(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】エンドカバーユニット、電池セル及び排気方法、電池及び電力消費機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/325 20210101AFI20240712BHJP
H01M 50/148 20210101ALI20240712BHJP
H01M 50/317 20210101ALI20240712BHJP
【FI】
H01M50/325
H01M50/148
H01M50/317 101
(21)【出願番号】P 2022543122
(86)(22)【出願日】2021-01-21
(86)【国際出願番号】 CN2021073160
(87)【国際公開番号】W WO2022099932
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202011276284.9
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522010668
【氏名又は名称】ジアンス・コンテンポラリー・アンプレックス・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】李 全坤
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 文▲偉▼
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-311670(JP,A)
【文献】実公平06-005133(JP,Y2)
【文献】特開2012-156489(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108477989(CN,A)
【文献】特開2019-040664(JP,A)
【文献】実公昭36-023261(JP,Y1)
【文献】特開2015-185223(JP,A)
【文献】特開2013-074298(JP,A)
【文献】特開2019-102366(JP,A)
【文献】特開2019-140085(JP,A)
【文献】特開2019-102190(JP,A)
【文献】特開2005-285404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池セルのケースを密閉するための電池セルのエンドカバーユニットであって、
自体軸方向に沿ってエンドカバープレートを貫通する排気孔が設けられたエンドカバープレートと、
前記排気孔に装着され、柱状部、第1制限部、第2制限部、第1弾性部品及び第2弾性部品を含み、前記柱状部は前記排気孔を貫通し、前記第1制限部及び前記第2制限部は前記柱状部の外周面を取り囲み、かつそれぞれ前記エンドカバープレートの前記排気孔の軸方向の外側及び内側に位置し、前記第1弾性部品は前記第1制限部と前記エンドカバープレートとの間に位置し、前記第2弾性部品は前記第2制限部と前記エンドカバープレートとの間に位置する排気装置と、
を備え、
排気装置が正常な状態にある場合、前記第2弾性部品はそれぞれ前記第2制限部、前記エンドカバープレートに密封接触することにより前記排気孔を密封状態にし、排気装置が前記エンドカバープレートに向かう作用力を受ける場合、前記第1制限部及び前記第2制限部は同じ変位を生じさせるように構成され、前記第1弾性部品は少なくとも部分的に圧縮されるとともに、前記第2弾性部品は少なくとも部分的に解放され、それにより、前記排気孔に対する前記第2弾性部品の密封を解除し、前記ケースの内部と外部を前記排気孔を介して気体連通さ
せ、
前記柱状部と前記排気孔の孔壁との間に第1排気隙間を有し、前記第1排気隙間は前記エンドカバープレートの内部を外部の気体と連通させ、
前記第1制限部は取り付け貫通孔を有し、前記柱状部は前記取り付け貫通孔に挿入され、かつ前記第1制限部に固定して接続され、
前記第1制限部と前記柱状部との間に第2排気隙間が設けられ、前記エンドカバープレートの内部と外部は前記第1排気隙間及び前記第2排気隙間を介して気体連通している電池セルのエンドカバーユニット。
【請求項2】
前記柱状部と前記排気孔とは隙間嵌めして前記第1排気隙間を形成する
請求項1に記載のエンドカバーユニット。
【請求項3】
前記第1制限部と前記柱状部とは隙間嵌めして前記第2排気隙間を形成する
請求項1に記載のエンドカバーユニット。
【請求項4】
前記第2排気隙間は前記取り付け貫通孔の孔壁に形成された凹部であり、前記凹部は前記柱状部から離れた方向へ凹設される
請求項1~3のいずれか一項に記載のエンドカバーユニット。
【請求項5】
前記第1制限部に第1凹溝が設けられ、前記第1凹溝は前記取り付け貫通孔に周設され、前記柱状部は前記第1凹溝に少なくとも部分的に位置する
請求項1~4のいずれか一項に記載のエンドカバーユニット。
【請求項6】
前記エンドカバープレートの前記第2弾性部品に対応する位置に第2凹溝が設けられ、前記第2凹溝は前記排気孔に周設され、前記第2弾性部品は前記第2凹溝に少なくとも部分的に位置する
請求項1~5のいずれか一項に記載のエンドカバーユニット。
【請求項7】
前記第1弾性部品及び前記第2弾性部品の材質はいずれもフッ素ゴムである
請求項1~6のいずれか一項に記載のエンドカバーユニット。
【請求項8】
電極組立体と、ケースと、
請求項1~7のいずれか一項に記載のエンドカバーユニットと、を備え、
前記ケースは開口部を有する中空空洞部であり、前記エンドカバーユニットは前記ケースの前記開口部で前記ケースに結合されて前記電極組立体を収容する空間を形成する、電池セル。
【請求項9】
2つ以上の
請求項8に記載の電池セルを備える電池。
【請求項10】
請求項9に記載の電池を備える電池を用いた装置。
【請求項11】
前記エンドカバープレートに向かう作用力を前記排気装置に印加して、前記第1制限部及び前記第2制限部に同じ変位を発生させ、かつ前記第1弾性部品は少なくとも部分的に圧縮されるとともに、前記第2弾性部品は少なくとも部分的に解放され、それにより、前記エンドカバープレートの前記排気孔に対する前記第2弾性部品の密封を解除し、前記電池セルのケースの内部と外部を前記排気孔を介して気体連通させるステップと、
前記排気装置に印加された作用力を取り除くと、前記排気装置は正常な状態に戻り、前記第2弾性部品はそれぞれ前記第2制限部、前記エンドカバープレートに密封接触することにより前記排気孔を密封状態にするステップと、
を含む
請求項8に記載の電池セルの排気方法。
【請求項12】
前記作用力は前記第1制限部に印加される
請求項11に記載の排気方法。
【請求項13】
前記作用力は前記排気孔の軸方向と平行する
請求項11又は12に記載の排気方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の実施形態は電池分野に関し、特にエンドカバーユニット、電池セル及び排気方法、電池及び電力消費機器に関する。
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年11月16日に提出された、名称が「エンドカバーユニット、電池セル及び排気方法、電池及び電力消費機器」である中国特許出願202011276284.9の優先権を主張し、当該出願の全内容は援用により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
現在、一般的に使用されている電池セルは、通常、ケース、ケース内に収容される電極組立体、及びケースに固定されるエンドカバーユニットを備え、電池セルは二次電池、たとえば、リチウムイオン電池とも呼ばれ、ケースは、一般的には中空空洞部であり、開口部を有し、エンドカバーユニットはケースの開口部でケースに結合されて、電極組立体を収容するための密封収容キャビティを形成する。
【0003】
電極組立体の使用中に、充放電サイクルが何度も繰り返され、収容キャビティ内の気体が必然的に連続的に増加し、収容キャビティの気圧が連続的に高くなり、電池セルの寿命及び安全に深刻な影響をもたらす。
【0004】
また、電池セルの構造の密閉性に対する要件は非常に高く、使用中に電解液が浸出し、周囲の空気や環境を汚染することや、電池セルの内部に水蒸気が侵入して、電解液と反応し、セルの寿命を低減することが回避されるべきである。
【0005】
従って、いくつかの場合、電池セルは内部の気体を1回しか排気できず、電池セルの内部の気体発生量が多すぎると、設置された安全装置(たとえば、防爆弁)が爆破し、内部気圧を緩和し、安全事故の発生を回避するが、セルの寿命も終わりになる。
【発明の概要】
【0006】
上記問題に鑑みて、本願は、電池セルの複数回の排気を可能とし、かつ電解液の漏れを回避でき、電池セルの内部気圧が高すぎることを効果的に回避し、電池セルの寿命を延ばすことができるエンドカバーユニット、電池セル及び排気方法、電池及び電力消費機器を提供する。
【0007】
本願の第1態様は、電池セルのケースを密閉するためのエンドカバーユニットであって、
自体軸方向に沿ってエンドカバープレートを貫通する排気孔が設けられたエンドカバープレートと、
排気孔に装着され、柱状部、第1制限部、第2制限部、第1弾性部品及び第2弾性部品を備え、柱状部は排気孔を貫通し、第1制限部及び第2制限部は柱状部の外周面を取り囲み、かつそれぞれエンドカバープレートの排気孔の軸方向の外側及び内側に位置し、第1弾性部品は第1制限部とエンドカバープレートとの間に位置し、第2弾性部品は第2制限部とエンドカバープレートとの間に位置する排気装置と、を備え、
排気装置が正常な状態にある場合、第2弾性部品はそれぞれ第2制限部、エンドカバープレートに密封接触することにより排気孔を密封状態にし、排気装置がエンドカバープレートに向かう作用力を受ける場合、第1制限部及び第2制限部は同じ変位を生じさせるように構成され、第1弾性部品は少なくとも部分的に圧縮されるとともに、第2弾性部品は少なくとも部分的に解放され、排気孔に対する第2弾性部品の密封を解除し、ケースの内部と外部を排気孔を介して気体連通させる、エンドカバーユニットを提供する。
【0008】
本願により提供されるエンドカバーユニットでは、排気孔を有するエンドカバープレート及び排気装置が設置されることにより、正常な状態では、排気装置は排気孔を密封して電池セルの内部と外部の気体の流れを阻止し、排気する必要がある場合、排気装置にエンドカバープレートに向かう作用力を印加することにより、排気孔に対する排気装置の密封を解除し、電池セルのケースの内部と外部を排気孔を介して気体連通させ、排気が終わった後、排気装置に印加された力を取り除き、排気装置は正常な状態に戻り、排気孔を密封し、電解液の漏れを回避し、電池セルは引き続き使用することができる。
【0009】
いくつかの実施例では、柱状部と排気孔の孔壁との間に第1排気隙間を有し、第1排気隙間はエンドカバープレートの内部と外部を気体連通させる。
【0010】
従って、第1排気隙間の非密封状態では、ケーシング内の気体は第1排気隙間を通過して直接排出され、それにより、電池セルの排気を実現する。
【0011】
いくつかの実施例では、柱状部と排気孔は隙間嵌めして第1排気隙間を形成する。
【0012】
いくつかの実施例では、第1制限部は取り付け貫通孔を有し、柱状部は取り付け貫通孔に挿入され、かつ第1制限部に固定して接続される。
【0013】
第1制限部と柱状部との間に第2排気隙間が設けられ、エンドカバープレートの内部と外部は第1排気隙間及び第2排気隙間を介して気体連通している。
【0014】
従って、第1排気隙間の非密封状態では、ケーシング内の気体は第1排気隙間を通過して第2排気隙間に入り、かつ第2排気隙間を介して電池セルの外部に排出され、このように、電池セルの排気を実現する。
【0015】
いくつかの実施例では、第1制限部と柱状部は隙間嵌めして第2排気隙間を形成する。
【0016】
いくつかの実施例では、第2排気隙間は取り付け貫通孔の孔壁に形成される凹部であり、凹部は柱状部から離れた方向へ凹設される。
【0017】
取り付け貫通孔の孔壁の凹部を第2排気隙間として形成すると、電池セルの排気量を増大させることができる。
【0018】
いくつかの実施例では、第1制限部に第1凹溝が設けられ、第1凹溝は取り付け貫通孔に周設され、柱状部は第1凹溝内に少なくとも部分的に位置する。
【0019】
第1凹溝に入った柱状部の量を観察することにより、柱状部が十分にアップセットされるか否かを判断することができる。また、柱状部の端部が第1凹溝に位置する場合、柱状部の端部と第1制限部の上面との間は平面であり、これにより、電池セル全体の体積が減少し、かつケーシングの表面がより平坦で美しくなる。
【0020】
いくつかの実施例では、エンドカバープレートのうち第2弾性部品に対応する位置に第2凹溝が設けられ、第2凹溝は排気孔に周設され、第2弾性部品は第2凹溝内に少なくとも部分的に位置する。
【0021】
第2凹溝の設置により排気装置で占められるケーシング内の体積を減少させることができ、電池セルの体積を更に減少させる。
【0022】
いくつかの実施例では、第1弾性部品及び第2弾性部品の材質はいずれもフッ素ゴムである。
【0023】
フッ素ゴムは、安定性が高く、耐高温であるゴム材質であり、第2弾性部品が第1排気隙間を完全に密封することを可能とし、第1弾性部品が圧縮状態で第1制限部とエンドカバープレートとの間の密封を確保することができる。
【0024】
本願の第2態様は、電極組立体と、ケースと、上記実施例のエンドカバーユニットとを備え、
ケースは開口部を有する中空空洞部であり、エンドカバーユニットはケースの開口部でケースに結合されて電極組立体を収容する空間を形成する、電池セルを提供する。
【0025】
本願の第3態様は、上記実施例の電池セルを備える電池を提供する。
【0026】
本願の第4態様は、上記実施例の電池を備える、電池を用いた装置を提供する。
【0027】
本願の第5態様は、
エンドカバープレートに向かう作用力を排気装置に印加して、第1制限部及び第2制限部に同じ変位を発生させ、かつ第1弾性部品を少なくとも部分的に圧縮するとともに、第2弾性部品を少なくとも部分的に解放し、それにより、エンドカバープレートの排気孔に対する第2弾性部品の密封を解除し、電池セルのケースの内部と外部を排気孔を介して気体連通させるステップと、
排気装置に印加された作用力を取り除くと、排気装置は正常な状態に戻り、第2弾性部品はそれぞれ第2制限部、エンドカバープレートに密封接触して排気孔を密封状態にするステップと、を含む、電池セルの排気方法を提供する。
【0028】
いくつかの実施例では、排気装置に印加された作用力は第1制限部に印加される。
【0029】
排気装置がエンドカバープレートに向かう作用力を受ける場合、第1制限部及び第2制限部は同じ変位を生じさせるように構成され、該作用力は第1弾性部品及び第2弾性部品の圧縮程度を変更し、エンドカバープレートに対する排気装置の位置を変更し、第1弾性部品は少なくとも部分的に圧縮されるとともに、及び第2弾性部品は少なくとも部分的に解放され、それにより、排気孔に対する第2弾性部品の密封を解除する。
【0030】
いくつかの実施例では、排気装置に印加された作用力は排気孔の軸方向に平行する。
【0031】
排気装置に印加された作用力は排気孔の軸方向に平行することによって、柱状部と排気孔の孔壁との間に摩擦が発生することを防止することができる。
【0032】
本願により提供されるエンドカバーユニットでは、排気孔を有するエンドカバープレート及び排気装置を設置し、かつ排気装置をエンドカバープレートの排気孔に取り付けることにより、正常な状態では、排気装置は排気孔を密封して電池セルの内部と外部の気体の流れを阻止し、排気する必要がある場合、エンドカバープレートに向かう作用力を排気装置に印加することにより、排気孔に対する排気装置の密封を解除し、電池セルのケースの内部と外部を排気孔を介して気体連通させ、排気が終わった後、排気装置に作用する力を取り除くと、排気装置は正常な状態に戻り、排気孔を密封し、電解液の漏れを回避し、電池セルは引き続き使用することができる。従って、本願におけるエンドカバーユニットを電池セルに用いる場合、電池セルの複数回の排気を可能とし、かつ電池セルに永久的なダメージをもたらすことはなく、電池セルの使用安全性を保証するとともに、電池セルの寿命を延ばす。
【0033】
上記は、本願の実施例の技術的解決手段の概要に過ぎず、本願の実施例の技術的手段をより明確に理解して明細書の内容に従って実施できるようにし、かつ本願の実施例の上記及び他の目的、特徴及び利点をより明確かつ理解しやすくするために、本願の具体的な実施形態を以下に説明する。
【0034】
本願の実施例の技術的解決手段をより明瞭に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかなに、以下に説明される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとって、創造的な労働をせずに図面に基づき他の図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本願の一実施例の電池セルの部分分解構造の模式図である。
【
図2】
図1のエンドカバーユニットの上面拡大模式図である。
【
図3】
図2のエンドカバーユニットのA-A方向に沿った断面構造模式図である。
【
図4】
図3のB領域の排気装置及びエンドカバーの部分分解模式図である。
【
図5】本願の一実施例の排気装置及びエンドカバーの正常な状態での排気孔の孔軸線の方向に沿った断面構造模式図である。
【
図6】本願の一実施例の排気装置及びエンドカバーが作用力Fを受けて変位を生じさせた状態での排気孔の孔軸線の方向に沿った断面構造模式図である。
【
図7】本願の一実施例の柱状部と第2制限部の接続の構造模式図である。
【
図8】本願の一実施例の柱状部がアップセットされた後にリベット構造が形成されるときの構造模式図である。
【
図9】本願の一実施例の第1凹溝のない第1制限部の構造模式図である。
【
図10】本願の一実施例の第1凹溝が設置された第1制限部の構造模式図である。
【
図11】本願の一実施例の電池セルの排気方法のフローチャートである。
【
図12】本願の一実施例の電池の構造模式図である。
【
図13】本願の一実施例の電池モジュールの構造模式図である。
【
図14】本願の一実施例の電力消費機器の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明瞭にするために、以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明瞭かつ完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本願の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではない。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得た他の実施例はすべて本願の保護範囲に属する。
【0037】
特に定義しない限り、本明細書で使用されるあらゆる科学用語及び技術用語は当業者が通常理解する意味と同じであり、本明細書では出願された明細書において使用される用語は具体的な実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限するものではない。
【0038】
本願の明細書、特許請求の範囲及び図面の簡単な説明における用語「含む」、「有する」及びそれらの任意の変形は、他の内容をカバーすることを意図しているが、除外することを意図していない。単語「1」又は「1つ」は複数の存在を排除するものではない。本願の説明において、特に断らない限り、「複数」は2つ以上を意味し(2つを含む)、同様に、「複数のセット」は2セット以上を意味する(2セットを含む)。
【0039】
本願に言及される「実施例」は、実施例と組み合わせて説明された特定の特徴、構造又は特性が本願の少なくとも1つの実施例に含まれてもよいことを意味する。明細書の異なる位置に現れるこの語句は必ずしも同じ実施例を指すわけではなく、他の実施例と互いに排他的に独立した又は代替の実施例でもない。当業者は、本願において説明される実施例が他の実施例と組み合わせることができることを明示的又は暗黙的に理解できる。
【0040】
なお、本願の説明において、特に明確な規定や限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は、広義に理解すべきであり、たとえば、機械構造の「連結」又は「接続」は物理的接続であり、たとえば、物理的接続は固定して接続されてもよく、たとえば固定部材を介して固定して接続され、たとえば、ねじ、ボルト又は他の固定部材を介して固定して接続され、物理的接続は取り外し可能に接続されてもよく、たとえば相互係接又は係着され、物理的接続は、一体的接続、たとえば、溶接、接着又は一体成形を介した接続であってもよい。回路構造の「連結」又は「接続」は物理的接続であってもよく、電気的接続又は信号接続であってもよく、たとえば、直接接続、すなわち物理的接続であってもよく、中間要素である少なくとも1つの素子を介して間接的に接続されてもよく、回路連通を実現すればよく、2つの素子の内部の連通であってもよく、信号接続は、回路を介した信号接続に加えて、媒体、たとえば、無線電波を介した信号接続であってもよい。当業者であれは、本願における上記の用語の特定の意味は、特定の状況に応じて理解することができる。
【0041】
なお、本明細書の説明において、本願の実施例で説明される「上」、「下」等の方位語は図面に基づいて説明するものであり、本願の実施例に対する限定ではないと理解すべきである。
【0042】
また、本願の明細書及び特許請求の範囲又は上記図面における用語「第1」、「第2」等は、特定の順次を説明するものではなく、異なる対象を区別するためのものであり、1つ又は複数の該特徴を明示的又は暗黙的に含んでもよい。以下、具体的な実施例によって、図面を参照しながら本願を更に詳細に説明する。
【0043】
図1に示すように、本願の一実施例の電池セルの部分分解構造模式図であり、電池セルは二次電池又は一次電池、たとえばリチウムイオン二次電池、リチウムイオン一次電池、リチウム硫黄電池、ナトリウムリチウムイオン電池又はマグネシウムイオン電池であってもよいが、これらに限定されない。電池セルは円柱体、偏平体、矩形又は他の形状等であってもよい。本願の別の実施例では、複数の電池セルは一体に積層されてもよく、たとえば、複数の電池セルは相互に直列接続、並列接続又は直並列されて電池モジュール、電池群又は電池パックを構成してもよく、直並列とは、直列接続と並列接続の組み合わせである。説明を簡潔にするために、本明細書では、電池モジュール、電池群又は電池パックはいずれも電池と呼ばれてもよい。
【0044】
電池セルは、ケーシングと、ケーシング内に配置される1つ又は複数の電極組立体40とを含み、ケーシングはエンドカバーユニット1及びケース20を含み、ケーシングは中空空洞部であり、たとえば、ケース20の1つの面に開口部を有し、すなわち、該面はケースの壁を有さず、ケース20の内部と外部を連通させ、電極組立体40のケース20への収容を容易とし、エンドカバーユニット1はケース20の開口部でケース20に結合されて中空空洞部を形成し、電極組立体40がケーシングに配置された後、電解液がケーシングを充填され、封口が行われる。
【0045】
ケース20は1つ又は複数の電極組立体40が組み合わせられた後の形状に応じて決定され、たとえば、ケース20は中空矩形、中空立方体又は中空円柱体であってもよい。
【0046】
たとえば、ケース20が中空矩形又は立方体である場合、ケース20の1つの面は開口面であり、すなわち、この面はケースの壁を有さず、ケース20の内部と外部を連通させ、ケース20が中空円柱体である場合、ケース20の1つの円形側面は開口面であり、すなわち、この円形側面はケースの壁を有さず、ケース20の内部と外部を連通させる。
【0047】
本願の別の実施例では、ケース20は金属材料又はプラスチックで製造されてもよく、いくつかの実施例では、ケース20はアルミニウム又はアルミニウム合金で製造される。
【0048】
図2及び
図3に示すように、
図2は
図1のエンドカバーユニット1の上面拡大模式図であり、
図3は
図2のエンドカバーユニット1のA-A方向に沿った断面構造模式図であり、
図1~
図3を参照すると、エンドカバーユニット1は、排気装置10、エンドカバープレート11、2つの電極端子12、及び絶縁体14を備え、エンドカバープレート11は実質的に平板状であり、エンドカバープレート11はケース20の開口箇所でケース20に結合されてケース20の開口部を覆い、たとえば、エンドカバープレート11は金属板であってもよく、かつ溶接方式によってケース20に接続され、それにより、電極組立体40はケース20内に密封される。
【0049】
エンドカバープレート11には、貫通している端子孔が2つ開けられ、2つの電極端子12はエンドカバープレート11の上面に設置され、エンドカバープレート11の上面はエンドカバープレート11の電極組立体40から離れた面であり、エンドカバープレート11の電極組立体40に近い面はエンドカバープレート11の下面と呼ばれてもよい。各電極端子12は対応する1つの端子孔を覆い、エンドカバープレート11と電極端子12との間にシールリングが設置され、シールリングを圧縮することにより端子孔が密封され得る。2つの電極端子12はそれぞれ正極端子及び負極端子であり、各電極端子12には1つの集電部材30が対応して設置され、集電部材30はエンドカバープレート11と電極組立体40との間に位置する。
【0050】
本願の別の実施例では、絶縁体14はエンドカバープレート11の下面に設置され、エンドカバープレート11と電極組立体40を隔離させ、短絡リスクを低減させる。
【0051】
各電極組立体40は正極タブ41及び負極タブ42を有し、1つ又は複数の電極組立体40の正極タブ41は1つの集電部材30を介して正極端子に接続され、1つ又は複数の電極組立体40の負極タブ42は別の集電部材30を介して負極端子に接続される。
【0052】
電池セルの使用中、電池セルでは過充電、釘刺し、平板衝撃などが発生した場合、電極組立体40が短絡して、大量の気体が生成し、気体がケーシング内に集まり、爆発を引き起こしやすい。従って、電池セルの安全性能を向上させるために、本願の実施例のエンドカバープレート11の平坦面に防爆弁13がさらに設置されてもよい。
【0053】
該防爆弁13はエンドカバープレート11の平坦面の一部であってもよく、エンドカバープレート11に防爆貫通孔が設けられ、防爆弁13はエンドカバープレート11に設置されて防爆貫通孔を密封するようにしてもよい。防爆弁13は防爆貫通孔を覆い、かつケーシングの内部空間を外部から隔離させ、防爆貫通孔からケーシング内の電解液が漏れることを回避することができる。
【0054】
防爆弁13は脆弱領域を有し、防爆弁13の他の領域に比べて、脆弱領域は強度が弱く、破断されやすく、本願の実施例では、脆弱領域はリング形であってもよい。
【0055】
本願の実施例は、脆弱領域の厚さを減少させることにより脆弱領域の強度を低減させ、たとえば、脆弱領域の厚さは防爆弁13の他の領域の厚さよりも小さい。
【0056】
正常な状態では、防爆弁13はエンドカバープレート11に密封して結合され、該ケーシングにより形成される空間は密封されて換気できない。
【0057】
電極組立体40が短絡する時に大量の気体が放出され、気体の増加に伴って、電池セルのケーシングの内部の気圧が徐々に増大する。防爆弁13が気圧の作用下で変形し、ケーシングの内部の気圧が所定値に達すると、防爆弁13の脆弱領域が破断され、高圧気体は防爆弁13を突き破って電池セルのケーシングの外部に放出され、それにより、圧力解放の目的を達成し、爆発リスクを低減させ、しかし、ケーシングが永久的に破壊されるので電池セルが使用できなくなる。
【0058】
また、電池セルが正常に動作する場合にも、気体が緩慢に生成され、気体がケーシングに多く蓄積し、防爆弁13を突き破って、電池セルが使用できなくなることを回避するために、電池セルを排気する必要があり、電池セルの密封構造を永久的に破壊することなくこのような気体を複数回排出し、電池セルの安全性能を向上させ、寿命を延ばすために、本実施例の排気装置10の構造は
図4に示すようにする。
図4は
図3のB領域の排気装置10及びエンドカバープレート11の部分分解模式図である。
【0059】
図4、
図5に示すように、エンドカバープレート11は、その厚さ方向に沿って排気孔110が貫設されており、排気孔110は自体軸方向に沿ってエンドカバープレート11を貫通し、排気孔110は円筒状又は角柱状であってもよく、本願の本実施例では、排気孔110は円筒状である。
【0060】
排気装置10は排気孔110内に装着され、柱状部101、第1制限部102、第2制限部103、第1弾性部品104及び第2弾性部品105を含み、柱状部101、第1制限部102及び第2制限部103の材質はいずれも硬質材料、たとえば、金属材料又は合金材料であってもよい。柱状部101は排気孔110を貫通し、かつ排気孔の軸方向に沿って排気孔110内を移動可能であり、第1制限部102及び第2制限部103は柱状部101の外周面を取り込み、かつそれぞれエンドカバープレート11の排気孔110の軸方向の外側及び内側に位置し、第1弾性部品104は第1制限部102とエンドカバープレート11との間に位置し、第2弾性部品105は第2制限部103とエンドカバープレート11との間に位置する。
【0061】
エンドカバープレート11の排気孔110の軸方向の外側とは、エンドカバープレート11が電池セルに取り付けられたときに、電極組立体40から離れた側であり、エンドカバープレート11の排気孔110の軸方向の内側とは、エンドカバープレート11が電池セルに取り付けられたときに、電極組立体40に近い側である。
【0062】
たとえば、いくつかの実施例では、排気装置10は排気孔110に取り付けられた後、エンドカバープレート11の外側からエンドカバープレート11の内側へ、排気装置10の各部材及びエンドカバープレート11の位置は、第1制限部102、第1弾性部品104、エンドカバープレート11、第2弾性部品105及び第2制限部103の順であってもよく、柱状部101は排気孔110の軸方向に沿ってエンドカバープレート11を貫通し、かつ柱状部101の両端はそれぞれ第1制限部102及び第2制限部103に固定して接続され、さらに、第1制限部102、第2制限部103及び柱状部101の三者は外力で同じ変位を生じさせ得る。
【0063】
本実施例で言及される同じ変位とは、同一方向において同じ距離だけ移動することである。
【0064】
図5に示すように、排気装置10が正常な状態である場合、第2弾性部品105はそれぞれ第2制限部103、エンドカバープレート11に密封接触することにより排気孔110を密封状態にする。
【0065】
本実施例では、排気装置10が正常な状態であるとは、第1制限部102と第2制限部103との間の距離が一定であり、かつエンドカバープレート11の厚さが一定である場合、第1弾性部品104は圧縮状態で第1制限部102とエンドカバープレート11との間に位置し、第2弾性部品105は圧縮状態で第2制限部103とエンドカバープレート11との間に位置し、第1弾性部品104による弾性力と第2弾性部品105による弾性力とは互いに均衡であり、これにより、排気装置10はエンドカバープレート11の位置に対して安定した状態にある。
【0066】
図6を参照し、排気装置10がエンドカバープレート11に向かう作用力Fを受けると、第1制限部102及び第2制限部103は同じ変位を生じさせるように構成され、該作用力Fは第1弾性部品104及び第2弾性部品105の圧縮程度を変更し、それによりエンドカバープレート11に対する排気装置10の位置を変更し、第1弾性部品104は少なくとも部分的に圧縮されるとともに、第2弾性部品105は少なくとも部分的に解放され、それにより、排気孔110に対する第2弾性部品105の密封を解除する。排気孔110に対する第2弾性部品105の密封を解除するとは、排気孔110に当接して排気孔110を密封することができなくなるまで第2弾性部品105の圧縮が解放された状態である。
図6は、作用力Fが印加された場合、排気装置10の各部材の状態、及び気体の排出方向Lを示す。
【0067】
上記状態では、ケーシングの内部と外部は排気孔110を介して気体連通し、電池セルのケーシングの内部の空気は排気孔110を介して外部に放出され、それにより、ケーシングの内部の気圧が低下し、電池セルの防爆弁13が突き破られて電池セルに永久的な破壊をもたらすことを防止し、また、電池セルの爆発による安全上の事故を回避し、電池セルの寿命を延ばすとともに電池セルの使用安全性を向上させる。
【0068】
排気が完了すると、排気装置10に印加された外部作用力Fが取り除かれ、排気装置10は第1弾性部品104及び第2弾性部品105の弾性力の作用で
図5に示される正常な状態に戻り、それにより、排気孔110を密封し、ケーシング内の電解液が漏れることを防止し、電池セルは引き続き使用することができる。
【0069】
いくつかの実施例では、排気装置10に印加された外部作用力Fは具体的には第1制限部102に印加された排気孔110の軸方向の作用力であり、該作用力は任意の工具で印加されてもよい。
【0070】
図5、
図6に示すように、上記実施例では、柱状部101と排気孔110の孔壁との間に第1排気隙間106を有し、第1排気隙間106はエンドカバープレート11の内部と外部を気体連通させる。たとえば、第1排気隙間106は柱状部101と排気孔110とが隙間嵌めして形成されたものであり、この時、第1排気隙間106はリング形であり、第2弾性部品105は、第1排気隙間106を完全に密封するために、弾性シールリングとして構成され、弾性シールリングの材質はフッ素ゴムであってもよく、クロロプレンゴム又はブタジエンゴム等、高安定性かつ耐高温のゴム材質であってもよい。
【0071】
第1弾性部品104は、第2弾性部品105の弾性力に対してバランスを取ることができる任意の材質や形状としてもよく、たとえば、第1弾性部品104は、柱状部101の軸方向に沿って圧縮可能なばねであってもよく、この場合、ばねは第1制限部102とエンドカバープレート11との間を密封できないため、第1排気隙間106が非密封状態である場合、ケーシング内の気体は第1排気隙間106を通過して直接排出され、それにより、電池セルの排気が行われる。
【0072】
本願の別の実施例では、第1弾性部品104は弾性シールリング、たとえばO形リングを用いてもよく、O形リングの材質はフッ素ゴムであり、また、クロロプレンゴム又はブタジエンゴム等、高安定性かつ耐高温のゴム材質であってもよい。
【0073】
図6に示すように、第1弾性部品104が弾性シールリングである場合、第1弾性部品104が圧縮状態で第1制限部102とエンドカバープレート11とを密封することができ、従って、第1制限部102と柱状部101との間に第2排気隙間107が設置され、エンドカバープレート11の内部と外部は第1排気隙間106及び第2排気隙間107を介して気体連通している。第1排気隙間106が非密封状態である場合、ケーシング内の気体は第1排気隙間106を通過して第2排気隙間107に入り、第2排気隙間107から電池セルの外部に排出され、これにより、電池セルの排気が行われる。
【0074】
本実施例では、柱状部101と第1制限部102又は第2制限部103との間の固定接続方式は一体成形、リベット留め、溶接、ねじ接続や接着などの方式であってもよい。排気装置10の組み立てを容易にするために、第1制限部102及び第2制限部103のうちの少なくとも1つは、排気装置10の最後の組み立てステップにおいて柱状部101に固定して接続される。
【0075】
たとえば、排気装置10が組み立てられる前に、第2制限部103と柱状部101は、一体成形されるか、又は溶接又は接着されて、互いに密封して接続され、これにより、気体又は電解液が第2制限部103と柱状部101との間で流れることを防止し、たとえば、第2制限部103及び柱状部101が組み合わせられた後の形状は
図7に示されるT字状である。
【0076】
次に、柱状部101は第2弾性部品105、排気孔110及び第1弾性部品104を順に通り抜け、第2弾性部品105は柱状部101の周りに緊密に当接され、一方、第1弾性部品104は、最大限に圧縮された場合でも柱状部101との間に隙間を持ち、それにより、第1排気隙間106と第2排気隙間107との間の気体連通が実現される。
【0077】
最後に、第1制限部102は柱状部101に固定して取り付けられ、固定方式はリベット留め、溶接、接着やねじ接続のうちの1つであってもよく、このように、排気装置10の取り付けが完了する。第1制限部102と柱状部101とが固定された後、少なくとも第2弾性部品105は所定の圧縮状態でなければならず、それにより、正常な状態の第2弾性部品105も排気孔110を密封できる。第1弾性部品104及び第2弾性部品105の両方ともに圧縮状態としてもよく、それにより、正常な状態では第2弾性部品105が排気孔110をより安定的に密封する。
【0078】
図6に示すように、第2排気隙間107は第1制限部102と柱状部101との間に設置されてもよい。
【0079】
第2排気隙間107は柱状部101に開けられた貫通孔、又は第1制限部102に開けられた貫通孔であってもよく、該貫通孔の両端はそれぞれ第1排気隙間106及び電池セルの外部に気体連通できればよい。
【0080】
第2排気隙間107が柱状部101と第1制限部102との間に設置される場合、第1制限部102と柱状部101は一体成形ではなく、すなわち、第1制限部102と柱状部101とは、リベット留め、溶接、接着やねじ接続をしており、この接続方式によって第1制限部102と柱状部101との間に気体が流れるための隙間、すなわち第2排気隙間107が形成される。
【0081】
本実施例では、エンドカバーユニット1の組み立て工程を簡略化し、コストを節約するために、柱状部101と第1制限部102とはリベット留め方式を用い、具体的には、第1制限部102に取り付け貫通孔1021が開けられ、柱状部101が取り付け貫通孔1021に挿入され、かつ柱状部101の端部がアップセットされてリベットヘッド1011となり、それにより、第1制限部102が柱状部101から離脱することが防止される。柱状部101と取り付け貫通孔1021とは隙間嵌めして第2排気隙間107を形成する。アップセットされた柱状部の構造は
図8に示される。
【0082】
又は、
図9に示すように、排気量を増大するために、第2排気隙間107は取り付け貫通孔の孔壁に形成された凹部107’であってもよく、凹部107’は柱状部101から離れた方向へ凹設され、かつ第1弾性部品104に近い側から第2弾性部品105を離れた側へ延伸し、凹部107’のその延伸方向に垂直な断面形状は滑らかな円弧形であってもよく、複数の線分で構成されるものであってもよく、異なる線分が所定の夾角をなし、たとえば、
図9に示される凹部107’の断面形状は3本の線分と2つの直角夾角で構成される形状である。凹部107’は1つ又は複数設置されてもよく、凹部107’が複数設置される場合、複数の凹部107’は取り付け貫通孔1021に周設されてもよく、それにより、複数の凹部107’は取り付け貫通孔1021を取り囲んで排気を均一に行う。
【0083】
図10に示すように、電池セル全体の体積を減少させ、柱状部101の端部のアップセットの度合いの判断を容易にするために、いくつかの実施例では、第1制限部102に第1凹溝1022が設けられ、第1凹溝1022は取り付け貫通孔1021に周設され、柱状部101は第1凹溝1022内に少なくとも部分的に位置し、たとえば、柱状部101の端部のリベットヘッド1011は第1凹溝1022内に位置し、柱状部101のアップセットにおいて、第1凹溝1022に入った柱状部101の量を観察することにより、柱状部101が十分にアップセットされるか否かを判断する。また、柱状部101の端部が第1凹溝1022内に位置する場合、柱状部101の端部と第1制限部102の上面との間は平面であり、電池セル全体の体積が減少し、かつケーシングの表面はより平坦で美しくなり、
図4、
図5、
図6における第1制限部102はこのような構造とされる。
【0084】
アップセットされたリベットヘッド1011が第2排気隙間107と電池セルの外部の気体連通の邪魔とならないように、凹部107’は取り付け貫通孔1021の孔壁に設置され、かつ第1凹溝1022の溝壁まで延伸し、すなわち、凹部107’は第1凹溝1022の溝壁に到着してから、第1凹溝1022の溝壁の柱状部101から離れた方向へ窪み、それにより、リベットヘッド1011が第1凹溝1022の溝壁に突き当たった場合にも、凹部107’は第1排気隙間106を通過した空気を電池セルから排出することができ、排気装置10の排気の順調さを保証する。
【0085】
図5、
図6に示すように、エンドカバープレート11のうち第2弾性部品105に対応する位置に第2凹溝111が開けられ、第2凹溝111は排気孔110に周設され、第2弾性部品105は第2凹溝111内に少なくとも位置し、第2制限部103は第2凹溝111内に少なくとも部分的に位置してもよい。第2凹溝111の形状は第2制限部103に適合し、たとえば、第2制限部103は円筒状であり、第2凹溝111は直径が第2制限部103よりも大きい円筒状溝であり、又は両者の軸方向に垂直な断面は多角形であり、ただし、第2凹溝111の輪郭は第2制限部103の輪郭よりも大きくしなければならず、それにより、第2制限部103は第1弾性部品104の作用で第2弾性部品105を自在に押し付けることができ、第1排気隙間106に対する第2弾性部品105の密封効果を保証する。
【0086】
第2凹溝111の設置により、排気装置10が占められるケーシング内の体積を減少させ、電池セルの体積を更に減少させることができる。
【0087】
以上より、本願の上記実施例により提供されるエンドカバーユニット1では、排気孔110を有するエンドカバープレート11及び排気装置10を設置し、かつ排気装置10をエンドカバープレート11の排気孔110内に取り付けることにより、排気装置10は正常な状態で排気孔110を密封して電池セルの内部と外部の物質(電解液や気体等)の流れを阻止し、排気する必要がある場合、エンドカバープレート11に向かう作用力を排気装置10に印加することにより、排気孔110に対する排気装置10の密封を解除し、それにより、電池セルのケーシングの内部と外部を排気孔110を介して気体連通させる。排気が終わった後、排気装置10に作用する力を取り除くと、排気装置10は正常な状態に戻り、排気孔110を密封し、電解液の漏れを回避し、電池セルは引き続き使用することができる。
【0088】
従って、本願におけるエンドカバーユニット1を電池セルに用いる場合、電池セルの複数回の排気を可能とし、かつ電池セルに永久的な破壊をもたらすことはなく、電池セルの使用安全性を保証するとともに、電池セルの寿命を延ばす。
【0089】
図11に示すように、本願の別の実施例により提供される上記実施例の電池セルに使用される排気方法のフローチャートであり、該排気方法は、ステップS401と、ステップS402を含む。
【0090】
S401:エンドカバープレート11に向かう作用力Fを排気装置10に印加して、第1制限部102及び第2制限部103に同じ変位を発生させ、かつ第1弾性部品104を少なくとも部分的に圧縮するとともに、第2弾性部品105を少なくとも部分的に解放し、エンドカバープレート11の排気孔110に対する第2弾性部品105の密封を解除し、電池セルのケース20の内部と外部を排気孔110を介して気体連通させる。
【0091】
S402:排気装置10に印加された作用力を取り除くと、排気装置10は正常な状態に戻り、第2弾性部品105はそれぞれ第2制限部103、エンドカバープレート11に密封接触して排気孔110を密封状態にする。
【0092】
いくつかの実施例では、上記ステップS401では、排気装置10に印加された作用力Fは具体的には任意の工具で第1制限部102に印加された作用力Fであってもよい。
【0093】
柱状部101と排気孔110の孔壁との間に摩擦が発生することを防止するために、いくつかの実施例では、排気装置10に印加された作用力Fは具体的には排気孔110の軸方向に平行又は実質的に平行な作用力Fであってもよい。
【0094】
本願における上記実施例の電池セルを備える電池200はまた、電池200の使用安全性を保証するとともに、電池200の寿命を延ばすという利点を有する。
【0095】
図12に示すように、本願の別の実施例により提供される電池200の構造模式図であり、電池200は第1筐体201、第2筐体202及び複数の電池モジュール300を備え、第1筐体201と第2筐体202は相互に結合され、複数の電池モジュール300は第1筐体201と第2筐体202により囲まれた空間内に配置される。いくつかの実施例では、第1筐体201及び第2筐体202は密封接続される。
【0096】
図13に示すように、電池モジュール300は複数の電池セルを備え、複数の電池セルは直列接続、並列接続又は直並列によって電気的に接続され、大きな電流又は電圧を実現し、ここで、直並列とは、直列接続と並列接続の組み合わせである。たとえば、
図13に示すように、電池セルは、高さ方向を垂直方向と一致させて縦置きにして、複数の電池セルは幅方向に並設されるようにしてもよく、電池セルは、幅方向を垂直方向と一致させて横置きにして、複数の電池セルは幅方向において少なくとも一層に積層されてもよく、層ごとに、長手方向に並べられる複数の電池セルが備えられる。
【0097】
本願の別の実施例では、電力消費機器の電力消費ニーズに応じて、複数の電池は相互に接続されて電池群として組み合わせられ、電力消費機器に給電することに用いられる。本願の別の実施例では、該電池群が1つの筐体に収容されて封口が行われてもよい。説明を簡潔化するために、下記実施例は電力消費機器が電池を備えることを例として説明する。
【0098】
本願の別の実施例は、上記実施例の電池を備えた、電池を用いた装置をさらに提供し、電力消費機器に使用される電池200は、
図12に対応する実施例で説明される電池200であってもよく、ここで詳細な説明は省略する。電池は電力消費機器に電気エネルギーを供給し、モータを介して電動装置を走行させる。該装置は、電気自動車、電気列車、電気自転車、ゴルフカートや船などであってもよく、さらに、該電力消費機器は上記実施例の電池だけで動力を供給する装置であってもよく、ハイブリッド装置であってもよい。
【0099】
たとえば、
図14に示すように、本願の一実施例の電力消費機器の構造模式図であり、電力消費機器は自動車であってもよく、自動車は燃料自動車、ガス自動車又は新エネルギー自動車であってもよく、新エネルギー自動車は純粋な電気自動車、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー式自動車などであってもよい。自動車は電池200、コントローラ210及びモータ220を備える。電池200は、コントローラ210及びモータ220に給電することに用いられ、自動車の動作電源及び駆動電源として機能し、たとえば、電池200は自動車の起動、ナビゲーションや走行時の動作電力を供給するものである。たとえば、電池200はコントローラ210に給電し、コントローラ210は電池200を制御してモータ220に給電させ、モータ220は電池200からの電力を受け付けて自動車の駆動電源として、燃料や天然気体を代替又は部分的に代替して自動車に駆動動力を提供する。
【0100】
当業者にとって明らかなように、本明細書のいくつかの実施例は、他の実施例に含まれる他の特徴ではなく、特定の特徴を含むが、異なる実施例の特徴の組み合わせは本願の範囲内に含まれて、別の実施例を形成することを意図している。たとえば、特許請求の範囲において、特許される実施例は全て任意に組み合わせて使用されてもよい。
【0101】
以上より、上記実施例は本願の技術的解決手段を説明するためにのみ使用され、それを限定するものではない。本願は上記実施例を参照して詳細に説明されたが、当業者が理解できるように、上記各実施例に記載の技術的解決手段を変更したり、その一部の技術的特徴を等価置換したりすることが可能であり、これらの変更又は置換によって、対応する技術的解決手段の本質が本願の各実施例の技術的解決手段の精神及び範囲から逸脱することはない。
【符号の説明】
【0102】
1 エンドカバーユニット
10 排気装置
11 エンドカバープレート
20 ケース
101 柱状部
102 第1制限部
103 第2制限部
104 第1弾性部品
105 第2弾性部品
110 排気孔