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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】能動制御型電力変圧器及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20240712BHJP
   H01F 29/14 20060101ALI20240712BHJP
   H01F 27/38 20060101ALI20240712BHJP
   H01F 27/40 20060101ALI20240712BHJP
   H01F 27/42 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H02M7/12 U
H01F29/14 Z
H01F27/38
H01F27/40 120
H01F27/42
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022567461
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-14
(86)【国際出願番号】 US2021026692
(87)【国際公開番号】W WO2021225750
(87)【国際公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】15/929,541
(32)【優先日】2020-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】クズネツォフ,スティーブン,ビー.
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-129450(JP,A)
【文献】米国特許第05737203(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0261889(US,A1)
【文献】特開平01-265168(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0320940(US,A1)
【文献】特開昭58-130772(JP,A)
【文献】特開昭59-013313(JP,A)
【文献】特開平09-251918(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03633814(EP,A1)
【文献】米国特許第04581573(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0194373(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H01F 29/14
H01F 27/38
H01F 27/40
H01F 27/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変圧器であって:
複数のリムを有する磁気コア;
前記リムのうち1つの所定のリムに巻きつけられた直流バイアス巻線;
前記直流バイアス巻線に電気的に接続された直流増幅器であり、
負荷出力電流又は電圧に関連する第1信号を受信し、
前記第1信号に基づいて前記直流バイアス巻線の電流量を決定し、かつ
前記直流バイアス巻線を通して、決定した量の電流を送る、直流増幅器;及び
前記磁気コアに巻き付けられたパワーフィルタ巻線に結合されたパワーフィルタ;
を含む変圧器。
【請求項2】
前記の決定した量の電流が前記磁気コアの磁束飽和を制御するように構成されている、請求項1記載の変圧器。
【請求項3】
前記所定のリムが前記磁気コアの中央リムである、請求項1記載の変圧器。
【請求項4】
前記第1信号が前記負荷出力電流又は電圧の積分値に基づいて生成される、請求項1記載の変圧器。
【請求項5】
前記所定のリム内のギャップ内に配置された磁束センサーであり、前記直流増幅器に電気的に接続され、前記ギャップを横切る磁束の量を感知するように構成された磁束センサー;
をさらに含む請求項1記載の変圧器。
【請求項6】
前記直流増幅器が、前記第1信号と前記磁束センサーからの第2信号とに基づいて、前記直流バイアス巻線の電流量を決定するように構成されている、請求項5に記載の変圧器。
【請求項7】
前記磁束センサーが、前記所定のリム内の前記ギャップを横切る磁束量の測定に応答して、前記第2信号を生成するように構成されている、請求項6に記載の変圧器。
【請求項8】
前記直流増幅器が、前記第1信号と、前記磁束センサーからの第2信号と、前記パワーフィルタからの第3信号とに基づいて、前記直流バイアス巻線の電流量を決定するように構成されている、請求項5に記載の変圧器。
【請求項9】
前記パワーフィルタが一次負荷入出力から電気的に絶縁されている、請求項5に記載の変圧器。
【請求項10】
前記パワーフィルタが多相電力高調波フィルタを含む、請求項5に記載の変圧器。
【請求項11】
前記パワーフィルタ巻線が複数の巻線を含み、各巻線が異なる高調波に同調される、請求項5に記載の変圧器。
【請求項12】
直流増幅器で、負荷出力電流又は電圧に関連する第1信号を受信するステップ;
前記第1信号に基づいて直流バイアス巻線の電流量を決定するステップ;
前記直流増幅器により、前記直流バイアス巻線を通る、前記の決定された量の電流を送るステップ;及び
磁気コアに巻きつかれたパワーフィルタ巻線に結合されたパワーフィルタを使用するステップ;
を含み、
前記直流バイアス巻線は前記直流増幅器に電気的に接続されており;かつ
前記磁気コアには複数のリムがあり、前記直流バイアス巻線は1つの所定のリムに巻きつかれている;
方法。
【請求項13】
前記の決定した量の電流が前記磁気コアの磁束飽和を制御するように構成されている、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記第1信号が前記負荷出力電流又は電圧の積分値に基づいて生成される、請求項12記載の方法。
【請求項15】
磁束センサーによって、前記所定のリム内のギャップを通過する磁束の量を感知するステップであり、前記磁束センサーが前記ギャップ内に配置され、前記直流増幅器に電気的に接続される、ステップ;
をさらに含む請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記直流バイアス巻線の電流の量を決定するステップが、前記第1信号と前記磁束センサーからの第2信号に基づいている、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記直流バイアス巻線の電流量を決定するステップが、前記第1信号と、前記磁束センサーからの第2信号と、前記パワーフィルタからの第3信号とに基づく、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記パワーフィルタ巻線が複数の巻線を含み、各巻線が異なる高調波に同調される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記パワーフィルタ巻線がライン電圧又は負荷電圧に依存しない電圧レベルを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記パワーフィルタ巻線が、各相に少なくとも1つの容量素子、及び各相に少なくとも1つの誘導フィルタ素子を含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電力システムに向けられている。より具体的には、本開示は、能動制御型の電力変圧器及びその電力変圧器を制御する方法に向けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
レーダーシステムで使用されるような多くの既存の電力システムは、電流突入と高調波フィルタリングを主電力変圧器に制限するために、重い外部電気機器を使用している。残念なことに、従来の受動フィルタは通常、入力ライン電力を過剰に補償し、電力システムの負荷が軽いときにシステムの電圧レベルが通常のレベルを超える原因となる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、能動制御型の電力変圧器及び電力変圧器を制御する方法に関する。
【0004】
第1の実施形態では、変圧器(100,200,300,500)が、複数のリム(104-106)を有する磁気コア(102)を含む。変圧器はまた、1つの所定のリムに巻きつけられた直流(DC)バイアス巻線(110)を含む。変圧器はさらに、直流バイアス巻線に電気的に接続された直流増幅器(112)を含む。直流増幅器は、負荷出力電流又は電圧に関連する第1信号(114)を受信するように構成される。また、直流増幅器は、第1信号(114)に基づいて直流バイアス巻線の電流量を決定するように構成される。直流増幅器はさらに、決定された電流量を直流バイアス巻線を通して送るように構成される。また、前記所定のリム内のギャップ(202)内に配置された磁束センサー(204)であり、前記直流増幅器に電気的に接続され、前記ギャップを横切る磁束の量を感知するように構成された磁束センサーをさらに含みうる。前記直流増幅器が、前記第1信号(114)と、前記磁束センサーからの第2信号(206)と、前記パワーフィルタからの第3信号(306)とに基づいて、前記直流バイアス巻線の電流量を決定するように構成されうる。
【0005】
第2の実施形態では、方法が、直流増幅器で、ソース入力電流、電圧、電力又は高調波レベルに関連付けられた第1信号を受信することを含む。この方法は、第1信号に基づいて直流バイアス巻線の電流量を決定することも含む。この方法はさらに、電力調整、電流突入又は高調波レベルを改善するために、直流増幅器によって、決定された電流量を直流バイアス巻線に送ることを含む。直流バイアス巻線は、直流増幅器に電気的に接続される。磁気コアには複数のリムがあり、直流バイアス巻線は1つの所定のリムに巻きつけられる。
【0006】
他の技術的特徴が、以下の図面、説明及び請求の範囲から当業者には容易に明らかであろう。
【0007】
本開示をより完全に理解するために、添付図面と併せて以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に従った能動制御型の電力変圧器の一例を示す。
図2】本開示に従った能動制御型の電力変圧器の他の例を示す。
図3】本開示に従った能動制御型の電力変圧器のさらに他の例を示す。
図4】本開示に従った能動制御型の電力変圧器で使用する信号処理システムの一例を示す。
図5】本開示に従った能動制御型の電力変圧器のさらに他の例を示す。
図6】本開示に従った能動制御型の電力変圧器で使用するための3段電力フィルタの一例の概略を示す。
図7】本開示に従った二相電力変圧器の実験結果を示すチャートを示す。
図8】本開示に従って能動制御型の電力変圧器を使用できる電力システムの一例を示す。
図9】本開示に従って電力変圧器を制御する方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する図1乃至図9及び本特許書面において本発明の原理を説明するために使用された様々な実施形態は、例示のみを目的としており、本発明の範囲を制限するような解釈は一切すべきではない。当業者であれば、本発明の原理は、適切に配置されたあらゆる種類の装置又はシステムに実装することができることを理解するであろう。
【0010】
簡略化及び明確化のために、一部の特徴及び構成要素は、他の図面に関連して図示されたものを含め、すべての図面に明示的に示されていない。図面に示されているすべての特徴は、記載されているいずれの実施形態でも採用できることが理解されるであろう。特定の図面から特徴又は構成要素を省略することは、単純化及び明確化のためであり、その図面に関連して記載されている実施形態で特徴又は構成要素を採用できないことを意味するものではない。
【0011】
前述のように、レーダー電力システムその他の電力システムは、電流突入(current inrush)及び高調波フィルタリングを主電力変圧器に制限するために、しばしば重い外部電気機器を使用する。一例のシステムが、主レーダー変圧器への突入電流を制限するために別のサブシステムを使用し、300立方フィート以上のスペースを必要とし、約1トンの重量を持つ。したがって、重量やサイズを減らすためのあらゆる選択肢が歓迎される。電流制限システムの中には、2MWのレーダーで100kWを超える結果となる三相抵抗バンクを利用するものもある。これらのシステムには、高電圧側入力用に設計された受動高調波フィルタを含めることができる。ただし、これらのシステムは、突入電流やピーク電流を能動的に制御するために電流フィードバックを使用しない。さらに、これらのフィルタシステムは負荷に依存しない固定L-Cネットワークを使用するため、入力ラインの力率がしばしば過剰に補償されることを意味する。
【0012】
これらの又は他の問題に対処するために、本開示は、能動制御型(actively-controlled)の電力変圧器(power transformer)及びその電力変圧器を制御する方法を提供する。開示された変圧器は、変圧器の磁気に組み込まれている積分及び調整可能な電流制限機能を特徴とし、また、変圧器に磁気的に結合されたL-C受動フィルタの能動チューニングを可能にする。その結果、移動式及び地上式のレーダー電力システムその他の電力システムの大規模な設置の重量、サイズ及びコストが大幅に削減される。
【0013】
図1は、本開示に従った能動制御型電力変圧器(actively-controlled power transformer)100の例を示している。以下に説明するように、変圧器100は、積分突入電流制限(integral inrush current limiting)と積分高調波フィルタリング(integral harmonic filtering)を含む能動制御型電力変圧器である。変圧器100は二相自動変圧器として説明されているが、ここで説明されている原則は、一相ユニット又は三相ガルバニ(電気的)絶縁ユニットなどの二相以上のユニットに適用することができる。
【0014】
図1に示すように、変圧器100は、外方リム(outer limbs)104-105と中央リム(center limb)106とを含む複数のリムを持つ磁気コア102を含む。外方リム104-105はそれぞれ主巻線108-109を含み、主巻線108-109は各々ライン入力と負荷(レーダーシステムなど)に電力を供給するライン出力とに関連付けられている。例えば、変圧器100の出力は、レーダーパルスを提供する交流/直流(AC/DC)電源のアレイに給電することができる。いくつかの実施形態では、変圧器100への入力電圧は約4160ボルトであり、変圧器100は電圧を約480ボルトの出力に下げる。もちろん、他の入出力電圧も可能であり、本開示の範囲内である。
【0015】
変圧器100は二相自動変圧器であり、中心磁束116-117が外方リム104-105から中央リム106に流れる。中央リム106の周りにはDC(直流)バイアス巻線110が巻かれている。図1には1つのDC(直流)バイアス巻線110のみが示されているが、他の実施形態では追加のリムに追加のDCバイアス巻線を含めることができる。磁束116-117は、DCバイアス巻線110のDC磁化レベルによって飽和レベルが制御される。
【0016】
直流バイアス巻線110は、直流増幅器112に電気的に接続されている。直流増幅器112は、変圧器100内の磁束レベルを制御するために、直流バイアス巻線110を流れる直流電流を制御する。いくつかの実施形態では、直流増幅器112は、レーダー又は他の負荷の出力電流に基づいて生成されるフィードバック信号114に直接応答して、直流バイアス巻線110に電流を供給することができる。直流増幅器112は、1つ以上の処理装置、メモリ、制御回路など、1つ以上の信号を受信してバイアス電流を供給するように構成された任意の適切な構造を含む。場合によっては、フィードバック信号114は信号処理システムによって生成され、パルスレーダー出力電流波形又は他の波形を取得して、その波形を修正してフィードバック信号114に統合することができる。また、フィードバック信号114は、電流波形ではなく負荷出力の電圧波形に基づいている場合もある。信号処理システムの一例の詳細を以下に示す。
【0017】
動作において、直流増幅器112は、位相(力率など)及び振幅情報のフィードバック信号114を受信し、サンプリングする。フィードバック信号114の分析に基づいて、直流増幅器112は、変圧器負荷に直接関係する変圧器100の飽和を制御するために、DCバイアス巻線110を励磁するための電流量を決定する。例えば、負荷が軽い場合(コア102を通過する通常より高い磁束によって示される)、DC飽和制御電流を増加させることができる。次に、直流増幅器112は、決定された量の電流をDCバイアス巻線110に送る。
【0018】
直流増幅器112は、負荷の変化を素早く(例えば5-10ミリ秒以内に)検出し、負荷の変化に応じてDCバイアス巻線110の電流を能動的に制御することができる。これは、従来の変圧器がバイアス巻線を含んでいても、巻線が固定値で設定され、動的に制御されないのとは対照的である。いくつかの実施形態では、直流増幅器112は、負荷出力電流の大きさと位相角から得られるフィードバック信号114だけに応答することができる。他の実施形態では、直流増幅器112へのフィードバック信号114は、より洗練され、負荷出力電流の高調波に追加的に応答することができる。そのような実施形態を以下により詳細に説明する。
【0019】
図1は能動制御型の電力変圧器100の一例を示しているが、図1に様々な変更を加えることができる。例えば、図1の様々な部品を組み合わせたり、さらに細分化したり、複製したり、省略したり、他の適切な配置に配置したり、特定のニーズに応じて追加の部品を追加したりすることができる。一般に、電力変圧器には多種多様な構成があり、図1は本開示を電力変圧器の特定の構成に限定するものではない。また、図1は能動制御型の電力変圧器を使用できる運用環境の一例を示しているが、この機能は他の適切なシステムで使用することができる。
【0020】
図2は、本開示に従った別の例の能動制御型電力変圧器200を示している。以下に説明するように、変圧器200は、積分突入電流制限と積分高調波フィルタリングを含む能動制御型多相電力変圧器である。変圧器200は二相自動変圧器として説明されているが、ここで説明する原則は、一相ユニット又は三相ガルバニ(電気的)(galvanic)絶縁ユニットのような二相以上のユニットに適用することができる。
【0021】
図2に示すように、変圧器200は、図1の変圧器100内の対応する部品と同じ又は類似しているさまざまな部品を含んでいる。例えば、変圧器200は、外方リム104-105と中央リム106を持つ磁気コア102を含んでいる。外方リム104-105はそれぞれ主巻線108-109を含み、中央リム106はDCバイアス巻線110を含む。DCバイアス巻線110はDCアンプ112に電気的に接続されている。
【0022】
変圧器200では、中央リム106は中央リム106の物理的な空隙領域である磁気ギャップ202を含んでいる。磁気ギャップ202は、変圧器200の磁束飽和を制御するのに役立つように設けられている。いくつかの実施形態では、磁気ギャップ202は約3mm-5mmの厚さであってもよいが、磁気ギャップ202はそれよりも小さいことも大きいこともある。
【0023】
変圧器200はまた、磁気ギャップ202内又はその近くに配置された磁束センサー204を含む。磁束センサー204は、磁気ギャップ202を横切る磁束を感知するように構成されている。磁束センサー204はまた、直流増幅器112に電気的に接続され、磁気ギャップ202を通る磁束の大きさと位相に関する情報を直流増幅器112に提供することができる。動作中、磁束センサー204(継続的に、定期的に或いはその他の適切な時期に)は磁気ギャップ202を通る磁束を検出して測定し、磁束を示すフィードバック信号206を直流増幅器112に提供する。これは、磁束が全体的な磁気状態に非常に依存し、すぐに変化する可能性があるため、有用である。磁束センサー204は、磁束を測定し、フィードバック信号を生成するように構成された任意の適切なセンシングデバイスを表す。いくつかの実施形態では、磁束センサー204は、ホール効果プローブ又は巻線磁場コイルを備えた磁気センサーとすることができる。
【0024】
変圧器200において、直流増幅器112は、磁束センサー204からのフィードバック信号206と負荷出力電流からのフィードバック信号114の両方を受信する。直流増幅器112は、適切なルーチン又はアルゴリズムを使用して信号206と114の両方を処理し、変圧器200の飽和を制御するために、DCバイアス巻線110に適用する電流を決定する。フィードバック信号206は、DCバイアス巻線110の過剰駆動を避けるために、DCバイアス巻線110に向かう電流を変調するのに役立つ。これにより、任意の入力電圧レベルで電流制限を高速に制御できる。いくつかの実施形態では、DCバイアス巻線110への電流を決定する際に、直流増幅器112がフィードバック信号114により重みを与えるように、フィードバック信号114が一次信号と見なされ、フィードバック信号206が二次信号と見なされる。フィードバック信号114は通常、出力整流による望ましくない高調波の最大レベルを含み、フィードバック信号206は通常、より低いレベルの高調波を含むが、このレベルはライン高調波の許容される業界標準を超えている可能性がある。その結果、信号114と206を比較することによって、直流増幅器112は、変圧器が第5、第7、第11、第13、第19、第21高調波などのより高い高調波を本質的に提供する減衰の量を決定することができる。しかし、他の実施形態では、フィードバック信号206により多くの優先度を与えることも、信号114と206に同等の優先度を与えることもできる。
【0025】
複数の出力を持つ多相変圧器では、システムは各位相からの1つのフィードバック出力電流信号を含むことができ、制御システムは最適なDCバイアス電流を決定するために出力電流信号の合計ジャンクション(summation junction)を含むことができる。一実施形態では、変圧器200は、それぞれが独自の磁気コアギャップを持つ複数のリムと、通常は位相ごとに1つのバイアスコイルとして配置された複数のバイアスコイルを備えている。
【0026】
図2は、能動制御型の電力変圧器200の別の例を示しているが、図2にはさまざまな変更を加えることができる。例えば、図2のさまざまな部品を組み合わせたり、さらに細分化したり、複製したり、省略したり、その他の適切な配置に配置したり、特定のニーズに応じて追加の部品を追加したりすることができる。ここでも、電力変圧器にはさまざまな構成があり、図2は本開示を電力変圧器の特定の構成に限定するものではない。また、図2は能動制御型の電力変圧器を使用できる別の動作環境の例を示しているが、この機能は他の適切なシステムで使用できる。
【0027】
図3は、本開示に従って能動制御型の電力変圧器300のさらに別の例を示している。以下に説明するように、変圧器300は、積分突入電流制限と積分高調波フィルタリングを含む能動制御型の電力変圧器である。変圧器300は二相自動変圧器として説明されているが、ここで説明する原則は、一相ユニット又は三相ガルバニ(電気的)絶縁ユニットなどの二相以上のユニットに適用できる。
【0028】
図3に示すように、変圧器300には、図1の変圧器100又は図2の変圧器200の対応する部品と同じ又は類似しているさまざまな部品が含まれている。例えば、変圧器300には、外方リム104-105と中央リム106を持つ磁気コア102が含まれている。外方リム104-105にはそれぞれ主巻線108-109が含まれ、中央リム106にはDCバイアス巻線110が含まれている。DCバイアス巻線110は、DCアンプ112に電気的に接続されている。中央リム106は磁気ギャップ202を含み、磁束センサー204は磁気ギャップ202内又はその近くに配置されている。
【0029】
変圧器300はまた、変圧器300の外部にあるパワーフィルタ304に電気的に接続されたパワーフィルタ巻線302を含んでいる。パワーフィルタ巻線302は磁心102に巻きつけられており、主巻線108-109から電気的に絶縁されている。図3に示すように、パワーフィルタ巻線302は、中央リム106と外側リム105との間の磁心102の一部に巻きつけられている。他の実施形態では、パワーフィルタ巻線302は、DCバイアス巻線110から磁気ギャップ202を横切って、又は磁気コア102の他の適切な場所など、中央リム106に巻きつけることができる。
【0030】
パワーフィルタ304は、入力又は出力電圧レベルに依存しない高調波フィルタレベルを可能にすることができる広域スペクトル高調波フィルタを表すことができる。いくつかの実施形態では、パワーフィルタ304は受動L-C多相ネットワーク電力高調波フィルタである。L及びC部品は、直列又は並列共振回路のいずれかに接続することができる。パワーフィルタ304は、負荷電力の主高調波に対して効率的なフィルタリングを提供する。例えば、6パルス整流出力電力システムでは、パワーフィルタ304は、第5高調波、第7高調波、第11高調波、第13高調波、第19高調波、及び第21高調波に対してフィルタリングすることができる。他のシステム、例えば、12パルス又は24パルス電力システムでは、パワーフィルタ304は、他の高調波又は追加の高調波に対してフィルタリングを提供することができる。パワーフィルタ304は、余分な出力負荷電流を引き出す必要なく動作し、問題のある変圧器IRの加熱を低減する。
【0031】
パワーフィルタ304は、一次負荷の入力及び出力から電気的に隔離することができるため、パワーフィルタ304に最適化された電圧レベルを持つことができる。その電圧は負荷又は電源に依存しない。ここでのパワーフィルタ304は、パワーフィルタ巻線302を介して変圧器300の磁心102に直接結合されている。変圧器300は、パワーフィルタ304の「先行力率(leading power factor)」(VAR)出力を低減することによって、交流本線に注入されるVARの量を能動的に制御する。これにより、高電力の電子スイッチングを必要とせずに過剰補償を制限する。これは、負荷が軽い場合に先行するVARでAC入力ラインを過剰補償する傾向がある一般的な大電力フィルタとは対照的である。このような過剰補償により、一次システムの電圧が通常のレベルを超えて上昇する可能性がある。
【0032】
パワーフィルタ304は、パワーフィルタ巻線302の構成により、1つ以上の主高調波に同調させることができる。いくつかの実施形態では、パワーフィルタ巻線302は、それぞれの巻線が異なる高調波に同調される複数の独立した巻線を含むことができる。いくつかの実施形態では、第11高調波、第13高調波、第19高調波が最も重要な問題を引き起こすことがある。かくして、パワーフィルタ巻線302は、それらの高調波にそれぞれ調整された3つの独立したシャント接続巻線を含めることができ、その例を表1に示す。いくつかの実施形態では、フィルタの全無効電力は2500 kVAの主入力に対して約230 kVARである。もちろん、他の全フィルタ無効電力量を持つものや、高調波の数が多い、少ない、又は異なるものを含む他の実施形態も可能である。
【0033】
【表1】
パワーフィルタ304を異なる高調波に同調させるようにパワーフィルタ巻線302を構成することにより、1つ以上の高価な専用フィルタ(11 kV、13.8 kV、4160Vフィルタなど)を持つのではなく、パワーフィルタ304に安価な市販(COTS)フィルタ(480V高調波フィルタなど)を使用することが可能である。これにより、パワーシステムの全体的なサイズ、重量、及びコストが削減される。
【0034】
変圧器300がパワーフィルタ304の能動制御型を提供するために、パワーフィルタ304は直流増幅器112にフィードバック信号306を提供することができる。フィードバック信号306は、パワーフィルタ304で感知された高調波レベルを示すことができる。変圧器300では、負荷出力電流又は負荷電圧からのフィードバック信号114と、磁束センサー204からのフィードバック信号206に加えて、フィードバック信号306がある。これらの信号114,206,306は直流増幅器112に入力され、直流増幅器は、適切なルーチン又はアルゴリズムを使用して信号114,206,306を処理し、DCバイアス巻線110への電流を決定して磁束レベルを制御することができる。いくつかの実施形態では、信号114,206,306への階層(hierarchy)があり、各信号は各入力に関連付けられた電気積分器回路を持つ。例えば、信号114は支配的なフィードバック信号であり、最も短い内部時間遅延(ラグ)を持つことができ、信号206は2番目の優先度と中程度の積分器時間遅延を持つことができ、信号306は信号処理スキームの最後の優先度と最も長い積分器時間遅延を持つことができる。
【0035】
動作中、直流増幅器112は、負荷出力電流からのフィードバック信号114を位相(力率など)と振幅について監視し、DCバイアス巻線110の励起レベルを調整する。コア102を通る通常より高い磁束によって示されるように負荷が軽い場合、直流増幅器112は、例えば60Hzシステムでは5-10ミリ秒以内に、DCバイアス巻線110への飽和制御電流を増加させる。システムが400Hzなどのより高い周波数である場合、応答時間は1/4サイクル応答時間に基づいている。このDC制御電流の増加により、パワーフィルタ回路の誘導電圧が低下し、パワーフィルタ304の共振電流が減少する。DC飽和レベルにより、パワーフィルタ304のインダクタンスも変化する。DCバイアス巻線110への制御電流が増加すると、各フィルタ段のACインダクタンスが減少し、静電容量が一定に保たれるため、パッシブパワーフィルタ304のチューニングが解除(de-tuning)される。
【0036】
図3は、能動制御型の電力変圧器300のさらに別の例を示しているが、図3にさまざまな変更を加えることができる。例えば、図3のさまざまな部品を組み合わせたり、さらに細分化したり、複製したり、省略したり、その他の適切な配置に配置したり、特定のニーズに応じて追加の部品を追加したりすることができる。ここでも、電力変圧器にはさまざまな構成があり、図3は、本開示を電力変圧器の特定の構成に限定するものではない。また、図3は、能動制御型の電力変圧器を使用できる別の運用環境の例を示しているが、この機能は他の適切なシステムで使用できる。
【0037】
図4は、本開示に従った能動制御型の電力変圧器で使用するための信号処理システム400の例を示している。説明を容易にするために、システム400は図3の変圧器300で使用されるものとして説明されている。ただし、システム400の少なくとも一部は、図1の変圧器100及び図2の変圧器200を含む、他の適切な装置又はシステムで使用することができる。
【0038】
図4に示すように、システム400は、負荷電流パルス感知装置402、整流器及びフィルタ404、積分器406を含む。負荷電流パルス感知装置402は、パルス負荷及び(レーダーのサブアレイ電源などからの)高率上昇(high rate of rise)(di/dt)出力電流410を感知し、整流器及びフィルタ404に入力される波形信号を生成する。整流器及びフィルタ404は、波形信号を整流し、信号にローパスフィルタをかける。その後、積分器406によってフィードバック信号114へと積分され、直流増幅器112に出力される。図4には、磁束センサー204から直流増幅器112に送られるフィードバック信号206と、パワーフィルタ304から直流増幅器112に送られるフィードバック信号306も示されている。直流増幅器112は、その入力にこれら三つのフィードバック信号114,206,306の加算ジャンクション(summation junction)を持ち、各信号は明確な遅延リードネットワーク(lag-lead network)と明確な時定数を持つ。変圧器一次巻線に高いdi/dt又は高いサージ負荷電流が現れるのを防ぎ、高いピーク負荷から電源電力をバッファリングすることは、システム400のさらなる目的である。
【0039】
図4は、能動制御型のレーダー電力変圧器で使用するための信号処理システム400の一例を示しているが、図4に様々な変更を加えることができる。例えば、図4の様々な部品を組み合わせたり、さらに細分化したり、複製したり、省略したり、他の適切な配置に配置したり、特定のニーズに応じて追加の部品を追加したりすることができる。特定の例として、負荷出力電流410は、代わりに負荷出力電圧とすることができる。このような実施形態では、負荷電流パルス感知装置402は、負荷電圧感知装置に置き換えられることができる。電圧感知装置のさらなる目的は、高いdv/dt負荷サージが変圧器入力巻線に現れないようにすることである。一般に、信号処理システムには多種多様な構成があり、図4は、本開示を信号処理システムの特定の構成に限定するものではない。また、図4は、信号処理システムを使用できる運用環境の一例を示しているが、この機能は他の適切なシステムで使用することができる。
【0040】
図5は、本開示に従った、さらに別の例の能動制御型電力変圧器500を示している。以下に説明するように、変圧器500は、積分突入電流制限と積分高調波フィルタリングを含む能動制御型電力変圧器である。変圧器500は二相自動変圧器として説明されているが、ここで説明されている原則は、一相ユニット又は三相ガルバニ(電気的)絶縁ユニットなどの二相以上のユニットに適用することができる。
【0041】
図5に示すように、変圧器500は図3の変圧器300と非常によく似ている。ただし、電力フィルタ巻線302に結合された1つの電力フィルタ304だけでなく、変圧器500は追加の電力巻線502に結合された追加の電力フィルタ504を含む。電力フィルタ巻線502は磁気コア102に巻き付けられ、主巻線108-109から電気的に絶縁されている。図5に示すように、電力フィルタ巻線502は中央リム106と外方リム104の間の磁気コア102の一部に巻き付けられている。他の実施形態では、電力フィルタ巻線502は、DCバイアス巻線110から磁気ギャップ202を横切って、又は磁気コア102の他の適切な場所など、中央リム106に巻き付けることができる。
【0042】
電力フィルタ304と同様に、電力フィルタ504は、入力又は出力電圧レベルに依存しない高調波フィルタレベルを可能にすることができる広域スペクトル高調波フィルタを表すことができる。いくつかの実施形態では、電力フィルタ504は受動L-C多相ネットワーク電力高調波フィルタである。L及びC部品は、直列又は並列共振回路のいずれかに接続することができる。パワーフィルタ504は、パワーフィルタ304と同様に、直流増幅器112にフィードバック信号306を提供することもできる。
【0043】
図5は、能動制御型の電力変圧器500のさらに別の例を示しているが、図5に様々な変更を加えることができる。例えば、図5の様々な部品を組み合わせたり、さらに細分化したり、複製したり、省略したり、他の適切な配置に配置したり、特定のニーズに応じて追加の部品を追加したりすることができる。図5は、本開示を電力変圧器の特定の構成に限定するものではない。また、図5は、能動制御型の電力変圧器を使用できる別の動作環境の例を示しているが、この機能は他の適切なシステムで使用することができる。
【0044】
図6は、本開示に従った能動制御型の電力変圧器で使用するための三段電力フィルタ600の一例の概略図を示している。説明を容易にするために、フィルタ600は、図3の電力フィルタ304又は図5の電力フィルタ504を表すことができる。ただし、電源フィルタ600は、図1の変圧器100及び図2の変圧器200を含む、他の適切な装置又はシステムとともに使用することができる。
【0045】
図6に示すように、電源フィルタ600は、表1に記載されているように、230kVARの電源フィルタにすることができ、これにより、L部品601-603及びC部品604-606を含むL-C部品の3つの分岐によって、フィルタ600の第11高調波、第13高調波及び第19高調波への選択的なチューニングが達成される。いくつかの実施形態では、各分岐に個別の電流センサーがあり、加算ジャンクションを介してマスターコントローラにフィードバックを提供し、フィードバック信号306を形成する。電力フィルタ600は、電力フィルタ巻線610に結合され、これは、変圧器300のような変圧器の1つ以上のリムに配置される単相同心円巻線にすることができる。
【0046】
図6は、能動制御型の電力変圧器で使用するための電力フィルタ600の一例を示しているが、図6に様々な変更を加えることができる。例えば、図6の様々な部品を組み合わせたり、さらに細分化したり、複製したり、省略したり、他の適切な配置に配置したり、特定のニーズに応じて追加の部品を追加したりすることができる。また、パワーフィルタ600は第11高調波、第13高調波及び第19高調波用に調整されていると説明されているが、パワーフィルタ600は他の高調波用に調整することができる。
【0047】
図7は、図1の変圧器100と同様に、0-100アンペアのバイアス電流で中央リムにDCバイアス巻線を取り付けた、1000kVA定格の二相4160ボルト400Hz電力変圧器の実験結果を示すグラフ700を示している。グラフ700では、トレース701はAC入力電流を示し、トレース702はAC巻線の自己インピーダンスを示している。バイアス電流が0のとき、AC巻線の自己インピーダンスは最大6961オームであり、バイアス電流が100アンペアのとき、AC巻線の自己インピーダンスは250オームに減少し、バイアスを変えることによって28:1の変動を示している。明らかに変圧器は正常な飽和領域の内外で動作している。実験結果は広いバイアス電流範囲でインピーダンス又はインダクタンスの非線形変化を示し、これはパルス磁化ではなく連続的なDC磁化変化であった。
【0048】
図8は、本開示によると、能動制御型の電力変圧器を使用できる電力システム800の一例を示している。いくつかの実施形態では、電力システム800(又は同様のシステム)を、ここに記載されている1つ以上の変圧器と共に使用することができる。
【0049】
図8に示すように、電力システム800は、交流電源804から三相交流電力を受け取る位相シフト変圧器802を含む。いくつかの実施形態では、電力システム800は、変圧器802内に高調波電流フィルタリングを備えた48パルスシステムである。いくつかの実施形態では、位相シフト変圧器802は、変圧器100、変圧器200、変圧器300又は変圧器500を表すことができる(或いは表わされることができる)。変圧器802は、受信した交流電力を変換し、複数の負荷806-809に六相電力を出力する。変圧器802内の飽和は、直流増幅器112に似たDCバイアス制御器812によって制御される。
【0050】
図8は電力系統800の一例を示しているが、図8に様々な変更を加えることができる。例えば、図8のさまざまな部品を組み合わせたり、さらに細分化したり、複製したり、省略したり、その他の適切な配置に配置したり、特定のニーズに応じて追加の部品を追加したりすることができる。
【0051】
図9は、本開示に従って電力変圧器を制御する方法900の一例を示している。説明を容易にするために、図9の方法900は、図1の変圧器100、図2の変圧器200、又は図3の変圧器300を使用して実行されると説明することができる。ただし、方法900は、他の適切な装置又はシステムの使用を伴う場合がある。
【0052】
図9に示すように、ステップ902で、変圧器の直流増幅器は、負荷出力電流又は電圧に関連する第1信号を受信する。これには、例えば、フィードバック信号114を受信する直流増幅器112が含まれる。直流増幅器112は、変圧器100,200,300の磁気コア102の特定のリム106に巻きつけられたDCバイアス巻線110に電気的に接続される。磁気コア102は、特定のリム106を含む複数のリム104-106を有する。
【0053】
ステップ904で、直流増幅器は、オプションとして、直流増幅器に電気的に接続された磁束センサーからの第2信号を受信することができる。これには、例えば、磁束センサー204からのフィードバック信号206を受信する直流増幅器112が含まれる。第2信号は、所定のリム106のギャップ202を通過する磁束の量の測定に応答して、磁束センサー204によって生成される場合がある。
【0054】
ステップ906で、直流増幅器は、オプションとして、磁気コアに巻き付けられたパワーフィルタ巻線に結合されたパワーフィルタから第3信号を受信する場合がある。これには、例えば、パワーフィルタ304からのフィードバック信号306を受信する直流増幅器112が含まれる。
【0055】
ステップ908で、直流増幅器は、第1信号と、任意で第2信号と第3信号に基づいて、DCバイアス巻線の電流量を決定する。これには、例えば、直流増幅器112が、フィードバック信号114、フィードバック信号206及びフィードバック信号306に基づいて、DCバイアス巻線110の電流量を決定することが含まれる。
【0056】
ステップ910で、直流増幅器は、決定された電流量をDCバイアス巻線を通して送信する。これには、例えば、直流増幅器112がマークスペース・パルス(mark-space pulses)で電流を送信したり、DCバイアス巻線110を通して連続的なストリームを送信したりすることが含まれる。DCバイアス巻線110を通る電流は、変圧器100,200,300の磁気コア102内の磁束飽和を制御し、構成要素の磁気リムの透磁率を変化させるように構成される。
【0057】
図9は、電力変圧器を制御する方法900の一例を示しているが、図9に様々な変更を加えることができる。例えば、一連のステップとして示されているが、図9の様々なステップは、重複したり、並行して発生したり、異なる順序で発生したり、任意の回数発生したりする可能性がある。
【0058】
上述のように、開示された実施形態は、電流制限が可能であり、L-Cフィルタの能動チューニングも可能な能動制御型電力変圧器を提供する。これは、現在、大規模なフィルタバンクを必要とするモバイル又は陸上ベースのレーダーシステムや、大規模な突入電流制限装置を備えた大規模な電力変圧器、現在、大規模な電流制限と高調波フィルタリングを必要とする船舶用電力システムなど、多くの用途に有利である。開示された実施形態は、電力システム全体のサイズと重量を削減し(一部のシステムでは約20%の重量削減など)、高い先行力率負荷に対して入力電力が過剰に補償されることを回避する。開示された実施形態は、低電圧又は高電圧設計の自動変圧器とガルバニ絶縁変圧器の両方に適用できる。
【0059】
本特許書面全体で使用される特定の単語及びフレーズの定義を記載することは有利であろう。「含む」及び「有する」という用語及びその派生語は、限定されない包含を意味する。「又は」という用語は、包含的な意味「及び/又は」である。「関連する」という語句及びその派生語は、含む、含まれる、相互接続する、包含する、包含される、接続する、結合する、通信する、協働する、インターリーブする、並置する、近接する、拘束する・される、持つ、所有する、関係を持つ、などを意味する。「少なくとも1つの」というフレーズは、項目のリストと共に使用される場合、リストされた1つ以上の項目の異なる組み合わせを使用でき、リスト内の1つの項目のみが必要な場合があることを意味する。例えば、「A、B、Cのうち少なくとも1つ」には、A、B、C、AとB、AとC、BとC、AとBとCのいずれかの組み合わせが含まれる。
【0060】
本出願の説明は、特定の要素、ステップ又は機能が、請求の範囲に含まれなければならない必須又は重要な要素であることを意味すると読むべきではない。特許請求の範囲は、許可された請求の範囲によってのみ定義される。さらに、請求項内の「手段」又は「ステップ」は、いずれの請求項も、添付された請求項又は請求項要素のいずれに関しても、実施形態に限定されない。請求項内の「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「部品」、「要素」、「部材」、「装置」、「マシン」、「システム」、「プロセッサ」又は「コントローラ(制御器)」のような用語の使用は、請求項自体の特徴によって更に修正又は強化された、関連する技術分野の専門家に知られている構造を指すものと理解され、意図されており、実施形態に限定されない。
【0061】
本開示は、特定の実施形態及び一般的に関連する方法を説明しているが、これらの実施形態及び方法の変更及び順列は、当業者には明らかである。したがって、上記の実施形態例の説明は、本開示を定義又は制約するものではない。他の変更、置換及び変更も、以下の請求項によって定義されるように、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく可能である。
図1
図2
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図9