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特許7520100複合ビームコンバイナを用いるマルチモード広角照明
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】複合ビームコンバイナを用いるマルチモード広角照明
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/06 20060101AFI20240712BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20240712BHJP
   G02B 5/04 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
G02B21/06
G02B21/36
G02B5/04 Z
【請求項の数】 58
(21)【出願番号】P 2022500755
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-13
(86)【国際出願番号】 IL2020050765
(87)【国際公開番号】W WO2021005601
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-05-26
(31)【優先権主張番号】62/872,731
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501005438
【氏名又は名称】オルボテック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュ ダビド
(72)【発明者】
【氏名】アドラー アブラハム
(72)【発明者】
【氏名】ルツカー イリア
(72)【発明者】
【氏名】カツィール イーガル
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーグ アビノアム
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-024195(JP,A)
【文献】特開2008-170873(JP,A)
【文献】特開2009-075424(JP,A)
【文献】特開2003-029153(JP,A)
【文献】特開2004-102132(JP,A)
【文献】特表2008-533507(JP,A)
【文献】特開2015-088410(JP,A)
【文献】特表2007-537486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
G02B 23/24 - 23/26
G01N 21/84 - 21/958
G02B 6/26 - 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学装置であって、
照明アセンブリであって、
制御可能な空間分布を有する放射線を放出する延在放射線源と、
0.3を超える開口数を有する前記放出された放射線を受取って、第1光軸に沿って視野上まで投射するように構成されたテレセントリック集光光学系と、
を備える照明アセンブリと、
センサ、及び前記視野を第2光軸に沿って前記センサ上に結像させるように構成された対物光学系を備える結像アセンブリと、
前記視野と、前記集光及び対物光学系との間に配置されたプリズムコンバイナであって、前記第1光軸と前記第2光軸とを結合しながら、前記光軸のうちの少なくとも1つを前記プリズムコンバイナ内部で多重回だけ反射させるように構成されたプリズムコンバイナと、
を備え
前記視野上に投射される前記放射線の角度範囲は、暗視野照明範囲及び明視野照明範囲のいずれか、または両方から構成されるように選択可能である、光学装置。
【請求項2】
前記集光光学系は、2mmを超える対角寸法を有する前記視野の面積にわたって、前記面積によって10%以下だけ変化する放射照度を用いて、及び前記面積内の全ての点で前記開口数によって20%以下だけ変化する放射強度を用いて、前記放射線を均一に投射するように構成されている、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記集光光学系がそれにわたって前記光学放射線を投射する前記視野の前記面積の前記対角寸法が15mmを超過している、請求項2に記載の光学装置。
【請求項4】
前記延在放射線源は、エミッタのアレイを備え、前記装置は、放射線源コントローラを備え、前記放射線源コントローラは、前記放射線源コントローラによって前記エミッタを選択的に活性化させることによって前記空間分布を制御するように結合されている、請求項1に記載の光学装置。
【請求項5】
前記エミッタのアレイは、異なる各波長の多重エミッタを備え、前記放射線源コントローラは、前記エミッタを選択的に活性化させて、前記視野上に投射された前記放射線のスペクトル成分を制御するように構成されている、請求項4に記載の光学装置。
【請求項6】
前記エミッタのアレイは、第1アレイであり、前記集光光学系は、均質化ロッドの第2アレイを備え、各ロッドは、1つ又は複数の前記エミッタからの前記放出された放射線を受取るように配置された入射面と、前記放射線がそれを通して放出される出射面と、を備えている、請求項4に記載の光学装置。
【請求項7】
前記集光光学系は、
コリメートレンズの第3アレイであって、各コリメートレンズは、前記均質化ロッドの各1つから放出された前記放射線を受取って平行にするように構成されている、コリメートレンズの第3アレイと、
前記コリメートレンズの第3アレイから前記平行放射線を受取って、前記放射線を前記視野上に透過させて集束させるように配置された集束レンズと、
を備えている、請求項6に記載の光学装置。
【請求項8】
前記コリメートレンズは、フレネルレンズを備えている、請求項7に記載の光学装置。
【請求項9】
前記集束レンズは、フレネルレンズを備えている、請求項7に記載の光学装置。
【請求項10】
各前記均質化ロッドの前記出射面は、視野レンズ及び拡散体のうちの少なくとも1つを備えている、請求項に記載の光学装置。
【請求項11】
前記放射線源コントローラは、選択的に前記エミッタを活性化させて、前記視野上に投射される前記放射線の角度範囲を選択するように構成されている、請求項4に記載の光学装置。
【請求項12】
前記角度範囲は、暗視野及び明視野照明範囲から構成された1群の角度範囲から選択される、請求項11に記載の光学装置。
【請求項13】
前記プリズムコンバイナは、前記第1光軸を透過させて、前記第2光軸を前記プリズムコンバイナ内部で2回だけ反射させるように構成されている、請求項1に記載の光学装置。
【請求項14】
前記第2光軸は、前記視野に隣接している前記プリズムコンバイナの表面から全反射によって反射させられる、請求項13に記載の光学装置。
【請求項15】
前記集光光学系は、前記プリズムコンバイナの近くにメニスカス形状を有する補正レンズを備えている、請求項1に記載の光学装置。
【請求項16】
前記プリズムコンバイナは、前記第1光軸を前記プリズムコンバイナ内部で多重回だけ反射させて、前記視野上に投射される前記放射線を均質化するように構成されている、請求項1に記載の光学装置。
【請求項17】
前記第1光軸は、前記結像アセンブリに面する前記プリズムコンバイナの表面から全反射によって反射させられる、請求項16に記載の光学装置。
【請求項18】
前記プリズムコンバイナは、矩形断面を有し、前記集光光学系の近くの入射面と、前記視野の近くの出射面と、を備えており、前記集光光学系は、前記延在放射線源によって放出された前記放射線を前記入射面上に集束させるように構成されている、請求項16に記載の光学装置。
【請求項19】
前記延在放射線源は、エミッタのアレイを備えており、前記集光光学系は、前記エミッタのそれぞれを前記入射面上に結像させるように構成されている、請求項18に記載の光学装置。
【請求項20】
前記集光光学系は、フレネル集束レンズを備えている、請求項19に記載の光学装置。
【請求項21】
前記延在放射線源は、
放射線源と、
前記放射線源によって放出された前記放射線を受取って選択的に透過させるように構成された空間光変調器と、
を備え、
前記装置は、放射線源コントローラを備え、前記放射線源コントローラは、前記空間光変調器を駆動することによって前記空間分布を制御するように結合されている、請求項1に記載の光学装置。
【請求項22】
前記放射線源コントローラは、前記空間光変調器を選択的に制御して、前記視野上に投射される前記放射線の角度範囲を選択するように構成されている、請求項21に記載の光学装置。
【請求項23】
前記空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスを備えている、請求項21に記載の光学装置。
【請求項24】
前記空間光変調器は、液晶デバイスを備えている、請求項21に記載の光学装置。
【請求項25】
前記プリズムコンバイナは、
前記第1光軸に沿って前記集光光学系によって投射された前記放射線を受取るように配置された入射面と、
前記視野の近くの出射面と、
前記プリズムコンバイナ内部の多重ビームスプリッタ層であって、前記多重ビームスプリッタ層のそれぞれは、前記第2光軸を透過させながら、前記放射線の各部分を前記出射面を通して前記視野上まで反射させるように構成されている、多重ビームスプリッタ層と、
を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記プリズムコンバイナは、前記投射された放射線のための導波管として機能するように構成されている、請求項25に記載の光学装置。
【請求項27】
前記プリズムコンバイナは、前記ビームスプリッタ層に平行であるミラーを備え、該ミラーは、前記入射面を通って入る前記放射線を受取って、前記受取られた放射線を反射させることにより、前記放射線を前記プリズムコンバイナ内部で伝播させるように構成されている、請求項25に記載の光学装置。
【請求項28】
前記第1光軸に沿った前記開口数は、0.5を超えている、請求項1に記載の光学装置。
【請求項29】
前記第1光軸に沿った前記開口数は、0.7を超えている、請求項28に記載の光学装置。
【請求項30】
検査のための方法であって、
制御可能な空間分布を有する放射線を延在放射線源から放出するステップと、
テレセントリック集光光学系を用いて0.3を超える開口数を有する前記放出された放射線を受取って第1光軸に沿って視野上まで投射するステップと、
前記視野を対物光学系によって第2光軸に沿ってセンサに結像させるステップと、
プリズムコンバイナを用いて前記第1光軸と前記第2光軸とを結合するステップであって、前記プリズムコンバイナは、前記光軸のうちの少なくとも1つを前記プリズムコンバイナ内部で多重回だけ反射させる、ステップと、
を含み、
前記視野上に投射される前記放射線の角度範囲は、暗視野照明範囲及び明視野照明範囲のいずれか、または両方から構成されるように選択可能である、
方法。
【請求項31】
前記放射線を投射するステップは、2mmを超える対角寸法を有する前記視野の面積にわたって、前記面積によって10%以下だけ変化する放射照度を用いて、及び前記面積内の全ての点で前記開口数によって20%以下だけ変化する放射強度を用いて、前記放射線を均一に投射するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記集光光学系がそれにわたって前記光学放射線を投射する前記視野の前記面積の前記対角寸法は、15mmを超えている、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記放射線を放出するステップは、
前記放射線をエミッタのアレイから放出するステップと、
前記エミッタを選択的に活性化させることによって前記空間分布を制御するステップと、
を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記エミッタのアレイは、異なる各波長の多重エミッタを備え、前記エミッタを選択的に活性化させるステップは、活性化させるための前記エミッタを選択することによって、前記視野上に投射される前記放射線のスペクトル成分を制御するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記エミッタのアレイは、第1アレイであり、前記集光光学系は、均質化ロッドの第2アレイを備え、それぞれのロッドは、前記エミッタのうちの1つ又は複数からの前記放出された放射線を受取るように配置された入射面と、前記放射線がそれを通して放出される出射面と、を備えている、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記集光光学系は、
コリメートレンズの第3アレイであって、
それぞれのコリメートレンズが、前記均質化ロッドの各1つから放出された前記放射線を受取って平行にするように構成されている、コリメートレンズの第3アレイと、
前記コリメートレンズの第3アレイから前記平行放射線を受取り、前記放射線を前記視野上まで透過させて集束させるように配置された集束レンズと、
を備えている、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記コリメートレンズは、フレネルレンズを備えている、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記集束レンズは、フレネルレンズを備えている、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
それぞれの均質化ロッドの前記出射面は、視野レンズ及び拡散体のうちの少なくとも1つを備えている、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記エミッタを選択的に活性化させるステップは、前記視野上まで投射された前記放射線の角度範囲を選択するステップを含む、請求項33に記載の方法。
【請求項41】
前記角度範囲を選択するステップは、前記範囲を、暗視野及び明視野照明範囲から構成された一群の角度範囲から選択するステップを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1光軸と前記第2光軸とを結合するステップは、前記第1光軸を透過させるステップと、前記第2光軸を前記プリズムコンバイナ内部で2回だけ反射させるステップと、を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
前記第2光軸は、前記視野に隣接している前記プリズムコンバイナの表面から全反射によって反射させられる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記集光光学系は、前記プリズムコンバイナの近くにメニスカス形状を有する補正レンズを備えている、請求項30に記載の方法。
【請求項45】
前記光軸を結合するステップは、前記第1光軸を前記プリズムコンバイナ内部で多重回だけ反射させることにより、前記視野上まで投射される前記放射線を均質化するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項46】
前記第1光軸は、前記対物光学系を含む結像アセンブリに面する前記プリズムコンバイナの表面から全反射によって反射させられる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記プリズムコンバイナは、矩形断面を有し、前記集光光学系の近くの入射面と、前記視野の近くの出射面と、を備え、前記集光光学系は、前記延在放射線源によって放出された前記放射線を前記入射面上に集束させるように構成されている、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記延在放射線源は、エミッタのアレイを備え、前記集光光学系は、前記エミッタのそれぞれを前記入射面上に結像させるように構成されている、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記テレセントリック集光光学系は、フレネル集束レンズを備えている、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記放射線を放出するステップは、空間光変調器を適用して前記放射線の前記空間分布を制御するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項51】
前記空間分布を選択的に制御するステップは、前記視野上まで投射される前記放射線の角度範囲を選択するステップを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスを備えている、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
前記空間光変調器は、液晶デバイスを備えている、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記プリズムコンバイナは、
前記第1光軸に沿って前記集光光学系によって投射された前記放射線を受取るように配置された入射面と、
前記視野の近くの出射面と、
前記プリズムコンバイナ内部の多重ビームスプリッタ層であって、前記多重ビームスプリッタ層のそれぞれは、前記第2光軸を透過させながら、前記放射線の各部分を前記出射面を通して前記視野上まで反射させるように構成されている、多重ビームスプリッタ層と、
を備えている、請求項30に記載の方法。
【請求項55】
前記プリズムコンバイナは、前記投射された放射線のための導波管として機能するように構成されている、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記プリズムコンバイナは、前記ビームスプリッタ層に平行であるミラーを備え、前記ミラーは、前記入射面を通って入る前記放射線を受取って、前記受取られた放射線を反射させることにより、前記放射線を前記プリズムコンバイナ内部で伝播させるように構成されている、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記第1光軸に沿った前記開口数は、0.5を超えている、請求項30に記載の方法。
【請求項58】
前記第1光軸に沿った前記開口数は、0.7を超えている、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、光学装置及び方法に関し、特に照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置が、光学デバイス内で用いられて、結像光学系によって結像される物体を照明する。
【0003】
特許文献1が、光学デバイスを記載し、該光学デバイスは、2つの主要面及び縁を有する光波透過基体と、光を全反射によって基体内に結合するための光学手段と、基体によって支持された複数の部分反射面と、を含み、部分反射面は、互いに平行であって、基板の縁のいずれにも平行ではなく、1つ又は複数の部分反射面が異方性面である。
【0004】
特許文献2が、ディスプレイユニットのスクリーンからの光束が光学システムによって観察光学システムまで導かれる装置を記載している。サンプルの像が上に表示される表示画面が、観察光学システムの接眼レンズによって観察されてもよい。
【0005】
特許文献3が、物体を検査する方法及び検査システムを記載しており、該システムは、少なくとも1つの1次光ビームを被検査物体の領域に向かって誘導するように適合された少なくとも1つの照明経路結像レンズが後に続く少なくとも1つの1次光源と、少なくとも1つのコリメート構成要素及び少なくとも1つの2次光ビームをその領域に向かって誘導するように適合された少なくとも1つの集光構成要素が後に続く少なくとも1つの2次光源と、を含み、少なくとも1つの1次光ビーム及び少なくとも1つの2次光ビームがその領域を照明することにより、実質的に領域の結像される部分内のそれぞれの点が、実質的に均一な強度によって特徴付けられる大きい角度範囲にわたって照明され、集光経路が、イメージセンサと、ビームスプリッタ経路と、集光経路結像レンズと、を含み、ビームスプリッタは、領域と集光経路結像レンズとの間に配置され、少なくとも1つのコリメート構成要素が、少なくとも1つの1次光ビームがそれを通って伝播する中央開口を画定している。
【0006】
特許文献4が、少なくとも1つの観察ビーム経路を備える顕微鏡、特に外科用顕微鏡のための照明装置について記載しており、該照明装置は、照明システムと、照明システムから放出された光を観察されるべき物体、特に手術されるべき眼の上まで偏向させる偏向装置と、を備え、偏向装置は、少なくとも1つの観察ビーム経路に関して様々な照明角度の下で物体の照明を提供し、偏向装置は、物理的ビームスプリッタとして少なくとも部分的に提供された2つの偏向要素を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2013/0279017号明細書
【文献】米国特許第6,292,214号明細書
【文献】米国特許第8,514,385号明細書
【文献】米国特許出願公開第2004/0174591号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一般的な照明装置は、高度の放射強度及び放射照度が大きい対角寸法を有する照明視野にわたって必要とされるとき、特に対角寸法が、照明装置の視野と最近点との間の空間(一般に「作動距離」又は「自由作動距離」と呼ばれる)よりもはるかに大きいとき、光学視野の開口数及び角度範囲に関して制限を受ける。逆にいうと、高い開口数及び大きい光学視野に対しては、高度の放射強度及び放射照度を達成することは困難である。照明装置が結像システムの一部として用いられるとき、照明の経路内にビームスプリッタを挿入することがしばしば必要であり、その結果、結像アセンブリは光学視野の像を捕捉することがある。この制約は、照明装置の設計目標を満たす際の困難性を悪化させる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に記述される本発明の実施形態が、視野の照明及び結像のための改善された装置及び方法を提供する。
【0010】
本発明は、以下の図面と共に、その実施形態についての後続の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に従う、照明及び結像装置についての概略断面図である。
図2】本発明の一実施形態に従う、図1の光学装置についての詳細を示す概略断面図である。
図3】本発明の代替の一実施形態に従う、光学装置についての詳細を示す概略断面図である。
図4】本発明の一実施形態に従う、図1の装置に用いられる放射線源についての概略正面図である。
図5】本発明の一実施形態に従う、図1の装置に用いられるコリメートレンズアレイについての概略正面図である。
図6】本発明の一実施形態に従う、図1の装置に用いられるプリズムコンバイナについての概略断面図である。
図7】本発明の別の一実施形態に従う、光学装置についての概略断面図である。
図8】本発明の更に別の一実施形態に従う、光学装置についての概略断面図である。
図9】本発明の一実施形態に従う、図8の装置における空間光変調器からの放射線のエミッタンスの異なる空間分布についての概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(概要)
光学結像システムの用途、例えば、製造プロセス中のワークピースについての光学検査において、照明装置が用いられて光学放射線によってワークピース上の視野を照明する。(本説明及び特許請求の範囲において用いられるような用語「光学放射線」、「放射線」、及び「光」とは、一般に、可視、赤外、及び紫外放射線のうちのいずれか及び全てを指す。)ワークピースの照明を受けた視野は、結像光学系によって結像され、好適なセンサによって検出される。
【0013】
いくつかの用途では、正確な検査は、大きい対角寸法を有する視野が広範囲の照明角度にわたって照明されること、すなわち、照明が高い開口数(NA)を有することを必要とする。検査は、単位立体角当たりの放射束(放射強度)が開口数にわたって均一であること、及び単位面積当たりの放射束(放射照度)が視野にわたって均一であることの両方を更に必要とすることがある。
【0014】
光学放射測定では、放射強度I及び放射照度Eが、放射束Φに関して定義されている。放射束Φは、放射線視野内を流れるエネルギを表しており、共通に用いられる単位はワット(W)である。
放射強度Iは、式(1)で定義され、
I=dΦ/dΩ (1)
ここに、Ωは、立体角である。放射強度Iについての共通単位は、W/srであり、ここに、srは立体角に対する単位としてのステラジアンである。放射強度は、立体角内に放出された束、又は立体角内に受取られた束のいずれかを指してもよい。記号IEMIT及びIRCVが、以下の説明で用いられて、放出された放射強度及び受取られた放射強度をそれぞれ示す。
【0015】
受取られた束Φについての放射照度Eは、式(2)で定義され、
E=dΦ/dA (2)
ここに、Aは、束を受取る面積である。放射照度Eについての共通単位は、W/cmである。
【0016】
本説明において用いられる追加の放射分析用語、放出された束Φに対するエミッタンスMは、式(3)によって定義され、
M=dΦ/dA (3)
ここに、Aは、束を放出する面積である。
【0017】
一般的な照明装置は、高度の放射強度及び放射照度が大きい対角寸法を有する照明視野にわたって必要とされるとき、特に対角寸法が、照明装置の視野と最近点との間の空間(一般に「作動距離」又は「自由作動距離」と呼ばれる)よりもはるかに大きいとき、光学視野の開口数及び角度範囲に関して制限を受ける。逆にいうと、高い開口数及び大きい光学視野に対しては、高度の放射強度及び放射照度を達成することは困難である。照明装置が結像システムの一部として用いられるとき、照明の経路内にビームスプリッタを挿入することがしばしば必要であり、その結果、結像アセンブリは光学視野の像を捕捉することがある。この制約は、照明装置の設計目標を満たす際の困難性を悪化させる。
【0018】
本明細書に記載されている本発明の実施形態は、大きい開口数及び大きい光学視野にわたって高度の放射強度と放射照度の両方を達成する、ビームスプリッタ及び結像アセンブリと共に使用するための照明装置を提供することによって上記の問題に対処する。
【0019】
開示された実施形態では、照明アセンブリが延在放射線源を含み、これは、制御可能な空間分布を有する放射線を放出する。集光光学系は、0.3を超える開口数(NA)を有する放出された放射線を受取り、それを光軸に沿って2mmから20mmまでの対角寸法の視野上に集束させる。装置は、また、センサ及び対物光学系を備える結像アセンブリを含み、これらは、視野を第2光軸に沿ってセンサ上に結像させる。プリズムコンバイナは、視野と集光及び対物光学系との間に配置されており、光軸のうちの少なくとも1つをプリズムコンバイナ内部で多重回だけ反射させながら、光軸を結合する。
【0020】
大きいNA及び広い視野にもかかわらず、開示された照明アセンブリのテレセントリック構成は、それに付随する並進不変性によって視野の高度に均一な照明を保証する。例えば、以下に説明する照明アセンブリは、視野によって10%以下だけ変化する放射照度、及び視野内の全ての点で開口数によって20%以下だけ変化する受取り放射強度によって視野を照明し得る。ビームスプリッタ内部での多重反射が、これらの目的を満たしながら、大きいNAを可能にするのに有効である。更に、集光光学系及びプリズムコンバイナについての設計は、短い作動距離と広い照明視野との組み合わせを有する照明装置の構成を可能にする。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に従う光学装置10についての概略断面図である。装置10は、以下で説明するように、プリズムコンバイナ32と共に、照明アセンブリ20と、結像アセンブリ76と、を備え、該プリズムコンバイナは、照明アセンブリと結像アセンブリとの光軸同士を結合する。
【0022】
照明アセンブリ20は、延在放射線源22と、放射線源コントローラ23と、集光光学系21とを備えている。集光光学系21は、均質化ロッドアレイ29と、コリメートレンズアレイ27と、集束レンズ28と、補償レンズ30と、を備えている。コリメートレンズアレイ27は、個々のコリメートレンズ70を備え、更なる詳細が図2~3及び5に示されている。照明アセンブリ20は、プリズムコンバイナ32と共に、視野34を第1光軸35に沿って照明する。
【0023】
結像アセンブリ76は、対物光学系77と、センサ79と、を備え、対物光学系は、視野34をセンサ上に結像する。
【0024】
放射線源コントローラ23は、典型的には、プログラム可能なプロセッサを備え、該プロセッサは、本明細書に記載された機能を実行するようにソフトウェア及び/又はファームウェアにプログラムされている。その代替として又は追加として、放射線源コントローラ23は、ハードワイヤード及び/又はプログラム可能なハードウェア論理回路を備え、これらは、コントローラの機能のうちの少なくともいくつかを実行する。放射線源コントローラ23が、単純化のために、単一のモノリシック機能ブロックとして図に示されているけれども、実際は、コントローラは、単一のチップ、又は2つ以上のチップのセットを含んでもよく、これらのチップは、図に示され、文書に記述されている信号を出力するのに好適なインターフェースを備えている。以下の実施形態との関連で示され記述されたコントローラは、同様の構成のものである。
【0025】
プリズムコンバイナ32が、図1に概略的に示され、図6に更に詳細に示されている。プリズムコンバイナ32は、内部ビームスプリッタ層を有する、放射線に対して透過的である材料から製造された多面体を含み、該内部ビームスプリッタ層は、プリズムコンバイナに入射する放射線の一部を透過させ一部を反射させるように、部分的に透過させ部分的に反射させる。
【0026】
装置10の照明スキームは、2つの独立した部分、すなわち、延在放射線源22及び均質化ロッドアレイ29を含む非結像光学系と、コリメートレンズアレイ27、集束レンズ28、補償レンズ30及びプリズムコンバイナ32を含む結像光学系と、に分けられてもよい。非結像光学系の機能は、光源22によって放出された異なる波長の光を混合して、集光効率を向上させることである。非結像光学系の付加的な機能は、照明の角度一様性を改善することであり、それで、低周波不均一性を高周波不均一性に変換し、次いで微細拡散器の使用によって容易に平滑化されてもよい。結像光学系の一部が用いられて、非結像光学系部分から放出された均質化光を開口セグメント同士間の良好な分離によって視野34上に再集束させ、これは、それぞれの均質化ロッド29が対応するレンズ70にだけ光線を送ることを示す。均質化ロッド及びレンズについて、以下で更に詳細に説明する。
【0027】
均質化ロッドアレイ29は、均質化ロッド24を含み、該均質化ロッドは、典型的には、光源22によって放出された放射線に対して透過的である材料から作製された中実ロッド、及び/又は反射性の内壁を有する中空ロッドを含む。それぞれのロッドは、一方の端部に入射面25と、別の端部に出射面26と、を備えている。均質化ロッド24の断面は、典型的には矩形(例えば、正方形)、又は円形であるが、別の断面が代替として用いられてもよい。断面は、場合によっては、ロッドの軸に沿って変化してもよい。図示の実施形態では、例えば、それぞれの均質化ロッド24の出射面26の線形範囲は、2.5又は3倍だけ入射面25よりも大きい。それぞれの均質化ロッド24内を伝播する光のエテンデューが保存されるので、出射面26での光の放出角度は、同じく2.5又は3倍だけ低減される。(用語「エテンデュー」とは、光ビームの断面積と、弧に対する立体角との積を意味する。)それぞれの均質化ロッド24は、ロッド内部での多重反射によって入射面25及び出射面26に入る放射線の空間的均一性を増大させる。
【0028】
延在放射線源22(図4に更に詳細に示す)が、放射線源コントローラ23からの信号によって駆動されて、入射面25を通して均質化ロッド24中に放射線を放出する。放射線は、均質化ロッド24を通してそれらの出射面26まで透過させられ、そこから、放射線は、均一放出エミッタンスM(均質化ロッドの均質化効果による)を伴ってコリメートレンズアレイ27に向かって出る(図5に更に詳細に示す)。
【0029】
コリメートレンズアレイ27は、放射線を受取り、出射面26のそれぞれの点から出た光線を透過させて平行にする。例えば、点38から出る光線36は、コリメートレンズアレイ27のレンズ70のうちの1つによって光線40へと平行にされる。コリメートレンズアレイ27によって透過させられて平行にされた光線は、集束レンズ28によって受取られ、透過させられ、集束させられる。集束レンズ28によって集束させられた全ての光線は、補償レンズ30によって受取られ、補償レンズによって更にプリズムコンバイナ32を通して視野34まで投射される。例えば、平行光線40は、集束レンズ28によって光線42に集束させられ、そして視野34上の点43に集束する。
【0030】
コリメートレンズアレイ27は、照明アセンブリ20のためのストップを形成し、それぞれのコリメートレンズ70は、ストップの区画を含む。コリメートレンズアレイ27は、集束レンズ28と補償レンズ30との組み合わせの焦点面に位置しているので、視野34から見られるような像は、無限遠に位置している(集光光学系21の射出瞳が無限遠に有効であることを意味する)。無限遠の射出瞳を有するこの構成は、「テレセントリック構成」と呼ばれる。従って、集光光学系21は、視野34にテレセントリックな照明を提供し、視野から観察された全角度範囲は、視野にわたって並進不変である。
【0031】
視野34上での放射照度E(空間範囲)に関して、それぞれの均質化ロッド24の出射面26は、コリメートレンズアレイ27及び集束レンズ28によって視野内に結像され、その結果、出射面26の全ての像が視野内で重なる。補償レンズ30の機能は、照明アセンブリ20の光学収差を減少させることによって結像の品質を改善することである。例えば、補償レンズ30は、光学系の球面収差を補償するために用いられるメニスカス形状を有してもよい。それぞれの出射面26の放射エミッタンスMの均一性が、視野34上に均一な放射照度Eを生じさせる。
【0032】
図2に詳細に示されるように、視野34上の受取り放射強度IRCV(角度範囲)については、所与の出射面26からの放射線は、照明アセンブリ20の全開口数の一部を満たす。コリメートレンズアレイ27(図5に詳細に示される)は、隣接する出射面26からの放射線同士の間の隙間を伴わずに、照明アセンブリの開口数を満たし、それで、照明の開口数の範囲内で実質的に均一な受取り放射強度IRCVを生じさせる。更に、上述したような照明のテレセントリック性に起因して、視野34から観察されるような照明の全角度範囲は、視野にわたって並進不変である。例えば、以下に更に十分に説明するように、この特性は、照明アセンブリ20のマルチモーダル機能を実装する際に特に有用であり、明視野照明と暗視野照明の両方を提供する。
【0033】
発明者によるシミュレーションに基づくと、開示された実施形態は、2mmから20mmまでの対角寸法の視野にわたって0.3を超える開口数(NA)と、視野によって10%以下だけ変化する放射照度と、視野内の全ての点において開口数によって20%以下だけ変化する放射強度と、を用いた視野34の照明を可能にする。いくつかの実施形態では、これらの高いレベルの均一性及び広い視野角が、0.5を超える又は0.75を超えさえするNAによって達成される。
【0034】
代替の一実施形態(更に図3に詳細に示される)では、それぞれの出射面26は、視野レンズ406及び拡散体420を含むことにより、視野34における放射照度E及び受取り放射強度IRCVの均一性を更に制御する。
【0035】
図2は、本発明の一実施形態に従う、光学装置10内の部分的な光路の詳細303を示す概略断面図である。この図は、集光光学系21のテレセントリック設計の効果を示す。
【0036】
詳細303が、光学装置10の以下の部分、すなわち、均質化ロッド24、第3光軸301に沿って出射面26の反対側に配置されたコリメートレンズ70(コリメートレンズアレイ27からの)、第1光軸35に沿った集束レンズ28、及び視野34のうちの1つの出射面26を備えている。コリメートレンズ70と出射面26との間の距離は、fCOLLであり、ここに、fCOLLは、コリメートレンズの有効焦点距離である。
【0037】
図1に示すように、照明は、テレセントリックであり、その理由は、コリメートレンズ70が、集束レンズ28と補償レンズ30との組み合わせの焦点面内に位置しているからである。明瞭のために、補償レンズ30及びプリズムコンバイナ32は、詳細303から省略されている。
【0038】
出射面26の中心にある点300は、光線302a、302b、及び302cを放出し、ここに、中心光線302bは、第3光軸301と一致し、コリメートレンズ70と第2光軸との交点にある点320を通過する。(レンズ70及び28は、薄いレンズとして取り扱われる。)光線302a及び302cは、中心光線302bの周りに対称に位置している、点300からの光線の円錐の極光線である。(用語「光線の円錐」とは、点から放出されるか又は点に入射するいずれかの光線の群を表すために用いられる。光線の円錐の角度範囲は、その開口数によって示される。)コリメートレンズ70は、光線302a、302b、及び302cをそれぞれ光線304a、304b、及び304cに対して平行にし、これらは、次いで集束レンズ28によって光線306a、306b、及び306cに集束され、第1光軸35と視野の交点にある、視野34上の点308に集束する。
【0039】
出射面26の端にある点310は、光線312a、312b、及び312cを放出し、中心光線312bは、コリメートレンズ70上の点320を通過する。光線312a、312cは、中心光線312bの周りに対称に位置する、点310からの光線の円錐の極光線である。光線312a、312b、及び312cは、コリメートレンズ70によって光線314a、314b、及び314cに対してそれぞれ平行にされ、これらは、次いで集束レンズ28によって光線316a、316b、及び316cに集束されて、視野34上の点318に集束する。
【0040】
両方の光線304b、314bは、コリメートレンズ70上の点320を通過する。点320を含むコリメートレンズ70は、集束レンズ28の焦点面に位置しているので、集束レンズは、点320からの光線304b、314bを屈折させることにより、得られた屈折光線306bと316bとが互いに平行になる。光線の2つの円錐(一方は光線306a~306cを含み、別の方は光線316a~316cを含む)の中心光線306bと316bとの平行度、及び極光線が光路全体にわたってそれらの各中心光線の周りで対称であるという事実に起因して、2つの円錐は、2つの別個の視野点308及び318での視野34において第1光軸35の周りに同じ開口数にわたって延在する。従って、照明の開口数は、集光光学系21のテレセントリックな設計に起因して並進不変である。
【0041】
光線306a~306cを含む円錐内部の点308における受取り放射強度の角度均一性は、出射面26上の点300における放出放射強度IEMITの角度均一性によって決定される。同様に、光線316a~316cを含む円錐内部の点318における受取り放射強度の角度均一性は、点310における放出放射強度IEMITの角度均一性によって決定される。
【0042】
従って、視野34に衝突する放射線の円錐の開口数は、コリメートレンズアレイ27内のコリメータレンズ70の範囲及び横方向位置によって決定され、開口数は、視野34にわたって並進不変である。更に、開口数内の視野34上の受取り放射強度の均一性は、出射面26からの放出放射強度の均一性によって決定される。
【0043】
視野34内のそれぞれの点は、それぞれの均質化ロッド24の出射面26内の対応する点からの放射線を受取る。従って、例えば、点308は、それぞれの出射面26の中心点から放射線を受取り、点318は、それぞれの出射面上の縁点からの放射線を受取る。それで、視野34上の放射照度Eは、全ての均質化ロッド24の平均エミッタンスMであり、放射照度の高度の均一性に寄与する。
【0044】
図3は、本発明の代替実施形態に従う、平凸視野レンズ406の追加を示す別の部分的な光路についての詳細400を示す概略断面図である。この詳細は、詳細303(図2)の代わりに装置10において用いられてもよい。
【0045】
詳細400は、以下の部分、すなわち、延在放射線源22内部のエミッタ54のアレイ401(図4に詳細に示されるような)と、入射面25及び出射面26を有する均質化ロッド24と、第3光軸301に沿って出射面26の反対側のコリメートレンズ70と、第1光軸35に沿った集束レンズ28と、視野34と、を備えている。視野レンズ406は、出射面26と接触して又はそれに近接して位置し、平凸形状の平坦面は、視野レンズを出射面に接合するのに好適である。
【0046】
光線410は、群54から放出され、均質化ロッド24の側壁によって光線412内へと反射させられる。反射に起因して、仮想源402aは、グループ54の像として形成される。仮想源402aの位置は、点線414で示されるような光線412を面416まで延長することによって見出され、該面は、一般に均質化ロッド24の側壁による光線の折り曲げに基づく曲面である。均質化ロッド24によって群54から放出された光線の多重反射は、追加の仮想源402を生成することにより、仮想延在源404を一緒に形成する。中実均質化ロッド24については、源404の最大横方向範囲Wが、以下の式(4)に従って、ロッドの長さLと、出射面26の直線寸法と入射面25の直線寸法との比Mと、その材料の屈折率nと、によって与えられる。
【数1】
【0047】
隣接する仮想源402同士の間の間隔は、均質化ロッド24内での反射数の増加と共に減少する。有限の長さLに起因して、これらの間隔は、完全には消滅しない。
【0048】
視野レンズ406は、延在仮想源404を像408としてコリメートレンズ70上に結像させ、それでコリメートレンズを像で満たし、その結果、コリメートレンズから視野34に入射する照明の開口数を満たす。照明が照明装置(コリメートレンズ70)の開口ストップ内に結像されるので、照明は、ケーラー型のものである。
【0049】
拡散体420(典型的には、例えば5度の拡散角度を有する弱い拡散体)が、コリメートレンズ70により近い側に視野レンズ406に当接して置かれることにより、コリメートレンズから出る放射線の角度均一性を改善し、その結果として視野34内の放射照度Eの均一性を改善してもよい。
【0050】
図1~3に開示された実施形態の光学構成要素の典型的な材料及び寸法が、以下の表1に示されている。
【表1】
【0051】
図4は、本発明の実施形態に従う、照明アセンブリ20内で用いられる延在放射線源22の概略正面図である。延在放射線源22は、円形である中央セル52を除いて、先端が切れた扇形形状のセル50を含む。均質化ロッド24は、延在放射源22のそれぞれのセルに面する入射面25を有するちょうど1つの均質化ロッドが存在するように配置されている。
【0052】
延在放射線源22のそれぞれのセルは、そのセルに面する1つの均質化ロッド24に向かって放射線を放出するエミッタの群54を備えている。エミッタ54の群のうちの1つについての拡大挿入図56は、エミッタ54の群のそれぞれが、波長λで放射線を放出する3つのエミッタ58と、異なる波長λで放射線を放出する3つのエミッタ60と、を備えている態様の詳細を示している。エミッタ58及び60は、ソリッドステートエミッタ、例えば、OSRAM GmbH(Marcel-Breuer-Strasse 6,80807 Muenchen,GERMANY)からの赤色LED c41-A60等の発光ダイオード(LED)、及びCREE Inc.(4600 Silicon Drive,Durham,North Carolina 27703,USA)からの青色LED EZ1350を含む。その代替として、エミッタ58及び60は、重複しているスペクトル範囲にわたる放射線を放出してもよい。更なる代替として、エミッタ58及び60は、可視スペクトルにわたって延在する広帯域放射線を放出する、いわゆる白色LED、例えば、CREE Incから入手可能なものを備えてもよい。その代替として、エミッタ58及び60は、電磁スペクトルの赤外(IR)又は紫外(UV)部分内の放射線を放出してもよい。エミッタ58及び60は、好ましくは、互いに近接して置かれたLEDダイを備える。エミッタ58と60とを近接して配置することの目的は、ロッド24内に射出される高い光学パワー及び照明の改善された均一性の両方を達成することである。それぞれの群54内のエミッタ58及び60のそれぞれは、放射線源コントローラ23によって独立して活性化されてもよい。照明アセンブリ20は、従って、例えば、暗視野照明又は右側若しくは左側だけ等の開口数の部分だけを照明するだけでなく、異なる波長λ、λでの独立又は同時の照明を可能にすることによって、照明のスペクトル成分を制御してもよい。
【0053】
代替の一実施形態では、エミッタのそれぞれの群54は、例えば、異なる波長で放出する3、4、5、又は6個のエミッタを備えていてもよい。これらのエミッタを独立して活性化することによって、照明のスペクトル成分は、利用可能な波長の任意の組み合わせを含むように制御されてもよい。
【0054】
図5は、本発明の一実施形態に従う、照明アセンブリ20内のコリメートレンズアレイ27についての概略正面図である。コリメートレンズアレイ27は、延在放射線源22と同様に、円形である中心レンズ72を除いて、先端が切れた扇形形状のレンズ70を備えている。その代替として、レンズ70及び72の別の形状が、用いられてもよい。コリメートレンズアレイ27は、アレイのそれぞれのレンズが均質化ロッド24の正確に1つの出射面26から放出された放射線を受け取るように設計されている。コリメートレンズアレイ27のそれぞれのレンズは、一緒に突き合わされたレンズを有するフレネルレンズから構成されている、すなわち、それぞれのフレネルレンズセグメント70から誘導された部分的な開口数の間に実質的に隙間が形成されないので、視野34上の照明の均一な受取り放射線強度IRCVを向上させる。特に、開示された実施形態のビーム結合設計は、全照明開口数の軸方向部分とその周囲又は周辺部分とを併合して、均一で実質的に隙間のない照明を達成することを可能にする。代替実施形態では、上記の球面若しくは非球面又はその任意の組み合わせを有するレンズ等のフレネルレンズ以外のレンズが用いられてもよい。
【0055】
図6は、本発明の一実施形態に従う、結像アセンブリ76と共に、図1のプリズムコンバイナ32についての概略断面図である。プリズムコンバイナ32は、上側プリズム80と、下側プリズム82とを備え、これらはビームスプリッタ層84によって結合されている。プリズムコンバイナ32は、第1面90と、第2面94と、第3面102と、を更に備えている。結像アセンブリ76の対物光学系77は、視野34を第2光軸78に沿って、例えば0.1から0.3までの間の光学開口数を有するセンサ79上に結像する。第1及び第2光軸35及び78は、それぞれ、ビームスプリッタ層84と視野34との間の空間内で折り重なっている。
【0056】
照明アセンブリ20から第1面90に到達する極光線86及び88は、延在放射線源22の両側の2つの最外セル50から発生する。照明アセンブリ20から第1面90に到達する中心光線92は、延在放射線源22の中央セル52内で発生する。光線86、88及び92の全ては、部分的に透過させられ、プリズムコンバイナ32内側のビームスプリッタ層84によって部分的に反射させられるが、透過させられた光線のみが示されている。開示された実施形態では、光線86、88、及び92は、プリズムコンバイナ32から第2面94を通って出射し、光線86及び88は、±55度を超える入射角で視野34に入射し、光線92は、法線方向の角度(0度)で視野に入射する。
【0057】
照明は、視野上の特徴に依存する角度の分布における光線96として視野34から散乱させられる(典型的には、反射及び/又は回折させられる)。図示された例では、結像アセンブリ76の対物光学系の開口数内にあるそれらの光線96のみが示されている。光線96は、第2面94を通ってプリズムコンバイナ32に入り、ビームスプリッタ層84によって部分的に反射させられ、部分的に透過させられるが、反射光線98だけが示されている。反射光線98は、第2面94に当たり、そこで、それらは全反射(TIR)によって光線100へと反射させられる。全体として、第2光軸78は、プリズムコンバイナ32内部で2回だけ反射する。光線100は、第3面102を通ってプリズムコンバイナ32を出て、結像アセンブリ76によって受取られ、次いで、センサ79上に視野34に結像する。
【0058】
光線86及び88が対物光学系77の開口数を超える開口数で視野34に当たると、それらは、暗視野照明を生成し、ところが、より小さい入射角で視野に当たる光線92は、明視野照明を生成する。放射線源コントローラ23は、延在放射源22のエミッタの異なる群54を活性化させることによって、照明の開口数を制御してもよく、暗視野若しくは明視野照明のいずれか、又はその両方を選択してもよい。それの追加として又は代替として、放射線源コントローラ23は、特定の方位角又は方位角の範囲を選択することにより、対応する単数又は複数の扇形内のエミッタのみを活性化させることによって照明してもよい。
【0059】
(第2実施形態)
図7は、本発明の別の一実施形態に従う、光学装置120についての概略断面図である。
【0060】
光学装置120は、照明アセンブリ122と、結像アセンブリ124と、プリズムコンバイナ134と、を備えている。照明アセンブリ122は、延在放射線源126と、放射線源コントローラ128と、集光光学系129と、を備え、これらは、コリメートレンズアレイ130と、集束レンズ132と、を含む。照明アセンブリ122は、プリズムコンバイナ134を通して、視野136を第1光軸138に沿って照明する。プリズムコンバイナ134から有限の分離(典型的には1mm)を有する視野136は、(表面152によって反射させられ、)上記で示したような結像アセンブリ76と設計が類似している結像アセンブリ124によって、プリズムコンバイナを通して第2光軸140に沿って結像される。
【0061】
延在放射線源126は、アレイ状に配列されて放射線源コントローラ128に結合されたソリッドステートエミッタ142を備えており、それぞれのソリッドステートエミッタは、コントローラによって独立して活性化される。それぞれのエミッタ142は、単一の波長又は波長範囲で放射し、これは、典型的には全てのエミッタについて同じである。代替の一実施形態では、均一な角度範囲を有する波長同士又はそれらの組み合わせ同士の間で切り替え可能な多重波長照明が、それぞれのソリッドステートエミッタ142を、前述の実施形態におけるような、多重の、独立して活性化されるソリッドステートエミッタを光学的に結合するエミッタアセンブリで置換することによって実装されてもよい。
【0062】
コリメートレンズアレイ130は、フレネルレンズ144のアレイを備え、それぞれのレンズは、正確に1つのソリッドステートエミッタ142の反対側に配置され、レンズは、(図5のコリメートレンズアレイ27内のレンズと同様に)一緒に突き合わされている。集束レンズ132は、単一のフレネルレンズを備えている。代替の実施形態では、球面若しくは非球面を有するレンズ、又はそのいずれかの組み合わせ等のフレネルレンズ以外のレンズを用いてもよい。
【0063】
プリズムコンバイナ134は、ロッドであって、それに沿って一定の矩形断面(用語「矩形」は、正方形の形状を含む)を有するロッドと、集光光学系129に面してそれに近接した第1面146と、視野136に面してそれに近接した第2面148と、結像アセンブリ124に面する第3面150と、を備えている。プリズムコンバイナ134は、第1面146を介して受取られた放射線の空間分布のための均質化ロッドとして機能し、その長軸に対して45°の角度でビームスプリッタ被覆152を備えている。集光光学系129は、以下に詳述するように、延在放射線源126によって放出された放射線を第1面146上に集束させる。その一定の断面のために、プリズムコンバイナ134は、(それぞれの反射における符号の変化と共に)放射線の角度方向を保存する。
【0064】
ソリッドステートエミッタ142のそれぞれによって放出された放射線が、特定のエミッタに面するコリメートレンズアレイ130の1つのフレネルレンズ144によって、受取られ、透過させられ、そして平行にされる。例えば、ソリッドステートエミッタ142a上の点154から放出された放射線は、光線156として、フレネルレンズ144aによって透過させられ、平行にされることにより、光線158を形成する。集束レンズ132は、これらの光線を受取って、それらを光線160として第1面146上の点162に集束させ、それで、ソリッドステートエミッタ142aを照明アセンブリ122からの放射線のための入射面である第1面上に結像させる。図7に示す実施形態では、点154は、ソリッドステートエミッタ142aの縁に位置するように選ばれ、フレネルレンズ144と集束レンズ132との焦点距離の比は、点154の像である点162が第1面146の縁に位置するように選ばれる。ソリッドステートエミッタ142a上の残りの点は、また、点162と第1面の反対側の縁にある点168との間の第1面146上に結像され(対応する光線は示されていない)、その結果、ソリッドステートエミッタの像が、第1面を正確に満たす。同様に、全ての別のソリッドステートエミッタ142の像は、第1面146を満たし、それで、第1面上の全てのエミッタからの放射線を平均化する。フレネルレンズ144と集束レンズ132との焦点距離の異なる比を選ぶことにより、それぞれのソリッドステートエミッタの像が第1面146をいっぱいに満たすようにさせられてもよい。
【0065】
視野136上での照明の角度挙動についての解析は、2つの部分に分割され、第1が、第1面146上での照明の角度挙動を解析し、第2が、角度挙動を視野136に転送する。
【0066】
第1面146上での照明の角度挙動は、図2及び光学装置120と光学装置10との間の類似性を利用して解析される、すなわち、コリメートレンズアレイ130及び集束レンズ132は、コリメートレンズアレイ27及び集束レンズ28と比較されてもよい。ソリッドステートエミッタ142は、出射面26に類似し、第1面146は、視野34に類似している。更に、光学装置10におけるテレセントリック配列と同様に、コリメートレンズアレイ130は、ソリッドステートエミッタ142がその焦点面に位置するように位置し、集束レンズ132は、コリメートレンズアレイ130がその焦点面に位置するように位置している。
【0067】
従って、光学装置10と同様に、コリメートレンズアレイ130のレンズ144は、照明アセンブリ122のストップを規定し、それぞれのレンズ144から第1面146上に到達する照明の円錐の開口数を決定する。装置10のように、集光光学系129は、テレセントリックであり、照明の開口数は、第1面146上で並進不変である。特に、示している例では、第1面146上の光線160の円錐の開口数は、レンズ144aによって決定される。
【0068】
第1面146から視野136への角度挙動の転送は、ここで、第1面を通してプリズムコンバイナ134に入る光線160を用いて解析されてもよい。光線160は、プリズムコンバイナ134内の第1光軸138の周りで多重反射を経験するけれども、それらは、(それぞれの反射における符号の変化と共に)プリズムコンバイナの矩形断面に起因して、第1光軸に対するそれらの角度を維持する。(概略図の明瞭のために、プリズムコンバイナ134に入る際の光線160の屈折が無視され、反射の数は2に制限されている。)図2と同様に、ソリッドステートエミッタ142aの全ての点からの光線は、第1面146において同じ開口数を満たす。全てのこれらの光線が、プリズムコンバイナ134によって視野136まで転送され、プリズムコンバイナが、それらの空間分布を均質化するけれども、それらの角度分布を保存するので、視野は、光線160と同じ開口数によってその横方向範囲にわたって照明される。
【0069】
光学装置10と同様に、コリメートレンズアレイ130のフレネルレンズ144を一緒に突き合わせることによって、全ソリッドステートエミッタ142が活性化されたときに、視野136の照明の開口数全体のシームレスな充填が達成されてもよい。
【0070】
逆に、いくつかのソリッドステートエミッタ142だけが活性化されるとき、視野136の指向性照明が達成される。例えば、ソリッドステートエミッタ142aが活性化されるならば、全ての放射線は、大きい角度で視野136に入る。この角度が結像アセンブリ124の開口数を越えるとき、照明は、暗視野照明を含む。同様に、第1光軸138上に位置するソリッドステートエミッタ142bを活性化することにより、明視野照明を生成する。第1光軸138に対して非対称であるソリッドステートエミッタ142の群を活性化させることは、プリズムコンバイナ134内での前後の反射に起因して、視野136上に2倍の角度対称性を有する照明を生成する。
【0071】
第1面146からプリズムコンバイナ134によって透過させられた放射線が、第2面148から出るときに空間的に均質に及び角度的に均一に分布することに起因して、第2面148と視野136との間の距離が、視野136上での所望の放射照度と光機械的構成に基づいて選ばれてもよい。この距離は、例えば、0.5mmから2mmまでの間にあってもよい。
【0072】
本発明者らのシミュレーションに基づくと、本実施形態は、2mmから20mmまでの対角寸法にわたって0.3を超える開口数による、視野によって10%以下だけ変化する放射照度による、及び視野内の全ての点で開口数によって20%以下だけ変化する放射強度による、視野136の照明を可能にする。
【0073】
視野136によって反射及び回折させられた放射線は、第2面148を通ってプリズムコンバイナ134内へと戻り、ビームスプリッタ被覆152まで伝播し、そして、被覆によって部分的に反射させられ、部分的に透過させられる。反射させられた放射線は、第3面150を通って出て、結像アセンブリ124によって受取られ、次いで、視野136をそのセンサ上に結像させる。第1及び第2光軸138及び140は、それぞれ、ビームスプリッタ被覆152と視野136との間の空間内で重なり合う。
【0074】
(第3実施形態)
図8は、本発明の更に別の一実施形態に従う、光学装置200についての概略断面図である。
【0075】
光学装置200は、照明アセンブリ202と、結像アセンブリ204と、プリズムコンバイナ206と、を備えている。照明アセンブリ202は、延在放射源208と、空間光変調器210と、コリメートレンズ212と、を備えている。コリメートレンズ212は、照明アセンブリ202の集光光学系として機能し、そして、照明アセンブリ202のストップである空間光変調器210がその焦点面と一致するようにテレセントリック位置にある。コリメートレンズ212は、図示された実施形態では、フレネルレンズを備えている。その代替として、それは、球面若しくは非球面のいずれかを有する従来の高NAレンズ、又はフレネル型、球面、及び非球面のいずれかの組み合わせを有するレンズを含んでもよい。レンズ212の焦点距離及び直径は、要求される照明NA及び所望の照明視野サイズに従って選択される。放射線源コントローラ214は、延在放射線源208及び空間光変調器210に結合されている。
【0076】
照明アセンブリ202は、以下に詳述するように、プリズムコンバイナ206を通して、視野216を多重の第1光軸218cに沿って照明する。結像アセンブリ204は、センサと、対物光学系(上記のような)と、を含み、該対物光学系は、視野216を第2光軸220に沿ってセンサ上に結像させる。
【0077】
プリズムコンバイナ206は、互いに対して平行である、第1面222と、第2面224と、を備えている。プリズムコンバイナ206は、内部ミラー226と、多重の内部ビームスプリッタ層228と、を更に備え、ミラーとビームスプリッタ層の両方は、互いに平行であり、面222及び224に対して傾斜している。
【0078】
延在放射線源208は、第1光軸218に沿って空間光変調器210に向かって放射線を放出し、該放射線は、延在放射線源208と視野216との間の光路の異なる部分内で反射によって218a、218b、及び218cとラベル付けされた部分に分割される。放射線源208は、マルチメディアプロジェクタ光エンジンと同様に構成されてもよい。その光源は、例えば、単一の白色光又は単色LED、赤色、緑色、青色又は赤外LED等の多重着色型LED、1つ又は複数のレーザ、あるいはレーザ励起型蛍光体を含んでもよい。プリズムコンバイナ206の多重ビームスプリッタ層228が、照明された視野を複製するので、放射線源208のエテンデューは、ビームスプリッタ層228のうちの1つによって照明された視野にわたって必要とされる均一な照明NAを提供するのに十分に高いことのみが要求される。プリズムコンバイナ206によるエテンデューの増大は、以下でより詳細に説明するように、照明の放射強度についての対応する損失を伴う。空間光変調器210は、コントローラ214から受取られた信号に基づいて、それがコリメートレンズ212に向かって透過させて投射する放射線の空間分布を制御する(例を図9に示す)。空間光変調器210は、例えば、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、透過型液晶(LC)デバイス、又はシリコン上反射型液晶(LCOS)デバイスであってもよい。その代替として、SLMは、延在光源208と一体化されていてもよく、そしてセグメント型LED源、又は有機発光ダイオード(OLED)アレイを含んでもよい。
【0079】
テレセントリック設計に起因して、コリメートレンズ212は、空間光変調器210上の任意の所与の点から発生する放射線を平行にし、それで、平行にされた光線束を形成し、該光線束の第1光軸218aに対する角度が、所与の点の第1光軸からの距離と、コリメートレンズ212aの焦点距離と、によって決定される。
【0080】
第1光軸218aは、第1面222を通ってプリズムコンバイナ206に入り、そしてミラー226に当たる。ミラー226は、第1光軸218aを反射させられる第1光軸218bへと反射させ、続いて、それは、ビームスプリッタ層228に到達する前に、第1面222と第2面224との間で多重回だけ反射させられる。第1面と第2面との間での反射の数は、プリズムコンバイナ206の厚さ及びミラー226の傾斜角度によって決定される。ミラー226の傾斜角度が十分であることにより、放射線が、続いて全反射によって第1面222及び第2面224から反射するとき、そして、プリズムコンバイナ206が十分に薄いとき、ビームスプリッタは、導波路として作用する。開示された実施形態では、プリズムコンバイナ206は、典型的には、長さ50mm~200mm、幅20mm~50mm、及び厚さ2mm~10mmである。内面反射の数は、典型的には10未満であるけれども、より多くてもよい。面222及び224の平行度に起因して、プリズムコンバイナ206内を伝播する放射線の光線角度が保存され、視野216に当たる照明は、テレセントリックである。照明がテレセントリックであるので、空間光変調器210上のそれぞれの空間位置は、視野216上に投射された放射線の角度方向に変換され、そして、空間光変調器を制御することによって、放射線の角度範囲が選ばれてもよい。
【0081】
それぞれのビームスプリッタ層228において、第1光軸218bが、部分的に透過させられて、反射させられる光軸218cのうちの1つへと部分的に反射させられる。光軸218cの全ては、第2面224を通って出て、視野216に当たり、それで視野を照明する。連続するビームスプリッタ層228の反射率は、ビームスプリッタ206の長さに沿って増加する反射率と共に段階的に変化することにより、それぞれの層228からの反射束が、別の層に対する所定の限界、例えば10%を超えて変化することがない。この目盛り付けは、例えば、薄膜干渉被覆を利用することによって、離散波長について達成されてもよく、それぞれの連続したビームスプリッタ被覆は、反射率と透過率との間に必要な比率を有するように設計される。好適な薄膜被覆は、例えば、REO Inc.(5505 Airport Blvd,Boulder CO 8030,USA)及びIDEX Corporation(200 Dorado Place SE,Albuquerque NM 87123,USA)から入手可能である。同様に、機能光学被覆は、開示された実施形態について意図されたものよりも、より広い波長範囲及びより厳しい均一性要件を有するにもかかわらず、Lumus(8 Pinchas Sapir Street、Ness Ziona、ISRAEL 7403631)によって製造された延在現実光学エンジンにおいて実現される。
【0082】
その代替として、目盛り付けは、種々の直径の金属ドットを含むハーフトーン型(水玉模様型とも呼ばれる)被覆によって達成されてもよい。誘電体被覆上の水玉模様被覆の利点は、それが入射波長及び入射角に反応しないことである。その欠点は、多重透過に起因する効率の低下である。反射率と透過率との間の比は、グリッドの透過部分に対して不透明反射ドットのサイズを変えることによって容易に制御されてもよい。好適な水玉模様ビーム分割被覆は、例えば、Thorlabs Inc.(56 Sparta Avenue,Newton,New Jersey 07860,USA)、Edmund Optics Inc.(101 East Gloucester Pike,Barrington,NJ 08007-1380 USA)、Sigma Koki Co.Ltd.(1-19-9,Midori,Sumida-ku,Tokyo,130-0021,JAPAN)、及びShimadzu Corporation(1 Nishinokyo Kuwabara-cho,Nakagyo-ku,Kyoto 604-8511,Japan)から入手可能である。
【0083】
ビームスプリッタ層228は、典型的には、視野216の平面から2mmから20mmまでの範囲内の距離に位置している。従って、ビームスプリッタ層228の0.15mmから0.3mmまでの間のドットピッチは、水玉模様被覆の離散的性質によって生じさせられたいずれかの潜在的な空間的又は角度的な不均一性を平均化するのに十分に小さい。
【0084】
視野216上の照明は、無限焦点であり、SLM210の像は、無限遠に投射されるので、被覆228の一番端同士の間の弧状のプリズムコンバイナ206の部分は、照明視野に対する追加的な限界開口を構成する。この限界開口は、放射線がそれを通して視野まで誘導される第2面224の有効開口230として概略的に表される。SLM210の投射された像に由来する照明光は、視野216の境界の外側の有効開口230によってぼかされる。
【0085】
開示された実施形態は、高い開口数を有する視野216の照明を可能にし、プリズムコンバイナ206内の光の伝播がTIRに依存するという事実のみによって制限される。屈折率n<2を有するガラスから構成されたプリズムコンバイナ206については、視野216に当たる照明のNAは、0.35に制限される。
【0086】
開示された実施形態は、視野216にわたって、視野によって10%以下だけ変化する放射照度と、視野内のすべての点において開口数によって10%以下だけ変化する放射強度と、を更に提供する。
【0087】
放射線照明視野216は、プリズムコンバイナ206に向かって戻るように散乱させられ(反射及び回折させられ)、ビームスプリッタによって第2光軸220に沿って結像アセンブリ204内へと透過させられ、該結像アセンブリは、次いで視野216をそのセンサ上に結像させる。
【0088】
開示された実施形態は、その制限された照明NAにも関わらず、明確な性能上の利点を有する。例えば、照明視野216の所与の対角線寸法に対して、それは、比較的大きい明瞭な照明スタンドオフと、短い作動距離(プリズムコンバイナ206と視野216との間の距離を指す)との有利な組み合わせを可能にする。特徴についてのこの組み合わせは、例えば、平坦でないか又は反りのある電子基体上に印刷又は堆積された微細パターンについての高速度検査において重要である。
【0089】
それに加えて、上述のように、照明された視野を複製することは、照明アセンブリ202のエテンデューに対する要件を低減する。これは、照明アセンブリ202のより低い電力要件だけでなく、アセンブリのより小さいサイズ及びより低いコストへと変換する。
【0090】
図9は、本発明の実施形態に従う、図8の空間光変調器210からの放射線のエミッタンスの異なる空間分布についての概略図である。
【0091】
空間光変調器210から出る放射線の6つの異なる空間分布250、252、254、256、258、及び260が、図9に例として示されている。それぞれの分布は、分布254内の中央領域262等の中心領域と、分布254内の環状部264等の中央領域の周りの環状部と、を備えている。白色領域は、エミッタンスMの高いレベル、例えば90%を示し、100%は、エミッタンスの最大可能レベルを指し、0%は、ゼロエミッタンスを指す。ライトハッチングは、エミッタンスの中間レベル、例えば50%を示し、ダークハッチングは、エミッタンスの低いレベル、例えば10%以下を示す。空間光変調器210の横方向寸法とコリメートレンズ212の焦点距離との適切な組み合わせによって、中央領域262と環状部264との間の境界は、結像アセンブリ204の対物光学系の開口数に対応するように選ばれてもよい。この実施形態では、中央領域262は、明視野照明に対応し、環状部264は、暗視野照明に対応する。分布250…260は、空間光変調器210からのエミッタンスの空間分布についての異なる選択を示しており、これらは、視野216において完全明視野照明及び暗視野照明の異なる角度分布を与える。
【0092】
上記の実施形態のそれぞれは、特定の明確な特徴を有しているけれども、これらの特徴の別の組み合わせが、本明細書の読後において当業者に明らかになると想定され、それらは、本発明の範囲内にあると考えられる。非限定的な例として、上記の第3実施形態のSLMベースの放射線源は、第1実施形態又は第2実施形態の光学系と共に用いられてもよく、第1及び第2実施形態におけるエミッタのアレイは、第3実施形態の光学系と共に用いられてもよい。すべてのかかる代替実施形態は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0093】
従って、上記の実施形態は、例として挙げられており、本発明は、上記に特に図示され説明されてきたものに限定されるものではないことを理解されたい。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせ及びその部分的組み合わせの両方を含み、それだけでなく、前述の説明の読後において当業者に生じると想定され、そして従来技術において開示されていないそれらについての変形及び修正を含む。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9