が可能になる。場合によって、光硬化性オリゴマー及びモノマーに加えて使用することができる追加の熱硬化性化合物の例としては、1,3-ジシアナトベンゼン、1,4-ジシアナトベンゼン、1,3,5-トリシアナトベンゼンが含まれ得る。1,3-ジシアナトナフタレン、1,3,6-トリシアナトナフタレン、2,2'-ジシアナトビフェニル、ビス(4-シアナトフェニル)メタン、4-クロロ-1,3-ジシアナトベンゼン、ノボラックをハロゲン化シアンと反応させることにより生成するシアノ化ノボラック、及びビスフェノールポリカーボナートオリゴマーをハロゲン化シアンと反応させることにより生成するシアノ化ビスフェノールポリカーボナートオリゴマーを挙げることができる。2つ以上の熱硬化性化合物の組み合わせを使用することができる。熱硬化性成分は、存在する場合、5~85質量%、10~85質量%、又は10~75質量%又は30~65の質量%の量で使用することができ、ここで、各質量パーセントは光硬化性組成物、光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分、光開始剤組成物、熱硬化性成分、及び熱硬化開始剤の合計質量である100質量パーセントに対するものである。
【0065】
熱硬化開始剤の例には、当業界で公知のペルオキシド、ある種の求核性触媒、又はある種の金属配位触媒が含まれ得る。熱硬化開始剤は、存在する場合、0.01~2質量%、0.05~1質量%又は0.1~1質量%の量で使用することができ、ここで、各質量パーセントは光硬化性組成物、光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分、光開始剤組成物、熱硬化性成分、及び熱硬化開始剤の合計質量である100質量パーセントに対するものである。
【0066】
上述したように、光硬化性組成物は、電気的及び機械的性質の望ましい組み合わせを有する、光硬化ポリマー材料を与える。
【0067】
誘電損失(Df、材料の散逸係数又は損失正接とも称される)は、誘電体材料の電磁エネルギーの固有の散逸を定量する。光硬化ポリマー材料は、それぞれ10GHzの周波数で測定して0.01未満、又は0.008未満、又は0.006未満、又は0.004未満の誘電損失係数を有することができる。例えば、光硬化ポリマー成分は、それぞれ10GHzの周波数で測定して0.0001~0.01、又は0.0001~0.008、又は0.0001~0.006、又は0.0001~0.004の誘電損失係数を有することができる。
【0068】
比誘電率(Dk、材料の誘電率とも称される)は、媒体中で電場を形成する場合に現れる抵抗力の、真空中のそのような抵抗力に対する尺度である。光硬化組成物の誘電率は、少なくとも2、又は少なくとも2.1であってもよい。光硬化組成物の誘電率は、18未満、又は14未満、又は10未満であってもよい。例えば、光硬化組成物の誘電率は、2~18、2~14又は2~12であってもよい。誘電損失及び比誘電率は、それぞれ様々な周波数、例えば10GHzでスプリットポスト誘電体共振器試験によって23~25℃の温度で測定される。
【0069】
特定の態様において、光硬化性組成物は、ウレタンメタクリラート誘導体化ポリブタジエンオリゴマーを含む、35~85質量%、好ましくは35~65質量%の光反応性オリゴマー成分;ジメタクリル酸エチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、及びアクリル酸2-エチルヘキシルを含む、15~65質量%、好ましくは45~65質量%の光反応性モノマー成分;及び0.1~5質量%の光開始組成物を含むことができ、ここで、各質量パーセントは、光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分及び光開始剤組成物の合計質量である100質量パーセントに対するものである。光硬化性組成物は、光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分及び光開始剤組成物の合計質量である100質量パーセントに対して、10~40質量%のジメタクリル酸エチレングリコール、5~20質量%のトリメタクリル酸トリメチロールプロパン、及び5~20質量%のアクリル酸2-エチルヘキシルを含むことができる。この態様において、光硬化性組成物は、充填剤を含む光硬化性組成物の総体積に対して、好ましくはアルミナ及びノナチタン酸バリウムを含む、10~50vol%又は10~40vol%の粒状充填剤を更に含む。下記のように、光硬化性組成物はSLA印刷可能である。光硬化材料は、4.7~5.1の誘電率、10GHzで0.004未満の誘電損失を有することができる。
【0070】
光硬化性組成物を形成する方法は、組成物の様々な成分を組み合わせる工程を含む。成分は任意の適切な順序、及び適切な量で添加することができる。組み合わせる方法は特に限定されず、撹拌、振盪、摩砕又は超音波混合を含むことができる。輸送又は保管される場合、光硬化性組成物は、好ましくは光又は熱から保護される。0.020インチ(0.05cm)の厚さで光硬化性組成物は、下記のようにSLA製作条件の下で22℃で6~30秒、又は10~25秒、又は15秒の硬化時間を有することができる。本明細書において使用される「硬化性」及び「硬化」とは、重合性及び架橋可能、及び重合及び架橋を含む。
【0071】
光硬化性組成物は、SLAによる三次元ポリマー物体の製作のために使用される。これらの方法において、光重合性組成物の連続的な薄層は光源を使用して選択的に光重合される。このプロセスは、例えば米国特許第4575330号、米国特許第4929402号、米国特許第5104592号、米国特許第5184307号、米国特許第5192559号、米国特許第5234636号、米国特許第5236637号及び米国特許第5273691号に記載されている。好ましい態様において、方法は、例えば米国特許第9205601号において記載されるステレオリソグラフィ法である。
【0072】
SLAの手法には、デジタル投影を使用する直接/レーザー描画、及びマスクを用いる描画が含まれる。直接/レーザー描画において、ポリマー材料が形成されるステージは、ある量のポリマー形成用硬化性液体樹脂組成物の表面直下に配置される。硬化性組成物の表面に沿って単一光源(例えば、レーザー)を、所望の層が完全に硬化するまで一列ずつ移動させる。続きの層を開始するために、ステージを、硬化性組成物の新しい層が表面をカバーするまで、硬化性液体樹脂組成物の体積分低く沈ませ、この硬化工程を繰り返す。層と層との間で、次に一巡する光曝露の前に、硬化性液体樹脂組成物を装填したブレードが樹脂の表面を平坦化して、液体層を確実に一様にするようにする。硬化性液体樹脂組成物が印刷されて3D構造体を形成するまで、この手順を繰り返す。
【0073】
別の手法、デジタル投影を使用するマスクを用いる描画においては、ステージを、液体硬化性組成物の体積分までの規定の距離に沈める。その体積分は、光学的に透明な底部を有する浴中に位置する。次に、光源をパターンのステージに誘導して、光源とステージとの間の硬化性組成物を重合させる。デジタル投影法において、デジタル反射鏡装置は、所定パターンの全層の同時硬化を可能にする。次いで、ステージを規定の距離だけ引き上げることができ、別の層を硬化させることができる。硬化性液体樹脂組成物が印刷されて3D構造体を形成するまで、この手順を繰り返す。
【0074】
コンポーネントが製作された後、3Dに印刷されたコンポーネントは、場合によって後硬化され、例えば更に架橋されてもよい。これは、さらなるUV照射への曝露によって達成することができる。熱硬化性樹脂組成物が光硬化性組成物中に含まれる場合、後硬化は熱により、例えば、オーブン中で熱への曝露によってでもよい。
【0075】
結果として得られるポリマー構造体は任意の適切な構成又は形状を有することができる。結果として得られるSLAによって形成されたポリマー構造体は、固体又は多孔性であってもよい一体化した物体である。一態様において、空気が物体の全体的な誘電率に寄与するように、物体は多孔性である。上に論じたように、より高い誘電率の充填剤の使用によって所望のDkを有するそのような構造体の製作が可能になる。更に、誘電損失は、材料の損失並びに材料の多孔性に応じて、非常に低くなり得る。例えば、ポリマー構造体は、それぞれ10GHzの周波数で測定して、0.01未満、又は0.008未満、又は0.006未満、又は0.004未満、又は0.002、又は0.001未満の誘電損失係数を有することができる。例えば、光硬化ポリマー成分は、それぞれ10GHzの周波数で測定して0.0001~0.01、又は0.0001~0.008、又は0.0001~0.006、又は0.0001~0.004、又は0.0001~0.002、又は0.0001~0.001の誘電損失係数を有することができる。
【0076】
一態様において、ポリマー構造体は、電気伝導層の上に配置されるか、又は直接接触する。幾つかの態様において、電気伝導層の少なくとも2つの交互のポリマー構造体又は少なくとも2つの交互の層が存在し、スタックを形成する。伝導層のための有用な電気伝導性材料には、例えば、ステンレス鋼、銅、金、銀、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛、遷移金属、又はその組み合わせが含まれる。伝導層の厚さに関しては、特定の限定はなく、また、電気伝導層の表面の形状、大きさ又はテクスチャーに関しては、いかなる限定もない。伝導層は、1~2000マイクロメートル又は10~1000マイクロメートルの厚さを有することができる。2つ以上の伝導層が存在する場合、各層の厚さは同じでも異なっていてもよい。伝導層は銅層を含むことができる。適切な伝導層には、回路の形成において伝導性金属の薄層、例えば回路の形成に現在使用されている銅箔、例えば電着銅箔が含まれる。
【0077】
付加製造プロセス及び伝導層への印刷に使用されるプラットフォームに伝導層を載せることによって、伝導層をポリマー構造体と接触させることができる。代替として、ポリマー材料は、直接レーザー構造化によって、又は接着によって伝導層と接触させることができる。例えば、電着、化学気相成長等の、特定の材料及びポリマー材料の形態によって可能になる場合、当業界で公知の他の方法を伝導層を適用するために使用することができる。
【0078】
例えば、伝導層は、レーザー直接構造化することによって適用することができる。ここで、3D印刷されたポリマー材料は、レーザー直接構造化添加剤を含むことができ、直接レーザー構造化は、基板の表面を照射するためにレーザーを使用する工程、レーザー直接構造化添加剤の導電路(track)を形成する工程、及び導電路に伝導性金属を適用する工程を含むことができる。レーザー直接構造化添加剤は、金属酸化物粒子(酸化チタン及び銅クロム酸化物等)を含むことができる。直接レーザー構造化添加剤は、スピネル系無機金属酸化物粒子、例えばスピネル銅を含むことができる。金属酸化物粒子は、例えばスズ及びアンチモンを含む組成物で被覆されていてよい(例えばコーティングの総質量に対して、50~99質量%のスズ及び1~50質量%のアンチモン)。直接レーザー構造化添加剤は、それぞれの組成物百部に対して、2~20部の添加剤を含んでいてよい。照射は、1,064ナノメートルの波長を有するYAGレーザーを用いて10ワットの出力の下、80キロヘルツ(kHz)の周波数及び毎秒3メートルの速度で遂行することができる。伝導性金属は、例えば、銅を含む無電解めっき浴において鍍金工程を使用して適用することができる。
【0079】
伝導層は接着して接触させることができる。一態様において、ポリマー構造体を、最初に光重合によって形成させることができる。熱硬化剤がポリマー材料組成物中に存在する場合、ポリマー構造体及び電気伝導層は接触し、ポリマー構造体中のポリマー材料の熱硬化によって接着され得る。この技法は、ポリマー構造体の「Bステージ」を可能にする。多層構造が所望される場合には、それは特に有用である。例えば、ポリマー構造体の複数の層を製作することができ(Bステージ);交互のポリマー層及び伝導層のスタックを作製することができ;次いで、スタックを熱硬化させて複数の層を接着することができる。他の態様において、ポリマー構造体は、平坦なシートの形で製作することができ(Bステージ);伝導層を平坦なシートと接触させることができ;層を丸めて交互のポリマーシート及び伝導層を円筒形にすることができ;ロールを熱硬化させて層を接着することができる。
【0080】
代替として、又は追加的に、接着層を、1つ又は複数の伝導層とポリマー材料との間に配置することができる。
【0081】
3G、4G及び5G用途を含む様々な無線周波で有用なポリマー構造体を製作することができる。ポリマー構造体は、電子デバイスとして、例えばインピーダンスマッチング層誘電体導光路、レンズ、反射アレイ、アンテナマッチング構造体、スーパーストレート、カップラー、ディバイダー、レドーム、又は誘電体アンテナ(誘電体共振アンテナを含む)として、又はそこに使用することができる。
【0082】
本明細書において記述する組成物及び方法は、非常に低い損失を有する材料の速く効率的な製作を、幾何学的に複雑なコンポーネントを含む、様々な構成、及び様々な形状で可能にする。また、1つの材料及びプロセスでコンポーネントのすべての次元全体にわたって勾配のある誘電率を有する構造体を作製することも可能にする。組成物及び方法は、設計、プロトタイプから市販品までの時間を劇的に短縮することを含む他の多くの利点を有する。工作機械類は必要でないので、設計変更は速く行うことができる。射出成形又は他の成形プロセスと比較して、最小のエネルギーが使用される。付加製造の使用により、廃液及び原料の量を減少させることもできる。組成物及び方法は、コンポーネントがオンデマンド及び現場で速く作製できるため、ビジネスのためのコンポーネントの在庫を更に低減することができる。
【実施例】
【0083】
材料
下記の表に示す材料を、実施例で使用した。
【0084】
【0085】
試験方法
粘度は、23℃でブルックフィールド粘度計を使用して求めた。
【0086】
誘電損失(Df)及び誘電率(Dk)は、スプリットポスト誘電体共振器(SPDR)試験によって求めた。この方法は例えば、Krupka J., Gregory A.P., Rochard O.C., Clarke R.N., Riddle B., Baker-Jarvis J., "Uncertainty of Complex Permittivity Measurement by Split-Post Dielectric Resonator Techniques," Journal of the European Ceramic Society、10号、2673-2676頁、2001年;及びKrupka, J., Geyer, R.G., Baker-Jarvis, J., Ceremuga, J., "Measurements of the complex permittivity of microwave circuit board substrates using split dielectric resonator and reentrant cavity tech¬niques", Seventh International Conference on Dielectric Materials, Measurements and Applications, (Conf. Publ. No. 430)、1996年9月、21-24頁に記載されている。23℃の温度で試験を行なった。
【0087】
(実施例1)
ポリブタジエンウレタンアクリラート光硬化性組成物(充填剤を含まない)の調製
光反応性オリゴマーとしてウレタンポリブタジエンメタクリル樹脂(TE-2000)を、光反応性モノマーである、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸イソボルニル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸1,6-ヘキサンジオール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、ジメタクリル酸1,6-ヘキサンジオール、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル及びジメタクリル酸1,3-ブタンジオールと共に組成物の総質量に対して10~90質量%の量で使用して、一連の光硬化性組成物を調製した。各組成物はまた、組成物の総質量に対して1質量%の光開始剤BAPO(フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)を含んでいた。
【0088】
各組成物を調製するために、オリゴマーを60℃に加熱して、材料の分注及び計量を可能にするために粘度を十分に降下させた。容器内で、オリゴマー、モノマー及び光開始剤を、Resodyn Acoustic Mixers社からのLabRam II音響ミキサーによって50gの加速度で5分間混合した。組成物を室温に冷却し、次いで薄いフィルム状に被覆し、Dymax 5000-EC UVフラッドオーブンで水銀ランプを用いてUV照射に曝露した。固体に硬化させたフィルムは、スプリットポスト誘電体共振器試験において誘電率及び損失を測定するために使用するのに適切であった。
【0089】
Table 1(表2)からTable 5(表6)に粘度、誘電損失、硬化時間及び誘電率の評価を示す。
【0090】
Table 1(表2)は、光反応性オリゴマーとしてのポリブタジエンメタクリル樹脂(TE-2000)、及び組成物の総質量に対して60質量%の量の各列挙モノマーを使用して調製した光硬化ポリマーについて、様々なモノマーの損失に及ぼす効果を例証する。
【0091】
【0092】
Table 1(表2)からわかるように、損失(Df)は、モノマーがアクリラート基を含んでいる場合、メタクリラート基を含んでいる場合に対して一般により高い。モノマーの官能基数又は分子量に基づく傾向は観察されなかった。
【0093】
Table 2(表3)は、光反応性オリゴマーとしてポリブタジエンメタクリル樹脂(TE-2000)を使用して調製した光硬化性ポリマー組成の粘度への、モノマーの量及び種類の効果を示す。各列挙モノマーの量は光硬化性組成物の総質量に対する。Table 2(表3)において、「X」は、粘度が高過ぎてSLA印刷できない組成物を表わす。1~250cPの範囲の粘度は効率的なSLA印刷には低過ぎる。250~10,000cPの範囲の粘度が、効率的にSLA印刷可能である。
【0094】
【0095】
Table 2(表3)からわかるように、モノマー成分が、モノマー及びオリゴマーの合計質量に対して30~70質量パーセントの範囲にある場合、一般にこの組成物(充填剤を含まない)で良好な粘度が得られる。しかしながら、好ましいモノマー量はそれぞれ、モノマー毎に変わる。
【0096】
Table 3(表4)は、光反応性オリゴマーとしてポリブタジエンメタクリル樹脂(TE-2000)を使用して調製した光硬化ポリマーの誘電損失(Df)への、モノマーの量及び種類の効果を示す。各列挙モノマーの量は光硬化性組成物の総質量に対する。Table 3(表4)において、「X」は、粘度が高過ぎてSLA印刷できない組成物を表わし、「~」は、SLA印刷するためには硬化が遅過ぎる組成物を表わし(電子デバイスとして「粘着性」乃至有用であるポリマーをもたらす)、「-」は、粘度が低過ぎてSLA印刷できない組成物を表わす。
【0097】
【0098】
Table 3(表4)に示すように、最適な粘度及び誘電損失を与えるモノマーの量はそれぞれ、各モノマーに対して変わる。
【0099】
Table 4(表5)は、光反応性オリゴマーとしてポリブタジエンメタクリル樹脂(TE-2000)を使用して調製した光硬化性組成物の硬化時間への、モノマーの量及び種類の効果を示す。各列挙モノマーの量は光硬化性組成物の総質量に対する。Table 4(表5)において、「X」は、「-」は、粘度が低過ぎてSLA印刷できない組成物を表わす。
【0100】
【0101】
Table 4(表5)に示すように、最適な粘度及び硬化時間を与える各モノマーの量は、モノマー毎に変わる。
【0102】
Table 5(表6)は、光反応性オリゴマーとしてポリブタジエンメタクリル樹脂(TE-2000)を使用して調製した光硬化ポリマーの誘電率への、モノマーの量及び種類の効果を示す。各列挙モノマーの量は光硬化性組成物の総質量に基づく。Table 4(表5)において、「X」は、粘度が高過ぎてSLA印刷できない組成物を表わし、「-」は、粘度が低過ぎてSLA印刷できない組成物を表わす。
【0103】
【0104】
Table 5(表6)に示すように、充填剤を含まないで、2.0771~2.7825の範囲の誘電率を有するSLA印刷可能な組成物を得ることができる。
【0105】
(実施例2)
60質量%のTE-2000オリゴマー、20質量%のアクリル酸2-エチルヘキシル、及び20質量%のジメタクリル酸エチレングリコールを含む組成物を、百部あたり1部(pph)のBAPO光開始剤を加えて調製した。充填剤を含まないで、材料は、ブルックフィールド粘度計によって23℃で500センチポアズの粘度、2.3の誘電率及び10GHzで0.0064の誘電損失を有していた。
【0106】
およそ1質量%のメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを用いて処理された30vol%のシリカ(Denka社からのFB-8S)を更に添加し、続いてLabRam II音響混合システム中で50gの加速度で5分間混合することによってシリカ充填剤を含む配合物も調製した。このシリカ充填組成物は、ブルックフィールド粘度計によって23℃で3,000cPの粘度が測定され、Dymax 5000-EC UVフラッドオーブンで水銀ランプを用いてUV照射に曝露され硬化された。固体に硬化したフィルムは、スプリットポスト誘電体共振器試験において誘電率及び損失を測定するために使用するのに適切であった。測定した材料は、2.5の誘電率及び10GHzで0.0046の損失を示した。
【0107】
およそ1質量%のメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを用いて処理された30vol%のアルミナ(Denka社からのDAW-10)を添加することによって、アルミナ充填剤を含む配合物も調製した。アルミナ充填組成物は、ブルックフィールド粘度計によって23℃で4500センチポアズの粘度、3.4の誘電率、及び10GHzで0.0041の誘電損失を有していた。
【0108】
(実施例3)
40質量%のウレタンメタクリラートポリブタジエンオリゴマー(TEAI-1000)、30質量%のメタクリル酸イソボルニル、20質量%のジメタクリル酸エチレングリコール、及び10パーセントのトリメタクリル酸トリメチロールプロパンを含む組成物を、百質量部あたり1部(pph)のBAPO光開始剤及び0.1pphのシンチレート剤2,5-ビス(5-tert-ブチル-2-ベンゾオキサゾリル)チオフェンを加えて調製した。続いて、それぞれ組成物の総体積に対して、およそ1質量%のメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを用いて処理された18vol%のアルミナ(Denka社からのDAW-10)と、およそ1質量%のチタン酸オレイルを用いて処理された19vol%のノナチタン酸バリウム(Trans-Tech社)とを、組成物に添加した。結果として得られた光硬化材料は、4.9の誘電率及び10GHzで0.0035の損失を有していた。
【0109】
(実施例4)
60質量%のウレタンメタクリラートポリブタジエンオリゴマー(TEAI-1000)、15質量%のメタクリル酸イソボルニル、10質量%のジメタクリル酸エチレングリコール、10質量%のトリメタクリル酸トリメチロールプロパン、及び5質量%のアクリル酸2-エチルヘキシルを含む組成物を、1pphのBAPO光開始剤及び0.1pphのシンチレート剤、2,5-ビス(5-tert-ブチル-2-ベンゾオキサゾリル)チオフェンを加えて調製した。続いて、それぞれ組成物の総体積に対して、およそ1質量%のメタクリルオキシプロピルトリメトキシシランを用いて処理された18vol%のアルミナ(Denka社からのDAW-10)と、およそ1質量%のオレイルチタン酸を用いて処理された19vol%のノナチタン酸バリウム(Trans-Tech社)とを、組成物に添加した。結果として得られた光硬化材料は、4.9の誘電率及び10GHzで0.0039の損失の測定値を示した。
【0110】
(実施例5)
50質量%のウレタンアクリル樹脂ポリブタジエンオリゴマー(TEAI-1000)と、50質量%のモノマー成分との混合物を使用し、次いで、オリゴマー及びモノマーの合計質量に対して1質量%のBAPO光開始剤を添加して、6種の試料(A-F)を配合した。試料Aにおいて、モノマー成分は100%トリメタクリル酸トリメチロールプロパンである。後続の試料B-Eにおけるその量は、20質量%の増分で減らし、試料Fにおいてモノマー成分が100質量%トリアクリル酸トリメチロールプロパンになるまで、トリアクリル酸トリメチロールプロパンで置き換えた。5及び10GHzで各試料に関して誘電率及び誘電損失を試験し、Table 6(表7)に平均の結果を示す。
【0111】
【0112】
表6のデータは、モノマー成分中のアクリラート含有率がメタクリラート含有率に対して増加すると、誘電損失の増加がもたらされることを示す。
【0113】
本開示の様々な非限定的な態様を以下に述べる。
【0114】
態様1. ステレオリソグラフィ三次元印刷用の光硬化性組成物であって、光反応性末端基を含む疎水性オリゴマーを含む光反応性オリゴマー成分、光反応性末端基を有する光反応性モノマーを含む光反応性モノマー成分、及び光開始剤を含む光開始組成物を含み;ブルックフィールド粘度計を使用して求めて22℃で250~10,000センチポアズの粘度を有し;光硬化組成物はそれぞれ、23℃にて10ギガヘルツでスプリットポスト誘電体共振器試験によって求めて0.010未満、好ましくは0.008未満、より好ましくは0.006未満、最も好ましくは0.004未満の誘電損失を有する光硬化性組成物。
【0115】
態様2. 35~85質量%の光反応性オリゴマー成分、15~65質量%の光反応性モノマー成分、0.01~15質量%の光開始組成物を含み、ここで、各質量%は、光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分及び光開始組成物の合計質量である100質量%に対するものである、態様1に記載の光硬化性組成物。
【0116】
態様3. 疎水性オリゴマーが(メタ)アクリラート末端基、好ましくは2個以上のメタクリラート末端基を含む、態様1又は態様2に記載の光硬化性組成物。
【0117】
態様4. 光反応性オリゴマー成分の疎水性オリゴマーが、(メタ)アクリラート誘導体化ポリエステル、(メタ)アクリラート誘導体化ポリウレタン、(メタ)アクリラートウレタン誘導体化ポリブタジエンオリゴマー、又はその組み合わせである、態様1から3のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【0118】
態様5. 光反応性オリゴマー成分が、1モル当たり500~5,000グラムの数平均分子量を有するウレタン(メタ)アクリラート誘導体化ポリブタジエンオリゴマーを含む、態様1から4のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【0119】
態様6. 光反応性モノマーが(メタ)アクリラート末端基、好ましくは2個以上のメタクリラート末端基を含む、態様1から5のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【0120】
態様7. 光反応性モノマー成分が、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%のメタクリラート官能性モノマーを含む、態様6に記載の光硬化性組成物。
【0121】
態様8. アクリラート末端基を有するモノマーが、光反応性オリゴマー成分及び光反応性モノマー成分の合計質量に対して20質量%以下の量で存在する、態様6に記載の光硬化性組成物。
【0122】
態様9. 光反応性モノマー成分が、ジメタクリル酸エチレングリコール、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン及びメタクリル酸イソボルニルの組み合わせを含む、態様7に記載の光硬化性組成物。
【0123】
態様10. それぞれ光硬化性組成物の総体積に対して5~60vol%、好ましくは10~60vol%、より好ましくは10~50vol%の量で粒状充填剤を更に含む、態様1から9のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【0124】
態様11. 粒状充填剤が、シリカ、アルミナ、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、ノナチタン酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、又はその組み合わせを含み、好ましくは、粒状充填剤又はその組み合わせは、5以上の誘電率を有し、より好ましくは、粒状充填剤はアルミナ、ノナチタン酸バリウム又はその組み合わせを含む、態様10に記載の光硬化性組成物。
【0125】
態様12. 光開始組成物が、紫外線吸収剤を、好ましくは光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分及び光開始組成物の合計質量である100質量%に対して0.01~10質量%の量で更に含む、態様1から11のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【0126】
態様13. 光開始組成物が、シンチレート剤を、好ましくは光反応性オリゴマー成分、光反応性モノマー成分及び光開始組成物の合計質量である100質量%に対し、0.01~2質量%の量で更に含む、態様1から12のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【0127】
態様14. 10ギガヘルツで2~12の比誘電率を有する、態様1から13のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【0128】
態様15 態様1から14のいずれか一項に規定の組成物の光硬化生成物を含む三次元構造体。
【0129】
態様16. スプリットポスト誘電体共振器試験によって23℃の温度にて10ギガヘルツで求めて、10GHzで0.004未満の誘電損失を有する、態様1から13のいずれか一項に記載の光硬化性組成物。
【0130】
態様17. 構造が多孔性である、態様15又は16に記載の三次元構造体。
【0131】
態様18. 態様15から態様17のいずれか一項に規定の三次元構造体を含む電子デバイス。
【0132】
態様19. インピーダンスマッチング層、誘電体導光路、レンズ、反射アレイ、アンテナマッチング構造体、スーパーストレート、カップラー、ディバイダー、レドーム又は誘電体アンテナである、態様18に記載の電子デバイス。
【0133】
態様20. 少なくとも1つの導電体が、光硬化生成物の上に、又はそれに接して配置された、態様19に記載の電子デバイス。
【0134】
態様21. 組成物の成分を組み合わせる工程を含む、態様1から15のいずれか一項又は複数に規定の光硬化性組成物を形成する方法。
【0135】
態様22. 三次元ポリマー構造体の製作のステレオリソグラフィ法であって、態様1から15のいずれか一項又は複数に規定の光硬化性組成物を含むある量を用意する工程;パターンで組成物の一部を活性化放射線で照射して、構造体の光硬化層を形成する工程;層を光硬化性組成物と接触させる工程;パターンで光硬化性組成物を活性化放射線で照射して、第1の光硬化層の上に第2の光硬化層を形成する工程;並びに、接触及び照射を繰り返して三次元ポリマー構造体を形成する工程を含む方法。
【0136】
態様23. 三次元構造体を熱により硬化させる工程を更に含む、態様22に記載の方法。
【0137】
態様24. 多孔性である、態様22又は態様23に規定の方法によって作製された三次元構造体。
【0138】
態様25. 態様22から24のいずれか一項に規定の三次元構造体を含む電子デバイス。
【0139】
態様26. インピーダンスマッチング層、誘電体導光路、レンズ、反射アレイ、アンテナマッチング構造体、スーパーストレート、カップラー、ディバイダー、レドーム又は誘電体アンテナである、態様23に記載の電子デバイス。
【0140】
組成物、方法及び物品は、代替的に、本明細書において開示される任意の好適な材料、工程又は成分を含み、それからなる又は本質的にそれからなることができる。組成物、方法及び物品は、組成物、方法及び物品の機能又は目的の達成に対してそうでなければ必要でない任意の材料(又は種)、工程又は成分を含まない、又は実質上含まないように、更に、又は代替として、配合することができる。
【0141】
用語「a」及び「an」は、量の限定を表わすのではなく、言及する項目の少なくとも1つの存在を表わす。用語「又は」は、文脈によって明白に他の方法で示されない場合、「及び/又は」を意味する。「態様」、「別の態様」、「幾つかの態様」への明細書を通じての言及は、態様に関して記載の特別の要素(例えば、特色、構造、工程又は特性)が、本明細書において記載の少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様において存在してもしなくてもよいことを意味する。更に、記載の要素が、様々な態様における任意の適切な方式で組み合わせられてもよいことは理解されるはずである。「組み合わせ」は、ブレンド、混合物、アロイ、反応生成物等を包括する。「の少なくとも1つ」は、リストが、各要素の個々に、並びにリストの2つ以上の要素の組み合わせ、及びリストの少なくとも1つの要素の指名されない類似の要素との組み合わせを包括することを意味する。同様に、「その組み合わせ」はオープンエンドであり、指名された要素の少なくとも1つを、場合によって、指名されない類似又は等価の要素と一緒に含むことができる。
【0142】
同一の成分又は性質を対象とする範囲すべての終点は、終点の両端を含み、独立して結合可能であり、中間の点及び範囲をすべて含む。例えば「25wt%以下、又は5~20wt%」の範囲は、10~23wt%等の「5~25wt%」の範囲の終点及びあらゆる中間値を含む。
【0143】
層、フィルム、領域又は基板等の要素が、別の要素に「接触している」又は「の上に」あると称される場合、それは他の要素に直接接触し、若しくは直接上にあってよく、又は介在する要素もまた存在してもよい。対照的に、要素が別の要素に「直接接触している」又は「の直接上に」あると称される場合、介在する要素は存在しない。本明細書において第1、第2、第3等の用語を、様々な要素、成分、領域、層又は部分を記載するために使用することができるが、これらの要素、成分、領域、層又は部分は、これらの用語によって限定されるべきでない。これらの用語は、1つの要素、成分、態様、領域、層又は部分を、別の要素、成分、領域、層又は部分から識別するためにのみ使用される。したがって以下に論じられる第1の要素、成分、領域、層又は部分は、本態様の教示から外れることなく、第2の要素、成分、領域、層又は部分と名付けることができよう。
【0144】
本明細書においてそれと反対に明示されない限り、試験標準はすべて、本出願の出願日、又は優先権が主張される場合、試験標準が出現する最初の優先権出願の出願日の時点で有効な、最も新しい標準である。
【0145】
本明細書においてそれと反対に明示されない限り、本明細書において使用される科学技術用語は、本発明が属する当業界で一般に理解されるのと同じ意味を有する。引用される特許、特許出願及び他の参考文献はすべて、参照によってその全体が本明細書において組み込まれる。しかしながら、本出願中の用語が組み込まれた参考文献中の用語と相容れないか又は矛盾する場合、本出願からの用語は、組み込まれた参考文献からの矛盾する用語に優先する。
【0146】
特定の実施形態が記載されたが、今あるか、又は現在は見ることができない代替法、修飾、変形、改善及び実質的等価物は、出願者ら又は他の当業者に生じ得る。したがって、出願され修正され得る添付の特許請求の範囲は、そのような代替法、修飾、変形、改善及び実質的等価物をすべて包含するように意図される。