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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】ライン体積較正システムと方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20240712BHJP
   G01F 11/00 20060101ALI20240712BHJP
   G01N 15/14 20240101ALI20240712BHJP
【FI】
G01N35/08 B
G01F11/00 A
G01N15/14 C
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021571681
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-04
(86)【国際出願番号】 US2020036184
(87)【国際公開番号】W WO2020247676
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】62/858,507
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス グレン
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-519704(JP,A)
【文献】特表2005-528584(JP,A)
【文献】特開2017-015714(JP,A)
【文献】特開2000-035434(JP,A)
【文献】特開2011-158258(JP,A)
【文献】特開2014-106105(JP,A)
【文献】特開平04-155220(JP,A)
【文献】特開平09-043025(JP,A)
【文献】米国特許第04897797(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
G01N 1/00-1/44
G01N 15/00-15/1492
G01F 11/00-13/00
G01F 17/00-22/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルライン内に封入された体積を推定するための方法であって、
第1の流体の較正体積を前記サンプルライン内に、前記較正体積が前記サンプルラインを完全に満たすように配置することであって、前記満たされたサンプルラインがその中の体積SLを規定する、前記配置することと、
前記第1の流体の前記較正体積、および同様に第2の流体の置換体積Dをサンプルゾーン内に連通させることであって、前記第1の流体の前記較正体積および前記第2の流体の前記置換体積Dが総体積を規定する、前記連通させることと、
前記サンプルゾーンからの前記総体積を、前記第1の流体と前記第2の流体との間の境界を識別するように構成されたセンサに連通させることと、
前記境界から、前記サンプルラインの前記体積SLを推定することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記センサが、電気信号の変化、音響信号の変化、またはそれらの任意の組み合わせを検出する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプルラインを完全に満たす体積を超過する前記第1の流体の体積を前記サンプルラインに連通させることと、前記サンプルラインを満たす前記体積を超過する第1の流体を、前記サンプルラインを完全に満たしたままにするように除去することと、をさらに含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
電気信号の変化、音響信号の変化、またはそれらの任意の組み合わせに基づいて、前記第2の流体の前記体積を測定することをさらに含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の流体および前記第2の流体が非混和性である、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法が自動化された様式で実行される、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の流体が空気を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の流体サンプルを分析するように前記サンプルゾーンを動作させることをさらに含み、前記1つ以上の流体サンプルの各々が、前記体積SLのサンプル体積を有している、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
システムであって、
内部に体積を封入するサンプルラインと、
前記サンプルラインから第1の流体を受け入れるように構成されたサンプルゾーンと、
流体送達トレインであって、(a)前記第1の流体の体積を前記サンプルラインに送達し、(b)前記サンプルラインの前記体積を完全に満たす前記第1の流体の較正体積CVを前記サンプルラインから前記サンプルゾーン内に送達し、(c)第2の流体の置換体積Dを前記サンプルゾーンに送達するように構成され、前記第1の流体の前記較正体積CVおよび前記第2の流体の前記置換体積Dが総体積TVを規定するようになっている、前記流体送達トレインと、
前記サンプルゾーンから前記第1の流体および前記第2の流体を受け入れ、前記第1の流体と前記第2の流体との間の境界を検出するように構成されたセンサ領域と、
フローダイバータトレインであって、(a)前記サンプルラインを前記サンプルゾーンと流体連通させるか、(b)前記サンプルゾーンを前記センサ領域と流体連通させるか、または(a)と(b)の両方を行うように構成された、前記フローダイバータトレインと、
任意選択で、前記第2の流体の前記置換体積の前記体積Dと総体積TVとの間の差に少なくとも基づいて、前記サンプルラインによって封入された体積を判定するように構成されたプロセッサと、を含む、システム。
【請求項10】
前記サンプルラインの端部と流体連通している槽をさらに含み、前記槽が、前記サンプルラインを介して連通された流体を受け入れるように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記サンプルラインが完全に満たされるように、流体が前記サンプルライン内に保持されている間に、前記流体送達トレインが、前記槽から流体を除去するようにさらに構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記フローダイバータトレインが単一バルブで構成されている、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記単一バルブがロータリーバルブとして特徴付けられている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記フローダイバータトレインが複数のバルブを備える、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記センサ領域が気泡センサを備える、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
機器によって前記サンプルゾーンから受け入れられた第1の流体中に配置されたサンプルを分析するように構成された、前記機器をさらに含む、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムが、前記サンプルラインによって封入された体積に少なくとも部分的に基づいて前記機器を操作するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
オートサンプラをさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記オートサンプラが、前記機器から離れた場所に配置されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記サンプルラインが、前記オートサンプラを前記機器と流体連通させるように配置する、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記システムが、サンプルと前記第1の流体を接触するように構成された領域を含む、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記サンプルが細胞、細胞成分、またはその両方を含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記サンプルラインによって封入される体積が、0マイクロリットル~.5ミリリットルの範囲内にある、請求項9~11のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国特許出願第62/858,507号「Line Volume Calibration Systems And Methods」(2019年6月7日出願)の優先権および利益を主張し、その出願の全体は、いずれかの目的、およびすべての目的のために、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、流体サンプルのライン体積測定に関する。
【背景技術】
【0003】
例えばマイクロリットルの尺度で非常に少量のサンプルを分析するとき、流体分析機器は、サンプル容量を測定してデータを収集するときに非常に正確である必要がある。例えば、フローサイトメトリは、高度に集束されたレーザービームが流体を通過して、散乱光に基づいた細胞に関する情報を取得すると、流体に懸濁している単一の細胞を分析することができる。このような実験では、細胞からの散乱光(例えば、前方散乱光、側方散乱光)のタイミングと、流体サンプルの細胞に関連付けられた蛍光標識からの蛍光とを正確に相関させるために、流体サンプルの正確な体積(すなわち、ライン体積)を知る必要がある。同様に、サンプルがインテロゲーション領域に出入りする正確なタイミングは、データ収集と分析の開始/停止時間を判定するために不可欠である。したがって、サンプル開始ポイントとインテロゲーションポイントの間の流体ライン体積を正確に判定することは、システムの性能にとって重要である。
【0004】
これらの課題に対処するための現在の方法には、サンプル流体の分析を遅く開始することと、サンプルの実際の開始と終了よりも早く分析を終了することと、が含まれる。サンプル流体がインテロゲーションポイントを通過するときに、分析の立ち上がりと立ち下がりに分析を遮断することで、分析対象がサンプル流体であり、ライン内の空気またはその他の非サンプル流体ではないことが確実になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この手法の欠点は、サンプル液の一部が廃棄され、分析されないことである。このことは、まれなイベント(例えば、まれなタンパク質を発現するサンプル流体内の細胞)を検出および分析を試みる実験中に特に問題になることがあり、希薄な量でのみ存在しているまれなイベントの分析物が、このような分析物を含有するサンプル流体の一部が廃棄される場合に分析されないからである。さらに、関心対象のイベントの一部は、その位置が流体サンプルの最初または最後にあるため、分析されないようになることがある。
【0006】
慎重なサンプルラインの製造方法は、一貫性があり信頼性の高いサンプルライン容量を提供することを意図しており、そのような注意深い製造方法が、サンプルラインの量が特定の許容量または範囲内に収まることを確実にすることを企図している。しかしながら、この手法は、多くの場合、サンプルラインの製造とテストが高コストになる。さらに、分析中、ライン体積の変動を考慮して、サンプルの到着時間をより大きな許容誤差で計算する必要がある。これにより、潜在的に価値のあるサンプルが無駄になり、分析期間の開始点と終了点の両方の一部を破棄する必要がある(そして、そのような破棄により、研究目的と患者診断に関連付けられた臨床目的の両方にとって重要となり得る貴重な情報が失われる可能性がある)。
【0007】
したがって、当技術分野には、ライン体積較正およびサンプル測定の改善された方法およびシステムに対する長期間感じられてきた必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
記載された課題に対処する際に、本開示は、最初に、サンプルの体積を測定、推定、および/または判定するためのシステムおよび方法を提供する。方法は、第1の流体の較正体積をサンプルライン内に、較正体積がサンプルラインを完全に満たすように配置することであって、満たされたサンプルラインが、その中の体積SLを規定する、配置することと、第1の流体の較正体積、および第2の流体の置換体積もまたサンプルゾーン内に連通させることであって、第1の流体の較正体積および第2の流体の置換体積が、総体積を規定する、連通させることと、サンプルゾーンからの総体積を、第1の流体と第2の流体との間の境界を識別するように構成されたセンサに連通させることと、境界から、サンプルラインの体積SLを推定することと、を含むことができる。
【0009】
本開示はまた、以下を含むシステムと方法を提供し、それらは、中に体積SLを封入しているサンプルラインと、サンプルラインから第1の流体を受け入れるように構成されたサンプルゾーンと、流体送達トレインであって、(a)第1の流体の体積をサンプルラインに送達し、(b)サンプルラインの体積を完全に満たす第1の流体の較正体積CVをサンプルラインからサンプルゾーン内に送達し、(c)第2の流体の置換体積Dをサンプルゾーンに送達するように構成され、第1の流体の較正体積CVおよび第2の流体の置換体積Dが総体積TVを規定するようになっている、流体送達トレインと、サンプルゾーンから第1の流体および第2の流体を受け入れ、第1の流体と第2の流体との間の境界を検出するように構成されたセンサ領域と、フローダイバータトレインであって、(a)サンプルラインをサンプルゾーンと流体連通させるか、(b)サンプルゾーンをセンサと流体連通させるか、または(a)と(b)の両方を行うように構成されたフローダイバータトレインと、任意選択で、第2の流体の置換体積の体積Dと総体積TVとの間の差に少なくとも基づいて、第1のサンプルラインによって封入された体積を判定するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0010】
サンプル流体の体積を推定するためのシステムおよび方法がさらに提供されており、システムおよび方法は、一定量の第1の流体を導管に送達することと、一定量の第2の流体を導管に送達することであって、それによって導管内の第1の流体を置き換えることと、導管内の第1の流体および第2の流体の総体積を推定することと、導管から第1の流体と第2の流体との間の境界を判定することが可能なセンサに、第1の流体および第2の流体を送達することと、総体積中の第2の流体の体積を判定することと、第1の流体の体積およびサンプル流体および第1の流体の推定された総体積に少なくとも基づいて、サンプル流体の体積を推定することと、を含む。
【0011】
サンプルの体積を自動的に判定するためのシステムもまた提供されており、システムは、センサ領域と、第2の流体の体積、および第1の流体の体積をセンサ領域に別個に送達するように構成された流体送達トレインと、センサ領域は、センサ領域を通る信号を測定するように構成されており、信号は、センサ領域内の第1の流体の存在、またはセンサ領域内の第2の流体の存在に基づいて異なっており、第1の流体および第2の流体がセンサ領域を通って連通されるときに測定された信号に基づいてサンプルの体積を判定するように構成されたプロセッサと、を含む。
【0012】
要約および以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むとさらに理解される。開示された主題を説明する目的のために、開示された主題の例示的な実施形態が図面に示されているが、しかしながら、開示された主題は、開示された特定の方法、組成物、およびデバイスに限定されていない。さらに、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】本開示による例示的なシステムおよび方法の描写を提供している。
図1B】本開示による例示的なシステムおよび方法の描写を提供している。
図1C】本開示による例示的なシステムおよび方法の描写を提供している。
図1D】本開示による例示的なシステムおよび方法の描写を提供している。
図1E】本開示による例示的なシステムおよび方法の描写を提供している。
図1F】本開示による例示的なシステムおよび方法の描写を提供している。
図1G】本開示による例示的なシステムおよび方法の描写を提供している。
図1H】本開示による例示的なシステムおよび方法の描写を提供している。
図1I】本開示による例示的なシステムおよび方法の描写を提供している。
図2】本開示による例示的な実施形態の描写を提供している。
図3】開示された技術の実施形態のフローチャートを提供している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、本開示の一部を形成する添付の図面および実施例に関連して取り入れられた以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本開示は、本明細書に記載および/または図示される特定のデバイス、方法、用途、条件またはパラメータに限定されず、本明細書で使用される用語は、例示としてのみ特定の実施形態を説明することを目的とするものであり、特許請求された主題を制限することを意図するものではないと理解される。
【0015】
また、添付の特許請求の範囲を含む明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数形を含み、特定の数値への言及は、文脈が明確に指示しない限り、少なくともその特定の数値を含む。本明細書で使用される「複数」という用語は、2つ以上を意味する。数値の範囲が表現されるとき、別の態様は、一方の特定の数値からのもの、および/または、他方の特定の数値までのものを含む。同様に、数値が近似値として表現されるとき、「約またはおよそ(about)」という先行詞を使用することによって、その特定の数値が、別の実施形態を形成することが理解されるであろう。すべての範囲は包括的で組み合わせ可能である。本明細書で使用される専門用語は、特定の態様のみを説明するためのものであり、限定するようには意図されていないことが理解される。
【0016】
明確化のために、別個の実施形態において本明細書で説明された開示された主題の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることを理解されたい。逆に、簡潔化のために、単一の実施形態に関して説明された開示された主題の様々な特徴は、別個に、または任意の好適な副組合わせでも提供され得る。さらに、範囲で記載されている値への参照には、その範囲内のすべての値が含まれている。本明細書で引用されるすべての文書は、その全体があらゆる目的のために、参照により本明細書に組み込まれている。
【0017】
一態様では、本開示は、サンプルの容量を測定、推定、および判定するためのシステムおよび方法を提供する。様々な実施形態は、分析用のサンプルをインテロゲーションポイントに送達するために流体システムを使用する機器に関する。このようなシステムにおいて、サンプル開始ポイントとインテロゲーションポイントの間の流体ライン体積を正確に判定することは、システムの性能にとって重要である。本明細書で説明するように、正確な測定が行われない場合、インテロゲーションポイントにおけるサンプルの到着時間は不確定であり、潜在的なデータの損失または破損につながることがある。
【0018】
したがって、本発明は、従来のシステムおよび方法を上回る多くの独特の利点を提供する。例えば、製造に関しては、システムの完成後にライン体積を決定することで、製造のばらつきを補正している。ライン体積をより正確に測定することにより、より多くの割合のサンプルが分析に使用されることができる。このことは、使用するサンプルが少量の場合に特に重要になる。さらに、システムの構成要素が顧客のサイトで変更された場合、発生する可能性のある変動を考慮して、ライン体積が簡単に再決定されることができる。
【0019】
様々な実施形態において、ライン体積決定およびサンプル測定のシステムおよび方法は、1つ以上の既存のシステムに実装されて導入され得る。つまり、開示された実施形態は、描写された図解に限定されず排出し、現在の分析システム、例えば、フローサイトメータに適用され得、分析およびデータ収集を改善することができる。
【0020】
図1A図1Iは、サンプルライン内に封入された体積を決定するための例示的なシステムおよび方法を示す。実施形態では、本明細書で論じられるように、サンプルラインは、1つ以上の機器で分析するためのサンプル流体を収容することができる。
【0021】
図面要素の凡例
便宜上、以下は、図1A図1Iに関連して使用される要素のリストである。
102:流体(例:フォーカス流体)タンク
104:第1の流体(例えば、フォーカス流体)
106:(流体タンク102から流体104を連通させるように構成されている)ポンプ
108:フローダイバータ(例えば、バルブ)
110:(例えば、フォーカス流体のような、流体と空気との間の境界に関する信号を検出するように構成されている)流体境界センサ
112:(流体境界センサ110に流体を引き込むように構成されている)ポンプ
114:(サンプルゾーン116に流体を引き込むように構成され、サンプルゾーン116から流体を排出するように構成されることもできる)ポンプ
116:サンプルゾーン-サンプルゾーンは、例えば、(細胞および他の粒子の音響および/または流体力学ベースのフォーカスを伴う)フローサイトメータアナライザ、イメージャ、フローサイトメータ細胞および他の粒子のソータ/セパレータ、などの中にあることができる。
116a:サンプルラインヘッド122の端部へ出るサンプルライン118全体を満たす流体の体積
116b:サンプルライン体積116aのサンプルゾーン116への連通に続いて、サンプルゾーン116に連通する第2の流体(例えば、気泡)。
118:(参照しやすいように破線で示されている)サンプルライン
120:(サンプルライン118のサンプルラインヘッド122を出る流体を受け入れるように構成されている)オーバーフロー槽
122:(参照しやすいように破線で示されている)サンプルラインヘッド
124:(例えば、オーバーフロー槽から流体を引き出し、その流体をタンク126に連通させるように構成されている)ポンプ
126:タンク
【0022】
図1Aは、判定されるべきサンプルライン体積を有するサンプルラインを含むシステムの初期状態を示す。第1の流体(例えば、フォーカス流体)104は、流体タンク(例えば、フォーカス流体タンク)102に収容されることができる。図示されるように、フォーカス流体の一部は、流体タンク102からサンプルライン118に向かって引き出されることができる。様々な実施形態において、流体が流れるサンプルラインおよび他の導管は、1つ以上の様々な材料を含むチューブであり得る。
【0023】
図1Bに示されるように、ポンプ106は、第1の流体104を流体タンク102からフローダイバータ108(例えば、バルブまたはロータリーバルブであり得る)およびサンプルライン118に向けて引き込む。(参照を容易にするために、第1の流体104の存在は、太く暗い線で表されている。)
【0024】
フローダイバータ108は、流体が1つ以上の流体ライン(ラベル付けされていない)を介してタンク102からサンプルライン118に連通される状態にあり得、一例として、フローダイバータ108は、サンプルライン118がタンク102と流体連通しているが、サンプルライン118がサンプルゾーン116と流体連通していない状態にあることができる。フローダイバータ108は、単一ユニット(例えば、複数の状態が可能な単一バルブ)であり得ることを理解されたい。いくつかの実施形態では、フローダイバータ108は、複数のユニット(例えば、複数のバルブ)を含むことができる。
【0025】
サンプルライン118は、判定されるべき流体の総体積を収容する。いくつかの実施形態では、フォーカス流体体積は、較正体積として機能する。サンプルライン118は、サンプルラインヘッド122をさらに含むことができ、いくつかの実施形態では、サンプルライン118の端部に存在する過剰な流体を受け入れるように構成されたオーバーフロー槽120に収容される(またはそこで空になる)。サンプルライン118の総体積は、満たされたサンプルラインヘッド122内に収容される体積を含み、このサンプルヘッドは、サンプルライン118の端部でもあることが理解されよう。
【0026】
図1Cで分かるように、フォーカス流体をサンプルライン118に引き込むとき、過剰のフォーカス流体が引き込まれ、オーバーフロー槽120に堆積される。実施形態では、このことは、サンプルラインの総体積が最初は不明であるために生じることができ、そのため、過剰な流体が圧送され、サンプルライン118が完全に満たされることを確実にしている。いくつかの実施形態では、ポンプ106の動作精度は変化することがあり、したがって、過剰なフォーカス流体104をサンプルラインに引き込む。サンプルヘッド122を含むサンプルライン118が完全に満たされるように十分な流体がサンプルライン118に送達されるように動作することが、特に適切であると考えられる。過剰な流体は、サンプルラインヘッド122を出てオーバーフロー槽120に入り、これが、サンプルラインの端部と流体連通することができる。いくつかの実施形態では、流体送達トレインが利用されることができ、流体がサンプルライン118およびサンプルラインヘッド122内に保持されている間に、オーバーフロー槽120から流体を除去することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、サンプルラインヘッド122およびオーバーフロー槽120内の過剰な流体の量が最小限に抑えられる。サンプルラインヘッド122およびオーバーフロー槽120内の1つ以上のセンサは、限定するものではないが、ポンプ106を含む図示したシステムの1つ以上の構成要素にフィードバックを提供し、サンプルラインヘッドがいつ満たされるか、および/または廃棄されたフォーカス流体の量が最小限に抑えられるように、オーバーフロー槽120内で過剰な流体がいつ実現されるかを示すことができる。このようにして、システムは、自動化された様式で動作することができ、例えば、過剰な流体がサンプルラインヘッド122を出て、検出されるとき、システムは、サンプルライン118へのさらなる流体の供給を停止し、サンプルラインヘッド122を出て、槽120に蓄積された過剰な流体を一掃するようになっている。
【0028】
図示されるように、図1Dは、オーバーヘッド槽内のあらゆる過剰な流体が、流体送達トレイン124(例えば、ポンプ)によって廃棄物タンク126に連通され得ることを示している。したがって、トレイン124は、オーバーフロー槽120から流体を引き出し、その流体を廃棄物タンク126または他の廃棄物領域に連通させるように構成されている。トレイン124は、サンプルライン118からいずれのフォーカス流体も除去しないように構成されることができることが理解される。したがって、サンプルライン118は、サンプルラインヘッド122において、サンプルラインの端部までずっと流体104で完全に満たされたままであり、ラインの端部までサンプルライン118を満たす流体の体積が116aによって示されている。
【0029】
サンプルライン118が完全に満たされた後、ポンプ114は、サンプルラインに収容されるフォーカス流体をサンプルゾーン116に連通させるように動作することができ、これはサンプルループになることができる。(114は便宜上、ポンプと呼ばれるが、114は1つ以上のポンプ、バルブなどを含むことができることを理解されたい。)
【0030】
図1Eは、流体116aがサンプルゾーン116に連通された後のサンプルライン体積流体116aを示している。サンプルラインからの流体116aに加えて、ポンプ114はまた、例えば、サンプルライン流体体積116aの「後方」にある気泡である、第2の流体を引き込むことができる。第2の流体は、サンプルゾーン116内の気泡116bによって示されている。したがって、ポンプ114によってサンプルゾーン116に引き込まれる総体積は、サンプルライン流体体積116aに流体の気泡116bの体積を加えたものである。
【0031】
いくつかの実施形態では、ポンプ114は、ポンプ(例えば、シリンジポンプまたは他の正確なモダリティ)であることができ、これは所定の、および/またはユーザが指定した量の流体、例えば、450μlを引き込むように構成可能である。言い換えれば、ポンプ114は、流体の既知量(サンプルライン流体体積116aおよび気泡116bの両方を含む)をサンプルゾーン116に引き込むことができる。したがって、サンプルゾーン116に引き込んだ流体の量116cは既知のものであり、それは、この量116cが、ポンプ114がサンプルゾーン116に引き込んだ流体の量であるからである。
【0032】
図1Fは、ポンプ112が、サンプルゾーン116内の流体(サンプルライン流体体積116aおよび気泡116bを含む)を、フローダイバータ108(例えば、ロータリーバルブ)を介して流体境界センサ110に向かって引き込むことを示している。(図1Fに示されるように、気泡116bは、気泡116bに続くサンプル体積116aとともに、センサ110に進入しようとしている。)流体境界センサは、流体間の境界に関連する信号を検出するように構成されている。いくつかの実施形態では、流体は非混和性の流体である。すなわち、光信号、電気信号、音響信号、またはそれらの任意の組み合わせなどの信号を検出することができるセンサは、第1の流体(例えば、空気、気泡116bなど)または較正に関連する第1の信号を判定することができ、次に、第1の流体が通過すると、フォーカス流体の特性と品質が最初の較正流体の測定値とは異なるため、境界センサによって取得された信号が変化する。
【0033】
いくつかの実施形態では、流体境界センサは気泡センサである。いくつかの実施形態では、サンプルゾーン116と流体境界センサ110との間の流体経路は、事前充満流体、例えば、第1の流体104と同じ流体で事前充満されている。事前充満流体は、気泡116bと非混和性の流体であり得る。
【0034】
図1Gに示されるように、ポンプ112が気泡116bを流体境界センサ110に完全に引き込んだとき、センサ110は、気泡116bおよびサンプルライン流体体積116aのそれぞれの開始点および終了点を判定することができる。(図1Gに示されるように、気泡116bがセンサ110に入って、サンプルライン体積116aがセンサ110に入ろうとするとき、センサは、気泡116bの「開始」および「終了」を検出するように構成されている。)
【0035】
ポンプ112がサンプルライン流体体積116aを流体境界センサ110(図1H)に引き込み続けると、サンプルライン流体体積116aの開始点および終了点、ならびに、存在する場合には、サンプルライン流体体積内に含まれ得るあらゆる追加の気泡。様々な実施形態において、サンプルライン流体が最初に識別された後の追加の気泡の存在は、エアリークおよび/またはエアリークを生じさせ得るシステムの1つ以上の構成要素における問題(例えば、1つ以上のチューブにおける穴)を示すことができる。
【0036】
したがって、流体境界センサを使用することで、サンプルゾーンにおいて最初に含まれる様々な流体のそれぞれの開始時間および終了時間を提供する。流体境界情報、およびサンプルゾーン116に引き込まれた既知の体積(図1Eに示される116c)から、ユーザおよび/またはシステムは、気泡116bの体積を判定することができ、そこから、総引き込み体積から気泡116bの体積を差し引くことによって、すなわち、116c=116a+116bによってサンプルライン流体体積116aを判定することができる。
【0037】
様々な実施形態では、流体境界センサからの読み取り値は、境界読み取り値から、上述の方法で気泡116bの体積およびサンプルライン流体体積116aを判定するプロセッサを含むコンピューティングデバイスにおいて分析されることができる。例えば、特定の態様は、プログラムコードの実行を通じて、コンピュータなどのマシンによって実行され得る。磁気または光学媒体、揮発性または不揮発性媒体などの記憶装置として実装された有形の記憶媒体またはメモリ媒体において具体化されたプログラムコード(すなわち、命令)が含まれ得る。1つ以上のプログラムが、例えば、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)、再利用可能な制御などの使用を通じて、本開示に関連して説明されるプロセスを実装または利用することができ、本明細書に開示される1つ以上の操作を自動化できる。
【0038】
図1Iは、流体境界センサ110を通してサンプルライン流体体積116aのすべてを引き込むポンプ112を示している。境界センサ110を通過した後、サンプルラインの流体体積を知る必要があり、サンプル流体は、使用するために1つ以上の導管に送達されることができる。サンプルライン体積116aは、(気泡116bがセンサ110を通して引き出された後)センサ110を介して引き出されることができ、センサ110は、サンプルライン流体116aにおいて他のいずれかの気泡(または他の閉塞)の存在を検出することができるようになっている。特定の理論に拘束されることなく、サンプルライン流体116aにおける1つ以上の気泡の存在は、システムのどこかにリーク(例えば、エアリーク)を示すものであり得、したがって、サンプルライン流体116aにおける気泡の識別は、システム診断として使用されることができ、次に、これがユーザにシステム内のリークの有無をユーザに通知できる。
【0039】
開示されたシステムおよび方法は、図1A図1Iに示される特定の描写に限定されないことが理解されよう。さらに、図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではなく、図面の様々な部分の文字ラベルは単なる例示であり、開示された技術を限定するものではない。
【0040】
様々な実施形態において、本明細書に記載のポンプは、流体をその意図された位置に引き込むための、シリンジポンプおよびダイヤフラムを含むがこれらに限定されない様々なポンプのいずれかであり得る。さらに、さまざまなポンプのいずれかが、ユーザ指定または所定量の流体を投入するために使用され得、実装され得る。図で参照されている各ポンプについて、本明細書で説明されている実施形態に従って、1つ以上のポンプが利用されることができる。図示した実施例は、本開示で提供される実施形態に限定されないことが理解されよう。
【0041】
図2は、本開示に従った別の例示的なシステム200の描写を提供する。
【0042】
図示の実施形態では、オートサンプラ206および機器220。機器は、例えばAttune(商標)NXTフローサイトメータアナライザ(Thermo Fisher Scientific Inc.)のようなフローサイトメータアナライザ、他のフローサイトメータアナライザ、フローサイトメータソータ/セパレータ、または他の流体機器であり得る。オートサンプラ206および機器220は、開示されたシステムおよび方法に従って利用される。図示されるように、貯蔵体積204(例えば、ボトルまたは他の容器)に貯蔵されたサンプル流体、例えば、フォーカス流体は、ポンプ210(例えば、シリンジポンプであり得る)によってライン208を通して引き上げられ、ライン(212/212a/212b)を通りオートサンプラ206および機器220(例えば、サイトメータ)に及ぶサンプルライン(214、214a、214b)へと引き上げられる。図示されるように、オートサンプラ206および機器220は、互いに距離を置いて配置されることができ、その距離は、ライン212/212aによって広げられることができる。ポンプ218(例えば、ダイアフラムポンプであり得る)は、サンプル流体がサンプルライン214/214a/214bに入ることを促すことができる。ポンプ218ポンプは、1つ以上のチェックバルブを備えることができ、流体が一方向のみに流れることを確実にするようになっている。ポンプ218はまた、サンプルラインを完全に満たすように構成され得る。容器230は、ライン214からサンプル流体を受け入れることができる。ライン216(存在する場合)は、容器230をポンプ218に接続することができる。機器220は、サンプル注入ポートおよび/または1つ以上のサンプルホルダを含むことができ、サンプルホルダは、チューブまたは他のサンプル容器を収容できる。
【0043】
サンプルライン214の端部にある過剰なフォーカス流体は、収集され、廃棄物容器202に送達され得る。一例として、ダイアフラムポンプは、サンプルライン214のヘッドから廃棄物容器202に過剰な流体を引き込むことができる。この時点では、サンプルラインの正確な容量が既知であり得るか、既知であり得ない。
【0044】
バルブ224は、サンプル流体をライン212bまたはライン228に入れることなく、ライン214/214a/214b内のサンプル流体をサンプルループ226に入れるように構成されることができる。サンプル流体は、ポンプによってサンプルループ226内に促されることができ、このポンプは、流体の既知量をサンプルループに送達するポンプであり得る。この流体の既知量は、例えば、ライン214/214a/214bに残留するすべてのサンプル流体に例えば、空気または他の気体、または他の流体などの別の流体の追加量を加えたものであり得る。この他の流体は、サンプル流体と非混和性の流体であり得る。
【0045】
一例として、サンプルライン214/214a/214bが満たされた後、バルブ224に接続されたポンプ(サンプルループ226とサンプルライン214/214a/214bを互いに流体連通させることができる)は、気泡とともにサンプルライン214/214a/214bからサンプルループ226にサンプル流体を引き込み、流体の総体積(つまり、サンプルラインの流体体積に気泡を加えたもの)は既知となる。
【0046】
サンプルループと気泡センサを互いに流体連通させるためにロータリーバルブが作動され得、次いで、サンプルループから気泡センサを通って気泡とサンプル流体を引き込むためにポンプが使用され得る。気泡とサンプル流体の境界位置を特定する気泡センサからの測定値、およびサンプルループに引き込まれた既知の量が、気泡の体積、およびサンプル流体の体積を判定して判定するために使用され得る。サンプルラインが完全に満たされると、次いで、サンプル流体の体積が、サンプルライン内の体積に対応し得る。
【0047】
一例として、ポンプは、例えば、450μlの流体をサンプルループに引き込むように構成されることができる。(サンプルループに引き込まれる合計量、つまりサンプル流体に空気を加えたものは、サンプルラインに収容された合計量よりも多くなり、気泡がサンプルループ内に存在することが確認できるようになる。)一部のシナリオでは、フォーカス流体および空気の量(例えば、370μlの流体、80μlの空気)は、システムに関する1つ以上の既知の要因に基づいて推定されることができ、その他のシナリオでは、各流体の量は不明である。
【0048】
次に、バルブ(例えば、ロータリーバルブ)は、流体をサンプルループ226から気泡センサ222に向けるように調整される。気泡および流体が気泡センサ222を通過するとき、気泡およびフォーカス流体のそれぞれの開始位置および終了位置が記録される。その情報から、また、サンプルループに収容された空気とフォーカス流体の既知の量のから、気泡のサイズが判定され得る。例えば、気泡センサの読み取り値に基づいて、気泡体積が83μlであると判定された場合、実際のサンプルライン流体体積は、367μl(つまり、450μl-83μl=367μl)になる。
【0049】
本実施例における数値は、数百マイクロリットルの範囲であるが、開示されるシステムおよび方法はマイクロリットルの範囲に限定されないことを理解されたい。例えば、開示された技術概念を応用して、システムおよび判定される体積サイズに基づいて、数百ミリリットル以上を判定することができる。
【0050】
さらに、気泡のサイズは重要ではなく、最終的には気泡センサ(または他の流体境界センサ)のタイプ、その感度、および意図された目的に関連付けられている。例えば、フローサイトメトリ用に、超音波気泡センサを使用することは、気泡が10ulを超えることを確認しようとすることになり得る。しかしながら、より小さな気泡が使用されることができる。ユーザは、センサに基づいた最小サイズよりも大きな気泡を有し、気泡全体が確実に検出されるように望むことができる。
【0051】
次に、バルブ224は、調整されることができ、それにより、サンプル流体(および他の流体)をサンプルループ226からライン228に(しかし、ライン212bまたはライン212bには入れずに)入れるようになっている。サンプル流体は、次いでセンサ222(例えば、気泡センサであり得る)に連通される。本明細書の他の箇所で説明するように、サンプルループ226内の流体の量は既知であり、したがって、サンプルループ226からセンサ222に連通される流体の量も既知である。
【0052】
次に、センサ222は、サンプル流体と、センサに連通される他の流体との間の界面を検出する。界面を検出することにより、次にシステムは、本来、サンプルライン214/214a/214bに収容されていた流体の量を判定することができる。ユーザは、サンプルループで実行される各実験実行について、サンプルループに送達されるサンプル流体の量を知ることができるため、このようにして、本明細書の他の場所で説明するように、廃棄物が少なく、高スループットの実験を実行することができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、開示されたシステムおよびプロセスは、設置時またはシステムが変更されたとき(例えば、メンテナンスまたはサービスの後、1つ以上のシステム構成要素を交換した後)など、まれにしか実行されることができない。さらに、および/または代わりに、開示されたシステムおよび方法は、定期的なメンテナンス活動として(例えば、数ヶ月ごとに、または別の定期的なスケジュールで)利用されることができる。
【0054】
図3は、開示された技術による方法300の例示的なフローチャートを提供する。図示されるように、方法300は、サンプルラインを(完全に)第1の流体で満たすステップ302を含むことができる。そのような流体は、例えば、緩衝剤、シース流体(例えば、音響的および/または流体力学的フォーカスのための)であり得る。
【0055】
例えば、サンプルラインを過剰充填するようなことは、サンプルラインへの第1の流体の流れを停止し、サンプルラインからのオーバーフロー流体を収集し、サンプルラインを完全に満たしたままにすることによって達成することができる。次に(ステップ304)、完全に満たされたサンプルラインからのサンプル流体と、保持位置への第2の流体の体積とで構成される総体積(TV)を保持場所に導入することができる。保持場所は、例えば、サンプルループ、容器、または他の場所であり得る。第1の流体および第2の流体のTVは、センサ領域(ステップ306)、例えば、チューブ、槽などに導入することができる。センサ領域には、例えば、空気と水などの2つの流体間の境界を検出できるセンサ(気泡センサなど)を含めることができる。気泡センサは、超音波、静電容量、または当業者に知られている他のモードによって動作することができる。第1の流体および第2の流体の総体積(TV)は、例えば、既知の流量で、センサ領域を介して連通されることができる。センサは、流体間の境界(例えば、第2の流体とサンプルまたは第1の流体との間)の存在を検出することができる(ステップ308)。境界の検出(ステップ310)から、(手動または自動の様式で)TV内の第1の流体および第2の流体の一方(または両方)の体積を判定することができる。
【0056】
一例として、TVが500μLであることが既知である場合、TVは毎分100μLでセンサ領域を通過し、気泡センサは、t=0秒でTVの前面境界(つまり、第2の流体が始まる場所)を検出し、前面境界の後にt=1分で第1流体と第2流体の境界を検出し、その後、TVが100μLの第2流体と400μLの第1流体を含むと判定できる。このことが、順に、400μLの体積である、TV内の第1の流体の体積で定められたサンプルラインを確立する。(完全に満たされた)サンプルライン内の流体の体積が分かることから、(ステップ312で)さらなる分析(例えば、フローサイトメトリ)を実行することができる。このようにして、サンプルゾーンで実行される各分析に対して、サンプルラインからサンプルゾーンに送達される流体の正確な量(すなわち、前述の例では400μL)を知ることができる。
【0057】
例示的な態様
以下の態様は例示にすぎず、本明細書の範囲、または添付の請求項の範囲を限定するものとして理解されるべきではない。
【0058】
態様1.第1の流体の較正体積をサンプルライン内に、較正体積がサンプルラインを完全に満たすように配置することであって、満たされたサンプルラインが、その中の体積SLを規定する、配置することと、第1の流体の較正体積、および同様に第2の流体の置換体積Dをサンプルゾーン内に連通させることであって、第1の流体の較正体積および第2の流体の置換体積Dが、総体積を規定することと、サンプルゾーンからの総体積を、第1の流体と第2の流体との間の境界を識別するように構成されたセンサに連通させることと、境界からサンプルラインの体積SLを推定することと、を含む、方法。
【0059】
流体ライン(例えば、サンプルライン)は、可撓性または剛性の材料で形成されることができる。可撓性チューブが好適であると考えられているが、要件ではない。
【0060】
開示された方法の1つ以上のステップは、自動化された様式で実行され得ることを理解されたい。一例として、第1および第2の流体をサンプルゾーンに連通させるステップは、自動化された様式で実行されることができる。
【0061】
図1A図1Iに示されるように、流体はサンプルラインに引き込まれることができ、サンプルラインをサンプルラインと流体連通させるように配置するバルブは閉じられることができ、サンプルライン(図1Cの118)が完全に満たされるようになっている。サンプルラインの端部は、集水容器(図1Cの112)に浸されることができ、これは、次いで空にされ、サンプルラインを完全に満たされた状態にしたままにするようになっている。
【0062】
態様2.センサが、電気信号の変化、音響信号の変化、光信号の変化、またはそれらの任意の組み合わせを検出する、態様1に記載の方法。一例として、センサは、空気がセンサ内に配置されて受け入れた照明と比較した液体がセンサ内に配置されているときに受け入れた照明に基づいて光信号の変化を検出することができる。センサはまた、第1の流体(例えば、空気)と第2の流体(例えば、緩衝剤)との間の境界に関する変化(例えば、伝導性の変化、光信号の変化、音響信号の変化)を検出するように構成されることができる。第1の流体および第2の流体は、互いに非混和性であり得る。
【0063】
態様3.サンプルラインを完全に満たす体積を超過する第1の流体の体積をサンプルラインに連通させることと、サンプルラインを満たす体積を超過する第1の流体を除去し、それによりサンプルラインを完全に満たしたままにすることと、をさらに含む、態様1または2のいずれか1つ。このことは、手動または自動の様式で実行され得る。
【0064】
態様4.サンプルラインを満たす体積を超過する第1の流体の体積をサンプルラインを通じて連通させることと、次いで、サンプルラインを満たす体積を超過する第1の流体を除去し、それによりサンプルラインをサンプルラインの端部まで満たしたままにすることと、をさらに含む、態様1~2のいずれか1つ。このことは、図1Dおよび図1Eに示されており、過剰な流体は、サンプルライン118を出て、槽120(図1D)を少なくとも部分的に満たしている。その過剰な流体は、次いで槽120(図1E)から除去され、サンプルライン118が端部まで満たされたままにする。
【0065】
態様5.第1の流体および第2の流体が非混和性である、態様1~4のいずれか1つ。一例として、第1の流体は、緩衝剤、増殖培地、シース流体(場合によってはフォーカス流体とも呼ばれる)、または他の流体であり得、第2の流体は、空気であり得る。
【0066】
態様6.方法が自動化された様式で実行される、態様1~5のいずれか1つ。
【0067】
態様7.第2の流体が空気を含む、態様1~6のいずれか1つ。
【0068】
態様8.サンプルゾーンを動作させ、それにより1つ以上の流体サンプルを分析することをさらに含み、1つ以上の流体サンプルの各々が、体積SLのサンプル体積を有している、態様1~7のいずれか1つ。サンプルゾーンは、例えば、粒子濃度トレイン(流体力学的濃度、音響的濃度、またはその両方)を含むことができる。サンプルゾーンは、サンプルゾーンに入るサンプル内に配置された1つ以上の分析物を調査するように構成された1つ以上のセンサ(例えば、照明エミッタおよび検出器)を含むことができる。
【0069】
本明細書の他の箇所で説明されているように、既存の手法では、サンプルの到着時間は、ライン体積の変動を考慮して、比較的大きな許容誤差で計算される。これにより、潜在的に価値のあるサンプルが無駄になり、分析期間の始点と終点の両方の一部分を破棄する必要がある(そして、そのような破棄により、研究目的と患者診断に関連付けられた臨床目的の両方にとって重要となる可能性のある貴重な情報が失われる可能性がある)。開示された技術の適用を通じて、ユーザは、サンプルラインの体積、したがって、サンプルループまたはゾーン(これらサンプルループまたはゾーンは、フローサイトメータ、セル、ソータなどのような1つ以上の分析モジュールまたは処理モジュールを含むことができる)に送達される流体(例えば、緩衝剤、シース流体)の体積を正確に判定することができる。
【0070】
したがって、ユーザは、サンプルゾーンに送達される流体の量を知ることにより、所与の分析期間におけるサンプルの「端部」のかなりの部分を廃棄することなく、サンプルゾーンをより効率的に操作できる。例えば、実験の実行ごとに正確に30μLのサンプルがサンプルゾーンに送られることを知っているユーザは、サンプルゾーンに送られる流体の各30μL部分の中央にある29.5μLを処理するようにサンプルゾーンを構成できる。一方で、ユーザ(例えば、既存の手法を使用するユーザ)が、サンプルラインに25~35μLのサンプルが含まれていることだけを知っている場合、ユーザは、(例えば、サンプルの中央にある20μLのみを処理するために)開示された技術を使用して確実に処理できる体積から体積を大幅に減少させて、サンプルゾーンを控えめ目に構成することが余儀なくされることがある。
【0071】
開示された技術の利点は、このように明らかであり、サンプルラインの体積を知ることにより、ユーザは、許容誤差を構築してサンプルの多くを廃棄する必要がないため、ユーザが所与のサンプルのより多くの部分を分析することを可能にする。ユーザはまた、実験の実行ごとにより少ないサンプルを使用できるため、スループットを向上させることができ、これにより、時間ごとに実行できる実験の実行数が増加する。さらに、実験の実行ごとに使用するサンプルが少なくて済むことから、サンプルごとに必要な流体が少なくなるため、サンプル(血液など)取得がより簡単になり得る。したがって、開示された技術はまた、サンプルラインの判定された体積に基づいてサンプルゾーンの動作を(手動の、または自動化された方法で)構成することを含む。この構成は、より少ないサンプルを使用して動作し、サンプルの廃棄(例えば、所与の実験実行のサンプル「両端部」)をより少なくして動作するようにサンプルゾーンを調整すること、または他の調整を含むことができる。実験の実行ごとにより少ないサンプルを使用することにより、ユーザはまた、より少ない試薬を使用して実験を実行することができる。
【0072】
態様9.システムであって、中に体積SLを封入しているサンプルラインと、サンプルラインから第1の流体を受け入れるように構成されたサンプルゾーンと、流体送達トレインであって、(a)第1の流体の体積をサンプルラインに送達し、(b)サンプルラインの体積を完全に満たす第1の流体の較正体積CVをサンプルラインからサンプルゾーン内に送達し、(c)第2の流体の置換体積Dをサンプルゾーンに送達するように構成され、第1の流体の較正体積CVおよび第2の流体の置換体積Dが総体積TVを規定するようになっている、流体送達トレインと、サンプルゾーンから第1の流体および第2の流体を受け入れ、第1の流体と第2の流体との間の境界を検出するように構成されたセンサ領域と、フローダイバータトレインであって、(a)サンプルラインをサンプルゾーンと流体連通させるか、(b)サンプルゾーンをセンサと流体連通させるか、または(a)と(b)の両方を行うように構成されたフローダイバータトレインと、任意選択で、第2の流体の置換体積の体積Dと総体積TVとの間の差に少なくとも基づいて、サンプルラインによって封入された体積を判定するように構成されたプロセッサと、を含む、システム。
【0073】
流体送達トレインは、1つ以上のポンプ、バルブ、フローダイバータなどを含むことができる。ポンプは、シリンジポンプ、ギアポンプなどであり得る。ポンプは流体を排出するように機能することができるが、流体を引き込むように機能することもできることを理解されたい。一例として(そして図1D図1E、および図1Fを参照すると)、ポンプ114はサンプルライン流体116aを気泡116bとともに、サンプルゾーン116に引き込むように機能することができる。ポンプ114は、次いで、流体116aおよび気泡116bをサンプルゾーンから排出するように機能し、流体116aおよび気泡116bがサンプルゾーン116から出て、フローダイバータ108を通り、センサ110に向かうように(さらにはその中へ)促すことができる。このように、ポンプ114は、順方向および逆方向モードで操作されることができる。
【0074】
図1A図1Iを参照すると、ポンプ112は任意選択である。同様に(再び図1A図1Iを参照すると、)ポンプ106、124、114、および112のいずれかの位置および動作は、前述のポンプの1つ以上が必要とされない場合があるので、任意選択であることができる。別の言い方をすれば、開示されたシステム(および方法)の流体送達トレインは1つのポンプを使用して動作することができ、重力ベースの様式で動作することさえできることから、ポンプ106、124、114、および112のいずれも任意選択である。バルブの配置により、開示されたシステムおよび方法は、複数のポンプを使用することができるが、単一のポンプによって操作されることができる。
【0075】
態様10.サンプルラインの端部と流体連通している槽をさらに備え、槽が、サンプルラインを介して連通された流体を受け入れるように構成されている、態様9に記載のシステム。
【0076】
態様11.流体送達トレインが、流体がサンプルライン内に保持されている間に、槽から流体を除去するように構成されており、サンプルラインが完全に満たすようになっている、態様10に記載のシステム。
【0077】
態様12.フローダイバータトレインが単一バルブを含む、態様9~11のいずれか1つに記載のシステム。
【0078】
態様13.単一バルブがロータリーバルブとして特徴付けられている、態様12に記載のシステム。
【0079】
態様14.フローダイバータトレインが複数のバルブを含む、態様9~13のいずれか1つに記載のシステム。一例として、フローダイバータトレインは、サンプルラインからサンプルゾーンへの流れを調整するバルブ、およびサンプルゾーンとセンサ領域との間の流れを調整する別のバルブを含むことができる。
【0080】
態様15.センサ領域が気泡センサを含む、態様9~14のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
態様16.機器によってサンプルゾーンから受け入れられた第1の流体中に配置されたサンプルを分析するように構成された、機器をさらに含む、態様9~15のいずれか1つに記載のシステム。
【0082】
態様17.システムが、サンプルラインによって封入された体積に少なくとも部分的に基づいて機器を操作するように構成されている、態様16に記載のシステム。
【0083】
態様18.オートサンプラをさらに含む、態様17に記載のシステム。
【0084】
態様19.オートサンプラが、機器から離れた場所に配置されている、態様18に記載のシステム。
【0085】
態様20.サンプルラインが、オートサンプラを機器と流体連通させるように配置する、態様19に記載のシステム。このような方法で、システムは、機器のオートサンプラに接続するサンプルラインの体積を判定するように構成されることができる。このことは、例えば、オートサンプラが交換されたときなどの機器が新しいオートサンプラに接続されたときのように、機器とオートサンプラが接続されるたびに実現され得る。同様に、このことは、機器は交換されるが、オートサンプラはそのままの状態でも実現され得る。
【0086】
態様21.システムが、サンプルと第1の流体を接触するように構成された領域を含む、態様9~20のいずれか1つに記載のシステム。
【0087】
態様22.サンプルが細胞、細胞成分、またはその両方を含む、態様21に記載のシステム。
【0088】
態様23.サンプルラインによって封入される体積が、約30マイクロリットル~約2.5ミリメートルの範囲にあり、例えば、約50マイクロリットル~約2ミリリットル、約75マイクロリットル~約1.75ミリリットル、約100マイクロリットル~約1.5ミリリットル、約200マイクロリットル~約1.5ミリリットル、約250マイクロリットル~約1.25ミリリットル、約350マイクロリットル~約1.1ミリリットル、約450マイクロリットル~約950マイクロリットル、約550マイクロリットル~約850マイクロリットル、約650マイクロリットル~約725マイクロリットルの範囲にある、態様9~22のいずれか1つに記載のシステム。
【0089】
態様24.第1の流体の体積を推定するための方法であって、一定量の第1の流体を導管に送達することと、一定量の第2の流体を導管に送達することであって、それによって導管内の第1の流体を置き換えることと、導管内の第1の流体および第2の流体の総体積を推定することと、導管から第1の流体と第2の流体との間の境界を判定することが可能なセンサに、第1の流体および第2の流体を送達することと、総体積中の第2の流体の体積を判定することと、第1の流体の体積と、第1の流体および第2の流体の推定された総体積とに少なくとも基づいて、第1の流体の体積を推定することと、を含む、方法。.
【0090】
態様25.第1の流体が空気を含む、態様24に記載の方法。
【0091】
側面26.第1の流体の推定された体積に少なくとも部分的に基づいて機器を動作させることをさらに含み、機器が任意選択的に導管との流体連通のために構成されている、態様21~22のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
態様27.機器がフローサイトメータである、態様23に記載の方法。
【0093】
態様28.第1の流体が、サンプルラインから機器に連通している、態様26~27のいずれか1つに記載の方法。
【0094】
態様29.機器に送達される第1の流体の体積が、サンプルラインによって封入された体積である、態様28に記載の方法。
【0095】
態様30.サンプルラインが、オートサンプラを機器と流体連通させるように配置される、態様28~29のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
態様31.オートサンプラが機器から離れた場所に配置されている、態様30に記載の方法。
【0097】
態様32.総体積の中の第2の流体の体積の判定が、少なくとも部分的に、第1の流体と第2の流体との間の境界を検出することに基づく、態様21~31のいずれか1つに記載の方法。
【0098】
態様33.サンプルの体積を自動的に判定するためのシステムであって、センサ領域と、第2の流体の体積、および第1の流体の体積をセンサ領域に別個に送達するように構成された流体送達トレインと、センサ領域は、センサ領域を通る信号を測定するように構成されており、信号は、センサ領域内の第1の流体の存在、またはセンサ領域内の第2の流体の存在に基づいて異なっており、第1の流体および第2の流体がセンサ領域を通って連通されるときに測定された信号に基づいてサンプルの体積を判定するように構成されたプロセッサと、を含む、システム。
【0099】
態様34.第1の流体が空気を含む、態様33に記載のシステム。
【0100】
態様35.機器および任意選択でフロー変調器をさらに含み、システムは、機器をセンサ領域と流体させる、態様33~34のいずれか1つに記載のシステム。
【0101】
態様36.機器がフローサイトメータを備え、フローサイトメータが、任意選択で音響フローサイトメータとして特徴付けられている、態様35に記載のシステム。
【0102】
態様37.サンプルラインをさらに含み、システムが、サンプルラインを機器と流体連通させるように構成されている、態様35~36のいずれか1つに記載のシステム。
【0103】
態様38.機器が、サンプルラインの推定体積に基づいて動作可能である、態様37に記載のシステム。
【0104】
態様39.サンプルラインから過剰な流体を収集するように構成された収集トレインをさらに備え、それにより、サンプルラインを完全に満たしたままにする、態様37~38のいずれか1つに記載のシステム。
【0105】
態様40.第1の流体の供給源をさらに含み、システムが、第1の流体の供給源をサンプルラインとの流体連通させるように構成されている、態様37~38のいずれか1つに記載のシステム。
【0106】
態様41.システムが、第1の流体をサンプルと接触させるように構成されている、態様33~40のいずれか1つに記載のシステム。
【0107】
態様42.サンプルが細胞、細胞成分、またはその両方を含む、態様41に記載のシステム。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図2
図3