(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】シュウ酸カルシウム結石形成のリスクにあるコンパニオンアニマルを特定する方法、及び当該リスクを減少させるための治療と組成物
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/68 20180101AFI20240712BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240712BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20240712BHJP
C12Q 1/6862 20180101ALI20240712BHJP
C12Q 1/6827 20180101ALI20240712BHJP
C12Q 1/683 20180101ALI20240712BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240712BHJP
【FI】
C12Q1/68
C12Q1/6869 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6862 Z
C12Q1/6827 Z
C12Q1/683 Z
C12N15/09 Z ZNA
(21)【出願番号】P 2022536818
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 US2019067111
(87)【国際公開番号】W WO2021126184
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-06-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502329223
【氏名又は名称】ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ジュエル、デニス
(72)【発明者】
【氏名】ブロックマン、ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】エフライム、エデン
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン、マシュー
【審査官】市島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/228510(WO,A1)
【文献】特表2018-515761(JP,A)
【文献】“猫用総合栄養食の栄養基準”, [online], 2017.10.1, [2023.6.12 検索], インターネット<URL: https://web.archive.org/web/20171001010345/https://pet-dining.jp/hpgen/HPB/entries/12.html>
【文献】Nat. Genet.,2011年,Vol. 43, No. 6,pp.565-569
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00-3/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性が高いネコ対象を特定する方法であって、
配列番号1
の101位におけるSNP A1_212891692のマイナーアレルAの一つ又は二つのコピーの存在について、前記ネコ対象から得られた生体試料を分析することを含み、
配列番号1
の101位におけるSNP A1_212891692のマイナーアレルAの一つ又は二つのコピーの存在は、前記ネコ対象が、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性が高くなることを示す、方法。
【請求項2】
前記試料がゲノムDNA試料である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試料は、前記ネコ対象の血液、唾液、卵胞根、鼻腔スワブ、又は口腔スワ
ブから得られる、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記試料が、DNAシークエンシング、制限酵素消化、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ハイブリダイゼーション、リアルタイムPCR、逆転写酵素PCR、又はリガーゼ連鎖反応から選択される少なくとも一つの核酸解析技術を実行することによって分析される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記試料が、全ゲノムSNPチップを使用した解析、一本鎖高次構造多型分析(SSCP)、制限断片長多型(RFLP)
分析、自動蛍光シークエンシング、クランプ変性ゲル電気泳動(CDGE)、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、モビリティシフト分析、制限酵素分析、ヘテロ二本鎖分析、化学ミスマッチ切断(CMC)、RNase保護アッセイ、ヌクレオチドミスマッチを認識するポリペプチドの使用、アレル特異的PCR、配列解析、及びSNP遺伝子型解析から選択される少なくとも一つの解析技術を実行することによって分析される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記試料が、ハイブリダイゼーションベースの方法、酵素ベースの方法、一本鎖高次構造多型分析、温度勾配ゲル電気泳動、変性高速液体クロマトグラフィー、高分解能アンプリコン溶融、DNAミスマッチ結合タンパク質
、ヌクレアーゼアッセイ、及びシークエンシング方法から選択される少なくとも一つの核酸解析技術を実行することによって分析される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記試料が、動的アレル特異的ハイブリダイゼーション、分子ビーコン法及びSNPマイクロアレイからなる群から選択されるハイブリダイゼーションベースの方法;制限断片長多型(RFLP)
分析、PCRベースの方法、フラップエンドヌクレアーゼ、プライマー伸長法、5’-ヌクレアーゼ及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイからなる群から選択される酵素ベースの方法;一本鎖高次構造多型分析、温度勾配ゲル電気泳動、変性高速液体クロマトグラフィー、高分解能アンプリコン溶融、DNAミスマッチ結合タンパク質、
およびヌクレアーゼアッセイからなる群から選択されるDNAの物理的特性に基づく増幅後方法;ならびにシークエンシング方法から選択される少なくとも一つの解析技術を実行することによって分析される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ネコ対象から得られた生体試料を分析して前記ネコ対象のベータ-アミノイソブチレート濃度を決定することと、
前記ネコ対象のベータ-アミノイソブチレート濃度を、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性の高いネコのベータ-アミノイソブチレート濃度を表す、ポジティブ参照ベータ-アミノイソブチレート濃度値と比較することであって、前記ネコ対象のベータ-アミノイソブチレート濃度が、前記ポジティブ参照ベータ-アミノイソブチレート濃度値以上であることは、前記ネコ対象が、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性が高くなることを示す、比較することと、をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記ネコ対象から得られた生体試料を分析して前記ネコ対象のベータ-アミノイソブチレート濃度を決定することと、
ポジティブ対照試料を分析して、前記ポジティブ対照試料のベータ-アミノイソブチレート濃度を決定することであって、前記ポジティブ対照試料は、ベータ-アミノイソブチレートを、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性の高いネコの代表的な濃度で含有する、決定することと、
前記ネコ対象のベータ-アミノイソブチレート濃度を前記ポジティブ対照試料のベータ-アミノイソブチレート濃度と比較することであって、前記ネコ対象のベータ-アミノイソブチレート濃度が前記ポジティブ対照試料のベータ-アミノイソブチレート濃度以上であることは、前記ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性が高くなることを示す、比較することと、をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
膀胱結石は、ネコにおいて比較的一般的である。ストルバイト又はシュウ酸カルシウム膀胱結石などの下部尿路に影響を及ぼす疾患を有するネコは、典型的には、猫砂の外側での排尿、排尿のための緊張、任意の時間で少量の尿のみを産生する頻尿、尿中の血液及び生殖器リッキングなどの一つ又は複数の症状を有する。X線、及び腹部の超音波からの結果から、膀胱結石の発見につながる場合がある。尿のpH等の尿検査結果、結晶の存在及び感染の不在は、シュウ酸カルシウム膀胱結石の診断につながる場合がある。膀胱結石は、手術、膀胱鏡検査(メスのネコの場合)、又は砕石術により除去することができる。結石の試料を分析して、診断を確定することができる。
【0002】
歴史的に、ネコの膀胱結石は、リン酸マグネシウムアンモニウムであるストルバイトから作製された。ストルバイト酸膀胱結石を防止するために、ネコの食事の多くは、ネコがより酸性の尿を産生するように配合され、これがストルバイトを溶解し、及び/又はストルバイト結石の形成を予防する。こうした食事は、ストルバイト結石形成を防ぐのに非常に効果的である尿酸性化をもたらす。しかしながら、こうした食事の望ましくない結果は、ネコをシュウ酸カルシウム結石のリスク増大に導く高血中カルシウムレベルも生成することである。すなわち、ストルバイト形成を予防するために配合されたネコの食事の多くは、シュウ酸カルシウム結石を促進する条件も増加させる。
【0003】
シュウ酸カルシウム結石は、ネコの死亡及び不快感の重要な原因である。シュウ酸カルシウム膀胱結石の発症率は、そのネコに非酸性食事を与えることによって低減することができるが、そのような食事は、ストルバイト膀胱結石のリスクを増加させる。高含水及び/又はクエン酸カリウムで補充された食事は、pHが6.5を超える尿、約1.020の比重、及び結晶の非存在をもたらし、シュウ酸カルシウム結石形成のリスクを減少させることができる。しかしながら、こうした食事は、シュウ酸カルシウム結石のリスクを著しく減少させるためには、しばしば不十分である。
【0004】
シュウ酸カルシウム結石形成を低減するための戦略には、高血中カルシウムレベルをもたらす任意の根底にある状態に対処する戦略が含まれる。シュウ酸カルシウム結石は、シュウ酸カルシウム結晶から形成される。シュウ酸塩はグリオキシル酸の酸化の生成物である。
【0005】
シュウ酸塩を形成するための基質であることに加えて、グリオキシル酸は、アミノドナーとしてL-アラニンを使用してアラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ2(AGTX2)によってグリシンに触媒され得る。AGTX2は、AGXT2遺伝子によってコードされ、クラスIIIピリドキサール-リン酸依存性ミトコンドリアアミノトランスフェラーゼであり、これは無差別(promiscuous)アミノトランスフェラーゼと考えられている。AGTX2はメチルアルギニンの重要な調節因子であり、腎臓の血圧の制御に関与している。グリオキシル酸をシュウ酸塩以外の生成物に代謝することによって、AGXT、AGXT2などの酵素は、そうでなければシュウ酸塩生の成の基質として利用可能であるグリオキシル酸のレベルを減少させ、それに応じて、そのような酵素による活性はシュウ酸塩のレベルを減少させる。
【0006】
AGXT2遺伝子の多型は、メチルアルギニン及びベータ-アミノイソブチレート代謝に影響を与え、ジメチルアルギニン及びベータ-アミノイソブチレートの濃度に影響を与える。さらに、AGXT2多型は、頸動脈硬化症と関連している。
【0007】
対称性ジメチルアルギニン(SDMA)は、AGXT2の基質である。SDMAは、ネコの(腎機能低下の前の)腎機能の変化と関連している(増加している)ことが示されており(Hallら、2014年、Comparison of Serum Concentrations of Symmetric Dimethylarginine and Creatinine as Kidney Function Biomarkers in Cats with Chronic Kidney Disease J Vet Intern Med;28:1676-1683;Hallら、2014、Comparison of serum concentrations of symmetric dimethylarginine and creatinine as kidney function biomarkers in healthy geriatric cats fed reduced protein foods enriched with fish oil、L-carnitine、and medium-chain triglycerides The Veterinary Journal 202 588-596)、SDMAとネコの結石形成との関係を示している(Hallら、2017年、Serum concentrations of symmetric dimethylarginine and creatinine in cats with kidney stones PLoS ONE 12(4):e0174854)。
【0008】
SDMA及びADMAがAGXT2の基質であることに注目する一部の研究者は、AGXT2多型及びその濃度との関連を示している。例えば、Kittleら(2014)Alanine-glyoxylate aminotransferase 2(AGXT2)Polymorphisms Have Considerable Impact on Methylarginine and β-amino isobutyrate Metabolism in Healthy Volunteers,PLoS ONE 9(2):e88544は、特定の多型がジメチルアルギニン及びベータ-アミノイソブチレートの濃度の濃度に影響を与え、ベータ-アミノイソブチレート濃度及びSDMA濃度と関連していたことを示した。
【0009】
ジメチルアルギニン及びベータ-アミノイソブチレートとの有意なポジティブ相互作用が注目されている。メチルアルギニン及びAGXT2多型との関連は、Zhouら(2014)Association of the AGXT2 V140I Polymorphism with risk for coronary Heart Disease in a Chinese Population、J Atheroscler Thromb.21(10):1022-30にも示された。特に、ADMAの増加は、喫煙者及び糖尿病を有する集団におけるAGXT2遺伝子型によって影響されることが示された。
【0010】
尿シュウ酸カルシウム滴定試験(COTT)は、シュウ酸カルシウム結石形成のリスクを評価するのに有用な方法である(Hallら、2017 Increased dietary long-chain polyunsaturated fatty acids alter serum fatty acid concentrations and lower risk of urine stone formation in cats.PLoS ONE 12(10):e88544)。尿試料中の1リットル当たりの結晶化を開始するために添加されるイオン化カルシウムの濃度及びシュウ酸塩の量は、比率[Ca+2]/(添加されるOx-2)として計算される。インデックス値の増加は、シュウ酸カルシウム結晶化のリスクがより高い試料を示し、インデックス値の減少は、リスクがより低い試料を示す。シュウ酸カルシウム滴定試験(COTT)の結果は、食事介入によって改善され、ネコのシュウ酸カルシウム結石の結石形成リスクを低下させることができる。
【0011】
一塩基多型(SNP)は、一般的なタイプの遺伝的変異である。SNPは、特定の座位における単一塩基対の変異である。すなわち、SNPは、ゲノム内の特定の位置で生じるDNA配列中の一塩基における差異である。典型的には、特定の位置でのSNPについては、その位置のアレルと呼ばれる二つの可能性のあるヌクレオチド変異がある。集団内では、ゲノム内の特定の塩基位置に最もよく現れるヌクレオチド変異は、メジャーアレルと呼ばれ、その特定の塩基位置であまり一般的ではないヌクレオチド変異は、マイナーアレルと呼ばれる。ネコは、大部分の多細胞生物のように、2組の染色体を有する。したがって、各ネコは、各遺伝子又は遺伝子座の二つのコピー、したがって各SNPの二つのコピーを有する。したがって、ネコのゲノム中の各SNPについて、ネコは、二つのコピーのメジャーアレル、又は一つのコピーのマイナーアレルと一つのコピーのマイナーアレル、又は二つのコピーのマイナーアレルを有してもよい。
【0012】
SNPは、生物学的マーカーとして作用し得る。一部のSNPは、薬剤応答及び特定の疾患を発症するリスクの予測に有用であることが見出されている。SNP遺伝子型判定は、ゲノム内のSNPの検出を指す。SNPを検出し、SNP遺伝子型判定を行う多数の方法がある。
【0013】
シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性又はリスクが増大するネコを特定する改善された方法を開発する必要性がある。ネコがシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクが比較的高いか、中程度か、低いかを判断するための方法を開発する必要性がある。少なくとも遺伝子マーカー又は表現型形質を有するネコの亜集団において、シュウ酸カルシウム膀胱結石を発症するリスクを減少させる組成物及び方法を含む、シュウ酸カルシウム膀胱結石を発症するリスクを減少させる改善された組成物及び方法に対する必要性がある。遺伝子マーカー又は表現型形質を有する少なくとも一つのネコの亜集団において、シュウ酸カルシウム結石形成を予防する改善された組成物及び方法に対する必要性がある。シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性又はリスクを減少させるために、治療から利益を得るネコを特定する方法を開発する必要性がある。そのような方法で有用なキット、試薬、その他の物品、及び組成物に対する必要性がある。
【発明の概要】
【0014】
SNP A1_212891692のマイナーアレルAの一つ又は二つのコピーの存在について、ネコ対象から得られた生体試料を分析することを含む方法が提供される。SNP A1_212891692のマイナーアレルAの一つ又は二つのコピーを有するネコ対象は、ネコ対象が、シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増加することを示す。一部の実施形態では、試料は、DNAシークエンシング、制限酵素消化、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ハイブリダイゼーション、リアルタイムPCR、逆転写酵素PCR、又はリガーゼ連鎖反応を実行することによって分析される。一部の実施形態では、試料はゲノムDNA試料である。一部の実施形態では、試料は、ネコ対象の血液、唾液、卵胞根、鼻腔スワブ、又は口腔スワブ、好ましくは唾液から取得される。一部の実施形態では、試料は、全ゲノムSNPチップを使用した解析、一本鎖高次構造多型分析(SSCP)アッセイ、制限断片長多型(RFLP)、自動蛍光シークエンシング;クランプ変性ゲル電気泳動(CDGE)、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、モビリティシフト分析、制限酵素分析、ヘテロ二本鎖分析、化学ミスマッチ切断(CMC)、RNase保護アッセイ、ヌクレオチドミスマッチを認識するポリペプチドの使用、アレル特異的PCR、配列解析、及びSNP遺伝子型解析から選択される少なくとも一つの核酸解析技術を実行することによって分析される。一部の実施形態では、試料は、ハイブリダイゼーションベースの方法、酵素ベースの方法、DNAの物理的特性に基づく増幅後の方法、及びシークエンシング方法から選択される少なくとも一つの核酸解析技術を実行することによって分析される。
【0015】
ネコ対象から得られた生体試料を分析して、ネコ対象のベータ-アミノイソブチレート(BAIB)濃度を決定することを含む方法が提供される。ネコ対象のBAIB濃度は、ポジティブ参照BAIB濃度値又はポジティブ対照からの測定値と比較され得る。シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増大したネコのBAIB濃度を表す、ポジティブ参照BAIB濃度値。ポジティブ対照試料は、シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増大したネコのBAIB濃度を表す濃度のBAIBを含有する。BAIB濃度が、ポジティブ参照BAIB濃度値又はポジティブ対照の測定されたBAIB濃度以上であるネコ対象は、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増大したことを示す。
【0016】
ネコ対象から得られた生体試料を分析して、ネコ対象の2-オキソアルギニン濃度を決定することを含む方法が提供される。ネコ対象の2-オキソアルギニン濃度は、ポジティブ参照2-オキソアルギニン濃度値、又はポジティブ対照からの測定値と比較され得る。シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増大したネコの2-オキソアルギニン濃度を表す、ポジティブ参照2-オキソアルギニン濃度値。ポジティブ対照試料は、シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増大したネコの2-オキソアルギニン濃度を表す濃度の2-オキソアルギニンを含有する。2-オキソアルギニン濃度が、ポジティブ参照2-オキソアルギニン濃度値又はポジティブ対照の測定された2-オキソアルギニン濃度以下であるネコ対象は、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増大したことを示す。
【0017】
ネコ対象におけるシュウ酸カルシウム結石形成のリスクを低減する方法が提供される。本方法は、ネコ対象をシュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増大したネコ対象であると識別するステップと、ネコ対象に低アルギニン食を与えるステップとを含む。ネコ対象は、SNP A1_212891692のマイナーアレルAの一つ又は二つのコピーの存在を検出し、及び/又はネコ対象のBAIBレベルを検出し、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増加したことを示すと判定することによって、シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増加したネコ対象として識別される。一部の実施形態では、ネコ対象は、乾燥物質の毎日の摂取量に基づく栄養摂取量の割合として、1.84%以下のアルギニンを含有する低アルギニン食を与えられる。
【0018】
乾燥重量に基づいて、1.84%以下のアルギニンを含む、ネコ食物組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好適な実施形態の以下の説明は、本質的に単に例示的であり、いかなる点においても本発明、その適用、又は用途を制限することは意図されていない。
【0020】
本発明で使用する場合、及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が別様を明確に規定しない限り、複数形を含む。
【0021】
「ネコ」という用語は、飼いネコ又は家ネコ又はFelis domesticusとして知られるコンパニオンアニマルであるネコを含む。用語「ネコ(cat)」は、用語「ネコ(feline)」の同義語である。
【0022】
本明細書に記載されるように、シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性又はリスクの増加は、個々のネコがシュウ酸カルシウム結石を発症する確率が、ネコの集団のそれと比較して、平均よりも高いことを指す。AA遺伝子型を有するネコのシュウ酸カルシウム結石の発症率は、GG遺伝子型を有するネコのシュウ酸カルシウム結石の発症率よりも高い。すなわち、AA遺伝子型を有するネコの集団では、シュウ酸カルシウム結石を発症するGG遺伝子型を有するネコの割合と比較して、より大きな割合でシュウ酸カルシウム結石を発症する。以下に記載されるように、本明細書に記載される研究において、GG遺伝子型を有するネコは、結石形成の発症率が最も低く(8.5%)、AG遺伝子型を有するネコは、発症率が中間レベル(12.6%)であり、AA遺伝子型を有するネコは、最も高い発症率(23.3%)であった。したがって、AA及びAG遺伝子型を有するネコは、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクが高くなる。
【0023】
シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクの高いネコ対象を特定する方法、及びシュウ酸カルシウム結石形成のリスクを低減するために、このようなネコ対象を治療する方法が提供される。治療方法は、ネコ対象に低アルギニン食を与えるステップを含み、これは一部の実施形態では、食物繊維も高い。一部の実施形態では、シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増大したネコを特定する方法、及びシュウ酸カルシウム結石形成のリスクを低減するためにこのようなネコ対象を治療する方法は、ネコ対象からの試料を分析し、ネコ対象がSNP A1_212891692(felCat8)のAA又はAG遺伝子型を有するかどうかを判定することを含む。一部の実施形態では、このような治療から利益を得るであろうネコ対象を特定して、シュウ酸カルシウム膀胱結石の発症の可能性を減少させる方法は、ネコ対象からの試料を分析して、循環ベータ-アミノイソブチレート(BAIB)レベルが、治療から利益を得るであろうネコ対象を示すかどうかを決定する。
【0024】
シュウ酸カルシウム膀胱結石の可能性又はリスクが増加したネコ対象を治療して、シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性を減少させる方法が提供される。一部の実施形態である、ネコ対象に低アルギニン食を与えることを含む、シュウ酸カルシウム結石形成のリスクを減少させる治療は、高食物繊維含有量を有する。一部の実施形態では、本方法は、シュウ酸カルシウム膀胱結石の発症の可能性を低減するために、シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増大したとしてネコ対象を識別するステップと、その後、ネコ対象に低アルギニン食を与えるステップとを含み、一部の実施形態は、高食物繊維含有量を有する。ネコ対象は、ネコ対象がSNP A1_212891692(felCat8)に対するAA又はAG遺伝子型を有するかどうかを判断し、及び/又は循環BAIBのレベルが、治療から利益を受けるであろうネコ対象を示すかどうかを判断することによって、シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクが増大するとして特定され得る。
【0025】
低アルギニン含有量を有する毎日の食事として役立つことができる組成物が提供される。本方法において有用な組成物は、キャットフード組成物であってもよい。
【0026】
本明細書で使用される場合、低アルギニン食とは、総乾燥重量(カロリーではない)の割合に基づく一日の総栄養摂取量の割合として表される、低レベルのアルギニンを有する毎日の食事を指す。低レベルのアルギニンは、総乾燥重量の割合に基づく一日の総栄養摂取量の割合として、アルギニンの1.84%以下に相当する。一部の実施形態では、低アルギニン食は、総乾燥重量の割合に基づく一日の総栄養摂取量の割合として、1.04~1.84%のアルギニンを指す。一部の実施形態では、低アルギニン食は、総乾燥重量の割合に基づく一日の総栄養摂取量の割合として表される、1.21%以下のアルギニンを有する毎日の食事を指す。一部の実施形態では、低アルギニン食は、総乾燥重量の割合に基づく一日の総栄養摂取量の割合として表される、1.11%以下のアルギニンを有する毎日の食事を指す。一部の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、1.04%未満のアルギニンを含有する食品組成物を含む。以下の表14は、表10からの抜粋であり、これは参照テキストの“Nutrient Requirements of Domestic Animals:Nutrient Requirements of cats,Revised Edition,National Academy Press Washington.DC.1986.page 63-67” に記載されており、ここにはキャットフード組成物に使用される様々なタンパク質源に含まれる特定のアミノ酸の割合が列挙されている。表14の抜粋部分は、アルギニンの割合を示す。当業者は、Official Publication of the Association of American Feed Control Officials,Inc.(AAFCO)、Atlanta、Ga.,(2012)に開示されているように、ネコの一日の栄養要件を提供するために適切なキャットフードを容易に調合することができる。“Nutrient Requirements of Domestic Animals:Nutrient Requirements of cats,Revised Edition,National Academy Press Washington.DC.1986.page 63-67”の表を使用して(参考文献で表10と指定され、本明細書の表14に関連部分を抜粋した)、当業者であれば、総乾燥重量の割合に基づく一日の総栄養摂取量の1.84%以下にアルギニンのレベルを制限しながら、一部の実施形態では、総乾燥重量の割合に基づく一日の総栄養摂取量の1.04~1.84%のアルギニンのレベルで、一部の実施形態では、総乾燥重量の割合に基づく一日の総栄養摂取量の1.21%以下のアルギニンのレベルで、一部の実施形態では、総乾燥重量の割合に基づく一日の総栄養摂取量の1.11%以下のアルギニンのレベルで、毎日の栄養要件を提供するための適切なキャットフードを容易に調合することができる。
【0027】
「食物」、「食物組成物」、「ペットフード組成物」、又は「キャットフード組成物」は、一部の実施形態では、それが摂食されるネコの栄養的に完全な食事であり得る。
【0028】
本明細書で使用される場合、「成分」は、組成物の任意の要素を指す。
【0029】
用語「栄養素」は、栄養を提供する物質を指す。いくつかの事例では、成分は、一つ又は複数の「栄養素」を含んでもよく、例えば、組成物は、タンパク質及び炭水化物の両方を含む重要な栄養素を含むトウモロコシを含んでもよい。
【0030】
食物組成物は、キャットフードの形態で提供され得る。一般的に知られているさまざまなタイプのキャットフードをネコの飼い主は入手することができる。キャットフードの選択としては、ウェットキャットフード、セミモイストキャットフード、ドライキャットフード、及びキャットのトリーツが挙げられるがこれらに限定されない。ウェットキャットフードは、一般的に約65%を超える含水量を持つ。セミモイストキャットフードは一般的に約20%~約65%の含水量を持ち、湿潤剤、ソルビン酸カリウム、及び微生物増殖(細菌及びカビ)を防ぐためのその他の成分を含む場合がある。食物キブルを含むがこれに限定されないドライキャットフードは、一般的に約15%未満の含水量を持つ。ペットのトリーツは、典型的には、セミモイスト、かむことができるトリーツ、任意の数の形態の乾燥したトリーツ、又は焼いた、押し出された、もしくは打ち抜かれたトリーツ、糖菓トリーツ、又は当業者に知られているその他の種類のトリーツであってもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、「キブル」又は「食物キブル」という用語は、ネコの餌の特定のペレット様成分を指す。一部の実施形態では、食物キブルは15重量%未満の含水量又は水分を有する。食物キブルは、硬いものから柔らかいものまでの広い範囲の質感に及びうる。食物キブルは、膨らんだものから高密度のものまで広い範囲の内部構造に及びうる。食物キブルは押し出しプロセス又は焼成プロセスによって形成されうる。非限定的な例では、食物キブルは均一な内部構造又は変動する内部構造を持ちうる。例えば、食物キブルは被覆したキブルを形成するためにコア及び被覆を含んでもよい。「キブル」又は「食物キブル」という用語が使用される時、それは被覆されていないキブル又は被覆されたキブルを指すことができることを理解すべきである。
【0032】
本明細書で使用される場合、「押し出す」又は「押し出し」という用語は、前処理され、かつ/又は調製された成分混合物を、押出機を通して送るプロセスを指す。押し出しの一部の実施形態では、食物キブルは押し出しプロセスによって形成され、湿った成分及び乾燥した成分の混合物を含むキブル生地を、食物キブル形成するために熱及び圧力下で押し出すことができる。任意のタイプの押出機を使用することができ、その例としては、単軸スクリュー押出機及び二軸スクリュー押出機が挙げられるがこれらに限定されない。以下に記述される供給源、成分、及び成分のリストは、その組み合わせ及び混合物も企図され、本明細書の範囲内となるようにリストされている。
【0033】
本明細書で意図されるように、組成物は、栄養的に完全かつバランスのとれたキャットフード組成物を包含することを意味するが、これらに限定されない。「栄養的に完全な食事」とは、食事に関して、健康なネコの通常の健康を維持するのに十分な栄養素を含み得る食事である。栄養的に完全なバランスの取れたキャットフード組成物は当業者によく知られている。例えば、栄養的に完全でバランスの取れた動物飼料組成物に好適な栄養素及び成分などの物質、ならびにそれらの推奨量は、例えばOfficial Publication of the Association of American Feed Control Officials,Inc.(AAFCO)、Atlanta、Ga.、(2012)に見つけることができる。
【0034】
リスク低減のための治療に対する応答性を示す遺伝要因
【0035】
遺伝要因は、シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクを増加に関連していることが特定されている。ネココロニーのゲノムワイドな研究を通して、AGXT2遺伝子から下流にある一塩基多型(SNP A1_212891692、felCat8;A1_212069607、felCat5に対応する)が特定されており、シュウ酸カルシウム結石形成の可能性又はリスクの増加、及び低アルギニン食を含む治療がリスクを減少させるために有効であり得るかどうかに関連する。特に、マイナーアレル(AA遺伝子型)の二つのコピーの存在は、シュウ酸カルシウム結石形成の高い可能性又はリスクと関連しており、マイナーアレルの一つのコピー及びメジャーアレルの一つのコピー(AG遺伝子型)の存在は、シュウ酸カルシウム結石形成の中程度の可能性又はリスクと関連している。AA及びGG遺伝子型を有するネコは、ネコにおけるシュウ酸カルシウム結石形成のリスクを低減するために、本明細書に記載される治療に特に反応する。
【0036】
AGXT2(アラニン-グリオキシル酸アミノトランスフェラーゼ2)遺伝子と、アルギニンのアミノ基転移の産物である2-オキソアルギニンの循環濃度との間に関係があることを示したゲノムワイド関連解析を実施した。AA及びAG遺伝子型は、GG遺伝子型と比較して、ベータ-アミノイソブチレート(BAIB)の濃度が増加した。AGXT2によってコードされたタンパク質は、クラスIIIピリドキサール-リン酸依存性ミトコンドリアアミノトランスフェラーゼである。これは、アミノドナーとしてL-アラニンを使用してグリオキシル酸からグリシンへ変換するための触媒として知られている。この遺伝子の多型は、BAIB濃度とも関連している。AGXT2は、ジメチルアルギニン(ADMA)の一つを基質として、BAIBを生成物として有する。AGXT2多型は、BAIB濃度だけでなく、結石形成にも関連している。
【0037】
GG遺伝子型は、結石形成の発症率が最も低く(8.5%)、AGは中程度(12.6%)で、AAが最も高い(23.3%)。これらの結石形成のより高い発症率は、BAIB濃度の増加と関連していた。相対的単位では、AA遺伝子型ではBAIBの濃度は6.8、AGを有するネコでは3.0、GGを有するネコでは、BAIBの濃度は1.7であった。各遺伝子型で結石を生じたネコは、その遺伝子型の非結石形成ネコよりも高いBAIB濃度を有していた。各遺伝子型を単位として使用して、結石形成ネコではBAIB濃度に平均38%の増加があった。要約すると、BAIBが最も高い遺伝子型は、結石形成が最も高く、各遺伝子型で、結石形成ネコは、BAIB濃度が高かった。
【0038】
AGXT2多型のAA又はAG遺伝子型を有するネコは、食物のアミノ酸アルギニンの減少を通じて、シュウ酸カルシウム結石リスクのバイオマーカーであるBAIBの有意な減少を示す。生データを以下の表17~20に示す。
【0039】
AGXT2多型と循環BAIBレベルとの関係も観察されている。
【0040】
AA及びAG遺伝子型を有するネコは、低アルギニン食を投与することを含む、シュウ酸カルシウム結石形成のリスクを減少させる治療に応答する。したがって、ネコ対象からの試料中のネコAGTX2 遺伝子の下流にあるSNP A1_212891692(felCat8)における特定の遺伝子型を決定することは、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクがより高いかどうか、したがって低アルギニン食から利益を得るかどうかを決定するための正確な基礎を提供する。
【0041】
SNP A1_212891692でのネコ遺伝子多型を使用して、ネコ対象が、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクが高いネコであることを識別することができる。SNP A1_212891692のAA又はAG遺伝子型を有するネコは、低アルギニン食から利益を得るであろう。AA遺伝子型(2マイナーアレル遺伝子型又はホモ接合性マイナーアレル遺伝子型とも呼ばれる)は、SNP A1_212891692 の両方のコピーに存在するマイナーアレルAを有するネコを指す。AG遺伝子型(マイナー-メジャーアレル遺伝子型又はヘテロ接合性遺伝子型とも呼ばれる)は、SNP A1_212891692の両方のコピーにマイナーアレルAの一つのコピー及びメジャーアレルGの一つのコピーが存在するネコを指す。
【0042】
遺伝子型の差異は、検出可能な表現型の差異に転換する。AA及びAG遺伝子型を有するネコは、GG遺伝子型を有するネコのレベルと比較して、循環BAIBレベルに検出可能な差を有する。AA遺伝子型を有するネコは、GG遺伝子型を有するネコの生体試料からのBAIBのレベルと比較して、より高いレベルのBAIBを有する。AG遺伝子型を有するネコのBAIBレベルは、AA遺伝子型を有するネコより低く、GG遺伝子型を有するネコより高い。
【0043】
したがって、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクが高いネコを識別するために遺伝子型を決定することに加えて、又はその代わりに、表現型の差異、すなわちBAIBレベルを使用して、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクが高いかどうかを特定することもできる。
【0044】
遺伝子型解析及び表現型解析を個別に、又は組み合わせて使用することにより、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクが高いネコ対象を特定し、低アルギニン食を与えることによって、このようなネコのシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクを減少させる方法について確認、及びより高い精度を提供することができる。一部の実施形態では、ネコからの試料は遺伝子型について分析される。シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクの高いネコとしてネコ対象を特定するには、以下の解析のうちの一つまたは複数を実施することができる:ネコ対象からの試料を使用した遺伝子型解析は、ネコ対象がAA又はAG遺伝子型を有すると判定するために行われてもよく、及び/又はネコ対象からの試料を使用した表現型解析は、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクの高いネコであることを示すBAIBレベルを識別するために行われてもよい。一部の実施形態では、遺伝子型解析のみが実施される。一部の実施形態では、遺伝子型解析及びBAIBレベルの解析の組み合わせが実施される。
【0045】
シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性又はリスクが高いと特定されたネコ対象においてシュウ酸カルシウム結石の発症の可能性又はリスクを減少させるために使用される治療は、ネコ対象に低アルギニン食を与えることを含む。シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を減少させるためにネコを治療する方法が提供され、これは、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクが高いネコとしてネコ対象を特定し、そのネコに低アルギニン食を与えることを含む。一部の実施形態では、低アルギニン食も高食物繊維食である。一部の実施形態では、治療方法は、1)a)SNP A1_212891692の遺伝子型解析及び/又はb)シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性の増加を示すBAIBレベルを特定する表現型解析を実行することによって、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクのいずれかが高いネコとしてネコを識別するステップ、及び2)ネコに低アルギニン食を与えるステップを含む。
【0046】
シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクのいずれかが高いネコとしてネコ対象を識別する方法に有用なキット、試薬、その他の物品、及び組成物が提供される。キット、試薬、その他の物品、及び組成物は、遺伝子型を評価する方法、及び/又はBAIBレベルを評価する方法に有用であり得る。BAIBレベルを評価する方法に有用なキット、試薬、その他の物品、及び組成物は、このようなBAIBレベルを測定するアッセイに有用な試薬を含んでもよく、またポジティブ対照試料及びネガティブ対照試料を含んでもよい。
【0047】
ネコ対象を治療して、シュウ酸カルシウム結石の形成を予防、可能性の低減、発症の遅延、及び/又は重症度の減少させるために、方法に有用なキット、試薬、その他の物品、及び組成物が提供される。本明細書に提供される様々な方法によって、ネコ対象は、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性が高い、又はシュウ酸カルシウム結石形成のリスクを減少させる治療から利益を得る可能性があるものとして特定され得る。シュウ酸カルシウム結石形成の予防、可能性の低減、発症の遅延、及び/又は重症度の軽減のためのネコ対象の治療方法は、ネコ対象に低アルギニン食を与えることを含み得る。
【0048】
AGXT2遺伝子の下流の染色体1上のSNP A1_212891692(felCat8)でのネコの遺伝子型、ベータ-アミノイソブチレート(BAIB)濃度、及びシュウ酸カルシウム結石形成の発症率には関連がある。表1に示すように、マイナーアレル(AA遺伝子型)の二つのコピーを有するネコは、シュウ酸カルシウム結石形成の最も高い発症率を有した。メジャーアレル(GG遺伝子型)の二つのコピーを有するネコは、シュウ酸カルシウム結石形成の最も低い発症率を有した。メジャーアレルの一つのコピー、及びマイナーアレルの一つのコピー(AG遺伝子型)有するネコにおけるシュウ酸カルシウム結石形成の発症率は、二つのホモ接合性遺伝子型の間であった。AGTX2遺伝子中のこれらの多型は、BAIB濃度とも関連付けられている。AA遺伝子型を有するネコは、AG遺伝子型を有するネコにおけるBAIB濃度と比較して、BAIB濃度が増加した。GG遺伝子型を有するネコは、AG及びAA遺伝子型を有するネコのBAIB濃度と比較して、BAIB濃度が最も低かった。表1は、BAIBの相対濃度を示す。
【0049】
【0050】
シュウ酸カルシウム結石形成の発症率とBAIB濃度との間の関連付けを、各遺伝子型で分析した。各遺伝子型でシュウ酸カルシウム結石を生じたネコは、その遺伝子型の非結石形成ネコよりも高いBAIB濃度を有していた(表2)。各遺伝子型を単位として使用して、結石形成ネコではBAIB濃度に平均38%の増加があった。
【0051】
【0052】
BAIBが最も高い遺伝子型(AA遺伝子型)は、結石形成が最も高く(表1)、各遺伝子型で、結石形成ネコは、BAIB濃度が高かった(表2)。シュウ酸カルシウム結石形成の発症率が高いため、AGXT2遺伝子にAアレルを保有するネコの健康状態が大幅に低下する。シュウ酸カルシウム結石形成の発症率が高いことは、BAIBの循環濃度の増加に関連している。本明細書に提供される方法は、AA及びAG遺伝子型を有するネコにおけるBAIBレベルを減少させ、それによって改善する。治療は、この多型に関連するシュウ酸カルシウム結石の発症率を減少させることを目的とする。
【0053】
ネコAGTX2遺伝子の下流にあるSNP A1_212891692(felCat8)の特定の遺伝子型を有する個々のネコは、ネコにおけるシュウ酸カルシウム結石形成の可能性を評価する、又は相対的リスクを予測するための正確な基礎を提供する。SNP A1_212891692(felCat8)としてのネコ遺伝子多型を使用して、シュウ酸カルシウム結石を発症するリスクの高いネコを特定することができる。ホモ接合性マイナーアレル遺伝子型AAはまた、2マイナーアレル遺伝子型又はAA遺伝子型とも呼ばれ得る。ヘテロ接合性メジャー-マイナーアレル遺伝子型AGはまた、メジャー-マイナーアレル遺伝子型又はAG遺伝子型とも呼ばれ得る。ホモ接合性メジャーアレル遺伝子型GGはまた、2メジャーアレル遺伝子型又はGG遺伝子型とも呼ばれ得る。
【0054】
遺伝子型とシュウ酸カルシウム結石の発症の可能性との間には関連性がある。AA又はAG遺伝子型を有するネコは、GG遺伝子型を有するネコと比較して、シュウ酸カルシウム結石を発症するリスクが高くなる。リスクの高い二つの遺伝子型のうち、AA遺伝子型を有するネコは、AG遺伝子型を有するネコと比較して、シュウ酸カルシウム結石を発症するリスクが高くなる。したがって、シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性又はリスクの順序は、AA遺伝子型を有するネコが、リスク又は可能性が最も高く、高リスク又は高い可能性とも呼ばれ得る。GG遺伝子型を有するネコは、リスク又は可能性が最も低く、低リスク又は低い可能性とも呼ばれ得る。AG遺伝子型を有するネコは、中間又は中程度のリスク又は可能性を有する。
【0055】
したがって、ネコ対象からの試料を分析し、マイナーアレルAの一つ又は二つのコピーを特定することによって、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症するリスクが増加していると特定することができる。遺伝子型AG及びAAは、シュウ酸カルシウム結石を発症するリスクが高くなる。マイナーアレルAの二つのコピー、すなわちAA遺伝子型を有すると識別されたネコ対象は、シュウ酸カルシウム結石の発症の高リスク又は高い可能性を有すると称され得る。マイナーアレルAの一つのコピー、すなわちAG遺伝子型を有すると識別されたネコ対象は、シュウ酸カルシウム結石の発症のリスク又は可能性が、中等、中間または中程度であると称され得る。マイナーアレルAのコピーがゼロ、すなわちGG遺伝子型を有すると識別されたネコ対象は、シュウ酸カルシウム結石の発症の低リスク又は低い可能性を有すると称され得る。
【0056】
遺伝子型とBAIBレベルの間には関連性がある。AA遺伝子型を有するネコは、最も高いBAIB濃度を有する。GG遺伝子型を有するネコは、最も低いBAIB濃度を有する。AG遺伝子型を有するネコは、典型的には、GG遺伝子型を有するネコよりも高いBAIB濃度を有し、AA遺伝子型を有するネコよりも低いBAIB濃度を有する。
【0057】
AGXT2多型のAA又はAG遺伝子型を有するネコは、食物のアミノ酸アルギニンの減少によって有意な利益を受ける。食物のアミノ酸アルギニンの減少は、AGXT2多型のAA又はAG遺伝子型を有するネコにおいて、BAIBレベルの低下及びシュウ酸カルシウム結石形成の発症率の低下をもたらす。低アルギニン食を与えられたネコは、シュウ酸カルシウム結石を発症するリスク又は可能性が低くなる。
【0058】
したがって、AA又はAG遺伝子型の検出によって、シュウ酸カルシウム結石を発症するリスク又は可能性が高くなるネコ対象を特定するための方法が提供される。AA、AG、又はGG遺伝子型をそれぞれ検出することによって、シュウ酸カルシウム結石を発症するリスクもしくは可能性が高い、リスクもしくは可能性が中程度、又はリスクもしくは可能性が低いネコ対象を特定するための方法が提供される。AA又はAG遺伝子型を検出することによって、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するために、低アルギニン食治療から利益を得る可能性が高いネコ対象としてネコ対象を識別する方法が提供される。逆に、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するために、低アルギニン食治療から利益を得る可能性が高いネコではないネコ対象を識別する方法は、GG遺伝子型の検出を含み得る。a)ネコ対象をこのような治療から利益を得る可能性が高いネコ対象であると特定し、ネコ対象はAA又はAG遺伝子型を有すると特定され、b)食物のアミノ酸アルギニンのレベルが低下した食事をネコ対象に与えることによって、シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性を低減する方法も提供される。
【0059】
参照ゲノムfelCat8におけるSNP A1_212891692(以前は、参照ゲノムfelCat5においてSNP A1_212069607と呼称された)。
【0060】
SNP A1_212891692は、ネコ参照ゲノムfelCat8に列挙されたAGXT2遺伝子の下流のネコ染色体A1配列のSNPを指す。そのデータベースでは、SNP A1_212891692は、染色体A1塩基位置212891692を指す。SNP A1_212891692はAGXT2遺伝子の下流の配列内に位置する。
【0061】
FelCat8は、ネコの新しいDNA配列を使用して再アセンブルされた、ネコの改良された参照ゲノムである。FelCat5は、ネコの以前の参照ゲノムである。参照ゲノムfelCat8におけるSNP A1_212891692は、以前は、参照ゲノムfelCat5においてSNP A1_212069607と呼称されたSNPに対応する。SNPを含むfelCat5の配列は、felCat8に更新される。felCat8配列がより完全である。
【0062】
SNP A1_212891692はfelCat8の染色体A1塩基位置212891692に位置するSNPを指す。(felCat8中のSNP A1_212891692はfelCat5中のSNP A1_212069607であり、felCat5染色体A1塩基位置212069607を指す。)
【0063】
配列番号1は、SNP A1_212891692を含むfelCat8中の配列である。配列番号1は、felCat8中のchrA1:212891592-212891792である。
【0064】
>felCat8_dna range=chrA1:212891592-212891792 5’pad=0 3’pad=38鎖=+repeatMasking=なし
【0065】
配列番号1:
ATATGTTAGT ATCTCTACAT GTGGGAGAAC CAGATGTCAG 40
GTTCATGTAT GATACAGCAG GAAGAACACA GCACGGCCTT 80
TGAAGTATTC CTGTTTATAG [A/G]AATAATTCT TTCATATGCA 120
GGTACGTGTG TGTGTGTGTG TGTGTGTGTG TGTGTGTGTG 160
TGTGTATTTT ATAAAGGTAG CTACTCCTTA TTCATAGATA T 201
【0066】
配列番号1では、SNPは101位(201位の)にあり、これは212891692位で染色体A1に相当する。配列番号1は、SNPの100ヌクレオチド5’及びSNPの100ヌクレオチド3’を含む。配列番号1のヌクレオチド101(染色体A1のfelCat8の位置212891692)におけるSNPは、マイナーアレルA及びメジャーアレルGを代替ヌクレオチドとして示す。
【0067】
本明細書で使用される場合、多型の対象であり、本明細書で言及される遺伝子型判定であるSNPを参照する場合、SNP A1_212891692はfelCat8 及び felCat5(SNP A1_212069607)に提示される同じSNPを指すことが意図される。felCat8では、SNPは染色体1の位置212891692に位置し、felCat5では、SNPは染色体1の位置212069607に位置する。
【0068】
個別のネコのゲノム中のSNP検出に基づく、一つのAアレル及び一つのGアレル(AG遺伝子型)又は二つのAアレル(AA遺伝子型)の存在を使用して、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクが高いネコ対象を特定することができる。
【0069】
ネコ対象は、ネコ対象がAA又はAG遺伝子型を有することを示す遺伝子型判定結果によって、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクが高いネコであると識別される。ネコ対象を遺伝子型判定するために、一部の実施形態では、ネコ対象からの試料を、Gアレル及びAアレルの両方の存在について調査することができる。Gアレルの存在及びAアレルの非存在の検出は、GG遺伝子型を示す。Gアレル及びAアレルの存在の検出は、AG遺伝子型を示す。Gアレルの非存在及びAアレルの存在の検出は、AA遺伝子型を示す。一部の実施形態では、ネコ対象からの試料は、Gアレルのみの存在について調査されてもよく、それによって、Aアレルが存在するかどうか間接的にのみ決定することができる。Gアレルの非存在の検出は、AA遺伝子型を示す。
【0070】
ネコ対象は、SNP A1_212891692メジャーアレルG及びSNP A1_212891692マイナーアレルAの存在について、ネコ対象から得られた生体試料を調査することによって、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性又はリスクが高いネコであると特定され、それによって、ネコ対象がGG遺伝子型、AG遺伝子型、又はAA遺伝子型を有すると決定することを提供する。あるいは、ネコ対象から得られた生体試料は、SNP A1_212891692メジャーアレルGのみの二つのコピーの存在ついて調査してもよい。こうした例では、SNP A1_212891692メジャーアレルGのゼロコピーの検出は、二つのAAの間接的検出であり、それゆえAA遺伝子型である。メジャーアレルGについてのみを調べる場合、メジャーアレルGの存在の検出は、ネコ対象がGG遺伝子型又はAG遺伝子型のいずれかを有することを示し、従って、本発明の文脈では、最もリスクの高い群であるAA遺伝子型を有する対象を識別する方法としてのみ有用である。
【0071】
当業者は、参照ゲノムから配列に開示された座標を使用して、対象の遺伝子型を決定することができる。単一核酸多型SNP A1_212891692に関して遺伝子型を決定する方法が提供される。当業者は、本明細書に提供される情報を使用して、個々のネコの遺伝子型を決定することができる。一部の実施形態では、遺伝子型解析を実施するために使用される試料は、ゲノムDNA試料である。一部の実施形態では、試料は、ネコ対象の血液、唾液、卵胞根、鼻腔スワブ、又は口腔スワブから取得される。一部の実施形態では、生体試料は、PERFORMAgene PG-100 Oral sample collection it(DNA Genotek、OraSure Technologies,Inc.,Bethlehem、PA)などの市販のキットを使用して、ネコ対象から得られたゲノムDNA試料である。単一のSNPとしての特定のアレルの有無を決定する好ましい方法は、アレル特異的蛍光プローブを使用して、どのバリアントが試料中に存在するかを決定するためのPCRベースのアッセイである。
【0072】
一部の実施形態では、SNP A1-212069607に対する個々のネコの遺伝子型は、以下から選択される少なくとも一つの核酸解析技術を含む方法を使用して決定され得る:DNAシークエンシング、制限酵素消化、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ハイブリダイゼーション、リアルタイムPCR、逆転写酵素PCR、又はリガーゼ連鎖反応。
【0073】
一部の実施形態では、SNP A1-212069607に対する個々のネコ上の遺伝子型は、以下からなる群から選択される少なくとも一つの核酸解析技術を実施することによって決定され得る:全ゲノムSNPチップを使用した解析、一本鎖高次構造多型分析(SSCP)アッセイ;制限断片長多型(RFLP);自動蛍光シークエンシング;クランプ変性ゲル電気泳動(CDGE)、変性勾配ゲル電気泳動(DGGE)、可動性シフト分析;制限酵素分析;ヘテロ二本鎖分析;化学ミスマッチ切断(CMC)、RNase保護アッセイ;ヌクレオチドミスマッチを認識するポリペプチドの使用;アレル特異的PCR;配列解析;及びSNP遺伝子型解析を含む。
【0074】
一部の実施形態では、SNP A1-212069607に対する個々のネコ上の遺伝子型は、ハイブリダイゼーションベースの方法、酵素ベースの方法、DNAの物理的特性に基づく増幅後方法、及びシークエンシング方法からなる群から選択される方法を使用して決定され得る。
【0075】
一部の実施形態では、SNP A1-212069607に対する個々のネコ上の遺伝子型は、以下からなる種類の方法から選択される方法を使用して決定され得る:動的アレル特異的ハイブリダイゼーション、分子ビーコン法及びSNPマイクロアレイからなる群から選択されるハイブリダイゼーションベースの方法;制限断片長多型(RFLP)、PCRベースの方法、フラップエンドヌクレアーゼ、プライマー伸長法、5’-ヌクレアーゼ及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイからなる群から選択される酵素ベースの方法;一本鎖高次構造多型分析、温度勾配ゲル電気泳動、変性高速液体クロマトグラフィー、高分解能アンプリコン溶融、DNAミスマッチ結合タンパク質、SNPlex、及びサーベイヤーヌクレアーゼアッセイからなる群から選択されるDNAの物理的特性に基づく増幅後方法;ならびにシークエンシング方法。
【0076】
一部の実施形態では、SNP A1-212069607に対する個々のネコ上の遺伝子型は、SNP A1-212069607を、ゼロ、一つのコピー又は二つのコピーのメジャーアレル及び/又はマイナーアレルの存在について調査するための遺伝子マーカーを含む高密度アレイを使用して決定され得る。一部の実施形態では、低密度アレイを使用してもよい。一部の実施形態では、SNP A1-212069607に関して遺伝子型の試料を調査することに加えて、SNPの他の分析及び検出は、様々なSNPを検出することができる遺伝子マーカーを含む高密度アレイを使用して実施されてもよい。
【0077】
遺伝子型解析は、ハイブリダイゼーションベースの方法を使用して実施され得る。ハイブリダイゼーションベースの方法の例としては、動的アレル特異的ハイブリダイゼーション、分子ビーコンを用いる方法、及び高密度オリゴヌクレオチドSNPアレイ又は低密度オリゴヌクレオチドSNPアレイを含むSNPマイクロアレイを用いる方法が挙げられる。SNPは、相補的なDNAプローブをSNP部位にハイブリダイズすることによって調査することができる。動的アレル特異的ハイブリダイゼーションでは、ゲノムセグメントが増幅され、ビオチン化プライマーとのPCR反応を介してビーズに結合される。次いで、増幅された生成物をストレプトアビジンカラムに付着させ、洗浄して、非ビオチン化鎖を除去する。次いで、アレル特異的オリゴヌクレオチドは、二本鎖DNAに結合されたときに蛍光を発する分子の存在下で添加される。強度は、溶融温度(Tm)が決定され得るまで、温度が増加するにつれて測定される。SNPは、予想よりも低いTmによって検出される。特異的に操作された一本鎖オリゴヌクレオチドプローブは、分子ビーコンを使用するSNP検出で使用される。オリゴヌクレオチドが設計され、相補領域が各末端にあり、プローブ配列がその間に位置し、その結果、プローブは、その天然の単離された状態でヘアピン又はステムループ構造を取る。フルオロフォアは、プローブの一方の端に取り付けられ、蛍光クエンチャーは他方の端に取り付けられる。フルオロフォアは、オリゴがヘアピン構成であり、分子が蛍光を放出しない時に、クエンチャーに近接している。プローブ配列は、アッセイで使用されるゲノムDNAに対して相補的である。分子ビーコンのプローブ配列が、アッセイ中にその標的ゲノムDNAと遭遇した場合、アニーリング及びハイブリダイズする。オリゴは、ヘアピン構成を想定しなくなり、蛍光を発する。高密度オリゴヌクレオチドSNPアレイは、小さなチップ上にアレイされた数十万個のプローブを含み、多くのSNPを同時に調査することを可能にする。SNP部位をいくつかの異なる場所に有するように設計されたいくつかの冗長プローブ、ならびにSNPアレルとのミスマッチを含有することが、各SNPを調査するために使用される。これらの冗長プローブの各々に対する標的DNAのハイブリダイゼーションの異なる量により、特定のホモ接合性及びヘテロ接合性のアレルを決定することができる。
【0078】
遺伝子型解析は、酵素ベースの方法を使用して実施され得る。DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ、及びヌクレアーゼを含む広範な酵素が用いられてもよい。酵素ベースの方法の例としては、制限断片長多型(RFLP)に基づく方法、PCRベースの方法、フラップエンドヌクレアーゼを利用する方法、プライマー伸長を利用する方法、5’-ヌクレアーゼを利用する方法、及びオリゴヌクレオチドライゲーションアッセイを含む方法が挙げられる。SNPを検出するためのRFLP方法は、ゲノム試料を消化するために多くの異なる制限エンドヌクレアーゼを使用する。酵素が予想される制限部位を切断するかどうかは、ゲルアッセイを介して断片長を決定することによって確認することができる。RFLPアッセイは、SNPの存在下又は非存在下で切断する酵素を含むように設計され、断片長のパターンを使用して、SNPの存在又は非存在を決定することができる。PCRベースの方法には、テトラプライマー増幅難治性突然変異系PCR、又はARMS-PCR、及び複数のqPCR反応が含まれる。テトラプライマー増幅難治性突然変異系PCR、又はARMS-PCRは、二つの対のプライマーを使用して、一つのPCR反応において二つのアレルを増幅する。プライマーは、二つのプライマー対がSNP位置で重複するように設計されるが、各々が、可能性のあるSNPのうちの一つのみに完全に合致するように設計される。あるいは、複数のqPCR反応を、各アレルを別々に標的とする異なるプライマーセットで実行することができる。一部の実施形態は、構造特異的切断を触媒するエンドヌクレアーゼであるフラップエンドヌクレアーゼ(FEN)を利用する。この切断はミスマッチに非常に敏感であり、高い特異性を有するSNPを調査するために使用することができる。クレアバーゼと呼ばれるFENは、二つの特異的オリゴヌクレオチドプローブと組み合わされ、標的DNAと共に、クレアバーゼによって認識される三重アルタイト構造を形成することができる。Invaderオリゴヌクレオチドと呼ばれる第一のプローブは、標的DNAの3’末端に対して相補的である。Invaderオリゴヌクレオチドの最後の塩基は、標的DNA中のSNPヌクレオチドと重複する非合致の塩基である。第二のプローブは、標的DNAの5’末端に相補的であるが、SNPヌクレオチドの3’側を超えても延在するアレル特異的プローブである。アレル特異的プローブは、SNPヌクレオチドに相補的な塩基を含有する。
【0079】
プライマー伸長は、最初にSNPヌクレオチドのすぐ上流の塩基へのプローブのハイブリダイゼーションを伴い、続いて、DNAポリメラーゼがSNPヌクレオチドに相補的な塩基を付加することによってハイブリダイゼーションプライマーを伸長させる、2ステップのプロセスである。この組み込まれた塩基が検出され、SNPアレルが決定される。プライマー伸長法は、いくつかのアッセイフォーマットで使用される。これらのフォーマットは、MALDI-TOF質量分析法(Sequenomを参照)及びELISAのような方法を含む広範な検出技術を使用する。SequenomのiPLEX SNP遺伝子型解析方法は、MassARRAY質量分析計を使用する。プライマー伸長の柔軟性及び特異性により、ハイスループット分析に適している。プライマー伸長プローブをスライド上に配列付けすることができ、多くのSNPを一度に遺伝子型解析することができる。アレイドプライマー伸長(APEX)と呼ばれるこの技術は、プローブの示差ハイブリダイゼーションに基づく方法よりもいくつかの利点を有する。
【0080】
遺伝子型解析のいくつかの方法は、融解温度及び一本鎖構造などのDNAの物理的特性に基づく。一本鎖構造を使用する方法は、三次構造に折り畳まれる一本鎖DNA(ssDNA)に基づく。立体構造は配列依存性であり、ほとんどの単一塩基対変異は構造の形状を変化させる。ゲルに適用されるとき、三次形状は、ssDNAの可動性を決定し、SNPアレルを区別する機構を提供する。この方法は、最初に標的DNAのPCR増幅を伴う。二本鎖PCR産物は、熱及びホルムアルデヒドを使用して変性され、ssDNAが産生される。ssDNAは、非変性電気泳動ゲルに適用され、三次構造に折り畳まれる。DNA配列の差異は、三次構造を変化させ、ssDNA鎖の可動性における差異として検出される。温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)法又は温度勾配キャピラリー電気泳動(TGCE)法は、部分的に変性したDNAがより限定され、ゲル又は他の多孔質材料中でより遅く移動するという原理に基づく。別の方法では、変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)は、逆相HPLCを使用してSNPを調査する。DHPLCでは、固相が一本鎖DNAと二本鎖DNAに差親和性を有する。使用される別の方法は、アンプリコン全体の高分解能溶融である。DNAミスマッチ結合タンパク質を使用して、SNPを検出してもよい。サーマス・アクアティカス由来のMutSタンパク質は、異なる親和性を有する異なる一塩基ミスマッチを結合し、キャピラリー電気泳動において使用して、6組のミスマッチを全て区別することができる。SNPlexは、アプライドバイオシステムズ社が販売する独自の遺伝子型解析プラットフォームである。サーベイヤーヌクレアーゼアッセイは、全ての塩基置換及び小さな挿入/欠失(インデル)を認識し、両方のDNA鎖のミスマッチ部位の3’側を切断するミスマッチエンドヌクレアーゼ酵素である、サーベイヤーヌクレアーゼを使用する。シークエンシング技術は、SNP検出にも使用することができる。シークエンシング技術の進歩により、より実用的なシークエンシングによるSNP検出が可能となる。
【0081】
次世代シークエンシング技術を使用したシークエンシングによる遺伝子型解析は、一般的な慣行となっている。シークエンシングによる遺伝子型解析は、GBSとも呼ばれ、ゲノムワイド関連研究(GWAS)などの遺伝子型解析研究を実施するために、一塩基多型(SNP)を発見する方法である。GBSは、制限酵素を使用してゲノムの複雑さを低減し、複数のDNA試料を遺伝子型解析する。消化後、PCRを実施して断片プールを増加させ、その後、次世代シークエンシング技術を使用してGBSライブラリーを配列解析する。合成によるIlluminaショートリードシークエンシングやPacBioの単一分子リアルタイムシークエンシングなどの次世代シークエンシング技術の進歩に伴い、GBSを行うことがより実行可能になってきている。将来、ナノポアの単一分子配列決定などの新技術の開発により、全ゲノム配列決定/ゲノタイピングが可能になる可能性がある。
【0082】
BAIB濃度
【0083】
上述のように、BAIB濃度は遺伝子型との関連を有する。AA遺伝子型を有するネコは、AG及びGG遺伝子型を有するネコと比較して最も高いBAIB濃度を有し、AG遺伝子型を有するネコは、GG遺伝子型を有するネコと比較してより高いBAIB濃度を有する。上述のように、AA及びAG遺伝子型を有するネコ対象は、GG遺伝子型を有するネコと比較して、シュウ酸カルシウム結石を発症するリスク又は可能性が高くなる。したがって、AA及びAG遺伝子型を有するネコ対象に見られるような、より高いBAIB濃度を有するネコ対象は、GG遺伝子型のより低いBAIB濃度を有するネコと比較して、シュウ酸カルシウム結石を発症するリスク又は可能性が高くなる。BAIBレベルは、シュウ酸カルシウム結石の発症リスク又は可能性が高いネコ対象を識別するため、及びシュウ酸カルシウム結石の発症リスク又は可能性が高くないネコ対象を識別するための代理マーカーとして使用され得る。BAIBレベルは、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食を含む治療から利益を得るであろうネコ対象を識別するため、及びシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食を含む治療から利益を得ることはないであろうネコ対象を識別するための代用マーカーとして使用され得る。ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減する方法は、ネコ対象においてBAIB濃度を検出し、それらをポジティブ参照値又はポジティブ対照と比較することによって、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食を含む治療から利益を得るであろうネコとしてネコ対象を特定することを含み得る。治療から利益を得るであろうネコとして識別されたネコ対象は、次いでアルギニンの少ない食事を与えられる。
【0084】
BAIBは、以下の方法を使用して、以下の試料のうちのいずれか一つで検出することができる。
【0085】
表1及び表2は、様々な遺伝子型について平均BAIB濃度を提供する。こうした情報を使用して、ポジティブ参照BAIB濃度値を確立することができる。ポジティブ参照BAIB濃度値以上であるネコ対象からの試料中の検出可能なBAIB濃度は、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食での治療からネコ対象が利益を得ることを示す。ポジティブ参照BAIB濃度値は閾値として作用し、それ以上の検出レベルは、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食による治療から利益を得ることを示し、それ以下の検出レベルは、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食による治療から利益を得ないことを示す。ネガティブ参照BAIB濃度値もまた、閾値として作用するように設定することができ、そのネガティブ参照BAIB濃度値以下の検出レベルは、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食での治療から利益を得ないことを示す。より多くの対象についての追加データが生成されることで、ポジティブ参照BAIB濃度値及び任意のネガティブ参照BAIB濃度値を特定する精度及び正確さが、継続的に微調整される。
【0086】
表1及び表2のデータを使用して、ポジティブ参照BAIB濃度値を設定することに加えて、このデータを使用して、ポジティブ対照BAIB濃度試料を調製することもできる。ポジティブ対照試料は、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石の発症の可能性を低減するための低アルギニン食の治療から利益を得るか、又は利益を得ないかを判断するために、閾値濃度に対応する濃度でBAIBをスパイクした生体試料であってもよい。BAIB濃度は、より信頼性の高い結果を得るために、ネコ対象からの試料及びポジティブ対照について測定されることが好ましい。ネコ対象の試料から検出されたレベルがポジティブ対照以上であることは、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石の発症の可能性を減少させるための低アルギニン食での治療から利益を得ることを示す。ネコ対象の試料から検出されたレベルがポジティブ対照未満であることは、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石の発症の可能性を減少させるための低アルギニン食での治療から利益を得ないことを示す。ネガティブ対照BAIB濃度試料もまた、閾値濃度でネガティブ対照として機能するように調製することができ、ネガティブ対照BAIB濃度試料のBAIB濃度以下の検出レベルは、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食での治療から利益を得ないことを示す。ネガティブ対照試料は、BAIBを有しない生体試料などの検体をスパイクすることによって調製することができる。より多くの対象についての追加データが生成されることで、ポジティブ参照BAIB濃度値及び任意のネガティブ参照BAIB濃度値を特定する精度及び正確さが、継続的に微調整され、このような情報がポジティブ対照BAIB濃度試料及びネガティブ対照BAIB濃度試料の改善に使用される。
【0087】
シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性を低減するための治療方法は、ネコ対象からの試料中のBAIB濃度の検出を使用して、シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性を低減するための低アルギニン食での治療から利益を得るであろうネコとしてネコ対象を特定すること、検出されたレベルをポジティブ参照値又はポジティブ対照BAIB濃度試料中でBAIB濃度を測定するポジティブ対照アッセイの結果と比較することを含むことができる。そのような方法を使用して、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食による治療から利益を得るであろうネコとして特定されたネコ対象に、低アルギニン食を与えて、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減させる。
【0088】
2-オキソアルギニン濃度
【0089】
BAIB濃度に加えて、2-オキソアルギニン濃度も遺伝子型との関連を有する。AA遺伝子型を有するネコは、AG及びGG遺伝子型を有するネコと比較して最も低い2-オキソアルギニン濃度を有し、AG遺伝子型を有するネコは、GG遺伝子型を有するネコと比較してより低い2-オキソアルギニン濃度を有する(表16を参照)。上述のように、AA及びAG遺伝子型を有するネコ対象は、GG遺伝子型を有するネコと比較して、シュウ酸カルシウム結石を発症するリスク又は可能性が高くなる。したがって、AA及びAG遺伝子型を有するネコ対象に見られるような、2-オキソアルギニン濃度が低いネコ対象は、GG遺伝子型の2-オキソアルギニン濃度が高いネコと比較して、シュウ酸カルシウム結石を発症するリスク又は可能性が高くなる。2-オキソアルギニンレベルは、シュウ酸カルシウム結石の発症のリスク又は可能性が高いネコ対象を識別し、またシュウ酸カルシウム結石の発症のリスク又は可能性が高くないネコ対象を識別するための代理マーカーとして使用され得る。2-オキソアルギニンレベルは、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食を含む治療から利益を得るであろうネコ対象を識別するため、またシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食を含む治療から利益を得ることはないであろうネコ対象を識別するための代用マーカーとして使用され得る。ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減する方法は、ネコ対象において2-オキソアルギニン濃度を検出し、それらをポジティブ参照値又はポジティブ対照と比較することによって、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食を含む治療から利益を得るであろうネコとしてネコ対象を特定することを含み得る。治療から利益を得るであろうネコとして識別されたネコ対象は、次いでアルギニンの少ない食事を与えられる。
【0090】
2-オキソアルギニンは、周知の方法を使用して試料内で検出することができる。表16及び表2は、様々な遺伝子型について平均2-オキソアルギニン濃度を提供する。こうした情報を使用して、ポジティブ参照2-オキソアルギニン濃度値を確立することができる。ポジティブ参照2-オキソアルギニン濃度値以下であるネコ対象からの試料中の検出可能な2-オキソアルギニン濃度は、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食での治療からネコ対象が利益を得ることを示す。ポジティブ参照2-オキソアルギニン濃度値は、閾値として作用し、それ以下の検出レベルは、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食での治療から利益を得ることを示す。ネガティブ参照2-オキソアルギニン濃度値もまた、閾値として作用するように設定することができ、そのネガティブ参照2-オキソアルギニン濃度値以上の検出レベルは、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食での治療から利益を得ないことを示す。より多くの対象についての追加データが生成されることで、ポジティブ参照2-オキソアルギニン濃度値及び任意のネガティブ参照2-オキソアルギニン濃度値を特定する精度及び正確さが、継続的に微調整される。
【0091】
表16のデータを使用して、ポジティブ参照2-オキソアルギニン濃度値を設定することに加えて、このデータを使用して、ポジティブ対照2-オキソアルギニン濃度試料を調製することもできる。ポジティブ対照試料は、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石の発症の可能性を低減するための低アルギニン食の治療から利益を得るか、又は利益を得ないかを判断するために、閾値濃度に対応する濃度で2-オキソアルギニンをスパイクした生体試料であってもよい。2-オキソアルギニン濃度は、より信頼性の高い結果を得るために、ネコ対象からの試料及びポジティブ対照について測定されることが好ましい。ネコ対象の試料から検出されたレベルがポジティブ対照以下であることは、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石の発症の可能性を減少させるための低アルギニン食での治療から利益を得ることを示す。ネガティブ対照2-オキソアルギニン濃度試料もまた、閾値濃度でネガティブ対照として機能するように調製することができ、ネガティブ対照2-オキソアルギニン濃度試料の2-オキソアルギニン濃度以下の検出レベルは、ネコ対象がシュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食での治療から利益を得ないことを示す。ネガティブ対照試料は、2-オキソアルギニンを有しない生体試料などの検体をスパイクすることによって調製することができる。より多くの対象についての追加データが生成されることで、ポジティブ参照2-オキソアルギニン濃度値及び任意のネガティブ参照2-オキソアルギニン濃度値を特定する精度及び正確さが、継続的に微調整され、このような情報がポジティブ対照2-オキソアルギニン濃度試料及びネガティブ対照2-オキソアルギニン濃度試料の改善に使用される。
【0092】
シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性を低減するための治療方法は、ネコ対象からの試料中の2-オキソアルギニン濃度の検出を使用して、シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性を低減するための低アルギニン食での治療から利益を得るであろうネコとしてネコ対象を特定すること、検出されたレベルをポジティブ参照値又はポジティブ対照2-オキソアルギニン濃度試料中で2-オキソアルギニン濃度を測定するポジティブ対照アッセイの結果と比較することを含むことができる。そのような方法を使用して、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減するための低アルギニン食による治療から利益を得るであろうネコとして特定されたネコ対象に、低アルギニン食を与えて、シュウ酸カルシウム結石を発症する可能性を低減させる。
【0093】
組成物及び製剤
【0094】
上述の方法の適用は、シュウ酸カルシウム結石形成の可能性を減少させるための治療から利益を得るであろうと特定されたネコに有意な利益をもたらす組成物、食物、及び食事を提供するために組み合わされた生理活性食事成分を特定した。AA又はAG遺伝子型を有するネコ対象におけるシュウ酸カルシウム結石形成のリスクは、低アルギニン食を与えることによって有意に低減され得る。
【0095】
食物は、成体ネコのための栄養的に完全な食事である。特定の態様では、食物は、成人コンパニオンネコのために配合された栄養的に完全な食事である。
【0096】
一部の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、1.84%以下のアルギニンを含有する食品組成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて1.04~1.84%のアルギニンを含有する食品組成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、1.21%以下のアルギニンを含有する食品組成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、1.11%以下のアルギニンを含有する食品組成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、1.04%未満のアルギニンを含有する食品組成物を含む。組成物は、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて4%~75%以上の量のタンパク質、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて5%~50%以上の量の脂肪、及び乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて5%~75%以上の炭水化物を含み得、食物組成物は、ネコによる消費に適している。
【0097】
一部の実施形態では、栄養的に完全かつバランスのとれた低アルギニン(すなわち、)キャットフード組成物は、乾燥物質ベースで組成物の総重量に基づいて、1.84%以下のアルギニン、又は1.21%以下のアルギニン、又は1.11%以下のアルギニン、又は1.04%未満のアルギニン、又は1.04~1.84%のアルギニンを含み得、さらに4%~90%、5%~75%、10%~60%のタンパク質、及び15重量%~50重量%のタンパク質、0重量%~90重量%、2重量%~80重量%、5重量%~75重量%、及び10重量%~50重量%の炭水化物、2重量%~60重量%、5重量%~50重量%、10重量%~35重量%の脂肪を含み得る。組成物はさらに、0~15重量%又は2重量%~8重量%のビタミン及びミネラル、抗酸化物質、ならびに動物の栄養的必要性を支援する他の栄養素を含有してもよい。
【0098】
組成物内、特に本明細書に提供される方法に投与される食物中の含有に好適なタンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラル、バランス剤などの供給源は、当業者に公知の従来の材料から選択され得る。
【0099】
一部の実施形態では、食物組成物の成分として有用なタンパク質は、ほ乳類を含む動物タンパク質、鳥類タンパク質、爬虫類、両生類、魚類、無脊椎動物タンパク質及びその組み合わせを含む動物タンパク質等の動物由来のタンパク質;例えば、牛、ヒツジ、ブタ、ヤギ、シカ、ウサギ、ウマ、カンガルー由来、その乳、凝乳、乳清又は血液、ならびに平滑筋、横紋筋、肝臓、腎臓、腸又は心臓等の臓器由来であり、追加の鳥類のタンパク質源として、シチメンチョウ、ガチョウ、アヒル、ダチョウ、ウズラ、ハト、その卵ならびに平滑筋横紋筋、肝臓、腎臓、腸又は心臓等の臓器が挙げられ、両生類の供給源として、カエル又はサラマンダーが挙げられ、爬虫類のタンパク質源として、ワニ、トカゲ、カメ及びヘビが挙げられ、魚類タンパク質源として、ナマズ、ニシン、サーモン、マグロ、ブルーフィッシュ、タラ、オヒョウ、トラウト、メカジキ及びその卵が挙げられ、無脊椎動物タンパク質源として、ロブスター、カニ、ハマグリ、ムール貝又はカキ及びその組み合わせ、肉タンパク質単離物、乳清タンパク質単離物、卵タンパク質、その混合物等、ならびに大豆タンパク質単離物、コーングルテンミール、小麦グルテン、その混合物等のタンパク質を含み得る。
【0100】
一部の実施形態では、食物組成物の成分として有用な炭水化物には、限定されるものではないが、トウモロコシ、ホールイエローコーン、穀物ソルガム、小麦、大麦、米、キビ、酒米、オート麦挽き割り粉、及び多糖類(例えば、デンプン及びデキストリン)、ならびに加水分解されるとエネルギー代謝される糖類(例えば、ショ糖、ラクトース、マルトース、グルコース及び果糖)のうちの一つ又は複数を含み得る。本明細書に開示される組成物への含有に適した追加の炭水化物源の例としては、果物及び非トマトのかす野菜が挙げられる。
【0101】
食物組成物の成分として有用な脂肪は、以下に限定されないが、家禽脂肪、牛脂、ラード、choice white grease、大豆油、トウモロコシ油、キャノーラ油、ヒマワリ油、その混合物などの任意の供給源由来であってもよい。脂肪は、食物組成物内に完全に組み込まれてもよく、食物組成物の外側に堆積されてもよく、又は二つの方法の混合物であってもよい。
【0102】
一部の実施形態では、組成物は、グルコサミン、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、メチルスルホニルメタン(MSM)、クレアチン、抗酸化物質、ペルナカナリキュラータ、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、及びそれらの混合物からなる群から選択される一つ又は複数の物質の有効量をさらに含む。
【0103】
一部の実施形態では、食物組成物は、さらに、限定されないが、アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン(DL-メチオニン及びL-メチオニンを含む)、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、バリン、タウリン、カルニチン、アラニン、アスパラギン酸塩、シスチン、グルタミン酸塩、グルタミン、グリシン、プロリン、セリン、チロシン、及びヒドロキシプロリン等の一つ又は複数のアミノ酸を含む。
【0104】
一部の実施形態では、食物組成物は、さらに、限定されないが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、マルガロレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、g-リノレン酸、a-リノレン酸、ステアリドン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、DHGLA、アラキドン酸、エイコサテトラ酸、EPA、ベヘン酸、エルカ酸、ドコサテトラ酸、及びDPAなどであるがこれらに限定されない一つ又は複数の脂肪酸を含む。
【0105】
一部の実施形態では、食物組成物は、さらに、限定されないが、水分、タンパク質、脂肪、粗繊維、灰分、食物繊維、可溶性繊維、不溶性繊維、ラフィノース、及びスタキオース等の一つ又は複数の多量栄養素を含む。
【0106】
一部の実施形態では、食物組成物は、さらに、β-カロテン、α-リポ酸、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、リコペン、ルテイン、及びケルセチンなどであるがこれらに限定されない一つ又は複数の微量栄養素を含む。
【0107】
一部の実施形態では、食物組成物は、さらに、カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩素、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨード、セレン、セレン、コバルト、硫黄、フッ素、クロム、ホウ素、及びシュウ酸塩などであるがこれらに限定されない一つ又は複数の無機物を含む。
【0108】
一部の実施形態では、食物組成物は、さらに、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、キヌア穀物、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ピリドキシン、パントテン酸、葉酸、ビタミンB12、ビオチン、及びコリンなどであるがこれらに限定されない一つ又は複数の他のビタミンを含む。
【0109】
一部の実施形態では、食物組成物は、食物繊維をさらに含み、食物繊維は、例えば、セルロース、ビートパルプ、ピーナッツ殻、及び大豆食物繊維を含む、様々な供給源から供給され得る。
【0110】
一部の実施形態では、食物組成物は、安定化物質、例えば、組成物の貯蔵寿命を延ばす傾向がある物質をさらに含む。このような物質の潜在的に適切な例として、例えば、防腐剤、抗酸化剤、協力剤及び捕捉剤、包装ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、並びに湿潤剤が挙げられる。乳化剤及び/又は増粘剤の例としては、例えば、ゼラチン、セルロースエーテル、デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル、及び加工デンプンが挙げられる。
【0111】
一部の実施形態では、食物組成物は、着色、嗜好性、及び栄養の目的のための意図される添加剤として、例えば、着色剤、酸化鉄、塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、及びその他の食用塩類、ビタミン、鉱物、及び香料を含み得る。組成物中のこのような添加剤の量は、一般的には、最大5%(組成物の乾量基準)である。
【0112】
組成物の調製
【0113】
低アルギニン組成物は、ネコによる消費に適した食品として調製されてもよい。これらの食物は、任意の一貫性又は水分含量であってもよく、すなわち、組成物は、湿潤、半湿性、又は乾燥食物であってもよい。「湿った」食物は、一般に60%~90%以上の水分含量を有する食物である。「乾燥」食物は、一般に、3%~11%の水分含量を有する食物であり、小片又はキブルの形態で製造されることが多い。「半湿性」の食物は、一般的に25%~35%の水分含量を有する。食物はまた、例えば、柔らかい、噛みごたえのある肉のような粒子又は破片、ならびに外側穀物成分又はコーティング及び内側「クリーム」成分を有するキブルなどの、一つ又は複数の一貫性を有する成分を含んでもよい。
【0114】
低アルギニン食品は、当業者に公知の従来的な食物調製プロセスを使用して、缶詰又は湿潤形態で調製されてもよい。通常、粉砕した動物タンパク質組織を、穀粒、適切な炭水化物源、脂肪、油、及び調製成分等のその他の成分と混合し、ビタミン及びミネラル混合物、無機塩、セルロース、ビートパルプ等、及び加工に充分な量の水を含む。これらの成分は、成分のブレンド中に加熱を行うのに好適な容器中で混合する。例えば、直接の蒸気注入による、又は熱交換器を備えた容器を使用することによる等の、任意の好適な方法を使用して、混合物の加熱を行うことができる。配合物の全ての成分の添加後、混合物は50°F~212°Fの温度に加熱される。この範囲外の温度を使用することができるが、他の加工助剤を使用しない商業的に実用的でない場合がある。適切な温度まで加熱をすると、材料は通常、粘性液体の形態であり、缶に分注する。蓋を付け、容器を密閉する。次いで、密閉した缶を、内容物を殺菌するために設計した従来の装置の中に配置する。殺菌は、通常、約230℃を超える温度まで、使用する温度及び組成物及び関連の要因に依存して、適切な時間加熱することにより達成することができる。本発明の組成物及び食物はまた、それらの調製の前、最中、又は後に、食物組成物に添加されてもよく、又は食物組成物と組み合わされてもよい。
【0115】
一部の実施形態では、食物は、当業者に公知の慣習的プロセスを使用して、乾燥形態で調製されてもよい。通常、乾燥動物性タンパク質、植物性タンパク質、穀物等を含む乾燥成分を粉砕して、共に混合する。脂肪、油、水、動物性タンパク質、水等を含む液体又は湿潤成分を加え、乾燥物質と混合する。様々な成分を組み合わせるために使用される特定の製剤、付加の順序、組み合わせ、及び方法及び機器は、当技術分野で公知のものから選択することができる。例えば、特定の実施形態では、結果として生じる混合物は、乾燥及び湿潤成分の混合物が、高圧及び高温で機械的作業に供され、小さな開口部又は開口部を通され、例えば、回転ナイフでキブルに切断される、押出成形プロセスを使用して形成される、キブル又は類似の乾燥片に加工される。得られたキブルを乾燥させて、例えば、風味、脂肪、油類、粉末等を含む、一つ又は複数の局所コーティング剤で任意に被覆する。キブルはまた、押出成形ではなくベーキング法を用いてドウより作製することができ、この方法では、ドウを型に配置した後、乾燥加熱プロセスを行う。
【0116】
組成物を調製する場合、任意の成分は、一般的に、配合の処理中、例えば、組成物のその他の成分を混合している間及び/又は混合した後に、組成物に組み込むことができる。これらの成分の組成物への分配は、従来の手段により達成することができる。特定の実施形態では、粉砕された動物及び/又は家禽のタンパク質性組織は、栄養バランス剤、無機塩を含む他の成分と混合され、さらに、セルロース、ビートパルプ、充填剤等を含むその他の成分を、加工に十分な水と混合される。
【0117】
一部の実施形態では、組成物は、より噛みやすいように配合される。特定の実施形態では、組成物及び食物は、ライフステージ、年齢、サイズ、体重、体組成、及び繁殖など、ネコ間の特定の栄養の違いに対処するために配合される。
【0118】
低アルギニン組成物は、成熟した成体ネコの必要性を満たすために、栄養的に完全な食事として調合される。栄養的に完全な食事は、食事に関して、健康なネコの通常の健康を維持するのに十分な栄養素を含み得る食事である。栄養的に完全なバランスの取れたキャットフード組成物は当業者によく知られている。例えば、栄養的に完全でバランスの取れた動物飼料組成物に好適な栄養素及び成分などの物質、ならびにそれらの推奨量は、例えばOfficial Publication of The Association of American Feed Control Officials,Inc.(AAFCO)、Atlanta、Ga.(2012)に認めることができる。
【0119】
本明細書に記述される全ての刊行物は、本発明に関連して使用されうる、本刊行物に報告されている材料及び方法論を記載及び開示する目的で、参照により組み込まれる。
【0120】
本発明が適用可能であるさらなる領域は、以下に提供される発明を実施するための形態から明らかになるであろう。発明を実施するための形態及び特定の実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているものの、例示の目的のみを意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していないと理解されるべきである。
【実施例】
【0121】
実施例1
【0122】
AG遺伝子型を有するネコを、ホモ接合性GG遺伝子型を有するネコと比較した試験を完了した。この研究では、34匹のネコを使用し、三つの食物を比較した。すべての食物を一か月間与え、一か月の摂食期間の終了時に、ネコの血液をBAIBについて分析した。各ネコは各食物を消費し、一か月の摂食期間後に、各ネコの各食物からの血液試料を採取した。
【0123】
表3は、食物繊維及びアルギニンの食事中濃度(パーセント)を示す。
【0124】
【0125】
表4は、本試験におけるネコのBAIB濃度を相対的に示す。各遺伝子型には、17匹のネコがいた。
【0126】
【0127】
表5に示すように、異なる遺伝子型を有するネコに対する食物の差異効果は、結石形成ネコにおいて特に明白であった。
【0128】
【0129】
AG遺伝子型には有意な(P<0.01)低下があり、そのBAIB濃度の変化には遺伝子型間に有意な差(p=0.02)がある。これらのデータは、AG遺伝子型を有するネコにおいて、シュウ酸カルシウム結石リスクのバイオマーカーであるBAIBを、食物のアミノ酸アルギニンの減少を介して、低減することにおいて、有意な利益があることを示す。
【0130】
実施例2
【0131】
血漿代謝プロファイルを決定するために血液が採取される。血漿中のBAIB及び/又は2-オキソアルギニンのレベルは、民間試験所(Metabolon、Durham、NC、USA)によって測定することができる。抽出された上清を分割し、ガスクロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィー質量分析計プラットフォーム上で実行する。BAIB及び2-オキソアルギニンの各々のピークが既知であり、各試料のピークの下の面積が公知の試料に対して正規化され得る。(例えば、Evans,A.M.,ら(2009年)を参照されたい。生物学的システムの小分子補体の特定及び相対的定量のための、統合非標的化超高性能液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析プラットフォーム。Anal.Chem.81,6656-6667。)ガスクロマトグラフィー(疎水性分子用)及び液体クロマトグラフィー(親水性分子用)を使用して、血漿試料中に存在するBAIBなどの代謝物の相対的定量を特定し、提供する。(例えば、Ballet,C.ら(2018)New enzymatic and mass spectrometric methodology for the selective investigation of gut microbiota-derived metabolites、Chem.Sci.、9、6233-6239;Akiyama,Yら(2012)A Metabolomic Approach to Clarifying the Effect of AST-120 on 5/6 Nephrectomized Rats by Capillary Electrophoresis with Mass Spectrometry(CE-MS)Toxins 2012、4(11)、1309-1322;及びKikuchi K,ら(2010)Metabolomic search for uremic toxins as indicators of the effect of an oral sorbent AST-120 by liquid chromatography/tandem mass spectrometry.J Chromatogr B Analyt Technol Biomed Life Sci 878:2997-3002を参照されたい。)Burrage,LC ら(2019)Untargeted metabolomic profiling reveals multiple pathway perturbations and new clinical biomarkers in urea cycle disorders、Genetics in Medicine 21、1977-1986は、代謝物レベルの測定を含む血漿試料の分析を開示している。Miller MJ,ら(2015)Untargeted Metabolomic analysis for the clinical screening of inborn errors of metabolism.J Inherit Metab Dis.38:1029-1039及びKennedy AD,ら(2016)Metabolomic profiling of human urine as a screen for multiple inborn errors of metabolism.Genet Test Mol Biomarkers.20:485-495は、また、2-オキソアルギンを測定するための技術も開示している。技術は、ネコ対象からの試料中の代謝物レベルを測定するために適合され、使用されうる。Midtun,O.,ら(2013)。High-throughput,low-volume,multianalyte quantification of plasma metabolites related to one-carbon metabolism using HPLC-MS/MS.Anal Bioanal Chem 405、2009-017、Fernandez-Roig,S.、(2013)Low folate status enhances pregnancy changes in plasma betaine and dimethylglycine concentrations and the association between betaine and homocysteine.Am J Clin Nutr 97,1252-59及びHolm,P.I.,ら(2005)。Betaine and folate status as cooperative determinants of plasma homocysteine in humans.Arterioscler Thromb VASC Biol 25,379-385は、ベタインを測定するための技術を開示する。技術は、ネコ対象からの試料中のベタインレベルを測定するために適合され、使用され得る。
【0132】
実施例3
【0133】
唾液試料はネコから得られる。試料は、別の場所の検査室に採取されたものとして出荷されてもよく、部分的に処理され、その後、別の場所の検査室に出荷されるか、又は研究室及び採取の場所で完全に処理及び分析されてもよい。試料が、別の場所で研究室に採取されたものとして出荷されるか、部分的に処理され、その後、別の場所で研究室に出荷される場合、研究室によって試料から採取された一部又は全てのデータが、採取部位及び/又は獣医師及び/又はネコの所有者もしくは責任者又は責任者に送られる場合がある。唾液試料が得られた後、それを分析のために処理し、AA及びAG遺伝子型の存在について評価してもよい。
【0134】
結果が、ネコが本明細書に提供される治療から利益を得ることを示唆する場合、ネコは、低アルギニン食を与えられてもよい。
【0135】
実施例4
【0136】
PERFORMAgene PG-100経口採取キットを使用して、ネコから試料を採取する。
【0137】
その際、動物は、唾液採取前に30分間食べる、又は10分間は飲んではならず、採取を行う個人は、スポンジで動物の歯又はほおを擦り取ることはできず、また、動物にそのスポンジを噛ませるべきではない。
【0138】
PERFORMAgene PG-100経口採取キットの一部として提供される採取チューブは、DNA試料を保存する液体を含み、試料を分析するためにラボによって要求される。試料採取前にキャップを取り外すべきではない。
【0139】
採取プロトコルの第一のステップでは、スポンジは動物の口の頬嚢に置かれる。唾液は、スポンジを取り外し、唾液が自然に溜まる場所(頬嚢及び舌下)をふき取ることによって、30秒間採取される。6カ月以上経過した動物については、中程度の拘束が必要となる場合がある。
【0140】
次に、チューブを真っ直ぐに保持し、チューブからのキャップはねじ止めされていない。キャップを上下逆にし、口腔スワブをチューブ内に置く。キャップは、輸送中に液体試料が漏れるのを防ぐため、しっかりとねじ止めされている。チューブを反転させ、例えば10回など、何度も激しく振って、試料を完全に混合する。
【0141】
永久マーカーを使用して、チューブラベル上の空白に動物識別番号を明確に記載してもよい。
【0142】
PG-100採取キットを用いて、Performagene化学で採取され、保存された、Performagene(商標)試料の0.5mLのアリコートからのDNAの手動精製のための段階的な研究室プロトコルは、以下の通りである。手動精製に必要な試薬は、PG-AC1試薬パッケージ又はPG-AC4試薬パッケージで入手可能である。
【0143】
DNA試料が採取され、そして、Performagene溶液と混合されると、DNAは直ちに安定化される。Performagene試料は、採取時から1年間、室温で安定である。Performagene試料は、-15℃~-20℃で無期限に保存することができ、DNAを劣化させることなく、複数回の凍結融解サイクルを実施することができる。
【0144】
精製プロセスでは、以下の装置及び試薬を使用する:15,000×gで実行することができる微量遠心機、50℃の空気又は水インキュベーター、室温でのエタノール(95%~100%)、DNA緩衝液:TE(10mMのトリス-HCl、1mMのEDTA、pH8.0)又は類似の溶液、任意のグリコーゲン(20mg/mL)(例えば、Invitrogen Cat.番号10814-010)、エタノール(70%)を室温及び5MのNaCl溶液。
【0145】
最初のステップでは、試料を5秒間激しく振盪することによって混合する。これは、粘性試料が、Performagene溶液と適切に混合することを確実にするためである。
【0146】
試料を、50℃の空気インキュベーター中で最低2時間、又は50℃の水インキュベーター中で最低1時間インキュベートする。Performagene中のDNAは、インキュベーションステップを行わなくても室温で安定している。この熱処理工程は、DNAが適切に放出され、ヌクレアーゼが永久的に不活化されることを確実にするために不可欠である。このインキュベーション工程は、試料が動物から採取された後、及び精製される前に、任意の時点で実施されうる。試料全体のインキュベーションが推奨される。試料は、より好都合であれば、50℃で一晩インキュベートされ得る。温度平衡が水インキュベーターよりも遅いため、空気インキュベーターではより長い時間が必要となる。
【0147】
任意選択で、採取スポンジを除去してもよい。キャップが取り除かれ、採取用スポンジが管の内側に押し付けられ、可能な限り多くの試料が抽出される。スポンジ及びキャップは廃棄される。スポンジの除去は、ワークフローの好みによって決定される。
【0148】
次に、混合した500μLのPerformagene試料が1.5mLの微量遠心機チューブに移される。Performagene試料の残りは、室温又は凍結(-15℃~-20℃)で保管することができる。次いで、20μL(1/25体積)のPG-L2P精製器をエッペンチューブに添加し、数秒間ボルテックスすることにより混合する。不純物及び阻害剤が沈殿すると、試料は濁る。
【0149】
試料を、氷上で10分間インキュベートし(室温インキュベーションは置換可能であるが、不純物除去にはわずかに効果が少ない)、その後、15,000×gで室温で5分間遠心分離する。より長時間の遠心分離(最大15分)は、最終DNA溶液の濁り(高A320)を減少させるのに有益であり得る。透明な上清をピペットチップで新しい微量遠心機チューブに移し、濁り不純物を含有するペレットを廃棄する。500μLの上清に、25μL(1/20体積)の5MのNaClを添加し、続いて混合する。NaClの添加は、DNAの効率的な回収を確保するために必要である。500μLの上清に、600μLの室温95%~100%のエタノールを加え、その後、反転による穏やかな混合を10回行う。エタノールと混合中、DNAが沈殿する。DNAは、試料中のDNAの量に応じて、DNA繊維の塊として、又は微細な沈殿物として現れることがある。塊が見られなくても、次のステップに注意深く従うことによってDNAを回収する。
【0150】
試料を室温で10分間放置し、DNAを完全に沈殿させる。次いで、チューブを、既知の配向で遠心分離器に入れ(DNAペレットは遠心分離後には見えない場合がある)、>15,000×gで室温で2分間遠心分離する。例えば、各チューブは、キャップのヒンジ部分がローターの中心から離れて指し示すように、微量遠心機内に配置されてもよい。遠心分離後、ペレットの位置を(小さすぎて容易に見えない場合でも)配置することができ、ヒンジの下のチューブの先端にある。
【0151】
上清をピペットチップで除去し、廃棄する。ペレットはDNAを含有する。ペレットが上側の壁上にあるようにチューブを回転させると、ピペットチップを下側の壁に沿って安全に移動させ、上清を全て除去することができる。上清は不純物を含有してもよく、可能な限り完全に除去されるべきである。ペレットの過剰乾燥は、DNAの溶解をより困難にする可能性がある。DNAは、最初に250μLの70%エタノールを添加することによって洗浄され、次いで室温で1分間放置される。エタノールは、ペレットを妨害することなくピペットチップで除去される。70%エタノールの洗浄は、残留阻害剤を除去するのに役立つ。しかし、エタノールを完全に除去することは、下流の適用の間の阻害を防ぐために不可欠である。したがって、チューブを6秒間遠心分離して、任意の残りのエタノールをプールし、ピペットチップで除去する。
【0152】
100μLのDNA緩衝液(例えば、TE緩衝液)をチューブに添加して、DNAペレットを溶解する。少なくとも5秒間ボルテックスすることは、溶解プロセスを助ける。DNAの完全な再水和を確保するため、室温に一晩置いておく。DNAを定量し、下流の適用で使用することができる。
【0153】
蛍光染料を使用するアッセイは、DNA試料中の二本鎖DNA(dsDNA)の量を定量するために、260nmでの吸光度よりも特異的である。RNAを汚染することによって干渉が少ないため、蛍光法によってDNAを定量化するために、PicoGreen(登録商標)又はSYBR(登録商標)Green Iなどの蛍光染料を使用してdsDNAを定量化してもよい。あるいは、InvitrogenのQuant-iT(商標)PicoGreen dsDNA Assay Kit(カタログ番号 番号Q-33130)等の市販のキットを使用してもよい。いずれのプロトコルでも、精製DNAは、好ましくは、TE溶液で1:50に希釈され、定量アッセイでは5μLが使用される。
【0154】
あるいは、DNAは、吸光度によって定量化されてもよく、その場合、精製された試料は、最初にRNaseで処理されて、汚染RNAを消化し、次いでDNAのエタノール沈殿によってRNA断片を除去することが好ましい。Performagene試料由来のDNAは、通常、血液試料中に見られるRNAよりも明らかに多いRNAを含有する。アルコール沈殿DNAが完全に溶解されていることを確認してから、吸光度を読み取る。260nmでの1.0の吸光度は、純粋なdsDNAの50ng/μL(50μg/mL)の濃度に相当する。過度に大量の試料の使用を避けるために、100μL以下の容量の試料を読み取ることができる分光光度計キュベットを使用する必要がある。260nmでの吸光度値は、0.1~1.5であるべきである。値が低いほど信頼性に欠ける場合がある。
【0155】
精製されたRNase処理されたDNAの10μLアリコートを、90μLのTE(1/10希釈)で希釈し、穏やかにピペッティングアップダウンすることによって混合する。気泡がなくなるのを待つ。TEは、参照(空白)セルで使用される。吸光度は、320nm、280nm、及び260nmで測定される。補正されたA280及びA260値は、A280及びA260値から320nm(A320)での吸光度を差し引くことによって計算される。ng/μLでのDNA濃度=補正A260×10(希釈係数)×50(換算係数)。A260/A280比:補正されたA260を補正されたA280で割る。
【0156】
実施例5
【0157】
シュウ酸カルシウム結石の発症の可能性又はリスクが高いと特定されたネコのシュウ酸カルシウム結石の可能性を減少させる毎日の食事が提供される。一部の実施形態では、方法は、SNP A1_212891692のAA又はAG遺伝子型を有すると識別されたネコに低アルギニン食を与えることを含み得る。一部の実施形態では、方法は、治療から利益を得ると特定されたネコのレベルに対応する基準レベル以上である、及び/又は治療から利益を得ると特定されたネコのレベルに対応するレベルでBAIBを含有するポジティブ対照試料で測定されるレベル以上であるBAIBレベルを有すると特定されたネコに、低アルギニン食を与えることを含み得る。一部の実施形態では、方法は、ネコ対象からの試料を分析して、ネコ対象がSNP A1_212891692のAA又はAG遺伝子型を有するかを決定することを含み得る。一部の実施形態では、方法は、ネコ対象からの試料を分析して、試料中のBAIBのレベルを決定し、測定されたレベルを、ポジティブ検査結果に対応する基準レベル及び/又はポジティブ対照試料で測定されたレベルのいずれかと比較することを含み得る。ポジティブ参照標準値は、特に、同等のサイズ、重量、年齢、育種を有するネコに対してポジティブの結果であるとみなされるBAIBレベルに対応する。
【0158】
実施例6
【0159】
以下の組成物は、一日あたり提供される総栄養量に基づく。乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づく一部の実施形態では、アルギニンの量は、1.84%以下である。乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づく一部の実施形態では、アルギニンの量は、1.21%以下である。乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づく一部の実施形態では、アルギニンの量は、1.11%以下である。乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づく一部の実施形態では、アルギニンの量は、1.04%未満である。乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づく一部の実施形態では、アルギニンの量は、1.04~1.84%である。特定の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5%、20%、22.5%、又は25%の量でニワトリを含み得る。特定の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、又は15%の量で卵タンパク質を含み得る。特定の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%の量でコーングルテンミールを含み得る。特定の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、1.5%、1.6%、1.7%、1.8%、又は1.9%、又は2.0%の量の追加の植物源を含み得る。特定の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、トマトかすに加えて、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%、又は1.5%の量の追加のフルーツ源を含み得る。特定の実施形態では、組成物は、乾燥物質ベースの組成物の総重量に基づいて、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、又は50%の量で、キビ、酒米、オート麦挽き割り粉、及びそれらの組み合わせから選択される炭水化物を含み得る。これらの実施形態の特定の態様では、本発明の組成物は、これらの値のうちのいずれか二つによって終点として定義される範囲内の炭水化物源の乾燥重量を含み得る。
【0160】
実施例7
【0161】
表6は、1.84%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、ならびに一部の実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニンを含む、組成物の割合(成分 組成の乾燥重量に対する割合)を有する特定の実施形態を説明する。
【0162】
【0163】
実施例8
【0164】
表7は、1.84%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、ならびに一部の実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニンを含む、組成物の割合(成分 組成の乾燥重量に対する割合)を有する特定の実施形態を説明する。
【0165】
【0166】
実施例9
【0167】
表8は、1.84%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、ならびに一部の実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニンを含む、組成物の割合(成分 組成の乾燥重量に対する割合)を有する特定の実施形態を説明する。
【0168】
【0169】
実施例10
【0170】
表9は、1.84%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、ならびに一部の実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニンを含む、組成物の割合(成分 組成の乾燥重量に対する割合)を有する特定の実施形態を説明する。
【0171】
【0172】
実施例11
【0173】
表10は、1.84%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、ならびに一部の実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニンを含む、組成物の割合(成分 組成の乾燥重量に対する割合)を有する特定の実施形態を説明する。
【0174】
【0175】
実施例12
【0176】
表11は、1.84%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、ならびに一部の実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニンを含む、組成物の割合(成分 組成の乾燥重量に対する割合)を有する特定の実施形態を説明する。
【0177】
【0178】
実施例13
【0179】
表12は、1.84%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、ならびに一部の実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニンを含む、組成物の割合(成分 組成の乾燥重量に対する割合)を有する特定の実施形態を説明する。
【0180】
【0181】
実施例14
【0182】
表13は、1.84%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.21%以下で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.11%以下で存在する総アルギニン、ならびに一部の実施形態では1.04%未満で存在する総アルギニン、及び一部の実施形態では1.04~1.84%で存在する総アルギニンを含む、組成物の割合(成分 組成の乾燥重量に対する割合)を有する特定の実施形態を説明する。
【0183】
【0184】
実施例15
【0185】
表14は、様々なペットフード成分のアルギニンの割合を示す。当業者は、Official Publication of the Association of American Feed Control Officials,Inc.(AAFCO)、Atlanta、Ga.,(2012)に開示されているように、ネコの一日の栄養要件を提供するために適切なキャットフードを容易に調合することができる。“Nutrient Requirements of Domestic Animals:Nutrient Requirements of cats,Revised Edition,National Academy Press Washington.DC.1986.page 63-67”の表を使用して(参考文献で表10と指定され、本明細書の表14に関連部分を抜粋した)、当業者であれば、アルギニンのレベルを総乾燥重量の割合に基づく一日の総栄養摂取量の1.04~1.84%に制限しながら、一部の実施形態では、総乾燥重量の割合に基づく一日の総栄養摂取量の1.21%以下のアルギニンのレベルで、一部の実施形態では、総乾燥重量の割合に基づく一日の総栄養摂取量の1.11%以下のアルギニンのレベルで、毎日の栄養要件を提供するための適切なキャットフードを容易に調合することができる。
【0186】
【0187】
実施例16
【0188】
AGXT2遺伝子と、ベータ-アミノイソブチレートおよびアルギニンのアミノ基転移の産物である2-オキソアルギニンの循環濃度との間に関係があることを示した上記のゲノムワイド関連解析からの生データを、以下の表15及び16に示す。
【0189】
異なる食事を与えられた動物におけるベータアミノイソブチレートの循環濃度を比較する実験からの生データを、以下の表17及び18に示す。
【0190】
【配列表】