(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】電池セル、電池および電子装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/572 20210101AFI20240712BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240712BHJP
H01M 50/586 20210101ALI20240712BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20240712BHJP
H01M 10/0587 20100101ALI20240712BHJP
H01M 4/66 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H01M50/572
H01M10/04 W
H01M50/586
H01M50/591 101
H01M10/0587
H01M4/66 A
(21)【出願番号】P 2022540973
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(86)【国際出願番号】 CN2020082538
(87)【国際公開番号】W WO2021195999
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】劉 祖超
【審査官】多田 達也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/005301(WO,A1)
【文献】特開2017-216090(JP,A)
【文献】特開2014-075335(JP,A)
【文献】特開2005-310619(JP,A)
【文献】特開2013-239433(JP,A)
【文献】特開2006-278143(JP,A)
【文献】特開2001-332245(JP,A)
【文献】中国実用新案第207265187(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110676460(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/00-10/39
H01M50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルであって、
前記電池セルは、電極アセンブリを備え、前記電極アセンブリは、第1電極シート、ダイアフラム、および第2電極シートがこの順に
捲回されて形成され、前記第1電極シートは、第1集電体と、前記第1集電体の両側に設けられた第1活物質層とを備え、
前記第1電極シートは、導電層をさらに有し、
前記第1集電体は、第1面と、前記第1面に背向する第2面とを備え、
前記導電層は、前記第1面および/または前記第2面を完全に覆っており、
前記第1活物質層は、前記導電層の表面に設けられており、
前記導電層の捲回始端において、前記電極アセンブリの中心に向かう表面に前記第1活物質層が設けられておらず、前記第1活物質層が設けられていない前記導電層と前記ダイアフラムは接着し、
前記第2電極シートは、第2集電体と、前記第2集電体の両面に設けられた第2活物質層および絶縁層とを備え、
前記第2集電体は、前記第2活物質層が設けられていない空白領域を備え、
前記絶縁層は、前記空白領域に設けられており、
前記絶縁層は、含有率3~15%である第1バインダーと、含有率85~97%であるセラミックとを含む、ことを特徴とする電池セル。
【請求項2】
前記電極アセンブリの捲回方向において、
前記第2集電体の始端の両面には、前記第2活物質層が設けられており、
前記第2集電体の終端は、前記電極アセンブリの中心に向けられた面に前記第2活物質層が設けられており、
前記第2集電体の終端は、前記電極アセンブリの中心から離反する面に前記絶縁層が設けられていることを特徴とする請求項
1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記電極アセンブリの最外周の表面において、前記第2集電体が最初に折り曲げられる部分を折れ曲がり部と定義し、
前記電極アセンブリは、絶縁テープを備え、
前記絶縁テープの一端は、前記第2集電体の終端に貼着されており、
前記絶縁テープの他端は、前記折れ曲がり部に貼着されていることを特徴とする請求項
2に記載の電池セル。
【請求項4】
前記セラミックは、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化チタン、ジルコニアのうちの一種または複数種を含むことを特徴とする請求項
1に記載の電池セル。
【請求項5】
前記電極アセンブリの捲回方向において、
前記第1集電体の終端における前記導電層の両面には前記第1活物質層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項6】
前記導電層は、含有量3~20%である導電剤と、含有量70~95%の第2バインダーと、含有量2~5%である分散剤とを含むことを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項7】
前記導電層の厚み方向における電気抵抗が0.15Ω~0.8Ωであることを特徴とする請求項1に記載の電池セル。
【請求項8】
請求項1~
7の何れか一項に記載の電池セルと、前記電池セルを収容するケースと、を備えることを特徴とする電池。
【請求項9】
電池と、前記電池を載置する電池缶とを備える電子装置であって、前記電池は、請求項
8に記載の電池を含むことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電池分野に関し、具体的に、電池セルと、前記電池セルを備える電池及び前記電池を備える電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートリング、AR、VR等の分野でのリチウムイオン電池の広範な適用に伴い、リチウムイオン電池の適用場面がますます複雑になるため、リチウムイオン電池に対する安全の要求もより厳しくなってきている。現在の電池の安全性を改善する方法は、主に正極の活物質層中の結着剤の含有率の向上や、素アルミ箔と素銅箔との対向の設計などの方式を含む。ここで、正極の活物質層中の結着剤の含有量を高める方法は、正極シートと正極集電体とをより強固に結着させ、正極集電体のベアリークを回避して電池内部の危険な短絡(陰極集電体-陽極の短絡)を解消することができるが、リチウムイオンのタブ中での輸送速度の低下を招き、電池の性能を低下させることとなる。一方、素アルミ箔と素銅箔との対向の設計形態は、電池の破損時に強制的に安全のための短絡を誘導することができるが、このような設計は、生産プロセスの制御に高い要求があり、例えば、バリや粉塵を偶発的な要因で導入しても、素アルミ箔が素銅箔に対する短絡を引き起こしやすく、電池の異常の発生や自発放電の加速を招く。また、この設計は、電池の厚さを厚くして電池のエネルギー密度を下げてしまい、しかも電池容量が比較的大きい場合には、電池が、瞬間的に大きなエネルギーを放出するため、耐えられずに発火して失効してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これを鑑みて、電池の安全性が低いという問題を解決するための電池セルを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、電池セルを提供しており、前記電池セルは、電極アセンブリを備え、前記電極アセンブリは、第1電極シート、ダイアフラム、および第2電極シートがこの順に積層または捲回されて形成され、前記第1電極シートは、第1集電体と、前記第1集電体の両側に設けられた第1活物質層とを備え、前記第1電極シートは、導電層をさらに有し、前記第1集電体は、第1面と、前記第1面に背向する第2面とを備え、前記導電層は、前記第1面および/または前記第2面を完全に覆っており、前記第1活物質層は、前記導電層の表面に設けられている。
【0005】
ある実施例において、前記第2電極シートは、第2集電体と、前記第2集電体の両面に設けられた第2活物質層および絶縁層とを備え、前記第2集電体は、前記第2活物質層が設けられていない空白領域を備え、前記絶縁層は、前記空白領域に設けられている。
【0006】
ある実施例において、前記電極アセンブリの捲回方向において、前記第2集電体の始端の両面には、前記第2活物質が設けられており、前記第2集電体の終端は、前記電極アセンブリの中心に向けられた面に前記第2活物質層が設けられており、前記第2集電体の終端は、前記電極アセンブリの中心から離反する面に前記絶縁層が設けられている。
【0007】
ある実施例において、前記電極アセンブリの最外周の表面において、前記第2集電体が最初に折り曲げられる部分を折れ曲がり部と定義し、前記電極アセンブリは、絶縁テープを備え、前記絶縁テープの一端は、前記第2集電体の終端に貼着されており、前記絶縁テープの他端は、前記折れ曲がり部に貼着されている。
【0008】
ある実施例において、前記絶縁層は、含有率3~15%である第1バインダーと、含有率85~97%であるセラミックとを含む。
【0009】
ある実施例において、前記セラミックは、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化チタン、ジルコニアのうちの一種または複数種を含む。
【0010】
ある実施例では、前記電極アセンブリの捲回方向において、前記第1集電体の始端は、前記電極アセンブリの中心に向かう前記導電層の表面に前記第1活物質層が設けられておらず、前記第1集電体の終端における前記導電層の両面には前記第1活物質層が設けられている。
【0011】
ある実施例において、前記導電層は、含有量3~20%である導電剤と、含有量70~95%の第2バインダーと、含有量2~5%である分散剤とを含む。
【0012】
ある実施例において、前記導電層の電気抵抗が0.15Ω~0.8Ωである。
【0013】
本願実施例は、さらに、前記電池セルと、前記電池セルを収容するケースとを備える電池を提供する。
【0014】
本願実施例は、さらに、前記電池と、前記電池を載置する電池缶とを備える電子装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本出願では、第1集合流体に導電層を被覆することにより、第1集電体が露出しないように確保しながら、前記導電層が前記ダイアフラムと直接接触するようにしてもよい。そこで、電池セルが機械的外力により破壊されてダイアフラムが破損した後でも、導電層が前記第1集電体を被覆することで、第2電極シートが導電層に直接接触するだけで短絡し、一方、接触抵抗が大きいため、電池セル全体の発熱がほとんどなく、電池セルの使用の安全性能の向上に有効である。また、前記導電層には第2バインダーが含まれているため、導電層とダイアフラムとが強固に接着し、電池セルが一体化されて、その剛性が高められている。このように、電池セルは、機械的な外力によって破壊されても、局所的な変形が起こりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本願の一実施形態に係る電池セルの模式図である。
【
図2】
図1に示す第1電極シートの断面模式図である。
【
図3】
図2に示す第1電極シートの分解模式図である。
【
図4】本出願の他の実施形態に係る第1電極シートの分解模式図である。
【
図5】
図1に示す第2電極シートの断面模式図である。
【
図6】
図5に示す第2電極シートの断面模式図である。
【
図7】本願の一実施形態に係る電池の模式図である。
【
図8】本願の一実施形態に係る電子装置のモジュール概略図である。
【
図9】本願の他の実施形態に係る第1電極シートの断面模式図である。
【
図10】本願の他の実施形態に係る第2電極シートの断面模式図である。 以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態をさらに説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願の実施例における技術的解決手段は、本出願の実施例における図面を参照して以下に明確かつ完全に説明される。なお、記載された各実施例は、本出願の実施形態の一部に過ぎず、すべての実施例ではないことは明らかである。創造的な努力なしに本出願の実施例に基づいて当業者によって得られる他のすべての実施例は、本出願の範囲内である。
【0018】
本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、特に定義されない限り、本出願が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本願の明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものだけであり、本願を限定するものではない。
【0019】
以下、上記の図面を参考して本出願のいくつかの実施形態について詳細に説明する。下記の実施形態および実施形態の特徴は、お互いに矛盾しない場合、組み合わせることができることに留意されたい。
【0020】
図1を参照すると、本出願の実施形態は、電極アセンブリ11を含む電池セル1を提供する。前記電極アセンブリ11は、第1電極シート12、ダイアフラム13および第2電極シート14が順に捲回されて形成されている。
図2を参照して、前記第1電極シート12は、第1集電体121と、前記第1集電体121の両側に設けられた第1活物質層122とを含む。本実施形態において、前記第1ポールシート12は導電層123をさらに含む。
図3および
図4を併せて参照して、前記第1集電体121は、第1面1211と、前記第1面1211に背向する第2面1212とを含む。導電層123は、第1面1211および/または第2面1212を完全に覆っている。前記第1活物質層122は、前記導電層123の表面に設けられている。ここで、前記第1活物質層122は、黒鉛、シリコン、酸化シリコンの一種または複数種を含む。
【0021】
他の実施形態では、上記電極アセンブリ11は、第1電極シート12、ダイアフラム13および第2電極シート14が順に積層されて形成されている。
【0022】
図1と
図2とを併せて参照して、上記電極アセンブリ11の捲回方向において、第1集電体121の始端は、電極アセンブリ11の中心に向かう導電層123の表面に第1活物質層122が設けられておらず、第1集電体121の終端における導電層123の両面には第1活物質層122が設けられている。
【0023】
図5を参照して、前記第2電極シート14は、第2集電体141と、前記第2集電体141の両面に設けられた第2活物質層142および絶縁層143とを有する。第2集電体141は、第2活物質層142が設けられていない空白領域1411を含む。前記絶縁層143は、空白領域1411に設けられる。ここで、
図1及び
図5を参照すると、前記電極アセンブリ11の捲回方向において、前記第2集電体141の始端の両面には、前記第2活物質22が設けられている。第2集電体141の終端は、電極アセンブリ11の中心に向けられた面に第2活物質層142が設けられており、第2集電体141の終端は、電極アセンブリ11の中心から離反する面に絶縁層143が設けられている。その中、絶縁層143の設置により、第2集電体141の剥き出しによる第1電極シート12との直接接触のリスクを回避し、第2集電体141が第1電極シート12と直接接触する短絡による火災の発生を有効に阻止するものである。また、絶縁層143の電気抵抗は、第2集電体141の電気抵抗よりもはるかに大きいため、ダイアフラム13の破損による絶縁層143と第1タブ12とが直接接触して短絡したとしても、その接触抵抗が大きいため、電池セル1全体がほとんど熱を発生することはなく、電池セル1の使用の安全性能は有効に確保される。
【0024】
前記第2活物質層142は、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムの一種又は複数種を含む。
【0025】
本実施形態では、
図1および
図6を参照して、前記電極アセンブリ11の捲回方向において、前記第2集電体141は、前記第2集電体141の始端から終端への方向に向かって順次に接続される両面領域1412および片面領域1413を含む。前記両面領域1412は、前記第2集電体141の両方の表面に前記第2活物質層142が設けられている部分であり、前記片面領域1413は、前記第2集電体141における前記電極アセンブリ11に背向する表面に、前記第2活物質層142が設けられていない部分である。前記空白領域1411は、前記片面領域1413を含む。ここで、前記片面領域1413は、電極アセンブリ11の最外周に位置する。前記絶縁層143は、前記片面領域1413の前記電極アセンブリ11の中心から離反した表面に設けられている。
【0026】
さらに、
図1を参照して、前記電極アセンブリ11の最外周の表面において、第2集電体141が最初に折り曲げられる部分を折れ曲がり部1414と定義する。その中、上記電極アセンブリ11は絶縁テープ15を更に含む。前記絶縁テープ15の一端は、前記第2集電体141の終端に貼着されており、前記絶縁テープ15の他端は、前記折れ曲がり部1414に貼着されている。
【0027】
絶縁層143は、含有率3~15%である第1バインダーと、含有率85~97%であるセラミックとを含んでいる。ここで、前記セラミックは、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、酸化チタン、ジルコニアのうちの一種または複数種を含む。前記第1バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリレート、スチレンブタジエンゴム、スチレン及びその誘導体などのうちの1種または複数種であってもよい。
【0028】
上記導電層123は、含有量3~20%である導電剤と、含有量70~95%の第2バインダーと、含有量2~5%である分散剤とを含む。その中、前記導電剤は、カーボンナノチューブ、導電性カーボンブラック、導電性グラファイト等の1種類又は複数種類であってもよい。第2バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリレート、スチレンブタジエンゴム、スチレン及びその誘導体などの1種または複数種であってもよい。分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール等の1種または複数種であってよい。
【0029】
本実施形態では、
図1、
図2および
図3を参照して、導電層123は、第1面1211および第2面1212を完全に覆っている。電極アセンブリ11の捲回方向において、第1集電体121は、第1集電体121の始端から終端への方向に向かって順次に接続される第1領域1213および第2領域1214を含む。前記第2領域1214に位置する前記導電層123の両面には、前記第1活物質層122が設けられている。前記第1領域1213に位置する、前記電極アセンブリ11の中心に向かう前記導電層123の表面には、前記第1活物質層122が設けられていない、すなわち、前記第1領域1213に位置する前記電極アセンブリ11の中心に向かう前記第1集電体121の表面には、前記導電層123のみが設けられている。そして、第1集電体121が露出しないように確保したまま、導電層123がダイアフラム13と直接接触するようにしてもよい。一方、導電層123には第2バインダーが70~95%含まれているため、導電層123とダイアフラム13とが強固に接着し、電池セル1が一体化されて、その剛性が高められている。このように、電池セル1は、機械的な外力によって破壊されても、局所的な変形が起こりにくい。また、導電層123の存在により、電池セル1が機械的外力により破壊されてダイアフラム13が破損した後でも、導電層123が前記第1集電体121を被覆することで、第2電極シート14が導電層123に直接接触するだけで短絡し、一方、第2バインダーの含有量が70~95%と高く、且つ有機物であるためほとんど導電しないため、導電層123の
厚み方法における電気抵抗が0.15Ω~0.8Ωと大きく、電池セル1全体の発熱がほとんどなく、電池セル1の使用の安全性能の向上に有効である。
【0030】
さらに、
図1を参照して、前記第1領域1213は、前記電極アセンブリ11の捲回方向において、前記第1集電体121の始端から終端への方向に向かって、第1平面領域1213a、第1折れ曲がり領域1213b、第2平面領域1213c、第2折れ曲がり領域1213d、第3平面領域1213eおよび第3折れ曲がり領域1213fをこの順で接続する。ここで、前記第1折れ曲がり領域1213b、第2折れ曲がり領域1213dおよび第3折れ曲がり領域1213fは、それぞれ、前記第1集電体121が1回目に折れ曲げられた領域、前記第1集電体121が2回目に折り曲げられた領域および前記第1集電体121が3回目に折り曲げられた領域である。前記第1平面領域1213aは、前記第1集電体121の始端から前記第1折り曲げ領域1213bまでの領域であり、前記第2平面領域1213cは、前記第1折れ曲がり領域1213bと前記第2折れ曲がり領域1213dとの間に接続され、前記第3平面領域1213eは、前記第2折れ曲がり領域1213dと前記第3折れ曲がり領域1213fとの間に接続される。
【0031】
さらに、電池セル1は、第1タブ16及び第2タブ17を備えている。前記第1タブ16は前記第1集電体121に接続され、前記第2タブ17は前記第2集電体141に接続されている。ここで、前記第1タブ16は、銅片又はニッケル片であってもよい。前記第2タブ17は、アルミ片であってもよい。
【0032】
図7を参照すると、本出願はさらに、ケース2と、上記に記載の電池1と、を備える電池10を提供する。前記電池1は前記ケース2内に収容されている。もちろん、電池10は、電解液(図示せず)も含む。前記電解液は、前記ケース2内に収容されている。
【0033】
図8を参照して、本出願は、電池缶(図示せず)と、上記に記載の電池10とを備える電子装置100も提供する。前記電池缶は、前記電池10を載置するために用いられる。なお、前記電子装置100は、携帯電子機器、エネルギー貯蔵機器、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等であってもよい。前記携帯電子機器は、携帯電話、ウェアラブル電子機器、タブレット、ノートパソコンなどであってよい。
【0034】
以下、実施例により本願の電池10を具体的に説明する。本発明における第1集電体、第1活物質層、導電層、第1導電層、第2集電体、第2活物質層、絶縁層、およびダイアフラム等の各寸法、材質および/または比率は、比較例および実施例の記載に限定されるものではなく、具体的には実際のニーズに応じて選択できることが理解される。
【0035】
<実施例1>
図7を参照すると、電池10は、電池セル1と、電池セル1を収容するケース2とを備える。
【0036】
図1を参照して、電池セル1は、電極アセンブリ11を備えている。前記電極アセンブリ11は、第1電極シート12、ダイアフラム13および第2電極シート14が順に捲回されて形成されている。
図2および
図3を参照して、前記第1電極シート12は、第1集電体121と、前記第1集電体121の両側に設けられた第1活物質層122とを含む。実施例1において、前記第1電極シート12は導電層123をさらに含む。第1集電体121は、第1面1211と、第1面1211に背向する第2面1212とを有する。導電層123は、第1面1211および第2面1212を完全に覆っている。
【0037】
図1と
図2とを参照して、電極アセンブリ11の捲回方向において、第1集電体121は、第1集電体121の始端から終端への方向に向かって順次に接続される第1領域1213および第2領域1214を含む。前記第1領域1213は、前記第1集電体121の始端から終端への方向に向かって、第1平面領域1213a、第1折れ曲がり領域1213b、第2平面領域1213c、第2折れ曲がり領域1213d、第3平面領域1213eおよび第3折れ曲がり領域1213fをこの順で接続する。ここで、前記第1折れ曲がり領域1213b、第2折れ曲がり領域1213dおよび第3折れ曲がり領域1213fは、それぞれ、前記第1集電体121が1回目に折れ曲げられた領域、前記第1集電体121が2回目に折り曲げられた領域および前記第1集電体121が3回目に折り曲げられた領域である。前記第1平面領域1213aは、前記第1集電体121の始端から前記第1折り曲げ領域1213bまでの領域であり、前記第2平面領域1213cは、前記第1折れ曲がり領域1213bと前記第2折れ曲がり領域1213dとの間に接続され、前記第3平面領域1213eは、前記第2折れ曲がり領域1213dと前記第3折れ曲がり領域1213fとの間に接続される。
【0038】
実施例1において、
図1及び
図2を参照すると、前記第1領域1213に位置する前記電極アセンブリ11の中心に向かう前記導電層123の表面には、前記第1活物質層122が設けられておらず、前記第2領域1214に位置する前記導電層123の両面には、前記第1活物質層122が設けられている。
【0039】
図5を参照して、前記第2電極アセンブリ14は、第2集電体141と、第2集電体141の両面に設けられた第2活物質層142および絶縁層143とを有する。
【0040】
図1および
図6を参照して、前記電極アセンブリ11の捲回方向において、前記第2集電体141は、前記第2集電体141の始端から終端への方向に向かって順次に接続される両面領域1412および片面領域1413を含む。前記両面領域1412は、前記第2集電体141の両方の表面に前記第2活物質層142が設けられている部分であり、前記片面領域1413は、前記第2集電体141における前記電極アセンブリ11に背を向ける表面に、前記第2活物質層142が設けられていない部分である。ここで、前記片面領域1413は、電極アセンブリ11の最外周に位置する。前記絶縁層143は、前記片面領域1413の前記電極アセンブリ11の中心から離反した表面に設けられている。
【0041】
実施例1では、前記ダイアフラム13はポリエチレンフィルムを用いた。前記第1活物質層122は黒鉛を含む。前記第2活物質層142はコバルト酸リチウムを含む。前記絶縁層143は、10%の第1バインダーと90%のアルミナとを含む。前記導電層123は、5%の導電性カーボン、92%の第2バインダー、3%の分散剤を含む。なお、前記電池10はソフトパック電池であり、前記ケース2はアルミラミネートフィルムであってもよい。
【0042】
他の実施形態では、前記ダイアフラム13は、ポリプロピレンフィルム又はアラミドフィルムであってもよい。前記電池10は、スチール缶電池等であってもよい。
【0043】
実施例1では、前記電池10に対してニードルパンチ試験を行った。前記ニードルパンチ試験は、
まず、電池10を4.2V~4.4Vまで充電するステップ、
次いで、直径2.5mmのスチール針で電池10全体を突き抜けるステップを備える。テスト後の電池10が発火せず、爆発しなければ、電池10がニードルパンチ試験を通過したと判定される。
【0044】
実施例1では、前記電池10に対して重錘落下衝撃試験を行った。前記重錘落下衝撃試験は、
まず、電池10を4.2V~4.4Vまで充電するステップ、
次に、電池10の上面に直径15.8mmの丸棒を置くステップ、および
その後、高さ610mmから重量9.6Kgの重錘を丸棒の上方に垂直して落下させ、電池10に衝撃を与えたステップを備える。テスト後の電池10が発火せず、爆発しなければ、電池10が重錘落下衝撃試験を通過したと判定される。
【0045】
<実施例2>
実施例2と実施例1との相違点は、絶縁層143の組成にある。
【0046】
実施例2では、前記絶縁層143は、10%の第1バインダーと90%の水酸化アルミニウムとを含む。
【0047】
<実施例3>
実施例3と実施例1との相違点は、絶縁層143の組成にある。
【0048】
実施例3では、前記絶縁層143は、10%の第1バインダーと、80%の水酸化アルミニウムと、10%のアルミナとを含む。
【0049】
<実施例4>
実施例4と実施例1との相違点は、絶縁層143の組成にある。
【0050】
実施例4では、前記絶縁層143は、5%の第1バインダーと95%の水酸化アルミニウムとを含む。
【0051】
<実施例5>
実施例5と実施例1との相違点は、絶縁層143の組成にある。
【0052】
実施例5では、前記絶縁層143は、10%の第1バインダーと90%のシリカとを含む。
【0053】
<実施例6>
実施例6と実施例1との相違点は、絶縁層143の組成および第1活物質層122の組成にある。
【0054】
実施例6では、前記絶縁層143は、10%の第1バインダーと90%の水酸化アルミニウムとを含む。前記第1活物質層122は80%の黒鉛および15%のシリコンを含む。
【0055】
<実施例7>
実施例7と実施例6との相違点は、導電層123の組成および第1活物質層122にある。
【0056】
実施例7では、前記導電層123は、10%の導電性カーボン、87%の第1バインダー、および3%の分散剤を含む。前記第1活物質層122は黒鉛のみを含む。
【0057】
<実施例8>
実施例8と実施例6との相違点は、導電層123の組成および第1活物質層122にある。
【0058】
実施例8では、前記導電層123は、3%の導電性カーボン、94%の第1バインダー、および3%の分散剤を含む。前記第1活物質層122は黒鉛のみを含む。
【0059】
<実施例9>
実施例9と実施例6との相違点は、導電層123の組成および第1活物質層122にある。
【0060】
実施例9では、前記導電層123は、15%の導電性カーボン、82%の第1バインダー、および3%の分散剤を含む。前記第1活物質層122は黒鉛のみを含む。
【0061】
<実施例10>
実施例10と実施例9との相違点は、第1電極シートにある。
【0062】
実施例10では、
図9を参照して、前記第1電極シート12は、第1集電体121と、第1導電層124および第1活物質層122にある。前記第1領域1213の前記電極アセンブリ11の中心から離反した面及び前記第2領域1214の両面には、前記第1導電層124が設けられている。前記第1活物質層122は、前記第1導電層124の表面に設けられている。
【0063】
その中、前記導電層124は、65%の導電性カーボン、32%の第1バインダー、および3%の分散剤を含む。
【0064】
<実施例11>
実施例11と実施例5との相違点は、第2電極シート14の構造および絶縁テープ15が設置された位置にある。
【0065】
実施例11において、
図10を参照して、前記第2電極シート14には導電層143がない。
【0066】
前記絶縁テープ15の一端は、前記第2集電体141の終端に貼着されており、前記絶縁テープ15の他端は、前記電極アセンブリ10の最外周に貼着され、前記絶縁テープ15はさらに前記ダイアフラム3に貼着されている。
【0067】
<比較例1>
比較例1と実施例10との相違点は、第2電極シート14の構造および絶縁テープ15が設置された位置にある。
【0068】
比較例1において、
図10を参照して、前記第2電極シート14には導電層143がない。
【0069】
前記絶縁テープ15の一端は、前記第2集電体141の終端に貼着されており、前記絶縁テープ15の他端は、前記電極アセンブリ10の最外周に貼着され、前記絶縁テープ15はさらに前記ダイアフラム13に貼着されている。
【0070】
そのうち、実施例1~11及び比較例1に係る実験パラメータ及び測定結果を表1に参照されたい。
<表1>
【0071】
表1を参照して、実施例10と実施例9とを比較すると、導電層123の設置により、上記電池10の剛性及び安全性能を高め得ることがわかる。実施例10と比較例1を対比すると、絶縁層143の対の設置により、前記電池10の剛性及び安全性能を高め得ることがわかる。
【0072】
上記の各実施例は、ただ本発明の技術的解決策を説明するためのものであり、限定することを意図するものではなく、好ましい実施形態を参照して、本発明について詳細に説明しているが、当業者は、本発明の精神及び実質から逸脱することなく、本発明の技術的解決策を修正または同等に置換できることを理解すべきである。
【符号の説明】
【0073】
100 電子装置
10 電池
1 電池セル
11 電極アセンブリ
12 第1電極シート
121 第1集電体
1211 第1面
1212 第2面
1213 第1領域
1213a 第1平面領域
1213b 第1折れ曲がり領域
1213c 第2平面領域
1213d 第2折れ曲がり領域
1213e 第3平面領域
1213f 第3折れ曲がり領域
1214 第2領域
122 第1活物質層
123 導電層
124 第1導電層
13 ダイアフラム
14 第2電極シート
141 第2集電体
1411 空白領域
1412 両面領域
1413 片面領域
1414 折れ曲がり部
142 第2活物質層
143 絶縁層
15 絶縁テープ
16 第1タブ
17 第2タブ
2 ケース