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特許7520115基板にターゲット材料をスパッタ堆積する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】基板にターゲット材料をスパッタ堆積する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/40 20060101AFI20240712BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20240712BHJP
   C23C 14/35 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
C23C14/40
C23C14/34 V
C23C14/35 E
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022528167
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(86)【国際出願番号】 GB2020052837
(87)【国際公開番号】W WO2021094720
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】1916619.8
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】マイケル エドワード レンダル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート イアン ジョセフ グルアー
【審査官】宮崎 園子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-068773(JP,A)
【文献】国際公開第2011/131921(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/40
C23C 14/34
C23C 14/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板にターゲット材料をスパッタ堆積する装置であって、
使用中に基板が供給される基板部と、
基板部から距離を空け、使用中にターゲット材料が供給されるターゲット部であって、ターゲット部と基板部がそれらの間に堆積領域を画定するターゲット部と、
少なくとも一つのアンテナを備え、使用中に該アンテナを通して交流電流が送られると、プラズマを発生させるアンテナ配列と、
アンテナ配列と堆積領域の間に配置され、使用中にアンテナ配列から堆積領域に向かってプラズマを閉じ込め、それによって使用中に基板にターゲット材料のスパッタ堆積をもたらすように配置される少なくとも一つの第一の素子と、
少なくとも一つの第二の素子であって、アンテナ配列が該少なくとも一つの第二の素子と堆積領域の間に存在するように配置され、使用中に該第二の素子から離れてアンテナ配列に向かい、それによって少なくとも一つの第一の素子を経由して堆積領域に向かってプラズマを閉じ込めるように配置される少なくとも一つの第二の素子と、を備える閉じ込め配列と、
を備え、
前記少なくとも一つの第二の素子が、静電素子であって、少なくとも第一の素子と第二の素子の中間の体積で、該静電素子からアンテナ配列に向かい、それによって第一の素子を経由して堆積領域に向かってプラズマの少なくとも一部を遠ざける電場の供給を制御可能な静電素子である、基板にターゲット材料をスパッタ堆積する装置。
【請求項2】
少なくとも一つの前記第一の素子が、アンテナ配列から堆積領域に向かってプラズマを閉じ込める第一の閉じ込め磁場を供給するように配置される第一の磁性素子である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第一の磁性素子が、第一の閉じ込め磁場の供給を制御可能な電磁石である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
装置が、第一の磁性素子により供給される第一の閉じ込め磁場を制御するように配置されるコントローラーを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
第一の磁性素子が、開口部を有するソレノイドであって、該開口部を通して使用中にプラズマを閉じ込める、請求項2から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
少なくとも一つのアンテナが細長く、少なくとも一つのアンテナが細長い方向に実質的に平行な方向にソレノイドの開口部が細長い、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
アンテナ配列が二つのアンテナを備え、ソレノイドの開口部が二つのアンテナの間で画定される領域に開口するようにソレノイドが配置される、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
静電素子が使用中に正に帯電され、それによって正に帯電したプラズマのイオンを反発するように配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
装置が、静電素子により供給される電場を制御するように配置されるコントローラーを備える、請求項1又はに記載の装置。
【請求項10】
閉じ込め配列は、少なくとも二つの前記第一の素子を備え、該少なくとも二つの第一の素子は、堆積領域が一番目の第一の素子と二番目の第一の素子の間に存在し、それによって堆積領域を通してプラズマを閉じ込めるように配置される、請求項1からのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
閉じ込め配列は、第三の素子を備え、該第三の素子は、堆積領域が第二の素子と当該第三の素子の間に存在するように配置され、
第三の素子が、第三の素子から離れて堆積領域に向かってプラズマを閉じ込めるように配置される、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
請求項10に従属するときに、第三の素子が、第三の素子から離れて一番目の第一の素子及び二番目の第一の素子のうちの一つを経由して堆積領域に向かってプラズマを閉じ込めるように、一番目の第一の素子、二番目の第一の素子及び堆積領域が第三の素子と第二の素子の間に存在するよう第三の素子が配置される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
ターゲット部が、使用中にターゲット材料への負電荷の供給を制御可能であり、それによって正に帯電したプラズマのイオンを引き寄せる、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
装置が、使用中に基板部で基板のウェブを供給するように配置されるウェブ供給アセンブリを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
基板にターゲット材料をスパッタ堆積する方法であって、堆積領域が基板とターゲット材料の間に画定され、
少なくとも一つのアンテナを備えるアンテナ配列を使用してプラズマを発生させることと、
アンテナ配列と堆積領域の間に配置される少なくとも一つの第一の素子を使用して、アンテナ配列から堆積領域に向かってプラズマを閉じ込め、それによって基板にターゲット材料をスパッタ堆積させることと、
静電素子である少なくとも一つの第二の素子であって、アンテナ配列が該少なくとも一つの第二の素子と堆積領域の間に存在するように配置され、少なくとも第一の素子と第二の素子の中間の体積で、該静電素子からアンテナ配列に向かい、それによって第一の素子を経由して堆積領域に向かってプラズマの少なくとも一部を遠ざける電場の供給を制御可能な静電素子である少なくとも一つの第二の素子を使用して、第二の素子から離れてアンテナ配列に向かい、それによって第一の素子を経由して堆積領域に向かってプラズマを閉じ込めることと、
を含む、基板にターゲット材料をスパッタ堆積する方法。
【請求項16】
基板にターゲット材料をスパッタ堆積する装置であって、
堆積領域と、
少なくとも一つのアンテナを備え、使用中に該アンテナを通して交流電流が送られると、プラズマを発生させるアンテナ配列と、
アンテナ配列と堆積領域の間に配置され、使用中にアンテナ配列から堆積領域に向かってプラズマを閉じ込め、それによって使用中に堆積領域にプラズマを供給するように配置される少なくとも一つの第一の素子と、
少なくとも一つの第二の素子であって、アンテナ配列が該少なくとも一つの第二の素子と堆積領域の間に存在するように配置され、使用中に第二の素子から離れてアンテナ配列に向かい、それによって少なくとも一つの第一の素子を経由して堆積領域に向かってプラズマを閉じ込めるように配置される少なくとも一つの第二の素子と、を備える閉じ込め配列と、
を備え、
前記少なくとも一つの第二の素子が、静電素子であって、少なくとも第一の素子と第二の素子の中間の体積で、該静電素子からアンテナ配列に向かい、それによって第一の素子を経由して堆積領域に向かってプラズマの少なくとも一部を遠ざける電場の供給を制御可能な静電素子である、基板にターゲット材料をスパッタ堆積する装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は堆積に関するものであり、より具体的には基板にターゲット材料をスパッタ堆積する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
堆積は、基板上にターゲット材料が堆積されるプロセスである。堆積の例は、薄い層(通常おおよそナノメートル又はナノメートルの数分の1から数マイクロメートル又は数十マイクロメートルまで)をシリコンウエハーやウェブなどの基板上に堆積する薄膜堆積である。薄膜堆積技術の例としては、凝縮相のターゲット材料を蒸発させて蒸気を生成させ、次に蒸気を基板表面上に凝縮させる物理気相成長(PVD)がある。PVDの例としては、イオンなどのエネルギー粒子による衝撃を受けて粒子がターゲットから放出されるスパッタ堆積である。スパッタ堆積の例では、アルゴンなどの不活性ガスといったスパッタガスを、低圧で真空チャンバーに導入し、プラズマを生成させるエネルギー電子を使用してスパッタガスをイオン化させる。プラズマイオンによるターゲットへの衝撃により、ターゲット材料を放出させ、該ターゲット材料は、その後基板表面上に堆積し得る。スパッタ堆積は、ターゲット材料を加熱せずに堆積させることができ、結果として、基板への熱によるダメージを低減、防止できる点で、蒸着などの他の薄膜堆積方法より有利である。
【0003】
よく知られたスパッタ堆積技術として、グロー放電とターゲットに近い円形領域でプラズマ密度を増加させる磁界を組み合わせたマグネトロンが使用される。プラズマ密度を増加させることで堆積速度を向上させることができる。しかし、マグネトロンを使用すると、円形の「レーストラック」形状のターゲット浸食プロファイルが生じ、ターゲットの利用が制限されて、得られる堆積の均一性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
工業的用途において改善された有用性を可能とする均一及び/又は効率的なスパッタ堆積を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第一の態様によると、基板にターゲット材料をスパッタ堆積する装置が提供され、該装置は、
使用中に基板が供給される基板部と、
基板部から距離を空け、使用中にターゲット材料が供給されるターゲット部であって、ターゲット部と基板部がそれらの間に堆積領域を画定するターゲット部と、
少なくとも一つのアンテナを備え、使用中に該アンテナを通して交流電流が送られると、プラズマを発生させるアンテナ配列と、
アンテナ配列と堆積領域の間に配置され、使用中にアンテナ配列から堆積領域に向かってプラズマを閉じ込め、それによって使用中に基板にターゲット材料のスパッタ堆積をもたらすように配置される少なくとも一つの第一の素子と、
少なくとも一つの第二の素子であって、アンテナ配列が該少なくとも一つの第二の素子と堆積領域の間に存在するように配置され、使用中に第二の素子から離れてアンテナ配列に向かい、それによって少なくとも一つの第一の素子を経由して堆積領域に向かってプラズマを閉じ込めるように配置される少なくとも一つの第二の素子と、を備える閉じ込め配列と、
を備える。
【0006】
閉じ込め配列を使用することにより、プラズマが少なくとも部分的に堆積領域内に閉じ込められ得る。それゆえ、堆積領域内のプラズマの密度が増加され得、基板上へのターゲット材料のスパッタ堆積効率が向上し得る。同様に又は代わりに、より均一なプラズマの密度が堆積領域内でもたらされ得る。結果として、これにより基板上にターゲット材料のより均一な堆積が可能になり得る。
【0007】
例において、少なくとも一つの前記第一の素子は、アンテナ配列から堆積領域に向かってプラズマを閉じ込める第一の閉じ込め磁場を供給するように配置される第一の磁性素子である。第一の閉じ込め磁場は、少なくとも部分的に堆積領域内にプラズマを効率的に閉じ込めるために使用され得る。例えば第一の閉じ込め磁場は、堆積領域内でより均一なプラズマの密度をもたらす配置の磁力線により特徴付けられ得る。
【0008】
これらの例において、第一の磁性素子は、第一の閉じ込め磁場の供給を制御可能な電磁石であってもよい。電磁石を制御することにより、結果として、供給される第一の閉じ込め磁場の強度が制御され得る。これにより、堆積領域のプラズマ密度の調節が可能になり得、基板上でのターゲット材料の堆積を調節するために使用され得る。それゆえ、スパッタ堆積における制御が向上され得、装置の柔軟性が向上し得る。これらの例において、装置は、第一の磁性素子により供給される第一の閉じ込め磁場を制御するように配置されるコントローラーを備えていてもよい。
【0009】
少なくとも一つの前記第一の素子が第一の磁性素子である例において、第一の磁性素子は、開口部を有するソレノイドであってもよく、該開口部を通して使用中にプラズマが閉じ込められる。ソレノイドの開口部を通してプラズマを閉じ込めることで、堆積領域内のプラズマの密度が増加され得る。例えば多くのプラズマは、ソレノイドの開口部を通過して押し込まれ又は圧縮され得る。そのような例において、少なくとも一つのアンテナが細長くてもよく、ソレノイドの開口部が少なくとも一つのアンテナが細長い方向に実質的に平行な方向に細長くてもよい。そのような配列を有すると、プラズマが少なくとも一つの細長いアンテナの長さに沿って生成され得、ソレノイドの細長い開口部によりシート状に閉じ込められ得る。このシートは、他のプラズマの配列より均一になり得、プラズマに曝される基板及び/又はターゲット材料の面積を増加させることが可能になり得る。これは、スパッタ堆積の効率を向上させ得、代わりに又は加えて、基板上にターゲット材料のより均一な堆積をもたらし得る。これらの例において、アンテナ配列は二つのアンテナを備えていてもよく、ソレノイドの開口部が二つのアンテナの間で画定される領域に開口しているようにソレノイドが配置されていてもよい。これは、少なくとも部分的にプラズマを正確に堆積領域内に閉じ込めることを可能にし得る。例えばアンテナの間の領域はより高密度のプラズマが存在する領域と一致してもよく、該領域は他よりもより大きい領域にわたってより均一な密度のプラズマを有し得る。それゆえ、基板及び/又はターゲット材料のより大きい領域がプラズマに曝され得、スパッタ堆積プロセスを向上させる。
【0010】
少なくとも一つの前記第一の素子が第一の磁性素子であるいくつかの例において、少なくとも一つの前記第二の素子は、少なくとも第一の素子と第二の素子の中間の体積において、第一の閉じ込め磁場に対向する第二の閉じ込め磁場を供給し、それによって第二の磁性素子から離れてアンテナ配列に向かい、それによって第一の素子を経由して堆積領域に向かってプラズマを閉じ込めるように配置される第二の磁性素子である。適切な第二の閉じ込め磁場を供給することにより、第二の磁性素子は、堆積領域で少なくとも部分的にプラズマの閉じ込めを向上させ得る。例えば少なくとも一つの前記第二の素子がないと、プラズマが堆積領域内に閉じ込められず、代わりに堆積領域から離れて「外部への漏れ」となり得る。これは堆積効率を低下させる可能性がある。同様に又は代わりに、これはプラズマとアンテナ配列によって供給されるrf電力の電力結合を低下させ得、rf電力を増加させることが必要になり得る。少なくとも一つの前記第二の素子を、例えば第二の磁性素子として提供することで、プラズマの「外部への漏れ」は減少し得る。結果として、堆積内のプラズマの密度が増加され得る。同様に又は代わりに、アンテナ配列により供給されるrf電力とプラズマの電力結合が増加され得る。
【0011】
これらの例において、第二の閉じ込め磁場は、第一の素子と第二の素子の間の方向に沿う第一の閉じ込め磁場の磁束を、第一素子と第二の素子の中間の体積で減少させるように配置され得る。このようにして磁束を減少させることで、プラズマがより高密度で堆積領域に閉じ込められ得る。これは堆積効率を向上させ得る。
【0012】
これらの例において、第二の磁性素子は、第二の閉じ込め磁場の供給を制御可能な電磁石であってもよい。第二の磁性素子が電磁石である例において、装置は、第二の磁性素子により供給される第二の閉じ込め磁場を制御するように配置されるコントローラーを備えていてもよい。第一の磁性素子に関して説明したように、これは第二の閉じ込め磁場を適切に制御することを可能にし得る。これにより、堆積領域のプラズマ密度の調節が可能になり得、基板上へのターゲット材料の堆積を調節するために使用され得る。
【0013】
例において、少なくとも一つの前記第二の素子は、静電素子であって、少なくとも第一の素子と第二の素子の中間の体積で、該静電素子からアンテナ配列に向かい、それによって第一の素子を経由して堆積領域に向かって少なくともプラズマの一部を遠ざける電場の供給を制御可能な静電素子である。これは、少なくとも部分的に堆積領域内へのプラズマの閉じ込めをさらに向上させ得る。これらの例において、静電素子は使用中に正に帯電され、それによってプラズマの正に帯電したイオンを反発するように配置され得る。堆積領域から離れる正に帯電したイオンの動きを減少させることにより又は制限することにより、これは堆積領域内で正に帯電したプラズマのイオンの閉じ込めを向上させ得る。これらの例において、装置は、静電素子により供給される電場を制御するように配置されるコントローラーを備えていてもよい。コントローラーは、プラズマを静電素子から遠ざける範囲を制御し、それゆえ、堆積領域内のプラズマ密度を制御するために使用され得る。このようにして、堆積領域内で所望のプラズマ密度を得ることができ、装置の柔軟性を向上させる。
【0014】
例において、閉じ込め配列は、少なくとも二つの前記第一の素子を備え、該少なくとも二つの第一の素子は、堆積領域が一番目の第一の素子と二番目の第一の素子の間に存在し、それによって堆積領域を通してプラズマを閉じ込めるように配置される。互いに対して適切な距離で少なくとも二つの第一の素子を提供することにより、所望のプラズマ密度を得ることができる。
【0015】
例において、閉じ込め配列は、第三の素子を備え、該第三の素子は、堆積領域が第二の素子と当該第三の素子の間に存在するように配置され、第三の素子は、第三の素子から離れて堆積領域に向かってプラズマを閉じ込めるように配置される。第三の素子は、少なくとも部分的に堆積領域内へのプラズマの閉じ込めをさらに向上させ得る。結果として、堆積領域のプラズマ密度が増加され得、装置の堆積効率を向上させ得る。
【0016】
これらの例において、第三の素子が、第三の素子から離れて一番目の第一の素子及び二番目の第一の素子のうち一つを経由して堆積領域に向かってプラズマを閉じ込めるように、一番目の第一の素子、二番目の第一の素子及び堆積領域が第三の素子と第二の素子の間に存在するよう第三の素子が配置され得る。第一の素子、第二の素子及び第三の素子を適切に配置することで、堆積領域のプラズマ密度がより増加し得る。
【0017】
例において、ターゲット部は、使用中にターゲット材料への負電荷の供給を制御可能であり、それによって正に帯電したプラズマのイオンを引き寄せる。これは、ターゲット材料に向かってプラズマ密度を増加させ得、スパッタ堆積の効率を向上させ得る。
【0018】
例において、装置は、使用中に基板部で基板のウェブを供給するように配置されるウェブ供給アセンブリを備える。これらの例において、装置は、例えばバッチプロセスより効率的な「リールツーリール」堆積システムの一部を形成してもよい。
【0019】
本発明の第二の形態によると、基板にターゲット材料をスパッタ堆積する方法が提供されており、堆積領域が基板とターゲット材料の間に画定され、前記方法は、
少なくとも一つのアンテナを備えるアンテナ配列を使用して、プラズマを発生させることと、
アンテナ配列と堆積領域の間に配置される少なくとも一つの第一の素子を使用して、アンテナ配列から堆積領域に向かってプラズマを閉じ込め、それによって基板上にターゲット材料をスパッタ堆積させることと、
少なくとも一つの第二の素子であって、アンテナ配列が該少なくとも一つの第二の素子と堆積領域の間に存在するように配置される少なくとも一つの第二の素子を使用して、プラズマを第二の素子から離れてアンテナ配列に向かい、それによって第一の素子を経由して堆積領域に向かうように閉じ込めることと、を含む。
【0020】
この方法は、堆積領域内のプラズマの密度を増加させ得、スパッタ堆積の効率を向上させ得る。同様に又は代わりに、この方法は、堆積領域内のプラズマの均一性を増加させ得、基板上に堆積されるターゲット材料の均一性を向上させ得る。
【0021】
本発明の第三の態様によると、基板にターゲット材料をスパッタ堆積する装置が提供され、該装置は、
堆積領域と、
少なくとも一つのアンテナを備え、使用中に該アンテナを通って交流電流が送られるときに、プラズマを発生させるアンテナ配列と、
アンテナ配列と堆積領域の間に配置され、使用中にアンテナ配列から堆積領域に向かってプラズマを閉じ込め、それによって使用中に堆積領域にプラズマをもたらすように配置される少なくとも一つの第一の素子と、
少なくとも一つの第二の素子であって、アンテナ配列が該少なくとも一つの第二の素子と堆積領域の間に存在するように配置され、使用中に第二の素子から離れてアンテナ配列に向かい、それによって少なくとも一つの第一の素子を経由して堆積領域に向かってプラズマを閉じ込めるように配置される少なくとも一つの第二の素子と、を備える閉じ込め配列と、
を備える。
【0022】
これは、堆積領域内のプラズマ密度を増加させ得、スパッタ堆積の効率を向上させ得る。同様に又は代わりに、この方法は、堆積領域内のプラズマの均一性を向上させ得、基板上に堆積されるターゲット材料の均一性を向上させ得る。
【0023】
添付の図を参照して作成された単に例として与えられる以下の説明からさらなる特徴が明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】例による装置の断面図を示す模式図である。
図2】例による図1の装置の一部の断面図を示す模式図である。
図3】さらなる他の例による装置の断面図を示す模式図である。
図4】さらなる他の例による装置の断面図を示す模式図である。
図5図4の装置の平面図を示す模式図である。
図6】例による第一の磁性素子の断面図を示す模式図である。
図7】さらなる他の例による装置の断面図を示す模式図である。
図8】例による方法を示す模式フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
例による装置及び方法の詳細は、図を参照して以下の説明から明らかになるだろう。この説明では、説明の目的で特定の例の多くの具体的な詳細が示される。明細書における「例」又は類似の用語への言及は、例に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも一つの例に含まれるが、必ずしも他の例に含まれるとは限らないことを意味する。さらに、特定の例は、例の根底にある概念の説明及び理解を容易にするために特定の特徴を省略及び/又は必然的に簡略化して概略的に記載されることに注意されたい。
【0026】
図1を参照すると、ターゲット材料108を基板116にスパッタ堆積する装置例100が概略的に示されている。
【0027】
幅広い多くの産業用途、例えば光学コーティング、磁気記録媒体、電子半導体デバイス、LED、薄膜太陽電池等のエネルギー発電デバイス、及び薄膜電池等のエネルギー貯蔵デバイスの製造においてなどの薄膜堆積の実用性を有するプラズマベースのスパッタ堆積のために装置100は使用され得る。したがって、本開示の背景はエネルギー貯蔵デバイスやそれらの一部の製造に関連する場合があるが、本明細書に記載される装置100及び方法はそれらの製造に制限されないことを理解されたい。
【0028】
明確にするため図には示されていないが、装置100はハウジング(図示せず)内で提供され得、ハウジングは使用中にスパッタ堆積に適した低圧、例えば3×10-3torrに排気され得ることを理解されたい。例えばハウジング(図示せず)は、ポンプシステム(図示せず)により適切な圧力(例えば1×10-5torr未満)に排気され得、使用中にアルゴンや窒素などのプロセスガス又はスパッタガスが、スパッタ堆積に適した圧力が達成される程度(例えば3×10-3torr)まで、ガス供給システム(図示せず)を使用してハウジング(図示せず)に導入され得ることを理解されたい。
【0029】
図1で示される例に戻ると、概観において装置100は、基板部118、ターゲット部106、アンテナ配列102及び閉じ込め配列104を備える。
【0030】
基板部118は、使用中に基板116が供給される装置100の一部である。いくつかの例において、基板部118は、装置100を通って基板116を導く基板ガイド(図1で図示せず)を備えてもよい。例えば基板ガイド(図1で図示せず)は、運搬方向(図1において矢印Aで示される)に基板116を導き得る。
【0031】
いくつかの例において、基板116は、基板116のウェブの形状であってもよい。いくつかの例において、基板116のウェブはシリコン又はポリマーであってもよいし、或いはシリコン又はポリマーを含んでいてもよい。いくつかの例において、例えばエネルギー貯蔵デバイスの製造のために、基板116のウェブはニッケル箔であってもよいし、又はニッケル箔を含んでいてもよいが、アルミニウム、銅若しくは鋼、又はポリエチレンテレフタラート(PET)上のアルミニウムのような金属化プラスチックを含む金属化材料などの任意の適した金属をニッケルの代わりに使用できることを理解されたい。
【0032】
ターゲット部106は、使用中にターゲット材料108が供給される装置100の一部である。ターゲット部106は、ターゲット材料108を支持するように配置されるターゲット支持体107を備え得る。例えばターゲット支持体107は、スパッタ堆積中に所定の位置にターゲット材料108を支持又は保持するプレート又は他の支持構造を備えてもよい。ターゲット材料108は、基板116にスパッタ堆積を行う素となる材料であってもよい。例えばターゲット材料108は、スパッタ堆積により基板116に堆積される材料であってもよいし、これを含んでいてもよい。
【0033】
いくつかの例において、例えばエネルギー貯蔵デバイスを製造するために、ターゲット材料108は、エネルギー貯蔵デバイスのカソード層であるコバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム若しくは多硫化アルカリ金属塩などのリチウムイオンを貯蔵するのに適した材料であってもよいし又はこれらを含んでいてもよく、或いはこれらの前駆体物質であってもよいし又はこれらの前駆体物質を含んでいてもよい。加えて又は代わりに、ターゲット材料108は、エネルギー貯蔵デバイスのアノード層であるリチウム金属、グラファイト、シリコン若しくは酸化インジウムスズなどであってもよいし又はこれらを含んでいてもよく、或いはこれらの前駆体物質であってもよいし又はこれらの前駆体物質を含んでいてもよい。加えて又は代わりに、ターゲット材料108は、エネルギー貯蔵デバイスの電解質層であって、イオン電導性であるが電気絶縁体でもある窒化リン酸リチウム(LiPON)などの材料であってもよいし又はこれを含んでいてもよく、或いはこれの前駆体物質であってもよいし又はこれの前駆体物質を含んでいてもよい。例えばターゲット材料108は、例えばターゲット材料108の領域で窒素ガスとの反応を経て、基板116にLiPONを堆積させるための前駆体物質としてのLiPOであってもよく、或いはこれを含んでいてもよい。
【0034】
ターゲット部106と基板部118は、互いから離れて距離を空けており、それらの間に堆積領域114を画定する。堆積領域114は、使用中にターゲット材料108から基板116のウェブにスパッタ堆積が起こる、基板部118とターゲット部106の間の面積又は体積とみなしてもよい。例えば堆積領域114は、使用中に装置100で受け取られる基板116と使用中に装置100で受け取られるターゲット材料108の間の面積又は体積とみなしてもよく、ターゲット材料108から基板116のウェブへのスパッタ堆積が、堆積領域114で使用中に起こる。
【0035】
アンテナ102a、102bを通して使用中に交流電流が送られるときにプラズマを発生させるために、アンテナ配列102は、少なくとも一つのアンテナ102a、102bを備える。示される例において、アンテナ配列102は、二つのアンテナ102a、102bを備える。プロセスガス又はスパッタガスから誘導結合プラズマ112をハウジング(図示なし)で発生させるために、アンテナ102a、102bのうち一つ又はその両方を通して、無線周波数電力供給システム(図示せず)により適切な無線周波数電力が送られ得る。いくつかの例において、例えば1MHzから1GHzの周波数、1MHzから100MHzの周波数、10MHzから40MHzの周波数、又はおおよそ13.56MHz若しくはそれの倍数の周波数で、一以上のアンテナ102a、102bを通して無線周波数電流を送ることによりプラズマ112が生成され得る。いずれにしても、無線周波数電力は、プラズマ112を生成するプロセスガス又はスパッタガスをイオン化させる。
【0036】
示される例において、アンテナ配列102は堆積領域114から離れて配置される。その結果、プラズマ112が堆積領域114から離れて生成され得る。アンテナ102a、102bは、互いに実質的に平行に延び得、互いから横方向に配置され得る。これにより、二つのアンテナ102a、102bの間で、プラズマ112の細長い領域を正確に発生させることが可能になり得、以下でより詳細に説明するように、結果として、生成したプラズマ112を堆積領域114に正確に閉じ込めることに役立ち得る。いくつかの例において、アンテナ120a、120bは、基板部118で運ばれる基板116の幅と同様の長さであってもよい。細長いアンテナ102a、102bは、基板116の幅と一致する長さの領域にわたって生成されるプラズマ112をもたらし得、それゆえ、基板116の幅にわたって、プラズマ112を均等に又は均一に利用可能にし得る。以下でより詳細に説明するように、結果として、これは均一な又は均等なスパッタ堆積をもたらすのに役立ち得る。
【0037】
閉じ込め配列104は、少なくとも一つの第一の素子105a及び少なくとも一つの第二の素子103を備える。
【0038】
少なくとも一つの第一の素子105aは、アンテナ配列102と堆積領域114の間に配置される。第一の素子105aは、アンテナ配列104から堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込め、それによって基板116にターゲット材料108のスパッタ堆積をもたらすように配置される。
【0039】
いくつかの例において、閉じ込められるプラズマ112は、少なくとも堆積領域114において高密度プラズマであってもよい。例えば閉じ込められるプラズマ112は、少なくとも堆積領域114において、例えば1011cm-3以上の密度であり得る。堆積領域114で高密度のプラズマ112により、効率的な及び/又は高速のスパッタ堆積が可能になり得る。
【0040】
いくつかの例において、少なくとも第一の素子105aは、アンテナ配列102から堆積領域114に向かってプラズマを閉じ込める第一の閉じ込め磁場を供給するように配置される第一の磁性素子105aであってもよい。閉じ込め磁場は、アンテナ配列102から堆積領域114に向かう経路に追従するように配置される磁力線(図1で図示せず)により特徴付けられ得る。生成されるプラズマ112は磁力線に追従する傾向があり、それゆえ、アンテナ配列102から堆積領域114に向かって、少なくとも一つの第一の素子により閉じ込められる。例えば閉じ込め磁場内の初速度を持つプラズマのイオンは、磁力線周りでイオンを周期的な運動に従わせるローレンツ力を受ける。初動が磁場に厳密に垂直でないと、イオンは磁力線を中心とする螺旋経路に追従する。したがって、そのようなイオンを含むプラズマは、磁力線に追従する傾向があり、それゆえ、それによって画定される経路又は平面に閉じ込められる。それに応じて、閉じ込め磁性磁場により堆積領域114に向かってプラズマ112が閉じ込められるように、第一の磁性素子105aが適切に配置され得る。
【0041】
いくつかの例において、少なくとも一つの磁性素子105aは、少なくとも堆積領域114において基板116及び/又はターゲット材料108の経路に実質的に平行な経路に追従する磁力線により特徴付けられる閉じ込め磁場を供給するように配置され得る。これにより、堆積領域114にわたってプラズマ112のより均一な分布が可能になり得、結果として、より均一なターゲット材料112の堆積が可能になり得る。
【0042】
いくつかの例において示されているように、閉じ込め配列は、二つの第一の素子105a、105bを備えていてもよい。堆積領域114を通してプラズマ112を閉じ込めるために、第一の素子105a、105bは、堆積領域114が第一の素子105a、105bのうちの一番目105aと第一の素子1051、105bのうちの二番目105bの間に存在するように配置され得る。例えば第一の素子105a、105bは、磁性素子105a、105bであってもよい。磁性素子105a、105bは、アンテナ配列102から堆積領域114を通して(すなわち実質的に堆積領域114の片側からその反対側まで)プラズマ112を閉じ込める閉じ込め磁場を、共に供給するように配置され得る。例えば少なくとも二つの磁性素子105a、105bは、比較的強い磁場強度の領域が磁性素子105a、105bの間で供給されるように配置されてもよい。比較的強い磁場強度の領域は、堆積領域114を通して延在し得る。磁性素子105a、105bにより生成される閉じ込め磁場は、少なくとも堆積領域114において、基板116及び/又はターゲット材料108の経路に実質的に平行な経路に追従する磁力線により特徴付けられ得る。これにより、実質的に堆積領域114の全体にわたって、より均一なプラズマ密度をもたらすことが可能になり得、結果として、実質的に堆積領域114の全体にわたって、より均一なターゲット材料116の堆積が可能になり得る。
【0043】
いくつかの例において、第一の磁性素子105a、105bのうち少なくとも一つは、第一の閉じ込め磁場の供給を制御可能な電磁石であってもよい。例えば第一の磁性素子105a、105bのうち一つ又はその両方が、電磁石104a、104bであってもよい。装置100は、電磁石105a、105bの一以上により供給される磁場の強度を制御するように配置されるコントローラー(図示せず)を備えてもよい。これにより、閉じ込め磁場、例えば閉じ込め磁場を特徴付ける磁力線の配置を制御することが可能になり得る。これにより、基板116及び/又はターゲット材料108におけるプラズマ密度の調節が可能になり得、それゆえ、スパッタ堆積における制御を向上させることが可能になり得る。これは装置100の操作における柔軟性を向上させ得る。
【0044】
いくつかの例において、第一の磁性素子105a、105bのうち少なくとも一つが、ソレノイド105a、105bにより提供されてもよい。各ソレノイド105a、105bは、開口部(図5で図示していないが、図6の開口部650を参照)を画定してもよく、該開口部を通って又は経由して、使用中にプラズマ112が閉じ込められる(通過し得る)。
【0045】
いくつかの例において、ソレノイド105a、105bは細長くてもよい。例えば図6で恐らく最もよく分かるように、ソレノイド105a、105bにより画定される開口部650が細長くてもよい。図5で恐らく最もよく理解できるように、ソレノイド105a、105bの開口部505は、アンテナ102a、102bが細長い方向に実質的に平行な方向に細長くてもよい。上述のとおり、プラズマ112は、細長いアンテナ102a、102bの長さに沿って生成され得、細長いソレノイド105a、105bは、細長いアンテナ102a、102bから離れる方向に、細長いソレノイド105aを通してプラズマ112を閉じ込め得る。プラズマ112は、細長いアンテナ102a、102bから細長いソレノイド105aまで、シート状に閉じ込められ得る。つまりプラズマ112の奥行き(又は厚さ)は、その長さ及び/又は幅より実質的に小さい。プラズマ112のシートの厚さは、シートの長さ及び幅に沿って実質的に一定であり得る。プラズマ112のシートの密度は、幅及び長さ方向のうち一つ又はその両方で実質的に均一であり得る。シート状のプラズマ112は、ソレノイド105a、105bによって供給される磁場により、堆積領域114に向かって及び/又は堆積領域114を通って閉じ込められ得る。それによって、プラズマ112はシート状に閉じ込められ得る。プラズマ112をシート状に閉じ込めることで、プラズマ112に曝される基板116及び/又はターゲット材料108の面積を増加させることが可能になり得、それゆえスパッタ堆積がもたらされ得る面積が増加し得る。例えばこれは、基板の単位面積当たりのスパッタ堆積速度を向上させ得、それゆえ、結果としてより効率的な堆積が可能になり得る。代わりに又は加えて、これにより、堆積領域114にわたって基板116及び/又はターゲット材料108におけるプラズマ密度のより均一な分布が可能になり得る。結果として、これは基板116へのより均一なスパッタ堆積を可能にし得る。それゆえ、結果としてスパッタ堆積がより一様に実行され得る。これは、例えば処理後の基板の一様性を向上させ得、例えば品質管理の必要性を減らし得る。
【0046】
図1に戻ると既述のように、アンテナ配列102は、二つのアンテナ102a、102bを備えていてもよい。アンテナ102a、102bは、互いから距離を空けていてもよく、それらの間に領域101を画定してもよい。領域101は、使用中にプラズマ112がアンテナ105a、105bにより優先的に生成される領域101であってもよい。アンテナ102a、102bは、各アンテナ102a、102bが細長い方向に実質的に垂直な方向に互いから距離を空けていてもよい。アンテナ102a、102bは、閉じ込め配列104によりプラズマ112が閉じ込められる方向に実質的に垂直な方向に互いから距離を空けていてもよい。ソレノイド105aは、ソレノイド105aの開口部505が、二つのアンテナ102a、102bの間で画定される領域101に開口するように配置されてもよい。これは、アンテナ配列102から離れて堆積領域114に向かって、第一のソレノイド105aによりプラズマ112を正確に閉じ込めることを可能にし得る。
【0047】
示しているように、間に堆積領域114がある二つのソレノイド105a、105bが存在していてもよい。示しているように、生成されるプラズマ112は、アンテナ配列102から一番目のソレノイド105aを通過して堆積領域114に入り、二番目のソレノイド105bに向かい、二番目のソレノイド105bを通過し得る。第二のソレノイド105bは、上記で説明した第一のソレノイド105aの特徴のいずれか又はその組み合わせを有していてもよい。
【0048】
二つの第一の磁性素子105a、105bのみが図1で示されているが、さらなる第一の磁性素子(図示せず)、例えばソレノイド105a、105bとしてさらなるそのようなソレノイド(図示せず)が、プラズマ112の経路に沿って配置されてもよいことを理解されたい。これにより、閉じ込め磁場を強化することが可能になり得、それゆえ、正確な閉じ込めが可能になり得及び/又は閉じ込め磁場の制御における自由度をより大きくし得る。
【0049】
少なくとも一つの第一の素子105a、105bは、それ自体によって堆積領域114にプラズマ112を完全に閉じ込めることができなくてもよい。図1で示している例のように、プラズマ112は、第一の素子105bを通って外側に延び、すなわち堆積領域114が配置されている側ではなく、第一の素子105bの反対側に向かって延びる。例えばプラズマは、ハウジング(図示せず)のチャンバー壁に向かって進み、当たる。堆積領域114から離れるこの種のプラズマ112の「外部への漏れ」は、堆積領域114のプラズマ112の密度の減少を引き起こし得る。結果として、これは堆積効率を低下させ、すなわち、より遅い堆積につながる可能性がある。代わりに又は加えて、これは、プラズマとアンテナ102a、102bを介して供給されるrf電力の電力結合を減少させ得、これを補うためにアンテナに供給されるrf電力を増加させることが必要になり得る。第一の素子105aの領域におけるそのような「外部への漏れ」により引き起こされるプラズマ密度及び/又は電力結合のそのような潜在的な減少を軽減するために、閉じ込め配列104は少なくとも一つの第二の素子103を備える。
【0050】
少なくとも一つの第二の素子103は、アンテナ配列102が少なくとも一つの第二の素子103と堆積領域114の間に存在するように配置される。つまり、第二の素子103は、アンテナ102a、102bが第二の素子103と堆積領域114の間に存在するように配置され得る。第二の素子103は、第二の素子103から離れてアンテナ配列102(すなわちアンテナ102a、102b)に向かい、それによって少なくとも一つの第一の素子105aを経由して堆積領域115に向かってプラズマ112を閉じ込めるように配置される。それゆえ、例えば第二の素子103がない場合に比べ、少なくとも一つの第二の素子103は、堆積領域114におけるプラズマ(イオン)密度を増加させ得る。結果として、これは基板116へのターゲット材料108の堆積効率を向上させることを可能にし得る。代わりに又は加えて、堆積領域114におけるアンテナ102a、102bとプラズマ112間の電力結合の向上が可能になり得、それゆえ、アンテナが比較的低い電力で供給されることを可能にし得る。以下でより詳細に説明するように、二番目の第一の素子105bの領域におけるそのような「外部への漏れ」を防ぎ又は減らすために、同様の配列が任意で提供されてもよく、これに応じて、堆積領域114におけるプラズマ密度をさらに上昇させ得、堆積効率及び/又は電力結合のさらなる対応する向上をもたらし得る。
【0051】
第一の素子105aと同様に、第二の素子103は細長くてもよく、(恐らく図6で最もよく分かるように)アンテナ102a、102b及び/又は第一の素子105aが細長い方向に平行な方向に延びていてもよい。これは、基板118の幅にわたって、均一な様式で堆積領域のプラズマ112の密度が第二の素子103により増加されることをもたらし得る。
【0052】
いくつかの例において、少なくとも一つの第二の素子103は、静電素子103であってもよいし又は静電素子103を含んでいてもよい。静電素子103は、少なくとも第一の素子105aと第二の素子103の中間の体積で、静電素子103からアンテナ配列102に向かい、それによって第一の素子105aを経由して堆積領域114に向かって、プラズマ112の少なくとも一部を遠ざける電場の供給を制御可能であってもよい。例えば静電素子103は、使用中に正に帯電され、それによって正に帯電したプラズマ112のイオンを反発して堆積領域に向かうように配置されてもよい。適切な電場を供給することにより第二の素子103からプラズマ112を遠ざけることで、結果として、プラズマ112が堆積領域114から離れてアンテナ102a、102bに閉じ込められることを妨げ得、代わりに第一の素子105aにより堆積領域114に向かってプラズマ112を優先的に閉じ込め得る。それに応じて、第二の素子103は、第二の磁性素子103から離れてアンテナ配列102に向かい、それによって第一の素子105aを経由して堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込め得る。
【0053】
いくつかの例において、装置は、静電素子103により供給される電場を制御するように配置されるコントローラー(図示せず)を備えていてもよい。例えば正に帯電したプラズマ112のイオンを反発して堆積領域に向かわせるために、適切な電圧源(図示せず)により正の電圧を静電素子103に印加してもよい。コントローラー(図示せず)は、静電素子103に供給される電圧を制御し、それによってプラズマ112が静電素子103から遠ざけられる程度を制御し、それゆえ、堆積領域114でプラズマの密度が増加され得る程度を制御するように配置されていてもよい。
【0054】
いくつかの例において、装置100は、使用中にターゲット材料108が負電荷を含むようにバイアスをかけるよう配置され得る。これは、適切な電圧源(図示せず)により供給され得、コントローラー(図示せず)により制御され得る。ターゲット材料108の負のバイアスが第二の素子103で正のバイアスと結びつくことで、プラズマの堆積領域104への閉じ込めを促進し得る。
【0055】
いくつかの例において、第二の素子103は、第二の磁性素子103であってもよいし、第二の磁性素子103を備えていてもよい。第二の磁性素子103は、第二の閉じ込め磁場を供給するように配置され得る。少なくとも第一の素子105aと第二の素子103の中間の体積230において、第二の磁場は第一の素子105aにより供給される第一の閉じ込め磁場と対向し得る。これにより、第二の磁性素子103から離れてアンテナ配列102に向かい、それによって第一の素子105aを経由し堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込め得る。
【0056】
例えば図2を参照すると、図1の装置100の一部が概略的に示されており、例による第一の磁性素子105a(ソレノイド105a)により供給される第一の閉じ込め磁場と第二の磁性素子103により供給される第二の閉じ込め磁場の相互作用を特徴付ける磁力線(慣習通り矢印で示す)を概略的に示している。第二の磁性素子103は、第一の磁性素子105aの極性と反対の極性を有するように配置される。それに応じて、少なくとも第一の素子105aと第二の素子103の間の体積230において、第二の磁性素子103により供給される磁場は、第一の素子105aにより供給される第一の閉じ込め磁場に対向する。堆積領域114に対して第一の素子105aの後ろの体積230において、第二の素子103aにより供給される第二の閉じ込め磁場は、それに応じて第一の磁性素子105aにより供給される第一の閉じ込め磁場の束を減少させる。例えば体積230で第二の素子103aにより供給される第二の閉じ込め磁場は、第一の素子105aと第二の素子103間の方向に沿って、第一の磁性素子105aにより供給される第一の閉じ込め磁場の磁束を減少させ得る。堆積領域114に対して第一の素子105aの後ろの体積230において、第一の磁性素子105aにより供給される第一の閉じ込め磁場の磁束を減少させることで、結果として、プラズマ112が堆積領域114から離れてアンテナ102a、102bに閉じ込められることを防ぎ、代わりにプラズマ112を堆積領域114に向かって優先的に閉じ込め得る。それに応じて、第二の素子103は、第二の磁性素子103から離れてアンテナ配列102に向かい、それによって第一の素子105aを経由して堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込め得る。
【0057】
いくつかの例において、第一の素子105aにより生成される磁場に対向するために、第二の素子103は、第一の素子105aに対して適切な極を有する永久磁石を備えていてもよい。いくつかの例において、第二の素子103は、例えばアレイで配置され、例えば第一の素子105aによって生成される磁場に対向するために、それぞれが第一の素子105aに対して適切な極を有する多数の永久磁石を備えていてもよい。
【0058】
いくつかの例において、第二の素子103は、第二の閉じ込め磁場の供給を制御可能な一以上の電磁石であってもよいし、又は一以上の電磁石を備えていてもよい。例えば第二の素子103は、第一の素子105aによって生成される磁場に対向するために、第一の素子105aに対して適切な極の提供を制御可能なソレノイド(図示せず)のアレイを備えていてもよい。装置100は、第二の磁性素子103により供給される第二の閉じ込め磁場を制御するように配置されるコントローラー(図示せず)を備えていてもよい。これにより、第二の閉じ込め磁場と第一の閉じ込め磁場の相互作用における制御が可能になり得、それゆえ、第二の素子103から離れて堆積領域114に向かってプラズマ112が閉じ込められる範囲の制御が可能になり得る。
【0059】
図3を参照すると、例による装置300が示されている。装置300は、図1及び/又は図2に関して上記で説明した装置100と実質的に同一であってもよく、類似の特徴が類似の引用符号で与えられる。しかし、図3で示される装置例300の閉じ込め配列304は、さらに第三の素子303を備える。
【0060】
第二の素子103と同様に、第三の素子303は、第三の素子303から離れて堆積領域114に向かうようにプラズマを閉じ込める。第三の素子303は、図1及び2に関して説明した第二の素子103と同一であってもよく、又は第二の素子103の特徴うち任意の一つ若しくは任意の組み合わせを有していてもよい。図3で示されるように、堆積領域114が第二の素子102と第三の素子303の間に存在するように第三の素子303が配置される。第三の素子203は、第三の素子303から離れ、堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込めるように配置される。この例において、第三の素子が、第三の素子から離れて第一の素子のうちの二番目105bを経由して、堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込めるように、第一の素子105a、105bのうちの一番目105a、第一の素子105a、105bのうちの二番目105b及び堆積領域114が、第三の素子303と第二の素子103の間に存在するよう第三の素子303が配置される。
【0061】
例えば第三の素子303が与えられない場合(すなわち図1のような場合)に比べ、第三の素子303があることで、堆積領域114におけるプラズマ密度を(さらに)増加させ得る。結果として、これにより基板116へのターゲット材料108の堆積効率を向上させることが可能になり得、及び/又は堆積領域114におけるアンテナ102a、102bからプラズマ112への電力結合を向上させることが可能になり得る。
【0062】
図4から5を参照すると、断面図(図4)と平面図(図5)で、例による装置例400が示されている。装置300は図3に関して上記で説明した装置300と実質的に同一であってもよく、類似の特徴が類似の参照符号で与えられる。しかし、図4及び5で示される装置例400は、第三のアンテナ102c及び第四のアンテナ102dを備えるさらなるアンテナ配列402を備える。
【0063】
示されているように、さらなるアンテナ配列402が第三の素子203と堆積領域114の間に存在するように第三の素子203が配置され、第三の素子203が、第三の素子203から離れ(さらなるアンテナ配列402に向かい)、それによって第一の素子105bを経由して、堆積領域114に向かってプラズマを閉じ込める。さらなるアンテナ配列402の第三のアンテナ及び第四のアンテナ102c、102dは、上記で説明したアンテナ配列102の第一のアンテナ及び第二のアンテナ102a、102bと実質的に同一であってもよい。第三の素子203、さらなるアンテナ配列402及び第一の素子105bの配置及び機能は、上記で説明した第二の素子103、アンテナ配列102及び第一の素子105aの配列及び機能と実質的に同一であってもよいが、堆積領域114の反対側で提供される前者と、後者を比較してもよいことを理解されたい。このように第三のアンテナ及び第四のアンテナ102a、102dを提供することで、堆積領域114にわたってより均一なプラズマ密度及び/又は分布が可能になり得、それゆえ、結果として堆積の向上をもたらし得る。
【0064】
図6を参照すると、第一の磁性素子105a、105bの例の断面図が示されている。示されているように、第一の磁性素子105a、105bはソレノイドであって、開口部650を備えており、該開口部を通して使用中にプラズマを閉じ込める。第一の磁性素子105a、105b及びそれによって画定される開口部650は細長い。上記で説明したように、第一の素子105a、105bは、アンテナ配列102、402が細長い方向に平行な方向に細長くてもよく、それによって堆積領域114に閉じ込められるプラズマ112のシートをもたらす。
【0065】
図1から6に関して説明した例において、プラズマ112、基板116及びターゲット108は実質的に平面であるが、これは必ずしもそうである必要はなく、他の例においては、プラズマ112、基板116及び/又はターゲット部108が実質的に湾曲していてもよい。
【0066】
図7を参照すると、例による装置700が概略的に示されている。装置700は、図4及び5に関して説明した装置例400と同様であり、類似の特徴が類似の参照符号で与えられる。しかし、図7の装置700において、基板部718が湾曲経路(図7の矢印C)に沿って基板116を導くように配置され、閉じ込め配列704が湾曲経路Cの曲線に追従するプラズマを閉じ込めるように配置される。
【0067】
基板部718は、湾曲部材であり得るか又は湾曲部材を備え得る基板ガイド719を備えてもよい。図7で示される例のように、湾曲部材は、ウェブ供給アセンブリ721の全体のうちのドラム719の形状であり得る。ドラム719は、軸720の周りを回転するように配置されてもよい。基板116のウェブがドラム719の曲面の少なくとも一部により運ばれるように、ウェブ供給アセンブリ721は、基板116のウェブをドラム719に供給するよう配置され得及び基板116のウェブをドラム719から供給するよう配置され得る。いくつかの例において、ウェブ供給アセンブリ721は、基板116のウェブをドラム719に供給するように配置される第一のローラー710a、及び基板116のウェブが湾曲経路Cを追従した後、基板116のウェブをドラム719から供給するように配置される第二のローラー710bを備える。ウェブ供給アセンブリ721は、「リールツーリール」プロセス配列(図示せず)の一部であってもよく、基板116のウェブは、基板ウェブ116の第一のリール又はボビン(図示せず)から供給され、装置700を通過し、その後、処理後の基板ウェブ(図示せず)を重ねたリールを形成する第二のリール又はボビン(図示せず)に供給される。
【0068】
この例において、第一の素子105a、105bにより供給される閉じ込め磁場が湾曲経路Cの曲線に追従するよう配置される磁力線により特徴付けられ得るように、閉じ込め配列704が配置される。例えば磁力線(図7で図示せず)は、湾曲経路Cと共通の曲率中心を有するが、湾曲経路Cと異なる、示される例においては大きい曲率半径を有する湾曲経路に追従し得る。例えば磁力線は、基板116の湾曲経路Cから半径方向にずれるが湾曲経路Cに実質的に平行である湾曲経路に追従し得る。湾曲経路Cの本質的な又はかなりのセクター又は部分の周りで、例えば基板116が導かれる湾曲経路Cの概念的なセクターの全体又はかなりの部分にわたって、例えば概念的な円の円周の少なくとも約1/16の周りで、又は少なくとも約1/8の周りで、又は少なくとも約1/4の周りで、又は少なくとも約1/2の周りで湾曲経路Cの曲線に追従するように閉じ込め磁場を特徴付ける磁力線が配置されてもよい。第一の素子105a、105bがソレノイドにより与えられる例において、図1から6に関して説明したのと同様に、閉じ込め配列704はプラズマ112を湾曲シート状に閉じ込めてもよい。
【0069】
プラズマ112を基板116の湾曲経路Cの曲線に追従するように閉じ込めることで、プラズマ112に曝される基板116の面積を増加させることが可能になり得、それゆえ、装置の所定の取り付け面積に対して、スパッタ堆積がもたらされ得る面積を増加させることが可能になり得る。例えばこれは、リールツーリールタイプの装置を通して、より速い速度で所与の堆積度のために基板116のウェブを供給することが可能になり得、それゆえより効率的なスパッタ堆積が可能になり得る。
【0070】
いくつかの例(図示せず)において、ターゲット部706が湾曲していてもよく、湾曲経路Cの曲線に実質的に追従していてもよい。これは、ドラム118により運ばれ、ターゲット材料108が堆積され得る基板116のウェブの表面積を最大化し得る。
【0071】
図7の例において、第一の素子105aは、アンテナ配列102と堆積領域114の間に配置され、アンテナ配列102から堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込め、それによって基板116にターゲット材料108のスパッタ堆積をもたらすように配置される。第二の素子103は、アンテナ配列102が第二の素子103と堆積領域114の間に存在するように配置され、第二の素子103から離れてアンテナ配列201に向かい、それによって第一の素子105aを経由して堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込めるように配置される。第三の素子303は、堆積領域が第三の素子303と第二の素子103の間に存在するように配置される。第三の素子303は、さらなるアンテナ配列402が第三の素子303と堆積領域114の間に存在するように配置される。第三の素子303は、第三の素子303から離れてさらなるアンテナ配列402に向かい、それによって二番目の第一の素子105bを経由して堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込めるように配置される。第二の素子103及び/又は第三の素子303が提供されない場合に比べ、第二の素子103及び/又は第三の素子303は、堆積領域114のプラズマ密度を増加させるように働く。結果として、これにより基板116へのターゲット材料108の堆積効率を向上させることが可能になり得、及び/又は堆積領域114で、アンテナ配列102又はさらなるアンテナ配列402とプラズマ112の間の電力結合を向上させることが可能になり得、それゆえ比較的低電力でアンテナを提供することが可能になり得、それによってより効率的な装置を提供することが可能になり得る。
【0072】
図8を参照すると、基板116にターゲット材料108をスパッタ堆積する方法例が概略的に示されている。この方法において、堆積領域114が基板116とターゲット材料108の間に画定される。ターゲット材料108、基板116及び堆積領域114は、例えば図1から図7に関して説明した例の任意のものであってもよい。いくつかの例において、この方法を、図1から7に関して上記で説明した装置100、300、400、700のうちの任意の一つによって実行してもよい。
【0073】
ステップ802において、この方法は、少なくとも一つのアンテナ102a、102bを備えるアンテナ配列102を使用して、プラズマ112を発生させることを含む。例えばアンテナ配列102は、図1から7に関して上記で説明したアンテナ配列102であってもよい。
【0074】
ステップ804において、この方法は、アンテナ配列201と堆積領域114の間に配置される少なくとも一つの第一の素子105aを使用して、アンテナ配列201から堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込め、それによって基板116にターゲット材料108をスパッタ堆積させることを含む。例えば第一の素子105aは、図1から7に関して説明した第一の素子105aであってもよい。
【0075】
ステップ804において、この方法は、アンテナ配列102が少なくとも一つの第二の素子103と堆積領域114の間に存在するように配置される少なくとも一つの第二の素子103を使用して、第二の素子103から離れてアンテナ配列102に向かい、それによって第一の素子105aを経由して堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込めることを含む。例えば第二の素子103は、図1から7に関して上記で説明した第二の素子103であってもよい。
【0076】
上記で述べたように、第二の素子103から離れてアンテナ配列102に向かい、それによって第一の素子105aを経由して堆積領域114に向かってプラズマ112を閉じ込めることで、例えば第二の素子103を使用して閉じ込めない場合に比べ、堆積領域114のプラズマ(イオン)密度を増加させ得る。結果として、これにより基板116へのターゲット材料108の堆積効率を向上させることが可能になり得る。代わりに又は加えて、これにより、堆積領域114におけるアンテナ102a、102bとプラズマ112間の電力結合を向上させることが可能になり得、それゆえ、比較的低電力でアンテナを提供することが可能になり得る。したがって、より効率的なスパッタ堆積が提供され得る。
【0077】
上記の例は、発明の例示的な例として理解されたい。任意の一つの例に関連して説明される任意の特徴は、単独で又は説明される他の特徴と組み合わせて使用され得、また、任意の他の例の一以上の特徴又は任意の他の例の任意の組み合わせと組み合わせて使用され得ることを理解されたい。さらに、上記で説明していない均等物及び改良物もまた添付の特許請求の範囲で定義される発明の範囲から逸脱しないで使用され得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8