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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】調節アセンブリ及びヘッドレスト
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/829 20180101AFI20240712BHJP
   B60N 2/865 20180101ALI20240712BHJP
   A47C 7/38 20060101ALI20240712BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B60N2/829
B60N2/865
A47C7/38
F16H25/20 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022176437
(22)【出願日】2022-11-02
(65)【公開番号】P2024036266
(43)【公開日】2024-03-15
【審査請求日】2022-11-02
(31)【優先権主張番号】202211078452.2
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522430578
【氏名又は名称】索斯科鎖定技術(上海)有限公司
【氏名又は名称原語表記】SOUTHCO MANUFACTURING AND TECHNOLOGY (SHANGHAI) CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】肖 化 縣
(72)【発明者】
【氏名】連 勇 軍
(72)【発明者】
【氏名】楊 沛
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-178096(JP,A)
【文献】実開平02-061233(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0060870(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0029510(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0334061(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0315256(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/80-2/897
A47C 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節アセンブリであって、
ガイドロッドと、固定部品と、駆動部と、第一スクリューと、第二スクリューとを含み、
前記固定部品は、前記ガイドロッドの一端に固定され、
前記駆動部は、前記固定部品に移動可能に連結され、
前記第一スクリューは、前記固定部品に螺合され、且つ前記駆動部は前記第一スクリューを介して前記固定部品に連結され、
ここで、前記駆動部は第一モータと、駆動部ハウジングと、第二モータと、第二歯車とを含み、前記第一モータは前記駆動部を固定部品に対して前記固定部品に近接する方向または前記固定部品から離れている方向に沿って線形に移動させるように駆動することに用いられ、前記第二モータ及び第二歯車は前記駆動部ハウジング内に設置され、前記第二モータは前記第二歯車を介して前記第二スクリューと係合し、前記第二モータは、前記第二スクリューを前記第二スクリューの軸線方向に沿って線形に移動させるように駆動することに用いられる
ことを特徴とする調節アセンブリ。
【請求項2】
前記調節アセンブリは二本のガイドロッドを含み、二本の前記ガイドロッドは互いに平行に延在し、前記固定部品は固定ロッドを含み、且つ前記固定部品は前記固定ロッドを介して二本の前記ガイドロッドの間に固定される
ことを特徴とする請求項1に記載の調節アセンブリ。
【請求項3】
前記駆動部はさらに第一歯車を含み、前記第一モータ及び前記第一歯車は前記駆動部ハウジング内に設置され、前記第一モータは前記第一歯車を介して前記第一スクリューと係合する
ことを特徴とする請求項1に記載の調節アセンブリ。
【請求項4】
前記第一スクリューは前記第二スクリューに垂直であり、前記第一スクリューは垂直方向に沿って延在する
ことを特徴とする請求項1に記載の調節アセンブリ。
【請求項5】
前記第一モータは前記第二モータの下方に位置し、前記第一モータの出力軸は前記第二モータの出力軸と平行である
ことを特徴とする請求項1に記載の調節アセンブリ。
【請求項6】
前記調節アセンブリはさらにスライダを含み、前記スライダは前記ガイドロッドにスライド可能に設置され、前記駆動部は前記スライダに固定され、且つ前記駆動部は前記スライダのスライド方向に垂直な方向に沿って中央に設置される
ことを特徴とする請求項1に記載の調節アセンブリ。
【請求項7】
前記調節アセンブリはさらにスライダを含み、前記スライダは第一スライド部、第二スライド部及び前記第一スライド部と前記第二スライド部を連結する連結部を含み、前記第一スライド部と前記第二スライド部は二本の前記ガイドロッドにそれぞれスライド可能に設置され、前記駆動部は前記第一スライド部と前記第二スライド部との間で前記スライダに固定される
ことを特徴とする請求項2に記載の調節アセンブリ。
【請求項8】
前記第一歯車及び前記第二歯車はそれぞれ少なくとも二つの歯車を含む
ことを特徴とする請求項に記載の調節アセンブリ。
【請求項9】
前記第一モータ及び前記第二モータは位置記憶用のホールセンサをそれぞれ含む
ことを特徴とする請求項1に記載の調節アセンブリ。
【請求項10】
前記第一スクリューは、その移動の任意の位置で前記固定部品に対してロックされることができ、前記第二スクリューは、その移動の任意の位置で前記第二モータに対してロックされることができる
ことを特徴とする請求項1に記載の調節アセンブリ。
【請求項11】
前記ガイドロッドは屈曲部及び位置決め部を含み、前記屈曲部は前記ガイドロッドの他の部分に対して角度を形成して前記スライダの運動範囲を制限し、前記位置決め部は前記ガイドロッドの長さに沿って延在する複数の凹溝として形成され、複数の位置で前記スライダの運動に抵抗を提供することに用いられる
ことを特徴とする請求項6に記載の調節アセンブリ。
【請求項12】
前記ガイドロッドは屈曲部及び位置決め部を含み、前記屈曲部は前記ガイドロッドの他の部分に対して角度を形成して前記スライダの運動範囲を制限し、前記位置決め部は前記ガイドロッドの長さに沿って延在する複数の凹溝として形成され、複数の位置で前記スライダの運動に抵抗を提供することに用いられる
ことを特徴とする請求項7に記載の調節アセンブリ。
【請求項13】
ヘッドレストであって、
請求項1から12のいずれか一項に記載の調節アセンブリと、
前記ヘッドレストの外観を形成するアウタハウジングと、
前記アウタハウジングの内部に設置され且つ前記アウタハウジングに固定され、且つ前記調節アセンブリの少なくとも一部を取り囲むインナハウジングと、を含み、
ここで、前記アウタハウジング及び前記インナハウジングは、前記調節アセンブリの駆動部とともに移動する
ことを特徴とするヘッドレスト。
【請求項14】
前記アウタハウジングには、ワイヤ貫通孔が設置され、前記ワイヤ貫通孔はワイヤハーネスの通過に用いられる
ことを特徴とする請求項13に記載のヘッドレスト。
【請求項15】
ヘッドレストであって、
請求項4から12のいずれか一項に記載の調節アセンブリと、
前記ヘッドレストの外観を形成するアウタハウジングと、
前記アウタハウジングの内部に設置され且つ前記アウタハウジングに固定され、且つ前記調節アセンブリの少なくとも一部を取り囲むインナハウジングと、を含み、
ここで、前記アウタハウジング及び前記インナハウジングは、前記調節アセンブリの駆動部とともに第一方向に沿って移動し、且つ前記第二スクリューは、前記アウタハウジング及び前記インナハウジングが前記第二スクリューとともに前記駆動部ハウジングに対して第二方向に沿って移動するように、前記インナハウジングに当接する
ことを特徴とするヘッドレスト。
【請求項16】
前記第一方向は前記第二方向に垂直である
ことを特徴とする請求項15に記載のヘッドレスト。
【請求項17】
前記アウタハウジングには、ワイヤ貫通孔が設置され、前記ワイヤ貫通孔はワイヤハーネスの通過に用いられる
ことを特徴とする請求項15に記載のヘッドレスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節アセンブリに関し、特に、電動調節アセンブリに関する。本発明はまた、該当調節アセンブリを有するヘッドレストに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のシートは、通常、乗員の頭部を支持してシートの快適性を向上させるためのヘッドレストを有する。従来のヘッドレストは、通常、異なる身長の乗員に適応するように手動で上下に調節可能である。
【0003】
しかし、従来技術のヘッドレストの電動調節の技術機能は比較的単一であり、さらなる最適化が急務である。
【0004】
したがって、操作しやすく、構造がシンプルで信頼性が高い調節アセンブリ及びヘッドレストが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、電気的に調節可能な調節アセンブリを提供することを目的とする。
本発明は、互いに垂直な二つの方向にそれぞれ電気的に調節することができる調節アセンブリを提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、上記の欠点の少なくとも一つを克服することができる調節アセンブリを提供することを目的とする。
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明は、調節アセンブリを提供し、前記調節アセンブリは、ガイドロッドと、固定部品と、駆動部と、第一スクリューとを含み、前記固定部品は、前記ガイドロッドの一端に固定され、前記駆動部は、前記固定部品に移動可能に連結され、前記第一スクリューは、前記固定部品に螺合され、且つ前記駆動部は前記第一スクリューを介して前記固定部品に連結され、ここで、前記駆動部は第一モータを含み、前記第一モータは前記駆動部を固定部品に対して前記固定部品に近接する方向または前記固定部品から離れている方向に沿って線形に移動させるように駆動することに用いられる。
【0008】
一実施例において、前記調節アセンブリは二本のガイドロッドを含み、二本の前記ガイドロッドは互いに平行に延在し、前記固定部品は固定ロッドを含み、且つ前記固定部品は前記固定ロッドを介して二本の前記ガイドロッドの間に固定される。
【0009】
一実施例において、前記駆動部はさらに第一歯車及び駆動部ハウジングを含み、前記第一モータ及び前記第一歯車は前記駆動部ハウジング内に設置され、前記第一モータは前記第一歯車を介して前記第一スクリューと係合する。
【0010】
一実施例において、前記調節アセンブリはさらに第二スクリューを含み、前記駆動部はさらに第二モータ及び第二歯車を含み、前記第二モータ及び第二歯車は前記駆動部ハウジング内に設置され、前記第二モータは前記第二歯車を介して前記第二スクリューと係合し、前記第二モータは前記第二スクリューを前記第二スクリューの軸線方向に沿って線形に移動させるように駆動することに用いられる。
【0011】
一実施例において、前記第一スクリューは前記第二スクリューに垂直であり、前記第一スクリューは垂直方向に沿って延在する。
【0012】
一実施例において、前記第一モータは前記第二モータの下方に位置し、前記第一モータの出力軸は前記第二モータの出力軸と平行である。
【0013】
一実施例において、前記調節アセンブリはさらにスライダを含み、前記スライダは前記ガイドロッドにスライド可能に設置され、前記駆動部は前記スライダに固定され、且つ前記駆動部は前記スライダのスライド方向に垂直な方向に沿って中央に設置される。
【0014】
一実施例において、前記調節アセンブリはさらにスライダを含み、前記スライダは第一スライド部、第二スライド部及び前記第一スライド部と前記第二スライド部を連結する連結部を含み、前記第一スライド部と前記第二スライド部は二本の前記ガイドロッドにそれぞれスライド可能に設置され、前記駆動部は前記第一スライド部と前記第二スライド部との間で前記スライダに固定される。
【0015】
一実施例において、前記第一歯車及び前記第二歯車はそれぞれ少なくとも二つの歯車を含む。
【0016】
一実施例において、前記第一モータ及び前記第二モータは位置記憶用のホールセンサをそれぞれ含む。
【0017】
一実施例において、前記第一スクリューは、その移動の任意の位置で前記固定部品に対してロックすることができ、前記第二スクリューは、その移動の任意の位置で前記第二モータに対してロックすることができる。
【0018】
一実施例において、前記ガイドロッドは屈曲部及び位置決め部を含み、前記屈曲部は前記ガイドロッドの他の部分に対して角度を形成して前記スライダの運動範囲を制限し、前記位置決め部は前記ガイドロッドの長さに沿って延在する複数の凹溝として形成され、複数の位置で前記スライダの運動に抵抗を提供することに用いられる。
【0019】
別の態様において、本発明はヘッドレストを提供し、前記ヘッドレストは、上記の調節アセンブリと、前記ヘッドレストの外観を形成するアウタハウジングと、前記アウタハウジングの内部に設置され且つ前記アウタハウジングに固定され、且つ前記調節アセンブリの少なくとも一部を取り囲むインナハウジングと、を含み、ここで、前記アウタハウジング及び前記インナハウジングは、前記調節アセンブリの駆動部とともに移動する。
【0020】
一実施例において、前記アウタハウジングには、ワイヤ貫通孔が設置され、前記ワイヤ貫通孔はワイヤハーネスの通過に用いられる。
【0021】
別の態様において、本発明はヘッドレストを提供し、前記ヘッドレストは、上記の調節アセンブリと、前記ヘッドレストの外観を形成するアウタハウジングと、前記アウタハウジングの内部に設置され且つ前記アウタハウジングに固定され、且つ前記調節アセンブリの少なくとも一部を取り囲むインナハウジングと、を含み、ここで、前記アウタハウジング及び前記インナハウジングは、前記調節アセンブリの駆動部とともに第一方向に沿って移動し、且つ前記第二スクリューは、前記アウタハウジング及び前記インナハウジングが前記第二スクリューとともに前記駆動部ハウジングに対して第二方向に沿って移動するように、前記インナハウジングに当接する。
【0022】
一実施例において、前記第一方向は前記第二方向に垂直である。
一実施例において、前記アウタハウジングには、ワイヤ貫通孔が設置され、前記ワイヤ貫通孔はワイヤハーネスの通過に用いられる。
【0023】
本発明の調節アセンブリは、電気的に調節することができ、操作しやすく、構造がシンプルで信頼性が高い。
【0024】
本発明の調節アセンブリは、2次元で位置を調節することができ、乗員の体格及びニーズによりよく適合する。
【0025】
本発明の様々な目的、特徴及び利点は、添付の図面を参照して、以下の本発明の好ましい実施形態に対する詳細な説明を検討することによって、より明らかになる。図面は本発明の例示的な図にすぎず、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。図面において、同一の符号は、常に同一または類似な部品を示す。ここで、
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明のヘッドレストの斜視図である。
図2】本発明のヘッドレストの別の視点からの斜視図である。
図3】ヘッドレストのアウタハウジングが取り外された状態の本発明のヘッドレストの斜視図である。
図4】ヘッドレストのアウタハウジングが取り外された状態の本発明のヘッドレストの別の視点からの斜視図である。
図5】本発明の調節アセンブリの斜視図である。
図6】本発明の調節アセンブリの別の視点からの斜視図である。
図7】本発明のヘッドレストの分解斜視図である。
図8】本発明の調節アセンブリの分解斜視図である。
図9】本発明の調節アセンブリの正面図である。
図10】本発明の調節アセンブリの背面図である。
図11】本発明の調節アセンブリの左側面図である。
図12】本発明の調節アセンブリの右側面図である。
図13】本発明の調節アセンブリの上面図である。
図14】本発明の調節アセンブリの底面図である。
図15】本発明の調節アセンブリのガイドロッドの斜視図である。
図16】本発明の調節アセンブリの固定ロッドの斜視図である。
図17】本発明の調節アセンブリの固定ブロックの斜視図である。
図18】本発明の調節アセンブリの第一スクリューの斜視図である。
図19】本発明の調節アセンブリの駆動部リヤハウジングの斜視図である。
図20】本発明の調節アセンブリの駆動部リヤハウジングの別の視点からの斜視図である。
図21】本発明の調節アセンブリの駆動部フロントハウジングの斜視図である。
図22】本発明の調節アセンブリの駆動部フロントハウジングの別の視点からの斜視図である。
図23】本発明の調節アセンブリのスライダの斜視図である。
図24】本発明の調節アセンブリのスライダの別の視点からの斜視図である。
図25】本発明の調節アセンブリの第一モータの斜視図である。
図26】本発明の調節アセンブリの第一モータの別の視点からの斜視図である。
図27】本発明の調節アセンブリの第一歯車の斜視図である。
図28】本発明の調節アセンブリの第一歯車の別の視点からの斜視図である。
図29】本発明の調節アセンブリの第一歯車の別の視点からの斜視図である。
図30】本発明の調節アセンブリの第一歯車の別の視点からの斜視図である。
図31】本発明の調節アセンブリの第二スクリューの斜視図である。
図32】本発明の調節アセンブリの第二歯車の斜視図である。
図33】ヘッドレストが収縮位置にある、本発明のヘッドレストの斜視図である。
図34】ヘッドレストが中間位置にある、本発明のヘッドレストの斜視図である。
図35】ヘッドレストが展開位置にある、本発明のヘッドレストの斜視図である。
図36】ヘッドレストのアウタハウジングが取り外され且つヘッドレストが収縮位置にある、本発明のヘッドレストの斜視図である。
図37】ヘッドレストのアウタハウジングが取り外され且つヘッドレストが中間位置にある、本発明のヘッドレストの斜視図である。
図38】ヘッドレストのアウタハウジングが取り外され且つヘッドレストが展開位置にある、本発明のヘッドレストの斜視図である。
図39】ヘッドレストのアウタハウジングが最も低い位置にある、本発明の調節アセンブリの斜視図である。
図40】ヘッドレストのアウタハウジングが最も低い位置及び最も前方の位置にある、本発明の調節アセンブリの斜視図である。
図41】ヘッドレストのアウタハウジングが最も高い位置及び最も前方の位置にある、本発明の調節アセンブリの斜視図である。
図42】ヘッドレストのアウタハウジングが最も低い位置にある、本発明のヘッドレストの正面図である。
図43図42のA‐A線に沿った断面図である。
図44】ヘッドレストのアウタハウジングが最も低い位置及び最も前方の位置にある、本発明のヘッドレストの正面図である。
図45図44のB‐B線に沿った断面図である。
図46】ヘッドレストのアウタハウジングが最も高い位置及び最も前方の位置にある、本発明のヘッドレストの正面図である。
図47図46のC‐C線に沿った断面図である。
図48】ヘッドレストのアウタハウジングが最も低い位置及び最も後方の位置にある、本発明のヘッドレストの正面図である。
図49図48のK‐K線に沿った断面図である。
図50】ヘッドレストのアウタハウジングが最も低い位置及び最も前方の位置にある、本発明のヘッドレストの正面図である。
図51図50のL‐L線に沿った断面図である。
図52】ヘッドレストのアウタハウジングが最も高い位置及び最も前方の位置にある、本発明のヘッドレストの正面図である。
図53図52のM‐M線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の原理及び構造をさらに説明するために、ここで図面を参照しながら本発明の好ましい実施例を詳細に説明し、しかしながら、前記実施例は、説明及び解釈を提供するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではない。
【0028】
本発明において使用される用語は、特定の実施例を説明する目的で使用されるものに過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。本発明及び添付される特許請求の範囲において使用される単数形「一種類」、「一つ」、「前記」及び「該当」は、文脈が明らかに他の意味を示さない限り、複数形も含むことが意図される。本発明に記載の「及び/または」という用語は、一つまたは複数の関連する列挙された事項のうちの任意のまたはすべての可能な組合せを含むことを意味することも理解されたい。
【0029】
本発明のヘッドレスト1は、車両用シート例えば自動車用シートに適用することができる。あるいは、本発明のヘッドレスト1は、車両用シート以外のシートにも適用することができる。
【0030】
図1図7を参照すると、一実施例において、ヘッドレスト1は、調節アセンブリ40と、ヘッドレスト1の外観を形成するアウタハウジング10と、アウタハウジング10の内部に設置され且つアウタハウジング10に固定され、且つ調節アセンブリ40の少なくとも一部を取り囲むインナハウジング20とを含むことができる。アウタハウジング10及びインナハウジング20は、調節アセンブリ40の駆動部430(以下で詳細に説明する)とともに第一方向に沿って移動し、且つ第二スクリュー435(以下で詳細に説明する)は、アウタハウジング10及びインナハウジング20が第二スクリュー435とともに駆動部ハウジング431(以下で詳細に説明する)に対して第二方向に沿って移動するように、インナハウジング20に当接する。第一方向及び第二方向は、互いに垂直であり得る。
【0031】
図1図2を参照すると、アウタハウジング10は、アウタハウジング前部111及びアウタハウジング後部112を含むことができる。アウタハウジング前部111及びアウタハウジング後部112は、互いに固定され、一定の空間を取り囲むことができる。アウタハウジング10の表面の少なくとも一部(例えば、アウタハウジング前部111)は、良好な接触感を提供するために軟質材料で作られてもよい。アウタハウジング10は、さらにワイヤ貫通孔110を含むことができる。ワイヤ貫通孔110は、例えば、ワイヤハーネスを通すために用いることができる。上記のワイヤハーネスは、アウタハウジング10内の部品に電力を供給したり、アウタハウジング10内の部品を制御したりするために用いられてもよい。本発明は、ワイヤ貫通孔110の位置を限定しない。ワイヤハーネスは、アウタハウジング10の内部からワイヤ貫通孔110を通って延びてアウタハウジング10の外部に連結することができ、それにより、アウタハウジング10内の部品を外部から制御することができる。ヘッドレスト1は、別の遠隔制御装置を介して無線で制御されてもよい。
【0032】
図3図4及び図7を参照すると、インナハウジング20は、変形可能なハウジング210と、インナハウジング後部220と、インナハウジング前部230とを含むことができる。インナハウジング前部230及びインナハウジング後部220は、互いに固定され、一定の空間を取り囲むことができる。変形可能なハウジング210は、インナハウジング前部230に固定されてもよい。具体的には、変形可能なハウジング210の中央部がインナハウジング前部230に固定され、且つ変形可能なハウジング210の両側が変形可能なハウジング210の中央部に対して屈曲可能であるため、調節可能な二つのウイングを実現することができる。二つのウイングは、変形可能なハウジング210の中央部に対して屈曲可能であるため、乗員の頭部に対して異なる角度の側方支持力を提供することができる。アウタハウジング前部111は、変形可能なハウジング210に対応する構造を有することができる。すなわち、アウタハウジング前部111の両側は、それぞれ変形可能なハウジング210の両側とともに屈曲可能である。インナハウジング20の表面は、ヘッドレスト1に構造的強度を提供するために、プラスチックまたはは金属のような硬質材料で製造されてもよい。あるいは、インナハウジング20は、変形可能なハウジング210を含まなくてもよい。
【0033】
図5図7を参照すると、調節アセンブリ40は、ガイドロッド440と、ガイドロッド440の一端に固定される固定部品410と、固定部品410に移動可能に連結される駆動部430とを含むことができる。駆動部430は、第一モータ432を含むことができる。第一モータ432は、駆動部430を固定部品410に対して固定部品410に近接する方向または固定部品から離れている方向に沿って線形に移動させるように駆動することに用いられる。
【0034】
ガイドロッド440は、金属(例えば、鋼)で形成することができる。調節アセンブリ40は、二本のガイドロッド440を含むことができる。二本のガイドロッド440は、互いに平行に延在することができる。図1図4に示すように、各ガイドロッド440の一部は、アウタハウジング10及びインナハウジング20の内部に位置してもよく、且つ各ガイドロッド440の他の部分は、アウタハウジング10及びインナハウジング20の外側に突出してもよい。各ガイドロッド440のアウタハウジング10及びインナハウジング20の外側に突出した部分は、自動車シートの背もたれ(図示せず)内に挿入され、ヘッドレスト1を自動車シートの背もたれに固定してもよい。あるいは、調節アセンブリ40は、一本のガイドロッド440または二本以上のガイドロッド440を含むことができる。
【0035】
図8及び図15に示すように、ガイドロッド440は、屈曲部441を有することができる。屈曲部441は、ガイドロッド440の中央に設けられてもよい。ガイドロッド440は、屈曲部441の上に位置決め部442を有することができる。屈曲部441は、ガイドロッド440の他の部分に対して角度を形成してもよい。位置決め部442は、ガイドロッド440の長さに沿って延在する複数の凹溝またはノッチとして形成されてもよく、複数の位置でスライダ420の運動に抵抗を与えたり、スライダ420の運動を阻止したりするために用いられる。
【0036】
図9図14図16図17を参照すると、固定部品410は、ブロックであってもよい。固定ロッド411は、固定部品410を横向きに貫通することができ、且つ固定ロッド411の両端は、二本のガイドロッド440の上端にそれぞれ固定される。すなわち、固定部品410は、固定ロッド411を介して二本のガイドロッド440の間に固定される。調節アセンブリ40は、さらに第一スクリュー433を含むことができる。駆動部430は、第一スクリュー433を介して固定部品410に連結されることができる。具体的には、第一スクリュー433は、固定部品410に螺合可能に連結されてもよい。具体的には、固定部品410には、雌ねじを有するねじ孔が形成されてもよい、第一スクリュー433は該当ねじ孔を貫通し、且つ第一スクリュー433の雄ねじは、該当ねじ孔の雌ねじと係合する。
【0037】
図7図14を参照すると、駆動部430は、駆動部ハウジング431、第一モータ432、第一スクリュー433、第二モータ434、及び第二スクリュー435を含むことができる。第一スクリュー433の下端は、駆動部430の内部に挿入され、駆動部ハウジング431に固定される。
【0038】
図19図22を参照すると、駆動部ハウジング431は、駆動部フロントハウジング4311及び駆動部リヤハウジング4312を含むことができる。駆動部フロントハウジング4311及び駆動部リヤハウジング4312は、互いに固定され、一定の空間を取り囲むことができる。なお、本発明は、駆動部ハウジング431、並びにヘッドレスト1のアウタハウジング10及びインナハウジング20の構成要素の数及びそれぞれの構成要素の組み合わせ方式を限定するものではない。
【0039】
第一モータ432及び第二モータ434は、駆動部ハウジング431に収容され固定されてもよい。第一モータ432は、第二モータ434の下に位置してもよい。あるいは、第二モータ434は、第一モータ432の下に位置してもよい。第一モータ432は第一スクリュー433に係合され、第二モータ434は第二スクリュー435に係合される。具体的には、第一モータ432及び第二モータ434の出力軸はウォームとして形成されてもよく、第一モータ432の出力軸は、二つの第一歯車436、437を介して第一スクリュー433に係合することができ、第二モータ434の出力軸は、二つの第二歯車438、439を介して第二スクリュー435に係合することができる(図27図32参照)。第一モータ432の出力軸と第二モータ434の出力軸とは互いに平行であってもよい。第一歯車436は、第一モータ432の出力軸と、もう一つの第一歯車437とにそれぞれ噛み合うダブルギヤまたはウォームホイールであってもよい。もう一つの第一歯車437は、第一スクリュー433に套設される。同様に、第二歯車438は、第二モータ434の出力軸と、もう一つの第二歯車439とにそれぞれ噛み合うダブルギヤまたはウォームホイールであってもよい。もう一つの第二歯車439は、第二スクリュー435に套設される。本発明は、第一歯車及び第二歯車の形態及び数を限定するものではない。第一モータ432と第一スクリュー433とは、第一モータ432の動力を第一スクリュー433の回転に変換することができれば、他の方式で係合されてもよい。同様に、第二モータ434と第二スクリュー435とは、第二モータ434の動力を第二スクリュー435の回転に変換することができれば、他の方式で係合されてもよい。
【0040】
第二スクリュー435は、駆動部ハウジング431を前後方向(すなわち、図11の左右方向)に沿って貫通してもよい。第一スクリュー433は、上下方向(すなわち、図11の上下方向)に沿って延在してもよい。すなわち、第一スクリュー433は、第二スクリュー435に対して垂直であってもよい。図18及び図31を参照すると、第一スクリュー433は、上部のみにねじ山が形成され、第二スクリュー435は、全体にねじ山が形成されてもよいが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0041】
調節アセンブリ40は、さらにスライダ420を含むことができる。スライダ420は、ガイドロッド440にスライド可能に設置される。駆動部430は、スライダ420に固定されてもよい。
【0042】
図23図24を参照すると、スライダ420は、第一スライド部421と、第二スライド部422と、第一スライド部421と第二スライド部422とを連結する連結部423とを含むことができる。第一スライド部421及び第二スライド部422は、二本のガイドロッド440にそれぞれスライド可能に設置される。駆動部430は、第一スライド部421と第二スライド部422との間でスライダ420に固定される。このように、スライダ420が二本のガイドロッド440に沿ってスライドすると、駆動部430は、スライダ420とともに二本のガイドロッド440に対して運動する。駆動部430は、スライダ420のスライド方向と直交する方向の中央に設置されてもよい。すなわち、駆動部430は、第一方向及び第二方向の両方と直交する第三方向(調節アセンブリ40の左右方向、図9及び図10参照)において、調節アセンブリ40の中央に位置するように設置されてもよい。スライダ420は、インナハウジング20に固定的に連結される。したがって、スライダ420が二本のガイドロッド440に沿ってスライドすると、アウタハウジング10及びインナハウジング20は、スライダ420とともに二本のガイドロッド440に対して運動する。屈曲部441は、スライダ420の運動範囲を制限するために、ガイドロッド440の他の部分に対して角度を形成することができる。
【0043】
図33図41を参照すると、第一モータ432は、第一スクリュー433を回転させるように駆動することができる。具体的には、第一モータ432の出力軸の回転は、第一歯車436を回転させ、第一歯車436の回転は、第一スクリュー433に套設されたもう一つの第一歯車437を回転させる。第一スクリュー433が回転すると、第一スクリュー433は固定部品410に対して上下に運動する。このとき、第一スクリュー433は駆動部ハウジング431に固定されているので、アウタハウジング10、インナハウジング20、スライダ420及び駆動部430は、第一スクリュー433とともに固定部品410に対して上下に運動する。ガイドロッド440の下部は、例えば自動車のシートの背もたれに固定することができる。これにより、ヘッドレスト1のアウタハウジング10をシートに対して上下に移動させてヘッドレスト1の使用高さを調節することができる(図42図47参照)。
【0044】
図39図41図48図51を参照すると、第二モータ434は、第二スクリュー435を回転させるように駆動することができる。具体的には、第二モータ434の出力軸の回転は、第二歯車438を回転させ、第二歯車438の回転は、第二スクリュー435に套設されたもう一つの第二歯車439を回転させる。第二スクリュー435の両端は、インナハウジング前部230及びインナハウジング後部220にそれぞれ当接する。第二スクリュー435が回転すると、第二スクリュー435は、第二モータ434及び駆動部ハウジング431に対して前後に運動する。このとき、第二スクリュー435の両端は、インナハウジング前部230及びインナハウジング後部220にそれぞれ当接されるので、アウタハウジング10とインナハウジング20とともに駆動部ハウジング431に対して前後に運動する。ガイドロッド440は、駆動部ハウジング431に対して前後方向に移動しないので、ヘッドレスト1のアウタハウジング10をシートに対して前後に移動させてヘッドレスト1の前後位置を調節することができる。
【0045】
ヘッドレスト1のアウタハウジング10は、例えば50mmの範囲で上下に移動可能であり、また、例えば30mmの範囲で前後に移動可能であるが、本発明は、アウタハウジング10の移動距離を限定するものではない。アウタハウジング10が上記距離を移動するのにかかる時間は、例えば7秒程度であるが、本発明は、アウタハウジング10の移動時間を限定するものではない。ヘッドレスト1のアウタハウジング10が移動する際の荷重は、例えば35ニュートンであるが、本発明は荷重の数値を限定するものではない。
【0046】
ヘッドレスト1のアウタハウジング10は、移動中に任意の位置でロックすることができる。あるいは、ヘッドレスト1のアウタハウジング10は、移動中に特定の複数の位置でロックすることができる。第一モータ432及び第二モータ434の少なくとも一方は、位置を記憶するためのホールセンサ(Hall sensor)を有することができる。
【0047】
本実施例のヘッドレスト1は、上下移動及び前後移動を行うことができ、それによりヘッドレストの位置を柔軟に調節することができ、異なる体格及び着座姿勢の乗員が使用しやすく、且つヘッドレスト1の操作が便利であり、手動で調節する必要がない。
【0048】
他の実施例において、ヘッドレスト1は、上下方向にのみ移動可能であり、左右方向には移動不能であってもよい。すなわち、上記実施例における第二モータ434、第二スクリュー435及び第二歯車438、439を省略してもよい。
【0049】
該当他の実施例において、ヘッドレスト1のアウタハウジング10は、例えば40mmの範囲で上下に移動可能であるが、本発明は、アウタハウジング10の移動距離を限定するものではない。アウタハウジング10が上記距離を移動するのにかかる時間は、例えば5秒程度であるが、本発明は、アウタハウジング10の移動時間を限定するものではない。ヘッドレスト1のアウタハウジング10が移動する際の荷重は、例えば25ニュートンであるが、本発明は、荷重の数値を限定するものではない。
【0050】
該当他の実施例において、ヘッドレスト1のアウタハウジング10は、移動中に任意の位置でロックすることができる。あるいは、ヘッドレスト1のアウタハウジング10は、移動中に特定の複数の位置でロックすることができる。第一モータ432は、位置を記憶するためのホールセンサを有することができる。
【0051】
本実施例のヘッドレスト1は、上下移動を行うことができ、それによりヘッドレストの位置を柔軟に調節することができ、異なる体格及び着座姿勢の乗員が使用しやすく、且つヘッドレスト1の操作が便利であり、手動で調節する必要がない。本実施例のヘッドレスト1は構造がよりシンプルであり、それによりコストを節約する。
【0052】
当業者は、明細書に対する理解、及び明細書に開示される発明を実施することにより、本発明の他の実施形態を容易に取得することができる。本発明は、本開示の一般的な原理に従い、本発明に開示されていない本技術分野における一般的な知識または慣用的な技術的手段を含む、本発明の任意の変更、用途、または適応的な変化を含むことが意図される。明細書及び実施例は、単に例示に考慮されるべきであり、本発明の本当の範囲及び趣旨は、本発明の特許請求の範囲によって示される。
【0053】
本発明は、例示的な実施例を参照して例示的に説明したが、使用される用語は、説明且つ例示的なものであり、限定するための用語ではない。本発明は、本発明の趣旨及び本質から逸脱することなく、様々な形態で具体的に実施されることができ、したがって、上記の実施例は、前述の詳細のいずれにも限定されず、特許請求の範囲によって定義される範囲内で最も広く解釈されるべきであり、したがって、特許請求の範囲またはその均等の範囲内に含まれるすべての変更は、特許請求の範囲によって包含されることが意図されることを理解されたい。
【符号の説明】
【0054】
1 ヘッドレスト
10 アウタハウジング
110 ワイヤ貫通孔
111 アウタハウジング前部
112 アウタハウジング後部
20 インナハウジング
210 変形可能なハウジング
220 インナハウジング後部
230 インナハウジング前部
40 調節アセンブリ
410 固定部品
411 固定ロッド
420 スライダ
421 第一スライド部
422 第二スライド部
423 連結部
430 駆動部
431 駆動部ハウジング
4311 駆動部フロントハウジング
4312 駆動部リヤハウジング
432 第一モータ
433 第一スクリュー
434 第二モータ
435 第二スクリュー
436 歯車
437 歯車
438 歯車
439 歯車
440 ガイドロッド
441 屈曲部
442 位置決め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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