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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】消音器
(51)【国際特許分類】
   F01N 1/02 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
F01N1/02 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022124617
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2019060808の分割
【原出願日】2019-03-27
(65)【公開番号】P2022140744
(43)【公開日】2022-09-27
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】マレリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 宣仁
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-293456(JP,A)
【文献】実開昭60-128926(JP,U)
【文献】特開2002-303117(JP,A)
【文献】米国特許第03645357(US,A)
【文献】実開昭63-140161(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスの流れの上流側から順に小径管部、拡管部及び大径管部が配置された消音器であって、
前記大径管部の内部に長手方向に沿って仕切り板を設けて2つの排気流路に分け、
前記一方の排気流路は、消音室として形成して下流端側を閉塞し、
前記もう一方の排気流路は、主流路として排気ガスを通過させ、
前記仕切板は、前記長手方向に沿って長い矩形板状に形成され、排気ガス流れの方向に沿って、前記大径管部の内部の中央より前記消音室側に寄せて一端から前記下流端側に至るまで前記大径管部の内壁に対して平行に設けられ、
前記主流路の排気流路の流路断面積は、前記小径管部の流路断面積よりも大きく、かつ、前記消音室の排気流路の流路断面積よりも大きいことを特徴とする消音器。
【請求項2】
請求項1記載の消音器であって、
前記消音室の排気流路の一部は、前記小径管部における排気流路と対向していることを特徴とする消音器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の消音器(レゾネータ)に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の消音器として、特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
この特許文献1に記載された消音器は、排気管の内部に長手方向に隔壁を設けて2分割し、一方の排気流路の前後の開口部に弁を開閉自在に設けて消音室を形成し、この消音室の隔壁に孔の無い共鳴領域と孔を設けて隣の排気流路と連通した拡張領域とを形成した消音器に、エンジン回転数を検出するセンサを設け、弁をエンジン回転数が所定の回転数以上で且つアクセル開度が所定の開度以上の時に開弁するように制御する制御装置を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開平5-38311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の消音器では、一方の排気流路の前後の開口部に弁を開閉自在に設けて消音室を形成するため、構造が複雑となり、コストアップになる。
【0006】
また、制御機能を設置するためのスペース、回路が必要になり、構造が複雑化する。
【0007】
さらに、弁開時の主流路が狭くなるため、排気システムの圧力損失が悪化し、エンジン性能に悪影響を与える。
【0008】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、共鳴・消音効果を得ることができ、かつ、主流路の圧力損失の低下を抑えることができる安価な消音器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、排気ガスの流れの上流側から順に小径管部、拡管部及び大径管部が配置された消音器であって、前記大径管部の内部に長手方向に沿って仕切り板を設けて2つの排気流路に分け、前記一方の排気流路は、消音室として形成して下流端側を閉塞し、前記もう一方の排気流路は、主流路として排気ガスを通過させ、前記主流路の排気流路の流路断面積は、前記小径管部の流路断面積以上となっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排気管内を仕切り板により2つの排気流路に分けるだけの簡単な構造で共鳴・消音効果を得ることができ、かつ、主流路の圧力損失の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態の消音器を示す平面図である。
図2図1中A-A線に沿う断面図である。
図3図1中B部分の拡大斜視図である。
図4】上記消音器の排気ガスの流れを説明する要部の断面図である。
図5】上記消音器を有する排気管とセンタマフラが無い場合の消音特性を比較して示す図である。
図6】本発明の第2実施形態の消音器を示す平面図である。
図7図6中A-A線に沿う断面図である。
図8図6中B部分の拡大斜視図である。
図9】上記第2実施形態の消音器の排気ガスの流れを説明する要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本発明の第1実施形態の消音器を示す平面図、図2図1中A-A線に沿う断面図、図3図1中B部分の拡大斜視図、図4は消音器の排気ガスの流れを説明する要部の断面図、図5は消音器を有する排気管とセンタマフラが無い場合の消音特性を比較して示す図である。
【0014】
図1に示すように、消音器10を構成する金属製でストレートの排気管11は、車両電動化に伴いバッテリ等の配置比率が上がって排気システムの配置領域が制限された車両床下に配置され、従来センタマフラを配置できていたものが設置できなくなったセンタマフラの代わりに、排気吐出音を消音するものである。
【0015】
即ち、排気管11は、排気ガスGが流れる上流端側から順に小径管部12、拡管部13、大径管部(ストレート部)14を有していて、下流端側にかけて、逆拡管部13′、小径管部12′と連なって円筒状に形成されている。そして、排気管11の大径管部14の内部の中央より上側には、長手方向に沿って金属製で長い矩形板状の仕切り板15の両端側の円弧面状の折曲部15a,15aが大径管部14の内周面14aに溶接により固着されている。この仕切り板15により大径管部14の内部には2つの排気流路16,17が分割形成されている。
【0016】
図1図3に示すように、一方の排気流路16は、消音室として形成されており、その下流端側は、仕切り板15の後端の半円板状の閉塞板部15bの円弧面状の折曲片15cを大径管部14の内周面14aに溶接により固着することで、隙間なく閉塞されている。さらに、一方の排気流路16の上流端側は、消音室の入口16aになっている。この入口16aは、排気管11の拡管部13の下流側、即ち、大径管部14の上流端側に位置している。
【0017】
また、図1図2図4に示すように、他方の排気流路(もう一方の排気流路)17は、排気ガスGが流れる主流路となっていて拡管されている。尚、排気管11の両端側の小径管部12,12′には、図示しない相手側の排気管が接続されるフランジ18,19が溶接により固着されている。さらに、図5のグラフにおいて、縦軸は排気吐出音(dB)を示し、横軸はエンジン(内燃機関)の回転数(rpm)を示し、符号Xは車両床下にセンタマフラが設置されていない場合の消音特性を示し、符号Yは車両床下に消音器10を構成する排気管11が設置されている場合の消音特性を示す。
【0018】
以上第1実施形態の消音器10によれば、図4に示すように、排気管11内に流れて来た排気ガスGの一部は、一方の排気流路(消音室)16内に流入し、その下流端側に位置する閉塞板部15bに当たって逆流して共鳴し、消音される。残りの排気ガスGは、他方の排気流路(主流路)17内を流れる。
【0019】
この排気管11は、車両電動化に伴いバッテリ等の配置比率が上がって排気システムの配置領域が制限された車両床下に配置されているため、図5に示すように、車両床下にセンタマフラが配置されていない消音特性Xに比べ、排気管11に内蔵された消音室16の消音特性Yの方が排気吐出音を低減することができる。即ち、センタマフラ廃止に伴う排気吐出音性能が悪化したものに対し、第1実施形態の消音器10では、排気管11内に消音(レゾネータ)機能を設けることにより、排気吐出音を大幅に低減することができ、排気吐出音性能を大幅に改善することができる。
【0020】
また、排気管11内に下流端側が閉塞された仕切り板15を介して消音室16を設ける構造であるため、消音器10の簡素化及び低コスト化を図ることができる。さらに、排気ガスGの主流路である下側の排気流路17の排気ガス流路が狭くならず背圧が高くならない。即ち、排気ガスGの主流路の圧力損失の低下を抑えることができる。
【0021】
図6は本発明の第2実施形態の消音器を示す平面図、図7図6中A-A線に沿う断面図、図8図6中B部分の拡大斜視図、図9は消音器の排気ガスの流れを説明する要部の断面図である。
【0022】
図6に示すように、消音器20を構成し、曲がる構造を有する金属製の排気管21は、車両電動化に伴いバッテリ等の配置比率が上がって排気システムの配置領域が制限された車両床下に配置され、従来センタマフラを配置できていたものが設置できなくなったセンタマフラの代わりに、排気吐出音を消音するものである。
【0023】
即ち、排気管21は、排気ガスGが流れる上流端側から順に小径管部22、拡管部23、大径管部(曲げ部)24を有していて、下流端側にかけて、逆拡管部23′、小径管部22′と連なって円筒状に形成されている。そして、排気管21の大径管部24の内部の中央より上側には、長手方向に沿って金属製で長い矩形板状の仕切り板25の両端側の円弧面状の折曲部25a,25aが大径管部24の内周面24aに溶接により固着されている。この仕切り板25により大径管部24の内部には2つの排気流路26,27が分割形成されている。
【0024】
図6図8に示すように、一方の排気流路26は、消音室として形成されており、その下流端側は、仕切り板25の後端の半円板状の閉塞板部25bの円弧面状の折曲片25cを大径管部24の内周面24aに溶接により固着することで、隙間なく閉塞された非稼働型になっている。さらに、一方の排気流路26の上流端側は、消音室の入口26aになっている。この入口26aは、排気管21の拡管部23の下流側、即ち、大径管部24の上流端側に位置している。
【0025】
また、図6図7図9に示すように、他方の排気流路(もう一方の排気流路)27は、排気ガスGが流れる主流路となっていて拡管されている。尚、排気管21の両端側の小径管部22,22′には、図示しない相手側の排気管が接続されるフランジ28,29が溶接により固着されている。
【0026】
以上第2実施形態の消音器20によれば、図9に示すように、排気管21内に流れて来た排気ガスGの一部は、一方の排気流路(消音室)26内に流入し、その下流端側に位置する閉塞板部25bに当たって逆流して共鳴し、消音される。残りの排気ガスGは、他方の排気流路(主流路)27内を流れる。
【0027】
この排気管21は、車両電動化に伴いバッテリ等の配置比率が上がって排気システムの配置領域が制限された車両床下に配置されているため、第1実施形態と同様に(図5に示すように)、車両床下にセンタマフラが配置されていない消音特性Xに比べ、排気管21に内蔵された消音室26の消音特性Yの方が排気吐出音を低減することができる。即ち、センタマフラ廃止に伴う排気吐出音性能が悪化したものに対し、第2実施形態の消音器20では、排気管21内に消音(レゾネータ)機能を設けることにより、排気吐出音を大幅に低減することができ、排気吐出音性能を大幅に改善することができる。
【0028】
また、排気管21内に下流端側が閉塞された仕切り板25を介して消音室26を設ける構造であるため、消音器20の簡素化及び低コスト化を図ることができる。さらに、排気ガスGの主流路である下側の排気流路27の排気ガス流路が狭くならず背圧が高くならない。即ち、排気ガスGの主流路の圧力損失の低下を抑えることができる。
【0029】
尚、前記第2実施形態によれば、1回曲げた排気管を用いたが、2回以上曲げた排気管の曲げ部内に仕切り板を介して消音室を形成するようにしても良い。
【符号の説明】
【0030】
10,20 消音器
12,22 小径管部
13,23 拡管部
14,24 大径管部
15,25 仕切り板
16,26 一方の排気流路(消音室)
17,27 もう一方の排気流路
G 排気ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9