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特許7520124塩化水素酸化反応用成型触媒及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】塩化水素酸化反応用成型触媒及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20240712BHJP
   B01J 37/04 20060101ALI20240712BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
B01J23/63 M
B01J37/04 102
B01J37/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022539367
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-10
(86)【国際出願番号】 KR2020014260
(87)【国際公開番号】W WO2021137400
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0179867
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520161344
【氏名又は名称】ハンファ ソリューションズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジョン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ソン ホ
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヨン ジン
【審査官】宮脇 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-184083(JP,A)
【文献】特開2013-169517(JP,A)
【文献】特表2010-524673(JP,A)
【文献】国際公開第2004/004895(WO,A1)
【文献】特開2014-105128(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109806864(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00-38/74
C01B 7/04
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種物質から選択される少なくともいずれか1つ以上が溶解された溶液を担体に担持する第1担持ステップと、
第1担持ステップ後に1次乾燥、焼成及び冷却後に固形分を得るステップと、
前記固形分に有機バインダ、無機バインダ及び水を混合して成型して成型担体を製造するステップと、
前記成型担体を2次乾燥、焼成及び冷却後に成型体を製造するステップと、
ルテニウム前駆体が溶解された溶液を製造して前記成型体に担持する第2担持ステップと、
第2担持ステップ後に3次乾燥及び焼成するステップと、を含み、
前記異種物質は、セリウム、アルミニウム及びシリカから選択される少なくともいずれか1つ以上を含む
ことを特徴とする塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項2】
前記成型担体を製造するステップで、
固形分100重量部に対して、水30乃至150重量部、有機バインダ1乃至15重量部及び無機バインダ5乃至30重量部を含む
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項3】
前記成型担体を製造するステップで、
担体100重量部に対して、水30乃至150重量部、有機バインダ1乃至15重量部及び無機バインダ5乃至30重量部を含む
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項4】
前記成型担体はアルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくともいずれか1つ以上を含む
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項5】
前記有機バインダはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ソジウムカルボキシメチルセルロース、精製デンプン、デキストリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、パラフィン、ワックスエマルジョン及び微結晶ワックスから選択される少なくともいずれか1つ以上を含む
請求項1のいずれか一項に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項6】
前記無機バインダはアルミナゾル(alumina sol)、シリカゾル(silica sol)、チタニアゾル(titania sol)及びジルコニアゾル(zirconia sol)から選択される少なくともいずれか1つ以上を含む
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項7】
前記1次乾燥、2次乾燥または3次乾燥は10℃乃至120℃で3時間乃至12時間の間行う
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項8】
前記1次焼成、2次焼成または3次焼成は300℃乃至600℃で2時間乃至6時間の間行う
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項9】
前記1次冷却または2次冷却は1℃乃至35℃の室温で行う
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項10】
前記塩化水素酸化反応用成型触媒は、触媒100重量部に対して、異種物質0.5乃至20重量部、活性成分として酸化ルテニウム0.1乃至20重量部及び担体60乃至99重量部を含む
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項11】
前記異種物質はセリア、アルミナ及びシリカから選択される少なくともいずれか1つ以上を含む
請求項10に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項12】
前記担体はアルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくともいずれか1つ以上を含む
請求項10に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項13】
前記成型触媒は球形(sphere)、円柱形(cylinder)、中空形(hollow tube)、環形(ring)及びトリローブ形(trilobes)から選択される少なくともいずれか1つ以上を含む
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項14】
前記成型触媒は直径が1乃至10mmである
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項15】
前記成型触媒は比表面積が5乃至300m/gである
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項16】
前記成型触媒は総細孔容積(total pore volume)が0.1乃至2ml/gである
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【請求項17】
前記成型触媒は圧縮強度(crushing strength)が3乃至200Nである
請求項1に記載の塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化水素(HCl)の酸化反応によって塩素(Cl)を得るための成型触媒の製造方法に関し、さらに詳しくはチタニア(TiO)を担持体とする酸化ルテニウム(RuO)担持触媒に異種物質を添加し、固定層反応器に適用可能に成型して塩化水素(HCl)から塩素(Cl)を製造するための酸化反応用成型触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1868年Deaconが開発した塩化水素の触媒的酸化方法によれば、酸素で塩化水素を酸化させて発熱平衡反応で塩素を形成する。塩化水素は、例えばイソシアネート製造のようなホスゲン化反応で共同生成物として多量形成される。イソシアネートの製造時に形成された塩化水素は後に塩化ビニル及び最後にポリ塩化ビニル(PVC)を形成するように処理される1,2-ジクロロエタンへのエチレンのオキシ塩化反応で主に使用される。国内の場合、OxyChlorination反応器で塩化水素をエチレン(Ethylene)と反応させてVCM(Vinyl Chloride Monomer)を製造する反応の他には大半の塩酸及び塩化水素を水溶液相(20%又は35%塩酸)に製造して販売したり中和処理した後廃棄している。
【0003】
塩化水素酸化反応に使用される触媒としてはルテニウム系触媒、銅系触媒、セリウム系触媒などがあって、ルテニウム系触媒は銅系触媒又はセリウム系触媒に比べて少量の触媒と低い反応温度を持つことを特徴とする。
【0004】
通常、塩化水素の酸化で塩素を製造する反応は平衡反応であり、反応温度が高いほど平衡的に不利となり平衡転化率が低くなる。したがって、低い反応温度を持つ触媒であるほど反応において平衡的に有利となりより高い塩化水素の転化率が得られる。しかし、従来の触媒の大半は主に高温で高い活性を示し、また、高温運転時に数か月の短期間で触媒の性能が減少する現象を示している。
【0005】
すなわち、担持酸化ルテニウムは熱安定性や触媒寿命の2つの条件をいずれも同時に満たすことは難しい。さらに、このような触媒の大半は反応器の形態や運転条件などが難しく使用に多くの制約がある。特に、粉末状の場合、固定層反応器に使用した場合は触媒層の前段と後段に差圧が生じて運転が不可能な問題が生じる場合もある。したがって、上記言及した問題点を解決するために多様な触媒に対する研究は現在進行中である。
【0006】
例えば、特許文献1は等温反応器で酸化セリウム触媒を使用する塩素の製造方法に関し、酸化チタンに担持されたルテニウム及び酸化セリウム触媒を用いて塩化水素の気相酸化反応が可能であることが開示されている。特に、酸化ルテニウム触媒と酸化セリウム触媒を互いに異なる層に充填して使用する工程に関して言及している。
【0007】
また、特許文献2は塩化水素の酸化によって塩素を製造する触媒及びその製造方法に関し、セリウム、ルテニウム、銅などの複合活性成分を二酸化チタンに担持させて製造された触媒を塩化水素の酸化反応に適用されることを開示している。
【0008】
また、特許文献3ではセリウム又はルテニウム触媒を酸化チタンなどの担体に担持させて塩化水素酸化反応を適用する技術について開示しており、特に、反応器に熱除去手段を省略して設備を単純化させつつ反応効率を向上させることを特徴とする。
【0009】
最後に、特許文献4ではチタニア担体に效率的にシリカを担持させることができ、熱安定性及び触媒寿命に優れた担持酸化ルテニウムの製造方法を開示し、担持酸化ルテニウムを用いて長時間にわたって安定的に塩素を製造する方法を提供することを特徴とする。
【0010】
前述のように、塩化水素酸化反応に適用される触媒は多様に研究開発されており、その一環として本発明は熱的安定性を確保して高温でも長時間触媒の性能を維持するとともに、反応器の形態、運転条件などにかかわらず使用に制約がなく取り扱いが容易な塩化水素酸化反応用触媒の開発を提供するために完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】日本公開特許第2014-522797号(2014.09.08)
【文献】日本公開特許第2014-503341号(2014.10.03)
【文献】日本公開特許第2010-533113号(2010.10.21)
【文献】大韓民国公開特許第10-2014-0102205号(2014.08.21)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述の問題点をすべて解決することを目的とする。
【0013】
本発明の目的は、 反応器の形態、運転条件などにかかわらず使用に制約がなくて取り扱いが容易な触媒を提供することにある。
【0014】
本発明の目的は、多様な触媒成型方法を提供して触媒活性及び熱安定性を調節して強化し、これを多様な用途に適用可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記のような本発明の目的を達成し、後述する本発明の特徴的な効果を実現するための、本発明の特徴的な構成は下記のとおりである。
【0016】
本発明の一実施例によれば、塩化水素を酸化させて塩素を製造する方法に使用される触媒であって、上記触媒は触媒100重量部に対して、異種物質0.5乃至20重量部、活性成分として酸化ルテニウム0.1乃至20重量部及び担体60乃至99重量部を含む塩化水素酸化反応用成型触媒が提供される。
【0017】
本発明の一実施例によれば、異種物質から選択される少なくともいずれか1つ以上が溶解された溶液を担体に担持する第1担持ステップと、第1担持ステップ後に1次乾燥、焼成及び冷却後に固形分を得るステップと、上記固形分に有機バインダ、無機バインダ及び水を混合して成型して成型担体を製造するステップと、上記成型担体を2次乾燥、焼成及び冷却後に成型体を製造するステップと、ルテニウム前駆体が溶解された溶液を製造して上記成型体を担持する第2担持ステップと、第2担持ステップ後に3次乾燥及び焼成するステップと、を含む塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法が提供される。
【0018】
本発明の一実施例によれば、担体に有機バインダ、無機バインダ及び水を混合して成型して成型担体を製造するステップと、上記成型担体を1次乾燥、焼成及び冷却後に成型体を製造するステップと、異種物質から選択される少なくともいずれか1つ以上とルテニウム前駆体が溶解された溶液を上記成型体を担持するステップと、上記担持ステップ後に2次乾燥及び焼成するステップと、を含む塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法が提供される。
【0019】
本発明の一実施例によれば、担体に有機バインダ、無機バインダ及び水を混合して成型担体を製造するステップと、上記成型ステップ後に1次乾燥、焼成及び冷却して成型体を製造するステップと、異種物質から選択される少なくともいずれか1つ以上の前駆体が溶解された溶液を上記成型体を担持する第1担持ステップと、上記第1担持ステップ後に2次乾燥、焼成及び冷却して固形体を得るステップと、ルテニウム前駆体が溶解された溶液を上記成型体を担持する第2担持ステップと、第2担持ステップ後に3次乾燥及び焼成するステップと、を含む塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法が提供される。
【0020】
本発明の一実施例によれば、上記成型触媒の存在下で塩化水素酸化による塩素の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明による触媒は反応器の形態、運転条件などにかかわらず使用に制約がなく取り扱いが容易な触媒を提供できる。
【0022】
本発明によって製造される成型触媒は固定層反応器に適用するにあたり差圧が生じることなく使用が可能で、よって、触媒活性を高め熱安定性を強化して耐久性を向上する効果を提供する。
【0023】
本発明によって製造される成型触媒は固定層反応器による無水塩酸酸化反応が可能である。
【0024】
本発明によれば、多様な触媒成型方法を提供して多様な用途に活用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施例によって本発明の構成及び作用をより詳細に説明する。ただし、これは本発明の好ましい例示として提示されたものであって、いかなる意味でもこれによって本発明が制限されると解釈されることはできない。ここに記載していない内容は当該技術分野における熟練者であれば十分に技術的に類推できるものであるので、その説明を省略する。
【実施例
【0026】
実施例1
【0027】
硝酸セリウム水和物(Kanto社)2.6gをDIW6.0gに溶解した前駆体溶液をチタニア粉末(SAKAI社)20.0gに含浸させた後100℃オーブンで4時間乾燥した。乾燥された粉末を350℃電気炉で3時間焼成してセリア含有量が5.0%のTiO_5.0 CeO粉末担体を得た。TiO_5.0 CeO粉末20g、セルロース系有機バインダ(YUKEN社)0.4g、TiOゾル(SAKAI社)2.5g、DIW9.0gをまんべんなく混ぜて練ったものをピストン押出機に入れて押出した成型担体を100℃オーブンで4時間乾燥した。乾燥された成型担体を2~3mm間隔で切った後、600℃電気炉で3時間焼成してTiO_5.0 CeOペレット担体を完成した。塩化ルテニウム水和物(KOJIMA)0.8gをDIW6.0gに溶解した前駆体溶液をTiO_5.0 CeOペレット担体20gに含浸させた後、100℃オーブンで4時間乾燥した。最終的には、乾燥されたペレットを350℃電気炉で3時間焼成してルテニウム酸化物含有量が2.0%、セリア含有量が5.0%のRuO-CeO/TiOペレット触媒を得た。
【0028】
実施例2
【0029】
チタニア粉末(SAKAI社)20g、セルロース系有機バインダ(YUKEN社)0.4g、TiOゾル(SAKAI社)2.5g、DIW9.0gをまんべんなく混ぜて練ったものをピストン押出機に入れて押出した成型担体を100℃オーブンで4時間乾燥した。乾燥された成型担体を2~3mm間隔で切った後、600℃電気炉で3時間焼成してTiOペレット担体を完成した。硝酸セリウム水和物(Kanto社)2.6gと塩化ルテニウム水和物(KOJIMA)0.8gをDIW6.0gに同時に溶解した前駆体溶液をTiOペレット担体に含浸させた後、100℃オーブンで4時間乾燥した。乾燥されたペレットを350℃電気炉で3時間焼成してルテニウム酸化物含有量が2.0%、セリア含有量が5.0%のRuO-CeO/TiOペレット触媒を得た。
【0030】
実施例3
【0031】
チタニア粉末(SAKAI社)20g、セルロース系有機バインダ(YUKEN社)0.4g、TiOゾル(SAKAI社)2.5g、DIW9.0gをまんべんなく混ぜて練ったものをピストン押出機に入れて押出した成型担体を100℃オーブンで4時間乾燥した。乾燥された成型担体を2~3mm間隔で切った後、600℃電気炉で3時間焼成してTiOペレット担体を完成した。硝酸セリウム水和物(Kanto社)2.6gが溶解した前駆体溶液をTiOペレット担体に含浸させた後、100℃オーブンで4時間乾燥した。乾燥されたペレットを350℃電気炉で3時間焼成してセリア含有量が5.0%のCeO/TiOペレットを得た。このように得たCeO/TiOペレットを塩化ルテニウム水和物(KOJIMA)0.8gがDIW6.0gに溶解された前駆体溶液に含浸させた後、100℃オーブンで4時間乾燥した。乾燥されたペレットを350℃電気炉で3時間焼成してルテニウム酸化物含有量が2.0%、セリア含有量が5.0%のRuO-CeO/TiOペレット触媒を得た。
【0032】
比較例1
【0033】
硝酸セリウム水和物(Kanto社)0.5gをDIW5.0gに溶解して製造した溶液をチタニア粉末(SAKAI社)10.0gに含浸させた後、100℃空気中で4時間の間乾燥させた。乾燥された固体を空気流下の電気炉で350℃焼成(calcination)を3時間経った後、徐々に室温まで冷却させた。そうして得られた固形分を硝酸溶液に溶けているニトロシル硝酸ルテニウム(III)(Alfa-Aesar社)1.08gをDIW320.0gに溶解して製造した溶液に入れて常温で5時間の間攪拌した後、ロータリーエバポレータを用いて乾燥させた。乾燥された固体を空気流下の電気炉で350℃焼成(calcination)を3時間経った後、徐々に室温まで冷却させて最終的に酸化ルテニウム含有量が2.0%、セリア含有量が5.0%のRuO-CeO/TiO粉末触媒を得た。触媒活性評価のための実験例1と熱的安定性評価のための実験例2を下記のような条件で実施した。
【0034】
比較例2
【0035】
チタニア粉末(SAKAI社)20g、セルロース系有機バインダ(YUKEN社)0.4g、TiOゾル(SAKAI社)2.5g、DIW9.0gをまんべんなく混ぜて練ったものをピストン押出機に入れて押出した成型担体を100℃オーブンで4時間乾燥した。乾燥された成型担体を2~3mm間隔で切った後、600℃電気炉で3時間焼成してTiOペレット担体を完成した。塩化ルテニウム水和物(KOJIMA)0.8gをDIW6.0gに溶解した前駆体溶液をTiOペレット担体に含浸させた後、100℃オーブンで4時間乾燥した。乾燥されたペレットを350℃電気炉で3時間焼成してルテニウム酸化物含有量が2.0%のRuO/TiOペレット触媒を得た。
【0036】
実験例1-触媒の活性評価
【0037】
実施例及び比較例で製造された触媒1.35gをニッケル反応管(外径1inchチューブ)に充填した。上記反応管に、触媒層を300℃の温度で加熱し常圧下に塩化水素及び酸素気体をそれぞれ100mL/minの速度で供給して反応を実行した。反応開始2時間後の時点で、反応管出口の気体を15%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによってサンプリングを10分間実行した。続いてヨウ素滴定法で塩素の生成量を測定して下記式によって塩化水素の転化率を計算した。その結果は[表1]に示した。
【0038】
【数1】
【0039】
実験例2-熱的安定性評価
【0040】
実験例1の条件で24時間反応を実行した後、塩素生成量を測定して塩化水素転化率Aを計算した。その後、触媒層を380℃の温度で加熱して同じ流量条件下に24時間の間反応を実行し、再度触媒層の温度を300℃に下げた後、同じ流量条件下で2時間反応後、塩素生成量を測定して塩化水素転化率Bを計算した。転化率Aと転化率Bの比を用いて下記式のように劣化度を計算して触媒の熱的安定性を比較した。結果を[表2]に示した。
【0041】
【数2】
【0042】
実験例3-成型触媒の物性評価
【0043】
実施例及び比較例の触媒BET比表面積、total pore volume、圧縮強度の測定結果を[表3]に示した。比表面積の場合、BET(Brunauer Emmett Teller)測定法に従い、total pore volumeの場合、水銀圧入法によって測定した。また、圧縮強度は次のように測定した。
【0044】
成型触媒の機械的強度を評価するためにChatillonフォースゲージDFE2-025(100N×0.1)を用いて縦方向の圧縮強度を測定した。ヤスリを用いてサンプルの上段部と下段部を平らに削った後、測定用スタンドに該当成型触媒を垂直方向に位置させた。フォースゲージを5mm/secの下降速度で成型触媒と接触させて成型触媒が破壊される瞬間の圧縮強度を測定した。各成型触媒あたり15個のサンプルの圧縮強度を測定した後、最大値と最小値を除いた残りの値の平均値を記録した。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
表1の結果に照らして、比較例1による粉末触媒の場合は差圧が生じて固定層反応器に適用することは難しいが、それに対して、実施例1による成型触媒の場合は差圧が生じず触媒活性(転化率)も比較例の粉末触媒より高いことが確認できる。
【0049】
表2の結果に照らして、酸化セリウムを添加した成型触媒である実施例の場合、ルテニウム系成型触媒である比較例2に比べて比較的高い熱的安定性を提供できることが確認できる。
【0050】
すなわち、本発明のよる実施例1乃至3による活性物質、担体及び成型方法によって触媒を製造した場合、触媒活性と熱安定性の調節が可能なことが確認できる。
【0051】
また、表3の結果に照らして、本発明による成型触媒の場合、成型触媒は比表面積が5乃至300m/g、総細孔容積(total pore volume)が0.1乃至2ml/g、圧縮強度(crushing strength)が3乃至200Nで提供できることが確認できる。好ましくは成型触媒は比表面積が5乃至50m/g、総細孔容積(total pore volume)が0.2乃至1ml/g、圧縮強度(crushing strength)が3乃至150Nで提供できる。
【0052】
したがって、本発明による触媒は 反応器の形態、運転条件などにかかわらず使用に制約がなく取り扱いが容易な触媒を提供できる。特に成型触媒は固定層反応器に適用するにあたり差圧が生じることなく使用が可能で、触媒活性を高め熱安定性を強化して耐久性を向上する効果がある。したがって、固定層反応器による無水塩酸酸化反応が可能になった。
【0053】
さらに、本発明による多様な触媒成型方法を適用して触媒活性及び熱的安定性を調節でき、よって、高い活性及び高い耐久性を持つ触媒を提供して多様な用途に活用できる。
【0054】
以上、本発明が具体的な構成要素などのような特定の事項と限定された実施例によって説明されたが、これは本発明のより全般的な理解を助けるために提供されたものに過ぎず、本発明が上記実施例らに限定されるわけではなく、本発明の属する分野における通常の知識を持つ者であれば、かかる記載から多様な修正及び変形を図ることができる。
【0055】
よって、本発明の思想は上記説明された実施例に限られて定められてはならず、後述する特許請求の範囲のみならず、その特許請求の範囲と均等又は等価的に変形されたあらゆるものは本発明の思想の範疇に属すると言える。
【発明を実施するための形態】
【0056】
後述する本発明に対する詳細な説明は、本発明が実施され得る特定の実施例を例示として参照する。これらの実施例は当業者が本発明を十分に実施できるように詳細に説明される。本発明の多様な実施例は、互いに異なるが相互排他的である必要はないことが理解されるべきである。例えば、ここに記載される特定の形状、構造及び特性は一実施例に関連して本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の実施例として具現され得る。また、各々の開示された実施例内の個別構成要素の位置又は配置は本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更され得ることが理解されるべきである。したがって、後述する詳細な説明は限定的な意味として取ろうとするものでなく、本発明の範囲は、適切に説明された場合、その請求項らが主張するものと均等な全ての範囲とともに添付された請求項によってのみ限定される。
【0057】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施例に関して詳細に説明する。
【0058】
本発明によれば、塩化水素を酸化させて塩素を製造する方法に使用される塩化水素酸化反応用成型触媒が提供される。
【0059】
本発明の一実施例によれば、上記触媒は触媒100重量部に対して、異種物質0.5乃至20重量部、活性成分として酸化ルテニウム0.1乃至20重量部及び担体60乃至99重量部を含めて提供される。上記異種物質は好ましくは1乃至10重量部を含むことができ、この範囲で生成物の歩留まりを向上させ、熱的安定性を確保できる。活性成分として酸化ルテニウムは好ましくは0.3乃至10重量部が含まれることができ、0.3重量部範囲未満の場合は触媒として活性が不足する可能性があり、10重量部を超えるとコスト面で不利である。
【0060】
本発明の一実施例によれば、上記異種物質はセリア、アルミナ及びシリカから選択される少なくともいずれか1つ以上を含めて提供され、好ましくはセリアが含まれて向上した熱的安定性を提供できる。
【0061】
本発明の一実施例によれば、上記担体はアルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくともいずれか1つ以上を含めて提供される。好ましくはチタニアが提供され得る。
【0062】
本発明の一実施例によれば、上記成型触媒は好ましくはペレットの形態が提供される。この場合、ペレットは球形(sphere)、円柱形(cylinder)、中空形(hollow tube)、環形(ring)及びトリローブ形(trilobes)から選択される少なくともいずれか1つ以上を含めて提供されることによって、粉末状の触媒として固定層反応器に提供される場合、反応器の形態、運転条件などに多くの制約が存在する短所を解決できる。
【0063】
本発明の一実施例によれば、上記成型触媒は直径が1乃至10mmで提供される。成型体の直径が大きすぎると、触媒充填時にパッケージング(packing)に問題が生じる場合があり、直径が小さすぎると触媒の強度が弱くなる問題が生じ得るので上記範囲1乃至10mmで提供されることが好ましい。
【0064】
本発明の一実施例によれば、上記成型触媒は比表面積が5乃至300m/gで提供される。担体の比表面積は通常使用されるBET法によって測定されることができ、これによれば、好ましくは5乃至50m/gが提供される。比表面積が上記範囲を超える場合は酸化ルテニウムの熱安定性の確保に困難が生じる場合があり、上記範囲未満の場合は高分散が難しく、触媒の活性も低くなる問題があるので上記範囲が好ましい。
【0065】
本発明の一実施例によれば、上記成型触媒は総細孔容積(total pore volume)が0.1乃至2ml/gで提供され、好ましくは0.2乃至1ml/gで提供される。上記成型触媒は圧縮強度(crushing strength)が3乃至200Nで提供され、好ましくは3乃至150Nで提供される。よって、高活性又は高耐久性を提供できる。
【0066】
本発明の実施例によれば、上記成型触媒で、通常、ルテニウムの酸化数は4で、好ましくは二酸化ルテニウム(RuO)が提供され、塩化水素を酸化させて塩素を製造することに用いられる。ただし酸化数及び形態はこれに限定されない。
【0067】
一方、本発明の一実施例によれば、方法1乃至方法3による塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法が提供される。以下、前述した成型触媒と同じ内容が適用されることができ、重複する範囲内で説明は省略することとする。また、製造方法でその順序は必要に応じて変形されることができ、これは当業者レベルで自由に変形製造が可能であることを意味する。
【0068】
本発明の一実施例によれば、方法1によって、異種物質から選択される少なくともいずれか1つ以上が溶解された溶液を担体に担持する第1担持ステップと、第1担持ステップ後に1次乾燥、焼成及び冷却後に固形分を得るステップと、上記固形分に有機バインダ、無機バインダ及び水を混合して成型して成型担体を製造するステップと、上記成型担体を2次乾燥、焼成及び冷却後に成型体を製造するステップと、ルテニウム前駆体が溶解された溶液を製造して上記成型体を担持する第2担持ステップと、第2担持ステップ後に3次乾燥及び焼成するステップと、を含む塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法が提供される。
【0069】
本発明の一実施例によれば、上記異種物質はセリウム、アルミニウム及びシリカから選択される少なくともいずれか1つ以上の前駆体が溶媒に溶解された溶液を製造して担体に担持するステップが提供される。この場合、前駆体は、例えば、セリウム前駆体が錯塩の形態で存在が可能で、セリウム化合物、特に硝酸セリウム、酢酸セリウム又は塩化セリウムなどのような金属塩を含むことができる。好ましくは硝酸セリウムが提供され、これに限定されない。
【0070】
上記異種物質から選択される少なくともいずれか1つ以上が溶解された溶液を製造する場合、使用される溶媒は水、アルコール及びニトリルから選択される少なくともいずれか1つ以上を含めて提供される。提供される水は蒸留水、イオン交換水又は超純水(DIW)のような高純度水が提供される。使用する水に不純物を含有する場合は不純物が触媒に付着して触媒の活性を低下させ得る。アルコールの場合は有機溶媒はモノアルコールである場合があり、C3以上の1次アルコールのものが提供される。好ましくはC3アルコール系有機溶媒を提供し、好ましくは1-プロパノールを提供し、溶液の高い濡れ性(wettability)と疎水性(hydrophobicity)を活用してヒドロキシ基(-OH)が存在するチタニア担体の外表面にのみルテニウム成分を担持でき、酸化チタン成型担体又は粉末担体表面に担持されるルテニウムの分散度を高められる効果を提供する。また、提供される溶媒の量に制限があるわけではないが、溶媒量が多すぎると乾燥時間が長くかかるので、溶媒の量は当業者レベルで自由に調節できる。
【0071】
本発明の一実施例によれば、上記担体はアルミナ、チタニア及びジルコニアから選択される少なくともいずれか1つ以上を含み、好ましくはチタニア担体に担持され得る。
【0072】
上記担持は含浸又は浸漬を含み、この場合、温度は通常適用される0℃乃至100℃、好ましくは0℃乃至50℃であり、その圧力は通常適用される0.1乃至1MPa、好ましくは大気圧である。担持は空気雰囲気下または窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素のような不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この時、水蒸気を含むことができる。好ましくは上記不活性ガス雰囲気下で行うことが提供されるが、これに限定されない。
【0073】
チタニア担体はアナターゼ型チタニア又はルチル型チタニア、非晶質チタニア又はこれらの混合物が使用可能である。また、チタニア担体はアルミナ、ジルコニア又は酸化ニオブのような酸化物を含有できる。好ましくはルチル型チタニアが提供され、例えばSAKAI社のチタニアが提供されることができ、これに限定されない。チタニア担体の比表面積は通常使用されるBET法によって測定されることができ、比表面積は5乃至300m/g、好ましくは5乃至50m/gが提供される。
【0074】
また、アルミニウム担体の場合は好ましくはα-アルミナが提供される。これは低いBET比表面積を持つため、他の不純物の吸収は起きることが難しい点から好ましい。この場合、比表面積は10乃至500m/g、好ましくは20乃至350m/gが提供される。
【0075】
また、ジルコニア担体の場合には0.05乃至10μm範囲の細孔を持つものであって、比表面積は上記と同一である。
【0076】
本発明の一実施例によれば、第1担持ステップ後に1次乾燥、焼成及び冷却後に固形分を得るステップが提供され、この場合、乾燥は10℃乃至120℃で3時間乃至5時間の間行うことを特徴とする。
【0077】
乾燥は回転及び攪拌をしながら乾燥させることができる。乾燥容器を振動させたり、容器内に具備された攪拌機を用いても可能であり、これに限定されない。乾燥温度の場合、通常適用される室温で100℃程度が提供され、圧力の場合、通常適用される0.1乃至1MPa、好ましくは大気圧が提供され得る。
【0078】
また、焼成は300℃乃至600℃で2時間乃至6時間の間行い、それ以後は室温で冷却させて行われる。焼成温度は通常適用される温度が提供され、好ましくは250℃乃至450℃が提供され、焼成に提供される酸化性気体としては、例えば、酸素を含む気体が挙げられる。その酸素濃度は通常適用される1乃至30容量%程度が提供される。酸素源として一般に空気または純粋な酸素が提供され、必要に応じて不活性ガスまたは水蒸気が含まれ得る。酸化性ガスは好ましくは空気が提供されることができ、空気流下の電気炉で約350℃で焼成を約3時間程度経った後、1℃乃至35℃の室温で冷却する。
【0079】
上記焼成によってセリウムは酸化セリウム(セリア)に酸化され、酸化セリウムは比較的高温でも安定性を確保できる。酸化セリウム触媒を含む反応の場合、平均温度は250℃乃至600℃の範囲で、好ましくは300℃乃至550℃で熱的安定性が提供される。ただし、600℃を超える場合は塩素製造時に塩素転化率で不利で、250℃未満の場合はセリウムの触媒活性が低下するため、上記範囲で反応を調節して熱的安定性を確保することが好ましい。
【0080】
本発明の一実施例によれば、上記固形分に有機バインダ、無機バインダ及び水を混合して成型して成型担体を製造するステップが提供され、この場合、提供される有機バインダはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ソジウムカルボキシメチルセルロース、精製デンプン、デキストリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、パラフィン、ワックスエマルジョン及び微結晶ワックスから選択される少なくともいずれか1つ以上を含むことを特徴とする。上記有機バインダを含んで成型性向上効果を提供できる。
【0081】
また、無機バインダはアルミナゾル(alumina sol)、シリカゾル(silica sol)、チタニアゾル(titania sol)及びジルコニアゾル(zirconia sol)から選択される少なくともいずれか1つ以上を含むことを特徴とする。上記無機バインダを含んで機械的物性向上の効果を提供できる。
【0082】
発明の一実施例によれば、上記成型担体を製造するステップで、固形分100重量部に対して、水30乃至150重量部、有機バインダ1乃至15重量部及び無機バインダ5乃至30重量部を含んで製造される。上記範囲を含めて担体を成型することによって、機械的物性向上の効果を提供できる。
【0083】
本発明の一実施例によれば、上記成型担体を2次乾燥、焼成及び冷却後に成型体を製造するステップが提供される。この場合、乾燥、焼成及び冷却の場合は前述のとおりである。
【0084】
本発明の一実施例によれば、ルテニウム前駆体が溶解された溶液を製造して上記成型体を担持する第2担持ステップが提供される。上記ルテニウム前駆体は錯塩の形態で存在が可能で、ハロゲン化物、ハロゲノ酸塩、オキソ酸塩、オキシハロゲン化物、塩化物などのような金属塩を含むことができる。例えば、RuCl及びRuBr、KRuCl、KRuCl、KRuO、NaRuO、RuOCl、RuOCl、RuOCl、などを含むことができ、これに限定されない。
【0085】
本発明の実施例によれば、ルテニウム前駆体は好ましくはハロゲン化物が提供され、最も好ましくは塩化物を含む塩化ルテニウムが提供される。ルテニウム化合物として、場合によっては、ルテニウム化合物の水和物が提供されることができ、上記ルテニウム化合物から選択される2種以上が提供され得る。
【0086】
塩化ルテニウムは粉末の形態で用いて溶媒中に混合されることができ、溶媒には固体担体が懸濁されて沈殿体を形成して固体担体に沈積され得る。上記の担持は含浸又は浸漬を含み、この場合、温度は通常適用される0℃乃至100℃、好ましくは0℃乃至50℃であり、その圧力は好ましくは大気圧が提供され得る。担持は空気雰囲気下または窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化酸素のような不活性ガス雰囲気下で行うことができ、この時、水蒸気を含むことができる。好ましくは上記不活性ガス雰囲気下で行うことが提供されるが、これに限定されない。
【0087】
本発明の実施例によれば、第2担持ステップ後に3次乾燥及び焼成するステップを経て最終的に成型触媒が得られる。この場合、乾燥及び焼成の場合も前述のとおりである。
【0088】
本発明の一実施例によれば、方法2によって、担体に有機バインダ、無機バインダ及び水を混合して成型して成型担体を製造するステップと、上記成型担体を1次乾燥、焼成及び冷却後に成型体を製造するステップと、異種物質から選択される少なくともいずれか1つ以上とルテニウム前駆体が溶解された溶液を上記成型体を担持するステップと、上記担持ステップ後に2次乾燥及び焼成するステップと、を含む塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法が提供される。
【0089】
本発明の一実施例によれば、方法3によって、担体に有機バインダ、無機バインダ及び水を混合して成型担体を製造するステップと、上記成型ステップ後に1次乾燥、焼成及び冷却して成型体を製造するステップと、異種物質から選択される少なくともいずれか1つ以上の前駆体が溶解された溶液を上記成型体を担持する第1担持ステップと、上記第1担持ステップ後に2次乾燥、焼成及び冷却して固形体を得るステップと、ルテニウム前駆体が溶解された溶液を上記成型体を担持する第2担持ステップと、第2担持ステップ後に3次乾燥及び焼成するステップと、を含む塩化水素酸化反応用成型触媒の製造方法が提供される。
【0090】
上記方法2及び方法3と比較して、前述の方法1の場合、異種物質を先に添加して成型担体を製造し、ルテニウム前駆体を後で添加して担持することを特徴とするが、それに対して、方法2及び方法3の場合、成型担体を先に製造し異種物質とルテニウム前駆体を後で添加することを特徴とする。方法2の場合、異種物質とルテニウム前駆体を同時に投入し、方法3の場合、異種物質を先に添加した後、ルテニウム前駆体を後で添加する点で異なる。その他、担体、有機バインダ、無機バインダ及び乾燥、焼成及び冷却などに関する製造方法は同一に適用できることは無論である。
【0091】
ただし、本発明の一実施例によれば、上記方法2及び方法3では、触媒の成型が先に製造されるという点で、担体100重量部に対して、水30乃至150重量部、有機バインダ1乃至15重量部及び無機バインダ5乃至30重量部を含んで製造され得る。
【0092】
本発明の一実施例によれば、上記成型触媒は固定層反応器に適用可能に成型することを特徴とする。成型された触媒は反応器の形態、運転条件などにかかわらず使用に制約がなく取り扱いの容易さを提供できる。特に、固定層反応器に適用するにあたり差圧が生じることなく使用が可能で、触媒活性を高めて熱的安定性を強化して向上した耐久性を提供できる。これに対する結果は後述する実施例の結果値から確認できる。
【0093】
本発明の一実施例によれば、上記成型触媒の存在下で塩化水素酸化による塩素の製造方法が提供される。反応の方式は固定相方式又は流動相方式、気相反応などが提供され、好ましくは気相反応が提供される。この酸化反応は平衡反応であって、過度に高温で行うと平衡転化率が低下するため、比較的低温で行うことが好ましく、反応温度は通常100℃乃至500℃、好ましくは200℃乃至450℃で、最も好ましくは250℃が提供される。また、反応圧力は通常0.1乃至5MPa程度である。酸素源としては空気を使用してもよく純粋な酸素を使用してもよい。塩化水素に対する酸素の理論的なモル量は1/4モルであるが、通常は0.1乃至10倍の酸素が提供される。また、塩化水素の供給速度は触媒1Lあたりガス供給速度(L/h;0℃ 1気圧換算)、すなわちGHSVで示し、通常10乃至20000h-1程度である。ただし、この時投入される触媒の量は主に温度、触媒の量及び製造される塩素生成物の量によって若干の変形は可能である。