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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】バッテリーバンク電力制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240712BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 B
H02J7/00 302C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022577173
(86)(22)【出願日】2022-01-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 KR2022000593
(87)【国際公開番号】W WO2022154498
(87)【国際公開日】2022-07-21
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2021-0004821
(32)【優先日】2021-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チュン-ヨン・イ
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-523503(JP,A)
【文献】国際公開第2020/189998(WO,A1)
【文献】特表2020-529820(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0048778(US,A1)
【文献】特開2012-70609(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0083776(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0059966(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H02J 3/32
H01M 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーラックを有するバッテリーバンクの電力を制御する装置であって、
予め設定されたバンク電力限界値に基づいて、前記複数のバッテリーラック全体に対して入力又は出力されるバンク電力量の大きさを調整するように構成された電力調整部と、
前記複数のバッテリーラックのそれぞれに対するラック電力量を測定するように構成された電力測定部と、
前記電力測定部により測定された各バッテリーラックのラック電力測定値に基づいて、前記バンク電力限界値を設定するように構成されたバンク制御部と、
を含み、
前記バンク制御部は、前記各バッテリーラックのラック電力測定値と、前記各バッテリーラックに対応して予め記憶されたラック電力限界値とを比較し、比較結果に応じて前記バンク電力限界値を設定するように構成されることを特徴とするバッテリーバンク電力制御装置。
【請求項2】
前記バンク制御部は、前記ラック電力測定値が前記ラック電力限界値を超えるバッテリーラックを選別し、選別されたバッテリーラックの前記ラック電力測定値と前記ラック電力限界値とを用いて前記バンク電力限界値を設定するように構成されることを特徴とする請求項に記載のバッテリーバンク電力制御装置。
【請求項3】
前記バンク制御部は、前記ラック電力測定値に対する前記ラック電力限界値の比率を減少係数として算出し、算出された減少係数に基づいて前記バンク電力限界値を演算するように構成されることを特徴とする請求項に記載のバッテリーバンク電力制御装置。
【請求項4】
前記バンク制御部は、前記算出された減少係数に以前に設定されたバンク電力限界値を乗じて前記バンク電力限界値を更新するように構成されることを特徴とする請求項に記載のバッテリーバンク電力制御装置。
【請求項5】
前記バンク制御部は、前記ラック電力測定値が前記ラック電力限界値を超えるバッテリーラックの減少係数に基づいて、前記バンク電力限界値を演算するように構成されることを特徴とする請求項に記載のバッテリーバンク電力制御装置。
【請求項6】
前記バンク制御部は、前記ラック電力測定値が前記ラック電力限界値を超えるバッテリーラックが複数である場合、算出された最も低い減少係数に基づいて前記バンク電力限界値を演算するように構成されることを特徴とする請求項に記載のバッテリーバンク電力制御装置。
【請求項7】
前記バンク制御部は、前記ラック電力測定値が前記ラック電力限界値を超える回数をカウントし、カウントされた回数が基準累積回数以上である場合に前記バンク電力限界値を演算するように構成されることを特徴とする請求項に記載のバッテリーバンク電力制御装置。
【請求項8】
前記バンク制御部は、前記算出された減少係数の逆数に基づいて前記バッテリーラックの遮断可否を決定するように構成されることを特徴とする請求項に記載のバッテリーバンク電力制御装置。
【請求項9】
前記バンク制御部は、前記算出された減少係数の前記逆数が参照値以上である場合、当該バッテリーラックの接続を遮断するように構成されることを特徴とする請求項に記載のバッテリーバンク電力制御装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載のバッテリーバンク電力制御装置を含むエネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
複数のバッテリーラックを有するバッテリーバンクの電力を制御する方法であって、
予め設定されたバンク電力限界値に基づいて、前記バッテリーバンクに電力が入力されるか、または前記バッテリーバンクから電力が出力される入出力ステップと、
前記入出力ステップ中において、前記複数のバッテリーラックのそれぞれに対するラック電力量を測定する測定ステップと、
前記測定ステップで測定された各バッテリーラックのラック電力測定値に基づいて、前記バンク電力限界値を変更するステップと、
を含み、
前記変更するステップにおいて、前記各バッテリーラックのラック電力測定値と、前記各バッテリーラックに対応して予記憶されたラック電力限界値とを比較し、比較結果に応じて前記バンク電力限界値を変更することを特徴とするバッテリーバンク電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年1月13日付け出願の韓国特許出願第10-2021-0004821号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリの電力を制御する技術に関し、より詳細には、複数のバッテリーラックを含むバッテリーバンクの電力を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0003】
現在商用化されている二次電池としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウム二次電池などが挙げられるが、中でも、リチウム二次電池は、ニッケル系の二次電池に比べてメモリ効果がほとんど起こらないので、充放電を自由に行うことができ、自己放電率が非常に低く、しかも、エネルギー密度の高いという長所を有することから脚光を浴びている。
【0004】
この種のリチウム二次電池は、主として、リチウム系酸化物と炭素材をそれぞれ正極活物質及び負極活物質として用いる。リチウム二次電池は、このような正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布された正極板と負極板がセパレーターを挟んで配置された電極組立体と、電極組立体を電解液と一緒に封入する外装材、すなわち、電池ポーチ外装材と、を備える。
【0005】
最近には、携帯型電子機器などの小型装置のみならず、中大型装置にもエネルギー貯蔵用として二次電池が広く用いられている。このような中大型装置の場合、非常に複数の二次電池が含まれる。この場合、中大型装置に含まれる複数の二次電池に対する効率的な運用、管理、または制御などのために、二次電池は一定のグループタイプで構成されることが多い。
【0006】
特に、ESSと呼ばれるエネルギー貯蔵システム(Energy Starge System)の場合、複数の二次電池を備えて1つのバッテリーモジュールを構成し、このようなバッテリーモジュールを複数備えてラックフレームに積層することにより1つのバッテリーラックを構成し得る。また、このようなバッテリーラックが複数配置された形態でバッテリーバンクを構成し得る。このようなバッテリーバンクの1つまたはそれ以上を含んでバッテリーコンテナー、バッテリーボックス、バッテリーシステムなどを構成し得る。
【0007】
このように、バッテリーバンクには複数のバッテリーラックが含まれてもよい。通常、バッテリーバンクの初期構築段階では、類似の性能のバッテリーラックを複数備え得る。しかしながら、バッテリーバンクの運用中、バッテリーラックに含まれる二次電池の劣化率や性能などに違いが発生すると、これにより各バッテリーラックの内部抵抗が変わることがある。また、このような内部抵抗の違いにより、各バッテリーラックに対して入力または出力される電力量に差を生じる可能性がある。のみならず、バッテリーバンク運用中に一部のバッテリーラックを交換したり、バッテリーバンク内で異なる種類(異種)のバッテリーラックを併用したりすると、各バッテリーラック間で電力量の差が生じる場合がある。
【0008】
図1は、従来技術によるバッテリーバンクにおける複数のバッテリーラック10のそれぞれに対する電力量の一例を概略的に示す図である。
【0009】
図1を参照すると、バッテリーバンクは10個のバッテリーラック10(Rack1、Rack2、Rack3、...、Rack10)を含み、各バッテリーラック10の電力限界値はすべて90kWと同じである。このとき、バッテリーバンク全体に入力される電力値が900kWである場合、各バッテリーラック10間の内部抵抗に差がなければ、10個のバッテリーラック10にそれぞれ90kWずつ入力され得る。しかしながら、特定のバッテリーラック、例えば、図1のRack10の内部抵抗が他のバッテリーラックと比較して低ければ、Rack10には、他のバッテリーラックよりも大きな電力が入力され得る。例えば、図1に示すように、Rack10には108kWが入力され、他のバッテリーラック(Rack1~Rack9)にはそれぞれ88kWずつ入力され得る。
【0010】
このとき、Rack10の場合、入力される電力量が108kWであり、限界値である90kWを超える状況が発生する可能性がある。また、この状況により、Rack10が破損してもはや使用できなくなる可能性がある。さらに、このようなRack10の破損により、バッテリーバンク全体の性能及び信頼性が低下するという問題が発生するおそれがある。
【0011】
このように、バッテリーバンクに含まれる複数のバッテリーラック10が互いに並列に接続され、同じ電圧が印加されたとしても、各バッテリーラック10間の内部抵抗の違いにより、特定のバッテリーラックの電力量が過剰となる可能性がある。特に、バッテリーバンクの運用中に、特定のバッテリーラックの故障やバッテリーラック間の性能又は劣化度の違いなどにより、一部のバッテリーラックの交換が必要になる場合がある。このとき、新たに交換されてバッテリーバンクに組み込まれたバッテリーラックの場合、他のバッテリーラックに比べて内部抵抗が相対的に低いことがある。したがって、新しいバッテリーラックでは、既存のバッテリーラックよりも多くの電流を流すことができる。このとき、特定のバッテリーラックの電力量が当該バッテリーラックの電力限界値(power limit)を超えると、当該バッテリーラックが損傷し、バッテリーバンク全体の性能が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、複数のバッテリーラックを含むバッテリーバンクにおいて、バッテリーラック間の電力不均衡による特定のバッテリーラックの損傷を効果的に防止できる電力制御装置及び方法等を提供することを目的とする。
【0013】
本発明の他の目的及び利点は、下記の説明によって理解されることができ、本発明の実施形態によってなお一層明らかに分かる筈である。さらに、本発明の目的及び利点は、特許請求の範囲に開示されている手段及びその組み合わせによって実現することができるということが容易に理解できる筈である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記のような目的を達成するための本発明の一態様によるバッテリーバンク電力制御装置は、複数のバッテリーラックを有するバッテリーバンクの電力を制御する装置であって、予め設定されたバンク電力限界値に基づいて、前記複数のバッテリーラック全体に対して入力又は出力されるバンク電力量の大きさを調整するように構成された電力調整部と、前記複数のバッテリーラックのそれぞれに対するラック電力量を測定するように構成された電力測定部と;前記電力測定部により測定された各バッテリーラックのラック電力測定値に基づいて、前記バンク電力限界値を設定するように構成されたバンク制御部と、を含む。
【0015】
ここで、前記バンク制御部は、前記各バッテリーラックのラック電力測定値と、前記各バッテリーラックに対応して予め記憶されたラック電力限界値とを比較し、比較結果に応じて前記バンク電力限界値を設定するように構成され得る。
【0016】
また、前記バンク制御部は、前記ラック電力測定値が前記ラック電力限界値を超えるバッテリーラックを選別し、選別されたバッテリーラックの前記ラック電力測定値と前記ラック電力限界値とを用いて前記バンク電力限界値を設定するように構成され得る。
【0017】
さらに、前記バンク制御部は、前記ラック電力測定値に対する前記ラック電力限界値の比率を減少係数として算出し、算出された減少係数に基づいて前記バンク電力限界値を演算するように構成され得る。
【0018】
さらにまた、前記バンク制御部は、前記算出された減少係数に以前に設定されたバンク電力限界値を乗じて前記バンク電力限界値を更新するように構成され得る。
【0019】
さらにまた、前記バンク制御部は、前記ラック電力測定値が前記ラック電力限界値を超えるバッテリーラックの減少係数に基づいて前記バンク電力限界値を演算するように構成され得る。
【0020】
さらにまた、前記バンク制御部は、前記ラック電力測定値が前記ラック電力限界値を超えるバッテリーラックが複数である場合、算出された最も低い減少係数に基づいて前記バンク電力限界値を演算するように構成され得る。
【0021】
さらにまた、前記バンク制御部は、前記ラック電力測定値が前記ラック電力限界値を超える回数をカウントし、カウントされた回数が基準累積回数以上である場合に前記バンク電力限界値を演算するように構成され得る。
【0022】
さらにまた、前記バンク制御部は、前記算出された減少係数の逆数に基づいて前記バッテリーラックの遮断可否を決定するように構成され得る。
【0023】
さらにまた、前記バンク制御部は、前記算出された減少係数の前記逆数が参照値以上である場合、当該バッテリーラックの接続を遮断するように構成され得る。
【0024】
また、上記のような目的を達成するための本発明の他の態様によるエネルギー貯蔵システムは、本発明によるバッテリーバンク電力制御装置を含む。
【0025】
さらに、上記のような目的を達成するための本発明のさらに他の態様によるバッテリーバンク電力制御方法は、複数のバッテリーラックを有するバッテリーバンクの電力を制御する方法であって、予め設定されたバンク電力限界値に基づいて、前記バッテリーバンクに電力が入力されるか、または前記バッテリーバンクから電力が出力される入出力ステップと、前記入出力ステップ中において、前記複数のバッテリーラックのそれぞれに対するラック電力量を測定する測定ステップと、前記測定ステップで測定された各バッテリーラックのラック電力測定値に基づいて、前記バンク電力限界値を変更するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、複数のバッテリーラックを含むバッテリーバンクにおいて電力量を適切に制御することができる。
【0027】
特に、本発明の一態様によれば、複数のバッテリーラックを充電または放電する過程で、複数のバッテリーラック間で電力不均衡が発生した場合でも、特定のバッテリーラックで限界値を超える過剰な電力が流入または流出することを防止することができる。
【0028】
したがって、本発明のこの態様によれば、特定のバッテリーラックの破損を防止しながら、バッテリーバンク全体の性能を安定して維持することができる。
【0029】
特に、本発明の一態様によれば、バッテリーラック間の劣化に差があったり、一部のバッテリーラックの交換が行われたりする場合や、異なる種類のラックが混在して使用される場合など、バッテリーバンクの設置または運用中にラック間に違いが発生する可能性があるさまざまな状況では、特定のバッテリーラックに過剰な電力が流れ込んだり、そこから流れ出したりするのを防ぐことができる。
【0030】
この明細書に添付される次の図面は、本発明の好適な一実施形態を例示するものにすぎず、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術的思想をなお一層理解しやすくする役割を果たすものであるため、本発明は、そのような図面に記載されている事項にのみ限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来技術によるバッテリーバンクにおける複数のバッテリーラックのそれぞれに対する電力量の一例を模式的に示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるバッテリーバンク電力制御装置が接続されたバッテリーバンクの構成を概略的に示す図である。
図3図2のバッテリーバンクに含まれる1つのバッテリーラックの構成の一例を概略的に示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるバッテリーバンク電力制御装置の機能的構成を概略的に示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態によるバッテリーバンク電力制御装置がバッテリーバンクに接続された構成の一例を概略的に示す図である。
図6】本発明の一実施形態によるバッテリーバンク電力制御装置によって測定された特定のバッテリーラックのラック電力測定値と当該バッテリーラックのラック電力限界値とを比較して示す表である。
図7】本発明の他の実施形態によるバッテリーバンク電力制御装置によって測定された複数のバッテリーラックのラック電力測定値と当該バッテリーラックのラック電力限界値とを比較して示す表である。
図8】本発明の一実施形態によるバッテリーバンク電力制御方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面に基づいて、本発明による好適な実施形態について詳しく説明する。これに先立って、この明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則を踏まえて、本発明の技術的な思想に見合う意味及び概念として解釈されなければならない。
【0033】
よって、この明細書に記載の実施形態と図面に示されている構成は、本発明の最も好適な一部の実施形態に過ぎないものであり、本発明の技術的な思想をいずれも代弁するものではないため、本発明の出願時点においてこれらに代替できる様々な均等物と変形例があり得るということを理解しなければならない。
【0034】
図2は、本発明の一実施形態によるバッテリーバンク電力制御装置100が接続されたバッテリーバンクの構成を概略的に示す図である。図3は、図2のバッテリーバンクに含まれる1つのバッテリーラック10の構成の一例を概略的に示す図である。
【0035】
まず、図2を参照すると、本発明によるバッテリーバンク電力制御装置100は、バッテリーバンクに接続されてバッテリーバンクの電力を制御するように構成されてもよい。特に、バッテリーバンク電力制御装置100は、ケーブル20を介してバッテリーバンクに接続されてもよい。ここで、ケーブル20は、バッテリーバンクに充放電電源が流れるように設けられた電源ケーブルと、バッテリーバンクにデータまたは制御信号などが送受信されるように設けられたデータケーブルと、を含んでいてもよい。
【0036】
一方、バッテリーバンクは、複数のバッテリーラック10を含んでいてもよい。このとき、ケーブル20は、バッテリーバンク電力制御装置100と各バッテリーラック10との間の所定の箇所で各バッテリーラック10に分岐するように構成されてもよい。また、バッテリーバンクに含まれる複数のバッテリーラック10は、電気的に互いに並列に接続されてもよい。
【0037】
図3を参照すると、1つのバッテリーラック10は、複数のバッテリーモジュール11を含んでいてもよい。また、複数のバッテリーモジュール11を、ラックフレーム13(ラックケース)に収納して上下方向に積層してもよい。ただし、このようなバッテリーモジュール11の積層構成は一例に過ぎず、バッテリーモジュール11を他の様々な形態で積層してもよい。一方、1つのバッテリーモジュール11には、複数の電池セル、すなわち複数の二次電池が互いに電気的に直列及び/又は並列に接続された状態で内部に含まれてもよい。また、複数のバッテリーモジュール11を電気的に互いに直列及び/又は並列に接続して、バッテリーラック10の出力及び/又は容量を増大させることができる。また、バッテリーラック10には、ラック制御部12が含まれており、バッテリーラック10の各種動作や状態などを制御または測定するように構成されてもよい。
【0038】
図2または図3に示すバッテリーモジュール11、バッテリーラック10及びバッテリーバンクの構成は、一例に過ぎないものであり、本発明は、必ずしもこのような構成に限定されるものではない。なお、バッテリーモジュール11やバッテリーラック10、バッテリーバンクの構成等については、本発明の出願時点で広く知られているので、これについてのより詳細な説明は省略する。
【0039】
図4は、本発明の一実施形態によるバッテリーバンク電力制御装置100の機能的構成を概略的に示すブロック図である。また、図5は、本発明の一実施形態によるバッテリーバンク電力制御装置100がバッテリーバンクに接続された構成の一例を概略的に示す図である。
【0040】
図4及び図5を参照すると、本発明によるバッテリーバンク電力制御装置100は、電力調整部110、電力測定部120及びバンク制御部130を含んでいてもよい。
【0041】
前記電力調整部110は、バッテリーバンクと外部装置との間の電力供給経路21上に設けられてもよい。ここで、電力供給経路21は、先に図2に示したケーブル20に含まれてもよいが、本発明は、必ずしもこの形態に限定されるものではない。バッテリーバンクでは、電力供給経路21を介して電力が入力または出力され得る。電力供給経路21を介して電力がバッテリーバンクに入力される場合、バッテリーバンクは充電されると言える。逆に、電力供給経路21を介して電力がバッテリーバンクから出力される場合、バッテリーバンクは放電されると言える。
【0042】
一方、バッテリーバンクに接続される外部装置は、バッテリーバンクとの間で電力を送受信できる装置であり、様々な充電装置または放電装置であり得る。例えば、外部装置は、太陽光発電装置や風力発電装置などの発電装置や発電所、または商用電源が供給される電力系統などであってもよい。また、外部装置は、電力を必要とする負荷、例えば、各家庭や会社、電気自動車などであってもよい。本発明は、このようなバッテリーバンクが接続される外部装置の具体的な種類や形態等により限定されるものではない。
【0043】
前記電力調整部110は、バンク電力量の大きさを調整するように構成されてもよい。ここで、バンク電力量は、図5中のPtで示すように、バッテリーバンクに含まれる複数のバッテリーラック10全体に対して入力または出力される電力量と言える。すなわち、バンク電力量は、各バッテリーラックではなくバッテリーバンクに対する電力量と言える。例えば、図5に示す構成のように、バッテリーバンクに10個のバッテリーラック10が含まれ、各バッテリーラック10に流れる電力がP1、P2、P3、...、P10である場合、バンク電力量Ptは次のように表すことができる。
【0044】
Pt=P1+P2+P3+...+P10
【0045】
すなわち、バンク電力量は、バッテリーバンクに含まれる各バッテリーラック10の電力量を合計した電力量と言える。
【0046】
より具体的な例として、各バッテリーバンクに100kWの電力が入力される場合、バンク電力量は、100kW×10となり、1000kWと言える。この場合、1000kWのバンク電力量は共通経路を介してバッテリーバンクに流入し、分岐経路を介して約100kWずつ分配されて各バッテリーラック10に流入することができる。
【0047】
このように、バンク電力量は、共通経路を介して流入する電力量と言える。前記電力調整部110は、このようなバッテリーバンク全体に対する電力量の大きさを調整することができる。
【0048】
特に、前記バッテリーバンクは、予め設定されたバンク電力限界値に基づいてバンク電力量の大きさを調整することができる。ここで、バンク電力限界値は、バッテリーバンク全体の充放電電力量の運用値を表すものであってもよいし、バッテリーバンク全体の充放電電力量の最大許容値を表すものであってもよい。
【0049】
まず、電力調整部110は、バンク電力限界値に合わせてバンク電力量を運用できるようにする。例えば、バンク電力限界値が1000kWである場合、電力調整部110は、バッテリーバンクへの充電電力または放電電力が1000kWとなるようにできる。
【0050】
あるいは、電力調整部110は、バンク電力限界値を超えないようにバンク電力量を運用できるようにする。例えば、バンク電力限界値が1000kWである場合、電力調整部110は、バッテリーバンクへの充電電力または放電電力が1000kWを超えない線で、充放電電力が900kWまたは950kWとなるようにできる。
【0051】
一方、電力調整部110がバンク電力量の大きさを調整するために必要なバンク電力限界値は、バンク制御部130などの他の構成要素から送信されてもよいし、電力調整部110に自身で記憶されてもよい。
【0052】
電力調整部110は、バンク電力量の大きさを調整するために必要な様々な構成要素を含むか、または様々な形態で具現され得る。特に、電力調整部110は、電力変換システム(PCS:Power Conversion System)などの電力変換装置として具現されてもよい。さらに、PCSなどの構成の場合、電力をAC/DC変換できるように構成されてもよい。したがって、外部装置から供給される交流電源(AC)を直流電源(DC)に変換してバッテリーバンクに入力することができる。あるいは、PCSにより、バッテリーバンクから出力される直流電源(DC)を交流電源(AC)に変換して外部装置に供給することができる。また、電力調整部110は、電力供給経路21を接続または遮断可能に構成され、電力供給経路21のスイッチング動作を行うように構成されてもよい。
【0053】
前記電力調整部110は、電力供給経路21に出入りする電力量の大きさを調整可能な構成であり、本発明の出願時点で公知の様々な電力調整装置または部品等を採用してもよい。
【0054】
前記電力測定部120は、ラック電力量を測定するように構成されてもよい。ここで、ラック電力量は、バッテリーバンクに含まれる複数のバッテリーラック10のそれぞれから流出入する電力量と言える。
【0055】
例えば、図5に示す構成を参照すると、10個のバッテリーラック10を含むバッテリーバンクにバンク電力を供給する場合、供給されたバンク電力は、各バッテリーラック10(Rack1、Rack2、Rack3、...、Rack10)に分散して流入することができる。このとき、各バッテリーラック10に流入するラック電力量の大きさは、それぞれP1、P2、P3、...、P10であり得る。前記電力測定部120は、このようにして各バッテリーラック10に流れるラック電力量の大きさ(P1、P2、P3、...、P10)を測定することができる。
【0056】
ここで、電力測定部120は、各バッテリーラック10に流れるラック電力量の大きさを直接測定するように構成されてもよく、他の構成要素、例えば、各バッテリーラック10からラック電力量の大きさについての情報を受信するように構成されてもよい。例えば、図3の構成に示すように、各バッテリーラック10にラック制御部12が含まれている場合、ラック制御部12は、当該バッテリーラック10のラック電力量の大きさを測定するように構成されてもよい。また、このようにラック制御部12から測定されたラック電力量情報は、電力測定部120に送信されてもよい。この場合、電力測定部120は、ラック電力量を間接的に測定するとみなすことができる。
【0057】
前記バンク制御部130は、電力調整部110のバンク電力限界値を設定可能に構成されてもよい。このとき、前記バンク制御部130は、電力測定部120により測定された各バッテリーラック10のラック電力測定値に基づいてバンク電力限界値を設定してもよい。ここで、バンク制御部130は、全バッテリーラック10のうちの少なくとも一部のバッテリーラック10のラック電力測定値を用いてバンク電力限界値を設定することができる。
【0058】
例えば、前記バンク制御部130は、図5の構成において、Rack3のラック電力測定値P3に基づいてバンク電力限界値を設定するように構成されてもよい。すると、このように設定されたバンク電力限界値に応じて、電力調整部110は、バッテリーバンクに流入するバンク電力量Ptの大きさを調整することができる。
【0059】
本発明のこのような構成によれば、バッテリーバンクに含まれる各バッテリーラック10のラック電力測定値に基づいてバッテリーバンク全体の電力量を調整することができる。また、このようなバッテリーバンク電力量を調整することにより、特定のバッテリーラック10に過剰な電力が流入したり、特定のバッテリーラック10から過剰な電力が流出したりすることを防止することができる。したがって、特定のバッテリーラック10の使い過ぎによる当該バッテリーラック10の破損を効果的に防止することができる。
【0060】
さらに、前記バンク制御部130は、ラック電力測定値とラック電力限界値とを比較するように構成されてもよい。ここで、ラック電力測定値は電力測定部120から提供されてもよい。すなわち、前記バンク制御部130は、電力測定部120と電気的に接続され、電力測定部120から各バッテリーラック10のラック電力測定値を受信することができる。
【0061】
なお、このようなラック電力測定値と比較するためのラック電力限界値は、予め設定されてバンク制御部130に記憶されていてもよいし、外部の他の構成要素から提供されてもよい。特に、ラック電力限界値は、それぞれのバッテリーラック10ごとに区分されて記憶されてもよい。例えば、図5に示すPref1、Pref2、Pref3、...、Pref10のように、それぞれのバッテリーラック10ごとに対応してラック電力限界値が設定され、このような設定情報がバンク制御部130に提供されてもよい。
【0062】
また、前記バンク制御部130は、各バッテリーラック10のラック電力限界値と、電力測定部120から送信された各バッテリーラック10のラック電力測定値とを比較することができる。例えば、前記バンク制御部130は、Rack1に対して電力測定部120から送信されたラック電力測定値P1と、Rack1に対して予め設定されて記憶されたラック電力限界値Pref1とを比較することができる。
【0063】
ここで、バンク制御部130は、バッテリーバンクに含まれる全バッテリーラック10について、ラック電力測定値とラック電力限界値とを比較するように構成されてもよい。例えば、図5の構成において、バンク制御部130は、Rack1、Rack2、Rack3、...、Rack10全体について、各ラック電力測定値(P1、P2、P3、...、P10)とラック電力限界値(Pref1、Pref2、Pref3、...、Pref10)とを比較するように構成されてもよい。
【0064】
あるいは、バンク制御部130は、バッテリーバンクに含まれる全バッテリーラック10のうちの一部のバッテリーラック10について、ラック電力測定値とラック電力限界値とを比較するように構成されてもよい。例えば、バンク制御部130は、全バッテリーラック10のうちの最大で測定されたラック電力測定値を、当該バッテリーラック10に対応するラック電力限界値と比較するように構成されてもよい。
【0065】
このように、ラック電力測定値とラック電力限界値とを比較すると、そのような比較結果に応じて、前記バンク制御部130は、電力調整部110のバンク電力限界値を変更できるように構成されてもよい。例えば、前記バンク制御部130は、図5の構成において、Rack3のラック電力測定値P3とラック電力限界値Pref3との比較結果に応じて、バンク電力限界値を設定するように構成されてもよい。すると、このように設定されたバンク電力限界値に応じて、電力調整部110は、バッテリーバンクに流入するバンク電力量Ptの大きさを調整することができる。
【0066】
本発明のこのような構成によれば、バッテリーバンクに含まれる各バッテリーラック10のラック電力測定値とラック電力限界値との比較結果に基づいて全バッテリーバンクの電力量を調整することができる。また、このようなバッテリーバンク電力量調整により、特定のバッテリーラック10に過剰な電力が流入したり、特定のバッテリーラック10から過剰な電力が流出したりすることを防止することができる。したがって、特定のバッテリーラック10の使い過ぎによる当該バッテリーラック10の破損を効果的に防止することができる。
【0067】
一方、上記図5の実施形態では、バッテリーバンクに10個のバッテリーラック10を含む構成を示しており、これに基づいて本発明を説明した。しかしながら、そのようなバッテリーラック10の数は一例に過ぎないもので、バッテリーラック10は他の様々な数でバッテリーバンクに含まれてもよい。
【0068】
なお、上記図5の実施形態では、バッテリーバンクに電力が流入する場合、すなわちバッテリーバンクが充電される場合を中心に説明したが、バッテリーバンクが放電する場合にも上述した内容が類似に適用できる。以下においても、充電される場合及び放電される場合のどちらか一方を中心に説明し、重複する説明については極力省略する。
【0069】
前記バンク制御部130、前記電力測定部120及び前記電力調整部110のうちの少なくとも1つは、本発明では、様々な制御ロジックを実行するために、当業界の公知のプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含んでいてもよいし、このような部品又は装置で具現されてもよい。特に、制御ロジックがソフトウェアで具現される場合、前記バンク制御部130、前記電力測定部120及び前記電力調整部110のうちの少なくとも1つは、プログラムモジュールの集合として具現されてもよい。このとき、プログラムモジュールは、メモリに記憶され、プロセッサにより実行されてもよい。前記メモリは、プロセッサの内部または外部にあってもよく、様々な周知の手段でプロセッサに接続されてもよい。また、バッテリーバンクには、バッテリーセクションコントローラー(BSC;Battery Section Controller)やエネルギー管理システム(EMS:Energy Management System)などの様々な用語と呼ばれる制御ユニットが含まれることが多い。このとき、前記バンク制御部130、前記電力測定部120及び/又は前記電力調整部110は、そのような従来のバッテリーバンクに配備された制御ユニットであり、全体または少なくとも一部の構成が具現されてもよい。
【0070】
一方、本発明において、各構成要素がプロセッサ等で具現される場合、各構成要素の動作又は機能について「~するように構成される」又は「~する」等の内容は、当該動作又は機能を実行するようにプログラムされていると理解することもできる。
【0071】
本発明によるバッテリーバンク電力制御装置100は、図4及び図5に示すように、メモリ部140をさらに含んでいてもよい。
【0072】
前記メモリ部140は、本発明によるバッテリーバンク電力制御装置100の他の構成要素、例えば、バンク制御部130、電力測定部120、電力調整部110がその機能を果たすのに必要なプログラムやデータなどを記憶することができる。例えば、前記メモリ部140は、各バッテリーラック10に対して設定されたラック電力限界値を記憶することができる。また、そのようなデータやプログラムは、バンク制御部130などの他の構成要素にアクセスすることで提供されてもよい。
【0073】
前記メモリ部140は、データの書き込み、消去、更新、読み出しが可能であることが知られている公知の情報記憶手段であれば、その種類に特に制限はない。例えば、情報記憶手段としては、RAM、フラッシュメモリ、ROM、EEPROM、レジスタなどが挙げられる。また、メモリ部140は、バンク制御部130などの他の構成要素により実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを記憶することができる。
【0074】
前記バンク制御部130は、ラック電力測定値がラック電力限界値を超えるバッテリーラック10を選別するように構成されてもよい。
【0075】
例えば、図5の構成を参照すると、バンク制御部130は、バッテリーバンクに含まれる10個のバッテリーラック10(Rack1、Rack2、Rack3、...、Rack10)のうち、ラック電力測定値(P1、P2、P3、...、P10)がラック電力限界値(Pref1、Pref2、Pref3、...、Pref10)を超えるバッテリーラック10を選別するように構成されてもよい。
【0076】
より具体的な例として、図5の実施形態では、バッテリーラック10全体のラック電力限界値(Pref1、Pref2、Pref3、...、Pref10)が全て90kWで等しいと仮定する。このとき、Rack1、Rack2、Rack3、...、Rack9のラック電力測定値(P1、P2、P3、...、P9)はすべて88kWであり、Rack10のラック電力測定値(P10)のみが108kW場合、Rack10についてのみラック電力測定値がラック電力限界値よりも大きいので、前記バンク制御部130は、10個のバッテリーラック10の中からRack10を選別することができる。
【0077】
また、このように特定のバッテリーラック10が選別されると、前記バンク制御部130は、選別されたバッテリーラック10のラック電力測定値とラック電力限界値とを用いてバンク電力限界値を設定するように構成されてもよい。
【0078】
例えば、前記実施形態のようにラック10が選別された場合、前記バンク制御部130は、ラック10のラック電力測定値P10とラック電力限界値Pref10とを用いてバンク電力限界値を設定することができる。
【0079】
また、このようにバンク電力限界値が設定されると、設定されたバンク電力限界値情報を電力調整部110に提供することができる。また、電力調整部110は、設定されたバンク電力限界値に基づいてバンク電力量Ptの大きさを調整するように構成されてもよい。特に、電力調整部110は、バンク電力量Ptがバンク制御部130により設定されたバンク電力限界値を超えないように構成されてもよい。
【0080】
また、前記バンク制御部130は、バッテリーラック10のラック電力測定値とラック電力限界値とを用いて減少係数を算出し得る。特に、減少係数は、ラック電力測定値に対するラック電力限界値の比であり、次のように表すことができる。
【0081】
減少係数=(ラック電力限界値/ラック電力測定値)
【0082】
この減少係数は、特定のバッテリーラック10に対して算出されてもよい。
【0083】
特に、減少係数は、上記実施形態では、ラック電力測定値がラック電力限界値を超えるとして選別されたバッテリーラック10の測定値及び限界値から算出されてもよい。
【0084】
例えば、図5の実施形態において、Rack10が選別された場合、Rack10のラック電力測定値であるP10とRack10のラック電力限界値であるPref10を用いて、バッテリーバンク全体に対する減少係数を次のように算出してもよい。
【0085】
減少係数=Pref10/P10
【0086】
より具体的な例として、Rack10の電力測定値P10が108kWであり、Rack10の電力限界値Pref10が90kWである場合、バンク制御部130は、次のように減少係数を算出してもよい。
【0087】
減少係数=90/108≒0.83
【0088】
また、このように減少係数が算出されると、前記バンク制御部130は、算出された減少係数に基づいてバンク電力限界値を演算できる。
【0089】
例えば、前記実施形態の如く、減少係数が0.83と算出された場合、バンク制御部130は、減少係数0.83を用いてバッテリーバンク全体に流入する電力の大きさ、すなわちバンク電力限界値を演算できる。
【0090】
さらに、前記バンク制御部130は、算出された減少係数を用いてバンク電力限界値を更新するように構成されてもよい。すなわち、以前に設定されたバンク電力限界値に応じて、バッテリーバンクには既に電力が流出入している可能性がある。このとき、バンク制御部130によりバンク電力限界値が更新されると、更新されたバンク電力限界値に応じてバッテリーバンクの電力量が変更されてもよい。
【0091】
特に、前記バンク制御部130は、算出された減少係数に、以前に設定されたバンク電力限界値を乗じてバンク電力限界値を更新するように構成されてもよい。
【0092】
例えば、算出された減少係数をDF、以前に設定されたバンク電力限界値をPb、そして新たに更新されたバンク電力限界値をPb’と表す場合、次の関係式に基づいてバンク電力限界値を更新することができる。
【0093】
Pb’=Pb×DF
【0094】
より具体的な例として、現在のバンク電力限界値が900kWと設定されており、減少係数DFが上記実施形態と同様に0.83と算出された場合、バンク制御部130は、次のようにバンク電力限界値を更新してもよい。
【0095】
Pb’=900×0.83=747
【0096】
すなわち、バンク制御部130は、バンク電力限界値を900kWから747kWに新たに設定してもよい。
【0097】
また、このように新たに設定されたバンク電力限界値に関する情報を、電力調整部110に送信することができる。すると、電力調整部110は、新たに設定されたバンク電力限界値に応じてバッテリーバンクの電力量を制限することができる。例えば、電力調整部110は、バッテリーバンクに流入したり、バッテリーバンクから流出したりする電力量の大きさを900kWから747キログラムに減少させることができる。
【0098】
特に、前記バンク制御部130は、ラック電力測定値がラック電力限界値を超えるバッテリーラック10の減少係数に基づいてバンク電力限界値を演算するように構成されてもよい。すなわち、前記実施形態で説明したように、図5の実施構成において、10個のバッテリーラック10のうち、Rack10のラック電力測定値P10がラック電力限界値Pref10を超える場合、前記バンク制御部130は、そのようなRack10の減少係数に基づいて、全バッテリーバンクに対するバンク電力限界値を演算してもよい。
【0099】
本発明のこのような実施形態によれば、バッテリーラック10間の内部抵抗の違いにより電流が不均衡に流れるとしても、特定のバッテリーラック10の損傷をより効果的に防止することができる。
【0100】
例えば、図5の実施形態において、各バッテリーラック10のラック電力限界値が全て90kmである場合、バッテリーバンク全体に流入するバンク電力量は90kW×10であり、900kWに設定されてもよい。ところで、万が一Rack10がバッテリーバンクに新設されたラックであるか、他のバッテリーラック10(Rack1~Rack9)と異なる種類の異種ラックであり、内部抵抗が他のバッテリーラック10よりも低い場合、Rack1~Rack9に比べて、Rack10にはより多くの電流が流入することができる。また、これにより、Rakc10の充電電力量は、他のラックよりも大きくなる可能性がある。例えば、Rack1~Rack9の各電力量は88kWであり、Rack10の電力量のみが108kWで形成され得る。このとき、Rack10は、108kWの電力量が流入し、使い続けると破損する可能性が高い。また、このような特定のバッテリーラックが破損すると、バッテリーバンク全体の容量が低下する。さらに、Rack10に限界値よりも高い過剰な電力が流出入する場合、Rack10の発火や爆発などより深刻な問題を引き起こすこともある。
【0101】
しかし、本発明の上記実施形態によれば、バンク制御部130は、Rack10の電力測定値(108kW)がラック電力限界値(90kW)より高いことを把握し、Rack10の電力測定値(108kW)とラック電力限界値(90kW)とを用いて減少係数(0.83)を算出できる。
【0102】
また、バンク制御部130は、減少係数(0.83)に既存のバンク電力量(900kW)を乗じることにより、747kWというバンク電力限界値を設定してもよい。また、このように設定されたバンク電力限界値により、電力調整部110は、バンク電力量を747kWに調整してもよい。このとき、各バッテリーラック10間の内部抵抗の違いは以前のものと同様のレベルで存在し得るので、依然として、他のバッテリーラック10と比較して相対的に大きな電流がRack10に流入し得る。ただし、バンク全体の電力量が減少したため、Rack10の電力量も以前よりも減少する可能性がある。
【0103】
特に、上記実施形態によれば、Rack10の電力量もRack10の電力限界値(Pref10)以下に低下することがある。この場合、バッテリーラック10間の電力量の比率は、以前と類似すると推定できる。したがって、Rack10の電力減少量をP10’とすると、次のような関係式が成立される。
【0104】
900:108=747:P10’
【0105】
したがって、P10’は次のように計算されてもよい。
【0106】
P10’=(747×108)÷900=89.64[kW]
【0107】
すなわち、新たに設定されたバンク電力限界値のため、Rack10の電力量は既存の108kWから89.64kWに減少すると言える。また、これはRack10のラック電力限界値である90kW以下となる。
【0108】
したがって、本発明の上記実施形態によれば、バッテリーバンクに含まれる複数のバッテリーラック10の中で特定のバッテリーラック10がラック電力限界値を超える形態で運用される状況において、当該バッテリーラック10のラック電力量をラック電力限界値以下に低下させることができる。したがって、この場合、特定のバッテリーラック10が限界値以上で使い続けられることによる損傷、発火または爆発を防止することができる。
【0109】
さらに、本発明によるバッテリーバンク電力制御装置100は、上述した手順に従ってバンク電力限界値を周期的または非周期的に更新することにより、バンク電力量の大きさを頻繁に調整することができる。また、このような更新周期の設定程度に応じて、バンク電力量の大きさの調整もリアルタイムで行うことができる。したがって、特定のバッテリーラック10の電力量が限界値以上に超えた場合でも、迅速に調整して、バッテリーラック10やバッテリーバンクの永久的損傷や性能低下などを効果的に防止することができる。
【0110】
また、前記バンク制御部130は、ラック電力測定値がラック電力限界値を超えるバッテリーラック10が複数把握された場合、把握されたバッテリーラック10のそれぞれに対する減少係数のうち最も低い減少係数に基づいてバンク電力限界値を演算するように構成されてもよい。
【0111】
例えば、ラック電力測定値がラック電力限界値を超えるバッテリーラック10が3つの場合、バンク制御部130は、3つのバッテリーラック10のそれぞれに対する減少係数を算出してもよい。また、バンク制御部130は、算出された減少係数のうち最も低い減少係数を用いてバンク電力限界値を演算してもよい。
【0112】
より具体的な例として、Rack3、Rack7、Rack9に対するラック電力測定値がラック電力限界値を超えると把握された場合、バンク制御部130は、3つのバッテリーラックRack3、Rack7、Rack9のそれぞれに対する減少係数を算出してもよい。
【0113】
このとき、Rack3に対して算出された減少係数は0.95であり、Rack7に対して算出された減少係数は0.81であり、Rack9に対して算出された減少係数は0.89である場合、最も低い減少係数はRack7の0.81である。したがって、バンク制御部130は、最も低い減少係数0.81を用いてバンク電力限界値を演算してもよい。
【0114】
本発明のこのような構成によれば、複数のバッテリーラック10に対して限界値以上の電力量が入出力される状況において、1つのバッテリーラック10に基づく処理過程のみを行っても、全バッテリーラック10に対して、各電力量を限界値以下にすることができる。したがって、この場合、電力量をより効率的に調整することができる。
【0115】
また、前記バンク制御部130は、各バッテリーラック10に対して、ラック電力測定値がラック電力限界値を超える回数をカウントするように構成されてもよい。また、バンク制御部130は、特定のバッテリーラック10において、ラック電力測定値がラック電力限界値を超えるとカウントされた回数(以下、カウント回数)が、基準累積回数以上であるか否かを判断するように構成されてもよい。ここで、基準累積回数は、バッテリーバンクやバッテリーラック10の仕様、バッテリーバンクの運用形態や条件などの様々な状況に応じて多様に設定されて予め記憶されていてもよい。例えば、基準累積回数を5回に設定してメモリ部140などに記憶してもよい。また、バンク制御部130は、このような比較の結果、カウント回数が基準累積回数以上である場合に、バンク電力限界値を演算するように構成されてもよい。このような実施形態については、図6を参照してより具体的に説明する。
【0116】
図6は、本発明の一実施形態によるバッテリーバンク電力制御装置100により測定された特定のバッテリーラック10のラック電力測定値と、当該バッテリーラック10のラック電力限界値とを比較して示した表である。
【0117】
図6に示す結果は、バッテリーバンクに含まれる複数のバッテリーラック10のうちのいずれか1つのバッテリーラック10の測定値及び限界値と言える。例えば、図6の結果は、図5に示す複数のバッテリーラック10のうち、Rack10に対するラック電力測定値及びラック電力限界値を示したものと言える。
【0118】
図6では、特定のバッテリーラック10、例えばラック10について、1次から12次まで合計12回のラック電力量測定が行われ、各次数別測定値が記載されている。このとき、当該バッテリーラック10の限界値は、すべての測定次数で90kWと等しく設定されている。一方、基準累積回数が5回に設定されているものとする。
【0119】
このような状況において、図6に示すようにラック電力測定値が把握されると、バンク制御部130は、ラック電力測定値がラック電力限界値を超える回数をカウントできる。すなわち、ラック電力測定値がラック電力限界値を超える場合は、3次、6次、7次、8次、10次、11次、12次測定時と言える。したがって、ラック電力測定値がラック電力限界値を超えるとカウントされた回数は合計7回であり、これは基準累積回数である5回を超える値である。したがって、前記バンク制御部130は、バンク電力量を調整する必要があると判断し、バンク電力限界値を新たに設定することができる。
【0120】
特に、前記バンク制御部130は、カウント回数が基準累積回数以上になる時点でバンク電力限界値を演算してバンク電力量を変更するように構成されてもよい。
【0121】
例えば、図6の実施形態において、カウント回数が基準累積回数である5回以上になる時点は、10次測定時といえる。
【0122】
したがって、バンク制御部130は、10次測定が行われた時点でバンク電力限界値を演算し、これによりバンク電力量を変更するように構成されてもよい。
【0123】
また、前記バンク制御部130は、カウント回数が基準累積回数以上となる時点でのラック電力測定値を用いてバンク電力限界値を演算するように構成されてもよい。
【0124】
例えば、図6の実施形態では、カウント回数が基準累積回数(5回)以上になる時点は10次測定時であり、このときのラック電力測定値は108kWである。この場合、バンク制御部130は、108kWの測定値を用いてバンク電力限界値を演算することができる。また、ラック電力限界値がそれぞれの次数ごとに互いに異なる場合、ラック電力限界値も、当該時点、すなわちカウント回数が基準累積回数以上となる時点での限界値を用いるようにバンク制御部が構成されてもよい。
【0125】
本発明のこのような構成によれば、ラック電力測定値がラック電力限界値を超える場合の測定値が互いに異なっていたとしても、バンク電力限界値が演算される基準が明確に設定されているといえる。したがって、バンク電力限界値の演算についての明確性を確保することができる。さらに、この実施形態によれば、カウント回数が基準累積数未満である時点でのラック電力測定値を記憶する必要はない。例えば、上記実施形態では、1次から4次の測定までの測定値を別途に記憶または管理する必要はない。したがって、この場合、バンク制御部130の演算負荷やメモリ部140の記憶容量が不必要に増加することを防止できる。
【0126】
また、前記バンク制御部130は、ラック電力測定値がラック電力限界値を超えると連続してカウントされた回数(以下、連続カウント回数)が基準連続回数以上である場合、バンク電力限界値を演算するように構成されてもよい。このときの基準連続回数は、前の基準累積回数と異なるように設定されてもよい。特に、基準連続回数は、基準累積回数よりも小さい値に設定されてもよい。
【0127】
このような基準連続回数もまた、バッテリーラック10の仕様やバッテリーバンクの仕様、バッテリーバンクの運用状態や条件など様々な状況を考慮して予め設定されてもよい。例えば、基準連続回数を3回に設定してもよい。
【0128】
また、前記バンク制御部130は、連続カウント回数が基準連続回数以上であるか否かを判断できる。このとき、連続カウント回数が基準連続回数以上である場合、バンク制御部130は、バンク電力量の調整が必要であると判断し、バンク電力限界値を演算するように構成されてもよい。
【0129】
例えば、基準連続回数が3回に設定されている場合、図6の実施形態において、ラック電力測定値がラック電力限界値を連続して3回以上超える時点を、8次測定時と言える。すなわち、図6において、6次、7次及び8次の連続した測定次数において、ラック電力測定値がラック電力限界値を連続して3回以上超えていることがわかる。したがって、前記バンク制御部130は、8次測定時点でバンク電力限界値を演算し、これによりバンク電力量を調整することができる。
【0130】
本発明のこのような構成によれば、特定のバッテリーラック10の電力量が限界値以上に維持されることを迅速に把握し、問題状況をより適切に解決することができる。すなわち、ラック電力測定値がラック電力限界値を連続的に超える場合、当該バッテリーラック10に問題が発生する確率が高くなることがあるが、本実施形態では、このような問題状況に対してより迅速な検知及びフォローアップを行えるようにできる。
【0131】
一方、図6では、1つのバッテリーラック10におけるラック電力測定値がラック電力限界値を超えた状況を基準として説明したが、複数のバッテリーラック10におけるラック電力測定値がラック電力限界値を超える状況も発生する可能性がある。これについては、図7を参照してより具体的に説明する。
【0132】
図7は、本発明の他の実施形態によるバッテリーバンク電力制御装置100により測定された複数のバッテリーラック10のラック電力測定値と、当該バッテリーラック10のラック電力限界値とを比較して示した表である。本実施形態については、上記図6の実施形態と異なる部分を中心に説明し、図6の実施形態の説明と同一または類似に適用可能な部分については詳細な説明を省略する。
【0133】
図7を参照すると、3つのバッテリーラック10(Rack2、Rack5、Rack8)について、1次から12次までのラック電力測定値及びラック電力限界値が記載されている。このとき、全てのバッテリーラック10のラック電力限界値は90kWと同じであり、基準累積回数は5回に設定されていると仮定する。
【0134】
バンク制御部130は、3つのバッテリーラック10のうち、Rack5及びRack8について、ラック電力測定値がラック電力限界値を超える回数が、基準累積回数である5回以上でカウントされたと判断することができる。特に、バンク制御部130は、カウント回数(ラック電力測定値がラック電力限界値を超えるとカウントされた回数)が基準累積回数(5回)に最初に達したバッテリーラック10を把握することができる。図7の実施形態では、Rack5の場合、9次測定時点でカウント回数が基準累積回数に達し、Rack8の場合、10次測定時点でカウント回数が基準累積回数に達したと見られる。したがって、バンク制御部130は、カウント回数が最初に基準累積回数に達したRack5のラック電力限界値に基づいてバンク電力限界値を演算してもよい。すなわち、バンク制御部130は、Rack5の9次測定値である99kWに基づいてバンク電力限界値を演算してもよい。
【0135】
一方、それぞれのバッテリーラック10ごとにラック電力限界値が異なる場合、バンク電力限界値を演算する際に用いられるラック電力限界値は、ラック電力測定値が選択されたバッテリーラック10、例えば、上記実施形態においてRack5のラック電力限界値が用いられてもよい。
【0136】
また、前記バンク制御部130は、減少係数に基づいてバッテリーラック10の遮断可否を決定するように構成されてもよい。すなわち、上述したように、ラック電力限界値とラック電力測定値とを用いて減少係数を計算することができ、バンク制御部130は、この減少係数を用いて、バッテリーバンクにおけるバッテリーラック10の遮断可否を制御することができる。
【0137】
特に、バンク制御部130は、減少係数の逆数に基づいてバッテリーラック10の遮断可否を決定することができる。ここで、減少係数をDFとすると、減少係数の逆数は次のように表すことができる。
【0138】
1/DF=(ラック電力測定値/ラック電力限界値)
【0139】
また、このような減少係数の逆数(1/DF)と比較するための値として、参照値を予め設定しておいてもよい。このような参照値は、バッテリーラック10やバッテリーバンクの仕様、または運用状態など様々な環境や条件に応じて適切な値に決定され、メモリ部140などに予め記憶されていてもよい。
【0140】
このとき、バンク制御部130は、計算された逆数(1/DF)が参照値以上であるか否かを判断することができる。また、特定のバッテリーラック10について計算された逆数(1/DF)が参照値以上であると判断された場合、前記バンク制御部130は、当該バッテリーラック10に対するバッテリーバンク内の接続を遮断するように構成されてもよい。
【0141】
例えば、参照値が1.3に設定された状態で、特定のバッテリーラック10、例えば、Rack10に対して計算された逆数が1.4である場合、バンク制御部130は、当該バッテリーラック10、すなわち、Rack10に対しては、バッテリーバンク内の他のバッテリーラックとの接続を遮断することができる。一方、特定のバッテリーラック10、例えば、Rack5に対して計算された逆数が1.2の場合、これは参照値未満であるため、バンク制御部130は、当該バッテリーラック10、すなわち、Rack5に対しては、バッテリーバンク内の接続を遮断せずにそのまま維持することができる。
【0142】
上記実施形態によれば、特定のバッテリーラック10における充放電電力量が限界値を大きく超える場合、当該バッテリーラック10をバッテリーバンクから脱落させてこれ以上使用しないようにできる。充放電電力量が限界値を大きく超える状態では、短時間の使用でも大きな損傷が発生する可能性がある。したがって、この場合、当該バッテリーラック10の使用を直ちに停止させることにより、当該バッテリーラック10をより確実に保護することができる。
【0143】
一方、バッテリーバンク内の特定のバッテリーラック10への接続を遮断する方法は、様々な形態で実施することができる。例えば、各バッテリーラック10にはラック制御部12が設けられ、このようなラック制御部12は、各バッテリーラック10に流れる充放電電力のON/OFFを制御できるように構成されてもよい。この場合、バンク制御部130は、当該バッテリーラック10のラック制御部12に制御信号を送信して、当該バッテリーラック10の接続を遮断することができる。
【0144】
別の例として、それぞれのバッテリーラック10に対して充放電電力経路上に別途のスイッチング部が設けられる場合、前記バンク制御部130は、そのようなスイッチング部をTurnOFFして当該バッテリーラック10の接続を遮断することができる。
【0145】
前記バンク制御部130は、バンク電力限界値を演算する際に、使用時間に応じた重み付けを行うように構成されていてもよい。特に、バンク制御部130は、バンク電力限界値を演算する際に用いられる減少係数にそのような重み(加重値)を適用させることができる。
【0146】
例えば、減少係数は、次のように計算されてもよい。
【0147】
減少係数=(ラック電力限界値/ラック電力測定値)×w
【0148】
ここで、wは、減少係数を計算する際に用いられる重みであり、バッテリーラック10またはバッテリーバンクの使用時間によって異なるように設定され得る。
【0149】
特に、重み(w)は、バッテリーラック10の使用時間が長くなるほど、例えば、サイクル回数が多くなるほど徐々に低くなるように設定してもよい。
【0150】
例えば、重み(w)は、一定のサイクル以下ではw1に設定され、一定のサイクルを超えるとw1よりも低い値であるw2に設定されてもよい。より具体的な例として、重み(w)は、500サイクル以下では1に設定され、500サイクル以上では0.9に設定されてもよい。
【0151】
さらに、このような重み(w)の場合、3段階以上の区間をサイクル数で区切って、各区間別に異なる重みを設定してもよい。例えば、重み(w)は、1サイクル~500サイクルの区間では1に設定され、501サイクル~1000サイクルの区間では0.9に設定され、1001サイクル以上の区間では0.8に設定されてもよい。
【0152】
この場合、減少係数はサイクルが進むにつれて徐々に低くなることがある。たとえば、100サイクル時点、600サイクル時点、及び1100サイクル時点のそれぞれで、(ラック電力限界値/ラック電力測定値)がすべて0.8に等しく計算されていても、重みはそれぞれ1、0.9、0.8として異なるように与えられてもよい。
【0153】
このとき、減少係数は、次のようにサイクルごとに異なる方法で演算され得る。
【0154】
100サイクル時点の減少係数:DF100=0.8×1=0.8
【0155】
600サイクル時点の減少係数:DF600=0.8×0.9=0.72
【0156】
1100サイクル時点の減少係数:DF1100=0.8×0.8=0.64
【0157】
すなわち、(ラック電力限界値/ラック電力測定値)が全て同じであっても、サイクルごとの減少係数は互いに異なって演算され得る。特に、当該バッテリーラック10のサイクルが増加するにつれて、減少係数は徐々に低下する可能性がある。
【0158】
バッテリーラック10の使用に伴い、バッテリーラック10内部の二次電池は徐々に劣化することがある。したがって、バッテリーラック10に対して、正式に設定されたラック電力限界値は一定に維持されるとしても、実質的にはバッテリーラック10に対して許容される電力量の限界値は徐々に下がる可能性がある。上記実施形態によれば、重みの変化により、このようなバッテリーラック10の実質的な劣化状況を反映させることができる。したがって、この場合、より効果的なバッテリーラック10保護が可能となる。
【0159】
上述した本発明によるバッテリーバンク電力制御装置は、バッテリーバンクの内部に含まれてもよい。この場合、本発明によるバッテリーバンクは、複数のバッテリーラック10及びケーブル20と共に、本発明によるバッテリーバンク電力制御装置を含むと言える。
【0160】
また、本発明によるバッテリーバンク電力制御装置は、エネルギー貯蔵システム(ESS)に適用されてもよい。すなわち、本発明によるエネルギー貯蔵システム(ESS)は、上述した本発明によるバッテリーバンク電力制御装置100を含んでいてもよい。また、本発明によるエネルギー貯蔵システムは、本発明によるバッテリーバンク電力制御装置100に加えて、本発明の出願時点で公知とされていたESSの様々な構成要素をさらに含んでいてもよい。さらに、本発明によるエネルギー貯蔵システムは、1つ以上のバッテリーバンクを含んでいてもよい。特に、複数のバッテリーバンクを含む場合、エネルギー貯蔵システムは、各バッテリーバンクに対応するバッテリーバンク電力制御装置100を別々に含んでいてもよい。
【0161】
図8は、本発明の一実施形態によるバッテリーバンク電力制御方法を概略的に示すフローチャートである。図8において、各ステップの実行主体は、上述したバッテリーバンク電力制御装置100の各構成要素と言える。
【0162】
図8に示すように、本発明によるバッテリーバンク電力制御方法は、複数のバッテリーラック、特に互いに並列に接続された複数のバッテリーラックを有するバッテリーバンクの電力を制御する方法であって、バンク電力の入出力ステップ(S110)、ラック電力量測定ステップ(S120)、バンク電力限界値の変更ステップ(S140)を含む。
【0163】
まず、ステップS110では、予め設定されたバンク電力限界値に基づいて、電力がバッテリーバンクに入力されたり、バッテリーバンクから出力されたりできる。
【0164】
また、ステップS120では、ステップS110中の、複数のバッテリーラックのそれぞれに対するラック電力量を測定できる。
【0165】
次に、ステップS140では、ステップS120で測定された各バッテリーラックのラック電力測定値に基づいてバンク電力限界値を変更できる。
【0166】
さらに、図8に示すように、本発明によるバッテリーバンク電力制御方法は、ステップS120で測定された各バッテリーラックのラック電力測定値と、各バッテリーラックに対応して予め記憶されたラック電力限界値とを比較するステップS130をさらに含んでいてもよい。
【0167】
この場合、前記ステップS140では、ステップS130で比較された結果に応じて、バンク電力限界値の設定を変更できる。
【0168】
本発明によるバッテリーバンク電力制御方法では、上記バッテリーバンク電力制御装置100で説明した様々な内容を同一または類似に適用してもよい。したがって、これについての詳細な説明は省略する。
【0169】
一方、本明細書では、複数のバッテリーラックを有するバッテリーバンクを基準として電力を制御する技術について説明したが、これは、複数のバッテリーグループを含む様々なタイプのバッテリーシステムにおいても、用語のみが変更されて本発明を適用してもよい。
【0170】
例えば、複数のバッテリーモジュール11を有するバッテリーバックにも本発明を適用してもよい。この場合、本明細書におけるバッテリーラックについての説明は、バッテリーモジュール11についての説明に置き換えられてもよく、バッテリーバンクについての説明は、バッテリーパックについての説明に置き換えられてもよい。また、本発明のこのような態様では、用語「バッテリーバンク電力制御装置」は「バッテリーパック電力制御装置」に置き換えられ、用語「バンク制御部130」は「パック制御部」に置き換えられてもよい。
【0171】
また、複数のバッテリーバンクを備えたエネルギー貯蔵システムにも本発明を適用してもよい。この場合、本明細書におけるバッテリーラックの説明はバッテリーバンクの説明と置き換えられ、バッテリーバンクの説明はエネルギー貯蔵システムの説明と置き換えることができる。この場合、本発明による技術は、エネルギー貯蔵システム電力制御装置とも呼ばれ、「バンク制御部」などの用語は「システム制御部」などの用語に置き換えられてもよい。
【0172】
一方、本明細書では、「電力調整部」、「電力測定部」、「バンク制御部」などのように所定の構成要素に「~部」という用語を用いたが、これらの構成要素は、必ずしも物理的に区分される要素ではなく、機能的に区分される要素であると理解せねばならない。例えば、それぞれの構成要素は他の構成要素と選択的に統合されるか、又は、それぞれの構成要素が制御ロジックの効率的な実行のためにサブ構成要素に分割され得る。また、各構成要素が統合または分割されても機能の同一性が認められれば、統合または分割された構成要素も本出願の範囲内に属すると解釈されねばならないことは当業者にとって自明である。
【0173】
以上、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で様々な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0174】
10 バッテリーラック
11 バッテリーモジュール
12 ラック制御部
13 ラックフレーム
20 ケーブル
21 電力供給経路
100 バッテリーバンク電力制御装置
110 電力調整部、
120 電力測定部、
130 バンク制御部、
140 メモリ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8